JP6816409B2 - Maldi質量分析装置 - Google Patents
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Description
このようなMALDIイオン源を備えた質量分析装置で分析を行う際には、例えばサンプルプレートの上面に試料をスポット状に滴下し、乾燥により溶媒を蒸発させた後に真空チャンバ内へ載置する。そして、真空チャンバ内を真空引きするべく真空ポンプの運転を開始することにより分析が開始される。通常、サンプルプレートの上面には複数の試料がM行N列に並ぶように配置されており、サンプルプレートを動かしてレーザ光の照射位置に各試料の配置箇所を移動させることにより、各試料が次々とイオン化される。
MALDIイオン源を備えた質量分析装置としては、例えばMALDI−TOFMSが知られており、発生させたイオンを所定の強さの電場によって引き出し、飛行空間内に導入することで質量分析を行う。飛行空間内を飛行する各イオンの速度はその質量電荷比に依存し、質量電荷比が小さいほど大きな速度を有するため、検出器に到達するまでの飛行時間に応じて、各種イオンを質量電荷比ごとに分離して検出する。
MALDI−TOFMS201は、質量分析部10と、サンプルプレート20と、サンプルプレート20を載置する試料ステージ31と、試料ステージ31を移動させるステージ駆動部32と、観察用の可視光をサンプルプレート20上面に照射する可視光源部(光源部)240と、サンプルプレート20上面の画像を取得する画像取得装置(画像取得部)250と、試料に対しイオン化用のレーザ光を出射するレーザ照射部5と、MALDI−TOFMS201全体の制御を行うコンピュータ260とを備える。
また、後述するサンプルプレート20と質量分析部10との間には、拡散するイオンを遮蔽するアパーチャ3と、イオンを質量分析部10まで輸送するためのイオン輸送光学系としてのアインツェルレンズ2が配設されている。もちろん、アインツェルレンズ2以外の各種の構成のイオン輸送光学系を用いてもよい。
このような質量分析部10によれば、レーザ照射によって試料から放出されたイオンは、アパーチャ3やアインツェルレンズ2を通過して、イオン輸送光学系を経て質量分析器に送られ、質量分析器で質量電荷比に応じて各種イオンが分離される。そして、分離されたイオンがイオン検出器11に到達すると、イオン検出器11は到達したイオン量に応じたサンプル信号をコンピュータ260に出力する。
なお、「所定の範囲」とは、設計者等によって予め決められた任意の範囲であり、例えばウェルの一部が欠けることのないように定められた領域となっている。
そのため、MALDI質量分析装置201により分析を行う際には、オペレータは、表示部63に表示された可視光画像を観察しながら入力部62を用いて試料ステージ31を移動させて、イオン化に適したと思われる位置を探してレーザ光の照射範囲内に存在するように位置合わせを行っている。あるいは、レーザ光を照射して測定データを確認して、スイートスポットを探すこともある。
また、輝度閾値とマススペクトルデータとを利用して、撮影画像から試料中の分析対象物質が存在する領域を識別するMALDI質量分析装置も開示されている(例えば特許文献1参照)。なお、特許文献1では、撮影画像を取得する際の光源は不明であり、当然、観察用の光の種類(波長域)や照射角度については記載されていない。
また、測定データやマススペクトルデータを利用してイオン化に適した照射位置を決定する方法もあるが、レーザ光の照射位置を決めるために、測定データやマススペクトルデータをくりかえし取得することは非常に手間であった。
MALDIでイオン化用の光源として、窒素レーザや固体レーザが広く用いられている。窒素レーザから出射されるレーザ光は、337nmの波長を有しており、固体レーザは、355nmの波長を有している。そして、レーザ光によりイオン化されるには、マトリックスがレーザ光のエネルギを吸収する必要があるため、レーザ光の波長と同じ、波長付近に光の吸収帯(特定の波長域)を持つ物質がマトリックスとして試料と混合されている。そこで、光学画像を取得する際に、イオン化用のレーザ光の波長、あるいは、マトリックスの吸収波長域に近い光を照射して取得された光学画像を観察することで、観察されるマトリックス(結晶)の分布状態と、イオン化効率のよい領域とに相関があることに思い至った。
また、上記発明において、前記特定の波長域は、紫外領域または赤外領域であるようにしてもよい。
また、上記発明において、前記光源部は、鉛直方向に対して所定角度(具体的には45度)以下となる方向から紫外光または赤外光を出射し、前記画像取得部は、前記サンプルプレートの上面で反射した紫外光または赤外光を検出して光学画像を作成する紫外光カメラまたは赤外光カメラであるようにしてもよい。
本発明のマトリックス観察装置によれば、照射された照射光は、マトリックスが分布する箇所では吸収されるため、光学画像中において黒い影として観察される。
ここで、「所定角度以上」とは、設計者等によって予め決められた任意の角度であり、サンプルプレートの上面に配置された試料から放射された可視光が画像取得部に入射するようにした浅い角度である。
本発明のマトリックス観察装置によれば、マトリックスに吸収された紫外光や赤外光が可視光として放射されることにより、光学画像中のマトリックスの分布箇所が明るくなる。
特にDHBは、結晶が均一には生じないので、本発明のマトリックス観察装置が特に有効である。
さらに、上記発明において、前記サンプルプレートの上面には、複数の試料が配置されているようにしてもよい。
図1および図2は、本発明の第一実施形態に係るMALDI−TOFMSを示す構成図である。なお、上述したMALDI−TOFMS201と同様のものについては、同じ符号を付すことにより説明を省略する。
MALDI−TOFMS1は、質量分析部10と、サンプルプレート20と、サンプルプレート20を載置する試料ステージ31と、試料ステージ31を移動させるステージ駆動部32と、観察用の紫外光をサンプルプレート20上面に照射する紫外光源部(光源部)40と、サンプルプレート20上面の画像を取得する画像取得装置(画像取得部)50と、試料に対しイオン化用のレーザ光を出射するレーザ照射部5と、MALDI−TOFMS1全体の制御を行うコンピュータ60とを備える。
上記あるいは、観察用の紫外光源部40の波長域としては、窒素レーザの波長337nmあるいは固体レーザの波長355nmmを含む波長域であることが好ましい。あるいは、上記紫外光の中心波長が、レーザ照射部から出射されるレーザ光の中心波長と近いことが好ましく、レーザ照射部から出射されるレーザ光の中心波長の±20nm以内であることがより好ましい。また、上記設定角度αは、45°以下(所定角度以下)であることが好ましい。
図3は、本発明の第二実施形態に係るMALDI−TOFMSを示す構成図である。なお、上述したMALDI−TOFMS1、201と同様のものについては、同じ符号を付すことにより説明を省略する。
MALDI−TOFMS101は、質量分析部10と、サンプルプレート20と、サンプルプレート20を載置する試料ステージ31と、試料ステージ31を移動させるステージ駆動部32と、観察用の紫外光をサンプルプレート20上面に照射する紫外光源部(光源部)140と、サンプルプレート20上面の画像を取得する画像取得装置(画像取得部)250と、試料に対しイオン化用のレーザ光を出射するレーザ照射部5と、MALDI−TOFMS101全体の制御を行うコンピュータ160とを備える。
なお、紫外光源部140から出射される紫外光の波長域としては、窒素レーザの波長337nmあるいは固体レーザの波長355nmmを含む波長域であることが好ましい。さらに、上記紫外光の中心波長は、レーザ照射部から出射される光の中心波長と近いことが好ましく、レーザ照射部から出射される光の中心波長の±20nm以内であることがより好ましい。また、上記設定角度βは、45°以上(所定角度以上)であることが好ましい。
(1)上述した実施形態では、MALDI−TOFMS1、101を例に説明したが、本発明は、イオン化効率のよいレーザ光の照射位置を探すことができる装置であり、MALDIイオン源を備える分析装置全般にも適用することができる。また、真空MALDI、大気圧MALDIのどちらにも適用することができる。
(2)上述したMALDI−TOFMS1、101では、窒素レーザ6を有するレーザ照射部5と紫外光源部40、140とを備える構成を示したが、イオン化用の赤外光を出射するIR(赤外)レーザを有するレーザ照射部と、観察用の赤外光を出射する赤外光源部とを備える構成としてもよい。
このときには、赤外領域に吸収帯を持つ物質のマトリックスと分析対象物質とを混合した試料溶液を滴下して乾化することで試料を配置することになる。例えば、尿素、DHB、コハク酸、シナピン酸等をマトリックスとして利用した場合に、照射位置によりイオン化の状態が異なるため、特に本発明が有効である。
20 サンプルプレート
31 試料ステージ
40 紫外光源部(光源部)
50 画像取得装置(画像取得部)
Claims (6)
- 特定の波長域の光を吸収するマトリックスを含有した試料が配置されるサンプルプレートを搭載するステージと、
前記試料に微小径で前記特定の波長域のレーザ光を照射するためのレーザ照射部と、
前記レーザ光が照射された前記試料から放出された気化試料またはイオンを質量分析する質量分析部と、
前記レーザ照射部とは独立に設けられ、前記サンプルプレートに前記微小径よりも広い領域の観察用の光を照射する光源部と、
前記観察用の光が照射されたときの前記サンプルプレートからの光を検出して光学画像を作成する画像取得部とを備えるMALDI質量分析装置であって、
前記光源部から照射される光の波長域は、前記特定の波長域と重複することを特徴とするMALDI質量分析装置。 - 前記特定の波長域は、紫外領域または赤外領域であることを特徴とする請求項1に記載のMALDI質量分析装置。
- 前記光源部は、鉛直方向に対して45度以下となる方向から紫外光または赤外光を出射し、
前記画像取得部は、前記サンプルプレートの上面で反射した紫外光または赤外光を検出して光学画像を作成する紫外光カメラまたは赤外光カメラであることを特徴とする請求項2に記載のMALDI質量分析装置。 - 前記光源部は、鉛直方向に対して45度以上となる方向から紫外光または赤外光を出射し、
前記画像取得部は、前記サンプルプレートの上面に配置された試料から放射された可視光を検出して光学画像を作成する可視光カメラであることを特徴とする請求項2に記載のMALDI質量分析装置。 - 前記マトリックスは、DHBまたはCHCAであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のMALDI質量分析装置。
- 前記サンプルプレートの上面には、複数の試料が配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のMALDI質量分析装置。
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