JP6814337B2 - 遮熱膜を有する内燃機関用部材、および該部材の製造方法 - Google Patents

遮熱膜を有する内燃機関用部材、および該部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、遮熱膜を有する内燃機関用部材、および該部材の製造方法に係り、更に詳細には、表面に遮熱膜を有し、内燃機関の燃焼室等、燃焼ガスに曝される面を有する内燃機関用部材、および上記遮熱膜を備える内燃機関用部材の製造方法に関する。
内燃機関の効率を向上させるために、様々な損失低減の取組みがなされている。なかでも冷却熱損失は、排気損失と並んで全損失に占める割合が大きく、冷却熱損失の削減により大きな削減効果が期待される。
上記冷却損失は、膨張行程における燃焼中のガスが冷却されることで生じる損失であり、燃焼室の壁面から燃焼熱が逃げることで生じる損失である。したがって、上記冷却損失は、燃焼室壁面の断熱性を高くすることで低減することができる。
一般的に、金属酸化物は、金属に比して熱伝導率が小さなものであり、燃焼室壁面の断熱性を高くすることができ、金属酸化物の遮熱膜を燃焼室壁面に設けることで冷却損失を低減することができる。
しかし、金属酸化物は金属と同様に熱容量が大きいものであるため、上記金属酸化物で形成された遮熱膜は、燃焼後の作動ガスが膨張し、作動ガスの温度が低下した後においても下がり難い。
そして、遮熱膜の温度が高くなると、作動ガスが加熱されて吸気効率が低下し、また、ノッキングが発生し易くなる。
したがって、冷却損失の低減と吸気効率の向上とを両立させるには、遮熱膜の温度が、作動ガスの温度変化に追従し、作動ガスの燃焼時には高く、燃焼時以外の吸排気時には低くなることが理想的であり、低熱伝導率かつ低熱容量の遮熱膜であることが好ましい。
特許文献1の特開2013−213446号公報には、金属酸化物の遮熱膜をポーラスにすることで、低熱伝導率と低熱容量が促進される旨が記載されている。
特開2013−213446号公報
特許文献1に記載のものは、遮熱膜がポーラスであるため、上記遮熱膜の空孔が占める体積分の体積比熱を小さくすることができる。しかしながら、上記空孔は燃焼室に向けて開口した連通孔であり、空孔内部に作動ガスが入り込んで該空孔が燃焼熱を外部に逃がす経路となるため、断熱性が十分でない。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内燃機関の燃焼室壁面温度を作動ガスの温度変化に追従させることができる高断熱な遮熱膜を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、多孔質金属酸化物層の金属酸化物粒子間の隙間内に樹脂が充填されることにより、上記多孔質金属酸化物層の金属酸化物粒子間の隙間内に作動ガスが入り込むことが防止され、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の部材は、内燃機関の燃焼室等の燃焼ガスに曝される面を有する部材であり、金属酸化物粒子と樹脂とを含み、上記金属酸化物粒子同士が直接接合した多孔質金属酸化物層を有する遮熱膜を表面に備える。
そして、上記多孔質金属酸化物層を構成する金属酸化物が、ジルコニア(ZrO )又は酸化イットリウム(Y )を5質量%〜10質量%含む部分安定化ジルコニアのみから成り、
上記多孔質金属酸化物層が、上記金属酸化物粒子間の隙間の一部に上記樹脂が充填されて形成された独立孔を有し、
上記多孔質金属酸化物層の樹脂含有率が5体積%〜60体積%であることを特徴とする。
また、本発明の部材の製造方法は、内燃機関の燃焼室等の燃焼ガスに曝される面を構成し、表面に遮熱膜を備える内燃機関用部材の製造方法である。
そして、金属酸化物粒子と樹脂粒子との混合粒子を部材基材に溶射し、上記金属酸化物粒子間の隙間の一部にが、上記樹脂が充填されて独立孔を形成した多孔質金属酸化物層を形成する工程を有し、
上記多孔質金属酸化物層を構成する金属酸化物が、ジルコニア(ZrO )又は酸化イットリウム(Y )を5質量%〜10質量%含む部分安定化ジルコニアのみから成ることを特徴とする。
本発明によれば、金属酸化物粒子間の隙間の一部に樹脂が充填されて独立孔を形成した多孔質金属酸化物層を遮熱膜とすることとしたため、内燃機関の燃焼室壁面温度を作動ガスの温度変化に追従させることができる高断熱な遮熱膜を提供することができる。
本発明の遮熱膜の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の表面層を有する遮熱膜の一例を示す模式的な断面図である。 本発明の中間層を有する遮熱膜の一例を示す模式的な断面図である。 冷却応答性の測定法を説明する図である。
本発明の内燃機関の燃焼ガスに曝される面を有する内燃機関用部材について詳細に説明する。
上記部材は、内燃機関の燃焼室や、排気系等燃焼ガスに曝される面を有するものであり、表面に遮熱膜を備える。
上記遮熱膜は、樹脂を含有する多孔質金属酸化物層を有し、必要に応じて、さらに表面層、中間層を有して成る。
<多孔質金属層>
上記多孔質金属酸化物層は、その金属酸化物粒子間の隙間の一部、樹脂が充填されて封孔された独立孔を有するものであり、上記多孔質金属酸化物層の樹脂含有率が5体積%〜60体積%である。
本発明の部材における遮熱膜は、多孔質金属酸化物層の金属酸化物粒子間の隙間に樹脂が充填され、金属酸化物粒子間の隙間が封孔されて独立孔となり、金属酸化物粒子間の隙間の開口部が閉塞しているため、金属酸化物粒子間の隙間に作動ガスが入り込むことが防止される。
したがって、多孔質金属酸化物層内を連通し、燃焼熱の放出経路となる連通孔が減少すると共に、上記独立孔内に閉じ込められた空気等の気体により、さらに熱伝導率が低下して断熱性が向上する。
上記多孔質金属酸化物層中の樹脂の含有量は、5体積%以上60体積%以下であり、5体積%以上40体積%以下であることが好ましく、さらに20体積%以上40体積%以下であることが好ましい。
多孔質金属酸化物層中に樹脂を5体積%以上含むことで、独立した空孔を形成して断熱性を向上させることができる。さらに20体積%以上であることで、独立した空孔が増加して断熱性を向上させることができる。
また、多孔質金属酸化物層の樹脂の含有量が60体積%以下であることで耐熱性、耐久性を確保することができ、40体積%以下であることで、さらに閉空孔の割合が増え、遮熱膜の熱容量及び熱伝導率を小さくすることができる。
すなわち、多孔質金属酸化物層の樹脂の含有量が60体積%を超えると、金属酸化物の含有量が少なくなって多孔質金属酸化物層の強度が低下する。
また、本発明の多孔質金属酸化物層は、金属酸化物の海の中に樹脂の島が形成された海島構造を有していてもよいが、多孔質金属酸化物層中の樹脂の含有量があまり多くなると、空気等のガスを閉じ込めた独立孔が少なくなり、低熱容量化及び低熱伝導率化の効果が低下する。
上記多孔質金属酸化物層は、空孔が5体積%〜25体積%を占めることが好ましい。多孔質金属酸化物層中の空孔の割合が上記範囲内であることで、低熱容量化及び低熱伝導率化と、耐久性とを両立できる。
なお、本発明において多孔質金属酸化物層の空孔とは、多孔質金属酸化物層中において金属酸化物及び樹脂が存在しない領域をいう。
上記多孔質金属酸化物層の樹脂及び空孔の体積比率は、遮熱膜断面のSEM写真を画像解析することで算出することができる。
具体的には、任意の断面加工処理方法により切断した多孔質金属酸化物層の断面を電子顕微鏡で撮影し、二次電子像または反射電子像を得る。上記電子像を画像処理ソフトによりグレースケール化し、金属酸化物と金属酸化物以外の部位との間に閾値を設定した二値化処理画像を得て、その面積比率から多孔質金属酸化物層に対する金属酸化物の割合を算出する。
さらに、上記金属酸化物以外の部位について、上記電子像のコントラストを変えてグレースケール化し、樹脂と樹脂以外の空孔との間に閾値を設定した二値化処理画像を得る。 上記二値化処理画像から、多孔質金属酸化物層に対する樹脂と空孔の割合を算出することで、多孔質金属酸化物層中に占める樹脂及び空孔の体積比率を算出できる。
上記画像処理ソフトは、特に限定されるものではないが、本発明においては、ニレコ製小型汎用画像解析装置LUZEX(登録商標)APを用いた。
また、本発明においては、金属酸化物の部位の数値と金属酸化物以外の部位の数値との中間値、および樹脂の部位の数値と樹脂以外の空孔の数値との中間値を閾値とした。
上記多孔質金属酸化物層は、膜厚が金属酸化物間に存在する樹脂の粒径よりも厚いことが好ましい。樹脂の最大粒径よりも厚いことで金属酸化物同士の接合が分断されずに連続して耐久性が向上する。
多孔質金属酸化物層の膜厚は、30μm〜500μmであることが好ましく、50μm〜200μmであることがより好ましい。30μm未満では断熱性が低下することがあり、500μmを超えると体積比熱が増加して熱容量が増加し、吸気効率が低下することがある。
(樹脂)
上記樹脂は、多孔質金属酸化物層の金属酸化物粒子間の隙間を封孔して独立孔を形成するものである。
上記樹脂としては、耐熱性を有し、熱伝導率が低いものであれば特に制限はなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用することができる。
上記樹脂は、多孔質金属酸化物層の金属酸化物によって形成された微細な隙間の中に存在しており、熱伝導率が低い金属酸化物に囲まれている。したがって、樹脂が作動ガスに直接曝されることがなく、上記多孔質金属酸化物層は高温になっても直ぐに冷えるものであるため、内燃機関の運転中においても高温下に長時間曝されることがなく、燃焼又は分解することが防止される。
上記樹脂は、融点が200℃以上であり、かつ、熱伝導率(20℃)が0.3W/mK以下であることが好ましい。
上記樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエーテル・エーテルケトン、フェノール樹脂、ポリアミドイミド、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、LCP、ポリイミド、ABS、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート、変形ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、スミカエクセル、ポリアリレート等を挙げることができ、これらは、一種又は2種以上を混合して用いてもよい。
樹脂のガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tm)、および融点は、示差走査熱量計を用いて測定できる。具体的には、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピーク温度(Tm1)を観測した後、Tm1から20〜50℃高い温度で3分間保持する。
その後、降温速度10℃/minで室温℃まで冷却させ、さらに昇温速度10℃/minでTm1より20〜50℃高い温度まで加熱してDSC曲線を計測する。
得られたDSC曲線の一回目の昇温工程におけるベースラインと変曲点の接線の交点をガラス転移点(Tg)とした。また、冷却工程における発熱ピークトップ温度を結晶化温度(Tm)とし、二回目の昇温工程における吸熱ピークのピークトップ温度を融点とした。
樹脂の熱伝導率の測定は、溶射する樹脂粒子を秤量してペレット作製用冶具にセットした後、ニュートンプレスにて20MPaの加圧条件で1分間加圧して、厚み5mm程度のペレットを作製し測定用試料とした。上記測定用試料を熱物性測定装置(ホットディスク社製Hot Disk TPS 2500を用いて、60mW、40秒間、測定ポイントは200ポイントとし、50〜200ポイントの測定値から解析を行い、熱伝導率(W/mK)を求めた。
(金属酸化物)
上記金属酸化物としては、内燃機関の燃焼室の壁面に用いられている従来公知の金属酸化物を使用することができる。例えば、ジルコニア(ZrO)、酸化イットリウム(Y)アルミナ(Al)等を挙げることができ、これらは一種又は2種以上を混合して用いることができる。
なかでも、ジルコニア(ZrO)は熱伝導率が低く、高い強度と靱性を有するため好ましく使用でき、酸化イットリウム(Y)を5質量%〜10質量%含む部分安定化ジルコニアであることがより好ましい。
ジルコニアは、温度による結晶構造の変化に伴い体積が変化するものであるため、温度変化の繰り返しにより脆化することがある。酸化イットリウム(Y)を5質量%〜10質量%含むことで、結晶構造の変化が適度に防止されると共に応力誘起変態によって靱牲が向上し、機械的特性が優れたものとなる。
<多孔質金属酸化物層の作製>
上記多孔質金属酸化物層は、低粒子衝突速度の大気プラズマ溶射(APS)法により、金属酸化物粒子と樹脂粒子の混合粒子を溶射して成膜することや、金属酸化物の多孔質膜に樹脂又は樹脂の前駆体を含浸させ、金属酸化物の隙間で乾燥固化することで作製できる。
上記プラズマ溶射としては、用いる金属酸化物粒子や樹脂粒子にもよるが、例えば、溶射距離:100〜150mm、粒子速度:60〜80m/s、アークガス温度2200〜2300℃、基材温度120℃〜360℃の溶射条件で溶射することで成膜できる。
上記樹脂粒子の最大粒径は、180μm以下であることが好ましく、上記混合粒子中の樹脂粒子の含有量は、3wt%〜20wt%であることが好ましい。
樹脂粒子の最大粒径が180μmを超えると金属酸化物同士の接合が弱くなって多孔質金属酸化物層の耐久性が低下することがあり、また、金属酸化物の隙間が大きくなって、樹脂が作動ガスに直接曝され易くなる。樹脂粒子の含有量が上記範囲であることで、低熱容量化及び低熱伝導率化と、耐久性とを両立できる。
上記金属酸化物粒子の粒度範囲は、10〜150μm、体積平均粒径は、30μm〜70μmであることが好ましい。金属酸化物粒子の平均粒径により、金属酸化物粒子間に形成される隙間の大きさを調節することができ、金属酸化物粒子の平均粒径が上記範囲であることで、樹脂粒子の粒径と相俟って樹脂で封孔された独立孔を形成することができる。
<表面層>
本発明の遮熱膜は、図2に示すように、上記多孔質金属酸化物層の表面に表面層を備えることができる。
上記表面層は、多孔質金属酸化物層の表面を覆い、上記樹脂によって封孔されていない金属酸化物粒子間の隙間を封孔して独立孔を形成するものであり、上記表面層を備えることで断熱性がさらに向上する。
上記表面層は、多孔質金属酸化物層の表面にレーザ光を照射して表面の金属酸化物を溶融して形成した被膜や、ポリシラザン溶液を含浸させて形成した二酸化ケイ素等の金属及び/又は金属酸化物から成る被膜の他、耐熱性に優れる樹脂の被膜を挙げることができる。
また、上記表面層を構成する樹脂としては、例えば、ポリイミド、フェノール樹脂等を挙げることができる。
<中間層>
本発明の遮熱膜は、図3に示すように、上記多孔質金属酸化物層と部材基材との間に中間層を備えることができる。上記中間層は部材基材と多孔質金属酸化物層との接着性を高めるものである。
上記中間層としては、CoNiCrAlY合金、Ni−Al合金、Ni−Cr合金、Ni、Cr、Al、Mo、MCrAlY(M=Co、Ni、CoNi)合金等の膜を挙げることができ、中間層の膜厚は、10μm〜100μmであることが好ましい。上記中間層は、溶射法により形成できる。
<部材>
上記部材は、内燃機関用の部材であり、内燃機関の燃焼ガスに曝されて高温になる面を有するものである。燃焼ガスに曝されて高温になる部材としては、例えば、燃焼室と構成するピストン、シリンダーヘッド、バルブ、シリンダーの他、シリンダーヘッド排気ポート、エキゾーストマニホールド、排気管、過給機等の排気系部材を挙げることができる。 これらの部材は、全表面に上記遮熱膜を備える必要はなく、燃焼ガスに曝される面に上記遮熱膜を有すれば足りる。
る。
上記部材の基材としては、内燃機関に用いられている従来公知の金属材料を使用することができ、アルミニウム、マグネシウム、鉄等を使用できる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
アルミニウム基材上に、NiAl粒子を溶射して中間層を形成した。
上記中間層に、酸化イットリウムを8質量%含む部分安定化ジルコニア粒子(ZrO−8Y、体積平均粒径:50〜60μm)を95質量%、ポリエステル樹脂粒子(最大粒径:50μm、融点:200℃、熱伝導率:0.3W/mK)を5質量%含む混合粒子を、以下の条件で溶射し、膜厚が494μmの多孔質金属酸化物層を形成して遮熱膜とした。
(溶射条件)
プラズマ作動ガス:アルゴンおよび水素ガス
入力電力:25kW
溶射距離:120mm
粒子速度:70m/s
基材温度:70℃
[実施例2]
最大粒径が100μmのポリエステル樹脂粒子を15質量%、部分安定化ジルコニア粒子を85質量%含む混合粒子に変える他は実施例1と同様にして膜厚が455μmの多孔質金属酸化物層を形成して遮熱膜とした。
[実施例3]
アルミニウム基材をSUSに変える他は実施例2と同様にして、膜厚が436μmの多孔質金属酸化物層を形成して遮熱膜とした。
[実施例4]
ジルコニア粒子(ZrO、体積平均粒径:50〜60μm)を85質量%、最大粒径が50μmのポリエステル樹脂粒子を15質量%含む混合粒子に変える他は実施例2と同様にして膜厚が436μmの多孔質金属酸化物層を形成して遮熱膜とした。
[実施例5]
部分安定化ジルコニア粒子(ZrO−15Y、体積平均粒径:50〜60μm)を85質量%、最大粒径が50μmのポリエステル樹脂粒子を15質量%含む混合粒子に変える他は実施例2と同様にして膜厚が400μmの多孔質金属酸化物層を形成して遮熱膜とした。
[実施例6]
実施例2の多孔質金属酸化物層の表面に、ポリシラザン溶液に含浸させて表面層を形成して遮熱膜とした。
[実施例7]
実施例2の多孔質金属酸化物層の表面にレーザ光を照射して、多孔質金属酸化物層の表面を溶融して表面層を形成し、遮熱膜とした。
[実施例8]
最大粒径が150μmのポリエステル樹脂粒子を15質量%、ジルコニア粒子(ZrO、体積平均粒径:50〜60μm)を85質量%含む混合粒子に変える他は実施例2と同様にして膜厚が455μmの多孔質金属酸化物層を形成して遮熱膜とした。
[実施例9]
最大粒径が60μmのポリエーテル・エーテルケトン(PEEK)樹脂粒子(融点:340℃、熱伝導率:0.25W/mK)を15質量%、ジルコニア粒子(ZrO、体積平均粒径:50〜60μm)を85質量%含む混合粒子に変える他は実施例2と同様にして膜厚が455μmの多孔質金属酸化物層を形成して遮熱膜とした。
[実施例10]
最大粒径が30μmのフェノール樹脂粒子(熱伝導率:0.17W/mK)を15質量%、ジルコニア粒子(ZrO、体積平均粒径:50〜60μm)を85質量%含む混合粒子に変える他は実施例2と同様にして膜厚が455μmの多孔質金属酸化物層を形成して遮熱膜とした。
[実施例11]
実施例2の多孔質金属酸化物層を、固形分が18.0質量%のポリイミド溶液をスプレー塗布し、350℃で熱処理にて乾燥させて多孔質金属酸化物層の表面に膜厚が20μmのポリイミド被膜を形成し、多孔質金属酸化物の隙間をポリイミド樹脂で封孔して独立孔を形成して遮熱膜を形成した。
[比較例1]
アルミニウム基材の表面を陽極酸化処理し、膜厚が114μmのアルマイト層を形成して遮熱膜とした。
[比較例2]
混合粒子に変えて、部分安定化ジルコニア粒子(ZrO−8Y、体積平均粒径:50〜60μm)を溶射する他は実施例2と同様にして膜厚が370μmの多孔質金属酸化物層を形成して遮熱膜とした。
[比較例3]
実施例3の多孔質金属酸化物層を800℃で2時間焼成し、多孔質金属酸化物層内の樹脂を除去して遮熱膜とした。
[比較例4]
最大粒径が50μmのポリエステル樹脂粒子を28質量%、部分安定化ジルコニア粒子(ZrO−8Y、体積平均粒径:50〜60μm)を72質量%含む混合粒子に変える他は実施例2と同様にして膜厚が500μmの多孔質金属酸化物層を形成して遮熱膜とした。
[比較例5]
最大粒径が200μmのポリエステル樹脂粒子を15質量%、部分安定化ジルコニア粒子(ZrO−8Y、体積平均粒径:50〜60μm)を85質量%含む混合粒子に変える他は実施例2と同様にして多孔質金属酸化物層を形成した。
<評価>
実施例1〜11、比較例1〜5の遮熱膜の熱伝導率、体積熱容量、および冷却応答性を以下の方法で測定し評価した。評価結果を表1に示す。
(熱伝導率)
熱伝導率は、熱拡散率、比熱容量及び密度の積で評価することができる。
本発明においては、レーザフラッシュ法熱物性測定装置(京都電子工業株式会社製LFA−502)を用いて上記熱物性値を測定した。
具体的には、測定試料として、縦5mm、横5mm、厚さ0.5mmまたは1mmの遮熱膜のみの試験片を作製し、断熱保持された試験片の表面にエネルギー密度が均一なレーザビームをパルス状に照射加熱し、試験片裏面の温度上昇を測定して温度上昇曲線を解析することで熱拡散率を得た。
また、比熱容量が既知の参照試料と試験片とに同時に均一照射加熱し、両試料裏面の温度上昇を比較して比熱容量を求めた。
さらに、電子天秤で測定した質量を、マイクロメータで測定した寸法から算出した体積で割って、試験片のかさ密度を求め、得られた熱拡散率、比熱容量及びかさ密度の積から熱伝導率を測定した。
(体積熱容量)
体積熱容量は、試験片の体積及び質量から算出したかさ密度を試験片の密度とし、このかさ密度と比熱容量の積を体積熱容量とした。
(冷却応答性)
上記遮熱膜を形成した部材を縦50mm、横50mm、厚さ9.5mmの大きさに切り出し、図4に示すように、基材側から加熱して遮熱膜の温度を250℃にした後、20℃の空気を0.002m/sで吹き付け、10秒後の遮熱膜の温度を測定した。
Figure 0006814337
実施例の遮熱膜は、熱を放出し易く比較例の遮熱膜よりも冷却応答性に優れることがわかる。
表面層を形成した実施例6,7は、独立孔が多く形成されて冷却応答性が向上した。
実施例8の遮熱膜は、原料の樹脂粒子の粒径が大きいため、独立孔が多く形成されて冷却応答性が向上した。
比較例4の遮熱膜は、樹脂の含有量が多いため遮熱膜の耐久性が低く試験中に破損した。
比較例5の遮熱膜は、原料の樹脂粒子の粒径が大きすぎるため、多孔質金属酸化物層内に入らなかった。
実施例4,5の遮熱膜は熱サイクル試験後に亀裂が発生した。
t 遮熱膜
1 基材
2 多孔質金属酸化物層
21 金属酸化物
22 樹脂
23 空孔
3 表面層
4 中間層
5 ヒータ
6 エア流
7 IRカメラ

Claims (12)

  1. 内燃機関を構成する部材であって、
    金属酸化物粒子と樹脂とを含み、上記金属酸化物粒子同士が直接接合した多孔質金属酸化物層を有する遮熱膜を表面に備えるものであり、
    上記多孔質金属酸化物層を構成する金属酸化物が、ジルコニア(ZrO )又は酸化イットリウム(Y )を5質量%〜10質量%含む部分安定化ジルコニアのみから成り、
    上記多孔質金属酸化物層が、上記金属酸化物粒子間の隙間の一部に上記樹脂が充填されて形成された独立孔を有し、
    上記多孔質金属酸化物層の樹脂含有率が5体積%〜60体積%であることを特徴とする部材。
  2. 上記樹脂の含有率が5体積%〜40体積%であることを特徴とする請求項1に記載の部材。
  3. 上記樹脂の含有率が20体積%〜40体積%であることを特徴とする請求項1に記載の部材。
  4. 上記多孔質金属酸化物層中の金属酸化物粒子及び樹脂が存在しない領域が、5体積%〜25体積%を占有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の部材。
  5. 上記樹脂の融点が200℃以上、熱伝導率(20℃)が0.3W/mK以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の部材。
  6. 上記樹脂がポリエステルであることを特徴とする請求項5のいずれか1つの項に記載の部材。
  7. 上記多孔質金属酸化物層の表面に、さらに金属及び/又は金属酸化物から成る表面層を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の部材。
  8. 上記多孔質金属酸化物層の表面に、さらに樹脂から成る表面層を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の部材。
  9. 上記多孔質金属酸化物層と部材基材との間に中間層を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の部材。
  10. 表面に遮熱膜を備える内燃機関用部材の製造方法であって、
    金属酸化物粒子と樹脂粒子との混合粒子を部材基材に溶射し、上記金属酸化物粒子間の隙間の一部に上記樹脂が充填されて独立孔を形成した多孔質金属酸化物層を形成する工程を有し、
    上記多孔質金属酸化物層を構成する金属酸化物が、ジルコニア(ZrO )又は酸化イットリウム(Y )を5質量%〜10質量%含む部分安定化ジルコニアのみから成ることを特徴とする部材の製造方法。
  11. 上記樹脂粒子の最大粒径が、180μm以下であり、
    上記多孔質金属酸化物層の膜厚が、上記樹脂の最大粒径よりも厚いことを特徴とする請求項10に記載の部材の製造方法。
  12. 上記多孔質金属酸化物層の表面にレーザ光を照射して金属酸化物粒子間の隙間を封孔することを特徴とする請求項10又は11に記載の部材の製造方法。
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