JP6814055B2 - 導電性酸化物粉末とその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性酸化物粉末とその利用に関する。
固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell、以下、単に「SOFC」ということがある。)の単セルは、多孔質構造の燃料極(アノード)と、酸化物イオン伝導体を含んだ緻密な固体電解質と、多孔質構造の空気極(カソード)とが積層され、構成されている。この単セルは、出力密度や発電効率を向上する観点から、実用的には複数個が電気的に接続されて、スタックやバンドル等の構造体として使用されることが多い。SOFCの単セルや構造体は、異種の材料で構成された複数の部材が組み合わされ、構成されている。
SOFCの単セルの電極や集電部、あるいはSOFCの複数の構成部材間(例えばカソードとインターコネクタとの間)を電気的・物理的に接続する導通部は、一般に、印刷法等の手法で部材上に導電性ペーストを付与し、700〜1100℃程度の高温で焼成することによって形成される。これに関連して、例えば特許文献1には、導電性酸化物粉末や有機溶剤等を含む導電性ペーストをディップコーティング法で基材上に成膜して、得られた成膜体を乾燥、焼成する導電層の作製方法が開示されている。特許文献1の段落0063にはまた、導電性ペーストの調製にあたり、水分含有量が3%未満のような水分含有量の小さなドライパウダーを使用する旨が記載されている。
特表2006−527697号公報
しかしながら、本発明者の検討によれば、上記の導電性ペーストを用いて導電層を形成する場合、焼成後に基材と導電層との接合強度が不足して、導電層が基材から剥離することがあった。
本発明者の検討によれば、特許文献1に開示されるような従来の導電性ペーストでは、導電性酸化物粉末の含有割合を高くするにつれて、ペースト粘度が指数関数的に増大する。このことにより、導電性酸化物粉末が導電性ペースト中で流動し難くなり、成膜体でのパッキング性(充填性)が低下する。その結果、焼成後の導電層が低密度となり、基材との接合強度が低下していることが判明した。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、導電性ペースト中での流動性が向上した導電性酸化物粉末を提供することにある。また、関連する他の目的は、かかる導電性酸化物粉末を含む導電性ペーストや、その導電性ペーストを用いたSOFCの製造方法を提供することにある。
本発明により、水分を含む導電性酸化物粉末が提供される。上記水分は、カールフィッシャー法によって、室温から150℃までの加熱温度で検出される物理吸着水と、150℃を超え300℃までの加熱温度で検出される化学吸着水と、を含む。単位表面積当りの上記物理吸着水の含有量は、3.7×10−4g/m以上である。単位表面積当りの上記化学吸着水の含有量は、9.5×10−4g/m以下である。
上記導電性酸化物粉末では、水分の含有量が調整されている。このことにより、上記導電性酸化物粉末を含む導電性ペーストでは、驚くべきことに上記水分含有量を満たさない導電性酸化物粉末を含む導電性ペーストと比べて、粘度の上昇が抑制される。その結果、例えば導電性ペースト中の導電性酸化物粉末の含有割合を高めた場合にも、導電性酸化物粉末の流動性を良好に維持することができる。このため、成膜体中で導電性酸化物粉末が配列しやすくなり、成膜体のパッキング性(充填性)を向上することができる。したがって、焼成後の導電層の密度を高めて、基材と導電層との接合強度を好適に向上することができる。
ここに開示される好適な一態様では、上記導電性酸化物粉末が、ペロブスカイト型の酸化物の粉末である。これにより、例えば500℃以上のような高温域において、長期にわたり高い導電性をより良く発揮することができる。
ここに開示される導電性酸化物粉末は、固体酸化物形燃料電池の作製に好適に用いることができる。
また、本発明により、ここに開示される導電性酸化物粉末とベヒクルとを含む、導電性ペーストが提供される。
上記導電性ペーストでは、粘度の増大が抑制されている。このため、導電性ペーストの流動性を安定的に維持することができ、成膜時の作業性を確保することができる。例えばスクリーン印刷の手法で基材上に導電性ペーストを付与する場合には、版離れ性を向上することができる。また、上記導電性ペーストでは、導電性ペースト中の導電性酸化物粉末の含有割合を高めることができる。このことにより、導電層と基材との接地面積を広げることができ、接合強度をより良く向上することができる。
ここに開示される好適な一態様では、上記導電性ペーストの全体を100質量%としたときに、上記導電性酸化物粉末の含有割合が、65質量%以上90質量%以下である。導電性酸化物粉末の含有割合を65質量%以上とすることで、基材と導電層との接合強度を一層向上することができる。導電性酸化物粉末の含有割合を90質量%以下とすることで、導電性ペーストの保存安定性を向上することができる。また、導電性ペーストの流動性をより良く高めて、粘度の増大を好適に抑えることができる。したがって、基材上に好適に付与することができる。
ここに開示される好適な一態様では、25℃の環境下において、回転粘度計を用いて回転速度10rpmで測定される導電性ペーストの粘度が、100Pa・s以下である。これにより、導電性ペーストの流動性を良好に維持して、導電性ペーストの保存安定性、取扱性および成膜時の作業性のうちの少なくとも1つを向上することができる。
また、本発明により、固体酸化物形燃料電池の単セルの製造方法が提供される。かかる製造方法は、ここに開示される導電性ペーストを用意すること、上記導電性ペーストを用いて、電極および集電部のうちの少なくとも1つを形成すること、を包含する。
また、本発明により、固体酸化物形燃料電池の単セルを複数備える構造体の製造方法が提供される。かかる製造方法は、ここに開示される導電性ペーストを用意すること、第1の単セル上に上記導電性ペーストを付与して、その上から第2の単セルを積層して焼成することにより、上記第1の単セルと上記第2の単セルとの間に導電部を形成すること、を包含する。
一実施形態に係るSOFCシステムを模式的に示す分解斜視図である。 オーブンの設定温度と化学吸着水の含有量との関係を示すグラフである。 剥離強度の測定方法を説明するための模式的な断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば導電性酸化物粉末の水分量)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば導電性ペーストや、SOFCやSOFCシステムの構成等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において、「A〜B(ただし、A,Bは任意の値)」とは、A,Bの値(下限値および上限値)を包含するものとする。
<導電性酸化物粉末>
まず、一実施形態に係る導電性酸化物粉末について説明する。
導電性酸化物の種類は特に限定されず、従来知られているものの中から、用途等に応じて1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。導電性酸化物の一好適例として、概ね700℃以上の温度で焼成することによって焼結可能な酸化物が挙げられる。言い換えれば、融点が概ね700℃よりも低い導電性酸化物が挙げられる。導電性酸化物の他の一好適例として、高温域(典型的には500℃以上の温度域)において、プロトン(H)伝導性や酸化物イオン(O2−)伝導性を有する酸化物、例えば、導電率が1S/cm以上である酸化物が挙げられる。
導電性酸化物の具体例としては、例えば、次の一般式(1):
ABO3−δ (1)
(ただし、Aは、1価のアルカリ金属、2価のアルカリ土類金属および3価の希土類のいずれかに分類される金属元素の1種または2種以上であり、Bは、3価以上の金属元素であって、遷移金属、典型金属および希土類のいずれかに分類される金属元素のうちの1種または2種以上であり、δは、電荷中性条件を満たすように定まる値である。);
で示されるペロブスカイト型の金属酸化物が挙げられる。
式(1)中のAは、原子番号57〜71のLn(ランタノイド)元素およびAe(アルカリ土類金属)元素のうちの1種または2種以上であることが好ましい。Lnの具体例としては、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)等が挙げられ、なかでもLaやSmが好ましい。Aeの具体例としては、カルシウム(Ca)やストロンチウム(Sr)等が挙げられ、なかでもSrが好ましい。
式(1)中のBは、遷移金属元素の1種または2種以上であることが好ましい。具体例としては、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、チタン(Ti)等が挙げられ、なかでもCo,Ni,Feが好ましい。
このようなペロブスカイト型酸化物の一具体例としては、ランタンストロンチウムコバルト酸化物(LSC)や、ランタンストロンチウムコバルトフェライト酸化物(LSCF)、ランタンストロンチウムマンガン酸化物(LSM)、ランタンニッケルフェライト酸化物(LNF)、サマリウムストロンチウムコバルト酸化物(SSC)、マンガンコバルト酸化物(MCO)等が挙げられる。なかでも、構成元素にLaとCoとを含むランタンコバルト系酸化物や、構成元素にLaとFeとを含むランタンフェライト系酸化物が好ましい。なお、ランタンコバルト系酸化物とは、LaおよびCoを構成金属元素とする酸化物の他、LaおよびCo以外に他の1種以上の金属元素を含む酸化物を包含する用語である。このことは、ランタンフェライト系酸化物についても同様である。
ランタンコバルト系酸化物の一好適例としては、次の一般式(2):
(Ln1−xAe)(Co1−y)O3−δ (2)
(ただし、Lnは、ランタノイド元素のうちの1種または2種以上であり、xは、0≦x<1を満たす実数であり、0<xのとき、Aeは、アルカリ土類金属元素のうちの1種または2種以上であり、yは、0≦y<1を満たす実数であり、0<yのとき、Mは、3価以上の金属元素であって、遷移金属、典型金属および希土類のいずれかに分類される金属元素のうちの1種または2種以上であり、δは、電荷中性条件を満たすように定まる値である。);で示される酸化物が挙げられる。
式(2)中のxは、電気伝導性の向上や他部材(例えば固体電解質)との反応性を抑制する点から、好ましくは0≦x≦0.8であり、例えば0.1≦x≦0.5である。
式(2)中のyは、電気伝導性を向上する点等から、好ましくは0≦y≦0.9であり、例えば0.2≦y≦0.8である。
また、ランタンフェライト系酸化物の一好適例としては、次の一般式(3):
(Ln1−xAe)(Fe1−y)O3−δ (3)
(ただし、式中のLn、Ae、M、x、y、δは、上記一般式(2)と同じである。);で示される酸化物が挙げられる。
導電性酸化物粉末を構成する粒子の形状は特に限定されず、球状、鱗片状(フレーク状)、破砕状、針状等、種々のものを考慮することができる。なかでも、充填性や平滑性、均質性の高い導体層を実現する観点からは、例えば平均アスペクト比(長径/短径比)が凡そ1〜1.5(例えば1〜1.3)の真球状または略球状の導電性粒子が好ましい。これにより、ペースト調製時や成膜時の作業性を向上することができる。一方、導電層と基材との接地面積を広げて、接合強度をより良く向上する観点からは、例えば平均アスペクト比(長径/短径比)が凡そ2〜20(例えば5〜10)の鱗片状の導電性粒子が好ましい。
導電性酸化物粉末の平均粒径(レーザー回折・光散乱法で測定した体積基準の粒度分布において、微粒子側から累積50%に相当する粒子径をいう。以下同じ。)は特に限定されないが、典型的にはナノメートルサイズ〜ミクロンサイズである。
平均粒径が、概ね0.1μm以上、典型的には0.3μm以上、例えば0.5μm以上であると、粉末の取扱性や導電性ペーストの調製時の作業性を向上することができる。
平均粒径が、概ね20μm以下、典型的には15μm以下、例えば10μm以下、更には5μm以下であると、成膜体でのパッキング性(充填性)をより良く向上することができる。その結果、基材上に緻密な導電層を安定して形成することができる。さらには、導電層に高い電気伝導性を付与することができる。
導電性酸化物粉末の比表面積(窒素ガスを用いたガス吸着法で測定したガス吸着量を、BET法で解析した値をいう。以下同じ。)は特に限定されない。比表面積は、概ね0.2m/g以上、例えば1m/g以上であって、概ね20m/g以下、例えば10m/g以下であるとよい。
ここに開示される導電性酸化物粉末は、所定量の水分を有している。このことにより、ここに開示される導電性酸化物粉末は、導電性ペースト中において良好な流動性を発揮する。導電性酸化物粉末の水分は、物理的に吸着している水分(物理吸着水)と、化学的に吸着している水分(化学吸着水)と、を含んでいる。
物理吸着水は、室温から150℃までの加熱で気化する水分である。物理吸着水は、典型的にはファンデルワールス力等の分子間力によって、導電性酸化物粉末の表面に吸着している。物理吸着水は、化学吸着水よりも弱い力で、導電性酸化物粉末の表面に吸着している。
ここに開示される導電性酸化物粉末は、単位表面積(1m)当り3.7×10−4g以上の物理吸着水を含有している。物理吸着水の含有量は、好ましくは4.0×10−4g/m以上、より好ましくは4.5×10−4g/m以上、例えば5.0×10−4g/m以上である。これにより、導電性ペースト中での流動性をより良く向上することができる。また、導電性ペーストの粘度の上昇をより良く抑制することができる。物理吸着水の含有量の上限値は特に限定されないが、導電性酸化物粉末の取扱性を向上する観点からは、概ね100×10−4g/m以下、典型的には10×10−4g/m以下、例えば6×10−4g/m以下であるとよい。
物理吸着水の含有量は、例えば、導電性酸化物粉末を水分と直接接触させたり、導電性酸化物粉末を高湿の環境に曝したりすることで増加させることができる。物理吸着水の含有量は、例えば、導電性酸化物粉末を水の沸点よりも低い温度(典型的には50℃以下)で乾燥したり、導電性酸化物粉末を低湿(ドライ)の環境に曝したりすることで低下させることができる。
化学吸着水は、150℃を超え300℃までの加熱で気化する水分である。化学吸着水は、典型的には共有結合、イオン結合、金属結合、配位結合、水素結合等の化学結合によって、導電性酸化物粉末の表面に吸着している。化学吸着水は、例えば、導電性酸化物粉末の表面に存在する水酸基やカルボキシル基のような親水性基と化学結合を形成している。ただし、化学吸着水は、導電性酸化物粉末の構造内に含まれている構造水や結晶水等であってもよい。
ここに開示される導電性酸化物粉末は、単位表面積(1m)当り9.5×10−4g以下の化学吸着水を含有している。化学吸着水の含有量は、好ましくは9.0×10−4g/m以下、より好ましくは8.0×10−4g/m以下、例えば7.9×10−4g/m以下である。これにより、導電性ペースト中での流動性をより良く向上することができる。また、導電性ペーストの粘度の上昇をより良く抑制することができる。化学吸着水の含有量の下限値は特に限定されないが、概ね0.1×10−4g/m以上、典型的には0.5×10−4g/m以上、例えば1.0×10−4g/m以上であり得る。
化学吸着水の含有量は、例えば、従来公知の合成手法により、親水性基を有する導電性酸化物を作製することで増加させることができる。化学吸着水の含有量は、例えば、導電性酸化物粉末を水の沸点よりも高い温度(好ましくは150℃を超える温度)で焼成することで低下させることができる。
上記所定量の水分を含有する導電性酸化物粉末は、例えば以下の工程:(ステップ1)未処理の導電性酸化物粉末を用意すること;(ステップ2)未処理の状態における導電性酸化物粉末の比表面積と水分(物理吸着水および化学吸着水)の含有量とを把握すること;(ステップ3)未処理の導電性酸化物粉末について、上述のような方法で化学吸着水の含有量を調整し、第1処理済みの導電性酸化物粉末を得ること;(ステップ4)第1処理済みの導電性酸化物粉末について、上述のような方法で物理吸着水の含有量を調整し、第2処理済みの導電性酸化物粉末を得ること;(ステップ5)第2処理済みの導電性酸化物粉末の水分の含有量を確認すること;(ステップ6);第2処理済みの導電性酸化物粉末のなかから、物理吸着水の単位表面積当りの含有量が、3.7×10−4g/m以上であり、かつ、化学吸着水の単位表面積当りの含有量が、9.5×10−4g/m以下である、という条件を具備するものを選択すること;を包含する製造方法によって製造することができる。
<導電性ペースト>
次に、一実施形態に係る導電性ペーストについて説明する。ここに開示される導電性ペーストは、上述した導電性酸化物粉末と、ベヒクルと、を含んでいる。ここに開示される導電性ペーストは、成膜体を形成し、当該成膜体を高温焼成することにより、導電層を形成する用途で好適に用いることができる。
ベヒクルは、導電性酸化物粉末を分散させるための成分である。ベヒクルは、導電性ペーストに適度な粘性や流動性を付与して、導電性ペーストの取扱性や成膜時の作業性を向上するための成分である。ベヒクルは、典型的には有機重合体(ポリマー)と有機溶剤とを含んでいる。
有機重合体は、高温焼成時に蒸発除去し得るものであるとよい。言い換えれば、有機重合体は、沸点が焼成温度よりも低いとよい。有機重合体は、後述するような親水性基を有する親水性であってもよく、親水性基を有しない疎水性であってもよい。有機重合体の一例としては、有機バインダ、分散剤、増粘剤、界面活性剤等が挙げられる。なかでも、基材上に安定的に導電性ペーストを付与する観点からは、有機重合体が有機バインダを含むことが好ましい。
有機バインダは、焼成前の成膜体に粘着性を付与する成分である。有機バインダとしては特に限定されず、従来知られているものの中から、用途等に応じて1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。有機バインダの一例としては、セルロース系樹脂、ブチラール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、エチレン系樹脂、アミド系樹脂等が挙げられる。
セルロース系樹脂としては、例えば、セルロースの水酸基の一部または全部がアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等で置換されたセルロース有機酸エステルが挙げられる。ブチラール系樹脂としては、例えば、酢酸ビニルの単独重合体(ホモポリマー)や、酢酸ビニルを主モノマー(単量体全体の50質量%以上を占める成分)として、当該主モノマーに共重合性を有する副モノマーを含む共重合体(コポリマー)が挙げられる。アクリル系樹脂としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体や、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとして、当該主モノマーに共重合性を有する副モノマーを含む共重合体が挙げられる。なお、本明細書中において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートを意味する用語である。
有機溶剤としては、有機重合体が可溶であり、かつ導電性酸化物粉末を好適に分散可能なものが好ましい。有機溶剤としては特に限定されず、従来知られているものの中から、用途等に応じて1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。有機溶剤は、後述するような親水性基を有する親水性であってもよく、親水性基を有しない疎水性であってもよい。成膜時の作業性や保存安定性等の観点からは、沸点が概ね200℃以上、例えば200〜300℃の高沸点有機溶剤を主成分とするとよい。高沸点有機溶剤の具体例としては、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、炭化水素系溶剤、ミネラルスピリット等が挙げられる。
好適な一態様において、ベヒクルは、有機重合体および有機溶剤のうちの少なくとも1つとして、親水性基を有する親水性化合物を含んでいる。例えば、有機バインダの少なくとも1種が、親水性基を有する構成単位(繰り返し単位)を含んでいてもよい。ベヒクルに親水性化合物(例えば有機重合体、典型的には有機バインダ)を含む場合、ここに開示される技術の効果をより高いレベルで発揮することができる。この理由は定かではないが、一因として、導電性酸化物粉末と、ベヒクル中の親水性化合物との相互作用が考えられる。つまり、化学吸着水を多く含んだ(例えば化学吸着水の含有量が9.5×10−4g/mを超える)導電性酸化物粉末は、親水性化合物と相互作用して、分子間ネットワークを形成し得る。この分子間ネットワークが導電性ペースト中で長くなったり絡まったりすると、導電性ペーストの粘度が高まることが考えられる。これに対して、ここに開示される化学吸着水の低減された(化学吸着水の含有量が9.5×10−4g/m以下に抑えられた)導電性酸化物粉末は、親水性化合物との相互作用が低減されている。そのため、ここに開示される導電性酸化物粉末を含む導電性ペーストでは、導電性酸化物粉末と親水性化合物との上記相互作用が緩和されて、分子間ネットワークの絡まりが低減されたり、短く切断されたりして、導電性ペーストの粘度が好適に抑えられることが考えられる。
親水性基は、アニオン性、カチオン性、両イオン性等の、分子内にイオン性基を有するイオン性であってもよいし、分子内にイオン性基を有しない非イオン性であってもよい。アニオン性の親水性基としては、例えば、カルボキシル基(−C(=O)O)やスルホン基(−SO )等が挙げられる。カチオン性の親水性基としては、例えば、アミノ(塩)基、第4級アンモニウム塩基等が挙げられる。非イオン性の親水性基としては、水酸基(−OH)、カルボニル基(−C=O)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、カルバモイル基(−C(=O)NH)等が挙げられる。
親水性化合物の一例としては、例えば、有機バインダとして例示したセルロース系樹脂、ブチラール系樹脂、アクリル系樹脂等や、有機溶剤として例示したアルコール系溶剤、エステル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤等が挙げられる。
導電性ペーストは、上記した2成分、すなわち、導電性酸化物粉末とベヒクルとから構成されていてもよく、上記3成分に加えてその他の任意成分を含んでいてもよい。その他の任意成分としては、導電層の形成において一般的に使用されている各種の添加剤を考慮することができる。具体例としては、焼結助剤、無機フィラー等の無機添加剤や、可塑剤、消泡剤、酸化防止剤、防腐剤、帯電防止剤、pH調整剤、着色剤(顔料、染料等)等の有機添加剤が挙げられる。
導電性ペーストは、例えば、以下の性状:(a)粘度の上昇が抑制され、導電性酸化物粉末の流動性が維持されている;(b)室温付近の温度域で基材上に密着可能な程度のタック性(基材に対する粘着力)を有する;(c)焼成した後で基材上に固着する;(d)上記(c)の固着物(導電層)が導電性を有する;を具備するように、構成成分の種類や配合比を調整するとよい。
好適な一態様では、25℃の環境下において、導電性ペーストの粘度(回転粘度計を用いて回転速度10rpmで測定される値。以下同じ。)が、概ね10Pa・s以上、典型的には20Pa・s以上、例えば50Pa・s以上であって、概ね200Pa・s以下、好ましくは150Pa・s以下、より好ましくは100Pa・s以下であるとよい。粘度を所定値以上とすることで、成膜時の作業性を向上することができる。粘度を所定値以下とすることで、導電性ペーストの流動性を良好に維持して、導電性ペーストの保存安定性、取扱性および成膜時の作業性のうちの少なくとも1つを向上することができる。
導電性ペーストの全量を100質量%としたときに、導電性酸化物粉末が占める割合は、例えば導電性酸化物粉末の性状(例えば平均粒径)等によっても異なり得る。そのため、特に限定されるものではないが、概ね50質量%以上、典型的には60質量%以上、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、例えば73質量%以上であって、概ね98質量%以下、典型的には95質量%以下、好ましくは90質量%以下、例えば85質量%以下であるとよい。導電性酸化物粉末の含有割合を所定値以上とすることで、導電層の密度を高めることができる。これにより、基材との接合強度を向上することができる。また、導電層の電気伝導性を向上することができる。導電性酸化物粉末の含有割合を所定値以下とすることで、導電性ペーストの流動性をより良く高めて、成膜体のパッキング性(充填性)を向上することができる。また、導電性ペーストの保存安定性を向上することができる。さらには、成膜時の作業性を向上することができる。
<導電性ペーストの利用>
ここに開示される導電性ペーストは、基材上に導電部(例えば、電極や集電部、あるいは導通部等)を形成する用途で好適に用いることができる。基材としては、焼成後にその形状を維持可能な程度の耐熱性を有するものが好ましい。言い換えれば、基材の材質は、融点が焼成温度よりも高いとよい。一具体例としては、アルミナ、ムライト、ステアタイト、フォルステライト、チタニア、イットリア、クロミア、ジルコニア、部分安定化ジルコニア等のセラミック材料や、ステンレス鋼、アルミニウム、クロム、鉄、ニッケル、銅、銀、マンガン等の金属材料が挙げられる。基材は、上記材料の複合体や合金等であってもよい。
ここに開示される導電性ペーストはまた、同種部材間または異種部材間の電気的・物理的な接合、例えばセラミック部材と金属部材との接合、セラミック部材間の接合、金属部材間の接合等にも好適に用いることができる。セラミック部材の一具体例としては、例えば、SOFCの単セルを構成するアノードやカソード等が挙げられる。金属部材の一具体例としては、例えば、SOFCの構造体に付設されるガス管やインターコネクタ等が挙げられる。
ここに開示される導電性ペーストの一使用例として、SOFCの単セルの製造、および、SOFCの単セルが複数個電気的に接続されてなるSOFCの構造体(例えば、スタックやバンドル、モジュール等)の製造が挙げられる。
SOFCの単セルの製造方法は、例えば、ここに開示される導電性ペーストを用意すること、上記導電性ペーストを基材上(例えばカソード上)に付与して焼成することにより、上記基材上に導電部を形成すること、を包含する。他の一例では、ここに開示される導電性ペーストを用意すること、上記導電性ペーストを成形して焼成することにより、電極(例えばカソード)を形成すること、を包含する。なお、導電性ペーストの用意(例えば調整方法)や、付与方法、焼成方法等については従来と同様のプロセスを採用すればよく、特別な工夫は要しない。
また、SOFCの構造体の製造方法は、例えば、ここに開示される導電性ペーストを用意すること、上記導電性ペーストを第1の単セル上に付与して、その上から第2の単セルを直接的あるいは間接的に積層して焼成することにより、上記第1の単セルと上記第2の単セルとの間に導電部を形成すること、を包含する。なお、導電性ペーストの用意(例えば調整方法)や、付与方法、焼成方法等については従来と同様のプロセスを採用すればよく、特別な工夫は要しない。また、かかる製造方法では、例えば、第1の単セルと第2の単セルとの間にインターコネクタを介在させて、第1の単セルとインターコネクタとの間、および、インターコネクタと第2の単セルとの間に、それぞれ導電部を形成することもできる。
図1は、SOFCシステム30を模式的に示す分解斜視図である。以下、図1を参照しながら説明する。以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さなど)は必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。SOFCシステム30は、従来公知の製造方法に準じて製造することができる。
SOFCシステム30は、複数のSOFCの単セル10A、10Bと、複数のインターコネクタ20、20Aとを備えている。SOFCシステム30は、単セル10A、10Bが金属製のインターコネクタ20、20Aを介して積み重ねられたスタック構造を有する。単セル10A、10Bは、それぞれ、層状の固体電解質14が層状の燃料極(アノード)12と層状の空気極(カソード)16とで挟まれたサンドイッチ構造を有する。固体電解質14は、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)やガドリニアドープセリア(GDC:Gadolinia doped ceria)等の酸化物イオン伝導体である。燃料極12は、例えば、ニッケル(Ni)や、ニッケルとYSZとのサーメットである。空気極16は、例えば、ランタンコバルトネート(LaCoO)系やランタンマンガネート(LaMnO)系のペロブスカイト型酸化物である。単セル10A、10Bでは、燃料極12が固体電解質14や空気極16に比べて厚めに形成されている。単セル10A、10Bは、燃料極12が支持体としての機能を有する、所謂、燃料極支持型(ASC:Anode-Supported Cell)のセルである。
図面中央に配されるインターコネクタ20Aは、積層方向において2つの単セル10A、10Bで挟まれており、一方の対向面22が単セル10Aの空気極16と対向し、他方の対向面26が単セル10Bの燃料極12と対向している。インターコネクタ20Aの対向面22、26と、それぞれ対応する単セル10A、10Bの燃料極12あるいは空気極16の対向面との間には、ここに開示される導電性ペーストの焼成体が配置され、導通部(図示せず)が形成されている。対向面22には複数の溝が形成されており、供給された酸素含有ガス(典型的には空気)が流れる酸素含有ガス流路24を構成している。また、対向面26にも複数の溝が形成されており、供給された燃料ガス(典型的にはHガス)が流れるための燃料ガス流路28を構成している。
SOFCシステム30の稼働時には、燃料ガス流路28に燃料ガス(ここでは水素(H)ガス)が、酸素含有ガス流路24に酸素(O)含有ガス(ここでは空気(Air))が、それぞれ供給される。SOFCシステム30では、空気極16において酸素が還元され、酸化物イオンとなる。該酸化物イオンが固体電解質14を介して燃料極12に到達し、燃料ガスを酸化して電子を放出する。これにより電気エネルギーが発生する。
なお、図1に示すSOFCの単セル10A、10Bは平型(Planar)であるが、これには限定されず、他にも種々の形状とすることができる。また、SOFCのサイズも特に限定されない。例えば、従来公知の多角形型、円筒型(Tubular)、あるいは円筒の周側面を垂直に押し潰した扁平円筒型(Flat Tubular)等を採用することができる。また、平型のSOFCとしては、ここで開示される燃料極支持型(ASC)の他にも、例えば固体電解質を厚くした電解質支持型(ESC:Electrolyte-Supported Cell)や、空気極を厚くした空気極支持型(CSC:Cathode-Supported Cell)等を採用することができる。その他、燃料極の下側(固体電解質から離れる側)に多孔質な金属シートを入れた、メタルサポートセル(MSC:Metal-Supported Cell)とすることもできる。
また、ここに開示される導電性ペーストは、SOFCの構築のみならず、例えば、太陽電池等の各種発電システム、ゴミ焼却装置、排ガス除去装置等の環境装置、車両用の排ガス処理装置、エンジン燃焼試験装置、真空系乾燥装置、半導体装置等の構築等にも好適に用いることができる。
以下、本発明に関する幾つかの試験例を説明するが、本発明をかかる試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
本試験例では、化学吸着水および物理吸着水の異なる導電性酸化物粉末をいくつか作製し、それを用いた導電性ペーストを調製して、印刷性や接合強度を評価した。
具体的には、まず、導電性酸化物粉末として、ランタンストロンチウムコバルト酸化物(LSC)を用意した。
次に、用意した導電性酸化物粉末の比表面積を下記条件で測定した。
・測定装置:自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル株式会社製)
・測定方法:定容量式吸着法
・吸着ガス:窒素
・解析方法:BET1点法
その結果、ランタンストロンチウムコバルト酸化物の比表面積は3.09m/gであった。
次に、上記用意した導電性酸化物粉末を、設定温度が、100℃(比較例3)、120℃(比較例1)、150℃(比較例2)、200℃(例1)、300℃(例2)と異なるオーブンにそれぞれ18時間投入することで、化学吸着水の含有量を調整した。これにより、第1処理済みの導電性酸化物粉末を得た。
次に、第1処理済みの導電性酸化物粉末をオーブンから取り出し、設定湿度が、10〜80%と異なる恒温恒湿槽(設定温度:25℃)に、それぞれ6時間投入することで、物理吸着水の含有量を調整した。これにより、第2処理済みの導電性酸化物粉末を得た。
次に、第2処理済みの導電性酸化物粉末を恒温恒湿槽から取り出し、下記条件で水分(物理吸着水および化学吸着水)の含有量を測定した。
・検出装置:カールフィッシャー水分測定装置(株式会社 三菱化学アナリテック製)
・物理吸着水の測定:まず、上記装置を無水化処理した後、導電性酸化物粉末を装置内に投入した。次に、35℃、100℃、150℃の各温度まで昇温して、それぞれ水分の捕集と滴定を実施した。滴定は、各温度において、電解速度が滴定開始前の電解速度(バックグラウンド値)+0.2μg/secになるまで検出を続けることとした。そして、35℃、100℃、150℃の加熱温度にて得られた水分量を合算して、物理吸着水の含有量(g)を得た。
・化学吸着水の測定:上記物理吸着水の測定に続いて、200℃、250℃、300℃の各温度まで昇温して、上記物理吸着水の測定と同様に、それぞれ水分の捕集と滴定を実施した。そして、200℃、250℃、300℃の加熱温度にて得られた水分量を合算して、化学吸着水の含有量(g)を得た。
そして、得られた水分量の値(g)を、投入した導電性酸化物粉末のTotalの比表面積(m)で除して、単位表面積当りの水分(物理吸着水および化学吸着水)の含有量(g/m)を算出した。結果を表1に示す。
表1に示すように、恒温恒湿槽の設定湿度が高くなるほど物理吸着水の含有量は増加した。
また、図2は、オーブンの設定温度と化学吸着水の含有量との関係を示すグラフである。表1および図2に示すように、オーブンの設定温度が高くなるほど、化学吸着水の含有量は低下した。このことから、オーブンの設定温度や時間によって化学吸着水の含有量を調整できることがわかった。また、オーブンの設定温度を、例えば200℃以上、特には300℃以上とすることで、効率よく化学吸着水を低減することができるとわかった。
次に、上記水分含有量の異なる導電性酸化物粉末を用いて、導電性ペーストを調製した。
具体的には、まず、樹脂バインダとしてのエチルセルロース(EC)と、有機溶剤としてのメンタノールおよび2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール−1−モノイソブチレート(日香NG−120、日本香料薬品株式会社製)の混合溶剤とを、樹脂バインダ:有機溶剤=13:87の割合(質量比)で調合して、ベヒクルを調製した。次に、各例について、上記水分含有量の異なる導電性酸化物粉末とベヒクルとを73:27の割合(質量比)で混合し、3本ロールミルで混練した。これにより、導電性ペースト(比較例1〜3、例1,2)を得た。
また、導電性酸化物粉末として、表1に示す比表面積と水分量とを有するランタンストロンチウムコバルト酸化物(LSC)を用いたこと以外は例2と同様にして、導電性ペースト(例3)を得た。
また、導電性酸化物粉末として、表1に示す比表面積と水分量とを有するランタンニッケルフェライト酸化物(LNF)を用いたこと以外は例3と同様にして、導電性ペースト(例4)を得た。
次に、上記得られた導電性ペースト(比較例1〜3、例1〜4)を用いて、基材上に導電層を形成し、印刷性と基材に対する導電層の接合性とを評価した。以下に、各評価の詳細を示す。
(1)導電性ペーストの粘度
上記得られた導電性ペーストの粘度を、回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計)で測定した。具体的には、25℃の環境下において、導電性ペースト中で回転子を10rpmの回転速度で回転させたときの粘度(Pa・s)を測定した。結果を表1に示す。
(2)導電性ペーストの印刷性
まず、平板型のSOFCの単セル(□10cm×10cm)を準備した。この単セルのカソードの表面に、スクリーン印刷法で導電性ペーストを付与した。具体的には、スクリーン製版のスクリーン紗上に導電性ペーストを供給して、スクリーン紗の表面にスキージを当接させながらスキージを移動させたときに、スキージの移動に追随した版離れが可能か否かを確認した。結果を表1に示す。表1において、「○」は、版離れが良好で、問題なく印刷性が行えたことを示している。「×」は、版離れが悪く、一様な印刷が困難であったことを示している。
(3)導電層の接合性(剥離強度)
図3は、剥離強度の測定方法を説明するための模式的な断面図である。
まず、基材の一例として、2枚の金属板31、32を用意した。第1の金属板31は、□10mm×10mmの平面正方形状であり、第2の金属板32は、Φ5mmの平面円形状である。2枚の金属板31、32は、それぞれ、SOFCインターコネクタ用フェライト系合金Crofer(商標) 22 APU(マグネクス株式会社製)31b、32bの表面に、MCF(Mn−Co−Feスピネル)コート31a、32aを施してある。次に、第1の金属板31のMCFコートを施してある側の表面に、スクリーン印刷法で導電性ペーストを付与し、□9mm×9mmの成膜体を形成した。次に、上記形成した成膜体の上に、MCFコートを施してある側の表面が対向するように、第2の金属板32を配置した。このようにして、2枚の金属板31、32の間に成膜体が挟まれた構造の複合体を得た。この複合体を120℃の乾燥オーブンで30分間乾燥させた後、850℃の焼成炉で2時間焼成した。これにより、2枚の金属板31、32の間に導電層40(成膜体の焼成体)が介在している接合性評価用のサンプルを得た。
次に、このサンプルの第1の金属板31を作業台に固定した。次に、プッシュプルゲージ(フォースゲージ)33を用いて、第2の金属板32の側方から、垂直方向(図3の矢印の方向)に力を加えた。そして、導電層40から第2の金属板32が剥離したときのフォース(N)を測定した。結果を表1に示す。なお、剥離強度は、値が大きいほど接合性に優れることを表している。
Figure 0006814055
物理吸着水の単位表面積当りの含有量が、3.7×10−4g/m以上であり、かつ、化学吸着水の単位表面積当りの含有量が、9.5×10−4g/m以下であるという条件を具備する導電性酸化物粉末を使用した例1〜4の導電性ペーストは、上記条件を具備しない導電性酸化物粉末を使用した比較例1〜3の導電性ペーストに比べて、粘度の上昇が抑えられ、印刷性に優れていた。また、例1〜4の導電性ペーストを用いてなる導電層は、比較例1〜3の導電性ペーストを用いてなる導電層に比べて剥離強度の値が相対的に大きく、導電層と金属板との接合性が良好であった。
かかる結果は、ここに開示される技術の技術的意義を示すものである。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10A、10B SOFCの単セル
12 燃料極(アノード)
14 固体電解質層
16 空気極(カソード)
20、20A インターコネクタ
30 SOFCシステム

Claims (9)

  1. 水分を含む導電性酸化物粉末であって、
    前記導電性酸化物粉末は、ペロブスカイト型の酸化物の粉末であり、
    前記水分は、カールフィッシャー法によって、室温から150℃までの加熱温度で検出される物理吸着水と、150℃を超え300℃までの加熱温度で検出される化学吸着水と、を含み、
    単位表面積当りの前記物理吸着水の含有量は、3.7×10−4g/m以上であり、
    単位表面積当りの前記化学吸着水の含有量は、9.5×10−4g/m以下である、導電性酸化物粉末。
  2. 固体酸化物形燃料電池の作製に用いられ、水分を含む導電性酸化物粉末であって、
    前記水分は、カールフィッシャー法によって、室温から150℃までの加熱温度で検出される物理吸着水と、150℃を超え300℃までの加熱温度で検出される化学吸着水と、を含み、
    単位表面積当りの前記物理吸着水の含有量は、3.7×10−4g/m以上であり、
    単位表面積当りの前記化学吸着水の含有量は、9.5×10−4g/m以下である、導電性酸化物粉末。
  3. 水分を含む導電性酸化物粉末と、ベヒクルと、を含む導電性ペーストであって、
    前記水分は、カールフィッシャー法によって、室温から150℃までの加熱温度で検出される物理吸着水と、150℃を超え300℃までの加熱温度で検出される化学吸着水と、を含み、
    単位表面積当りの前記物理吸着水の含有量は、3.7×10−4g/m以上であり、
    単位表面積当りの前記化学吸着水の含有量は、9.5×10−4g/m以下であり、
    前記導電性ペーストの全体を100質量%としたときに、前記導電性酸化物粉末の含有割合が、65質量%以上90質量%以下である、導電性ペースト
  4. 水分を含む導電性酸化物粉末と、ベヒクルと、を含む導電性ペーストであって、
    前記水分は、カールフィッシャー法によって、室温から150℃までの加熱温度で検出される物理吸着水と、150℃を超え300℃までの加熱温度で検出される化学吸着水と、を含み、
    単位表面積当りの前記物理吸着水の含有量は、3.7×10−4g/m以上であり、
    単位表面積当りの前記化学吸着水の含有量は、9.5×10−4g/m以下であり、
    25℃の環境下において、回転粘度計を用いて回転速度10rpmで測定される粘度が、100Pa・s以下である、導電性ペースト
  5. 請求項1または2に記載の導電性酸化物粉末と、ベヒクルと、を含む、導電性ペースト。
  6. 前記導電性ペーストの全体を100質量%としたときに、前記導電性酸化物粉末の含有割合が、65質量%以上90質量%以下である、請求項に記載の導電性ペースト。
  7. 25℃の環境下において、回転粘度計を用いて回転速度10rpmで測定される粘度が、100Pa・s以下である、請求項またはに記載の導電性ペースト。
  8. 固体酸化物形燃料電池の単セルの製造方法であって、
    請求項のいずれか1項に記載の導電性ペーストを用意すること、
    前記導電性ペーストを用いて、電極および集電部のうちの少なくとも1つを形成すること、
    を包含する、固体酸化物形燃料電池の単セルの製造方法。
  9. 固体酸化物形燃料電池の単セルを複数備える構造体の製造方法であって、
    請求項のいずれか1項に記載の導電性ペーストを用意すること、
    第1の単セル上に前記導電性ペーストを付与して、その上から第2の単セルを積層して焼成することにより、前記第1の単セルと前記第2の単セルとの間に導電部を形成すること、
    を包含する、固体酸化物形燃料電池の構造体の製造方法。
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