JP6813848B2 - 成分濃度測定装置及び方法 - Google Patents

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本発明は、成分濃度測定装置及び方法に関し、特に非侵襲な生体内成分濃度の測定技術に関する。
高齢化が進み、成人病に対する対応が大きな課題になりつつある。血糖値などの検査は血液の採取が必要なために患者にとって大きな負担である。そのため、血液を採取しない非侵襲な成分濃度測定装置が注目されている。
非侵襲な成分濃度測定装置として、例えば、光音響法を用いた成分濃度測定装置や、誘電分光法を用いた成分濃度測定装置が提案されている。光音響法は、皮膚内に電磁波を照射し、測定対象とする血液成分、例えば、グルコース分子に電磁波を吸収させ、グルコース分子からの熱の放射によって局所的に熱膨張を起こし、熱膨張によって生体内から発生した音波を観測する(例えば、非特許文献1参照。)。
図5は、従来の透過型分光法を用いた成分濃度測定装置100の構成例を示す図である。従来の成分濃度測定装置100は、光信号発生装置101と、光信号出射装置102と、受光素子103と、光信号計測装置104と、信号処理装置105と、濃度演算装置106と、データベース107とから構成される。
従来の成分濃度測定装置100では、光信号出射装置102から、光信号が人体に出射され、対向した受光素子103により透過光量が計測される。受光素子103で受光された光信号は、光信号計測装置104で増幅およびフィルタリングされ、信号処理装置105により時系列処理が施されて電気信号に変換される。次に、濃度演算装置106はデータベース107に基づき、光信号を濃度に変換する。例えば、このデータベース107は、分光スペクトルに基づき、作成された検量データベースである。
しかし、グルコースと光等の電磁波の相互作用は小さく、また生体に安全に照射しうる電磁波の強度には制限があり、従来の成分濃度測定装置100ではグルコース濃度についての十分な精度を得ることが困難であった。
そこで、生体グルコース濃度等の測定値における精度を向上させるために、図6に示す従来の光音響法を用いた成分濃度測定装置200では、連続的に強度変調した光源が用いられる(例えば、特許文献1参照。)。成分濃度測定装置200は、背景成分および対象成分が混合されてなる溶液における対象成分の濃度を測定する。
成分濃度測定装置200は、発振器201と、駆動回路203a、203bと、遅延調整器202と、第1光源204aと、第2光源204bと、光合波器205と、音波検出器206と、波形観測器207と、記録器208とから構成される。成分濃度測定装置200では、2つの光源を用いており、第1光源204aは、波長λ1の測定光を発生し、第2光源204bは、波長λ2の参照光を発生する。
発振器201は、第1光源204aおよび第2光源204bから出力される光を強度変調するための変調信号を出力する。遅延調整器202は、発振器201からの変調信号のうち一方を反転して出力する。駆動回路203aは第1光源204aを駆動する。駆動回路203bは、遅延調整器202で反転された変調信号を基に第2光源204bを駆動する。
第1光源204aは、駆動回路203aからの信号により波長λ1の測定光を強度変調して出力する。第2光源204bは、駆動回路203bからの信号により波長λ2の参照光を強度変調して出力する。これにより、光合波器205は、測定光と参照光を合波し、異なる2波長λ1およびλ2光のそれぞれを、同一周波数で逆位相の信号により電気的に強度変調して出力する。
ここで、図7および図8に示す分光スペクトルに基づき従来の成分濃度測定装置200における波長λ1、λ2の選択について説明する。2つの波長λ1および波長λ2は、対象成分の呈する吸収の差が、背景成分の呈する吸収の差よりも大きい波長である。また、波長λ1は、対象成分が特徴的な吸収を呈する波長に設定する。波長λ1および波長λ2は、対象成分の呈する吸収の差がそれ以外の成分の呈する吸収の差よりも大きい2波長であってもよい。これにより、水や測定対象の生体内成分以外の成分による吸収の影響を少なくして測定装置の測定精度をよくすることができる。
従来の成分濃度測定装置200では、2つの波長λ1および波長λ2の各々を電気的に強度変調する変調周波数を、生体等の被測定物で発生する音波の検出に関わる共鳴周波数と同一の周波数で変調することにより、音波の測定値における吸収係数に関わる非線形性に配慮して選択された2波長の光に対する音波を測定する。そして、2波長差分の音波から一方の波長の音波を規格化することで、一定に保ちがたい多数のパラメータの影響を排除して、より高精度に生体等の被測定物内に発生する音波を検出することができる。
2つの波長λ1および波長λ2の光により生体等の被測定物の内部で発生した光音響信号は、それぞれ音波検出器206により検出され、音圧に比例した電気信号に変換される。変換された光音響信号(電気信号)は、波形観測器207によって観測される。2波長に対応する光音響信号の強度の差は、血液中に含まれるグルコースの量に対応した電気信号として測定される。記録器208は、生体等の被測定物を構成する背景成分と測定対象の生体内成分それぞれの吸収度スペクトルを検量モデルとして記憶し、測定された光音響信号の振幅および位相から生体内成分濃度を算出する。
また、従来の成分濃度測定装置200における2つの選択波長では、図9に示すように、例えば、一方の波長については、水の吸光度スペクトルにおける温度依存係数が正の傾向を示す波長を選択し、他方の波長については負の傾向を示す波長を選択する。図9に示すように、吸光度変化の影響が大きい場合、温度変化による吸光度変化Δαwに対して、温度を直接計測して既知の吸光度スペクトルから求める、若しくは、光の吸収量変化から温度変化ΔTを推定して既知の吸光度スペクトルからΔαwを求める。この場合、Δα=Mαg+Δαwと記述できる。したがって、モル濃度M=(Δα−Δαw)/αgを演算し求めることができる。なお、αは吸光度、αwは水の吸光度、αgはグルコースのモル濃度あたりの吸光度である。
このように、従来の成分濃度測定装置200では、光音響信号変化と生体内成分濃度との相関を予め測定することによって検量モデルをデータベース(図示しない)として構築し、計測した光音響信号の変化から生体内成分濃度の検量を行っていた。
また、図10に、別の従来の非侵襲な成分濃度測定装置である、誘電分光法を用いた成分濃度測定装置300の構成例を示す。成分濃度測定装置300は、同軸プローブ301と、高周波信号計測装置302と、信号処理装置303と、濃度演算装置304と、データベース305とから構成される。
従来の誘電分光法による成分濃度測定装置300は、同軸プローブ301を介して電磁波を皮膚内に照射し、測定対象の血液成分、例えば、グルコース分子と水の相互作用に従い、電磁波を吸収させ、同軸プローブ301を介して計測される電磁波の周波数に対する振幅および位相を観測する(例えば、非特許文献2参照。)。
観測される電磁波の周波数に対する振幅および位相から、信号処理装置303で誘電緩和スペクトルが算定される。図11Aおよび図11Bに示すように、グルコース分子と水の相互作用から、複素誘電率スペクトル変化が生じる。一般的には、各分極の相互作用による寄与をCole−Cole式に基づき緩和カーブの線形結合として表現し、複素誘電率を算定する。
次に、濃度演算装置304は、データベース305に基づき、誘電率を濃度に変換する。例えば、このデータベース305は、誘電分光スペクトルに基づき、作成された検量データベースである。
血液成分の定量では、例えば、複素誘電率は血液中に含まれるグルコースやコレステロール等の血液成分の量に相関があるため、生体内成分濃度は、複素誘電率の変化に対応した電気信号(振幅、位相)として測定される。したがって、従来の成分濃度測定装置300では、複素誘電率変化と生体内成分濃度との相関を予め測定することによって検量モデルを構築し、計測した誘電緩和スペクトルの変化から生体内成分濃度の検量を行っていた。
このように、従来の透過型分光法を用いた成分濃度測定装置100、光音響法を用いた成分濃度測定装置200、および誘電分光法を用いた成分濃度測定装置300では、一つのセンサから得られたスペクトル等の周波数軸のデータに対して多変量解析を行うことで検量モデルを構築し、その検量モデルに基づいて生体内成分濃度を求めていた。
しかし、実際の非侵襲的な生体グルコース濃度等の生体内成分の測定では、個人差のみならず、様々な要因が影響を与える。生体グルコース濃度の測定に影響を与える要因としては、例えば、測定環境(温湿度、屋内であるか、または屋外であるか)、精神状態が発汗に与える影響、発汗(電解質)、皮膚上塗布物の電気的特性、測定時の接触圧との相関、皮膚部位間のバラツキ、皮膚の粗さや堅さ、皮膚下の骨の有無がセンサ接触面積に与える影響、滲出液の有無、センサの皮膚内到達深度、感度等の特性、季節的な身体変化等が挙げられる。
したがって、従来における、一つのセンサから得られる一つのスペクトルデータの多変量解析で構築された検量モデルに基づく生体内成分濃度の測定では、測定環境等の影響が十分に反映されないことがあり、生体内成分濃度の定量精度が十分でないことがあった。
特開2007−89662号公報
本発明は、様々な状況下で生体内成分濃度の定量精度を向上させることができる成分濃度測定装置及び方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明に係る成分濃度測定装置において、センサ群から生体情報を取得するセンサ出力取得回路と、前記生体情報と生体内成分の実測値とに基づいて回帰係数ベクトルを算出して前記生体内成分の検量モデルとする検量モデル生成回路と、前記検量モデルを記憶する記憶回路と、前記記憶回路が記憶した前記検量モデルに基づいて前記生体内成分の値を推定する推定回路と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る成分濃度測定装置において、前記検量モデル生成回路は、PLS回帰分析により、前記生体内成分の実測値を目的変数とし、潜在的な因子を説明変数とする回帰係数ベクトルと、前記生体情報から、前記潜在的な因子を求める重みベクトルとを求め
また、本発明に係る成分濃度測定装置において、前記生体内成分の実測値は、複数の互いに異なる値を含む
また、本発明に係る成分濃度測定装置において、前記センサ群の各センサは、互いに異なる生体情報を検出してもよい。
また、本発明に係る成分濃度測定装置において、前記生体内成分は、生体グルコースであってもよい。
また、本発明に係る成分濃度測定装置において、前記センサ群は、光音響センサを含んでいてもよい。
また、本発明に係る成分濃度測定装置において、前記センサ群は、誘電分光センサを含んでいてもよい。
また、本発明に係る成分濃度測定方法は、センサ群から生体情報を取得するセンサ出力取得ステップと、前記生体情報と生体内成分の実測値とに基づいて回帰係数ベクトルを算出して前記生体内成分の検量モデルとする検量モデル生成ステップと、前記検量モデルを記憶部に記憶する記憶ステップと、前記記憶部に記憶した前記検量モデルに基づいて前記生体内成分の値を推定する推定ステップと、を備え、前記検量モデル生成ステップは、PLS回帰分析により、複数の互いに異なる値を含む前記生体内成分の実測値を目的変数とし、潜在的な因子を説明変数とする回帰係数ベクトルと、前記生体情報から、前記潜在的な因子を求める重みベクトルとを求めることを特徴とする。
本発明によれば、センサ群から取得される生体情報に基づいて回帰係数ベクトルを算出して検量モデルを生成し、その検量モデルに基づいて生体内成分濃度を推定するため、様々な状況下で生体内成分濃度の定量精度を向上させることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る成分濃度測定装置の構成例を示すブロック図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る成分濃度測定装置の動作を説明するフローチャートである。 図3は、本発明の実施の形態に係る成分濃度測定装置による生体グルコース濃度の推定を説明する模式図である。 図4は、本発明の実施の形態に係る成分濃度測定装置を実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。 図5は、従来の透過型分光法による成分濃度測定装置の構成例を示すブロック図である。 図6は、従来の光音響法による成分濃度測定装置の構成例を示すブロック図である。 図7は、分光スペクトルを示す図である。 図8は、分光スペクトルを示す図である。 図9は、グルコース水溶液の吸光度温度依存性を示す図である。 図10は、従来の誘電分光法による成分濃度測定装置の構成例を示すブロック図である。 図11Aは、グルコース水溶液の誘電緩和スペクトルを示す図である。 図11Bは、グルコース水溶液の誘電緩和スペクトルを示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図1から図4を参照して詳細に説明する。また、以下の実施の形態では、本発明に係る成分濃度測定装置により、生体グルコース濃度を測定する場合について説明する。また、各図について共通する構成要素には、同一の符号が付されている。
<実施の形態>
本発明の実施の形態に係る成分濃度測定装置1は、異なる複数のセンサを含むセンサ群2からそれぞれ異なる生体情報を取得して、それらの生体情報と、生体グルコース濃度の実測値とから回帰係数ベクトルを算出して生体グルコース濃度の検量モデルとする検量モデル生成部32と、生成された検量モデルを記憶する検量モデルDB5と、検量モデルに基づいてセンサ群2から得られる生体情報の観測値を生体グルコース濃度に変換する生体グルコース濃度推定部33と、を有する。成分濃度測定装置1は、予め生成される生体グルコース濃度の検量モデルに基づいて、生体グルコース濃度を推定する。
図1は、本発明の実施の形態に係る成分濃度測定装置1の構成例を示すブロック図である。成分濃度測定装置1は、センサ群2と、演算部3と、CGM装置4と、検量モデルDB5と、を備える。
センサ群2は、それぞれ異なる生体情報を検出する複数のセンサにより構成される。センサ群2には、光音響センサ21、誘電分光センサ22、体温計23、血流計24等が含まれる。各センサは、それぞれ検出した生体情報の信号を信号処理部31に出力する。
光音響センサ21は、生体グルコースが光を吸収することにより生ずる光音響信号を検出し、信号処理部31に出力する。誘電分光センサ22は、生体グルコースを透過した電磁波の透過又は生体グルコースを反射した電磁波を検出し、透過又は反射信号を信号処理部31に出力する。体温計23は、被験者の体温を検出し、検出された体温を示す信号を信号処理部31に出力する。また、血流計24は、被験者の皮膚等の部位における組織血流量や血流速度を検出し、検出された信号を信号処理部31に出力する。
センサ群2を構成するセンサは上記に限られず、加速度計、体姿勢計、血圧計、心電計、インピーダンス計、音速計等を用いてそれぞれ異なる生体情報を検出する構成を採用してもよい。
演算部3は、信号処理部31と、検量モデル生成部32と、生体グルコース濃度推定部33とを備える。演算部3は、成分濃度測定装置1における検量モデルの生成や、生体グルコース濃度の推定に関する各処理の実行および制御を行う。
信号処理部31は、センサ群2の各センサにより検出された生体情報に関する信号を取得し、増幅、サンプリング、フィルタリング等の処理を行い、信号を検量モデル生成部32や生体グルコース濃度推定部33に出力する。
検量モデル生成部32は、信号処理部31によって処理されたセンサ群2からの生体情報に関する信号と、CGM装置4からの生体グルコース濃度の実測値とに基づいて、後述する多変量解析を行って生体グルコース濃度の検量モデルを生成する。
生体グルコース濃度推定部33は、信号処理部31によって処理されたセンサ群2からの生体情報に関する信号と、検量モデル生成部32により生成された検量モデルとに基づいて生体グルコース濃度を推定し、出力する。
持続血糖測定(CGM:Continuous Glucose Monitoring)装置4は、被験者の生体グルコース濃度を5分毎、2時間以上連続して実測することができる装置である。CGM装置4は、実測した生体グルコース濃度のデータを検量モデル生成部32に出力する。
検量モデルDB5は、検量モデル生成部32により生成される検量モデルを記憶する。検量モデルDB5は、検量モデルをベクトル情報として記憶することができるが、ルックアップテーブル等の参照表や、関数として検量モデルを記憶することで、生体グルコース濃度推定部33による演算負荷を低減することができる。
図2は、本実施の形態に係る成分濃度測定装置1の動作を説明するフローチャートである。まず、検量モデル生成部32は、生体グルコース濃度の検量モデルを生成するために、CGM装置4から生体グルコース濃度の実測値を取得する(ステップS1)。
より具体的には、検量モデル生成部32は、CGM装置4が5分毎に食事前後2時間の期間にわたって生体グルコース濃度を実測した値をCGM装置4から取得する。また、CGM装置4により実測される生体グルコース濃度の値はそれぞれ異なる値であることが望ましい。異なる値からなる生体グルコース濃度の実測値を用いることにより、推定精度のより高い検量モデルが生成される。
次に、検量モデル生成部32は、CGM装置4によって食事前後2時間にわたって5分毎に測定された生体グルコース濃度の各実測値に対応するセンサ群2の出力値を信号処理部31から取得する(ステップS2)。
センサ群2の出力信号としては、光音響信号、測定厚、温度(測定物温度、外気温)を用いるが、センサ群2の出力信号はこれらに限られない。光音響信号に代えて、例えば、光音響センサ21により検出される音響信号強度、音響信号位相、誘電分光センサ22等の電気測定法により検出される電波信号強度、電波信号位相、体温計23等の熱測定法により検出される温度上昇値や、これらの組み合わせを用いてもよい。
次に、検量モデル生成部32は、ステップS1およびステップS2で取得した複数の生体グルコース濃度の実測値とそれらに対応するセンサ群2の出力値とに基づいて生体グルコース濃度の検量モデルを生成する(ステップS3)。より詳細には、検量モデル生成部32は、信号処理部31を介して得られた、センサ群2の複数の異なる生体情報を示す出力信号に対して、多変量解析を行って検量モデルを生成する。
<検量モデルの定式化>
センサ群2から得られる生体情報を示す出力信号は、CGM装置4が実測した複数の既知の生体グルコース濃度Gi(i=0、1、・・・、N)に対する説明変数として考えることができる。既知の生体グルコース濃度Giとセンサ群2によるセンサ出力Sj(j=0、1、・・・、N)との関係性は、線形回帰係数行列(回帰係数ベクトル)aijによって記述することができる。また、センサ群2によるセンサ出力が、例えば3種(i=2、j=2)の場合、以下の式(1)のように記述できる。
目的変数である生体グルコース濃度Giと、その説明変数であるセンサ群2のセンサ出力Sjとの関係性を表す線形回帰係数行列aijが、生体グルコース濃度の検量モデルとして用いられる。
より複雑なモデル化としては、主成分回帰、重回帰、Partial Least Squares(PLS)回帰、またはスパースモデリング等の多変量解析を用いることで、より高精度な生体グルコース濃度の検量モデルの構築が可能となる。
また、上記のような多変量解析を行う際に、信号処理部31は、スムーシング等の信号処理を行って、センサ出力Sjに含まれるノイズやオフセットを低減してもよい。
<PLS回帰分析による検量モデルの生成>
ここで、特に、生体グルコース濃度の測定では、実際に観測される値である、センサ群2のセンサ出力Sjのデータセットを構成する各センサの出力信号が、センサ間において相関を有することが考えられる。そのため、センサ群2のセンサ出力Sjが多数の因子として存在する一方、目的変数である生体グルコース濃度Giの値を説明するような、互いに相関が無いか低い潜在的な因子を考えると、そのような少ない数の潜在的な因子によって目的変数Giが説明可能な場合がある。
本実施の形態では、多変量解析としてPLS回帰分析を用いて式(2)に記載の検量モデル(回帰係数ベクトル)を求める場合について説明する。PLS回帰分析では、複数のセンサ出力を考慮に入れつつ情報を集約した、互いに相関が無いか低い潜在因子を抽出して用いるため、より推定精度の高い検量モデルを生成することが可能となる。
また、PLS回帰分析を用いることにより、サンプル数である既知のグルコース濃度Giの数が少なくても安定したパラメータ推定が可能であるため、必ずしも多量のセンサ数を要しない。
本実施の形態におけるPLS回帰分析では、センサ出力Sjを説明変数として直接回帰に用いるのではなく、潜在変数Pikを説明変数として用いる。この潜在変数Pikを用いて、目的変数である生体グルコース濃度Giは次の式で表すことができる。
ここで、αk(k=0、1、・・・、d)は回帰係数、Riは残差である。すなわち、生体グルコース濃度Giと潜在変数Pikとの関係は、回帰係数ベクトルα=(α0、α1、・・・、αd)によって記述することができる。また、潜在変数Pikは次のように表される。
上式(4)において、xij(j=1、・・・、m)は、潜在変数Pikの入力変数であり、m個のセンサ出力Sjに対応する。潜在変数Pikは、入力変数ベクトルx=(xi1、・・・、xim)と重みベクトルw=(wk1、・・・、wkm)との内積によって表される。wkjは、入力変数xijに対する重み行列である。重み行列wkjは、潜在変数Pikと目的変数Gi(生体グルコース濃度)との共分散が最大となるように決定される。また、重み行列wkjの各行の係数は、無相関かつ残差Riと潜在変数Pi1との共分散が最大となるように設定する。
潜在変数Pikの最適な個数dを決定するためには、例えば、クロスバリデーションを用いて検量モデルの精度を評価してもよい。
このように、センサ出力Sjとして得られる多数の説明変数から、センサ出力Sjのデータとしては観測できない潜在的な因子Pikを抽出し、目的変数である生体グルコース濃度Giの変動を説明する回帰分析を行って回帰係数αkを求める。この回帰係数αk(回帰係数ベクトル)が、生体グルコース濃度Giの検量モデルとして得られる。
また、本実施の形態では、CGM装置4により計測される生体グルコース濃度の複数の互いに異なる実測値と、各実測値に対応するセンサ群2からの出力信号のデータセットとに基づいて、PLS回帰分析による多変量解析を行うため、生体グルコース濃度についての推定精度のより高い検量モデルを生成することができる。
図2に戻り、演算部3は、ステップS3で生成された生体グルコース濃度の検量モデルを検量モデルDB5に記憶する(ステップS4)。
次に、生体グルコース濃度推定部33は、検量モデルDB5に記憶された検量モデルに基づいて、生体グルコース濃度の推定を行う。生体グルコース濃度推定部33は、信号処理部31から、センサ群2の出力値(観測値)を取得する(ステップS5)。センサ群2の出力信号としては、光音響信号、測定厚、温度(測定物温度、外気温)を用いる。
次に、生体グルコース濃度推定部33は、検量モデルDB5から生体グルコース濃度の検量モデルを読み出す。さらに、生体グルコース濃度推定部33がステップS5で取得したセンサ群2からの出力値を用いて、回帰係数ベクトルαを掛け合わせることで、生体グルコース濃度の推定値を求める(ステップS6)。
ここで、図3に成分濃度測定装置1による生体グルコース濃度の推定を説明する模式図を示す。図3に示すように、まず、検量モデル生成部32による検量モデルの生成処理(図2のステップS1〜S4)が実行され、その後に、生体グルコース濃度推定部33による生体グルコース濃度の推定処理(図2のステップS5〜S6)が実行される。
図3に示す「白丸」の点は、検量モデルの生成処理において、事前に校正されたCGM装置4によって、5分毎に食事前後の2時間にわたって実測された生体グルコース濃度の値である。また、各「白丸」の点の時刻における、センサ群2による出力値のデータセットが取得されて、上述したPLS回帰分析により検量モデルが生成される。
生体グルコース濃度の推定処理が開始されると、「黒丸」の点で示す各時刻においてセンサ群2から観測値が取得され、それぞれの観測値のデータセットに対応する生体グルコース濃度の推定値が求められる。
以上説明したように、本実施の形態に係る成分濃度測定装置1は、複数の生体グルコース濃度の実測値と、各実測値に対応するセンサ群2の出力値のデータセットとを用いて、PLS回帰分析による多変量解析を行うため、より精度の高い検量モデルが生成される。
また、多変量解析としてPLS回帰分析を用いることで、生体グルコース濃度の測定に影響を与える様々な予測不可能な要因が、説明変数に加えられるため、より精度の高い検量モデルを生成することができる。さらに、成分濃度測定装置1は、予め生成された、より精度の高い検量モデルに基づいてセンサ群2の観測値に対する生体グルコース濃度を推定するため、様々な状況下で生体グルコース濃度の定量精度を向上させることができる。
本実施の形態で説明した成分濃度測定装置1は、図4に示すように、バス10aを介して接続されるCPU3a、記憶装置5a、およびI/F11aを備えるコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPU3aは、記憶装置5aに格納されたプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。また、CPU3aは、インターネット等のネットワーク上のストレージにプログラムを格納しておき、これをダウンロードしてプログラムを実行してもよい。
以上、本発明の成分濃度測定装置における実施の形態について説明したが、本発明は説明した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に記載した発明の範囲において当業者が想定し得る各種の変形を行うことが可能である。
例えば、本実施の形態において、検量モデルDB5は、成分濃度測定装置1における所定の領域に設けられている場合について説明した。しかし、検量モデル生成部32が生成する検量モデルは、インターネット等の通信ネットワークを介して接続されたサーバ装置等に設けられた記憶部に記憶されていてもよい。この場合、生体グルコース濃度推定部33は、通信ネットワークを介して検量モデルをダウンロードして生体グルコース濃度の推定を行う。
1、1a…成分濃度測定装置、2…センサ群、21…光音響センサ、22…誘電分光センサ、23…体温計、24…血流計、3…演算部、31…信号処理部、32…検量モデル生成部、33…生体グルコース濃度推定部、4…CGM装置、5…検量モデルDB。

Claims (6)

  1. センサ群から生体情報を取得するセンサ出力取得回路と、
    前記生体情報と生体内成分の実測値とに基づいて回帰係数ベクトルを算出して前記生体内成分の検量モデルとする検量モデル生成回路と、
    前記検量モデルを記憶する記憶回路と、
    前記記憶回路が記憶した前記検量モデルに基づいて前記生体内成分の値を推定する推定回路と、
    を備え
    前記検量モデル生成回路は、PLS回帰分析により、複数の互いに異なる値を含む前記生体内成分の実測値を目的変数とし、潜在的な因子を説明変数とする回帰係数ベクトルと、前記生体情報から、前記潜在的な因子を求める重みベクトルとを求める
    ことを特徴とする成分濃度測定装置。
  2. 前記センサ群の各センサは、互いに異なる生体情報を検出することを特徴とする請求項1に記載の成分濃度測定装置。
  3. 前記生体内成分は、生体グルコースであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の成分濃度測定装置。
  4. 前記センサ群は、光音響センサを含むことを特徴とする請求項に記載の成分濃度測定装置。
  5. 前記センサ群は、誘電分光センサを含むことを特徴とする請求項に記載の成分濃度測定装置。
  6. センサ群から生体情報を取得するセンサ出力取得ステップと、
    前記生体情報と生体内成分の実測値とに基づいて回帰係数ベクトルを算出して前記生体内成分の検量モデルとする検量モデル生成ステップと、
    前記検量モデルを記憶部に記憶する記憶ステップと、
    前記記憶部に記憶した前記検量モデルに基づいて前記生体内成分の値を推定する推定ステップと、
    を備え
    前記検量モデル生成ステップは、PLS回帰分析により、複数の互いに異なる値を含む前記生体内成分の実測値を目的変数とし、潜在的な因子を説明変数とする回帰係数ベクトルと、前記生体情報から、前記潜在的な因子を求める重みベクトルとを求める
    ことを特徴とする成分濃度測定方法。
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