JP6813388B2 - 光トポロジカルデバイス - Google Patents

光トポロジカルデバイス Download PDF

Info

Publication number
JP6813388B2
JP6813388B2 JP2017030812A JP2017030812A JP6813388B2 JP 6813388 B2 JP6813388 B2 JP 6813388B2 JP 2017030812 A JP2017030812 A JP 2017030812A JP 2017030812 A JP2017030812 A JP 2017030812A JP 6813388 B2 JP6813388 B2 JP 6813388B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical
value
optical coupler
coupler
photocoupler
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017030812A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018136443A (ja
Inventor
健太 高田
健太 高田
納富 雅也
雅也 納富
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2017030812A priority Critical patent/JP6813388B2/ja
Publication of JP2018136443A publication Critical patent/JP2018136443A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6813388B2 publication Critical patent/JP6813388B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Optical Integrated Circuits (AREA)
  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)
  • Semiconductor Lasers (AREA)

Description

本発明は、光共振器や光導波路などの光結合器から構成された光トポロジカルデバイスに関する。
近年、フォトニック結晶を用いた光共振器が用いられている。しかしながら、この光共振器は、製造誤差や温度変動による特性変化などの乱雑性が問題となる。これに対し、乱雑性に対して屈強性があるデバイスとして、光トポロジカルデバイスが研究されている。1次元光トポロジカルデバイスは、1次元的に配列された結合共振器ないし結合導波路(以下、光結合系)を指し、乱雑性に対する屈強性を持つとされるトポロジカル局在エッジ状態(以下、エッジ状態という)を伴う非自明な光トポロジカル相を発生させる。
これまでに知られている1次元光トポロジカルデバイスは、1次元的に配列された共振器ないし導波路の間の結合率を、一様ではなく、異なる2つの値を交互に設定したものである(非特許文献1参照)。これにより、無限系(バルク)ではバンドギャップが発生し、有限系では光結合系の両端での強度局在を示すエッジ状態が出現する。また、エッジ状態の固有周波数は、バルクバンドギャップの中心に位置する。
特許第5363578号公報
N. Malkova et al., "Observation of optical Shockley-like surface states in photonic superlattices", Optics Letters, vol. 34, no. 11, pp. 1633-1635, 2009.
しかし、上述した方法では、光結合系中のどの部分が光波の非自明なトポロジーを持ち、どこにエッジ状態が生じるかは、光結合系を設計、作製した段階で決定される。このため、従来では、実使用においては、光結合系中における光波の非自明なトポロジーを形成する箇所およびエッジ状態が生じる箇所を制御できないという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、光トポロジカルデバイスを構成する光結合系中における光波の非自明なトポロジーを形成する箇所およびエッジ状態が生じる箇所が制御できるようにすることを目的とする。
本発明に係る光トポロジカルデバイスは、光励起または電流注入励起により与えられる損失の割合の絶対値が第1の値となる第1光結合器と、光励起または電流注入励起により与えられる損失の割合の絶対値が第2の値となる第2光結合器と、光励起または電流注入励起により与えられる利得の割合の絶対値が第1の値となる第3光結合器と、光励起または電流注入励起により与えられる利得の割合の絶対値が第2の値となる第4光結合器とから構成され、第1光結合器に第4光結合器が隣り合い、第4光結合器に第3光結合器が隣り合い、第3光結合器に第2光結合器が隣り合い、第2光結合器に第1光結合器が隣り合う状態となるように、いずれか4つの光結合器が1列に配列された光結合群を備え、隣り合う光結合器の間は同一の結合率とされ、第2の値は、第1の値より結合率の2倍を減じた値より大きく、第2の値は、第1の値に結合率の2倍を加えた値より小さく、第1の値および第2の値は0より大きい値とされ、光結合器は、結合共振器または結合導波路である
上記光トポロジカルデバイスにおいて、光結合群は、複数配列されていてもよい。また、光結合部が複数配列されている両端は、第1光結合器および第2光結合器とされている、または、第3光結合器および第4光結合器とされているとよい。また、光結合群の繰り返し数は、結合率の2乗を第1の値と第2の値とを乗じた値で除した値より大きい整数となっていればよい。
上記光トポロジカルデバイスにおいて、第2の値は、結合率の2倍より第1の値を減じた値より大きくされていればよい。
上記光トポロジカルデバイスにおいて、第1光結合器、第2光結合器、第3光結合器、および第4光結合器は、フォトニック結晶共振器から形成する。
以上説明したように、本発明では、例えば、与えられる損失の割合の絶対値が第1の値となる第1光結合器、与えられる利得の割合の絶対値が第2の値となる第4光結合器、与えられる利得の割合の絶対値が第1の値となる第3光結合器、与えられる損失の割合の絶対値が第2の値となる第2光結合器を、これらの順に並べた光結合群より光トポロジカルデバイスを構成した。この結果、本発明によれば、光トポロジカルデバイスを構成する光結合系中における光波の非自明なトポロジーを形成する箇所およびエッジ状態が生じる箇所が制御できるという優れた効果が得られる。
図1Aは、本発明の実施の形態における光トポロジカルデバイスの構成を示す構成図である。 図1Bは、本発明の実施の形態における光トポロジカルデバイスの構成を示す構成図である。 図2は、フォトニック結晶共振器から構成した実施の形態における光トポロジカルデバイスの構成を示す平面図である。 図3は、第1の値g1と第2の値g2との光トポロジカルデバイスにおける光波のトポロジーの関係を示す相図(状態図)である。 図4は、光トポロジカルデバイスにおけるバンド構造を示すバンド図である。 図5は、光トポロジカルデバイスにおけるバンド構造を示すバンド図である。 図6は、10個の光結合群110からなる実施の形態における光トポロジカルデバイスの固有周波数の計算結果を示す特性図である。 図7は、10個の光結合群110からなる実施の形態における光トポロジカルデバイスにおける各状態が持つ光強度の実空間分布を示す特性図である。 図8は、10個の光結合群110からなる実施の形態における光トポロジカルデバイスにおける実バンド構造(a)、虚バンド構造(b)を示す特性図である。 図9は、10個の光結合群110からなる実施の形態における光トポロジカルデバイスの固有周波数の計算結果を示す特性図である。 図10は、0個の光結合群110からなる実施の形態における光トポロジカルデバイスにおける各状態が持つ光強度の実空間分布を示す特性図である。 図11は、バンドギャップに対して線対称をなすバンド対に関して巻き付き数の差を計算した結果を示す特性図である。
以下、本発明の実施の形態に係る光トポロジカルデバイスについて図1Aを参照して説明する。この光トポロジカルデバイスは、第1光結合器101、第2光結合器102、第3光結合器103、第4光結合器104を備える。第1光結合器101、第4光結合器104、第3光結合器103、第2光結合器102が、これらの順に、光導波方向に1列に配列され、1つの光結合群110を構成している。光トポロジカルデバイスは、1つの光結合群110から構成されていてもよく、複数の光結合群110から構成されていてもよい。例えば、10個の光結合群110により、光トポロジカルデバイスが構成される。
なお、各光結合器の隣り合う関係が上述した構成となっていればよく、1つの光結合群110の構成は、上記構成に限らない。第1光結合器101に第4光結合器104が隣り合い、第4光結合器104に第3光結合器103が隣り合い、第3光結合器103に第2光結合器102が隣り合い、第2光結合器102に第1光結合器101が隣り合う状態で1値列に配列され、いずれか4つの光結合器で光結合群110とされていればよい。
例えば、図1Bに示すように、1つの光結合群110は、第3光結合器103、第2光結合器102、第1光結合器101、第4光結合器104が、これらの順に並ぶ構成とされていてもよい。また、図示していないが、1つの光結合群110は、第4光結合器104、第3光結合器103、第2光結合器102、第1光結合器101がこれらの順に並ぶ構成とされていてもよい。また、図示していないが、1つの光結合群110は、第2光結合器102、第1光結合器101、第4光結合器104、第3光結合器103が、これらの順に並ぶ構成とされていてもよい。
ただし、後述するように、複数の光結合群110が配列した光トポロジカルデバイスの両端が、第1光結合器101および第2光結合器102となる構成(図1A)、または、第3光結合器103および第4光結合器104となる構成(図1B)とすることで、周波数ギャップの中心で乱雑性により強いエッジ状態を得ることができる。
ここで、第1光結合器101は、動作時において、光励起または電流注入励起により透過する光に与える損失の割合の絶対値が第1の値となる。また、第2光結合器102は、動作時において、光励起または電流注入励起により透過する光に与えられる損失の割合の絶対値が第2の値となる。また、第3光結合器103は、動作時において、光励起または電流注入励起により透過する光に与えられる利得の割合の絶対値が第1の値となる。第4光結合器104は、動作時において、光励起または電流注入励起により透過する光に与えられる利得の割合の絶対値が第2の値となる。
また、隣り合う光結合器の間の光結合状態は、同一の結合率κとされている。言い換えると、隣り合う光結合器の中心間の距離は同一とされている。図1Aに示す例では、第2光結合器102、第1光結合器101、第4光結合器104、第3光結合器103の各々の間の光結合状態が、同一の結合率κとされている。加えて、第2の値は、第1の値より結合率κの2倍を減じた値より大きく、第2の値は、第1の値に結合率κの2倍を加えた値より小さく、第1の値および第2の値は、0より大きい値とされている。
フォトニック結晶を用いる場合、各光結合器の平面内の寸法は、縦100nm、横は100nmのオーダーである。横は、100μmのオーダーであってもよい。図1A(図1B)の紙面奥方向の寸法が100nmオーダーであれば、各光結合器は、結合共振器となる。また、図1A(図1B)の紙面奥方向の寸法が100nmよりも大きなオーダーであれば、各光結合器は、結合導波路となる。各光結合器の周囲は、各光結合器の内部よりも小さな屈折率を持つ媒質で満たされていればよい。また、各光結合器の周囲は、構造の安定性の観点から固体から構成した方がよい。
以下、各光結合器を、結合共振器とした場合について説明する。なお、各光結合器は、結合導波路の場合も同様である。
前述したように、第1光結合器101、第4光結合器104、第3光結合器103、第2光結合器102の各々の中心間の距離は、一定とされている。また、前述したように、隣り合う光結合器間の中心間の距離によって決定される光結合器の間の結合率κは一定とされている。
ここで、図1Aに示すExp(ik)のkは、周期的に配置されている光結合器による光結合群110の固有状態に付随するブロッホ波数である。1単位となる光結合群110の中の各光結合器は、光励起ないし電流注入励起の制御により異なる利得、損失を与える。
図1A(図1B)に示すように、第1光結合器101は、損失を与える割合の値を−g1とされ、第2光結合器102は、損失を与える割合の値を−g2とされている。一方、第3光結合器103は、利得を与える割合の値をg1とされ、第4光結合器104は、利得を与える割合の値をg2とされている。ここで、g1が第1の値であり、g2が第2の値であり、g1,g2>0である。正の値は光増幅による利得、負の値は吸収損失を表す。同じ大きさの値の利得、損失を持った要素(光結合器)のペア(±g1もしくは±g2)が、図1A(図1B)に示すように、1つおきに配置される。
上述した実施の形態における光トポロジカルデバイスは、図2に示すように、フォトニック結晶から構成することができる。よく知られたInPからなるフォトニック結晶本体201に線欠陥を設け、この中にInGaAsPからなるレーザー活性媒質123を埋め込んでレーザー共振器とする(特許文献1参照)。このレーザーにより、各光結合器を構成する。各光結合器には、p型領域121およびn型領域122を形成し、共振器中心のレーザー活性媒質123に電流を注入可能としている。
また、フォトニック結晶本体201の一方の側には、各光結合器に共通の電極202を設ける。電極202は、光結合器毎に分割されていてもかまわない。他方の側には、光結合器毎に電極203を設け、各光結合器のレーザー活性媒質123に対し、独立して各々異なる電流を注入可能としている。注入する電流の大きさにより、各光結合着において、光学利得または損失の制御が可能になる。
ところで、上述したバルク結合共振器の複素固有周波数離調Δωは、強束縛近似法により、以下の式(1)により解析的に求めることができる。
ここで、一様な共振器間結合率κを、固有周波数および利得の割合、損失の割合の基準とする(κ=1)。なお、離調の基準点Δω=0は、単一の共振器の共振周波数とする。式(1)をもとに、バンド中心(k=0)におけるΔωの固有値の縮退や実数、虚数の別によって、第1の値g1と第2の値g2とについて図3のような相図(状態図)が得られる。図3の(a)は、g2<2−g1の領域であり、(b)は、g2>2−g1,g2<2g1,g2>g1−2の領域である。
この条件設定において、g1,g2の片方もしくは両方がゼロとなる場合は、図4のように、光結合系(光トポロジカルデバイス)の周波数実部のバンド構造の内部にバンドギャップは生じない(ギャップレス)。なお、図4には、(イ),(ロ),(ハ),(ニ)の4つの状態のバンドが示されている。
しかし、g1≠0,g2≠0、および(i)g2<2−g1[図3の(a)]もしくは(ii)g2>2−g1,g2<2g1,g2>g1−2[図3の(b)]の条件下においては、利得と損失のみに起因してバンドギャップが開く。これは、従来の主要な研究対象であった2共振器を単位となる光結合群とした周期系では不可能であり、四共振器周期の系における時間空間反転対称性(PT対称性)の破れに起因している。
バンドギャップが開いている条件下で有限個の共振器の系の固有状態を計算すると、両端の共振器が共に利得を与える(g1,g2を持つ)、もしくは損失を与える(−g1,−g2を持つ)ように配列終端した場合に限り、バンドギャップの中心にエッジ状態が生じる。
周波数ギャップの中心で乱雑性により強いエッジ状態を得るために、両端が共に利得を与える共振器(光結合器)、または両端が共に損失を与える共振器(光結合器)となるように、各共振器の配列を調整するとよい。両端の内片方が利得、もう片方が損失を与える共振器とした配列では、(i)の領域では、バンドギャップ内に状態が発生しない。(ii)の領域では、片端の2共振器に強度が局在する状態が生じるが、この周波数はバンドギャップ内の非常に浅い位置、もしくは外にある。
これらのことにより、双方とも、乱雑性に対し強固な状態を生成する効果は小さくなる。従って、光トポロジカルデバイスを構成している光結合器の配列の両端は、両方が利得もしくは両方が損失となるように配列を調整すると良い。言い換えると、両端は、第1光結合器101および第2光結合器102とされている構成(図1A)、または、第3光結合器103および第4光結合器104とされている構成(図1B)であればよい。
例えば、上述したように終端した実施の形態における光トポロジカルデバイスにおけるエッジ状態では、端にしか光が貯まれないため、例えば光トポロジカルデバイスの左右から導波路を介して対応する周波数の光を入力すると、反対側にはほぼ透過できない。一方、g1,g2をゼロにした場合、実施の形態における光トポロジカルデバイスはこの周波数の光に対しては透過可能となり、オンオフ可能な波長フィルタとして使用することが可能となる。
また、実施の形態における光トポロジカルデバイスの両端を、損失を与える光共振器で終端した場合は、エッジ状態で吸収が起こり、透過は遮断されるため、光検出器として使うことができる。実施の形態における光トポロジカルデバイスの構成は、両端におけるエッジ状態は、物理的に離れているので、両端に2チャネルの吸収部分を持ち、どちらから光が来たかが判別可能な光検出器として使用できる。
一方、実施の形態における光トポロジカルデバイスの両端を、利得を与える光共振器で終端した場合は、エッジ状態でのレーザー発振が可能となる。実施の形態における光トポロジカルデバイスは、乱雑性に強い構成であるため、発振特性のばらつきを抑えたレーザーが実現できる。
また、各共振器(光結合器)は、注入する電流の量(励起光の強度)でどの状態にすることも可能であるため、同様の構造の共振器(光結合器)を多数並べ、所定の共振器(光結合器)が実施の形態における構成となるように電流を注入(励起光を照射)し、残りの共振器(光結合器)を損失も利得も無い導波路として機能させることもできる。このような構成により、光を吸収させ、またレーザー発振させる位置を制御することも可能である。
次に、(i)の条件下における無限結合系のバンド構造について、図5を用いて説明する。図5においても、(イ),(ロ),(ハ),(ニ)の4つの状態のバンドが示されている。図5に示すように、図4と異なり、有限のg2の導入によりバンドギャップが開いている。
図6に、同じパラメータを用いた時の、10個の光結合群110(40個の光結合器)からなる光トポロジカルデバイス(有限系)の固有周波数を示す。これは、光トポロジカルデバイス両端の共振器が、利得(右端:g1,左端:g2)を与える場合について計算している。図6に示すように、無限系で生じるバンドギャップ(図5)の中心(Δω=0)において、1組の状態(Edge states)が生じている。
これらの状態が持つ実空間分布を図7の(a),(b)に示す。(a),(b)の2つの状態は、左右それぞれの単位光結合群への強度局在を示し、強度は系内部へ向けて指数的に減少する。利得を与える両端の共振器への局在が強いため、固有周波数の虚部は正になり、局在状態は増幅を受ける。これらは、(i)の条件下においてバルクが非自明なトポロジーを有することを示唆する。
図8に、(ii)の条件下における無限系の実バンド構造(a)、虚バンド構造(b)を示す。(ii)の条件下では、図8の(a)に示すように、バンドギャップを挾み、状態(イ)と状態(ハ)の実バンドの組と、状態(ロ)と状態(ニ)の実バンドの組は、各々重なり。バンドギャップは(i)の条件下より広がる。しかし、図8の(b)に示すように、虚バンドを見ると重なっているバンドの組は異なっている。虚バンドでは、状態(ロ)と状態(ハ)の実バンドの組と、状態(イ)と状態(ニ)の実バンドの組が、各々重なっている。このため、これらの固有状態は縮退していない。
図9に、図8を用いて説明した状態と同じパラメータ下における10個の光結合群110からなる光トポロジカルデバイスの固有周波数の計算結果を示す。この計算結果は、両端の共振器が損失を与える場合(左端:−g1,右端:−g2)であるが、図6示した場合と同様に、ギャップ中心に1組の状態(Edge states)が生じる。
上述した各状態における空間強度分布を図10の(a),(b)に示す。条件(ii)の下では、エッジ状態の強度は一番左、もしくは一番右の共振器により強い局在を示すことが分かる。この場合、損失を与える両端の共振器の影響が強いため、固有周波数の虚部は負となり、エッジ状態は吸収損失を受ける。
これらの1次元バルク系のトポロジカルギャップ、および有限系のエッジ状態は、全て利得と損失の導入のみに起因しており、電流注入や光励起による光結合器(共振器)の制御によって発生、消失、変化させることができる。このような制御性は、従来の技術では無かった特性である。
1次元系のトポロジーを特徴付けるトポロジカル数は、巻き付き数と呼ばれている。巻き付き数は、主要な電磁場成分の複素振幅の分布を表す固有ベクトル|ui(k)>(i:状態番号、k:ブロッホ波数)を用いて、以下の式(2)により表すことができる。
式2で計算される巻き付き数は、個々の固有状態がなすバンド曲線の第1ブリユアンゾーンに関して計算される。利得や損失の無いエルミート系では整数となり、バンド中心もしくはバンド端での状態の縮退と、続くバンド間の状態の入れ替わり(バンド反転)を介さない限り、巻き付き数は変化することは無い(トポロジカル不変量)。
巻き付き数は、エッジ状態を伴う非自明なトポロジーを持つ系では、バンドギャップをなすバンド曲線の対の内、少なくともいずれかに関してゼロでない整数を取る。利得や損失を含む非エルミート系では、巻き付き数は連続量となり、不変量ではなくなってしまうが、系のトポロジーを反映する量である事実は変わらないと考えられる。
これらのことより、バンドギャップに対して線対称をなすバンド対に関し、巻き付き数の差をパラメータ領域(i)およびパラメータ領域(ii)において計算した。この計算の結果を、図11の(a),(b)に示す。
具体的には、図4,図5,図8に示した4つのバンド曲線(4つの固有状態)における(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)の4つの状態において、まず、状態(ロ)と状態(イ)の巻き付き数の差ΔWロイ=W−W[図11の(a)]、状態(ニ)と状態(ハ)の巻き付き数の差ΔWニハ=W−W[図11の(b)]を領域(i)および(ii)にわたって計算した。バルクの性質はg1とg2の大小の別には依らないので、説明を簡単にするため、g1>g2の場合のみ計算した。
ギャップレス条件を示すg2=0の直線上では、ΔWロイ〜0,ΔWニハ〜0となることが分かる。これは、g1,g2の少なくとも一方がゼロの場合、系はエッジ状態を生じない(トポロジカルに自明である)ことを示す。これに対し、パラメータ領域(i)では、ΔWロイ≧1,ΔWニハ≦−1となり、(ii)ではg1,g2の値が大きくなると共にΔWロイ→2,ΔWニハ→−2を示す。
これらの結果は、領域(i)では、エルミート系におけるW=0,W=1,W=1,W=0の非自明なトポロジーに基づいていることを示唆している。一方、領域(ii)では、エルミート系におけるW=−1,W=1,W=1,W=−1の非自明なトポロジーに基づいていることを示唆している。
それぞれの領域において、有限系でトポロジカルエッジ状態が出現することを裏付けている。ただし、有限系では固有周波数は離散値を示すため、エッジ状態を出現させるためには、バンド中心付近での典型的な固有周波数の間隔よりも、バンドギャップの方が大きい方が良い。従って、領域(i)においてg1,g2が非常に小さい場合では、有限系の光結合器群数N(4つの光結合器を1単位とする群)が大きく、おおよそκ/Nがg12/κよりも小さくなること、すなわちN>(κ2/g12)となるようにNを設定すればよい。
以上に説明したように、本発明では、与えられる損失の割合の絶対値が第1の値となる第1光結合器、与えられる損失の割合の絶対値が第2の値となる第2光結合器、与えられる利得の割合の絶対値が第1の値となる第3光結合器、与えられる利得の割合の絶対値が第2の値となる第4光結合器をこれらの順に並べた光結合群より光トポロジカルデバイスを構成した。この結果、本発明によれば、光結合系中における光波の非自明なトポロジーを形成する箇所およびエッジ状態が生じる箇所が制御できるようになる。
従来の結合共振器、および結合導波路による技術では、素子中の電磁場のトポロジーは、光トポロジカルデバイスを作製する時に決定され、作製された光トポロジカルデバイスにおいては、外部信号の印加によってトポロジーそのものを制御することは困難であった。
本発明のトポロジカル光デバイスによれば、光結合系を構成する個々の光結合器に対する光励起または電流注入励起によって、各光結合器の光学利得ないし損失を制御し、上述した構成の単位光結合群を持つ周期領域を形成しているので、光結合系の任意の領域のトポロジーそのものを変化させることが可能となる。
前述した「g2<2−g1」の条件(i)もしくは「g2>2−g1,g2<2g1,g2>g1−2」の条件(ii)により、非自明なトポロジカル相を付与した光トポロジカルデバイスにおける、ギャップ中心(Δω=0)のエッジ状態は、両端の光結合器が利得を与えるか損失を与えるかを制御することによって、選択的に増幅もしくは減衰させることができる。増幅を選ぶことで、各光結合器の利得、損失や共振波長の乱雑性に対し強固なエッジ状態を増幅、発振させることが可能になると期待される。逆に減衰を選ぶことで、ギャップ中心波長を持つ外部からの入力光を吸収させ、結合系中の透過や系からの反射を抑制できると期待される。
また、図4に示したように、g1,g2の一方のみがゼロの場合は、Δω=0付近にPT対称性に守られたディラックバンドが形成される。ディラックバンドが形成される領域でのバンド曲線は、ほぼ直線に近似できるため、この周波数領域の入力パルスの光結合器間の伝搬では、群速度分散によるパルス広がりが起こらない。Δω=0は、g1,g2の両方が有限な場合のギャップ中心のため、この波長では、パルス広がりの無い伝搬を起こす装置と、エッジ局在により透過が抑制される装置とを、利得や損失の制御によって切り替えることができる。
本発明によれば、利得と損失の制御のみによって光結合系中のバンド構造にギャップを開くことができるため、エッジ状態以外の波長の入力光を、バンドギャップにより反射させることが可能になる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
101…第1光結合器、102…第2光結合器、103…第3光結合器、104…第4光結合器、110…光結合群。

Claims (5)

  1. 光励起または電流注入励起により与えられる損失の割合の絶対値が第1の値となる第1光結合器と、
    光励起または電流注入励起により与えられる損失の割合の絶対値が第2の値となる第2光結合器と、
    光励起または電流注入励起により与えられる利得の割合の絶対値が前記第1の値となる第3光結合器と、
    光励起または電流注入励起により与えられる利得の割合の絶対値が前記第2の値となる第4光結合器と
    から構成され、前記第1光結合器に前記第4光結合器が隣り合い、前記第4光結合器に前記第3光結合器が隣り合い、前記第3光結合器に前記第2光結合器が隣り合い、前記第2光結合器に前記第1光結合器が隣り合う状態となるように、いずれか4つの前記光結合器が1列に配列された光結合群を備え、
    隣り合う前記光結合器の間は同一の結合率とされ、
    前記第2の値は、前記第1の値より前記結合率の2倍を減じた値より大きく、
    前記第2の値は、前記第1の値に前記結合率の2倍を加えた値より小さく、
    前記第1の値および前記第2の値は0より大きい値とされ、
    前記光結合器は、結合共振器または結合導波路であり、
    前記第1光結合器、前記第2光結合器、前記第3光結合器、および前記第4光結合器は、フォトニック結晶共振器から形成されている
    ことを特徴とする光トポロジカルデバイス。
  2. 請求項1記載の光トポロジカルデバイスにおいて、
    前記光結合群は、複数配列されていることを特徴とする光トポロジカルデバイス。
  3. 請求項2記載の光トポロジカルデバイスにおいて、
    前記光結合群が複数配列された両端は、前記第1光結合器および前記第2光結合器とされている、または、前記第3光結合器および前記第4光結合器とされている
    ことを特徴とする光トポロジカルデバイス。
  4. 請求項2または3記載の光トポロジカルデバイスにおいて、
    前記光結合群の繰り返し数は、前記結合率の2乗を前記第1の値と前記第2の値とを乗じた値で除した値より大きい整数となっている
    ことを特徴とする光トポロジカルデバイス。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光トポロジカルデバイスにおいて、
    前記第2の値は、前記結合率の2倍より前記第1の値を減じた値より大きくされている
    ことを特徴とする光トポロジカルデバイス。
JP2017030812A 2017-02-22 2017-02-22 光トポロジカルデバイス Active JP6813388B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017030812A JP6813388B2 (ja) 2017-02-22 2017-02-22 光トポロジカルデバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017030812A JP6813388B2 (ja) 2017-02-22 2017-02-22 光トポロジカルデバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018136443A JP2018136443A (ja) 2018-08-30
JP6813388B2 true JP6813388B2 (ja) 2021-01-13

Family

ID=63364837

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017030812A Active JP6813388B2 (ja) 2017-02-22 2017-02-22 光トポロジカルデバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6813388B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4115593B2 (ja) * 1997-07-28 2008-07-09 シャープ株式会社 利得結合型分布帰還半導体レーザ装置及びその製造方法
FR2882161B1 (fr) * 2005-02-11 2007-05-11 Commissariat Energie Atomique Modulateur a guide d'onde et procede de modulation associe
JP5363578B2 (ja) * 2009-09-01 2013-12-11 日本電信電話株式会社 フォトニック結晶デバイス
JP6106107B2 (ja) * 2014-02-12 2017-03-29 日本電信電話株式会社 光共振器
US9531150B2 (en) * 2014-04-14 2016-12-27 Washington University Method and system for parity-time symmetric optics and nonreciprocal light transmission
JP6371231B2 (ja) * 2015-02-10 2018-08-08 日本電信電話株式会社 光波長変換回路

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018136443A (ja) 2018-08-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9696492B1 (en) On-chip photonic-phononic emitter-receiver apparatus
JP3721181B2 (ja) 電磁波周波数フィルタ
JP5772989B2 (ja) レーザ素子
Amiri et al. Enhancement of FSR and finesse using add/drop filter and PANDA ring resonator systems
JP4942429B2 (ja) 半導体波長可変レーザ
Gu et al. A topological photonic ring-resonator for on-chip channel filters
US7376309B2 (en) Optical structure
US9341782B2 (en) Methods and systems for delaying optical waves
JPH11511869A (ja) 干渉計スイッチ
US7430348B2 (en) Four-port optical filter fabricated from tapered optical fiber
JP2020517122A (ja) 超周期構造回折格子および波長可変レーザ
Mookherjea Using gain to tune the dispersion relation of coupled-resonator optical waveguides
Rajasekar et al. Trapezoid 2D photonic crystal nanoring resonator-based channel drop filter for WDM systems
JP6813388B2 (ja) 光トポロジカルデバイス
KR101023254B1 (ko) 플라즈몬 투과 필터
Zhao et al. Beam splitting characteristics of two-dimensional photonic crystals based on surface modulation
WO2020145173A1 (ja) 波長可変レーザ
CN115668016A (zh) 用于量子应用的光子对源
JP6416703B2 (ja) フォトニック結晶連結共振器
Zamir-Abramovich et al. Low-threshold lasing with a stationary inflection point in a three-coupled-waveguide structure
JP6162665B2 (ja) フォトニック結晶共振器
Miri Parity-time and supersymmetry in optics
Furuya et al. Novel Ring Waveguide Device in a 2D Photonic Crystal Slab–Transmittance Simulated by Finit-Difference Time-Domain Analysis–
Liu Theory and experiment of slow-light coupled-resonator structures
JP2017010974A (ja) フォトニック結晶結合共振器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190305

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200127

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200310

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200511

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200527

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201013

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201120

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201215

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201217

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6813388

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150