JP6812841B2 - 車両の振動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両における振動を抑制するための車両の振動制御装置に関する。
従来より、車両の振動制御(振動抑制)について多くの提案がある。例えば、特許文献1には、エンジンからの異常振動に対して、ER流体(Electrorheological Fluid:電気粘性流体)の粘性力を調整して、振動が車体に伝達されることを防ぐことが示されている。特許文献2には、エンジン始動時のダンパー捩れ振動が大きい時にはダンパーのヒステリシストルク(ヒストルク)を大きくすることで振動を抑制し、振動が小さい時にはヒストルクを小さくして内燃機関からのトルク変動を抑制することが示されている。特許文献3には、観測した入力軸回転数と振動成分がないと仮定した剛体モデルに基づき、振動成分を抽出し、この振動成分に基づきエンジントルクもしくは無段変速機の変速比を制御することが示されている。
さらに、非特許文献1には、仮想的な不動点に基づき振動を抑制しつつ、高周波領域の伝達ゲインを抑制する、スカイフックダンパーについて記載されている。
特開2001−124108号公報 特開2008−121642号公報 特開2001−132501号公報
「振動制御」 田中信雄著、養賢堂、2008/9/9発行
特許文献1,2は、エンジンの異常振動や始動時振動などの特定の状況を対象とするものであり、エンジントルクが変動しながら走行しているような状態での振動制御を対象としていない。特許文献3は、ドライブシャフトの捩れ振動などを対象としており、エンジンのトルク変動などは対象としていない。
非特許文献1における、スカイフックは並進系に対する制御方法であり、回転系が対象である場合には、どのような不動点を考慮すればよいのかが自明ではない。
本発明は、車両の動力伝達系についての振動を制御する車両の振動制御装置であって、動力源からの動力によって回転運動する第1慣性要素と、第1慣性部材の下流側に伝達要素を介し接続されて回転運動する第2慣性要素と、伝達要素における伝達トルクを変更する伝達トルク変更手段と、を含み、伝達要素は、その剛性および粘性に応じた伝達トルクを上流側および下流側に発生し、伝達トルク変更手段は、第2慣性要素の回転速度を示す回転速度信号の変動成分に基づいて制御トルクを得、得られた制御トルクを伝達要素に印加することで、伝達要素が上流側および下流側に発生する伝達トルクを変更する。
また、第2慣性要素の回転速度信号の変動成分は、回転速度信号からハイパスフィルタを用いて所定周波数以上の信号を選択することによって得るとよい。
また、ハイパスフィルタの折れ点周波数は、伝達要素の共振周波数より低いとよい。
また、第1慣性要素は、エンジンであり、伝達要素は、ダンパであり、第2慣性要素は、変速機であるとよい。
また、第1慣性要素は、変速機であり、伝達要素は、ドライブシャフトであり、第2慣性要素は、車体であるとよい。
また、伝達トルク変更手段は、伝達要素に減速方向または加速方向の制御トルクを印加できるアクティブアクチュエータであるとよい。
また、伝達トルク変更手段は、伝達要素に減速方向の制御トルクのみを印加できるセミアクティブアクチュエータであるとよい。
本発明によれば、伝達要素の下流側の速度に基づいて伝達要素の伝達トルクを制御するため、下流に伝達された振動に基づき伝達要素を制御することができる。従って、伝達要素について粘性の低いものを用いることが可能となり、高周波数側のエンジンからのトルク変動が伝達し易くなるのを防止できる。
基本構成のモデルを示す図である。 ダンパの粘性を大きくした場合(周波数応答)。 ドライブシャフトの粘性を大きくした場合(周波数応答)。 ダンパとドライブシャフトの両方の粘性を大きくした場合(周波数応答)。 ダンパとドライブシャフトの両方の粘性を大きくした場合(時系列応答)。 実施形態の構成のモデルを示す図である。 実施形態の制振制御のフローチャート(アクティブ制御)である。 ダンパのアクティブ制御の構成のモデルを示す図である。 ドライブシャフトのアクティブ制御の構成のモデルを示す図である。 ダンパとドライブシャフトの同時アクティブ制御の構成のモデル(その1)を示す図である。 ダンパとドライブシャフトの同時アクティブ制御の構成のモデル(その2)を示す図である。 ダンパのアクティブ制御の結果(周波数応答)を示す図である。 ドライブシャフトのアクティブ制御の結果(周波数応答)を示す図である。 ダンパとドライブシャフトの同時アクティブ制御(その1)結果(周波数応答)を示す図である。 ダンパとドライブシャフトの同時アクティブ制御(その2)結果(周波数応答)を示す図である。 ダンパのアクティブ制御の結果(時間応答)を示す図である。 ドライブシャフトのアクティブ制御の結果(時間応答)を示す図である。 ダンパとドライブシャフトの同時アクティブ制御(その1)結果(時間応答)を示す図である。 ダンパとドライブシャフトの同時アクティブ制御(その2)結果(時間応答)を示す図である。 ダンパとドライブシャフトの同時アクティブ制御(その1)結果(時間応答)におけるエンジントルク伝達を説明する図である。 実施形態の制振制御のフローチャート(セミアクティブ制御)である。 ダンパのセミアクティブ制御の構成のモデルを示す図である。 ダンパのアクティブ制御の結果(時間応答)を示す図である。 ダンパとドライブシャフトの同時セミアクティブ制御の結果(時間応答)を示す図である。 ダンパとドライブシャフトの同時セミアクティブ制御の結果(時間応答)におけるエンジントルク伝達を説明する図である。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、ここに記載される実施形態に限定されるものではない。
<基本構成>
図1に、車両のパワートレーン系の基本構成(モデル)を示す。まず、慣性要素としての駆動源(エンジン)10が設けられており、その出力軸であるクランクシャフトがエンジン10の駆動によって回転する。このクランクシャフトの慣性モーメント、すなわち慣性要素としてのエンジン10の慣性モーメントをJとする。また、エンジン10の出力トルク(発生トルク)をτ、エンジン10の回転角をθとする。エンジン10のクランクシャフトには、伝達要素としてダンパ12が設けられており、これを介し慣性要素としての変速機(トランスミッション)14に接続される。ここで、ダンパ12の伝達トルクをτ、捩れについての剛性(ばね定数)をk、粘性をcとする。
変速機14は、実際の変速を行う変速部と、ディファレンシャルギアなどの含み、全体としての変速比をdとする。従って、エンジンの回転速度をωとし、変速機の出力の回転速度をωとし、ダンパ12が剛体とすれば、ω=dωとなる。また、変速機14の慣性モーメントをJ、回転角をθとする。
変速機14には伝達要素としてのドライブシャフト16を介し、慣性要素としての車体18に接続されている。ドライブシャフト16の伝達トルクをτds、捩れについての剛性(ばね定数)をkds、粘性をcdsとする。
車体18における回転体は車輪であって、車輪の回転によって走行するが、ここでは車体等価の慣性要素を定義し、この車体等価慣性要素の慣性モーメントをJとする。また、車体等価慣性要素の回転角をθ、走行抵抗をτとする。
このような車両のパワートレーン系のモデルは、次の式(1)〜(5)で表すことができる。
ここで、各変数の内容についてもう一度まとめて示す。J:変速機の慣性モーメント、J:車両等価慣性の慣性モーメント、θ:エンジンの回転角、θ:変速機の回転角、θ:車体等価慣性の回転角、τ:エンジンの発生トルク、τ:ダンパの伝達トルク、τds:ドライブシャフトの伝達トルク、τ:走行抵抗トルク、d:変速機の全変速比(変速機部、デファレンシャル等)、k:ダンパの剛性、c:ダンパの粘性、kds:ドライブシャフトの剛性、cds:ドライブシャフトの粘性である。また、変数の上のドット・は、時間微分d/dtを表し、2ドット・・は2階時間微分d/dtを表す。なお、回転角θの1階時間微分については角速度ωとも表記する(dθ/dt=ω)。
このモデルは、エンジンクランクシャフトの慣性(エンジンの慣性)、変速機の慣性、車体の慣性の3自由度モデルである。また、各慣性要素間は、捩れ剛性および粘性を有する伝達要素としてのダンパ、ドライブシャフトで接続されているとしている。
式(1)は、エンジン10の運動方程式であり、エンジンの発生トルクτと、ダンパの伝達トルクτの差分がエンジンのクランクシャフトに対する力であり、エンジン(クランクシャフト)の慣性モーメントとその加速度の積になることを示している。式(2)は変速機14の運動方程式であり、式(3)が車体の運動方程式である。式(4)はダンパ12、式(5)はドライブシャフト16についての粘弾性の方程式であり、伝達トルクは、変位に対する力を示す第1項(剛性の項)と、速度に対する力を示す第2項(粘性の項)の和である。
ここで、動力の伝達要素であるダンパ12やドライブシャフト16が主に捩れることによる共振を抑制するためには、各々の粘性力やヒストルクを大きくすればよいが、背反として高周波領域の伝達ゲインが大きくなるため、エンジン爆発振動等に起因するNV(ノイズ・バイブレーション)性能が悪化する。一方、伝達要素の粘性やヒストルクをできるだけゼロに近づけることで、高周波数領域の伝達要素のゲインが下がるので、エンジン等に由来するNV性能が向上する。
<伝達特性:ハード特性による振動対策>
まず、ハード特性のみで振動対策した場合について説明する。すなわち、図1の構成におけるダンパ12とドライブシャフト16の粘性がゼロに近い場合を基準とし、それぞれの粘性値を大きくした場合のトルク伝達の周波数特性(エンジントルクが車体へ車体角速度として伝達される伝達特性)を示す。
図2は、ダンパ12の粘性値を大きくした場合を示している。このように、ダンパ12の共振周波数である15Hz程度における伝達ゲインが下がる。しかし、4気筒エンジンの1200rpm時の爆発一次振動が存在する40Hz付近では、粘性を大きくしたことによって、ゲインが上がっている。
図3は、ドライブシャフト16の粘性値を大きくした場合を示している。このように、ドライブシャフトの共振周波数である2Hz程度における伝達ゲインが下がる。しかし、3Hz以上でのゲインは基準より上がっており、4気筒エンジンの1200rpm時の爆発一次振動が存在する40Hz付近でのゲインも大きい。
図4は、ダンパ12とドライブシャフト16の両方の粘性値を大きくした場合を示している。このように、2Hz程度、15Hz程度における伝達ゲインが下がる。しかし、20Hz以上でのゲインは基準より上がっており、4気筒エンジンの1200rpm時の爆発一次振動が存在する40Hz付近でのゲインは基準に比べかなり大きい。
図5は、図4に対応する時系列応答である。この場合、エンジントルク波形を模擬したサイン波をτeとして入力した場合の、変速機の回転速度と、車体の回転角速度の差分の時系列変化を示している。粘性を大きくすると、トルク変動レベルが大きくなることがわかる。
<動力伝達部材の伝達特性制御>
図6には、本実施形態のモデルを示してある。このように、本実施形態では、制御装置20を有しており、制御装置20は、制御器20aおよびハイパスフィルタ20bを有している。制御器20aは、入力されてくる慣性要素の回転速度に基づき粘性力対応の伝達トルクΔτを演算し、ハイパスフィルタ20bが基本回転速度に対応する定常の伝達トルクを除去して制御トルクΔτを得る。そして、この制御トルクΔτによって伝達要素の伝達トルクを制御する。具体的には、下流側の慣性要素の回転速度ωに基づいて、上流側の伝達要素の粘性値(伝達ゲインτ)を制御する。すなわち、制御器20aでは、下流側の慣性要素の角速度ωに伝達要素の粘性係数に相当するゲインCを乗算し、制御対象の伝達要素の粘性力を計算する。そして、ハイパスフィルタ20bにより変動成分(下流に伝達された制振対象となる振動(伝達要素の共振))を取りだして、制御トルクΔτとし、これを伝達要素に印加する。なお、制御トルクは、下流側の慣性要素の速度から算出した粘性力とは、位相を反転して算出する。これによって、制御トルクを伝達要素に印加することで、共振を抑制することができる。
本実施形態では、動力伝達系(伝達要素)の粘性を小さくして、NV性能を向上し、背反として悪化する伝達要素の振動(共振)について、伝達要素に取りつけた制御要素により、伝達要素の粘性を変更することで抑制する。このような制御要素としては、伝達要素に並列に付加されたモータを使うことができる。モータによって制振に必要なトルク値(制御トルクΔτ)と印加すればよい。なお、制振に必要なトルクと、応答性(対象とする共振周波数までの制御帯域)があれば、どのようなデバイスでも良い。例えば、モータの他、油圧アクチュエータ、遊星歯車機構、捩り偏差の発生機構等を採用することができる。
ここでのポイントは、伝達要素の上流・下流の回転速度差に基づいて制御するのではなく、伝達要素の下流側の回転速度情報に基づいて、粘性の制御を行うことである。ハード系の動力伝達系における粘性力は、上流側と下流側の速度差に粘性係数を乗算したものであり、これによって下流側への振動の伝達を抑制する。これを動的に行うこともできるが、基本的にハード系の粘性力を調整することと基本的には変わらず、粘性を高くすることで高周波数側の伝達ゲインが大きくなる問題がある。
本実施形態では、下流側の慣性要素の回転速度ωについて所定の粘性係数を乗算することで、制御トルク(粘性力)Δτを算出する。このようにして計算された粘性力は基本回転によるもの(伝達すべき回転トルクに基づく回転)も含まれる。そこで、本実施形態では、ハイパスフィルタを用いて、下流側に伝達すべき基本回転についてのものを排除する。このため、ハイパスフィルタ通過後の粘性力は、回転変動に応じたもの(伝達要素の共振)になり、回転変動が大きいときに粘性力が大きく、回転変動が小さいときに粘性力が小さくなる。このような粘性力(トルク)を上流側の伝達要素に印加することで、一律に粘性力を高めることで高周波数側の伝達ゲインが上がってしまうという問題点を解消することができる。従って、伝達要素の不要な振動(共振)を抑制しつつ同時にエンジン等の動力源を由来とするNVを抑制することが可能となる。
図示の例では、制御装置20には、変速機の回転速度(角速度)dθ/dt=ω、車体の回転速度(角速度)dθ/dt=ωが入力されており、ダンパ12の制御トルクΔτは変速機14の角速度ω、ドライブシャフト16の制御トルクΔτdsは車両の角速度ωに基づいて算出する。そして、算出されたΔτ,Δτdsに基づき、ダンパ12、ドライブシャフト16の伝達トルクτ,τdsを制御する。なお、ダンパ12の制御トルクΔτを車両の回転角速度ωに基づいて算出してもよい。
<アクティブ制御>
図7には、伝達要素の伝達トルク(粘性力)をアクティブ制御する場合のフローチャートを示す。
まず、この制御の前提とし、伝達要素の粘性・ヒストルクをハード的にゼロにする(S11)。すなわち、本実施形態において、動力伝達系における粘性を基本的にゼロとしてハードを構成する。また、伝達要素の粘性をアクティブにコントロールするためのハード構成を用意する。そして、制御周期Δtごとに以下の処理を実行する(S12)。
振動を抑制する伝達要素の下流側の慣性要素の回転速度ωを計測する(S13)。そして、下流側の慣性要素の回転速度ωに粘性係数(ゲイン)Cをかけて制御による粘性力(Δτ=C×ω)を計算し(S14)、これをハイパスフィルタに適用する(S15)。ハイパスフィルタにより得られた制御トルクΔτをアクチュエータによって伝達要素に出力し(S16)、対象となる伝達要素に伝達トルクがΔτに応じて制御される。
制御トルクΔτは、下流側の慣性要素の速度の変動成分であり、この変動成分に応じて粘性力が伝達要素に印加されることで、伝達要素の振動を効果的に抑制することができる。
(ダンパのアクティブ制振)
図8にダンパの振動抑制(アクティブ制御)の構成例を示す。ダンパの下流側の慣性要素である変速機14の回転速度(角速度)ω=dθ/dtが制御器20aに供給される。制御器20aは、ダンパの粘性に相当するゲインCm_conを乗算しフィルタ前の制御トルクΔτを算出する。そして、ハイパスフィルタ20bによって、伝達系の基本回転の粘性力対応分を除去し、ダンパの制御トルクΔτを得て、この制御トルクをダンパ12に印加する。
図12に、この実施形態による振動伝達の周波数応答特性を示す。このように、ダンパの制振制御を行ったために15Hz程度の振動が除去されている。また、エンジン振動などが存在する高周波側においては、基準と同じ伝達ゲインが維持できている。
図16に、この実施形態による振動伝達の時間応答特性を示す。上図がダンパの前後の角速度差、下図がドライブシャフトの前後の角速度差を示している。これより、ダンパの制振制御によって、振動が減少されている。また、ドライブシャフトについては制振制御していないため、応答は基準と変わらない。
(ドライブシャフトのアクティブ制振)
図9にドライブシャフト16の振動抑制(アクティブ制御)の構成例を示す。ドライブシャフトの下流側の慣性要素である車体の角速度ω=dθv/dtが制御器20aに供給される。制御器20aは、ドライブシャフト16の粘性に相当するゲインCds_conを乗算しフィルタ前の制御トルクΔτdsを算出し、ハイパスフィルタ20bによって、ドライブシャフトの制御トルクΔτdsを得て、この制御トルクをドライブシャフトに印加する。
図13に、この実施形態による振動伝達の周波数応答特性を示す。このように、ドライブシャフトの制振制御を行ったために2Hz程度の振動が除去されている。ダンパの共振、エンジン振動などが周波数帯域においては、基準と同じ伝達ゲインとなっている。
図17に、この実施形態による振動伝達の時間応答特性を示す。これより、ダンパの制振制御を行っていないため、振動は基準と余り変わらない。一方、ドライブシャフトについては制振制御により振動が抑制されている。
(ダンパとドライブシャフトの同時アクティブ制振その1)
図10にダンパとドライブシャフトの同時振動抑制(アクティブ制御)の構成例を示す。変速機14の回転速度(角速度)ω=dθ/dt、車体18の角速度ω=dθv/dtが制御器20aに供給される。制御器20aは、変速機角速度ωにダンパの粘性に相当するゲインCm_conを乗算しフィルタ前の制御トルクΔτ算出するとともに、車体角速度ωにドライブシャフトの粘性に相当するゲインCds_conを乗算しフィルタ前の制御トルクΔτdsを算出する。そして、ハイパスフィルタ20bによって、制御トルクΔτ,Δτdsを得て、ダンパ、ドライブシャフトにそれぞれ印加する。
図14に、この実施形態による振動伝達の特性を示す。このように、ダンパ、ドライブシャフトの制振制御を行ったために2Hz、15Hz程度の振動が除去されている。また、エンジン振動などが存在する高周波側においては、基準と同じ伝達ゲインが維持できている。
図18に、この実施形態による振動伝達の時間応答特性を示す。これより、ダンパ、ドライブシャフトの制振制御によって、両者の振動が減少されている。
また、図20に示すように、この実施形態によって、エンジンの振動も図5の場合に比べ減少されていることがわかる。
(ダンパとドライブシャフトの同時アクティブ制振その2)
図11にダンパとドライブシャフトの同時振動抑制(アクティブ制御)の他の構成例を示す。図10の場合と同様に、変速機14の回転速度(角速度)ω=dθ/dt、車体18の角速度ω=dθ/dtが制御器20aに供給される。ここで、制御器20aは、変速機角速度ωにダンパの粘性に相当するゲインCm_conを乗算したて得たフィルタ前の制御トルクと、車体角速度ωにドライブシャフトの粘性に相当するゲインCds_conを乗算して得たフィルタ前の制御トルクを加算して、ダンパに印加するフィルタ前の制御トルクΔτを算出する。そして、ハイパスフィルタ20bによって、制御トルクΔτを得て、ダンパ12に印加する。この例では、制御対象とする伝達要素を、ダンパ12のみとして、ダンパの共振成分、ドライブシャフトの共振の両方をダンパのアクティブ制御によって抑制する。
図15に、この実施形態による振動伝達の特性を示す。このように、制御対象としてダンパのみとして、ダンパとドライブシャフトの制振制御を行うことによっても、図14の場合と同様の制振効果が得られる。
図19に、この実施形態による振動伝達の時間応答特性を示す。この例においても、ダンパ、ドライブシャフトの同時制振制御によって、両者の振動が減少されている。
<セミアクティブ制御>
図21には、伝達要素の伝達トルク(粘性力)をセミアクティブ制御する場合のフローチャートを示す。
アクティブの場合と同様に、伝達要素の粘性・ヒストルクをハード的にゼロにする(S21)。そして、制御周期Δtごとに以下の処理を実行する(S22)。
振動を抑制する伝達要素の下流側の慣性要素の回転速度ωを計測する(S23)。次に、アクチュエータのある制御対象となっている伝達要素において、上流の回転速度ωU_aと下流側の回転速度ωL_aを計測する(S24)。そして、下流側回転速度ωLと、対象伝達要素の上流回転速度ωU_aから下流回転速度ωL_aを減算した値(ωU_a−ωL_a)が同符号か否かを判定する(S25)。すなわち、下流側回転速度ωLが正であった場合は、負のトルクを対象となる伝達要素に印加することになる。その伝達要素において、値(ωU_a−ωL_a)が正であれば、制御トルクΔτは減速方向のトルクとなる。従って、S25の判断においてYesであれば、伝達要素に印加する制御トルクは減速方向であり、Noであれば、制御トルクは加速方向となる。
本制御では、S25においてNoの場合には、制御トルクΔτ=0として、制御トルクを出力しない(S26)。従って、アクチュエータの出力は常に減速方向のトルクであり、アクチュエータは負のトルクのみを出力できるものでよい。
S25においてYesの場合には、下流側の慣性要素の回転速度ωに粘性係数(ゲイン)Cをかけて制御による粘性力(Δτ=C×ωL)を計算し(S27)、これにハイパスフィルタを掛けて(S28)、得られた制御トルクΔτをアクチュエータによって伝達要素に出力する。
これによって、制御対象となる伝達要素に制御トルクを印加するアクチュエータは減速方向のみのトルクを印加するものでよい。従って、制御トルクΔτの制御要素としては、ダンパに並列に付加されて粘性を可変に制御可能なデバイスを使うことができ、例えばER流体などを使用することができる。なお、制振に必要なトルク値と応答性(対象とする共振周波数までの制御帯域)があれば、他のデバイスでもよい。
図22には、この例の構成(ダンパをセミアクティブ制御)を示す。この場合には、変速機の慣性要素の回転速度ωを検出するとともに、ダンパの上流側にあるエンジンの回転速度ωを検出する。そして、制御器20aは、ωと(ωe−dω)が同符号かを判定し、同符号の場合にハイパスフィルタを掛けられた制御トルクΔτをダンパに印加する。なお、セミアクティブの場合については、図22のダンパの制御のみについての構成を示したが、アクティブの場合と同様に、ドライブシャフトの制御、ダンパおよびドライブシャフトの同時制御を行うことができる。
図23に、ダンパのセミアクティブ振動制御の結果(時間応答)、図24にダンパとドライブシャフト部の同時セミアクティブ振動制御の結果(時間応答)(ダンパとドライブシャフトをパラで制御したその1に対応するもの)を示す。
このように、セミアクティブ制御によっても、アクティブ制御よりは振動抑制性能が若干落ちるが、対象となる伝達要素の振動を低減できる。また、高周波数領域では、基準と同様の伝達特性が得られる。
また、図25に示すように、この実施形態によって、図20の場合と同様に、エンジンの振動が図5の場合に比べ減少されていることがわかる。
10 エンジン、12 ダンパ、14 変速機、16 ドライブシャフト、18 車体、20 制御装置、20a 制御器、20b ハイパスフィルタ。

Claims (7)

  1. 車両の動力伝達系についての振動を制御する車両の振動制御装置であって、
    動力源からの動力によって回転運動する第1慣性要素と、
    第1慣性部材の下流側に伝達要素を介し接続されて回転運動する第2慣性要素と、
    伝達要素における伝達トルクを変更する伝達トルク変更手段と、
    を含み、
    伝達要素は、その剛性および粘性に応じた伝達トルクを上流側および下流側に発生し、
    伝達トルク変更手段は、第2慣性要素の回転速度を示す回転速度信号の変動成分に基づいて制御トルクを得、得られた制御トルクを伝達要素に印加することで、伝達要素が上流側および下流側に発生する伝達トルクを変更する
    車両の振動制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の振動制御装置であって、
    第2慣性要素の回転速度信号の変動成分は、回転速度信号からハイパスフィルタを用いて所定周波数以上の信号を選択することによって得る、
    車両の振動制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両の振動制御装置であって、
    ハイパスフィルタの折れ点周波数は、伝達要素の共振周波数より低い、
    車両の振動制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の振動制御装置であって、
    第1慣性要素は、エンジンであり、
    伝達要素は、ダンパであり、
    第2慣性要素は、変速機である、
    車両の振動制御装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の振動制御装置であって、
    第1慣性要素は、変速機であり、
    伝達要素は、ドライブシャフトであり、
    第2慣性要素は、車体である、
    車両の振動制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両の振動制御装置であって、
    伝達トルク変更手段は、伝達要素に減速方向または加速方向の制御トルクを印加できるアクティブアクチュエータである、
    車両の振動制御装置。
  7. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両の振動制御装置であって、
    伝達トルク変更手段は、伝達要素に減速方向の制御トルクのみを印加できるセミアクティブアクチュエータである、
    車両の振動制御装置。
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