(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る表示装置10は、図1に示すように、例えば、移動体としての自動車100に用いられるヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-Up Display)である。
この表示装置10は、自動車100のウインドシールド101に下方から画像を投影するように、自動車100の車室内に設置されている。図1の例では、ウインドシールド101に下方のダッシュボード102内に、表示装置10が配置されている。表示装置10からウインドシールド101に画像が投影されると、反射部材としてのウインドシールド101で反射された画像がユーザ200(運転者)に視認される。
このような表示装置10によれば、ユーザ200は、自動車100の前方(車外)に設定された対象空間400に投影された虚像300を、ウインドシールド101越しに視認する。ここでいう「虚像」は、表示装置10から出射される光がウインドシールド101等の反射物にて発散するとき、その発散光線によって、実際に物体があるように結ばれる像を意味する。そのため、自動車100を運転しているユーザ200は、自動車100の前方に広がる実空間に重ねて、表示装置10にて投影される虚像300を見ることができる。したがって、表示装置10によれば、例えば、車速情報、ナビゲーション情報、歩行者情報、前方車両情報、車線逸脱情報、及び車両コンディション情報等の、種々の運転支援情報を、虚像300として表示し、ユーザ200に視認させることができる。これにより、ユーザ200は、ウインドシールド101の前方に視線を向けた状態から僅かな視線移動だけで、運転支援情報を視覚的に取得することができる。
本実施形態に係る表示装置10では、対象空間400に形成される虚像300は、少なくとも第1虚像301と第2虚像302との2種類の虚像を含んでいる。ここでいう「第1虚像」は、第1仮想面501上に形成される虚像300(301)である。「第1仮想面」は、表示装置10の光軸500に対する傾斜角度αが所定値γよりも小さい(α<γ)仮想面である。また、ここでいう「第2虚像」は、第2仮想面502上に形成される虚像300(302)である。「第2仮想面」は、表示装置10の光軸500に対する傾斜角度βが所定値γよりも大きい(β>γ)仮想面である。ここでいう「光軸」は、後述する投影光学系4(図3参照)の光学系の光軸であって、対象空間400の中心を通り虚像300の光路に沿った軸を意味する。所定値γは一例として45度であって、傾斜角度βは一例として90度である。
また、本実施形態に係る表示装置10では、対象空間400に形成される虚像300は、第1虚像301及び第2虚像302に加えて、第3虚像303(図2参照)を含んでいる。「第3虚像」は、第2虚像302と同様に、光軸500に対する傾斜角度βが所定値γよりも大きい第2仮想面502上に形成される虚像300(303)である。詳しくは後述するが、第2仮想面502上に形成される虚像300のうち、可動スクリーン1aを透過する光によって形成される虚像が第2虚像302であって、固定スクリーン1bを透過する光によって形成される虚像が第3虚像303である。
本実施形態では、光軸500は、自動車100の前方の対象空間400において、自動車100の前方の路面600に沿っている。そして、第1虚像301は、路面600に略平行な第1仮想面501上に形成され、第2虚像302及び第3虚像303は、路面600に対して略垂直な第2仮想面502上に形成される。例えば、路面600が水平面である場合には、第1虚像301は水平面に沿って表示され、第2虚像302及び第3虚像303は鉛直面に沿って表示されることになる。
図2は、ユーザ200の視野を示す概念図である。すなわち、本実施形態に係る表示装置10によれば、図2に示すように、路面600に沿って奥行きをもって視認される第1虚像301と、ユーザ200から一定距離の路面600上に直立して視認される第2虚像302及び第3虚像303とを表示可能である。したがって、ユーザ200においては、第1虚像301については路面600に略平行な平面上にあるように見え、第2虚像302及び第3虚像303については路面600に対して略垂直な平面上にあるように見える。第1虚像301は、一例として、ナビゲーション情報として自動車100の進行方向を示す情報であり、路面600上に右折又は左折を示す矢印を提示すること等が可能である。第2虚像302は、一例として、前方車両又は歩行者までの距離を示す情報であり、前方車両上に前方車両までの距離(車間距離)を提示すること等が可能である。第3虚像303は、一例として、現在時刻、車速情報、及び車両コンディション情報であり、例えば文字、数字、及び記号、又は燃料計等のメータにてこれらの情報を提示すること等が可能である。
(2)構成
本実施形態に係る表示装置10は、図3に示すように、複数のスクリーン1a,1bと、駆動部2と、照射部3と、投影光学系4と、制御回路5と、位置センサ6と、を備えている。
複数のスクリーン1a,1bは、固定スクリーン1b、及び可動スクリーン1aを含んでいる。固定スクリーン1bは、表示装置10の筐体等に対して定位置に固定されている。可動スクリーン1aは、表示装置10の筐体等に対して、移動方向X(図3に矢印X1−X2で示す方向)に移動可能に構成されている。つまり、表示装置10がダッシュボード102内に配置されている場合には、固定スクリーン1bはダッシュボード102内の定位置に固定され、可動スクリーン1aはダッシュボード102内を移動方向Xに移動可能である。以下、可動スクリーン1aと固定スクリーン1bとを特に区別しない場合、複数のスクリーン1a,1bの各々を「スクリーン1」と呼ぶこともある。
スクリーン1(可動スクリーン1a及び固定スクリーン1bの各々)は、透光性を有しており、対象空間400(図1参照)に虚像300(図1参照)を形成するための画像を形成する。すなわち、スクリーン1には、照射部3からの光によって画像が描画され、スクリーン1を透過する光により、対象空間400に虚像300が形成される。スクリーン1は、例えば、光拡散性を有し、矩形に形成された板状の部材からなる。スクリーン1は、厚さ方向の両面に表面11及び裏面12を有している。本実施形態では、一例として、スクリーン1の表面11に多数の微小レンズが形成されることにより、スクリーン1の表面11に光拡散性を有している。スクリーン1は、照射部3側に表面11を向けた姿勢で、照射部3と投影光学系4との間に配置されており、表面11を照射部3からの光が入射する入射面とする。
可動スクリーン1aの表面11は、基準面503に対して角度θだけ傾斜している。さらに、可動スクリーン1aは、基準面503に直交する移動方向Xに、移動可能に構成されている。ここでいう「基準面」は、可動スクリーン1aの移動方向を規定する仮想平面であって、実在する面ではない。可動スクリーン1aは、表面11が基準面503に対して角度θだけ傾斜した姿勢を維持したまま、移動方向Xに直進移動可能に構成されている。ここで、可動スクリーン1aは、表面11において基準面503に対して傾斜した方向(図3の紙面上で可動スクリーン1aの表面11に平行な方向)の両端に、第1端部111及び第2端部112を更に有する。可動スクリーン1aの表面11に沿って、これら第1端部111及び第2端部112を結ぶ方向を、可動スクリーン1aについての「縦方向」とも呼ぶ。第1端部111は、表面11において照射部3に最も近い端部であって、第2端部112は、表面11において照射部3から最も遠い端部である。つまり、可動スクリーン1aは、縦方向において、第1端部111に近い部位ほど照射部3に近くなり、第2端部112に近い部位ほど照射部3から遠くなる。
固定スクリーン1bの表面11は、基準面503に平行である。すなわち、固定スクリーン1bの表面11は、可動スクリーン1aの移動方向Xに略直交する。さらに、固定スクリーン1bは、可動スクリーン1aとは異なり、移動式ではなく、表示装置10内の定位置に固定されている。本実施形態では、固定スクリーン1bは、可動スクリーン1aの縦方向において可動スクリーン1aの第2端部112と隣接するように配置されている。ここで、固定スクリーン1bの表面11に沿って、固定スクリーン1bと可動スクリーン1aとが並ぶ方向(図3の上下方向)を、固定スクリーン1bについての「縦方向」とも呼ぶ。固定スクリーン1bの表面11から照射部3までの距離は、固定スクリーン1bの縦方向の両端部にて略同一である。
駆動部2は、可動スクリーン1aを移動方向Xに移動させる。ここで、駆動部2は、可動スクリーン1aを、移動方向Xに沿って、互いに反対向きとなる第1の向きX1及び第2の向きX2の両方に移動させることができる。第1の向きX1は、図3に矢印「X1」で示す向き(図3の右向き)であって、可動スクリーン1aが照射部3から離れる向き、言い換えれば、可動スクリーン1aが投影光学系4に近づく向きである。第2の向きX2は、図3に矢印「X2」で示す向き(図3の左向き)であって、可動スクリーン1aが照射部3に近づく向き、言い換えれば、可動スクリーン1aが投影光学系4から離れる向きである。駆動部2は、例えば、ボイスコイルモータ等の電気駆動型のアクチュエータからなり、制御回路5からの第1制御信号に従って動作する。
照射部3は、走査型の光照射部であって、可動スクリーン1a又は固定スクリーン1bに対して光を照射する。すなわち、照射部3は、可動スクリーン1aの表面11における光の照射位置が変化するように、可動スクリーン1aの表面11上を走査する光を可動スクリーン1aに照射する。同様に、照射部3は、固定スクリーン1bの表面11における光の照射位置が変化するように、固定スクリーン1bの表面11上を走査する光を固定スクリーン1bに照射する。具体的には、照射部3は、光源31及び走査部32を有している。この照射部3は、光源31及び走査部32の各々が制御回路5からの第2制御信号を従って動作する。
光源31は、レーザ光を出力するレーザモジュールからなる。この光源31は、赤色(R)のレーザ光を出力する赤色レーザダイオードと、緑色(G)のレーザ光を出力する緑色レーザダイオードと、青色(B)のレーザ光を出力する青色レーザダイオードと、を含んでいる。これら3種類のレーザダイオードから出力される3色のレーザ光は、例えば、ダイクロイックミラーにより合成され、走査部32に入射する。
走査部32は、光源31からの光を走査することにより、可動スクリーン1a又は固定スクリーン1bの表面11上を走査する光を可動スクリーン1a又は固定スクリーン1bに照射する。ここで、走査部32は、可動スクリーン1a又は固定スクリーン1bの表面11の縦方向及び横方向に対し、二次元的に光を走査する、ラスタスキャン(Raster scan)を行う。ここでいう「横方向」は、可動スクリーン1a又は固定スクリーン1bの表面11及び基準面503の両方に平行な方向であって、表面11において「縦方向」と直交する方向(図3の紙面に直交する方向)である。「横方向」は、可動スクリーン1aと固定スクリーン1bとで共通の方向である。
走査部32は、図4A及び図4Bに示すように、可動スクリーン1a又は固定スクリーン1bの表面11上に形成される輝点B1を横方向に一次元的に走査して走査線を形成し、かつ縦方向に輝点B1を走査することで、二次元の画像を形成する。走査部32は、このような動作を繰り返しながら、縦方向における表面11の両端間を往復するように輝点B1を走査する。図4Aは、可動スクリーン1aの表面11を第1端部111から第2端部112に向けて走査する「往路」における、可動スクリーン1a又は固定スクリーン1bの表面11上の輝点B1の動きを概念的に示す図である。図4Bは、可動スクリーン1aの表面11を第2端部112から第1端部111に向けて走査する「復路」における、可動スクリーン1a又は固定スクリーン1bの表面11上の輝点B1の動きを概念的に示す図である。
すなわち、本実施形態では、照射部3の動作状態は、「往路」となる第1走査状態と、「復路」となる第2走査状態と、を含んでいる。第1走査状態は、第1端部111から第2端部112に向けて可動スクリーン1aの表面11上を走査する動作状態である。第2走査状態は、第2端部112から第1端部111に向けて可動スクリーン1aの表面11上を走査する動作状態である。
また、本実施形態では、可動スクリーン1aと固定スクリーン1bとは、可動スクリーン1aの縦方向において、並んで配置されている。そのため、照射部3が第1走査状態で動作していると、可動スクリーン1aの表面11上において第2端部112まで達した輝点B1は、可動スクリーン1aから固定スクリーン1bへと乗り移り、引き続き固定スクリーン1bの表面11上を走査する。同様に、照射部3が第2走査状態で動作していると、輝点B1は、固定スクリーン1bから可動スクリーン1aへと乗り移り、引き続き可動スクリーン1aの表面11上を走査する。
そのため、例えば、可動スクリーン1aの第1端部111を始点として、走査部32が縦方向に1往復する場合、照射部3からの光は、まず可動スクリーン1aの表面11上を、第1端部111から第2端部112に向けて走査する。その後、照射部3からの光は、固定スクリーン1bの表面11上を、縦方向における可動スクリーン1a側の端部から、可動スクリーン1aとは反対側の端部に向けて走査する。その後、照射部3からの光は、固定スクリーン1bの表面11上を、縦方向における可動スクリーン1aとは反対側の端部から、可動スクリーン1a側の端部に向けて走査する。その後、照射部3からの光は、可動スクリーン1aの表面11上を、第2端部112から第1端部111に向けて走査する。このように、照射部3は、可動スクリーン1aと固定スクリーン1bとを交互に走査する。
走査部32は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた微小な走査ミラーを有している。この走査部32は、図5に示すように、レーザ光を反射するミラー部321を含み、ミラー部321を回転させることによって、光源31からの光を、ミラー部321の回転角度(振れ角)に応じた向きに反射する。これにより、走査部32は、光源31からの光を走査する。この走査部32は、ミラー部321を、互いに直交する2軸を中心に回転させることにより、二次元的に光を走査するラスタスキャンを実現する。
走査部32は、第1レンズ322と、第2レンズ323と、を更に有している。第1レンズ322は、光源31とミラー部321との間に配置され、ミラー部321に対して平行光を入射する。第2レンズ323は、テレセントリックレンズからなり、ミラー部321とスクリーン1との間に配置されている。つまり、第2レンズ323は、レンズ全体において主光線が光軸に対して平行となる光学系であって、第2レンズ323を通った光は光軸(第2レンズ323とスクリーン1とを結ぶ直線)に平行に出力される。図5は、照射部3の構成を説明するための模式図に過ぎず、例えば、照射部3から照射された光の焦点がスクリーン1の表面11から大きくずれた位置にある等、本実施形態に係る表示装置10とは異なる点がある。
投影光学系4は、照射部3から出力されスクリーン1を透過する光が入射光として入射し、入射光により、対象空間400(図1参照)に虚像300(図1参照)を投影する。ここで、投影光学系4は、スクリーン1に対して可動スクリーン1aの移動方向Xに並ぶように配置されており、スクリーン1を透過しスクリーン1から移動方向Xに沿って出力される光により、虚像300を投影する。投影光学系4は、図3に示すように、拡大レンズ41、第1ミラー42、及び第2ミラー43を有している。
拡大レンズ41、第1ミラー42、及び第2ミラー43は、スクリーン1を透過した光の経路上に、この順で配置されている。拡大レンズ41は、スクリーン1から移動方向Xに沿って出力される光が入射するように、スクリーン1から見て移動方向Xにおける照射部3とは反対側(第1の向きX1側)に配置されている。拡大レンズ41は、照射部3からの光によりスクリーン1に形成された画像700(図7参照)を拡大し、第1ミラー42に出力する。第1ミラー42は、拡大レンズ41からの光を第2ミラー43に向けて反射する。第2ミラー43は、第1ミラー42からの光を、ウインドシールド101(図1参照)に向けて反射する。すなわち、投影光学系4は、照射部3からの光によってスクリーン1に形成される画像700を、拡大レンズ41にて拡大し、ウインドシールド101に投影することで、対象空間400に虚像300を投影する。ここで、拡大レンズ41の光軸が、投影光学系4の光軸500となる。
投影光学系4は、照射部3と共に、投影部40を構成する。言い換えれば、投影部40は、照射部3及び投影光学系4を有している。よって、投影光学系4の光軸500となる拡大レンズ41の光軸(ミラー等で反射された光軸の延長線を含む)は、投影部40の光軸500でもある。
投影部40は、複数のスクリーン1a,1bの中から一のスクリーン1を対象スクリーンとして択一的に選択し、対象スクリーンを走査する光を対象スクリーンに照射することにより対象スクリーンに描画を行う。そして、投影部40は、対象スクリーンを透過する光により対象空間400に虚像300を投影する。本実施形態では、光源31からの光の向きは照射部3の走査部32にて変化させられており、可動スクリーン1aと固定スクリーン1bとのいずれに光源31からの光を照射するかは、照射部3にて決定される。
すなわち、走査部32により、光源31からの光が可動スクリーン1aに照射されている状態では、可動スクリーン1aが、投影部40にて対象スクリーンとして選択されていることになる。この状態では、投影部40は、可動スクリーン1aを走査する光を可動スクリーン1aに照射することにより、対象スクリーンとしての可動スクリーン1aに描画を行う。一方、走査部32により、光源31からの光が固定スクリーン1bに照射されている状態では、固定スクリーン1bが、投影部40にて対象スクリーンとして選択されていることになる。この状態では、投影部40は、固定スクリーン1bを走査する光を固定スクリーン1bに照射することにより、対象スクリーンとしての固定スクリーン1bに描画を行う。本実施形態では、照射部3は、可動スクリーン1aと固定スクリーン1bとを交互に走査するので、投影部40にて可動スクリーン1aが対象スクリーンとして選択されている可動表示期間は間欠的に設定されることになる。
位置センサ6は、可動スクリーン1aの位置を検出するためのセンサである。位置センサ6が検出するのは、表示装置10の筐体等の固定部材を基準として表される、可動スクリーン1aの「絶対位置」である。ここでいう「絶対位置」は、固定的に規定される1点から見た可動スクリーン1aの位置であって、この1点を原点とする絶対座標上の位置である。したがって、可動スクリーン1aが移動しない限り絶対位置は不変である。これに対して、後述する駆動制御部51(図3参照)は、可動スクリーン1aを基準位置に対して相対的に移動させる。ここでいう「基準位置」は、可動スクリーン1aの移動範囲における規定位置に設定された位置である。ここでいう「規定位置」は、可動スクリーン1aの移動範囲内に規定された任意の位置であって、絶対座標上での不変の位置として規定される。つまり、駆動制御部51は、絶対座標における可動スクリーン1aのある位置(絶対位置)を基準位置とした場合に、この基準位置に対する可動スクリーン1aの「相対位置」を変化させるように、可動スクリーン1aを移動させる。ここでいう「相対位置」は、絶対座標上の任意の基準位置に対する可動スクリーン1aの相対的な位置であって、この基準位置を原点とする相対座標上の位置である。したがって、可動スクリーン1aが移動しなくても、基準位置が変化すれば相対位置は変化する。
本実施形態では、位置センサ6は、一例として、発光素子及び受光素子を有するアブソリュート型の光学式エンコーダである。この位置センサ6は、可動スクリーン1aを保持するホルダに設けたスリットの位置を、発光素子からの光の受光素子での受光状態によって検出することにより、可動スクリーン1aの位置を検出する。ただし、位置センサ6は、光学式エンコーダに限らず、例えば、磁気式エンコーダ、又は接点の導通状態によって位置を検出する接点式のセンサ等であってもよい。
位置センサ6は、可動スクリーン1aの移動方向Xにおける、可動スクリーン1aの位置を検出する。ここで、位置センサ6は、少なくとも検出位置に可動スクリーン1aが位置することを検出できればよく、可動スクリーン1aの移動範囲の全域にわたって可動スクリーン1aの位置を検出することは必須でない。ここでいう「検出位置」は、規定位置に関連して設定された絶対座標上の位置である。本実施形態では、絶対座標上で規定された規定位置そのものが検出位置として設定されており、規定位置と検出位置とは一致する。したがって、後述の駆動制御部51は、基準位置が規定位置からずれない限り、検出位置に対して可動スクリーン1aを相対的に移動させることになる。本実施形態では、位置センサ6は、検出位置に可動スクリーン1aが位置するか否かに加え、移動方向Xにおける可動スクリーン1aの移動の向き、及び移動量を検出可能である。
制御回路5は、駆動部2、照射部3、及び位置センサ6を制御する。制御回路5は、第1制御信号で駆動部2を制御し、第2制御信号で照射部3を制御する。さらに、制御回路5は、位置センサ6から検出信号を受信する。詳しくは後述するが、制御回路5は、駆動部2の動作と照射部3の動作とを同期させるように構成されている。本実施形態では、照射部3は、光源31及び走査部32を有している。制御回路5は、第2制御信号により、光源31及び走査部32の両方を制御する。
制御回路5は、図3に示すように、駆動制御部51、位置検出部52、及び校正部53としての機能を有している。制御回路5は、例えば、自動車100に搭載されている運転支援システムからの信号を受けて、投影する虚像300の内容(コンテンツ)を決定する。
駆動制御部51は、駆動部2を制御することにより、可動スクリーン1aを基準位置に対して相対的に移動させる。すなわち、駆動制御部51は、上述したように絶対座標上の任意の基準位置を原点とする相対座標上で、可動スクリーン1aを移動させる。詳しくは後述するが、駆動制御部51は、可動スクリーン1aを透過する光により対象空間400に第2虚像302を投影するために可動スクリーン1aを移動させるのであって、照射部3による可動スクリーン1aへの描画と同期して駆動部2を制御する。
本実施形態では、駆動制御部51は、可動スクリーン1aを断続的に移動させるように駆動部2を制御する。そして、駆動制御部51は、可動スクリーン1aを移動させる度に、可動スクリーン1aを基準位置に戻すように可動スクリーン1aを移動させる復帰処理を行う。このようにして、駆動制御部51は、駆動部2を開ループ制御しながらも、可動スクリーン1aを基準位置に対して相対的に移動させる。ただし、復帰処理後の可動スクリーン1aの位置(絶対位置)には、ばらつきを生じる可能性がある。要するに、可動スクリーン1aが移動する度に、絶対座標上での可動スクリーン1aの位置に位置ずれが生じ、結果的に、絶対座標上での基準位置がばらつく可能性がある。本実施形態に係る表示装置10では、位置検出部52及び校正部53を有することにより、このような基準位置のばらつきを低減する。
位置検出部52は、規定位置に関連付けて設定された検出位置に可動スクリーン1aが位置することを検出する位置検出処理を実行する。位置検出部52は、投影部40(投影光学系4及び照射部3)にて固定スクリーン1bが対象スクリーンとして選択されている固定表示期間において、可動スクリーン1aを移動させ、位置検出処理を実行するように構成されている。すなわち、位置検出部52は、駆動部2を制御することにより、可動スクリーン1aを絶対座標上で移動させる機能を有している。詳しくは後述するが、本実施形態では、位置検出部52は、固定表示期間において、可動スクリーン1aが検出位置を通過するように可動スクリーン1aを移動させて、その間に、検出位置に可動スクリーン1aが位置することを検出する位置検出処理を実行する。
校正部53は、少なくとも位置検出部52の検出結果に基づいて、可動スクリーン1aを規定位置に移動させる。すなわち、校正部53は、駆動部2を制御することにより、可動スクリーン1aを絶対座標上で移動させる機能を有している。これにより、絶対座標上での基準位置にばらつきが生じたとしても、位置検出部52及び校正部53により、基準位置が規定位置に一致するように、基準位置が規定位置上に再設定される。詳しくは後述するが、本実施形態では、校正部53は、位置検出部52の検出結果、及び検出位置を通過後の可動スクリーン1aの移動量に基づいて、可動スクリーン1aを規定位置に移動させるように構成されている。
制御回路5は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータにて構成されている。言い換えれば、制御回路5は、CPU及びメモリを有するコンピュータにて実現されており、CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータが制御回路5(駆動制御部51、位置検出部52、及び校正部53)として機能する。プログラムは、ここでは制御回路5のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよい。
(3)動作
(3.1)基本動作
まず、本実施形態に係る表示装置10の基本的な動作について、図6を参照して説明する。
制御回路5は、照射部3を制御し、可動スクリーン1aに対して照射部3から光を照射する。このとき、可動スクリーン1aには、可動スクリーン1aの表面11上を走査する光が照射部3から照射される。これにより、可動スクリーン1aの表面11又は裏面12には、画像700(図7参照)が形成(投影)される。本実施形態では、一例として、可動スクリーン1aの表面11に光拡散性を有するため、画像700は可動スクリーン1aの表面11に形成される。さらに、照射部3からの光は可動スクリーン1aを透過し、投影光学系4(拡大レンズ41、第1ミラー42、及び第2ミラー43)からウインドシールド101に照射する。これにより、可動スクリーン1aに形成された画像700は、自動車100の車室内であってウインドシールド101の下方から、ウインドシールド101に投影される。
投影光学系4からウインドシールド101に画像700が投影されると、ウインドシールド101は、投影光学系4からの光を、車室内のユーザ200(運転者)に向けて反射する。これにより、ウインドシールド101で反射された画像700が、ユーザ200に視認される。その結果、ユーザ200は、自動車100の前方(車外)に投影された虚像300(第1虚像301又は第2虚像302)を、ウインドシールド101越しに視認する。
また、制御回路5は、投影部40(投影光学系4及び照射部3)にて可動スクリーン1aが対象スクリーンとして選択されている可動表示期間において、駆動制御部51にて駆動部2を制御し、可動スクリーン1aを移動方向Xに移動させる。可動スクリーン1aの表面11における照射部3からの光の照射位置、つまり輝点B1の位置が同じ場合、可動スクリーン1aが第1の向きX1に移動すると、ユーザ200の目(アイポイント)から虚像300までの距離(「視距離」ともいう)は、短くなる。反対に、可動スクリーン1aの表面11における輝点B1の位置が同じ場合に、可動スクリーン1aが第2の向きX2に移動すると、虚像300までの視距離は、長く(遠く)なる。要するに、虚像300までの視距離は移動方向Xにおける可動スクリーン1aの位置によって変化し、可動スクリーン1aが照射部3に近づくほど、可動スクリーン1a上の輝点B1に対応して投影される虚像300までの視距離は長くなる。言い換えれば、可動スクリーン1aに対する照射部3からの光の照射位置が、移動方向Xにおいて投影光学系4から離れるほどに、この光により投影される虚像300までの視距離は長くなる。
また、制御回路5は、照射部3を制御し、固定スクリーン1bに対して照射部3から光を照射する。このとき、固定スクリーン1bには、固定スクリーン1bの表面11上を走査する光が照射部3から照射される。これにより、可動スクリーン1aに光を照射する場合と同様に、固定スクリーン1bの表面11又は裏面12(本実施形態では表面11とする)には画像が形成(投影)され、ウインドシールド101に画像が投影される。その結果、ユーザ200は、自動車100の前方(車外)に投影された虚像300(第3虚像303)を、ウインドシールド101越しに視認する。
(3.2)具体的表示動作
次に、本実施形態に係る表示装置10において、虚像300を投影するための具体的な動作について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、第1虚像301を投影する際の表示装置10の動作を模式的に表す図であって、図8は、第2虚像302を投影する際の表示装置10の動作を模式的に表す図である。図7及び図8では、固定スクリーン1b等の図示を省略している。
第1虚像301を投影する際には、図7に示すように、制御回路5は、照射部3から可動スクリーン1aに光を照射しつつ、可動スクリーン1aを移動方向X(図6参照)に移動させることなく、移動方向Xにおいて可動スクリーン1aを固定する。すなわち、制御回路5は、照射部3にて定位置にある可動スクリーン1aに光を照射するように、駆動部2及び照射部3を制御する。可動スクリーン1aは、そもそも移動方向Xに対して傾斜した状態にあるため、可動スクリーン1aが定位置にあっても、縦方向における可動スクリーン1aの表面11上の位置によって、移動方向Xにおける投影光学系4までの距離に差が生じる。そのため、可動スクリーン1aが固定された状態にあっても、可動スクリーン1aの表面11における照射部3からの光の照射位置が、縦方向に変化することによって、可動スクリーン1aの表面11における照射部3からの光の照射位置は移動方向Xに変化する。その結果、可動スクリーン1aには第1画像701が形成(投影)される。ここでいう「第1画像」は、可動スクリーン1aの表面11又は裏面12に形成される画像700であって、可動スクリーン1aの表面11に沿って形成される、つまり基準面503に対して傾斜した画像700である。この第1画像701が、投影光学系4からウインドシールド101に投影されると、ユーザ200は、自動車100の前方に投影された第1虚像301を、ウインドシールド101越しに視認する。
例えば、可動スクリーン1aの表面11における照射部3からの光の照射位置が、縦方向において第1端部111に近づくほど、移動方向Xにおける投影光学系4から照射位置までの距離は長くなり、この光により投影される虚像300までの視距離は長くなる。反対に、可動スクリーン1aの表面11における照射部3からの光の照射位置が、縦方向において第2端部112に近づくほど、移動方向Xにおける投影光学系4から照射位置までの距離は短くなり、この光により投影される虚像300までの視距離は短くなる。これにより、光軸500に対して傾斜角度αで傾斜した第1仮想面501上に、虚像300としての第1虚像301が形成される。
したがって、可動スクリーン1aが固定された状態において、照射部3が、例えば、第1端部111から第2端部112に向けて光を走査すれば、路面600に沿って奥行きをもってユーザ200に視認される第1虚像301が投影される。このときに形成される第1虚像301の、アイポイントPe1からの視距離は、図7に示すように、可動スクリーン1aの第1端部111側(上端部側)にて、可動スクリーン1aの第2端部112側(下端部側)より大きくなる。言い換えれば、可動スクリーン1aは、照射部3の光が第1端部111に照射した状態で、第1虚像301上の描画点から投影光学系4までの光路長が最大となるように構成されている。可動スクリーン1aは、照射部3の光が第2端部112に照射した状態で、第1虚像301上の描画点から投影光学系4までの光路長が最小となるように構成されている。つまり、第1虚像301は、ユーザ200から見て、上下方向(図2の上下方向)において、上端側で視距離が最大となるように光軸500に対して傾斜した虚像となる。
一方、第2虚像302を投影する際には、図8に示すように、制御回路5は、照射部3から可動スクリーン1aに光を照射しつつ、可動スクリーン1aを移動方向Xに移動させる。すなわち、制御回路5は、照射部3にて移動中の可動スクリーン1aに光を照射するように、駆動部2及び照射部3を制御する。可動スクリーン1aは、そもそも移動方向Xに対して傾斜した状態にあるため、可動スクリーン1aが定位置にあると、縦方向における可動スクリーン1aの表面11上の位置によって、移動方向Xにおける投影光学系4までの距離に差が生じる。この距離の差をキャンセルするように、縦方向における照射部3からの光の照射位置の変化に同期して、可動スクリーン1aを移動方向Xに移動させることによって、可動スクリーン1aの表面11の照射部3からの光の照射位置は移動方向Xにおいて不変となる。その結果、可動スクリーン1aには第2画像702が形成(投影)される。ここでいう「第2画像」は、可動スクリーン1aの表面11又は裏面12に形成される画像700であって、基準面503に沿って形成される画像700である。この第2画像702が、投影光学系4からウインドシールド101に投影されると、ユーザ200は、自動車100の前方に投影された第2虚像302を、ウインドシールド101越しに視認する。
例えば、可動スクリーン1aの表面11における照射部3からの光の照射位置が、縦方向において第1端部111に近づくときには、第1の向きX1に可動スクリーン1aが移動することで、移動方向Xにおける投影光学系4から照射位置までの距離が略一定となる。反対に、可動スクリーン1aの表面11における照射部3からの光の照射位置が、縦方向において第2端部112に近づくときには、第2の向きX2に可動スクリーン1aが移動することで、移動方向Xにおける投影光学系4から照射位置までの距離は略一定となる。これにより、光軸500に対して傾斜角度β(一例として90度)で傾斜した第2仮想面502上に、虚像300としての第2虚像302が形成される。
したがって、例えば、可動スクリーン1aが第2の向きX2に移動しているときに、照射部3が、第1端部111から第2端部112に向けて光を走査すれば、ユーザ200から一定距離の路面600上に直立して視認される第2虚像302が投影される。このときに形成される第2虚像302の、アイポイントPe1からの視距離は、図8に示すように、可動スクリーン1aの第1端部111側(上端部側)と、可動スクリーン1aの第2端部112側(下端部側)とで略均等になる。つまり、第2虚像302は、ユーザ200から見て、上下方向(図2の上下方向)において、上端側と下端側とで視距離が略均等な虚像となる。
ここにおいて、本実施形態では、縦方向における照射部3の走査範囲は、第1虚像301を形成するときよりも、第2虚像302を形成するときの方が狭く設定されている。すなわち、可動スクリーン1aの表面11上に形成される画像700においては、第1画像701よりも第2画像702の方が可動スクリーン1aの縦方向における寸法が小さく設定されている。これにより、例えば、図2に例示するように、ユーザ200の視野内においては、第1虚像301の上下方向の寸法よりも各第2虚像302の上下方向の寸法の方が小さくなる。
また、第3虚像303を投影する際には、制御回路5は、照射部3から固定スクリーン1bに光を照射する。固定スクリーン1bは、そもそも移動方向Xに対して移動方向Xに略直交する状態にあるため、固定スクリーン1bの表面11から投影光学系4までの移動方向Xにおける距離は、縦方向における固定スクリーン1bの表面11上の位置によらず略一定である。その結果、固定スクリーン1bには基準面503に沿って第3画像が形成(投影)される。この第3画像が、投影光学系4からウインドシールド101に投影されると、ユーザ200は、自動車100の前方に投影された第3虚像303(図2参照)を、ウインドシールド101越しに視認する。本実施形態では、固定スクリーン1bを透過する光によって形成される第3虚像303は、第2虚像302と同様に、光軸500に対して傾斜角度β(一例として90度)で傾斜した第2仮想面502上に形成される。つまり、第3虚像303は、ユーザ200から見て、上下方向(図2の上下方向)において、上端側と下端側とで視距離が略均等な虚像となる。
本実施形態に係る表示装置10は、走査部32が可動スクリーン1aの縦方向に1往復する1周期の間に、第1虚像301、第2虚像302、及び第3虚像303の全てを投影可能である。ここでは一例として、可動スクリーン1aの第1端部111を始点として、走査部32が縦方向に1往復する際に、第1虚像301、第3虚像303、及び第2虚像302が、この順で投影される場合を例示する。具体的には、投影部40は、第1端部111から第2端部112に向けて光を走査する「往路」において、まずは可動スクリーン1aに光を照射して第1虚像301を投影し、その後、固定スクリーン1bに光を照射して第3虚像303を表示する。それから、投影部40は、第2端部112から第1端部111に向けて光を走査する「復路」において、まずは固定スクリーン1bに光を照射して第3虚像303を表示し、その後、可動スクリーン1aに光を照射して第2虚像302を投影する。
すなわち、表示装置10は、表示(虚像300の投影)動作を開始すると、まず「往路」において、第1虚像301を形成(投影)するための処理を行う。つまり、制御回路5は、照射部3を第1走査状態で動作させ、照射部3にて、第1端部111から第2端部112に向けて可動スクリーン1aの表面11上を走査(ラスタスキャン)することにより、第1画像701を描画する。このとき、制御回路5は、可動スクリーン1aを基準位置に固定するように、駆動制御部51にて駆動部2を制御する。このように、「往路」においては、まず、可動スクリーン1aが基準位置に固定された状態で、可動スクリーン1aには第1画像701が描画される。これにより、「往路」であって、投影部40にて可動スクリーン1aが対象スクリーンとして選択されている可動表示期間において、対象空間400には、路面600に沿った第1虚像301が投影される。
次に、表示装置10は、「往路」において、第3虚像303を形成(投影)するための処理を行う。つまり、制御回路5は、照射部3を第1走査状態で動作させ、照射部3にて、可動スクリーン1a側の端部から可動スクリーン1aとは反対側の端部に向けて固定スクリーン1bの表面11上を走査(ラスタスキャン)することにより、第3画像を描画する。往路が終了すると、表示装置10は、「復路」において、続けて第3虚像303を形成(投影)するための処理を行う。つまり、制御回路5は、照射部3を第2走査状態で動作させ、照射部3にて、可動スクリーン1aとは反対側の端部から可動スクリーン1a側の端部に向けて固定スクリーン1bの表面11上を走査(ラスタスキャン)することにより、第3画像を描画する。このように、投影部40にて固定スクリーン1bが対象スクリーンとして選択されている固定表示期間においては、「往路」及び「復路」の両方で、固定スクリーン1bには第3画像が描画される。これにより、「往路」か「復路」かにかかわらず、固定表示期間において、対象空間400には、ユーザ200から一定距離の路面600上に直立した第3虚像303が投影される。
次に、表示装置10は、「復路」において、第2虚像302を形成(投影)するための処理を行う。つまり、制御回路5は、照射部3を第2走査状態で動作させ、照射部3にて、第2端部112から第1端部111に向けて可動スクリーン1aの表面11上を走査(ラスタスキャン)することにより、第2画像702を描画する。このとき、制御回路5は、可動スクリーン1aを第1の向きX1に移動させるように、駆動制御部51にて駆動部2を制御する。第2画像702の描画中において、第1の向きX1に移動する可動スクリーン1aの移動速度は、規定速度で一定(等速)である。つまり、「復路」においては、可動スクリーン1aに横方向に1本の走査線が描画されるごとに、可動スクリーン1aを照射部3から遠ざける(投影光学系4に近づける)ように移動させながら、第2画像702が描画されることになる。これにより、「復路」であって、投影部40にて可動スクリーン1aが対象スクリーンとして選択されている可動表示期間において、対象空間400には、ユーザ200から一定距離の路面600上に直立した第2虚像302が投影される。
したがって、照射部3からの光の照射位置が可動スクリーン1a及び固定スクリーン1bの表面11上を縦方向において1往復する間に、対象空間400には、第1虚像301、第3虚像303、及び第2虚像302が投影される。照射部3における縦方向の走査が比較的高速で行われることにより、ユーザ200においては、第1虚像301、第3虚像303、及び第2虚像302が同時に表示されているように視認される。照射部3における縦方向の走査の周波数は、一例として、60Hz以上である。
(3.3)位置検出処理
次に、本実施形態に係る表示装置10において、基準位置のばらつきを低減するための、位置検出部52及び校正部53の動作について、図9A及び図9Bを参照して説明する。以下では、「(3.2)具体的表示動作」の欄で説明したように、走査部32が縦方向に1往復する際に、第1虚像301、第3虚像303、及び第2虚像302が、この順で投影される場合を想定している。
図9Aは、本実施形態に係る表示装置10が動作した場合の、移動方向Xにおける可動スクリーン1aの位置の時間変化を示すグラフである。図9Bは、位置検出部52及び校正部53の機能を無効にした(つまり位置検出部52及び校正部53が省略された)比較例についての、同様のグラフである。図9A及び図9Bでは、横軸を時間軸とし、可動スクリーン1aの位置を縦軸に示している。
本実施形態では、図9Aに示すように、走査部32が可動スクリーン1aの縦方向に1往復する1周期に相当する各フレームF1,F2,F3は、第1期間T1〜第7期間T7に区分されている。「往路」の開始時点を各フレームF1,F2,F3の始点とした場合、第1期間T1、第2期間T2、第3期間T3、第4期間T4、第5期間T5、第6期間T6、及び第7期間T7は、各フレームF1,F2,F3の始点からこの順で設定される。第1期間T1、第4期間T4、及び第7期間T7は、照射部3が複数のスクリーン1a,1bのいずれにも光を照射しない、非表示期間(ブランキング期間)である。第2期間T2は、第1虚像301を投影するための期間である。第3期間T3及び第5期間T5は、第3虚像303を投影するための固定表示期間である。第6期間T6は、第2虚像302を投影するための可動表示期間である。「往路」から「復路」への切り替えは、第4期間T4(非表示期間)の途中で行われる。すなわち、本実施形態では、「往路」の期間Txに、第1虚像301、及び第3虚像303が、この順で投影され、「復路」の期間Tyに、第3虚像303、及び第2虚像302が、この順で投影される。
図9Aの例では、フレームF1の始点においては、駆動制御部51による可動スクリーン1aの移動の基準となる「基準位置」が、規定位置Ps1と一致している場合を想定する。そのため、フレームF1の「往路」の期間Txにおいては、可動スクリーン1aは基準位置(規定位置Ps1)に固定されている。つまり、「往路」の期間Tx中の第2期間T2においては、可動スクリーン1aが基準位置に固定されている状態で、可動スクリーン1aには第1画像701が形成され、対象空間400には第1虚像301が投影される。
一方、フレームF1の「復路」の期間Tyにおいては、移動方向Xにおける可動スクリーン1aの位置は第2画像702を描画するタイミングに合わせて変化する。ここでは、第6期間T6(可動表示期間)における期間T61が、第2画像702の描画中の期間を表している。すなわち、可動スクリーン1aが基準位置(規定位置Ps1)から第1の向きX1に移動している状態で、可動スクリーン1aには第2画像702が形成され、対象空間400には第2虚像302が投影される。このとき、可動スクリーン1aの移動速度は等速である。そして、第2画像702が形成される度に、期間T61の直後の期間T62において、可動スクリーン1aは第2の向きX2に移動して基準位置に復帰する。ただし、図9Aの例では、復帰後の基準位置が、絶対座標上で規定位置Ps1から第2の向きX2にややずれた位置にある場合を想定している。よって、フレームF1の終点(フレームF2の始点)においては、可動スクリーン1aは規定位置Ps1からずれた位置にある。
そのため、フレームF2の「往路」の期間Txにおける少なくとも第2期間T2の終点までの間は、可動スクリーン1aは規定位置Ps1からずれた基準位置に固定されている。つまり、第2期間T2においては、可動スクリーン1aが規定位置Ps1からずれた位置に固定されている状態で、可動スクリーン1aには第1画像701が形成され、対象空間400には第1虚像301が投影される。
本実施形態に係る表示装置10においては、フレームF2の第3期間T3(固定表示期間)において、位置検出部52が、可動スクリーン1aを移動させ、位置検出処理を実行する。ここでは、第3期間T3における期間T31が、位置検出処理が実行される期間を表している。このとき、位置検出部52は、規定の振幅で、移動方向Xにおいて可動スクリーン1aを移動させることにより、可動スクリーン1aが検出位置(規定位置Ps1)を通過するように可動スクリーン1aを移動させる。そして、位置検出部52は、可動スクリーン1aが検出位置(規定位置Ps1)を通過する瞬間をもって、可動スクリーン1aが検出位置に位置することを検出する。すなわち、図9Aの例では、可動スクリーン1aが規定位置Ps1を通過する時点t0をもって、可動スクリーン1aが検出位置に位置することが検出される。
さらに、フレームF2の第3期間T3(固定表示期間)において、校正部53が、位置検出部52の検出結果に基づいて、可動スクリーン1aを規定位置Ps1に移動させる校正処理を実行する。ここでは、第3期間T3における期間T32が、校正処理が実行される期間を表している。このとき、校正部53は、位置検出部52の検出結果、及び検出位置を通過後の可動スクリーン1aの移動量に基づいて、移動方向Xにおいて可動スクリーン1aを移動させることにより、可動スクリーン1aを規定位置Ps1に移動させる。すなわち、校正部53は、位置検出部52の検出結果に基づいて、絶対座標上での正規の基準位置である規定位置Ps1に可動スクリーン1aを移動させることで、基準位置を校正する。
具体的には、校正部53は、可動スクリーン1aが検出位置に位置することを位置検出部52が検出した時点t0からの、可動スクリーン1aの移動の向き及び移動量を、例えば、位置センサ6の出力より検出する。校正部53は、このようにして検出された移動量の分だけ、検出された移動の向きとは反対側に可動スクリーン1aを移動させることにより、可動スクリーン1aを正規の基準位置(規定位置Ps1)に移動させる。図9Aの例では、フレームF2において、時点t0から第1の向きX1に可動スクリーン1aが移動しているので、校正部53は、可動スクリーン1aを第2の向きX2に移動させる。よって、フレームF2の「往路」の期間Txの終点(「復路」の始点)においては、可動スクリーン1aの位置は正規の基準位置(規定位置Ps1)にある。
そして、フレームF2の「復路」の期間Tyにおいては、フレームF1と同様に、第6期間T6(可動表示期間)における期間T61,T62に、可動スクリーン1aが移動する。可動スクリーン1aの移動前(期間T61の開始前)においては、可動スクリーン1aは正規の基準位置(規定位置Ps1)にあるが、可動スクリーン1aの移動後(期間T62の終了後)においては、可動スクリーン1aは規定位置Ps1からずれた位置にある。その結果、フレームF2の終点での基準位置は、絶対座標上で規定位置Ps1からずれた位置にある。
その後、フレームF3においても、フレームF2と同様に、第3期間T3(固定表示期間)において、位置検出処理及び校正処理が実行されることにより、基準位置が校正されて規定位置Ps1上に再設定される。本実施形態に係る表示装置10においては、以上説明したフレームF2,F3と同様の動作を繰り返すことにより、規定位置Ps1からの基準位置のずれが、フレームごとに修正され、絶対座標上での規定位置Ps1からの基準位置のずれ量が低減される。
これに対して、比較例では、図9Bに示すように、規定位置Ps1からの基準位置のずれが、フレームごとに修正されないため、規定位置Ps1からの基準位置からのずれ量が大きくなる可能性がある。すなわち、比較例においては、図9Bに示すように、フレームF1の「復路」の期間Tyにおいて、期間T61,T62に可動スクリーン1aが移動した結果、フレームF1の終点での基準位置は、絶対座標上で規定位置Ps1からずれた位置にある。図9Bの例では、フレームF1の終点での基準位置は、規定位置Ps1から第1の向きX1にややずれた位置にある。スクリーンが移動する度に基準位置にずれが生じるような場合には、規定位置Ps1からの基準位置のずれ量が積算されるため、規定位置Ps1からの基準位置のずれ量が次第に大きくなる可能性がある。
「往路」の期間Tx中の第2期間T2においては、可動スクリーン1aが基準位置に固定されている状態で、可動スクリーン1aには第1画像701が形成され、対象空間400には第1虚像301が投影される。また、「復路」の期間Tyの第6期間T6(可動表示期間)においては、可動スクリーン1aが基準位置を基準にして移動している状態で、可動スクリーン1aには第2画像702が形成され、対象空間400には第2虚像302が投影される。そのため、比較例のように、規定位置Ps1に対する基準位置のばらつきが大きくなると、運転者の目から虚像300(第1虚像301又は第2虚像302)までの距離のばらつきが大きくなる可能性がある。一方、本実施形態に係る表示装置10においては、基準位置のばらつきが低減されるため、運転者の目から虚像300(第1虚像301又は第2虚像302)までの距離のばらつきを低減できる。さらに、基準位置のばらつきが低減されると、可動スクリーン1aの表面11上に形成される輝点B1(図4A参照)の大きさのばらつきを、比較的小さく抑えることができる。これにより、表示装置10においては、照射部3からの光により可動スクリーン1aに形成される画像700の解像度の低下を抑制でき、虚像300の解像度の低下を抑制できる。
ところで、図9Aの例では、第2虚像302が第6期間T6中に1回だけ投影される場合を想定しているが、第2虚像302は、第6期間T6中に複数回投影されてもよい。すなわち、第2画像702を形成するための処理(期間T61,T62)が複数回(例えば3回)行われることにより、対象空間400には、視距離が異なる複数(例えば3つ)の第2虚像302が投影される(図2参照)。この場合、可動スクリーン1a上で第2画像702が形成される位置が第1端部111に近くなるほど、第2虚像302の視距離が長くなる。このように、第6期間T6中に第2虚像302が複数回投影される場合には、第6期間T6において、可動スクリーン1aが複数回移動することになり、可動スクリーン1aが移動する度に、規定位置Ps1からの基準位置のずれが生じ得る。ただし、本実施形態に係る表示装置10においては、走査部32が可動スクリーン1aの縦方向に1往復する1周期(フレーム)ごとに、基準位置が校正されるため、規定位置Ps1からの基準位置のずれが低減される。
(4)変形例
実施形態1は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。さらに、実施形態1に係る態様は、単体の表示装置で具現化されることに限らない。例えば、システム、表示装置の制御方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記憶した記憶媒体等で、実施形態1に係る態様が具現化されてもよい。
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
実施形態1の第1変形例として、位置検出部52は、検索範囲を変更可能に構成されていてもよい。ここでいう「検索範囲」は、位置検出部52が位置検出処理を実行する際の可動スクリーン1aの移動範囲である。すなわち、位置検出部52は、位置検出処理において、まずは基準位置に位置する可動スクリーン1aを、規定の振幅(検索範囲)で移動方向Xに移動させることにより、可動スクリーン1aが検出位置(規定位置Ps1)に位置するか否かを検出する。このとき、検出位置に可動スクリーン1aが位置することが検出されなければ、位置検出部52は、検索範囲を変更して可動スクリーン1aを再度移動させ、位置検出処理を実行する。
第1変形例における検索範囲の変更の具体例として、位置検出部52は、例えば、位置検出処理における可動スクリーン1aの振幅を大きくして、検索範囲を移動方向Xにおいて拡大する。又は、位置検出部52は、例えば、位置検出処理における可動スクリーン1aの移動開始位置を変更して、検索範囲を移動方向Xにおいてシフトさせることにより、検索範囲を変更してもよい。さらに、位置検出部52は、検索範囲の拡大と、検索範囲のシフトとを組み合わせることにより、検索範囲を変更してもよい。本変形例によれば、位置検出処理において、位置検出部52が、最初に可動スクリーン1aを移動させる際の検索範囲を、比較的小さく設定することが可能である。そのため、位置検出処理における可動スクリーン1aの移動に係る、駆動部2の消費電力の低減、及び駆動部2の動作音の減少等につながる。
また、位置検出部52は、固定表示期間に限らず、例えば、第1虚像301又は第2虚像302の投影時に、位置センサ6からの検出信号に基づいて、検出位置に可動スクリーン1aが位置することを検出してもよい。すなわち、駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させた結果、可動スクリーン1aが検出位置を通過することがあれば、そのときの位置センサ6からの検出信号に基づいて、位置検出部52は、検出位置に可動スクリーン1aが位置することを検出できる。本変形例では、位置検出部52は、駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させた結果、可動スクリーン1aが検出位置を通過しなかった場合にのみ、固定表示期間に位置検出処理を実行すればよい。例えば、所定時間当たりに1回、検出位置に可動スクリーン1aが位置することを検出できればよい場合には、可動スクリーン1aが検出位置を通過しない状態が所定時間継続したときにのみ、位置検出部52は固定表示期間に位置検出処理を実行すればよい。
また、校正部53による校正処理は、表示装置10に必須の構成ではなく、適宜省略されてもよい。この場合、例えば、検出位置に可動スクリーン1aが位置することを位置検出部52が検出した時点で、位置検出部52による可動スクリーン1aの移動を終了することにより、検出位置(規定位置Ps1)にて可動スクリーン1aを停止させることができる。これにより、校正処理が行われなくても、規定位置Ps1からの基準位置のずれが低減される。
また、実施形態1では、規定位置Ps1と検出位置とは一致しているが、検出位置は規定位置Ps1に関連して設定されていればよく、例えば、規定位置Ps1から所定量だけ第1の向きX1、又は第2の向きX2にずれた位置が検出位置であってもよい。この場合、位置検出部52にて検出位置が特定されれば、校正部53は、この検出位置及び所定量に基づいて、規定位置Ps1を特定することが可能である。
また、制御回路5は、駆動部2及び照射部3を制御する構成であればよく、駆動部2を制御する機能と、照射部3を制御する機能とは一体でなくてもよい。例えば、駆動部2を制御する制御部と、照射部3を制御する制御部とが、別体として設けられ、互いに同期するように構成されていてもよい。
また、表示装置10は、1つの可動スクリーン1aと1つの固定スクリーン1bからなる2つのスクリーン1に限らず、3つ以上のスクリーン1を備えていてもよい。3つ以上のスクリーン1は、例えば、2つ以上の固定スクリーン1bと1つの可動スクリーン1aとで構成されてもよいし、2つ以上の可動スクリーン1aと1つの固定スクリーン1bとで構成されてもよい。また、2つ以上の可動スクリーン1aと2つ以上の固定スクリーン1bとで、4つ以上のスクリーン1が構成されてもよい。この場合でも、位置検出部52は、投影部40(投影光学系4及び照射部3)にて固定スクリーン1bが対象スクリーンとして選択されている固定表示期間において、可動スクリーン1aを移動させ、位置検出処理を実行する。そして、校正部53は、位置検出部52の検出結果に基づいて、可動スクリーン1aを規定位置に移動させる。これにより、1つ又は2つ以上の可動スクリーン1aの基準位置の、規定位置Ps1からのずれを低減することができでる。
また、図9Aの例では、「往路」の固定表示期間である第3期間T3に位置検出部52が位置検出処理を実行する例を示したが、この例に限らず、位置検出部52は、固定表示期間に位置検出処理を実行すればよい。例えば、位置検出部52は、「復路」の固定表示期間である第5期間T5に位置検出処理を実行してもよいし、第3期間T3及び第5期間T5の両方で位置検出処理を実行してもよい。また、校正部53による校正処理は、位置検出部52による位置検出処理と同一の固定表示期間に実行されなくてもよく、例えば、第3期間T3に位置検出部52が位置検出処理を実行し、第5期間T5に校正部53が校正処理を実行してもよい。
また、駆動制御部51は、第1虚像301を形成する際、移動方向Xにおいて可動スクリーン1aを固定する構成に限らず、第1虚像301を形成する際に、移動方向Xにおいて可動スクリーン1aを移動させてもよい。例えば、「往路」の期間Txにおいては、駆動制御部51は、可動スクリーン1aを第1の向きX1に移動させ続ける。一方、「復路」の期間Tyにおいては、駆動制御部51は、第2画像702の描画中の期間にのみ可動スクリーン1aを第1の向きX1に移動させ、それ以外の期間は可動スクリーン1aを第2の向きX2に移動させる。本変形例では、可動スクリーン1aが基準面503に平行である構成に比べると、可動スクリーン1aの移動範囲を狭く抑えることができる。
また、可動スクリーン1aは基準面503に平行であってもよい。この場合においても、位置検出部52は、投影部40(投影光学系4及び照射部3)にて固定スクリーン1bが対象スクリーンとして選択されている固定表示期間において、可動スクリーン1aを移動させ、位置検出処理を実行する。そして、校正部53は、位置検出部52の検出結果に基づいて、可動スクリーン1aを規定位置に移動させる。これにより、可動スクリーン1aの基準位置の、規定位置Ps1からのずれを低減することができでる。また、固定スクリーン1bは、基準面503に平行な構成に限らず、可動スクリーン1aと同様に、基準面503に対して傾斜していてもよい。
また、表示装置10は、第1虚像301、第2虚像302、及び第3虚像303を同時に投影する構成に限らず、例えば、第1虚像301のみを投影するモード、及び第2虚像302のみを投影するモードを有していてもよい。同様に、表示装置10は、第1虚像301及び第3虚像303のみを投影するモード、第2虚像302及び第3虚像303のみを投影するモード、並びに第3虚像303のみを投影するモードを有していてもよい。
また、照射部3の動作状態は、第1走査状態(往路)及び第2走査状態(復路)のいずれか一方のみであってもよい。この場合、第1虚像301、第2虚像302、及び第3虚像303は、第1走査状態(往路)及び第2走査状態(復路)のいずれか一方で形成される。
さらに、実施形態1では、第1虚像301が第1走査状態(往路)でのみ形成され、第2虚像302が第2走査状態(復路)でのみ形成される場合を示したが、この構成に限らない。例えば、第1虚像301が第2走査状態(復路)でのみ形成され、第2虚像302が第1走査状態(往路)でのみ形成されてもよいし、第1虚像301又は第2虚像302が、第1走査状態(往路)及び第2走査状態(復路)の両方で形成されてもよい。さらに、第1虚像301及び第2虚像302の両方が、第1走査状態(往路)及び第2走査状態(復路)の両方で形成されてもよい。この場合に、第1虚像301及び第2虚像302の少なくとも一部について、第1走査状態(往路)及び第2走査状態(復路)の両方で同じ虚像300が形成されることにより、虚像300の輝度を高めることができる。第3虚像303についても、第1走査状態(往路)及び第2走査状態(復路)の両方で形成される構成に限らず、第1走査状態(往路)のみ、又は第2走査状態(復路)のみで第3虚像303が形成されてもよい。
また、可動スクリーン1aの表面11において基準面503に対して傾斜した縦方向における照射部3の走査範囲は、第1虚像301を形成するときよりも、第2虚像302を形成するときの方が広くてもよい。
また、対象空間400に、図2に示すように、視距離が異なる複数(ここでは3つ)の第2虚像302が投影されることは表示装置10に必須の構成ではなく、対象空間400には、1つの第2虚像302のみが投影されてもよい。
また、駆動制御部51は、移動方向Xにおける可動スクリーン1aの急激な加速及び減速を抑制するように、駆動部2を制御してもよい。具体的には、駆動制御部51は、例えば、可動スクリーン1aが停止している状態と可動スクリーン1aが移動している状態との切替時等において、可動スクリーン1aに加わる加速度を規定値以下に抑えるように、駆動部2の制御パターンを規定する。
また、「表示面」は、スクリーン1において画像700を形成するための面であればよく、スクリーン1の表面11に限らず、例えばスクリーン1の裏面12であってもよい。更に、スクリーン1の表面11(又は裏面12)の全域が「表示面」でなくてもよく、「表示面」はスクリーン1の表面11(又は裏面12)の一部の領域であってもよい。この場合、画像700はスクリーン1の表面11(又は裏面12)のうち一部の領域にのみ形成される。
また、スクリーン1は、表面11にのみ光拡散性を有する構成に限らず、例えば、裏面12にのみ、又は表面11及び裏面12の両方に光拡散性を有していてもよい。スクリーン1の裏面12に光拡散性を有する場合、画像700はスクリーン1の裏面12に形成される。
また、表示装置10は、自動車100の進行方向の前方に設定された対象空間400に虚像300を投影する構成に限らず、例えば、自動車100の進行方向の側方、後方、又は上方等に虚像300を投影してもよい。
また、可動スクリーン1aは、移動方向Xに直進移動するだけでなく、例えば、基準面503に対する表面11の傾斜角度θを変化させるように、回転可能に構成されていてもよい。
また、投影光学系4は、中間像を形成するためのリレー光学系を含んでいてもよいし、リレー光学系を含んでいなくてもよい。
また、表示装置10は、自動車100に用いられるヘッドアップディスプレイに限らず、例えば、二輪車、電車、航空機、建設機械、及び船舶等、自動車100以外の移動体にも適用可能である。さらに、表示装置10は、移動体に限らず、例えば、アミューズメント施設で用いられてもよいし、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)等のウェアラブル端末、医療設備、又は据置型の装置として用いられてもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る表示装置10は、位置検出部52が、可動表示期間に駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させることをトリガにして、位置検出処理を実行する点で、実施形態1に係る表示装置10とは相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、実施形態1と同様に、投影部40にて可動スクリーン1aが対象スクリーンとして選択されている可動表示期間が間欠的に設定されている。駆動制御部51は、このように間欠的に設定された可動表示期間において、毎回、可動スクリーン1aを移動させるのではなく、第2虚像302を投影する場合にのみ、可動スクリーン1aを移動させる。すなわち、間欠的に設定された可動表示期間において、毎回、第2虚像302が投影されるのではなく、表示装置10は、例えば、自動車100に搭載されている運転支援システムからの指示があったタイミングでのみ、第2虚像302を投影する。そして、第2虚像302が投影されない可動表示期間においては、可動スクリーン1aが移動しないため、そもそも規定位置Ps1からの基準位置のずれが生じない。
そこで、本実施形態では、位置検出部52が、可動表示期間に駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させることをトリガにして、位置検出処理を実行することで、可動表示期間に可動スクリーン1aが移動する場合にのみ、位置検出処理が実行される。言い換えれば、可動表示期間に駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させない場合には、位置検出部52は、位置検出処理を実行しない。
具体的には、可動表示期間に駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させる場合に、位置検出部52は、この可動表示期間の前後のいずれかの固定表示期間において、位置検出処理を実行する。以下、可動表示期間の前に位置検出処理を実行する場合、及び可動表示期間の後に位置検出処理を実行する場合の各々について、図10A及び図10Bを参照して説明する。図10Aは、可動表示期間の前に位置検出処理を実行する場合の、移動方向Xにおける可動スクリーン1aの位置の時間変化を示すグラフである。図10Bは、可動表示期間の後に位置検出処理を実行する場合の、同様のグラフである。図10A及び図10Bでは、横軸を時間軸とし、可動スクリーン1aの位置を縦軸に示している。
まず、駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させる可動表示期間の前に、位置検出部52が、位置検出処理を実行する場合について説明する。図10Aの例では、フレームF1,F2,F3のうちフレームF2でのみ第2虚像302の投影が行われている。つまり、駆動制御部51による可動スクリーン1aの移動は、フレームF2の「復路」の期間Tyにおける第6期間T6(可動表示期間)にのみ行われ、フレームF1,F3の「復路」の期間Tyにおける第6期間T6(可動表示期間)には行われない。この場合、図10Aに示すように、フレームF2の第6期間T6の直前に当たる固定表示期間(フレームF2の第3期間T3)において、位置検出部52による位置検出処理、及び校正部53による校正処理が実行される。そのため、駆動制御部51による可動スクリーン1aの移動が行われる可動表示期間(フレームF2の第6期間T6)においては、基準位置が校正されて規定位置Ps1上に再設定された状態となる。
次に、駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させた可動表示期間の後で、位置検出部52が、位置検出処理を実行する場合について説明する。図10Bの例では、フレームF1,F2,F3のうちフレームF2でのみ第2虚像302の投影が行われている。つまり、駆動制御部51による可動スクリーン1aの移動は、フレームF2の「復路」の期間Tyにおける第6期間T6(可動表示期間)にのみ行われ、フレームF1,F3の「復路」の期間Tyにおける第6期間T6(可動表示期間)には行われない。この場合、図10Bに示すように、フレームF2の第6期間T6の直後に当たる固定表示期間(フレームF3の第3期間T3)において、位置検出部52による位置検出処理、及び校正部53による校正処理が実行される。そのため、駆動制御部51による可動スクリーン1aの移動が行われた可動表示期間(フレームF2の第6期間T6)で生じた規定位置Ps1からの基準位置のずれは、この可動表示期間の直後に修正される。
可動表示期間の前に位置検出処理を実行する場合、位置検出部52は、例えば、自動車100に搭載されている運転支援システムからの信号によって、第2虚像302が投影されるか否かを判断し、位置検出処理を実行するか否かを決定する。可動表示期間の後に位置検出処理を実行する場合、位置検出部52は、駆動制御部51と連動することによって、位置検出処理を実行するか否かを決定する。そのため、可動表示期間の後に位置検出処理を実行する場合には、位置検出部52が位置検出処理を実行するか否かを決定する処理は、表示装置10の外部(例えば、運転支援システム)からの信号を必要とせず、表示装置10の内部で完結する。
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置10によれば、可動表示期間に駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させることをトリガにして、位置検出処理が実行されるので、位置検出処理が行われる頻度を低減できる。すなわち、第2虚像302が投影されない可動表示期間においては、そもそも規定位置Ps1からの基準位置のずれが生じないので、位置検出処理が行われなくても基準位置のばらつきには影響しない。その結果、位置検出処理における可動スクリーン1aの移動に係る、駆動部2の消費電力の低減、及び駆動部2の動作音の減少等につながる。
実施形態2においては、駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させる可動表示期間の直前又は直後の固定表示期間において、位置検出部52による位置検出処理が実行されているが、この例に限らない。例えば、駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させる可動表示期間の一定時間前、又は一定時間後の固定表示期間において、位置検出部52による位置検出処理が実行されてもよい。
実施形態2に係る表示装置10の構成(変形例を含む)は、実施形態1(変形例を含む)の構成と適宜組み合わせ可能である。
上記各実施形態で示した図面は、表示装置10の一例を説明するための概念図に過ぎず、実際の表示装置10とは、各部の形状、サイズ、及び位置関係等が適宜異なる。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る表示装置10は、複数のスクリーン1と、駆動制御部51と、投影部40と、位置検出部52と、を備える。複数のスクリーン1は、固定スクリーン1b、及び移動方向Xに移動可能な可動スクリーン1aを含む。駆動制御部51は、可動スクリーン1aの移動方向Xにおける規定位置Ps1に設定された基準位置に対して可動スクリーン1aを相対的に移動させる。投影部40は、複数のスクリーン1の中から一のスクリーン1を対象スクリーンとして択一的に選択する。投影部40は、対象スクリーンを走査する光を対象スクリーンに照射することにより対象スクリーンに描画を行い、対象スクリーンを透過する光により対象空間400に虚像300を投影する。位置検出部52は、規定位置Ps1に関連して設定された検出位置に可動スクリーン1aが位置することを検出する位置検出処理を実行する。位置検出部52は、投影部40にて固定スクリーン1bが対象スクリーンとして選択されている固定表示期間において、可動スクリーン1aを移動させ、位置検出処理を実行するように構成されている。
この構成によれば、可動スクリーン1aの移動が虚像300の投影に影響しない固定表示期間を利用して、可動スクリーン1aの検出位置を検出するための位置検出処理が実行される。そのため、位置検出部52は、虚像300の投影に影響を与えることなく、可動スクリーン1aを移動させ、可動スクリーン1aの検出位置を検出することができる。したがって、規定位置Ps1からの基準位置のずれが生じている場合、このずれを検出することが可能となり、基準位置のばらつきの低減を図ることが可能になる。その結果、基準位置のばらつきに起因した、ユーザ200の目から虚像300までの距離のばらつきを低減できる、という利点がある。
第2の態様に係る表示装置10は、第1の態様において、少なくとも位置検出部52の検出結果に基づいて、可動スクリーン1aを規定位置Ps1に移動させる校正部53を更に備える。この構成によれば、規定位置Ps1からの基準位置のずれが生じている場合には、校正部53にて基準位置が校正されるので、基準位置のばらつきをより低減できる。
第3の態様に係る表示装置10は、第2の態様において、位置検出部52は、固定表示期間において、可動スクリーン1aが検出位置を通過するように可動スクリーン1aを移動させて、位置検出処理を実行する。校正部53は、位置検出部52の検出結果、及び検出位置を通過後の可動スクリーン1aの移動量に基づいて、可動スクリーン1aを規定位置Ps1に移動させるように構成されている。この構成によれば、可動スクリーン1aは、位置検出処理においては検出位置を一旦通過し、その後、校正部53により検出位置に戻されるので、可動スクリーン1aが検出位置にて急停止する場合に比べて、可動スクリーン1aに加わる加速度を低減できる。その結果、駆動部2の駆動電流においてはパルス状の高周波成分の発生が抑制される。これにより、可動スクリーン1a及び駆動部2に加わる衝撃を緩和でき、また、高周波成分に起因した騒音の発生を抑制できる、という利点がある。
第4の態様に係る表示装置10は、第1〜3のいずれかの態様において、位置検出部52は、可動スクリーン1aが検出位置を通過することを検出するように構成されている。この構成によれば、位置検出部52は、光学式エンコーダ等の位置センサ6を用いて、比較的簡単な構成で位置検出処理を実行できる。
第5の態様に係る表示装置10は、第1〜4のいずれかの態様において、投影部40にて可動スクリーン1aが対象スクリーンとして選択されている可動表示期間が間欠的に設定されている。位置検出部52は、可動表示期間に駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させることをトリガにして、位置検出処理を実行するように構成されている。この構成によれば、位置検出処理が行われる頻度を低減できる。すなわち、駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させない可動表示期間においては、そもそも規定位置Ps1からの基準位置のずれが生じないので、位置検出処理が行われなくても基準位置のばらつきには影響しない。このような可動表示期間については、位置検出部52が位置検出処理を実行しないことで、位置検出処理における可動スクリーン1aの移動に係る、駆動部2の消費電力の低減、及び駆動部2の動作音の減少等につながる。
第6の態様に係る表示装置10は、第5の態様において、位置検出部52は、駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させる可動表示期間の前に、位置検出処理を実行するように構成されている。この構成によれば、駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させる可動表示期間の開始前に、規定位置Ps1からの基準位置のずれを検出することが可能となり、基準位置のばらつきの低減を図ることが可能である。
第7の態様に係る表示装置10は、第5の態様において、位置検出部52は、駆動制御部51が可動スクリーン1aを移動させた可動表示期間の後で、位置検出処理を実行するように構成されている。この構成によれば、位置検出部52が位置検出処理を実行するか否かを決定する処理は、表示装置10の外部(例えば、運転支援システム)からの信号を必要とせず、表示装置10の内部で完結することができる。
第8の態様に係る表示装置10は、第1〜7のいずれかの態様において、位置検出部52は、固定表示期間において、可動スクリーン1aを検索範囲内で移動させる。位置検出部52は、検出位置に可動スクリーン1aが位置することが検出されなければ、検索範囲を変更して可動スクリーン1aを再度移動させ、位置検出処理を実行するように構成されている。この構成によれば、位置検出処理において、位置検出部52が、最初に可動スクリーン1aを移動させる際の検索範囲を、比較的小さく設定することが可能である。そのため、位置検出処理における可動スクリーン1aの移動に係る、駆動部2の消費電力の低減、及び駆動部2の動作音の減少等につながる。
第9の態様に係る表示装置10は、第1〜8のいずれかの態様において、可動スクリーン1aは、移動方向Xに対して傾斜した表面11を有する。投影部40は、可動スクリーン1aを対象スクリーンとして選択する場合、可動スクリーン1aの表面11を走査する光を可動スクリーン1aに照射するように構成されている。この構成によれば、投影部40の光軸500に対する傾斜角度が比較的小さい虚像300であれば、可動スクリーン1aの移動範囲を比較的狭く抑えることができる。可動スクリーン1aの移動範囲が狭くなると、例えば、可動スクリーン1aを移動させるための駆動部2(アクチュエータ)の小型化、駆動部2の消費電力の低減、及び駆動部2の動作音の減少等につながる。
第10の態様に係る表示装置10は、第9の態様において、駆動制御部51は、第1仮想面501上に、虚像300としての第1虚像301を形成する際には、移動方向Xにおいて可動スクリーン1aを固定する。第1仮想面501は、投影部40の光軸500に対する傾斜角度αが所定値γより小さい仮想面である。駆動制御部51は、投影部40の光軸500に対する傾斜角度βが所定値γより大きい第2仮想面502上に、虚像300としての第2虚像302を形成する際には、移動方向Xにおいて可動スクリーン1aを移動させるように構成されている。この構成によれば、投影部40の光軸500に対する傾斜角度αが比較的小さい第1虚像301、つまりユーザ200から見て路面600に対する角度が浅い第1虚像301については、可動スクリーン1aが固定された状態で投影される。したがって、第1虚像301を投影する際に可動スクリーン1aを移動させる場合に比べて、可動スクリーン1aの移動範囲を狭く抑えることができる、という利点がある。
第11の態様に係る表示装置10の制御方法は、複数のスクリーン1と、駆動制御部51と、投影部40と、位置検出部52と、を備える表示装置10の制御方法である。複数のスクリーン1は、固定スクリーン1b、及び移動方向Xに移動可能な可動スクリーン1aを含む。駆動制御部51は、可動スクリーン1aの移動範囲における規定位置Ps1に設定された基準位置に対して可動スクリーン1aを相対的に移動させる。投影部40は、複数のスクリーン1の中から一のスクリーン1を対象スクリーンとして択一的に選択する。投影部40は、対象スクリーンを走査する光を対象スクリーンに照射することにより対象スクリーンに描画を行い、対象スクリーンを透過する光により対象空間400に虚像300を投影する。位置検出部52は、規定位置Ps1に関連して設定された検出位置に可動スクリーン1aが位置することを検出する位置検出処理を実行する。表示装置10の制御方法は、投影部40にて固定スクリーン1bが対象スクリーンとして選択されている固定表示期間において、可動スクリーン1aを移動させ、位置検出部52に位置検出処理を実行させる。
この方法によれば、可動スクリーン1aの移動が虚像300の投影に影響しない固定表示期間を利用して、可動スクリーン1aの検出位置を検出するための位置検出処理が実行される。そのため、位置検出部52は、虚像300の投影に影響を与えることなく、可動スクリーン1aを移動させ、可動スクリーン1aの検出位置を検出することができる。したがって、規定位置Ps1からの基準位置のずれが生じている場合、このずれを検出することが可能となり、基準位置のばらつきの低減を図ることが可能になる。その結果、基準位置のばらつきに起因した、ユーザ200の目から虚像300までの距離のばらつきを低減できる、という利点がある。
第12の態様に係るプログラムは、コンピュータに、第11の態様に係る表示装置10の制御方法を実行させるためのプログラムである。このプログラムによれば、汎用のコンピュータを用いた場合でも、ユーザ200の目から虚像300までの距離のばらつきを低減できる、という利点がある。
第13の態様に係る移動体(例えば自動車100)は、第1〜10のいずれかの態様に係る表示装置10と、投影部40からの光を反射する反射部材(例えばウインドシールド101)と、を備える。
この構成によれば、可動スクリーン1aの移動が虚像300の投影に影響しない固定表示期間を利用して、可動スクリーン1aの検出位置を検出するための位置検出処理が実行される。そのため、位置検出部52は、虚像300の投影に影響を与えることなく、可動スクリーン1aを移動させ、可動スクリーン1aの検出位置を検出することができる。したがって、規定位置Ps1からの基準位置のずれが生じている場合、このずれを検出することが可能となり、基準位置のばらつきの低減を図ることが可能になる。その結果、基準位置のばらつきに起因した、ユーザ200の目から虚像300までの距離のばらつきを低減できる、という利点がある。
第2〜第10の態様に係る構成については、表示装置10に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。また、第11の態様に係る表示装置10の制御方法、及び第12の態様に係るプログラムについても、実施形態1及び実施形態2に係る表示装置10と同様に、種々の構成を適用可能である。