JP6808080B2 - パワーステアリングの管理方法、及び、その管理モジュール - Google Patents

パワーステアリングの管理方法、及び、その管理モジュール Download PDF

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Description

本発明は、車両、特に自動車に用いられるパワーステアリングの管理方法に関する。より具体的には、本発明は、従来のハンドル操作アシスト機能と、運転アシスト機能(自動操縦機能)とを兼ね備えたパワーステアリングの管理方法に関する。ここで、従来のハンドル操作アシスト機能とは、一般的に、ステアリング操作時にドライバーの負担を軽減することを目的として、アシストモータを用いてアシストトルクを付与することで、ドライバーの手動操作によってハンドルに作用するトルクを増幅させるものをいう。また、運転アシスト機能(自動操縦機能)とは、駐車アシスト機能のように、車両の走行経路を自動的に制御するものをいう。
自動車の利用者の安全性や快適性を向上させるべく、駐車アシスト(「シティパーク」)や、車両を車線内に維持するためのアシスト(「レーンキーピング」)などの自動操縦型の運転アシスト機能が増加傾向にある。
しかし、そもそも自動操縦機能は、これら自動操縦機能によって決定される基準経路への追従が可能となるように、ステアリングの状態を自ら制御することによって自律的に働くので、当該自動操縦機能は、手動による(ドライバーの介入による)操作と頻繁に相反し、その結果、ドライバーの動作に従う従来の操作アシスト機能と相反するという点において、両機能の統合には問題がつきものだった。
したがって、例えば、車両を車線内に維持するためのアシスト機能が車両を右に戻そうとしたときに、それと同時にドライバーがハンドルを左に切ってレーンを変更、または分岐しようとすると、これら2種類の動作が相反し、操作の快適性、さらには車両の乗員の安全性を妨げていたことは明白である。
これに対する妥協案として、自動操縦機能とアシスト機能を同時に作動させ、それぞれがアシストモータ操縦設定値を規定し、その後、これらの設定値を合計、つまり、各機能それぞれの貢献度を合計してグローバルな設定値を決定し、アシストモータに割り当てることが挙げられる。
それでも、このような妥協案には、相反する機能から得られる貢献度とは常時相反する「平均的」な設定値を系統的に生成してしまうという問題がある。
これにより、他の機能によって阻害されずに、特に、これら機能のいずれか1つが十分な効力を発揮できず、これらの機能すべてにおける個々の性能が全体的に低下することになる。このことは、車両が、個別に作用する1つの機能だけで、完全かつ最適に管理できる運転状況にあってもいえることである。
他の妥協案として、車両の運転状況に応じて、操作アシスト機能か、自動操縦機能かを選択的に作動(又は禁止)してもよい。
そうすると、車両の運転状況を検出するのが困難な一方で、他方では、運転状況が変化したときに、自動操縦機能による管理から手動操作アシスト機能による管理へと(もしくはその逆)、適切に且つ確実に移行するのが困難となる。
実際、このような移行には、操作の快適性、車両の挙動、ひいては、車両の乗員や他の道路利用者の安全性を妨げ得る不安定性を招くおそれがある。
加えて、特に、ドライバーがハンドルを堅く握っているとき(つまり、「ハンドル保持」状態)に、自動操縦が強すぎた結果、ドライバーの手首や腕がねじれることのないように、ハンドルの解放状態(手を放した状態)や保持状態(手を添えた状態)を考慮しなければならず、ステアリング管理は一層、複雑となっている。
そこで、本発明の目的は、前述の問題を解決し、運転アシストのための操作アシスト機能と自動操縦機能との組み合わせを可能にすると共に、車両のあらゆる運転状況における快適性や安全性に鑑み、ステアリングアシストを最適化するような新規のパワーステアリング管理方法を提案することにある。
本発明の目的は、少なくとも1つのハンドルと、少なくとも1つのアシストモータとを備えたパワーステアリングの管理方法によって達成される。この管理方法は、ドライバートルク制御ステップ(b)を備え、該ステップ(b)は、所定の瞬間にドライバーによって前記ハンドルに実際に付与される有効ドライバートルクを測定する工程と、前記有効ドライバートルクと所定のドライバートルク設定値とを比較することにより、前記有効ドライバートルクと前記ドライバートルク設定値とのの差に相当するドライバートルク偏差を評価する工程と、前記ドライバートルク偏差を低減するために、このドライバートルク偏差に基づいて、前記アシストモータに割り当てるモータトルク設定値を決定する工程とを、この順で行うよう構成されている。ここで、前記ドライバートルク制御ステップ(b)において用いられる前記ドライバートルク設定値は、経路制御ステップ(a)において生成されるようになっている。該ステップ(a)は、車両の有効経路を示す、「経路パラメータ」と呼ばれる少なくとも1つのパラメータの有効値を測定する工程と、この経路パラメータと、車両が自動的に追従することが望まれる基準経路に応じて予め設定された経路設定値とを比較することにより、経路設定値と経路パラメータの有効値との差に相当する経路偏差を評価する工程と、この経路偏差に基づいて、該経路偏差を低減するようなドライバートルク設定値を決定する工程とを、この順で行うよう構成されている。
より具体的には、本発明の目的は、少なくとも1つのハンドルと、少なくとも1つのアシストモータとを備えたパワーステアリングの管理方法によって達成される。この管理方法は、ドライバートルク制御ステップ(b)を備え、該ステップ(b)は、所定の瞬間にドライバーによってハンドルに実際に付与される有効ドライバートルクを測定する工程と、前記有効ドライバートルクと所定のドライバートルク設定値とを比較することにより、前記有効ドライバートルクと前記ドライバートルク設定値との差に相当するドライバートルク偏差を評価する工程と、前記ドライバートルク偏差を低減するために、このドライバートルク偏差に基づいて、前記アシストモータに割り当てるモータトルク設定値を決定する工程とを、この順で行うようになっている。ここで、前記ドライバートルク制御ステップ(b)において用いられる前記ドライバートルク設定値は、経路制御ステップ(a)において生成されるようになっている。該ステップ(a)は、(経路パラメータとして)前記パワーステアリングの有効位置を測定する工程と、この有効位置と、車両が自動的に追従することが望まれる基準経路に応じて予め設定された、(経路設定値としての)位置設定値とを比較することにより、前記位置設定値とステアリングの有効位置との差に相当する(経路偏差としての)位置偏差を評価する工程と、この位置偏差に基づいて、該位置偏差を低減するようなドライバートルク設定値を決定する工程とを、この順で行うように構成されている。
したがって、本発明が提案する新規の管理アーキテクチャによると、経路制御を行うように構成された、「位置制御機能」とも呼ばれる自動操縦機能が、操作アシスト機能(操作アシスト機能は、ここでは、ドライバートルク制御機能つまり、可変調節値としてのドライバートルクを用いた制御ループによって実行される)の入力値を規定するために用いられるようになっていると共に、それに続いて、この操作アシスト機能は、アシストモータに割り当て可能な(固有の)モータトルク設定値を規定することにより(規定することによってのみ)、アシストモータを制御するようになっている、という点で有利となる。
換言すれば、本発明が提案する新規のアーキテクチャにおいて、経路制御の閉ループおよびドライバートルク制御の閉ループなどの閉ループはそれぞれ、直列にネスト化されている。これにより、自動操縦機能(つまり経路制御機能)の出力値は、モータトルク設定値という形式で、操作アシスト機能(ここでは、ドライバートルク制御機能)の出力値とは直接的には干渉することなく、それとは反対に、ここではドライバートルク設定値という形式で、1つの入力値、より具体的には操作アシスト機能の設定値として用いられるようになっている。
したがって、この直列的なアーキテクチャは、例えば、操作アシスト機能(ドライバートルク制御機能)を自動操縦機能(経路制御機能)に「従属」させるように設定することによって、自動操縦機能(経路制御機能)と操作アシスト機能(ドライバートルク制御機能)とを効果的に組織化及び階層化することができる。これにより、これら機能同士は、互いに相反したり、競合したり、妨害し合ったりするのではなく、完全に補い合うように協働することになる。
本発明が提案するアーキテクチャは、各種の機能、ここでは経路制御機能、及び、ドライバートルク制御機能を、アクティブと同時に作動可能な状態に維持すると共に、それら機能を、相反させることなく且つ、これら機能のうちのいずれか1つを選択的に禁止したり、これらの機能に係る異なる作動レジーム間の移行を不安定に管理したりする必要もなく、同時に作動させることができる、という点で有利である。
このように、本発明に係るステアリングの管理方法は、その安定性、及び、性能を著しく向上させることができる。
さらに、このようなアーキテクチャは、特に万能(polyvalent)であり、本質的には、別途、他の構成要素を設けることなく、特に、ハンドルが保持された状況と同様に、ハンドルが解放された状況を自然に管理することができる。より具体的には、自動操縦機能がアクティブなときにドライバーが再度ハンドルを握るような状況にあっても、自動操縦機能をノンアクティブとすることなく、スムーズに管理することができる。
実際、ハンドルが解放された状況では、自動操縦機能(経路制御機能)、例えば車線追従機能は、ハンドルの動作に対する手先の抵抗を受けることなく、自由に作動すると共に、そのことで、ドライバートルク制御機能を介して間接的に、ドライバーの動作によって妨害されることなく、アシストモータを操縦することができる。
逆に、ハンドルが保持された状況(より具体的には、ハンドルが再度保持された状況)では、ドライバーによって望まれる手動操作と、経路制御によって望まれる自動操縦との間に、衝突(操作目標の相反、つまり、力の相反)が生じる虞がある。この場合、ドライバーが実際に感じる有効ドライバートルクは、増加することになる。
しかし、当然のことながら、ドライバーがハンドルを握ったときに実際に感じる有効ドライバートルクは、アシストモータに割り当てられるモータトルク設定値を決定する際に、充分に考慮される。その後、アシストモータによって付与されるドライバートルクは徐々に増加するため、ドライバーの腕や手首を動かしたりねじったりしてしまうようなトルクピークは、特に発生しない。
実際、ドライバーが再度ハンドルを握り、自動操縦に抗してハンドルを保持または操作しようとしたとき、自動操縦は、車両の経路を基準経路に適合させるべく、ハンドルを自動で回転させようとするものの、ハンドルを手動で保持したことにより、ステアリングの有効位置は、位置設定値から逸れ(外れ)やすくなり、その結果、経路制御の入力値である位置偏差(経路偏差)が増加する傾向にある。
このような傾向を修正するため、経路制御ループは、該経路制御ループがドライバートルク制御の入力値として出力するドライバートルク設定値を増加させる、という反応を示すようになっている。
実際、このようなドライバートルク設定値の増加は、最終的に、アシストモータに割り当て可能なモータトルク設定値を(アシストモータを操縦するドライバートルク制御ループを介して間接的に)増加させること、ひいては、基準経路に相当する位置に向かって(つまり位置設定値に向かって)ハンドル(一般的にはパワーステアリング)を誘導するように、アシストモータによって提供される復帰力を増加させることを目的とする。
それでも、自動操縦の動作に抗してドライバーがハンドルを保持することは、同時に、有効ドライバートルクを増加させる傾向にもある。これは、有効ドライバートルクがねじれトルクを反映するからである。ねじれトルクとは、ここで相反する、ドライバーによって手動で付与された力の動作と、経路制御によって付与された電動力による動作とが組み合わされてハンドルに作用した結果、ハンドルが受ける(測定された)ねじれトルクのことである。
このような有効ドライバートルクの増加は、ドライバートルク制御の入力値に対し、自然に反映されるようになっている。
換言すれば、自動操縦に抗してハンドルを手動で保持することは、(経路制御によって決定される)ドライバートルク設定値を増加させる一方で、それと同時に、他方では、有効ドライバートルクを増加させることになる(有効ドライバートルクの増加量は、必ずしもドライバートルク設定値の増加量と一致する必要はない)。そのため、究極的には、ドライバートルク制御によって考慮されるドライバートルク偏差が、突然、変化することがないようになっている(つまり、短期間のうちに大きな強度変化が起こらないようになっている)。
その結果、「ハンドル解放」状態から「ハンドル保持」状態に移行する場合、ドライバートルク偏差に応じてドライバートルク制御によって決定されるモータトルク設定値そのものは、徐々に増加することになるため、そのことで、モータトルクピークの発生を回避(つまり、モータトルクの強度が大きく増加したり、瞬間的に増加したりするのを回避)すると共に、ひいては、ドライバーが感じる(受ける)ドライバートルクにおいて、ピークの発生を回避することができる。
尚、このように、ドライバーにより感じられる有効ドライバートルクの強度が、強い衝撃を与えることも無く、段階的に増加することができるという意味で、モータトルク設定値が時間経過に伴って「徐々に」適合されるものの、典型的には、本発明に係る制御システムの応答時間を特徴付ける数ミリ秒という更新期間によれば、極めて急速に(つまり、極めて近接した時間間隔で)、ドライバートルク設定値およびモータトルク設定値の基本的な調整を行うことができるという事実に変りはない。
言い換えれば、本発明が提案する方法は、ドライバーにより感じられる効果こそ、徐々に現れるようになっているものの、ドライバーの快適性や安全性に関する利点に関しては、特に応答性に優れたものとなっている
したがって、前記の例では、自動操縦に抗してハンドルを保持することにより、ドライバーがハンドルを介して感じるドライバートルクがスムーズに増加するようになっており、そのことで、車両を基準経路内に配置するために切るべきハンドルの方向を、ドライバーに対して示唆するような触覚的な情報を、ドライバーに対して伝達することが可能になる。こうした刺激がなければ、強引な自動操作が行われてしまい、ドライバーの手首や腕を強引に引っ張りかねない。
図1は、本発明に係る管理方法を概略的に示すブロック図である。 図2は、ドライバートルク設定値決定則を例示する図である。
以下に、添付の図面を参照して、本発明のその他の目的、特徴、効果をより詳細に説明する。これらの図面は例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
本発明は、パワーステアリング1の管理方法に関する。
公知のように、このパワーステアリング1、より詳細には、該パワーステアリング1を構成する機構(以下、「ステアリング機構」ともいう)2は、ステアリング操作を手動で制御するために、ドライバーによるステアリングの操縦を可能とする少なくとも1つのハンドル3を備える。
パワーステアリング1はまた、少なくとも1つのアシストモータ4を備える。このアシストモータ4によって、ステアリング操作をアシストするための力、より詳細にはトルク(図1では「モータトルク」Cmot)を提供することができる。
アシストモータ4はどのようなタイプでもよく、詳細には双方向操作アシストモータ(two-way operation assist motor)、特に、回転アシストモータ(rotating assist motor)やリニアアシストモータ(linear assist motor)であればどのようなタイプでもよい。
さらに、アシストモータ4は、例えば油圧式、さらに、好ましくは電動式(特に実装・実施しやすく、有益な信号を生成・管理しやすい電動モータの使用)であってもよい。
特に好ましくは、アシストモータ4は、例えば「ブラシレス」タイプの回転電動モータであってもよい。
さらに、パワーステアリング1は、好ましくは、公知のように、ハンドル3によって駆動されるステアリングコラム5を備える。ステアリングコラム5は、車両のシャーシに固定されたステアリングケースに摺動可能に搭載されたステアリングラック(図示しない)に対し、ピニオンを介して噛み合う。
ステアリングラックの両端はそれぞれ、好ましくは、ステアリングタイロッドを介して、偏揺れ可能なステアリングナックルに連結されている。該ナックルには、車両のステアードホイール(好ましくは駆動ホイール)が登載され、ケース内での並進運動時におけるラックのずれによって、ステアードホールのステアリング角(つまり、ヨー方向)が修正可能となっている。
アシストモータ4は、例えば、ウォームホイールやウォームスクリュー減速機を介してステアリングコラム5に係合されてもよい。または、ボールスクリュー式駆動機構によって、またはステアリングコラムのピニオンとは異なるモータピニオンを介して、ステアリングラックに直接係合されてもよい(これにより、「デュアルピニオン」ステアリング機構と呼ばれるステアリング機構を構成することになる)。
本発明によれば、前記の管理方法は、ドライバートルク制御ステップ(b)を備える。ドライバートルク制御ステップ(b)は、ここではドライバートルク制御モジュール6によって実行される。ドライバートルク制御ステップ(b)は、所定の瞬間にドライバーによってハンドル3に実際に付与される有効ドライバートルクCsteerを測定する工程と、その工程の後に、有効ドライバートルクCsteerと所定のドライバートルク設定値Csteer_refとの差に相当するドライバートルク偏差ΔCsteer(ΔCsteer=Csteer−Csteer_ref)(または逆に、目的は同じだが、符号規約によっては、ドライバートルク設定値と有効ドライバートルクとの差に相当するドライバートルク偏差ΔCsteer(ΔCsteer=Csteer_ref−Csteer))を評価するために、ドライバートルク設定値と有効ドライバートルクとを比較する工程と、その工程の後に、ドライバートルク偏差を低減する(理想的には相殺する)ために、このドライバートルク偏差ΔCsteerに基づいて、アシストモータ4に割り当てるモータトルク設定値Cmot_refを決定する工程とを有する。
換言すれば、ドライバートルク制御ステップ(b)は、フォロア型閉ループ制御(follower-type closed-loop control)に相当する。すなわち、このフォロア型閉ループ制御は、付与された結果ドライバーがハンドル3において感じるドライバートルクを可変調節値(regulation variable)として用いると共に、アシストモータ4によってステアリング機構2に働く作用の影響で、有効ドライバートルクCsteerがドライバートルク設定値Csteer_refに収束するように、アシストモータ4によってステアリング機構2に働く作用(この例では、モータトルクCmot)を適合させるものである。
したがって、アシストモータ4に割り当てるモータトルク設定値Cmot_refを決定することにより、ドライバーがハンドル3を握ったときに実際に触覚的に感じられるトルクがドライバートルク設定値Csteer_refに近づくように、アシスト力(モータトルク)Cmotを制御することができる。ここで、ドライバートルク設定値Csteer_refは、典型的には、所定の瞬間における車両の動的な状況において(in the dynamic situation of the vehicle at the considered instant)、通常、ドライバーが求める感覚に相当する。
好適には、ドライバートルク制御によってステアリングアシストが可能となり、このステアリングアシストにより、車両の瞬間的な動的挙動(スピード、横加速度、ヨーレート等)と、走行装置に対する道路の反応(ラックに働く力、ドリフト・アングル等)と、ドライバーがハンドル3を介して受ける力のフィードバック(有効ドライバートルクCsteer)とを確実に整合させることができる。
好適には、このようなドライバートルク制御によって、特に、(ドライバーが感じる)「要求(need)」つまり、ドライバートルク設定値Csteer_refを生成する工程と、実際の「実現(realization)」つまり、ドライバートルク閉ループ制御を実行する工程とを切り離す(別々に独立して扱う)ことができる。
好適には、ドライバートルクによる制御によって、典型的には、アシストモータ4によって提供されるアシストトルクCmotにより、ドライバーによってハンドルに働く作用を強化し、「従来の」ステアリングアシストを完璧に実現することができる。このことは、ドライバーの望む方向(この場合は、アシストモータ4はドライバーと同じ操作方向に作用するように協働する)に向けたステアリング機構の操作を容易にすることを目的とするものである。
実際、ステアリングアングルを修正するために、ステアリング機構2に対する抵抗(機構2内に作用する内力や、車両の走行および外的なダイナミクスに関連する力に起因した抵抗)に抗してドライバーがハンドル3を回転させようしたときには、有効ドライバートルクCsteerは増加する傾向にあるため、そのことで、モータトルク設定値Cmot_refを修正することになるのは明らかであろう。
より詳細には、ドライバーによるハンドルの任意の回転に起因して有効ドライバートルクCsteerが増大してしまい、そのことが、ドライバートルク偏差ΔCsteerの増大を招いた場合、アシストモータ4により提供されるアシスト力Cmotの大きさを増加させるために(実際に感じられるドライバートルクCsteerが大きすぎた場合、そのことは、アシストモータ4によって提供されるアシスト力Cmotが小さすぎることを意味する)、モータトルク設定値Cmot_refもまた増加する。
したがって、アシスト力Cmotが上昇することにより、ステアリング機構2をドライバーの求める目標位置(この目標位置は、ハンドルの位置によって定義される)に向けて、一層、容易に操作することができる。
このように、アシスト力Cmotを増加させることで、ステアリング機構の位置を強制的に目標位置に近づけることによって、ハンドル3が受けるねじれは、徐々に解放されることになる。つまり、ドライバーが感じるドライバートルクCsteer、ひいては最終的に、ドライバートルク偏差ΔCsteerが低減することになる。
例えば、PI方式のドライバートルク制御を用いてもよい。この場合、比例作用は、ドライバートルク偏差ΔCsteerが増大するにつれて増加する共に、ドライバートルク偏差ΔCsteerが減少するにつれて減少する。その一方で、ドライバートルク偏差ΔCsteerが正の値であれば(つまり、前記の符号規約において、有効ドライバートルクCsteerがドライバートルク設定値Csteer_refを上回った結果、ΔCsteer=Csteer−Csteer_refがゼロよりも大きくなれば)、積分作用によってアシスト力(モータトルク)Cmotを増加させることができる。また、ドライバートルク偏差ΔCsteerが負の値であれば(つまり、同じ符号規約において、有効ドライバートルクCsteerがドライバートルク設定値Csteer_refより小さければ)、アシスト力Cmotを低減することができる。
もちろん、ドライバートルク偏差ΔCsteerを算出するのに用いられる符号規約が反転した場合、つまり、ΔCsteer=Csteer_ref−Csteerと定義した場合、PI制御器のゲインの符号を全て反転するだけで、調節に際して同じ結果が得られることになる。
前記の例は、ドライバートルク偏差ΔCsteerが正の値(つまり、ドライバーがハンドルを切った結果、ドライバーの感じるドライバートルクがドライバートルク設定値を超える場合)であり且つ、そこから減少する場合(つまり、ステアリング機構2がドライバーのハンドル操作(swerve)に追従するように、そして、ドライバーの感じるドライバートルクがドライバートルク設定値に近付くように減少するように、アシスト力Cmotが増加する場合)に相当する。この場合、ドライバートルク偏差ΔCsteer(特に、その絶対値)が減少するにつれて、比例作用が減少する一方で、積分動作は(ドライバーの感じるドライバートルクがドライバートルク設定値に近づくにつれて徐々に増加率を減らしながら)増加し続けることになる。そして、ドライバートルク偏差ΔCsteerが減少したとき、アシスト力(モータトルク)Cmotは、ドライバートルク偏差ΔCsteerがゼロとなり固定値(所望のハンドル位置において、ステアリング機構2に働く力を釣り合わせることができる値)に達し、その固定値において安定するまで、スムーズに(徐々に)増加する。
もちろん、「ハンドルトルク」とも呼称する有効ドライバートルクCsteerは、ハンドル3とステアリングコラム5との間に設けられたトーションバーの弾性変形を測定するように構成された、磁気トルクセンサといった任意の適切なトルクセンサによって測定されてもよい。
また、本発明によれば、ドライバートルク制御ステップ(b)において用いられるドライバートルク設定値Csteer_refは、経路制御ステップ(a)において生成される。この経路制御ステップ(a)は、ここでは経路制御モジュール7によって実行される。経路制御ステップ(a)は、車両の有効経路を示す、「経路パラメータ」θと呼ばれる少なくとも1つのパラメータの有効値を測定する工程と、その工程の後に、この経路パラメータθと、車両が自動的に追従することが望まれる基準経路に応じて予め設定された経路設定値θrefとを比較することにより、経路設定値θrefと経路パラメータθの有効値との差に相当する経路偏差Δθを評価する工程と、その工程の後に、経路偏差Δθを低減するようなつまり、車両の有効経路が基準経路に収束し、その結果、車両が基準経路に合流するような及び/又は実質的に基準経路に収まるようなドライバートルク設定値Csteer_refを経路偏差Δθに基づいて決定する工程とを有する。
換言すれば、経路制御ステップ(a)は、フォロア型閉ループ制御に相当する。すなわち、このフォロア型閉ループ制御は、「経路パラメータ」つまり、(所定の瞬間に)車両によって追従される経路を示す値を可変調節値として用いると共に、該ループの入力値として設定された経路設定値θrefに向かって経路パラメータθの有効値が収束し、ひいては、車両の有効経路が基準経路に収束するように、ステアリング機構2に対するアシストモータ4の作用を適合させようとする(この例では、ドライバートルク制御ループを介してモータトルクCmotを間接的に適合させようとする)。
経路パラメータθつまり、経路制御機能によって制御される量としては、任意の適切なパラメータを用いることができる。
特に、経路パラメータθとして、車外の基準座標系における(in a reference frame external to the vehicle)車両位置(及び/又は車両の向き)や、車両のヨーレート、さらに、特に好ましい実施形態によれば、車内の基準座標系における(in a reference frame internal to the vehicle)パワーステアリングの有効位置θ(つまり、ステアリングアングル)を用いることができる。
もちろん、経路設定値の性質は、選択された経路パラメータの性質に適合されることになる。
つまり、経路パラメータθが車両位置や車両の向きであるとき、経路設定値は、車外の基準座標系における車両の位置設定値や車両の向き設定値であってもよい。また、経路パラメータが車両のヨースピードであるときには、経路設定値は、車両のヨーレート設定値であってもよい。さらに、用いられるパラメータが(車内の基準座標系における)パワーステアリング1の位置θ(ステアリングアングル)であるときには、パワーステアリング1の位置設定値(ステアリングアングル設定値)θrefであってもよい。
以下、便宜上、本発明が、しかるべき変更を加えた上であらゆる経路制御に適用可能とすることを考慮して、パワーステアリングの位置(ステアリングアングル)θを経路パラメータとして用いた場合の経路制御について言及する。
したがって、便宜上、経路パラメータ、経路設定値、及び経路偏差の概念、並びに、それらに対応する基準値を、位置(ステアリング角)θ、位置設定値ref、および位置偏差Δθの概念や基準値と同一視してもよい。
したがって、好ましくは、ドライバートルク制御ステップ(b)において用いられるドライバートルク設定値Csteer_refは、経路制御ステップ(a)において生成される、としてもよい。経路制御ステップ(a)は、パワーステアリング1の有効位置θを測定する工程と、その工程の後に、有効位置θと、車両が自動的に追従することが望まれる基準経路に応じて予め設定された位置設定値θrefとを比較することにより、該位置設定値θrefとパワーステアリングの有効位置θとの差に相当する位置偏差Δθ:Δθ=θref−θ(符号規約しだいでは、逆に、パワーステアリング1の有効位置θと位置設定値θrefとの差:Δθ=θ−θrefであってもよい。符号規約は、ここでもまた自由に選択することができる)を評価する工程と、その工程の後に、位置偏差Δθに基づいて、この位置偏差Δθを低減するようなドライバートルク設定値Csteer_refを決定する工程とを有する。前述の如く、このドライバートルク設定値Csteer_refは、このステップ(a)の後に、ドライバートルク制御の入力値として付与される設定値である。
この実施形態の好ましい変形例によると、経路制御ステップ(a)(「位置制御」ともいう)は、フォロア型閉ループ制御に相当する。すなわち、このフォロア型閉ループ制御は、可変調節値として、パワーステアリング1の位置つまり、パワーステアリング1におけるステアリングの状態(the steering configuration)を示す値を用いると共に、パワーステアリング1の有効位置θが、このループの入力値として設定される位置設定値θrefに収束するように、ステアリング機構2に対するアシストモータ4の作用を適合させようとする(この例では、ドライバートルク制御ループを介してモータトルクCmotを間接的に適合させようとする)。
尚、図1より見て取れるように、経路制御ループによってアシストモータ4の作用を適合させることは、直接的に行われるのではなく、ドライバートルク制御ループによって構成される「通常の」アシストループを介して行われるようになっている、という点で有利である。
言い換えれば、ドライバートルク制御ループ(b)は、ここではマスターレギュレータを構成する経路制御ループ(a)内のスレーブレギュレータとしてネスト化されている。
つまり、経路制御モジュール7の出力部は、ドライバートルク制御モジュール6の入力部に接続されており、ドライバートルク制御モジュール6による設定値と干渉し得るモータトルク設定値Cmot_refを(直接的ではないが)出力すると共に、ドライバートルク設定値Csteer_refも出力するようになっている。ここで、ドライバートルク設定値Csteer_refは、後に(直接的に)アシストモータ4に割り当てられることになる1つの(ユニークな)モータトルク設定値Cmot_refを(ドライバートルク制御モジュール6の出力値として)決定するために、ドライバートルク制御モジュール6によって(入力値として)用いられる。
尚、本発明において提案されたアーキテクチャは、ここでは、ドライバーの感覚に対応するドライバートルク設定値Csteer_refで表される「要求」を(経路制御モジュール7によって)生成することによって、与えられた基準経路を追従する(特に車線を追従する)ようにドライバーを促すことが望まれる方法と、その「要求」を満足することが出来るつまり、ここではドライバートルク制御モジュール6によって提供されるドライバートルク制御のため、ドライバーが基準経路を追従することを適切に可能たらしめる「実現」手段とを切り離すことが可能になる、という点で有利である。
さらに、前述の如く、本発明に特有のアーキテクチャによって、アクティブな自動操縦に基づく経路制御と、手動操縦に基づいた「従来」のアシストに対応するドライバートルク制御とを、これら機能のうちのいずれか1つの性能が悪化するがためにそれらのうちのいずれか1つを必ずしも選択的に禁止する必要も無く、これら別個の機能を共存させることによって、効果的に組み合わせることが可能となる。
パワーステアリング1の(瞬間的な)有効位置θを、適切な位置センサを用いた任意の測定によって取得してもよい。例えば、ラックのリニア位置の測定によって取得したり、さらに好ましくは、ハンドル3の角度位置(図2に示すように、「ハンドル角」ともいう)の測定によって取得したり、さらには、アシストモータ4をハンドル3に接続する連結機構(kinematic chain)の機械的な減速比(mechanical reduction ratio)が判る場合は、ハンドル3の角度位置の測定と同様に、アシストモータ4のシャフトの角度位置の測定によって取得してもよい。
可能ならば、アシストモータ4のシャフトの角度位置を、「レゾルバ」型センサ(好ましくはアシストモータ4と一体化されたもの)を用いて決定してもよい。
もちろん、より一般的には、車両の有効経路を特徴付けるために使用される経路パラメータθを、任意の適切な手段によって決定すればよく、それ自身が車両の有効経路を示す(特に、所定の瞬間における車両の位置、向き、又は、動的挙動を示す)1つ又は複数の測定データに基づいて、適宜、決定すればよい。
それゆえ、ヨーレートを、例えば、慣性センサを用いて測定することができる。
同様に、(車外の基準座標系において、)基準経路に対する車両の位置および向きは、車線を区切る路面標示などの、車外環境における基準点に対する車両の距離を測定可能なカメラや距離センサ(特に光学または超音波センサ)、さらには、位置情報システム(GPS)を用いて測定してもよい。
所定の瞬間に付与される位置設定値θref(より一般的には、経路設定値)は、ステアリングシステムによって計算される目標位置に相当することになる。このステアリングシステムには、車両が、その運転状況に応じて、ステアードホイールのステアリングアングルを適合可能にすることを目的としたステアリング機構2が配設されている。これにより、車両は、所定の基準経路に対し、可能な限り(所定の許容マージン内で)近づくように、理想的には一致するように、実際の経路を追従させることが可能となる。
言い換えれば、経路制御機能は、必要な経路修正(ひいては、位置設定値の調整)をリアルタイムで行うことにより、車両の実際の経路を、(理想的な)基準経路の周辺に維持することができるような、車両の自動操縦を確実に行う構成となっている。
実際には、位置設定値θref(より一般的には、経路設定値)は、目標とされた基準経路と、行われた修正とに応じて、その符号(左/右)及び大きさ(ステアリング角の大きさ)の両方が、時間経過に伴って可変となっている。
好適には、基準経路は、外部の障害物(例えば、別の駐車車両)から車両の一部分までの距離や、さらには、外部の参照物、例えば車線の分離線に対する車両の相対位置といった、車両の環境に係る外的パラメータに関連したデータに基づいて、自動的に構成されることになる。
これらのデータを、例えば非接触センサ(カメラ、光学センサ、及び、超音波センサ等)を用いて実行される任意の適切な測定によって、実質的にリアルタイムで取得してもよい。
これらのデータにより提供される情報によって、所定の瞬間において、その環境(位置、向き、及び、スピード等)下における車両の状況を決定すること、ひいては、車外の基準座標系において、その環境、(特に、縦方向のスピード、ラックに作用する力、及び/又は、ヨーレートや横加速度などの横方向の動的パラメータに基づいて決定される)車両のダイナミック、及び、もちろん、目標とされた自動操縦の作動に対して適合した経路(又は、経路修正)を提案することが可能になる。
好ましくは、経路制御ステップ(a)において、経路設定値θrefを決定するために、さらに好ましくは位置設定値θrefを決定するために、駐車操作、特にバックでの駐車操作のための自動操縦機能(一般的には、「駐車アシスト」という名称で知られる)、より詳細には、並列駐車のための自動操縦機能や、車線を追従するための自動操縦機能(一般的には、「レーンキーピング」という名で知られる)を、特に用いることができる。
公知のように、車線のモニタリング、そして、その車線のコースに対応した基準経路の決定(構成)(又は経路の修正)は、そのコースが直線であるかカーブしているかに関わらず、車線の制限速度表示を検出可能でかつ、その表示に対する車両の位置を測定可能なカメラを用いて行ってもよい。
好ましくは、経路制御ステップ(a)は、出力飽和サブステップ(a1)を有する。この出力飽和サブステップ(a1)は、ドライバートルク設定値Csteer_refと、所定の最大許容閾値を示す「ドライバートルク飽和閾値」Csteer_MAXとを比較する工程と、ドライバートルク設定値Csteer_refがドライバートルク飽和閾値Csteer_MAXをよりも大きい場合に、ドライバートルク設定値Csteer_refをドライバートルク飽和閾値Csteer_MAXに制限する工程とを備える。
換言すれば、ドライバーの腕に対するハンドル3の強すぎる動作を回避することができるように、ドライバートルク制御モジュール6の入力部に対して実際に入力されるドライバートルク設定値Csteer_refの大きさが、ドライバートルク飽和閾値Csteer_MAXを越えないようにすることが保証される。
ドライバートルク設定値Csteer_refを制限する(上限を設ける)ことは、ドライバーが危険にさらされたり、ハンドルに腕や手をとられて負傷したりすることが、完全ではないが抑制されるため、自動操縦の安全な作動を保証することが可能になる、という点で有効である。
したがって、本発明によって提供される前述の飽和によって、ドライバーがハンドルを握るときにそのドライバーが知覚可能なノンゼロのドライバートルク設定値Csteer_refの入力を可能とする一方で、その結果、ドライバーの意思に反したハンドルのずれを引き起こすような強すぎる動作を回避しながらも、経路制御によって決定されるステアリング位置に向けて(つまり、基準経路を追従可能となるステアリング位置、又は、基準経路に合流可能となるステアリング位置に向けて)ハンドル操作を誘導する傾向にある、ハンドルの復帰効果(return effect)をアクティブに感じさせることができるという、経路制御の利点を保持することができる、という点で有利になる。
換言すれば、前述の飽和によって、経路制御機能は、ドライバーに対し、基準経路に対する横ズレを触覚的に通知すると共に、その基準経路に復帰させるためにハンドルを操作するべき方向、より詳細には、目標となるハンドル位置を、そのドライバーに感じさせることができる。しかも、この経路制御は、ドライバーにより自由に決定され且つ、その経路制御が望む自動操作とは異なるような、(多岐にわたる)ハンドルの手動操作を妨げたり、その手動操作に取って代わったりすることも無い。
したがって、前述の管理方法における処理(operation)は、ドライバーがハンドルを保持していようとも、或いは、ハンドルを開放していようとも、効果的であり、ドライバーを危険にさらすことがない。
特に好ましくは、ドライバートルク飽和閾値Csteer_MAXは、1N・m〜4N・m、例えば、2N・m〜3N・mである。
これらの数値は、ドライバーがハンドルを握ったときに、そのドライバーがハンドル3を介して感じるトルクに対応する。好適には、これらの値は、実際には、人々の大半が許容できるつまり、「平均的な」ドライバーの筋肉の許容範囲よりも有意に小さい、力(トルク)の制限値に相当しており、ドライバーは、ハンドルが制御不能になってしまうおそれや、過度の疲労感無しに、経路制御に対して「力づくで」ハンドルを手動操作するための自由度を、必要に応じて保つつ、経路制御によって付与される(飽和によって適切に制限された)触覚的な刺激を感じることができる。
他に考えられる実施形態によれば、経路制御は、位置偏差Δθに基づいてドライバートルク設定値Csteer_refを決定するための、PID(比例・積分・微分)方式のレギュレータ(コレクタ)を含んでいてもよい。
極めて簡単な例として、比例式のレギュレータは、位置偏差Δθと、この位置偏差Δθに対し、(ばねタイプの)剛性に相当する係数kを単純に乗算することにより求められるドライバートルク設定値Csteer_ref(Csteer_ref=k×Δθ)とを関連付けることになる。
また、公知のように、積分式のレギュレータによって、静的な制御誤差(control static error)を低減することができる。
好ましくは、経路制御ステップ(a)は、ドライバートルク設定値決定則Lを用いることにより、経路偏差Δθ、好ましくは位置偏差Δθに基づいてドライバートルク設定値Csteer_refを決定する工程を備える。このドライバートルク設定値決定則Lは、経路設定値θref、好ましくは位置設定値θrefを中心とした関数として構成されていると共に、図2に示すように、経路パラメータθの各有効値、好ましくはステアリングの各有効位置θの値、さらに好ましくはハンドル3の角度位置を示すハンドル角度に対し、対応するドライバートルク設定値Csteer_refを関連付けるように規定されている。
ドライバートルク設定値決定則Lが、基準経路に対応する経路設定値(位置設定値)θrefを中心としていること、つまり、図2に示すように、ドライバートルク設定値決定則Lを示す関数が、横座標θref且つ、縦座標Csteer_ref=0となる点を通るようになっていることは、経路偏差(位置偏差)Δθと、経路パラメータθの有効値(有効位置の値)とを同一視することができる、という点で有利である。
したがって、このドライバートルク設定値決定則Lにより、ノンゼロの各位置偏差(経路偏差)Δθつまり、位置設定値θrefによって定義される基準位置と一致しない各有効位置θに対して、ステアリング機構2を(位置設定値θrefによって定義される)基準位置に向けて(又は基準位置と一致するように)戻す傾向にあるノンゼロのドライバートルク設定値Csteer_ref(及び、ひいては、間接的にノンゼロのモータトルク設定値Cmot_ref)を直接的に関連付けることができる。
好適には、図2において破線で示したカーブのように、ドライバートルク設定値決定則Lは、直線状の経路を追従するような、パワーステアリングの中点に対応するゼロ基準位置(位置設定値)θrefを中心としてもよい。
にもかかわらず、図2において実線で示したカーブのように、本発明は、ドライバートルク設定値決定則Lが、任意のノンゼロの位置設定値θrefの値(一般的には、任意の経路設定値)を中心としており、その値は、適宜、時間経過に伴い可変で且つ、経路制御モジュール7によって定期的に、実質的にリアルタイムで更新されることになる。
したがって、本発明は、例えば、駐車アシストを行ったり、カーブした車線を追従したりするために、非直線状の基準経路を確実に追従することが(も)できるように、ドライバートルク設定値決定則Lを動的に調整することができるようになっている。
したがって、この管理方法は、その汎用性の高さから、同じアーキテクチャを用いることによって、自動操縦に係る異なるニーズを取り扱うことができるという点で、有利である。
本発明そのものを構成する好ましい特徴によると、図2に示すように、ドライバートルク設定値決定則Lを示す関数は、経路設定値θref、より詳細には位置設定値θrefを中心として単調に増加する中心領域IIを有する、「S字状」の曲線である。この中心領域IIは、好ましくは実質的に直線状である。中心領域IIは、2つの漸近領域I,IIIに挟まれている。漸近領域I,IIIは、中心領域IIの傾斜より緩やかな傾斜、又は、実質的にゼロの傾斜を有している。
つまり、前述のS字状の曲線は、第1の漸近領域Iと、それに続いて、第1の漸近領域Iの平均傾斜よりも平均傾斜が急峻な中心領域IIと、その中心領域IIに続いて、中心領域IIよりも平均傾斜が緩やかな第2の漸近領域IIIとを有している。S字状の曲線は、好ましくは、その曲線の中心となる点に関して、つまり、経路設定値(位置設定値)θrefと横座標が一致する点(または、その縦座標がゼロとなる点)に関して、左右対称となる。
図2に示すように、S字状の曲線は、正則かつ、連続的に微分可能な曲線であってもよく、さらに簡素には、互いに隣接した線分を、領域I、II、IIIの各々と関連付けた折れ線としてもよい。
S字状の曲線を選択することにより、同一のドライバートルク設定値決定則Lの中に、(特に、好ましくは比例法則に従って増加する中心領域IIにおいて、)ノンゼロの各経路偏差(位置偏差)Δθに対し、ノンゼロのドライバートルク設定値Csteer_refを関連付ける経路制御フォロア関数と、周辺の漸近領域I、IIIにおいて、ドライバーに対する経路制御の作用に上限を設ける(緩やかな)飽和関数とを含めることできる、という点で有利となる。特に、飽和関数には、ハンドル3に対するドライバーの手動操作によって、有効経路(有効位置)θと、経路制御によって規定される経路設定値(位置設定値)θrefとの間に著しい差異が生じる場合も含まれる。
また、S字状の曲線が、経路設定値(位置設定値)θrefを中心とすることは、経路制御によって自由に選択された、ノンゼロの設定値を含んだ任意の経路設定値(位置設定値)θrefに対する効果的な追従を可能にしながらも、調節(regulation)を自動的に行うこと、及び、調整の汎用性、という点で前述の優位性がもたらされる、という点で有効である。
尚、さらに、ドライバートルク設定値決定則Lを示す曲線の形状は、基準の原点(θ=0、Csteer_ref=0)を曲線の中心とした直線的な経路制御(straight-line path control)とする場合と、例えばカーブした車線を追従するための、任意のノンゼロの基準位置θrefに係る制御とする場合(曲線が基準位置(θref≠0)を中心とする場合)との両方で、好適には同一であってもよい(重ね合わせたときに一致してもよい)。その場合、図2において点線で図示した矢印から見て取れるように、一方の曲線は、もう一つの曲線を、横軸に沿って単に移しただけのものとなる。
ドライバートルク設定値決定則Lを規定する曲線(または、散布図)は、その形状に関係なく、メモリに記憶されたマッピング(「ベースマップ」)として与えられてもよい。このマッピングは、好ましくは、少なくとも経路設定値(位置設定値)θrefに応じて、パラメータ付け可能となっている(つまり、調整可能となっている)。この場合、マッピングは、前述の如く、経路設定値(位置設定値)θrefを中心とすることになる。
例えば車速等、他のパラメータが、適宜、ドライバートルク設定値決定則Lの規定に影響してもよい。
例えば、ドライバートルク設定値Csteer_refの大きさが、車速が増大するにつれて増大する、としてもよい。この場合、車速が増大するときには、ドライバートルク設定値決定則Lを示す曲線、ひいてはマッピングを、縦軸方向に引き延ばし、それとは反対に、車速が減少するとき、及び/又は、車速が所定の閾値を下回るときには、その曲線を、同方向に「縮める」ことになる。
もちろん、本発明はまた、コンピュータによって読み取り可能なデータメディアに関する。このデータメディアは、該メディアがコンピュータによって読み取られたときに、前述の特徴のいずれか1つに係る方法を確実に実行するコンピュータプログラムコード要素を含む。
本発明はまた、ドライバートルク制御モジュール6を備えたパワーステアリングの管理モジュールに関する。このドライバートルク制御モジュール6は、入力部において、ドライバートルク設定値Csteer_refとドライバーによって所定の瞬間にハンドル3に実際に付与される有効ドライバートルクCsteerの測定値とを受け取り、有効ドライバートルクCsteerとドライバートルク設定値Csteer_refとの差に相当するドライバートルク偏差ΔCsteerを評価し、出力部において、ドライバートルク偏差ΔCsteerを低減するために、ドライバートルク偏差ΔCsteerに応じて、アシストモータ4に割り当てるモータトルク設定値Cmot_refを出力するように構成されている。パワーステアリングの管理モジュールはまた、ドライバートルク制御モジュール6に加えて、さらに、経路制御モジュール7も備えている。この経路制御モジュール7は、入力部において、車両が自動的に追従することが望まれる基準経路に応じて予め設定された経路設定値θrefと、車両の有効経路を示す、少なくとも1つのパラメータである経路パラメータθの有効値の測定値とを受け取り、その後に、経路設定値θrefと経路パラメータθの有効値との差に相当する経路偏差Δθを評価し、その後に、ドライバートルク制御モジュール6の入力部に接続された出力部において、経路偏差Δθに基づいて、該経路偏差Δθを低減するように決定されたドライバートルク設定値Csteer_refを出力するように構成されている。
さらに好ましくは、経路制御モジュール7は、入力部において、車両が自動的に追従することが望まれる基準経路に応じた位置設定値θrefと、パワーステアリング1の有効位置θの測定値とを受け取り、その後に、位置設定値θrefとステアリングの有効位置θとの差に相当する位置偏差Δθを評価し、その後に、ドライバートルク制御モジュール6の入力部に接続された出力部において、位置偏差Δθに基づいて、該位置偏差Δθを低減するように決定されたドライバートルク設定値Csteer_refを出力するように構成されている。
もちろん、ドライバートルク制御モジュール6が、経路制御モジュール7に対するスレーブとして配置され且つ用いられるとき、ドライバートルク制御は、経路制御モジュール7から時間経過に伴い出力される種々のドライバートルク設定値Csteer_refを考慮して実行するために、充分に迅速に行われなければならない。
したがって、ドライバートルク制御ループのバンド幅は、経路制御ループのバンド幅よりも(一般的に少なくとも3倍、好ましくは10倍)広い。つまり、モータトルク設定値Cmot_refを生成し、アシストモータ4に対し、このモータトルク設定値Cmot_refに近い(一般的に誤差は5%未満)有効モータトルクCmotを割り当てるための、ドライバートルク制御モジュール6の応答時間は、経路制御モジュール7がドライバートルク設定値Csteer_refを更新するのに必要な時間よりも、少なくとも3倍短く(3分の1)、好ましくは10倍短く(10分の1)なっている。
さらに、前記モジュール6、7は、それぞれ、電子回路、電子基板、演算器(コンピュータ)、プログラマブル・ロジック・コントローラやその他の等価装置によって構成されてもよい。
前記モジュール6、7は、それぞれ、電子部品を配線によって接続してなる物理的な制御構造であってもよく、及び/又は、好ましくは、コンピュータプログラムによって定義される仮想的な制御構造であってもよい。
さらに、本発明はまた、もちろん、前述のモジュール6、7の一部または全部を含み且つ、本発明に係る方法を実施可能な管理モジュールによって操縦されるパワーステアリング機構を備えたパワーステアリングシステムに関する。
最後に、本発明は、このようなパワーステアリングシステムを登載した、特にステアードホール(可能ならば駆動ホイール)を備える自動車に関する。
もちろん、本発明は、前述の実施例や変形例に限定されることはなく、当業者は、特に前述の特徴を自由に切り離したり、組み合わせたり、さらには均等物に置き換えることが可能である。
特に、前述の如く、本発明は、ドライバートルク制御機能(アシスト機能)と、経路制御機能(自動操縦機能)とを組み合わせることにより、経路制御機能の出力が、ドライバートルク制御機能に対し、ドライバートルク設定値Csteer_refとして提供されるように(つまり、経路制御機能の出力がドライバートルクの目標値として提供された後、アシスト機能が、アシストモータに対して適切な制御を生成して付与することにより、ドライバートルクの有効値を、その目標値に収束させるように)構成された、パワーステアリングのあらゆる管理方法に関する。

Claims (7)

  1. 少なくとも1つのハンドル(3)と、少なくとも1つのアシストモータ(4)とを備えたパワーステアリングの管理方法であって、
    ドライバートルク設定値(Csteer_ref)を生成する経路制御ステップ(a)と、
    前記ドライバートルク設定値(Csteer_ref)に基づいて、前記アシストモータ(4)に割り当てるモータトルク設定値(Cmot_ref)を決定するドライバートルク制御ステップ(b)とを備え、
    前記経路制御ステップ(a)は、
    車両の有効経路を示す、少なくとも1つのパラメータである経路パラメータ(θ)の有効値を測定する工程と、
    前記経路パラメータ(θ)と、前記車両が自動的に追従することが望まれる基準経路に応じて予め設定された経路設定値(θref)とを比較することにより、該経路設定値(θref)と前記経路パラメータ(θ)の有効値との差に相当する経路偏差(Δθ)を評価する工程と、
    前記経路偏差(Δθ)に基づいて、該経路偏差(Δθ)を低減するようなドライバートルク設定値(Csteer_ref)を決定する工程とを、この順で行うよう構成され、
    前記ドライバートルク制御ステップ(b)は、
    所定の瞬間にドライバーによって前記ハンドル(3)に実際に付与される有効ドライバートルク(Csteer)を測定する工程と、
    前記有効ドライバートルク(Csteer)と、前記ドライバートルク設定値(Csteer_ref)とを比較することにより、前記有効ドライバートルク(Csteer)と前記ドライバートルク設定値(Csteer_ref)との差に相当するドライバートルク偏差(ΔCsteer)を評価する工程と、
    前記ドライバートルク偏差(ΔCsteer)を低減するべく、該ドライバートルク偏差(ΔCsteer)に基づいて、前記アシストモータに割り当てるモータトルク設定値(Cmot_ref)を決定する工程とを、この順で行うよう構成され、
    前記経路制御ステップ(a)は、
    ドライバートルク設定値決定則(L)を用いることにより、前記経路偏差(Δθ)に基づいて前記ドライバートルク設定値(Csteer_ref)を決定する工程を備え、
    前記ドライバートルク設定値決定則(L)は、
    前記経路設定値(θref)を中心とした関数として構成されていると共に、
    前記経路パラメータ(θ)の各有効値に対し、対応するドライバートルク設定値(Csteer_ref)を関連付けるように規定され、
    前記ドライバートルク設定値決定則(L)を示す関数の曲線形状は、
    車速が増大するときには、前記ドライバートルク設定値(Csteer_ref)の大きさを示す縦軸方向に引き延ばされる一方、
    車速が減少するとき及び車速が所定の閾値を下回るときの少なくとも一方においてはは、前記縦軸方向に縮小される
    ことを特徴とするパワーステアリングの管理方法。
  2. 請求項1に記載されたパワーステアリングの管理方法において、
    前記経路制御ステップ(a)は、
    前記パワーステアリングの有効位置(θ)を測定する工程と、
    前記有効位置(θ)と、前記車両が自動的に追従することが望まれる基準経路に応じて予め設定された位置設定値(θref)とを比較することにより、該位置設定値(θref)と前記パワーステアリングの有効位置(θ)との差に相当する位置偏差(Δθ)を評価する工程と、
    前記位置偏差(Δθ)に基づいて、該位置偏差(Δθ)を低減するようなドライバートルク設定値(Csteer_ref)を決定する工程とを、この順で行うよう構成されている
    ことを特徴とするパワーステアリングの管理方法。
  3. 請求項1又は2に記載されたパワーステアリングの管理方法において、
    前記ドライバートルク設定値(Csteer_ref)決定則(L)を示す関数は、前記経路設定値(θref)を中心として単調に増加する中心領域(II)を有する「S字状」の曲線であり、
    前記中心領域(II)は、該中心領域(II)の傾斜よりも緩やかな、又は、実質的にゼロの傾斜を有する2つの漸近領域(I、III)に挟まれている
    ことを特徴とするパワーステアリングの管理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載されたパワーステアリングの管理方法において、
    前記経路制御ステップ(a)は、
    駐車操作のための自動操縦機能、または車線を追従するための自動操縦機能を用いることにより、前記経路設定値(θref)を決定する工程を備える
    ことを特徴とするパワーステアリングの管理方法。
  5. コンピュータによって読み取り可能なデータメディアであって、
    コンピュータによって読み取られたときに、請求項1〜4のいずれか1項に記載された管理方法を実行するコンピュータプログラムコード要素を含む
    ことを特徴とするデータメディア。
  6. パワーステアリングの管理モジュールであって、
    ドライバートルク設定値(Csteer_ref)に基づいて、アシストモータ(4)に割り当てるモータトルク設定値(Cmot_ref)を決定するドライバートルク制御モジュール(6)と、
    前記ドライバートルク設定値(Csteer_ref)を生成する経路制御モジュール(7)とを備え、
    前記ドライバートルク制御モジュール(6)は、
    入力部において、前記ドライバートルク設定値(Csteer_ref)と、所定の瞬間にドライバーによってハンドル(3)に実際に付与される有効ドライバートルク(Csteer)の測定値とを受け取り、
    前記有効ドライバートルク(Csteer)と、前記ドライバートルク設定値(Csteer_ref)との差に相当するドライバートルク偏差(ΔCsteer)を評価し、
    出力部において、前記ドライバートルク偏差(ΔCsteer)を低減するために、前記ドライバートルク偏差(ΔCsteer)に基づいて、前記アシストモータ(4)に割り当てる前記モータトルク設定値(Cmot_ref)を出力するように構成され、
    前記経路制御モジュール(7)は、
    入力部において、車両が自動的に追従することが望まれる基準経路に応じて予め設定された経路設定値(θref)と、車両の有効経路を示す、少なくとも1つのパラメータである経路パラメータ(θ)の有効値の測定値とを受け取り、
    その後に、前記経路設定値(θref)と、前記経路パラメータ(θ)の有効値との差に相当する経路偏差(Δθ)を評価し、
    その後に、前記ドライバートルク制御モジュール(6)の入力部に接続された出力部において、前記経路偏差(Δθ)に基づいて、該経路偏差(Δθ)を低減するように決定されたドライバートルク設定値(Csteer_ref)を出力するように構成され、
    前記経路制御モジュール(7)は、
    ドライバートルク設定値決定則(L)を用いることにより、前記経路偏差(Δθ)に基づいて前記ドライバートルク設定値(Csteer_ref)を決定し、
    前記ドライバートルク設定値決定則(L)は、
    前記経路設定値(θref)を中心とした関数として構成されていると共に、
    前記経路パラメータ(θ)の各有効値に対し、対応するドライバートルク設定値(Csteer_ref)を関連付けるように規定され、
    前記ドライバートルク設定値決定則(L)を示す関数の曲線形状は、
    車速が増大するときには、前記ドライバートルク設定値(Csteer_ref)の大きさを示す縦軸方向に引き延ばされる一方、
    車速が減少するとき及び車速が所定の閾値を下回るときの少なくとも一方においては、前記縦軸方向に縮小される
    ことを特徴とするパワーステアリングの管理モジュール。
  7. 請求項6に記載されたパワーステアリングの管理モジュールにおいて、
    前記経路制御モジュール(7)は、
    入力部において、前記車両が自動的に追従することが望まれる基準経路に応じて予め設定された位置設定値(θref)と、前記パワーステアリングの有効位置(θ)の測定値とを受け取り、
    その後に、前記位置設定値(θref)と、前記パワーステアリングの有効位置(θ)との差に相当する位置偏差(Δθ)を評価し、
    その後に、前記ドライバートルク制御モジュール(6)の入力部に接続された出力部において、前記位置偏差(Δθ)に基づいて、該位置偏差(Δθ)を低減するように決定されたドライバートルク設定値(Csteer_ref)を出力するように構成されている
    ことを特徴とするパワーステアリングの管理モジュール。
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