(1)移動通信システム
実施形態に係る移動通信システムの構成について説明する。図1は、実施形態に係る移動通信システムであるLTE(Long Term Evolution)システムの構成を示す図である。LTEシステムは、3GPP規格に基づく移動通信システムである。
図1に示すように、LTEシステムは、無線端末(UE:User Equipment)100、無線アクセスネットワーク(E−UTRAN:Evolved−UMTS Terrestrial Radio Access Network)10、及びコアネットワーク(EPC:Evolved Packet Core)20を備える。
UE100は、移動型の通信装置である。UE100は、例えば、携帯電話端末、タブレット端末、カード型端末、又は車載型端末等である。UE100は、自身が在圏するセル(サービングセル)を管理するeNB200との無線通信を行う。
E−UTRAN10は、基地局(eNB:evolved Node−B)200を含む。eNB200は、X2インターフェイスを介して相互に接続される。eNB200は、1又は複数のセルを管理する。eNB200は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。eNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。
EPC20は、モビリティ管理エンティティ(MME)及びサービングゲートウェイ(S−GW)300を含む。MMEは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。MMEは、NAS(Non−Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100が在圏するトラッキングエリア(TA)の情報を管理する。トラッキングエリアは、複数のセルからなるエリアである。S−GWは、データの転送制御を行う。MME及びS−GWは、S1インターフェイスを介してeNB200と接続される。
図2は、UE100(無線端末)の構成を示す図である。図2に示すように、UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
制御部130は、UE100における各種の制御を行う。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)と、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。プロセッサは、後述する処理を実行する。
図3は、eNB200(基地局)の構成を示す図である。図3に示すように、eNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
制御部230は、eNB200における各種の制御を行う。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサ及びメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUと、を含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。プロセッサは、後述する処理を実行する。
バックホール通信部240は、X2インターフェイスを介して隣接eNBと接続される。バックホール通信部240は、S1インターフェイスを介してMME/S−GW300と接続される。バックホール通信部240は、X2インターフェイス上で行う通信及びS1インターフェイス上で行う通信等に用いられる。
図4は、LTEシステムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。図4に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルの第1レイヤ乃至第3レイヤに区分されている。第1レイヤは物理(PHY)レイヤである。第2レイヤは、MAC(Medium Access Control)レイヤ、RLC(Radio Link Control)レイヤ、及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤを含む。第3レイヤは、RRC(Radio Resource Control)レイヤを含む。PHYレイヤ、MACレイヤ、RLCレイヤ、PDCPレイヤ、及びRRCレイヤは、AS(Access Stratum)レイヤを構成する。
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤとeNB200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤとeNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。eNB200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとeNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
RRCレイヤは、制御情報を取り扱う制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRCレイヤとeNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100はRRCコネクティッドモード(コネクティッドモード)である。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がない場合、UE100はRRCアイドルモード(アイドルモード)である。
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNASレイヤとMME300CのNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等の機能を有する。
図5は、LTEシステムにおいて用いられる無線フレームの構成を示す図である。図5に示すように、無線フレームは、時間軸上で10個のサブフレームで構成される。各サブフレームは、時間軸上で2個のスロットで構成される。各サブフレームの長さは1msである。各スロットの長さは0.5msである。各サブフレームは、周波数軸上で複数個のリソースブロック(RB)を含む。各サブフレームは、時間軸上で複数個のシンボルを含む。各リソースブロックは、周波数軸上で複数個のサブキャリアを含む。具体的には、12個のサブキャリア及び1つのスロットにより1つのRBが構成される。1つのシンボル及び1つのサブキャリアにより1つのリソースエレメント(RE)が構成される。UE100に割り当てられる無線リソース(時間・周波数リソース)のうち、周波数リソースはリソースブロックにより特定でき、時間リソースはサブフレーム(又はスロット)により特定できる。
下りリンクにおいて、各サブフレームの先頭数シンボルの区間は、主に下りリンク制御情報を伝送するための物理下りリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)として用いられる領域である。各サブフレームの残りの部分は、主に下りリンクデータを伝送するための物理下りリンク共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)として用いることができる領域である。
上りリンクにおいて、各サブフレームにおける周波数方向の両端部は、主に上りリンク制御情報を伝送するための物理上りリンク制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)として用いられる領域である。各サブフレームにおける残りの部分は、主に上りリンクデータを伝送するための物理上りリンク共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)として用いることができる領域である。
(2)ProSe UE−to−Network Relay
実施形態に係るリレー機能(ProSe UE−to−Network Relay)について説明する。図6は、実施形態に係るリレー機能を示す図である。
図6に示すように、リレーUE100A(リレー無線端末)は、リモートUE100B(リモート無線端末)との直接通信を用いて、eNB200(E−UTRAN10)との接続性をリモートUE100Bに提供する。すなわち、リレーUE100Aは、eNB200とリモートUE100Bとの間の通信を中継する。
リレーUE100Aは、eNB200のカバレッジエリア内に位置する。リレーUE100Aは、アイドルモード(RRC Idle)又はコネクティッドモード(RRC Connected)にある。実施形態において、リレーUE100Aがアイドルモードにある場合を主として想定する。但し、リレーUE100AがeNB200とリモートUE100Bとの間の通信を中継する際には、リレーUE100Aはコネクティッドモードにある。リレーUE100Aは、ページングメッセージ(Paging)及び/又はシステム情報(System Information)をeNB200から受信し、ページングメッセージ及び/又はシステム情報をリモートUE100Bに中継する。
リモートUE100Bは、eNB200のカバレッジエリア外又はカバレッジエリア内に位置する。リモートUE100Bは、リレーUE100Aを所持するユーザによって着用されるウェアラブル端末であってもよい。リモートUE100BとリレーUE100Aとの間には端末間無線リンクが確立される。端末間無線リンクが確立された状態をリンクド状態(Linked)と称する。リンクド状態は、少なくともリモートUE100BとリレーUE100Aとの間の同期がとられた状態であって、リモートUE100BとリレーUE100Aとの間で直接通信が可能な状態である。リンクド状態は、リモートUE100Bの識別子がリレーUE100Aに登録された状態であってもよい。リモートUE100Bの識別子は、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)であってもよい。
リレーUE100AとリモートUE100Bとの間の無線プロトコルは、3GPP(LTE)に準拠したサイドリンクプロトコル、又は3GPP(LTE)とは異なるプロトコル(例えば、Bluetooth(登録商標)、WiFi)に準拠したプロトコルである。サイドリンクとは、3GPPで規定されたUE間インターフェイスである。実施形態において、リレーUE100AとリモートUE100Bとの間の無線プロトコルとしてサイドリンクプロトコルを用いる場合を主として想定する。
(3)ページング中継動作
実施形態に係るページング中継動作について説明する。
(3.1)ページング中継動作の概要
一般的なページング(アイドルモードページング)について説明する。アイドルモードにあるUE100は、消費電力を削減するために間欠受信(DRX)動作を行う。DRX動作において、UE100は、ページングメッセージを受信するためにPDCCHを間欠的に監視する。UE100におけるPDCCH監視タイミングは、UE100の識別子(IMSI:International Mobile Subscriber Identity)に基づいて定められる。DRX動作におけるPDCCH監視タイミング(PDCCH監視サブフレーム)は、Paging Occasion(PO)と称される。POは、ページング受信機会に相当する。
UE100及びeNB200は、Paging Occasion(PO)、及びPaging Occasionを含みうる無線フレームであるPaging Frame(PF)を下記のように計算する。PFのシステムフレーム番号(SFN)は、下記の式(1)から求められる。
SFN mod T = (T div N) * (UE_ID mod N) …(1)
“T”は、ページングを監視するためのUE100のDRXサイクルであり、無線フレームの数で表される。また、“T”は、eNB200がSIB(System Information Block)によりブロードキャストするデフォルトDRX値、及びNASメッセージによりUE100に設定されるUE固有DRX値のうち、何れか小さい方である。なお、UE固有DRX値が設定されていない場合、UE100は、デフォルトDRX値を“T”に適用する。また、“N”は、“T”と“nB”のうち最小値である。nBは、4T,2T,T,T/2,T/4,T/8,T/16,T/32から選択される値である。“UE_ID”は、「IMSI mod 1024」により求められる値である。
このようにして求められたPFのうち、POのサブフレーム番号は、下記のように求められる。まず、下記の式(2)により、インデックスi_sを求める。
i_s = floor(UE_ID/N) mod Ns …(2)
但し、“Ns”は、1とnB/Tのうち最大値である。次に、Ns及びインデックスi_sに対応するPOを求める。
このように、UE識別子(IMSI)に応じてページング受信機会を異ならせることにより、ページング受信機会が集中しないようになっている。UE100は、ページング受信機会に対応するサブフレームおいて、ページング用のグループ識別子(P−RNTI)を用いてPDCCHをデコードし、ページングチャネルの割り当て情報を取得する。UE100は、当該割当情報に基づいて、ページングメッセージを取得する。
実施形態に係るページング中継動作の概要について説明する。実施形態において、ネットワークは、リモートUE100Bを呼び出すためのページングを行う。リモートUE100Bを呼び出すためのページングのシナリオとして第1のページングシナリオ及び第2のページングシナリオを想定する。各シナリオにおいて、リモートUE100B及びリレーUE100Aはリンクド状態にある。
図7は、リモートUE100Bを呼び出すための第1のページングシナリオを示す図である。
図7に示すように、第1のページングシナリオにおいて、アイドルモードにあるリレーUE100Aは、自身のページング受信機会(Paging occasion for L2 relay UE)及びリモートUE100Bのページング受信機会(Paging occasion for remote UE)の両方においてページングメッセージを監視する。第1のページングシナリオにおいて、MME300は、リレーUE100AとリモートUE100Bとの対応関係を把握していなくてもよい。
ステップS11において、MME300は、例えばリモートUE100Bに対する着信を検知し、リモートUE100Bを呼び出すことを決定する。MME300は、S1インターフェイス上で、リモートUE100B宛てのページングメッセージ(S1AP Paging)をeNB200に送信する。例えば、MME300は、リモートUE100Bが在圏するトラッキングエリアを把握し、当該トラッキングエリアに対応する1又は複数のeNB200にページングメッセージ(S1AP Paging)を送信する。当該ページングメッセージ(S1AP Paging)は、呼び出し先としてリモートUE100Bの識別子を含む。当該ページングメッセージ(S1AP Paging)は、リモートUE100Bのページング受信機会をeNB200が特定するための情報(ページングDRX)を含む。
ステップS12において、ページングメッセージ(S1AP Paging)を受信したeNB200は、リモートUE100Bのページング受信機会を特定し、特定したページング受信機会において、リモートUE100B宛てのページングメッセージ(Paging for remote UE)を送信する。eNB200が送信するページングメッセージは、RRCメッセージの一種である。ページングメッセージ(Paging for remote UE)は、呼び出し先としてリモートUE100Bの識別子を含む。
リレーUE100Aは、自身の識別子に基づいて定められるページング受信機会(Paging occasion for L2 relay UE)及びリモートUE100Bの識別子に基づいて定められるページング受信機会(Paging occasion for remote UE)の両方においてページングメッセージを監視する。リレーUE100Aは、ページング受信機会(Paging occasion for remote UE)において、リモートUE100B宛てのページングメッセージ(Paging for remote UE)を受信する。
ステップS13において、リレーUE100Aは、リモートUE100Bにページングを中継する(Paging over short range link)。具体的には、リレーUE100Aは、リモートUE100Bが呼び出されたことを示すページング情報をリモートUE100Bに送信する。リモートUE100Bは、ページング情報の受信に応じて、自身が呼び出されたと判断する。
図8は、リモートUE100Bを呼び出すための第2のページングシナリオを示す図である。第1のページングシナリオと重複する動作については、説明を省略する。
図8に示すように、第2のページングシナリオにおいて、アイドルモードにあるリレーUE100Aは、自身のページング受信機会(Paging occasion for L2 relay UE)のみにおいてページングメッセージを監視する。第2のページングシナリオにおいて、MME300は、リレーUE100AとリモートUE100Bとの対応関係を把握している必要がある。具体的には、MME300は、リモートUE100Bのページング受信機会をリレーUE100Aのページング受信機会にマッピングする。
ステップS21において、MME300は、例えばリモートUE100Bに対する着信を検知し、リモートUE100Bを呼び出すことを決定する。MME300は、S1インターフェイス上で、リモートUE100B宛てのページングメッセージ(S1AP Paging)をeNB200に送信する。当該ページングメッセージ(S1AP Paging)は、呼び出し先としてリモートUE100Bの識別子を含む。当該ページングメッセージ(S1AP Paging)は、リモートUE100Bのページング受信機会がマッピングされたリレーUE100Aのページング受信機会をeNB200が特定するための情報(ページングDRX)を含む。
ステップS22において、ページングメッセージ(S1AP Paging)を受信したeNB200は、リレーUE100Aのページング受信機会を特定する。eNB200は、特定したページング受信機会において、リモートUE100B宛てのページングメッセージ(Paging for remote UE)を送信する。ページングメッセージ(Paging for remote UE)は、呼び出し先としてリモートUE100Bの識別子を含む。
リレーUE100Aは、自身の識別子(IMSI)に基づいて定められるページング受信機会(Paging occasion for L2 relay UE)においてページングメッセージを監視する。リレーUE100Aは、リモートUE100B宛てのページングメッセージ(Paging for remote UE)を受信する。
ステップS23において、リレーUE100Aは、リモートUE100Bにページングを中継する(Paging over short range link)。リモートUE100Bは、リレーUE100Aからのページング情報の受信に応じて、自身が呼び出されたと判断する。
(3.2)アイドルモードにおけるページング中継動作
実施形態に係るアイドルモードにおけるページング中継動作について説明する。
(3.2.1)アイドルモードにおける第1のページング中継動作
実施形態に係るアイドルモードにおける第1のページング中継動作は、上述した第2のページングシナリオにおいて、リモートUE100BだけでなくリレーUE100Aも同時に呼び出される場合を想定した動作である。
図9は、実施形態に係るアイドルモードにおける第1のページング中継動作を示す図である。リレーUE100A及びリモートUE100Bは、アイドルモードにある。また、リレーUE100AとリモートUE100Bとはリンクド状態にある。リレーUE100Aは、自身のページング受信機会のみにおいてページングメッセージを監視する。MME300は、リレーUE100AとリモートUE100Bとの対応関係を把握している。MME300は、把握している対応関係を基にリモートUE100Bのページング受信機会をリレーUE100Aのページング受信機会にマッピングする。
図9に示すように、ステップS101において、MME300は、例えばリモートUE100Bに対する着信及びリレーUE100Aに対する着信の両方を検知し、リモートUE100B及びリレーUE100Aの両方を呼び出すことを決定する。MME300は、S1インターフェイス上で、リモートUE100B及びリレーUE100A宛てのページングメッセージ(PAGING w/one for Remote UE)をeNB200に送信する。当該ページングメッセージは、呼び出し先としてリモートUE100Bの識別子を含む。当該ページングメッセージは、リモートUE100Bのページング受信機会がマッピングされたリレーUE100Aのページング受信機会をeNB200が特定するための情報(ページングDRX)を含む。当該ページングメッセージは、呼び出し先としてリレーUE100Aの識別子をさらに含んでもよい。当該ページングメッセージは、リレーUE100Aも呼び出されていることを示す指示子をさらに含んでもよい。或いは、MME300は、リモートUE100B宛てのページングメッセージとは別に、リレーUE100A宛てのページングメッセージをさらにeNB200に送信してもよい。この場合、リレーUE100A宛てのページングメッセージには通常のメッセージフォーマットが適用され、リモートUE100B宛てのページングメッセージには新たなメッセージフォーマットが適用されてもよい。
ステップS102において、MME300からページングメッセージを受信したeNB200は、リレーUE100Aのページング受信機会を特定する。eNB200は、特定したページング受信機会において、リモートUE100B及びリレーUE100A宛てのページングメッセージ(PAGING w/one for Remote UE)を送信する。当該ページングメッセージは、呼び出し先としてリモートUE100Bの識別子を含む。当該ページングメッセージは、呼び出し先としてリレーUE100Aの識別子をさらに含む。当該ページングメッセージは、リレーUE100Aも呼び出されていることを示す指示子をさらに含んでもよい。或いは、eNB200は、リモートUE100B宛てのページングメッセージとは別に、リレーUE100A宛てのページングメッセージをさらに送信してもよい。この場合、リレーUE100A宛てのページングメッセージには通常のメッセージフォーマットが適用され、リモートUE100B宛てのページングメッセージには新たなメッセージフォーマットが適用されてもよい。
図10は、eNB200が送信するページングメッセージの構成例を示す図である。ここでは、通常のページングメッセージを拡張してリモートUE100B宛てのページングメッセージを構成する一例を説明する。
図10に示すように、ページングメッセージ(Paging)は、呼び出し先UEの識別子のリストである「PagingRecordList」を含む。「PagingRecordList」は、1から「maxPageRec」までの数のUE識別子の情報(PagingRecord)を含む。実施形態において、「PagingRecord」は、リレーUE100Aの識別子(ue−Identity)に加えて、リモートUE100Bの識別子(remoteUE−Identity)を含む。「remoteUE−Identity」は、通常のページングメッセージに対して新たに追加された情報要素(IE)である。「remoteUE−Identity」は、複数のUE識別子を含むリスト形式であってもよい。
「remoteUE−Identity」を含むページングメッセージは、リレーUE100AがリモートUE100Bに中継する必要があるページングメッセージであることを意味する。また、「remoteUE−Identity」を含むページングメッセージにおいて、「ue−Identity」は、当該ページングメッセージの中継を行うべきリレーUE100Aを示す。但し、「ue−Identity」は、ページングメッセージに含まれていなくてもよい。しかしながら、「ue−Identity」がページングメッセージに含まれていない場合、ページングメッセージを受信した全てのリレーUEが、リンクド状態か否かに関わらずページング中継を行う虞がある。よって、無線リソース及びUE消費電力を節約するために、「remoteUE−Identity」を含むページングメッセージは、当該ページングメッセージの中継を行うべきリレーUE100Aの識別子(ue−Identity)が含まれることが望ましい。
「remoteUE−Identity」を含むページングメッセージを受信したリレーUE100Aは、ページングメッセージの中継を行うと判断する。しかしながら、「remoteUE−Identity」がページングメッセージに含まれている場合、リレーUE100Aは、自身も呼び出されているのか否を判断することができない。実施形態において、リモートUE100BだけでなくリレーUE100Aも呼び出されていることをリレーUE100Aに示すために、「remoteUE−Identity」にリレーUE100Aの識別子をさらに含める。或いは、「remoteUE−Identity」とは別に、リレーUE100Aも呼び出されていることを示す指示子(relayUE−Paging=True)をページングメッセージに含める。「relayUE−Paging」は、通常のページングメッセージに対して新たに追加された情報要素(IE)である。
或いは、通常のページングメッセージを拡張することに代えて、通常のページングメッセージとは別のリモートUE宛てのページングメッセージを規定してもよい。eNB200は、リモートUE100B宛てのページングメッセージとは別に、リレーUE100A宛てのページングメッセージを送信する。この場合、リレーUE100Aは、1つのページング受信機会において、これらの2つのページングメッセージが送信される可能性を考慮しなければならない。これらの2つのページングメッセージを区別するために、例えば、リモートUE宛てのページングメッセージの受信に用いるP−RNTIを、通常のページングメッセージの受信に用いるP−RNTIとは別に設定してもよい。リモートUE宛てのページングメッセージの受信に用いる特別なP−RNTIは、eNB200からリレーUE100Aに通知されてもよいし、仕様により定められた値がリレーUE100Aに事前設定されてもよい。 図9に戻り、リレーUE100Aは、自身のページング受信機会において、リモートUE100Bの識別子を呼び出し先として含むページングメッセージをeNB200から受信する(ステップS102)。
ステップS103において、リレーUE100Aは、当該ページングメッセージの受信に応じて、リモートUE100BだけでなくリレーUE100Aも呼び出されているか否かを判断する。リレーUE100Aは、以下の条件1〜3のうち少なくとも1つが満たされた場合に、リモートUE100BだけでなくリレーUE100Aも呼び出されていると判断する。
条件1:リレーUE100Aの識別子も呼び出し先としてページングメッセージに含まれていること。例えば、リレーUE100Aは、「remoteUE−Identity」にリレーUE100Aの識別子がさらに含まれている場合に、リモートUE100BだけでなくリレーUE100Aも呼び出されていると判断する。
条件2:リレーUE100Aも呼び出されていることを示す指示子がページングメッセージに含まれていること。例えば、リレーUE100Aは、「relayUE−Paging=True」がページングメッセージに含まれている場合に、リモートUE100BだけでなくリレーUE100Aも呼び出されていると判断する。
条件3:ページング受信機会においてリレーUE100Aの識別子を呼び出し先として含む他のページングメッセージをさらに受信したこと。例えば、リレーUE100Aは、リモートUE100B宛てのページングメッセージとは別に、リレーUE100A宛てのページングメッセージを受信した場合に、リモートUE100BだけでなくリレーUE100Aも呼び出されていると判断する。
リモートUE100BだけでなくリレーUE100Aも呼び出されていると判断した場合(ステップS103:Yes)、ステップS104において、リレーUE100Aは、アイドルモードからコネクティッドモードに遷移するために、接続要求メッセージ(RRC Connection Request)をeNB200に送信する。リレーUE100Aがアイドルモードかつサスペンド状態にある場合、リレーUE100Aは、接続要求メッセージ(RRC Connection Request)に代えて、接続復旧要求メッセージ(RRC Connection Resume Request)をeNB200に送信してもよい。リレーUE100AのRRC層は、呼び出しがあった旨をRRC層よりも上位の層(NAS層等)に通知してもよい。リレーUE100Aは、コネクティッドモードに遷移した後、NASシグナリングを用いてページング応答メッセージをMME300に送信してもよい。このように、リレーUE100Aは、リモートUE100BだけでなくリレーUE100Aも呼び出されていると判断した場合に、ページングメッセージに応答する処理を行う。そして、リレーUE100Aは、処理をステップS105に進める。
リモートUE100Bだけが呼び出されていると判断した場合(ステップS103:No)、リレーUE100Aは、ページングメッセージに応答する処理(ステップS104に関する処理)を行わずに、ステップS105の処理を行う。ステップS105において、リレーUE100Aは、リモートUE100Bにページング情報(Paging for Remote UE)を送信する。リモートUE100Bは、リレーUE100Aからのページング情報の受信に応じて、自身が呼び出されたと判断する。リモートUE100BからリレーUE100Aに送信されるページング情報は、リレーUE100Aの識別子を含む。識別子としては、例えば、IMSI、S−TMSI(SAE Temporary Mobile Subscriber Identity)、サイドリンクの「Destination ID」、WLAN(WiFi)のMACアドレス、Bluetooth(登録商標)用の識別子、IPアドレスなどを用いることができる。後述する動作においても同様なページング情報の構成を利用可能である。
本シーケンスにおいて、リモートUE100BだけでなくリレーUE100Aも呼び出されているか否かをリレーUE100Aが判断するために、リレーUE100Aも呼び出されていることを示す指示子(relayUE−Paging=True)をページングメッセージに含める一例を説明した。変更例として、eNB200(及びMME300)は、リモートUE100Bのみが呼び出されていることを示す指示子(remoteUE−Paging−only=True)をページングメッセージに含めてもよい。当該変更例において、ページングメッセージを受信したリレーUE100Aは、リモートUE100Bのみが呼び出されていることを示す指示子(remoteUE−Paging−only=True)がページングメッセージに含まれていない場合に、リモートUE100BだけでなくリレーUE100Aも呼び出されていると判断してもよい。これに対し、リモートUE100Bのみが呼び出されていることを示す指示子(remoteUE−Paging−only=True)がページングメッセージに含まれている場合、リレーUE100Aは、リモートUE100Bのみが呼び出されていると判断してもよい。
なお、図9のシーケンスにおいて、リレーUE100AがリモートUE100B宛てのページングメッセージを受信する場合を想定した。しかしながら、リレーUE100AがリレーUE100Aのみに宛てられたページングメッセージを受信する場合を想定してもよい。この場合、eNB200(及びMME300)が送信するページングメッセージに、リレーUE100Aのみが呼び出されていることを示す指示子(例えば、relayUE−Paging−only=True)を含めてもよい。「relayUE−Paging−only=True」を含むページングメッセージを受信したリレーUE100Aは、リモートUE100BではなくリレーUE100Aが呼び出されていると判断する。
(3.2.2)アイドルモードにおける第2のページング中継動作
実施形態に係るアイドルモードにおける第2のページング中継動作は、上述した第1のページングシナリオ又は第2のページングシナリオにおいて、リモートUE100Bだけが呼び出される場合を想定した動作である。当該第2のページング中継動作は、上述した第1のページング中継動作と併用されてもよいし、併用されなくてもよい。
図11は、実施形態に係るアイドルモードにおける第2のページング中継動作を示す図である。リレーUE100A及びリモートUE100Bは、アイドルモードにある。また、リレーUE100AとリモートUE100Bとはリンクド状態にある。
図11に示すように、ステップS111の処理は、上述した動作と同様である(図7のステップS11、図8のステップS21、及び図9のステップS101参照)。
また、ステップS112の処理は、上述した動作と同様である(図7のステップS12、図8のステップS22、及び図9のステップS102参照)。
ステップS113において、リモートUE100B宛てのページングメッセージを受信したリレーUE100Aは、リモートUE100Bが呼び出されたことを示すページング情報(Paging for Remote UE)をリモートUE100Bに送信する。リモートUE100Bは、リレーUE100Aからのページング情報の受信に応じて、自身が呼び出されたと判断する。
ステップS114において、リモートUE100Bは、ページング情報に応答する応答情報をリレーUE100Aに送信する。応答情報は、リモートUE100Bからの接続要求(RRC Connection Request)であってもよい。或いは、応答情報は、リレーUE100Aがコネクティッドモードに遷移することを要求する情報であってもよい。
ステップS115において、リレーUE100Aは、リモートUE100Bから応答情報を受信したか否かを判断する。リレーUE100Aは、ページング情報(Paging for Remote UE)の送信時にタイマを開始し、タイマが満了するまで応答情報の受信を待ってもよい。リレーUE100Aは、タイマが動作中に応答情報を受信しない場合に、リモートUE100Bから応答情報を受信しないと判断してもよい。当該タイマの値(閾値)はeNB200及び/又はMME300からリレーUE100Aに設定されてもよい。当該タイマの値は、ページングメッセージ(S111及び/又はS112)、eNB200からの報知メッセージ(例えばSIB)、又はMME300からのNASシグナリング(例えばAttach Accept)でリレーUE100Aに通知されてもよい。
リモートUE100Bから応答情報を受信した場合(ステップS115:Yes)、ステップS116において、リレーUE100Aは、アイドルモードからコネクティッドモードに遷移するために、接続要求メッセージ(RRC Connection Request)をeNB200に送信する。リレーUE100Aがアイドルモードかつサスペンド状態にある場合、リレーUE100Aは、接続要求メッセージ(RRC Connection Request)に代えて、接続復旧要求メッセージ(RRC Connection Resume Request)をeNB200に送信してもよい。リレーUE100Aは、コネクティッドモードに遷移した後、NASシグナリングを用いて、リモートUE100Bのページング応答メッセージをMME300に送信(又は中継)してもよい。
一方、リモートUE100Bから応答情報を受信しない場合(ステップS115:No)、リレーUE100Aは、コネクティッドモードに遷移する処理(ステップS116に関する処理)を行わずに、アイドルモードを維持する。
このように、リモートUE100Bだけが呼び出される場合、リレーUE100Aは、リモートUE100Bから応答情報の受信を待ってコネクティッドモードに遷移する。リレーUE100Aは、リモートUE100Bから応答情報を受信しない場合にはアイドルモードを維持することにより、コネクティッドモードに遷移する処理が無駄になることを防止することができる。
なお、図11のシーケンスにおいて、リレーUE100Aがアイドルモードである場合を想定している。しかしながら、リレーUE100Aが応答情報を受信した時点で既にコネクティッドモードにある場合(又はコネクティッドモードに遷移する処理を実行中である場合)、コネクティッドモードに遷移する処理を改めて行う必要はない。
また、図11のシーケンスにおいて、ページング、すなわち、MT(Mobile Terminated)呼の場合を想定した。しかしながら、リモートUE100B始動の発信、すなわち、MO(Mobile Originated)呼の場合を想定してもよい。この場合、リレーUE100Aは、リモートUE100BからeNB200への接続要求(例えばRRC Connection Request)を検知したことに応じて、接続要求(例えばRRC Connection Request)をeNB200に送信してもよい。
(3.3)コネクティッドモードにおけるページング中継動作
実施形態に係るコネクティッドモードにおけるページング中継動作について説明する。実施形態に係るコネクティッドモードにおけるページング中継動作は、上述した第1のページングシナリオ又は第2のページングシナリオにおいて、リレーUE100Aがコネクティッドモードにある場合を想定した動作である。
図12は、実施形態に係るコネクティッドモードにおけるページング中継動作を示す図である。リレーUE100Aはコネクティッドモードにあり、リモートUE100Bはアイドルモードにある。また、リレーUE100AとリモートUE100Bとはリンクド状態にある。
図12に示すように、ステップS121において、コネクティッドモードにあるリレーUE100Aは、アイドルモード用のページング受信機会(Paging occasion)を決定する。第1のページングシナリオにおいて、リレーUE100Aは、リモートUE100Bの識別子(例えば、IMSI)を用いてアイドルモード用のページング受信機会を決定する。第2のページングシナリオにおいて、リレーUE100Aは、自身の識別子(例えば、IMSI)を用いてアイドルモード用のページング受信機会を決定する。
なお、一般的なコネクティッドモードUEは、UE識別子と無関係なタイミングでページングメッセージを監視することに留意すべきである。具体的には、一般的なコネクティッドモードUEは、システム情報の更新があったか否かを判断するために、システム情報の変更境界(modification boundary)を超えた場合に少なくとも1回はページングメッセージを受信する。言い換えると、一般的なコネクティッドモードUEは、システム情報の変更周期(modification period)内で少なくとも1回はページングメッセージを受信する。これらの受信タイミングは、UE識別子と無関係なタイミングである。また、ETWS/CMASが設定されている場合、コネクティッドモードUEは、ETWS/CMASが送信されるか否かを判断するために、デフォルトDRX値(デフォルトページングサイクル)中に、少なくとも1回はページングメッセージを受信する。
ステップS122において、リレーUE100Aは、ステップS121で決定したページング受信機会においてページングメッセージの監視を行うことにより、リモートUE100B宛てのページングメッセージをeNB200から受信する。
ステップS123において、リレーUE100Aは、リモートUE100B宛てのページングメッセージの受信に応じて、リモートUE100Bにページング情報(Paging for Remote UE)を送信する。リモートUE100Bは、リレーUE100Aからのページング情報の受信に応じて、自身が呼び出されたと判断する。
(4)システム情報中継動作
実施形態に係るシステム情報中継動作について説明する。システム情報(SIB:System Information Block)は、eNB200が繰り返しブロードキャストする情報であり、かつ、様々なタイプの情報(例えば、SIBタイプ1〜タイプ21)を含む。よって、全てのシステム情報をリレーUE100AからリモートUE100Bに中継することは好ましくない。
実施形態に係るリレーUE100Aは、eNB200からブロードキャストされるシステム情報を受信する。リレーUE100Aは、システム情報に含まれる情報をリモートUE100Bに中継するか否かを判断する。リレーUE100Aは、以下の条件A〜Cのうち少なくとも1つが満たされた場合に、システム情報に含まれる情報をリモートUE100Bに中継すると判断する。
条件A:リレーUE100AとリモートUE100Bとの間の端末間無線リンクが確立していない状態において、リレーUE100Aが端末間無線リンクを確立すると判断したこと。
条件B:端末間無線リンクが確立された状態において、リレーUE100Aがシステム情報の更新を検知した。
条件C:端末間無線リンクが確立された状態において、リレーUE100AがリモートUE100Bからシステム情報中継要求を受信したこと。
また、実施形態において、リレーUE100Aは、リモートUE100Bからの通知、リモートUE100Bからの要求、リレーUE100AとリモートUE100Bとの間の無線プロトコルのうち、少なくとも1つに基づいて、システム情報に含まれる情報のうちリモートUE100Bに中継する情報を選択してもよい。リレーUE100Aは、システム情報に含まれる情報のうち、選択した情報のみをリモートUE100Bに中継する。
(4.1)動作例1
動作例1において、リレーUE100AとリモートUE100Bとの間の端末間無線リンクが確立していない状態において、リレーUE100Aが端末間無線リンクを確立する時のみ、リモートUE100Bに対してシステム情報の中継を行う。
図13は、実施形態に係るシステム情報中継動作の動作例1を示す図である。動作例1において、リレーUE100AとリモートUE100Bとの間の端末間無線リンクが確立していない状態を想定する。すなわち、リレーUE100AとリモートUE100Bとはリンクド状態にない。また、リレーUE100AとリモートUE100Bとの間の無線プロトコルが、3GPP(LTE)に準拠したサイドリンク直接通信プロトコルである場合を想定する。さらに、リモートUE100Bは、eNB200のカバレッジエリア外に位置することを想定する。よって、リモートUE100Bは、eNB200からシステム情報を受信することができない。
図13に示すように、ステップS201において、リレーUE100Aは、リモートUE100Bとの端末間無線リンクを確立するか否かを判断する。リレーUE100AのRRC層は、上位レイヤ(NAS層等)の指示に基づいて、リモートUE100Bとの端末間無線リンクを確立するか否かを判断してもよい。リモートUE100Bとの端末間無線リンクを確立するよう上位レイヤから指示された状態は、「リンクド状態に興味がある」と表現されてもよい。例えば、リレーUE100Aを所持するユーザは、マニュアル操作により、リモートUE100Bとの端末間無線リンクを確立するための操作を行う。リレーUE100Aは、当該操作に応じて、リモートUE100Bとの端末間無線リンクを確立すると判断する。
リモートUE100Bとの間の端末間無線リンクを確立すると判断した場合(ステップS201:Yes)、ステップS202において、リレーUE100Aは、リモートUE100Bとの間の端末間無線リンクを確立するためのシステム情報をeNB200から受信する。当該システム情報は、端末間無線リンクの確立に用いる無線リソース(リソースプール)及び/又は端末間無線リンクの確立に用いる設定を示す情報を含む。当該システム情報は、3GPP(LTE)のサイドリンク直接通信に関するシステム情報であるSIBタイプ18、3GPP(LTE)のサイドリンク直接ディスカバリーに関するシステム情報であるSIBタイプ19、3GPP(LTE)のサイドリンクのV2X(Vehicle to Everything)通信に関するシステム情報であるSIBタイプ21のうち少なくとも1つであってもよい。
なお、リレーUE100Aは、ステップS202の処理をステップS201の前に行ってもよい。この場合、リレーUE100Aは、ステップS201の前に取得したシステム情報が最新のシステム情報であることを確認した場合に、ステップS201の後に改めてシステム情報を取得する必要はない。
ステップS203において、リレーUE100Aは、システム情報に含まれる情報をリモートUE100Bに中継(送信)する。リレーUE100Aは、システム情報に含まれる全ての情報を中継せずに、一部の情報のみを中継してもよい。例えば、リレーUE100Aは、システム情報が示す1又は複数のリソースプールのうち、一部の無線リソースを示す情報をリモートUE100Bに送信してもよい。この場合、端末間無線リンクの確立は、リソースプールのうちの限定された無線リソースのみ用いて実施されることになる。或いは、リレーUE100Aは、最新のシステム情報に含まれる全ての情報をリモートUE100Bに送信してもよい。リレーUE100Aは、所定期間(例えば、端末間無線リンクの確立処理が開始されるまでの期間)において、ステップS203の処理を繰り返し行ってもよい。
リモートUE100Bは、リレーUE100Aとの端末間無線リンクを確立すると判断した場合に、リレーUE100Aから中継(送信)されるシステム情報を受信する処理を行う。リモートUE100Bは、どの無線リソース(周波数)を用いてリレーUE100Aからシステム情報が送信されるか不明であるため、全周波数にわたってサーチを行ってもよい。或いは、リモートUE100Bは、過去にシステム情報の送信に用いられた無線リソースに関する情報を記憶し、当該無線リソースに対して優先的にサーチを行ってもよい。
リモートUE100BのRRC層は、上位レイヤ(NAS層等)の指示に基づいて、リレーUE100Aとの端末間無線リンクを確立するか否かを判断してもよい。リレーUE100Aとの端末間無線リンクを確立するよう上位レイヤから指示された状態は、「リンクド状態に興味がある」と表現されてもよい。例えば、リモートUE100Bを所持するユーザは、マニュアル操作により、リレーUE100Aとの端末間無線リンクを確立するための操作を行う。リモートUE100Bは、当該操作に応じて、リレーUE100Aとの端末間無線リンクを確立すると判断する。或いは、リモートUE100Bは、自身がeNB200のカバレッジエリア外に位置すると判断した場合、及び/又は最新のシステム情報を保持していない(取得できない)と判断した場合に、リレーUE100Aとの端末間無線リンクを確立すると判断してもよい。
ステップS204において、リモートUE100B及びリレーUE100Aは、システム情報に基づいて、端末間無線リンクを確立する処理を行う。具体的には、リモートUE100Bは、リレーUE100Aから受信したシステム情報に基づいて、リレーUE100Aに対する送信に用いる無線リソースを決定する。リモートUE100Bは、決定した無線リソースを用いて、端末間無線リンクを確立するための信号及び/又はメッセージをリレーUE100Aに送信する。リレーUE100Aは、リモートUE100Bに通知した無線リソースを用いて、リモートUE100Bから信号及び/又はメッセージを受信する。リレーUE100Aが一部のシステム情報のみをリモートUE100Bに送信する場合、リモートUE100Bは、端末間無線リンクの確立後、リンクド状態において全てのシステム情報をリレーUE100Aから取得してもよい。
(4.2)動作例2
動作例2において、リレーUE100Aは、リモートUE100Bに中継すべきシステム情報が更新された時のみ、リモートUE100Bに対してシステム情報の更新通知及び/又はシステム情報の中継を行う。
図14は、実施形態に係るシステム情報中継動作の動作例2を示す図である。動作例2において、リレーUE100AとリモートUE100Bとの間の端末間無線リンクが確立した状態(リンクド状態)を想定する。動作例2において、リレーUE100AとリモートUE100Bとの間の無線プロトコルが、3GPP(LTE)に準拠したサイドリンク直接通信プロトコルであってもよい。
図14に示すように、ステップS211において、リレーUE100Aは、リモートUE100Bに中継すべきシステム情報をeNB200から受信する。リモートUE100Bに中継すべきシステム情報は、SIBタイプ1〜タイプ21のうち何れかのタイプのシステム情報であってもよい。リモートUE100Bに中継すべきシステム情報のタイプは、予めリモートUE100BからリレーUE100Aに通知されていてもよい(後述する動作例3参照)。
ステップS212において、リレーUE100Aは、ステップS211で受信したシステム情報が更新されたシステム情報であるか否かを判断する。リレーUE100Aは、ステップS211で受信したシステム情報に対応するタグ情報(Value Tag)に基づいて、システム情報の更新を判断してもよい。タグ情報(Value Tag)は、システム情報の更新に応じて更新される値である。システム情報のタイプ毎にeNB200からタグ情報(Value Tag)が提供される場合、リレーUE100Aは、タグ情報(Value Tag)に基づいて、どのシステム情報が更新されたのかを把握することができる。また、リモートUE100Bは、現状保持しているシステム情報のタグ情報(Value Tag)を予めリレーUE100Aに通知してもよい。リレーUE100Aは、リモートUE100Bから通知されたタグ情報(Value Tag)に基づいて、リモートUE100Bが最新のシステム情報を保持しているか否かを確認してもよい。
或いは、リレーUE100Aは、過去に受信したシステム情報を記憶し、記憶しているシステム情報のうち最新のシステム情報と新たに受信したシステム情報とを比較してもよい。当該比較の結果、差異があれば、リレーUE100Aは、新たに受信したシステム情報が更新されたものであると判断する。差異がなければ、リレーUE100Aは、新たに受信したシステム情報が更新されたものではないと判断する。
リモートUE100Bに中継すべきシステム情報の更新を検知した判断した場合(ステップS212:Yes)、ステップS213において、リレーUE100Aは、当該システム情報の更新を示す通知(Update notification)をリモートUE100Bに送信する。リモートUE100Bは、通知(Update notification)に基づいて、システム情報の中継を要求するか否かを判断する。ここでは、リモートUE100Bがシステム情報の中継を要求すると判断したと仮定して、説明を進める。
ステップS214において、リモートUE100Bは、システム情報の中継要求(Request)をリレーUE100Aに送信する。リレーUE100Aは、中継要求(Request)の受信に応じて、リモートUE100Bにシステム情報を中継すると判断する。但し、ステップS213及びS214の処理は必須ではなく、省略してもよい。
ステップS215において、リレーUE100Aは、ステップS211で受信したシステム情報をリモートUE100Bに中継する。
(4.3)動作例3
動作例3において、リレーUE100Aは、システム情報に含まれる情報のうち、選択した情報のみをリモートUE100Bに中継する。動作例2は、動作例1又は2と組み合わされてもよい。
図15は、実施形態に係るシステム情報中継動作の動作例3を示す図である。動作例3において、リレーUE100AとリモートUE100Bとの間の端末間無線リンクが確立した状態(リンクド状態)を想定する。動作例3において、リレーUE100AとリモートUE100Bとの間の無線プロトコルは、3GPP(LTE)に準拠したサイドリンクプロトコルであってもよいし、3GPP(LTE)とは異なるプロトコル(例えば、Bluetooth(登録商標))に準拠したプロトコルであってもよい。
図15に示すように、ステップS221において、リモートUE100Bは、リレーUE100Aに対する通知又は要求を行う。例えば、リモートUE100Bは、システム情報中継の要否をリレーUE100Aに通知してもよい。このような要否の通知は、システム情報のタイプ毎に行われてもよい。リモートUE100Bは、特定のタイプのシステム情報(例えば、SIBタイプ18等)の中継をリレーUE100Aに要求してもよい。リモートUE100Bは、自身がeNB200のカバレッジエリア内であるか否かをリレーUE100Aに通知してもよい。リモートUE100Bがカバレッジエリア内である場合、リモートUE100BはeNB200から直接的にシステム情報を受信することができるため、リレーUE100Aはシステム情報の中継が不要であると判断してもよい。リモートUE100Bは、MBMS受信に興味があることを示す通知(MBMS Interest Indication)をリレーUE100Aに送信してもよい。リレーUE100Aは、通知(MBMS Interest Indication)の受信に応じて、MBMSに関連するシステム情報(例えば、SIBタイプ13/15/20)をリモートUE100Bに中継する必要があると判断してもよい。
ステップS222において、リレーUE100Aは、リモートUE100Bに中継すべきシステム情報を選択する。リレーUE100Aは、ステップS211の通知又は要求に基づいて、リモートUE100Bに中継すべきシステム情報を選択してもよい。リレーUE100Aは、リレーUE100AとリモートUE100Bとの間の無線プロトコルに基づいて、リモートUE100Bに中継すべきシステム情報を自律的に選択してもよい。当該無線プロトコルが3GPP(LTE)のサイドリンクプロトコルである場合、リレーUE100Aは、サイドリンクに関するシステム情報(例えば、システム情報B18/19/21)を選択する。一方、当該無線プロトコルが非3GPPプロトコル(例えば、Bluetooth(登録商標)、WiFi等)である場合、リレーUE100Aは、サイドリンクに関するシステム情報を選択せずに、アクセス規制に関するシステム情報(例えば、SIBタイプ2)を選択してもよい。
ステップS223において、リレーUE100Aは、リモートUE100Bに中継すべきシステム情報をeNB200から受信する。ステップS223の処理及びステップS222の処理は、順序が逆であってもよい。この場合、リレーUE100Aは、全てのシステム情報を一旦記憶した後、記憶したシステム情報の中から、リモートUE100Bに中継するシステム情報を選択する。
ステップS224において、リレーUE100Aは、ステップS222で選択したシステム情報のみをリモートUE100Bに中継する。
(5)その他の実施形態
上述した実施形態において、コネクティッドモードにおけるページング中継動作として、コネクティッドモードにあるリレーUE100Aがアイドルモードページングメッセージを監視する一例を説明した。しかしながら、リレーUE100Aがコネクティッドモードにある場合、eNB200は、リレーUE100Aにスケジューリングされた無線リソースを用いてページングメッセージをリレーUE100Aに送信してもよい。具体的には、eNB200は、通常の下りリンク送信と同様に、コネクティッドモード用のDRXのアクティブ期間(監視期間)において、RRCメッセージ又はMAC制御要素(MAC CE)としてページングメッセージをリレーUE100Aに送信してもよい。
上述した実施形態において、eNB200(又はMME300)からリレーUE100A(又はリモートUE100B)にユニキャストで送信される個別設定情報(例えば、UE個別RRCシグナリング)について特に触れなかった。UE個別設定情報を最適化するために、リレーUE100A(又はリモートUE100B)は、ネットワーク(eNB200又はMME300)に対して、リレーUE100AとリモートUE100Bとの間の無線リンクプロトコルを通知してもよい。ネットワークは、当該通知されたリンクプロトコルに応じて、個別設定情報を変更してもよい。例えば、Bluetooth(登録商標)でリンクが確立している場合、ネットワークは、LTEに固有の設定、sidelinkに固有の設定を省略することができる。また、リレーUE100A(又はリモートUE100B)は、リレーUE100AとリモートUE100との間のリンク速度(スループット)、及び/又は、リレー伝送に係るバッファ容量(すなわち、リレーUE100AにおいてリモートUE100Bのデータを蓄積するバッファの容量)をネットワークに通知してもよい。ネットワークは、当該通知されたリンク速度及び/又はバッファ容量に応じて、リレーUE100Aに対するリソース割当及び/又はベアラ設定を変更してもよい。このようにしてスループットを調整することにより、無線リソースの有効利用やリレーUEのバッファオーバーフロー回避が可能となる。
上述した実施形態において、Light Connected状態を特に考慮していなかった。Light Connected状態は、コネクティッドモードの一状態であって、アイドルモードプロシージャが適用される特殊な状態である。上述した実施形態に係る動作において、「アイドルモード」を「Light Connected状態」と読み替え、「コネクティッドモード」を「通常のコネクティッドモード(Light Connected状態ではない状態)」と読み替えてもよい。
上述した実施形態において、移動通信システムとしてLTEシステムを例示した。しかしながら、本発明はLTEシステムに限定されない。LTEシステム以外の移動通信システム(例えば、第5世代移動通信システム)に、上述した実施形態に係る動作を適用してもよい。第5世代移動通信システムにおいては、コネクティッドモード及びアイドルモードに加えて、新たなRRCの状態が導入される予定である。新たなRRCの状態は、「RRCインアクティブ」と称されてもよい。このような想定下において、上述した実施形態に係る動作における「アイドルモード」を「RRCインアクティブモード」と読み替えてもよい。
本願は米国仮出願第62/510942号(2017年5月25日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。