JP6807590B1 - 道路の段差抑制構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】現場における施工性に優れて、高い段差抑制効果が得られる、道路の段差抑制構造を提供すること。【解決手段】道路の長手方向と直交する方向Yに対して変形不能な強度を有すると共に、道路の長手方向Xに沿って強度が異なる可撓踏掛版30を使用し、地中構造物10の上部と背面側地盤との間に跨って可撓踏掛版30が埋設されていて、段差発生時に可撓踏掛版30の変形数の小さい部位が変形することで、可撓踏掛版30が道路の長手方向Xに沿ってなだらかな曲率で折り曲げが可能である。【選択図】図4

Description

本発明は施工性に優れ、被災時に高い路面の段差抑制効果を発揮して車両の通行可能性を高められる道路の段差抑制構造に関する。
道路の直下地盤を横断して地下通路、水路、共同溝等のコンクリート製の地中構造物が埋設してある現場においては、地震により背面地盤が沈下して地中構造物との境界部に段差を生じる。
2004年の新潟中越地震、2011年の東北太平洋沖地震をはじめ、地盤沈下を伴う巨大地震の発生直後に緊急車両の通行を可能とする境界部の段差抑制手段の開発が進められている。
道路の段差抑制手段として、境界部から背面地盤にかけて床版状の踏掛版を横架することが知られている。
踏掛版としては、特許文献1に開示されている鉄筋コンクリート製のものが一般的で、踏掛版全体の曲げ強度により載荷重を支持することで路面に発生する段差を抑制する。
特許文献2には、補強材入りのアスファルト混合物層からなる踏掛版が開示されている。
特許文献3には、地中構造物の背面に連結して水平に敷設した立体セル構造体と、立体セル構造体のセル内に充填した土砂等の充填材からなる踏掛版が開示されている。
特許文献4には、断面台形状を呈する複数のブロックを並べた片面を面状材で連結し、隣り合うブロックの隙間が変化することで可撓性を付与した踏掛版が開示されている。
特開2009−250006号公報 特開平8−151602号公報 特開2014−224444号公報 特開2012−41710号公報
従来の道路の段差抑制技術にはつぎの解決すべき課題を内包している。
<1>躯体の曲げ強度で載荷重を支持する特許文献1,2に記載の踏掛版は、地中構造物との境界部に段差を生じると、踏掛版の連結部に荷重が集中して折れやすいうえに、踏掛版の荷重負担が大きいために、踏掛版の躯体厚を厚くする等して高強度に製作しなければならず、踏掛版の製作コストが高くつく。
<2>特許文献3に記載の踏掛版は、ある程度の柔軟性を期待できるものの、踏掛版の支持地盤が大きく沈下すると地盤沈下に追従できずに解放された立体セル構造体の底面開口を通じて各セル内の充填材が連鎖的に落下する。
そのため、踏掛版が有していた段差抑制機能を喪失する。
<3>特許文献1〜3に記載の踏掛版は、躯体厚が薄いと曲げ強度が不足することから踏掛版には50cm以上の高さが必要である。
その一方で構造上踏掛版を路床内に設置しなければならないことから、踏掛版を路床内に埋設するには路面から1m以上の深さまで開削しなければならず、開削量が増えるだけでなく施工コストも増す。
<4>特許文献4に記載の段差抑制技術では、ブロック間の隙間が開放されているため、施工中にブロック間の隙間に土砂が入り込んで踏掛版の可撓性が失われ易いうえに、想定した踏掛版の変形方向と変形部位に合わせてブロックの上下と面状材の取付位置を変えなければならない。
さらに、ブロックの側面が当接して初めて荷重の支持が可能なアーチ構造となることから、特定の段差量と特定の変形形状でしか効果を発揮しない構造であるため、実用上採用が難しい。
<5>特許文献1〜4に記載の段差抑制技術は、段差抑制効果の実効性に不安があるだけでなく、車線規制や全面通行止めを伴う工事期間が1週間〜1カ月程度と長くかかる。
これらの要因は多数個所での段差発生が予測される主要幹線等の重交通道路への適用を阻害する大きな要因になっている。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは現場における施工性に優れ、被災時に高い路面の段差抑制効果を発揮して車両の通行可能性を高められる、道路の段差抑制構造を提供することにある。
本発明は、道路の直下を横断して地中構造物が埋設してある道路の段差抑制構造であって、前記地中構造物の上部と地中構造物の背面側の地盤との間に跨って可撓踏掛版が埋設され、上部の道路を支持する前記可撓踏掛版が、道路の横断方向に対して変形不能な強度を有すると共に、道路の縦断方向に沿って強度が異なり、段差発生時に前記可撓踏掛版が強度の小さい部位を中心にして道路の縦断方向に沿ってなだらかな曲率で折り曲げが可能である。
本発明の他の形態において、前記可撓踏掛版が所定の間隔を隔てて道路の縦断方向に向けて並列した複数の短尺床版と、隣り合う短尺床版の間に介装した複数の可撓目地と、隣り合う短尺床版の上部間を連結し、隣り合う短尺床版の上部間隔を一定に規制する上位連結材と、隣り合う短尺床版の下部間を連結し、隣り合う短尺床版の下部間隔を一定に規制する下位連結材とを具備し、前記可撓踏掛版の支持地盤に段差を生じて可撓踏掛版に曲げ力が生じたときに、可撓目地の圧縮側の圧潰を誘導し得るように、上位連結材または下位連結材の何れか一方が引張抵抗となる。
本発明の他の形態において、可撓踏掛版はその一部に可撓目地を間に挟んで折れ曲がり不能な非可撓床部を有する。
本発明の他の形態において、前記可撓目地は短尺床版よりも変形係数が小さい塑性材または弾性材である。
本発明の他の形態において、隣り合う短尺床版と可撓目地との間に凹凸ヒンジ機構を介装して接合してもよい。
本発明は少なくともつぎのひとつの効果を奏する。
<1>道路の縦断方向に沿って強度が異なる可撓踏掛版を用いることで、段差発生時における可撓踏掛版の過度な折れ曲がりを抑制して可撓踏掛版をなだらかな曲率で折り曲げることができる。
そのため、被災時に可撓踏掛版が高い路面の段差抑制効果を発揮することで段差部の真上に位置する舗装に亀裂や段差が生じ難くなって緊急車両等の車両の通行可能性が高くなる。
<2>上位連結材または下位連結材の何れか一方が引張抵抗材として機能して隣り合う短尺床版の上部間隔または下部間隔を制御して隣り合う短尺床版間の過度な折れ曲がりを効果的に規制することができる。
<3>予め製作した2次製品である可撓踏掛版を埋設するだけの簡単な工事で施工できて、現場における面倒なコンクリート打設作業や養生作業等が一切不要である。
そのため、本発明では現場における施工性に優れ、短期間のうち施工することができる。
<4>可撓踏掛版の一部に非可撓床部を設けると、可撓床部と非可撓床部の境界部における折れ曲がりをなだらかな曲率に抑制できると共に、可撓踏掛版を経済的に製作できる。
<5>隣り合う短尺床版と可撓目地との間に凹凸ヒンジ機構を介装して接合すると、可撓踏掛版の折れ曲がり時に生じるせん断力を凹凸ヒンジ機構で吸収できるので、隣り合う短尺床版間を連結する上位連結材または下位連結材のせん断力の負担が小さくなって、隣り合う短尺床版の上下方向のずれが生じ難くなる。
<6>隣り合う短尺床版の間を可撓目地が封止するので、施工中にだけでなく施工後に可撓踏掛版が折れ曲がる際にも、隣り合う短尺床版の間に埋戻材が入り込む心配がない。
道路を縦断した本発明に係る道路の段差抑制構造のモデル図 一部を破断した可撓踏掛版の斜視図 施工方法の説明図 段差発生時における可撓踏掛版の作用の説明図 可撓踏掛版の折れ曲がりのモデル図で、(A)は変形前における可撓踏掛版のモデル図、(B)と(C)は折れ曲がり時における可撓踏掛版のモデル図 凹凸ヒンジ機構を介装して接合した実施例5に係る可撓踏掛版のモデル図で、(A)は凹凸ヒンジ機構の嵌合形状が半円形を呈する形態の説明図、(B)は凹凸ヒンジ機構の嵌合形状が山形(三角形)を呈する形態の説明図
以下に図1〜5を参照して本発明に係る地中構造物と背面地盤の境界部における段差抑制構造について説明する。
以降の説明に際し、道路の縦断方向をX、道路の横断方向をYと定義して説明する。
[実施例1]
1.道路
図1を参照して説明すると、道路は路体の上部に位置する路床20と、路床20の上部に位置する路盤21と、路盤21の上部に位置するアスファルト製、コンクリート製の舗装22とを有している。
なお、道路には舗装22を具備しない道路や、既設道路、新設道路を含む。
2.地中構造物
地中構造物10は、例えば地下通路、水路、共同溝等のコンクリート構造物であり、一部の路体及び路床20を道路の横断方向Y方向に貫通して道路の直下に埋設してある。
本例では地中構造物10の天端面と背面が路床20に埋設された形態について示すが、地中構造物10の埋設形態はこの形態に限定されるものではない。
3.段差抑制構造
地中構造物10と背面地盤の境界部における段差抑制構造は、既述した道路において、地中構造物10の上部の路床20又は路体中に、地中構造物10の上部からから道路の縦断方向Xに張り出すように、可撓踏掛版30を配置して構成する。
可撓踏掛版30は全体として一体ものの床版であって、道路の横断方向Yに対して変形不能な強度を有すると共に、道路の縦断方向Xに対して折れ曲がりが可能なように、道路の縦断方向Xに対して強度が異なり、段差発生時に可撓踏掛版30の強度の小さい部位が変形可能な構成になっている。
以下に可撓踏掛版30について詳しく説明する。
<1>可撓踏掛版の概要
図1,2を参照して説明すると、可撓踏掛版30は地中構造物10と地中構造物10の背面側の路床20との間に跨って埋設した床版であり、道路の横断方向Yに対して変形不能な強度を有すると共に、道路の縦断方向Xに対して折れ曲がりが可能な可撓性を有する。
可撓踏掛版30に可撓性を持たせたのは、段差発生時に可撓踏掛版30の左半の跳ね上がりを抑制しつつ、段差部に位置する部位をなだらかな曲率に変形させて緊急車両等の走行を可能にするためである。
本例で例示した可撓踏掛版30について説明すると、可撓踏掛版30は道路の縦断方向Xに対して折れ曲がりが可能な可撓床部30aと、可撓床部30aの一端に連続して形成した折れ曲がりが不能な非可撓床部30bとを有する。
<2>可撓床部
可撓床部30aは所定の間隔を隔てて道路の横断方向Yに向けて位置し、道路の縦断方向Xに沿って並列した複数の短尺床版31と、隣り合う短尺床版31の対向面(側面)間に介装した可撓目地32と、隣り合う短尺床版31の上部間に連結し、隣り合う短尺床版31の上部の可撓目地32の幅を一定に規制する上位連結材33と、隣り合う短尺床版31の下部間に連結し、隣り合う短尺床版31の下部の可撓目地32の幅を一定に規制する下位連結材34とよりなる。
換言すれば可撓床部30aは、複数の短尺床版31と可撓目地32とを交互に配置し、隣り合う短尺床版31の上部間と下部間を上位連結材33と下位連結材34とで連結した一体ものの床版である。
短尺床版31と可撓目地32は強度が異なり、短尺床版31の強度が可撓目地32の強度に卓越する。
<2.1>短尺床版
短尺床版31はせん断強度、曲げ強度の高い高強度のプレキャスト製床版である。
本例では短尺床版31の断面形状が四角形である形態について説明するが、短尺床版31の断面形状は特に制約がなく、多角形、円形、楕円形等でもよい。
短尺床版31が直方体を呈する場合の寸法を例示すると、X方向の横幅200〜300mm、高さ200〜300mm、Y方向の全長1500〜3000mmである。
また短尺床版31は載荷重に対する強度を確保できればよいので、短尺床版31は図示した密実構造の他に中空構造でもよい。
短尺床版31の素材は、例えばコンクリート、樹脂または金属等の硬質素材で形成することができる。
<2.2>可撓目地の幅
変形前における隣り合う短尺床版31の上端幅tと下端幅tは同一である(図5(A))。
<2.3>可撓目地
可撓目地32は上位連結材33および下位連結材34と協働することで、隣り合う各短尺床版31間の間隔を調整する間隔調整機能と、隣り合う各短尺床版31間のX方向に対して折れ曲がりを許容する可撓機能と、隣り合う各短尺床版31の間に路床20や路盤21の構成材が入り込むのを阻止する封止機能を有する。
可撓目地32は図示した密実構造に限定されず中空構造でもよい。
直方体を呈する可撓目地32の寸法を例示すると、X方向の横幅は5〜30mmである。可撓目地32の高さとY方向の全長は短尺床版31とそれぞれ同じ寸法である。
<2.3.1>可撓目地の強度
可撓目地32は運搬時や施工時では容易に圧潰しないだけの強度を有しつつ、設置後に可撓踏掛版30の下面を支持する路床等に段差が生じると、可撓目地32の圧縮力が加わった部位が圧潰する。
可撓目地32の強度は、可撓踏掛版30に作用する荷重等を考慮して適宜選択する。
「圧潰」とは、短尺床版31と比べて低強度であって、荷重が加わったときに可撓目地32の目地材が破壊されて変形することの他に、可撓目地32の目地材が破壊されずに押し潰されて変形することも意味する。
<2.3.2>可撓目地の素材例
可撓目地32は短尺床版31よりも強度が小さい塑性材または弾性材で形成する。
可撓目地32の具体的な素材としては、例えば発砲スチロール、樹脂、発泡モルタル等の圧潰可能な塑性材を使用できる。
可撓踏掛版30の折れ曲がり時において可撓目地32の圧潰(圧縮変形)を阻害しない素材であれば、可撓目地32の素材にゴム材や軟質樹脂等の弾性材を用いることも可能である。
また可撓目地32には、硬質筒構造体の上下部に強度的に弱い脆弱部を予め設けておき、外力が加わったときに上下部の何れか一方の脆弱部が破損して筒構造体の変形を許容するメカニカル方式を適用することも可能である。
<2.4>上位連結材、下位連結材
上位連結材33および下位連結材34は、隣り合う短尺床版31の間を均等の長さで連結する連結材としての機能と、可撓踏掛版30の折れ曲がり時において隣り合う短尺床版31の引張側の間隔を保持する引張抵抗材としての機能を有する。
短尺床版31と可撓目地32とを交互に並べて、隣り合う短尺床版31の間を上位連結材33と下位連結材34で連結したのは、隣り合う短尺床版31の間をなだらかな曲率で折り曲げるためである。
なだらかな曲率とは緊急車両等が走行可能な舗装22の曲率を意味する。
<2.4.1>連結材の配置位置
各連結材33,34は短尺床版31の中心軸から等距離だけ離れた位置に配置する。
本例では、短尺床版31を成形する際に上位連結材33および下位連結材34を可撓踏掛版30の上下面に近い表層部で均一の深さに埋設した形態について説明する。
また各連結材33,34の埋設形態としては、長尺の各連結材33,34を用いて複数の短尺床版31に跨って埋設する形態の他に、短尺床版31を貫通させずに短寸の各連結材33,34の両端部を隣り合う短尺床版31に埋設する形態でもよい。
要は、隣り合う短尺床版31に対して上位連結材33および下位連結材34が抜出不能に固着してあればよい。
<2.4.2>連結材の素材
上位連結材33および下位連結材34の素材としては、引張強度に優れ、かつ可撓性を具備したグリッド材を適用できる。
各連結材33,34の目合は、短尺床版31の製造時にモルタル等の硬化材の通過を許容し得る開口寸法であればよい。
<3>非可撓床部
非可撓床部30bは短尺床版31と比べて道路の縦断方向Xへ向けた横幅が広い非可撓性の床版であり、可撓床部30aの一端に可撓目地32を間に挟んで連続して形成する。
隣り合う可撓床部30aの一端と非可撓床部30bの上部間と下部間は上位連結材33と下位連結材34とにより連結してある。
可撓踏掛版30の一部に非可撓床部30bを設ける形態は、図示した可撓踏掛版30の右方に限定されず、可撓踏掛版30の両端部でもよいし、可撓踏掛版30の中間部に設けてもよい。
可撓踏掛版30の一部に非可撓床部30bを設けることで、撓踏掛版30の全体を可撓床部30aで構成する場合と比べて、可撓床部30aと非可撓床部30bの境界部における折れ曲がりをなだらかな曲率に抑制できると共に、可撓踏掛版30を経済的に製作できる。
<4>可撓踏掛版の配置形態
可撓踏掛版30は地表面に段差の発生が予想される箇所の地中に埋設する。
図1では、可撓床部30aの左半が地中構造物10の上方に位置し、可撓床部30aの右半と非可撓床部30bが地中構造物10から真横に張り出して位置した形態を示している。
[施工方法]
つぎに既設道路に適用した場合の段差抑制構造の施工方法について説明する。
<1>道路の部分開削(敷設空間の形成)
図3を参照して説明すると、地表側から順に舗装22と路盤21を開削して、均一深さの敷設空間23を開設する。
<1.1>敷設空間の深さ
本例では敷設空間23を地中構造物10の天端に達しない深さに開削した形態を示しているが、地中構造物10の天端面が露出する深さまで開削してもよい。
<1.2>敷設空間の開設範囲
敷設空間23は、道路の走行レーン単位で形成してもよいし、道路の全レーンに亘って形成してもよく、既設道路の車両通行量等を考慮して適宜選択する。
<2>可撓踏掛版の敷設
つぎに敷設空間23内に可撓踏掛版30を敷設する。
<3>埋め戻し覆工
つぎに図1に示すように、路床20と路盤21を埋め戻し、十分な転圧作業を行った路盤21aの上面に覆工用の舗装22を被覆して施工を完了する。
埋め戻しを行う際、可撓目地32が複数の短尺床版31の間を封止しているので、短尺床版31間への埋戻材の入り込みが防止される。
このように本発明では、予め製作した2次製品である可撓踏掛版30を道路に開削した敷設空間23内に敷設して埋め戻すだけの簡単な工事で施工できて、現場における面倒なコンクリート打設作業や養生作業等が一切不要である。
そのため、本発明では一昼夜以内で施工を完了できるので、施工期間にひと月程度を要していた従来のコンクリート製踏掛版の施工方法と比べて工期を大幅に短縮できる。
したがって、道路の規制時間を最小限に抑えることができる。
[可撓踏掛版による段差抑制作用]
図4,5を参照しながら可撓踏掛版30による段差抑制作用について説明する。
<1>可撓踏掛版の折れ曲がり
対比例として全体を可撓性の均一材料で構成した踏掛版を地中に埋設した場合について検討する。
全体を可撓性で強度の小さい均一材料で製作した踏掛版では、踏掛版の全体が支持地盤の沈下形状に追随して過度(大きな曲率)に曲がってしまい、踏掛版の上方に位置する舗装22に亀裂や段差が生じ易いうえ、勾配が登坂能力を超えたりして車両走行に支障をきたす。
一方、全体を可撓性で強度の大きい均一材料で製作した踏掛版では、踏掛版の全体は支持地盤の沈下形状に追随せずに小さな曲率で曲がるが、地中構造物10の上部の端部が跳ね上がる。これにより、地中構造物10の上方では、踏掛版22がある箇所とない箇所の境目に段差が生じて車両走行に支障をきたす。
これに対して、本発明では可撓踏掛版30が道路の縦断方向Xに沿って強度が異なり、しかも隣り合う短尺床版31の間を連結した上位連結材33と下位連結材34の何れか一方が引張抵抗材として機能することにより、路床20に段差を生じると、可撓踏掛版30の過度の折れ曲がりが抑制されてなだらかな(小さな)曲率で折れ曲がる。
<2>折れ曲がりのメカニズム
図5を参照して可撓踏掛版30の折れ曲がりについて説明する。
<2.1>折れ曲がり前
図5(A)は折れ曲がり前における可撓踏掛版30を示している。折れ曲がり前においては隣り合う短尺床版31の間に圧縮力や引張が生じないので、隣り合う短尺床版31の間に介装した可撓目地32の上端幅tと下端幅tは変わらない。
<2.2>地中構造物に近い箇所の曲げ
図5(B)は地中構造物10に近い位置における可撓踏掛版30の曲げ部を示している。
左方を固定し右方に荷重が作用する可撓踏掛版30の曲げ部においては、曲げ部の上面側は引っ張られ、曲げ部の下面側は圧縮される。
隣り合う短尺床版31の間に連結した上位連結材33が引っ張りに抵抗するため、隣り合う短尺床版31の間に介装した可撓目地32の上端幅tは変形前と変わらない。
隣り合う短尺床版31の間に連結した下位連結材34は圧縮に抵抗しないため、可撓目地32の下部側が圧潰されて下部幅tを縮小しながら可撓踏掛版30がなだらかな曲率で折れ曲がる。
隣り合う硬質の短尺床版31の下端同士が圧壊した可撓目地32を介して密着することで隣り合う短尺床版31の曲げが最大となる。
このように隣り合う短尺床版31が折れ曲がる際における可撓目地32の変形量は引張側から圧縮側へ向けて漸増する。
可撓踏掛版30が折れ曲がる際、可撓目地32の封止作用により埋戻材の噛み込みを規制できる。
<2.3>地中構造物から離れた箇所の曲げ
図5(C)は地中構造物10から離れた位置における可撓踏掛版30の曲げ部を示している。
右方が着床し左方に荷重が作用する可撓踏掛版30の曲げ部においては、曲げ部の下面側が引っ張られ、曲げ部の上面側が圧縮される。
隣り合う短尺床版31の間に連結した下位連結材34が引っ張りに抵抗するため、隣り合う短尺床版31の間に介装した可撓目地32の下端幅tは変形前と変わらない。
隣り合う短尺床版31の間に連結した上位連結材33は圧縮に抵抗しないため、可撓目地32の上部側が圧潰されて上部幅tが縮小しながら可撓踏掛版30がなだらかな曲率で折れ曲がる。
隣り合う短尺床版31の上端同士が圧壊した可撓目地32を介して密着することで隣り合う短尺床版31の曲げが最大となる。
このように上位連結材33または下位連結材34の何れか一方が引張抵抗材として機能して隣り合う短尺床版31の上部間隔または下部間隔を制御して隣り合う短尺床版31間の過度な折れ曲がりを規制するので、段差部の真上に位置する舗装22に亀裂や段差が生じ難くなって緊急車両等の車両の通行可能性が高くなる。
<2.4>可撓踏掛版の曲率の調整要素
可撓踏掛版30は、短尺床版31と可撓目地32の各寸法(X方向の横幅寸法と高さ寸法)を選択することで、可撓踏掛版30の最大曲率を調整することができる。
[実施例2]
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
非可撓床部30bを省略し、可撓踏掛版30を可撓床部30aのみで構成するようにしてもよい。
本例にあっては、可撓踏掛版30の全長に亘り、道路の横断方向Yの強度を保ったまま道路の縦断方向Xに沿って可撓性を付与できるので、段差の発生状況に応じた変形追従性がよくなる。
[実施例3]
先の実施例では、可撓目地32の道路の縦断方向Xへ向けた幅寸法がすべて均一である形態について説明したが、可撓目地32の道路の縦断方向Xへ向けた幅寸法を不均一にしてもよい。
可撓目地32の道路の縦断方向Xへ向けた幅寸法は、隣り合う短尺床版31の配置間隔を意味していて、可撓踏掛版30の部位に応じて可撓目地32の道路の縦断方向Xへ向けた幅寸法を選択することで、現場の状況に応じた可撓踏掛版30の折れ曲がりを制御できる。
[実施例4]
先の実施例では、短尺床版31の道路の縦断方向Xへ向けた幅寸法がすべて均一である形態について説明したが、短尺床版31の道路の縦断方向Xへ向けた幅寸法を不均一にしてもよい。
短尺床版31の道路の縦断方向Xへ向けた幅寸法の組み合わせを選択することで、現場の状況に応じた可撓踏掛版30の折れ曲がりを制御できる。
[実施例5]
図6を参照して隣り合う短尺床版31と可撓目地32の間に凹凸ヒンジ機構を介装して接合した他の接合構造について説明する。
<1>凹凸ヒンジ機構
隣り合う短尺床版31の各対向面31a,31bの間に可撓目地32を介装し、隣り合う短尺床版31間を上位連結材33と下位連結材34で連結することは実施例1と同様である。
本例ではこれらの構成に加えて隣り合う短尺床版31の各対向面31a,31bの中央部にそれぞれ形成した凹部31cと凸部31dとを嵌合させて接合するようにした。
可撓目地32の断面形状は隣り合う短尺床版31の凹部31cと凸部31dの嵌合形状に合わせて略均一の厚さに形成してある。
凹部31cと凸部31dを形成した短尺床版31の対向面31a,31bと、両対向面31a,31bの間に介装した可撓目地32とにより、凹凸ヒンジ機構を構成する。
図6(A)は凹凸ヒンジ機構の嵌合形状が半円形を呈する形態を示し、図6(B)は凹凸ヒンジ機構の嵌合形状が山形(三角形)を呈する形態を示している。
凹凸ヒンジ機構の嵌合部の断面形状はこれらの形状に限定されず、隣り合う短尺床版31の上下方向の回動を許容しつつ、嵌合部でせん断に対抗できる形状であれはよい。
<2>凹凸ヒンジ機構の作用
本例にあっては、可撓踏掛版30の折れ曲がり時に生じるせん断力を凹凸ヒンジ機構で吸収できるので、隣り合う短尺床版31間を連結する上位連結材33または下位連結材34のせん断力の負担が小さくなって、隣り合う短尺床版31の上下方向のずれが生じ難くなる。
10・・・・・地中構造物
20・・・・・路床
21・・・・・路盤
22・・・・・舗装
23・・・・・敷設空間
30・・・・・可撓踏掛版
30a・・・・可撓踏掛版の可撓床部
30b・・・・可撓踏掛版の非可撓床部
31・・・・・短尺床版
32・・・・・可撓目地
33・・・・・上位連結材
34・・・・・下位連結材

Claims (5)

  1. 道路の直下を横断して地中構造物が埋設してある道路の段差抑制構造であって、
    前記地中構造物の上部と地中構造物の背面側の地盤との間に跨って可撓踏掛版が埋設され、
    上部の道路を支持する前記可撓踏掛版が、道路の横断方向に対して変形不能な強度を有すると共に、道路の縦断方向に沿って強度が異なり、
    段差発生時に前記可撓踏掛版が強度の小さい部位を中心にして道路の縦断方向に沿って車両が走行可能な曲率で折り曲げが可能であることを特徴とする、
    道路の段差抑制構造。
  2. 前記可撓踏掛版が所定の間隔を隔てて道路の縦断方向に向けて並列した複数の短尺床版と、
    隣り合う短尺床版の間に介装した複数の可撓目地と、
    隣り合う短尺床版の上部間を連結し、隣り合う短尺床版の上部間隔を一定に規制する上位連結材と、
    隣り合う短尺床版の下部間を連結し、隣り合う短尺床版の下部間隔を一定に規制する下位連結材とを具備し、
    前記可撓踏掛版の支持地盤に段差を生じて可撓踏掛版に曲げ力が生じたときに、可撓目地の圧縮側の圧潰を誘導し得るように、上位連結材または下位連結材の何れか一方が引張抵抗となることを特徴とする、
    請求項1に記載の道路の段差抑制構造。
  3. 前記可撓踏掛版はその一部に可撓目地を間に挟んで非可撓床部を有することを特徴とする、請求項2に記載の道路の段差抑制構造。
  4. 前記可撓目地が短尺床版よりも強度が小さい塑性材または弾性材であることを特徴とする、請求項2または3に記載の道路の段差抑制構造。
  5. 隣り合う短尺床版と可撓目地との間に凹凸ヒンジ機構を介装して接合したことを特徴とする、請求項2乃至4の何れか一項に記載の道路の段差抑制構造。
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