JP6807212B2 - Vリブドベルト及び動力伝達機構 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車エンジン補機駆動(動力伝達機構)などに用いられるVリブドベルトに関し、詳しくは、摩擦伝動面の伝達性能、耐発音性(静粛性)を維持したまま、耐久性(耐発熱性)、省燃費性を向上(トルクロスを低減)できるVリブドベルト及びそのVリブドベルトを使用した動力伝達機構に関する。
一般に、自動車用等の内燃機関(エンジン)には、オルタネータ、ウォータポンプ、パワーステアリングポンプ等の補機が取り付けられており、これら補機は、エンジンのクランク軸により伝動ベルトを懸架した動力伝達機構を介して機械的に駆動されるのが一般的である。
近年、自動車エンジンにおいては、伝達性能や耐久性は勿論のこと、特には省燃費性と耐発音性(静粛性)とを両立させる技術の要求が高まっている。
省燃費性に関して、エンジンのフリクションロス低減及び燃費向上等の観点から、動力伝達機構におけるトルクロス(クランク軸における駆動トルクと、従動軸(補機)における従動トルクとの差)を低減することが望まれている。
特には、発電装置であるオルタネータのような、プーリ径が小さい部位においては、巻き掛けたベルトの曲げ量が大きく、トルクロスの低減が不充分である。このように大きなトルクロスが発生する部位は、エンジンのフリクションロスに大きく影響するので、トルクロスの更なる低減が大きな課題となっている。
上記課題を解決するために、エンジンの補機駆動システムで用いる伝動ベルトとして、Vリブドベルトが用いられ、Vリブドベルトに関してトルクロスを低減する手段が提案されている。例えば、特許文献1では、内部損失(自己発熱)を低減する(損失正接tanδが小さいゴム組成物を用いる)手段でトルクロスを低減するVリブドベルトが提案されている。また、特許文献2では、ベルトの圧縮層を曲げるのに要する応力(圧縮応力)の低減に着目して屈曲損失を低減する(心線の位置を内周側に配置して、心線の曲げ応力を低減する)手段でトルクロスを低減するVリブドベルトが提案されている。
これらの手段によりある程度のトルクロスの低減は達成できるものの、小径プーリでのトルクロス低減に対しては、未だ不充分であり大きな課題となっている。
また、屈曲損失を低減する別の手段としては、Vリブドベルトの内周側に位置する圧縮層に、ベルト幅方向を横断する溝(スリット)を入れることで屈曲性を向上させ、圧縮層を曲げるのに要する応力(圧縮応力)を低減する手段が考えられる。溝(スリット)を入れたVリブドベルトとしては、特許文献3、特許文献4、特許文献5で開示されている。
特開2010−276127号公報 特開2013−177967号公報 特開平7−208559号公報 特開2003−21196号公報 特許第4584612号公報
しかし、溝(スリット)を入れたVリブドベルトは、溝(スリット)を入れ方によっては、摩擦伝動面が減少するため伝達性能が低下したり、ベルト走行時に周期ノイズ(騒音)が生じるなどの不具合が懸念される。特許文献3、4、5では、騒音を低減させる設計手段について考慮されているものの、伝達性能、耐発音性(静粛性)を維持したまま、省燃費性向上(トルクロス低減)をも達成できる溝(スリット)の設計思想については検討されていない。
そこで本発明は、圧縮層にベルト幅方向を横断する溝(スリット)を有するVリブドベルトにおいても、伝達性能、耐発音性(静粛性)を維持したまま、省燃費性向上(トルクロス低減)も達成できるVリブドベルトを提供する。
上記課題を解決するための本発明の1つは、プーリに巻き掛けて使用されるVリブドベルトであって、
背面を形成する伸張層と、
前記伸張層の一方面に設けられ、当該Vリブドベルトの長手方向に沿って互いに平行して延びる複数のリブを有する圧縮層と、
前記伸張層と前記圧縮層との間に当該Vリブドベルトの長手方向に沿って埋設される芯体と、を備え、
前記圧縮層は、当該Vリブドベルトの幅方向に延びる複数の溝を有し、
前記溝は、当該Vリブドベルトの幅方向に対して角度θ=10〜30°で斜めに配置され、
前記溝の間隔は、当該Vリブドベルト周内で不規則な間隔で配置され、
前記溝の形状は、底部が円弧状で、深さ方向に亘って均一な溝幅を有するU字形状をしており、
前記溝の深さが、前記リブ高さの65〜90%の範囲、
前記溝の幅が、1.2〜1.6mmの範囲、
前記溝の深さ/前記溝の幅の値が、0.81〜2.2の範囲、
の条件を満たすことを特徴とするVリブドベルトである。
上記構成のように、Vリブドベルト内周側の圧縮層に溝(スリット)を入れることで、Vリブドベルトの屈曲性が向上し、圧縮層を曲げるのに要する応力(圧縮応力)を低減させることができる。その結果、屈曲損失が低減し、トルクロスの低減に寄与する。
ただし、圧縮層に溝を設けることで、圧縮層に設けられたリブが不連続的にプーリに出入りするため、出入りによる特有の動作音(不連続リブの調和音のピーク)が溝の間隔周期に応じて発生し大きな騒音となる場合がある。特に溝をVリブドベルトの幅方向に対して平行(θ=0°)に配置すると、Vリブドベルトの幅方向に存在する複数の不連続リブのプーリへの出入りが同時に起こるため、全体的な騒音のレベルが高くなるが、幅方向に対して傾斜(θ=10〜30°)させて配置することで、不連続リブの出入りが一方の端部から他方の端部へと順次進むので(不連続リブのプーリへの出入りが分散する)、全体としての騒音レベルを低減させることができる。
溝をVリブドベルトの幅方向に対して傾斜させて配置することで全体の騒音レベルは低減されるが、不連続リブの調和音のピーク騒音が依然として残る場合がある。そこで、溝の間隔(ピッチパターン)をVリブドベルト周内で不規則(ランダム)にすることで、調和音のピーク騒音も低減することができる。
また、溝の形状をV字形状ではなく、U字形状にすることで、屈曲したときにリブ根元(リブ底)部付近に発生する圧縮応力を低減することができる。その結果、Vリブドベルトの内部発熱を低減することができる。
また、溝の幅が狭すぎると、Vリブドベルトの屈曲損失の低減が不充分となり、一方で、溝の幅が広すぎると、騒音レベルが高くなってしまう。また、溝の深さが小さすぎると、Vリブドベルトの屈曲損失の低減が不充分となり、一方で、溝の深さが大きすぎると、Vリブドベルトの屈曲時に心線付近にかかる歪みエネルギーが大きくなり、心線のポップアウトに繋がる場合がある。そこで、溝の深さをリブ高さの65〜90%の範囲、溝の幅を1.2〜1.6mmの範囲、溝の深さ/前記溝の幅の値を0.81〜2.2の範囲にすることで、伝達性能を維持しつつ、トルクロス低減、騒音低減、歪みエネルギーの低減(耐ポップアウト)、ベルトの内部発熱の低減(ゴム硬度の上昇が抑制される)による耐久性の向上を実現することができる。
また、本発明の1つは、上記Vリブドベルトにおいて、前記溝の数が、当該Vリブドベルトの長手方向の長さ100mmあたり、15〜16本であることを特徴としている。
Vリブドベルトの圧縮層に配置する溝の数が少なすぎると、十分なトルクロス低減効果を得られなくなる場合があり、一方で、Vリブドベルトの圧縮層に配置する溝の数が多くなりすぎると、プーリと接触することができる圧縮層の面積(伝動面)が減ってしまい、十分な伝達性能が得られなくなる場合がある。
そこで、溝の数を、Vリブドベルトの長手方向の長さ100mmあたり、15〜16本にすることにより、十分なトルクロス低減効果、及び、伝達性能を得ることができる。
また、本発明の1つは、上記に記載のVリブドベルトと、
前記Vリブドベルトが巻き掛けられる複数のプーリと、を備え、
前記複数のプーリの少なくとも1つは、外径が65mm以下であることを特徴とする動力伝達機構である。
特に、外径が65mm以下のプーリを有する動力伝達機構では、巻き掛けたVリブドベルトの曲げ量が大きくなり、トルクロスが大きくなる。そこで、上記特徴を有するVリブドベルトを使用することにより、トルクロスを低減させた動力伝達機構にすることができる。
圧縮層にベルト幅方向を横断する溝(スリット)を有するVリブドベルトにおいても、伝達性能、耐発音性(静粛性)を維持したまま、省燃費性向上(トルクロス低減)も達成できるVリブドベルトを提供することができる。
本実施形態に係るVリブドベルトの概略説明図である。 本実施形態に係るVリブドベルトの幅方向の断面図である。 本実施形態に係るVリブドベルトの内周面の説明図である。 本実施形態に係るVリブドベルトの内周面の説明図である。 本実施形態に係るVリブドベルトの溝の説明図である。 本実施形態に係るVリブドベルトの幅方向の簡略断面図である。 実施例に係るVリブドベルトの曲げ応力のシミュレーション解析の測定方法に関する説明図である。 実施例に係るVリブドベルトの曲げ応力のFEM解析結果である。 実施例に係るVリブドベルトの曲げ応力のFEM解析結果である。 実施例に係るVリブドベルトのフリクションロス(トルクロス)の測定方法に関する説明図である。 実施例に係るフリクションロスの測定試験において、Vリブドベルトのリブ表面の温度測定結果である。 実施例に係る高温低張力逆曲げ試験に関する説明図である。 実施例に係る高温低張力逆曲げ試験の結果である。 実施例に係る伝達性能試験方法に関する説明図である。 実施例に係る伝達性能試験の結果である。 実施例に係る耐発音性試験の結果である。
(実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本願発明に係るVリブドベルト及びVリブドベルトを使用した動力伝達機構の実施形態を説明する。
本実施形態に係るVリブドベルト1は、エンジン補機駆動システムなどの動力伝動機構(システム)において、例えば、駆動プーリ2と従動プーリ3との間に巻き掛けられて使用される(図1参照)。
(Vリブドベルト1の構成)
本実施形態のVリブドベルト1は、図2に示すように、ゴム組成物で構成され、Vリブドベルト背面1Aを形成する伸張層11と、伸張層11の一方面に設けられ、Vリブドベルト長手方向Mに沿って互いに平行して延びる複数のリブ13を有する圧縮層12と、伸張層11と圧縮層12との間にVリブドベルト長手方向Mに沿って埋設される芯体14と、伸張層11と圧縮層12との間に設けられた接着層15とを備えている。なお、接着層15は、必須のものではなく、芯体14、伸張層11及び圧縮層12の接着性を向上させる目的で設けられるものであり、本実施形態のように接着層15と伸張層11との間に芯体14を埋設する形態の他に、接着層15に芯体14を埋設する形態でもよく、圧縮層12と接着層15との間に芯体14を埋設する形態であってもよい。
また、図2に示すVリブドベルト1は、伸張層11と、この伸張層11の下層に配置される接着層15と、さらにその下層に配置され短繊維16を含有するゴム組成物で形成された圧縮層12とを備えて構成されている。換言すれば、Vリブドベルト1は、伸張層11、接着層15、及び圧縮層12の3層でゴム層が構成されており、圧縮層12が内層を構成している。なお、接着層15及び圧縮層12が内層を構成しているものとして定義されてもよい。また、芯体14は、Vリブドベルト長手方向Mに沿ってVリブドベルト1本体内に埋設されるように配置されており、その半分が伸張層11に埋設し、残りの半分が接着層15に埋設した状態で配置されている。そして、圧縮層12には、Vリブドベルト幅方向Nの断面が略台形形状でVリブドベルト長手方向Mに延びる複数のリブ13が設けられている。ここで、圧縮層12に含有される短繊維16は、Vリブドベルト長手方向Mと直交する方向であるVリブドベルト幅方向Nに配向した状態で含有されている。また、リブ13の表面は研磨面となっている。
更に、Vリブドベルト1は、図3及び図4に示すように、圧縮層12(Vリブドベルト1の内周面側)に、Vリブドベルト幅方向Nに延びる複数の溝18(スリット)が形成されている。
各溝18は、図4に示すように、Vリブドベルト幅方向Nに対して角度θ=10〜30°の範囲で傾斜を有するように形成されている。なお、各溝18は、全て同じ角度θで傾斜させてもよいし、角度θ=10〜30°の範囲でそれぞれバラバラ(不規則)の角度θで傾斜させてもよい。
また、溝18と溝18との間隔P(ピッチパターン)は、図4に示すように、Vリブドベルト長手方向Mにわたって不規則(ランダム)な間隔で形成されている(各溝18はVリブドベルト1の周内で不規則な間隔で配置されている)。
ここで、溝18の数は、Vリブドベルト長手方向Mの長さ100mmあたり、15〜16本であることが好ましい。その理由としては、Vリブドベルト1の圧縮層12に配置する溝18の数が15本より少なすぎると、十分なトルクロス低減効果を得られなくなる場合があり、一方で、Vリブドベルト1の圧縮層12に配置する溝18の数が16本より多くなりすぎると、駆動プーリ2や従動プーリ3と接触することができる圧縮層12の面積(伝動面)が減ってしまい、十分な伝達性能が得られなくなる場合があるからである。
例えば、Vリブドベルト長手方向Mの長さ100mmあたり16本の溝18を不規則な間隔で配置する場合、16本の溝18の各間隔P(ピッチパターン)が順番に、8mm、6mm、4mm、10mm、6mm、4mm、8mm、10mm、4mm、6mm、10mm、4mm、4mm、8mm、8mmになるように形成することが例示できる(各ピッチパターンPの値は自由に設定可能)。
また、溝18の形状は、図5に示すように、底部が円弧状で、溝18の深さ方向に亘って均一な溝幅(底部の最大幅と同じ幅)を有する断面視U字形状をしている。
そして、溝18の深さは、リブ13の高さ(図6のリブ高さi参照)の65〜90%の範囲であることが好ましい。例えば、リブ高さiが2.9mmの場合、溝18の深さは1.88〜2.61mmの範囲であり、リブ高さiが2.7mmの場合、溝18の深さは1.78〜2.43mmの範囲であり、リブ高さiが2.5mmの場合、溝18の深さは1.63〜2.25mmの範囲であり、リブ高さiが2.0mmの場合、溝18の深さは1.30〜1.80mmの範囲である。また、溝18の幅(溝幅)は1.2〜1.6mmの範囲が好ましい。更に、(溝18の深さ)/(溝幅)の値が0.81〜2.2の範囲であることが好ましい。
(圧縮層12)
圧縮層12を形成するゴム組成物のゴム成分としては、加硫又は架橋可能なゴム、例えば、ジエン系ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、水素化ニトリルゴムなど)、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが例示できる。これらのゴム成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。好ましいゴム成分は、エチレン−α−オレフィンエラストマー(エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)などのエチレン−α−オレフィン系ゴム)、クロロプレンゴムである。特に好ましいゴム成分は、クロロプレンゴムに対し耐久性に優れ、ハロゲンを含まないエチレン−α−オレフィンエラストマーである。EPDMのジエンモノマーの例としては、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどを挙げることができる。
特に、耐熱性や耐摩耗性を考慮すれば、エチレンとα−オレフィンと非共役ジエンとの共重合体であるEPDMが好ましく、中でもエチレン含量が51〜68質量%であって、且つ二重結合(ジエン含量)が0.2〜7.5質量%のものが好ましい。このEPDMとしてはヨウ素価が3〜40のものを用いるのが好ましく、ヨウ素価が3未満であると、ゴム組成物の加硫が十分でなく、摩耗や粘着、発音の問題が発生するおそれがあり、またヨウ素価が40を超えると、ゴム組成物のスコーチが短くなって扱い難くなり、耐熱性が悪くなるおそれがある。
Vリブドベルト1が曲がる際に加えられたエネルギーは圧縮されたリブゴム(圧縮層12)の内部発熱となり、トルクロスの原因となる。圧縮層12を形成するゴム組成物は、ゴム組成物中のエチレン−α−オレフィンエラストマーの含有比率が45質量%以上、カーボンブラックの含有比率は35質量%未満に設定される。ゴム組成物を硬化させて形成した圧縮層12の動的粘弾性のtanδ(損失正接)は、エチレン−α−オレフィンエラストマーの含有比率を高くし、カーボンブラックの含有比率を低くすることによって低下させることができる。そして、エチレン−α−オレフィンエラストマーの含有比率が45質量%以上、カーボンブラックの含有比率が35質量%未満であると、このゴム組成物を用いて形成した圧縮層の動的粘弾性を、初期歪1.0%、周波数10Hz、動的歪0.5%の条件で測定したとき、25〜120℃の範囲におけるtanδの最大値を0.150未満に調整することができる。エチレン−α−オレフィンエラストマーの含有比率が45質量%未満の場合や、カーボンブラックの含有比率が35質量%以上の場合は、tanδは0.150以上の大きな値となり、圧縮ゴム層の内部損失が増大してトルクロスが大きくなる。
ゴム組成物における、エチレン−α−オレフィンエラストマーの含有比率の上限は特に設定されるものではないが、実用上、エチレン−α−オレフィンエラストマーの含有比率は55質量%以下であることが望ましい。また、カーボンブラックの含有比率の下限は特に設定されるものではないが、カーボンブラックの含有比率が20質量%未満であると、ゴム組成物の耐摩耗性が悪くなり、Vリブドベルト1の耐久性が低下するので、カーボンブラックの含有比率は20質量%以上であることが望ましい。このようにカーボンブラックの含有比率を小さくすると耐久性が低下する傾向があるので、グラファイトを併用して、耐久性の低下を抑制しつつカーボンブラックの含有比率を小さくするようにするのが好ましい。
また、圧縮層12を形成するゴム組成物には、さらに必要に応じて、ゴムに通常配合される、硫黄、有機過酸化物等の架橋剤、N,N´−m−フェニレンジマレイミド、キノンジオキシム類等の共架橋剤、加硫促進剤、炭酸カルシウム、タルク等の充填剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、着色剤、短繊維等を配合してもよい。短繊維としては、綿、ポリエステル(PET、PENなど)、ナイロン(6ナイロン、66ナイロン、46ナイロンなど)、アラミド(p−アラミド、m−アラミド)、ビニロン、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維などを用いることができる。これらの短繊維は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。そしてこれらの各種配合物をバンバリーミキサー、ニーダー等の通常用いられる手段を用いて混練りすることによってシート状に成形することができる。
(伸張層11)
伸張層11は、外被布(補強布)またはゴム組成物で形成される。伸張層11が外被布で形成されている場合、外被布としては、例えば、織布、広角度帆布、編布、不織布などの布材(好ましくは織布)であってもよい。伸張層がゴム組成物で形成されている場合、伸張層を構成するゴム組成物は、圧縮層12を形成するゴム組成物と同じもので形成されていてもよい。伸張層の厚みは、例えば0.6〜4mm、好ましくは0.7〜3mm、さらに好ましくは0.8〜2mm程度である。
(接着層15)
接着層15は、ゴム組成物としてエチレンとα−オレフィンと非共役ジエンとの共重合体であるEPDMまたはその他の種類ゴムからなる相手ゴムを混ぜ合わせたブレンドゴムを用いている。エチレンとα−オレフィンと非共役ジエンとの共重合体であるEPDMにブレンドする相手ゴムとしては、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、天然ゴム(NR)の少なくとも一種のゴムを挙げることができる。なお、上述したように、接着層15は、必須のものではなく、芯体14、伸張層11及び圧縮層12の接着性を向上させる目的で設けられるものであり、本実施形態のように接着層15と伸張層11との間に芯体14を埋設する形態の他に、接着層15に芯体14を埋設する形態でもよく、圧縮層12と接着層15との間に芯体14を埋設する形態であってもよい。
(芯体14)
芯体14としては、特に限定されないが、通常、ベルト幅方向Nに所定間隔で配列した心線(撚りコード)を使用できる。心線としては、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維などのポリエステル繊維、6ナイロン繊維、66ナイロン繊維、46ナイロン繊維などのナイロン繊維、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維などのアラミド繊維、ポリアリレート繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、PBO繊維などを用いることができる。これらの繊維は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。繊維はマルチフィラメント糸、例えば、繊度2000〜10000デニール(特に4000〜8000デニール)程度のマルチフィラメント糸であってもよい。
心線としては、通常、マルチフィラメント糸を使用した撚りコード(例えば、諸撚り、片撚り、ラング撚りなど)を使用できる。心線の平均線径(撚りコードの繊維径)は、例えば0.5〜3mm、好ましくは0.6〜2mm、さらに好ましくは0.7〜1.5mm程度であってもよい。心線はVリブドベルト長手方向Mに埋設され、単数又は複数の心線がVリブドベルト長手方向Mに平行に所定のピッチで並列的に埋設されていてもよい。
芯体14に用いる心線には、伸張層11や圧縮層12との接着性を向上させる目的で接着処理を施すのが好ましい。このような接着処理としては、心線をエポキシ又はイソシアネートを有機溶媒に溶解させた樹脂系処理液に浸漬・加熱乾燥した後に、レゾルシン-ホルマリン-ラテックス液(RFL液)などの処理液に浸漬して加熱乾燥することによって行なうことができる。また必要に応じて、RFL処理後、ゴム組成物を有機溶媒(トルエン、キシレン、メチルエチルケトンなど)に溶解させた処理液でオーバーコーティング処理をしてもよい。
(Vリブドベルト1の製造方法)
本発明のVリブドベルト1の製造方法は特に制限されず、公知又は慣用の方法が採用できる。例えば、圧縮層12と、芯体14が埋設された接着層15と、伸張層11とを、それぞれ未加硫ゴム組成物で形成して積層し、この積層体を成形型で筒状に成形し、加硫してスリーブを成形し、この加硫スリーブを所定幅にカッティングすることにより、個々のVリブドベルト1を形成できる。より詳細には、以下の方法でVリブドベルト1を製造できる。
(第1の製造方法)
先ず、表面が平滑な円筒状の成形モールドに伸張層用シートを巻きつけ、このシート上に芯体14を形成する心線(撚りコード)を螺旋状にスピニングし、さらに接着層用シート、圧縮ゴム層用シートを順次巻き付けて積層し、筒状の未加硫成形体を作製する。その後、加硫用ジャケットを成形体の上から被せて金型(成形型)を加硫缶内に収容し、所定の加硫条件で加硫した後、成形モールドから脱型して筒状の加硫スリーブを得る。そして、この加硫スリーブの外表面(圧縮ゴム層)を研削ホイールにより研磨して複数のリブ13を形成した後、カッターを用いてこの加硫スリーブをVリブドベルト長手方向Mに所定の幅にカットしてVリブドベルト1に仕上げる。なお、カットしたVリブドベルト1を反転させることにより、内周面にリブ13を有する圧縮層12を備えたVリブドベルト1が得られる。
なお、本発明で圧縮層12に設ける、Vリブドベルト幅方向Nに横断する傾斜した溝18の形成方法については、加硫スリーブや、所定幅にカットして仕上げたVリブドベルト1において、公知の機械的加工法により溝を切り込む方法でもよい。あるいは、予め内周面に所定の溝形状に対応する突条を設けた円筒母型(ゴム型)を成形しておき、円筒母型を未加硫成形体の外周側に被せて、その後、加硫用ジャケットを被せて加硫することで、外周面に所定の溝形状が転写された加硫スリーブを得る方法でもよい。
(第2の製造方法)
先ず、内型として外周面に可撓性ジャケットを装着した円筒状内型を用い、外周面の可撓性ジャケットに未加硫の伸張層用シートを巻きつけ、このシート上に芯体14を形成する心線を螺旋状にスピニングし、さらに未加硫の圧縮層用シートを巻き付けて積層体を作製する。次に、前記内型に装着可能な外型として、内周面に複数のリブ型が刻設された筒状外型を用い、この外型内に、前記積層体が巻き付けられた内型を、同心円状に設置する。その後、可撓性ジャケットを外型の内周面(リブ型)に向かって膨張させて積層体(圧縮ゴム層)をリブ型に圧入し、加硫する。そして、外型より内型を抜き取り、複数のリブ13を有する加硫スリーブを外型から脱型した後、カッターを用いて、加硫スリーブをVリブドベルト長手方向Mに所定の幅にカットしてVリブドベルト1に仕上げる。この方法においても、Vリブドベルト幅方向Nに横断する傾斜した溝18は、加硫スリーブや、所定幅にカットして仕上げたVリブドベルト1において、公知の機械的加工法により切り込んで溝18を形成する。
(動力伝達機構)
また、本発明は、上記に記載したVリブドベルト1と、このVリブドベルト1が巻き掛けられる複数のプーリ(例えば、駆動プーリと従動プーリの2個)とを備え、複数のプーリの少なくとも1つが、外径が65mm以下である、動力伝達機構10としても実施される(図1参照)。なお、プーリの1つが、外径65mm以下であれば良いため、プーリの個数は制限されない(図12の試験機参照)。
特に、外径が65mm以下のプーリを有する動力伝達機構10では、巻き掛けたVリブドベルト1の曲げ量が大きくなり、トルクロスが大きくなる。そこで、上記特徴を有するVリブドベルト1を使用することにより、トルクロスを低減させた動力伝達機構10にすることができる。
[Vリブドベルトの作製]
以下に、実施例に基づいて本発明に係るVリブドベルト1をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の例において、実施例に係るVリブドベルト1に用いた原料、各物性における測定方法及び評価方法を以下に示す。なお、特にことわりのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[原料]
EPDM:三井化学(株)製「EPT2060M」
ナイロン短繊維:66ナイロン、平均繊維径27μm、平均繊維長3mm
綿短繊維:デニム、平均繊維径13μm、平均繊維長6mm
酸化亜鉛:正同化学工業(株)製「酸化亜鉛3種」
ステアリン酸:日油(株)製「ステアリン酸つばき」
カーボンブラックHAF:東海カーボン(株)製「シースト3」、平均粒径28nm
含水シリカ:東ソー・シリカ(株)製「Nipsil VN3」
パラフィン系オイル(軟化剤):出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイルPW−90」
有機過酸化物:日油(株)製「パークミルD−40」
加硫促進剤A:テトラメチルチウラム・ジスルフィド(TMTD)
加硫促進剤B:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド(CBS)
共架橋剤:p,p’−ジベンジルキノンジオキシム、大内新興化学工業(株)製「バルノックDGM」
心線:1,000デニールのPET繊維を2×3の撚り構成で、上撚り係数3.0、下撚り係数3.0で諸撚りしたトータルデニール6,000のコードを接着処理した撚糸コード、心線径1.0mm。
[Vリブドベルトの製造]
表1に示す圧縮層形成用のゴム組成物及び接着層形成用のゴム組成物を、それぞれバンバリーミキサーなどの公知の方法を用いてゴム練りを行い、この練りゴムをカレンダーロールに通して所定の厚みを有する圧縮層形成用シート及び接着層形成用シートを作製した。
また、伸張層11に用いる外被布として、綿繊維とポリエチレンテレフタレート繊維を重量比で50:50の混撚糸を使用したワイドアングルの平織帆布(厚み0.63mm)を用いた。この帆布をRFL液に浸漬した後、150℃で2分間熱処理して接着処理帆布とした。さらに、この接着処理帆布に、接着層形成用シート(厚み0.5mm)を積層した伸張層用積層体を作製した。
次に、以下のような公知の方法を用いてVリブドベルト1を作成した。先ず、予め所定の溝形状に対応した突条を、内周面に設けた円筒母型(ゴム型)を成形した。次に、表面が平滑な円筒状成形モールドに伸張層用積層体(外被布がモールド側に、接着層形成用シートが外周側に位置するように)を巻きつけ、この伸張層用積層体の外周に芯体を形成する心線(撚りコード)を螺旋状にスピニングし、さらに接着層形成用シート、圧縮層形成用シートを順次巻き付けて未加硫成形体を形成した。そして、上記円筒母型(ゴム型)を未加硫成形体の外周側に被せて、さらにその外周側に加硫用ジャケットを成形体の上から被せた状態で、前記成形モールドを加硫缶に設置し、温度180℃、圧力0.9MPaの条件で30分間その後、成形モールドから脱型して、外周面に所定の溝形状(溝18)が転写された筒状の加硫スリーブを得た。そして、この加硫スリーブの外周面(圧縮層12)を研削ホイールにより所定の間隔で研削して複数のリブ13を形成した後、カッターを用いて、Vリブドベルト長手方向Mに所定の幅でカットして、個々のVリブドベルト1に仕上げた。
(Vリブドベルトの寸法)
得られたVリブドベルト1は、図6及び表2に示すように、心線中央[2]からVリブドベルト背面[1]までの距離aを1.00mm、心線底部[3]からVリブドベルト背面[1]までの距離bを1.50mm、リブ底部[4]からVリブドベルト背面[1]までの距離cを2.30mm、リブ先端部[5]からVリブドベルト背面[1]までの距離dを4.30mm、リブピッチeを3.56mm、心線底部[3]からリブ底部[4]までの距離hを0.80mm、リブ先端部[5]からリブ底部[4]までの距離iを2.00mm、リブ先端部[5]から心線底部[3]までの距離jを2.80mmに調整した。
また、後述の各試験で用いたVリブドベルト1の圧縮層12(内周面)には、傾斜角度θを20°で、ベルト長さ100mmあたり15本となるようにランダムな間隔でU字形状の溝18を設けた。
[曲げ応力のシミュレーション解析]
Vリブドベルト1が屈曲されることにより発生する応力をFEM解析した。ここでは屈曲性を確認するための解析なので、圧縮層12に設ける溝18(スリット)は斜めにせず(傾斜角度θ=0°)、間隔P=7.0mmで設けたモデルを含む3タイプ(A、B、C)のVリブドベルト1について解析した。図8に3タイプのVリブドベルト1を示す。
(A)溝18がない場合
(B)U字形状の溝18(底R=0.4mm、溝の深さ=2.0mm、側面角度(K)=0°)を設けた場合
(C)溝幅が広がる形状の溝18(底R=1.0mm、溝の深さ=2.0mm、側面角度(K)=15°)を設けた場合
上記3タイプ(A、B、C)のVリブドベルト1を屈曲させることにより発生する応力をFEM解析する方法としては、図7に示すように、外径55mm、V溝角度40°のプーリに、3タイプ(A、B、C)のVリブドベルト1の1リブ分の一部を直線で作成したものを、プーリに発張力T0で、それぞれ90°巻き掛け(一端を固定、他端にDW荷重)、プーリを回転させ、有効張力を発生させ、これにより発生する応力をFEM解析している。なお、隣のリブとの境界面を面内拘束させている。
上記手法により、3タイプ(A、B、C)のVリブドベルト1を屈曲させたときの、Vリブドベルト長手方向Mの変形量からVリブドベルト1に生じる応力を解析した。その結果、図8に示すように、溝18がない場合に比べ、溝18を入れると圧縮層12(特にリブ先端付近)に生じる応力が低減される。また、図8に示すように、リブ底付近では、溝18を入れても変形量が大きく応力が残るが、(C)タイプの溝18に比べ、(B)タイプのU字形状の方が応力の程度は低減されている(※幅広の溝18でもU字形状なら同じ効果がある)。
従って、U字形状の溝18を設けることでベルト屈曲による応力が低減される。その結果、Vリブドベルト1の内部発熱が抑制され、発熱によるゴムの劣化の抑制効果で、Vリブドベルト1の耐久寿命の向上に繋がる。
[心線下側付近にかかる歪みエネルギーのシミュレーション解析]
上記のように、U字形状の溝18(タイプB)を設けることで、ベルト屈曲により圧縮層12(特にリブ先端付近)に生じる応力が低減されるが、曲げ変形による応力が集中する部位が溝18の底部付近(底R付近)に移動する。特に、溝18の底Rに近い接着層15の芯体14下側付近に変形応力(歪み応力)が集中する。芯体14付近が変形応力(歪み応力)を受けると、芯体14と接着層15との界面で剥離が生じやすくなり、Vリブドベルト1の端部に露出する芯体14においては、その剥離によってVリブドベルト1から抜け出すポップアウト現象が生じるおそれがある。
そのため、溝18の幅と深さについては、芯体14のポップアウトへの耐性を考慮する必要がある。そこで、溝18の幅と深さとを変量したVリブドベルト1について、FEM解析によりベルト屈曲時に接着層15の芯体14(特に、両端部の芯体14)下側付近に発生する歪み応力を算出した(図9参照)。
表3では、幅1.4mm、深さ1.5mmのU字形状の溝18を設けた場合の歪み応力を100とした相対指数で表示した。
その結果、芯体14下側に生じる歪み応力は、溝18の幅が広いほど低減され、溝18の深さが小さいほど低減される。この低減効果の度合は、溝18の幅よりも溝18の深さの方が大きい。
溝18の幅と溝18の深さとの組み合わせでは、表3では、溝の幅1.1mm〜1.6mm且つ溝の深さ2mmの範囲で歪み応力が大きいことから、溝18の深さは1.8mm以下が好ましいと判断した。また、溝の深さ2mmの場合は、溝の幅は1.7mmが好ましいと判断した。
[フリクションロス(トルクロス)の測定]
図10に示すように、直径55mmの駆動(Dr)プーリと、直径55mmの従動(Dn)プーリで構成される2軸走行試験機にVリブドベルト1(リブ13の数6個、長さ1100mm)を巻き掛け、100〜900N/ベルト1本の張力範囲でVリブドベルト1に所定の初張力を付与し、従動プーリ無負荷で駆動プーリを2000rpmで回転させたときの駆動トルクと従動トルクとの差をトルクロスとして算出した。表4に、675N/ベルト1本の初張力を付与したときのトルクロスを示した。
なお、この測定で求められるトルクロスは、Vリブドベルト1の屈曲損失によるトルクロス以外に、試験機の軸受けに起因するトルクロスも含まれている。そのため、Vリブドベルト1としてのトルクロスが実質0と考えられる金属ベルト(材質:マルエージング鋼)を予め走行させておき、このときの駆動トルクと従動トルクとの差が軸受けに起因するトルクロス(軸受け損失)と考え、Vリブドベルト1を走行させて算出したトルクロス(Vリブドベルト1と軸受けの二つに起因するトルクロス)から軸受けに起因するトルクロスを差し引いた値をVリブドベルト1単体に起因するトルクロスとして求めた。ここで、差し引くトルクロス(軸受け損失)は所定の初張力で金属ベルトを走行させたときのトルクロス(例えば、初張力500N/ベルト1本でVリブドベルト1を走行させた場合、この初張力で金属ベルトを走行させたときのトルクロス)である。このVリブドベルト1のトルクロスが小さいほど省燃費性に優れていることを意味する。自動車エンジンでの省燃費性の観点から、トルクロスの目安として、0.29N・m以下に低減していることが好ましい。
溝18を入れないVリブドベルト1のトルクロスは0.375N・mであった。溝18を入れた表4のVリブドベルト1については、0.30N・m以上を示した枠ではトルクロスが大きく、トルクロス低減に効果が充分ではなかった。トルクロスが0.28〜0.29N・mの水準に低減しているのは、溝の幅1.7mm且つ溝の深さ1.2mm、溝の幅1.2mm以上且つ溝の深さ1.3〜1.8mmの範囲、溝の幅1.6mm以上且つ溝の深さ2.0mm、のVリブドベルト1であった。この範囲を、トルクロス低減効果のある最適な溝18(スリット)の深さと幅の範囲と判断した。
なお、トルクロスは自動車の燃費と関係があり、例えば、軽自動車の場合、トルクロス0.05N・mの低下は、燃費で約0.1%の向上に貢献する。トルクロス0.01N・mの低下(燃費で0.02%の低下に相当)に繋がるのは、自動車分野での省燃費化に対して貢献に値する水準である。
[Vリブドベルト1のリブ13表面の温度測定]
上記のフリクションロス測定の試験において、Vリブドベルト1のリブ13表面の温度を測定した。測定は、表面温度計(FLIR SYSTEMS社製SC620)を用い、(A)溝のないVリブドベルト1と、(B)トルクロス低減効果のあった溝18の深さ1.5mm、溝18の幅1.4mm [傾斜角度θ=20°、ランダム間隔(15本/ベルト100mm)、U字形状]のVリブドベルト1とを比較した。
測定結果を図11に示す。上記の溝18を設けたVリブドベルト1(B)の表面温度(46.4℃)は、溝18のないVリブドベルト1(A)の表面温度(67.6℃)と比較して約21℃の温度低下をすることが確認できた。
[ベルト耐久走行試験]
上記試験で用いた寸法形状のVリブドベルト1を、高温低張力逆曲げ試験機にて耐久走行を行い、ベルト温度推移と、耐久寿命を検証した(寿命の目標は200hr以上)。
[耐久性試験(高温低張力逆曲げ試験)の方法]
高温低張力逆曲げ試験は、図12に示すように、駆動プーリ(Dr,直径120mm)、アイドラープーリ(Id,直径85mm)、従動プーリ(Dn,直径120mm)、そしてテンションプーリ(Ten,直径45mm)を順に配置して構成した試験機の各プーリにVリブドベルト1(リブ13の数6個、長さ1100mm)を掛架し、Vリブドベルト1のテンションプーリへの巻き付け角度を90度に、アイドラープーリへの巻き付け角度を120度にして雰囲気温度120℃、駆動プーリの回転数4900rpm、ベルト張力40kgf/3リブの試験条件で、駆動プーリに荷重を付与してVリブドベルト1を走行させ、また従動プーリには負荷12PSを与えて走行させた。
[耐久性試験(高温低張力逆曲げ試験)の結果]
上記の試験において、(A)溝のないVリブドベルト1と、(B)トルクロス低減効果のあった溝18の深さ1.5mm、幅1.4mm [傾斜角度θ=20°,ランダム間隔(15本/ベルト100mm)、U字形状]のVリブドベルト1とを、耐久走行させて比較した。耐久走行において表面温度計(FLIR SYSTEMS社製SC620)で測定したVリブドベルト1のリブ13の表面温度の推移を図13に示す。走行の初期では、高い初張力でプーリに巻き掛かっているためプーリへの接触が強く、摩擦熱の影響で表面温度が高くなったが、走行の経過に伴い張力が安定してくると、溝18を設けたVリブドベルト1の表面温度は、溝18のないVリブドベルト1と比較して低く推移した。その結果、溝18のないVリブドベルト1は447時間で寿命となったが、溝18を設けたVリブドベルト1は750時間まで走行して寿命となった。溝18を設けることで、走行中のVリブドベルト1のゴムの熱による劣化が抑制され、耐久寿命が向上することが分かる。
[伝達性能試験]
(A)溝18のないVリブドベルト1と、(B)トルクロス低減効果のあった溝18の深さ1.5mm、幅1.4mm [傾斜角度θ=20°,ランダム間隔(15本/ベルト100mm)、U字形状]のVリブドベルト1とについて、下記の方法で伝達性能を比較した。
[伝達性能試験の方法]
図14に示すように、直径120mmの駆動(Dr.)プーリと、直径120mmの従動(Dn.)プーリで構成される2軸走行試験機にVリブドベルト1(リブ13の数6個、長さ1100mm)を巻き掛け、初張力(200、300N/ベルト1本の2水準)をVリブドベルト1に付与した後、駆動プーリ回転数2000rpm、室温雰囲気の条件で従動プーリの負荷(従動トルク)を上げていき、従動プーリに対するVリブドベルト1のスリップ率が2%になったときの従動トルクを測定した。従動トルクの数値が高いほどVリブドベルト1の伝達性能が優れていることを意味する。測定は、Vリブドベルト1ベルトに注水(300ml/分で1分間)した場合(WET)と、注水しない場合(DRY)について、それぞれ行った(図14参照)。
[伝達性能試験の結果]
伝達性能試験の結果を図15に示す。これによれば、DRY、WETのいずれの環境下においても、溝18を設けたVリブドベルト1と、溝18がないVリブドベルト1とは大きな差がなく、同じ水準の伝達性能を維持できることが分かった。
[耐発音性試験]
図10に示す、直径55mmの駆動(Dr)プーリと、直径55mmの従動(Dn)プーリで構成される2軸走行試験機にVリブドベルト1(リブ13の数6個、長さ1100mm)を巻き掛け、600N/ベルト1本の初張力を付与し、従動プーリ無負荷で駆動プーリを5000rpmで回転させて走行させたときに生じる発音を測定した。
溝18を設けたVリブドベルト1については、U字形状で深さ1.5mm、幅1.4mmの溝18を、15本/ベルト100mmの間隔で配置した。
試験ベルト:(A)溝なし
(B)直角溝(傾斜角度θ=0°,等間隔)
(C)斜め溝(傾斜角度θ=20°,等間隔)
(D)斜めランダム溝(傾斜角度θ=20°,ランダムな間隔)
耐発音性試験の結果を図16に示す。なお、(D)斜めランダム溝では、傾斜角度θ=10,30°でも同様の結果を得ている。
(A)溝なしのベルトに対して、Vリブドベルト1の内周側の圧縮層12に溝18(スリット)を設けたVリブドベルト1では、溝18の配置周期に応じた大きな信号(ピーク)が見られ、大きな騒音が生じている。これは、リブ13が不連続的にプーリに出入りするため、出入りによる特有の動作音(不連続リブの調和音のピーク)が生じたものである。
騒音のレベルは、(B)直角溝(幅方向に対して平行(θ=0°)に配置)の場合が特に大きく、幅方向に対して傾斜(θ=10〜30°)させて配置した(C)斜め溝では、周期的な大きな信号(ピーク)は見られるものの全体的な騒音のレベルが低くなっている。これは、(B)直角溝ではVリブドベルト幅方向Nに存在する複数の不連続リブのプーリへの出入りが同時に起こるのに対して、幅方向に対して傾斜させると不連続リブの出入りが一方の端部から他方の端部へと順次進むので、全体としての騒音のレベルは低減されるためである。
更に、(D)溝の間隔をベルト周内でランダム(不規則)にしたVリブドベルト1では、周期的な大きな信号(ピーク)も低減されており、溝18を斜めで、ランダムに配置するのが効果的であると云える。
次に、(D)斜めランダム溝(傾斜角度θ=20°,ランダムな間隔)について、U字形状の溝の深さと幅とを変量した場合の音圧レベルの違いを測定した。
表5のVリブドベルト1では、音圧レベルが70.00dB以上を示す枠部は音圧レベルが大きく、騒音低減効果が不充分であった。従って、音圧レベルが充分に低減しているのは、溝の幅1.2mm以下且つ溝の深さ1.2mm、溝の幅1.6mm以下且つ溝の深さ1.3〜1.8mmの範囲、溝の幅1.2mm以下且つ溝の深さ2.0mm、のVリブドベルト1であった。この範囲を、騒音低減効果のある最適な溝(スリット)の深さと幅の範囲と判断した。
[総合的な評価]
以上の結果から、トルクロス低減(省燃費性)、騒音低減(耐発音性)、耐久寿命、耐ポップアウト性、伝達性能の要求に対して、バランス良く適応できる溝18(スリット)の深さと幅の設計範囲としては、例えば、リブ高さi=2.0mmのVリブドベルト1の場合、溝18の深さが1.3〜1.8mm(リブ高さiの65〜90%)、溝18の幅が1.2〜1.6mm、溝18の深さ/溝幅の値が0.81〜1.5の範囲と云える。
また、例えば、リブ高さi=2.9mmのVリブドベルト1の場合、溝18の深さが1.88〜2.61mm(リブ高さiの65〜90%)、溝18の幅が1.2〜1.6mm、溝18の深さ/溝幅の値が1.175〜2.175の範囲と云える。
上記構成のように、Vリブドベルト1の内周側の圧縮層12に溝18(スリット)を入れることで、Vリブドベルト1の屈曲性が向上し、圧縮層12を曲げるのに要する応力(圧縮応力)を低減させることができる。その結果、屈曲損失が低減し、トルクロスの低減に寄与する。
ただし、圧縮層12に溝18を設けることで、圧縮層12に設けられたリブ13が不連続的にプーリ(駆動プーリ2や従動プーリ3)に出入りするため、出入りによる特有の動作音(不連続リブの調和音のピーク)が溝18の間隔周期に応じて発生し大きな騒音となる場合がある。特に溝18をVリブドベルト1のVリブドベルト幅方向Nに対して平行(θ=0°)に配置すると、Vリブドベルト1のVリブドベルト幅方向Nに存在する複数の不連続リブ13のプーリへの出入りが同時に起こるため、全体的な騒音のレベルが高くなるが、Vリブドベルト幅方向Nに対して傾斜(θ=10〜30°)させて配置することで、不連続リブ13の出入りが一方の端部から他方の端部へと順次進むので(不連続リブ13のプーリへの出入りが分散する)、全体としての騒音レベルを低減させることができる。
溝18をVリブドベルト1のVリブドベルト幅方向Nに対して傾斜させて配置することで全体の騒音レベルは低減されるが、不連続リブ13の調和音のピーク騒音が依然として残る場合がある。そこで、溝18の間隔P(ピッチパターンP)をVリブドベルト1周内で不規則(ランダム)にすることで、調和音のピーク騒音も低減することができる。
また、溝18の形状をV字形状ではなく、U字形状にすることで、屈曲したときにリブ根元(リブ13底)部付近に発生する圧縮応力を低減することができる。その結果、Vリブドベルト1の内部発熱を低減することができる。
また、溝18の幅が狭すぎると、Vリブドベルト1の屈曲損失の低減が不充分となり、一方で、溝18の幅が広すぎると、騒音レベルが高くなってしまう。また、溝18の深さが小さすぎると、Vリブドベルト1の屈曲損失の低減が不充分となり、一方で、溝18の深さが大きすぎると、Vリブドベルト1の屈曲時に心線付近にかかる歪みエネルギーが大きくなり、芯体14のポップアウトに繋がる場合がある。そこで、溝18の深さをリブ高さiの65〜90%の範囲、溝18の幅を1.2〜1.6mmの範囲、溝18の深さ/溝18の幅の値を0.81〜2.2の範囲にすることで、伝達性能を維持しつつ、トルクロス低減、騒音低減、歪みエネルギーの低減(耐ポップアウト)、ベルトの内部発熱の低減(ゴム硬度の上昇が抑制される)による耐久性の向上を実現することができる。
1 Vリブドベルト
2 駆動プーリ
3 従動プーリ
10 動力伝達機構
11 伸張層
12 圧縮層
13 リブ
14 芯体
15 接着層
18 溝(スリット)
M Vリブドベルト長手方向
N Vリブドベルト幅方向
P 間隔(ピッチパターン)

Claims (3)

  1. プーリに巻き掛けて使用されるVリブドベルトであって、
    背面を形成する伸張層と、
    前記伸張層の一方面に設けられ、当該Vリブドベルトの長手方向に沿って互いに平行して延びる複数のリブを有する圧縮層と、
    前記伸張層と前記圧縮層との間に当該Vリブドベルトの長手方向に沿って埋設される芯体と、を備え、
    前記圧縮層は、当該Vリブドベルトの幅方向に延びる複数の溝を有し、
    前記溝は、当該Vリブドベルトの幅方向に対して角度θ=10〜30°で斜めに配置され、
    前記溝の間隔は、当該Vリブドベルト周内で不規則な間隔で配置され、
    前記溝の形状は、底部が円弧状で、深さ方向に亘って均一な溝幅を有するU字形状をしており、
    前記溝の深さが、前記リブ高さの65〜90%の範囲、
    前記溝の幅が、1.2〜1.6mmの範囲、
    前記溝の深さ/前記溝の幅の値が、0.81〜2.2の範囲、
    の条件を満たすことを特徴とするVリブドベルト。
  2. 前記溝の数は、当該Vリブドベルトの長手方向の長さ100mmあたり、15〜16本であることを特徴とする請求項1に記載のVリブドベルト。
  3. 請求項1又は2に記載のVリブドベルトと、
    前記Vリブドベルトが巻き掛けられる複数のプーリと、を備え、
    前記複数のプーリの少なくとも1つは、外径が65mm以下であることを特徴とする動力伝達機構。
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