JP6806874B2 - ナノファイバシートの製造方法、ナノファイバシートの製造装置、及び極薄シートの製造方法 - Google Patents

ナノファイバシートの製造方法、ナノファイバシートの製造装置、及び極薄シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ナノファイバシートの製造方法、ナノファイバシートの製造装置、及び極薄シートの製造方法に関する。
肌に貼り付けて、シミや皺を隠蔽する化粧用シートとして、電界紡糸法(エレクトロスピニング法)によって、ナノサイズの直径の繊維(以下、繊維ともいう)を堆積させた繊維シートの製造方法が知られている。例えば、特許文献1には、噴射装置をジグザグに移動させながら、高電圧を印加した吐出口から高分子溶液を吐出させてナノファイバを堆積させる、ナノファイバシートの製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、ノズルの先端を、円を描くように移動させながらポリウレタン樹脂溶液を吐出させ、直線的に移動し且つ回転するコレクタに、該ポリウレタン樹脂溶液を集積する、ポリウレタンナノファイバー不織布の製造方法が記載されている。さらに、特許文献3には、吐出手段を、それと対向配置された捕集面に対して平行な平面内で往復移動させながら、原料液を吐出させる、ナノファイバ膜の製造方法が記載されている。
特開2008−196061号公報 特開2009−108422号公報 特開2011−084841号公報
化粧用シートを肌に貼り付けると、該化粧用シートを視認できることがあり、化粧用シートの存在が認識されてしまうことがある。特に化粧用シートを肌に貼り付けた後、該化粧用シートの上からファンデーション等の化粧料を付着させた場合、化粧用シートの存在が際立ち、自然な見た目に仕上げることが困難であった。
特許文献1〜3は、肌に貼付された状態で視認され難いナノファイバシートを製造する技術を開示するものではない。
したがって本発明の課題は、従来技術の欠点を解消し得るナノファイバシートの製造方法及びナノファイバシートの製造装置を提供することにある。
本発明は、対向電極との間に高電圧を印加したノズルから原料液を吐出させ、電界紡糸法により該原料液から生じたナノファイバを捕集部上に堆積させる、ナノファイバシートの製造方法であって、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら、前記ナノファイバを前記捕集部上に堆積させることにより、周縁端から内方に向かって漸次厚みが増加するグラデーション領域を有する所定のナノファイバシートを製造する、ナノファイバシートの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、原料液(紡糸液)を吐出するノズルと、該ノズルと対向するように配され、該ノズルとの間に電界を生じさせる対向電極と、前記原料液を電気的に延伸して生成したナノファイバを集積する捕集部と、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させる機構とを具備するナノファイバシートの製造装置であって、制御部内に入力された移動軌道のデータに基づき、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら、前記ナノファイバを前記捕集部上に堆積させることが可能になされており、前記制御部に、軌道計算工程で決定された移動軌道のデータが、入力されているか又は入力可能になされている、ナノファイバシートの製造装置を提供するものである。前記ナノファイバシートの製造装置は、前記ナノファイバシートの製造方法であって、ナノファイバの堆積分布に関する要因と、堆積する該ナノファイバの厚みとの相関関係に基づいて、前記所定のナノファイバシートを形成し得る、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方の移動軌道を決定する軌道計算工程と、前記軌道計算工程で決定された前記移動軌道に基づき、前記ノズル及び前記捕集部の何れか一方を移動させながら、前記ナノファイバを堆積させる堆積工程とを備える、ナノファイバシートの製造方法に用いられる。
更に本発明は、ノズルから原料液を吐出させ、該原料液から生じた繊維又は粒子を捕集部上に堆積させて極薄シートを製造する、極薄シートの製造方法も提供する。
極薄シートはその厚さが5.1μm以上500μm以下であることが好ましい。
極薄シートの製造方法は、目的とする前記極薄シートの輪郭形状に関する情報に基づいて、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら、該極薄シートの輪郭形状の範囲内に前記原料液を吐出する目的形状形成工程を備えることが好ましい。
前記目的形状形成工程においては、前記輪郭形状の周縁端から内方に向かって漸次厚みが増加する、幅5mm以内のテーパー状の周縁領域が形成されるように、前記原料液を吐出することが好ましい。
本発明によれば、肌に貼り付けた状態で視認し難いナノファイバ層を備えるナノファイバシートを製造することができる。
図1は、本発明のナノファイバシートの製造方法によって得られるナノファイバシートの一実施形態を模式的に示す平面図である。 図2は、図1のIV−IV線断面図である。 図3は、図2に示すグラデーション領域を示す模式図である。 図4は、本発明のナノファイバシートの製造方法に用いられるナノファイバシートの製造装置の一実施形態を示す斜視図である。 図5は、本発明のナノファイバシートの製造方法によって形成されるナノファイバの堆積体を示す平面図(a)と、該平面図のII−II線断面図(b)である。 図6は、堆積工程における第1工程及び第2工程によって形成された第1堆積領域及び第2帯状堆積領域を示す平面図(a)と、該平面図のIII−III線断面図(b)である。 図7は、図1に示すナノファイバシートを形成するための移動軌道を示す平面図である。 図8は、計算J3における条件(1)及び(2)を説明する図である。図8(a)は、条件(1)を満たさない態様を示す模式図であり、図8(b)は、条件(1)及び(2)を満たす態様を示す模式図であり、図8(c)は、条件(1)を満たすが、条件(2)を満たさない態様を示す模式図である。 図9は、図8に示す移動軌道を計算するため処理フローの一例を示すフローチャートである。 図10は、図1に示すナノファイバシートを形成するための別の移動軌道を示す平面図である。 図11は、グラデーション領域の特定方法の一例を示す平面図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1〜図3に、本発明のナノファイバシートの製造方法によって得られるナノファイバシートの一実施形態を示す。
ナノファイバシート10は、図1に示すように、基材層12と、高分子化合物のナノファイバを含むナノファイバ層11とを備えている。ナノファイバ層11の一方の面には基材層12が配置されている。ナノファイバ層11は非常に薄いものであるが、説明の便宜上、図2及び図3においてはナノファイバ層11が非常に大きく描かれている。
ナノファイバシート10は、対象物の外観や表面形状を改善することを目的として使用されるものである。ナノファイバシート10におけるナノファイバ層11を、対象物に貼付すると、例えば肌に貼付すると、肌のシミや皺を効果的に隠蔽することができる。
本実施形態のナノファイバ層11は、図2に示すように、基材層12が位置する側とは反対側の面に起伏を有している一方、基材層12と対向する面は平坦である。以下、ナノファイバ層11における、基材層12が位置する側とは反対側の面を第1面S1、基材層12と対向する面を第2面S2という。本実施形態のナノファイバ層11は、図2に示すように、第1面S1側が内方に向かって隆起した構造を有している。
ナノファイバシート10におけるナノファイバ層11は、高分子化合物のナノファイバを含む層である。本明細書においてナノファイバとは、その太さを円相当直径で表した場合、一般に10nm以上3000nm以下、特に10nm以上1000nm以下のものである。ナノファイバの太さは、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって、繊維を10000倍に拡大して観察し、その二次元画像から欠陥(ナノ繊維の塊、ナノ繊維の交差部分、ポリマー液滴)を除いた繊維を任意に10本選び出し、繊維の長手方向に直交する線を引き繊維径を直接読み取ることで測定することができる。
ナノファイバ層11の周縁端17は、平面視においてナノファイバ層11の輪郭を成している。本実施形態において前記周縁端17は、ナノファイバ層11において最も厚みが最小となる部分である。ナノファイバ層11は、その周縁端17の厚みD1が好ましくは0.1μm以上10μm以下である。ナノファイバ層11において、その周縁端17の厚みD1が位置によって異なっている場合、該周縁端17の厚みの最小値及び最大値が上記の範囲内あることが好ましい。
ナノファイバ層11の周縁端17の厚みD1は、以下の〔ナノファイバ層の三次元形状の測定方法〕によって測定することができる。
〔ナノファイバ層の三次元形状の測定方法〕
ナノファイバ層11の周縁端17の厚みD1は、ナノファイバ層の第1面の表面の三次元形状を、レーザー式三次元形状測定システム(例えば、コムス社製、測定システムEMS2002AD−3D、及びキーエンス社製 変位センサLK−2000の組合せ)を用いることによって、測定される。先ず、基材層をオートステージ上に載置してナノファイバシートをセットする。次いで、オートステージをX軸方向に移動させながら、レーザー変位計を走査させ、所定の計測ピッチXでナノファイバ層の第1面の表面の高さを計測する。そして、オートステージをX軸と直交するY軸方向に、計測ピッチYでずらして、オートステージをX軸方向に移動させながら、レーザー変位計を走査させ、所定の計測ピッチXでナノファイバ層の第1面の表面の高さを計測する動作を繰り返すことにより、ナノファイバ層の第1面の表面形状データを得る。X軸方向の計測ピッチは0.235mmとし、Y軸方向の計測ピッチYは0.350mmとし、高さ(Z軸)方向の分解能は0.1μmとする。また、測定範囲は、平面視、即ちX軸方向及びY軸方向においてナノファイバ層全体が含まれる範囲とし、対象物に応じて計測ピッチは適宜変更しても差し支えない。以上の測定を無荷重下にて行う。そして、測定された三次元形状データに基づいて、ナノファイバ層の周縁端の厚みを測定する。以下に前記周縁端との厚みの測定方法の詳細を説明する。特に断らない限り、以下の説明において「厚み」はこの方法で測定した値のことを意味する。
〔周縁端の厚みの測定方法〕
先ず、平面視におけるナノファイバ層の輪郭形状を表す平面輪郭線を求める。平面輪郭線は、前記三次元形状データに基づいて取得してもよく、顕微鏡等を用いたナノファイバの拡大観察によって取得してもよい。ナノファイバを含むナノファイバ層は、表面から飛び出した繊維が存在すること、及び局所的に繊維の少ない部分や多い部分が形成されていることが一般的であるので、前記三次元形状データに基づいて得られる厚み等の測定値を位置ごとにプロットしたグラフ、具体的には平面輪郭線や後述する断面輪郭線又は80%厚み等高線がノイズを含んでいることがある。斯かるノイズを除去する観点から、平面輪郭線、断面輪郭線又は80%厚み等高線に対し、多項近似式による近似曲線化処理を行う。当該処理により複数の近似曲線が得られる場合は、三次元形状データに最も近い近似曲線を選択する。次いで、平面輪郭線を近似曲線化した平面輪郭曲線を三次元形状データに対応させ、該三次元形状データにおけるナノファイバ層の周縁端を特定し、該周縁端の厚みを測定する。
なお簡易的には、ナノファイバ層11の周縁端17の厚みD1は、接触式の膜厚計〔例えば、ミツトヨ社製ライトマチックVL−50A(R5mm超硬球面測定子)〕を使用することによって測定することもできる。測定時に測定対象に加える荷重は0.01Paとする。
ナノファイバシート10は、ナノファイバ層11においてその周縁端17から内方に向かって漸次厚みが増加するグラデーション領域Gを有している。グラデーション領域Gは、周縁端17から内方に向かって隆起している領域であり、ナノファイバ層11の周縁端17を含んでいる。グラデーション領域Gは、ナノファイバシート10の厚み方向Zに沿う断面においてナノファイバ層11の表面が傾斜している領域である(図2及び図3参照)。即ちグラデーション領域Gは、ナノファイバ層11を平面視したとき、該ナノファイバ層11の輪郭の中央線CLに直交する直交線に沿う断面において、該ナノファイバ層11の内方に向かって傾斜している領域である(図2参照)。前記直交線に沿う断面は、例えば、図1におけるIV−IV線断面である。このような断面は、前述した三次元形状データに基づいて求められる。グラデーション領域の特定方法について以下に詳述する。
〔グラデーション領域の特定方法〕
先ず、前記三次元形状データにおいて、厚みが最大となる位置を頂点位置として特定し、該頂点位置におけるナノファイバ層の厚みを求める。次いで、前記三次元形状データに基づき、厚みが頂点位置の厚みの80%となる領域の輪郭を示す等高線(以下、「80%厚み等高線」ともいう)を求め、該等高線の位置を、前記平面輪郭曲線とともに前記三次元形状データに反映させる。例えば、図11に示すように、前記三次元形状データに平面輪郭曲線C0及び80%厚み等高線C80を反映させる。この80%厚み等高線は、前述した近似曲線化処理を行ったものを用いる。次いで、平面輪郭曲線上の任意の位置を第1のポイントとし、該平面輪郭曲線の周長を10等分する第1〜第10のポイントを該平面輪郭曲線上に設定する。図11に示す符号N1〜N10は、第1〜第10ポイントの一例である。次いで、第1〜第10のポイントそれぞれにおいて、前記三次元形状データにおけるナノファイバ層の断面輪郭線を求める。断面輪郭線は、平面視において平面輪郭曲線上の第1〜第10のポイントそれぞれと前記80%等高線とを最短距離で結ぶ線分に沿って、前記三次元形状データのナノファイバ層を切断したときの断面の輪郭線である。次いで、第1〜第10のポイントそれぞれにおける断面輪郭線に対し、前述した近似曲線化処理を行い、断面輪郭曲線を取得する。次いで、得られた各断面輪郭曲線に、これと対応する第1〜第10のポイントの位置を反映させて、断面輪郭曲線におけるナノファイバ層の周縁端の位置を特定する。次いで、得られた各断面輪郭曲線において、周縁端からナノファイバ層の内方に向かって漸次厚みが増加する領域であって、その幅が3mm以上の傾斜領域を特定する。当該幅は、断面輪郭曲線における、周縁端から頂点位置までの長さ、又は周縁端から後述する最大厚み部までの長さである。また、断面輪郭曲線において漸次厚みが増加するパターンとしては、例えば直線状に増加するパターンや、シグモイド曲線や指数関数曲線等のように曲線状に増加するパターン、多段的に増加するパターン等が挙げられる。そして、第1〜第10のポイントのうち、前記傾斜領域を有する断面輪郭曲線が確認されたポイントの数を計測する。計測した傾斜領域を有する断面輪郭曲線のポイント数を「n」としたとき、「(n/10)×100(%)」により、第1〜第10のポイントの合計10箇所に対する、傾斜領域を有する断面輪郭曲線の数の割合(%)を求めることができる。即ち、ナノファイバ層の周縁全長に対してグラデーション領域を何%有しているのかを判断することができる。例えば、第1〜第10のポイントのうち、5箇所で前記傾斜領域を有する断面輪郭曲線が確認された場合、測定対象のナノファイバ層は、該ナノファイバ層の周縁全長に対しグラデーション領域を50%有するものと判断することができる。
後述するグラデーション領域Gにおける最大厚み部15の厚みや傾斜角度等といった、グラデーション領域G及び内方領域Mの各寸法は、特に断りがない限り、前記傾斜領域を有する各ポイントの断面輪郭曲線から求められる測定値の算術平均値とする。
ナノファイバ層11は、その周縁端17と、グラデーション領域Gの最大厚み部15との間隔W1(図2参照)が好ましくは3mm以上である。ナノファイバ層の周縁端17と、前記最大厚み部15との間隔W1は、周縁端17からグラデーション領域Gの厚みが最大となる部分までの離間距離であり、グラデーション領域Gの幅である。ナノファイバ層11において周縁端17と、前記最大厚み部15との間隔W1が位置によって異なっている場合、前記間隔W1の最小長さが3mm以上であることが好ましい。以下、ナノファイバ層11における周縁端17と、前記最大厚み部15との間隔W1を、グラデーション領域Gの幅W1ともいう。
ナノファイバ層11が後述する内方領域Mを有さず、その周縁端17から頂点位置まで厚みが漸次増加するグラデーション領域Gを有する場合、周縁端17と頂点位置との間隔が、グラデーション領域Gの幅W1となる。斯かる場合も、グラデーション領域Gの幅W1は3mm以上であることが好ましい。
本実施形態におけるナノファイバ層11は、前記グラデーション領域Gと、該グラデーション領域Gに囲まれた内方領域Mとを有している。ナノファイバ層11において、グラデーション領域Gの厚みが一方向に向かって漸次増加しているのに対し、内方領域Mは、その全体の厚みが実質的に一定であるか、または図2に示すように厚みが異なる部分を有している。即ち、内方領域Mは、グラデーション領域Gに囲まれた領域であって、その厚みが一方向に向かって変化していない領域である。したがって内方領域Mは、位置によって厚みが若干異なっていることが許容される。例えば平均厚みに対して±25%程度の範囲で厚みが異なることが許容される。内方領域Mが厚みの異なる部分を有している場合、内方領域Mの最大厚みと、グラデーション領域Gの最大厚み部15の厚みD3(図2参照)とは同じ厚みである。グラデーション領域Gの最大厚み部15とは、グラデーション領域Gの厚みが最大となる部分であり、グラデーション領域Gの内方端、即ち内方領域M側の端である。内方領域Mは、ナノファイバ層11の頂点位置における厚みに対する厚みが、好ましくは80%以上の領域、より好ましくは90%以上の領域である。内方領域Mは、前述の断面輪郭曲線に基づいて特定できる。ナノファイバ層11は、本実施形態のようにグラデーション領域Gと内方領域Mとを有するものであってもよく、内方領域を有さずに周縁端と頂点位置との間にグラデーション領域のみを有するものであってもよい。
ナノファイバシート10の厚み方向に沿う断面において、内方領域Mは、その幅W2(図2参照)が200mm以下であり、好ましくは150mm以下である。内方領域Mの幅W2は、前記断面におけるグラデーション領域Gの最大厚み部15間の距離である。本実施形態におけるナノファイバシート10は、ナノファイバ層11に内方領域Mを有しているが、ナノファイバシート10は、内方領域Mを有していなくともよい。即ち、ナノファイバシート10は、前記断面におけるグラデーション領域Gの最大厚み部15間の距離W2が実質0mmであり、周縁端17から頂点位置に向かって厚み漸次増加するグラデーション領域のみを有するものであってもよい。この場合、グラデーション領域Gの内方端である最大厚み部が頂点位置となる。
本実施形態のナノファイバシート10は、基材層12を剥離し、ナノファイバ層11を、肌等の対象物に貼付して使用する。ナノファイバシート10は、上述したグラデーション領域Gを有することにより、肌等の対象物に貼付した状態において、ナノファイバ層11の外縁(周縁端)が目立たず、該ナノファイバ層11を視認し難いものとなって、肌に馴染んだ見た目となる。
上述したナノファイバシートの製造方法を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図4には、図1に示すナノファイバシートの製造方法に用いられる電界紡糸装置の一実施形態が模式的に示されている。図4に示す電界紡糸装置100は、原料液を吐出するノズル20と、該ノズル20との間に電界を生じさせる対向電極30と、原料液から生成されたナノファイバ(繊維F)を集積する捕集部40と、ノズル20を移動させる移動機構50とを具備している。原料液は、ナノファイバの原料樹脂の溶液又は分散液を意味する。
電界紡糸装置100は、ノズル20から原料樹脂の溶液又は分散液(以下、これらを総称して「原料液」ともいう。)を吐出して、電界紡糸によって細径の繊維Fを形成する。ノズル20は、後述する移動機構50に取り付けられている。ノズル20は、原料液供給部(不図示)から供給される原料液を吐出する部材であり、原料液供給路(不図示)を介して原料液供給部と連通している。原料液供給部は、圧力負荷装置等の公知の手段によって、原料液をノズル20に定量的に供給可能になされており、さらに原料液をノズル20に連続的に又は断続的に供給する。
本実施形態においてノズル20は、金属などの導電性材料から構成されており、電圧印加部32と電気的に接続されている。即ち、ノズル20は正又は負の電圧が印加できるようになっている。
対向電極30は、金属等の導電性材料から構成される部材であり、ノズル20と対向するように配されている。対向電極30は、接地されておりこれにより、ノズル20と対向電極30との間に電界を生じさせることができるようになっている。また、対向電極30は、直流高圧電源などの電圧印加部32と電気的に接続されて、電圧も印加できる。本実施形態において対向電極30は、後述する捕集部40でもある。
電界紡糸装置100では、ノズル20に正電圧を印加するか、対向電極30に負電圧を印加するか、又はこれらの両方を行って、ノズル20と対向電極30との間に電位差を生じさせる。ノズル20に負電圧を印加するか、対向電極30に正電圧を印加するか、又はこれらの両方を行って、ノズル20と対向電極30との間に電位差を生じさせることも好ましい。ノズル20と対向電極30との間に加わる電位差、即ちノズル20と捕集部40との間に加わる電位差は、原料液の帯電性を向上させる観点から、1kV以上、特に10kV以上とすることが好ましく、放電を防止する観点から、100kV以下、特に50kV以下とすることが好ましい
捕集部40は、原料液を電気的に延伸して生成した繊維F(ナノファイバ)を集積する部材である。本実施形態において捕集部40は、ノズル20と対向するように配されている。また、前記捕集部40は、前述の対向電極30であり、接地又は電圧印加部32と電気的に接続されて、電圧が印加できるようになっている。即ち、本実施形態においてはノズル20と捕集部40との間に電界を生じさせることができるようになっている。
移動機構50は、ノズル20を平面方向に移動可能に構成されている。本実施形態において移動機構50は、ノズル20を保持するスライダ51と、X軸方向及びY軸方向それぞれに沿うレール53,55とを備え、該レール55上を該レール53が移動し、該レール53上をスライダ51が移動する。移動機構50は、制御部(不図示)と電気的に接続されており、制御部に入力された移動軌道のデータに基づき、あるいは操作者がコントローラーを介して制御部に入力した操作信号に基づき、ノズル20を移動させながら、繊維Fを捕集部40上に堆積させることが可能になされている。制御部には、後述する軌道計算工程で決定された移動軌道のデータが入力されているか、又は入力可能になされている。制御部への移動軌道のデータの入力は、USBメモリ等の記録媒体を介して入力可能であってもよいし、インターネットやイントラネット等のネットワークを介して入力可能であってもよい。
本実施形態において電界紡糸装置100は、非導電性材料から構成される台60を具備し、該台60の上には対向電極30である捕集部40が載置されている。移動機構50は、台60が配された範囲内において、ノズル20を平面方向に移動可能になされている。
本実施形態のナノファイバシートの製造方法では、上述した構成を具備する電界紡糸装置100を用いて、電界紡糸法により原料液から生じた繊維Fを捕集部上に堆積させる。電界ノズル20と対向電極30との間に電界を生じさせた状態下で、ノズル20に原料液を供給し、該ノズルから原料液を吐出させる。この際、電界紡糸装置100は、移動機構50によってノズル20を移動させながら、原料液を吐出させる。吐出された原料液は、電気的斥力、原料液に含まれる溶媒の蒸発を繰り返して、繊維Fを形成しながら対向電極30に引き寄せられるように紡糸される。繊維Fは対向電極30でもある捕集部40に堆積し、ナノファイバ(繊維F)の堆積体を形成する。この堆積体がナノファイバ層11となる。
本実施形態におけるナノファイバシートの製造方法では、上述したようにノズル20を移動させながら、ナノファイバ(繊維F)を捕集部40上に堆積させる。例えば、ナノファイバシート10の平面視形状に沿ってノズル20を移動させると、図5(a)に示すように、該平面視形状に沿った線状のナノファイバの堆積体からなる第1堆積領域e1が形成される。ノズルから吐出されるナノファイバは、ノズル20の吐出孔の外縁側よりも中心側に多く堆積する傾向があるところ、ノズル20の移動軌道に沿って形成されるナノファイバの堆積体は、その外縁部分に、外縁から中心に向かって漸次厚みが増加する領域が形成される〔図5(b)参照〕。即ち、本実施形態のナノファイバシートの製造方法により、グラデーション領域を有するナノファイバシートを製造することができる。
また、ノズル20を移動させながらナノファイバの堆積体を形成すると、ノズル20の移動軌道に沿ってナノファイバが堆積するため、該ナノファイバの堆積体の平面視形状は、ノズル20の移動軌跡に沿った形状となる。これにより、所望の平面視形状のナノファイバ層11を容易に形成することができる。
本実施形態においては、ノズル20を移動させながら、繊維Fを捕集部40上に堆積させていたが、本発明のナノファイバシートの製造方法は、繊維Fを堆積させる捕集部40を移動させてもよく、ノズル20及び捕集部40の双方を移動させてもよい。ノズル20及び捕集部40の双方を移動させながらナノファイバ層を形成することには、ナノファイバ層の形状を任意の形状に調整し易くなるという利点がある。このように、本発明のナノファイバシートの製造方法は、ノズル20及び捕集部40の少なくとも一方を移動させながら、繊維Fを捕集部40上に堆積させる。
捕集部40を移動させる移動機構としては、例えば捕集部40のナノファイバが堆積される面とは反対側の面を保持するステージと、該ステージを平面方向に移動させる複数のモーターを備えたもの等が挙げられる。
本発明におけるナノファイバシートの製造方法は、ノズル20及び捕集部40の少なくとも一方を移動させながら、ナノファイバの堆積体を形成するところ、該ノズル20からの原料液の吐出速度や、ノズル20及び捕集部40の少なくとも一方の移動速度等の要因が、堆積するナノファイバの厚みに影響を与える。そこで本実施形態におけるナノファイバシートの製造方法は、ノズル20の移動軌道を決定する軌道計算工程と、該移動軌道に基づきナノファイバを堆積させる堆積工程とを備える。これにより、ナノファイバ層の厚みを精度良く制御することができ、グラデーション領域Gをより確実に形成し得る。
前記軌道計算工程では、ナノファイバの堆積分布に関する要因と、堆積する該ナノファイバの厚みとの相関関係に基づいて、ノズル20の移動軌道を決定する。前記移動軌道は、所定のナノファイバシートを形成し得るものである。所定のナノファイバシートとは、グラデーション領域Gを有し、且つ所定の平面視形状及び所定の厚みを有するものである。所定の厚みは、製品仕様等で決定される設定値であり、ナノファイバ層11の最低厚みでもよく、最大厚みであってもよく、グラデーション領域Gの最低厚みや最大厚みであってもよい。皺、シミを隠蔽することができ、肌に浸透させる美容液等の機能剤を浸透し易くする観点から、ナノファイバシートが内方領域Mを有する場合は該内方領域Mの最低厚みD5を、ナノファイバシートが内方領域Mを有しない場合はグラデーション領域Gの最大厚み部15の厚みD3を、ナノファイバシートの所定の厚みとして設定することが好ましい。本実施形態では、軌道計算工程においてノズル20の移動軌道を決定するが、軌道計算工程では、ノズル20及び捕集部40の何れか一方又は双方の移動軌道を決定する。
ナノファイバの堆積分布は、捕集部40上に堆積されるナノファイバの堆積量の分布である。ナノファイバの堆積分布に関する要因としては、例えばノズル20若しくは捕集部40の移動速度、原料液の吐出速度、ノズル20と対向電極30との間の電位差、ノズル20と捕集部40との間の距離、ノズル20の内径、及びノズルの材質等が挙げられ、これらから選ばれる1種又は2種以上を組み合わせることができる。上述した各要因は、その数値を調整することにより、ナノファイバ層の厚みを増減させることができる。ナノファイバの堆積分布に関する要因において、ノズルの材質は、ノズル20の帯電量に影響を与える要因である。
ナノファイバの堆積分布に関する要因として、ノズル20の移動速度(以下、要因aともいう)と、原料液の吐出速度(以下、要因bともいう)と、ノズル20と捕集部40との間の距離(以下、要因cともいう)とを採用した場合を例に、軌道計算工程を説明する。ノズル20の移動速度(要因a)や原料液の吐出速度(要因b)によって、単位面積当たりのナノファイバの堆積量が増減し、これに伴い堆積するナノファイバの厚みが増減する。また、ノズル20と捕集部40との間の距離(要因c)によって、単位時間当たりのナノファイバの堆積体の面積が増減する。このように、前記要因a〜cは、ナノファイバの堆積分布を変化させる要因となる。
軌道計算工程では、前記要因a〜cと、ナノファイバの堆積体の厚みとの相関関係を求める。前記相関関係は、ナノファイバの堆積分布に関する要因を所定の値に設定し、ノズル20を所定の軌道上に移動させながらナノファイバの試験体を作成し、該試験体の厚み分布を測定することにより求められる。例えば、前記要因a〜cを所定の値に設定した上で、図5に示すように、一方向にノズル20を移動させながら、ナノファイバの試験体を作成し、該試験体について、その延在方向とは直交する方向の断面における厚みのデータ(以下、模擬データともいう)を取得する。このような模擬データは、例えば、レーザー式三次元形状測定システム(コムス社製、測定システムEMS2002AD−3D、及びキーエンス社製 変位センサLK−2000の組合せ)を用いた測定によって得られる。この模擬データと、設定されるナノファイバ層11の平面視形状とに基づき、形成し得るナノファイバの厚みをシミュレートして、移動軌道を決定する。模擬データとしては、前記要因a〜cの設定値を同一条件としたデータか、又はナノファイバの堆積分布に関する要因の設定値を異ならせた複数のデータを用いることができる。
前記軌道計算工程では、ナノファイバの堆積分布に関する要因(例えば前記要因a〜c)の設定値を調整するか、移動軌道上にナノファイバの堆積位置が重複する部分、又は重複しない部分を設けることで、ナノファイバシートの所定厚みが設定値となるように計算する。また、計算される移動軌道は、製品仕様等で設定されるナノファイバ層11の平面視形状に沿った軌道となるが、このような軌道は、例えば、SELジェネレーター(IAI株式会社製)等のソフトウェアを用いて設定することができる。移動軌道計算工程は、設定されるナノファイバ層11の平面視形状に沿っており、且つナノファイバの厚みが所定の数値となる条件を満たす移動軌道が得られるまで、移動軌道の計算、即ち移動軌道のシミュレートを繰り返す。
堆積工程では、前記軌道計算工程で決定された移動軌道に基づき、ノズル20及び捕集部40の少なくとも一方を移動させながら、ナノファイバを堆積させる。本実施形態の電界紡糸装置100では、軌道計算工程で決定された移動軌道のデータを制御部に送り、該制御部から送られる操作信号に基づき、移動機構50を作動させて、ノズル20を前記移動軌道に沿って移動させる。このように、ノズル20及び捕集部40の少なくとも一方を移動軌道に沿って移動させることにより、移動軌道の設定でシミュレートされた平面視形状及び厚みを有するナノファイバ層を形成することができる。
図2に示すナノファイバシート10のように、ナノファイバシートが内方領域Mを有している場合、軌道計算工程においては、内方領域Mの最低厚みが、所定の設定値以上となるように移動軌道を計算することが好ましい。内方領域Mの最低厚みD5は、該内方領域Mにおいて最も厚みが小さい部分の厚みである(図2参照)。この場合、軌道計算工程では、内方領域Mの最低厚みが所望の設定値となり、且つナノファイバ層11が所望の平面視形状となる移動軌道を決定する。
設定されるナノファイバ層11の平面視形状や面積に応じて、ノズル20及び捕集部40の少なくとも一方の移動軌道上に、ナノファイバの堆積位置が重複する部分が設けられることがある。この場合、ナノファイバ層11の厚みの精度を向上させる観点から、前記堆積工程は、以下の第1工程及び第2工程を具備することが好ましい。第1工程は、ナノファイバの堆積部が、帯状の第1堆積領域e1を形成するように第1の移動軌道r1に沿って移動させる。第2工程は、ノズル20及び捕集部40の何れか一方を、ナノファイバの堆積部が、第1堆積領域e1又は先に形成された帯状堆積領域と幅方向の一部どうしが連続的に重複する第2帯状堆積領域e2を形成するように第2の移動軌道に沿って移動させる〔図6(a)参照〕。ナノファイバ層11の平面視形状や面積に応じて、堆積工程は第2工程を単一又は複数具備する。
前記の第1工程及び第2工程を、本実施形態のナノファイバシートの製造方法を例に説明する。本実施形態のナノファイバシートの製造方法は、前記の第1工程及び第2工程を具備する。本実施形態の第1工程では、ナノファイバが堆積した帯状の第1堆積領域e1が形成される。第1堆積領域e1は、ノズル20及び捕集部40の少なくとも一方を、第1の移動軌道に沿って移動させることによって形成される。第1堆積領域や、後述する第2帯状堆積領域は、移動軌道に沿った軌道方向Xと、該軌道方向と直交する幅方向Yとを有している。本実施形態において第1堆積領域e1は、ナノファイバ層11の周縁となる部分を形成する。また、第1の移動軌道r1は、後述する複数の第2の移動軌道r2を囲むように位置する。
本実施形態の第2工程では、ナノファイバが堆積した第2帯状堆積領域e2が形成される〔図6(a)参照〕。第2帯状堆積領域e2は、ノズル20及び捕集部40の少なくとも一方を、第2の移動軌道r2に沿って移動させることによって形成される。第2帯状堆積領域e2は、その幅方向Yにおいて第1堆積領域e1と部分的且つ移動軌道に沿って連続的に重なって形成される。本実施形態において、第2帯状堆積領域e2は、第1堆積領域e1に囲まれた領域内に形成され、該第2帯状堆積領域e2の幅方向Yの周縁側の部分が、その軌道方向Xにおいて第1堆積領域e1の内側の部分と連続的に重なっている〔図6(a)及び(b)参照〕。また、本実施形態では、第2工程を複数具備しており、各第2工程で用いられる第2の移動軌道r2として、第1の移動軌道r1に囲まれた内方側軌道s1〜s3(図7参照)を移動軌道計算工程にて計算する。これら内方側軌道s1〜s3は、それぞれ第2帯状堆積領域を形成する移動軌道であり、これら内方側軌道に沿って、ノズル20及び捕集部40の何れか一方を移動させることにより、第1堆積領域に囲まれた第1〜3の内方堆積領域を形成する。以下、堆積領域と他の堆積領域とが重複する領域を重複領域E〔図6(b)参照〕ともいう。重複領域Eの形態としては、第1堆積領域e1と第2帯状堆積領域e2とが重複する領域や、第2帯状堆積領域e2と他の帯状堆積領域とが重複する領域が挙げられる。
グラデーション領域Gをより確実に形成する観点から、重複領域Eは、図6(b)に示すように、幅方向Yにおいて、堆積領域の中点f1と他の堆積領域が配される側の外縁f2との間に位置していることが好ましい。重複領域Eは、幅方向Yにおいて、重複領域Eの範囲内に、堆積領域における中点f1と、第2帯状堆積領域e2の中点f3が位置していることも好ましい。堆積領域における中点f1,f3とは、帯状堆積領域の幅方向Yの長さを二等分する位置である。図6(b)では、重複領域Eが、幅方向Yにおいて、第1堆積領域e1における中点f1と第2帯状堆積領域e2が配される側の外縁f2との間に位置している。また、上記と同様の観点から、前記の移動軌道計算工程において、第2帯状堆積領域が、第1堆積領域における中点f1と第2帯状堆積領域が配される側の外縁f2との間に部分的に重なるように、あるいは重複領域Eの範囲内に、堆積領域における中点f1と、第2帯状堆積領域e2の中点f3とが配されるように、第2の移動軌道r2を計算することが好ましい。斯かる方法で第2の移動軌道r2の計算を行うことを、以下計算J1ともいう。堆積工程が第2工程を複数具備する場合、各第2工程で用いられる第2の移動軌道r2は、前記軌道計算工程において前記計算J1により決定されることが好ましい。
ナノファイバ層11は、上述したようにその外縁部分にグラデーション領域Gを有するところ、幅方向において第1堆積領域及び第2帯状堆積領域の外縁部分どうしが重なった重複領域Eは、該重複領域Eの幅W10が大きいほど、該重複領域Eの厚みD10が増加し、重複領域Eの幅W10が小さいほど該重複領域Eの厚みD10が減少する。即ち、重複領域Eの幅W10を調整することで、内方領域Mの最低厚みD5を調整することができる。この場合、前記の移動軌道計算工程において、重複領域Eの厚みD10が、ナノファイバ層11の設計に基づき、所定の厚み以上となるように、例えば設計上の内方領域Mの最低厚みD5以上となるように、重複領域Eの幅W10を調整して第2の移動軌道r2を計算することが好ましい。斯かる方法で第2の移動軌道r2の計算を行うことを、以下計算J2ともいう。堆積工程が第2工程を複数具備する場合、各第2工程で用いられる第2の移動軌道r2は、前記軌道計算工程において前記計算J2により決定されることが好ましい。
上述した計算J1及び計算J2は、ナノファイバの堆積部どうしの重なりの程度に基づき、第1の移動軌道r1と第2の移動軌道r2との離間距離を計算する〔図6(b)参照〕。
内方領域Mの最低厚みD5をより確実に確保すると共に、ナノファイバ層を貼付することによるシミ・皺等の隠蔽効果を向上させる観点から、重複領域Eの寸法は以下の範囲であることが好ましい。
幅方向Yにおける重複領域の厚みD10〔図6(b)参照〕は、内方領域Mの最低厚みD5に対して好ましくは100%以上、より好ましくは125%以上であり、また好ましくは250%以下、より好ましくは200%以下であり、また好ましくは100%以上250%以下であり、より好ましくは125%以上200%以下である。幅方向Yにおける重複領域Eの厚みD10は、該重複領域Eにおける最低厚みである。
重複領域Eの厚みD10〔図6(b)参照〕は、好ましくは0.2μm以上、より好ましくは1μm以上であり、また好ましくは100μm以下、より好ましくは10μm以下であり、また好ましくは0.2μm以上100μm以下であり、より好ましくは1μm以上10μm以下である。
重複領域の幅W10〔図6(b)参照〕は、幅方向Yにおける堆積領域の中点と他の堆積領域の中点との離間距離W11に対して好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上であり、また好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下であり、また好ましくは1%以上90%以下であり、より好ましくは5%以上80%以下である。
幅方向Yにおける重複領域の幅W10〔図6(b)参照〕は、好ましくは1mm以上、より好ましくは4mm以上であり、また好ましくは80mm以下、より好ましくは60mm以下であり、また好ましくは1mm以上80mm以下であり、より好ましくは4mm以上60mm以下である。
前述した重複領域Eの寸法(幅及び厚み)は、レーザー式三次元形状測定システム(コムス社製、測定システムEMS2002AD−3D、及びキーエンス社製 変位センサLK−2000の組合せ)を用いた測定によって得られた前記の模擬データを用いることで設定可能である。例えば、2つの堆積領域を、幅方向における所定の幅W10に重ね合わせることを想定した場合、重ね合わせる前の2つの堆積領域を幅方向Yに走査しながら計測した堆積分布データに基づいて、重複領域の厚みD10を計算することができる。この計算に、表計算ソフトを用いてもよい。
本実施形態では、移動軌道計算工程において、内方側軌道s1〜s3が、外側に隣接する移動軌道に囲まれた範囲内に形成されるように、該内方側軌道s1〜s3を計算する。即ち、本実施形態においては、第1の移動軌道r1に囲まれた範囲内で第1内方側軌道s1を計算し、第1内方側軌道s1に囲まれた範囲内で第2内方側軌道s2を計算し、第2内方側軌道s2に囲まれた範囲内で第3内方側軌道s3を計算する(図7参照)。本実施形態の移動軌道計算工程は、前述した計算J1及びJ2、並びに下記に説明する計算J3によって、内方側軌道s1〜s3を計算する。
内方側軌道は、その配置が第1堆積領域e1の内方側になればなるほど、ナノファイバ層11の平面視形状の相似形をなす周回状の軌道を形成し難くなる。これに対し、本実施形態では、第3内方側軌道s3を一方向に延びる線状の軌道としている。このように、移動軌道計算工程は、移動軌道を設定する範囲の面積や形状に応じて、周回状の軌道、又は周回状とならない軌道を計算することが好ましい。斯かる方法で第2の移動軌道r2、即ち内方側軌道の計算を行うことを、以下計算J3ともいう。
本実施形態では、前記計算J3を以下のようにして行う。
先に決定された移動軌道に囲まれた領域を決定する。先に決定された移動軌道を決定軌道hともいい、該決定軌道hに囲まれた領域を決定軌道内領域Hともいう。計算J3では、決定軌道内領域H内にナノファイバ層11の平面視形状の略相似形となる周回状の移動軌道(以下、相似軌道kともいう)を想定し得るか否かを判断する。相似軌道kは、決定軌道内領域Hを形成する決定軌道hに対応するものであるため、相似軌道kを形成する軌道線が決定軌道内領域H内に納まる場合は、当該相似軌道kを想定し得ると判断する。即ち、決定軌道hと相似軌道kとの相互に対応し合う部分が隣り合うように、相似軌道kが配されるか否かを判断する。
計算J3は、特に、決定軌道内領域Hにおける、決定軌道hの一部h1,h2どうしが対向する部分H1にて、決定軌道の一部h1と該一部h1に対応する相似軌道kの一部k1とが隣り合うか否かを判断すると共に、前記決定軌道hの一部h1と対向する決定軌道hの他の一部h2と、該他の一部h2に対応する相似軌道kの一部k2とが隣り合うか否かを判断する。以下、前記対向する部分H1において、決定軌道の一部を部位h1、該部位h1に対向する決定軌道の他の一部を部位h2ともいい、部位h1に対応する相似軌道の一部を部位k1、部位h2に対応する相似軌道の他の一部を部位k2ともいう〔図8(a)〜(c)参照〕。
決定軌道の一部h1,h2どうしが対向する部分H1における、移動軌道の決定は、例えば図9に示すような処理により行われる。図9に示すフローでは、下記の工程(1)〜(3)が行われる。
工程(1)P1では、下記の条件(1)を満たすか否かを判定する。条件(1)を満たす場合、次の処理として工程(2)P2が行われる。条件(1)を満たさない場合、決定軌道hの一部h1,h2どうしが対向する部分H1に相似軌道を想定できないと判断する〔図8(a)参照〕。また、条件(1)を満たさない場合、後述する、周回状とならない軌道も想定できないと判断する。
条件(1):相似軌道kの一部k1が決定軌道の一部h2よりも内方側に配置され、且つ相似軌道の他の一部k2が決定軌道の他の一部h1よりも内方側に配置される。
工程(2)P2では、下記の条件(2)を満たすか否かを判定する。条件(2)を満たす場合、決定軌道の一部h1,h2どうしが対向する部分H1に相似軌道を想定できると判断して〔図8(b)参照〕、該相似軌道を決定する(図9に示すP2-1)。条件(2)を満たさない場合、次の処理として工程(3)P3が行われる。
条件(2):相似軌道の一部k1と、決定軌道の一部h1とが隣り合って配置され、且つ相似軌道の他の一部k2と、決定軌道の他の一部h2とが隣り合って配置される。
前記条件(2)を満たさない態様としては、相似軌道の一部k1と、決定軌道の他の一部h2とが隣り合って配置され、且つ相似軌道の他の一部k2と、決定軌道の一部h1とが隣り合って配置されるものが挙げられる〔図8(c)参照〕。
前記条件(2)を満たさない場合、工程(3)P3では、幅方向Yにおいて相似軌道の一部k1と他の一部k2との離間距離を2等分する中央線CL1を移動軌道として決定する。中央線CL1は、相似軌道と異なり、周回状とならない軌道である。
上記の計算J3は、ナノファイバシートの平面視形状及び厚みに応じて、繰り返し行ってもよい。ナノファイバ層の厚みの調整精度を向上させる観点から、計算J3は、決定軌道の一部h1,h2どうしが対向する部分H1毎に行うことが好ましい。
本実施形態のナノファイバシートの製造方法では、軌道計算工程において、第1〜第3内方側軌道s1,s2,s3を前述の計算J1、計算J2、及び計算J3により計算している。具体的には、計算J1及びJ2によって、隣り合う軌道の離間距離を計算し、該離間距離に基づいて、計算J3によって、第1〜第3内方側軌道s1,s2,s3を計算している。このように、ナノファイバシートの製造方法は、計算J1,計算J2、計算J3又はこれら2以上の組み合わせによって、移動軌道を決定してもよい。
本実施形態のナノファイバシートの製造方法は、軌道計算工程において複数の移動軌道を決定し、堆積工程においてこれら複数の移動軌道に沿ってノズル20を移動させる。本実施形態における移動軌道Obは、互いに略相似形となる複数の周回軌道を入れ子状に内包する軌道群と、該軌道群を構成する複数の軌道どうしを連結する渡り線軌道との組み合わせである(図7参照)。軌道群は、図7に示すように、最も外方に位置する第1の移動軌道と、該第1の移動軌道の内方に位置する第1〜第3内方側軌道s1〜s3からなり、これら複数の軌道どうしを渡り線軌道tが連結している。グラデーション領域Gをより精度良く形成させる観点から、移動軌道における軌道群を構成する複数の周回軌道は、渡り線軌道tに連結されていることが好ましい。渡り線軌道tは、複数の周回軌道を連結するものであるが、各周回軌道と交わるか、又は接するものであればよい。
渡り線軌道tは、軌道群を構成する複数の周回軌道どうしを連結する直線状の軌道であればよい。一方、電界紡糸装置100では、原料液の吐出速度をより制御する観点から、原料液の吐出を連続的に行うことが好ましい。この場合、ナノファイバ層の厚みが過度に大きくなることを抑制する観点から、渡り線軌道tは、軌道群を構成する各周回軌道の終点どうしを結んだ直線状の軌道であることが好ましい。即ち、軌道計算工程では、軌道群を構成する各周回軌道の終点どうしを結んだ直線状の軌道となるように渡り線軌道tを計算することが好ましい。
移動軌道Obを計算する場合、該移動軌道Obは、外側から内側に向かって移動する軌道であってもよく、内側から外側に向かって移動する軌道であってもよく、外側から内側に向かって移動する軌道と内側から外側に向かって移動する軌道との組み合わせであってもよい。また、移動軌道Obは、同一の移動方向で構成されてもよく、異なる移動方向の組み合わせで構成されてもよい。図7に示す移動軌道Obを計算する場合、外側から内側に向かって移動する形態としては、第1の移動軌道r1、第1内方側軌道s1、第2内方側軌道s2、及び第3内方側軌道s3の順で移動する形態が挙げられる。また、内側から外側に向かって移動する形態としては、第3内方側軌道s3、第2内方側軌道s2、第1内方側軌道s1、第1の移動軌道r1の順で移動する形態が挙げられる。
以下、移動軌道Obを構成する第1の移動軌道を単にr1、該第1の移動軌道の内方に位置する第1〜第3内方側軌道それぞれを単にs1〜s3ともいう。
ナノファイバ層11の厚みの精度を向上させる観点、及びグラデーション領域Gをより確実に形成する観点から、堆積工程において、ノズル及び捕集部の少なくとも一方が、軌道群を構成する軌道の少なくとも一部に沿った移動を繰り返しながら、ナノファイバを堆積させることが好ましい。例えば、図7に示す移動軌道Obの場合、複数の周回軌道r1、s1〜s3のうちの何れかに沿って移動する動作を、ノズル及び捕集部の少なくとも一方が複数回繰り返す。この場合、同一の軌道に沿った移動を複数回繰り返した後に、別の軌道に沿った移動を行ってもよく、各軌道に沿った移動を1回ずつ行う動作を複数回繰り返し行ってもよい。前記の「同一の軌道」は、r1、s1、s2の周回軌道であってもよく、s3の周回状とならない軌道であってもよい。図7に示す移動軌道Obの場合、r1を1周した後にs1を2周繰り返し、s2を3周繰り返し、s3を3回繰り返してもよい。また、r1からs3までの各軌道を各1回で移動した後に、s1からs3までの各軌道を各1回で移動し、更にs2とs3の各軌道を各1回で移動してもよい。
上記と同様の観点から、軌道計算工程は、ナノファイバ層の厚みが所定の設定値となるように、例えば設計上の内方領域Mの最低厚みD5以上となるように、ノズル及び捕集部の少なくとも一方が同一の軌道に沿った移動を繰り返す、繰り返し回数を計算することが好ましい。斯かる計算を、以下計算J4ともいう。計算J4は、ナノファイバ層11における所定の位置における厚みが、設定された厚みとなるように、例えば設計上の内方領域Mの最低厚みD5以上となるように、各移動軌道に対し、軌道に沿った移動の繰り返し回数を算出する。計算J4は、前述した計算J2において計算される、重複領域Eの厚みの上限が、設計上の所定の厚み以上とならない場合に有効である。
堆積工程では、前述したように、ノズル及び捕集部の少なくとも一方が、同一の周回軌道に沿った移動を繰り返してもよいが、互いに略相似形となる複数の周回軌道に対し、該軌道に沿った移動を行ってもよい。
本実施形態において移動軌道Obは、軌道群と渡り線との組み合わせであったが、図10に示すように、移動軌道Ob1は一筆書き可能な線状であってもよい。一筆書き可能な線状は、連続した1本の線からなり、該線が重複する部位を有しないものであることを意味する。斯かる構成により、原料液の吐出を連続的に行うことができ、原料液の吐出をより制御することができる。一筆書き可能な線状である移動軌道としては、図10に示す、渦巻き状のものが挙げられる。
前記の一筆書き可能な線状の移動軌道Ob1は、前述した計算J1、計算J2、及び計算J3を用いた移動軌道計算工程によって求められる。図10に示すような渦巻き状の移動軌道は、最も外方に位置する軌道線が第1の移動軌道r1となり、該軌道線よりも内方に位置する軌道線が第1〜第3内方側軌道s1〜s3となる。
一筆書き可能な線状の移動軌道Ob1を計算する場合、該移動軌道Ob1は、外側から内側に向かって移動する軌道であってもよく、内側から外側に向かって移動する軌道であってもよい。図10に示す移動軌道Ob1の端点である、第1の移動軌道r1側の端点をi1、及び第3内方側軌道s3側の端点をi2としたとき、当該移動軌道Ob1は、i1が始点、及びi2が終点となるように移動する軌道であってもよく、i2が始点、及びi1が終点となるように移動する軌道であってもよい。
ナノファイバ層11の厚みの精度を向上させる観点やグラデーション領域Gをより確実に形成する観点から、堆積工程において、ノズル及び捕集部の少なくとも一方が、一筆書き可能な線状の移動軌道Ob1に沿った移動を繰り返すことが好ましい。例えば、ノズル及び捕集部の少なくとも一方が、図10に示す移動軌道Ob1に沿った移動をする場合、端点i1を始点に、第1の移動軌道r1から第3内方側軌道s3側の端点i2まで移動した後に、第1内方側軌道s1から第2内方側軌道s2を介して第3内方側軌道s3側の端点i2まで移動し、更に第2内方側軌道s2から第3内方側軌道s3側の端点i2までを移動してもよい。
ノズル20の吐出孔から吐出されるナノファイバの吐出面積のぶれを抑制し、グラデーション領域Gを精度良く形成させる観点から、ノズル20及び捕集部40の何れか一方又は双方を一定速度で移動させることが好ましい。上記と同様の観点から、ノズル20及び捕集部40の何れか一方の移動速度は、好ましくは5mm/秒以上、より好ましくは50mm/秒以上であり、また好ましくは1000mm/秒以下、より好ましくは150mm/秒以下であり、また好ましくは5mm/秒以上1000mm/秒以下であり、より好ましくは50mm/秒以上150mm/秒以下である。
本実施形態のナノファイバシート10の好ましい構成について以下に詳述する。
本実施形態のナノファイバシート10は、ナノファイバ層11を、肌等の対象物に貼付して使用する。ナノファイバ層の肌への貼付性を向上させる観点から、ナノファイバ層11の平面視形状が、曲率が異なる複数の曲線部分を輪郭に含む形状、複数の直線部分を輪郭に含む形状、又は該曲線部分と該直線部分とを輪郭に含む形状であることが好ましい。例えば、曲率が異なる複数の曲線部分を輪郭に含む形状としては、平面視形状が、楕円形等の曲率が複数種類の曲線部分を含む形状や、曲率の異なる複数の曲線部分が凹凸を形成する形状(図1参照)等が挙げられる。また、複数の直線部分を輪郭に含む形状としては、平面視形状が矩形、三角形、四角形、六角形等の多角形状や、矢印形、星形等が挙げられる。さらに、曲線部分と直線部分とを輪郭に含む形状としては、半円、扇形、涙形、ハート形等が挙げられる。このような形状のナノファイバ層11は、顔等のような複雑な形状に追従し易く、貼付し易い。
前記貼付性をより向上させる観点から、平面視におけるナノファイバ層11の輪郭線は、該輪郭線の全長のうちの半分超の長さの部分が曲線によって構成されていることが好ましい。この場合、対象物の表面に対するナノファイバ層11の追従性をより向上させる観点から、平面視におけるナノファイバ層11の輪郭線は、該輪郭線の全長のうち、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上の長さの部分が曲線によって構成されており、該輪郭線の全長が曲線によって構成されていることがさらに一層好ましい。前記平面視におけるナノファイバ層11の輪郭線は、前述の〔周縁端の厚みの測定方法〕における平面輪郭曲線により特定することができる。
前記周縁端17の厚みD1(図2参照)は、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、また10μm以下、好ましくは9μm以下、より好ましくは8μm以下であり、好ましくは0.3μm以上9μm以下、より好ましくは0.5μm以上8μm以下である。ナノファイバ層11の周縁端17の厚みD1は、前述の〔ナノファイバ層の三次元形状の測定方法〕により測定される。
本実施形態において内方領域Mは、図2に示すように、位置によって厚みが異なっている。図2に示すナノファイバシート10は、内方領域Mの第1面S1側に深さがそれぞれ異なる複数の凹部18を有している。内方領域Mの凹部18における厚みD5(図2参照)は、グラデーション領域Gの最大厚み部15の厚みD3より小さい。ナノファイバ層11の密着性を向上させる観点から、内方領域Mの凹部18における厚みD5(図2参照)は、前記最大厚み部15の厚みD3に対して、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上であり、また好ましくは100%以下、より好ましくは90%以下であり、また好ましくは50%以上100%以下、より好ましくは60%以上90%以下である。内方領域Mの凹部18における厚みD5が凹部18毎に異なる場合、内方領域Mの凹部18における厚みD5の最小値が上記の範囲内であることが好ましい。
また、ナノファイバ層11のシミや皺の隠蔽性を向上させる観点から、内方領域Mの凹部18における厚みD5(図2参照)が、好ましくは5.1μm以上、より好ましくは10μm以上、好ましくは500μm以下、より好ましくは400μm以下であり、また、好ましくは5.1μm以上500μm以下、より好ましくは10μm以上400μm以下である。上記と同様の観点から、グラデーション領域Gにおける最大厚み部15の厚みD3は、好ましくは5.1μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また好ましくは500μm以下、より好ましくは400μm以下であり、また好ましくは5.1μm以上500μm以下、より好ましくは10μm以上400μm以下である。
上述したようにグラデーション領域Gは、ナノファイバシート10の厚み方向Zに沿う断面において傾斜している。肌に貼付したナノファイバ層11をより目立ち難くする観点から、グラデーション領域Gの傾斜角度θ(図3参照)は、好ましくは0.001°以上、より好ましくは0.002°以上であり、また好ましくは10°以下、より好ましくは8°以下であり、また好ましくは0.001°以上10°以下、より好ましくは0.002°以上8°以下である。グラデーション領域Gの傾斜角度θは、ナノファイバシート10の厚み方向Zに沿う断面において、ナノファイバ層の周縁端17及びグラデーション領域Gの最大厚み部15を結ぶ仮想直線Lpの水平面に対する傾斜角度である(図3参照)。前記周縁端17及び前記最大厚み部15は、前記〔グラデーション領域Gの幅W1の測定方法〕により特定することができる。
肌のシミや皺の隠蔽効果を向上させ、且つナノファイバ層をより目立たなくさせる観点から、グラデーション領域Gにおける最大厚み部15の厚みD3(図2参照)の周縁端17の厚みD1に対する比率は、50以上であることが好ましく、100以上であることが更に好ましい。また、5000以下であることが好ましく、4000以下であることが更に好ましい。例えば50以上5000以下であることが好ましく、100以上4000以下であることが更に好ましい。
上記と同様の観点から、グラデーション領域Gにおける周縁端17と最大厚み部15との厚みの差D2(図2参照)は、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また好ましくは500μm以下、より好ましくは400μm以下であり、また好ましくは5μm以上500μm以下、より好ましくは10μm以上400μm以下である。
本実施形態のナノファイバシート10は、図1に示すように、基材層12と、ナノファイバを含むナノファイバ層11とを備えている。ナノファイバ層11の一方の面には基材層12が配置されている。このように基材層12を備えるナノファイバシート10は、捕集部40上に基材層12を配し、該基材層12上にナノファイバを堆積させることで製造することができる。また、ナノファイバを堆積させた後、ナノファイバシートを所望の形状や大きさにする観点から、ナノファイバシートの製造方法は、得られたナノファイバシート10、基材層12、又はこれら両方を切断する切断工程を具備することが好ましい。切断工程には、例えば、ロールの周面に、周方向に延びる切断刃が形成されたカッターロールと、該カッターロールの刃を受けるアンビルロールとを備えた切断装置や、超音波カッター等の公知の切断装置を用いることができる。
ノズル20の吐出孔の横断面形状は、特に制限されず、円状の平面又は鋭角部等の任意の形状とすることができる。ノズル20を円柱状とした場合、ナノファイバの堆積を効率的に行う観点から、ノズル20の先端における直径、即ち吐出孔の直径は、0.1mm以上20mm以下が好ましく、0.1mm以上15mm以下であることが好ましい。
原料液供給路の供給端は、ノズル20の近傍に配置されていることが好ましく、例えばノズル20から10mm以内の範囲に供給端を配置することが好ましい。
ナノファイバシート10の形成材料について説明する。
ナノファイバ層11は、繊維形成可能な高分子化合物を含むナノファイバが堆積することにより形成される。ナノファイバ層11を水不溶性にする観点から、ナノファイバ層11は、繊維形成可能な高分子化合物として、水不溶性高分子化合物のナノファイバを含むことが好ましい。斯かる構成により、ナノファイバ層に化粧料に用いられる水溶性成分を含ませても、該ナノファイバ層11の保形性を維持することができる。水不溶性高分子化合物としては、例えばナノファイバ形成後に不溶化処理できる完全鹸化ポリビニルアルコール、架橋剤と併用することでナノファイバ形成後に架橋処理できる部分鹸化ポリビニルアルコール、ポリ(N−プロパノイルエチレンイミン)グラフト−ジメチルシロキサン/γ−アミノプロピルメチルシロキサン共重合体等のオキサゾリン変性シリコーン、ツエイン(とうもろこし蛋白質の主要成分)、あるいはポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリル酸樹脂等のアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。これらの水不溶性高分子化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ナノファイバ層11は、水溶性高分子化合物のナノファイバを含んでいてもよい。水溶性高分子化合物としては、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ポリ−γ−グルタミン酸、変性コーンスターチ、β−グルカン、グルコオリゴ糖、ヘパリン、ケラト硫酸等のムコ多糖、セルロース、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、ガラクツロン、サイリウムシードガム、タマリンド種子ガム、アラビアガム、トラガントガム、大豆水溶性多糖、アルギン酸、カラギーナン、ラミナラン、寒天(アガロース)、フコイダン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の天然高分子、部分鹸化ポリビニルアルコール(架橋剤と併用しない場合)、低鹸化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキサイド、水溶性ナイロン、水溶性ポリエステル、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子などが挙げられる。これらの水溶性高分子化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ナノファイバ層11は、上述した水不溶性高分子化合物及び水溶性高分子化合物以外の他の高分子化合物を含んでいてもよい。他の高分子化合物としては一般に、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフラテート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ナイロン、アラミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等が挙げられる。これらの高分子化合物は単独で又は複数混合して用いることができる。
ナノファイバ層11を水不溶性にする場合、ナノファイバ層11に含まれる水不溶性高分子化合物は該ナノファイバ層11の全質量に対して好ましくは50質量%超、より好ましくは80質量%以上であり、ナノファイバ層11に含まれる水溶性高分子化合物は該ナノファイバ層11の全質量に対して好ましくは50質量%未満、より好ましくは20質量%以下である。
ナノファイバ層11は、ナノファイバのみから構成されていてもよく、あるいはナノファイバに加えて他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、ナノファイバ以外の物質であって、化粧料に用いられる成分を用いることができる。例えば、薬用成分、保湿成分、各種ビタミン、香料、紫外線防御剤、界面活性剤、着色顔料、体質顔料、染料、安定剤、防腐剤、及び酸化防止剤などが挙げられる。これらの成分は単独で使用することもでき、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ナノファイバ層11がナノファイバに加えて他の成分を含んでいる場合には、ナノファイバ層11に占めるナノファイバの含有量は、好ましくは40質量%以上95質量%以下、より好ましくは70質量%以上90質量%以下である。
ナノファイバ層11における他の成分の含有量は、好ましくは5質量%以上60質量%以下、より好ましくは10質量%以上30質量%以下である。
ナノファイバ層11が、他の成分を含むナノファイバによって形成されている場合、例えば、当該ナノファイバは、水溶性ナノファイバと他の成分とが水に完全に溶解した状態下で混合して調製することによって得られる。また、前記ナノファイバは、中空部を有するナノファイバを用いて、他の成分を乳化した乳化成分を該中空部に含有させることでも得られる。他の成分の反応の種類によっては、ナノファイバに単独で含有させてもよく、2種以上の成分を含有させてもよい。
肌のシミや皺を効果的に隠蔽する観点から、ナノファイバ層11の内方領域Mの坪量は0.01g/m以上、より好ましくは0.1g/m以上であり、また好ましくは50g/m以下、より好ましくは40g/m以下であり、また好ましくは0.01g/m以上50g/m以下、より好ましくは0.1g/m以上40g/m以下である。ナノファイバ層11の内方領域Mの坪量は、内方領域Mから10mm×10mmの測定片を切り出し、はかりで該測定片の質量を計量し、該測定片の面積(100mm)で除法して算出することで測定することができる。また、上記と同様の観点から、ナノファイバ層11の頂点位置における坪量は、前記内方領域Mの坪量の好ましい範囲内であることが好ましい。
次に、上述した電界紡糸装置を用いたナノファイバシートの製造方法に用いられる原料液について説明する。
原料液としては、繊維形成可能な高分子化合物を溶媒に溶解又は分散させた溶液を用いることができる。繊維形成可能な高分子化合物は、上述した各高分子化合物が用いられる。
原料液には前記高分子化合物以外に、無機物粒子、有機物粒子、植物エキス、界面活性剤、油剤、イオン濃度を調整するための電解質等を適宜配合することができる。
原料液の溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は複数混合して用いることができる。
以上の説明は電界紡糸法によってナノファイバを製造し、該ナノファイバを堆積させてナノファイバシートを製造することに関するものであったが、本発明は、ナノファイバ以外の繊維、例えばナノファイバよりも太い繊維に適用することができる。また本発明は静電スプレーによって製造され、捕集部によって捕集される粒子にも適用することができる。
詳細には、本発明を、ノズルから原料液を吐出させ、該原料液から生じた繊維又は粒子を捕集部上に堆積させて、厚さ5.1μm以上500μm以下の極薄繊維シートを製造する、極薄シートの製造方法に適用することができる。この場合、原料液を吐出させ、該原料液から繊維を生じさせる方法に特に制限はなく、例えば溶融紡糸法を採用することができる。
また本発明を、ノズルから原料液を吐出させ、該原料液から生じた粒子を捕集部上の基材に堆積させて、厚さ5.1μm以上500μm以下の極薄シートを製造する、極薄シートの製造方法にも適用することができる。この場合、例えば静電スプレーを採用することができる。
原料液から生じた繊維の太さは例えば10nm以上とすることが好ましく、0.1μm以上とすることが更に好ましく、0.3μm以上とすることが一層好ましい。また原料液から生じた繊維の太さは、30μm以下とすることが好ましく、3μm以下とすることが更に好ましく、1μm以下とすることが一層好ましい。原料液から生じた繊維の太さは、特に、10nm以上30μm以下とすることが好ましく、0.1μm以上3μm以下とすることが更に好ましく、0.3μm以上1μm以下とすることが一層好ましい。
原料液に含まれる繊維の原料は、ナノファイバを構成する原料と同様とすることができる。
一方、粒子の大きさは例えば0.01μm以上とすることが好ましく、0.1μm以上とすることが更に好ましく、1μm以上とすることが一層好ましい。また粒子の大きさは、200μm以下とすることが好ましく、100μm以下とすることが更に好ましく、10μm以下とすることが一層好ましい。粒子の大きさは、特に、0.01μm以上200μm以下とすることが好ましく、0.1μm以上100μm以下とすることが更に好ましく、1μm以上10μm以下とすることが一層好ましい。粒子の大きさは、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50で表される。
原料液に含まれる粒子の原料は、ナノファイバを構成する原料と同様とすることができる。
極薄シートの製造方法は目的形状形成工程を備えている。目的形状形成工程においては、先に述べたナノファイバシートの製造方法と同様に、目的とする極薄シートの輪郭形状に関する情報に基づいて、ノズル及び捕集部の少なくとも一方を移動させながら、該極薄シートの輪郭形状の範囲内に原料液を吐出する。ノズルと捕集部との位置関係は、例えば先に述べた図4に示す実施形態と同様である。ノズル及び捕集部の駆動機構も図4に示す実施形態と同様である。
目的形状形成工程においては、目的とする極薄シートの輪郭形状の周縁端から内方に向かって漸次厚みが増加する、テーパー状の周縁領域が形成されるように、原料液を吐出する。「テーパー状」とは、極薄シートをその厚み方向に沿って見たときの周縁領域の断面形状のことである。「テーパー状の周縁領域」は、先に述べた「グラデーション領域G」と同じ意味である。
テーパー状の周縁領域は、極薄シートの周縁端から内方に向かって幅が5mm以内の領域に形成されていることが好ましい。「テーパー状の周縁領域の幅」とは、先に説明したナノファイバシートにおけるグラデーション領域Gにおける間隔W1と同じ意味である。テーパー状の周縁領域の幅は、該周縁領域の何れにおいても同じであってもよく、あるいは位置によって異なっていてもよい。テーパー状の周縁領域の幅が位置によって異なっている場合、最小幅が5mm以内であることが好ましい。
極薄シートは、テーパー状の周縁領域よりも内方の位置に、該周縁領域で囲まれた内方領域も有している。内方領域は、周縁領域と異なり厚みが実質的に一定の領域である。極薄シートの厚みというときには、内方領域での厚みを意味する。内方領域の厚み、すなわち極薄シートの厚みは5.1μm以上とすることが好ましく、10μm以上とすることが更に好ましい。また極薄シートの厚みは、500μm以下とすることが好ましく、400μm以下とすることが更に好ましい。極薄シートの厚みは、特に、5.1μm以上500μm以下とすることが好ましく、10μm以上400μm以下とすることが更に好ましい。
上述のとおり内方領域は厚みが実質的に一定の領域である。したがって内方領域は、位置によって厚みが若干異なっていることが許容される。例えば平均厚みに対して±25%程度の範囲で厚みが異なることが許容される。
極薄シートの厚み方向に沿う断面において、内方領域は、その幅が好ましくは100mm以下であり、更に好ましくは50mm以下であり、一層好ましくは30mm以下である。内方領域の幅の最小値は好ましくは0mmであり、すなわち内方領域が存在していなくてもよい。「内方領域の幅」とは、先に説明したナノファイバシートにおける「内方領域Mの幅W2」(図2参照)と同じ意味である。
極薄シートにおける内方領域の厚み及び周縁領域の厚みは、例えば先に説明した〔ナノファイバ層の三次元形状の測定方法〕、〔周縁端の厚みの測定方法〕、〔グラデーション領域の特定方法〕に従い測定できる。この測定方法は、先に説明したナノファイバシートにおけるグラデーション領域Gの厚み及び内方領域Mの厚みの測定にも適用できる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態の電界紡糸装置100では、捕集部40が対向電極30であったが、捕集部40と対向電極30はそれぞれ別体の部材であってもよい。この場合、捕集部40と対向電極30とは隣接して配されている。
また、上述した実施形態のナノファイバシート10は、基材層12を備えていたが、該基材層12を備えていないものであってもよい。
また、上述した実施形態においては、軌道計算工程において、ナノファイバの堆積分布に関する要因として、ノズル20の移動速度と、原料液の吐出速度と、ノズル20と捕集部40との間の距離とを採用していたが、これら以外の要因を採用してもよく、あるいはこれらと他の要因とを組み合わせて採用してもよい。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下のナノファイバシートの製造方法、ナノファイバシートの製造装置、及び積層シートの製造方法を開示する。
<1>
対向電極との間に高電圧を印加したノズルから原料液を吐出させ、電界紡糸法により該原料液から生じたナノファイバを捕集部上に堆積させる、ナノファイバシートの製造方法であって、
前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら、前記ナノファイバを前記捕集部上に堆積させることにより、周縁端から内方に向かって漸次厚みが増加するグラデーション領域を有する所定のナノファイバシートを製造する、ナノファイバシートの製造方法。
<2>
前記ナノファイバの堆積分布に関する要因と、堆積する該ナノファイバの厚みとの相関関係に基づいて、前記所定のナノファイバシートを形成し得る、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方の移動軌道を決定する軌道計算工程と、
前記軌道計算工程で決定された前記移動軌道に基づき、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら、前記ナノファイバを堆積させる堆積工程とを備える、前記<1>に記載のナノファイバシートの製造方法。
<3>
前記ナノファイバの堆積分布に関する要因が、前記ノズル若しくは前記捕集部の移動速度、前記原料液の吐出速度、前記ノズルと前記対向電極との間の電位差、前記ノズルと前記捕集部との間の距離、ノズルの内径、及びノズルの材質から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせである、前記<2>に記載のナノファイバシートの製造方法。
<4>
前記所定のナノファイバシートは、その平面視において、前記グラデーション領域に囲まれた内方領域を有しており、
前記軌道計算工程においては、前記内方領域の最低厚みが、所定の設定値以上となるように前記移動軌道を計算する、前記<2>又は<3>に記載のナノファイバシートの製造方法。
<5>
前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら前記ナノファイバを前記捕集部上に堆積させる工程が、
前記ノズル及び前記捕集部の何れか一方を、前記ナノファイバの堆積部が帯状の第1堆積領域を形成するように第1の移動軌道に沿って移動させる第1工程と、前記ノズル及び前記捕集部の何れか一方を、前記ナノファイバの堆積部が、第1又は先に形成された帯状堆積領域と幅方向の一部どうしが連続的に重複する第2帯状堆積領域を形成するように第2の移動軌道に沿って移動させる単一又は複数の第2工程とを具備する、前記<2>〜<4>の何れか1に記載のナノファイバシートの製造方法。
<6>
前記帯状堆積領域の幅方向の長さを二等分する位置を帯状領域の中点とし、前記帯状堆積領域と他の帯状堆積領域とが重複する領域を重複領域としたとき、
前記重複領域は、幅方向における、前記帯状堆積領域の中点と、該帯状堆積領域における前記他の帯状堆積領域が配される側の外縁との間に位置している、前記<5>に記載のナノファイバシートの製造方法。
<7>
幅方向において、前記重複領域の範囲内に、前記帯状堆積領域の中点と、前記他の帯状堆積領域の中点とが位置している、前記<6>に記載のナノファイバシートの製造方法。<8>
先に決定された前記移動軌道を決定軌道とし、前記第1の移動軌道に囲まれた領域内、又は前記決定軌道に囲まれた領域内を決定軌道内領域としたとき、
前記軌道計算工程において、前記決定軌道内領域内に、前記ナノファイバの堆積体の平面視形状の略相似形となる周回状の相似軌道、又は周回状とならない軌道を計算する、前記<5>〜<7>の何れか1に記載のナノファイバシートの製造方法。
<9>
前記軌道計算工程において、前記移動軌道を設定する範囲の面積や形状に応じて、前記相似軌道、又は前記周回状とならない軌道を計算する、前記<8>に記載のナノファイバシートの製造方法。
<10>
前記軌道計算工程において、前記決定軌道と前記相似軌道との相互に対応し合う部分が隣り合うように、該相似軌道が配されるか否かを判断する、前記<8>又は<9>に記載のナノファイバシートの製造方法。
<11>
前記ノズル及び前記捕集部の何れか一方又は双方を一定速度で移動させる、前記<1>〜<10>の何れか1に記載のナノファイバシートの製造方法。
<12>
前記ノズル及び前記捕集部の何れか一方が移動する移動軌道は、互いに略相似形となる複数の軌道を入れ子状に内包する軌道群と、前記複数の軌道どうしを連結する渡り線との組み合わせ、又は一筆書き可能な線状である、前記<1>〜<11>の何れか1に記載のナノファイバシートの製造方法。
<13>
前記ナノファイバシートの平面視形状が、曲率が異なる複数の曲線部分を輪郭に含む形状、複数の直線部分を輪郭に含む形状、又は該曲線部分と該直線部分とを輪郭に含む形状である、前記<1>〜<12>の何れか1に記載のナノファイバシートの製造方法。
<14>
前記捕集部上に基材層を配し、該基材層上に前記ナノファイバを堆積させる、前記<1>〜<13>の何れか1に記載のナノファイバシートの製造方法。
<15>
前記ナノファイバシート、前記基材層、又はこれら両者を切断する切断工程を具備する、前記<14>に記載のナノファイバシートの製造方法。
<16>
前記所定のナノファイバシートは、その平面視において、前記グラデーション領域に囲まれた内方領域を有しており、
前記帯状堆積領域と他の帯状堆積領域とが重複する領域を重複領域としたとき、
幅方向における前記重複領域の最低厚みは、前記内方領域の最低厚みに対して100%以上、好ましくは125%以上であり、また250%以下、好ましくは200%以下であり、また100%以上250%以下であり、好ましくは125%以上200%以下である、前記<5>〜<10>の何れか1に記載のナノファイバシートの製造方法。
<17>
前記重複領域の最低厚みは、0.2μm以上、好ましくは1μm以上であり、また100μm以下、好ましくは10μm以下であり、また0.2μm以上100μm以下であり、好ましくは1μm以上10μm以下である、前記<16>に記載のナノファイバシートの製造方法。
<18>
前記重複領域の幅は、幅方向における堆積領域の中点と他の堆積領域の中点との離間距離に対して1%以上、好ましくは5%以上であり、また90%以下、好ましくは80%以下であり、また1%以上90%以下であり、好ましくは5%以上80%以下である、前記<16>又は<17>に記載のナノファイバシートの製造方法。
<19>
幅方向における前記重複領域の幅は、1mm以上、好ましくは4mm以上であり、また80mm以下、好ましくは60mm以下であり、また1mm以上80mm以下であり、好ましくは4mm以上60mm以下である、前記<16>〜<18>の何れか1に記載のナノファイバシートの製造方法。
<20>
原料液を吐出するノズルと、該ノズルと対向するように配され、該ノズルとの間に電界を生じさせる対向電極と、前記原料液を電気的に延伸して生成したナノファイバを集積する捕集部と、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させる機構とを具備するナノファイバシートの製造装置であって、
制御部内に入力された移動軌道のデータに基づき、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら、前記ナノファイバを前記捕集部上に堆積させることが可能になされており、
前記制御部に、前記<2>に記載のナノファイバシートの製造方法の前記軌道計算工程で決定された移動軌道のデータが、入力されているか又は入力可能になされている、ナノファイバシートの製造装置。
<21>
ノズルから原料液を吐出させ、該原料液から生じた繊維又は粒子を捕集部上に堆積させて、厚さ5.1μm以上500μm以下の極薄シートを製造する、極薄シートの製造方法であって、
目的とする前記極薄シートの輪郭形状に関する情報に基づいて、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら、該極薄シートの輪郭形状の範囲内に前記原料液を吐出する目的形状形成工程を備え、
前記目的形状形成工程においては、前記輪郭形状の周縁端から内方に向かって漸次厚みが増加する、幅5mm以内のテーパー状の周縁領域が形成されるように、前記原料液を吐出する、極薄シートの製造方法。
10 ナノファイバシート
11 ナノファイバ層
12 基材層
15 最大厚み部
17 ナノファイバ層の周縁端
20 ノズル
30 対向電極
40 捕集部
50 移動機構
100 電界紡糸装置
G グラデーション領域
e1 第1堆積領域
e2 第2帯状堆積領域
Ob 移動軌道
r1 第1の移動軌道
r2 第2の移動軌道

Claims (12)

  1. 対向電極との間に高電圧を印加したノズルから原料液を吐出させ、電界紡糸法により該原料液から生じたナノファイバを捕集部上に堆積させる、ナノファイバシートの製造方法であって、
    前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら、前記ナノファイバを前記捕集部上に堆積させることにより、周縁端から内方に向かって漸次厚みが増加するグラデーション領域を有する所定のナノファイバシートを製造する工程を備え、
    前記工程は、
    前記ナノファイバの堆積分布に関する要因と、堆積する該ナノファイバの厚みとの相関関係に基づいて、前記所定のナノファイバシートを形成し得る、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方の移動軌道を決定する軌道計算工程と、
    前記軌道計算工程で決定された前記移動軌道に基づき、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら、前記ナノファイバを堆積させる堆積工程とを備える、ナノファイバシートの製造方法。
  2. 前記ナノファイバの堆積分布に関する要因が、前記ノズル若しくは前記捕集部の移動速度、前記原料液の吐出速度、前記ノズルと前記対向電極との間の電位差、前記ノズルと前記捕集部との間の距離、ノズルの内径、及びノズルの材質から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせである、請求項に記載のナノファイバシートの製造方法。
  3. 前記所定のナノファイバシートは、その平面視において、前記グラデーション領域に囲まれた内方領域を有しており、
    前記軌道計算工程においては、前記内方領域の最低厚みが、所定の設定値以上となるように前記移動軌道を計算する、請求項又はに記載のナノファイバシートの製造方法。
  4. 前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら前記ナノファイバを前記捕集部上に堆積させる工程が、
    前記ノズル及び前記捕集部の何れか一方を、前記ナノファイバの堆積部が帯状の第1堆積領域を形成するように第1の移動軌道に沿って移動させる第1工程と、前記ノズル及び前記捕集部の何れか一方を、前記ナノファイバの堆積部が、第1又は先に形成された帯状堆積領域と幅方向の一部どうしが連続的に重複する第2帯状堆積領域を形成するように第2の移動軌道に沿って移動させる単一又は複数の第2工程とを具備する、請求項の何れか1項に記載のナノファイバシートの製造方法。
  5. 対向電極との間に高電圧を印加したノズルから原料液を吐出させ、電界紡糸法により該原料液から生じたナノファイバを捕集部上に堆積させる、ナノファイバシートの製造方法であって、
    前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら、前記ナノファイバを前記捕集部上に堆積させることにより、周縁端から内方に向かって漸次厚みが増加するグラデーション領域を有する所定のナノファイバシートを製造する工程を備え、
    前記ノズル及び前記捕集部の何れか一方が移動する移動軌道は、互いに略相似形となる複数の軌道を入れ子状に内包する軌道群と、前記複数の軌道どうしを連結する渡り線との組み合わせ、又は一筆書き可能な線状である、ナノファイバシートの製造方法
  6. 前記ノズル及び前記捕集部の何れか一方又は双方を一定速度で移動させる、請求項1〜5の何れか1項に記載のナノファイバシートの製造方法。
  7. 前記ナノファイバシートの平面視形状が、曲率が異なる複数の曲線部分を輪郭に含む形状、複数の直線部分を輪郭に含む形状、又は該曲線部分と該直線部分とを輪郭に含む形状である、請求項1〜の何れか1項に記載のナノファイバシートの製造方法。
  8. 前記捕集部上に基材層を配し、該基材層上に前記ナノファイバを堆積させる、請求項1〜の何れか1項に記載のナノファイバシートの製造方法。
  9. 前記ナノファイバシート、前記基材層、又はこれら両者を切断する切断工程を具備する、請求項に記載のナノファイバシートの製造方法。
  10. 原料液を吐出するノズルと、該ノズルと対向するように配され、該ノズルとの間に電界を生じさせる対向電極と、前記原料液を電気的に延伸して生成したナノファイバを集積する捕集部と、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させる機構とを具備するナノファイバシートの製造装置であって、
    制御部内に入力された移動軌道のデータに基づき、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら、前記ナノファイバを前記捕集部上に堆積させることが可能になされており、
    前記制御部に、請求項に記載のナノファイバシートの製造方法の前記軌道計算工程で決定された移動軌道のデータが、入力されているか又は入力可能になされている、ナノファイバシートの製造装置。
  11. ノズルから原料液を吐出させ、該原料液から生じた繊維又は粒子を捕集部上に堆積させて、厚さ5.1μm以上500μm以下の極薄シートを製造する、極薄シートの製造方法であって、
    目的とする前記極薄シートの輪郭形状に関する情報に基づいて、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら、該極薄シートの輪郭形状の範囲内に前記原料液を吐出する目的形状形成工程を備え、
    前記目的形状形成工程は、
    前記繊維又は前記粒子の堆積分布に関する要因と、堆積する該繊維又は該粒子の厚みとの相関関係に基づいて、前記極薄シートを形成し得る、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方の移動軌道を決定する軌道計算工程と、
    前記軌道計算工程で決定された前記移動軌道に基づき、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら、前記繊維又は前記粒子を堆積させる堆積工程とを備え、
    前記目的形状形成工程においては、前記輪郭形状の周縁端から内方に向かって漸次厚みが増加する、幅5mm以内のテーパー状の周縁領域が形成されるように、前記原料液を吐出する、極薄シートの製造方法。
  12. ノズルから原料液を吐出させ、該原料液から生じた繊維又は粒子を捕集部上に堆積させて、厚さ5.1μm以上500μm以下の極薄シートを製造する、極薄シートの製造方法であって、
    目的とする前記極薄シートの輪郭形状に関する情報に基づいて、前記ノズル及び前記捕集部の少なくとも一方を移動させながら、該極薄シートの輪郭形状の範囲内に前記原料液を吐出する目的形状形成工程を備え、
    前記目的形状形成工程においては、
    前記ノズル及び前記捕集部の何れか一方が移動する移動軌道が、互いに略相似形となる複数の軌道を入れ子状に内包する軌道群と、前記複数の軌道どうしを連結する渡り線との組み合わせ、又は一筆書き可能な線状であり、
    前記輪郭形状の周縁端から内方に向かって漸次厚みが増加する、幅5mm以内のテーパー状の周縁領域が形成されるように、前記原料液を吐出する、極薄シートの製造方法。
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