JP6806491B2 - アンギュラ玉軸受用保持器およびアンギュラ玉軸受用保持器の製造方法 - Google Patents

アンギュラ玉軸受用保持器およびアンギュラ玉軸受用保持器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はアンギュラ玉軸受用保持器およびアンギュラ玉軸受用保持器の製造方法に関する。
従来、機械装置の回転軸等を支持するための転がり軸受として玉軸受が広く用いられている。玉軸受は、主に外輪、内輪、転動体であるボールおよび保持器から構成されている。玉軸受は、外輪の内周面に形成されている転動面と内輪の外周面に形成されている転動面との間にボールが配置され、保持器によって転動自在に保持されている。玉軸受の内部には、外輪、内輪、ボールおよび保持器の間の摩擦や摩耗の低減のために潤滑剤であるグリースが封入されている。グリース封入量が少ないと、このような玉軸受において、ボールおよび保持器の回転による遠心力などでグリースが外輪側に移動して内輪側のグリースが不足する問題があった。また、グリース不足を解消するため、グリース封入量を増加させると、グリースの撹拌抵抗に伴う発熱やフリクションの増大や軸受外部へのグリースが漏洩するなどの問題があった。そこで、必要にして十分なグリース封入量により、内輪側の潤滑状態を改善するため、保持器の内周面側にグリースを滞留させるための凹部が形成されたものがある。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特許文献1に記載の玉軸受の保持器は、樹脂等からなる環状体にその軸方向へ延びる複数の突出部(爪)が前記環状体の周方向に一定の間隔で形成されている。保持器の隣り合う突出部の間には、玉(ボール)の外周面に沿う曲面に形成され、玉を保持するポケットが構成されている。さらに、保持器のポケットを形成している突出部の保持器内周面側には、グリースを滞留させるための凹部が形成されている。このように構成することで、玉軸受は、保持器の回転によって発生する遠心力が保持器近傍のグリースに作用しても保持器の凹部にグリースが滞留する。しかし、特許文献1に記載の技術は、内周面に凹部を有する保持器を形成するために金型の形状が複雑になる。また、保持器に切欠き部を形成することで突出部の強度が低下する可能性があった。
特開2008−175239号公報
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、金型の形状を複雑にすることなく軸受内部を適切に潤滑し、保持器の強度を維持することができるアンギュラ玉軸受用保持器およびアンギュラ玉軸受用保持器の製造方法の提供を目的とする。
即ち、アンギュラ玉軸受用保持器は、環状に形成される基部にその軸方向へ延びる複数の爪が前記基部の周方向に一定の間隔で形成され、前記隣り合う爪とその間の基部とによって転動体の外周面に沿う曲面を有するポケットが形成されるアンギュラ玉軸受用保持器において、前記ポケットの曲面に潤滑材を滞留させる複数の微細な凹凸が少なくとも一つの帯状の領域に形成され、前記帯状の領域の一つである帯状領域の両側に、前記帯状領域よりも幅が小さい前記帯状の領域である副帯状領域が、前記帯状領域に沿うように形成されるものである。
アンギュラ玉軸受用保持器は、前記凹凸が前記ポケットに保持される転動体の自転の方向に沿って形成されるものである。
アンギュラ玉軸受用保持器は、前記転動体の外周面において、内輪または外輪と接触する接触領域とすると、前記帯状の領域は、前記転動体の自転時に前記接触領域が通過する領域であるものである。
アンギュラ玉軸受用保持器は、前記ポケットの曲面の表面粗度Raが2.0μm以上25μm以下であるものである。
アンギュラ玉軸受用保持器は、前記転動体とポケットとの曲面との隙間が300μm以下であるものである。
アンギュラ玉軸受用保持器は、合成樹脂から形成されるものである。
アンギュラ玉軸受用保持器の製造方法は、環状に形成される基部にその軸方向へ延びる複数の爪が前記基部の周方向に一定の間隔で形成され、前記隣り合う爪とその間の基部とによって転動体の外周面に沿う曲面を有するポケットが形成されるアンギュラ玉軸受用保持器の製造方法であって、前記アンギュラ玉軸受用保持器の金型のうちポケットの曲面を形成する金型の少なくとも一つの帯状の領域を放電加工により表面粗度Raが2.0μm以上25μm以下になるように形成するとともに、前記帯状の領域の一つである帯状領域の両側に、前記帯状領域よりも幅が小さい前記帯状の領域である副帯状領域を前記帯状領域に沿うように形成する金型加工工程と、前記金型を用いて射出成形またはプレス成形により前記ポケットの曲面を形成する成形工程と、を有するものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、アンギュラ玉軸受用保持器は、微細な凹凸がない領域から微細な凹凸が形成されている帯状の領域に潤滑剤が供給されるとともに微細な凹凸で潤滑剤が保持されるので、遠心力等が作用しても転動体の転動によって転動体と外輪との間、転動体と内輪との間および転動体とアンギュラ玉軸受用保持器の間に、効率的に微細な凹凸に滞留している潤滑剤が供給される。従って、アンギュラ玉軸受用保持器の爪に潤滑剤を滞留させる凹部を形成する必要がない。これにより、金型の形状を複雑にすることなく軸受内部を適切に潤滑し、アンギュラ玉軸受用保持器の強度を維持することができる。
アンギュラ玉軸受用保持器は、転動体の回転によって微細な凹凸がない領域を通じて微細な凹凸が形成されている帯状の領域に潤滑剤が効率的に供給される。これにより、金型の形状を複雑にすることなく軸受内部を適切に潤滑し、アンギュラ玉軸受用保持器の強度を維持することができる。
アンギュラ玉軸受用保持器は、最も負荷が加わる領域に微細な凹凸から潤滑剤が効率的に供給される。これにより、金型の形状を複雑にすることなく軸受内部を適切に潤滑し、アンギュラ玉軸受用保持器の強度を維持することができる。
アンギュラ玉軸受用保持器は、ポケットによる転動体の保持精度を維持した状態で、転動体と外輪との間、転動体と内輪との間および転動体とアンギュラ玉軸受用保持器の間に潤滑剤が介在する。従って、アンギュラ玉軸受用保持器の爪に潤滑剤を滞留させる凹部を形成する必要がない。これにより、金型の形状を複雑にすることなく軸受内部を適切に潤滑し、アンギュラ玉軸受用保持器の強度を維持することができる。
アンギュラ玉軸受用保持器は、射出成形により形成されるので、その金型のポケット形成部分に微細な凹凸を形成することでポケットの曲面全面に微細な凹凸が転写される。従って、金型によってアンギュラ玉軸受用保持器の爪に潤滑剤を滞留させる凹部を形成する必要がない。これにより、金型の形状を複雑にすることなく軸受内部を適切に潤滑し、アンギュラ玉軸受用保持器の強度を維持することができる。
アンギュラ玉軸受用保持器の製造方法の金型加工工程において、ポケットの曲面を形成する部分を放電加工によって形成することで金型に微細な凹凸が形成される。さらに、成形工程においてアンギュラ玉軸受用保持器のポケットに潤滑剤を滞留させる微細な凹凸が転写される。従って、金型によって軸受用保持器の爪に潤滑剤を滞留させる凹部を形成する必要がない。これにより、金型の形状を複雑にすることなく軸受内部を適切に潤滑し、アンギュラ玉軸受用保持器の強度を維持することができる。
(a)アンギュラ玉軸受用保持器の第一実施形態における全体構成を示す平面図、(b)同じく図1(a)における拡大A矢視断面図。 アンギュラ玉軸受用保持器の第一実施形態を示す斜視図。 (a)アンギュラ玉軸受用保持器の第一実施形態を示す平面図、(b)同じく側面図。 (a)アンギュラ玉軸受用保持器の第一実施形態におけるポケットに形成される凹凸の領域を示す部分拡大断面図、(b)同じく凹凸の領域の別実施形態を示す図。 アンギュラ玉軸受用保持器の第二実施形態におけるポケットに形成される凹凸の領域を示す部分拡大断面図。 アンギュラ玉軸受用保持器の製造方法における金型加工工程を示す模式図。 アンギュラ玉軸受用保持器の製造方法における金型加工工程において放電加工された金型の加工面の状態を示す図。 アンギュラ玉軸受用保持器の製造方法における保持器成形工程を示す模式図。
以下に、図1を用いて、アンギュラ玉軸受用保持器であるアンギュラ玉軸受用保持器4を備えるアンギュラ玉軸受の第一実施形態であるアンギュラ玉軸受1について説明する。
図1(a)に示すようにアンギュラ玉軸受1は、図示しない軸を軸方向に与圧した状態で回転自在に支持するものである。アンギュラ玉軸受1は、外輪2、内輪3、アンギュラ玉軸受用保持器4、複数のボール8等から構成されている。
外輪2と内輪3とは、高炭素クロム軸受鋼SUJ2等の軸受鋼や浸炭鋼等から構成され、ズブ焼入れ、真空浸炭焼入れによって58〜62HRC程度の硬化処理が施されている。外輪2は、円筒状に形成されている。内輪3は、外輪2よりも小さい径の円筒状に形成されている。
図1(b)に示すように、外輪2の内周面には、ボール8が転動するための転走面2aが環状に形成されている。内輪3の外周面には、ボール8が転動するための転走面3aが環状に形成されている。
外輪2は、転走面2aの両側の内周面のうち一方の内周面が径方向内側に突出して外輪側肩部2bが形成されている。外輪側肩部2bには、転走面2aが形成されている。つまり、外輪2は、転走面2aの内輪側肩部3bと対向していない側の内周面が径方向内側に突出している。また、内輪3は、転走面3aの両側の外周面のうち外輪2の外輪側肩部2bと対向していない側の外周面が径方向外側に突出して内輪側肩部3bが形成されている。内輪側肩部3bには、転走面3aが形成されている。つまり、内輪3は、転走面3aの外輪側肩部2bと対向していない側が径方向外側に突出している。
アンギュラ玉軸受用保持器4は、転動体であるボール8を保持するものである。アンギュラ玉軸受用保持器4は、耐油性、耐摩耗性、潤滑性に優れた合成樹脂であるポリアミド46(PA46)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等から構成されている。また、補強材として、樹脂の中にグラスファイバ(GF)や、カーボンファイバ(CF)が混練され、成形されるものもある。アンギュラ玉軸受用保持器4には、ボール8を独立して保持するポケットPが周上に等間隔に形成されている(図2参照)。
転動体であるボール8は、高炭素クロム軸受鋼SUJ2からなる鋼球、ステンレス鋼球(SUS440C)、炭素鋼球(SWCH10)等から構成され、ズブ焼入れ、真空浸炭焼入れによって60〜64HRC程度の硬化処理が施されている。
アンギュラ玉軸受1は、外輪2の内側に内輪3が中心軸を一致するように配置され、外輪2の転走面2aと内輪3の転走面3aとの間に複数のボール8が転動自在に挟まれている。複数のボール8は、外輪2の転走面2aのうち、外輪側肩部2bに形成されている部分に接触している。また、複数のボール8は、内輪3の転走面3aのうち、内輪側肩部3bに形成されている部分に接触している。つまり、アンギュラ玉軸受1は、外輪2の転走面2aとボール8との接触点およびボール8と内輪3の転走面3aとの接触点を結ぶ直線が径方向の直線に対して角度θ°(以下、単に「接触角θ」と記す)だけ傾くように構成されている。本実施形態において、アンギュラ玉軸受1は、例えば、接触角θが35°〜40°になるように構成されている。
複数のボール8は、アンギュラ玉軸受用保持器4によって等間隔に保持されている。これにより、アンギュラ玉軸受1は、外輪2と内輪3とが相対回転自在に構成されるとともに、外輪2と内輪3との相対位置の精度が向上し、全ての径方向において等しい荷重を受けることができる。また、各ボール8がアンギュラ玉軸受用保持器4のポケットPによって独立して支持されているのでボール8同士の接触による摩耗や接触音が生じることがない。各ボール8は、外輪2とボール8との接触点およびボール8と内輪3との接触点を通る円周上で外輪2の転走面2aおよび内輪3の転走面3aと接触しながら転走するように構成されている。すなわち、各ボール8は、外輪2とボール8との接触点およびボール8と内輪3との接触点を通る円周を含む平面に垂直でボール8の中心を通る直線を回転軸としてポケットP内で回転するように構成されている。
アンギュラ玉軸受1には、外輪2と内輪3との間に潤滑材であるグリースGrが充填されている(図1(b)の薄墨部分)。アンギュラ玉軸受1に充填されるグリースGrは、基油、増ちょう剤及び添加剤から成る半固体状の潤滑剤である。グリースGrを構成する基油としては、例えば、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油などの鉱油、ポリブデン、ポリ-α-オレフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、脂環式化合物等の炭化水素系合成油、または、天然油脂やポリオールエステル油、リン酸エステル、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、フッ素化油等の非炭化水素系合成油等、一般にグリースGrの基油として使用されている油であれば特に限定することなく使用できる。
増ちょう剤としては、アルミニウム石けん、リチウム石けん、ナトリウム石けん、複合リチウム石けん、複合カルシウム石けん、複合アルミニウム石けんなどの金属石けん系増ちょう剤、ジウレア化合物、ポリウレア化合物等のウレア系化合物が挙げられる。グリースGr用の公知の添加剤としては、例えば極圧剤、アミン系、フェノール系等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾールなどの金属不活性剤、ポリメタクリレート、ポリスチレン等の粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイト等の固体潤滑剤等が挙げられる。
このように構成されるアンギュラ玉軸受1は、内輪3と外輪2とのうち少なくとも一方にトルクが加わると外輪2の転走面2aと内輪3の転走面3aとの間に挟まれているボール8が転動して外輪2と内輪3とが軸心を回転中心として相対回転する。合わせて、複数のボール8とアンギュラ玉軸受用保持器4とは、ボール8の回転(いわゆる、公転)に伴って軸心を中心として回転する。この際、複数のボール8は、アンギュラ玉軸受用保持器4のポケットP内においてグリースGrを介して摺動しながら外輪2とボール8との接触点およびボール8と内輪3との接触点を通る円周を含む平面に垂直でボール8の中心を通る直線を回転軸として回転(いわゆる、自転)する。
以下に、図2から図4を用いて、アンギュラ玉軸受用保持器4について詳細に説明する。
図2と図3(a)とに示すように、アンギュラ玉軸受用保持器4は、環状に形成された基部5と、ボール8(図1参照)を保持するポケットPを構成する複数の爪6とが一体に形成されている。複数の爪6は、基部5からその軸方向に延びるように形成されている。爪6は、基部5の周方向に沿って等間隔に配置されている。爪6における基部5の径方向内側の側面は、基部5から径方向外側に広がるように形成されている。爪6における基部5の径方向外側は、基部5の外周面よりも外側に突出し、かつ周方向に広がるように形成されている。つまり、隣り合う爪6の間の幅は、基部5の外周面から径方向外側に向かうにつれて狭くなっている。
アンギュラ玉軸受用保持器4における隣り合う爪6の対向する側面とその間の基部5の一部とから構成される部分には、所定の位置C(図3参照)にボール8が配置された場合におけるボール8の外周面に沿う凹曲面7が形成されている。つまり、全ての爪6における基部5の周方向の両側面には、ボール8の外周面に沿う凹んだ曲面がそれぞれ形成されている。同様に、隣り合う爪6に挟まれた基部5の一部の軸方向の側面には、所定の位置Cに配置されたボール8の外周面に沿う凹んだ曲面がそれぞれ形成されている。つまり、アンギュラ玉軸受用保持器4の基部5と隣り合う爪6とから構成される部分には、ボール8の外周面に沿った凹曲面7が一体的に形成されている。これにより、アンギュラ玉軸受用保持器4には、凹曲面7によってボール8を保持するポケットPがそれぞれ構成されている。ポケットPは、爪6の形状によって基部5の外周面よりも外側に向かうにつれて閉じるように凹曲面7が形成され、ボール8を保持可能に構成されている。
図3(b)に示すように、ポケットPの凹曲面7を形成するため想定されている球体の径は、ボール8の外径よりも大きい内径に形成されている。具体的には、ポケットPは、凹曲面7とボール8の外周面との間にグリースGrが介在可能かつボール8を所定の精度で保持可能な300μm以下の隙間Gが生じるように構成されている。
また、ポケットPの凹曲面7には、グリースGrを滞留させる複数の微細な凹凸(薄墨部分)が帯状に形成されている。具体的には、ポケットPの凹曲面7には、その表面粗度Raが2.0μm以上25μm以下の凹凸がボール8の回転方向に沿う帯状の領域である帯状領域C1に形成されている。帯状領域C1は、軸受荷重の変動により、接触角が変動しても、ボール8の表面のうち外輪2および内輪3とボール8との接触点を含む接触領域である接触楕円Ov(図1(b)、図4(a)参照)が生じる部分が通過する範囲が含まれるように形成されている。すなわち、帯状領域C1は、接触楕円Ovよりも大きい幅で径方向に対して接触角θだけ傾いて形成されている。このように、ポケットPの凹曲面7には、微細な凹凸が形成されている帯状領域C1と微細な凹凸が形成されていない領域とが形成されている。
図4(a)に示すように、アンギュラ玉軸受用保持器4は、各ポケットP内にボール8が配置され、ポケットPの凹曲面7によってボール8を保持する。アンギュラ玉軸受用保持器4は、ボール8の転動によりポケットPの凹曲面7とボール8との隙間G(図3参照)にグリースGrが介在する。この際、アンギュラ玉軸受用保持器4は、凹曲面7に形成されている帯状領域C1(薄墨部分)に、凹曲面7の凹凸が形成されていない部分を介してグリースGrが効率的に入り込むとともに帯状領域C1に滞留する(黒塗矢印参照)。アンギュラ玉軸受用保持器4は、回転により遠心力等が作用してもボール8の転動によって、ボール8のうち接触楕円Ovが生じる部分が通過する帯状領域C1から凹凸に滞留しているグリースGrが供給される。従って、アンギュラ玉軸受用保持器4は、爪6等にグリースGrを滞留および供給するための凹部を形成する必要がない。これにより、アンギュラ玉軸受用保持器4は、爪に凹部を形成するために金型を複雑な形状にすることなくアンギュラ玉軸受1の内部を適切に潤滑し、ボール8を保持している爪6の強度が維持されるのでボール8の保持精度を保つことができる。
なお、図4(b)に示すように本実施形態の別実施形態として、アンギュラ玉軸受用保持器4は、帯状領域C1の両側に、帯状領域C1よりも幅が小さい副帯状領域C2が帯状領域C1に沿うように形成されていてもよい。アンギュラ玉軸受用保持器4は、ボール8の表面のうち接触楕円Ovが生じる部分が通過する範囲と帯状領域C1とがずれていても副帯状領域C2の凹凸に滞留しているグリースGrが供給される。
このように構成することで、アンギュラ玉軸受用保持器4は、微細な凹凸がない領域から微細な凹凸が形成されている帯状領域C1(副帯状領域C2)にグリースGrが供給されるとともに微細な凹凸で潤滑剤が保持されるので、遠心力等が作用しても各ボール8の転動によってボール8と外輪2との間、ボール8と内輪3との間およびボール8とアンギュラ玉軸受用保持器4の間に、効率的に微細な凹凸に滞留しているグリースGrが供給される。従って、アンギュラ玉軸受用保持器4の爪にグリースGrを滞留させる凹部を形成する必要がない。これにより、金型の形状を複雑にすることなく軸受内部を適切に潤滑し、アンギュラ玉軸受用保持器4の強度を維持することができる。
次に、図5を用いて、アンギュラ玉軸受用保持器の第二実施形態であるアンギュラ玉軸受用保持器9について説明する。なお、以下の実施形態に係るアンギュラ玉軸受用保持器9は、図1から図4に示すアンギュラ玉軸受用保持器4において、アンギュラ玉軸受用保持器4に替えて適用されるものとして、その説明で用いた名称、図番、記号を用いることで、同じものを指すこととし、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
図5に示すように、アンギュラ玉軸受用保持器9は、ポケットPの凹曲面7にグリースGrを滞留させる複数の微細な凹凸(薄墨部分)が縞状に形成されている。具体的には、ポケットPの凹曲面7には、その表面粗度Raが2.0μm以上25μm以下の凹凸がボール8の回転方向に沿う縞状領域C3に形成されている。縞状領域C3は、所定の幅からなる複数の線状の領域が所定間隔で並ぶように形成されている。すなわち、縞状領域C3は、接触楕円Ovよりも小さい幅で径方向に対して接触角θだけ傾いて形成されている。このように、ポケットPの凹曲面7には、微細な凹凸が形成されている、縞状領域C3が、初期の接触状態に沿う形で、全面に形成されているので、ボール8の回転に伴い、グリースGrの供給、保持が効果的に行われる。
アンギュラ玉軸受用保持器9は、凹曲面7に形成されている縞状領域C3(薄墨部分)に、凹曲面7の凹凸が形成されていない部分を介してグリースGrが効率的に入り込むとともに縞状領域C3に滞留する。アンギュラ玉軸受用保持器9は、回転により遠心力等が作用してもボール8の転動によって、縞状領域C3から凹凸に滞留しているグリースGrが供給される。従って、アンギュラ玉軸受用保持器9は、爪6等にグリースGrを滞留および供給するための凹部を形成する必要がない。これにより、アンギュラ玉軸受用保持器9は、爪に凹部を形成するために金型を複雑な形状にすることなくアンギュラ玉軸受1の内部を適切に潤滑し、ボール8を保持している爪6の強度が維持されるのでボール8の保持精度を保つことができる。
次に、図6から図8を用いて、本実施形態に係る軸受用保持器であるアンギュラ玉軸受用保持器4(またはアンギュラ玉軸受用保持器9)の製造方法について具体的に説明する。アンギュラ玉軸受用保持器4の製造方法は、金型加工工程Aおよび保持器成形工程Bを含む。
図6に示すように、金型加工工程Aにおいて、アンギュラ玉軸受用保持器4用の金型10が放電加工により形成される。金型10は、SK、SKS、SKDなどの合金工具鋼、プリハードン鋼または折出硬化鋼から形成される。具体的には、金型10は、切削加工で荒削り後、ワイヤー放電加工機11(型彫り放電加工機)により放電加工される。放電加工とは、ワーク(金型10)と電極Eとの間に短い周期で繰り返されるアーク放電Arによって被加工物表面の一部を除去する加工方法である。金型10は、放電加工によってアンギュラ玉軸受用保持器4用の外形が形成される。
図7に示すように、金型10のうちポケットPの凹曲面7を形成する部分には、放電加工により表面の一部を溶かして蒸発させることで表面粗度Raが2.0μm以上25μm以下になる微細な凹凸が帯状領域C1、副帯状領域C2(図4参照)や縞状領域C3(図5参照)に形成される。
図8に示すように、保持器成形工程Bにおいて、アンギュラ玉軸受用保持器4が金型加工工程Aにおいて製作されたアンギュラ玉軸受用保持器4用の金型10を用いて成形される。具体的には、溶融させたアンギュラ玉軸受用保持器4の材料であるポリアミド46(PA46)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド9T(PA9T)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の合成樹脂Srが射出成形機12によってアンギュラ玉軸受用保持器4用の金型10に充填される(白塗矢印参照)。金型10に充填された合成樹脂Srは、金型10によって冷やされてアンギュラ玉軸受用保持器4の形状に固化する。この際、金型10のポケットPを形成する面に形成されている微細な凹凸がアンギュラ玉軸受用保持器4に転写される。
このように構成されているアンギュラ玉軸受用保持器4の製造方法は、金型加工工程Aにおいて、金型10のポケットPの曲面を形成する部分にワイヤー放電加工機11によって表面の一部をアーク放電により溶かして蒸発させることで微細な凹凸が形成される。さらに、保持器成形工程Bにおいて、アンギュラ玉軸受用保持器4を射出成形機12によって成形することで金型10のポケットPの曲面を形成する部分に形成した微細な凹凸がアンギュラ玉軸受用保持器4のポケットPに転写される。従って、アンギュラ玉軸受用保持器4の爪6等にグリースGrを滞留させる凹部を形成する必要がない。これにより、金型10の形状を複雑にすることなくアンギュラ玉軸受1の内部を適切に潤滑し、アンギュラ玉軸受用保持器4の強度を維持するアンギュラ玉軸受用保持器4を製造することができる。
以上の実施形態は、アンギュラ玉軸受用保持器4およびアンギュラ玉軸受用保持器4の製造方法について適用されるがこれに限定されるものではなく、例えば、深溝玉軸受およびころ軸受用保持器の製造方法について適用してもよい。また、アンギュラ玉軸受用保持器4は合成樹脂Srから構成され、合成樹脂Srの射出成形によって成型されているがこれに限定するものではなく、金属のプレス成形によるものでもよい。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
4 アンギュラ玉軸受用保持器
5 基部
6 爪
7 凹曲面
P ポケット
C1 帯状領域

Claims (7)

  1. 環状に形成される基部にその軸方向へ延びる複数の爪が前記基部の周方向に一定の間隔で形成され、前記隣り合う爪とその間の基部とによって転動体の外周面に沿う曲面を有するポケットが形成されるアンギュラ玉軸受用保持器において、
    前記ポケットの曲面に潤滑材を滞留させる複数の微細な凹凸が少なくとも一つの帯状の領域に形成され
    前記帯状の領域の一つである帯状領域の両側に、前記帯状領域よりも幅が小さい前記帯状の領域である副帯状領域が、前記帯状領域に沿うように形成されるアンギュラ玉軸受用保持器。
  2. 前記凹凸が、前記ポケットに保持される転動体の自転の方向に沿って形成される請求項1に記載のアンギュラ玉軸受用保持器。
  3. 前記転動体の外周面において、当該転動体の外周面が内輪または外輪と接触する領域を接触領域とすると、前記帯状の領域は、前記転動体の自転時に前記接触領域が通過する領域である請求項2に記載のアンギュラ玉軸受用保持器。
  4. 前記ポケットの曲面の表面粗度Raが、2.0μm以上25μm以下である請求項1に記載のアンギュラ玉軸受用保持器。
  5. 前記転動体とポケットとの曲面との隙間が、300μm以下である請求項1または請求項2に記載のアンギュラ玉軸受用保持器。
  6. 合成樹脂から形成される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアンギュラ玉軸受用保持器。
  7. 環状に形成される基部にその軸方向へ延びる複数の爪が前記基部の周方向に一定の間隔で形成され、前記隣り合う爪とその間の基部とによって転動体の外周面に沿う曲面を有するポケットが形成されるアンギュラ玉軸受用保持器の製造方法であって、
    前記軸受用保持器の金型のうちポケットの曲面を形成する金型の少なくとも一つの帯状の領域を放電加工により表面粗度Raが2.0μm以上25μm以下になるように形成するとともに、前記帯状の領域の一つである帯状領域の両側に、前記帯状領域よりも幅が小さい前記帯状の領域である副帯状領域を前記帯状領域に沿うように形成する金型加工工程と、
    前記金型を用いて射出成形またはプレス成形により前記ポケットの曲面を形成する成形工程と、を有するアンギュラ玉軸受用保持器の製造方法。
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