JP6806417B1 - 触媒温度推定装置、およびエンジン制御装置 - Google Patents

触媒温度推定装置、およびエンジン制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】加減速を繰り返す運転状態においても精度良く触媒温度を推定できる触媒温度推定装置を提供する。【解決手段】連続する加減速運転の実施を判定したときは、第1の加減速運転時補正係数により補正された燃料カット時反応熱定常値と、第2の加減速運転時補正係数による補正されたなまし係数とを用いて、エンジンの排気系に設けられた触媒の温度を推定する。【選択図】図3

Description

本願は、触媒温度推定装置、およびエンジン制御装置に関するものである。
自動車等の車両のエンジンの排気通路に介装されている排気浄化用の触媒は、化学反応によって排気中の有害成分を浄化するものが一般的である。この触媒は、一定の耐熱温度を越えると、貴金属および貴金属を担持する母材が熱によって次第に劣化し、排気浄化能力が低下するだけでなく、触媒自体が熱劣化してしまうという特性を有する。
したがって、触媒の温度を検知または精度良く推定する必要がある。この触媒の温度を検知するには、例えば触媒容器内に温度センサを配設して直接触媒近傍の温度を測定することもできるが、このような温度センサは高価であるため、温度センサを設けずに触媒温度を推定する種々の技術が開発されている。例えば、内燃機関の運転状態に基づいて推定した排気温度と、燃料カットによる反応熱の加算および減衰を行って推定した触媒反応熱と、を加算して触媒層内温度を推定することで、内燃機関の運転状態に影響されることなく触媒の状態を推定するようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第6216244号公報
加減速を繰り返すような車両の運転状態においては、燃料カット時の反応熱、触媒内の蓄熱等による影響があり、加減速運転中の加速時間と減速時間によっては触媒温度上昇度合いが変化し、推定温度誤差が大きくなってしまう場合がある。特許文献1に開示された従来の装置は、触媒の熱容量、熱損等の違いにより異なる触媒内の蓄熱による影響、加減速運転中の燃料カット直前の加速時間の影響、および減速時の燃料カット継続時間の影響等によって、推定温度の誤差が大きくなってしまう場合があることについては考慮していないため、加減速運転を繰り返すような運転状態が継続される場合には、触媒温度の推定精度を十分に高めることが困難となる課題がある。
本願は、従来の装置における前述のような課題を解決するための技術を開示するものであり、車両が加減速運転を繰り返す状態であっても、触媒温度を高精度に推定することができる触媒温度推定装置、およびエンジン制御装置を提供することを目的とする。
本願に開示される触媒温度推定装置は、
エンジンの排気系に設けられた排気浄化用の触媒の温度を推定する触媒温度推定装置であって、
前記触媒に流入する前記エンジンの排気の温度を検知し又は前記エンジンの運転状態に基づいて前記排気の温度を推定する排気温度検知手段と、
前記エンジンの運転状態に基づいて、前記触媒の燃焼時反応熱を推定する燃焼時反応熱推定手段と、
前記エンジンの燃料カットを行う前の運転状態に基づいて、前記エンジンの燃料カット運転時における前記触媒の燃料カット時反応熱定常値を設定する燃料カット時反応熱定常値設定部と、
前記設定された燃料カット時反応熱定常値をなまし処理するなまし処理部と、
前記なまし処理におけるなまし係数を設定するなまし係数設定部と、
前記排気温度検知手段により検知又は推定された前記排気温度と、前記燃焼時反応熱推定手段により推定された燃焼時反応熱と、前記燃料カット時反応熱定常値を前記なまし処理した値を用いて、前記触媒の温度を推定する推定触媒温度演算部と、
前記燃料カットと、前記エンジンに供給された燃料の燃焼と、が繰り返し発生する加減速運転が実施されたか否かを判定する加減速運転実施判定部と、
前記加減速運転実施判定部により前記加減速運転の実施が判定されたとき、前記燃料カット時反応熱定常値設定部により設定された前記燃料カット時反応熱定常値を補正する第1の加減速運転時補正係数を設定する第1の加減速運転時補正係数設定部と、
前記加減速運転実施判定部により前記加減速運転の実施が判定されたとき、前記なまし係数設定部により設定される前記なまし係数を補正する第2の加減速運転時補正係数を設定する第2の加減速運転時補正係数設定部と、
を備えていることを特徴とする。
また、本願に開示されるエンジン制御装置は、
エンジンの排気系に設けられた排気浄化用の触媒の温度を推定する触媒温度推定装置と、
前記エンジンへの燃料の供給を制御する燃料制御部と、
を備え、
前記触媒温度推定装置は、
前記触媒に流入する前記エンジンの排気の温度を検知し又は前記エンジンの運転状態に基づいて前記排気の温度を推定する排気温度検知手段と、
前記エンジンの運転状態に基づいて、前記触媒の燃焼時反応熱を推定する燃焼時反応熱推定手段と、
前記エンジンの燃料カットを行う前の運転状態に基づいて、前記エンジンの燃料カット運転時における前記触媒の燃料カット時反応熱定常値を設定する燃料カット時反応熱定常値設定部と、
前記設定された燃料カット時反応熱定常値をなまし処理するなまし処理部と、
前記なまし処理におけるなまし係数を設定するなまし係数設定部と、
前記排気温度検知手段により検知又は推定された前記排気温度と、前記燃焼時反応熱推定手段により推定された燃焼時反応熱と、前記燃料カット時反応熱定常値を前記なまし処理した値を用いて、前記触媒の温度を推定する推定触媒温度演算部と、
前記燃料カットと、前記エンジンに供給された燃料の燃焼と、が繰り返し発生する加減速運転が実施されたか否かを判定する加減速運転実施判定部と、
前記加減速運転実施判定部により前記加減速運転の実施が判定されたとき、前記燃料カット時反応熱定常値設定部により設定された前記燃料カット時反応熱定常値を補正する第1の加減速運転時補正係数を設定する第1の加減速運転時補正係数設定部と、
前記加減速運転実施判定部により前記加減速運転の実施が判定されたとき、前記なまし係数設定部により設定される前記なまし係数を補正する第2の加減速運転時補正係数を設定する第2の加減速運転時補正係数設定部と、を備え
前記燃料制御部は、
前記触媒温度推定装置により推定された前記触媒の温度を用いて、前記燃料の供給を制御するように構成されている、
ことを特徴とする。
本願に開示される触媒温度推定装置によれば、車両が加減速運転を繰り返す状態であっても、触媒温度を高精度に推定することができる。
また、本願に開示されるエンジン制御装置によれば、車両が加減速運転を繰り返す状態であっても、触媒温度を高精度に推定してエンジンを高精度に制御することができる。
実施の形態1による触媒温度推定装置が適用される、エンジン制御装置の吸排気系を示す概略構成図である。 実施の形態1による触媒温度推定装置、およびエンジン制御装置の制御系の構成を示すブロック図である。 実施の形態1による触媒温度推定装置、およびエンジン制御装置の機能ブロック図である。 実施の形態1による触媒温度推定装置、およびエンジン制御装置の動作を示すタイムチャートである。 実施の形態1による触媒温度推定装置、およびエンジン制御装置の動作を示すフローチャートである。
実施の形態1.
以下、実施の形態1による触媒温度推定装置、およびその触媒温度推定装置を備えたエンジン制御装置について、図に基づいて説明する。図1は、実施の形態1による触媒温度推定装置が適用される、エンジン制御装置の吸排気系を示す概略構成図である。図1において、エンジン1のクランク軸には、その回転角に応じた電気信号を生成するためのクランク角センサ11が取り付けられている。また、エンジン1の燃焼室の吸入口と排出口には、それぞれ、吸気路を形成する吸気管2と、排気路を形成する排気管7が接続されている。
吸気管2の最上流側には、取り込んだ外気を浄化するためのエアクリーナ3が取り付けられている。吸気管2のエアクリーナ3の下流側(エンジン1に近い側)には、吸入空気流量に応じた電気信号を生成するエアフローセンサ12と、吸入路内の吸入空気温度に応じた電気信号を生成する吸気温センサ13と、が互いに一体又は別体に設けられている。なお、図1では、エアフローセンサ12と吸気温センサ13が一体に構成された例を示す。また、吸気管2のエアクリーナ3の下流側には、大気圧に応じた電気信号を生成する大気圧センサ9が設けられている。なお、大気圧センサは後述するECU100に内蔵されていてもよい。
排気管7には、排気ガス浄化触媒22が設けられている。排気管7の排気ガス浄化触媒22の上流側(エンジン1に近い側)には、燃焼ガス内の燃料又は酸素の割合に応じた電気信号を生成する空燃比センサ16が設けられている。
エアフローセンサ12と吸気温センサ13の下流側には、エンジン1に送られる空気流量を調整するためのスロットルバルブ4が設けられている。スロットルバルブ4には、そのスロットル開度に応じた電気信号を生成するスロットルポジションセンサ14が接続されている。
さらに、吸気管2のスロットルバルブ4の下流側には、吸気脈動を抑制するためのサージタンク5が設けられている。サージタンク5には、サージタンク5内の空気圧に応じた電気信号を生成するインテークマニホールド圧センサ(以下、インマニ圧センサと称する)15が設けられている。なお、エアフローセンサ12およびインマニ圧センサ15については、その両方が設けられてもよいし、インマニ圧センサ15のみが設けられてもよい。図1は、エアフローセンサ12とインマニ圧センサ15とがそれぞれ設けられている場合を示す。
エアフローセンサ12を設けずにインマニ圧センサ15のみが取り付けられている場合は、図1に破線の引き出し線で示すように、吸気温センサ13はサージタンク5に設けられる。この場合、図1では、インマニ圧センサ15と吸気温センサ13とをそれぞれ別体に構成した例を示すが、インマニ圧センサ15と吸気温センサ13とは、一体に構成されてもよい。
吸気管2のサージタンク5の下流のエンジン1側には、燃料を噴射するインジェクタ17が設けられている。なお、インジェクタ17は、シリンダ8内に直接燃料を噴射するように設けられてもよい。
シリンダ8の頂部には、エンジン1に吸入された空気とインジェクタ17から噴射された燃料とが混合して生成される可燃混合気に点火する点火プラグ18と、点火プラグ18に点火火花を形成させるためのエネルギーを発生させる点火コイル19とが設けられている。また、吸気路からシリンダ8内に導入される空気流量を調節する吸気バルブ20と、シリンダ8内から排気路に排出される排気を調節する排気バルブ21が設けられている。
図2は、実施の形態1による触媒温度推定装置、およびエンジン制御装置の制御系の構成を示すブロック図である。図2において、電子制御ユニットとしてのECU(Electronic Control Unit)100は、クランク角センサ11、エアフローセンサ12、吸気温センサ13、スロットルポジションセンサ14、インマニ圧センサ15、および空燃比センサ16、大気圧センサ9、のそれぞれによって生成された電気信号を受ける。
ECU100は、また、前述のセンサ以外の各種センサOSからも電気信号を受ける。各種センサOSには、アクセル(図示せず)の操作量に応じた電気信号を生成するアクセルポジション(開度)センサ(図示せず)、エンジン1の燃焼制御用のセンサ、車両の挙動制御用のセンサ(例えば、車速センサ、水温センサ等)等が含まれている。なお、以下の説明では、センサ部200の前述のそれぞれのセンサが出力する検出値に対応した電気信号を、それぞれの検出値の名称により表記する。
ECU100は、クランク角センサ11からの回転速度Ne、エアフローセンサ12により実計測した吸入空気流量Qr、吸気温センサ13からの吸気温AT、スロットルポジションセンサ14からのスロットル開度TH、インマニ圧センサ15からのインマニ圧Pb、空燃比センサ16からの空燃比A/F、大気圧センサ9からの大気圧AP、および車両に設けられた各種センサOSのうちのアクセルの開度を検出するアクセル開度センサからのアクセル開度D、の各入力データに基づいて、エンジン1が発生した実トルクを推定した推定出力トルクを算出するとともに、前述のそれぞれのセンサからの入力データ、および他のコントローラOCO、例えば、トランスミッション制御、ブレーキ制御、トラクション制御、スタビリティ制御等のための各コントローラ、からのトルク要求値TRRに基づいて、目標出力トルクを算出する。
さらに、ECU100は、算出した目標出力トルクを達成するように、空燃比A/F、各制御目標値[例えば、吸気VVT(Variable Valve Timing:可変バルブタイミング)制御での位相角、排気VVT制御での位相角、EGR(Exhaust Gas Recirculation:排気ガス再循環)率、点火時期等]を参照して、目標吸入空気流量Qatの目標値を達成するようにスロットルバルブ4の開度を制御し、空燃比A/Fの目標値を達成するようにインジェクタ17の燃料噴射量を制御し、点火時期の目標値を達成するように点火コイル19の通電を制御する。ECU100は、さらに、スロットルバルブ4とインジェクタ17と点火コイル19以外の、各種装置のための各種アクチュエータOACに対する駆動の目標値も算出する。なお、図2では、スロットルバルブ4、インジェクタ17、点火コイル19、各種アクチュエータOAC、を含めてアクチュエータ部300として表示している。
前述のように構成されたエンジン制御系によりエンジン1の筒内燃焼が最適化され、筒内燃焼による排気ガスは、排気ガス浄化触媒22により浄化された後、マフラ(図示せず)を介して大気に放出される。
さらに、ECU100は、排気ガス浄化触媒22の触媒温度推定処理を行う触媒温度推定装置としての機能も有している。ECU100は、触媒温度推定装置による触媒温度推定値が予め定められた第1の温度A(例えば、加熱継続による触媒劣化が懸念される温度)以上となった場合、燃料を増量して排気温度を下げ、更に、触媒温度推定装置による触媒温度推定値が予め定められた第2の温度B以上となった場合は、燃料カットを禁止して触媒温度の上昇を抑制することにより、触媒を保護する。ここで、第2の温度Bは第1の温度Aより大きい。
ここで、ECU100は、演算処理を実行するCPU100aと、プログラムデータ、固定値データ等を記憶するROMおよび格納されているデータを更新して順次書き換えられるRAMを含む記憶部100bと、を有するマイクロプロセッサで構成されている。
図3は、実施の形態1による触媒温度推定装置、およびエンジン制御装置の機能ブロック図であって、図2のECU100内の触媒温度推定制御部およびその関連部分の機能構成の一例を示している。ECU100の記憶部100bにおけるROM(Read Only Memory)には、触媒温度推定制御部105と燃料制御部140が、ソフトウェアとして記憶されている。
触媒温度推定制御部105は、排気温度検知部110を備えており、この排気温度検知部110は、その内部に、排気温度定常値設定部111と、第1のなまし係数設定部112と、第1のなまし処理部113とを備えている。また、触媒温度推定制御部105は、燃焼時反応熱推定部120を備えており、この燃焼時反応熱推定部120は、その内部に、燃焼時反応熱定常値設定部121と、第2のなまし係数設定部122と、第2のなまし処理部123とを備えている。さらに、触媒温度推定制御部105は、燃料カット時反応熱定常値設定部130と、第3のなまし係数設定部131と、第3のなまし処理部132と、加減速運転実施判定部133と、第1の加減速運転時補正係数設定部134と、第2の加減速運転時補正係数設定部135と、推定触媒温度演算部136と、を備えている。図3に示すエンジン1には、図2におけるアクチュエータ部300のうち、燃料制御に関わるインジェクタ17のみが示されている。
次に、触媒温度推定制御部105について、さらに詳細に説明する。まず、排気温度検知部110において、排気温度定常値設定部111は、エンジン1の回転速度Neと充填効率Ecとに基づいて予め定常状態で作成した定常排気温マップから推定排気温度定常値Tex_mapを算出する。
次に、第1のなまし係数設定部112は、排気流量Qexに基づいて予め過渡時の排気温度応答遅れを基に作成した第1のなまし係数テーブルから、第1のなまし係数Filt_exを算出する。前述の第1のなまし係数テーブルには、上昇側テーブルと下降側テーブルの2種類のテーブルがあり、排気温度定常値設定部111からの出力値である推定排気温度定常値Tex_mapが、第1のなまし係数Filt_exによるなまし処理後の現在の推定値よりも大きいときは、上昇側テーブルから第1のなまし係数Filt_exを設定し、排気温度定常値設定部111からの出力値である推定排気温度定常値Tex_mapが、第1のなまし係数Filt_exによるなまし処理後の現在の推定排気温度よりも小さいときは、下降側テーブルから第1のなまし係数Filt_exを設定する。第1のなまし係数設定部112に入力される排気流量Qexは、現排気工程のタイミングに対応する吸気工程のタイミングでの吸入空気流量Qrと、空燃比A/Fから算出した燃料量と、を加算して求めたECU100の演算値である。
第1のなまし処理部113は、排気温度定常値設定部111で算出した推定排気温度定常値Tex_mapに対して、第1のなまし係数設定部112で算出した第1のなまし係数Filt_exにより、例えば一次遅れによる第1のなまし処理を行い、そのなまし処理後の推定排気温度Tex_estを算出して出力する。
なお、実施の形態1では、排気温度検知部110は、推定排気温度Tex_estを出力するようにしているが、排気温センサを設けて、その排気温センサによる検出値を出力するようにしてもよい。
次に、燃焼時反応熱推定部120において、燃焼時反応熱定常値設定部121は、前述の排気流量Qexに基づいて予め定常状態で作成した燃焼時反応熱テーブルから得られる値に、点火時期および空燃比A/Fによる補正を行い、推定燃焼時反応熱定常値Hr_tblを算出する。点火時期および空燃比A/Fによる補正の詳細は、点火時期および空燃比A/Fをパラメータとする補正係数テーブルに基づいて得られた補正係数を加算または乗算することで行う。
第2のなまし係数設定部122は、前述の排気流量Qexに基づく過渡時の燃焼時反応熱応答遅れを基に、予め作成した第2のなまし係数テーブルから第2のなまし係数Filt_hrを算出する。前述の第2のなまし係数テーブルには、上昇側テーブルと下降側テーブルの2種類のテーブルがあり、燃焼時反応熱定常値設定部121の出力値である推定燃焼時反応熱定常値Hr_tblが、第2のなまし係数Filt_hrによるなまし処理後の現在の推定値よりも大きいときは、上昇側テーブルから第2のなまし係数Filt_hrを設定し、燃焼時反応熱定常値設定部121の出力値である推定燃焼時反応熱定常値Hr_tblが、第2のなまし係数Filt_hrによるなまし処理後の現在の推定値よりも小さいときは、下降側テーブルによる第2のなまし係数Filt_hrを設定する。
第2のなまし処理部123は、燃焼時反応熱定常値設定部121で設定した推定燃焼時反応熱定常値Hr_tblに対して、第2のなまし係数設定部122で算出した第2のなまし係数Filt_hrにより、例えば一次遅れによる第2のなまし処理を行い、そのなまし処理後の推定燃焼時反応熱Hr_estを算出して出力する。
なお、実施の形態1では、燃焼時反応熱推定部120は、前述のように、推定燃焼時反応熱定常テーブル値と第2のなまし係数を用いて推定燃焼時反応熱Hr_estを算出して出力するようにしているが、第2のなまし係数を非使用とし、物理モデル等を用いた推定燃焼時反応熱を出力するようにしてもよい。
次に、燃料カット時反応熱定常値設定部130は、燃料カット直前の排気流量Qexと燃料カット直前の空燃比A/Fに基づいて予め燃料カット時の反応熱を基に作成した燃料カット時反応熱マップから得られる値に、吸気温ATによる補正を行い、推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_mapを設定する。また、前述の推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_mapは、燃料カット開始時点からの予め定められた時間Tfcの間だけ算出し、その予め定められた時間Tfc以降は「0」とする。予め定められた時間Tfcは、燃料カット直前の空燃比A/Fと排気流量Qexとに基づいて予め燃料カット時の反応熱による触媒温度上昇時間を基に作成した時間マップから算出される。
吸気温ATによる補正の詳細は、吸気温ATをパラメータとする補正係数テーブルを基に得られた補正係数を加算又は乗算することで行う。また、後述の加減速運転実施判定部133により、加減速運転の成立が判定されているときは、後述の第1の加減速運転時補正係数設定部134で設定された第1の加減速運転時補正係数に基づき、推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_mapを補正する。
次に、第3のなまし係数設定部131は、前述の排気流量Qexに基づいて過渡時の燃料カット時反応熱応答遅れを基に予め作成した第3のなまし係数テーブルを備え、この第3のなまし係数テーブルから第3のなまし係数Filt_fchrを算出する。第3のなまし係数テーブルには、上昇側テーブルと下降側テーブルの2種類のテーブルがあり、前述の燃料カット時反応熱定常値設定部130の出力値である推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_mapが、第3のなまし係数Filt_fchrによるなまし処理後の現在の推定値よりも大きいときは、上昇側テーブルから第3のなまし係数Filt_fchrを設定し、前述の燃料カット時反応熱定常値設定部130の出力値である推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_mapが、第3のなまし係数Filt_fchrによるなまし処理後の現在の推定値よりも小さいときは、下降側テーブルから第3のなまし係数Filt_fchrを設定する。なお、前述の第3のなまし係数テーブルは、エンジン1の吸気流量に基づいて予め作成されていてもよい。
また、後述の加減速運転実施判定部133により、加減速運転の成立が判定されているときは、後述の第2の加減速運転時補正係数設定部135で設定された補正係数に基づき、第3のなまし係数Filt_fchrを補正する。
次に、第3のなまし処理部132は、燃料カット時反応熱定常値設定部130で設定した推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_mapに対して、第3のなまし係数設定部131で算出した第3のなまし係数Filt_fchrにより、例えば一次遅れによるなまし処理を行い、なまし処理後の推定燃料カット時反応熱FCHr_estを算出し出力する。
加減速運転実施判定部133は、例えば、燃料カット継続時間、燃料カット開始直前の燃焼時間、燃料カット直前の空燃比A/F、充填効率Ec等の条件から、燃焼状態から燃料カットへの切り替わりが設定時間以下で連続して発生しているかどうかによって加減速運転の成立か非成立かを判定する。
なお、加減速運転実施判定部133による加減速運転の成立判定は、クランク角センサ11によって求められたエンジンの回転速度Neの変化量で、加速から減速へ切り替わったことを検出して行うこともでき、また、エアフローセンサ12によって求められた吸入空気流量Qrの変化量、スロットルポジションセンサ14の変化量等で、加速から減速へ切り替わったことを検出して行うこともできる。
第1の加減速運転時補正係数設定部134は、燃料カット直前の燃焼時間に基づいて予め作成した第1の加減速運転時補正係数テーブルから、第1の加減速運転時補正係数を設定し、加減速運転実施判定部133で加減速運転の成立が判定されたときに、燃料カット時反応熱定常値設定部130に出力する。
第2の加減速運転時補正係数設定部135は、燃料カット開始からの燃料カット継続時間に基づいて予め作成した第2の加減速運転時補正係数テーブルから、第2の加減速運転時補正係数を設定し、加減速運転実施判定部133で加減速運転の成立が判定されたときに、第3のなまし係数設定部131に出力する。
推定触媒温度演算部136は、排気温度検知部110で算出した推定排気温度Tex_estに、燃焼時反応熱推定部120で算出した推定燃焼時反応熱Hr_estと、第3のなまし処理部132で算出した推定燃料カット時反応熱FCHr_estを加算し、推定触媒温度Tcat_estを算出して出力する。
燃料制御部140は、推定触媒温度演算部136からの推定触媒温度Tcat_estが予め定められた第1の温度A(例えば、加熱継続による触媒劣化が懸念される温度)以上であるときに、触媒保護のための燃料増量制御を実施するようにエンジン1のインジェクタ17を駆動し、推定触媒温度Tcat_estが予め定められた第2の温度B(例えば短時間の加熱で触媒劣化が懸念される温度)以上となったときに、触媒保護のための燃料カット禁止制御を実施するようにエンジン1のインジェクタ17を駆動する。ここで、第2の温度Bは、第1の温度Aより高い温度とする
図4は、実施の形態1による触媒温度推定装置、およびエンジン制御装置の動作を示すタイムチャートであって、連続する加減速運転を実施したときの推定触媒温度の挙動および触媒保護制御動作の一例を示している。図4は、横軸を時間とし、アクセル開度(1)、燃料カットフラグ(2)、加減速運転判定フラグ(3)、推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_map(4)、推定燃料カット時反応熱FCHr_est(5)、燃料カット時反応熱用の第3のなまし係数Filt_fchr(6)、触媒温度(7)、燃料増量制御実行フラグ(8)、燃料カット禁止制御実行フラグ(9)、予め定められた第2の温度B(10)、予め定められた第1の温度A(11)、をそれぞれ示している。
推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_map(4)に点線で示す(4a)と、推定燃料カット時反応熱FCHr_est(5)に点線で示す(5a)と、燃料カット時反応熱用の第3のなまし係数Filt_fchr(6)に点線で示す(6a)は、それぞれ、実施の形態1における推定燃料カット時反応熱定常値の補正と燃料カット時反応熱用の第3のなまし係数の補正を実施した場合の補正後の値であり、推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_map(4)に実線で示す(4b)と、推定燃料カット時反応熱FCHr_est(5)に実線で示す(5b)と、燃料カット時反応熱用の第3のなまし係数Filt_fchr(6)に実線で示す(6b)とは、それぞれ、前述の加減速運転時の補正を実施しなかった場合、つまり補正前の値を示している。
触媒温度(7)に点線で示す推定触媒温度(7a)は、加減速運転時補正後の演算値であり、実線で示す推定触媒温度(7b)は、加減速運転時補正前の演算値であり、破線(7c)で示す実触媒温度は、温度センサを用いて計測した実触媒温度をそれぞれ示している。
図4のタイムチャートに示す処理は、ECU100によって予め定められた時間毎の割り込み処理により実行される。まず、実施の形態1による触媒温度推定装置による触媒温度の推定を実施しない場合、即ち、推定燃料カット時反応熱定常値の補正と、燃料カット時反応熱の第3のなまし係数による補正と、を実施していない場合について説明する。図4において、期間Aは、加減速を行わない車両の通常走行区間であり、アクセル開度(1)は一定の開度A11に保持されている。この期間Aでは、触媒温度(7)における従来の補正なしの推定触媒温度(7b)は、実触媒温度(7c)に対して殆ど誤差は無い状態にある。
次に、期間Bでは、アクセル開度(1)が、開度A11から開度A12に一定期間増大して車両は加速し、その後、アクセル開度は全閉A13となって一定期間の燃料カットが実施されて車両は減速し、さらにその後、アクセル開度は開度A12となり一定期間加速される。つまり、期間Bでは車両の加速と減速が交互に繰り返される状態となり、以降の期間Cにおいても同様に車両の加速と減速が繰り返される。燃料カットフラグ(2)は、アクセル開度(1)が全閉A13の期間に対応して「1」となり、加速の開度A12の期間に対応して「0」となる。
このとき、推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_map(4)と、燃料カット時反応熱用の第3のなまし係数Filt_fchr(6)と、に対して加減速運転時補正は実施していないため、推定燃料カット時反応熱FCHr_est(5)の補正前の推定値(5b)は、加減速運転の繰り返しによる触媒の熱容量に応じた蓄熱による影響、および熱損による冷却損失の影響まで考慮した推定値にはなっていない。そのため、加速と減速の運転を繰り返すと、触媒温度(7)に示すように、実触媒温度(7c)に対する推定触媒温度(7b)の誤差は、時間の経過とともに増大することになる。
次に、実施の形態1により、触媒温度推定装置による推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_mapの補正と、燃料カット時反応熱用の第3のなまし係数Filt_fchrの補正と、を実施した場合について説明する。図4において、期間Bでの車両の加速と減速が連続して交互に繰り返される状態となる運転が実施されたときに、図3に示す加減速運転実施判定部133によって加減速運転の判定が成立する。
加減速運転判定の判定条件の詳細は、燃料カット継続時間、燃料カット開始直前の燃焼時間、燃料カット直前の空燃比A/F、充填効率Ec等の条件から、燃焼状態から燃料カットへの切り替わりが予め定められた設定時間以下で連続して発生した場合に、加減速運転の成立を判定する。加減速運転実施判定部133により加減速運転の成立が判定された期間Cでは、加減速運転判定フラグ(3)は「1」となる。なお、加減速運転実施判定部133により加減速運転が成立していないと判定されている期間A、期間Bでは、加減速運転判定フラグ(3)は「0」である。
加減速運転を連続して繰り返す期間Cの間、前述のように加減速運転の判定が成立して加減速運転判定フラグ(3)が「1」となり、その判定成立期間中は、推定燃料カット時反応熱定常値(4)と、第3のなまし係数Filt_fchr(6)の補正が実施される。即ち、推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_map(4)を増加側へ補正して補正後の値(4a)とし、第3のなまし係数Filt_fchr(6)を減少側に補正して補正後の値(6a)とする。
ここで、第3のなまし係数Filt_fchr(6)の補正についてさらに詳細に説明すれば、燃料カット時反応熱定常値設定部130からの前回の出力値である推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_map(4)の値が、第3のなまし係数Filt_fchr(6)によるなまし処理後の現在の推定値よりも大きいときは、上昇側テーブルから第3のなまし係数Filt_fchrを設定し、逆に、燃料カット時反応熱定常値設定部130からの前回の出力値である推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_map(4)の値が、第3のなまし係数Filt_fchr(6)によるなまし処理後の現在の推定値よりも小さいときは、下降側テーブルから第3のなまし係数Filt_fchr(6)を設定する。
このとき、上昇側テーブルから設定する第3のなまし係数Filt_fchrの値は減少側に補正されるが、下降側テーブルから設定する第3のなまし係数Filt_fchrの値は補正されない。このようにすることで、加減速運転を繰り返した場合の触媒内の蓄熱等の影響による誤差分を補うことができ、触媒温度(7)に示すように、実触媒温度(7c)に対して補正後の推定触媒温度(7a)の推定精度を向上させることが可能となる。
推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_map(4)の補正は、第1の加減速運転時補正係数設定部134により行い、その第1の加減速運転時補正係数の値は、燃料カット直前の燃焼時間に応じて設定される。燃料カット前の燃焼時間が長い程、燃料カット後の触媒内未燃燃料の蓄積は多く、より反応熱が大きくなるため、その傾向に応じて第1の加減速運転時補正係数を設定しておくことで、より精度良く触媒温度の推定を行うことができる。
また、推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_map(4)は、吸気温ATに応じた補正も実施される。燃料カット時に触媒へ流入する空気流量は、吸気温が低い程その密度が上昇し、質量流量が増加する。そのため触媒内未燃ガスとの反応熱が増加する。そこで、吸気温補正係数を吸気温に応じて設定し、燃料カット時の触媒反応熱を吸気温が低い程増加する側に補正することで、異なる吸気温環境においても、より精度良く触媒温度の推定を行うことができ、精度の高い推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_map(4)を得ることができる。
前述の第3のなまし係数Filt_fchr(6)の補正は、前述の第2の加減速運転時補正係数設定部135からの第2の加減速運転時補正係数により行われ、第2の加減速運転時補正係数の値は燃料カット直前の燃焼時間に応じて設定される。燃料カット時の反応熱は、燃料カット後、反応熱がピークに達した後、徐々に減衰していくため、燃料カット開始直後の変化速度が最も速くその後は変化速度が遅くなる傾向があるが、燃料カット開始からの経過時間に応じて第3のなまし係数を設定可能とすることで、推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_map(4)に対する応答速度をより最適に設定することが可能となり、より精度良く触媒温度の推定を行うことができる。
図4では、加減速運転判定フラグ(3)が「1」なる期間Cにおいて、燃料カットフラグ(2)が「1」となる燃料カット時の期間Dで、第3のなまし係数Filt_fchr(6)を大きく補正して、推定燃料カット時反応熱FCHr_est(5)の上昇側の立ち上がり5a1の立ち上がり速度を速め、期間Dに続く期間Eの間では、第3のなまし係数Filt_fchr(6)の補正を小さくして、推定燃料カット時反応熱FCHr_est(5)の上昇側の立ち上がり5a2の立ち上がり速度を遅く設定した例を示す。
触媒温度(7)に点線で示す実施の形態1による補正を行った推定触媒温度(7a)が、予め定められた第1の温度A(11)(例えば加熱継続による触媒劣化が懸念される温度)以上になると、燃料増量制御実行フラグ(8)が「0」から「1」となり、触媒保護のための燃料増量制御が実行される。また、前述の点線で示す推定触媒温度(7a)が、予め定められた第2の温度B(例えば短時間の加熱で触媒劣化が懸念される温度)以上になると、燃料カット禁止制御実行フラグ(9)が「0」から「1」となり、触媒保護のための燃料カット禁止制御を実行される。
以上述べたように、連続する加減速運転を判定した場合には、推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_map(4)を第1の加減速運転時補正係数および第2の加減速運転時補正係数による補正後の値を使用して推定触媒温度7aを演算することで、より精度良く触媒温度の推定を行うことができる。
さらに、加減速運転を繰り返すような運転条件においても推定触媒温度の推定精度が向上することによって、触媒温度が真に高温となった条件でのみ保護制御を実行可能となるため、無駄に燃料増量若しくは燃料カット禁止を実行することがなくなり、ひいては燃費が向上する。また、保護制御が必要なときに推定触媒温度の誤差が低い側に大きくなって保護制御の実行が遅れるという状態についても回避することができる。
続いて、実施の形態1による触媒温度推定装置、およびエンジン制御装置の動作を、フローチャートに従って説明する。図5は、実施の形態1による触媒温度推定装置、およびエンジン制御装置の動作を示すフローチャートである。図5において、ステップS101では、エンジン1の回転速度Neと充填効率Ecとに基づいて予め定常状態で作成した定常排気温マップから、推定排気温度定常値Tex_mapを算出し、ステップS102へ進む。
ステップS102では、ステップS101で算出した推定排気温度定常値Tex_mapに、第1のなまし係数Filt_exによるなまし処理を実施して、なまし処理後の推定排気温度Tex_estを算出し、ステップS103へ進む。
ステップS103では、排気流量Qexに基づいて予め定常状態で作成した燃焼時反応熱テーブルから得られる燃焼時反応熱の値に、点火時期および空燃比A/Fによる補正を行い、推定燃焼時反応熱定常値Hr_tblを算出し、ステップS104へ進む。
ステップS104では、ステップS103で算出した推定燃焼時反応熱定常値Hr_tblに、第2のなまし係数Filt_hrによるなまし処理を実施して、なまし処理後の推定燃焼時反応熱Hr_estを算出し、ステップS105へ進む。
ステップS105では、連続する加減速運転が実施されたかどうかを判定し、加減速運転実施判定が成立していればステップS106へ進み、成立していなければステップS108へ進む。
ステップS106では、燃料カット直前の燃焼時間に基づいて予め作成した第1の加減速運転時補正係数テーブルから、第1の加減速運転時補正係数を設定し、推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_mapへの補正値反映を有効にして、ステップS107へ進む。
ステップS107では、燃料カット開始からの燃料カット継続時間に基づいて予め作成した第2の加減速運転時補正係数テーブルから、第2の加減速運転時補正係数を設定し、第3のなまし係数Filt_fchrへの補正値反映を有効にして、ステップS110へ進む。
ステップS108では、前述の第1の加減速運転時補正係数の反映を無効化してステップS109へ進む。
ステップS109では、前述の第2の加減速運転時補正係数の反映を無効化してステップS110へ進む。
ステップS110では、燃料カット直前の前述の排気流量Qexと燃料カット直前の空燃比A/Fに基づいて予め燃料カット時の反応熱を基に作成した推定燃料カット時反応熱定常値マップから得られる値に、吸気温ATによる補正を行い、前述の第1の加減速運転時補正係数が有効となっている場合は、第1の加減速運転時補正係数による補正を実施して、推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_mapを算出し、ステップS111へ進む。
ステップS111では、前述の第2の加減速運転時補正係数が有効となっている場合は、第3のなまし係数Filt_fchrに第2の加減速運転時補正係数による補正を行い、ステップS110で算出した推定燃料カット時反応熱定常値FCHr_mapに第3のなまし係数Filt_fchrによるなまし処理を実施して、なまし処理後の推定燃料カット時反応熱FCHr_estを算出し、ステップS112へ進む。
ステップS112では、ステップS102で算出されたなまし処理後の推定排気温度Tex_estと、ステップS104で算出されたなまし処理後の推定燃焼時反応熱Hr_estと、ステップS111で算出されたなまし処理後の推定燃料カット時反応熱FCHr_estを加算して、推定触媒温度Tcat_estを算出し、ステップS113へ進む。
ステップS113では、ステップS112で算出された推定触媒温度Tcat_estが前述の第2の温度B(例えば短時間の加熱で触媒劣化が懸念される温度)以上か否かを判定し、推定触媒温度Tcat_estが第2の温度B以上であれば、ステップS115へ進み、推定触媒温度Tcat_estが第2の温度B未満であればステップS114へ進む。
ステップS114では、ステップS112で算出された推定触媒温度Tcat_estが第1の温度A(例えば加熱継続による触媒劣化が懸念される温度)以上か否かを判定し、推定触媒温度Tcat_estが第1の温度A以上であれば、ステップS116へ進み、推定触媒温度Tcat_estが第1の温度A未満であれば処理を抜ける。
ステップS115では、触媒保護制御である燃料カット禁止制御を実行して処理を抜ける。
ステップS116では、触媒保護制御である燃料増量制御を実行して処理を抜ける。
実施の形態1によるエンジン制御装置は、前述の実施の形態1による触媒温度推定制御部105を備えた触媒温度推定装置と、エンジンへの燃料の供給を制御する燃料制御部140と、燃料制御部140により制御されるインジェクタ17を備えている。燃料制御部140は、触媒温度推定制御部105により推定された触媒の温度を用いて、インジェクタ17を駆動してエンジン1への燃料の供給を制御するように構成されている。
実施の形態1によるエンジン制御装置における前述の燃料制御部は、前述の第1の加減速運転時補正係数により補正された燃料カット時反応熱定常値と、前述の第2の加減速運転時補正係数による補正されたなまし係数と、を用いて前述の推定触媒温度演算部により推定された触媒の温度が、予め設定された第1の温度A以上となったときに、エンジンに供給する燃料を増量させるように構成されている。
また、実施の形態1によるエンジン制御装置における前述の燃料制御部は、前述の第1の加減速運転時補正係数により補正された燃料カット時反応熱定常値と、前述の第2の加減速運転時補正係数による補正されたなまし係数と、を用いて前述の推定触媒温度演算部により推定された触媒の温度が、予め設定された第2の温度B以上となったときに、エンジンの燃料カットの実施を禁止するように構成されている。前述の第2の温度Bは、前述の第1の温度より大きく設定されている。
ここで、本願の実施の形態1による触媒温度推定装置、およびその触媒温度推定装置を備えたエンジン制御装置が有する効果について述べる。前述のように、車両が加減速運転を繰り返すような場合には、燃料噴射制御装置は、燃料カットと燃料噴射を繰り返すことになる。このとき、燃料噴射時には、触媒は燃焼した排気ガスにより高温となり、その後、燃料カットが実行されると、酸素が流入し触媒で排気ガス中の未燃ガスが酸化することでさらに高温となる現象が繰り返されることになる。このような運転状態であっては、触媒の温度が急激に上昇する。このような条件においては、排気流量、空燃比A/F等の運転条件に応じた燃料カット時の触媒反応熱を用いて触媒温度を推定しても、触媒内の蓄熱が影響し、加減速運転時の排気流量および空燃比A/Fは同じであっても、加減速運転開始時と繰り返し継続後では燃料カット中の触媒温度の上昇度合いが異なり、推定温度誤差が大きくなってしまう場合がある。
これに対して、本願の実施の形態1による触媒温度推定装置、およびその触媒温度推定装置を備えたエンジン制御装置によれば、加減速運転が繰り返し実施され、燃料カット時の反応熱が繰り返し蓄熱されて触媒の温度が急激に上昇するような状態においても、より精度良く触媒温度を推定することが可能となる。加減速運転が繰り返されるときの推定触媒温度の精度が向上することによって、触媒保護制御である燃料増量制御若しくは燃料カット禁止制御を無駄に実行することがなくなり、ひいては燃費が向上する。また、加減速運転を繰り返す状態で実触媒温度に対して推定触媒温度上昇が遅れて保護制御の実行が遅れるという状態についても回避することができる。
また、本願の請求項2に記載の触媒温度推定装置によれば、燃料カット直前の燃焼時間に応じて補正量を調整することが可能となり、加減速運転条件のばらつきに対してより精度良く触媒温度を推定することが可能となる。
本願の請求項3に記載の触媒温度推定装置によれば、燃料カットの継続時間に応じて補正量を調整することが可能となり、加減速運転条件のばらつきに対してより精度良く触媒温度を推定することが可能となる。
本願の請求項4に記載の触媒温度推定装置によれば、触媒の熱容量、現在温度および運転条件に基づいて推定された定常推定値のずれなどにより、過渡時に最適な、なまし係数は温度上昇時と温度下降時では違った値となるが、上昇時と下降時で別設定とすることによって、より精度良く過渡時の触媒温度を推定することが可能となる。
本願の請求項5に記載の触媒温度推定装置によれば、過渡時の触媒温度変化は排気流量または吸気流量による差が大きく、排気流量が多い程、排気温度による影響を大きく受け、過渡時において排気温度変化に対する遅れは小さく、排気流量が少ないほど排気温度変化に対する遅れが大きくなるが、前記なまし係数を排気流量に基づいて設定することにより、より精度良く過渡時の触媒温度を推定することが可能となる。前記排気流量の代わりに吸気流量に基づいた設定としても良い。
本願の請求項6に記載の触媒温度推定装置によれば、燃料カット時に触媒へ流入する空気流量は、吸気温が低い程密度が上昇し質量流量が増加するため、排ガス中の未燃ガスの燃焼は吸気温が低い程増加することとなりより高温になるが、前記吸気温補正係数を吸気温に応じて設定し燃料カット時の触媒反応熱を補正することで、吸気温が変化した場合にもより精度良く触媒温度を推定することが可能となる。
本願の請求項7に記載のエンジン制御装置によれば、加減速を繰り返す運転にて急激に触媒温度が上昇するような条件においても、精度良く推定された触媒温度に基づいてエンジンを高精度に制御することができる。
本願の請求項8に記載のエンジン制御装置によれば、無駄に燃料増量を実施して燃費を悪化させることなく、必要最低限の条件で、例えば触媒温度が真に高温となったときに、確実に保護制御を作動することができる。
本願の請求項9に記載のエンジン制御装置によれば、加減速を繰り返す運転にて急激に触媒温度が上昇するような条件においても、精度良く推定された触媒温度に基づいて燃料増量の実施を判定することで、無駄に燃料カット禁止制御を実施して燃費を悪化させることなく、必要最低限の条件で、例えば触媒温度が真に高温となったとき、確実に保護制御を作動することができる。
本願は、実施の形態1に記載された様々な特徴、態様、および機能は、実施の形態1に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで別の実施の形態として適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合又は省略する場合が含まれるものとする。
1 エンジン、2 吸気管、3 エアクリーナ、4 スロットルバルブ、
5 サージタンク、7 排気管、8 シリンダ、9 大気圧センサ、
11 クランク角センサ、12 エアフローセンサ、13 吸気温センサ、
14 スロットルポジションセンサ、15 インマニ圧センサ、
16 空燃比センサ、17 インジェクタ、18 点火プラグ、19 点火コイル、
20 吸気バルブ、21 排気バルブ、22 排気ガス浄化触媒、100 ECU、
100a CPU、100b 記憶部、105 触媒温度推定制御部、
110 排気温度検知部、120 燃焼時反応熱推定部、111 排気温度定常値設定部、112 第1のなまし係数設定部、113 第1のなまし処理部、
121 燃焼時反応熱定常値設定部、122 第2のなまし係数設定部、
123 第2のなまし処理部、130 燃料カット時反応熱定常値設定部、
131 第3のなまし係数設定部、132 第3のなまし処理部、
133 加減速運転実施判定部、134 第1の加減速運転時補正係数設定部、
135 第2の加減速運転時補正係数設定部、136 推定触媒温度演算部、
140 燃料制御部、200 センサ部、300 アクチュエータ部

Claims (9)

  1. エンジンの排気系に設けられた排気浄化用の触媒の温度を推定する触媒温度推定装置であって、
    前記触媒に流入する前記エンジンの排気の温度を検知し又は前記エンジンの運転状態に基づいて前記排気の温度を推定する排気温度検知手段と、
    前記エンジンの運転状態に基づいて、前記触媒の燃焼時反応熱を推定する燃焼時反応熱推定手段と、
    前記エンジンの燃料カットを行う前の運転状態に基づいて、前記エンジンの燃料カット運転時における前記触媒の燃料カット時反応熱定常値を設定する燃料カット時反応熱定常値設定部と、
    前記設定された燃料カット時反応熱定常値をなまし処理するなまし処理部と、
    前記なまし処理におけるなまし係数を設定するなまし係数設定部と、
    前記排気温度検知手段により検知又は推定された前記排気の温度と、前記燃焼時反応熱推定手段により推定された燃焼時反応熱と、前記燃料カット時反応熱定常値を前記なまし処理した値と、を用いて、前記触媒の温度を推定する推定触媒温度演算部と、
    前記燃料カットと、前記エンジンに供給された燃料の燃焼と、が繰り返し発生する加減速運転が実施されたか否かを判定する加減速運転実施判定部と、
    前記加減速運転実施判定部により前記加減速運転の実施が判定されたとき、前記燃料カット時反応熱定常値設定部により設定された前記燃料カット時反応熱定常値を補正する第1の加減速運転時補正係数を設定する第1の加減速運転時補正係数設定部と、
    前記加減速運転実施判定部により前記加減速運転の実施が判定されたとき、前記なまし係数設定部により設定される前記なまし係数を補正する第2の加減速運転時補正係数を設定する第2の加減速運転時補正係数設定部と、
    を備えている、
    ことを特徴とする触媒温度推定装置。
  2. 第1の加減速運転時補正係数設定部は、前記燃料カットの直前の前記燃料の燃焼時間に応じて前記第1の加減速運転時補正係数を設定できるように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の触媒温度推定装置。
  3. 前記第2の加減速運転時補正係数設定部は、前記燃料カットの開始からの経過時間に応じて前記第2の加減速運転時補正係数を設定できるように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の触媒温度推定装置。
  4. 前記なまし係数設定部は、なまし係数テーブルを備え、
    前記なまし係数テーブルは、上昇側テーブルと下降側テーブルとからなり、
    前記燃料カット時反応熱定常値設定部により設定された前記燃料カット時反応熱定常値が、前記なまし処理後の燃料カット時反応熱よりも大きいときは、前記上昇側テーブルに基づいて前記なまし係数が設定され、
    前記燃料カット時反応熱定常値設定部により設定された前記燃料カット時反応熱定常値が、前記なまし処理後の燃料カット時反応熱よりも小さいときは、前記下降側テーブルに基づいて前記なまし係数が設定される、
    ことを特徴とする請求項1から3のうちの何れか一項に記載の触媒温度推定装置。
  5. 前記なまし係数は、前記エンジンの排気流量又は吸気流量に応じて設定される、
    ことを特徴とする請求項1から4のうちの何れか一項に記載の触媒温度推定装置。
  6. 前記燃料カット時反応熱定常値は、前記エンジンの吸気温に応じて補正される、
    ことを特徴とする請求項1から5のうちの何れか一項に記載の触媒温度推定装置。
  7. 請求項1から6のうちの何れか一項に記載の触媒温度推定装置と、
    前記エンジンへの燃料の供給を制御する燃料制御部と、
    を備え、
    前記燃料制御部は、前記触媒温度推定装置により推定された前記触媒の温度を用いて、前記燃料の供給を制御するように構成されている、
    ことを特徴とするエンジン制御装置。
  8. 前記燃料制御部は、
    前記第1の加減速運転時補正係数により補正された前記燃料カット時反応熱定常値と、前記第2の加減速運転時補正係数により補正された前記なまし係数とを用いて前記推定触媒温度演算部により推定された前記触媒の温度が、予め設定された第1の温度以上となったときに、前記エンジンに供給する燃料を増量させるように構成されている、
    ことを特徴とする請求項7に記載のエンジン制御装置。
  9. 前記燃料制御部は、
    前記第1の加減速運転時補正係数により補正された前記燃料カット時反応熱定常値と、前記第2の加減速運転時補正係数により補正された前記なまし係数とを用いて前記推定触媒温度演算部により推定された前記触媒の温度が、予め設定された第2の温度以上となったときに、前記燃料カットの実施を禁止するように構成されている、
    ことを特徴とする請求項7又は8に記載のエンジン制御装置。
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