JP6806109B2 - サブマージアーク溶接用ボンドフラックス - Google Patents

サブマージアーク溶接用ボンドフラックス Download PDF

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Description

本発明は、厚鋼板のサブマージアーク溶接を行なう際に使用するボンドフラックスに関し、詳しくは、優れた品質を有する溶接金属が得られるボンドフラックスに関するものである。
厚鋼板は溶接鋼管の素材として使用されるだけでなく、造船、建築、橋梁等の様々な用途で広く使用され、特に近年では厚鋼板の使用量を削減し、ひいては工期の短縮ならびに施工コストの低減を図る観点から、高強度厚鋼板を使用するための溶接技術が検討されている。
厚鋼板の溶接技術としてMIG溶接やサブマージアーク溶接等が従来から知られており、とりわけサブマージアーク溶接は、大電流を適用してワイヤ(すなわちソリッドワイヤ、フラックス入りワイヤ)の溶着速度を高めることによって、能率良く溶接できるという利点を有する。ところがサブマージアーク溶接を高強度厚鋼板(引張強さ500MPa以上、板厚25mm以上)に適用すると、溶接金属中の水素(いわゆる拡散性水素)に起因する低温割れが発生し易くなるという問題がある。
そして、サブマージアーク溶接を行なう際にソリッドワイヤと併用するフラックスは、溶融フラックス、ボンドフラックス、焼結フラックスに大別される。それらの中で、ボンドフラックスは大電流の溶接に適しており、高融点の原料に加えて合金成分や炭酸塩等を添加することによって溶接金属の化学組成を制御し、その結果、溶接金属の機械的性質を向上することが可能である。さらに、鉄粉を添加することによって溶着速度を一層高めることもできる。
しかし、ボンドフラックスは吸湿し易いので、サブマージアーク溶接にて、その水分から発生した水素が溶接金属に混入し、低温割れを引き起こすという問題がある。この問題に対して、ボンドフラックスの化学組成を最適化することによって、拡散性水素量を低減する技術(特許文献1参照)、あるいは、ボンドフラックスの粒子にコーティングを施すことによって吸湿性を抑制し、ひいては拡散性水素量を低減する技術(特許文献2参照)が検討されている。
また、フラックス入りワイヤを用いてサブマージアーク溶接を行なう場合は、ワイヤの内部に内包されるフラックスに低融点のフッ素化合物を添加することによって、拡散性水素量を低減する技術(特許文献3参照)が検討されている。
しかしながら、いずれの技術も、低温割れを十分に防止するには到っていない。つまり、実際に溶接作業が行なわれる環境は様々であるが、高温多湿(特に、温度30℃以上、相対湿度60%以上)の環境下で溶接作業を行なう場合は、ボンドフラックスが環境中に暴露されることによって短時間で多量に吸湿し、その結果、溶接金属の拡散性水素の低減を達成できない。
また、拡散性水素を低減するために、ガス発生成分を多く添加したボンドフラックスを使用すると、ビードの表面にアバタ状の窪み(いわゆるポックマーク)が発生し易いという問題がある。この問題に対して、ボンドフラックスの化学組成と粒度分布を調整することによって、ポックマークを低減し、ひいてはビードの外観を改善する技術(特許文献4参照)が検討されている。しかしこの技術では、ボンドフラックスにCaCO3を添加しており、ボンドフラックスの製造過程で800℃以上の高温で焼成すると、CaCO3が分解してしまう。したがって、高温で焼成したボンドフラックスを使用してサブマージアーク溶接を行なう場合に、溶接金属の拡散性水素を低減できず、その結果、ポックマークを低減する効果、ならびに、ビードの波打ち状の起伏(いわゆるリップル)を防止する効果が得られない。
特開昭50-139043号公報 特開平11-239893号公報 特開2013-123711号公報 特開平9-262676号公報
本発明は、従来の技術の問題点を解消し、厚鋼板をサブマージアーク溶接で溶接する際に、ソリッドワイヤとともに用いるボンドフラックスを高温多湿の環境下に暴露しても、溶接金属の拡散性水素を低減することができ、ポックマークならびにリップルを抑制して美麗な外観を有するビードを得ることが可能であり、高強度厚鋼板のサブマージアーク溶接にも好適なボンドフラックスを提供することを目的とする。
本発明者は、溶接金属の拡散性水素を低減するためにボンドフラックスに含有させるCaCO3の代替成分としてフッ素化合物に着目した。つまり、サブマージアーク溶接におけるアーク内でフッ素化合物から発生するフッ素が水素と結合してフッ素系ガスを発生させることによって、アーク内の水素の分圧を低下させ、ひいては、溶接金属の拡散性水素を低減できることを見出した。
そして、種々のフッ素化合物を含有するボンドフラックスを用いて、高強度を有する厚鋼板のサブマージアーク溶接を行ない、溶接金属の拡散性水素量およびビードの形状について調査した。その結果、融点の低いフッ素化合物(融点1000℃以下)をボンドフラックスに添加するとともに、ボンドフラックスの粒度分布を適正に調整することによって、ボンドフラックスを高温多湿(温度30℃以上、相対湿度60%以上)の環境下に暴露しても、溶接金属の拡散性水素量を低減し、ポックマークならびにリップルを抑制して良好な外観のビードが得られることを見出した。しかも、CaCO3を含有しないので、800℃以上の高温で焼成したボンドフラックスを用いてサブマージアーク溶接を行なっても、溶接金属の拡散性水素量を低減する効果、ビードのポックマークならびにリップルを抑制する効果は十分に維持される。加えて、特にボンドフラックスの散布形態を適正に制御することによって、高速大電流の条件で多電極サブマージアーク溶接を行なっても、美麗なビード外観が得られることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、厚鋼板のサブマージアーク溶接で用いるボンドフラックスであって、SiO2:5〜25質量%、MnO:3〜25質量%、MgO:3〜40質量%、CaO:8質量%以下、Al2O3:5〜30質量%、CaF2:5〜30質量%、および、融点が1000℃以下のフッ素化合物:3〜10質量%を含有し、残部が不可避的不純物からなるとともに、メッシュで表わされる粒度が48メッシュ以上10メッシュ以下である粒子の占める割合が70質量%以上のボンドフラックスである。
本発明のボンドフラックスにおいては、融点が1000℃以下のフッ素化合物として、NaF、KF、LiF、SbF3、Na3AlF6、K2SiF6、K2TiF6、Na2TiF6、K2ZrF6、KBF4、NaBF4の中から選ばれる1種または2種以上を合計3〜10質量%を含有することが好ましい。
また本発明は、上記のボンドフラックスを使用し、電極の個数を2電極以上かつ溶接速度を500mm/min以上とするとともに、電極のうちの少なくとも1電極の溶接電流を500A以上とし、ボンドフラックスの平均散布高さh(mm)と散布幅w(mm)が各々下記(1)式と(2)式を満たすようにボンドフラックスを散布してサブマージアーク溶接を行なう厚鋼板のサブマージアーク溶接方法である。
(Q+18)/d0.3≦h≦(2×Q+50)/d0.3 ・・・(1)
w≧2×Q+30 ・・・(2)
ここで Q:溶接入熱(kJ/mm)
d:フラックス嵩密度(g/cm3
本発明のボンドフラックスを用いて、高強度厚鋼板をサブマージアーク溶接で溶接すれば、溶接金属の拡散性水素を低減することができ、ポックマークならびにリップルを抑制して美麗な外観を有するビードを得ることができる。しかも、製造過程にて高温で焼成したボンドフラックス、あるいは、製造した後に高温多湿の環境下に暴露したボンドフラックスであっても、その効果は十分に維持される。特に、高速大電流の条件で多電極サブマージアーク溶接を行なっても、美麗なビード外観を得ることが可能となる。
フラックスの散布形態を模式的に示す正面から見た断面図である。 フラックスの散布形態を模式的に示す側面から見た断面図である。
溶接金属の拡散性水素は、溶接する鋼板に付着した水分、ワイヤの送給性を確保するための潤滑剤に起因するワイヤからの水分、あるいは使用するフラックスに混入した水分、さらに大気中の水分等の影響を著しく受ける。鋼板に付着した水分は、溶接を施工する前に鋼板を予熱することによって除去できるが、大気中の水分を除去するのは容易ではない。また、フラックスに混入した水分は、溶接を施工する前に、そのフラックスを乾燥することによって除去できる。
ところが、高強度を有する厚鋼板のサブマージアーク溶接で使用するボンドフラックスは、大気中の水分を吸湿し易いので、溶接を施工する前に乾燥させることは可能であっても、溶接の施工に先立つ各種のセッティング作業の間も乾燥状態を保つことは難しい。
そこで本発明は、ボンドフラックスに低融点のフッ素化合物を添加して、溶接のアーク熱によってフッ素化合物からフッ素を解離させ、そのフッ素と水分(すなわち水素)を結合してフッ素系ガスを発生させることによって、アーク内の水素の分圧を低下させ、ひいては、溶接金属の拡散性水素を低減する。
さらに、ボンドフラックスの粒度分布を適正に調整することによって、良好な外観のビードを得ることが可能となる。
加えて、特にボンドフラックスの散布形態を適正に制御することによって、高速大電流の条件で多電極サブマージアーク溶接を行なっても、美麗なビード外観を得ることができる。
以下に、本発明のボンドフラックスの化学組成、粒度分布および散布形態について説明する。
SiO2:5〜25質量%
SiO2は、サブマージアーク溶接で発生するスラグの粘性を調整し、大電流で溶接を行なう際に良好な外観のビードを得るために重要な成分である。SiO2の含有量が少なすぎると、スラグの粘性が低くなり、スラグが剥離し難くなるので、ビードの余盛高さが大きくなる。一方、SiO2の含有量が多すぎると、溶接金属に混入する酸素が増加して、溶接金属の機械的性質が劣化する。したがって、SiO2は5〜25質量%とする。
MnO:3〜25質量%
MnOは、サブマージアーク溶接で発生するスラグの粘性を上昇させ、サブマージアーク溶接の作業性を改善するために重要な成分である。MnOの含有量が少なすぎると、スラグの粘性が低くなるので、ビードの直進性が劣化し、アンダーカットが発生し易くなる。一方、MnOの含有量が多すぎると、スラグが剥離し難くなる。したがって、MnOは3〜25質量%とする。
MgO:3〜40質量%
MgOは、サブマージアーク溶接で発生するスラグの融点や粘性を調整し、スラグに良好な剥離性を付与するために重要な成分である。また、スラグの塩基度を高めて、溶接金属の酸素量を低減する効果も有する。MgOの含有量が少なすぎると、スラグの剥離性を改善する効果、および塩基度を高める効果が得られない。一方、MgOの含有量が多すぎると、スラグの融点が過剰に上昇し、ビードの外観が劣化(すなわち粗いリップルが発生)する。したがって、MgOは3〜40質量%とする。
CaO:8質量%以下
CaOは、サブマージアーク溶接で発生するスラグの塩基度を高めて、溶接金属の酸素量を低減するために重要な成分である。また、スラグの流動性を改善する効果も有する。CaOの含有量が多すぎると、スラグの流動性が低下するので、ビードの形状が劣化する。したがって、CaOは8質量%以下とする。ただし、CaOの含有量が少なすぎると、塩基度を高める効果、および流動性を改善する効果が発揮され難いので、CaOは1〜8質量%が好ましい。
Al2O3:5〜30質量%
Al2O3は、サブマージアーク溶接で発生するスラグの融点や流動性を調整するとともに、アークの安定性を向上するために重要な成分である。Al2O3の含有量が少なすぎると、スラグが流動し難くなって、ビードの外観が劣化する。一方、Al2O3の含有量が多すぎると、溶接金属の酸素量が増加するので、溶接金属の靭性が劣化する。したがって、Al2O3は5〜30質量%とする。
CaF2:5〜30質量%
CaF2は、サブマージアーク溶接で発生するスラグの塩基度を高めて、溶接金属の酸素量を低減するために重要な成分である。CaF2の含有量が少なすぎると、その効果が得られない。一方、CaF2の含有量が多すぎると、スラグが流動し易くなって、ビードの直進性が劣化する。したがって、CaF2は5〜30質量%とする。
なおCaF2は、高い融点(約1400℃)を有するフッ素化合物であるから、後述する低融点のフッ素化合物とは異なるものである。
低融点のフッ素化合物:3〜10質量%
低融点(すなわち融点1000℃以下)のフッ素化合物は、拡散性水素を低減するために重要な成分である。すなわち、ボンドフラックスに低融点のフッ素化合物を添加して、溶接のアーク熱によってフッ素化合物からフッ素を解離させ、そのフッ素と水分(すなわち水素)を結合してフッ素系ガスを発生させることによって、アーク内の水素の分圧を低下させ、ひいては、溶接金属中の拡散性水素を低減する。低融点のフッ素化合物の含有量が少なすぎると、拡散性水素を低減する効果が得られない。一方、低融点のフッ素化合物の含有量が多すぎると、フッ化水素の発生量が増加するので、溶接金属にポックマークが発生し易くなる。したがって、低融点のフッ素化合物は3〜10質量%とする。
低融点のフッ素化合物を具体的に挙げると、NaF、KF、LiF、SbF3、Na3AlF6、K2SiF6、K2TiF6、Na2TiF6、K2ZrF6、KBF4、NaBF4等であり、これらの中から選ばれる1種または2種以上を使用することが好ましい。低融点のフッ素化合物を1種のみ使用する場合は、ボンドフラックスに3〜10質量%添加する。低融点のフッ素化合物を2種以上併用する場合は、ボンドフラックスに合計3〜10質量%添加する。
粒度48メッシュ以上10メッシュ以下の粒子:70質量%以上
ボンドフラックスの粒度は、溶接の作業性に多大な影響を及ぼす。すなわち、粒度が細かすぎると、フッ素系ガスの排出(いわゆるガス抜け)が困難になるので、溶接金属にポックマークが発生し易くなる。一方、粒度が粗すぎると、溶接部のシールド性が劣化し、粗いリップルが発生し易くなる。したがって、メッシュで表わされる粒度は48メッシュ以上10メッシュ以下である粒子の占める割合が、ボンドフラックスの全質量に対して70質量%以上とする。
以上に説明した化学組成と粒度分布を有する本発明のボンドフラックスを用いてサブマージアーク溶接を行なう際には、溶接条件や開先形状を限定する必要はない。
ただし、本発明のボンドフラックスは、ソリッドワイヤを用いてサブマージアーク溶接を行なう際に、散布して使用することが好ましい。こうすることによって、必要量を満たす低融点のフッ素化合物を供給できる。
これに対して、フラックス入りワイヤの内部に内装されるフラックスの体積は少量であるから、必要量を満たす低融点のフッ素化合物を含有させることは困難である。つまり、本発明のボンドフラックスを内包するフラックス入りワイヤを使用しても、拡散性水素の低減、ならびに、ポックマークやリップルの抑制を十分に達成することは難しい。
そして、ボンドフラックスの平均散布高さh(mm)と散布幅w(mm)が、各々(1)(2)式を満たすように、ボンドフラックスを散布してサブマージアーク溶接を行なうことが好ましい。なお、Qは溶接入熱(kJ/mm)、dはボンドフラックスの嵩密度(g/cm3)(以下、フラックス嵩密度という)である。
(Q+18)/d0.3≦h≦(2×Q+50)/d0.3 ・・・(1)
w≧2×Q+30 ・・・(2)
ボンドフラックスは、溶融フラックスと比較して粗粒でフラックス嵩密度が低い。そのため、高速大電流の多電極サブマージアーク溶接(図1、2参照)を行なう際に、散布高さhが低すぎると、コンタクトチップ5、ワイヤ6で構成される電極のワイヤ突き出し部間でアークの吹き上げが発生し、コンタクトチップ5の溶損やビードの直進性の劣化が起き易くなる。加えて、シールド性の劣化によって溶接金属内の酸素量も増加する。一方、ボンドフラックス2の散布高さhが高すぎると、溶接時のガス抜けが悪くなるので、ポックマークが発生し易くなり、しかも、余盛高さも過大になり易い。
また、ボンドフラックス2の散布幅wがビード幅に対して狭すぎると、ビード止端部の直進性が悪くなる。
以上のことから、電極数を2電極以上とし、かつ溶接速度を500mm/min以上とするとともに、電極のうちの少なくとも1電極に溶接電流として500A以上を供給してサブマージアーク溶接を行なう。その際、既に説明した通り、本発明のボンドフラックスの散布高さh(mm)と散布幅w(mm)が(1)式と(2)式を満たすようにボンドフラックスを散布する必要がある。
ボンドフラックス2の散布幅wについて、(2)式では上限の規定はない。一般的に、散布されたボンドフラックス2は溶接時に溶融してスラグになる分を除いて回収され、循環利用される。その結果、ボンドフラックス2の粉化が進み、しかも大気に暴露されることによって吸湿するという問題が生じるので、ボンドフラックス2を過剰に散布するのは避けることが好ましい。具体的には、散布幅wを150mm以下とすることが好ましい。
散布幅wを適正範囲に制御しながらサブマージアーク溶接を行なうためには、フラックス固定枠3を使用することが好ましい。
ボンドフラックス2を散布する手段は、特に限定せず、従来から知られている機器を使用する。たとえば、サブマージアーク溶接を開始する前に所定の位置に予め散布しておく、あるいはサブマージアーク溶接を行ないながらボンドフラックス2をフラックスホッパー等から散布することによって、円滑にサブマージアーク溶接を行なうことができる。
<実施例1>
表1に示す組成を有する高強度厚鋼板と、表2に示す組成を有するワイヤとを用いて、JIS規格Z3118に従ってサブマージアーク溶接を行なった。なお、使用したワイヤはソリッドワイヤである。
Figure 0006806109
Figure 0006806109
ボンドフラックスは、高温多湿の環境下における溶接を模擬するために、事前に恒温恒湿槽を用いて温度40℃、相対湿度80%の環境に10分間静置して吸湿させた後に、遅滞なく溶接に使用した。そのボンドフラックスの組成と粒度分布は表3に示す通りである。なお、ボンドフラックスの粒度は、JIS規格Z8801に従って公称目開きに対応するメッシュで表記する。なお、低融点(1000℃以下)のフッ素化合物として、K2ZrF6を使用した。
Figure 0006806109
こうしてサブマージアーク溶接を行なった後、スラグの剥離性、ビードの外観、余盛高さ、溶接金属の拡散性水素と酸素の量を調査した。その結果を表4に示す。スラグの剥離性は、溶接の後にスラグが自然に剥離したものを可とし、剥離しなかったものを不可として示す。ビードの外観は、ポックマークが発生したもの、ビードの直進性が劣り蛇行したもの、アンダーカットが発生したもの、リップルが粗いものを不可とし、いずれも発生せずに美麗な外観を有するものを可として示す。
また、評価の〇は、余盛高さ2.5mm以下、拡散性水素5ml/100g以下、酸素350質量ppm以下のものを可として、全ての調査項目が可であったものを指す。評価の×は、一つ以上の調査項目が不可であったものを指す。なお、拡散性水素量の測定はJIS規格Z3118に従って行なった。
Figure 0006806109
発明例であるNo.1〜11は、ボンドフラックスの組成および粒度分布が本発明の範囲を満たすので、評価は〇であった。
比較例であるNo.12は、ボンドフラックスのSiO2の含有量が5質量%未満であるから、スラグが剥離せず、また、余盛高さが大きくなった。No.13は、SiO2の含有量が25質量%を超えるので、多量の酸素が溶接金属に混入した。
No.14は、ボンドフラックスのMnOの含有量が3質量%未満であるから、ビードの直進性が劣化し、蛇行およびアンダーカットが発生した。No.15は、MnOの含有量が25質量%を超えるので、スラグが剥離しなかった。
No.16は、ボンドフラックスのMgOの含有量が3質量%未満であるから、スラグが剥離しなかった。No.17は、MgOの含有量が40質量%を超えるので、ビードのリップルが粗くなった。
No.18は、ボンドフラックスのCaOの含有量が8質量%を超えるので、ビードの直進性が劣化して、蛇行が発生した。余盛高さも大きくなった。
No.19は、ボンドフラックスのAl2O3の含有量が5質量%未満であるから、ビードの外観が劣化した。No.20は、Al2O3の含有量が30質量%を超えるので、多量の酸素が溶接金属に混入した。
No.21は、ボンドフラックスのCaF2の含有量が30質量%を超えるので、ビードの直進性が劣化して、蛇行が発生した。No.22は、CaF2の含有量が5質量%未満であるから、多量の酸素が溶接金属に混入した。
No.23は、ボンドフラックスの低融点フッ素化合物の含有量が3質量%未満であるから、拡散性水素が増加した。No.24は、低融点フッ素化合物の含有量が10質量%を超えるので、ポックマークが発生した。
No.25は、粒度48メッシュ以上10メッシュ以下の粒子の占める割合が、ボンドフラックスの全質量に対して70質量%未満であり、48メッシュ未満の粒子が多いので、ポックマークが発生した。No.26は、粒度48メッシュ以上10メッシュ以下の粒子の占める割合が、ボンドフラックスの全質量に対して70質量%未満であり、10メッシュを超える粒子が多いので、リップルが粗くなった。
<実施例2>
表1に示す組成を有する板厚25.4mmの高強度厚鋼板と、表2に示す組成を有する直径4.0mmのワイヤとを用いて多電極サブマージアーク溶接を行なった(図1、2参照)。ボンドフラックスは、表3に示すNo.1、No.8、No.9を使用し、散布形態を表8に示すように種々変化させて溶接を行なった。開先形状は表5、溶接条件は表6、電極配置は表7に示す通りである。なお、表6では、溶接方向の先頭に配置(図2参照)される電極を第1電極とし、その後方に配置される電極を順に第2〜4電極とする。表7では、第1電極〜第4電極をそれぞれ#1〜#4と記し、#1と#2の間の距離(以下、極間距離という)を#12、#2と#3の極間距離を#23、#3と#4の極間距離を#34と記す。また表7の電極角度は、厚鋼板1表面に垂直な直線とワイヤ6の中心軸とのなす角度を意味しており、コンタクトチップ5がワイヤ6先端よりも後方に配置(図2参照)されるように傾斜した電極角度を+(プラス)、コンタクトチップ5がワイヤ6先端よりも前方に配置(図示せず)されるような電極角度を−(マイナス)とする。ただし表7では、電極角度が+となるデータについて+を省略して開示する。
Figure 0006806109
Figure 0006806109
Figure 0006806109
Figure 0006806109
こうしてサブマージアーク溶接を行なった後、スラグの剥離性、ビード幅の変動、ビードの外観、余盛高さ、溶接金属の酸素量を調査した。その結果を表9に示す。
Figure 0006806109
スラグの剥離性は、サブマージアーク溶接の後でスラグが自然に剥離したものを可とし、剥離しなかったものを不可とした。ビード幅の変動は、溶接長1200mmの中央600mmのビード幅を10mm間隔で測定し、その標準偏差を算出した。ビード外観は、ポックマークが発生したもの、アンダーカットが発生したもの、リップルが粗いものを不可とし、それらが発生せず美麗な外観を有するものを可とした。余盛高さは、溶接長1200mmの中央600mmの範囲における鋼板表層から溶接ビードの最高点までの高さの最大値とした。溶接金属の酸素量は、溶接長1200mmの中央600mmの範囲から溶接金属の化学分析用サンプルを採取し、不活性ガス融解−赤外線吸収法で測定した。
そして、スラグ剥離性が可、ビード幅の変動が0.7mm以下、ビード外観が可、余盛高さが2.5mm以下、酸素量が350質量ppm以下という制約を全て満たすものを良(〇)と評価し、それ以外のものを不良(×)と評価した。
表9から明らかなように、発明例であるNo.27〜40は、本発明のボンドフラックスを使用し、かつ散布高さと散布幅が(1)、(2)式を満たしており、〇と評価された。
一方、比較例であるNo.41、44は、散布幅が狭く、(2)式を満足しないので、ビード幅の変動が大きくなった。No.42、45は、散布高さが低く、(1)式を満足しないので、ビード幅の変動が大きくなり、しかも溶接金属の酸素量が高くなった。No.43、46は、散布高さが高く、(1)式を満足しないので、ポックマークが発生し、しかも余盛高さが高くなった。
1 厚鋼板
2 ボンドフラックス
3 フラックス固定枠
4 ノズル
5 コンタクトチップ
6 ワイヤ

Claims (2)

  1. 厚鋼板のサブマージアーク溶接で用いるボンドフラックスであって、SiO2:5〜25質量%、MnO:3〜25質量%、MgO:3〜40質量%、CaO:8質量%以下、Al2O3:5〜30質量%、CaF2:5〜30質量%、および、融点が1000℃以下のフッ素化合物:3〜10質量%を、合計で98質量%以上含有し、残部が不可避的不純物からなるとともに、メッシュで表わされる粒度が48メッシュ以上10メッシュ以下である粒子の占める割合が70質量%以上であることを特徴とするボンドフラックス。
  2. 前記融点が1000℃以下のフッ素化合物として、NaF、KF、LiF、SbF3、Na3AlF6、K2SiF6、K2TiF6、Na2TiF6、K2ZrF6、KBF4、NaBF4の中から選ばれる1種または2種以上を合計3〜10質量%を含有することを特徴とする請求項1に記載のボンドフラックス。

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