JP6805695B2 - 空調設備の線状開口構造 - Google Patents

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Description

本発明は、空調設備の線状開口構造に関し、特にオフィスビル等の建物の天井に設けられた線状吹出口及び線状吸込口に取り付けられる線状開口構造に関する。
従来、オフィスビルなどの床面積が大きい建物の天井には、蛍光灯などの長尺状の照明器具に沿って配置された空調用の線状吹出口が採用されている。また、外気温と室温の影響に因って温度差が生じ易いペリメータゾーンには、部屋を効率的に空調するべくブリーズラインと呼ばれる複数の線状吹出口が設けられている。しかしながら、このような線状吹出口を空調設備の吹出口として用いると、当該線状吹出口の配置に因っては、吹き出された気流が直接当たることによる不快感をユーザに与えたり、暑さや寒さなどの不快感を与える場合がある。この問題を解消するべく、例えば、細長い開口から吹き出された空気の風向きを変えるブレードと、該ブレードの上端に取り付けられた長尺状の空気遮断板とを設け、ブレードをモータで揺動して空気の風向を変えると共に、空気遮断板によって開口を遮断したときには空気の吹き出しを停止することが可能な風向変更機構が提案されている(特許文献1)。
また、集合住宅において2つの居室に対応する天井部分に形成されたスリットと、該スリットの長手方向両側に延設された2つの吹出口ガイドと、2つの吹出口ガイドに移動可能に設けられた吹出口と、吹出口が配置されていない箇所に着脱自在に設けられた蓋と、天井の裏側に延設され、吹出口と空調機とを連通する可撓性ダクトとを備える可動型空調設備が提案されている。この可動型空調設備によれば、可動式間仕切壁を移動して居室空間を変更した場合に、スリットに沿って吹出口の取付け位置を変更することで、変更後の居室を空調することができるとされている(特許文献2)。
特開2004−61086号公報 特開平11−94343号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術では、1つの細長い開口単位で風向き変更或いは空気遮断が可能であるものの、当該開口のうちの一部分の風向き変更や部分的な閉塞を行うことはできない。このため、例えば細長い開口の長手方向に沿って複数のユーザのデスクが並設されている場合、居住するユーザが不在である空間部分にも空気が吹き出されて、空調エネルギーや送風エネルギーを無駄に消費するという問題がある。また、気流や温度の体感は様々であるため、気流や温度に因って生じるユーザの不快感を個別に解消することができない。更に、細長い開口毎に個別にモータを設置し、各モータに電源供給のための電線を配索しなければならないため、多数の吹出口が設置される建物に適用する場合、設置作業が煩雑である。
また、上記特許文献2の技術では、吹出口の形状は略円形であり、スリットの吹出口が配置されていない箇所には蓋が取り付けるため、床面積が大きい建物に適用した場合、部屋を効率的に空調することができない可能性がある。また、居室空間のレイアウト変更に応じて吹出口の位置を変更することができるものの、線状吹出口のうちの一部分の風向き変更や部分的な閉塞を行うことについての開示は一切無い。
本発明の目的は、オフィスビルなどの建物の天井に線状開口構造が設けられた構成において、容易な設置作業を実現しつつ、各ユーザの不快感を個別に解消して快適な空間を提供することができる空調設備の線状開口構造を提供することにある。
本発明に係る空調設備の線状開口構造は、建物の天井板に設けられ、空調装置に接続された少なくとも1つの線状吹出口を備える空調設備の線状開口構造であって、前記線状吹出口の幅方向両側に配置され、前記線状吹出口の長手方向に沿って延設された一対のレールと、前記一対のレールに移動可能に取り付けられ、前記線状吹出口の一部を閉塞する少なくとも1つのシャッタセルとを備えることを特徴とする。
前記シャッタセルは、前記一対のレールに掛け渡すように配置された非可撓性セル本体と、前記非可撓性セル本体の両側部に設けられ、前記一対のレールとそれぞれ係合する両フランジ部とを有し、前記一対のレールにスライド可能に取り付けられてもよい。
前記両フランジ部は、前記非可撓性セル本体の側面に沿って延設し且つ互いに対向配置された上側板部及び下側板部を有し、前記上側板部及び前記下側板部の間に前記レールが遊嵌される。
また、前記一対のレールは、前記線状吹出口の幅方向両側にそれぞれ取り付けられた一対のレール本体と、前記一対のレール本体にその長手方向に沿ってそれぞれ延設された一対の線状膨出部とを有し、前記シャッタセルは、前記一対のレール間で鉛直方向上向き或いは下向きに湾曲して弾性変形可能な可撓性セル本体と、前記可撓性セル本体の両側部に設けられ、前記一対の線状膨出部とそれぞれ係合可能な一対の溝部とを有し、前記一対のレールに着脱可能に取り付けられてもよい。
前記可撓性セル本体が鉛直方向上向きに湾曲したとき、前記可撓性セル本体の幅方向に生じた弾性力により、前記一対の溝部がそれぞれ前記一対の線状膨出部に密着し、前記可撓性セル本体が鉛直方向下向きに湾曲したときに、前記可撓性セル本体の幅方向に生じた弾性力が失われて、前記一対の溝部が前記一対の線状膨出部から離間する。
前記線状膨出部は幅方向断面円形であり、且つ前記溝部は幅方向断面U字型であるのが好ましく、前記可撓性セル本体が鉛直方向上向きに湾曲したとき、前記溝部の内周面が、前記線状膨出部の外周面に密着する。
前記シャッタセルは、前記可撓性セル本体の下面に取り付けられた取っ手部を更に備えてもよい。
複数の前記シャッタセルが、前記一対のレールの長手方向に沿って列設されるのが好ましい。
本発明に係る空調設備の線状開口構造によれば、一対のレールが線状吹出口の幅方向両側に配置され、且つ当該線状吹出口の長手方向に沿って延設された少なくとも1つのシャッタセルが、一対のレールに移動可能に取り付けられ、且つ線状吹出口の一部を閉塞するので、シャッタセルを一対のレールに沿って移動させて線状吹出口の任意の一部を閉塞することができる。また、従来の線状吹出口に一対のレールを配置し、一対のレールにシャッタセルを取り付けるだけの簡単な作業で本発明の線状開口構造を設置することができる。したがって、容易な設置作業を実現しつつ、省エネルギー化を促進することができ、加えて各ユーザの不快感を個別に解消して快適な空間を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る空調設備の線状開口構造を示す図である。 図1の線状開口構造の見上げ図である。 (a)は、図2の線状開口構造の部分斜視図であり、(b)は、側面図である。 (a)は、図3におけるシャッタセルの構成を示す斜視図であり、(b)は、線I−Iに沿う断面図である。 図1の線状開口構造の使用方法を説明する図である。 (a)は、本発明の第2実施形態に係る空調設備の線状開口構造を示す部分断面図であり、(b)は、(a)におけるシャッタセルの構成を示す斜視図である。 (a)及び(b)は、図6(b)のシャッタセルの着脱方法を説明する図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る空調設備の線状開口構造を示す図であり、図2は、図1の線状開口構造の見上げ図である。本第1実施形態における空調設備を構成する空調装置は、建物内の部屋1を画定する天井板2の天井裏に設置されており、天井板2に設けられた線状開口構造10を介して、部屋1内の空調対象空間3に対して空調を施すものである。以下、本実施形態に係る空調設備の線状開口構造を、オフィスビルに適用した場合を例に挙げて説明する。
線状開口構造10は、オフィスビルの天井板2に設けられ、後述するダクトを介して不図示の空調装置に接続された線状吹出口20と、後述するダクトを介して空調装置に接続された線状吸込口30とを備えている。天井板2には、互いに平行配置された長尺状の一対の光源4a,4aを有する照明装置4が複数列設されており、これら列設された複数の照明装置4,4,・・・からなる照明装置群4Aの複数が並設されている。線状吹出口20は照明装置群4Aの幅方向一端側に、線状吸込口30は照明装置群4Aの幅方向他端側に配置されている。すなわち、線状吹出口20及び線状吸込口30は、一の照明装置群4Aを挟み込むようにその両側に配置されており、空調対象空間3への空気導入を効率的に行うことが可能となっている。照明装置群4Aは、例えば不図示の吊下げ部材にて躯体に吊り下げられている。
線状吹出口20は、所定間隔で近接配置された一対の枠体21,21間に形成され、線状吸込口30は所定間隔で近接配置された一対の枠体31,31間に形成されている。一対の枠体21,21及び一対の枠体31,31は、吊りボルト7にて躯体5に吊り下げられている。天井板2は、これら枠体21及び枠体31に引っ掛けるようにして支持されている。なお、天井板2は、照明装置群4Aに引っ掛けるようにして支持されてもよい。
線状吹出口20の上部にはチャンバ41が取り付けられており(図3(b))、チャンバ41にはダクト42を介して不図示の空調装置が接続されている。チャンバ41は、線状吹出口20の長手方向に沿って線状に形成されるのが好ましく、ダクト42は、蛇腹状の可撓性筒部材であるのが好ましい。これにより、不図示の空調装置から排出された空気が、ダクト42及びチャンバ41を介して線状吹出口20に供給される。
線状吸込口30の上部にはチャンバ43が取り付けられており(図3(b))、チャンバ43にはダクト44を介して不図示の空調装置が接続されている。チャンバ43は、チャンバ41と同様、線状吸込口30の長手方向に沿って線状に形成されるのが好ましく、ダクト44は、ダクト42と同様、蛇腹状の可撓性筒部材であるのが好ましい。これにより、空調対象空間3に供給された空気が、チャンバ43及びダクト44を介して不図示の空調装置に戻る。
線状開口構造10は、一対の枠体21,21間に延在する線状吹出口20の幅方向両側に配置され、線状吹出口20の長手方向に沿って延設された一対のレール22,22と、一対のレール22,22に移動可能に取り付けられ、線状吹出口20の一部を閉塞する複数のシャッタセル50,50,・・・とを備えている。一対のレール22,22は、それぞれ一対の枠体21,21の側面に一体で設けられている。また、複数のシャッタセル50,50,・・・は、線状吹出口20の長手方向に沿って列設されている(図2)。
また、線状開口構造10は、一対の枠体31,31間に延在する線状吸込口30の幅方向両側に配置され、線状吸込口30の長手方向に沿って延設された一対のレール32,32と、一対のレール32,32に移動可能に取り付けられ、線状吸込口30の一部を閉塞する複数のシャッタセル50,50,・・・とを備えている。一対のレール32,32は、それぞれ一対の枠体31,31の側面に一体で設けられている。本実施形態では、線状吸込口30に取り付けられるシャッタセル50の構成及び配置は、線状吹出口20に取り付けられるシャッタセル50の構成及び配置と同一であるので、その説明を省略する。
シャッタセル50は、具体的には、図4(a)及び(b)に示すように、一対のレール22,22に掛け渡すように配置された非可撓性セル本体51と、非可撓性セル本体51の両側部に設けられ、一対のレール22,22とそれぞれ係合する両フランジ部52とを有しており、一対のレール22,22にスライド可能に取り付けられる。このシャッタセル50は、対向配置された略矩形の2つの板材に他の板材を介装し、これら板材を溶接、接着等で固定することにより形成されている。
両フランジ部52は、非可撓性セル本体51の側面に沿って延設し且つ互いに対向配置された上側板部53及び下側板部54を有しており、これら上側板部53及び下側板部54の間にレール22が遊嵌される。両フランジ部52は、例えば幅方向断面矩形であり、レール22は、例えば幅方向断面甲丸型であり、レール22と両フランジ部52との遊嵌部分における抵抗が生じ難いように形成されている。
シャッタセル50は、対向配置された略矩形の2つの板材に他の板材を介装し、これら板材を溶接、接着等で固定することにより形成されるが、これに限られない。例えば、シャッタセルは、扁平な角筒と、該角筒の幅方向両側に取り付けられたC型チャンネル部材とで形成されてもよい。この場合、シャッタセルを構成する角筒は、中実の角材であってもよい。
上記の線状開口構造10が適用されるオフィスビルにおいて、例えば図5に示すように、線状吹出口20の直下或いはその近傍に、線状吹出口20の長手方向に沿ってデスクD1,D2,D3が並設されているレイアウトを想定する。デスクD1,D2がユーザU1,U2によって使用されており、デスクD3が使用されていない場合、シャッタセル50を一対のレール22,22に沿ってスライドさせて、当該シャッタセル50をデスクD3の直上或いはその近傍に移動させる。この結果、線状吹出口20のうち、デスクD3の直上或いはその近傍に対応する一部分が閉塞され、空調を要しないデスクD3周りの空間部分に空気が吹き出されない。この結果、ユーザが居ないデスクD3周りの空間部分の空調が抑制され、ユーザU1,U2のデスクD1,D2周りなど、空調が必要とされる空間部分の空調が行われる。
また、線状吹出口20から吹き出された気流がデスクD1のユーザU1に直接当たるか、或いはユーザU1に暑さや寒さなどの不快感を与えている場合、シャッタセル50を一対のレール22,22に沿ってスライドさせて、当該シャッタセル50をデスクD1の直上或いはその近傍に移動させる。この結果、線状吹出口20のうち、デスクD1の直上或いはその近傍に対応する一部分が閉塞され、デスクD1に相当する空間部分に空気が吹き出されることがない。よって、ユーザU1周りの空間部分の空調が抑制され、ユーザU1の不快感が改善される。
上述したように、第1実施形態によれば、一対のレール22,22が線状吹出口20の幅方向両側に配置され、且つ当該線状吹出口20の長手方向に沿って延設された複数のシャッタセル50,50,・・・が、一対のレール22,22に移動可能に取り付けられ、且つ線状吹出口20の一部を閉塞するので、シャッタセル50を一対のレール22,22に沿って移動させて線状吹出口20の任意の一部、例えば空調を要しない空間部分に対応する一部や、不快感のあるユーザが居住する空間部分に対応する一部を閉塞することができる。また、従来の線状吹出口20に一対のレール22,22を配置し、一対のレール22,22にシャッタセル50を取り付けるだけの簡単な作業で本実施形態の線状開口構造10を設置することができる。したがって、モータなどの駆動機構を要せずに容易な設置作業を実現しつつ、必要な空間部分のみに空調空気を送風することで省エネルギー化を促進することができ、加えて各ユーザの不快感を個別に解消して快適な空間を提供することができる。
また、シャッタセル50は、一対のレール22,22に掛け渡すように配置された非可撓性セル本体51と、非可撓性セル本体51の両側部に設けられ、一対のレール22,22とそれぞれ係合する両フランジ部52とを有し、一対のレール22,22にスライド可能に取り付けられるので、一対のレールに沿ってスライドさせるだけで線状吹出口20の任意の一部を閉塞することができる。
更に、両フランジ部52が、非可撓性セル本体51の側面に沿って延設し且つ互いに対向配置された上側板部53及び下側板部54を有し、上側板部53及び下側板部54の間にレール22が遊嵌されるので、線状吹出口20の幅方向の位置ずれが抑制され、シャッタセル50のスライド時に当該シャッタセル50が一対のレール22,22から脱落するのを防止することができる。
図6(a)は、本発明の第2実施形態に係る空調設備の線状開口構造を示す断面図であり、(b)は、(a)におけるシャッタセルの構成を示す斜視図である。上記第1実施形態の線状開口構造ではシャッタセル50が一対のレール22,22に着脱可能に取り付けられていないが、本第2実施形態のシャッタセルは、一対のレールに着脱可能に取り付けられる点で第1実施形態のシャッタセルと異なる。
図6(a)において、本第2実施形態に係る線状開口構造60は、一対の枠体61,61間に延在する線状吹出口20の幅方向両側に配置され、線状吹出口20の長手方向に沿って延設された一対のレール62,62と、一対のレール62,62に移動可能に取り付けられ、線状吹出口20の一部を閉塞する複数のシャッタセル70,70,・・・とを備えている。複数のシャッタセル70,70,・・・は、図2に示す複数のシャッタセル50,50,・・・と同様、線状吹出口20の長手方向に沿って列設されている。
一対のレール62,62は、具体的には、線状吹出口20の幅方向両側にそれぞれ取り付けられた一対のレール本体63,63と、一対のレール本体63,63にその長手方向に沿ってそれぞれ延設された一対の線状膨出部64,64とを有している。
レール本体63,63は、それぞれ一対の枠体61,61の下面に別体で設けられており、溶接、ボルト等により一対の枠体61,61に固定されている。一対の線状膨出部64,64は、それぞれレール本体63,63と一体で設けられており、一対の枠体61,61間に対向配置される。
シャッタセル70は、図6(b)に示すように、一対のレール62,62間で鉛直方向上向き或いは下向きに湾曲して弾性変形可能な可撓性セル本体71と、可撓性セル本体71の両側部に設けられ、一対の線状膨出部64,64とそれぞれ係合可能な一対の溝部72,72と、可撓性セル本体71の下面に取り付けられた取っ手部73とを有し、一対のレール62,62に着脱可能に取り付けられる。
可撓性セル本体71は、例えば幅方向断面アーチ状であり、樹脂製のシート状部材からなる。一対の溝部72,72は、例えば幅方向断面U字型であり(図6(a))、可撓性セル本体71と一体成形された樹脂製部材である。取っ手部73は、可撓性セル本体71と一体成形された樹脂製部材であり、可撓性セル本体71の幅方向中央部から法線方向に突出している。
シャッタセル70を一対のレール62,62に取り付ける場合、可撓性セル本体71が鉛直方向下向きに湾曲した状態(初期状態)で、シャッタセル70を一対のレール62,62に下方から近接させ、一対の溝部72,72に一対の線状膨出部64,64を収容させる(図7(a))。これにより、一対の溝部72,72が一対の線状膨出部64,64にある程度位置決めされ、シャッタセル70の幅方向の移動が規制される。次に、一対の溝部72,72に一対の線状膨出部64,64が収容された状態で、シャッタセル70を一対のレール62,62に沿って移動させて、線状吹出口20の長手方向における取付け位置を決定する。このとき、シャッタセル70の幅方向の移動が規制されているので、シャッタセル70を線状吹出口20の長手方向に沿って任意の位置に容易に移動可能であり、また、取付け位置の微調整を容易に行うことができる。
線状吹出口20の長手方向におけるシャッタセル70の取付け位置が決定された後、取っ手部73を鉛直方向上方(図中の矢印方向)に押し上げ、当該取付け位置にて、可撓性セル本体71を鉛直方向上向きに湾曲させる(図7(b))。このとき、可撓性セル本体71の幅方向に生じた弾性力により、一対の溝部72,72がそれぞれ一対の線状膨出部64,64に密着する。これにより、シャッタセル70が一対のレール62,62に固定される。特に、線状膨出部64が幅方向断面円形で、溝部72が幅方向断面U字形である場合、可撓性セル本体71が鉛直方向上向きに湾曲したとき、溝部72の内周面72aが、線状膨出部64の外周面64aに密着する。本構成によれば、溝部−線状膨出部間の接触面積が増大し、シャッタセル70を確実に固定することができる。
一方、シャッタセル70を一対のレール62,62から取り外す場合、取っ手部73を鉛直方向下方に引っ張り、可撓性セル本体71を鉛直方向下向きに湾曲させて、シャッタセル70を初期状態に戻す。取っ手部73を下方に引っ張る場合、ユーザが手で直接引っ張ってもよいし、天井が高い場合には、不図示の長尺状の治具を用いて引っ張ってもよい。また、取っ手部73にはユーザの手或いは上記治具が係合可能な孔が設けられてもよい。このとき、可撓性セル本体71の幅方向に生じた弾性力が失われて、一対の溝部72,72が一対の線状膨出部64,64から離間し、シャッタセル70が一対のレール62,62から取り外される。
本第2実施形態によれば、シャッタセル70は、一対のレール62,62間で鉛直方向上向き或いは下向きに湾曲して弾性変形可能な可撓性セル本体71と、可撓性セル本体71の両側部に設けられ、一対の線状膨出部64,64とそれぞれ係合可能な一対の溝部72,72とを有し、一対のレール62,62に着脱可能に取り付けられるので、容易な設置作業を実現しつつ、必要な空間部分のみに空調空気を送風することで省エネルギー化を促進することができ、加えて各ユーザの不快感を個別に解消して快適な空間を提供することができる。特に、シャッタセル70が着脱可能であるので、一対のレール62,62に取り付けるシャッタセル70の個数を必要に応じて容易に増減することができ、また、一対のレール62,62を一対の枠体61,61に取り付ける施工を行えば、その後にシャッタセル70を自由に着脱して任意の位置に配置することができるので、設置の自由度が高い線状開口構造を提供することができる。
また、一対のレール62,62を一対の枠体61,61下面に取り付けるだけの施工でシャッタセル70が取付け可能となり、更に、可撓性セル本体71が弾性変形可能であるため、線状吹出口20の幅方向寸法が異なる空調設備にも同じシャッタセル70を用いることができ、新設の様々な空調設備の線状吹出口に適用することができると共に、既設の線状吹出口にも適用し易く、汎用性の高い線状開口構造を提供することができる。
以上、上記実施形態に係る空調設備の線状開口構造について述べたが、本発明は記述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
例えば、上記第1実施形態では、線状吹出口20及び線状吸込口30が一の照明装置群4Aを挟み込むようにその両側に配置されているが、2つの線状吹出口が一の照明装置群を挟み込むようにその両側に配置され、2つの線状吸込口が他の照明装置群を挟み込むようにその両側に配置されてもよい。また、一の照明装置群に少なくとも1つの線状吹出口20が設けられていてもよいし、一の照明装置群に少なくとも1つの線状吸込口30が設けられていてもよい。
また、1つの線状吹出口20に複数のシャッタセル50が取り付けられているが、1つの線状吹出口20に少なくとも1つのシャッタセル50が取り付けられていてもよい。
また、1つの線状吸込口30に複数のシャッタセル50が取り付けられているが(図1)、1つの線状吸込口30に少なくとも1つのシャッタセル50が取り付けられていてもよいし、線状吹込口30にシャッタセル50が取り付けられなくてもよい。
線状開口構造10では、シャッタセル50が一対のレール22,22に着脱可能に取り付けられていないが、シャッタセル50が、ボルト・ナットなどの締結部材で組立可能に構成され、一対のレール22,22に着脱可能に取り付けられてもよい。
上記第2実施形態では、一対のレール62,62が一対の線状膨出部64,64を有し、シャッタセル70が一対の線状膨出部64,64とそれぞれ係合可能な一対の溝部72,72を有するが、これに限られない。レール62及びシャッタセル70の一方が線状凸部を有し、他方が線状凹部を有していてもよい。
また、可撓性セル本体71は、幅方向断面アーチ状であるが、これに限らず、幅方向断面波状など、弾性変形可能な他の形状であってもよい。
また、シャッタセル70は、金属基部と、該金属基部を埋設するように一体成形された樹脂被覆部からなるものであってもよい。また、シャッタセル70の可撓性セル本体と一対の溝部とを別部材で構成し、可撓性セル本体71が弾性変形可能な材料、一対の溝部72,72が高剛性の材料で形成されてもよい。
また、上記実施形態では、一の線状吹出口20にシャッタセル50及びシャッタセル70のいずれか一方が取り付けられるが、一の線状吹出口20にシャッタセル50及びシャッタセル70の双方が取り付けられてもよい。
また、上記第2実施形態では、シャッタセル70が線状吹出口20に取り付けられているが、これに限らず、線状吸込口30に取り付けられてもよい。また、1つの線状吹出口20に少なくとも1つのシャッタセル70が取り付けられてもよく、1つの線状吸込口30に少なくとも1つのシャッタセル70が取り付けられてもよい。
本発明の空調設備の線状開口構造は、オフィスビルのみならず、ビル、病院、工場などの建物に適用することができる。また、本発明の空調設備の線状開口構造は、教育施設、医療施設、研究施設、生産施設、商業施設などの各種施設に適用することができる。
1 部屋
2 天井板
3 空調対象空間
4 照明装置
4a 光源
4A 照明装置群
5 躯体
7 吊りボルト
10 線状開口構造
20 線状吹出口
21,21 一対の枠体
21 枠体
22,22 一対のレール
22 レール
30 線状吸込口
31,31 一対の枠体
32,32 一対のレール
41,43 チャンバ
42,44 ダクト
50 シャッタセル
51 非可撓性セル本体
52 両フランジ部
53 上側板部
54 下側板部
60 線状開口構造
61,61 一対の枠体
62,62 一対のレール
63,63 一対のレール本体
64,64 一対の線状膨出部
64a 外周面
70 シャッタセル
71 可撓性セル本体
72,72 一対の溝部
72a 内周面
73 取っ手部
D1,D2,D3 デスク
U1,U2 ユーザ

Claims (5)

  1. 建物の天井板に設けられ、空調装置に接続された少なくとも1つの線状吹出口を備える空調設備の線状開口構造であって、
    前記線状吹出口の幅方向両側に配置され、前記線状吹出口の長手方向に沿って延設された一対のレールと、
    前記一対のレールに移動可能に取り付けられ、前記線状吹出口の一部を閉塞する少なくとも1つのシャッタセルと、
    を備え
    前記一対のレールは、前記線状吹出口の幅方向両側にそれぞれ取り付けられた一対のレール本体と、前記一対のレール本体にその長手方向に沿ってそれぞれ延設された一対の線状膨出部とを有し、
    前記シャッタセルは、前記一対のレール間で鉛直方向上向き或いは下向きに湾曲して弾性変形可能な可撓性セル本体と、前記可撓性セル本体の両側部に設けられ、前記一対の線状膨出部とそれぞれ係合可能な一対の溝部とを有し、前記一対のレールに着脱可能に取り付けられることを特徴とする空調設備の線状開口構造。
  2. 前記可撓性セル本体が鉛直方向上向きに湾曲したとき、前記可撓性セル本体の幅方向に生じた弾性力により、前記一対の溝部がそれぞれ前記一対の線状膨出部に密着し、
    前記可撓性セル本体が鉛直方向下向きに湾曲したときに、前記可撓性セル本体の幅方向に生じた弾性力が失われて、前記一対の溝部が前記一対の線状膨出部から離間する、
    ことを特徴とする、請求項記載の空調設備の線状開口構造。
  3. 前記線状膨出部は、幅方向断面円形であり、
    前記溝部は、幅方向断面U字型であり、
    前記可撓性セル本体が鉛直方向上向きに湾曲したとき、前記溝部の内周面が、前記線状膨出部の外周面に密着することを特徴とする、請求項記載の空調設備の線状開口構造。
  4. 前記シャッタセルは、前記可撓性セル本体の下面に取り付けられた取っ手部を更に備えることを特徴とする、請求項記載の空調設備の線状開口構造。
  5. 複数の前記シャッタセルが、前記一対のレールの長手方向に沿って列設されることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の空調設備の線状開口構造。
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