JP6804875B2 - ボールペン - Google Patents

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Description

本発明は、ボールペンチップに関する。
従来から、筆記具としてのボールペンが利用されている。
ボールペンは、先端部分に配置されたボールペンチップと、この先端に回転可能に抱持された筆記ボールとを有している。そして、ボールペンチップの先端の筆記ボールが筆記される面で回転することにより、筆記ボールの裏側のインクが表側に送られて、線を描くものとなっている。
このようなボールペンに設けられているボールペンチップには、前述の筆記ボールに加えて、後端から先端まで連通するインク誘導孔が内部に形成された筒状のホルダー部が設けられている。
そして、このホルダー部の先端には、当該先端の周囲を内方にかしめられることで形成されたカシメ部が設けられている。このカシメ部によって、ホルダー部の先端内部に回転可能に設けられた筆記ボールがホルダー部から抜け出ないように保持されている。
ここで、ボールペンチップとしては、ホルダー部の最大外径部から先端のカシメ部近傍の部分までが円錐状のテーパー部となっているものが一般的である(特許文献1)。
このようなボールペンチップを備えたボールペンでは、ペン先が円錐状のテーパー部の陰となるので、ペン先の描線部分が見えにくい場合がある。
そこで、円錐状に形成されたテーパー部の代わりに、ホルダー部の最大外径部から先端へ向かって突出する、該最大外径部より外径が小さい円筒状のパイプ(ニードル)型チップを設け、このパイプ(ニードル)型チップの先端に筆記ボールを回転可能に抱持させ、これにより、ペン先の描線部分を見やすくしたものが知られている(特許文献2)。
なお、ホルダー部の最大外径部から先端のカシメ部近傍までを凹曲面としたものも開示されている(特許文献3)。
特開2002−326487号公報 再表2005/080094号公報 特開2015−13426号公報
本件発明は、ボールペンチップの先端をできる限り細くして描線部分がボールペンチップの陰となることを極力防ぐとともに、そのように細くしたとしてもなお、リフィルのインクが消費される前に屈曲や座屈を起こすことがないようにすることを課題とする。
上記の課題に鑑み、本件発明は、後端から先端まで連通するバック孔12が内部に形成された筒状のホルダー部11と、
前記ホルダー部11の先端内部に回転可能に抱持される筆記ボール16と、
前記ホルダー部11の先端の周囲が内方にかしめられ前記筆記ボール16を該ホルダー部11の先端内部に保持するカシメ部11Eと、
を備えたボールペンチップ10であって、
前記ホルダー部11の先端部分には、前記カシメ部11Eの近傍から後方に向かって外径が漸増するとともに内側に凸な多次曲面で形成された先端曲面11Cが設けられているとともに、
前記先端曲面11Cの任意の点における外径をa(mm)、及び該任意の点における前記バック孔12の内径をb(mm)としたとき、
P=π(a−b)/(32a)
で定義される値Pが0.03(mm)を上回ることを特徴とする。
ここで、「先端曲面11C」を形成する「多次曲面」とは、その輪郭線の軌跡が多次曲線(たとえば二次曲線、三次曲線等)であるような(あるいはそのような多次曲線で近似されるような)曲面をいう。ここで、「多次曲面」とは、先端に向かうにつれてホルダー部11の外径の減少率が小さくなっていく、という意義を有する。
そして、上記の特徴に加え、本発明においては、軸心に対して垂直な方向に10Nの荷重を前記カシメ部11Eの後端部にかけた際に、該カシメ部11Eから前記任意の点までの軸心に沿った距離をd(mm)としたとき、
Q=10d/P
で定義される値Qが900(N/mm)を下回ることが望ましい。
換言すると、上記距離dの位置における前記a(mm)及びb(mm)の値が、前記Pが0.03(mm)になるように設定され、かつ、そのP及びdから導かれるQが900(N/mm)を下回るように、前記先端曲面11Cを形成することが望ましい。
このように構成することで、当該任意の点において筆記時の筆圧に伴う応力集中による屈曲や座屈が生ずることを、通常想定される筆圧の範囲内において防止することが可能となる。
なお、前記先端曲面11Cの後端縁と前記ホルダー部11の最大外径部11Aの先端縁との間には、先端方向に縮径する円錐台面11Bが設けられていることが望ましい。このように構成することで、リフィル30の製造の際、ボールペンチップ10をリフィル30に取り付ける工程において該ボールペンチップ10を従来の製造ラインにおける組ペン先機で保持させることが可能となる。
また、ボールペンチップ10の強度と加工性を確保する観点から、前記ホルダー部11は、ビッカース硬度が200以上450以下の鉛又はビスマス含有のフェライト系ステンレス製であることが望ましい。
さらに上記のボールペンチップ10を備えたボールペン20とすることが望ましい。
上記のように構成されているため、本件発明によれば、ボールペンチップの先端をできる限り細くして描線部分がボールペンチップの陰となることを極力防ぐとともに、そのように細くしたとしてもなお、リフィルのインクが消費される前に屈曲や座屈を起こすことがないようにすることが可能となる。
本発明の実施の形態に係るボールペンチップを備えたボールペンにおいて、キャップを取り外した状態(A)を一部断面側面図で示し、キャップを装着した状態(B)を一部断面側面図で示す。 本発明の実施の形態に係るボールペンチップが装着されたリフィルを一部断面側面図で示す。 本発明の実施の形態に係るボールペンチップを正面図で示す。 図3の断面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、ボールペンの筆記先端側を「先端」あるいは「先端側」と称し、その反対側を「後端」あるいは「後端側」と称する。
(1)ボールペン20
本実施形態に係るボールペン20は、図1及び図2に示すように、保護のために先端を着脱可能に覆うキャップ24(図1(B))と、リフィル30(図2)を内部に収納する軸筒21とを備えたものとなっている。また、リフィル30の先端部分には、ボールペンチップ10が設けられている。
キャップ24は、ポリカーボネート樹脂製で筒状に形成されている。キャップ24の内部においては先端側にシリコンラバー製のラバーボール26が挿入されている。これは、キャップ24を装着する際にボールペンチップ10の先端を保護するためのものである。また、キャップ24にはクリップ25が設けられている。
軸筒21は、ポリカーボネート樹脂製で筒状に形成されている。この軸筒21の先端側には、上記のキャップ24が着脱可能となっている。一方、軸筒21の後端には、尾栓27が嵌め込まれている。
軸筒21の先端には、ステンレス製の略円錐台形の口金23が螺着されている。この口金23からは、ボールペンチップ10の先端が突出している。口金23の前端面は、後述のボールペンチップ10のテーパー面である円錐台面11Bと同軸上にあることが望ましい。また、軸筒21の先端近傍の側面には熱可塑性ラバー製のグリップ部22が設けられている。
軸筒21の内部に収納されるリフィル30は、図2に示すように、ポリプロピレン樹脂製の円筒状のインク収容管31の先端に、ボールペンチップ10がポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、等の樹脂製の継手32を介して接続された構造を有している。なお、継手32の内部には、先端を上向きにした際にインク34が後端から逆流するのを防止するための逆止ボール33が挿入されている。
インク収容管31の内部にはインク34が収容されている。さらに、インク34の後端には、インク34の逆流や蒸発を防止するためのグリース状の追従体35が注入されている。
(2)インク34
インク34について詳細に説明する。インク34をいわゆる水性のインク組成物とした場合は、少なくとも水、色剤、水溶性溶剤を含み、インク組成物内に含有されるアルミナ、酸化チタン、シリカ、炭化ケイ素及び炭化タングステンの微粒子は、受け座の摩耗を抑制するためや、インク組成物への分散安定性をよくするために、非常に微細である必要があり、平均粒子径が0.1μm未満の超微粒子で、筆記感の向上のために形状は球状であることが好ましい。ここでいう超微粒子とは、0.001〜0.1μm未満の粒子径である微粒子のことである。
好ましく用いられる超微粒子アルミナとしては、日本アエロジル社製の酸化アルミニウムC(一次粒子径:0.013μm)やシーアイ化成製のナノテックAl(一次粒子径:0.033μm)、大明化学工業製のタイミクロンTM−100J(一次粒子径:0.014μm)が挙げられる。また超微粒子酸化チタンとしては、日本アエロジル社製の酸化チタンP25(一次粒子径:0.03μm)、石原産業株式会社製のTTO−55A(一次粒子径:0.05μm)が挙げられる。
インク34においては、平均粒子径が0.1μm未満のアルミナ、酸化チタン、シリカ、炭化ケイ素及び炭化タングステンの内から選ばれる超微粒子のインク組成物に対する含有量が0.002〜2重量%、より好ましくは、0.05〜1重量%が望ましい。超微粒子は、これらの範囲内で単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
粒子径が0.1μm以上の微粒子では、ボール径0.5mm以下のボールペンの場合、受け座の摩耗抑制に十分な効果が得られにくい。また、ボール径0.4mm以下のボールペンにおいては、受け座摩耗による筆記不良や、筆記感の悪化、描線品位の低下、沈降による目詰まりが生じ筆記不能となりやすい。特にボール径0.28mm以下細字ボールペンの場合、さらにインク誘導孔径の減少やボール突出部の減少、また摩耗抵抗の増加により、経時筆記性能の低下が顕著となる。したがって、細字ボールペンにおいては平均粒子径が0.1μm未満の超微粒子であることが必須要件である。また、含有量が2重量%を越えると、筆記感が悪くなり、流出性が低下し、耐摩耗性が悪くなる場合がある。
上記インク34の粘度は、コーンプレート型回転粘度計(1°34′R24コーン)による1rpmにおける粘度が50〜2,000mPa・s(25℃)、好ましくは100〜1,000mPa・sであることが望ましい。この粘度が50mPa・s未満(25℃)であると前記した超微粒子が経時的に沈降を起こし、ボタ落ちの懸念もあり筆記不能を起こす場合がある。またこの粘度が2,000mPa・s(25℃)を越えると流出性が低下し、筆記感が悪くなる場合があり、好ましくない。
インク34の水溶性溶剤は、インクとしての種々の品質、たとえば、低温時でのインク凍結防止や、ペン先でのインク乾燥防止などの目的で使用するものである。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられ、単独又は混合して使用することができる。その使用量は、インク組成中5〜50重量%好ましくは10〜30重量%である。
超微粒子に対しては、経時安定性向上のため、分散剤を添加することで凝集沈降を抑えることができ、分散剤としてはノニオン、アニオン界面活性剤や水溶性樹脂等が用いられる。水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、アクリル酸共重合体、マレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレン−アクリル樹脂などの合成水溶性高分子や、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、マレイン酸樹脂、ウレタン樹脂などの水分散性エマルジョン等が挙げられ、あらかじめ分散機を用いて水分散体(スラリー)にしてから配合することが好ましい。
インク34の着色剤としては、顔料及び/又は水溶性染料が挙げられる。顔料の種類については特に制限はなく、従来の水性インク組成物に慣用されている無機系及び有機系顔料の中から任意のものを使用することができる。
無機系顔料としては、たとえば、カーボンブラックや、金属粉等が挙げられる。
また、有機系顔料としては、たとえばアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料などが挙げられる。具体的には、フタロシアニンブルー(C.I.74160)、フタロシアニングリーン(C.I.74260)、ハンザイエロー3G(C.I.11670)、ジスアゾイエローGR(C.I.21100)、パーマネントレッド4R(C.I.12335)、ブリリアントカーミン6B(C.I.15850)、キナクリドンレッド(C.I.46500)などが使用できる。また、スチレンやアクリル樹脂の粒子から構成されているプラスチックピグメントも使用できる。さらに、粒子内部に空隙のある中空樹脂粒子は白色顔料として、又は染料で染着した擬似顔料として多色用等に使用できる。
水溶性染料は、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料のいずれも用いることができる。
直接染料の一例を以下に記載する。C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.ダイレクトエロー4、同26、同44、同50、C.I.ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同71、同86、同106、同119などが挙げられる。
酸性染料の一例を以下に記載する。C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドエロー7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、同142、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同51、同52、同57、同82、同87、同92、同94、同115、同129、同131、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレット18、同17、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同103、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27などが挙げられる。
食用染料はその大部分が直接染料又は酸性染料に含まれるが、含まれないものの一例としては、C.I.フードエロー3が挙げられる。
塩基性染料の一例を以下に記載する。C.I.ベーシックエロー1、同2、同21、C.I.ベーシックオレンジ2、同14、同32、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同14、C.I.ベーシックブラウン12、ベーシックブラック2、同8などが挙げられる。
これらの着色剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよく、全インク組成物中の含有量は、通常0.5〜30重量%、好ましくは1〜15重量%の範囲である。30重量%を超えて長期保存した場合、顔料が凝集してしまったり、染料が析出したりして、ペン先に詰まり、筆記不良をおこす。0.5重量%未満では、着色が弱くなったり、筆跡の色相がわからなくなってしまうので好ましくない。
着色剤として顔料を用いた場合には、分散剤を使用する必要がある。この分散剤は、顔料表面に吸着して、水との親和性を向上させ、水中に顔料を安定に分散させる作用をするものであり、ノニオン、アニオン界面活性剤や水溶性樹脂が用いられる。好ましくは水溶性高分子が用いられる。
インク34の水性インク組成物には、特に超微粒子の沈降抑制のためにインクの粘度を上げる目的で、少量の増粘剤を添加することが効果的であり好ましい。添加できる増粘剤としてはインクの流出性及び微粒子の沈降抑制において擬塑性を付与する剪断減粘性付与剤が好ましく、公知のものが使用できる。たとえば、合成高分子、天然ゴム、セルロース及び多糖類からなる群から選ばれた1種又は2種以上が望ましい。
具体的には、たとえばアラビアガム、サクシノグリカン、ウェランガム、トラガカントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、カゼインクサンタンガム、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、架橋型アクリル酸重合体、スチレンアクリル酸共重合体の塩などが挙げられる。その含有量はインク組成物全量に対して固形分で0.1〜0.6重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜0.4重量%である。
インク34においては、必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐・防菌剤、潤滑剤などを添加してもよい。潤滑剤としては顔料の表面処理剤にも用いられる多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルなどのノニオン系や、高級脂肪酸アミドのアルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などのアニオン系、ポリアルキレングリコールの誘導体やフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。防錆剤としてはベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロへキシルアンモニウムナイトライト、サポニン類など、pH調整剤としてはアンモニア、尿素、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、水酸化ナトリウムなど、防腐剤又は防菌剤としてはフェノール、ナトリウムオマジン、安息香酸ナトリウム、ベンズイミダゾール系化合物などが挙げられる。
インク34を製造するには、従来から知られている方法が採用可能であり、たとえば、上記各成分を所定量配合し、ホモミキサー、又はディスパー等の撹拌機により撹拌混合することによって得られる。さらに必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去してもよい。
アルミナ、酸化チタン、シリカ、炭化ケイ素及び炭化タングステンの内から選ばれる超微粒子がボール受け座摩耗を抑制するメカニズムは定かではないが、0.1μm未満の超微粒子が、筆記時にボールの回転に伴ってインクが流出するのと同時に、細字用ボールペンにおいては、筆記時の大きな圧力によってボール受け座に埋め込まれ、その結果受け座の表面硬度が高くなり、ボールが回転することに伴う受け座摩耗を抑制していると考えられる。この効果は、筆記時のボール受け座の間に介在するインク中に超微粒子が均一に存在するために、ボールの回転を阻害することがない。そのため、本発明の水性インク組成物は、安定してボール受け座摩耗を抑制し、また描線品位を損なうことがなく、良好な筆記感を得られるものと考えられる。
一方、インク34をいわゆる油性のインク組成物とした場合は、主溶剤(全溶剤の50重量%以上)としては、25℃での蒸気圧が0.001mmHg以上のアルコール、多価アルコール、グリコールエーテルから選ばれる溶剤を用いる。このように蒸気圧の高い特定の溶剤を使用することで、筆跡の滑らかな筆感に優れた油性ボールペンを提供することを可能にする。油性のインク組成物はこのように蒸気圧の高い特定の溶剤を使用した場合に特有の問題を解決することを目的として開発されたものである。主溶剤とは全溶剤の50重量%以上含まれることをいうが、必要に応じて70重量%以上、さらには80重量%以上、特に90重量%以上で用いることができる。
具体的にアルコール類としては、炭素数が2以上の脂肪族アルコールであり、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、3−ペンタノール、tert−アミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−デカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ヘプタデカノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコールやその他多種の高級アルコール等が挙げられる。
また、多価アルコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,3−ブンタンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等の分子内に2個以上の炭素、2個以上の水酸基を有する多価アルコールが挙げられる。
グリコールエーテルとしては、メチルイソプロピルエーテル、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテルジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
以上挙げた溶剤の中で特に好ましいのは、炭素数2〜7のグリコールエーテルが特に効果が解りやすい。また、安全性及び経口毒性等の点から好ましくはエチレングリコール誘導体等以外の有機溶剤を使用した方が好ましい。
また、以上に挙げた溶剤の他にリン酸エステルとアミン系化合物の混合物との溶解性や発揮性能を妨げない範囲で以下に挙げる溶剤を添加することも可能である。
それらの例として、多価アルコール類誘導体があり、ソルビタン脂肪酸系、ポリグリセリン高級脂肪酸系、ショ糖脂肪酸系、プロピレングリコール脂肪酸系等の誘導体も挙げられる。
エステル類の溶剤としてはたとえば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸イソアミル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、トリメチル酢酸プロピル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、カプロン酸プロピル、カプリル酸メチル、カプリル酸エチル、カプリル酸プロピル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、カプリル酸トリグリセライド、クエン酸トリブチルアセテート、オキシステアリン酸オクチル、プロピレングリコールモノリシノレート、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート等様々なエステルが挙げられる。
また、分子内に水酸基を持たない溶剤ジエーテルやジエステルは具体的には、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
着色剤(色材)としては、限定されないが、顔料あるいは顔料と染料併用の形で使用することが好ましい。顔料を用いることで堅牢性に優れる効果がある。顔料としてはカーボンブラックやフタロシアニン系やモノアゾ、ジスアゾ、縮合アゾ、キレートアゾ等の不溶性アゾ系と難溶性アゾ、可溶性アゾ等の溶性アゾを含むアゾ系やキナクリドン系やジケトピロロピロール系やスレン系やジオキサジン系及びイソインドリノン系等の有機顔料を使用することができる。
特にカーボンブラックに関しては、なるべく比表面積の小さなものを使用すべきであり、BET法にて測定した値で100m/g以下のものが好ましい。具体的には、三菱化成製カーボンブラックとして#33、#32、#30、#25、CF9等があり、キャボット社製カーボンブラックとしてREGAL(400R,500R,330R,300R),ELFTEX(8,12),STERLING R等があり、デグサ社製としてPrintex(45,40,300,30,3,35,25,200,A,G),SB(250,200)等があり、コロンビアン社製としてRAVEN(1040,1035,1020,1000,890,890H,850,500,450,420,410,H20,22,16,14)等がある。
また、顔料としては、用いる有機溶剤に溶解しにくく分散後の平均粒径が30nm〜700nmとなるものが好ましい。顔料の配合量は、インク組成物全量に対し、0.5〜25重量%、好ましくは0.5〜20重量%までの範囲で必要に応じて配合することができる。
使用できる顔料は、単独又は2種以上の混合で使用することができる。また、必要に応じて無機顔料を用いた分散体や染料等も分散安定性に悪影響を与えない程度で添加することができる。染料を用いると発色性に優れる効果がある。さらに、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸、メタアクリル酸エステル、アクリルニトリル、オレフィン系モノマーを重合して得られる樹脂エマルションや、インク中では膨潤して不定形となる中空樹脂エマルション、又は、これらのエマルション自身を着色剤で染着して得られる染着樹脂粒子からなる有機多色顔料等が挙げられる。
本発明に使用する色材が顔料である場合は、顔料分散インク組成物を製造するには、従来から公知の種々の方法が採用できる。たとえば、上記各成分を配合し、ディゾルバー等の撹拌機により混合撹拌することによって、また、ボールミルやロールミル、ビーズミル、サンドミル、ピンミル等によって混合粉砕した後、遠心分離や濾過によって顔料の粗大粒子、及び未溶解物、混入固形物を取り除くことによって容易に得ることができる。
これらの顔料に対して併用する染料としては分散系を破壊しないものであれば特に制限なく使用することができる。それらの染料としては、通常の染料インク組成物に用いられる直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染・酸性媒染染料、酒精溶性染料、アゾイック染料、硫化・硫化建染染料、建染染料、分散染料、油溶染料、食用染料、金属錯塩染料等や通常の顔料インク組成物に用いられる無機及び有機顔料の中から任意のものを使用することができる。その配合量は、組成物全量当たり1〜50重量%の範囲で選ばれる。
油性インク組成物とした場合には樹脂を使用する。油性インク組成物に用いる樹脂は、粘度調整やペン先での摩耗改良などを目的として添加されるが、顔料を含む場合にはその分散剤としても使用される。このような樹脂としては、ケトン樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、フェノール系樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、アクリル系樹脂、尿素アルデヒド系樹脂、マレイン酸系樹脂、シクロヘキサノン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン等に代表される樹脂がある。
これらの樹脂の配合量としては、1〜30重量%がよく、より好ましくは1〜20重量%である。その配合量が1%重量未満であると粘度調整やペン先での摩耗が困難となり、30重量%超だと樹脂以外の原材料が配合できなくなったり、書き味に悪影響を及ぼすことがある。
好ましい実施態様としてインク組成物の色材に顔料を使用する場合、用いる分散剤としては上記に挙げたような樹脂の中から顔料を分散できるものを選択して使用することができ、活性剤やオリゴマーでも目的にあえばどのようなものでも種類を問わない。具体的な分散剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、スチレン−マレイン酸共重合体、ケトン樹脂、ヒドロキシエチルセルロースやその誘導体、スチレン−アクリル酸共重合体等の合成樹脂やPO・EO付加物やポリエステルのアミン系オリゴマー等が挙げることができる。
インク34を油性インク組成物とした場合には、リン酸エステル中和物を含む。リン酸エステル中和物はボール表面のインク凝着物を取り除きやすくする効果を奏し、それによって書き出し時の筆記カスレを抑制する効果を与え、かつ本発明ではポリプロピレングリコールと協働して短時間あるいは長時間の書き出し時の筆記カスレを抑制し、さらに低速で筆記した時のインク転写性を潤滑にする効果を与えるものである。
使用されるリン酸エステルは、通常、リン酸モノエステル、ジエステル及び微量のトリエステルからなるものであり、エステル構造も芳香族や脂肪族の2系統がある界面活性剤が主である。リン酸エステル構造を形成し得るアルキル基に関しては、天然及び合成の高級アルコール等から得られるアルキル基を導入している。炭素数10〜20のアルキル基と0〜50のポリオキシエチレン鎖を有するリン酸エステルが使用される。特に炭素数15〜20のアルキル基と0〜4個のポリオキシエチレン鎖を有するようなリン酸エステルが好適である。また、中和するためのアミン系物質としてはアルカノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、両性界面活性剤、脂肪アミン系物質などのアミン系化合物で中和することが望ましい。
これらの添加量に関しては、中和による混合物で、インク組成物全量に対し、0.01重量%〜15重量%を配合することが好ましいが、より好適には0.1〜10重量%である。また、特に好適には0.1〜8重量%である。これらは0.01重量%未満だとボール表面のインク凝着物を取り除きやすくする効果が劣り、また15重量%を超えて配合すると描線品位としてボールからはじかれ過ぎて描線割れが生じやすくなる等の不具合を起こしやすくなってしまう場合がある。
インク34を油性インク組成物とした場合には、ポリプロピレングリコールを添加することが望ましい。添加により、書き出し時のカスレを生じにくくする効果がある。この現象は金属ボールに対してインクのハジキにより得られるカスレ抑制にさらにインク被膜を形成しにくくすることにより、1〜20分の短時間でのカスレも抑制することも可能とする。
ポリプロピレングリコールの分子量は、できるだけ大きい方が添加量を少なくできて描線乾燥性が高くできるので好ましい。分子量(計算分子量)1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましく、4,000以上がさらに好ましい。
ポリプロピレングリコールの添加量は0.01重量%〜10重量%が好適であり、特に好ましくは0.1〜10重量%である。この範囲において顔料を使用した乾固しやすいインクは金属ボール上でインクの皮膜形成ができにくくなるため、書き出し時のカスレを生じにくくする効果が大きい。
この添加量の範囲外として0.1重量%未満だとその効果が乏しく、ボールが回転しなくなる場合があり、また10重量%を越えると使用する原材料にもよるが、インク中の不揮発成分が多くなることで描線の乾燥性を低下させたり、裏抜けしやすくなってしまう場合がある。
さらに、本発明では必要に応じて、インクに悪影響を及ぼさず相溶することができる防錆剤、防黴剤、界面活性剤、潤滑剤及び湿潤剤等を配合することができる。特に脂肪酸などは、潤滑剤として好適に使用できる。また、乾燥抑制用添加剤として製品特性上、悪影響を及ぼさない範囲で主溶剤に相溶する不揮発性溶剤等も配合することができる。
(3)ボールペンチップ10
ボールペンチップ10は、図3及び図4に示すように、後端から先端近傍まで連通するバック孔12が内部に形成された筒状のホルダー部11と、このホルダー部11の先端内部に回転可能に設けられた超鋼合金製の筆記ボール16と、筆記ボール16がホルダー部11から脱落しないように保持するカシメ部11Eとを備えたものである。ホルダー部11は、ビッカース硬度が270である加工性のよい鉛又はビスマス含有のフェライト系ステンレス製の円柱材を切削加工することで形成される。
ホルダー部11のうち外径が最大である円筒状の最大外径部11Aの先端側には、短いテーパー面である円錐台面11Bが形成されており、さらにその先端側には内側に凸な先端曲面11Cが形成されている。換言すると、先端曲面11Cの後端縁と最大外径部11Aの先端縁との間には、先端方向に縮径する円錐台面11Bが設けられている。この先端曲面11Cは、その輪郭線の軌跡が多次曲線(本実施形態では二次曲線)で近似されるような多次曲面として形成されている。よって、先端曲面11Cでは先端に向かうにつれてその外径が漸減していくが、その減少率は、先端に向かうにつれて小さくなっていくこととなっている。したがって、先端曲面11Cは最大外径部11Aの近傍では、急な勾配を呈するが、先端近傍に至るにつれて次第に緩やかな勾配を呈する。
先端曲面11Cの先端側にはテーパー状の先端テーパー部11Dが形成されており、さらにその先端は筆記ボール16を抱持すべく内方にかしめられたカシメ部11Eとなっている。
一方、ホルダー部11の後端側の部分は、最大外径部11Aより外径が小さくなるように切削された略円筒状の固定部11Fとなっており、この部分が前記継手32の先端に圧入固定されている(図2参照)。
ホルダー部11の内部空間は、図4に示すように、後端から先端近傍までバック孔12が切削加工により形成されている。一方、先端テーパー部11Dの内部空間には、筆記ボール16を収容するボールハウス13が切削加工により形成されている。また、これらバック孔12とボールハウス13とを貫通するインク誘導孔14も形成される。また、インク誘導孔14の周囲には、ボールハウス13とバック孔12とを連絡するチャンネル溝15が複数本等配されている。さらに、インク誘導孔14とバック孔12との間に、軸線に対し15°〜45°に傾斜した内面テーパー部17を形成することで、筆記時におけるインク誘導孔14周りの曲げを抑えることができる。15°未満の場合は、チャンネル溝15の形成が困難であり、45°以上の場合は、曲げ応力が径方向に強くかかるため効果を奏しない。
本実施形態に係るボールペンチップ10における先端曲面11Cでは、カシメ部11Eからの軸心に沿った任意の距離d(mm)の位置における外径a(mm)とバック孔12の内径b(mm)とから下記のように定義される値Pは、
P=π(a−b)/(32a)>0.03(mm
との関係が成立するように、先端曲面11C及びバック孔12は切削される。
また、カシメ部11Eに対し軸心に垂直な方向に10Nの荷重をかけたときに、前記d値と前記P値とから下記のように定義される値Qについては、
Q=10d/P<900(N/mm
との関係が成立する。すなわち、先端曲面11Cのどの点においても、極端に大きい応力が集中することがないため、ほぼ同様の先端外径を有するストレートな形状のパイプ(ニードル)型チップに比べると、筆記中の屈曲や座屈が生じにくくなっている。その一方で、筆記先端近傍のボールペンチップ10の幅はこのようなパイプ(ニードル)型チップと同様であるため、描線がボールペンチップ10の陰になることもなく見やすくなっている。
(1)実施例1
実施例1に係るボールペンにおけるボールペンチップは、前記実施形態に基づいた形状を有するものを使用した。筆記ボールの外径は0.38mmであった。
なお、インクは、以下の組成とした。
カーボンブラック#25(三菱化成製):10重量%
ポリビニルブチラール(BL−S、積水化学製):5重量%
テルペンフェノール樹脂(YP90L、ヤスハラケミカル製):8重量%
ポリプロピレングリコール(平均分子量:4000):5重量%
リン酸エステル(プライサーフA208B):1.47重量%
アミン系化合物(ポリオキシエチレンアルキルアミン:AMIET105):1.03重量%
3−メトキシブタノール:5重量%
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール:64.5重量%
(2)実施例2
実施例2に係るボールペンにおけるボールペンチップは、前記実施形態に基づいた形状を有するものを使用した。筆記ボールの外径は0.28mmであった。
なお、インクは、以下の組成とした。
色剤(顔料:カーボンブラック):5重量%
剪断減粘性付与剤(架橋型ポリアクリル酸):0.2重量%
水溶性有機溶剤(グリセリン):20重量%
潤滑剤(リン酸エステルアルキルエーテル):0.8重量%
防錆剤(ベンゾトリアゾール):0.3重量%
防腐剤(1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン):0.1重量%
pH調整剤(トリエタノールアミン):2重量%
アルミナ(一次粒子径0.033μm):0.05重量%
水溶性樹脂(スチレンアクリル酸共重合体塩):0.5重量%
精製水:残部
(3)比較例1
比較例1に係るボールペンにおけるボールペンチップは、出願人製品であるUM−201の筆記ボール径0.38mmのパイプ(ニードル)型チップを使用した。このボールペンチップは、外径aは0.60mmで、バック孔の内径bは0.42mmであった。この外径aが0.60mmである部分の長さは、2.75mmであった。
なお、インクは、以下の組成とした。
カーボンブラック#25(三菱化成製):10重量%
ポリビニルブチラール(BL−S、積水化学製):5重量%
テルペンフェノール樹脂(YP90L、ヤスハラケミカル製):8重量%
リン酸エステル(プライサーフA208B):1.47重量%
アミン系化合物(ポリオキシエチレンアルキルアミン:AMIET105):1.03重量%
3−メトキシブタノール:5重量%
3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール:69.5重量%
(4)比較例2及び3
比較例2及び3に係るボールペンにおけるボールペンチップは、前記実施形態に類似した先端曲面を有するものを使用した。筆記ボールの外径は実施例1と同じ0.38mmであった。ただし、比較例2ではバック孔の内径bが実施例1よりやや大きく形成されていた(下記表1参照)。また、比較例3では先端曲面の外径aが実施例1よりやや小さく形成されていた(下記表1参照)。なお、インクは、比較例1と同等の組成とした。
(5)比較例4
比較例4に係る筆記具におけるボールペンチップは、出願人製品であるUM−201の筆記ボール径0.28mmのパイプ(ニードル)型チップを使用した。このボールペンチップは、外径aは0.60mmで、バック孔の内径bは0.32mmであった。この外径aが0.60mmである部分の長さは、2.81mmであった。
なお、インクは、以下の組成とした。
色剤(顔料:カーボンブラック):5重量%
剪断減粘性付与剤(架橋型ポリアクリル酸):0.22重量%
水溶性有機溶剤(グリセリン):20重量%
潤滑剤(リン酸エステルアルキルエーテル):0.8重量%
防錆剤(ベンゾトリアゾール):0.3重量%
防腐剤(1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン)0.1重量%
pH調整剤(トリエタノールアミン):2重量%
水溶性樹脂(スチレンアクリル酸共重合体塩)0.3重量%
精製水:残部
(6)比較例5及び6
比較例5及び6に係るボールペンにおけるボールペンチップは、前記実施形態にに類似した先端曲面を有するものを使用した。筆記ボールの外径は実施例2と同じ0.28mmであった。ただし、比較例5ではバック孔の内径bが実施例2よりやや大きく形成されていた(下記表1参照)。また、比較例6では先端曲面の外径aが実施例2よりやや小さく形成されていた(下記表1参照)。なお、インクは、比較例4と同等の組成とした。
(7)P値及びQ値
以上の実施例及び比較例において、カシメ部の後端部からの距離dにおける外径a及び内径bを測定した。この距離dは、筆記ボール径が0.38mmで先端曲面を有する実施例1並びに比較例2及び3においては、先端側から順に0.64mm(位置A)、1.49mm(位置B)、2.59mm(位置C)及び3.79mm(位置D)とした。また、筆記ボール径が0.28mmで先端曲面を有する実施例2並びに比較例5及び6においては、先端側から順に0.59mm(位置A)、1.53mm(位置B)、2.63mm(位置C)及び3.83mm(位置D)とした。さらに、パイプ(ニードル)型チップである比較例1(筆記ボール径0.38mm)では2.75mm及び比較例4(筆記ボール径0.28mm)では2.81mmとした。それらから算出されるP値及びQ値は、下記表1に示す通りとなる。
(7−1)実施例
以上から、筆記ボール径が0.38mmである実施例1においては、算出した4点のうち、位置BにおけるQ値が327.6N/mmと最も高かった。しかし、この値は900N/mmを下回るものであった。そして、それより後端側の位置ではQ値はさらに減少している。したがって、通常の筆圧の範囲内での筆記によっては屈曲あるいは座屈のおそれはきわめて少ないものと思われる。
このことは、筆記ボール径が0.28mmとより小さい実施例2でもほぼ同様であり、位置BにおけるQ値が337.7N/mmと最も高かったが、この値は900N/mmを下回るものであった。そして、それより後端側の位置ではQ値はさらに減少している。
(7−2)比較例(パイプ(ニードル)型チップ)
一方、筆記ボール径は実施例1と同じであるがパイプ(ニードル)型チップの比較例1においては、距離dが2.75mmの位置におけるQ値が1,706.6N/mmと、900N/mmを大きく上回るものであった。ちなみに、実施例1でのほぼ同様の位置C(距離dが2.59mm)におけるQ値は253.4N/mmであった。
同じく、筆記ボール径は実施例2と同じであるがパイプ(ニードル)型チップの比較例4においては、距離dが2.81mmの位置におけるQ値が1,441.8N/mmと、900N/mmを大きく上回るものであった。ちなみに、実施例2でのほぼ同様の位置C(距離dが2.63mm)におけるQ値は221.8N/mmであった。
以上より、実施例のような先端曲面を有するボールペンチップは、ほぼ同様の先端外径を有する従来品のパイプ(ニードル)型チップに比べ、筆記時の屈曲あるいは座屈の可能性が著しく低減するものである。
(7−3)比較例(先端曲面の外径a及び内径b)
実施例1と同じく筆記ボール径が0.38mmで先端曲面を有する比較例2では位置AにおけるP値が0.0284mmと、0.03mmを下回るものであった。これは、この位置Aにおける内径bが0.65mmと、実施例1における同じ位置Aの内径b(0.55mm)よりも大きかったためである。これに伴い、Q値も実施例1の同じ位置Aより大きくなるため、応力集中が実施例1よりも起こりやすくなると考えられる。
また、実施例1と同じく筆記ボール径が0.38mmで先端曲面を有する比較例3では、位置DにおけるQ値が1,008.6N/mmと、900N/mmを大きく上回るものであった。これは、この位置Dにおける外径aが1.22mmと、実施例1における同じ位置Dの外径a(1.86mm)よりも小さかったためであり、これにより実施例1の同じ位置DにおけるQ値(70.2N/mm)を大きく上回ることとなっている。
よって、実施例1は比較例3に比べ、位置Dのように荷重から離れた位置における筆記時の屈曲あるいは座屈の可能性が著しく低減するものである。
そして、実施例2と同じく筆記ボール径が0.28mmで先端曲面を有する比較例5では、位置BにおけるP値が0.0277mmと、0.03mmを下回るものであった。これは、この位置Bにおける内径bが0.70mmと、実施例2における同じ位置Bの内径b(0.55mm)よりも大きかったためである。これに伴い、Q値も実施例2の同じ位置Bより大きくなるため、応力集中が実施例2よりも起こりやすくなると考えられる。
また、実施例2と同じく筆記ボール径が0.28mmで先端曲面を有する比較例6では、位置DにおけるQ値が938.6N/mmと、900N/mmを上回るものであった。これは、この位置における外径aが1.27mmと、実施例2における同じ位置Dの外径a(1.93mm)よりも小さかったためであり、これにより実施例2の同じ位置DにおけるQ値(62.1N/mm)を大きく上回ることとなっている。
よって、実施例2は比較例6に比べ、位置Dのように荷重から離れた位置における筆記時の屈曲あるいは座屈の可能性が著しく低減するものである。
本発明は、ボールペンに利用可能である。さらに、前記実施形態に示したような筆記先端を着脱可能なキャップで保護するボールペンに限らず、ノック操作あるいは軸筒の回転操作によって筆記先端が出没する繰り出し式のボールペンにも利用可能である。
10 ボールペンチップ 11 ホルダー部 11A 最大外径部
11B 円錐台面 11C 先端曲面 11D 先端テーパー部
11E カシメ部 11F 固定部 12 バック孔
13 ボールハウス 14 インク誘導孔 15 チャンネル溝
16 筆記ボール 17 内面テーパー部
20 ボールペン 21 軸筒 22 グリップ部
23 口金 24 キャップ 25 クリップ
26 ラバーボール 27 尾栓
30 リフィル 31 インク収容管 32 継手
33 逆止ボール 34 インク 35 追従体

Claims (2)

  1. 後端から先端まで連通するバック孔が内部に形成された筒状のホルダー部と、
    前記ホルダー部の先端内部に回転可能に抱持される筆記ボールと、
    前記ホルダー部の先端の周囲が内方にかしめられ前記筆記ボールを該ホルダー部の先端内部に保持するカシメ部と、
    を備えたボールペンチップであって、
    前記ホルダー部の先端部分には、前記カシメ部の近傍から後方に向かって外径が漸増するとともに内側に凸な多次曲面で形成された先端曲面が設けられているとともに、
    前記先端曲面の任意の点における外径をa(mm)、及び該任意の点における前記バック孔の内径をb(mm)としたとき、
    P=π(a−b)/(32a)
    で定義される値Pが0.03(mm)を上回り、前記先端曲面の後端縁と前記ホルダー部の最大外径部の先端縁との間には、先端方向に縮径する円錐台面が設けられているとともに、ビッカース硬度が200以上450以下のビスマス含有のフェライト系ステンレス製であるボールペンチップを備えるとともに、
    少なくとも水、色剤及び水溶性溶剤を含み、平均粒子径0.001μm〜0.1μm未満のアルミナ、酸化チタン、シリカ、炭化ケイ素及び炭化タングステンからなる群から選ばれる一種又は二種以上の超微粒子が0.002〜2重量%配合され、コーンプレート型回転粘度計(1°34′R24コーン)による1rpmにおける粘度が50〜2000mPa・s(25℃)である水性インク組成物を備えたことを特徴とするボールペン。
  2. 後端から先端まで連通するバック孔が内部に形成された筒状のホルダー部と、
    前記ホルダー部の先端内部に回転可能に抱持される筆記ボールと、
    前記ホルダー部の先端の周囲が内方にかしめられ前記筆記ボールを該ホルダー部の先端内部に保持するカシメ部と、
    を備えたボールペンチップであって、
    前記ホルダー部の先端部分には、前記カシメ部の近傍から後方に向かって外径が漸増するとともに内側に凸な多次曲面で形成された先端曲面が設けられているとともに、
    前記先端曲面の任意の点における外径をa(mm)、及び該任意の点における前記バック孔の内径をb(mm)としたとき、
    P=π(a−b)/(32a)
    で定義される値Pが0.03(mm)を上回り、前記先端曲面の後端縁と前記ホルダー部の最大外径部の先端縁との間には、先端方向に縮径する円錐台面が設けられているとともに、ビッカース硬度が200以上450以下のビスマス含有のフェライト系ステンレス製であるボールペンチップを備えるとともに、
    少なくとも色剤及び樹脂を含み、かつ、25℃での蒸気圧が0.001mmHg以上のアルコール、多価アルコール及びグリコールエーテルから選ばれる溶剤を含む油性インク組成物を備えたことを特徴とするボールペン。
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