JP6804787B1 - 微細気泡生成方法及び装置、並びに試料の微細化方法及び装置 - Google Patents

微細気泡生成方法及び装置、並びに試料の微細化方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】亜臨界水を用いて微細気泡を発生させる微細気泡生成方法及び装置、並びにその微細気泡を用いて試料を微細化する試料の微細化方法及び装置を提供する。【解決手段】水が亜臨界状態にあり、気体が超臨界状態にある気液混合流体を生成し、その気液混合流体を冷却して気液混合流体の温度を前記気体の臨界温度未満にすることによって、気液混合流体中に微細気泡を発生させる。その後、気液混合流体を加熱して気液混合流体の温度を前記気体の臨界温度以上にすることによって、気液混合流体中に微細気泡を溶解させる。これらの処理を交互に繰り返すことにより、気液混合流体中で微細気泡を繰り返し発生させる。【選択図】図3

Description

本発明は、マイクロバブル及びナノバブル等の微細気泡を生成する微細気泡生成方法及び装置、並びにその微細気泡を用いて試料を微細化する試料の微細化方法及び装置に関する。
近年、マイクロバブル及びナノバブル等の微細気泡は、洗浄・殺菌などの目的で用いられている(特許文献1及び2を参照)。今後、微細気泡の特性の解明が進んでいくことによって、種々の用途に利用されることが期待される。
特開2004−121962号公報 特開2010−104903号公報
微細気泡と同様に洗浄など種々の用途に利用可能なものとして、高温・高圧の亜臨界水がある。亜臨界水は優れた加水分解能力を有しており、微細気泡の特性に加えてこの加水分解能力を活用できると有益である。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、亜臨界水中で微細気泡を発生させる微細気泡生成方法及び装置、並びにその微細気泡を用いて試料を微細化する試料の微細化方法及び装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の微細気泡生成方法は、水及び気体を加熱加圧して、前記水が亜臨界状態にあり、前記気体が超臨界状態にある気液混合流体を生成する流体生成工程と、前記気液混合流体を冷却又は減圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力未満にすることによって、前記気液混合流体中に微細気泡を発生させる微細気泡発生工程と、前記微細気泡発生工程の後に、前記気液混合流体を加熱又は加圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力以上にすることによって、前記気液混合流体中に前記微細気泡を溶解させる微細気泡溶解工程とを有し、前記微細気泡溶解工程の後に前記微細気泡発生工程を更に実行することによって、前記微細気泡の発生を繰り返す。
上記態様において、前記気体は空気であり、前記微細気泡発生工程において、前記気液混合流体を冷却して前記気液混合流体の温度を100℃以上且つ空気の臨界温度未満にすることによって、前記水の亜臨界状態を維持しながら前記気液混合流体中に微細気泡を発生させてもよい。
本発明の一の態様の微細気泡生成装置は、水及び気体を加熱加圧して、前記水が亜臨界状態にあり、前記気体が超臨界状態にある気液混合流体を生成する生成部と、生成した気液混合流体を収容する収容部と、前記収容部内の前記気液混合流体の温度及び/又は圧力を制御する制御部とを備え、前記制御部が、前記収容部内の前記気液混合流体を冷却又は減圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力未満にすることによって、前記気液混合流体中に微細気泡を発生させる微細気泡発生工程と、前記収容部内の前記気液混合流体を加熱又は加圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力以上にすることによって、前記気液混合流体中に前記微細気泡を溶解させる微細気泡溶解工程とをこの順に実行し、前記微細気泡溶解工程の後に前記微細気泡発生工程を更に実行することによって、前記微細気泡の発生を繰り返す。
上記態様において、前記収容部は、前記気液混合流体を一方向に循環させる循環経路を有しており、前記制御部は、前記気液混合流体が前記循環経路内を循環する間に、前記微細気泡発生工程及び前記微細気泡溶解工程を実行するようにしてもよい。
また、本発明の一の態様の試料の微細化方法は、水及び気体を加熱加圧して、前記水が亜臨界状態にあり、前記気体が超臨界状態にある気液混合流体を生成する流体生成工程と、前記気液混合流体と試料とを混合する混合工程と、混合後の前記気液混合流体を冷却又は減圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力未満にすることによって、前記気液混合流体中に微細気泡を発生させる微細気泡発生工程と、前記微細気泡発生工程の後に、前記気液混合流体を加熱又は加圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力以上にすることによって、前記気液混合流体中に前記微細気泡を溶解させる微細気泡溶解工程とを有し、前記微細気泡溶解工程の後に前記微細気泡発生工程を更に実行することによって、前記微細気泡を繰り返し発生させ、発生した前記微細気泡によって前記試料を微細化する。
上記態様において、前記気体は空気であり、前記微細気泡発生工程において、前記気液混合流体を冷却して前記気液混合流体の温度を100℃以上且つ空気の臨界温度未満にすることによって、前記水の亜臨界状態を維持しながら前記気液混合流体中に微細気泡を発生させてもよい。
また、上記態様において、前記試料はセルロースであり、前記発生した微細気泡によってセルロースを解繊することによりセルロースナノファイバーを生成するようにしてもよい。
また、上記態様において、前記試料は膨張黒鉛であり、前記発生した微細気泡によって膨張黒鉛を剥離することによりグラフェンを生成するようにしてもよい。
また、上記態様において、前記試料は層状酸化チタンであり、前記発生した微細気泡によって層状酸化チタンを剥離するようにしてもよい。
また、本発明の一の態様の試料の微細化装置は、水及び気体を加熱加圧して、前記水が亜臨界状態にあり、前記気体が超臨界状態にある気液混合流体を生成する生成部と、前記気液混合流体と試料とを混合する混合部と、混合後の前記気液混合流体を収容する収容部と、前記収容部内の前記気液混合流体の温度又は圧力を制御する制御部とを備え、前記制御部が、前記収容部内の前記気液混合流体を冷却又は減圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力未満にすることによって、前記気液混合流体中に微細気泡を発生させる微細気泡発生工程と、前記収容部内の前記気液混合流体を加熱又は加圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力以上にすることによって、前記気液混合流体中に前記微細気泡を溶解させる微細気泡溶解工程とをこの順に実行し、前記微細気泡溶解工程の後に前記微細気泡発生工程を更に実行することによって、前記微細気泡を繰り返し発生させ、発生した前記微細気泡によって前記試料を微細化する。
上記態様において、前記試料はセルロース繊維であり、前記制御部が、前記発生した微細気泡によってセルロース繊維を解繊することによりセルロースナノファイバーを生成するようにしてもよい。
また、上記態様において、前記試料は膨張黒鉛であり、前記制御部が、前記発生した微細気泡によって膨張黒鉛を剥離することによりグラフェンを生成するようにしてもよい。
また、上記態様において、前記試料は層状酸化チタンであり、前記制御部が、前記発生した微細気泡によって層状酸化チタンを剥離するようにしてもよい。
また、上記態様において、前記収容部は、前記気液混合流体を一方向に循環させる循環経路を有しており、前記制御部は、前記気液混合流体が前記循環経路内を循環する間に、前記微細気泡発生工程及び前記微細気泡溶解工程を実行するようにしてもよい。
本発明によれば、微細気泡の特性と亜臨界水の加水分解能力の両方を活用することができる。
実施の形態1の微細気泡生成装置の主要な構成を示すブロック図。 気液混合流体生成装置の主要な構成を示すブロック図。 微細気泡の発生及び消滅を説明するための説明図。 微細気泡の発生及び消滅を説明するための説明図。 実施の形態2の試料の微細化装置の主要な構成を示すブロック図。 試料の微細化を説明するための説明図。 試料の微細化を説明するための説明図。 気液混合流体生成装置の主要な構成の他の例を示すブロック図。 気液混合流体生成装置の主要な構成の他の例を示すブロック図。 気液混合流体生成装置の主要な構成の他の例を示すブロック図。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
(実施の形態1)
[微細気泡生成装置の構成]
本発明の微細気泡生成方法及び装置の一実施形態について説明する。図1は、本実施の形態の微細気泡生成装置の主要な構成を示すブロック図である。図1に示すように、微細気泡生成装置1は、装置本体10と、気液混合流体を生成する気液混合流体生成装置(以下、単に「流体生成装置」という)20と、生成された気液混合流体を通流させる通流管30とを備えている。なお、通流管30は、気液混合流体を収容する収容部に相当する。本実施の形態では、後述するように、通流管30内の気液混合流体の温度を変化させることにより、その気液混合流体内にマイクロバブル及びナノバブル等の微細気泡を発生させる。
装置本体10は、制御部11と、冷却部12及び加熱部13とを備えている。制御部11は、冷却部12及び加熱部13の動作を制御することによって、通流管30内を通流する気液混合流体の冷却及び加熱を行う。冷却部12は、例えば冷却水を循環させる冷却ジャケットなどで構成されている。また、加熱部13は、例えば電磁誘導式ヒーター又は電熱式ヒーターなどで構成されている。
図2は、流体生成装置20の主要な構成を示すブロック図である。図2に示すとおり、流体生成装置20は、貯水タンク21、加圧ポンプ22、第1タンク23、第2タンク24、及び空気タンク25を備えている。
貯水タンク21は、外部の給水設備等から供給された水を貯留する。このようにして貯水タンク21に貯留された水は、加圧ポンプ22によって加圧され、第1タンク23側に送り出される。
第1タンク23及び第2タンク24は、加圧水を貯留するタンクであり、耐圧容器で構成されている。これらの第1タンク23及び第2タンク24は、その内部にヒーターを有しており、そのヒーターを用いて貯留している加圧水を加熱することができる。
空気タンク25は、空気を貯留している。この空気は、図示しない電磁弁等を介して、第1タンク23と第2タンク24との間を連結する配管内に圧入される。なお、このようにタンクから気体が供給されるのではなく、例えばボンベ等から気体が供給されるような構成であってもよい。
[微細気泡生成装置の動作]
次に、上述したように構成された微細気泡生成装置1の動作について説明する。微細気泡生成装置1は、(1)流体生成工程、(2)微細気泡発生工程、及び(3)微細気泡溶解工程を実行する。以下、各工程の詳細について説明する。
(1)流体生成工程
本実施の形態の流体生成工程では、水及び空気を加熱加圧することによって、水が亜臨界状態にあり、且つ空気が超臨界状態にある気液混合流体を生成する。なお、本明細書において、超臨界状態とは、温度及び圧力のいずれもが臨界点以上である状態を意味し、亜臨界状態とは、温度及び圧力の少なくとも一方が臨界点未満ではあるものの、高温高圧下にある状態を意味する。
本実施の形態において用いられる気液混合流体の構成要素である水及び空気の臨界温度及び臨界圧力は、以下の表1のとおりである。
Figure 0006804787
本実施の形態では、水を亜臨界状態とし、且つ空気及び二酸化炭素を超臨界状態とするために、流体生成装置20内で生成する気液混合流体の温度を150℃程度にする。但し、これは例示であって、例えば200℃程度であってもよい。なお、この気液混合流体の圧力は、少なくとも空気の超臨界状態を維持するために、3.77MPa程度以上とする。
気液混合流体の生成手順の詳細は以下のとおりである。まず、貯水タンク21に収容されている水が、加圧ポンプ22によって所定の圧力まで加圧され、第1タンク23へ送り出される。第1タンク23は、加圧ポンプ22から供給された加圧水を、例えば80℃などの所定の温度まで加熱して貯留する。
第1タンク23に貯留された加圧水は、加圧ポンプ22の作用によって、第2タンク24へ送り出される。その際、第1タンク23と第2タンク24との間を連結する配管内に、空気タンク25から空気が圧入される。その結果、第1タンク23から第2タンク24へ流入する加圧水に空気が混合され、気液混合流体が生成される。
第2タンク24は、上記のようにして生成された気液混合流体を、200℃程度まで加熱して貯留する。また、第2タンク24に貯留される気液混合流体の圧力は、加圧ポンプ22の作用により、3.77MPa程度以上とされる。その結果、上述したような、水が亜臨界状態にあり、空気が超臨界状態にある気液混合流体が得られる。この気液混合流体は、加圧ポンプ22の作用によって通流管30に供給される。
なお、上記のようにして空気を水に混合する際は、キャビテーションの発生を可能な限り抑制することが好ましい。その手法は特に限定されないが、例えば、流体にせん断力を作用させながら混合することにより、気泡の超微細化を図る手法がある。この手法を実現するための混合装置としては、例えば株式会社ナノクス製のラモンドナノミキサー(登録商標)を挙げることができる。
(2)微細気泡発生工程
本実施の形態の微細気泡発生工程では、通流管30内を通流する気液混合流体を冷却部12により冷却することによって、気液混合流体の温度を低下させ、気液混合流体中に微細気泡を発生させる。
図3は、微細気泡の発生及び消滅を説明するための説明図である。流体生成装置20にて生成された気液混合流体は、加圧ポンプ22の作用によって通流管30に供給されて、通流管30内を通流する。装置本体10の制御部11が冷却部12の動作を制御することにより、通流管30内を通流する気液混合流体が冷却される。このとき、気液混合流体の温度が空気の臨界温度である140.7℃未満になると、気液混合流体に溶解していた空気が分離して微細気泡が生じる。
なお、微細気泡発生工程において気液混合流体の温度を低下させて空気の臨界温度未満にしたとしても、少なくとも100℃以上の温度とすることによって、気液混合流体の高温状態を保つことができる。この場合、気液混合流体中の水の亜臨界状態を維持しながら、気液混合流体中に微細気泡を発生させることができる。もちろん、気液混合流体の温度を100℃未満に低下させてもよい。その場合、気液混合流体中の水の亜臨界状態が解除されることになるが、後の微細気泡溶解工程において加熱されて100℃以上になることによって、亜臨界状態に戻すことができる。
なお、装置本体10が通流管30内を通流する気液混合流体の圧力を制御する機構を備え、当該機構によって気液混合流体を減圧して気液混合流体の圧力を低下させることにより、気液混合流体中に微細気泡を発生させるようにしてもよい。気液混合流体の圧力が空気の臨界圧力である3.77MPa未満になると、気液混合流体に溶解していた空気が分離して微細気泡が生じることになる。なお、この場合、通流管30外に気液混合流体を放出することによって減圧するようにしてもよい。
(3)微細気泡溶解工程
上記のようにして気液混合流体内に発生した微細気泡は、気体溶解工程において消滅する。本実施の形態の微細気泡発生工程では、通流管30内を通流する気液混合流体を加熱部13により加熱することによって、気液混合流体の温度を上昇させ、気液混合流体中に微細気泡を溶解させる。
図3に示すように、上記の微細気泡発生工程の後、装置本体10の制御部11が加熱部13の動作を制御することにより、微細気泡を含む気液混合流体が加熱される。このとき、気液混合流体の温度が空気の臨界温度である140.7℃以上になると、微細気泡発生工程によって発生した微細気泡が気液混合流体中に溶解する。
なお、装置本体10が通流管30内を通流する気液混合流体の圧力を制御する機構を備え、当該機構によって気液混合流体を加圧して気液混合流体の圧力を上昇させることにより、気液混合流体中に微細気泡を溶解させるようにしてもよい。気液混合流体の圧力が空気の臨界圧力である3.77MPa以上になると、微細気泡発生工程によって発生した微細気泡が気液混合流体中に溶解することになる。
本実施の形態では、上記の微細気泡溶解工程の後、微細気泡発生工程が再度実行される。これにより、図3に示すように、通流管30内を通流する気液混合流体が冷却されて、気液混合流体中に微細気泡が発生する。このようにして、微細気泡溶解工程の後に微細気泡発生工程がさらに実行されることにより、亜臨界水中で微細気泡の発生が繰り返される。その結果、種々の用途に利用可能な微細気泡が得られる。この微細気泡発生工程及び微細気泡溶解工程は、必要な回数繰り返し実行することができる。
ところで、通流管30が気液混合流体を一方向に循環させる循環経路を有している場合、微細気泡発生工程及び微細気泡溶解工程を容易に繰り返すことが可能になる。図4は、そのような構成の通流管30内を通流する気液混合流体中での微細気泡の発生及び消滅を説明するための説明図である。
図4に示すように、通流管30は、全体が円環状をなしており、その中途から流体生成装置20によって生成された気液混合流体の流入を受けるように構成されている。通流管30内に流入された気液混合流体は、通流管30内を矢印方向に循環する。
上記のようにして気液混合流体が通流管30内を循環して通流する間、装置本体10の冷却部12によって気液混合流体が冷却され、さらに加熱部13によって気液混合流体が加熱される。これにより、微細気泡発生工程及び微細気泡溶解工程が交互に繰り返し実行され、亜臨界水中で微細気泡の発生が繰り返されることになる。
上記のように通流管30が循環経路を有している構成の場合でも、その循環経路内を流れる気液混合流体の温度ではなく圧力を制御することによって、微細気泡発生工程及び微細気泡溶解工程を繰り返し実行することが可能である。
(実施の形態2)
本発明の試料の微細化方法及び装置の一実施形態について説明する。なお、本実施の形態の試料の微細化装置は、パルプ等のセルロース繊維を解繊することによってセルロースナノファイバーを製造する装置である。
[試料の微細化装置の構成]
図5は、本実施の形態の試料の微細化装置の主要な構成を示すブロック図である。図5に示すように、微細化装置100は、セルロース繊維の分散液を収容する分散液タンク40を備えている。分散液タンク40は通流管30の中途に接続されており、通流管30内に分散液を供給する。これにより、通流管30内において、流体生成装置20によって生成された気液混合流体と分散液とが混合される。なお、微細化装置100のその他の構成については、実施の形態1の微細気泡生成装置1の場合と同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
[試料の微細化装置の動作]
微細化装置100は、(1)流体生成工程、(2)混合工程、(3)微細気泡発生工程、及び(4)微細気泡溶解工程を実行し、微細気泡発生工程で発生した微細気泡を用いてセルロース繊維の解繊を行う。以下、各工程の詳細について、図6を参照しながら説明する。
(1)流体生成工程
本実施の形態の流体生成工程では、水及び空気を加熱加圧することによって、水が亜臨界状態にあり、且つ空気が超臨界状態にある気液混合流体が生成される。この流体生成工程については、実施の形態1の場合と同様であるため、詳細な説明を省略する。流体生成装置20によって生成された気液混合流体は、加圧ポンプ22の作用によって通流管30に供給される。
(2)混合工程
本実施の形態の混合工程では、気液混合流体と分散液との混合が行われる。図6に示すように、流体生成装置20から通流管30内に供給される気液混合流体は、分散液タンク40から通流管30内に供給されるセルロース繊維41の分散液と通流管30内で混合される。
気液混合流体と分散液との混合による衝撃によって、分散液に含まれるセルロース繊維41の解繊が進行する。但し、これでは解繊は十分ではなく、次の微細気泡発生工程によって解繊がより一層進むことになる。
(3)微細気泡発生工程
実施の形態1の場合と同様に、本実施の形態の微細気泡発生工程では、通流管30内を通流する気液混合流体を冷却部12によって冷却する。これにより、気液混合流体の温度が低下し、空気の臨界温度である140.7℃未満になると、気液混合流体に溶解していた空気が分離して微細気泡が発生する。なお、気液混合流体の高温状態を保持した場合では、気液混合流体中の水の亜臨界状態を維持しながら、気液混合流体中に微細気泡を発生させることができることも、実施の形態1の場合と同様である。
上記のようにして発生した微細気泡の圧壊による衝撃により、気液混合流体に混合されているセルロース繊維41の解繊が進行する。また、亜臨界水が有する加水分解能力によって、その解繊が促進される。
なお、気液混合流体の温度ではなく圧力を制御することによって気液混合流体中に微細気泡を発生させてもよいことは、実施の形態1の場合と同様である。
(4)微細気泡溶解工程
実施の形態1の場合と同様に、本実施の形態の微細気泡溶解工程では、通流管30内を通流する気液混合流体を加熱部13によって加熱する。これにより、気液混合流体の温度が上昇し、空気の臨界温度である140.7℃以上になると、微細気泡発生工程によって発生した微細気泡が気液混合流体中に溶解する。
なお、気液混合流体の温度ではなく圧力を制御することによって気液混合流体に微細気泡を溶解させてもよいことは、実施の形態1の場合と同様である。
実施の形態1の場合と同様に、本実施の形態においても、上記の微細気泡溶解工程が実行された後に微細気泡発生工程が再度実行される。これにより、図6に示すように、通流管30内を通流する気液混合流体が冷却されて気液混合流体中に微細気泡が発生するため、セルロース繊維41の解繊が進むことになる。このようにして、微細気泡発生工程及び微細気泡溶解工程が繰り返されることにより、亜臨界水中で微細気泡の発生が繰り返されて、セルロース繊維41の解繊が進行する。セルロース繊維41が十分に微細化されるまで、微細気泡発生工程及び微細気泡溶解工程を繰り返し実行される。これにより、セルロースナノファイバーを得ることができる。
なお、実施の形態1の場合と同様に、通流管30が気液混合流体を一方向に循環させる循環経路を有していてもよい。図7は、そのような構成の通流管30内を通流する気液混合流体中での試料の微細化を説明するための説明図である。
図7に示すように、通流管30は、全体が円環状をなしており、その中途から流体生成装置20によって生成された気液混合流体、及び分散液タンク40に収容された分散液の流入をそれぞれ受けるように構成されている。通流管30内に流入された気液混合流体は、通流管30内を矢印方向に循環する。
上記のようにして気液混合流体が通流管30内を循環して通流する間、装置本体10の冷却部12によって気液混合流体が冷却され、さらに加熱部13によって気液混合流体が加熱される。これにより、微細気泡発生工程及び微細気泡溶解工程が交互に繰り返し実行され、亜臨界水中で微細気泡の発生が繰り返されることになる。その結果、気液混合流体中のセルロース繊維41の解繊が進み、セルロースナノファイバーが生成される。
通流管30の中途には、十分に微細化されたセルロース繊維41を回収するための回収管31が接続されている。この回収管31から解繊が進んだセルロース繊維41を取り出すことによって、セルロースナノファイバーを得ることができる。
このように通流管30が循環経路を有している構成の場合でも、その循環経路内を流れる気液混合流体の温度ではなく圧力を制御することによって、微細気泡発生工程及び微細気泡溶解工程を繰り返し実行することが可能である。
[微細化の対象試料]
本実施の形態では、セルロース繊維の微細化を行っているが、微細化の対象試料はこれに限定されるわけではない。例えば、膨張黒鉛を微細化の対象試料とすることもできる。この場合、上記の混合工程において気液混合流体と膨張黒鉛とを混合させ、その後に微細気泡発生工程及び微細気泡溶解工程を交互に繰り返し行うことによって、気液混合流体中の膨張黒鉛を剥離する。その結果、グラフェンが生成される。
また、微細化の対象試料として層状酸化チタンを用いることもできる。この場合、上記の混合工程において気液混合流体と層状酸化チタンとを混合させ、その後に微細気泡発生工程及び微細気泡溶解工程を交互に繰り返し行うことによって、気液混合流体中の層状酸化チタンを剥離する。
(その他の実施の形態)
上記の各実施の形態では、流体生成装置20において、第1タンク23と第2タンク24との間を連結する配管内に空気が圧入されているが、空気を導入する位置はこれに限定されない。例えば、図8に示すように、第1タンク23の手前で空気を導入してもよく、また、図9に示すように、第2タンク24の出口側で空気を導入してもよい。
また、上記の各実施の形態では、貯水タンク21と第1タンク23との間に加圧ポンプ22が設けられているが、その他の位置に加圧ポンプ22が設けられていてもよい。例えば、第1タンク23と第2タンク24との間に加圧ポンプ22が設けられていてもよい。また、加圧ポンプ22の数も1つに限定されるわけではなく、例えば、貯水タンク21と第1タンク23との間、及び第1タンク23と第2タンク24との間の2箇所に加圧ポンプ22が設けられていても構わない。
また、上記の各実施の形態では、流体生成装置20が、加圧水を貯留するタンクとして、第1タンク23及び第2タンク24の2つを有しているが、図10に示すように、これを1つにしてもよい。図10に示す例では、流体生成装置20が第1タンク23を有しておらず、加圧ポンプ22の作用によって、貯水タンク21から第2タンク24へ水が送り出される。加圧ポンプ22と第2タンク24との間の配管には、空気タンク25が接続されており、この空気タンク25から空気が当該配管内に圧入される。その結果気液混合流体が得られ、上記の場合と同様にして第2タンク24内で加圧され貯留される。なお、この構成においても、空気を第2タンク24の出口側で導入するようにしてもよい。
空気は、第2タンク24の手前の配管内ではなく、第2タンク24内に直接供給するようにしてもよい。但し、その場合、第2タンク24内でキャビテーションが生じて不具合が発生するおそれがあるため、上記のとおり第2タンク24の手前の配管内に空気を供給することが好ましい。
また、上記の各実施の形態では、空気を水に溶解させて気液混合流体が生成されているが、空気に代えて、二酸化炭素、酸素、オゾン等の他の気体を水に溶解させて気液混合流体を生成するようにしてもよい。その場合、流体生成装置20が、上記の空気タンク25の代わりにその気体を貯留する気体タンクを備え、例えば第1タンク23と第2タンク24との間を連結する配管内にその気体タンクから当該気体が圧入される。これにより、流体生成装置20において、水が亜臨界状態にあり、二酸化炭素等の気体が超臨界状態にある気液混合流体が生成される。
例えば、二酸化炭素の臨界温度及び臨界圧力は、以下の表2のとおりである。
Figure 0006804787
二酸化炭素を気液混合流体に溶解させる場合、微細気泡発生工程において、気液混合流体の温度を31.1℃未満にするか、その圧力を7.38MPa未満にする。これにより、気液混合流体中に微細気泡を発生させることができる。また、微細気泡溶解工程において、気液混合流体の温度を31.1℃以上にするか、その圧力を7.38MPa以上にする。これにより、気液混合流体中に微細気泡を溶解させることができる。
なお、空気及び二酸化炭素等の他の気体の何れか一つの気体のみを気液混合流体に溶解させるのではなく、複数の気体を気液混合流体に溶解させてもよい。
また、上記の各実施の形態では、気液混合流体の温度及び圧力の何れか一方のみを制御しているが、その両方を制御するようにしてもよい。
1 微細気泡生成装置
10 装置本体
11 制御部
12 冷却部
13 加熱部
20 流体生成装置
21 貯水タンク
22 加圧ポンプ
23 第1タンク
24 第2タンク
25 空気タンク
30 通流管
31 回収管
40 分散液タンク
41 セルロース繊維
100 微細化装置

Claims (14)

  1. 水及び気体を加熱加圧して、前記水が亜臨界状態にあり、前記気体が超臨界状態にある気液混合流体を生成する流体生成工程と、
    前記気液混合流体を冷却又は減圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力未満にすることによって、前記気液混合流体中に微細気泡を発生させる微細気泡発生工程と、
    前記微細気泡発生工程の後に、前記気液混合流体を加熱又は加圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力以上にすることによって、前記気液混合流体中に前記微細気泡を溶解させる微細気泡溶解工程と
    を有し、
    前記微細気泡溶解工程及び前記微細気泡発生工程を繰り返し実行することによって、水が亜臨界状態の前記気液混合流体において前記微細気泡の発生及び消滅を繰り返す
    微細気泡生成方法。
  2. 前記気体は空気であり、
    前記微細気泡発生工程において、前記気液混合流体を冷却して前記気液混合流体の温度を100℃以上且つ空気の臨界温度未満にすることによって、前記水の亜臨界状態を維持しながら前記気液混合流体中に微細気泡を発生させる、
    請求項1に記載の微細気泡発生方法。
  3. 水及び気体を加熱加圧して、前記水が亜臨界状態にあり、前記気体が超臨界状態にある気液混合流体を生成する生成部と、
    生成した気液混合流体を収容する収容部と、
    前記収容部内の前記気液混合流体の温度又は圧力を制御する制御部と
    を備え、
    前記制御部が、前記収容部内の前記気液混合流体を冷却又は減圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力未満にすることによって、前記気液混合流体中に微細気泡を発生させる微細気泡発生工程と、前記収容部内の前記気液混合流体を加熱又は加圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力以上にすることによって、前記気液混合流体中に前記微細気泡を溶解させる微細気泡溶解工程とをこの順に繰り返し実行することによって、水が亜臨界状態の前記気液混合流体において前記微細気泡の発生及び消滅を繰り返す
    微細気泡生成装置。
  4. 前記収容部は、前記気液混合流体を一方向に循環させる循環経路を有しており、
    前記制御部は、前記気液混合流体が前記循環経路内を循環する間に、前記微細気泡発生工程及び前記微細気泡溶解工程を実行する、
    請求項3に記載の微細気泡生成装置。
  5. 水及び気体を加熱加圧して、前記水が亜臨界状態にあり、前記気体が超臨界状態にある気液混合流体を生成する流体生成工程と、
    前記気液混合流体と試料とを混合する混合工程と、
    混合後の前記気液混合流体を冷却又は減圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力未満にすることによって、前記気液混合流体中に微細気泡を発生させる微細気泡発生工程と、
    前記微細気泡発生工程の後に、前記気液混合流体を加熱又は加圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力以上にすることによって、前記気液混合流体中に前記微細気泡を溶解させる微細気泡溶解工程と
    を有し、
    前記微細気泡溶解工程及び前記微細気泡発生工程を繰り返し実行することによって、水が亜臨界状態の前記気液混合流体において前記微細気泡の発生及び消滅を繰り返し、発生した前記微細気泡によって前記試料を微細化する、
    試料の微細化方法。
  6. 前記気体は空気であり、
    前記微細気泡発生工程において、前記気液混合流体を冷却して前記気液混合流体の温度を100℃以上且つ空気の臨界温度未満にすることによって、前記水の亜臨界状態を維持しながら前記気液混合流体中に微細気泡を発生させる、
    請求項5に記載の試料の微細化方法。
  7. 前記試料はセルロースであり、
    前記発生した微細気泡によってセルロースを解繊することによりセルロースナノファイバーを生成する、
    請求項5又は6に記載の試料の微細化方法。
  8. 前記試料は膨張黒鉛であり、
    前記発生した微細気泡によって膨張黒鉛を剥離することによりグラフェンを生成する、
    請求項5又は6に記載の試料の微細化方法。
  9. 前記試料は層状酸化チタンであり、
    前記発生した微細気泡によって層状酸化チタンを剥離する、
    請求項5又は6に記載の試料の微細化方法。
  10. 水及び気体を加熱加圧して、前記水が亜臨界状態にあり、前記気体が超臨界状態にある気液混合流体を生成する生成部と、
    前記気液混合流体と試料とを混合する混合部と、
    混合後の前記気液混合流体を収容する収容部と、
    前記収容部内の前記気液混合流体の温度又は圧力を制御する制御部と
    を備え、
    前記制御部が、前記収容部内の前記気液混合流体を冷却又は減圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力未満にすることによって、前記気液混合流体中に微細気泡を発生させる微細気泡発生工程と、前記収容部内の前記気液混合流体を加熱又は加圧して前記気液混合流体の温度又は圧力を前記気体の臨界温度又は臨界圧力以上にすることによって、前記気液混合流体中に前記微細気泡を溶解させる微細気泡溶解工程とをこの順に繰り返し実行することによって、水が亜臨界状態の前記気液混合流体において前記微細気泡の発生及び消滅を繰り返し、発生した前記微細気泡によって前記試料を微細化する、
    試料の微細化装置。
  11. 前記試料はセルロース繊維であり、
    前記制御部が、前記発生した微細気泡によってセルロース繊維を解繊することによりセルロースナノファイバーを生成する、
    請求項10に記載の試料の微細化装置。
  12. 前記試料は膨張黒鉛であり、
    前記制御部が、前記発生した微細気泡によって膨張黒鉛を剥離することによりグラフェンを生成する、
    請求項10に記載の試料の微細化装置。
  13. 前記試料は層状酸化チタンであり、
    前記制御部が、前記発生した微細気泡によって層状酸化チタンを剥離する、
    請求項10に記載の試料の微細化装置。
  14. 前記収容部は、前記気液混合流体を一方向に循環させる循環経路を有しており、
    前記制御部は、前記気液混合流体が前記循環経路内を循環する間に、前記微細気泡発生工程及び前記微細気泡溶解工程を実行する、
    請求項10乃至13の何れかに記載の試料の微細化装置。
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