最初に、本発明の一実施形態に係る直達日射関連時間計算システムの概要を、図1を参照して説明する。本発明の一実施形態に係る直達日射関連時間計算システムは、いくつかのシステム構成をとることができ、図1には2つの代表的な構成が示されている。
また、本発明の一実施形態に係る直達日射関連時間計算システムでは、基準点から太陽を見た場合に太陽が障害物によって遮られる時間を表す日影時間、又は基準点から太陽を見た場合に太陽が障害物に遮られていない時間を表す日向時間を算出し、算出したこれらの時間に基づいて設定された表示態様の図形を、敷地上の3次元空間に配置するが、ここでは、日影時間に関して図形の表示を行うシステムを例にとって説明する。
図1(A)に示す直達日射関連時間計算システム1は、いわゆるクライアントサーバシステムであり、ユーザ端末10a、及びネットワーク30を介してユーザ端末10aに接続されるサーバ20を含んでいる。本実施形態では、ユーザ端末10aはWEBクライアントとして動作し、サーバ20は、WEBサーバとして動作する。
ユーザ端末10aが、指定した敷地上の空間について日影時間を計算・表示させるリクエスト51(httpプロトコルによるリクエスト)をネットワーク30を介してサーバ20に送信すると、サーバ20は、太陽存在時間データ41aと、ユーザから指定された情報(地点、敷地データ、建物データ、障害物データ等)を用いて、敷地上の空間について1日における日影時間を計算し、計算結果をレスポンス52(HTMLデータ)として、ネットワーク30を経由してユーザ端末10aに送信する。
ユーザ端末10aは、レスポンス52を受信すると、ユーザ端末10aで実行されるWEBブラウザでこれを解釈し、3Dの表示形態を含む所定の表示形態で、ユーザ端末10aのディスプレイに、敷地上の空間の複数の基準点について日影時間を表示する。
図1(A)に示す直達日射関連時間計算システム1では、WEBシステムを構成するクライアントサーバシステムを例として挙げたが、WEBシステムを用いない、クライアントプログラムとサーバプログラムとの通信によって実現されるクライアントサーバシステムを用いることもできる。
太陽存在時間データ41aは、前もって他のコンピュータ(又は、サーバ20)によって計算されていてもよいし、日影時間の計算が指示されたタイミング等、所定のタイミングでサーバ20によって計算されたり、他のコンピュータからネットワーク等を介してダウンロードされるように構成してもよい。なお、太陽存在時間データ41aについては、後で詳細に説明する。
図1(B)に示す直達日射関連時間計算システム2は、いわゆるスタンドアロンシステムであり、ユーザ端末10bが含まれる。
ユーザ端末10bは、敷地上の空間について日影時間を計算・表示させる指示を受け取ると、インストールされたプログラムにより太陽存在時間データ41bと、ユーザから指定された情報(地点、敷地データ、建物データ、障害物データ等)を用いて、敷地上の空間について1日における日影時間を計算し、3Dの表示形態を含む所定の表示形態で、ユーザ端末10bのディスプレイに、敷地上の空間の複数の基準点について日影時間を表示する。
太陽存在時間データ41bは、前もって他のコンピュータ(又は、ユーザ端末10b)によって計算され、プログラムとともにユーザ端末10bにインストールされていてもよいし、日影時間の計算が指示されたタイミング等、所定のタイミングでユーザ端末10bによって計算されたり、他のコンピュータからネットワーク等を介してダウンロードされるように構成してもよい。なお、太陽存在時間データ41bは、太陽存在時間データ41bと同様の構成であり、これらは後で詳細に説明する。
図1では、本発明の実施形態に係る直達日射関連時間計算システムの構成について代表的な2つの例を挙げて説明したが、これ以外の様々な構成を用いて直達日射関連時間計算システムを実現することができる。
図2は、図1(A)に示すユーザ端末10aのハードウエア構成を示す図である。ユーザ端末10aは、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、音声出力装置103、ディスプレイコントローラ104、ディスプレイ105、入力機器インタフェース106、キーボード107、マウス108、外部記憶装置109、外部記録媒体インタフェース110、及びこれらの構成要素を互いに接続するバス111を含んでいる。さらに、ユーザ端末10aは、ネットワークインタフェース120を含んでいる。
CPU101は、ユーザ端末10aの各構成要素の動作を制御し、OSの制御下で、本発明に係る機能、すなわち、敷地上の空間の日影時間に関する情報をサーバ20から受信し表示する機能等を実行する。
メモリ102は、不揮発性メモリであって、マスクROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリを含むROM、及び揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)から構成される。マスクROMには、ユーザ端末10aの起動時に実行されるプログラム等が格納される。フラッシュメモリやRAMには、CPU101で実行されるプログラムや、それらのプログラムが実行中に作成・使用するデータが一時的に格納される。
音声出力装置103は、例えば、スピーカ等の機器であり、OSの下で動作するアプリケーションから音声データを受け取り、音声を出力する。
ディスプレイコントローラ104は、CPU101が発行する描画命令を実際に処理するための専用コントローラである。ディスプレイコントローラ104で処理された描画データは、例えば、一旦グラフィックメモリに書き込まれ、その後、ディスプレイ105に出力される。ディスプレイ105は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等で構成される表示装置である。
入力機器インタフェース106は、キーボード107やマウス108から入力された信号を受信して、その信号パターンに応じて所定の指令をCPU101に送信する。なお、ディスプレイ105がタッチパネルで構成される場合、入力機器インタフェース106は、ユーザによるディスプレイのタッチを検知し、当該タッチの検知信号をCPU101に送信する。
外部記憶装置109は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)のような記憶装置であり、この装置内には上述したプログラムやデータが記録され、実行時に、必要に応じてそこからメモリ102のフラッシュメモリやRAMにロードされる。
外部記録媒体インタフェース110は、可搬型の外部記録媒体130にアクセスして、そこに記録されているデータを読み取り、読み取ったデータを外部記憶装置109やメモリ102に転送する。外部記録媒体インタフェース110には、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの記録面にアクセスする駆動装置や、USBメモリやUSBケーブルで接続された機器に記憶されたデータにアクセスするUSBインタフェースが含まれる。
ネットワークインタフェース120は、ネットワーク140に接続し、ネットワーク140を介したデータ送受信を制御する。ネットワーク140は、例えば、図1に示したネットワーク30に対応する。
外部記録媒体130には、本発明に係る各機能を実現するためのプログラムを記録することが可能である。外部記録媒体130に記録されているデータは、外部記録媒体インタフェース110を介して外部記憶装置109に格納され、プログラムであれば、実行時にメモリ102のRAMにロードされる。
また、本発明に係る各機能を実現するためのプログラムは、上述のネットワークインタフェース120を介して他のコンピュータから提供されてもよい。
図1(B)に示すユーザ端末10bは、図2に示したユーザ端末10aのハードウェア構成と同様のものであるが、太陽存在時間データ41bを、ネットワークを介して取得しない場合は、ネットワークインタフェース120を有しないように構成することができる。
図3は、サーバ20のハードウエア構成を示す図である。サーバ20は、CPU201、メモリ202、ネットワークインタフェース203、ディスプレイコントローラ204、ディスプレイ205、入力機器インタフェース206、キーボード207、マウス208、外部記憶装置209、外部記録媒体インタフェース210、及びこれらの構成要素を互いに接続するバス211を含んでいる。
CPU201は、サーバ20の各構成要素の動作を制御し、OSの制御下で、本発明に係る各機能、すなわち、敷地上の空間の日影時間を計算によって求め、計算結果を送信する機能等を実行する。
メモリ202は、不揮発性メモリであって、マスクROMやフラッシュメモリを含むROM、及び揮発性メモリであるRAMから構成される。マスクROMには、サーバ20の起動時に実行されるプログラム等が格納される。フラッシュメモリやRAMには、CPU201で実行されるプログラムや、それらのプログラムが実行中に使用するデータ等が一時的に格納される。
ネットワークインタフェース203は、ネットワーク240に接続し、ネットワーク240を介したデータ送受信を制御する。ネットワーク240は、例えば、図1に示したネットワーク30に対応する。
ディスプレイコントローラ204は、CPU201が発行する描画命令を実際に処理するための専用コントローラである。ディスプレイコントローラ204で処理された描画データは、例えば、一旦グラフィックメモリに書き込まれ、その後、ディスプレイ205に出力される。ディスプレイ205は、例えば、LCD等で構成される表示装置である。
入力機器インタフェース206は、キーボード207やマウス208から入力された信号を受信して、その信号パターンに応じて所定の指令をCPU201に送信する。
外部記憶装置209は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)のような記憶装置であり、この装置内には上述したプログラムやデータが記録され、実行時に、必要に応じてそこからメモリ202のフラッシュメモリやRAMにロードされる。
外部記録媒体インタフェース210は、可搬型の外部記録媒体230にアクセスして、そこに記録されているデータを読み取り、読み取ったデータを外部記憶装置209やメモリ202に転送する。外部記録媒体インタフェース210には、例えば、CDやDVDなどの記録面にアクセスする駆動装置や、USBメモリやUSBケーブルで接続された機器に記憶されたデータにアクセスするUSBインタフェースが含まれる。
外部記録媒体230には、本発明に係る各機能を実現するためのプログラムを記録することが可能である。外部記録媒体230に記録されているデータは、外部記録媒体インタフェース210を介して外部記憶装置209に格納され、プログラムであれば、実行時にメモリ202のRAMにロードされる。
また、本発明に係る各機能を実現するためのプログラムは、上述のネットワークインタフェース203を介して他のコンピュータから提供されてもよい。
なお、サーバ20に関する操作やサーバ20を利用した機能については、このサーバ20にリモート接続される別のコンピュータによって行われることが一般的であり、その場合、上述の、ディスプレイコントローラ204、ディスプレイ205、入力機器インタフェース206、キーボード207、マウス208等は特段必要のない構成要素となる。
図4は、ユーザ端末10aによって実行される機能を表す機能ブロック図である。ユーザ端末10aは、WEBアクセス制御部151、表示制御部152、入力制御部153、及びネットワークI/F部154を含む。また、ユーザ端末10aは、記憶装置160(図2の外部記憶装置109に対応)に、設定情報161、及び日影時間計算結果162を記憶する。日影時間計算結果162には、指定された敷地上の空間の各基準点に関する日影時間積算データが含まれる。
WEBアクセス制御部151は、ユーザの操作に応じて、サーバ20にリクエストを送信し、レスポンスとしてサーバ20からHTMLデータ受信する。
表示制御部152は、WEBアクセス制御部151によって受信したHTMLデータを解釈し、ディスプレイにWEBページを表示するよう制御する。
入力制御部153は、WEBページ上でのユーザの操作により受信した入力データをWEBアクセス制御部151を介してサーバ20に送信する。
WEBアクセス制御部151、表示制御部152、及び入力制御部153は、この例では、実質的にWEBブラウザが実施するものである。WEBブラウザによって、ユーザが入力した設定情報や日影時間計算・表示の指示がサーバ20に送信され、サーバ20から送信される日影時間計算結果が、例えば、3D表示といった表示形態でディスプレイに表示される。
ネットワークI/F部154は、図2に示したネットワークインタフェース120を制御して、ネットワーク140(図1のネットワーク30に対応)を介して、サーバ20との間のデータ送受信を実現する。
また、ユーザは、必要に応じて、WEBブラウザで指示を行い、入力した設定情報を記憶装置160の設定情報161として記憶させることができ、さらに、サーバ20から受信した日影時間計算結果を、記憶装置160の日影時間計算結果162として記憶させることができる。
図5は、サーバ20によって実行される機能を表す機能ブロック図である。サーバ20は、WEBアクセス管理部251、設定情報受信部252、太陽存在時間データ算出部253、日影時間積算部254、図形表示態様設定部255、3D表示用データ送信部256、及びネットワークI/F部258を含む。
また、記憶装置260(図3の外部記憶装置209に対応)に、HTMLデータ261、ユーザ管理データ262、太陽存在時間データ263、設定情報264、及び日影時間計算結果265を記憶する。日影時間計算結果265には、指定された敷地上の空間の各基準点に関する日影時間積算データが含まれる。
WEBアクセス管理部251は、ユーザ端末10aからリクエストを受信すると、これに応じたHTMLデータが、ユーザ端末10aにレスポンスとして送信される。HTMLデータは、WEBページを表示するためのHTMLソース、3D表示用データ、画像データ、CSSデータ、JavaScript(登録商標)等を含み、これらは、記憶装置260に記憶されているHTMLデータ261を元に編集・生成される。
設定情報受信部252は、WEBアクセス管理部251を介して、ユーザ端末10aから、ユーザによる設定情報の入力があった場合に、その設定情報を、記憶装置260の設定情報264に記憶する。当該設定情報は、敷地上の空間の日影時間を計算するために、後述する太陽存在時間データ算出部253や日影時間積算部254によって利用される。
太陽存在時間データ算出部253は、WEBアクセス管理部251を介して、ユーザ端末10aから、ユーザによる日影時間計算の指示があった場合に、設定情報に含まれる地点データ(計算対象となる敷地の地点を表すデータ)に基づいて、天球分割区画ごとに太陽が存在する時間(太陽存在時間データ41a)を求める。ここで、天球分割区画は、敷地の周囲に仮想的に設定された半球状領域に割り当てられた複数の分割区画である。
また、太陽存在時間データ算出部253は、上述のように、太陽存在時間データ41aを前もって算出しておくことができ、さらに、他のコンピュータから取得するように構成することもできる。
日影時間積算部254は、上述の太陽存在時間データ41aと、設定情報に含まれる敷地データ、障害物データ等に基づいて、敷地上の3次元空間に設定した複数の基準点のそれぞれについて、どの天球分割区画の太陽が隣棟等の障害物に遮られているかを判定し、各基準点に関する日影時間を積算する。
図形表示態様設定部255は、各基準点に関連付けられた図形の表示態様を、対応する基準点に関する日影時間に応じて設定する。
3D表示用データ送信部256は、各基準点に関連付けられた図形を、図形表示態様設定部255により設定された表示態様で、対応する基準点に関する位置に3D表示するための3D表示用データを生成し、これをHTMLデータに含めて、あるいはHTMLデータとともにWEBアクセス管理部251を介してユーザ端末10aに送信する。
ネットワークI/F部257は、図3に示したネットワークインタフェース203を制御して、ネットワーク240(図1のネットワーク30に対応)を介して、ユーザ端末10aとの間のデータ送受信を実現する。
また、記憶装置260には、ユーザ管理データ262が記憶されているが、これは、複数のユーザ端末10aがアクセスしてサーバ20を利用しようとする場合に、各ユーザの認証を行うための、実行許諾有無、ユーザID、パスワード等を記憶する。
図6は、スタンドアロンコンピュータとして機能するユーザ端末10bによって実行される機能を表す機能ブロック図である。ユーザ端末10bは、設定情報受信部171、太陽存在時間データ算出部172、日影時間積算部173、図形表示態様設定部174、表示制御部175、及び入力制御部176を含む。
また、記憶装置180に、太陽存在時間データ181、設定情報182、及び日影時間計算結果183を記憶する。日影時間計算結果183には、指定された敷地上の空間の各基準点に関する日影時間積算データが含まれる。
設定情報受信部171は、ユーザ端末10bのディスプレイに表示された画面から、ユーザによる設定情報の入力があった場合に、その設定情報を、記憶装置180の設定情報182として記憶する。当該設定情報は、敷地上の空間の日影時間を計算するために、後述する太陽存在時間データ算出部172や日影時間積算部173によって利用される。
太陽存在時間データ算出部172は、ユーザ端末10bのディスプレイに表示された画面から、ユーザによる日影時間計算の指示があった場合に、設定情報に含まれる地点データ(計算対象となる敷地の地点を表すデータ)に基づいて、天球分割区画ごとに太陽が存在する時間(太陽存在時間データ41b)を求める。
また、太陽存在時間データ算出部172は、上述のように、太陽存在時間データ41bを前もって算出しておくことができ、さらに、他のコンピュータから取得するように構成することもできる。
日影時間積算部173は、上述の太陽存在時間データ41bと、設定情報に含まれる敷地データ、障害物データ等に基づいて、敷地上の3次元空間に設定した複数の基準点のそれぞれについて、どの天球分割区画の太陽が隣棟等の障害物に遮られているかを判定し、各基準点に関する日影時間を積算する。
図形表示態様設定部174は、各基準点に関連付けられた図形の表示態様を、対応する基準点に関する日影時間に応じて設定する。
表示制御部175は、各基準点に関連付けられた図形を、図形表示態様設定部174により設定された表示態様で、対応する基準点に関する位置に3D表示する(ユーザ端末10bのディスプレイに表示する)よう制御する。また、設定情報を入力するための画面等、ユーザの操作に応じて、様々な画面をユーザ端末10bのディスプレイに表示するよう制御する。
入力制御部176は、ユーザ端末10bのディスプレイに表示された画面におけるユーザの操作を入力するよう制御する。上述した各機能部は、当該入力に応じて所定の処理を実行する。
次に、図7ないし図12を参照して、本発明の一実施形態に係る直達日射関連時間計算システムにおける日影時間計算方法、日影時間表示方法について説明する。なお、上述の通り、本発明の直達日射関連時間計算システムでは、クライアントサーバシステムやスタンドアロンシステムを含む様々な構成のコンピュータシステムで実現可能であるが、ここでは、本発明の直達日射関連時間計算システムが、ユーザ端末10bによるスタンドアロンシステムで実現されるものとして説明する。
図7は、日影時間の計算において利用する半球状領域310の一例を表している。半球状領域310は、計算対象の敷地上に構成される3次元空間304の上空を取り囲むよう配置された仮想的な半球状の領域である。また、半球状領域310は、複数の区画(以降、天球分割区画と称する)に分割され、それぞれの天球分割区画に、3次元空間304の基準点からみた太陽300の存在時間(太陽存在時間)が対応付けられる。
本実施形態では、3次元空間304の内部に複数の基準点(例えば、敷地上の3次元空間を格子状に区切って得られた複数の六面体にそれぞれ関連付けられた点)を設定し、各基準点について、どの天球分割区画の太陽が遮られていたかを判定し、その遮られていた天球分割区画の太陽存在時間を積算することにより、簡易的な日影時間の計算を可能にしている。例えば、図7では、隣棟305aや、隣棟305bが、各基準点について太陽を遮る障害物となりうる。
図8は、図7に示した半球状領域310に設定された天球分割区画をさらに詳細に示した図である。図8(A)は、図7に示した半球状領域310を、真上、すなわち、図7の矢印Xの方向から見た図であり、図8(B)は、図7に示した半球状領域310を、水平方向から見た図である。
図8(A)に示すように、半球状領域310に設定された天球分割区画は一定の方位角で分割されており、円の中心から放射状に延びる直線によって16の扇形に等分されるよう設定され(i=1〜16)、それぞれの扇形の中心角は22.5°となっている。
また、図8(B)に示すように、天球分割区画は、半円を水平方向に9分割するよう設定され(j=1〜9)、半球状領域310の表面には、9つの同心円が形成される(図8(A)参照)。これら9つの同心円に関する高度角(すなわち、同心円と半球状領域310を球体としたときの中心がなす角)は、それぞれ10°、20°、・・・90°であり、高度角の刻み幅は、10°という一定の角度となっている。
したがって、半球状領域310は、上方向から16分割、水平方向に9分割され、図8(A)に示すように、全体で144の区画(天球分割区画)が設定される。天球分割区画のそれぞれは、図8(A)に示すハッチングで示された天球分割区画R(5,4)のように、iとjの2次元配列で特定することができる。また、i=1〜144のように、1次元配列で管理することも可能である。
なお、図8に示すような天球分割区画は一例に過ぎず、他の様々な天球分割区画や分割方法を採用することができる。例えば、図8のような、一定の方位角、高度角で天球を分割するのではなく、太陽の軌道となる区画について、分割の間隔をより小さくすることで、計算量を増大させずに簡易計算の精度を向上させることができる。
また、季節や地点によって、太陽の軌道が異なるので、季節や地点に応じて天球分割区画の分割方法を変えることも考えられる。
さらに、分割の間隔を小さくして天球分割区画の数をより多くすることにより、簡易計算の精度を向上させることもできる。なお、この場合、天球分割区画の数が多くなればなるほど、各基準点における日影時間計算に時間がかかり、結果的に日影時間に係る3D表示が遅くなるため、天球分割区画の数については、このような精度と表示速度とのトレードオフの関係を考慮する必要がある。
次に、図9のフローチャートを参照して、本発明の一実施形態に係る直達日射関連時間計算システムにおける日影時間計算、及び日影時間表示の方法を概略説明する。
最初に、ステップS31において、ユーザがユーザ端末10bに入力した地点、敷地、障害物、計算対象期間に関する情報を含む設定情報を受信し、地点の情報に基づいて、天球分割区画ごとの太陽存在時間を算出する。こうして算出された太陽存在時間データ41bは、太陽存在時間データ181として記憶装置180に記憶される。
その後、ステップS32において、設定情報から、計算対象とする敷地を特定し、ステップS33において、特定された敷地上の3次元空間内に複数の基準点を設定する。基準点は、例えば、敷地上の3次元空間を格子状に区切り、その結果得られた各六面体の中心点である。ユーザは、3次元空間をどのような数(サイズ)、形状で分割するかを設定することができる。
次に、ステップS34において、3次元空間内の各基準点に関して、どの天球分割区画の太陽が遮られるかを判定する。この判定は、設定情報として入力された障害物の情報(例えば、隣棟の位置や高さ等)と各基準点の座標を用いた計算により行われる。
次に、ステップS35において、各基準点について、太陽が遮られていた天球分割区画の太陽存在時間を、その基準点に対応付けて積算し、基準点ごとの日影時間を求める。
ステップS36において、各基準点に対応する図形の表示態様を、基準点ごとに求めた日影時間に基づいて設定する。例えば、各基準点に対応する図形は、3次元空間を格子状に区切った結果得られた六面体であって、各六面体は、この3次元空間内で互いに隣接して配置される。また、各六面体の表面は、対応する各基準点の日影時間が長いほど、濃い色に着色される。
次に、ステップS37において、各図形を、設定された表示態様で、対応する基準点に関連する位置に3D表示する。
次に、図10を参照して、本発明の一実施形態に係る直達日射関連時間計算システムにおける太陽存在時間データの算出処理について説明する。
最初に、ステップS41において、ユーザ端末10bのディスプレイに表示された画面から、ユーザによる設定情報の入力があった場合に、設定情報に含まれる対象地点を取得し、この対象地点を計算対象地点にセットする。
次に、ステップS42において、ユーザ端末10bのディスプレイに表示された画面から、ユーザによる設定情報の入力があった場合に、設定情報に含まれる計算対象期間を取得し、この計算対象期間の最初の日時を、計算スタート時の計算対象日時としてセットする。
その後、ステップS43において、計算対象日時が計算対象期間の最後の日時となり、全ての期間について処理が終了したか否かが判定される。全ての期間についての処理が終了していない場合(ステップS43のNO)、ステップS44に進み、そこで、計算対象地点における、計算対象日時での太陽の位置を求める。
次に、ステップS45において、対象地点(緯度・経度)と太陽の位置から、このときの太陽に対応する天球分割区画R(i,j)を求め、ステップS46において、求めた天球分割区画R(i,j)に対応する積算時間H(i,j)に、太陽存在時間(この例では1分)を積算する。
その後、ステップS47において、次の日時(この例では、1分後の日時)を計算対象日時にセットしてステップS43に進み、再び、全ての期間について処理が終了したか否かの判定が行われる。
ステップS43において、全ての期間について処理が終了したと判定された場合(ステップS43のYES)、ステップS48において、計算対象期間における太陽存在時間が積算されている積算時間H(i,j)のそれぞれを、計算対象期間の日数で割って、日単位の太陽存在時間とする。
このような処理によって、それぞれの天球分割区画R(i,j)に対応して積算時間H(i,j)が計算され、結果的に太陽存在時間データが生成される。
なお、図10の例では、太陽の軌道から1分ごとの太陽の位置を計算し、これによる存在時間を対応する天球分割区画R(i,j)に当てはめるようにして太陽存在時間データを算出しているが、他の様々な方法で太陽存在時間データを算出することができる。例えば、それぞれの天球分割区画R(i,j)の端部が太陽の軌道と重なる2点を求めて、その2点を通る太陽の時間を積算することで太陽存在時間データを算出することもできる。
また、この例では、ユーザが指定した対象地点(緯度・経度)と太陽の位置から、このときの太陽に対応する天球分割区画R(i,j)を求めているが、他の地点や、他の複数の地点を利用するようにしてもよい。
図11は、図10に示すような処理によって算出された、ある地点における太陽存在時間データ181の例を示しており、計算対象期間が夏期(7月〜9月)である場合と冬期(12月〜2月)である場合の2つのパターンが示されている。天球分割区画R(i,j)に対応する太陽存在時間H(i,j)は、1日における太陽存在時間であり、それぞれ分の単位で表されている。例えば、夏期の太陽存在時間H(6,6)は、23.5となっており、この区画に23分30秒存在することを表している。
図11の例では、i=2〜5、13〜15については省略しているが、積算の結果、太陽の軌道に沿って、太陽存在時間がゼロより大きくなっていることが分かる。
次に、図12のフローチャートを参照して、本発明の一実施形態に係る直達日射関連時間計算システムにおける日影時間計算、及び日影時間表示の方法を詳細に説明する。
最初に、ステップS81において、ユーザがユーザ端末10bに入力した地点、敷地、障害物等の設定情報を受信する。地点は、敷地の代表位置を示す情報であって、計算対象地点として利用されるものであり、例えば、緯度・経度の情報からなる。
次に、ステップS82において、ユーザがユーザ端末10bに入力した計算対象期間を受信する。ユーザは、この計算対象期間として、例えば、夏期・冬期といった、あらかじめ設定されている所定の期間から選択することもできるし、特定の1日(例えば、冬至や夏至の1日)や特定の期間を指定することもできる。
また、本実施形態では、代表的な地域や都市における所定の期間の太陽存在時間データ181を事前にいくつか算出しておいて、ユーザが、こうした事前に算出された太陽存在時間データ181のなかから、所望のものを選択するようにすることもできる。
次に、ステップS83において、指定した地点と計算対象期間に基づいて、太陽存在時間データ181を算出する。太陽存在時間データ181は、例えば、図10に説明した処理を行うことによって求められる。
ここで、直達日射関連時間計算システムは、ステップS84で、ユーザから日影時間計算の指示があったか否かを判定し、日影時間計算の指示があるまで、当該判定を繰り返す。ユーザから日影時間計算の指示があった場合(ステップS84のYES)、ステップS85に進み、そこで、指定された敷地上の3次元空間に複数の基準点を設定する。3次元空間の高さや基準点の間隔等は、ユーザによって指定される。
次に、ステップS86において、上記の複数の基準点のなかから1つの基準点を選択し、計算対象としてセットする。
次に、ステップS87において、全ての基準点についての処理が完了したか否かが判定され、基準点の処理が完了していない場合は(ステップS87のNO)、ステップS88において、計算対象の基準点から見て、各天球分割区画R(i,j)の位置にある太陽が、ユーザにより設定された障害物のデータに基づいて遮られるか否かを判定し、判定結果を、天球分割区画R(i,j)に対応する障害物有無計数O(i,j)にセットする。
次に、ステップS89において、各天球分割区画R(i,j)の太陽存在時間H(i,j)と、障害物有無計数O(i,j)に基づき、計算対象の基準点に関する日影時間を積算する。
例えば、障害物有無係数O(i,j)に、障害物なしの場合「0」、障害物ありの場合「1」をセットする、積算日影時間[時間]は、以下の式により求められる。
積算日影時間=Σi=1〜16,j=1〜9(天球分割区画R(i,j)における積算日影時間)
=Σi=1〜16,j=1〜9(H(i,j)×O(i,j)) ・・・式1
次に、ステップS90は、次の基準点を計算対象としてセットし、ステップS87に進む。
一方、ステップS87において、全ての基準点についての処理が完了したと判定された場合は(ステップS87のYES)、ステップS91において、各基準点に対応する図形の表示態様を、その基準点に関して積算された日影時間に応じて設定する。例えば、図形は、六面体、正六面体、球体といった図形にすることができ、サイズを設定することもできる。また、日影時間が長いほど図形の表面を濃い色に着色するといった表示を行うことができる。
なお、図形の色数をいくつにするか(言い換えれば、日影時間を何段階に設定するか)については、様々に設定することができる。ユーザが選択するようにしてもよい。図形のサイズを小さくして色数を多くすれば、色や濃淡が連続した階調で表示され、なめらかなグラデーション表示が実現される。
次に、ステップS92において、各図形の表示位置を、対応する基準点の位置に基づいて設定する。例えば、対応する基準点を中心点として図形を所定方向に配置するようにできる。
次に、ステップS93において、各図形を、設定された表示形態・表示位置でユーザ端末10bのディスプレイに3D表示する。なお、サーバ20では、このような3D表示を行うための関連データをユーザ端末10aに送信する。
なお、ここでは詳細を省略するが、3D表示は、例えば、既存の3D表示プログラム(モジュール)によって実行され、ユーザが、3D表示に対して、回転や拡大・縮小の指示を行うと、これに応じて、3D表示の視点が変化したり、拡大・縮小が行われたりする。
なお、本実施形態では、図12に示すような方法で、敷地上の3次元空間における複数の基準点に関する日影時間を求めることとしたが、他の方法を利用して日影時間を求めることもできる。例えば、従来の平面の日影図を求める計算方法を、高さを変えて何層も実施することで、敷地上の3次元空間における各基準点の日影時間を求めることができる。なお、日影時間を求める従来の計算方法として、様々なものが存在する。
次に、図13ないし図33を参照して、本発明の一実施形態に係る直達日射関連時間計算システム2によりユーザ端末10bのディスプレイに提供されるGUIについて説明する。
図13は、ユーザがユーザ端末10bに対し所定の操作を行うことで表示される日影時間計算設定画面400の例である。日影時間計算設定画面400には、メニュー表示部401、及び方位表示部402が表示され、メニュー表示部401の下部には、敷地や隣棟等が表示されるCAD画面が配置される。
ここで、ユーザがメニュー表示部401の敷地等設定入力をマウス等で選択(クリック)すると(矢印403)、図13の左下に示すような敷地等設定入力画面404がポップアップ表示される。敷地等設定入力画面404には、方位・地点指定部、敷地指定部、敷地内建物指定部、隣棟指定部、樹木指定部、及び垂直断面指定部が配置される。
方位・地点指定部では、上述した日影時間計算設定画面400のCAD画面に表示される敷地や隣棟等の方位を指定するためのGUIが提供される。こうした方位の指定に応じて、日影時間計算設定画面400に方位表示部402が表示される。
また、方位・地点指定部では、計算対象となる敷地の地点を緯度、及び経度で入力するためのGUIが提供される。こうした地点の指定によって、太陽存在時間データ181を算出する際に、入力された地点にしたがって太陽の軌道が計算されることになる。
なお、この計算対象の敷地の位置に近い地位や都市を、選択肢のなかから選択するようにすることもでき、その場合、太陽存在時間データ181の算出には、選択された地域・都市の緯度・経度が用いられる。
敷地指定部では、計算対象の敷地を指定するためのGUIが提供される。例えば、BOXボタンにより矩形を指定したり、LINEボタンで複数の直線を指定したり、数値ボタンで複数の点の座標を指定したりすることにより敷地の領域を指定することができる。なお、この数値ボタンで指定される敷地は、矩形であるとは限らない。図13の例では、敷地指定部での指定により、日影時間計算設定画面400のCAD画面に、敷地406aが表示されている。
敷地内建物指定部では、敷地内の建物の位置を指定するためのGUIが提供される。例えば、LINE位置指定ボタンにより、日影時間計算設定画面400のCAD画面の敷地406aに、ユーザにより位置の変更が可能な4本のラインが示され、ユーザは、これらのラインの位置を操作することにより、敷地内の建物の位置を指定することができる。図13の例では、敷地406aに、4本のラインで囲まれた領域407が指定され、この領域407が建物の位置となる。なお、敷地内建物指定部では、敷地内の建物の高さや各階の高さ等を指定することができる。
隣棟指定部では、計算対象の敷地に隣接する領域と、その隣接領域に建てられた建物(隣棟)を指定するためのGUIが提供される。例えば、BOXボタンにより矩形を指定したり、LINEボタンで複数の直線を指定したり、多角形ボタンで複数の多角形のパターンから1つを選択したりすることにより、複数の隣接領域と隣棟を指定することができる。また、隣棟のそれぞれについて、軒高を指定することができる。
さらに、隣棟指定部では、隣棟のそれぞれについて、屋根の設定を行うことができる。ユーザが、隣棟指定部に配置されている屋根設定ボタンをマウス等で選択すると、図13の右下に示すような屋根設定画面405がポップアップ表示される。屋根設定画面405では、屋根形状指定部と勾配等指定部が配置され、屋根形状指定部では、切妻や寄棟といった屋根の形状を選択することができ、勾配等指定部では、屋根の勾配、軒の出、ケラバの出等の値を入力することができる。
図13の例では、このような隣棟指定部での指定により、日影時間計算設定画面400のCAD画面に、隣接領域406b、隣接領域406c、隣接領域406dが表示され、さらに、隣接領域406bには隣棟408が、隣接領域406cには隣棟410が、隣接領域406dには隣棟409が表示されている。隣棟は、計算対象の敷地上の3次元空間に影を落とす障害物となりうるため、隣棟の位置、高さ、屋根の形状等は、直達日射関連時間計算システムにおいては重要な要素となりうる。
なお、このような隣棟に関する情報は、ユーザから指定されるものとは限らない。例えば、所定の地図データから隣棟に関するデータを取得し、敷地の位置等に基づいて、隣棟に関する情報が自動的に設定されるようにすることもできる。
樹木指定部では、周辺の樹木(常緑樹、落葉樹)を配置することができ、これらの指定が、日影時間計算設定画面400のCAD画面に反映される。樹木は、計算対象の敷地上の3次元空間に影を落とす障害物となりうるため、樹木の位置や高さ等は、直達日射関連時間計算システムにおいては重要な要素となりうる。このような樹木の形状は、便宜上、葉と幹からなる所定の形状を用いることができる。また、常緑樹については、夏期・冬期ともに葉と幹を障害物として考慮し、落葉樹については、夏期は葉と幹を障害物とし、冬期は幹のみを障害物(あるいは障害物なし)として考慮することができる。
垂直断面指定部では、日影時間計算設定画面400のCAD画面に表示された敷地406aに対して、断面を表示するためのラインを設定することができる。図13の例では、ラインは、東側の断面を表示するためのライン、西側の断面を表示するためのライン、南側の断面を表示するためのライン、北側の断面を表示するためのラインを、断面設定追加ボタンによりそれぞれ複数設定することができる。これらのラインに沿って、日影時間に応じて着色された図形の断面が表示されることになる。
図13に示す日影時間計算設定画面400は、図13で各種設定入力がされた後の状態を示しており、日影時間計算設定画面400のCAD画面には、ユーザの設定操作に応じて、敷地406a、隣接領域406b、隣接領域406c、隣接領域406d、隣棟408、隣棟409、及び隣棟410が示されている。
ユーザは、メニュー表示部401の3D敷地確認をマウス等で選択すると、上記の敷地406aや敷地406aに設定した敷地内建物のほか、隣接領域や隣棟を3D表示にて確認することができる。
ここで、ユーザがメニュー表示部401の3D日影確認をマウス等で選択すると、ユーザ端末10bのディスプレイの表示が、図14に示すような3D日影確認画面500に遷移する。
図14に示す3D日影確認画面500には、方位表示部501、3D日影確認設定入力部502、3D表示部503、表示範囲選択部504、及び3D操作指示部505が配置される。
方位表示部501は、3D表示部503に示された敷地406a等の方位を示している。
3D日影確認設定入力部502は、ユーザに、日影計算のためのさらなる設定入力を可能とするものである。季節指定部は、計算対象期間を指定するものであり、図14の例では、冬期と夏期がマウス等により選択可能となっており、「冬期」が選択されている。この選択に応じて、日影時間の計算の際に、対応する冬期の太陽存在時間データ181が用いられる。
計算期間指定部では、設定ボタンをマウス等で選択することによって、計算期間を個別に設定することができる。冬期、夏期以外の期間を設定することもできるし、1年や1日といった期間を選択することもできる。
計算条件指定部では、敷地上の3次元空間の壁面の高さ、敷地上の3次元空間の水平面に関する計算区画のサイズ、及び敷地上の3次元空間の垂直面に関する計算区画(ここでは、壁面間隔)のサイズを指定する。こうした指定により、敷地上の3次元空間が、縦、横、高さがそれぞれ1820mmの正六面体(ここでは、これ以降、「キューブ」と称する)に分割され、そのキューブの中心が、日影計算を行う基準点として設定される。
ユーザが設定ボタンをマウス等で選択して、上記の計算区画、壁面間隔の値をより小さく設定することができ、その場合、3次元空間内における日影時間の変化をより詳細な単位で把握することができる。
障害物指定部では、図13の日影時間計算設定画面400で設定した隣棟や樹木について、日影計算の際に実際に考慮するか否かを指定することができる。また、個別設定ボタンをマウス等で選択することにより、隣棟に対して、個々に考慮するか否かを選択することができる(樹木についても同様の仕様とすることができる)。
さらに、3D表示部503に表示された隣棟等の障害物をマウス等によって直接選択し、日影計算の際に考慮するか否かを切り替えることができる。このとき、日影計算の際に考慮されるか否かに応じて、障害物の表現方法を切り替えることができる。例えば、日影計算において考慮される障害物がカラーのポリゴンで表現されている場合に、日影計算の対象外となった障害物については、ポリゴンを消去しワイヤーのみで表現することができる。
上述した3D日影確認設定入力部502による設定、及び表示範囲選択部504の設定を行った後、ユーザは、3D日影時間計算ボタンをマウス等で選択し、3D日影時間の計算と日影時間の表示を行うことできる。
3D表示部503には、図13の日影時間計算設定画面400で設定した敷地、隣接領域、隣棟が3D表示されており、これは、図13の日影時間計算設定画面400の3D敷地確認ボタンをマウス等で選択した場合に表示される3D表示と同様のものである。ただし、図14の例では、説明の便宜上、図13の日影時間計算設定画面400で設定した敷地内建物の表示は省略されている。
また、3D表示部503には、計算条件指定部での指定に応じて、敷地406aに、計算区画に対応するサイズで区切られた格子模様(グリッド又はメッシュ)が表示されている。さらに、3D表示部503には、敷地上の3次元空間の外周を表す仮想壁面420が表示され、この仮想壁面の高さは、計算条件指定部での指定に応じて6400mmに設定されている。なお、ここでは省略されているが、影ができる位置が把握しやすいように、仮想壁面420に格子模様(メッシュ)を表示することができる。
3D操作指示部505は、3D表示部503に表示された3D表示に対して指示を行う。例えば、印刷ボタンにより3D表示の印刷を可能とし、拡大ボタンにより3D表示の拡大を可能とし、縮小ボタンにより3D表示の縮小を可能とする。また、移動ボタンをマウス等により選択した後、マウスカーソルを3D表示上で移動させれば、その移動に応じて、3D表示の内容が移動する。また、回転ボタンをマウス等により選択した後、マウスカーソルを3D表示上で移動させれば、その移動に応じて、3D表示は、視点の異なる3D表示に遷移する。
3D操作指示部505の凡例ボタンがマウス等により選択されると、日影時間ごとにどの色(本明細書の図面では、色の違いを異なるハッチングで表すものとする)でキューブが着色されているかを示す凡例表示部506がポップアップ表示される。この例では、日影時間が0時間以上2時間未満の色、日影時間が2時間以上4時間未満の色、日影時間が4時間以上6時間未満の色、日影時間が6時間以上8時間未満の色、日影時間が8時間以上の色がそれぞれ示されている。
日影時間ごとに設定される色は、例えば、日影時間が長いほど濃い色とすることができ、このようにすることで、日影時間が短い空間から長い空間への遷移を容易に把握することができる。また、計算期間指定部で指定された夏期や冬期といった計算期間に応じて、日影時間と色との対応関係や1色に対応付けられる日影時間の範囲(日影分布表示パターン)を変更することもできる。
表示範囲選択部504には、日影時間が所定時間以上であるキューブを表示するためのチェックボックスが設けられており、例えば、「4時間以上」のチェックボックスがチェックされると、日影時間が4時間以上であるキューブが表示される。すなわち、凡例表示部506に示されるような、日影時間が4時間以上6時間未満の色、日影時間が6時間以上8時間未満の色、日影時間が8時間以上の色のキューブがそれぞれ、3D表示部503に表示されることになる。
当該チェックボックスのオン/オフは、一旦、日影時間の計算が行われた後でも変更することができ、それによって、ダイナミックに所定時間以上の日影時間となるキューブを表示させることができる。
また、表示範囲選択部504は、3D日影確認設定入力部502の季節指定部で冬期が選択されたことに応じて、冬の日影分布表示パターンが示されている。
図15に示す3D日影確認画面500では、3D表示部503に、図13の日影時間計算設定画面400で設定した敷地内建物407’が太線の輪郭を持った半透明の図形として表わされている。なお、図15の例では、敷地内建物407’が2階建ての建物として表示され、2階の床部分の状況も把握することができるが、以降に図示する敷地内建物407’では、見やすさのために2階の床部分の表示を省略する。
図13の日影時間計算設定画面400で3D日影確認ボタンを選択した場合に、最終的に示される形態は、図15に示す3D日影確認画面500である。
ここで、表示範囲選択部504の日影時間が2時間以上に対応するチェックボックスをマウス等で選択し(矢印510)、次に、3D日影時間計算ボタンをマウス等により選択すると(矢印511)、図16に示すように、日影時間2時間以上の基準点に対応するキューブが仮想壁面420の内側に表示されることになる。
図16は、図15の3D日影確認画面500において3D日影時間計算ボタンが選択された場合に、ユーザ端末10bのディスプレイに表示される3D日影確認画面500である。図16の例では、3D表示部503において、仮想壁面420の内側に、日影時間2時間以上の基準点に対応する図形(キューブ)が、日影時間に応じた色(ハッチング)によって表現されている。この例では、同じ色に設定されたキューブが隣接する場合、それらのキューブは連結した1つの立方体として表現される。
また、この例では、表示範囲選択部504で日影時間2時間以上に対応するチェックボックスがチェックされているため、日影時間が0時間以上2時間未満(すなわち、日当たりの良い空間)である基準点に対応する図形(キューブ)は表示されていない。
なお、ここでは、説明の便宜上、図13の日影時間計算設定画面400で設定した敷地内建物の表示は省略されている。
3D表示部503での3D表示で分かるように、仮想壁面420の内側は、敷地406aの南側に位置する隣棟410、隣棟409の影響により、比較的高い位置まで日影となる空間が存在していることが分かる。また、仮想壁面420の内側に積み上げられたキューブは、上層部分は日影時間2時間以上4時間未満のものが多く観察され、日影時間8時間以上といった長く日影になる空間は、(この時点では)下層のほうに存在すると予想される。
このような表示状態で、3D操作指示部505の回転ボタンによる操作を行うことにより、3D表示の視点を変更することができ、様々な角度から日影時間の分布を確認することができる。なお、隣棟408、隣棟409、隣棟410、及び仮想壁面420は、透過状態で表示されているため、様々な視点から、キューブの位置や色を確認することができる。
キューブのサイズは、上述のように、計算条件(計算区画、壁面間隔)で任意に設定されるが、本明細書では、説明の便宜のために、比較的大きなサイズとしている。詳細に日影時間の分を把握するため、キューブのサイズをより小さく設定可能であることは言うまでもない。
ここで、基準点とその基準点に対応する図形の関係について、図17を参照して説明する。
図17(A)には、図16の3D日影確認画面500に示した仮想壁面420の内側に積み上げられたキューブの1つ(キューブ430)が取り出され、示されている。仮想壁面420の底辺に対応する敷地406aには、ユーザが設定した計算区画のサイズでグリッドが表示されている。
図17(B)には、図17(A)に示したキューブ430とその中心点430aが示されており、本実施形態では、この中心点430aの位置(座標)が基準点となり、当該基準点に基づいて計算した日影時間に応じてキューブ430の色が決定される。このようなキューブを、敷地406aの上の3次元空間内(仮想壁面420の内側)に互いに隣接して並べると、それぞれのキューブに対して基準点の位置が求められ、さらに、そのような各基準点について日影時間が求められ、対応するキューブの色が日影時間に応じて設定される。
ここでは、3次元空間を、計算区画と壁面間隔に応じて格子状に区切り、その結果得られたキューブの中心点を基準点としたが、計算アプローチはこの逆であってもよい。すなわち、3次元空間内に、ユーザが設定した計算区画と壁面間隔に応じて格子状に(X軸、Y軸、Z軸に沿って)ラインを引き、それらのラインの交点を基準点とする一方で、その基準点を中心としたキューブを設定し、そのキューブの色を当該基準点における日影時間に応じて設定する。
図17(C)は、基準点に対応し、日影時間に応じた色が設定される図形が、図17(B)に示すような互いに隣接するキューブではなく、基準点を中心とした球体である例を示している。図17(B)のキューブ430に対応するキューブ440は、ここでは表示されず、代わりに、球体440aが表示され、この球体440aの色が、対応する基準点の日影時間に応じて変化する。
また、対応する基準点の日影時間に応じて球体440aの色を変えるとともに(あるいは、色を変える代わりに)球体440aの大きさを(基本的には、キューブ440の範囲内で)変えるようにすることができる。例えば、日影時間が長い基準点に対応する球体を、図17(C)の球体440bのように大きなサイズで表すことができる。
このように、日影時間を求める基準点に対応する図形を様々な図形とすることができる。また、図17の例では、キューブ430や球体440a、440bの中心が基準点となるよう配置したが、他の所定のルールにより図形を配置することもできる。
次に、隣接するキューブにおいて、日影時間の差により色が異なるものになった場合の表現方法について、図18を参照して説明する。
図18(A)には、敷地406aの上の3次元空間内(仮想壁面420の内側)に配置される1つのキューブ450と、隣接するキューブ451が示されている。キューブ450とキューブ451は、対応する基準点における日影時間が異なるために、異なる色として表現されているが、2つのキューブの境界線には、所定の色(例えば、黒色)のラインが表示される。
一方、図18(B)には、敷地406aの上の3次元空間内(仮想壁面420の内側)に配置される1つのキューブ460と、隣接するキューブ461が示されている。キューブ460とキューブ461は、対応する基準点における日影時間が異なるために、異なる色として表現されているが、2つのキューブの境界線には、図18(A)の場合と異なり、所定の色のラインが表示されていない。
なお、本明細書においては、隣接するキューブが同じ色の場合、境界線にラインを表示せず、隣接するキューブが異なる色の場合、境界線にラインを表示している。
このように、2つのキューブが隣接して平面が構成される場合であって、2つのキューブの色が異なる設定となっている場合に、その境界に、ラインを表示してもよいし、表示しなくてもよい。また、キューブのサイズや表示範囲選択部504の指定内容等に応じて、自動的にラインの表示/非表示を切り替えるようにしてもよい。
図19は、図15の3D日影確認画面500において3D日影時間計算ボタンが選択された場合に、ユーザ端末10bのディスプレイに表示される3D日影確認画面500であり、3D表示部503では、図16で省略されていた半透明の敷地内建物407’が、仮想壁面420の内側に太線で表示されている。
また、図19では、敷地内建物407’の壁面がキューブと交差する場合に、そのキューブの表面に、敷地内建物407’の壁面との交差面を示す太線が表示される。このような表示によって、敷地406aに建物を配置した場合に、その建物の壁面のどの部分がどれだけの時間日影になるかや、建物とキューブの位置関係を容易に把握することができ、こうした情報を建物の設計や改修に有効に活かすことができる。
ここで、表示範囲選択部504の日影時間が4時間以上に対応するチェックボックスをマウス等で選択し(矢印520)、次に、3D日影時間計算ボタンをマウス等により選択すると(矢印521)、図21に示すように、日影時間4時間以上の基準点に対応するキューブが仮想壁面420の内側に表示されることになる。
図20は、図19の3D表示部503に示された3D表示を、3D操作指示部505の回転ボタンによる操作で、上方から見た図である。ここでは、敷地406aの領域のみを表示する。
敷地406aの外周には仮想壁面420が表示され、敷地406aにおいて、キューブが配置されていない箇所にはグリッドが示されている。また、敷地内建物407’の壁面を示す太線が透過的に示されている。さらに、この例では、垂直断面指定部で指定した東側の断面を表示するためのラインE1〜E3が示されている。
図21は、上述のように、図19の3D日影確認画面500において3D日影時間計算ボタンが選択された場合に、ユーザ端末10bのディスプレイに表示される3D日影確認画面500であり、3D表示部503では、図19と比べて日影時間2時間以上4時間未満の基準点に対応するキューブが非表示となっている。ただし、図21の例では、説明の便宜上、図13の日影時間計算設定画面400で設定した敷地内建物の表示は省略されている。
図21では、日影時間2時間以上4時間未満の基準点に対応するキューブが非表示となっているため、その下に隠されていた日影時間4時間以上の基準点に対応するキューブの分布を、より効果的に確認することができる。
図22は、図19の3D日影確認画面500において3D日影時間計算ボタンが選択された場合に、ユーザ端末10bのディスプレイに表示される3D日影確認画面500であり、3D表示部503では、図21で省略されていた敷地内建物407’が、仮想壁面420の内側に太線で表示されている。
また、図22では、敷地内建物407’の壁面がキューブと交差する場合に、そのキューブの表面に、敷地内建物407’の壁面との交差面を示す太線が表示される。このような表示によって、敷地406aに建物を配置した場合に、その建物の壁面のどの部分がどれだけの時間日影になるかを容易に把握することができ、こうした情報を建物の設計や改修に有効に活かすことができる。
ここで、表示範囲選択部504の日影時間が6時間以上に対応するチェックボックスをマウス等で選択し(矢印530)、次に、3D日影時間計算ボタンをマウス等により選択すると(矢印531)、図24に示すように、日影時間6時間以上の基準点に対応するキューブが仮想壁面420の内側に表示されることになる。
図23は、図22の3D表示部503に示された3D表示を、3D操作指示部505の回転ボタンによる操作で、上方から見た図である。ここでは、敷地406aの領域のみを表示する。
敷地406aの外周には仮想壁面420が表示され、敷地406aにおいて、キューブが配置されていない箇所にはグリッドが示されている。また、敷地内建物407’の壁面を示す太線が透過的に示されている。
図24は、上述のように、図22の3D日影確認画面500において3D日影時間計算ボタンが選択された場合に、ユーザ端末10bのディスプレイに表示される3D日影確認画面500であり、3D表示部503では、図22と比べて日影時間4時間以上6時間未満の基準点に対応するキューブが非表示となっている。ただし、図24の例では、説明の便宜上、図13の日影時間計算設定画面400で設定した敷地内建物の表示は省略されている。
図24では、日影時間4時間以上6時間未満の基準点に対応するキューブが非表示となっているため、その下に隠されていた日影時間6時間以上の基準点に対応するキューブの分布を、より効果的に確認することができる。
図25は、図22の3D日影確認画面500において3D日影時間計算ボタンが選択された場合に、ユーザ端末10bのディスプレイに表示される3D日影確認画面500であり、3D表示部503では、図24で省略されていた敷地内建物407’が、仮想壁面420の内側に太線で表示されている。
また、図25では、敷地内建物407’の壁面がキューブと交差する部分が無くなっており、このことは、設定した敷地内建物に関し、日影時間が6時間以上となる部分がないことを表している。
ここで、表示範囲選択部504の日影時間が8時間以上に対応するチェックボックスをマウス等で選択し(矢印540)、次に、3D日影時間計算ボタンをマウス等により選択すると(矢印541)、図27に示すように、日影時間8時間以上の基準点に対応するキューブが仮想壁面420の内側に表示されることになる。
図26は、図25の3D表示部503に示された3D表示を、3D操作指示部505の回転ボタンによる操作で、上方から見た図である。ここでは、敷地406aの領域のみを表示する。
敷地406aの外周には仮想壁面420が表示され、敷地406aにおいて、キューブが配置されていない箇所にはグリッドが示されている。また、敷地内建物407’の壁面を示す太線が示されている。
図27は、上述のように、図25の3D日影確認画面500において3D日影時間計算ボタンが選択された場合に、ユーザ端末10bのディスプレイに表示される3D日影確認画面500であり、3D表示部503では、図25と比べて日影時間6時間以上8時間未満の基準点に対応するキューブが非表示となっている。ただし、図27の例では、説明の便宜上、図13の日影時間計算設定画面400で設定した敷地内建物の表示は省略されている。
図27では、日影時間6時間以上8時間未満の基準点に対応するキューブが非表示となっているため、その下に隠されていた日影時間8時間以上の基準点に対応するキューブの分布を、より効果的に確認することができる。
図28は、図25の3D日影確認画面500において3D日影時間計算ボタンが選択された場合に、ユーザ端末10bのディスプレイに表示される3D日影確認画面500であり、3D表示部503では、図27で省略されていた敷地内建物407’が、仮想壁面420の内側に太線で表示されている。
また、図28では、敷地内建物407’の壁面がキューブと交差する部分が無くなっており、このことは、設定した敷地内建物に関し、日影時間が8時間以上となる部分がないことを表している。
図29は、図28の3D表示部503に示された3D表示を、3D操作指示部505の回転ボタンによる操作で、上方から見た図である。ここでは、敷地406aの領域のみを表示する。
敷地406aの外周には仮想壁面420が表示され、敷地406aにおいて、キューブが配置されていない箇所にはグリッドが示されている。また、敷地内建物407’の壁面を示す太線が示されている。
図30では、日影時間計算設定画面400において、垂直断面指定部により、敷地406aに対して複数の垂直断面が指定される様子が示されている。ユーザは、垂直断面指定部で東側の断面を表示するためのラインを設定する「東」チェックボックスをチェックし、その後、断面設定追加ボタンを選択して、E1のラインを敷地406aの最も東側に位置づける。さらにユーザは、「東」チェックボックスをチェックし、その後、断面設定追加ボタンを選択して、E2のラインを敷地406aのなかで敷地内建物の領域を表す領域407の最も東側に位置づける。さらにユーザは、「東」チェックボックスをチェックし、その後、断面設定追加ボタンを選択して、E3のラインを敷地406aのなかで敷地内建物の領域を表す領域407を横断する位置であって、E2のラインの西側に位置づける。3D表示でE1〜E3のラインの位置を示すと、図20に示すようになる。
同様に、垂直断面指定部で北側の断面を表示するためのラインを設定する「北」チェックボックスをチェックし、その後、断面設定追加ボタンを選択して、N1〜N3のラインを、図30に示すような位置に配置することができる。
ここで、E1〜E3のラインが上記のように設定された場合に、3D表示がどのように行われるかを、図31ないし図33を参照して説明する。なお、敷地、隣接領域、隣棟を含む設定は、図13ないし図16、図19ないし図29で示したケースと同様であり、キューブの分布等もこれらと同じ配置となる。
図30の日影時間計算設定画面400において、垂直断面としてE1〜E3、N1〜N3のラインを設定した後、3D日影確認ボタンをマウス等により選択すると、図15に示すような3D日影確認画面500がユーザ端末10bのディスプレイに表示され、そこで、表示範囲選択部504の日影時間が0時間以上に対応するチェックボックスをマウス等で選択し、さらに3D日影時間計算ボタンをマウス等で選択すると、図31に示すような3D日影確認画面500に遷移する。
図31の3D日影確認画面500では、3D表示部503において、E1のラインに沿った断面が表示される。これは、敷地406aの東端部において、南側の下部に、日影時間2時間以上4時間未満の部分と日影時間4時間以上6時間未満の部分が存在することを示している。
図31の3D日影確認画面500において、次へボタンをマウス等で選択すると(矢印551)、図32に示すような3D日影確認画面500に遷移する。
図32の3D日影確認画面500では、3D表示部503において、E2のラインに沿った断面が表示され、さらに、E2のラインに接する敷地内建物407’の東端部輪郭が表示されている。これは、敷地406aのなかに設定された敷地内建物の東端部において、南側の下部に、日影時間2時間以上4時間未満の部分、日影時間4時間以上6時間未満の部分、及び日影時間6時間以上8時間未満の部分がそれぞれ存在しており、敷地内建物の東端部南側に、日影時間4時間以上6時間未満の部分があることを示している。
図32の3D日影確認画面500において、さらに、次へボタンをマウス等で選択すると(矢印561)、図33に示すような3D日影確認画面500に遷移する。
図33の3D日影確認画面500では、3D表示部503において、E3のラインに沿った断面が表示され、さらに、E3のラインと交差する敷地内建物407’の輪郭が表示されている。これは、敷地406aのなかに設定された敷地内建物の断面位置において、南側の下部に、日影時間2時間以上4時間未満の部分、及び日影時間4時間以上6時間未満の部分が存在し、さらに、中央付近下部に、日影時間2時間以上4時間未満の部分がそれぞれ存在していることを示している。
なお、図13ないし図16、図19ないし図29で示したキューブの3D表示では、キューブの表面(複数のキューブが連結されている場合は、その連結された立方体の表面)が、日影時間に応じて着色されているが、図33に示すようなキューブの断面についても、対応するキューブの表面についての色と同じ色で表示される。
この後、次へボタンをマウス等で選択することにより、N1〜N3のラインに沿った断面を同様に表示させることができる。
図31ないし図33に示すように、敷地上の3次元空間に配置された日影時間に応じて着色されたキューブについて指定した断面を表示させることがき、また、断面の位置を徐々に移動させて断面の表示を自動的にアニメーション表示するように設定することもできる。
一方で、図13ないし図16、図19ないし図29で示したキューブの3D表示では、敷地上の3次元空間における日影時間の分布を、断面等を見るまでもなく一目で把握することができる。また、特定の日影時間のキューブを適宜非表示とすることができるので、例えば、上層にある日影時間の短いキューブをめくって、その下の日影時間が長いキューブを表示させるといった直感的かつダイナミックな日影時間の把握が可能となる。
本実施形態では、図13に示すような日影時間計算設定画面400において敷地や障害物等の設定情報を入力した後、図14に示すような3D日影確認画面500において計算期間や計算条件等を設定し、3D日影時間計算ボタンをマウス等で選択した場合に、図12に示すような日影時間の計算、表示が行われ、日影時間に基づいて表示態様が設定されたキューブが敷地上の3次元空間に表示されるが、一旦、このような日影時間の計算を行った後に、例えば、表示範囲選択部504で表示する日影時間を変更するような場合は、再度日影時間の計算を行わず、日影時間の変更に応じて、対応するキューブを3D表示プログラムが表示しないように制御し、3D表示部503の再表示を行う。
また、本実施形態では、太陽が24時間のどの方位にあるかにかかわらず、基準点に日影を作る時間を計算したが、基準点が建物の外壁(図30で指定した垂直断面等も含む)や窓のように壁面の表面にあると想定した場合、その壁面の前方に太陽がある時間のみにおいて、日影を作る時間を考慮する意味があり、そのような計算を行って、日影時間を算出し表示するようにすることもできる。
例えば、壁面の位置と方位を考慮して日影時間を算出する場合、東側の壁面に沿った基準点は、午後には(建物の影によって)日影になるため、日影時間が長くなる。こうした日影時間の計算は、図12に示す日影時間の計算において、壁面の後方となる天球分割区画R(i,j)をすべて積算の対象とすることによって求めることができる。
また、本実施形態では、表示範囲選択部504で、例えば、2時間以上に対応するチェックボックスをマウス等でチェックすると、日影時間が2時間以上である基準点のキューブ(例えば、図14等の例では、2時間以上4時間未満、4時間以上6時間未満、6時間以上8時間未満、8時間以上のキューブ)がすべて表示される仕様となっているが、2時間以上4時間未満、4時間以上6時間未満、6時間以上8時間未満、8時間以上のキューブを個別に指定し、その分布のみを3D表示させるように設計することもできる。
本実施形態では、上述のように、日影時間を3次元空間で把握可能とするために、日影時間に応じた表示態様のキューブを当該3次元空間に配置する例を説明したが、太陽が障害物によって遮られる天球分割区画の太陽存在時間を積算して日影時間を算出する代わりに、太陽が障害物によって遮られない天球分割区画の太陽存在時間を積算することによって日向時間を求め、敷地上の3次元空間に、上記の日向時間に基づいた表示態様のキューブ等を配置するように設計することもできる。
また、こうした日向時間の算出においても、建物の壁面等を考慮せずに、全方位についての日向時間を計算したり、壁面の位置と方位を考慮して日向時間を計算したりすることができる。
なお、本明細書における「日向時間」は、隣棟等の影響による日影を考慮した上で、敷地上の3次元空間の各基準点において太陽光(直達日射)があたる時間を表しており、隣棟等の日影は考慮せずに、天気(曇り)の影響を考慮する、一般的な気象用語である「日照時間」とは異なる。本明細書における「日影時間」と「日向時間」には、以下の関係がある。
日影時間+日向時間=日の出から日の入りまでの時間 ・・・式2
このような日影時間と日向時間は上記の直達日射に関連する時間であり、その意味で、これらを直達日射関連時間と称することができる。
これまで、本発明に係る直達日射関連時間計算システムを、システム構成やGUIの例示を通して説明してきたが、これらは一例にすぎず、他の様々な構成によって本発明の技術的思想を実現することができる。