しかしながら、特許文献1に開示されているコンプレッサーの熱回収システムには、次のような課題があった。すなわち、上記のように、第2エアクーラーと第2オイルクーラーとは、各クーラー用の冷却水とは異なる水、例えば、飲用等の生活用水として利用可能な水を通すよう配置されている。
このため、仮に、熱交換器である第2オイルクーラーに破損等の不具合が生じた場合には、熱回収側の水(給湯用の温水等)にオイルが混入するおそれがあり、飲用等の生活用水として利用される可能性がある熱回収側の水の安全性を担保できない。また、その不具合の復旧には、オイルで汚染された配管の分解、徹底した洗浄、組み立て等の煩雑な作業が必要になり、多大な手間とコストがかかる。
なお、熱回収側で熱を回収する対象とする目的でオイルが利用されることがない、いわゆるオイルフリーのコンプレッサーにおいては、高温となる圧縮空気から熱を回収するようになっている。この圧縮空気には通常は油分が含まれないが、コンプレッサーの不具合等により、例えば油煙として混入する可能性がある。
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、熱交換器に破損等の不具合が生じた場合でも、少なくとも熱回収媒体にオイル等の熱供給媒体が混入することを抑止して、飲用等の生活用水とされ得る熱回収媒体の安全性を担保できる熱回収方法、熱回収ユニット及びそれを備えた熱回収システムを提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために本発明に係る熱回収方法は、加熱され熱供給媒体経路を通る熱供給媒体と熱中継媒体経路を通る熱中継媒体とで熱交換をする工程と、前記熱供給媒体との間で熱交換が行われた前記熱中継媒体と熱回収媒体経路を通る熱回収媒体とで熱交換をして熱を回収する工程とを備える。
本発明の熱回収方法によれば、加熱され熱供給媒体経路を通る熱供給媒体と熱中継媒体経路を通る熱中継媒体とで熱交換をすることにより、熱供給媒体経路内の熱供給媒体の熱が熱中継媒体経路内の熱中継媒体に移動し、熱中継媒体が加温(又は加熱)される。
そして、加温された熱中継媒体と熱回収媒体経路を通る熱回収媒体とで熱交換をすることにより、熱中継媒体の熱が熱回収媒体経路内の熱回収媒体に移動し、熱回収媒体が加温(又は加熱)される。これにより、熱供給媒体の熱を熱回収媒体で回収することができる。
また、この熱回収方法においては、熱供給媒体経路内の熱供給媒体と熱回収媒体経路の熱回収媒体の間に、熱中継媒体経路内の熱中継媒体が介在しており、熱供給媒体が熱回収媒体へ接触等の直接的な影響を及ぼすことはない。これにより、仮に、熱供給媒体経路と熱中継媒体経路、或いは熱交換器に破損等の不具合が生じて熱供給媒体が漏出したような場合でも、熱供給媒体は熱中継媒体経路までに止まり、熱回収媒体に混入することを抑止して、飲用等の生活用水とされ得る熱回収媒体の安全性を担保できる。
(2)本発明の熱回収方法は、前記熱供給媒体が空気圧縮機の圧縮熱で加熱され、前記熱供給媒体が、並列に設けられた異なる前記熱供給媒体経路を通る圧縮空気と潤滑油である構成とすることができる。
この場合は、空気圧縮機の圧縮熱で加熱され、並列に設けられた異なる熱供給媒体経路を通る熱供給媒体である圧縮空気及び潤滑油と熱中継媒体経路を通る熱中継媒体とで熱交換をすることにより、各熱供給媒体経路内の圧縮空気及び潤滑油の熱が熱中継媒体経路内の熱中継媒体に移動し、熱中継媒体が加温(又は加熱)される。
そして、加温された熱中継媒体と熱回収媒体経路を通る熱回収媒体とで熱交換をすることにより、熱中継媒体の熱が熱回収媒体経路内の熱回収媒体に移動し、熱回収媒体が加温(又は加熱)される。これにより、圧縮空気及び潤滑油の熱を熱回収媒体で回収することができる。
また、この熱回収方法においては、各熱供給媒体経路内の圧縮空気及び潤滑油と熱回収媒体経路内の熱回収媒体の間には、熱中継媒体経路内の熱中継媒体が介在しており、圧縮空気及び潤滑油が熱回収媒体へ接触等の直接的な影響を及ぼすことはない。これにより、仮に、各熱供給媒体経路と熱中継媒体経路、或いは熱交換器に破損等の不具合が生じて潤滑油が漏出したような場合でも、潤滑油は熱中継媒体経路までに止まり、熱回収媒体に混入することを抑止できる。
(3)本発明の熱回収方法は、前記熱中継媒体が不凍液又はその溶液である構成とすることができる。
この場合は、不凍液又はその溶液が通る熱中継媒体経路の腐食防止が図れると共に、ポンプの作動に悪影響が出にくい。つまり、不凍液には、防食剤と消泡剤が含まれており、その作用によって上記効果を奏する。また、不凍液の沸点が水に比べて高いことにより、高温になっても沸騰しにくいこととも相まって、気泡が更に発生しにくくなり、特にポンプの経年使用時における気泡の破裂に起因するインペラーの破損等を抑制できる。
(4)上記の目的を達成するために本発明に係る熱回収ユニットは、空気圧縮機による圧縮熱で加熱された熱供給媒体が通る熱供給媒体経路に対し接続が可能な熱供給媒体分岐経路と、前記圧縮熱を回収する熱回収媒体が通る熱回収媒体経路と、前記熱回収媒体経路と前記熱供給媒体分岐経路の間に設けてある熱中継媒体が通る熱中継媒体経路と、前記熱供給媒体分岐経路を通る前記熱供給媒体と前記熱中継媒体経路を通る前記熱中継媒体とで熱交換をする熱供給媒体用熱交換器と、前記熱中継媒体経路を通る前記熱中継媒体と前記熱回収媒体経路を通る前記熱回収媒体とで熱交換をする熱回収媒体用熱交換器とを備える。
本発明の熱回収ユニットによれば、熱供給媒体分岐経路を熱供給媒体経路に対し接続することにより、空気圧縮機による圧縮熱で加熱された熱供給媒体を、熱供給媒体経路から熱供給媒体分岐経路へ分岐させて通すことができる。
そして、熱供給媒体分岐経路を通る熱供給媒体と、熱中継媒体経路を通る熱中継媒体とで、熱供給媒体用熱交換器によって熱交換をすることにより、熱供給媒体経路内の熱供給媒体の熱が熱中継媒体経路内の熱中継媒体に移動し、熱中継媒体が加温(又は加熱)される。
更に、熱中継媒体経路を通る熱中継媒体と、圧縮熱を回収する熱回収媒体が通る熱回収媒体経路を通る熱回収媒体とで、熱回収媒体用熱交換器によって熱交換をすることにより、熱中継媒体の熱が熱回収媒体経路内の熱回収媒体に移動し、熱回収媒体が加温(又は加熱)される。これにより、熱供給媒体の熱を熱回収媒体で回収することができる。
また、この熱回収ユニットにおいては、熱供給媒体経路内の熱供給媒体と熱回収媒体経路内の熱回収媒体の間に、熱中継媒体経路内の熱中継媒体が介在しており、熱供給媒体から熱回収媒体へ接触等の直接的な影響を及ぼすことはない。
これにより、仮に、熱供給媒体経路と熱中継媒体経路、或いは熱交換器に破損等の不具合が生じて熱供給媒体が漏出したような場合でも、熱供給媒体は熱中継媒体経路までに止まり、熱回収媒体に混入することを抑止して、飲用等の生活用水とされ得る熱回収媒体の安全性を担保できる。
(5)本発明の熱回収ユニットは、前記熱供給媒体が圧縮空気と潤滑油であり、前記圧縮空気と前記潤滑油は、並列に設けられた異なる前記熱供給媒体経路をそれぞれ通る構成とすることができる。
この場合は、熱供給媒体分岐経路を通る熱供給媒体である圧縮空気及び潤滑油と、熱中継媒体経路を通る熱中継媒体とで、熱供給媒体用熱交換器によって熱交換をすることにより、各熱供給媒体経路内の圧縮空気及び潤滑油の熱が熱中継媒体経路内の熱中継媒体に移動し、熱中継媒体が加温(又は加熱)される。
更に、熱中継媒体経路を通る熱中継媒体と、圧縮熱を回収する熱回収媒体が通る熱回収媒体経路を通る熱回収媒体とで、熱回収媒体用熱交換器によって熱交換をすることにより、熱中継媒体の熱が熱回収媒体経路内の熱回収媒体に移動し、熱回収媒体が加温(又は加熱)される。これにより、圧縮空気及び潤滑油の熱を熱回収媒体で回収することができる。
また、この熱回収ユニットにおいては、熱供給媒体経路内の圧縮空気及び潤滑油と熱回収媒体経路の熱回収媒体の間に、熱中継媒体経路内の熱中継媒体が介在しており、各熱供給媒体経路内の圧縮空気及び潤滑油から熱回収媒体へ接触等の直接的な影響を及ぼすことはない。
これにより、仮に、各熱供給媒体経路と熱中継媒体経路、或いは熱交換器に破損等の不具合が生じて潤滑油が漏出したような場合でも、潤滑油は熱中継媒体経路までに止まり、熱回収媒体に混入することを抑止できる。
(6)本発明の熱回収ユニットは、前記熱中継媒体が不凍液又はその溶液である構成とすることができる。
この場合は、不凍液又はその溶液が通る熱中継媒体経路の腐食防止が図れると共に、ポンプの作動に悪影響が出にくい。つまり、不凍液には、防食剤と消泡剤が含まれており、その作用によって上記効果を奏する。また、不凍液の沸点が水に比べて高いことにより、高温になっても沸騰しにくいこととも相まって、気泡が更に発生しにくくなり、特にポンプの経年使用時における気泡の破裂に起因するインペラーの破損等を抑制できる。
(7)上記の目的を達成するために本発明に係る熱回収システムは、空気圧縮機、前記空気圧縮機から熱供給媒体クーラーにつながり前記空気圧縮機へ戻る熱供給媒体経路を有する圧縮機ユニットと、前記熱供給媒体経路に対し接続される熱供給媒体分岐経路、熱回収媒体が通る熱回収媒体経路、前記熱回収媒体経路と前記熱供給媒体分岐経路の間に設けてある熱中継媒体が通る熱中継媒体経路、前記熱供給媒体分岐経路を通る熱供給媒体と前記熱中継媒体経路を通る熱中継媒体とで熱交換をする熱供給媒体用熱交換器、前記熱中継媒体経路を通る熱中継媒体と前記熱回収媒体経路を通る熱回収媒体とで熱交換をする熱回収媒体用熱交換器を有する熱回収ユニットと、前記熱供給媒体が前記熱供給媒体経路の前記空気圧縮機から出て前記空気圧縮機に戻る流れと、前記熱供給媒体経路から前記熱供給媒体分岐経路と前記熱供給媒体用熱交換器を通って前記熱供給媒体経路を通り前記空気圧縮機へ戻る流れを切り替える経路切り替え手段と、を備える。
本発明の熱回収システムによれば、圧縮機ユニットは、空気圧縮機で空気を圧縮する際に生じる圧縮熱で加熱された熱供給媒体を熱供給媒体経路によって熱供給媒体クーラーへ送って冷却し、冷却した熱供給媒体を空気圧縮機へ戻すことを繰り返し行う。
そして、熱回収ユニットは、熱供給媒体分岐経路を熱供給媒体経路に対し接続することにより、空気圧縮機による圧縮熱で加熱された熱供給媒体を、熱供給媒体経路から熱供給媒体分岐経路へ分岐させて通すことができる。
経路切り替え手段により、熱供給媒体が熱供給媒体経路の空気圧縮機から出て空気圧縮機に戻る流れから、熱供給媒体経路から熱供給媒体分岐経路と前記熱供給媒体用熱交換器を通って熱供給媒体経路を通り空気圧縮機へ戻る流れを切り替える。なお、経路切り替え手段は、反対に熱供給媒体が熱供給媒体経路の空気圧縮機から出て空気圧縮機に戻る流れに切り替えることもできる。
熱供給媒体分岐経路を通る熱供給媒体と、熱中継媒体経路を通る熱中継媒体とで、熱供給媒体用熱交換器によって熱交換をすることにより、熱供給媒体経路内の熱供給媒体の熱が熱中継媒体経路内の熱中継媒体に移動し、熱中継媒体が加温(又は加熱)される。
更に、熱中継媒体経路を通る熱中継媒体と、熱回収媒体経路を通る、圧縮熱を回収する熱回収媒体とで、熱回収媒体用熱交換器によって熱交換をすることにより、熱中継媒体の熱が熱回収媒体経路内の熱回収媒体に移動し、熱回収媒体が加温(又は加熱)される。これにより、熱供給媒体の熱を熱回収媒体で回収することができる。
また、この熱回収システムにおいては、熱供給媒体経路内の熱供給媒体と熱回収媒体経路内の熱回収媒体の間に、熱中継媒体経路内の熱中継媒体が介在しており、熱供給媒体から熱回収媒体へ接触等の直接的な影響を及ぼすことはない。これにより、仮に、熱供給媒体経路と熱中継媒体経路、或いは熱交換器に破損等の不具合が生じて熱供給媒体が漏出したような場合でも、熱供給媒体は熱中継媒体経路までに止まり、飲用等の生活用水とされ得る熱回収媒体の安全性を担保できる。
(8)本発明の熱回収システムは、前記熱供給媒体が圧縮空気と潤滑油であり、前記圧縮空気と前記潤滑油は、並列に設けられた異なる前記熱供給媒体経路及び並列に設けられた異なる前記熱供給媒体経路をそれぞれ通る構成とすることができる。
この場合は、圧縮機ユニットは、空気圧縮機で空気を圧縮する際に生じる圧縮熱で加熱された熱供給媒体である圧縮空気及び潤滑油を各熱供給媒体経路によって熱供給媒体クーラーへ送って冷却し、冷却した潤滑油を空気圧縮機へ戻すことを繰り返し行う。
そして、熱回収ユニットは、各熱供給媒体分岐経路を熱供給媒体経路に対し接続することにより、空気圧縮機による圧縮熱で加熱された圧縮空気及び潤滑油を、熱供給媒体経路から各熱供給媒体分岐経路へ分岐させて通すことができる。
経路切り替え手段により、圧縮空気及び潤滑油が熱供給媒体経路の空気圧縮機から出て空気圧縮機に戻る流れから、各熱供給媒体経路から熱供給媒体分岐経路と前記熱供給媒体用熱交換器を通って熱供給媒体経路を通り空気圧縮機へ戻る流れを切り替える。なお、経路切り替え手段は、これとは反対に圧縮空気及び潤滑油が熱供給媒体経路の空気圧縮機から出て空気圧縮機に戻る流れに切り替えることもできる。
熱供給媒体分岐経路を通る熱供給媒体である圧縮空気及び潤滑油と、熱中継媒体経路を通る熱中継媒体とで、熱供給媒体用熱交換器によって熱交換をすることにより、各熱供給媒体経路内の圧縮空気及び潤滑油の熱が熱中継媒体経路内の熱中継媒体に移動し、熱中継媒体が加温(又は加熱)される。
更に、熱中継媒体経路を通る熱中継媒体と、圧縮熱を回収する熱回収媒体が通る熱回収媒体経路を通る熱回収媒体とで、熱回収媒体用熱交換器によって熱交換をすることにより、熱中継媒体の熱が熱回収媒体経路内の熱回収媒体に移動し、熱回収媒体が加温(又は加熱)される。これにより、圧縮空気及び潤滑油の熱を熱回収媒体で回収することができる。
また、この熱回収システムにおいては、熱供給媒体経路内の圧縮空気及び潤滑油と熱回収媒体経路の熱回収媒体の間に、熱中継媒体経路内の熱中継媒体が介在しており、各熱供給媒体経路内の圧縮空気及び潤滑油から熱回収媒体へ接触等の直接的な影響を及ぼすことはない。これにより、仮に、各熱供給媒体経路と熱中継媒体経路、或いは熱交換器に破損等の不具合が生じて潤滑油が漏出したような場合でも、潤滑油は熱中継媒体経路までに止まり、熱回収媒体に混入することを抑止できる。
(9)本発明の熱回収システムは、前記熱中継媒体が不凍液又はその溶液である構成とすることができる。
この場合は、不凍液又はその溶液が通る熱中継媒体経路の腐食防止が図れると共に、ポンプの作動に悪影響が出にくい。つまり、不凍液には、防食剤と消泡剤が含まれており、その作用によって上記効果を奏する。また、不凍液の沸点が水に比べて高いことにより、高温になっても沸騰しにくいこととも相まって、気泡が更に発生しにくくなり、特にポンプの経年使用時における気泡の破裂に起因するインペラーの破損等を抑制できる。
(10)上記の目的を達成するために本発明に係る熱回収システムは、空気圧縮機、前記空気圧縮機から潤滑油を含む圧縮空気が送給されるオイルセパレーター、前記オイルセパレーターからアフタークーラーへつながり外気へ導出される前記圧縮空気が通るエア経路、前記オイルセパレーターからオイルクーラーにつながり前記空気圧縮機へ戻る、前記潤滑油が通るオイル経路を有する圧縮機ユニットと、前記オイル経路に対し接続されるオイル分岐経路、前記エア経路に対し接続されるエア分岐経路、不凍液が循環するように通される熱中継経路、水が通される熱回収媒体経路、前記オイル分岐経路と前記熱中継経路との間に設けられており、前記オイル分岐経路を通る潤滑油と前記熱中継経路を通る不凍液の熱交換をするオイル用熱交換器、前記エア分岐経路と前記熱中継経路との間に設けられており、前記エア分岐経路を通る圧縮空気と前記熱中継経路を通る不凍液の熱交換をするエア用熱交換器、前記熱中継経路と前記熱回収媒体経路との間に設けられており、前記熱中継経路を通る不凍液と前記熱回媒体収経路を通る水の熱交換をする水用熱交換器を備える熱回収ユニットと前記圧縮空気及び潤滑油が前記エア経路及びオイル経路の前記空気圧縮機から出て前記空気圧縮機に戻る流れと、前記エア経路及び前記オイル経路から前記エア分岐経路及び前記オイル分岐経路を通り前記エア経路及び前記オイル経路を通って前記空気圧縮機へ戻る流れを切り替える経路切り替え手段とを備える。
本発明の熱回収システムによれば、圧縮機ユニットは、空気圧縮機で空気を圧縮する際に生じる圧縮熱で加熱された潤滑油を含む圧縮空気をオイルセパレーターへ送る。潤滑油を含む圧縮空気はオイルセパレーターにおいて空気分と潤滑油分に分離される。
空気分と潤滑油分は、オイルセパレーターからエア経路とオイル経路によってアフタークーラーとオイルクーラーへ送られて冷却され、冷却された潤滑油分を空気圧縮機へ戻すことが繰り返し行なわれる。
そして、熱回収ユニットは、エア分岐経路をエア経路に、オイル分岐経路をオイル経路に対し接続することにより、空気圧縮機による圧縮熱で加熱された圧縮空気の空気分と潤滑油分を、エア経路とオイル経路からそれぞれエア分岐経路とオイル分岐経路へ分岐させて通すことができる。
経路切り替え手段により、空気分と潤滑油分が空気圧縮機から出て、潤滑油は空気圧縮機に戻る流れから、エア経路とオイル経路からエア分岐経路とオイル分岐経路を通ってエア用熱交換器とオイル用熱交換器で熱交換し、潤滑油分はオイル経路を通り空気圧縮機へ戻る流れを切り替える。なお、経路切り替え手段は、この切り替えを反対に行うこともできる。
エア分岐経路とオイル分岐経路を通る空気分と潤滑油分と、熱中継媒体経路を通る不凍液とで、エア用熱交換器とオイル用熱交換器によって熱交換をすることにより、空気分と潤滑油分の熱が熱中継媒体経路内の不凍液に移動し、不凍液が加温(又は加熱)される。
更に、熱中継媒体経路を通る不凍液と、熱回収媒体経路を通る、圧縮熱を回収する水とで、熱回収媒体用熱交換器によって熱交換をすることにより、不凍液の熱が熱回収媒体経路内の水に移動し、水が加温(又は加熱)される。これにより、空気分と潤滑油分の熱を水で回収することができる。
また、この熱回収システムにおいては、空気分と潤滑油分と熱回収媒体経路内の水との間に、熱中継媒体経路内の不凍液が介在しており、空気分と潤滑油分から水へ接触等の直接的な影響を及ぼすことはない。これにより、仮に、エア経路やオイル経路と熱中継媒体経路、或いはオイル用熱交換器に破損等の不具合が生じて潤滑油分が漏出したような場合でも、潤滑油分は熱中継媒体経路までに止まり、水に混入することを抑止して、飲用等の生活用水とされ得る水の安全性を担保できる。
本発明は、熱交換器に破損等の不具合が生じた場合でも、少なくとも熱回収媒体にオイル等の熱供給媒体が混入することを抑止して、飲用等の生活用水とされ得る熱回収媒体の安全性を担保できる熱回収方法、熱回収ユニット及びそれを備えた熱回収システムを提供することができる。
図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。
本発明に係る熱回収システムの第1実施の形態である熱回収システムのS1は、油潤滑式の圧縮機ユニット1と熱回収ユニット2を備えている。圧縮機ユニット1は、空気圧縮機10を有している。空気圧縮機10は、圧縮空気から空気分と潤滑油分を分離するオイルセパレーター11に接続されている。
オイルセパレーター11には、所定の温度の圧縮空気が通るエア経路12が設けられている。エア経路12は、オイルセパレーター11の上部の気層を出て、エアクーラーであるアフタークーラー13を通り、外気へ放出される経路となっている。
エア経路12において、オイルセパレーター11からアフタークーラー13に向かう経路の所定の箇所には、後述する熱回収ユニット2のエア分岐経路22を直列に接続する接続部(符号省略)が設けられている。その接続部の間の経路には、手動弁217が設けられている。
また、オイルセパレーター11には、所定の温度の潤滑油が通るオイル経路14が接続されている。オイル経路14は、オイルセパレーター11の下部の液層を出て、上記アフタークーラー13と隣接するオイルクーラー15を通り、空気圧縮機10に戻る経路となっている。
アフタークーラー13とオイルクーラー15では、ファン16による流動空気との熱交換によって、圧縮空気と潤滑油が冷却される。所定の温度に冷却された空気は、上記したように外気へ放出され、熱回収システムS1の設置場所の雰囲気を加温することができる。また、所定の温度に冷却された潤滑油は、上記したように空気圧縮機10に戻る。
オイル経路14においてオイルセパレーター11からオイルクーラー15に向かう経路のオイルセパレーター11寄りには温度調節弁100が設けられ、途中の所定の箇所には電磁弁101が設けてある。また、オイルクーラー15から空気圧縮機10に戻る経路の所定の箇所には、電磁弁102が設けてある。
エア経路12とオイル経路14には、熱回収ユニット2が接続されている。また、熱回収ユニット2は、エア経路12とオイル経路14に対し着脱可能に設けることもできる。なお、特許請求の範囲の請求項7、10において、「接続される」の記載は、接続されていることと接続可能であることの両方を含む意味で使用している。熱回収ユニット2は、エア経路12に接続してあるエア分岐経路22と、オイル経路14に接続してあるオイル分岐経路20を有している。
エア分岐経路22は、上記したようにエア経路12に対して、手動弁217を挟むように直列に接続されている。エア分岐経路22の先端部には、エア分岐経路22を通る圧縮空気と、後述する熱中継媒体経路26を通る不凍液との間で熱交換をするためのエア用熱交換器23が設けてある。
エア用熱交換器23は、上記アフタークーラー13より能力(熱交換量)を大きくし、配管径を大きく設定することもできる。この場合は、運転時のエア用熱交換器23の圧力損失を抑制して、いわゆる低圧損の状態となり、圧縮空気の圧力低下を図ると共に、圧縮空気内でのドレン(分離した水分)の除去、又は発生を抑止することができる。
エア分岐経路22において、エア用熱交換器23に向かう往路には、手動弁215が設けてあり、復路には、手動弁216が設けてある。これによれば、上記手動弁217を閉じ、手動弁215、216を開けることにより、エア経路12を通る圧縮空気は、エア経路12から分岐して、エア用熱交換器23を通り、再びエア経路12に合流する。
また、オイル分岐経路20は、オイル経路14に対して直列に接続されている。オイル分岐経路20の先端部には、オイル分岐経路20を通る潤滑油と、後述する熱中継媒体経路26を通る不凍液との間で熱交換をするためのオイル用熱交換器21が設けてある。なお、本実施の形態では、オイル用熱交換器21と上記オイルクーラー15の能力(熱交換量)を同じに設定しており、運転時において、空気圧縮機10に戻る潤滑油の温度を例えば所定の50℃で安定させやすくしている。
オイル分岐経路20において、オイル用熱交換器21に向かう往路には、上流側から順に手動弁210、211が設けてあり、復路には、上流側から順に手動弁212、温度センサ205、電磁弁214が設けてある。
更に、往路の手動弁211より上流側と、復路の手動弁212より下流側を接続する経路(符号省略)には、手動弁213が設けてある。なお、上記電磁弁101、102、及び電磁弁211、214は、経路切り替え手段を構成する。
エア用熱交換器23とオイル用熱交換器21には、熱中継媒体である不凍液を循環させる循環経路(ループ経路)である熱中継媒体経路26が通っている。更に、熱中継媒体経路26の経路中には、ポンプ27が設けられると共に、熱中継媒体経路26を通る不凍液と、後述する熱回収媒体経路24を通る水との間で熱交換をするための熱回収媒体用熱交換器25が設けてある。
本実施の形態では、熱中継媒体として不凍液を採用している。不凍液には、防食剤と消泡剤が含まれており、不凍液が通る熱中継媒体経路26、或いは各熱交換器21、23、25の腐食防止を図ることができる。また、熱中継媒体経路26内にスケールが発生しにくく、経路のクリーンアップに要する時間とコストを軽減できる。
また、不凍液の沸点が比較的高いことにより、高温になっても水と比べて沸騰しにくいこととも相まって、気泡が更に発生しにくくなり、特にポンプの経年使用時における気泡の破裂に起因するインペラーの破損等を抑制できる。また、不凍液の流量が少なくなることで熱交換の効率が悪くなる不具合も生じにくい。
また、不凍液は、水等の希釈剤で適宜濃度に希釈して使用することもできる。例えば、水で希釈した不凍液は、その濃度によって比熱等の性質が変化し、上記各効果にも影響が出る。一般には、不凍液の濃度が製品に近いほど、効果が安定する。更には、不凍液の濃度が製品に近いほど、比熱が大きくなって温度の上昇、降下がしにくく、濃度が薄くなるほど、比熱が小さくなり、温度の上昇、下降がしやすい傾向がある。
熱中継媒体としては、上記理由から不凍液が好ましいが、不凍液に限定するものではない。例えば、熱中継媒体経路26や各熱交換器21、23、25の必要部分を防食性の高い素材でつくることにより、例えば消泡剤を配合した水等、他の媒体を採用することも可能である。
熱中継媒体経路26において、オイル用熱交換器21の下流側には、出口側温度センサ201が設けてあり、熱回収媒体用熱交換器25の下流側には、出口側温度センサ202が設けてあり、エア用熱交換器23の下流側には、出口側温度センサ200が設けてある。
熱回収媒体経路24は、熱回収媒体用熱交換器25を通る。熱回収媒体経路24において、熱回収媒体用熱交換器25に向かう往路には、上流側から順に電磁弁218、入り口側温度センサ203が設けてある。また、復路には、上流側から順に出口側温度センサ204、電磁弁219、流水感知装置219aが設けてある。更に、往路の電磁弁218より上流側と、復路の電磁弁219より下流側を接続する経路(符号省略)には、電磁弁220が設けてある。
上記構造の熱回収システムS1は、通常は圧縮機ユニット1と熱回収ユニット2を同時に運転して、圧縮機ユニット1で生じる熱(圧縮熱)の一部を熱回収ユニット2で回収して、その利用を図っている。しかし、例えば熱回収ユニット2の故障やメンテナンスの際には、圧縮空気を使用する各種製造機械等の稼働に支障を来さないように、圧縮機ユニット1のみを運転する場合がある。以下、これらケースごとに熱回収システムS1の作用を説明する。
(作用)
<圧縮機ユニット1と熱回収ユニット2の同時運転>
図1を参照する。
(1)空気圧縮機10の電源を入れ、圧縮機ユニット1の運転を開始すると、連動して熱回収ユニット2のポンプ27が運転を開始する。
同時運転の場合には、エア経路12の手動弁217がCLOSE、エア分岐経路22の手動弁215、216がOPENに設定される。また、オイル経路14の温度調節弁100がOPEN、電磁弁101、102がCLOSE、オイル分岐経路20の電磁弁210、手動弁211、212、電磁弁214がOPEN、電磁弁220と手動弁213がCLOSEに設定される。
また、上記手動弁211、212、213、215、216、217は、例えば熱回収ユニット2の不具合が生じた場合、或いは各電磁弁に不具合が生じた場合等に、手動操作で経路を適宜開閉してメンテナンスをする際にも有用である。
温度調節弁100は、オイルセパレーター11内の潤滑油の温度が所定の温度(例えば75℃)に達するとOPENになるようにしてある。温度調節弁100がOPENになるときの潤滑油の温度は、75℃に限定されるものではなく、適宜温度に設定することができる。なお、所定の温度に達しない低温の潤滑油は、空気圧縮機10に戻るようになっている。
また、熱回収媒体経路24の電磁弁218、219は、電磁弁219の下流側に設けた流水感知装置219aで温水の使用を感知することでOPENになり、後述するように熱回収媒体用熱交換器25で熱交換をして温水が生成される。
(2)空気圧縮機10の運転により、潤滑油を含む所定の圧力の圧縮空気が生成され、この圧縮空気がオイルセパレーター11へ送られる。そして、圧縮空気は、オイルセパレーター11内において、空気分と潤滑油分に分離される。
(3)オイルセパレーター11の気層から、潤滑油分が分離された空気分が、エア経路12を通ってエア分岐経路22に送られ、エア用熱交換器23によって熱中継媒体経路26を通る不凍液と熱交換をして、更に圧縮機ユニット1のアフタークーラー13を通り、更に冷却されて外気へ放出される。
(4)一方、オイルセパレーター11で分離された潤滑油分は、圧縮機ユニット1の制御により、75℃に達するとオイルセパレーター11の下部の液層を出て、オイル経路14から熱回収ユニット2のオイル分岐経路20に送られる。そして、潤滑油は、オイル用熱交換器21によって、熱中継媒体経路26を通る不凍液と熱交換をして、空気圧縮機10に戻り、潤滑油として使用される。潤滑油は、上記したような経路で循環する。
また、この時、潤滑油は圧縮機ユニット1内のオイルクーラー15には流れず、熱回収ユニット2のみに流れるように、自動で上記のように各バルブが設定される。なお、この各電磁弁の作動温度の設定(切り替え)は、熱中継媒体経路26の出口側温度センサ201、及びオイル経路14の温度センサ205の設定値で制御できるようにしている。
そして、空気圧縮機10に戻る潤滑油の温度は、温度センサ205の設定により、例えばオイルセパレーター11内においてドレンを生じさせないための限度である50℃を保つ事ができる。この設定値は50℃に限定されず、適宜設定が可能である。
(5)圧縮空気と潤滑油で加温された不凍液は、熱回収媒体用熱交換器25によって、熱回収媒体経路24に供給された給水を加温することができ、温水を利用することが可能になる。なお、不凍液温度は出口側温度センサ201で監視しており、給湯不使用時は、熱中継媒体経路26を通る不凍液の温度が上昇するので、規定の温度を超えたら、圧縮機ユニット1の単体運転を行うように制御する。なお、圧縮機ユニット1が停止した場合は、熱回収ユニット2も停止し、各電磁弁は後述する圧縮機ユニット1の単体運転モードに切り替わる。
本発明の熱回収システムS1によれば、エア経路12及びオイル経路14内の圧縮空気及び潤滑油と、熱回収媒体経路24内の水との間に、熱中継媒体経路26内の不凍液が介在しており、熱供給媒体である潤滑油から熱回収媒体である水へ接触等の直接的な影響を及ぼすことはない。
これにより、仮に、熱供給媒体経路であるオイル経路14と熱中継媒体経路26、或いはそれらが通るオイル用熱交換器21に破損等の不具合が生じて、オイル経路14から潤滑油が漏出したような場合でも、潤滑油は熱中継媒体経路26までに止まり、熱回収媒体であり飲用等の生活用水とされ得る水に混入することを抑止でき、安全性を担保できる。
<圧縮機ユニット1の単体運転>
図2を参照する。
(1)空気圧縮機10の電源を入れ、圧縮機ユニット1の運転を開始すると、連動して熱回収ユニット2のポンプ27が運転を開始する。
圧縮機ユニット1の単体運転の場合には、エア経路12の手動弁217がCLOSE、エア分岐経路22の手動弁215、216がOPENに設定される。オイル経路14の温度調節弁100がOPEN、電磁弁101、102がOPEN、オイル分岐経路20の電磁弁210、手動弁211、212、電磁弁214がCLOSE、手動弁213がCLOSEに設定される。
また、熱回収媒体経路24の電磁弁218、219はCLOSE、電磁弁220はOPENに設定される。なお、温度調節弁100は潤滑油の温度が所定の温度(例えば75℃)に達するとOPENになる。
(2)空気圧縮機10の運転により、潤滑油を含む所定の圧力の圧縮空気が生成され、この圧縮空気がオイルセパレーター11へ送られる。そして、圧縮空気は、オイルセパレーター11内において、空気分と潤滑油分に分離される。
(3)オイルセパレーター11の気層から、潤滑油分が分離された空気分が、エア経路12を通ってエア分岐経路22に送られ、エア用熱交換器23によって熱中継媒体経路26を通る不凍液と熱交換をして、更に圧縮機ユニット1のアフタークーラー13を通り、更に冷却されて外気へ放出される。
この圧縮機ユニット1の単体運転は、いわゆるスタンバイ運転であり、上記不凍液との熱交換を行うのは、熱回収ユニット2の停止時にも不凍液の温度が低下しすぎないようにして、熱回収ユニット2を再始動するときに熱回収媒体経路24からの温水供給が早くできるようにするためである。
また、このスタンバイ運転時において、ポンプ27を停止して不凍液の熱中継媒体経路26における循環を停止するように設定することもできる。なお、本実施の形態では不凍液を循環させたままでも、出口側温度センサ204が流水を検知しない限り熱回収媒体用熱交換器25は熱交換を行わないようにしてある。
(4)一方、オイルセパレーター11で分離された潤滑油分は、圧縮機ユニット1の制御により、75℃に達するとオイルセパレーター11の下部の液層を出て、オイル経路14を通り、オイルクーラー15に送られ、冷却される。例えば50℃に冷却された潤滑油は、オイル経路14を通って空気圧縮機10へ戻り、潤滑油として使用される。潤滑油は、上記したような経路で循環する。
(5)圧縮空気で加温された不凍液は、熱回収媒体用熱交換器25によって、熱回収媒体経路24に供給された給水を加温することができ、温水を利用することが可能になる。
なお、仮に熱回収ユニット2の各熱交換器21、23、25等が故障した場合、熱回収ユニット2を一時的に停止して圧縮機ユニット1の単体運転をすることにより、例えば工場において各種製造機械等を支障なく稼働させることができる。
図3、図4を参照する。
本発明に係る熱回収システムの第2実施の形態である熱回収システムS2は、熱回収システムS1の圧縮機ユニット1とは異なるオイルフリー式の圧縮機ユニット1aと、熱回収ユニット2とは異なる熱回収ユニット2aを備えている。
なお、熱回収システムS2において、熱回収システムS1と同様の部分は、図3、図4において熱回収システムS1の各部の符号と同じ符号を付して示し、構成の説明については、熱回収システムS1の説明を援用して説明を省略し、以下、異なる構成及び作用についてのみ説明する。
熱回収システムS2では、エア経路12aとオイル経路14a及びクーラント経路17が、それぞれ独立して空気圧縮機10aから導出されており、オイルセパレーター11を有していない。また、熱回収ユニット2aには、オイル分岐経路20とオイル用熱交換器21を有していない。
(作用)
(1)熱回収システムS2において、熱回収を行う場合は、圧縮機ユニット1aと熱回収ユニット2aを運転する。これにより、空気圧縮機10aから送られた圧縮空気は、エア分岐経路22を通り、エア用熱交換器23によって熱中継媒体経路26を通る不凍液との間で熱交換して冷却され、更にアフタークーラー13によって冷却され、外気へ放出される。
(2)一方、空気圧縮機10aから送られた高温の潤滑油とクーラント(冷却液)は、オイル経路14aとクーラント経路17を通って、クーラー15aでそれぞれ冷却される。なお、潤滑油については、例えば50℃に冷却されて空気圧縮機10aに戻るようになっている。
また、熱回収システムS2では、熱回収を行う目的で潤滑油が利用されることはなく、高温の圧縮空気からのみ、エア用熱交換器23及び熱回収媒体用熱交換器25を介し熱回収を行うようになっている。この圧縮空気には通常は油分が含まれないが、空気圧縮機10aの不具合等により、例えばエア経路12a内の圧縮空気に油煙として混入する可能性がある。
(3)仮に、このような不具合が起こった場合でも、熱回収システムS2によれば、エア経路12a内の圧縮空気と、熱回収媒体経路24内の水との間に、熱中継媒体経路26内の不凍液が介在しており、熱供給媒体である圧縮空気から熱回収媒体である水へ接触等の直接的な影響を及ぼすことはない。
これにより、熱供給媒体経路であるエア経路12aと熱中継媒体経路26に破損等の不具合が生じて、エア経路12aから油煙が漏出したような場合でも、油煙は熱中継媒体経路26までに止まり、熱回収媒体である水に混入することを抑止できる。
(4)熱回収システムS2は、熱回収をしないときは、図4に示すように熱回収ユニット2aを停止して、圧縮機ユニット1aを単体で運転することができる。なお、その場合、熱回収システムS2をスタンバイ運転する際には、熱中継媒体経路26の不凍液を循環させ、エア用熱交換器23によって圧縮空気と不凍液との熱交換をして、不凍液の温度が下がらないようにするのは上記熱回収システムS1と同様である。
なお、本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。