JP6800779B2 - 転写用マスクの製造方法、および半導体デバイスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、転写用マスクの製造方法、および半導体デバイスの製造方法に関する。
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、リソグラフィー処理によって基板上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにし下層の被エッチング層をエッチングすることにより、被エッチング層に微細パターンを形成する加工技術が行なわれている。このような加工技術においては、レジストパターンの薄膜化によってパターンの微細化が達成されるが、エッチングのマスクとして用いられるレジストパターンの薄膜化には限界がある。
そこで、レジストパターンを覆って平坦化膜を形成した後、レジストパターン上の平坦化膜をエッチバックして除去し、次いでレジストパターンを除去することにより、被エッチング層上にレジストパターンの反転パターンを形成し、この反転パターンをエッチングマスクとして用いる方法が提案されている(下記特許文献1参照)。
またさらに、反転パターンをマスクにして下層の転写層をエッチングして積層構造の反転パターンとし、この反転パターンを覆って二回目の反転層を形成し、上記と同様にして反転パターンをさらに反転させてレジストパターンと一致させたパターンを形成し、これをエッチングマスクとして用いる方法が提案されている(下記特許文献2参照)。
特開平5−267253号公報 特開2008−290316号公報
ところで上述した加工技術は、転写用マスクにおける薄膜パターンの形成にも適用されている。近年、半導体デバイスに形成するパターンの微細化が著しく、またリソグラフィーで使用される照明系が複雑化してきており、転写用マスクに形成される薄膜パターンは線幅が細く複雑なパターンが増えてきている。このため、上述した特許文献1で提案されている方法では、開口幅が狭いレジストパターンを形成することが必要となるが、このようなレジストパターンの形成は極めて困難である。一方、上述した特許文献2で提案されている方法では、レジストパターンを2回反転させるため、このような問題が発生することはない。特許文献2で提案されている方法では、被エッチング層とレジストパターンとの間に転写層を設け、反転したレジストパターンをマスクとするドライエッチングで転写層に反転パターンを形成する。しかし、ドライエッチングで転写層にパターンを形成するときのエッチングは転写層の厚さ方向に進行するだけでなく、転写層に形成されていくパターンの側壁方向にもエッチングは進行する。このため、転写層に形成される反転パターンのエッチングバイアスが発生することは避け難く、パターンの寸法精度が劣化し易い。
そこで本発明は、寸法精度良好に複雑な細線パターンを形成することが可能な転写用マスクの製造方法および半導体デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
<構成1>
基板の主表面上に薄膜を有するマスクブランクを用いた転写用マスクの製造方法であって、
前記薄膜上に電子線露光用のレジスト膜が設けられたマスクブランクを準備する工程と、
前記レジスト膜に対して露光処理および現像処理を行い、前記薄膜に形成すべき転写パターンを前記レジスト膜に形成する工程と、
前記転写パターンが形成されたレジスト膜を埋め込む状態で、前記レジスト膜上および前記薄膜上に第1材料膜を成膜する工程と、
前記転写パターンが形成されたレジスト膜の間に前記第1材料膜を残した状態で前記レジスト膜の上面が露出するまで前記第1材料膜を除去することにより、前記転写パターンに対して反転した反転パターンを前記第1材料膜に形成し、その後前記第1材料膜に対して選択的に前記レジスト膜を除去する工程と、
前記反転パターンが形成された前記第1材料膜を埋め込む状態で、前記第1材料膜上および前記薄膜上に前記第1材料膜とは異なる材料からなる第2材料膜を成膜する工程と、
前記反転パターンが形成された前記第1材料膜の間に前記第2材料膜を残した状態で前記第1材料膜の上面が露出するまで前記第2材料膜を除去することにより、前記第2材料膜に前記転写パターンを形成し、その後ドライエッチングによって前記第2材料膜に対して選択的に前記第1材料膜を除去する工程と、
前記転写パターンが形成された第2材料膜をマスクとし、前記薄膜に対してドライエッチングを行い、前記薄膜に転写パターンを形成する工程とを備える
ことを特徴とする転写用マスクの製造方法。
<構成2>
前記第1材料膜および前記第2材料膜は、ともに前記薄膜に対してエッチング選択性を有する材料によって構成されている
ことを特徴とする構成1に記載の転写用マスクの製造方法。
<構成3>
前記ドライエッチングによって前記第2材料膜に対して選択的に前記第1材料膜を除去する際の前記第2材料膜のエッチングレートと第1材料膜のエッチングレートの比は、1:2以上である
ことを特徴とする構成1または2に記載の転写用マスクの製造方法。
<構成4>
前記薄膜は、スパッタリング法によって成膜されたものである
ことを特徴とする構成1から3のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法。
<構成5>
前記薄膜は、クロムを含有する材料からなる
ことを特徴とする構成1から4のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法。
<構成6>
前記第1材料膜と前記第2材料膜とは、ともにケイ素を含有する材料からなる
ことを特徴とする構成1から5のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法。
<構成7>
前記マスクブランクは、前記基板と前記薄膜の間に遮光膜が設けられており、
前記転写パターンが形成された前記薄膜をマスクとし、前記遮光膜に対してドライエッチングを行い、前記遮光膜に転写パターンを形成する工程と、
前記遮光膜に転写パターンを形成した後に前記薄膜を除去する工程とを備える
ことを特徴とする構成1から6のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法。
<構成8>
前記マスクブランクは、前記基板と前記薄膜の間に光半透過膜が設けられており、
前記転写パターンが形成された前記薄膜をマスクとし、前記光半透過膜に対してドライエッチングを行い、前記光半透過膜に転写パターンを形成するとともに前記第2材料膜を除去する工程と、
前記第2材料膜を除去した後、前記薄膜上に遮光帯パターンを含むレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記薄膜に対してドライエッチングを行い、前記薄膜に遮光帯を含むパターンを形成する工程とを備える
ことを特徴とする構成1から6のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法。
<構成9>
構成7または8記載の転写用マスクの製造方法により製造された転写用マスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備える
ことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
以上の構成を有する本発明によれば、寸法精度良好に複雑な細線パターンを形成することが可能な転写用マスクの製造方法および半導体デバイスの製造方法を得ることができる。
第1実施形態に係る転写用マスクの製造方法を説明する断面工程図(その1)である。 第1実施形態に係る転写用マスクの製造方法を説明する断面工程図(その2)である。 第1実施形態に係る転写用マスクの製造方法を説明する断面工程図(その3)である。 第2実施形態に係る転写用マスクの製造方法を説明する断面工程図(その1)である。 第2実施形態に係る転写用マスクの製造方法を説明する断面工程図(その2)である。 第2実施形態に係る転写用マスクの製造方法を説明する断面工程図(その3)である。
発明者らは、第1材料膜と、第1材料膜の除去に対して耐性を有する第2材料膜とを用いてレジストパターンを2回反転させたパターンを形成し、これをエッチングマスクとして用いることにより、寸法精度の良好な細線パターンを形成することが可能であることを見出した。以下に、このような効果を得るための本発明の詳細な構成を、転写用マスクの製造方法、次いで半導体デバイスの製造方法の順に説明する。
≪第1実施形態:転写用マスクの製造方法≫
図1〜図3は、第1実施形態に係る転写用マスクの製造方法を説明する断面工程図である。これらの図を参照して説明する第1実施形態の転写用マスクの製造方法は、転写用マスクとしてバイナリマスクまたは反射型マスクを製造する際に適用される方法である。以下、これらの図1〜図3を参照し、第1実施形態の転写用マスクの製造方法を説明する。
<マスクブランク1の準備>
先ず図1(A)に示すように、基板11の一主面上に、遮光膜(吸収体膜)13、薄膜15、およびレジスト膜21がこの順に設けられたマスクブランク1を準備する。各構成要素の詳細は次のようである。
[基板11]
基板11は、ケイ素を含有する材料からなるものが選択される。例えば、例えばバイナリマスク用のマスクブランクの基板11であれば、ArFエキシマレーザ光(波長:約193nm)のような露光光に対して透過性を有する材料で構成されればよい。このような材料としては、合成石英ガラスが用いられるが、この他にも、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラスなどのガラス材料を用いることができる。特に、合成石英ガラス基板は、ArFエキシマレーザ光、またはそれよりも短波長の領域で透明性が高いので、基板11として好適に用いることができる。
また特に、基板11が、反射型マスク用のマスクブランクのものであれば、露光時の発熱による熱膨張が低く抑えられた低熱膨張ガラス(SiO−TiOガラス等)を用いて構成される。
以上のような基板11は、主表面の形状が例えば正方形を含む矩形であって、周端面および主表面が所定の表面粗さに研磨され、その後、所定の洗浄処理および乾燥処理が施されたものである。
なお、ここで言うリソグラフィーにおける露光光および露光時とは、マスクブランクを用いて作製された転写用マスクを用いてのリソグラフィーにおける露光光および露光時である。この露光光としては、ArFエキシマレーザ光(波長:193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長:248nm)、i線光(波長:365nm)のいずれも適用可能である。また転写用マスクが反射型マスクである場合、この露光光としては、EUV光(波長:13.56nm)が適用される。
[遮光(吸収体膜)13]
遮光膜(吸収体膜)13は、次に説明する薄膜をマスクにしたエッチングによって微細パターンが形成される膜である。この遮光膜(吸収体膜)13は、マスクブランクの種類に応じた材料を用いて構成された単層または多層構造の膜である。
(バイナリマスク用の遮光膜13)
バイナリマスク用の遮光膜13は、バイナリマスクとして使用されるときのマスクパターンの露光転写に用いられる露光光に対して遮光性能(所定以上の光学濃度)を有していれば、公知の組成で構成することができる。具体的には、クロム、タンタル、ルテニウム、タングステン、チタン、ハフニウム、モリブデン、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ロジウム等の遷移金属単体あるいはその化合物を含む材料で構成されていればよい。たとえば、クロムや、クロムに酸素、窒素、炭素等の元素から選ばれる1種以上の元素を添加したクロム化合物で構成してもよいし、タンタルに、酸素、窒素、ホウ素等の元素から選ばれる1種以上の元素を添加したタンタル化合物で構成してもよい。
またバイナリマスク用の遮光膜13は、遷移金属およびケイ素(遷移金属シリサイド、特にモリブデンシリサイドを含む)の化合物を含む材料から構成されていてもよい。この場合、遮光膜は、遷移金属およびケイ素の化合物を含む材料からなり、たとえば、遷移金属およびケイ素と、酸素および/または窒素と、を主たる構成要素とする材料が挙げられる。また、遮光膜13は、遷移金属と、酸素、窒素および/またはホウ素を主たる構成要素とする材料から構成されていてもよい。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。
バイナリマスク用の遮光膜13は、ケイ素及び窒素からなる材料、またはケイ素および窒素からなる材料に半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素を含有する材料で構成されてもよい。この遮光膜は、ケイ素に加え、いずれの半金属元素を含有してもよい。半金属元素としては、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン及びテルル等が挙げられる。この遮光膜13は、窒素に加え、いずれの非金属元素を含有してもよい。この非金属元素は、狭義の非金属元素(窒素、炭素、酸素、リン、硫黄、セレン)、ハロゲンおよび貴ガスを含むものをいう。この非金属元素の中でも、炭素、フッ素及び水素から選ばれる1以上の元素を含有させると好ましい。
以上のような材料によって構成されるバイナリマスク用の遮光膜13は、反射防止機能を備えた膜であることが好ましく、2層または3層構造であってもよい。一例として、モリブデン(Mo)とケイ素(Si)と窒素(N)で構成された反射防止機能を有する層(MoSiN)を、異なる組成の下層13aと上層13bとして積層した2層構造の遮光膜13が例示される。さらに、遮光膜13としては、膜厚方向における組成が連続的または段階的に異なるように構成された組成傾斜膜が例示される。以上のような遮光膜13は、例えばスパッタ法によって形成することができる。
また、バイナリマスク用の遮光膜13の膜厚は特に制限されず、たとえば、露光光に対して光学濃度(OD:Optical Density)が2.5以上となるように決定すればよい。
(反射型マスク用の吸収体膜13)
反射型マスク用の吸収体膜13は、ここでの図示を省略した多層反射膜上に設けられる膜であり、EUV光を吸収する機能を有する。このような反射型マスク用の吸収体膜13は、例えばタンタル(Ta)単体またはタンタルを主成分とする材料(タンタル系材料)を好ましく用いることができる。このような反射型マスク用の吸収体膜13の結晶状態は、平滑性、平坦性の点から、アモルファス状または微結晶の構造を有しているものが好ましい。
なお、反射型マスク用の吸収体膜13の下層であって、反射型マスク用の吸収体膜13と基板11との間に設けられる多層反射膜は、EUV光を反射する機能を有する膜である。このような光反射膜は、例えば多層反射膜である。多層反射膜は、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層して形成される。多層反射膜としては、Mo膜とSi膜を交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜等が例示され、露光光の波長により、材質を適宜選択することができる。以上のような反射型マスク用の吸収体膜13および光反射膜は、例えばスパッタ法によって形成することができる。
[薄膜15]
薄膜15は、遮光膜13をエッチングする際のエッチングマスク膜として機能するものである。このような薄膜15は、遮光膜(吸収体膜)13をエッチングする際に用いられるエッチャントに対してエッチング耐性を有する材料で構成する。遮光膜13が、ケイ素系材料や遷移金属シリサイド系材料で構成され、フッ素系ガスによるドライエッチングでパターニングされる場合、薄膜15は、これらのドライエッチングに対して耐性が高い材料であるクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素等の元素を添加したクロム化合物からなる材料で構成することが好ましい。また、遮光膜13が、クロム系材料で構成され、塩素系ガスと酸素ガスの混合ガスによるドライエッチングでパターニングされる場合、薄膜15は、ケイ素や、ケイ素に酸素、窒素、炭素等の元素を添加したケイ素化合物からなる材料で構成することが好ましい。
一方、反射型マスク用の吸収体膜13はタンタル系材料で形成されるが、このような吸収体膜13は、フッ素系ガスによるドライエッチングか、酸素を含有しない塩素系ガス(酸素非含有塩素系ガス)によるドライエッチングでパターニングする。この場合、薄膜15は、これらのドライエッチングに対して耐性が高い材料であるクロムや、クロムに酸素、窒素、炭素等の元素を添加したクロム化合物からなる材料で構成することが好ましい。なお、薄膜15は、さらに反射防止機能を有してもよく、これにより遮光膜13上に薄膜15を残した状態の転写用マスクを作製してもよい。
またこのような薄膜15は、スパッタリング法によって成膜されたものであり、これにより薄膜15をパターンエッチングした場合のエッジラフネスが小さく抑えられ、側壁形状が良好なパターンを得ることが可能な膜となっている。
[レジスト膜21]
レジスト膜21は、リソグラフィー処理によってパターニングされる有機系材料膜であり、パターニングされたレジストパターンが薄膜15をエッチングする際のエッチングマスクとなる。このようなレジスト膜21は、微細なレジストパターンの形成が可能であれば、ポジ型であってもネガ型であってもよいが、一例として数十nm程度の微細なパターンの形成が可能な電子線露光用のポジ型の化学増幅型レジストが用いられることとする。
化学増幅型レジストとしては、公知のものを用いることができ、たとえば、ベースポリマーと、光酸発生剤とを含むものが例示される。ベースポリマーは、酸の発生に伴い、現像液(アルカリ性水溶液等)に対する溶解性が増大するポリマーであれば特に限定されない。光酸発生剤も、公知のものであれば特に限定されない。また化学増幅型レジストは、上記の成分以外に、界面活性剤、増感剤、光吸収剤、酸化防止剤、さらには必要に応じて塩基性物質等の他の成分を含んでもよい。
またレジスト膜21は、現像処理において用いる現像液に対し、露光処理後の非溶解部の溶解速度が遅い方が好ましく、0.05nm/秒以下であり、0.03nm/秒以下であることが好ましく、0.01nm/秒以下であることがより好ましい。これにより、レジストパターンのやせ細り、および膜減りを防止した微細パターンが設計通りに形成され、解像性も確保される。
この転写用マスクの製造方法では、以降に形成する第2材料膜のパターンの厚さ(高さ)は、レジスト膜21の膜厚よりも厚くすることは困難である。このため、レジスト膜21は、第2材料膜による転写パターンが、その下層の薄膜15に対するエッチングマスクとして十分に機能する厚さ以上の膜厚が求められる。
このようなレジスト膜21は、例えばスピンコート法のような塗布法によるレジスト材料膜の成膜と、その後の乾燥処理と、必要に応じて実施されるベーク処理とによって形成される。
<レジストパターン21aの形成>
次に図1(B)に示すように、マスクブランク1のレジスト膜21に対して露光処理とその後の現像処理を行うことにより、薄膜15に形成すべき転写パターンをレジスト膜21に形成する。これによりレジスト膜21が転写パターンの形状にパターニングされたレジストパターン21aを得る。
ここでは先ず、電子線を用いた露光描画により、レジスト膜21に対して薄膜15に形成すべき転写パターンを描画する。次に、レジスト膜21に対してPEB処理、現像処理、リンス処理、およびスピン乾燥処理を行う。これにより、レジスト膜21をパターニングしてレジストパターン21aを形成する。この際、レジスト膜21がポジ型レジストによって構成されていれば、電子線が照射された露光部が現像液によって除去され、未露光部のみがレジストパターン21aとして残される。これに対しレジスト膜21がネガ型レジストによって構成されていれば、電子線が照射された露光部のみがレジストパターン21aとして残される。
<第1材料膜23の成膜>
次いで図1(C)に示すように、転写パターンが形成されたレジスト膜21(以下、レジストパターン21aと称する)を埋め込む状態で、レジストパターン21a上および薄膜15上に第1材料膜23を成膜する。この第1材料膜23は、レジストパターン21aを除去する際の処理に対して高い耐性を有し、かつ薄膜15に対するエッチング選択性が高い材料を用いて構成されていることとする。
例えば、レジストパターン21aがポリマー材料をベースとしたものであり、薄膜15がクロム化合物を用いて構成されたものである場合、第1材料膜23はケイ素を含有する材料を用いて構成される。このような第1材料膜23の具体例としては、(1)プラズマCVD法によって成膜された非晶質ケイ素膜、(2)原子層蒸着法(Atomic Layer Deposition:ALD法)によって成膜された二酸化ケイ素膜が例示される。
またここで成膜する第1材料膜23は、レジストパターン21aのパターンの間を埋め込む状態で成膜されることとし、少なくともレジストパターン21aの高さよりも、厚い膜厚で成膜されることとする。
<反転パターン23aの形成>
次に図1(D)に示すように、レジストパターン21aの間に第1材料膜23を残した状態で、レジストパターン21aの上面が露出するまで第1材料膜23を表面側から膜減りさせ、レジストパターン21a上の第1材料膜23を除去する。このような第1材料膜23の除去は、ドライエッチングによって行ってもよいし、化学的機械研磨やウェットエッチングによって行ってもよい。エッチング速度の制御性の観点からは、ドライエッチングによって実施することが好ましい。
以上により、転写パターンとして形成されたレジストパターン21aを反転させた反転パターン23aを、第1材料膜23に形成する。
<レジストパターン21aの除去>
その後図1(E)に示すように、反転パターン23aが形成された第1材料膜23に対し、レジストパターン21aを選択的に除去する。これにより、薄膜15の上部に反転パターン23aが形成された第1材料膜23のみが残された状態とし、第1材料膜23の間に薄膜15を露出させる。
このようなレジストパターン21aの除去は、例えばオゾンやプラズマを用いたドライプロセスによって、レジストパターン21aを灰化処理することによって行う。またレジストパターン21aの除去は、このようなドライプロセスによる灰化処理の後に、オゾン水を用いたウェットプロセスを実施してもよい。
<第2材料膜25の成膜>
次いで図2(A)に示すように、反転パターン23aが形成された第1材料膜23を埋め込む状態で、第1材料膜23上および薄膜15上に第1材料膜23とは異なる材料から成る第2材料膜25を成膜する。この第2材料膜25は、以降の工程で実施する第1材料膜23を除去するためのエッチングに対する耐性が高いものであって、エッチングレートの比が第2材料膜25:第1材料膜23=1:2以上、好ましくは1:4以上となり得る材料によって構成される。さらに第2材料膜25は、薄膜15に対するエッチング選択性が高い材料を用いて構成されていることとする。
例えば、薄膜15がクロム化合物を用いて構成され、反転パターン23aを構成する第1材料膜23が(1)プラズマCVD法によって成膜された非晶質ケイ素膜である場合、第2材料膜25としては、ALD法によって成膜された二酸化ケイ素膜が例示される。また薄膜15がクロム化合物を用いて構成され、反転パターン23aを構成する第1材料膜23が(2)ALD法によって成膜された二酸化ケイ素膜である場合、第2材料膜25としては、プラズマCVD法によって成膜された非晶質炭素膜、すなわちダイヤモンドライクカーボン(diamond like carbon:DLC)膜が例示される。
またここで成膜する第2材料膜25は、反転パターン23aが形成された第1材料膜23のパターンの間を埋め込む状態で成膜されることとし、少なくとも反転パターン23aよりも、厚い膜厚で形成されることとする。
<転写パターン25aの形成>
次に図2(B)に示すように、反転パターン23aが形成された第1材料膜23の間に第2材料膜25を残した状態で、第1材料膜23の上面が露出するまで第2材料膜25を表面側から膜減りさせ、第1材料膜23の上の第2材料膜25を除去する。このような第2材料膜25の除去は、ドライエッチングによって行ってもよいし、化学的機械研磨やウェットエッチングによって行ってもよい。エッチング速度の制御性の観点からは、ドライエッチングによって実施することが好ましい。
以上により、反転パターン23aをさらに反転させた転写パターン25aを、第2材料膜25に形成する。
<第1材料膜23の除去>
その後、図2(C)に示すように、転写パターン25aが形成された第2材料膜25に対し、反転パターン23aが形成された第1材料膜23を選択的に除去する。これにより、薄膜15の上部に転写パターン25aが形成された第2材料膜25のみが形成された状態とし、第2材料膜25の間に薄膜15を露出させる。
この際、上述したように第1材料膜23が非晶質ケイ素膜であり第2材料膜25が二酸化ケイ素膜である場合、および第1材料膜23が二酸化ケイ素膜であり第2材料膜25が非晶質炭素膜(DLC)である場合、ともにエッチングガスに六フッ化硫黄(SF)とヘリウム(He)との混合ガスを用いたドライエッチングが行われる。これにより、第2材料膜25と第1材料膜23とのエッチングレートの比を、第2材料膜25:第1材料膜23=1:2以上とし、第2材料膜25に対する第1材料膜23の選択的な除去を実施することができる。
<薄膜15のパターニング>
次に図2(D)に示すように、転写パターン25aが形成された第2材料膜25をマスクとして薄膜15をエッチングし、薄膜15に転写パターン15aを形成し、薄膜15からなる転写パターン15aを得る。ここでは、例えば転写パターン25aが形成されたケイ素系の第2材料膜25をマスクにして、クロム系の薄膜15をエッチングする。この際、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガス(酸素含有塩素系ガス)をエッチングガスに用いたドライエッチングを行う。これにより、ケイ素系の第2材料膜25に対して、きわめて高いエッチング選択性でクロム系の薄膜15をエッチングすることができ、第2材料膜25の転写パターン25aの形状を精度良好に転写した転写パターン15aを形成する。
<遮光膜(吸収体膜)13のパターニング>
その後、図3(A)に示すように、クロム系材料によって構成された薄膜15からなる転写パターン15aをマスクとして遮光膜(吸収体膜)13のドライエッチングを行う。これにより、転写パターン15aの形状に遮光膜(吸収体膜)13をパターニングしてなる遮光パターン(吸収体パターン)13aaを得る。この際、遮光膜13がバイナリマスク用のものであって、ケイ素を含有する材料で形成されている場合であれば、フッ素系ガスを用いた遮光膜13のドライエッチングを行なう。また反射型マスク用の吸収体膜13の場合であって、その吸収体膜13がタンタルを主成分とする材料で形成されている場合であれば、フッ素系ガスまたは酸素を含有しない塩素系ガス(酸素非含有塩素系ガス)を用いたドライエッチングを吸収体膜13に対して行う。
なお、以上のような遮光膜(吸収体膜)13のドライエッチングにおいては、ケイ素系の第2材料膜25も同時に除去される。
<薄膜15の除去>
次に、図3(B)に示すように、クロム系材料によって構成された薄膜15からなる転写パターン15aを除去し、転写用マスク1aを得る。この際、クロム系材料からなる転写パターン15aの除去には、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガス(酸素含有塩素系ガス)をエッチングガスに用いる。これにより、ケイ素系またはタンタル系の遮光膜13に対して、きわめて高いエッチング選択性でクロム系材の薄膜15をエッチング除去することができる。
このようにして得られた転写用マスク1aは、バイナリマスクであれば、露光光に対して透過性を有する基板11上に、露光光を遮蔽する遮光パターン13aaが設けられたものとなる。また転写用マスク1aは、反射型マスクであれば、露光光であるEUV光による熱膨張が低く抑えられた基板11上に、ここでの図示を省略した多層反射膜を介して、露光光であるEUV光を吸収する吸収体パターン13aaが設けられたものとなる。
≪第2実施形態:転写用マスクの製造方法≫
図4〜図6は、第2実施形態に係る転写用マスクの製造方法を説明する断面工程図である。これらの図を参照して説明する第2実施形態の転写用マスクの製造方法は、転写用マスクとしてハーフトーン型位相シフトマスクを製造する際に適用される方法である。以下、これらの図4〜図6を参照し、第2実施形態の転写用マスクの製造方法を説明する。なお、図4〜図6においては、図1〜図3を用いて説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
<マスクブランク2の準備>
先ず図4(A)に示すように、基板11の一主面上に、光半透過膜43、薄膜45、およびレジスト膜21がこの順に設けられたマスクブランク2を準備する。マスクブランク2を構成するこれらの各要素のうち、基板11は、上述した第1実施形態のバイナリマスク用のマスクブランク1のものと同様であってよい。またレジスト膜21は、上述した第1実施形態のものと同様である。このためここでは、光半透過膜43と薄膜45の構成を説明する。
[光半透過膜43]
光半透過膜(位相シフト膜)43は、露光光を、実質的に露光に寄与しない強度(たとえば、露光光に対する透過率が1%〜30%)で透過させ、この光半透過膜43を透過する露光光に対し、その光半透過膜43の膜厚と同じ距離だけ空気中を透過した露光光との間で所定の位相差(たとえば、150度〜200度)を生じさせる機能を有していれば、公知の組成で構成されていればよい。具体的には、遷移金属およびケイ素(遷移金属シリサイドを含む)の化合物を含む材料からなり、これらの遷移金属およびケイ素と、酸素および/または窒素を主たる構成要素とする材料が例示される。遷移金属としては、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、クロム等が適用可能である。以上のような光半透過膜43は、例えばスパッタ法によって形成することができる。
また、光半透過膜43は、上記のケイ素及び窒素からなる材料、またはケイ素および窒素からなる材料に半金属元素および非金属元素から選ばれる1以上の元素を含有する材料で構成されてもよい。
[薄膜45]
薄膜45は、遮光膜として用いられる膜であって、例えばクロムを含有する材料膜である。このような薄膜45は、単層で成膜してもよく、図示したような下層45aと上層45bとの2層構造で成膜してもよく、さらに多層の複数層で成膜してもよい。遮光膜として用いられる薄膜45を複数層として成膜する場合には、クロム(Cr)の含有量を変化させた各層を成膜する。
このような薄膜45は、例えばスパッタ法によって成膜されたものであり、これにより薄膜45をパターンエッチングした場合のエッジラフネスが小さく抑えられ、側壁形状が良好なパターンを得ることが可能な膜となっている。
また遮光膜として用いられる薄膜45は、クロム金属のほか、クロムに酸素、窒素、炭素、ホウ素、水素およびフッ素から選ばれる一以上の元素を含有する材料を含有していてもよい。さらにこの薄膜45には、光学濃度(OD)を維持しつつも、膜全体のエッチングレートの低下を抑制することを目的として、インジウム(In)、スズ(Sn)、およびモリブデン(Mo)から選ばれる少なくとも1以上の金属元素(インジウム等金属元素)を含有していてもよい。
このような遮光膜として用いられる薄膜45は、酸素含有塩素系ガスを用いたドライエッチングによってパターニングが可能である。また、この薄膜45はケイ素(Si)を含有する材料で形成された光半透過膜43との間で十分なエッチング選択性を有しており、光半透過膜43にほとんどダメージを与えずに薄膜45をエッチング除去することが可能である。
<レジストパターン21aの形成〜第1材料膜23の除去>
次に図4(B)〜図5(C)に示す工程は、先の第1実施形態において図1(B)〜図2(C)を用いて説明した工程と同様に実施する。
すなわち、図4(B)に示すようにレジストパターン21aの形成を行なう。次いで図4(C)に示すように、第1材料膜23を成膜する。その後、図4(D)に示すように、第1材料膜23に反転パターン23aを形成する。次いで図4(E)に示すように、レジストパターン21aを除去することにより、薄膜45の上部に反転パターン23aが形成された第1材料膜23のみが残された状態とする。その後、図5(A)に示すように、第2材料膜25の成膜を行い、次いで図5(B)に示すように、第2材料膜25に転写パターン25aを形成する。次に、図5(C)に示すように、第2材料膜25に対して第1材料膜23を選択的に除去することにより、薄膜45の上部に転写パターン25aが形成された第2材料膜25のみが形成された状態とする。
<薄膜45のパターニング>
以上の後、図5(D)に示すように、転写パターン25aが形成された第2材料膜25をマスクとして薄膜45をエッチングし、薄膜45に転写パターン45aaを形成する。ここでは、例えば転写パターン25aが形成されたケイ素系の第2材料膜25をマスクにして、クロム系材の薄膜45をエッチングする。この際、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガス(酸素含有塩素系ガス)をエッチングガスに用いたドライエッチングを行う。これにより、ケイ素系の第2材料膜25に対して、極めて高いエッチング選択性でクロム系の薄膜45をエッチングすることができ、第2材料膜25の転写パターン25aの形状が薄膜45に対して精度良好に転写される。
<光半透過膜43のパターニング>
次いで図6(A)に示すように、転写パターン45aaが形成された薄膜45をマスクとして、フッ素系ガスを用いた光半透過膜43のドライエッチングを行ない、ケイ素を含有する材料で形成された光半透過膜43をパターニングする。これにより、基板11における光半透過パターン形成領域11aに、光半透過膜43をパターニングしてなる光半透過パターン43aを形成する。また、基板11における外周領域11bに、薄膜45と光半透過膜43とを貫通する孔形状のアライメントマークパターン43bを形成する。なお、このようなケイ素を含有する材料で形成された光半透過膜43のドライエッチングにおいては、ケイ素を含有する材料によって構成された第2材料膜25も同時に除去される。
<遮光帯パターンを含むレジストパターン47の形成>
次に図6(B)に示すように、転写パターン45aaが形成された薄膜45上に、遮光帯パターンを含むレジストパターン47を形成する。ここでは、基板11における外周領域11bを覆う遮光帯パターンを含む形状のレジストパターン47を形成する。この際、先ず基板11上に、レジスト膜をスピン塗布法によって形成する。次に、基板11における外周領域11bを覆う形状でレジスト膜が残されるように、当該レジスト膜に対して露光を行い、その後レジスト膜に対して現像処理等の所定の処理を行う。これにより、基板11における外周領域11bを覆う形状で、遮光帯パターンを含むレジストパターン47を形成する。
<遮光パターンの形成>
次に図6(C)に示すように、遮光帯パターンを含むレジストパターン47をマスクとして、薄膜45のドライエッチングを行い、外周領域11bを覆う帯状に薄膜45をパターニングしてなる遮光パターン45cを形成する。この際、エッチングガスとして、塩素系ガスと酸素ガスとの混合ガスを用いることにより、クロム系材の薄膜45をエッチングする。
<レジストパターン47の除去>
次いで、図6(D)に示すように、遮光帯パターンを含むレジストパターン47を除去し、洗浄等の所定の処理を行う。以上により、転写用マスク2aとしてハーフトーン型位相シフトマスクが得られる。
このようにして得られた転写用マスク2aは、基板11における光半透過パターン形成領域11aに光半透過パターン43aが設けられ、基板11における外周領域11bにアライメントマークパターン43bと光半透過膜43を介して遮光パターン45cが設けられたものとなる。
≪半導体デバイスの製造方法≫
実施形態に係る半導体デバイスの製造方法は、先に説明した転写用マスクの製造方法によって製造された転写用マスク1aまたは転写用マスク2aを用い、基板上のレジスト膜に対して転写パターンを露光転写することを特徴としている。このような半導体デバイスの製造方法は、次のように行う。
先ず、半導体デバイスを形成する基板を用意する。この基板は、例えば半導体基板であってもよいし、半導体薄膜を有する基板であっても良いし、さらにこれらの上部に微細加工膜が成膜されたものであってもよい。用意した基板上にレジスト膜を成膜し、このレジスト膜に対して、上述した様に作製した転写用マスク1aまたは転写用マスク2aを用いたパターン露光を行なう。このパターン露光においては、それぞれの転写用マスク1aまたは転写用マスク2aに対応する波長の露光光を用いる。
以上の後、転写パターンが露光転写されたレジスト膜を現像処理してレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクにして基板の表層に対してエッチング加工を施したり不純物を導入する処理を行う。処理が終了した後には、レジストパターンを除去する。
以上のような処理を、転写用マスクを交換しつつ基板上において繰り返し行い、さらに必要な加工処理を行うことにより、半導体デバイスを完成させる。
≪実施形態の効果≫
以上説明した実施形態の転写用マスクの製造方法は、パターニング対象となる薄膜15または薄膜45上に転写パターンを有するレジストパターン21aを形成し、第1材料膜23と、第1材料膜23の除去に対して耐性を有する第2材料膜25とを用いてレジストパターン21aを2回反転させる構成である。これにより、膜厚の薄いレジストパターン21aを形成し、このレジストパターン21aの反転パターンを第1材料膜23に形成し、さらにこの反転パターンであるレジストパターン21aの転写パターンを第2材料膜25に形成し、これをマスクにして薄膜15または薄膜45をパターンエッチングすることができる。
したがって、高精度な細線パターンを薄膜15または薄膜45に形成する際、開口幅が狭いレジストパターン21aを形成する必要はなく、線幅の細いレジストパターン21aを形成すればよい。しかも反転パターン23aが形成される第1材料膜23、および転写パターン25aが形成される第2材料膜25は単層であってよく、反転パターン23aおよび転写パターン25aともにエッチングバイアスが小さくパターンの寸法精度を確保することが可能である。この結果、転写パターン25aが形成された第2材料膜25をマスクにした薄膜15または薄膜45のパターンエッチングにおいても、寸法精度が良好なパターンを得ることが可能である。
また、以上のようにして作製された転写用マスク1aまたは転写用マスク2aを用いて半導体デバイスを作製することにより、形状精度の高い細線パターンを有する半導体デバイスを得ることが可能になる。
≪別の実施形態≫
以上説明した実施形態の転写用マスクの製造方法は、基板上にハードマスク膜(本発明の薄膜に対応。)を備えたマスクブランクからインプリントモールドを製造する場合にも応用できる。すなわち、そのインプリントモールドの製造方法は、基板の主表面上にハードマスク膜を有するマスクブランクを用いたインプリントモールドの製造方法であって、ハードマスク膜上に電子線露光用のレジスト膜が設けられたマスクブランクを準備する工程と、レジスト膜に対して露光処理および現像処理を行い、ハードマスク膜に形成すべきモールドパターンをレジスト膜に形成する工程と、モールドパターンが形成されたレジスト膜を埋め込む状態で、レジスト膜上およびハードマスク膜上に第1材料膜を成膜する工程と、モールドパターンが形成されたレジスト膜の間に第1材料膜を残した状態でレジスト膜の上面が露出するまで第1材料膜を除去することにより、モールドパターンに対して反転した反転パターンを第1材料膜に形成し、その後第1材料膜に対して選択的にレジスト膜を除去する工程と、反転パターンが形成された第1材料膜を埋め込む状態で、第1材料膜上およびハードマスク膜上に第1材料膜とは異なる材料からなる第2材料膜を成膜する工程と、反転パターンが形成された第1材料膜の間に第2材料膜を残した状態で第1材料膜の上面が露出するまで第2材料膜を除去することにより、第2材料膜にモールドパターンを形成し、その後ドライエッチングによって第2材料膜に対して選択的に第1材料膜を除去する工程と、モールドパターンが形成された第2材料膜をマスクとし、ハードマスク膜に対してドライエッチングを行い、ハードマスク膜にモールドパターンを形成する工程と、モールドパターンが形成されたハードマスク膜をマスクとし、基板に対してドライエッチングを行い、基板の主表面にモールドパターンを形成する工程とを備えることを特徴とする。
この別の実施形態のインプリントモールドの製造方法は、高精度な細線パターンをハードマスク膜に形成する際、開口幅が狭いレジストパターンを形成する必要はなく、線幅の細いレジストパターンを形成すればよい。しかも反転パターンが形成される第1材料膜、およびモールドパターンが形成される第2材料膜は単層であってよく、第1材料膜の反転パターンおよび第2材料膜のモールドパターンともにエッチングバイアスが小さくパターンの寸法精度を確保することが可能である。この結果、モールドパターンが形成された第2材料膜をマスクにしたハードマスク膜に対するドライエッチングにおいて、ハードマスク膜に寸法精度が良好なモールドパターンを形成することが可能となる。さらに、そのモールドパターンが形成されたハードマスク膜をマスクとする基板の主表面に対するドライエッチングにおいて、主表面に寸法精度が良好なモールドパターンを形成することが可能となる。
≪転写用マスクの製造≫
実施例により、本発明の転写用マスクの製造方法をさらに具体的に説明する。ここでは、図1〜図3を参照し、下記の手順でバイナリマスクとなる転写用マスクを作製した。
先ず図1(A)を参照し、主表面の寸法が約152mm×約152mmで、厚さが約6.35mmの合成石英ガラスからなる透光性基板を基板11として準備した。この透光性基板は、端面および主表面を所定の表面粗さ以下(二乗平均平方根粗さRqで0.2nm以下)に研磨され、その後、所定の洗浄処理および乾燥処理を施されたものである。
次に、透光性基板(基板11)の表面に接して、モリブデン、ケイ素および窒素からなる遮光膜13の下層(MoSiN膜)13aを47nmの厚さで形成し、さらに上層(MoSiN膜)13bを4nmの厚さで形成した。具体的には、枚葉式DCスパッタリング装置内に透光性基板(基板11)を設置し、モリブデン(Mo)とケイ素(Si)との混合焼結ターゲット(Mo:Si=13:87(原子%比))を用い、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(DCスパッタリング)によって、遮光膜13の下層13aと上層13bとを形成した。
次に、遮光膜13を備えた透光性基板(基板11)に対して、450℃で30分間の加熱処理を行い、遮光膜13の膜応力を低減させる処理を行った。なお、別の透光性基板(基板11)に同様の手順で熱処理までを行った遮光膜13に対し、X線光電子分光法による分析を行った。その結果、遮光膜13の下層13aが、Mo:Si:N=9.2:68.3:22.5(原子%比)であり、上層13bにおける下層13a近傍の部分が、Mo:Si:N:O=5.8:64.4:27.7:2.1(原子%比)であることが確認できた。また、遮光膜13の上層13bの表層については、窒素が14.4原子%、酸素が38.3原子%であった。また、分光エリプソメーターを用いて、遮光膜13の光学濃度を測定したところ、3.0であり、遮光膜として十分な光学濃度であることが確認された。
次に、遮光膜13の上層13bの表面に接して、クロムおよび窒素からなる薄膜15(CrN膜)を5nmの厚さで形成した。具体的には、枚葉式DCスパッタリング装置内に熱処理後の遮光膜13を備える透光性基板(基板11)を設置し、クロム(Cr)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)および窒素(N)の混合ガスをスパッタリングガスとする反応性スパッタリング(DCスパッタリング)によって、薄膜15を形成した。別の透光性基板上に同条件で形成した薄膜15に対してX線光電子分光法による分析を行った結果、Cr:N=72:28(原子%比)であった。
次に、スピン塗布法によって、薄膜15の表面に接して、電子線描画用化学増幅型レジスト(PRL009:富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)からなるレジスト膜21を膜厚60nmで成膜し、マスクブランク1を得た。
次に図1(B)を参照し、作製したマスクブランク1のレジスト膜21に対して電子線を用いてテストパターンを描画露光した。その後、レジスト膜21の現像処理等を行い、線幅100nm、スペース幅100nmのテストパターン形状のレジストパターン21aを形成した。
次に図1(C)を参照し、レジストパターン21aを埋め込む状態で、非晶質ケイ素からなる第1材料膜23を、プラズマCVD法によって膜厚80nmで成膜した。
その後図1(D)を参照し、六フッ化硫黄(SF)とヘリウム(He)との混合ガスを用いたドライエッチングによって、レジストパターン21aが露出するまで、第1材料膜23を表面側から膜減りさせ、レジストパターン21a間に第1材料膜23からなる反転パターン23aを形成した。
次に図1(E)を参照し、灰化処理とその後のオゾン水を用いたウェットプロセスにより、反転パターン23aが形成された第1材料膜23間のレジストパターン21aを除去した。
次いで図2(A)を参照し、反転パターン23aが形成された第1材料膜23を埋め込む状態で、二酸化ケイ素からなる第2材料膜25をALD法によって膜厚100nmで成膜した。
その後図2(B)を参照し、四フッ化炭素(CF)とヘリウム(He)との混合ガスを用いたドライエッチングによって、第1材料膜23が露出するまで、第2材料膜25を表面側から膜減りさせ、反転パターン23aが形成された第1材料膜23間に第2材料膜25からなる転写パターン25aを形成した。
次に図2(C)を参照し、エッチングガスに六フッ化硫黄(SF)とヘリウム(He)との混合ガスを用いたドライエッチングにより、二酸化ケイ素からなる第2材料膜25に対して、非晶質ケイ素からなる第1材料膜23を選択的にエッチング除去した。
次に図2(D)を参照し、二酸化ケイ素からなる第2材料膜25をマスクとして、エッチングガスにClとOの混合ガスを用い、クロムおよび窒素からなる薄膜15のドライエッチングを行った。これにより、薄膜15に、テストパターンを転写した転写パターン15aを形成した。
続いて図3(A)を参照し、第2材料膜25上から、転写パターン15aをマスクとし、エッチングガスに六フッ化硫黄(SF)とヘリウム(He)の混合ガスを用い、モリブデン、ケイ素および窒素からなる遮光膜13のドライエッチングを行った。これにより、遮光膜13に遮光パターン13aaを形成した。
次に図3(B)を参照し、エッチングガスとして塩素(Cl)と酸素(O)の混合ガスを用いたドライエッチングにより、転写パターン15aを除去した。
以上により、透光性基板(基板11)上に、テストパターン形状の遮光パターン13aaを有するパターンテスト用の転写用マスク(バイナリマスク)1aを作製した。
≪評価≫
以上のようにして作製した転写用マスク1aを用い、AIMS193(Carl Zeiss社製)を用いて、波長193nmの露光光で半導体デバイス作製用のレジスト膜に対して露光転写した場合の転写像のシミュレーションを行った。
このシミュレーションによる露光転写像を検証したところ、設計仕様を十分に満たしていた。この結果から、この転写用マスク1aを露光装置のマスクステージにセットし、半導体デバイス作製用のレジスト膜に露光転写したとしても、最終的に半導体デバイス用の回路パターンは高精度で形成できることが確認された。
1,2…マスクブランク
1a,2a…転写用マスク
11…基板
13…遮光膜(吸収体膜)
15…薄膜(エッチングマスク膜)
21…レジスト膜
21a…レジストパターン(転写パターン)
23…第1材料膜
23a…反転パターン
25…第2材料膜
25a…転写パターン
43…光半透過膜
45…薄膜(遮光膜)
47…遮光帯パターンを含むレジストパターン

Claims (10)

  1. 基板の主表面上に薄膜を有するマスクブランクを用いた転写用マスクの製造方法であって、
    前記薄膜上に電子線露光用のレジスト膜が設けられたマスクブランクを準備する工程と、
    前記レジスト膜に対して露光処理および現像処理を行い、前記薄膜に形成すべき転写パターンを前記レジスト膜に形成する工程と、
    前記転写パターンが形成されたレジスト膜を埋め込む状態で、前記レジスト膜上および前記薄膜上に第1材料膜を成膜する工程と、
    前記転写パターンが形成されたレジスト膜の間に前記第1材料膜を残した状態で前記レジスト膜の上面が露出するまで前記第1材料膜を除去することにより、前記転写パターンに対して反転した反転パターンを前記第1材料膜に形成し、その後前記第1材料膜に対して選択的に前記レジスト膜を除去する工程と、
    前記反転パターンが形成された前記第1材料膜を埋め込む状態で、前記第1材料膜上および前記薄膜上に前記第1材料膜とは異なる材料からなる第2材料膜を成膜する工程と、
    前記反転パターンが形成された前記第1材料膜の間に前記第2材料膜を残した状態で前記第1材料膜の上面が露出するまで前記第2材料膜を除去することにより、前記第2材料膜に前記転写パターンを形成し、その後ドライエッチングによって前記第2材料膜に対して選択的に前記第1材料膜を除去する工程と、
    前記転写パターンが形成された第2材料膜をマスクとし、前記薄膜に対してドライエッチングを行い、前記薄膜に転写パターンを形成する工程とを備える
    ことを特徴とする転写用マスクの製造方法。
  2. 前記第1材料膜および前記第2材料膜は、ともに前記薄膜に対してエッチング選択性を有する材料によって構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の転写用マスクの製造方法。
  3. 前記ドライエッチングによって前記第2材料膜に対して選択的に前記第1材料膜を除去する際の前記第2材料膜のエッチングレートと第1材料膜のエッチングレートの比は、1:2以上である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の転写用マスクの製造方法。
  4. 前記薄膜は、スパッタリング法によって成膜されたものである
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法。
  5. 前記薄膜は、クロムを含有する材料からなる
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法。
  6. 前記第1材料膜と前記第2材料膜とは、ともにケイ素を含有する材料からなる
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法。
  7. 前記マスクブランクは、前記基板と前記薄膜の間に遮光膜が設けられており、
    前記転写パターンが形成された前記薄膜をマスクとし、前記遮光膜に対してドライエッチングを行い、前記遮光膜に転写パターンを形成する工程と、
    前記遮光膜に転写パターンを形成した後に前記薄膜を除去する工程とを備える
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法。
  8. 前記マスクブランクは、前記基板と前記薄膜の間に光半透過膜が設けられており、
    前記転写パターンが形成された前記薄膜をマスクとし、前記光半透過膜に対してドライ
    エッチングを行い、前記光半透過膜に転写パターンを形成するとともに前記第2材料膜を除去する工程と、
    前記第2材料膜を除去した後、前記薄膜上に遮光帯パターンを含むレジストパターンを形成し、前記レジストパターンをマスクとして前記薄膜に対してドライエッチングを行い、前記薄膜に遮光帯を含むパターンを形成する工程とを備える
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法。
  9. 前記マスクブランクは、前記基板と前記薄膜の間に、前記基板側から光反射膜と吸収体膜とがこの順に積層した構造を備えており、
    前記転写パターンが形成された前記薄膜をマスクとし、前記吸収体膜に対してドライエッチングを行い、前記吸収体膜に転写パターンを形成する工程と、
    前記吸収体膜に転写パターンを形成した後に前記薄膜を除去する工程とを備える
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法。
  10. 請求項7から9のいずれかに記載の転写用マスクの製造方法により製造された転写用マスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備える
    ことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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