JP6798928B2 - 鋳造用Al−Si系合金およびAl−Si系合金鋳塊の製造方法 - Google Patents

鋳造用Al−Si系合金およびAl−Si系合金鋳塊の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、連続鋳造用に好適なAl−Si系合金およびAl−Si系合金鋳塊の製造方法に関する。
カーコンプレッサー用材料等としては、優れた耐摩耗性および高強度を備えたAl−Si系合金が使用されている。
このような優れた耐摩耗性および高強度を備えたAl−Si系合金としては、例えば、Si:16〜25wt%、Cu:1.5〜5.0wt%、Mg:0.4〜1.0wt%、Mn:0.5wt%以下、Fe:0.8wt%以下、Ni:0.5〜1.5wt%、Cr:0.5〜1.5wt%、残部がAlからなる溶湯を、高温にて燐又は燐化合物で微細化処理した後、ダイカスト鋳造して得られたAl−Si系合金材が公知である(特許文献1参照)。
特開昭60−204843号公報
ところで、Al−Si系合金材を連続鋳造で製造を行っていると、P(リン)系の晶出物や初晶Siが発生して、これらが鋳造装置のヘッダーの表面に付着、堆積する。これらP系晶出物や初晶Siが堆積し続けていくと、合金溶湯の流動が阻害されるようになり、最終的には鋳造を行うことが困難になる(このような現象を以下「ヘッダー詰まり」という)。現状では、定期的に上記堆積物を除去する作業が必要であり、生産性を低下させる要因にもなっている。
Al−Si系合金鋳塊を製造するときには、アルミニウム原料及びケイ素塊等を溶解炉に投入して溶融させて溶湯を得て該溶湯を鋳造加工して鋳塊を得ているが、上記ヘッダー詰まりを生じさせる原因となっているP(リン)は、ケイ素塊に含有されている。原料のケイ素塊には必ず微量のPが含まれており、現状では上記晶出物の堆積によるヘッダー詰まりを回避することは困難である。
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、鋳造装置のヘッダーの表面における晶出物等の堆積を抑止できてヘッダーの詰まりを防止できる鋳造用Al−Si系合金およびAl−Si系合金鋳塊の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明者は鋭意研究の結果、Al−Si系合金組成としてCaをPに対して下記の特定関係の過剰量を含有せしめた構成とすることにより、ヘッダーの表面における晶出物等の堆積を抑止できてヘッダーの詰まりを防止できることを見出すに至り、本発明を完成したものである。
即ち、前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]Si:9.0質量%〜13.0質量%、Cu:0.7質量%〜5.0質量%、Mg:0.2質量%〜1.3質量%、P:5ppm〜30ppm、Ca:52.5ppm〜165ppmを含有すると共に、Fe:含有しない又は0.5質量%以下含有し、Cr:含有しない又は0.15質量%以下含有し、Zn:含有しない又は0.5質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる鋳造用Al−Si系合金であって、
前記鋳造用Al−Si系合金におけるCaの含有率を「y」(ppm)とし、前記鋳造用Al−Si系合金におけるPの含有率を「x」(ppm)としたとき、
y ≧ 4.5x + 30
上記関係式を満たしており、
前記鋳造用Al−Si系合金の過冷度が1.0℃〜5.0℃であることを特徴とする鋳造用Al−Si系合金。
[2]前記鋳造用Al−Si系合金は、連続鋳造用Al−Si系合金である前項1に記載の鋳造用Al−Si系合金。
[3]前記鋳造用Al−Si系合金は、さらに、Mnを0.1質量%〜0.3質量%含む前項1または2に記載の鋳造用Al−Si系合金。
[4]前記鋳造用Al−Si系合金は、さらに、Tiを0.01質量%〜0.2質量%含む前項1〜3のいずれか1項に記載の鋳造用Al−Si系合金。
[5]前記鋳造用Al−Si系合金は、さらに、Bを0.002質量%〜0.04質量%含む前項1〜4のいずれか1項に記載の鋳造用Al−Si系合金。
[6]前項1〜5のいずれか1項に記載の鋳造用Al−Si系合金の溶湯を鋳造加工することによって鋳塊を得ることを特徴とするAl−Si系合金鋳塊の製造方法。
[1]の発明では、Al−Si系合金が上記特定組成からなると共に、y≧4.5x+30の関係を満たしている構成であるから、鋳造を行う際に鋳造装置のヘッダーの表面における晶出物等の堆積を抑止できてヘッダーの詰まりを防止できる。このような効果が得られる理由としては次のように推定しているが定かではない。Pの含有率よりも過剰のCa(52.5ppm〜165ppm)を含有せしめているので、Pの均一分散を妨げて初晶Siの生成を抑制することができると共に、過剰のCaとPが化合することによりフリーなPが存在しなくなってヘッダー表面にP−Ca化合物が堆積することを抑制でき、これらによりヘッダーの詰まりを防止できるものと推定される。ここで、CaをPに対して過剰に含有せしめた構成になっており、このために共晶過冷却が発生する。本発明では、Al−Si系合金の過冷度が1.0℃以上であることでPに対するCaの過剰量が十分でありヘッダーの詰まりを十分に防止できると共に、Al−Si系合金の過冷度が5.0℃以下であるのでPに対するCaの過剰量が過剰すぎることがなくて溶湯の良好な流動性を確保できて良好な鋳造性を確保できる。
このようにヘッダーの詰まりを十分に防止できるので、[2]の発明のように連続鋳造用のAl−Si系合金として特に好適である。
[3]の発明では、Al−Si系合金は、さらに、Mnを0.1質量%〜0.3質量%含む構成であり、Mnの0.1質量%以上の含有により耐食性の低下を抑制できると共に、Mnの含有率が0.3質量%以下であるので巨大金属間晶出物の発生を抑止できて十分な高温強度を確保できる。
[4]の発明では、Al−Si系合金は、さらに、Tiを0.01質量%〜0.2質量%含む構成であり、Tiの0.01質量%以上の含有により鍛造性を向上させることができると共に、Tiの含有率が0.2質量%以下であるので靱性を十分に確保できる。
[5]の発明では、Al−Si系合金は、さらに、Bを0.002質量%〜0.04質量%含む構成であり、Bの0.002質量%以上の含有により鍛造性を向上させることができると共に、Bの含有率が0.04質量%以下であるので加工工具の寿命の延長に資することができる。
[6]の発明では、鋳造を行う際に鋳造装置のヘッダーの表面における晶出物等の堆積を抑止できてヘッダーの詰まりを防止しつつAl−Si系合金鋳塊を製造できる。この製造方法は、連続鋳造を行った場合でも長期にわたってヘッダーの詰まりを防止できる点で特に技術的に意義がある。
各実施例および各比較例におけるP含有率(横軸)とCa含有率(縦軸)の関係と、ヘッダー詰まり防止性評価結果との関係を示すグラフである。
本発明に係る連続鋳造用Al−Si系合金は、Si:9.0質量%〜13.0質量%、Cu:0.7質量%〜5.0質量%、Mg:0.2質量%〜1.3質量%、P:5ppm〜30ppm、Ca:52.5ppm〜165ppmを含有すると共に、Fe:含有しない又は0.5質量%以下含有し、Cr:含有しない又は0.15質量%以下含有し、Zn:含有しない又は0.5質量%以下を含有し、残部がAl(アルミニウム)及び不可避不純物からなる連続鋳造用Al−Si系合金であって、前記Al−Si系合金におけるCaの含有率を「y」(ppm)とし、前記Al−Si系合金におけるPの含有率を「x」(ppm)としたとき、
y ≧ 4.5x + 30 ・・・・(1)
上記関係式(1)を満たしており、前記Al−Si系合金の過冷度が1.0℃〜5.0℃である構成である。
本発明の連続鋳造用Al−Si系合金は、上述した特定組成からなる構成であり、且つ上記関係式(1)を満たしている構成であるので、鋳造を行う際に鋳造装置のヘッダーの表面における晶出物等の堆積を抑止できてヘッダーの詰まりを防止することができる。このような効果が得られる理由としては次のように推定しているが定かではない。Pの含有率よりも過剰のCa(52.5ppm〜165ppm)を含有せしめているので、Pの均一分散を妨げて初晶Siの生成を抑制することができると共に、過剰のCaとPが化合することによりフリーなPが存在しなくなってヘッダー表面にP−Ca化合物が堆積することを抑制でき、これらによりヘッダーの詰まりを防止できるものと推定される。ここで、CaをPに対して過剰に含有せしめた構成になっており、このために共晶過冷却が発生する。また、本発明では、Al−Si系合金の過冷度が1.0℃以上であることでPに対するCaの過剰量が十分でありヘッダーの詰まりを十分に防止できると共に、Al−Si系合金の過冷度が5.0℃以下であるのでPに対するCaの過剰量が過剰すぎることがなくて溶湯の良好な流動性を確保できて良好な鋳造性を確保できる。
なお、上記関係式(1)を満たさない構成である場合には、表3、4からも明らかなように、ヘッダーの詰まりを長期にわたって防止することはできない。
本発明の鋳造用Al−Si系合金の組成について以下詳細に説明する。前記Al−Si系合金におけるSi含有率は、9.0質量%〜13.0質量%の範囲とする。Si含有率が9.0質量%未満では、該合金を用いて製作された摺動部品等の耐摩耗性が低下する。また、Si含有率が13.0質量%を超えると、初晶Siが粗大化しやすく、数10μmに達する。このため、切断時の鋸刃の摩耗や、後加工での切削時にバイトの刃先がこの初晶Siに当たって刃先を欠き、仕上げに問題を生じたり、鍛造品の外面に近い部分で応力集中の発生しやすい部分に初晶Siが偏在すると、該初晶Siが破壊基点となり機械的強度が低下する。中でも、前記Al−Si系合金におけるSi含有率は、9.5質量%〜12.5質量%の範囲であるのが好ましい。
前記Al−Si系合金におけるCu含有率は、0.7質量%〜5.0質量%の範囲とする。Cuを適切な含有率で含有させることで後の熱処理により前記Al−Si系合金の強度を向上させることができると共に耐摩耗性の向上にも寄与する。Cu含有率が0.7質量%未満では、強度の向上に寄与しないし、5.0質量%を超えても強度向上の効果はこれ以上望めない。中でも、前記Al−Si系合金におけるCu含有率は、1.5質量%〜5.0質量%の範囲であるのが好ましい。
前記Al−Si系合金におけるMg含有率は、0.2質量%〜1.3質量%の範囲とする。Mgは、Siと結びつき、熱処理後にMg2Siの微細な析出物となり、製品の硬化に寄与する。また、MgSiCu系の化合物として同様に熱処理後に析出物となり製品の硬化に寄与し、いずれも強度を高める。Mgが0.2質量%未満では、このような製品硬化、強度向上の効果は得られないし、Mgが1.3質量%を超えてもこれ以上の強度向上を図ることはできない。中でも、前記Al−Si系合金におけるMg含有率は、0.2質量%〜1.0質量%の範囲であるのが好ましい。
前記Al−Si系合金におけるCa含有率は、52.5ppm〜165ppmの範囲とする。Ca含有率が52.5ppm未満では、Pに対するCaの過剰量の程度が不十分となりヘッダーの詰まりを防止することが困難になる。また、Ca含有率が165ppmを超えると、合金溶湯の流動性が低下し、鍛造性が低下する上に、溶湯ガスの吸収が増加し、脱ガス性も低下して、Al−Si系合金の内部組織に欠陥が生じる。中でも、前記Al−Si系合金におけるCa含有率は、60ppm〜160ppmの範囲であるのが好ましい。
前記Al−Si系合金におけるP含有率は、5ppm〜30ppmの範囲とする。P含有率が5ppm未満のAl−Si系合金を得るのは一般には困難である。P含有率が30ppmを超えると、Pの影響によるヘッダーの詰まりを防止するには165ppm(y=4.5×30+30)よりも多い量のCaを必要とするが、前述したとおり、Ca含有率が165ppmを超えると鍛造性低下や内部組織欠陥の問題を生じることから、このような関係性からP含有率は30ppm以下に設定する。P含有率を30ppm以下に低減させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、溶解炉に投入する前にケイ素塊に予め水洗処理を行ってP含有率を低減させる方法、溶解炉に投入する前にケイ素塊の解砕物に予め水洗処理を行ってP含有率を低減させる方法等が挙げられる。
本発明では、前記Al−Si系合金の過冷度が1.0℃〜5.0℃の範囲とする。Pに対してCaがある程度十分に過剰量存在するときに共晶過冷度(過冷却)の現象が発生する。Al−Si系合金の過冷度が1.0℃以上であることでPに対するCaの過剰量が十分でありヘッダーの詰まりを十分に防止できると共に、Al−Si系合金の過冷度が5.0℃以下であるのでPに対するCaの過剰量が過度に過剰すぎることがなくて溶湯の良好な流動性を確保できて良好な鋳造性を確保することができる。中でも、前記Al−Si系合金の過冷度は1.5℃〜4.5℃の範囲であるのが好ましい。
前記Al−Si系合金におけるFe含有率は、0.5質量%以下に設定するか、又はFeを含有しない構成とする。Fe含有率が0.5質量%を超えると、巨大金属間晶出物が発生して靱性が低下する。
前記Al−Si系合金におけるCr含有率は、0.15質量%以下に設定するか、又はCrを含有しない構成とする。Cr含有率が0.15質量%を超えると、巨大金属間晶出物が発生して靱性が低下する。
前記Al−Si系合金におけるZn含有率は、0.5質量%以下に設定するか、又はZnを含有しない構成とする。Zn含有率が0.5質量%を超えると、巨大金属間晶出物が発生して靱性が低下する。Znを含有する(0.5質量%以下の含有)ことにより強度を向上できる。
本発明において、前記Al−Si系合金は、さらに、Mnを0.1質量%〜0.3質量%含む構成を採用してもよい。この含有率でMnを含有することで高温強度をさらに向上させることができる。Mn含有率が0.3質量%を超えると、巨大金属間晶出物が発生して靱性が低下する。
前記Al−Si系合金は、さらに、Tiを0.01質量%〜0.2質量%含む構成を採用してもよい。この含有率でTiを含有することで、鋳塊組織の微細化またはAl−Si共晶粒子の微細化を通じて鍛造性を向上させることができる。Ti含有率が0.2質量%を超えると、Al−Si−Ti粗大化合物生成により靱性が低下する。
前記Al−Si系合金は、さらに、Bを0.002質量%〜0.04質量%含む構成を採用してもよい。この含有率でBを含有することで、鋳塊組織の微細化またはAl−Si共晶粒子の微細化を通じて鍛造性を向上させることができる。B含有率が0.04質量%を超えると、TiB2の硬質粒子によって加工工具寿命が短縮されてしまう。
上記構成の鋳造用Al−Si系合金の溶湯を鋳造することによって鋳塊を得ることができる。本発明の鋳造用Al−Si系合金を用いているので、鋳造装置のヘッダーの表面における晶出物等の堆積を抑止できてヘッダーの詰まりを防止できる。
また、上記構成の鋳造用Al−Si系合金の溶湯を連続鋳造法により鋳造加工することによって鋳塊を得ることができる。従来では、連続鋳造法により鋳造加工する場合には特にヘッダーの詰まりが生じやすかったのであるが、本発明の鋳造用Al−Si系合金を用いることにより、連続鋳造でもヘッダーの詰まりを長期にわたって防止できる。
前記鋳造の手法としては、特に限定されるものではないが、例えば、水平連続鋳造法等が挙げられる。
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
<実施例1>
ケイ素塊、アルミニウム地金、銅地金、マグネシウム地金を溶解炉に投入して、850℃に加熱することによってアルミニウム合金溶湯を調製した。前記アルミニウム合金溶湯におけるSi含有率が11.0質量%、Cu含有率が4.5質量%、Mg含有率が0.6質量%、Al含有率が83.9質量%になるように前記各材料を投入した。次に、得られたアルミニウム合金溶湯中のPの含有率をJIS H1305(2010年)に準拠して発光分光分析法によって分析したところ、Pの含有率は5ppmであった。この得られたアルミニウム合金溶湯中にCaを添加することによってCa含有率が69ppmの連続鋳造用Al−Si系合金(溶湯)を得た。
<実施例2〜4>
前記Pの含有率が5ppmであったアルミニウム合金溶湯中にCaを所定量添加することによってCa含有率を表1に示す値に設定した以外は、実施例1と同様にして連続鋳造用Al−Si系合金(溶湯)を得た。
<実施例5〜51>
前記Pの含有率が5ppmであったアルミニウム合金溶湯中にP、Caをそれぞれ所定量添加することによって、連続鋳造用Al−Si系合金におけるPの含有率、Caの含有率をそれぞれ表1〜3に示す値に設定した以外は、実施例1と同様にして連続鋳造用Al−Si系合金(溶湯)を得た。
<比較例1>
ケイ素塊、アルミニウム地金、銅地金、マグネシウム地金を溶解炉に投入して、850℃に加熱することによってアルミニウム合金溶湯を調製した。前記アルミニウム合金溶湯におけるSi含有率が11.0質量%、Cu含有率が4.5質量%、Mg含有率が0.6質量%、Al含有率が83.9質量%になるように前記各材料を投入した。次に、得られたアルミニウム合金溶湯中のPの含有率をJIS H1305(2010年)に準拠して発光分光分析法によって分析したところ、Pの含有率は6ppmであった。この得られたアルミニウム合金溶湯中にCaを添加することによってCa含有率が40ppmの連続鋳造用Al−Si系合金(溶湯)を得た。
<比較例2〜27>
Pの含有率が6ppm、Ca含有率が40ppmであったアルミニウム合金溶湯中にP、Caをそれぞれ所定量添加することによって、連続鋳造用Al−Si系合金におけるPの含有率、Caの含有率をそれぞれ表3、4に示す値に設定した以外は、比較例1と同様にして連続鋳造用Al−Si系合金(溶湯)を得た。
Figure 0006798928
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<ヘッダーの詰まり防止性評価法>
上記のようにして得られた各連続鋳造用Al−Si系合金溶湯(850℃)を連続鋳造法により鋳造加工することによって、直径30mmの丸棒状の鋳塊を連続して5時間製造した。その後、鋳造装置のヘッダーの詰まりの程度を目視により調べて下記判定基準に基づいてヘッダーの目詰まり防止性を評価した。その結果を表1〜4に示す。なお、図1は、各実施例、各比較例の鋳造用Al−Si系合金におけるP含有率(横軸)とCa含有率(縦軸)の関係と、ヘッダー詰まり防止性評価結果との関係を示したグラフである。
(判定基準)
「○」…ヘッダーの詰まりは認められなかったし、ヘッダーの表面に晶出物等の堆積物も認められなかった。
「△」…ヘッダーの詰まりはなかったが、ヘッダーの表面に晶出物等の堆積物が少し認められた。
「×」…ヘッダーの表面に晶出物等の堆積物が多く発生し、ヘッダーの詰まりが生じていた、又は詰まりに近い状態になっていた。
なお、表中に記載している過冷度は、各実施例、各比較例について上記詰まり防止性評価で製造した鋳塊の一部をそれぞれサンプリングして得た各Al−Si系合金材についてエコシステム有限会社製ALTEC装置(ALTEC−12ST;アルミ溶湯を冷却曲線にて測定する管理機器)を用いて測定して得られた各Al−Si系合金の過冷度(℃)である。
表と図1から明らかなように、本発明の実施例1〜51の鋳造用Al−Si系合金は、これを用いて連続鋳造を行った際にヘッダーの詰まりを生じることがなく、ヘッダーの詰まり防止性に優れたいた。
これに対し、本発明の範囲を逸脱する比較例1〜27の鋳造用Al−Si系合金は、これを用いて連続鋳造を行った際にヘッダーの詰まりを生じた。
本発明に係る鋳造用Al−Si系合金は、長期にわたってヘッダーの詰まりを防止できるので、連続鋳造用のAl−Si系合金として好適である。また、本発明に係る鋳造用Al−Si系合金は、例えば、カーコンプレッサー用の素材等として使用されるが、特にこのような用途に限定されるものではない。

Claims (6)

  1. Si:9.0質量%〜13.0質量%、Cu:0.7質量%〜5.0質量%、Mg:0.2質量%〜1.3質量%、P:5ppm〜30ppm、Ca:52.5ppm〜165ppmを含有すると共に、Fe:含有しない又は0.5質量%以下含有し、Cr:含有しない又は0.15質量%以下含有し、Zn:含有しない又は0.5質量%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる鋳造用Al−Si系合金であって、
    前記鋳造用Al−Si系合金におけるCaの含有率を「y」(ppm)とし、前記鋳造用Al−Si系合金におけるPの含有率を「x」(ppm)としたとき、
    y ≧ 4.5x + 30
    上記関係式を満たしており、
    前記鋳造用Al−Si系合金の過冷度が1.0℃〜5.0℃であることを特徴とする鋳造用Al−Si系合金。
  2. 前記鋳造用Al−Si系合金は、連続鋳造用Al−Si系合金である請求項1に記載の鋳造用Al−Si系合金。
  3. 前記鋳造用Al−Si系合金は、さらに、Mnを0.1質量%〜0.3質量%含む請求項1または2に記載の鋳造用Al−Si系合金。
  4. 前記鋳造用Al−Si系合金は、さらに、Tiを0.01質量%〜0.2質量%含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋳造用Al−Si系合金。
  5. 前記鋳造用Al−Si系合金は、さらに、Bを0.002質量%〜0.04質量%含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋳造用Al−Si系合金。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋳造用Al−Si系合金の溶湯を鋳造加工することによって鋳塊を得ることを特徴とするAl−Si系合金鋳塊の製造方法。
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