JP6798602B2 - サンプル及びサンプルセット - Google Patents

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Description

本発明は、サンプル及びサンプルセットに関する。
造形物(立体物等とも言う。)を造形する技術が知られている。例えば、特許文献1,2は、造形物として、3次元状の広がりを有する画像である立体画像の形成方法を開示している。具体的に説明すると、特許文献1,2に開示された方法では、熱膨張性シートの裏面に光吸収特性に優れた材料でパターンを形成し、形成されたパターンに照射手段によって光を照射することで加熱する。これにより、熱膨張性シートにおけるパターンが形成された部分が膨張して盛り上がり、立体画像が形成される。
特開昭64−28660号公報 特開2001−150812号公報
ところで、現実の物、すなわち有体物は、汚れ、腐食、摩耗等によって時間の経過と共に劣化する。このような物がどのように劣化するかについて、分かり易く表現したい、との要望がある。
本発明は、以上のような課題を解決するためのものであり、対象物が劣化する様子分かり易く表現されたサンプル及びサンプルセットを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る第1の態様のサンプルは、表面に凹凸のある被模擬品における前記表面の劣化状態の経時的な変化を、模擬品により視覚的に擬似表現したサンプルであって、擬似的な新しさまたは古さを互いに異ならせた少なくとも二つのサンプル領域を有し、前記二つのサンプル領域は、当該サンプル領域における表面の凹凸が、所定の温度以上の熱が加えられることにより膨張する熱膨張層の膨張され度合いが領域的に異なっていることに伴った表面隆起により表現されており、前記二つのサンプル領域間における前記擬似的な新しさまたは古さの違いが、前記二つのサンプル領域間における前記熱膨張層の膨張され度合いの違いに基づいて表現されている、ことを特徴とする。
また、本発明に係る第2の態様のサンプルは、老化による肌表面の変化を、模擬品により視覚的に擬似表現したサンプルであって、擬似的な若さまたは老いを互いに異ならせた少なくとも二つのサンプル領域を有し、前記二つのサンプル領域は、当該サンプル領域における表面の凹凸が、所定の温度以上の熱が加えられることにより膨張する熱膨張層の膨張され度合いが領域的に異なっていることに伴った表面隆起により表現されており、前記二つのサンプル領域間における前記擬似的な若さまたは老いの違いが、前記二つのサンプル領域間における前記熱膨張層の膨張され度合いの違いに基づいて表現されている、ことを特徴とする。
また、本発明に係るサンプルセットは、表面に凹凸のある被模擬品における前記表面の劣化状態の経時的な変化を、模擬品により視覚的に擬似表現したサンプルセットであって、擬似的な新しさまたは古さを互いに異ならせた少なくとも二つのサンプルを有し、前記二つのサンプルは、当該サンプルにおける表面の凹凸が、所定の温度以上の熱が加えられることにより膨張する熱膨張層の膨張され度合いが領域的に異なっていることに伴った表面隆起により表現されており、
前記二つのサンプル間における前記擬似的な新しさまたは古さの違いが、前記二つのサンプル間における前記熱膨張層の膨張され度合いの違いに基づいて表現されている、ことを特徴とする。
本発明によれば、対象物が劣化する様子分かり易く表現されたサンプル及びサンプルセットを提供することができる。
本発明の実施形態1に係る造形物を造形するための熱膨張性シートの断面図である。 (a)、(b)は、それぞれ図1に示した熱膨張性シートの表面及び裏面を示す図である。 実施形態1に係る造形物の一例を示す図である。 実施形態1に係る造形システムの概略構成を示す図である。 実施形態1に係る端末装置の構成を示すブロック図である。 図3に示した造形物を造形するための第1の造形用画像の一例を示す図である。 図3に示した造形物に着色するための第1の着色用画像の一例を示す図である。 図3に示した造形物を造形するための第2の造形用画像の一例を示す図である。 図3に示した造形物に着色するための第2の着色用画像の一例を示す図である。 実施形態1に係る印刷装置の構成を示す斜視図である。 実施形態1に係る膨張装置の構成を示す断面図である。 実施形態1に係る膨張装置が膨張処理を実行する様子を示す図である。 実施形態1に係る膨張装置が冷却処理を実行する様子を示す図である。 実施形態1に係る端末装置によって実行される印刷データ生成処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態1に係る印刷装置及び膨張装置によって実行される造形処理の流れを示すフローチャートである。 (a)〜(e)は、図1に示した熱膨張性シートに造形物が造形される様子を段階的に示す図である。 本発明の実施形態2に係る造形物の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中同一又は相当する部分には同一符号を付す。
(実施形態1)
<熱膨張性シート100>
図1に、実施形態1に係る造形物を造形するための熱膨張性シート100の断面構成を示す。熱膨張性シート100は、予め選択された部分が加熱により膨張することによって造形物が造形される媒体である。造形物とは、立体的な形状を有する物体であって、2次元状のシートにおいて、シートのうちの一部分がシートに垂直な方向に膨張することによって造形される。造形物は、立体物又は立体画像とも言う。造形物の形状は、単純な形状、幾何学形状、文字等の形状一般を含む。
図1に示すように、熱膨張性シート100は、基材101と、熱膨張層102と、インク受容層103とを、この順に備えている。なお、図1は、造形物が造形される前、すなわちどの部分も膨張していない状態における熱膨張性シート100の断面を示している。
基材101は、熱膨張性シート100の元となるシート状の媒体である。基材101は、熱膨張層102とインク受容層103とを支持する支持体であって、熱膨張性シート100の強度を保持する役割を担う。基材101として、例えば、一般的な印刷用紙を用いることができる。或いは、基材101の材質は、合成紙、キャンバス地等の布、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のプラスチックフィルムであっても良く、特に限定されるものではない。
熱膨張層102は、基材101の上側に積層されており、規定の温度以上に加熱されることによって膨張する層である。熱膨張層102は、バインダと、バインダ内に分散配置された熱膨張剤と、を含む。バインダは、酢酸ビニル系ポリマー、アクリル系ポリマー等の熱可塑性樹脂である。熱膨張剤は、具体的には、プロパン、ブタン等の低沸点で気化する物質を、熱可塑性樹脂の外殻に内包した、粒径が約5〜50μmの熱膨張性のマイクロカプセル(マイクロパウダー)である。熱膨張剤は、例えば80℃から120℃程度の温度に加熱されると、内包している物質が気化し、その圧力によって発泡及び膨張する。このようにして、熱膨張層102は、吸収した熱量に応じて膨張する。熱膨張剤は、発泡剤とも呼ぶ。
インク受容層103は、熱膨張層102の上側に積層された、インクを吸収して受容する層である。インク受容層103は、インクジェット方式のプリンタに用いられる印刷用のインク、レーザー方式のプリンタに用いられる印刷用のトナー、ボールペン又は万年筆のインク、鉛筆の黒鉛等を受容する。インク受容層103は、これらを表面に定着させるための好適な材料によって形成される。インク受容層103の材料として、例えば、インクジェット用紙に用いられている汎用的な材料を用いることができる。
図2(a)及び(b)に、それぞれ熱膨張性シート100の表面及び裏面を示す。熱膨張性シート100の表面は、インクを受容する側の面であって、インク受容層103の表面に相当する。熱膨張性シート100の裏面は、熱膨張性シート100の基材101側の面であって、基材101の裏面に相当する。
図2(b)に示すように、熱膨張性シート100の裏面には、その縁部に沿って複数のバーコードBが付されている。バーコードBは、熱膨張性シート100を識別するための識別子であって、熱膨張性シート100が造形物を造形するための専用のシートであることを示す識別子である。バーコードBは、膨張装置50によって読み取られ、膨張装置50において熱膨張性シート100の使用の可否を判定するために用いられる。
実施形態1に係る造形システム1は、このような熱膨張性シート100に造形物を造形することができる。熱膨張性シート100の表面又は裏面のうちの膨張させたい部分には、カーボン分子が印刷される。カーボン分子は、黒色(カーボンブラック)又は他の色のインクに含まれ、電磁波を吸収して熱に変換する電磁波熱変換材料(発熱剤)の一種である。カーボン分子は、電磁波を吸収して熱振動することで熱を発生する。熱膨張性シート100において、カーボン分子が印刷された部分が加熱されると、その部分の熱膨張層102が膨張して隆起(バンプ)が形成される。このような熱膨張層102の隆起(バンプ)によって凸若しくは凹凸形状を造ることにより、熱膨張性シート100に造形物が造形される。
熱膨張性シート100における膨張させる箇所及び高さを組み合わせることにより、多彩な造形物を造形することができる。造形は、造型とも呼ぶ。また、造形(造型)によって視覚又は触覚を通じて美感又は質感を表現することを「加飾(造飾)」と呼ぶ。
図3に、熱膨張性シート100に造形された造形物10の例を示す。造形物10は、対象物がどのように劣化するかを擬似的に表現した模擬品(サンプル)である。対象物とは、造形物10がその立体形状を表現する対象となる有体物である。図3の例では、対象物は、建物の外壁材として用いられるレンガである。
対象物の劣化とは、汚れ、腐食、摩耗等によって、対象物の外観が経時的に変化する、すなわち古くなることを意味する。例えば、対象物は、その使用のされ方によって、太陽光、風雨、大気汚染等にさらされるため、時間の経過と共に徐々にその表面が変色したり亀裂、欠け等が生じたりする。造形物10は、このような対象物が劣化する様子を、熱膨張性シート100が膨張することによって形成された立体形状によって表現する。
具体的には図3に示すように、造形物10は、加熱により膨張する第1の熱膨張部21に造形された第1の造形部11と、加熱により膨張する第2の熱膨張部22に造形された第2の造形部12と、を備える。第1の熱膨張部21は、熱膨張性シート100の第1の部分であり、図3の例では左側の点線で囲った範囲に相当する。第2の熱膨張部22は、熱膨張性シート100の第2の部分であり、図3の例では右側の点線で囲った範囲に相当する。
第1の造形部11は、第1の熱膨張部21の表面の隆起によって、対象物の第1の状態における立体形状を表現している。対象物の第1の状態とは、対象物が劣化していない状態、言い換えると、対象物が製造された直後の新しい状態を意味する。また、第1の熱膨張部21の表面の隆起とは、第1の熱膨張部21における熱膨張層102が加熱されて膨張したことによって、第1の熱膨張部21の表面が盛り上がることである。第1の造形部11は、このような隆起を少なくとも1以上有し、このような隆起によって形成された凹凸形状によって、対象物であるレンガを構成する複数のブロックの、劣化していない状態における立体形状を表現している。
第2の造形部12は、第2の熱膨張部22の表面の隆起によって、対象物の第2の状態における立体形状を表現している。対象物の第2の状態とは、第1の状態よりも対象物が劣化した状態、言い換えると、対象物が製造されてから時間が経過して古くなった状態を意味する。また、第2の熱膨張部22の表面の隆起とは、第2の熱膨張部22における熱膨張層102が加熱されて膨張したことによって、第2の熱膨張部22の表面が盛り上がることである。第2の造形部12は、このような隆起を少なくとも1以上有し、このような隆起によって形成された凹凸形状によって、対象物であるレンガを構成する複数のブロックの、劣化した状態における立体形状を表現している。
対象物の新旧(非劣化及び劣化)の状態における立体形状の違いを表現するため、第2の熱膨張部22の表面の隆起の度合いは、第1の熱膨張部21の表面の隆起の度合いと少なくとも一部において異なっている。具体的には図3に示すように、第2の造形部12は、対象物が劣化した状態の一例として、レンガの表面に亀裂、欠け、傷、擦れ等が生じた状態を表現している。これに対して、第1の造形部11は、対象物が劣化していない状態の一例として、レンガの表面に亀裂等が生じておらず滑らかな状態を表現している。このように、第2の造形部12は、第1の造形部11に対して、亀裂等が生じている部分において表面の隆起の度合いを変えることにより、対象物が劣化した状態における立体形状を表現している。
また、第1の造形部11は、劣化していない状態における対象物を模した色彩を有し、第2の造形部12は、劣化した状態における対象物を模した色彩を有する。具体的に説明すると、第1の造形部11は、その表面が、劣化していない状態におけるレンガの色彩を模した色彩に着色されている。これに対して、第2の造形部12の色彩は、対象物の新旧の状態における外観の違いを表現するため、第1の造形部11の色彩と少なくとも一部において異なっている。具体的に図3の例では、第2の造形部12は、対象物が劣化した状態の一例として、レンガの表面が汚れ、腐食等によって変色した状態を表現している。
このように、実施形態1に係る造形物10は、2つの熱膨張部21,22の表面の隆起と色彩とによって、新旧の状態における対象物の外観を模擬的に表現している。造形物10は、隆起によって対象物の立体形状を模擬することに加えて、対象物を模した色彩が着色されていることで、より精度良く対象物を模擬することができる。また、新旧の状態を表現した2つの造形部11,12が熱膨張性シート100上に並べて配置されているため、ユーザは、対象物がどのように劣化するかを、2つの造形部11,12を比較しながら容易に把握することができる。
<造形システム1>
次に、図4を参照して、熱膨張性シート100に造形物10を造形する造形システム1について説明する。図4に示すように、造形システム1は、端末装置30と、印刷装置40と、膨張装置50と、を備える。
端末装置30は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等の情報処理装置であって、印刷装置40及び膨張装置50を制御する制御ユニットである。図5に示すように、端末装置30は、制御部31と、記憶部32と、操作部33と、表示部34と、記録媒体駆動部35と、通信部36と、を備える。これら各部は、信号を伝達するためのバスによって接続されている。
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。CPUは、例えばマイクロプロセッサ等であって、様々な処理や演算を実行する中央演算処理部である。制御部31において、CPUが、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMをワークメモリとして用いながら、端末装置30全体の動作を制御する。
記憶部32は、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性メモリである。記憶部32は、制御部31によって実行されるプログラム及びデータを記憶している。また、図5に示すように、記憶部32は、熱膨張性シート100に造形物10を造形するための造形データ321と、対象物の劣化をシミュレーションするためのシミュレーションデータ322と、を記憶している。
具体的に説明すると、記憶部32は、造形データ321として、印刷装置40によって熱膨張性シート100に印刷される画像のデータを記憶している。熱膨張性シート100に印刷される画像は、立体形状を造形するための画像(造形用画像)のデータと、造形された立体形状に着色するための画像(着色用画像)のデータと、を含む。
図6に、図3に示した造形物10を造形するための第1の造形用画像211を示す。第1の造形用画像211は、造形物10のうちの第1の造形部11、すなわち対象物の劣化していない状態における立体形状を造形するための画像である。具体的に説明すると、第1の造形部11は、熱膨張性シート100の第1の熱膨張部21が発泡及び膨張することによって造形される。第1の造形用画像211は、このようにして第1の造形部11を造形するために、熱膨張性シート100を膨張させる部分及び膨張の高さを、白黒の濃淡によって示した濃淡画像である。
具体的に説明すると、第1の造形部11の立体形状は、レンガを構成する複数のブロックに相当する部分が盛り上がることによって表現される。そのため、図6に示すように、第1の造形用画像211では、複数のブロックに相当する部分の濃度が、他の部分よりも濃くなっている。このように、第1の造形用画像211では、より大きく膨張させる部分により濃い濃度で濃淡パターンが描かれている。
なお、記憶部32は、第1の造形用画像211のデータとして、熱膨張性シート100の表面に印刷される画像データ(表面発泡データ)と、熱膨張性シート100の裏面に印刷される画像データ(裏面発泡データ)と、を記憶している。図6は、第1の造形用画像211の一例として、熱膨張性シート100の表面に印刷される画像を示している。
図7に、図3に示した造形物10に着色するための第1の着色用画像221を示す。第1の着色用画像221は、造形物10のうちの第1の造形部11、すなわち対象物の劣化していない状態における立体形状に着色すべき色彩を示す画像である。具体的には図7に示すように、レンガを構成する複数のブロックに相当する部分の色彩が、劣化していない状態におけるレンガの色彩を模した色彩に着色されている。第1の着色用画像221は、カラーインクのうちの少なくとも1色のインクで、熱膨張性シート100の表面に印刷される。
なお、記憶部32は、図6及び図7に示した造形物10を造形するための第1の造形用画像211及び第1の着色用画像221だけではなく、様々な対象物を模した造形物を造形するための造形用画像及び着色用画像のデータを記憶している。このような造形用画像及び着色用画像のデータは、記録媒体駆動部35によって記録媒体から読み取られて、又は、通信部36を介して外部の機器から取得されて、予め記憶部32に記憶される。
図5に戻って、操作部33は、キーボード、マウス、ボタン、タッチパッド、タッチパネル等の入力装置を備えており、ユーザから操作を受け付ける。ユーザは、操作部33を操作することによって、造形データ321を編集する操作を入力し、また造形物10の造形処理を開始する指令を入力することができる。
表示部34は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置と、表示装置に画像を表示させる表示駆動回路と、を備える。例えば、表示部34は、第1の造形用画像211、第1の着色用画像221等の造形データ321を表示する。また、表示部34は、必要に応じて、印刷装置40又は膨張装置50の現在の状態を示す情報を表示する。
記録媒体駆動部35は、可搬型の記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出す。可搬型の記録媒体とは、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、USB(Universal Serial Bus)規格のコネクタが備えられているフラッシュメモリ等である。例えば、記録媒体駆動部35は、造形データ321を可搬型の記録媒体から読み出して取得する。
通信部36は、印刷装置40及び膨張装置50を含む外部の装置と通信するためのインタフェースを備える。端末装置30は、フレキシブルケーブル、有線LAN(Local Area Network)等の有線、又は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)等の無線を介して印刷装置40及び膨張装置50と接続されている。通信部36は、制御部31の制御の下、これらのうちの少なくとも1つの通信規格に従って、印刷装置40、膨張装置50、及びその他の外部の機器と通信する。
図5に示すように、制御部31は、機能的に、受付手段として機能する受付部311と、生成手段として機能する生成部312と、出力手段として機能する出力部313と、を備える。制御部31において、CPUは、ROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して、そのプログラムを実行して制御することにより、これら各部として機能する。
受付部311は、対象物の周囲の環境と、対象物がその環境に置かれてからの経過時間と、の指定をユーザから受け付ける。対象物の周囲の環境とは、対象物が置かれた場所、季節、天候等である。例えば対象物が図3に示した外壁材(レンガ)である場合、対象物の周囲の環境とは、その外壁材を使用して建てられた建物の場所、及びその周囲の状況である。
具体的に説明すると、対象物が置かれた場所が高速道路の近くである場合には、高速道路の近くでない場合に比べて空気が汚染され易いため、対象物はより汚れ易くなる。或いは、風雨の量及び季節によっても、対象物の劣化の仕方は変化する。また、対象物がその環境に置かれてからの経過時間が長いほど、対象物が劣化する度合いは大きくなる。このように、環境及び経過時間は、対象物の劣化の仕方に影響を与える因子(パラメータ)である。例えば対象物が東京都内の特定の場所に10年置かれた場合における対象物の劣化状態を評価する場合、ユーザは、操作部33を操作して、対象物の周囲の環境としてその場所を指定し、経過時間として10年を指定する。受付部311は、このようにしてユーザから入力された環境及び経過時間の指定を受け付ける。受付部311は、制御部31が操作部33と協働することによって実現される。
生成部312は、記憶部32に記憶された造形データ321から、印刷装置40において印刷する印刷データを生成する。具体的に説明すると、生成部312は、受付部311によって受け付けられた環境及び経過時間の指定に応じて、対象物の劣化状態をシミュレーションによって見積もる。
生成部312は、対象物の劣化状態を見積もるために、記憶部32に記憶されたシミュレーションデータ322を参照する。シミュレーションデータ322は、対象物が設置される可能性のある様々な場所について、季節ごとの気温、湿度、天候、風向き、大気汚染度等の統計データを含んでいる。生成部312は、このような統計データを参照して、指定された環境で指定された経過時間が経過した場合における対象物の立体形状及び色彩がどのように劣化するかを見積もる。生成部312は、このようなシミュレーションデータ322から対象物の劣化状態を見積もるために、公知の劣化シミュレーションのアルゴリズムを用いることができる。生成部312は、制御部31が記憶部32と協働することによって実現される。
シミュレーションにより対象物の劣化状態を見積もると、生成部312は、見積もりの結果に基づいて、対象物の劣化していない状態における立体形状を造形するための第1の造形用画像211から、対象物の劣化した状態における立体形状を造形するための第2の造形用画像212を生成する。
図8に、第2の造形用画像212の例を示す。第2の造形用画像212は、図3に示した造形物10のうちの第2の造形部12を造形するための画像である。第2の造形用画像212は、図6に示した第1の造形用画像211と同様に、熱膨張性シート100を膨張させる部分及び膨張の高さを、白黒の濃淡によって示している。
図8に示すように、第2の造形用画像212では、第1の造形用画像211と同様に、複数のブロックに相当する部分の濃度が、他の部分よりも濃くなっている。但し、第2の造形用画像212では、第1の造形用画像211とは異なり、複数のブロックに相当する部分のうちの、亀裂、欠け等に相当する部分の濃度が薄くなっている。このように画像の濃度を変えることにより、劣化による亀裂、欠け等が、熱膨張性シート100の隆起の度合いの違いによって表現される。
生成部312は、このような劣化による亀裂、欠け等の大きさを、シミュレーションデータ322に基づいて見積もる。また、生成部312は、亀裂、欠け等が生じる位置を、これらが生じやすい部分を対象物の形状や設置のされ方から見積もることによって決定しても良いし、乱数を用いてランダムで決定しても良い。
なお、生成部312は、このような第1の造形用画像211から第2の造形用画像212を生成する処理を、熱膨張性シート100の表面に印刷される画像のデータ(表面発泡データ)と、熱膨張性シート100の裏面に印刷される画像のデータ(裏面発泡データ)と、のそれぞれについて実行する。
更に、シミュレーションにより対象物の劣化状態を見積もった結果に基づいて、生成部312は、対象物の劣化していない状態における立体形状に着色するための第1の着色用画像221から、対象物の劣化した状態における立体形状に着色するための第2の着色用画像222を生成する。
図9に、第2の着色用画像222を示す。第2の着色用画像222は、図3に示した造形物10のうちの第2の造形部12に着色するための画像である。第2の着色用画像222は、図7に示した第1の着色用画像221と同様に、カラーインクのうちの少なくとも1色のインクで、熱膨張性シート100の表面に印刷される画像である。
図9に示すように、第2の着色用画像222では、第1の着色用画像221と同様に、レンガを構成する複数のブロックに相当する部分の色彩が、レンガの色彩を模した色彩に着色されている。但し、第2の着色用画像222では、第1の着色用画像221とは異なり、複数のブロックに相当する部分のうちの、汚れ、腐食等に相当する部分の色彩が黒くなっている。このように画像の色彩を変えることにより、劣化による汚れ、腐食等が表現される。
生成部312は、このような劣化による汚れ、腐食等の大きさを、シミュレーションデータ322に基づいて見積もる。また、生成部312は、汚れ、腐食等が生じる位置を、これらが生じやすい部分を対象物の形状や設置のされ方から見積もることによって決定しても良いし、乱数を用いてランダムで決定しても良い。
このようにして第2の造形用画像212と第2の着色用画像222とを生成すると、生成部312は、造形用画像211,212のデータと着色用画像221,222のデータとを、印刷装置40で印刷する印刷データとして生成する。
図5に戻って、出力部313は、生成部312によって生成された印刷データを、印刷装置40に出力する。具体的に説明すると、出力部313は、生成部312によって印刷データが生成されると、通信部36を介して印刷装置40と通信し、生成された印刷データを印刷装置40に出力する。このとき、出力部313は、印刷データと共に、この印刷データに従って印刷を実行する指令と印刷時の設定情報とを含む印刷制御データを印刷装置40に出力する。出力部313は、制御部31が通信部36と協働することによって実現される。
<印刷装置40>
図4に示した造形システム1の説明に戻る。印刷装置40は、熱膨張性シート100の表面又は裏面に画像を印刷する印刷ユニットである。印刷装置40は、インクを微滴化し、被印刷媒体に対して直接に吹き付ける方式で画像を印刷するインクジェットプリンタである。印刷装置40は、印刷手段として機能する。
図10に、印刷装置40の詳細な構成を示す。図10に示すように、印刷装置40は、熱膨張性シート100が搬送される方向である副走査方向D1(Y方向)に直交する主走査方向D2(X方向)に往復移動可能なキャリッジ41を備える。
キャリッジ41には、印刷を実行する印刷ヘッド42と、インクを収容したインクカートリッジ43(43k,43c,43m,43y)が取り付けられている。インクカートリッジ43k,43c,43m,43yには、それぞれ、ブラックK、シアンC、マゼンタM、及びイエローYの色インクが収容されている。各色のインクは、印刷ヘッド42の対応するノズルから吐出される。
キャリッジ41は、ガイドレール44に滑動自在に支持されており、駆動ベルト45に狭持されている。キャリッジ41は、モータ45mの回転により駆動ベルト45が駆動することで、印刷ヘッド42及びインクカートリッジ43と共に、主走査方向D2に移動する。
フレーム47の下部には、印刷ヘッド42と対向する位置に、プラテン48が設けられている。プラテン48は、主走査方向D2に延在しており、熱膨張性シート100の搬送路の一部を構成している。熱膨張性シート100の搬送路には、給紙ローラ対49a(下のローラは不図示)と排紙ローラ対49b(下のローラは不図示)とが設けられている。給紙ローラ対49aと排紙ローラ対49bとは、プラテン48に支持された熱膨張性シート100を副走査方向D1に搬送する。
印刷装置40は、いずれも図示しないが、CPU等の制御部と、ROM、RAM、不揮発性メモリ等の記憶部と、を備えている。制御部において、CPUがRAMをワークメモリとして用いながらROMに格納された制御プログラムを実行することにより、印刷装置40の動作を制御する。また、印刷装置40は、フレキシブル通信ケーブル46を介して端末装置30と接続されている。印刷装置40は、制御部の制御のもと、フレキシブル通信ケーブル46を介して端末装置30から印刷データ及び印刷制御データを取得する。そして、印刷装置40は、取得した印刷データ及び印刷制御データに従って、熱膨張性シート100に印刷を実行する。
第1に、印刷装置40は、熱膨張性シート100の第1の熱膨張部21に、第1の造形用画像211を、カーボンブラックを含む黒色インクで印刷する。また、印刷装置40は、熱膨張性シート100の第2の熱膨張部22に、第2の造形用画像212を、カーボンブラックを含む黒色インクで印刷する。カーボンブラックを含む黒色インクは、電磁波を熱に変換する材料の一例である。
第2に、印刷装置40は、熱膨張性シート100の第1の熱膨張部21に、第1の着色用画像221を、カラーインクのうちの少なくとも1色のインクで印刷する。また、印刷装置40は、熱膨張性シート100の第2の熱膨張部22に、第2の着色用画像222を、カラーインクのうちの少なくとも1色のインクで印刷する。カラーインクとは、具体的には、シアンC、マゼンタM、イエローY及びカーボンブラックを含まないブラックKのインクである。
印刷装置40は、給紙ローラ対49a及び排紙ローラ対49bを制御して、熱膨張性シート100を搬送させる。また、印刷装置40は、モータ45mを回転させてキャリッジ41を移動させ、印刷ヘッド42を主走査方向D2の適切な位置に搬送させる。そして、印刷装置40は、印刷ヘッド42に、搬送される熱膨張性シート100に向けてインクを噴射させて、造形用画像211,212と着色用画像221,222とを印刷する。
<膨張装置50>
膨張装置50は、熱膨張性シート100の表面又は裏面に電磁波を照射し、熱膨張性シート100の表面又は裏面に印刷された濃淡画像を発熱させて、熱膨張性シート100のうちの濃淡画像が印刷された部分を膨張させる膨張ユニットである。膨張装置50は、膨張手段として機能する。
図11に、膨張装置50の構成を模式的に示す。図11において、X方向は、膨張装置50の幅方向に相当し、Y方向は、膨張装置50の長手方向に相当し、Z方向は、鉛直方向に相当する。X方向とY方向とZ方向とは、互いに直交する。図11に示すように、膨張装置50は、筐体51と、挿入部52と、トレイ53と、換気部54と、搬送モータ55と、搬送レール56と、照射部60と、電源部69と、制御部70と、を備える。
挿入部52は、開閉式の扉を備えており、熱膨張性シート100を筐体51の内部に挿入するための機構である。ユーザは、挿入部52を開き、トレイ53をスライドさせて手前側に引き出した後、熱膨張性シート100をその表面又は裏面を上に向けてトレイ53の上に設置する。このとき、ユーザは、熱膨張性シート100のバーコードBが付された端部が奥側に位置するように、熱膨張性シート100をトレイ53の上に設置する。そして、熱膨張性シート100が設置されたトレイ53を筐体51の内部に戻し、挿入部52を閉めると、熱膨張性シート100は、照射部60によって電磁波を照射可能な位置に配置される。
トレイ53は、熱膨張性シート100を筐体51内の適正な位置に設置するための機構である。トレイ53は、設置された熱膨張性シート100の4辺の縁部を上から押さえることで固定する。トレイ53は、熱膨張性シート100を検出するセンサを備えており、熱膨張性シート100が設置されたか否か、及び、熱膨張性シート100が設置された場合にその熱膨張性シート100のサイズを検出する。
換気部54は、膨張装置50における奥側の端部に設けられており、膨張装置50の内部を換気する。換気部54は、少なくとも1つのファンを備えており、筐体51の内部の空気を外部に排出することで筐体51の内部を換気する。
搬送モータ55は、例えばパルス電力に同期して動作するステッピングモータであって、照射部60を熱膨張性シート100の表面又は裏面に沿って移動させる。筐体51の内部には、Y方向に、すなわち熱膨張性シート100の表面又は裏面に平行な方向に搬送レール56が設けられている。照射部60は、搬送レール56に沿って移動することができるように搬送レール56に取り付けられている。照射部60は、搬送モータ55の回転に伴う駆動力を動力源として、熱膨張性シート100との距離を一定に保ちながら、搬送レール56に沿って往復移動する。搬送モータ55は、熱膨張性シート100と照射部60とを相対的に移動させる移動手段として機能する。
具体的に説明すると、照射部60は、熱膨張性シート100の奥側の端部に対応する第1の位置P1と、熱膨張性シート100の手前側の端部に対応する第2の位置P2と、の間で往復移動する。搬送モータ55は、照射部60を、第1の位置P1から第2の位置P2に向かう第1の方向、及び、第2の位置P2から第1の位置P1に向かう第2の方向に移動させる。第1の位置P1は、照射部60の初期位置(ホームポジション)である。照射部60は、膨張装置50が動作していない時には第1の位置P1で待機している。
照射部60は、電磁波を照射する機構であって、トレイ53の上に配置された熱膨張性シート100に電磁波を照射する。図11に示すように、照射部60は、ランプヒータ61と、反射板62と、温度センサ63と、冷却部64と、バーコードリーダ65と、を備える。
ランプヒータ61は、例えば照射源としてハロゲンランプを備えており、電磁波として、熱膨張性シート100に対して、近赤外領域(波長750〜1400nm)、可視光領域(波長380〜750nm)、又は、中赤外領域(波長1400〜4000nm)の光を照射する。照射部60及びランプヒータ61は、このような波長域の光を照射することにより、熱膨張性シート100にエネルギーを照射する照射手段として機能する。
カーボンブラックを含む黒色インクによる濃淡画像が印刷された熱膨張性シート100に光(エネルギー)を照射すると、濃淡画像が印刷された部分では、濃淡画像が印刷されていない部分に比べて、より効率良く光が熱に変換される。そのため、熱膨張性シート100のうちの濃淡画像が印刷された部分が主に加熱され、熱膨張剤が膨張を開始する温度に達すると膨張する。照射部60は、搬送モータ55によって搬送されながら光(エネルギー)を照射することにより、熱膨張性シート100を熱膨張させる熱膨張手段として機能する。なお、ランプヒータ61によって照射される光は、電磁波であれば良く、上記波長域の光であることに限らない。
反射板62は、ランプヒータ61の上側を覆うように配置されており、ランプヒータ61から照射された光を熱膨張性シート100に向けて反射する機構である。温度センサ63は、熱電対、サーミスタ等であって、反射板62の温度を測定する測定手段として機能する。冷却部64は、少なくとも1つのファンを備えており、照射部60に送風することによって、照射部60及び筐体51の内部を冷却する。
バーコードリーダ65は、熱膨張性シート100の裏面に設けられているバーコードBを読み取る読取手段として機能する。バーコードリーダ65は、光源及び光学センサを備え、周知の方式でバーコードBを光学的に読み取る。バーコードリーダ65は、照射部60に取り付けられており、照射部60と共に移動する。
電源部69は、電源IC(Integrated Circuit)等を備え、膨張装置50内の各部に必要な電源を作り出して供給する。例えば、換気部54、搬送モータ55、ランプヒータ61及び冷却部64は、電源部69から電力を得て動作する。
制御部70は、筐体51の下部に配置された基板上に設けられている。制御部70は、CPU、ROM及びRAMを備えており、命令やデータを転送するための伝送経路であるシステムバスを介して膨張装置50の各部と接続されている。制御部70において、CPUが、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出して、RAMをワークメモリとして用いながら、膨張装置50全体の動作を制御する。
また、制御部70は、いずれも図示しないが、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性メモリと、RTC(Real Time Clock)等の計時デバイスと、端末装置30と通信するための通信インタフェースと、を備える。
<膨張処理>
制御部70は、印刷装置40によって第1の造形用画像211と第2の造形用画像212とが印刷された熱膨張性シート100に電磁波を照射する。これにより、制御部70は、第1の熱膨張部21を膨張させて第1の造形部11を造形し、第2の熱膨張部22を膨張させて第2の造形部12を造形する。
図12に、膨張装置50が膨張処理を実行する様子を示す。膨張処理において、制御部70は、照射部60に電源電圧を供給してランプヒータ61を点灯させる。そして、制御部70は、照射部60に電磁波を照射させている状態で搬送モータ55を駆動させる。これにより、制御部70は、照射部60を、第1の位置P1から第2の位置P2に向けて、すなわち第1の方向に、規定の距離だけ移動させる。このように、制御部70は、照射部60を熱膨張性シート100の端から端まで移動させることで、熱膨張性シート100の表面又は裏面の全体に亘って電磁波を照射させる。
規定の距離は、熱膨張性シート100のサイズに応じて異なる。例えば、熱膨張性シート100のサイズがA3サイズであれば、規定の距離は、第1の位置P1から第2の位置P2までの距離である。或いは、熱膨張性シート100のサイズがA4サイズであれば、規定の距離は、第1の位置P1から第2の位置P2までの半分の距離である。
照射部60によって電磁波が照射されると、熱膨張性シート100のうちのカーボンブラックを含む濃淡画像(第1の造形用画像211及び第2の造形用画像212)が印刷された部分(第1の熱膨張部21及び第2の熱膨張部22)は発熱し、規定の温度にまで加熱されると膨張する。
規定の温度は、熱膨張層102に含まれる熱膨張剤が膨張を開始する温度であって、例えば80℃から120℃程度の温度である。制御部70は、所定の強度で電磁波を照射している照射部60を所定の速度で移動させることによって、熱膨張性シート100のうちの濃淡画像が印刷された部分を規定の温度以上に加熱する。所定の強度及び所定の速度は、熱膨張性シート100を規定の温度以上に加熱できるように予め設定されている。
このように、制御部70は、搬送モータ55によって照射部60を第1の方向に移動させながら、照射部60に電磁波を照射させることによって、熱膨張性シート100を膨張させる。熱膨張性シート100のうちの濃淡画像が印刷された部分は、濃淡画像における黒色の濃さに応じた高さに膨張する。これによって、熱膨張性シート100に第1の造形部11と第2の造形部12とが造形される。その結果、図3に示した造形物10を得ることができる。
このような膨張処理によって、照射部60は第2の位置P2に到達する。膨張処理を実行した後、制御部70は、図13に示すように、照射部60を第2の位置P2から第1の位置P1に向けて移動させながら、すなわち照射部60を初期位置に戻しながら、必要に応じて、換気部54による換気処理、又は冷却部64による冷却処理を実行する。具体的に説明すると、制御部70は、換気部54を駆動させて、膨張処理によって加熱された筐体51内の空気が外部に排出する。また、制御部70は、冷却部64を駆動させて、膨張処理によって加熱された照射部60及び熱膨張性シート100を冷却する。
<造形システム1の処理フロー>
以上のように構成された造形システム1において実行される処理の流れについて、フローチャートを参照して説明する。
まず、図14を参照して、端末装置30において実行される印刷データ生成処理の流れについて説明する。図14に示す印刷データ生成処理において、制御部31は、造形システム1が造形によって表現すべき対象物の指定を受け付ける(ステップS1)。ユーザは、操作部33を操作して、造形システム1が造形によって表現可能な複数の対象物のうちから、所望の対象物を指定することができる。例えば、図3に示した外壁材を模した造形物10を造形することを望む場合、ユーザは、対象物として外壁材を指定する。制御部31は、このようにしてユーザから操作部33を介して入力された指定を受け付ける。
対象物の指定を受け付けると、制御部31は、指定した対象物の立体形状として、劣化状態の立体形状を造形するか否かを判定する(ステップS2)。具体的に説明すると、ユーザは、造形を開始する際に、対象物の劣化していない状態の立体形状(例えば図3における第1の造形部11)だけでなく、対象物の劣化した状態の立体形状(例えば図3における第2の造形部12)を造形するか否かを指定することができる。
劣化状態の立体形状を造形することが指定された場合(ステップS2;YES)、制御部31は、環境及び経過時間の指定を受け付ける(ステップS3)。具体的に説明すると、ユーザは、対象物の劣化の仕方に影響を与える因子として、対象物の周囲の環境と、対象物がその環境に置かれてからの経過時間と、を指定する。制御部31は、このようにしてユーザから操作部33を介して入力された環境及び経過時間の指定を受け付ける。ステップS1〜S3において、制御部31は、受付部311として機能する。
環境及び経過時間の指定を受け付けると、制御部31は、対象物の劣化状態をシミュレーションによって見積もる(ステップS4)。具体的に説明すると、制御部31は、記憶部32に記憶されたシミュレーションデータ322に基づいて、指定された環境で指定された経過時間が経過した場合に、指定された対象物の立体形状及び色彩がどのように劣化するかを見積もる。
対象物の劣化状態を見積もると、制御部31は、シミュレーションの結果に基づいて、印刷データを生成する(ステップS5)。具体的に説明すると、制御部31は、図6に示した第1の造形部11を造形するための第1の造形用画像211から、図8に示した第2の造形部12を造形するための第2の造形用画像212を生成する。更に、制御部31は、図7に示した第1の造形部11に着色するための第1の着色用画像221から、図9に示した第2の造形部12を着色するための第2の着色用画像222を生成する。そして、制御部31は、造形用画像211,212のデータと着色用画像221,222のデータとを、印刷装置40で印刷する印刷データとして生成する。ステップS4,S5において、制御部31は、生成部312として機能する。
印刷データを生成すると、制御部31は、生成した印刷データを印刷装置40に出力する(ステップS6)。具体的に説明すると、制御部31は、通信部36を介して印刷装置40と通信し、生成した印刷データを、印刷制御データと共に印刷装置40に出力する。ステップS6において、制御部31は、出力部313として機能する。
これに対して、ステップS2において劣化状態の立体形状を造形することが指定されなかった場合(ステップS2;NO)、制御部31は、対象物が劣化した状態における印刷データを生成する必要が無いため、ステップS3〜S5の処理をスキップする。この場合、ステップS6において、制御部31は、記憶部32に造形データ321として予め記憶された第1の造形用画像211及び第1の着色用画像221のデータを、印刷データとして印刷装置40に出力する。以上によって、図14に示した印刷データ生成処理は終了する。
次に、図15に示すフローチャート及び図16(a)〜(e)に示す熱膨張性シート100の断面図を参照して、印刷装置40及び膨張装置50において実行される造形処理の流れについて説明する。
第1に、ユーザは、造形物が造形される前の熱膨張性シート100を準備する。そして、ユーザは、熱膨張性シート100を、その表面を上側に向けて印刷装置40に挿入する。印刷装置40は、挿入された熱膨張性シート100の表面に変換層104を印刷する(ステップS11)。変換層104は、電磁波を熱に変換する材料、具体的にはカーボンブラックを含む黒色インクで形成された層である。印刷装置40は、端末装置30から出力された印刷データのうちの、熱膨張性シート100の表面に印刷すべき造形用画像211,212のデータ(表面発泡データ)に従って、熱膨張性シート100の表面に、カーボンブラックを含む黒色インクを吐出する。その結果、図16(a)に示すように、インク受容層103上に変換層104が形成される。
第2に、ユーザは、変換層104が印刷された熱膨張性シート100を、その表面を上側に向けて膨張装置50に挿入する。膨張装置50は、挿入された熱膨張性シート100の表面に照射部60によって電磁波を照射する(ステップS12)。熱膨張性シート100の表面に印刷された変換層104は、照射された電磁波を吸収することによって発熱する。その結果、図16(b)に示すように、熱膨張性シート100のうちの変換層104が印刷された部分が盛り上がって膨張する。
第3に、ユーザは、表面が加熱されて膨張した熱膨張性シート100を、その表面を上側に向けて印刷装置40に挿入する。印刷装置40は、挿入された熱膨張性シート100の表面にカラーインク層105を印刷する(ステップS13)。具体的に説明すると、印刷装置40は、端末装置30から出力された印刷データのうちの着色用画像221,222のデータに従って、熱膨張性シート100の表面に、シアンC、マゼンタM、イエローYのうちの少なくとも1色のインクを吐出する。その結果、図16(c)に示すように、インク受容層103及び変換層104の上にカラーインク層105が形成される。
なお、印刷装置40は、カラーインク層105において黒又はグレーの色の画像を印刷する場合には、シアンC、マゼンタM及びイエローYの3色のインクを混色して形成するか、或いはカーボンブラックを含まない黒色のインクを更に使用することによって形成する。これによって、カラーインク層105が形成された部分が膨張装置50において加熱されることを回避する。
第4に、ユーザは、カラーインク層105が印刷された熱膨張性シート100を裏返して、その裏面を上側に向けて膨張装置50に挿入する。膨張装置50は、挿入された熱膨張性シート100の裏面に照射部60によって電磁波を照射し、熱膨張性シート100を裏面から加熱する。これにより、膨張装置50は、カラーインク層105中に含まれる溶媒を揮発させて、カラーインク層105を乾燥させる(ステップS14)。カラーインク層105を乾燥させることによって、後の工程で熱膨張性シート100を膨張させ易くする。
第5に、ユーザは、カラーインク層105が印刷された熱膨張性シート100を、その裏面を上側に向けて印刷装置40に挿入する。印刷装置40は、挿入された熱膨張性シート100の裏面に変換層106を印刷する(ステップS15)。変換層106は、熱膨張性シート100の表面に印刷された変換層104と同様に、電磁波を熱に変換する材料、具体的にはカーボンブラックを含む黒色インクで形成された層である。印刷装置40は、端末装置30から出力された印刷データのうちの、熱膨張性シート100の裏面に印刷すべき造形用画像211,212のデータ(裏面発泡データ)に従って、熱膨張性シート100の裏面に、カーボンブラックを含む黒色インクを吐出する。その結果、図16(d)に示すように、基材101の裏面に変換層106が形成される。
第6に、ユーザは、変換層106が印刷された熱膨張性シート100を、その裏面を上側に向けて膨張装置50に挿入する。膨張装置50は、挿入された熱膨張性シート100の裏面に、照射部60によって電磁波を照射する(ステップS16)。熱膨張性シート100の裏面に印刷された変換層106は、照射された電磁波を吸収することによって発熱する。その結果、図16(e)に示すように、熱膨張性シート100のうちの変換層106が印刷された部分が盛り上がって膨張する。
なお、図16(a)〜(e)では、理解を容易にするため、変換層104及びカラーインク層105は、インク受容層103の上に形成されているように示されている。しかしながら、より正確には、カラーインク及び黒色インクは、インク受容層103の内部に吸収されるため、インク受容層103の中に形成される。
以上のように、熱膨張性シート100のうちの変換層104,106が形成された部分が膨張することによって、熱膨張性シート100にカラーの造形物が造形される。変換層104,106は、その濃度が濃い部分ほど大きく加熱されるため、より大きく膨張する。そのため、目標となる高さに応じて変換層104,106の濃淡を調整することで、様々な形状の造形物を得ることができる。
なお、熱膨張性シート100を表面から加熱する処理と裏面から加熱する処理とのうちのどちらか一方を省略しても良い。例えば、熱膨張性シート100の表面のみを加熱して膨張させる場合には、図15におけるステップS15,S16は省略される。これに対して、熱膨張性シート100の裏面のみを加熱して膨張させる場合には、図15におけるステップS11,S12は省略される。また、ステップS13におけるカラー画像の印刷は、ステップS16における熱膨張性シート100を裏面から加熱する処理の後で実行されても良い。
また、モノクロの立体画像を形成する場合には、印刷装置40は、ステップS13において、カラー画像の代わりにモノクロ画像を印刷しても良い。この場合、インク受容層103及び変換層104の上には、カラーインク層105の代わりに黒インクによる層が形成される。
以上説明したように、実施形態1に係る造形システム1は、対象物の劣化状態を見積もり、対象物の非劣化状態と劣化状態とにそれぞれ対応する2つの造形用画像211,212を熱膨張性シート100に印刷して、2つの造形用画像211,212に従って熱膨張性シート100を膨張させる。これにより、造形システム1は、非劣化状態と劣化状態とのそれぞれにおける対象物の外観を模擬的に表現した2つの造形部11,12を造形する。このように、実施形態1に係る造形システム1は、立体形状を造形することにより、対象物が劣化する様子を、例えばコンピュータの内部のみでシミュレーションした場合に比べて、より実物に近い態様で分かり易く表現することができる。
また、実施形態1に係る造形システム1は、ユーザから受け付けた環境及び経過時間の指定に応じて、対象物の劣化状態を見積もって造形部11,12を造形する。そのため、ユーザは、対象物が劣化する様子を、様々に条件を変えて見積もることができる。
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態2において、実施形態1と同様の構成については説明を省略する。
上記実施形態1に係る造形物10では、1つの熱膨張性シート100のうちの異なる部分である第1の熱膨張部21と第2の熱膨張部22とに、それぞれ第1の造形部11と第2の造形部12とが造形されていた。これに対して、実施形態2に係る造形物20では、異なる2つの熱膨張性シート100a,100bに、それぞれ第1の造形部11と第2の造形部12とが造形される。
図17に、実施形態2に係る造形物20を示す。図17に示すように、造形物20は、第1の熱膨張性シート100aの少なくとも一部である第1の熱膨張部21に造形された第1の造形部11と、第2の熱膨張性シート100bの少なくとも一部である第2の熱膨張部22に造形された第2の造形部12と、を備える。熱膨張性シート100aと熱膨張性シート100bとは、それぞれ実施形態1における熱膨張性シート100と同様の構成を備えたシートである。
第1の造形部11と第2の造形部12とがそれぞれ別の熱膨張性シート100a,100bに造形されている以外の造形物20の構成は、実施形態1において説明した造形物10と同様である。具体的に説明すると、対象物の新旧の状態における立体形状の違いを表現するため、第2の熱膨張部22の表面の隆起の度合いは、第1の熱膨張部21の表面の隆起の度合いと少なくとも一部において異なっている。対象物の新旧の状態における外観の違いを表現するため、第2の造形部12の色彩は、第1の造形部11の色彩と少なくとも一部において異なっている。
このように、実施形態2に係る造形物20は、2つの熱膨張性シート100a,100bの表面の隆起と色彩とによって、新旧の状態における対象物の外観を模擬的に表現している。ユーザは、2つの熱膨張性シート100a,100bに造形された2つの造形部11,12を比較することによって、対象物がどのように劣化するかを容易に把握することができる。
実施形態2に係る造形物20を造形する造形システム1の構成は、実施形態1において説明したものと同様である。一方で、造形物20の造形処理において実施形態1では、1つの熱膨張性シート100に第1の造形部11と第2の造形部12とを同時に造形可能であった。これに対して、実施形態2では、第1の熱膨張性シート100aに第1の造形部11を造形する処理と、第2の熱膨張性シート100bに第2の造形部12を造形する処理とは、別々に実行される。
具体的に説明すると、印刷装置40は、第1の熱膨張性シート100aが挿入された場合、第1の熱膨張性シート100aに第1の造形用画像211又は第1の着色用画像221を印刷する。その後、第2の熱膨張性シート100bが挿入された場合、印刷装置40は、第2の熱膨張性シート100bに第2の造形用画像212又は第2の着色用画像222を印刷する。また、膨張装置50において、制御部70は、第1の造形用画像211が印刷された第1の熱膨張性シート100aが挿入された場合、第1の熱膨張性シート100aに電磁波を照射することにより、第1の熱膨張部21を膨張させて第1の造形部11を造形する。その後、第2の造形用画像212が印刷された第2の熱膨張性シート100bが挿入された場合、制御部70は、第2の熱膨張性シート100bに電磁波を照射することにより、第2の熱膨張部22を膨張させて第2の造形部12を造形する。これにより、異なる熱膨張性シート100a,100bに造形部11,12が造形された造形物20が得られる。
或いは、1つの熱膨張性シート100に2つ造形部11,12を造形した後で、2つの造形部11,12の間で熱膨張性シート100を切断することによって、造形物20を得ることもできる。
このように、実施形態2に係る造形システム1は、第1の造形部11と第2の造形部12とが異なる熱膨張性シート100a,100bに造形された造形物20を生成する。1つの熱膨張性シート100に2つの造形部11,12が造形される場合に比べて、持ち運びがし易くなり、また、2つの造形部11,12を自由に動かしながら比較できるため、ユーザは、対象物が劣化する様子をより容易に把握することができる。
(変形例)
以上に本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は一例であり、本発明の適用範囲はこれに限られない。すなわち、本発明の実施形態は種々の応用が可能であり、あらゆる実施形態が本発明の範囲に含まれる。
例えば、上記実施形態では、造形物10,20によって立体形状が表現される対象物として、建物の外壁材(レンガ)を例にとって説明した。しかしながら、本発明において、対象物はこれに限らない。本発明に係る造形物10は、例えば、家具、日用品、食料品、電気/電子機器等、様々な有体物に適用でき、これらの劣化の状態を表現することができる。また、対象物は、人間又は動物の肌であっても良い。この場合、造形物10は、対象物の劣化として、皺のでき方等のような肌が老化する様子を表現しても良い。このように老化の状態を表現することで、例えばアンチエイジングの効果を示す広告等に応用することができる。
上記実施形態では、造形物10,20は、2つの造形部11,12によって、対象物の劣化していない状態と劣化している状態との立体形状を表現した。しかしながら、本発明において、造形物10,20は、3以上の造形部を備えていても良い。この場合、3以上の造形部が造形される3以上の熱膨張部の間で表面の隆起の度合い又は色彩を互いに異ならせることにより、3以上の造形部が互いに異なる劣化状態を表現するようにすることができる。更に、3以上の造形部を1つの熱膨張性シート100に造形する場合、3以上の造形部を、それらが並んだ順に劣化の度合いが大きくなる又は小さくなるように配置しても良い。
上記実施形態では、熱膨張性シート100,100a,100bには、バーコードBが設けられていた。しかしながら、熱膨張性シート100,100a,100bには、読取手段によって読み取り可能な情報であれば、識別子として、バーコードBの代わりに文字、記号、図形等が設けられていても良い。
上記実施形態では、熱膨張性シート100,100a,100bは、基材101と熱膨張層102とインク受容層103とを備えていた。しかしながら、本発明において、熱膨張性シート100,100a,100bの構成はこれに限らない。例えば、熱膨張性シート100,100a,100bは、インク受容層103を備えなくても良いし、表面又は裏面に剥離可能な剥離層を備えていても良い。或いは、熱膨張性シート100,100a,100bは、他の任意の材料による層を備えていても良い。
上記実施形態では、端末装置30と印刷装置40と膨張装置50とは、それぞれ独立した装置であった。しかしながら、本発明において、端末装置30と印刷装置40と膨張装置50とのうちの少なくともいずれか2つが一体となっていても良い。
上記実施形態では、端末装置30が、印刷データを生成する生成部312を備えていた。しかしながら、本発明において、生成部312の機能は、遠隔に配置され、インターネット等の広域ネットワークを介して端末装置30又は印刷装置40と接続されたサーバに備えられていても良い。サーバは、例えばクラウドコンピューティングのリソースを提供するサーバである。この場合、端末装置30は、受付手段によってユーザから受け付けられた環境及び経過時間の指定をサーバに送信し、サーバで生成された印刷データをサーバから受信する。サーバは、造形データ321とシミュレーションデータ322とを記憶部に記憶しており、端末装置30から受信した環境及び経過時間の指定に応じて対象物の劣化状態をシミュレーションにより見積もる。そして、サーバは、シミュレーションの結果に基づいて第2の造形用画像212及び第2の着色用画像222を生成し、生成した画像データ含む印刷データを端末装置30又は印刷装置40に送信する。
上記実施形態では、膨張装置50は、照射部60を移動させる移動手段として搬送モータ55を備えており、位置が固定された熱膨張性シート100,100a,100bに対して、照射部60を移動させながら電磁波を照射する方式で、熱膨張性シート100,100a,100bを膨張させた。しかしながら、膨張装置50は、熱膨張性シート100,100a,100bを搬送する搬送機構を備えており、搬送される熱膨張性シート100,100a,100bに対して、位置が固定された照射部60から電磁波を照射する方式で、熱膨張性シート100,100a,100bを膨張させても良い。このように、膨張装置50は、熱膨張性シート100,100a,100bと照射部60とを相対的に移動させることができれば、どのような方式で熱膨張性シート100,100a,100bを膨張させても良い。
印刷装置40の印刷方式は、インクジェット方式に限らない。例えば、印刷装置40は、レーザー方式のプリンタであって、トナーと現像剤とによって画像を印刷しても良い。また、変換層104,106は、電磁波を熱に変換しやすい材料であれば、カーボンブラックを含む黒インク以外の材料によって形成されても良い。この場合、変換層104,106は、印刷装置40以外の手段によって形成されるものであっても良い。
上記実施形態において、端末装置30の制御部31は、CPUを備えており、CPUの機能によって、受付部311、生成部312及び出力部313として機能した。しかし、本発明に係る端末装置30において、制御部31は、CPUの代わりに、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、各種制御回路等の専用のハードウェアを備え、専用のハードウェアが、受付部311、生成部312及び出力部313として機能しても良い。この場合、各処理を個別のハードウェアで実行しても良いし、各処理をまとめて単一のハードウェアで実行しても良い。また、各処理のうち、一部を専用のハードウェアによって実行し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実行しても良い。
なお、本発明に係る機能を実現するための構成を予め備えた造形システム1として提供できることはもとより、プログラムの適用により、造形システム1を制御するコンピュータに、上記実施形態で例示した造形システム1による各機能構成を実現させることもできる。すなわち、上記実施形態で例示した造形システム1による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の情報処理装置等を制御するCPU等が実行できるように適用することができる。
このようなプログラムの適用方法は任意である。プログラムを、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して適用できる。さらに、プログラムを搬送波に重畳し、インターネットなどの通信媒体を介して適用することもできる。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)にプログラムを掲示して配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OS(Operating System)の制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記1)
加熱により膨張する第1の熱膨張部の表面の隆起によって、対象物の第1の状態における立体形状を表現した第1の造形部と、
加熱により膨張する第2の熱膨張部の表面の隆起によって、前記対象物の第2の状態における立体形状を表現した第2の造形部と、
を備え、
前記第2の状態は、前記第1の状態よりも前記対象物が劣化した状態であり、
前記第2の熱膨張部の表面の前記隆起の度合いは、前記第1の熱膨張部の表面の前記隆起の度合いと少なくとも一部において異なる、
ことを特徴とする造形物。
(付記2)
前記第1の造形部は、前記第1の状態における前記対象物を模した色彩を有し、
前記第2の造形部は、前記第2の状態における前記対象物を模した色彩を有し、
前記第2の造形部の前記色彩は、前記第1の造形部の前記色彩と少なくとも一部において異なる、
ことを特徴とする付記1に記載の造形物。
(付記3)
前記第1の熱膨張部は、熱膨張性シートのうちの第1の部分であり、
前記第2の熱膨張部は、前記熱膨張性シートのうちの第2の部分である、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の造形物。
(付記4)
前記第1の熱膨張部は、第1の熱膨張性シートの少なくとも一部であり、
前記第2の熱膨張部は、第2の熱膨張性シートの少なくとも一部である、
ことを特徴とする付記1又は2に記載の造形物。
(付記5)
対象物の第1の状態における立体形状を表現する第1の造形部を造形するための第1の造形用画像から、前記対象物の、前記第1の状態よりも劣化した第2の状態における立体形状を表現する第2の造形部を造形するための第2の造形用画像を生成する生成手段と、
加熱により膨張する第1の熱膨張部に、前記第1の造形用画像を、電磁波を熱に変換する材料で印刷し、加熱により膨張する第2の熱膨張部に、前記生成手段によって生成された前記第2の造形用画像を、前記材料で印刷する印刷手段と、
前記印刷手段によって前記第1の造形用画像が印刷された前記第1の熱膨張部に電磁波を照射することにより、前記第1の熱膨張部を膨張させて前記第1の造形部を造形し、前記印刷手段によって前記第2の造形用画像が印刷された前記第2の熱膨張部に電磁波を照射することにより、前記第2の熱膨張部を膨張させて前記第2の造形部を造形する膨張手段と、
を備えることを特徴とする造形システム。
(付記6)
前記生成手段は、前記第1の造形部に着色するための第1の着色用画像から、前記第2の造形部に着色するための第2の着色用画像を生成し、
前記印刷手段は、前記第1の着色用画像を前記第1の熱膨張部に印刷し、前記生成手段によって生成された前記第2の着色用画像を前記第2の熱膨張部に印刷する、
ことを特徴とする付記5に記載の造形システム。
(付記7)
前記対象物の周囲の環境と、前記対象物が前記環境に置かれてからの経過時間と、の指定を受け付ける受付手段、を更に備え、
前記生成手段は、前記受付手段によって受け付けられた前記指定に応じて、前記第1の造形用画像から前記第2の造形用画像を生成する、
ことを特徴とする付記5又は6に記載の造形システム。
(付記8)
前記印刷手段は、熱により膨張する熱膨張性シートに前記第1の造形用画像と前記第2の造形用画像とを並べて印刷する、
ことを特徴とする付記5から7のいずれか一つに記載の造形システム。
(付記9)
対象物の第1の状態における立体形状を表現する第1の造形部を造形するための第1の造形用画像から、前記対象物の、前記第1の状態よりも劣化した第2の状態における立体形状を表現する第2の造形部を造形するための第2の造形用画像を生成する生成ステップと、
加熱により膨張する第1の熱膨張部に、前記第1の造形用画像を、電磁波を熱に変換する材料で印刷し、加熱により膨張する第2の熱膨張部に、前記生成ステップにおいて生成された前記第2の造形用画像を、前記材料で印刷する印刷ステップと、
前記印刷ステップにおいて前記第1の造形用画像が印刷された前記第1の熱膨張部に電磁波を照射することにより、前記第1の熱膨張部を膨張させて前記第1の造形部を造形し、前記印刷ステップにおいて前記第2の造形用画像が印刷された前記第2の熱膨張部に電磁波を照射することにより、前記第2の熱膨張部を膨張させて前記第2の造形部を造形する膨張ステップと、
を含むことを特徴とする造形物の製造方法。
1…造形システム、10,20…造形物、11,12…造形部、21,22…熱膨張部、30…端末装置、31…制御部、32…記憶部、33…操作部、34…表示部、35…記録媒体駆動部、36…通信部、40…印刷装置、41…キャリッジ、42…印刷ヘッド、43,43k,43c,43m,43y…インクカートリッジ、44…ガイドレール、45…駆動ベルト、45m…モータ、46…フレキシブル通信ケーブル、47…フレーム、48…プラテン、49a…給紙ローラ対、49b…排紙ローラ対、50…膨張装置、51…筐体、52…挿入部、53…トレイ、54…換気部、55…搬送モータ、56…搬送レール、60…照射部、61…ランプヒータ、62…反射板、63…温度センサ、64…冷却部、65…バーコードリーダ、69…電源部、70…制御部、100,100a,100b…熱膨張性シート、101…基材、102…熱膨張層、103…インク受容層、104,106…変換層、105…カラーインク層、211,212…造形用画像、221,222…着色用画像、311…受付部、312…生成部、313…出力部、321…造形データ、322…シミュレーションデータ、B…バーコード、D1…副走査方向、D2…主走査方向

Claims (5)

  1. 表面に凹凸のある被模擬品における前記表面の劣化状態の経時的な変化を、模擬品により視覚的に擬似表現したサンプルであって、
    擬似的な新しさまたは古さを互いに異ならせた少なくとも二つのサンプル領域を有し、
    前記二つのサンプル領域は、当該サンプル領域における表面の凹凸が、所定の温度以上の熱が加えられることにより膨張する熱膨張層の膨張され度合いが領域的に異なっていることに伴った表面隆起により表現されており、
    前記二つのサンプル領域間における前記擬似的な新しさまたは古さの違いが、前記二つのサンプル領域間における前記熱膨張層の膨張され度合いの違いに基づいて表現されている、
    ことを特徴とするサンプル。
  2. 前記被模擬品が外壁材である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のサンプル。
  3. 前記凹凸に形成された表面がカラーインクにより着色されている、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のサンプル。
  4. 老化による肌表面の変化を、模擬品により視覚的に擬似表現したサンプルであって、
    擬似的な若さまたは老いを互いに異ならせた少なくとも二つのサンプル領域を有し、
    前記二つのサンプル領域は、当該サンプル領域における表面の凹凸が、所定の温度以上の熱が加えられることにより膨張する熱膨張層の膨張され度合いが領域的に異なっていることに伴った表面隆起により表現されており、
    前記二つのサンプル領域間における前記擬似的な若さまたは老いの違いが、前記二つのサンプル領域間における前記熱膨張層の膨張され度合いの違いに基づいて表現されている、
    ことを特徴とするサンプル。
  5. 表面に凹凸のある被模擬品における前記表面の劣化状態の経時的な変化を、模擬品により視覚的に擬似表現したサンプルセットであって、
    擬似的な新しさまたは古さを互いに異ならせた少なくとも二つのサンプルを有し、
    前記二つのサンプルは、当該サンプルにおける表面の凹凸が、所定の温度以上の熱が加えられることにより膨張する熱膨張層の膨張され度合いが領域的に異なっていることに伴った表面隆起により表現されており、
    前記二つのサンプル間における前記擬似的な新しさまたは古さの違いが、前記二つのサンプル間における前記熱膨張層の膨張され度合いの違いに基づいて表現されている、
    ことを特徴とするサンプルセット。
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