JP6798403B2 - 水性顔料分散体及びこれを含有するインクジェット記録用水性インク - Google Patents

水性顔料分散体及びこれを含有するインクジェット記録用水性インク Download PDF

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Description

本発明は、水性顔料分散体及びこれを含有するインクジェット記録用水性インクに関する。
近年のインクジェットプリンタの普及により、これに用いる記録液(記録用水性インク)は、さらなる高品質化が要求されている。たとえば、フォト用インクジェットプリンタやラージフォーマット用インクジェットプリンタの要求品質は、生産性(出力スピード)よりも画像特性が優先される。中でも広い色再現性や画像耐久性(耐光性、耐候性、耐ガス性)が重視されている。
特に黄色顔料においては高発色と耐光性がトレードオフの関係にあり、これらを両立する分子構造(C.I.Pigment No.)が無いのが現状である。
このような中、使用する顔料構造に解決法を求めるのではなく、「粒子径の制御」、「添加剤の使用」等の試みが行われている。しかしながら、いずれも一定の効果はあるものの、近年の高品質化の要求を満足するには至っていない。また、添加剤を大量に加えれば、吐出性能や画像性能にも悪影響を及ぼす可能性が高く好ましい手法とはいえない。
このような中、耐光性等の改善を目的に、水、水溶性有機溶剤、顔料、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂粒子、紫外線吸収剤及び光安定剤を含有するインクジェット用インクが提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、紫外線吸収剤がドット表層に分布しないため、近年高まる耐光性の水準を満足するまでには至っていないのが実情である。
特開2016−006150号公報
本発明が解決しようとする課題は、高発色性と耐光性を兼備する水性顔料分散体を提供することにある。
本発明者らは、このような状況を鑑み鋭意検討した結果、紫外線吸収剤及び光安定剤を内包するポリカーボネート変性ウレタン樹脂を用いることを着想し本発明を完成させた。
即ち本発明は、顔料と、(メタ)アクリル酸エステル樹脂と、紫外線吸収剤及び光安定剤を内包するポリカーボネート変性ウレタン樹脂と、を少なくとも含有することを特徴とする水性顔料分散体に関する。
本発明者らは、従来より水性顔料分散体の構成成分として用いられてきたウレタン樹脂と、(メタ)アクリル酸エステル樹脂との関係を追及した結果、紫外線吸収剤及び光安定剤の効果を最大限引き出すために、上記構成のように紫外線吸収剤及び光安定剤をポリカーボネート変性ウレタン樹脂に包含させることが非常に有効であることを見出した。
このような構成が、着弾後、インク浸透により、紫外線吸収剤及び光安定剤を内包したポリウレタン層がドット表層にリッチに分布するため、内部顔料の紫外線保護機能が最大化されたものと推定される。
本発明によれば、高発色性と耐光性を兼備する水性顔料分散体を提供することができる。
<水性顔料分散体(A)>
本発明の水性顔料分散体(A)は、顔料と、(メタ)アクリル酸エステル樹脂と、紫外線吸収剤及び光安定剤を内包するポリカーボネート変性ウレタン樹脂と、を少なくとも含有し、さらに必要に応じてレベリング剤や酸化防止剤、その他の成分を含有してなるものである。
<ポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)>
本発明の水性顔料分散体の調製に用いるポリカーボネート変性ウレタン樹脂は、それ自体が水性媒体への分散性を有し、分散体中で樹脂粒子として存在する。そして、本発明においては、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂粒子中に、紫外線吸収剤(後述:B−1)及び光安定剤(後述:B−2)をいずれも内包させた状態で添加し、水性顔料分散体の調製に用いることができる。
上記の通り「内包」とは、紫外線吸収剤(B−1)と光安定剤(B−2)とを、樹脂粒子中に封入した状態を意味する。もちろん本発明の効果が損なわれない範囲において、紫外線吸収剤(B−1)と光安定剤(B−2)がポリカーボネート変性ウレタン樹脂粒子表面に吸着していたり、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂の分散体中にともに分散しているような状態を排除するものではない。
要求される品質等に応じて、酸化防止剤(後述:B−3)をさらに内包させてもよい。酸化防止剤(B−3)を含むことにより、大気中のオゾンによる顔料の酸化を抑制することができ、顔料がより長期間安定に存在することができる。
ここで、本発明においてポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)とは、活性水素基を有するポリカーボネート化合物(b−1)、少なくとも1つの活性水素基と親水基とを有する化合物(b−2)及びイソシアネート基を有する化合物(b−3)を反応させることにより得られるものである。
前記活性水素基を有するポリカーボネート化合物(b−1)が有する活性水素基としては、例えば、水酸基、フェノール性水酸基、アミノ基、メルカプト基等が挙げられる。これらの中でも、水酸基、カルボキシル基、アミノ基が好ましい。また、前記活性水素基を有するポリカーボネート化合物(b−1)は、これらの活性水素基を1分子中に2個以上有しているものが好ましい。
前記活性水素基を有するポリカーボネート化合物(b−1)としては、例えば炭酸エステルとホスゲン、及び概ね100〜500程度の低分子量ポリオールとを反応させて得られるもの等を使用することができる。
前記炭酸エステルとしては、メチルカーボネートや、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネ−ト等を使用することできる。
前記炭酸エステルと反応しうる低分子量ポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチルプロパノールジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールや、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等を使用することができる。
前記活性水素基を有するポリカーボネート化合物(b−1)としては、500〜3,000の数平均分子量を有するものを使用することが好ましい。なかでも、良好な耐熱性、耐加水分解性や耐汗性や耐油性等の耐久性とともに、優れた耐屈曲性を両立する場合には、より好ましくは、1,500〜2,500の数平均分子量を有するポリカーボネートポリオールを使用することができる。なお、前記活性水素基を有するポリカーボネート化合物(b−1)の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・カラムクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定し得られた値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
前記活性水素基を有するポリカーボネート化合物(b−1)は、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、他のポリカーボネートポリオール、ダイマージオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記少なくとも1つの活性水素基と親水基とを有する化合物(b−2)は、少なくとも1つの活性水素基と親水基とを有する化合物であるが、前述した活性水素基を少なくとも1つ有し、親水基として、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基及びその塩を有する化合物、アルキレンオキシドの繰り返し単位を有するノニオン性親水基等とを有する化合物が挙げられる。これらの前記少なくとも1つの活性水素基と親水基とを有する化合物(b−2)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記少なくとも1つの活性水素基と親水基とを有する化合物(b−2)としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸、ジオキシマレイン酸、2,6−ジオキシ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸、アラニン、アミノ酪酸、アミノカプロン酸、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン等のカルボキシル基と、水酸基又はアミノ基とを有する化合物、もしくはジカルボン酸化合物が挙げられる。
また、前記の親水性基としてスルホン酸基を有する化合物としては、例えば、2−オキシエタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホコハク酸、5−スルホイソフタル酸、スルファニル酸、1,3−フェニレンジアミン−4,6−ジスルホン酸、2,4−ジアミノトルエン−5−スルホン酸等のスルホン酸基と、水酸基、カルボキシル基又はアミノ基とを有する化合物、もしくはジスルホン酸化合物が挙げられる。
さらに、前記の親水性基としてノニオン性親水基を有する化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、エチレンオキサイドとポリブチレンオキサイドとの共重合体、エチレンオキサイドと他のアルキレンオキサイドとの共重合体等が挙げられる。
前記少なくとも1つの活性水素基と親水基とを有する化合物(b−2)は、前記活性水素基を有するポリカーボネート化合物(b−1)の全量に対して、0.5質量%〜10質量%の範囲で使用することが好ましく、1質量%〜5質量%の範囲で使用することがより好ましい。
前記イソシアネート基を有する化合物(b−3)としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ビフェニレンジイソシアネート、3,3−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシ
アネート、1,3−シクロフェキシレンジイソシアネート、1,4−シクロフェキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4−ジシクロフェキシルメタンジイソシアネート、3,3−ジメチル−4,4−ジシクロフェキシルメタンジイソシアネート等のポリイソシアネートが挙げられる。これらのイソシアネート基を含有する化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
また、上記のイソシアネート基を有する化合物(b−3)の中でも、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4−ジシクロフェキシルメタンジイソシアネートは、耐光性および耐熱性を向上できる点で好ましい。
前記ポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)の製造方法としては、例えば、無溶剤下又は有機溶剤の存在下、前記活性水素基を有するポリカーボネート化合物(b−1)と、前記イソシアネート基を有する化合物(b−3)とを反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを製造し、次いで、前記ウレタンプレポリマーと、前記少なくとも1つの活性水素基と親水基とを有する化合物(b−2)とを反応させることによって製造する方法;前記活性水素基を有するポリカーボネート化合物(b−1)、前記イソシアネート基を有する化合物(b−3)及び前記少なくとも1つの活性水素基と親水基とを有する化合物(b−2)を一括に仕込み、50℃〜100℃で概ね3時間〜10時間程度反応させることによって、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得て、後述する水及び必要に応じて乳化剤を供給し、混合、撹拌することによって、前記水中に前記ポリカーボネート変性ウレタン樹脂を分散させ、次いで、該ウレタンプレポリマーと前記親水性基としてカルボキシル基を有する化合物(b−2)を混合して反応させる方法が挙げられる。なお、前記ウレタンプレポリマーと前記水とを混合する際には、必要に応じてホモジナイザー等の機械を使用してもよい。前記ウレタンプレポリマーと前記水、親水性基としてカルボキシル基を有する化合物(b−2)との混合液に、有機溶剤溶液を含有させた場合には、その後脱溶剤することが好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル溶剤;アセトニトリル等のニトリル溶剤;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶剤などを用いることができる。これらの有機溶剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記活性水素基を有するポリカーボネート化合物(b−1)と前記イソシアネート基を有する化合物(b−3)と前記親水性基としてカルボキシル基を有する化合物(b−2)との反応は、前記活性水素基を有するポリカーボネート化合物(b−1)が有する水酸基と前記親水性基としてカルボキシル基を有する化合物(b−2)が有する水酸基及び/又はアミノ基との合計と、前記イソシアネート基を有する化合物(b−3)が有するイソシアネート基との当量割合[イソシアネート基/(水酸基+アミノ基)]が0.5〜1.5の範囲であることが好ましく、0.9〜1.1の範囲であることがより好ましい。
前記ポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)と水性媒体との質量比としては、作業性及び皮膜の風合いをより一層向上できる点から、10/80〜70/30の範囲であることが好ましく、20/80〜60/40の範囲がより好ましい。
本発明の水性ポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)は、前記ポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)、及び前記水性媒体を必須成分として含有するが、必要に応じて、鎖伸長剤(b−4)、乳化剤(b−5)、中和剤(b−6)やその他の添加剤を含有してもよい。
前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーまたはその有機溶剤溶液、またはその水分散液は、ポリアルカノールアミン(b−7)を混合し、例えば25℃の常温で反応させることによって、所望のポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)を製造することができる。その際、ポリアルカノールアミンの使用量を調整することによって、得られるポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)中に導入される水酸基量を調整することができる。
前記鎖伸長剤(b−4)としては、例えばポリアミンや水酸基含有化合物等を使用することができる。
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン等の1個の1級アミノ基と1個の2級アミノ基を含有するジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類;ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類;コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類;β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジッド−プロピル−カルバジン酸エステル、セミカルバジッド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等のセミカルバジド類を使用することができる。
前記水酸基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール類;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類、及び水等を、本発明で使用するウレタン樹脂組成物の保存安定性が低下しない範囲内で単独で使用または2種以上を併用して使用することができる。
前記鎖伸長剤(b−4)は、ウレア結合を導入して、その結果、耐久性をより一層向上する観点から、前記ポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)の製造に使用する原料の全量に対して1質量%〜10質量%の範囲で使用することが好ましく、1質量%〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
前記乳化剤(b−5)は、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン性乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン性乳化剤;アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等のカチオン性乳化剤などを用いることができる。これらの乳化剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記中和剤(b−6)は、前記ポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)中のカルボキシル基を中和するものであり、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の不揮発性塩基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノール等の三級アミン化合物などを用いることができる。これらの中和剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記中和剤(b−6)の使用量としては、前記ポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)に含まれるカルボキシル基のモル数に対して0.8〜1.2の範囲のモル比となるように添加することが好ましい。
前記ポリアルカノールアミン(b−7)としては、例えば、ジエタノールアミン、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、(R)−3−アミノ−1,2−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノエタン、1−アミノ−1−デオキシ−D−グルシトールのような1個のアミノ基に対して複数の水酸基を有するアミン類を、本発明で使用するウレタン樹脂組成物の保存安定性が低下しない範囲内で単独で使用または2種以上を併用して使用することができる。
水性顔料分散体中における、顔料と前記ポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)不揮発分との割合は特に制限されるものではないが、前記ポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)の不揮発分の質量換算で顔料100部に対し10〜100部の範囲から選択できる。インクジェット記録用水性インクとしては、水性顔料分散体の粘度は極力低いことが吐出特性維持のために望まれるため、前記ポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)を不揮発分の質量換算で顔料100部に対し10〜80部とすることがより好ましい。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、シュウ酸アニリド系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤などが挙げられる。上記したように、本発明においては、これらの紫外線吸収剤と後述の光安定剤とがポリカーボネート変性ウレタン樹脂に内包されたものを用いたことで、優れた耐光性を得ることに成功した。
具体的には、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、メチル−3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール、2,2−ビス{[2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル−オキシ]メチル}プロパン−1,3−ジイル=ビス(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリラート)、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸−2−エチルヘキシル、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノールなどが挙げられる。
<光安定剤>
光安定剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤などを用いることができる。上記したように、本発明においては、これらの光安定剤が前記紫外線吸収剤とともにポリカーボネート変性ウレタン樹脂に内包されたものを用いたことで、優れた耐光性を得ることに成功した。
具体的には、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペラジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン/N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチル/4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物、ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル)[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート/メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ポリ−(N−β−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジルサクシネート)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミルヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ヒンダードフェノール系及びリン系、硫黄系酸化防止剤などを用いることができる。上記したように、本発明においては、これらの酸化防止剤が前記紫外線吸収剤/光安定剤とともにポリカーボネート変性ウレタン樹脂に内包されたものを用いたことで、優れた耐光性を得ることに成功した。
具体的には、ペンエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン)アミド]、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−C7−C9側鎖アルキルエステル、3,3’,3’‘,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、A:カルシウムジエチルビス{[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル}ホスホネート/ポリエチレンワックス、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレン−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト/ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、N−フェニルベンゼンアミン/2,4,4−トリメチルペンテンとの反応物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−[(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、3,9−ビス(2−(3−(3−ターシャリー−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキソ−スピロ(5,5)ウンデセン、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジーtert−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、2’,3−ビス[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオノヒドラジド]、ジドデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジオクタデシル−3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
また、耐光性及び耐熱性を向上させるには、上記紫外線吸収剤と光安定剤、酸化防止剤を単独または併用して組み合わせる事が効果的である。また、上記紫外線吸収剤と光安定剤、酸化防止剤の添加量は、前記ポリカーボネート変性ウレタン樹脂を構成する前記活性水素基を有するポリカーボネート化合物(b−1)と、前記親水性基としてカルボキシル基を有する化合物(b−2)の合計100重量部に対して、上記紫外線吸収剤と光安定剤、酸化防止剤を各0.01〜4.0重量部添加すると効果があり、0.1〜2.0重量部添加することがより好ましい。
さらに、水性顔料分散体中における、顔料と上記の紫外線吸収剤と光安定剤、酸化防止剤との割合は、顔料100部に対して紫外線吸収剤と光安定剤、酸化防止剤が各々0.05質量%以上0.7質量%以下となる範囲で添加することが好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤を各々0.05質量%以上とすることで十分な耐光性が得られ、0.7質量%以下とすることでインクジェット記録用水性インクとして問題なく使用できる。また、前記したより好ましい範囲内であれば、より優れた耐光性が得られ、吐出特性もより優れたものとなる。
<顔料>
本発明の水性顔料分散体の調製に用いる顔料は、有機顔料又は無機顔料であり、公知慣用のものをいずれも使用することができる。例えば、アゾ系、ジスアゾ系、アゾメチン系、アントラキノン系、キノフタロン系、キナクリドン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系、ベンズイミダゾロン系、フタロシアニン系、イソインドリン系、イソインドリノン系、ペリレン系のような有機顔料、カーボンブラックのような無機顔料が挙げられる。
<(メタ)アクリル酸エステル樹脂>
本発明の水性顔料分散体の調製に用いる(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、アクリル酸エステル又はメタアクリル酸エステルを必須成分として重合させたものを言う。本発明においては、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの両方を包含して(メタ)アクリル酸エステルと呼ぶものとする。また、本発明においては、水性媒体中に(メタ)アクリル酸エステル樹脂を安定的に分散させるために、その構造中にアニオン性基を含ませることが好ましい。
このようなアニオン性基含有(メタ)アクリル酸エステル樹脂としては、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基、チオカルボキシル基等のアニオン性基を含有するエチレン性不飽和単量体の一種以上と、(メタ)アクリル酸エステルと、必要に応じてそれらと共重合し得るその他のエチレン性不飽和単量体とを共重合させた共重合体樹脂が挙げられる。
原料モノマーの入手のしやすさ、価格等を考慮すると、カルボキシル基またはスルホン基を含有する共重合体樹脂が好ましく、電気的中性状態とアニオン状態の共存範囲を広く制御できる点でカルボキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル樹脂がさらに好ましい。最適な(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、アニオン性基がカルボキシル基およびカルボキル基の塩の両方を含有する(メタ)アクリル酸エステル樹脂である。
カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、4−ビニル安息香酸等の不飽和カルボン酸類;コハク酸ビニル、マレイン酸アリル、テレフタル酸ビニル、トリメトリット酸アリル等の多塩基酸不飽和エステル類が挙げられる。またスルホン酸基を含有するモノマーの例としてはアクリル酸2−スルホエチル、メタクリル酸4−スルホフェニル等の不飽和カルボン酸スルホ置換アルキルまたはアリールエステル類:スルホコハク酸ビニル等のスルホカルボン酸不飽和エステル類;スチレン−4−スルホン酸等のスルホスチレン類を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
共重合し得るその他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、等の不飽和脂肪酸エステル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等の不飽和脂肪酸アミド類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の不飽和エーテル類;スチレン、α―メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−クロロスチレン、等スチレン類;エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、ビニルシクロヘキサン、4−ビニルシクロヘキセン、等の不飽和炭化水素類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、3−クロロプロピレン、等の不飽和ハロゲン化炭化水素類;4−ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、等のビニル置換複素環化合物類;上記例示単量体中のカルボキシル基、水酸基、アミノ基、等活性水素を有する置換基を含有する単量体とエチレンオキシド、プロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド等、エポキシド類との反応生成物;上記例示単量体中の水酸基、アミノ基等を有する置換基を含有する単量体と酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、デカン酸、ドデカン酸等のカルボン酸類との反応生成物等を挙げることができる。
前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂としては、前記ポリウレタン樹脂との併用による着色画像の濃度と耐擦過性においてより高い効果が得られる点で、スチレンを重合単位として含有するようなスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂を選択するのが好ましい。
本発明において、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、例えば、架橋部分を有していてもいなくとも良い。架橋部分を有する前記樹脂は、前記した様な単量体に、例えば(メタ)アクリル酸2,3−エポキシプロピルの様なグリシジル基含有のエチレン性不飽和単量体を併用して共重合させ架橋性を有する樹脂となしてから、水性顔料分散体を製造する任意の工程において、必要に応じて硬化促進剤を併用して架橋させることで得ることが出来る。
本発明に用いられる(メタ)アクリル酸エステル樹脂の重量平均分子量は、分散体の粘度が低く、分散安定性も良好で、インクジェット記録用インクに適用した場合に長期間安定した印字を行わせることが容易な点で、2,000〜100,000の範囲にあることが好ましく、5,000〜50,000の範囲にあることが特に好ましい。
また本発明に用いられる(メタ)アクリル酸エステル樹脂の酸価およびガラス転移点はそれぞれ30〜220mgKOH/gおよび−20〜100℃の範囲、中でも80〜220mgKOH/gおよび0〜90℃にあることが、分散体の分散性や分散安定性が良好であり、また、インクジェット記録用インクに適用した場合の印字安定性が良く、画像の耐水性も良前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂としては、ポリウレタン樹脂との併用による着色画像の濃度と耐擦過性においてより高い効果が得られる点で、スチレンを重合単位として含有する様なスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体樹脂を選択するのが好ましい。
本発明において、カルボキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、例えば、架橋部分を有していてもいなくとも良い。架橋部分を有する前記樹脂は、前記した様な単量体に、例えば(メタ)アクリル酸2,3−エポキシプロピルの様なグリシジル基含有のエチレン性不飽和単量体を併用して共重合させ架橋性を有する樹脂となしてから、水性顔料分散体を製造する任意の工程において、必要に応じて硬化促進剤を併用して架橋させることで得ることが出来る。
本発明に用いられる(メタ)アクリル酸エステル樹脂の重量平均分子量は、分散体の粘度が低く、分散安定性も良好で、インクジェット記録用インクに適用した場合に長期間安定した印字を行わせることが容易な点で、2,000〜100,000の範囲にあることが好ましく、5,000〜50,000の範囲にあることが特に好ましい。
また本発明に用いられる(メタ)アクリル酸エステル樹脂の酸価およびガラス転移点はそれぞれ30〜220mgKOH/gおよび−20〜100℃の範囲、中でも80〜220mgKOH/gおよび0〜90℃にあることが、分散体の分散性や分散安定性が良好であり、また、インクジェット記録用インクに適用した場合の印字安定性が良く、画像の耐水性も良好な上、耐摩擦性、耐棒積み性等の画像保存性も良好となるので好ましい。
本発明の水性顔料分散体中における(メタ)アクリル酸エステル樹脂は、アニオン性基の少なくとも一部が塩基性物質によってイオン化された形態をとっていることが分散性、分散安定性の発現のうえで好ましい。アニオン性基のうちイオン化された基の最適割合は、通常30〜100%、特に40〜60%の範囲に設定されることが好ましい。このイオン化された基の割合はアニオン性基と塩基性物質のモル比を意味しているのではなく、解離平衡を考慮に入れたものである。例えばアニオン性基がカルボキシル基の場合、化学量論的に当量の強塩基性物質を用いても解離平衡によりイオン化された基(カルボキシラート基)の割合は100%未満であって、カルボキシラート基とカルボキシル基の混在状態である。
このように、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、アニオン性基の少なくとも一部をイオン化するために用いられる中和剤(塩基性物質)としては、公知慣用のものが挙げられる。
水性顔料分散体中における、顔料と前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂不揮発分との割合は特に制限されるものではないが、前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂不揮発分の質量換算で顔料100部に対し10〜50部の範囲から選択できる。水性顔料分散体の保存安定性と吐出特性を両立させるためには、15〜40部の範囲とすることがより好ましい。
本発明の水性顔料分散体における、そこに含まれる前記分散粒子は、顔料粒子と前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂粒子とポリウレタン樹脂粒子とが各々独立した粒子であっても良いが、顔料が前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂で被覆された粒子である複合粒子と、ポリウレタン樹脂粒子との混合物であることが好ましい。顔料が前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂で被覆された粒子である複合粒子と、ポリウレタン樹脂粒子との混合物であることで、顔料分散性と耐擦過性の効果を存分に発揮させることが出来る点で好ましい。
本発明における水性顔料分散体では、水性媒体に分散している粒子(分散粒子)が、平均分散粒子径が50〜200nmとなるように水性媒体中に分散していることが好ましい。
本発明においてポリウレタン樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル樹脂粒子または複合粒子中の(メタ)アクリル酸エステル樹脂と化学的に結合していない方が、着色皮膜の耐擦過性がより良好となるので好ましい。
本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステル樹脂粒子または前記複合粒子を含む水性顔料分散体は、例えば下記する様な1)〜4)の方法で製造することが出来る。
1)上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂の水性分散体に、顔料を機械的に強制分散する水性顔料分散体の製造方法。
2)顔料の存在下の水中で分散剤を用いて上記した各単量体を重合させ必要に応じて会合させる水性顔料分散体の製造方法。
3)顔料と上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂と有機溶剤の混合物を、水と塩基性物質を用いて徐徐に油相から水相に転相させてから脱溶剤して、顔料が上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂で被覆されたマイクロカプセル型複合粒子とする、同複合粒子を含む水性顔料分散体の製造方法。
4)顔料と上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂と塩基性物質と有機溶剤と水との均一混合物から脱溶剤を行い、酸を加えて酸析し析出物を洗浄後、この析出物を塩基性物質と共に水性媒体に分散させる、顔料が上記(メタ)アクリル酸エステル樹脂で被覆されたマイクロカプセル型複合粒子とする、同複合粒子を含む水性顔料分散体の製造方法。
本発明における水性顔料分散液の製造方法では、上記いずれの製造方法をとるにせよ、顔料、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、塩基性物質および水からなる混合物を分散する工程を必須として含ませることが好ましい。この混合物には水溶性有機溶剤を含めるのが好ましい。より具体的には、少なくとも顔料、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、塩基性物質、水溶性有機溶剤および水からなる混合物を分散する工程(分散工程)を含ませることが好ましい。
また、分散工程において水溶性有機溶剤を併用することができ、それにより分散工程における液粘度を低下させることができる場合がある。水溶性有機溶剤の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、等のケトン類;メタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、等のアルコール類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、等のアミド類が挙げられ、とりわけ炭素数が3〜6のケトンおよび炭素数が1〜5のアルコールからなる群から選ばれる化合物を用いるのが好ましい。これらの水溶性有機溶剤は(メタ)アクリル酸エステル樹脂溶液として用いられても良く、別途独立に分散混合物中に加えられても良い。
分散工程において用いることのできる分散装置として、既に公知の種々の方式による装置が使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、スチール、ステンレス、ジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、ガラス等でできた直径0.1〜10mm程度の球状分散媒体の運動エネルギーを利用する方式、機械的攪拌による剪断力を利用する方式、高速で供給された被分散物流束の圧力変化、流路変化あるいは衝突に伴って発生する力を利用する方式、等の分散方式を採ることができる。
本発明の水性顔料分散体としては、分散到達レベル、分散所要時間および分散安定性の全ての面で、より優れた特性を発揮させるに当たっては、顔料が前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂で被覆された粒子(即ち前記したマイクロカプセル型複合粒子)という形態で水性媒体中に分散していることが好ましい。
このような状態を形成するため、顔料が前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂を含有する液媒体中に分散している状態において、前記の分散工程の後工程として、溶解状態にある(メタ)アクリル酸エステル樹脂で顔料表面を被覆する工程を組み込むことが好ましい。溶解状態にある前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂を顔料表面に被覆させる工程としては、塩基性物質の水溶液に溶解している前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂を、溶液を酸性化することにより析出させる工程(酸析工程)が好ましい。
蒸留工程の例には、分散工程において有機溶剤を使用した場合に、これを除去する工程、所望の固形分濃度にするため余剰の水を除去する工程等がある。
酸析工程の例には、分散工程で得られた水性分散体に塩酸、硫酸、酢酸等の酸を加えて酸性化し、塩基と塩を形成することによって溶解状態にある(メタ)アクリル酸エステル樹脂を顔料粒子表面に析出させる工程等がある。この工程により、顔料と(メタ)アクリル酸エステル樹脂との相互作用を高めることができる。その結果、前記した様なマイクロカプセル型複合粒子が水性分散媒中に分散している形態を取らせることができ、水性分散体として、分散到達レベルや分散安定性等の物性面や耐溶剤性等の使用適性の面で、より優れた特性を発揮させることができる。
濾過工程の例には、前述した酸析工程後の固形分をフィルタープレス、ヌッチェ式濾過装置、加圧濾過装置等により濾過する工程等がある。再分散工程の例には、酸析工程、濾過工程によって得られた固形分に塩基性物質および必要により水や添加物を加えて再び分散液とする工程がある。それにより前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂中のイオン化したアニオン性基の対イオンを分散工程で用いたものから変更することができる。
本発明においては、(メタ)アクリル酸エステル樹脂と前述のポリウレタン樹脂とが化学的に結合していないことが好ましいことを前記したが、さらに両者は物理的にも密着していないことがより好ましい。その意味で、前記(メタ)アクリル酸エステル樹脂を溶解する工程をポリウレタン樹脂が存在しない状態で行い、前記した酸析工程以降に、ポリウレタン樹脂を、顔料がアニオン性基含有(メタ)アクリル酸エステル樹脂で被覆された粒子である複合粒子を含む水性顔料分散体に加える様にする方法が最適である。
顔料粒子及びアニオン性基含有(メタ)アクリル酸エステル樹脂の粒子の混合物、または顔料がアニオン性基含有(メタ)アクリル酸エステル樹脂で被覆された粒子である複合粒子を含む水性顔料分散体に、前記ポリウレタン樹脂を添加し、均一に攪拌混合することで、本発明の水性顔料分散体を得ることができる。均一に攪拌するために既に公知の前記した種々の方式による装置が使用できる。
インクジェット記録用水性インクの調製に使用される水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、または、このアルコール類のアルキルエーテル、アリールエーテル、エステル、または、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルフォキサイド(DMSO)、ピロリドン、2−メチルピロリドンなどの水溶性のある非プロトン性有機溶剤が使用可能である。これら水性顔料記録液に使用する有機溶剤の選定は、ヘッド方式に応じて行われ、添加量も限られるため、前記ポリウレタン樹脂の有機溶剤として使用することは可能ではあるが、水を溶媒、または分散媒として使用することが望ましい。
<水>
本発明において「水」とは、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水などが挙げられる。
こうして得られた本発明の水性顔料分散体は、例えば、水性インク、水性塗料等の各種着色用途において、被記録媒体上で、着色濃度が高く、耐擦過性に優れた着色皮膜を得ることができることはもちろん、顕著に優れた耐光性が得られる。
本発明の水性顔料分散体は、質量換算による分散粒子含有率1〜8%となる様に調製し水性顔料記録液とする。この際には、上記したより濃厚な水性顔料分散体に対して必要に応じて水や水溶性有機溶剤加えて必要な分散粒子含有率となる様に希釈したり、湿潤剤及び防かび剤等の水性インクの調製に必要な各種添加剤を併用することが出来る。また得られた水性顔料記録液は、必要に応じてミクロフィルターにより濾過をすることにより、インクジェット記録用に適したノズル目詰まり等の極めて少ない水性顔料記録液とすることが出来る。
本発明の水性顔料分散体や水性顔料記録液の被記録媒体としては、例えば普通紙、樹脂コート紙、合成樹脂フィルム等の公知慣用の被記録媒体が挙げられる。
また、インクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液の場合は、その組成を吐出方式に応じて適宜調製することにより、ピエゾ方式でもサーマル方式でもいずれの方式にも対応できる水性顔料記録液を得ることが出来る。
以下、実施例にて本発明を詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を具体的に説明するものであり、実施の態様がこれにより限定されるものではない。
次に本発明を合成例、実施例、比較例を示して具体的に説明する。以下、断りのない限り、%は質量%、部は質量部を意味する。
(製造例1:水性ポリウレタンPUD−1の製造)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコに、窒素気流下、1,6−ヘキサンジオール/1,4−ブタンジオールベースのポリカーボネートジオール1(重量平均分子量:2,000)964質量部、ジメチロールプロピオン酸43質量部及びメチルエチルケトンを558質量部加え、均一に混合した。次いで、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート295質量部を加えた後、ジオクチル酸錫0.05質量部を加え、70℃で約4時間反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー1のメチルエチルケトン溶液を得た。その分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー1に、紫外線吸収剤として、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを6.2質量部、光安定剤として、ポリ−(N−β−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジルサクシネート)を6.2質量部、酸化防止剤として、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]を3.8質量部とトリフェニルホスファイトを1.3質量部を加えて溶解した。
上記で得られたウレタンプレポリマー1のメチルエチルケトン溶液1にトリエチルアミン33質量部を加え、前記ウレタンプレポリマー1中のカルボキシル基を中和した後、イオン交換水2,516質量部を徐々に加えた。次いで、エチレンジアミン19質量部を加えて反応させた。反応終了後、メチルエチルケトンを減圧下留去することによって、水性ポリウレタンPUD−1(不揮発分:35.0質量%)を得た。
(製造例2:水性ポリウレタンPUD−2の製造)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコに、窒素気流下、1,6−ヘキサンジオール/1,4−ブタンジオールベースのポリカーボネートジオール1(重量平均分子量:2,000)900質量部、及び1,6−ヘキサンジオールベースのポリカーボネートジオール2(重量平均分子量:2,000)64質量部、及びジメチロールプロピオン酸53質量部及びメチルエチルケトン559質量部を加え、均一に混合した。次いで、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを287質量部を加えた後、ジオクチル酸錫0.05質量部を加え、70℃で約4時間反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー2のメチルエチルケトン溶液を得た。その分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー2に、紫外線吸収剤として、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾールを5.2質量部、光安定剤として、ポリ−(N−β−ヒドロキシエチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジルサクシネート)を5.2質量部、酸化防止剤として、3,9−ビス(2−(3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキソ−スピロ(5,5)ウンデセンを5.2質量部とトリフェニルホスファイトを3.9質量部を加えて溶解した。
上記で得られたウレタンプレポリマー2のメチルエチルケトン溶液にトリエチルアミン40質量部を加え、前記ウレタンプレポリマー2中のカルボキシル基を中和した後、イオン交換水2,482質量部を加えた。次いで、エチレンジアミン13質量部を加えて反応させた。反応終了後、メチルエチルケトンを減圧下留去することによって、水性ポリウレタンPUD−2(不揮発分:35.0質量%)を得た。
(製造例3:水性ポリウレタンPUD−3の製造)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹き込み管を備えた4ツ口フラスコに、窒素気流下、ポリテトラメチレングリコール(重量平均分子量:2,000)964質量部、ジメチロールプロピオン酸43質量部及びメチルエチルケトン558質量部を加え、均一に混合した。次いで、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートを295質量部を加えた後、ジオクチル酸錫0.1質量部を加え、70℃で約4時間反応させることによって、分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー3のメチルエチルケトン溶液を得た。
上記で得られたウレタンプレポリマー3のメチルエチルケトン溶液にトリエチルアミン33質量部を加え、前記ウレタンプレポリマー中のカルボキシル基を中和した後、イオン交換水2,453質量部を加えた。次いで、エチレンジアミン19質量部を加えて反応させた。反応終了後、メチルエチルケトンを減圧下留去することによって、水性ポリウレタンPUD−3(不揮発分:35.0質量%)を得た。
[顔料分散原液の製造]
冷却用ジャケットを備えた混合槽に、C.I. Pigment Yellow 74(山陽色素製)顔料500部と、アクリル樹脂(DIC(株)製、スチレン−アクリル系樹脂43.4%を含むイソプロピルアルコールとメチルエチルケトンの比率8:2の溶液)173部、25%水酸化ナトリウム水溶液51部、メチルエチルケトン152部、イオン交換水1320部を仕込み、スリーワンモーターで1時間攪拌し混合した。得られた混合液を直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(SCミル SC100/32型、三井鉱山(株)製)に通し、循環方式(分散装置より出た分散液を混合槽に戻す方式)により分散した。分散工程中は、冷却用ジャケットに冷水を通して分散液温度を30℃以下に保つよう制御し、分散装置のローター周速を11.25m/秒に固定して2時間分散した。分散終了後、混合槽より分散原液を抜き採り、次いで水1400部で混合槽および分散装置流路を洗浄し、分散原液と合わせてミル分散液を得た。
ガラス製蒸留装置にミル分散液を入れ、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した。室温まで放冷後、攪拌しながら2%塩酸を滴下してpH4.5に調整した後、固形分をヌッチェ式濾過装置で濾過、水洗した。ケーキを容器に採り、25%水酸化ナトリウム水溶液部を加えた後、ディスパー(TKホモディスパー20型、特殊機化工業(株)製)にて再分散した。さらに水を加えて不揮発分23重量%に調整後、6,000Gで30分間の遠心分離処理を行って、黄色の水性顔料分散原液を得た。
[実施例1]
水性顔料分散原液と、製造例1のポリウレタン樹脂水性分散液と、防腐剤としてプロキセルGXL(S)と、イオン交換水を用いて、質量換算で、顔料含有率13%、ポリウレタン樹脂不揮発分含有率2.6%及びプロキセルGXL(S)0.2%の水性顔料分散体1を製造した。
[実施例2]
水性顔料分散原液と、製造例1のポリウレタン樹脂水性分散液と、防腐剤としてプロキセルGXL(S)と、イオン交換水を用いて、質量換算で、顔料含有率13%、ポリウレタン樹脂不揮発分含有率7.8%及びプロキセルGXL(S)0.2%の水性顔料分散体2を製造した。
[実施例3]
水性顔料分散原液と、製造例1のポリウレタン樹脂水性分散液と、防腐剤としてプロキセルGXL(S)と、イオン交換水を用いて、質量換算で、顔料含有率13%、ポリウレタン樹脂不揮発分含有率13%及びプロキセルGXL(S)0.2%の水性顔料分散体3を製造した。
[実施例4]
水性顔料分散原液と、製造例2のポリウレタン樹脂水性分散液と、防腐剤としてプロキセルGXL(S)と、イオン交換水を用いて、質量換算で、顔料含有率13%及びポリウレタン樹脂不揮発分含有率2.6%及びプロキセルGXL(S)0.2%の水性顔料分散体4を製造した。
[比較例1]
水性顔料分散原液と、製造例3のポリウレタン樹脂水性分散液と、防腐剤としてプロキセルGXL(S)と、イオン交換水を用いて、質量換算で、顔料含有率13%及びポリウレタン樹脂不揮発分含有率2.6%及びプロキセルGXL(S)0.2%の水性顔料分散体5を製造した。
[比較例2]
水性顔料分散原液と、Tinuvin479−DW(BASF社製、水中に分散したヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤)、Tinuvin123−DW(BASF社製、水中に分散したN−ORタイプヒンダードアミン系光安定剤)、防腐剤としてプロキセルGXL(S)と、イオン交換水を用いて、質量換算で、顔料含有率13%及びTinuvin479−DW不揮発分含有率1.3%及びTinuvin123−DW不揮発分含有率1.3%及びプロキセルGXL(S)0.2%の水性顔料分散体6を製造した。
得られた水性顔料分散体1〜6それぞれを、以下に示す組成にあてはめ調製し、これを以下の性能評価に用いた。
<組成>
水性顔料分散体 31部
1,2−ヘキサンジオール 5部
グリセリン 10部
サーフィノール465(エアプロダクツ・アンド・ケミカル社製) 1部
イオン交換水 残部
<性能評価>
彩度の測定方法:
インクを市販のインクジェットプリンター(EM−930C、セイコーエプソン(株)製)のカートリッジに充填した。メディアは写真用紙(GL−101 A450、キヤノン(株)製)を用いて印字した。なお、Dutyは100%にて印字した。得られた印字物をSpectroEye (Gretag Macbeth社製)を使用して彩度C*を求めた。彩度の値は大きいほど優れる。
耐光性の測定方法:
上記のプリンター・メディアを用いてODが0.5となるように印字した。印字物の耐光性試験をSUNTEST CPS+ (東洋精機製)を用いて、JEITA CP3901規格に沿って100時間実施した。耐光性試験前後の色差(√((a*-a0*)^2+(b*-b0*)^2+(L*-L0*)^2))をもって耐光性の指標とした。色差は小さいほど優れる。
Figure 0006798403
本発明(実施例1〜4)は、紫外線吸収剤及び光安定剤を含有しないウレタンを用いた比較例1に比べて顕著に優れた彩度及び耐光性を示した。また、本発明(実施例1〜4)は、先行技術欄に挙げた特許文献1に記載された方法に相当する比較例2と比べても、優れた彩度及び耐光性を示した。

Claims (5)

  1. 顔料と、
    (メタ)アクリル酸エステル樹脂(A)と、
    紫外線吸収剤(B−1)及び光安定剤(B−2)を内包するポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)と、
    を少なくとも含有することを特徴とする水性顔料分散体。
  2. 前記紫外線吸収剤(B−1)及び前記光安定剤(B−2)を内包するポリカーボネート変性ウレタン樹脂(B)が、さらに酸化防止剤(B−3)を内包することを特徴とする請求項1に記載の水性顔料分散体。
  3. 前記紫外線吸収剤(B−1)と前記光安定剤(B−2)の含有量が、前記顔料に対して、いずれも0.05質量%以上0.7質量%以下である請求項1に記載の水性顔料分散体。
  4. 前記紫外線吸収剤(B−1)と前記光安定剤(B−2)と前記酸化防止剤(B−3)の含有量が、前記顔料に対して、いずれも0.05質量%以上0.7質量%以下である請求項2に記載の水性顔料分散体。
  5. 請求項1〜4いずれか一項に記載の水性顔料分散体を含有することを特徴とするインクジェット記録用水性インク。
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