JP6797905B2 - 特に選択された成分の別々の領域を有する石鹸バーを作製するための方法 - Google Patents

特に選択された成分の別々の領域を有する石鹸バーを作製するための方法 Download PDF

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Description

本発明は、主に脂肪酸石鹸バー組成物に関し、特に前記組成物を作製するためのプロセスに関する。本発明は、例えば(別々に調製されて添加された)主により短鎖の石鹸領域(領域は、例えば、κ相パターンによって定義することができる)を有するバー組成物に関し、その領域は、一般に最終バー組成物の(総バー容積の)約3〜25%を構成する。主なバーマトリックス(一般に最終バー容積の約75%〜97%を構成する)は、高鎖長石鹸を主に含有し、それは石鹸バー組成物の典型的なブリック・アンド・モルタル(bricks and mortar)である。主に長鎖の石鹸バーマトリックスの中に散在している主に短鎖の石鹸領域を提供することによって、本出願者らは、良好に押出され得る(許容される硬度値によって定められる)が、より短鎖の石鹸によって提供される利益(例えば、泡立ちの向上)をなお与えるバーを提供する。この利益は、石鹸のブレンドが単一工程の鹸化処理で作製されたならばなくなるか最小になるであろう。さらに、利益は濃縮領域から供給されるので、全体では非常に低いレベルの、例えば短鎖石鹸を使用して同じ利益を達成することができる。
洗浄用の石鹸バーは、一般に、トリグリセリド/脂肪酸を鹸化する(中和する)ことによって調製される。この鹸化処理では、様々な脂肪(例えば、獣脂、パーム及びココナッツ油のブレンド)がアルカリ(一般にNaOH)の存在下で鹸化されて、脂肪酸のアルカリ塩(グリセリドを形成する脂肪酸鎖に由来)とグリセロールを生じる。その後、グリセロールは一般にブラインで抽出されて、石鹸及び水相(例えば、70%石鹸及び30%水相)を含有する希脂肪酸石鹸液を生じる。次に、石鹸液を一般に乾燥させ(例えば水分約15%まで)、残りの塊を一般に混合し、粉砕し、押出し、切断し、印を押してバーとする。あるいは、石鹸液を鋳型、ブリスター等に流し込むことができる。
最終のバーに見出される脂肪酸石鹸の鎖長は、出発脂肪又は原料油に応じて変動する(本明細書の目的において、文脈が別のものを求める場合を除いて、「油」と「脂肪」は同義的に使用される)。より長鎖の脂肪酸石鹸(例えば、C16のパルミチン酸又はC18のステアリン酸)は、一般に獣脂及びパーム油から得られ、より短鎖の石鹸(例えば、C12のラウリン酸)は、一般に、例えば、ココナッツ油又はパーム核油から得ることができる。製造された脂肪酸石鹸はまた、飽和していても飽和していなくてもよい(例えば、オレイン酸)。
一般に、分子量の大きい(longer)脂肪酸石鹸(例えば、C14〜C22の石鹸)は、他の可溶性石鹸によって生じた泡をよりクリーム状にし、より安定させるのを助けることができるという事実にも関わらず、不溶性であり、泡を容易に生成しない。逆に、分子量の小さい(shorter)石鹸(例えば、C〜C12)とオレイン酸の鎖長の石鹸は素早く泡立つ。しかし、より長鎖の石鹸(一般に飽和しているものであるが、ある程度の不飽和(オレイン酸など)を含んでいてもよい)は、それらがバーの構造を維持するのを助け、容易に溶けないという点で望ましい。不飽和石鹸(例えば、オレイン酸の石鹸)は可溶性であるので、より長鎖の石鹸のように、より高密度で、よりクリーム状の泡をもたらす。
述べたように、プロセスの初めに全ての脂肪が添加され、鹸化され、乾燥されるので、長い鎖長の材料と短い鎖長の材料の両方の鹸化は一緒に起こり、最終の石鹸は、仕上げ後の最終バー生成物の全体にわたって均質に分布する。様々な鎖長の石鹸が一緒に鹸化される場合には、特定の鎖長の石鹸の濃縮領域は作製されない。
一般に、最終のバーの一部を形成する、皮膚有益剤は、鹸化の間又は乾燥段階(ここでの温度は非常に高く、例えば100℃超である)の間に脂肪とともに添加することができる。しかし、これらの成分が特定の派生型製品に添加される場合、それらは通常、工場での複雑さを避けるために(低温での)混合の間に添加される。有益剤は、通常、液体、ペースト又は軟質粒子であり、この後期の段階で適切に添加され得る。有益剤(例えば、シリコーン;グリセロール又はソルビトールなどの保水剤;パルミチン酸イソプロピルなどの皮膚軟化剤)を鹸化/乾燥中に添加することにより、それらは確実に、完全に且つ均質に混合される。これは融点が比較的高い(例えば、50℃よりも高い、一般に60℃よりも高い)有益剤にもあてはまる。そのような有益剤は、一般に鹸化に使用される温度(90〜120℃)で容易に混ざることができ、熱及び効率的な混合によって、最終の石鹸マトリックス全体にわたる完全な均質化と有益剤の均質な組み込みが確保される。
述べたように、一部の有益剤(これらを本発明者らは「仕上げ補助材料」と呼ぶ)は、鹸化及び乾燥の後に、そして石鹸ヌードル(例えば、鹸化段階で添加される有益剤を含む石鹸ヌードル)の混合、粉砕、押出等の直前に添加されることができ、一般にそのように添加される。一般に、この2番目の種類の有益剤は、バーの美的品質、特に視覚的、触覚的及び嗅覚的特性を直接的に(香料)又は間接的に(防腐剤)改善する有益剤である。
補助剤(鹸化時に添加されてよい「非仕上げ」材料、又は鹸化後の混合段階で添加されてよい「仕上げ」材料)の例としては、限定されるものではないが:香料;脂肪アルコール、エトキシル化脂肪酸、固体エステル、及びTiOなどの乳白剤;染料及び顔料;TiO被覆雲母及びその他の干渉顔料などの真珠光沢付与剤(pearlizing agent);有機グリッターなどの板状ミラー粒子;メントール及びジンジャーなどの感覚作用剤(sensates);ジメチロールジメチルヒダントイン(Glydant XL 1000)、パラベン、ソルビン酸及び同類のものなどの防腐剤;酸化防止剤、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)など;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の塩及びエチドロン酸三ナトリウム(trisodium etridronate)などのキレート剤;乳化安定剤;補助増粘剤;緩衝剤;並びにそれらの混合物が挙げられる。
補助剤は、一般に、バー組成物の総重量に基づいて、約0.1%〜約3%の間、好ましくは0.1%〜0.5%の間、最も好ましくは約0.2〜約0.4%の間のレベルで添加される。上述のように、様々な補助剤が鹸化時に又は鹸化後に添加されてよい。
示されるように、多くの補助材料/有益剤は、比較的低い融点(50℃よりも低い)を有する。対照的に、鹸化処理の間に生成された石鹸(一般にC16 Na/C18 Na/C18:1 Naで作製)は、一般に、100℃を上回る融点を有する。したがって、これらの材料は、仕上げ補助剤が一般に添加されると、鹸化後の仕上げ段階の間に溶融しない。
思いがけず、本出願人らは今回、全ての脂肪材料(全ての鎖長の混合物を含む)を一工程プロセスで鹸化するよりも、鹸化及び/又は中和に利用できる鎖長の75%以上がC14以上である脂肪を、鹸化及び/又は中和に利用できる鎖長の75%以上がC12以下である脂肪とは別々に(異なる流れで)鹸化する場合、非常に多くの利益が達成されることを見出した。
具体的には、生成された石鹸分子の75重量%以上がC14以上である石鹸を1つの流れで生成し、生成された石鹸分子の75重量%以上がC12以下である石鹸を1つの流れで生成する。これらの石鹸はプロセスの中の異なる段階で作製されるので、2種類の石鹸を組み合わせて、後にずっと低い温度で混合することができる。結果として、石鹸ブレンドは均質化されず、主に長鎖の石鹸マトリックスに散在する主に短鎖の石鹸の濃縮領域又はドメイン(用語「領域」及び「ドメイン」は同義的に使用される)を代わりに形成し、その領域は泡をうまく生じることができる。混合時間は確かに長くなり得るが、混合時間は一般に1〜15分、好ましくは2〜10分である。2つのブレンドを組み合わせる前に別々に鹸化することにより、必要に応じて各流れで異なる鹸化反応中に異なる対イオンを使用することも可能になる。
さらに、すでに言及した「主流」で使用されるものよりも一般に低い融点をもつ有益剤(一般に「仕上げ」補助剤)であって、通常、典型的な一工程鹸化処理の間に最終のバーの全体にわたって均質化され分散される有益剤を、(別々の鹸化工程で形成された)2つの石鹸が低い温度で混合される時に、添加することができる。これらの仕上げ補助剤は、2つの石鹸が組み合わされるプロセスの低温部分で添加されるので、それらと相互作用することになる、形成された低鎖長(lower−chain)石鹸で定義される均質化されていない領域にとどまる傾向がある。低鎖長(lower chain)石鹸は別々の領域で濃縮されているので、それらはバーの使用時に非常に良好な泡(量及び質)を生成する。さらに、低鎖長石鹸はすすぎ時により素早く可溶化されるので、この領域に取り込まれた有益剤もまた、より素早く供給されることができる。
有益剤は、いずれかの流れの鹸化中又は鹸化後に(低い温度で)添加することができるが、石鹸が(ずっと低い温度で)組み合わされる工程は、石鹸が組み合わされてバーが形成される時に生じる領域への低融点有益剤の組み込みを可能にする。しかし、明確な融点をもつ有益剤を選択することがなお重要であり得る。2つの石鹸が混合される時に薬剤の融点が低すぎる場合、有益剤は比較的低い混合ステップ温度でさえも均質になることがあり、この薬剤は供給用の領域にとどまらないことがある(例えば、それらは移動して主バーマトリックスと相互作用する);融点が高すぎる場合、それらはその領域にとどまることがあるが、それらはザラザラしたままで性能上の利点を提供しないこともある。概して、融点のより低い有益剤を、短鎖石鹸が作製される鹸化流れに、鹸化の後に(温度が低い場合)、そして2つの流れが混合される前に、添加すること;或いは、両方の石鹸が組み合わされる場合にそれらを添加することが好ましい。
一般に、本発明者らは、有益剤が約30〜50℃、好ましくは25〜45℃、より好ましくは38〜42℃の温度で添加される場合、その有益剤は(鹸化後及び短鎖石鹸の形成の間に添加されるか;又は2つの流れが混合された後に添加されるかに関わらず)、濃縮領域を形成する石鹸に残り、望ましい性能上の利益(例えば、あまりザラザラしていない)を提供もする傾向があることを見出した。
低鎖長(low−chain)石鹸領域の性能は、鹸化に使用される対イオンを選択する能力によってさらに向上させることができる。さらに、様々な性能上の利益は、理論的には、別々に作製した固体の非石鹸洗剤を(より低い温度段階で)別々に添加することにより、実現される可能性がある。
Aronsonらに対する米国特許第6,730,642号は、連続相よりも硬質の、別々に作製した不連続相が存在する、押出された多相バーを開示する。しかし、両方の相の鎖長の組成の違いは開示されておらず、主により短鎖の脂肪を使用し、第1の鹸化と異なる段階で行われる第2の鹸化が存在する開示も示唆もなされていない。定義されたより低い温度範囲で2つの流れを混合するという開示もない。さらに、別々の相は美的目的のためだけに混合される。主に低鎖長の石鹸の濃縮領域が形成される場合、石鹸泡又はその他の利益を得ることができるという認識は確かにない。
主に長鎖の石鹸を含む主バーマトリックスと、主に低鎖長の石鹸を含む別々の領域又はドメインを有する石鹸バーを開示する、本出願人らが認識している参考文献はない。そのようなバーを作製するプロセス、又はそのようなバーから得られる利益を開示する参考文献もない。さらに、示されるように、有益剤が低い温度で混合される場合、有益剤が濃縮ドメインを形成する石鹸に残るが、利益を提供するほど十分にザラザラしないままであるように、定義された融点範囲(例えば、30〜45℃)を有する有益剤(好ましくは低鎖長(low chain)石鹸の形成中に添加される、且つ/又は低鎖長(low chain)石鹸と高鎖長(high chain)石鹸を混合する時に別々の流れに添加される)の選択を開示する参考文献はない。
米国特許第6,730,642号明細書
添付の出願は、上に定義される濃縮領域を有する組成物を対象とし、本願の例は、前記組成物を作製するプロセスを対象とする。
本発明は、石鹸バー組成物を作製するプロセスを対象とし、石鹸バー組成物は、大半のマトリックス(総バー容積の約75〜97%)を形成し、その中にマトリックスよりも小さい、濃縮領域又はドメインが見出される、主に長鎖の石鹸からなる主領域;及び、バーの至る所に見出される、主に短鎖の石鹸の濃縮領域を含み、前記バーは:
1)バーマトリックス(総バー容積の約75〜97%)であって、鹸化中に形成された石鹸分子の75重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは82重量%以上、より好ましくは85重量%以上(鹸化に利用可能な鎖長の75%以上がC14以上であるように選択された出発脂肪に基づく)は、C14以上の鎖長(好ましくはC14〜C24、より好ましくはC16〜C18及びC18:1)を有し;形成された石鹸は、好ましくはバーマトリックスの50〜85重量%を構成し(マトリックスの15%〜50重量%は、下に定義されるその他の材料で構成されている)、(脂肪の選択及び個別の流れの鹸化の結果として)最終のマトリックス中の石鹸の75重量%以上は、C14以上の鎖長を有する、バーマトリックス;並びに
2)脂肪から調製した大半の石鹸マトリックスの至る所に分散した、濃縮された石鹸の領域又はドメイン(総バー容積の約3〜25%を構成する)であって、鹸化中に形成された石鹸分子の75重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは82%重量以上、さらにより好ましくは85重量%以上(中和の際の鹸化に利用可能な鎖長の75%以上がC12以下であるように選択された出発脂肪に基づく)は、C12以下、好ましくはC〜C12の鎖長を有し;形成された石鹸は、好ましくは、濃縮されたバー領域の50〜85%を構成し(15%〜50重量%はその他の材料から作製される)、(脂肪の選択及び個別の流れの鹸化の結果として)最終の領域の石鹸の75重量%以上の鎖長は、C12以下である、濃縮された石鹸の領域又はドメイン;
を含み、
石鹸マトリックスを形成する長鎖石鹸は、別々に(別々の流れで)、好ましくは領域を形成する短鎖石鹸の作製の前に作製され、2つの流れで形成された石鹸が組み合わされる(好ましくはさらに混合される)温度(30℃〜50℃、好ましくは35℃〜45℃)で、石鹸は均質化されず、短鎖石鹸領域が長鎖石鹸マトリックス内に生じる。
有益剤は、いずれかの流れ(一般に高融点有益剤)の鹸化時に添加されてよい。しかし、好ましくは、低融点有益剤は、短鎖石鹸の作製中に(低い鹸化後温度で);又は、2つの流れが後に組み合わされる場合に添加される。
具体的には、本発明のプロセスは、
a)75%以上(例えば、使用するトリグリセリド材料に見出されるエステル化された鎖の75%)がC14以上の鎖長を有する脂肪材料を(長鎖石鹸を形成するために)鹸化する工程;
b)75%以上((a)について定義される通り)がC12以下の鎖長を有する脂肪材料を(短鎖石鹸を形成するために)第2の、別の流れで鹸化する工程;
c)a)の流れから形成された石鹸と、b)の流れから形成された石鹸を、30℃〜50℃の温度で組み合わせる工程;並びに
d)組み合わせた石鹸混合物を押出してバーを形成する工程
を含む。
(1又は複数の)有益剤が、(a)又は(b)のいずれかの流れの鹸化工程中に添加されていてもよい。(1又は複数の)低融点有益剤が、プロセス温度が低い(例えば、30℃〜60℃)段階で;又は、流れが組み合わされる(例えば、30℃又は50℃の温度で)工程(c)で(b)の流れに添加されていてもよい。
短鎖石鹸領域は別々に作製されるので、出発脂肪の全ての鎖長のパーセントとして、高いレベルのC12以下の鎖長を有する脂肪材料は、脂肪全体ではずっと低いレベルとして使用されてもなおκ相を得ることができる。つまり、製造されたC12以下の石鹸の総量が20%未満である場合に(全脂肪負荷量(overall fat charge)の中で鹸化に利用可能な鎖長の20%未満がC12以下である脂肪材料を使用すると起こる)、一工程鹸化を使用して作製したバーではκ相を観察することができないことになる。対照的に、別々の流れを使用して、本出願人らは、たとえ全脂肪負荷量の中で鹸化に利用可能なC12以下の鎖長の量が(したがってC12以下の石鹸全体の重量%)がせいぜい3%であるとしても、κ相を得る(濃縮領域で観察される)。一般に、本発明のバーの形成されたC12以下の石鹸の合計レベルは3〜20%であり、長鎖石鹸のレベルは80〜97重量%である。これらの数字が限定的でないことは当然理解される。つまり、20%よりも多くの利用可能な短鎖と、80%未満の利用可能な長鎖を有する脂肪材料(全脂肪負荷量)を確かに使用することができる。
一般に、本発明の短鎖脂肪材料は、ナトリウムによって鹸化されるが、ナトリウム及び/又はカリウムを使用することができる。また、別々に形成された、非石鹸洗剤ヌードルを使用して、濃縮領域を形成することも可能である。濃縮領域の存在は、x線データを使用して容易に確認することができる。
最終マトリックスは、石鹸に加えて(石鹸は一般にマトリックスの約50〜85重量%、一般に60〜85重量%を構成する)、皮膚軟化剤、増量剤、補助剤(上記の通り)、及び水を含む。軟化剤としては、シリコーン、ポリオール、脂肪酸、及び油が挙げられ、主なマトリックス組成物の約1〜15重量%で存在する。補助剤は上記の通りであり、水は一般に5〜25%、好ましくは8〜15重量%で存在する。
濃縮領域は、一般に50重量%〜85重量%の石鹸を含み(一般に、生じたこの石鹸の75重量%以上は短鎖石鹸であるが、25%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下は、より長鎖であり得る)、この領域は、マトリックスに関連して述べたように、皮膚軟化剤、増量剤、補助剤及び水も含む。一実施形態では、濃縮領域は、70〜85重量%の石鹸(その85%超はC12以下である)、1〜10%の皮膚軟化剤、例えば、ポリオール(例えばグリセリンなど)、5〜15%の水及び0.1〜5%の補助剤を含む。
作製したC12以下の鎖長の石鹸の総量は、C12以下の鎖長を有する利用可能な脂肪に基づいて、両方の流れを合計すると、一般に合計3〜20重量%、好ましくは7〜15重量%である。
濃縮領域に分布する特定の補助剤によって、この領域は、例えば、もし補助剤が単一ステップのプロセスで組み込まれて、バー全体にわたって均質に分布している場合に可能であるよりもはるかに強い、香料効果、又は抗菌作用の供給を可能にする。
濃縮領域に見出される石鹸は、石鹸マトリックスを形成する石鹸の調製とは別々に(第2の別の流れで)、好ましくは(流れの順序は重要ではないが)調製の後に作製される。
濃縮領域(大半の低鎖長石鹸を含む)はまた、例えば、この領域で濃縮された低鎖長石鹸の特徴であるκ相パターンの存在によって示されるようなx線パターンによって特徴付けすることもできる。より特に、κ相は、一般に、十分な短鎖石鹸の不在下では観察されない。したがって、鎖長がC14以上の石鹸を75重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは82重量%以上含む主なマトリックスにおいて、そのような相は検出されない。対照的に、本発明のバーのx線は、たとえ鎖長がC12以下の石鹸の最終のバー中の総量(両方の流れから生成された石鹸全体のパーセントとして表される)が比較的少ないとしても、κ相をすぐに示す。
図1は、高鎖長石鹸を含む主な石鹸マトリックスと短鎖石鹸とを混合するプロセスの説明を示す図である。短鎖石鹸は、たとえ(例のように)バーで使用される全石鹸のパーセントとして表される短鎖ナトリウム石鹸のレベルが全体として低い場合でも、κ相ドメインとして特定された別々の領域を形成する。 マトリックスヌードルの形成に関して(又は一般に1つの流れプロセスで作製されたバーに関して)生じるような、長鎖と短鎖の両方の石鹸を混ぜ合わせて形成されるバーの複合小角及び広角X線スペクトルを示す図である。長いd間隔領域では、主たるピークが43.1Åに、それに続く一連の回折ピークがd/2、d/3、d/4に見られる。このd間隔(約40Å)は、長い飽和鎖の石鹸(C18、C16)によって形成されたζ相と、長鎖不飽和鎖石鹸(long chain unsaturated chain soap)(C18:1)及び長い不飽和と短い飽和石鹸の混合物によって形成されたη相に典型的である。短いd間隔領域では、ζ相:2.75Å(中程度)、3.20Å(弱い)及び3.92Å(非常に強い))と、η相:4.10Å(非常に強い、4.25Å(非常に強い)4.40Å(強い)の両方に特徴的であるピークが観察される。このように、C12以下の総量が比較的低い場合(本発明のバー中3%〜20%)、ζ相とη相の混合はあるが、κ相はない。 第2の流れの短鎖石鹸の複合小角及び広角X線スペクトルを示す図である。長いd間隔領域では、31.8Åのd間隔に主ピークが観察される。短いd間隔領域では、x線パターンは、4つのピークからなる:2.99Å(やや強い)、3.60Åやや弱い)、3.93Å(強い)、及び4.77Å(中程度)。このパターンは、κ相に特徴的であり、主流石鹸に観察されるパターンとは非常に異なっている。 第2の流れとして添加した15%ラウリン酸ナトリウム石鹸を含有するバーの小角X線スペクトルを示す図である。短いd間隔領域では、スペクトルは、2つの主たるピークを43.1Å及び31.8Åに示し、それは組み合わせたζ相及びη相(主流石鹸)と、κ相(第2の流れの石鹸)にそれぞれ対応する。このように、たとえC12が脂肪ストック全体のわずかな割合であるとしても(3〜20%)、それは濃縮され、このように観察可能なκ相を形成する。
実施例中を除いて、又は特に明示されない限り、反応の材料又は条件、材料の物理的特性及び/又は使用の量を示す本明細書中の全ての数は、「約」という語で修飾されていると解釈される。全ての量は、特に断りのない限り最終の組成物の重量による。
濃度又は量の範囲を指定する際、特定の上限濃度は特定の下限濃度又は量と関連付けられ得ることに留意する必要がある。
疑義を避けるため、「含む(comprising)」という語は、「含む(including)」を意味するが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「から構成される(composed of)」を意味するわけではない。言い換えれば、記載される工程又は選択肢は網羅的である必要はない。
本明細書に見出される本発明の開示は、請求項に多項従属又は重複がなくてもよいという事実とは無関係に、請求項において互いに多項従属していることが見出される全ての実施形態を包含すると見なされる。
本発明は、約75〜97%の、主に長鎖の石鹸を含むマトリックスの総容積を含む石鹸バー組成物を作製するためのプロセスを対象とする。主なマトリックス石鹸は、最終のバーマトリックスに分散する領域を構成するために使用される石鹸とは別々に、そして好ましくはその石鹸を添加する前に作製される。マトリックス石鹸は、1つの流れ(これは、主に短鎖の石鹸が作製される「第2の流れ」とは別の「第1の流れ」と呼ぶことができる)で作製され、これら2つの流れは後に比較的冷たい温度で加えられる。
いくつかの有益剤(例えば、主なマトリックスに混合されることを目的とし、別のドメインに供給されても重大でないもの)は、第1の流れに添加されることができ、一般に第1の流れに添加される(そして別々の第2の流れの鹸化時にも同様に添加されることがある)。これらは一般に鹸化の間に添加されるが、鹸化後に(同様に低温で)添加されることもできる。一般に低い融点を有し、本発明者らがマトリックス全体にわたって均質化されないことを好む有益剤について、これらは短鎖石鹸が作製される鹸化流れに、鹸化後に(例えば、低温、好ましくは30℃〜60℃で);又は第2の流れが第1の流れと混合される時に、優先的に添加される。2つの流れが混ぜ合わされる時、有益剤は第2の流れの石鹸に残る傾向がある。実際に、これにより、特定の成分(香料、抗菌剤)を濃縮領域に濃縮させることができ、濃縮領域では特定の成分は主な石鹸マトリックスから供給された場合よりも強い影響力で供給されることができる。
より具体的には、主なマトリックス石鹸を作製するために選択された脂肪は、形成されたC12以下の脂肪及び石鹸の濃度が比較的低くなるように特に設定される。例えば、選択された脂肪の中で鹸化に利用可能な鎖長の75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは82%以上、さらにより好ましくは85%以上は、C14以上であり、利用可能な鎖長の25%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは18%以下、より好ましくは15%は、C12以下である。最も好ましくは、もし可能であれば、鎖長の100%がC14以上であり、マトリックス中の最終の石鹸の100%が長鎖石鹸である。マトリックス中にはできるだけ少ない短鎖石鹸を形成することが好ましい。
本発明のプロセスは、
a)75%以上(例えば、使用するトリグリセリド材料の鎖の75%)がC14以上の鎖長を有する脂肪材料を鹸化して、長鎖石鹸ヌードルを形成する工程;
b)75%以上(例えば、使用するトリグリセリド材料の鎖の75%)がC12以下の鎖長を有する脂肪材料を鹸化して、短鎖石鹸ヌードルを形成する工程;
c)(a)の流れから形成された石鹸と、(b)の流れから形成された石鹸を、30℃〜50℃の温度で組み合わせる(そして好ましくは混合する)工程;並びに
d)組み合わせた石鹸混合物を押出してバーを形成する工程
を含む。
(1又は複数の)有益剤が、(a)又は(b)のいずれかの流れの鹸化工程中に添加されていてもよい。(1又は複数の)低融点有益剤が、プロセス温度が低い(例えば、30℃〜60℃)段階で;又は、流れが組み合わされる(例えば、30又は50℃の温度で)工程(c)で(b)の流れに添加されていてもよい。
短鎖石鹸領域は別々に作製されるので、出発脂肪の全ての鎖長の百分率として、高レベルのC12以下の鎖長を有する脂肪材料は(全脂肪負荷量のパーセントとして)少ないが、κ相が観察される濃縮された低鎖長石鹸領域をなお形成する。一般に、形成された石鹸がC12以下の鎖長を有するレベルは、3%〜20%、好ましくは7〜15%である。そのような少量は、全ての石鹸が一工程プロセスで一緒に形成される従来のバーにおいて、一般にκ相領域を形成しない。しかし、驚くことに、本発明者らは、たとえ全体では低レベルの短鎖石鹸が形成されているとしても、κ相が観察される領域を形成することができる。
第1の流れの長鎖石鹸の形成の間に使用される対イオンは、一般にナトリウムであるが、ナトリウムであってもカリウムであってもよい;本発明の「領域」又はドメインを形成する石鹸は、主にC10及びC12の鎖長を有するように特に設計される。一般に、濃縮領域を構成する50〜85%の石鹸のうち、75%以上はC12以下の鎖長であるが、25%以下、好ましくは15%以下は長い鎖長であり得る。この場合も、石鹸を形成するために使用される対イオンは、ナトリウム及び/又はカリウムであってよい。
主にC10及びC12の鎖長を有する石鹸は、一般に、約30℃から50℃未満、好ましくは30〜45℃の温度で主なマトリックス及び/又はその他の成分の石鹸と組み合わせた場合、主なマトリックスを形成する石鹸の融解温度が、濃縮ドメインを形成する石鹸が独立した領域にとどまる、すなわち主なマトリックスを形成する石鹸に均質に分散しないほど十分に高いような融点範囲を有する。
有益剤は、長鎖長の流れに添加することができる(一般に融点のより高い有益剤)。一部の有益剤(一般により低い融点)は、より低い鎖長の石鹸が作製される時に(鹸化後により低い温度で)、しかし2つの石鹸が組み合わされる前に添加される;又は主に短鎖の石鹸が長鎖石鹸と混合される時に、優先的に添加される。より低い鎖長の流れに添加された有益剤は、一般に、30〜45℃のミキサーに添加される時に(例えば、2つの石鹸の流れが組み合わされる時に)完全に溶融しないので、濃縮領域に残るような融点(例えば、30〜45℃)を有するように選択される;同時に、そのような薬剤の融点は十分に低いので、濃縮領域に集められた時にザラザラしない。つまり、有益剤はザラザラした感覚を与えないほど「軟質」であるが、濃縮領域から供給される際に使用時の性能を提供するほど十分に可溶性である。
手短に言えば、本発明のバーは、主に短鎖長脂肪酸石鹸を含有し、さらに、定められた融点を有する特定の選択された有益剤(一般に石鹸が組み合わされる際に添加される)を含有していてもよい、特定の濃縮領域又はドメインを提供する。一般に、示されるように、これらの補助剤は、短鎖石鹸の領域に残る。理論に縛られることを望むものではないが、有益剤は領域に「取り込まれる」と考えられる。これらの別々に形成された、低鎖長及び高鎖長の石鹸と、随意の有益剤を、それらがより低い温度で混合される時点で添加することにより、これらの濃縮領域は、バーマトリックス内で均質に混合されない。濃縮された低鎖長石鹸の利益(例えば、泡立ちの向上)、並びに(香料、抗菌剤)の中に取り込まれた、添加されていてもよい有益剤の利益(これらの利益(香料の噴出の向上、抗菌活性の向上)は濃縮領域に関連している)は、このように効率的に供給されることができる。
両方の流れで使用される脂肪からの鹸化に利用可能なC12以下の鎖長の全体のパーセントは、一般に約3〜20%、好ましくは7〜15%である。したがって、これが鹸化時に形成されるC12石鹸の量である。一般に、C12石鹸の量がバー全体の20%以下である場合、κ相はx線に見られない。しかし、本発明者らは別々の流れを作製したので、鎖長C12以下の石鹸が濃縮され、κ相パターンが見られる。図1は、これを全体的に例示する。図2はバーマトリックスのx線であり、一般に、主なマトリックスで(一工程プロセスで作製されたバーのように、特に石鹸負荷量の総量が20%以下である場合)、どれほどκ相が見られないかを示す。図3は、κ相を形成する濃縮領域を示す。図4は、別々の流れとして添加された15%のラウリン酸ナトリウムを含むバーのx線を示す;ここで本発明者らはκ相の存在及びη相とζ相の混合を見る。
プロセスの簡単な説明
プロセスは、下に簡潔に説明される:
第1工程−主流の製造:主に非ラウリン油の苛性ソーダによる(一般にナトリウム対イオンによる)鹸化(「非ラウリン」は、パーム油、パーム油ステアリン、獣脂等に見出される長い飽和(主にC16及びC18)及び不飽和(C18:1、C18:2、微量のC18:3)脂肪酸を意味する);前に示したように、C12〜C24の広い鎖長を有する脂肪を使用してよいが、C16〜C18の鎖長の脂肪が好ましい。より高い融点の有益剤(及び/又は有益剤がバーマトリックスの全体を通して均質に分布しているかどうかが決定的でないか又は重要でない有益剤)は、この主流に別々に添加することができる。有益剤は、鹸化の後に添加されてもよい。
第2工程−脂肪酸又はラウリン油(すなわちC〜C12、パーム核油、ココナッツ油等)の選択されたアルカリ(Na及び/又はK)による鹸化;C〜C12を含む石鹸脂肪が好ましい。一般に、高融点有益剤はここでの鹸化で使用されない。より低い融点の有益剤は、温度が低い後の段階(例えば、仕上げ段階)の鹸化後に、しかし高い石鹸流れで形成された石鹸と混合する前に添加してもよいし、混合工程で添加してもよい;混合時、有益剤は濃縮領域に残る傾向がある。
第3工程−主流(鹸化された、より長鎖の石鹸と、随意のより高い融点の補助剤を含む)と第2の流れ(鹸化された、低鎖長石鹸と、随意の融点補助剤、好ましくはより低い融点補助剤のみを含む)の混合。一般に、これらの2つの流れは、1〜15分間、好ましくは2〜10分間混合される。これらの流れは、濃縮領域から供給される石鹸泡の向上に影響を及ぼさずに(本出願人らは見出した)、これよりもずっと長く混合することができる(とはいえ、これはプロセスを長引かせる)。混合は、温度プロフィールが最大50℃、好ましくは30〜45℃である仕上げライン工程(例えば、Zブレードミキサー)で行う。融点のより低い有益剤は、混合の間に(又は、述べたように、第2の流れ石鹸が形成されるが両方の流れが混合される前の、後の段階で見出されるより低い温度で)別々に添加することができる;一般に、これらは、好ましくは製品全体にわたって均質化されず、ドメイン領域からより効率的に供給される薬剤である。
「第1」及び「第2」工程は、互いに交換可能であり、それが必ずしも1つの時間系列内である必要はないことは当然理解される。
組成物及びこれを作製するためのプロセスは、下により詳細に記載される。
主なマトリックス
主な石鹸バーマトリックス(そこに領域又はドメインが散在している)は、上に考察されるように、主に分子量の大きい(longer)(C14〜C22)脂肪酸石鹸から作製され、それは一般に不溶性であり、容易に泡を生成しない。
具体的には、この領域は、バーのブリック・アンド・モルタル(brick and mortar)であり、できる限りC12以下の鎖長の石鹸を相対的に少なくするように設計されている。
より具体的には、この主な領域は、総バー容積の75〜97%のレベルを構成してよい。主なマトリックス領域は、一般に50〜85重量%、好ましくは60〜85重量%の石鹸を含み、一般にこれらの石鹸の75重量%以上、好ましくは85重量%以上、より好ましくは95重量%は、C14以上、好ましくはC14〜C24、より好ましくはC16〜C24であるべきである。これには不飽和C18などの部分不飽和鎖長が含まれる。これらの低レベルの短い鎖長で、κ相は一般に見られない(図2)。
さらに、出発材料(出発脂肪又は油)の鹸化の間に使用される対イオンは、例えば、ナトリウム又はカリウムであってよい。
一般に、主流の有益剤(特に高融点有益剤)は鹸化時に添加される。それらは、鹸化後にも添加されてよいが、主流石鹸が第2の流れと混合される前に添加されるべきである。第2の流れの石鹸と混合する場合、より低い融点の有益剤が一般に添加されてよく、これらは濃縮領域にとどまる傾向がある。
述べたように、マトリックス石鹸は、(本発明者らが「第2の流れ」と呼ぶものに添加される)本発明の領域又はドメインを構成する石鹸とは別に作製される。本発明のドメインを形成する石鹸が作製され、後にマトリックス石鹸と混合される場合、混合温度が、2つの石鹸のいずれかが形成された混合温度よりも低いことは本発明の重要な部分である。こうすることで、マトリックス石鹸は溶融せず、ドメイン石鹸と均質に混合する。一般に、これらの2つの石鹸は1〜15分間、好ましくは2〜10分間混合される。
一般に、主流石鹸は、例えば、パーム油、パーム油ステアリン等に見出される非ラウリン油及び不飽和脂肪酸を鹸化することによって作製される。
述べたように、主なマトリックスは、50〜85重量%の石鹸を含む。その上、全て上記の通り添加された皮膚軟化剤、増量剤、補助剤及び水が見出されることがある。
一般に、本出願人らはシリコーン及びその他の皮膚軟化剤を含めることがある。シリコーンには、線状、環状及び置換シリコーンが含まれる。その他の皮膚軟化剤としては、ポリオール、脂肪酸並びに植物油、鉱油及び動物油が挙げられる。
グリセリン及びソルビトールは好ましいポリオールである。好ましい脂肪酸としては、ババス脂肪酸及びラウリン酸が挙げられる。典型的な植物油としては、ヒマワリ油、トウモロコシ油及びアーモンド油が挙げられる。
軟化剤は、マトリックスの1〜15重量%を構成してよい。
タルク、デンプン、炭酸カルシウムなどの増量剤は、主なマトリックスの1〜25重量%を構成してよい。
補助剤には、香料及び染料が挙げられ、それは一般に主なマトリックスの0.1〜5重量%までを構成してよい。
ドメイン又は領域
本発明の重大な態様は、主なマトリックスを形成する石鹸とは別々に作製される、濃縮領域又はドメインを形成する石鹸の作製である。これらの領域は、主により低い分子の脂肪酸石鹸(C12、好ましくはC〜C12鎖長以下)を含む。
より具体的には、領域は、総バー容積の約3〜25%、好ましくは5〜20%、より好ましくは5〜15%を構成してよい。濃縮領域は、一般に50〜85重量%の石鹸を含み、一般に85重量%以上、より好ましくは90重量%以上がC〜C12(好ましくはC10〜C12)の石鹸である。
領域はC12以下を高いレベルで含むが、それらは一般にバーの全ての石鹸の約3〜20重量%にしかならない。しかし、C12以下が濃縮されるため、κ相が見られる(図4)。
さらに、脂肪酸を鹸化するために使用される対イオンは、ナトリウム及び/又はカリウムであってよい。特定の対イオンを使用することは、特徴を変えることに役立つ。
一般に、この工程には、脂肪酸又はラウリン油(例えば、C〜C12、パーム核油、ココナッツ油)と、ナトリウム及び/又はカリウムなどのアルカリの鹸化が含まれる。
これらの石鹸は、別々の「第2の」流れで形成される。述べたように、領域は、50〜85%の石鹸を含む。その上、皮膚軟化剤、増量剤、補助剤及び水が見出されることがある。軟化剤、増量剤及び補助剤は、上でマトリックスについて定義される通りである。1つの好ましい実施形態では、領域は、70〜90%の石鹸;1〜15%の皮膚軟化剤(特にグリセリン)、5〜15%の水及び0.1〜5%の補助剤を含む。一般に高融点有益剤は、短鎖石鹸を形成する脂肪の鹸化中に添加されないが、理論的には添加されてよい。一般に、より低い融点の有益剤は、(温度がより低い、例えば30℃〜60℃の)後の段階で第2の流れに添加される。これらは一般に、主流で作製された石鹸が組み合わされる前に添加される;2つの流れが後に組み合わされる際、より低い融点の有益剤は、第2の流れの石鹸にとどまる傾向がある。言及したように、2つの流れを実際に混合する時により低い融点の有益剤を添加することも可能である。
一度形成されると、ドメインを形成する短鎖石鹸(及び任意選択で低融点補助剤)は、主なマトリックスを形成する長鎖石鹸と混合される。具体的には、仕上げライン(ミキサー)で、ドメイン石鹸は主流石鹸と混合される。石鹸はよく混ざるが、それらは低温条件のためにミクロ構造レベルで混ざらない。ミクロドメインの形成を引き起こすのは、この極度の均質化の欠如であると考えられる。より具体的には、流れは約50℃以下、好ましくは30℃〜45℃の温度で混合されるので、低鎖長石鹸は均質になるがマトリックスの全体にわたって散在する別々のドメインとしてとどまることになる。したがって、これらのドメインは、低鎖長石鹸に関連する利益(例えば、泡立ち)、並びに上記のように任意選択で添加されたいずれの補助剤/利益補助剤の利益をも、より効果的に供給することができる。混合時間は一般に1〜15分、好ましくは2〜10分である。
第2の流れの短鎖石鹸よりも、第2の流れを固体非石鹸洗剤ビットにすることも可能であることに留意する必要がある。これらは次に、より低い仕上げライン温度で主流石鹸と混合されて非石鹸洗剤の別々の領域を形成することができる。
プロセス
前に説明したように、石鹸(主流及びドメイン)を製造するためのプロセスは、2つの工程に分けられる:
第1工程−長い炭素鎖(≧C14)だけを使用して、好ましくは苛性ソーダによって主流を生成する。不飽和脂肪酸(例えば、オレイン酸)を使用してよい。
第2工程−短い炭素鎖(C12以下)を使用して、苛性ソーダ及び/又は苛性カリによってドメインを生成する。
第1及び第2の工程は、独立に実行され、必ずしもその順序でなくてよい。
ドメインを形成する短鎖石鹸が主流と混合されるのは、仕上げラインにおいてのみである。「ドメイン石鹸」は、好ましくは、ミキサー、好ましくはZブレードミキサーに添加される最後の「成分/ベース」である。
典型的な仕上げバッチは、以下となる:
約92%の主流石鹸
1〜2%染料+香料+顔料(9〜12分間混合);
約7%のドメインを添加(1〜10分間混合)。
混合段階の後、石鹸塊をミキサーから取り外し、塊をロールミル及び押出機に通す。
押出機の後、石鹸ビレットを切断し、刻印を押す。
結果として得られるバーは、一般に、少なくとも3、好ましくは3.0〜5kgの範囲内の硬度値(40℃でmm/s(Kg)で測定)を有する。
プロトコール
硬度試験プロトコール
原理
30°円錐プローブを、石鹸/合成洗剤試料の中に指定された速度で予め決定された深さまで貫通させる。特定の深さで生じる抵抗を記録する。この数字は、降伏応力に関連があり得る。
硬度(又は降伏応力)は、多様な異なる針入度計法によって測定することができる。
装置及び設備
TA−XT Express(Stable Micro Systems)
30°円錐プローブ−Part #P/30c(Stable Micro Systems)
試料採取手法
この試験は、押出機のビレット、完成したバー、又は石鹸/合成洗剤の小片(ヌードル、ペレット、又はビット)に適用することができる。ビレットの例では、TA−XTに適した大きさ(9cm)の一片を、より大きい試料から切り抜くことができる。TA−XTに取り付けるには小さすぎるペレット又はビットの例では、圧縮用取付け具を使用していくつかのヌードルで、試験されるのに十分な大きさの1つのパスティル(pastille)を作る。
手順
TA−XT Expressの設置
これらの設定は1度だけシステムに挿入する必要がある。それは保存され、計測器が再びオンにされる時にはいつでもロードされる。
試験方法の設定
MENUを押す
TEST SETTINGSを選択する(1を押す)
TEST TPEを選択する(1を押す)
オプション1(CYCLE TEST)を選択し、OKを押す
MENUを押す
TEST SETTINGSを選択する(1を押す)
PARAMETERSを選択する(2を押す)
PRE TEST SPEEDを選択する(1を押す)
2(mm s−1)と入力し、OKを押す
TRIGGER FORCEを選択する(2を押す)
5(g)と入力し、OKを押す
TEST SPEEDを選択する(3を押す)
1(mm s−1)と入力し、OKを押す
RETURN SPEEDを選択する(4を押す)
10(mm s−1)と入力し、OKを押す
DISTANCEを選択する(5を押す)
石鹸ビレットの15(mm)と入力するか、石鹸パスティルの3(mm)と入力し、OKを押す
TIMEを選択する(6を押す)
1(CYCLE)と入力する
較正
プローブをプローブキャリヤーの上にネジで留める。
MENUを押す
OPTIONSを選択する(3を押す)
CALIBRATE FORCEを選択する(1を押す)−計測器は、較正プラットフォームが明白であるか確認するようユーザーに求める。
OKを押して続け、計測器の準備ができるまで待つ。
2kgの較正重りを較正プラットフォームの上に載せ、OKを押す
「calibration completed」のメッセージが表示されるまで待ち、プラットフォームから重りを除去する。
試料測定
ビレットを試験プラットフォームの上に載せる。
UP又はDOWNの矢印を押すことによって、ビレットの表面の近くに(ビレットに触れずに)プローブを置く。
RUNを押す
標的距離での読み取り値(g又はkg)を得る(終わり)。
実行を行った後、プローブはその元の位置に戻る。
試料をプラットフォームから取り出し、その温度を記録する。
計算及び結果の表現
出力
この試験からの出力は、試料温度測定と組み合わせた、標的貫通距離での「力」(R)(単位はg又はkg)としてのTA−XTの読み出しである。
力の読み取り値は、式2に従って伸長応力に変換することができる。
TX−XT読み出しを伸長応力に変換するための式は、
Figure 0006797905
であり、式中、
σ=伸長応力
C=「拘束係数」(30°の円錐で1.5)
Gc=重力加速度
A=円錐の投影面積=
Figure 0006797905
d=貫通深さ
θ=円錐角
である。
15mm貫通の30°円錐についての式2は、
Figure 0006797905
となる。
この応力は、針入度計で測定される静的降伏応力と等しい。
伸長率は、
Figure 0006797905
であり、式中、
ε=伸長率(s−1)
V=円錐速度
である。
1mm/sで移動する30°円錐について、ε=0.249s−1である。
温度補正
皮膚洗浄バー配合物の硬度(降伏応力)は、温度感受性である。有意義な比較のために、標的距離での読み取り値(R)は、次式に従って標準的な基準温度(通常40℃)に補正されるべきである:
Figure 0006797905
式中、R40=基準温度(40℃)での読み取り値
=温度Tでの読み取り値
α=温度補正の係数
T=試料を分析した温度
である。
補正は伸長応力に適用することができる。
生データ及び加工データ
最終結果は、温度補正した力又は応力であるが、計測器の読み取り値と試料温度も記録することが望ましい。
石鹸泡容積プロトコール
定義:
石鹸泡容積は、所与石鹸バー組成物が標準条件に付された場合に捕捉することのできる空気の量に関連する。
原理:
石鹸泡は、標準化された方法を用いる訓練された技術者によって生成される。石鹸泡は
収集され、その容積が測定される。
装置及び設備:
洗い桶−オペレータの作業能力10リットルにつき1個
石鹸水切り皿−試料につき1個
外科医用ゴム手袋−英国規格BS 4005又は同等物(メモ14iiを参照)。
全ての技術者に適合するサイズの範囲
背の高い円筒形のガラスビーカー−400mL、25mL目盛付(Pyrex n°1000)
温度計−水銀型は承認されない
ガラス棒−ガラスビーカーの中で撹拌できるほど十分に長い
手順:
タブレットの前処理:
普通の石鹸でよく洗浄した、指定された種類の手袋を装着して、試験手順を開始する少なくとも10分前に全ての試験タブレットを洗い流す。これは、タブレットを流水下で20回、180°までねじることによって最もうまく行われる。
約5リットルの既知硬度の水を指定された温度(メモ参照)で桶に入れる。各々の石鹸バーを試験した後に水を交換する。
タブレットを取り、それを水に浸して、それを取り除く。タブレットを15回、両手で180°ねじる。タブレットを石鹸皿の上に置く(メモ参照)。
石鹸泡は、手袋に残っている石鹸によって生成する。
段階1:片方の手の上をもう片方の手で(2本の手は同じ方向)同様に10回こする(メモ参照)。
段階2:左手で右手をつかみ(又はその逆)、石鹸泡を指の先端まで移動させる。
この作業を5回繰り返す。
段階1及び2を繰り返す
石鹸泡をビーカーの中に入れる。
石鹸泡生成の全手順を段落iiiから、もう2回繰り返し、全ての石鹸泡をビーカーの中で組み合わせる。
組み合わせた石鹸泡を穏やかにかき混ぜて大きな空気ポケットを放出する。容積を読み取り、記録する。
計算及び結果の表現:
得られたデータは、試験下の各バーについての6つの結果からなる。
データ分析は、二元配置分散分析と、それに続くテューキーの検定(Turkey’s Test)によって実行する。
オペレータ:
経験豊かな技術者は、±10%よりも良好な石鹸泡容積を繰り返すことができるはずである。
技術者は、一連の異なる配合物の種類から再現可能な結果を得ることができるようになるまで訓練されることが推奨される。
メモ:
水温は、局地的条件を反映するべきである、或いは試験は2以上の温度で行われてよい。一度決定されると、水温は固守されるべきであり、結果とともに報告されるべきである。
同様に、水の硬度は一連の試験について一定であるべきであり、記録されるべきである。可能であれば、適した水の硬度を忠実に守ることが好ましい。
摩擦/ねじりの回数を一定に保つことが重要である。
[実施例]
石鹸泡及びレオロジー結果(硬度)を比較するために、本出願人らは以下のバーを作製した:
Figure 0006797905
バー1〜7は、本発明に従って作製された。この際、主流石鹸ベースは、より短鎖の石鹸の流れから別々に作製され、2つの流れを組み合わせて、30〜45℃の範囲の温度で混合された。比較A及びBでは、全ての鎖長の油脂を同時に鹸化した。
本出願人らは次に、様々なバーの石鹸泡容積とレオロジー結果を比較した:
Figure 0006797905
上のデータから分かるように、別々の領域又はドメインが石鹸マトリックスに散在する本発明のバーは、石鹸油脂が完全に鹸化される比較バーに匹敵する硬度値を有する。このことは、バーが高スループット製造で押出及び成形され得ることを保証する。一般に、硬度値は、15mm貫通時に40℃で測定して3.00〜5.00kgの範囲である。これは、バーの工業生産の許容範囲である。
さらに、バーは、十分な製造硬度を維持すると同時に、比較バーと比較して非常に向上した石鹸泡容積を提供する。具体的には、比較バーの石鹸泡容積は、190〜220ミリリットルであるのに対して、本発明のバーの石鹸泡は、266〜355ミリリットルの範囲であった。理論に縛られることを望むものではないが、ドメイン又は領域でのより低い鎖長の石鹸の供給により、バーが低鎖長石鹸の起泡作用を最大化し、それによりバー全体の起泡値を増加させると考えられる。

Claims (8)

  1. 総バー容積の75〜97%の、長鎖石鹸を含むマトリックスと、総バー容積の3〜25%の、前記マトリックスに散在する領域であって、前記領域が短鎖石鹸を含む、石鹸バー組成物を作製するための方法であって:
    長鎖石鹸が、C14以上の鎖長を有する石鹸分子を意味し、前記マトリックス中の石鹸分子の75%以上が長鎖石鹸であり;
    短鎖石鹸が、C12以下の鎖長を有する石鹸分子を意味し、前記領域中の石鹸分子の75%以上が短鎖石鹸であり;
    前記方法が、:
    a)75%以上がC14以上の鎖長を有する脂肪材料を鹸化する工程と;
    b)75%以上がC12以下の鎖長を有する脂肪材料を鹸化する工程と;
    c)流れ(a)から形成された石鹸と、流れ(b)から形成された石鹸を、30℃〜50℃の温度で組み合わせる工程と;
    d)組み合わせた石鹸混合物を押出してバーを形成する工程と
    を含む、方法。
  2. 有益剤が、工程(a)及び/又は工程(b)の鹸化の間に添加される、請求項1に記載の方法。
  3. 融点が30℃〜50℃の1又は複数の有益剤が、ステップ(b)の鹸化後に30℃〜60℃の温度で添加されるか;又は、ステップ(c)において30℃〜50℃の温度で添加される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 第1及び第2の工程で形成された両方の石鹸が、ステップ(c)で組み合わされ、1〜15分間混合される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 石鹸が、最終のマトリックスの50〜85%を形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 石鹸が、前記散在する領域の50〜85%を形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記マトリックスが、皮膚軟化剤、増量剤、補助剤及び水をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記工程d)で形成されたバー中のC12以下の石鹸の総レベルが3〜20%である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
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