JP6795670B1 - テトラペプチド化合物及びその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規テトラペプチド化合物の提供とその機能、活性の利用。【解決手段】植物発酵液から新規で有用な新規ピログルタミルテトラペプチド化合物を単離した。この化合物は、関節炎の症状を緩和することができるため、飲食品、サプリメント、医薬品等の様々な用途、形態での利用が期待される。【選択図】図1

Description

本発明は、分子量486のピログルタミルテトラペプチド、およびそのペプチドの機能、活性に基づく発明に関する。
生体は、細菌、ウィルス等の感染、腫瘍、細胞傷害などに対して、免疫反応によって対応する。免疫反応は免疫細胞間で放出されるインターロイキン(以下、ILと略す)やTNFαといったサイトカインが担っている。
現在、ILに属するサイトカインは30種類以上が知られているが、その一つであるIL−10は抗炎症性サイトカインと言われており、炎症性サイトカインの作用を抑制し、過剰な免疫反応を鎮静化する機能を有する。詳細について以下に示す(特許文献1より引用)。
(1)単球/マクロファージからのIL−1、IL−6、IL−8、IL−12、TNFα産生を抑制する。
(2)単球/マクロファージからのIL−1レセプターアンタゴニストの産生を増強する。
(3)単球/マクロファージのシクロオキシゲナーゼ2(以下、COX2と略す)産生を抑制する。COX2は痛みの元となるプロスタグランジンE2(以下、PGE2と略す)の産生に関与する酵素であることから、痛みを軽減する作用を有する。
(4)マクロファージのMHC class II分子、CD86分子の発現を抑制する。
(5)T細胞の増殖を抑制する。
(6)T細胞からのIL−2、IFN−γ、IL−4、IL−5産生を抑制する。
(7)IL−10産生調節性T細胞を誘導する。
(8)好酸球、好中球、マスト細胞からのIL−1、IL−8、TNFα産生を抑制する。
(9)NK細胞の細胞傷害活性を増強する。
細胞性免疫反応の後、液性免疫反応が起こる。生物には生体内に侵入した細菌やウィルス、花粉、特定のタンパクなどの抗原を体外へ排出するための機能として、抗原抗体反応が備わっている。生体内に侵入した抗原を感知したマクロファージ等の抗原提示細胞が提示した抗原に対し、B細胞がIgG、IgE、IgM、IgAといった抗体を生成する。抗体は抗原と結合し、抗原を弱毒化させ、生体外へ便として排出したりなどして生体を守る。IL−10は抗原提示細胞の抗原提示能を弱めて、過剰な免疫反応による疾患、具体的にはIgG抗体が関与するリウマチ様関節炎、IgE抗体が関与するアレルギー性鼻炎又はアトピー性皮膚炎などを予防したり、改善したりする(非特許文献1)。更に、IL−10は抗体産生細胞であるB細胞を成熟させ、抗体産生を促進する作用を有する(非特許文献2)。即ち、IgA等の抗体産生を促進することから、生体防衛能を高める効果がある。
以上のことから、生体内のIL−10産生促進効果によって、自己免疫疾患、炎症性腸疾患、慢性リウマチ、アレルギー、乾癬、アトピー性皮膚炎、臓器移植時の拒絶反応、ウィルス感染、腫瘍、慢性腸炎など、多くの疾患の予防、治療に利用可能になるものと期待されている。
また、ヒトの体内には少なくとも24種類のタンパク分解酵素(マトリックスメタロプロテアーゼ;以下、MMPと略す)が存在することが分かっている。その中で、軟骨を分解する酵素は数種類確認されている。
変形性膝関節症は関節を使いすぎた際に生じる摩擦によって、MMPによる軟骨の破壊と修復のバランスが崩れることで起こる。体重などの負担がかかりやすい膝関節や股関節など、限られた関節にだけ症状が起こるのが特徴である。病気が進行すると痛みや変形が悪化する。変形性関節症はMMP−13の増加と関連が深い。
一方、関節性リウマチは免疫の異常によって多くのMMPが放出されて発症するが、特にMMP−13が関与しており、リウマチモデルラットにMMP−13抑制剤を投与するとリウマチの進行を抑制したと報告されている。
以上のことから、変形性膝関節症及び関節性リウマチのいずれにもMMP−13が関与している(特許文献2、非特許文献2〜4)。
なお、MMPの産生量が増加することにより、炎症性細胞の浸潤が活発に起こり、がん細胞の転移又は血管新生が起こる。逆に、炎症性細胞の浸潤が抑制される場合はMMPの産生が抑制されていると考えられる(非特許文献5)。
特許第5019961号 特開2019−123679号公報
Eur. J. Immunol. (2006) Vol.36, No.12, p.3227-3237 Biosci. Biotechnol. Biochem. (2004) Vol.68, No.11, p.2279-2284 Ann. Rheum. Dis. (2010) Vol.69, No.9, p.898-902. doi:10.1136/ard.2008.106021 Drug Dev. Res. (2019 May) Vol.80, No.3, p.360-367. doi: 10.1002/ddr.21510. Epub 2019 Jan 4 J. Electrophoresis (2003) Vol.47, p.111-116
本発明は、生体内のIL−10産生促進効果及びMMP−13産生抑制効果によりもたらされる関節炎を抑制するための組成物、関節炎の治療、予防又は緩和用組成物の提供をその課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、植物発酵液からの既知の有用な画分や、新たな精製工程による画分を種々作成して研究を行った結果、植物発酵液に含まれる新規テトラペプチド化合物を同定し、この化合物がIL−10産生促進効果及びMMP−13産生抑制効果を有する物質であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、以下(1)のテトラペプチド化合物またはその塩、(2)のIL−10産生促進剤、(3)のMMP−13産生阻害剤に係るものである。
(1)pyro−Glu−Pro−Tyr−Proで表されるアミノ酸配列からなるテトラペプチド化合物又はその薬学的に許容される塩。
(2)上記(1)に記載のテトラペプチド化合物またはその塩を有効成分とする、IL−10産生促進剤。
(3)上記(1)に記載のテトラペプチド化合物またはその塩を有効成分とする、MMP−13産生阻害剤。
また、本発明は、以下(4)〜(9)の関節炎を抑制するための組成物に係るものである。
(4)上記(1)に記載のテトラペプチド化合物またはその塩を含有し、炎症性のサイトカインの産生を低下させることで関節炎を抑制するための組成物。
(5)マクロファージのCOX2産生を低下させることでPGE2の産生を抑制する、上記(4)に記載の関節炎を抑制するための組成物。
(6)抗原提示細胞の抗原提示能を弱めて、過剰な免疫反応による疾患を予防しまたは改善する、上記(4)に記載の関節炎を抑制するための組成物。
(7)関節炎の治療、予防、または緩和用である、上記(4)ないし(6)のいずれかに記載の関節炎を抑制するための組成物。
(8)飲食品、サプリメント、または医薬品の形態である、上記(4)ないし(7)のいずれかに記載の関節炎を抑制するための組成物。
本発明のピログルタミルテトラペプチド化合物を経口摂取させたリウマチモデルラットを用いた動物実験において、本発明のピログルタミルテトラペプチド化合物はラットの浮腫スコアを改善させ、炎症性細胞浸潤を抑制した。本発明のピログルタミルテトラペプチド化合物は、発酵食品の材料由来であるため毒性もなく、経口摂取により関節炎の緩和が期待できる飲食品、サプリメント、または医薬品としての活用が期待される。
ヒト急性白血病由来T細胞株にピログルタミルテトラペプチドを添加し、IL−6で刺激した際のIL−10 mRNA発現量を示す。 ヒト急性白血病由来T細胞株にピログルタミルテトラペプチドを添加し、IL−6で刺激した際に発現したIL−10タンパク質のウェスタンブロッティング法により撮影した写真を表す。 図2の写真を画像解析して数値化したタンパク質量を表す。 ヒト軟骨肉腫細胞株にピログルタミルテトラペプチドを添加し、IL−1βで刺激した際のMMP−13 mRNA発現量を示す。 ヒト軟骨肉腫細胞株にピログルタミルテトラペプチドを添加し、IL−1βで刺激した際に発現したMMP−13タンパク質のウェスタンブロッティング法により撮影した写真を表す。 図2の写真を画像解析して数値化したタンパク質量を表す。 リウマチモデルラットの各浮腫スコアの参考写真を示す。 リウマチモデルラットにピログルタミルテトラペプチドを含む食品を投与した際の浮腫スコアを示す。 リウマチモデルラットにピログルタミルテトラペプチドを含む食品を投与した際の血清中IgG抗体量を示す。 リウマチモデルラットにピログルタミルテトラペプチドを含む食品を投与後の、足根部組織病理写真を示す。 膝関節に違和感をもつヒトにピログルタミルテトラペプチドを摂取させた際の膝関節痛アンケート結果を示す。
本発明において、ピログルタミルテトラペプチド化合物には、本発明のピログルタミルテトラペプチド化合物が有するIL−10産生促進活性またはMMP−13産生阻害活性を失わない範囲で、その薬学的に許容される塩、または誘導体も含まれる。薬学的に許容される塩としては、ナトリム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、硫酸塩、硝酸塩などの有機酸塩、フッ化水素酸塩、塩酸塩などのハロゲン化水素酸塩が例示される。誘導体としては、エステル化、アミド化、アシル化、カルボキシル化、ホルミル化、ホスホリル化、リン酸化、グリコシル化が例示される。
本発明のpyro−Glu−Pro−Tyr−Proで表されるアミノ酸配列からなるピログルタミルテトラペプチド化合物の構造式を、下記[式1]に示す。
本発明のピログルタミルテトラペプチド化合物pyro−Glu−Pro−Tyr−Proは、配列番号では、配列番号1:Glu−Pro−Tyr−Proと表される。本発明のピログルタミルテトラペプチド化合物は、例えば固相合成法で鎖状ペプチドを合成する公知の方法でGlu−Pro−Tyr−Proを化学合成し、N末端のグルタミン酸残基が自発的に縮合してピログルタミン酸となることで製造することができる。
本発明のピログルタミルテトラペプチド化合物pyro−Glu−Pro−Tyr−Proは、植物発酵液から精製した分子量486のサンプルに対して、i)LC/MSによる分子量と分子式の決定、ii)アミノ酸分析、iii)構成アミノ酸の絶対立体配置、およびiv)LC/MS/MS分析により同定された。
i)LC/MSによる分子量と分子式の決定
HPLC分析で1ピークとなり、MS分析で分子量が486であった精製サンプルの精密質量による推定分子式は、C2430であった。
ii)アミノ酸分析
試料2mgを秤量し6N塩酸を加えて密封し、105℃で11時間加熱した。その後、減圧乾固し、0.1N塩酸に再溶解させ100mLとし、アミノ酸分析を行った。HPLC装置は、Nexera(島津製作所製)、検出器は、蛍光検出器RF−20Axs (島津製作所製)を用いた。
その結果、チロシン:グルタミン酸:プロリン=1:1:2で検出された。
iii)構成アミノ酸の絶対立体配置
改良Marfey法を行った。試料5mgを秤量し6N塩酸1mLを加えて密封し、105℃で16時間加熱した。その後、減圧乾固してから、蒸留水200μLに再溶解させた。サンプル50μLに1M NaHCO 20μL及び1% Nα−(5−Fluoro−2,4−dinitrophenyl)−L−leucinamide (L−FDLA)アセトン溶液100μLを加え、37℃で1時間加温した。加温後、1M塩酸20μLを加え冷却し、アセトニトリル390μLで希釈して、HPLC分析に供した。
結果は、分子量486を構成しているアミノ酸は、全てL体であった。
iv)LC/MS/MS分析
構成アミノ酸がどのように結合しているのかを調べるために、LC/MS/MS分析を行った。HPLC装置は、Waters社製ACQUITY UPLCを用いた。質量分析装置は、Waters社製Synapt G2−S型を用いた。
フラグメント解析の結果、N末端にピログルタミン酸を有するpyro−Glu−Pro−Tyr−Proの可能性が考えられた。次に、合成品も同様にフラグメント解析を行い、精製品のフラグメントと比較した。その結果、LCのリテンションタイムは同じであり、かつLC/MS/MSのフラグメントも同じパターンであったことから、分子量486を構成するアミノ酸は、pyro−Glu−Pro−Tyr−Proであることが判明した。
本発明のピログルタミルテトラペプチド化合物は、関節炎の予防、緩和や治療のための飲食品、サプリメント、医薬品として様々な形態で利用することができる。「飲食品」には、通常の飲食品の他、経腸栄養食品、栄養機能食品、機能性表示食品、特定保健用食品などが含まれる。また、「飲食品」および「医薬品」の対象はヒトに限定されるものではなく、ペットや家畜のような哺乳動物用の医薬品および飼料も包含する。
本発明のピログルタミルテトラペプチド化合物は、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤などの経口用組成物とすることができる。種々の剤型の経口用組成物を製造するための各種成分および製造法は、サプリメント、医薬品等の製造分野で公知な成分から適宜選択することができる。本実施形態の錠剤には、錠剤を形成するための各種の添加剤として、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、その他の栄養素等を添加することができる。
経口用以外にも注射剤、点滴剤、外用剤、座薬剤等の非経口用投与剤としての各種製剤形態で使用できる。また、製剤中の本発明のピログルタミルテトラペプチド化合物の有効投与量は、治療もしくは予防すべき症状の程度、投与対象の状態(年齢、性別を含む)、剤型などによって異なる。ピログルタミルテトラペプチド化合物の1日投与量が約10〜1000mg程度になる量とすればよい。
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
本発明のピログルタミルテトラペプチド化合物の急性Tリンパ芽球性細胞におけるIL−10遺伝子の発現抑制活性について試験した。
[IL−10 mRNA発現量のリアルタイムPCRでの測定]
急性Tリンパ芽球性細胞(TALL−1)をウシ血清10%含有RPMI培地にて8×10cells/mLに調製した。24ウェルプレートに20,000cells/cmとなるように播種し、ピログルタミルテトラペプチド溶液(溶媒は0.01%ジメチルスルホキシド溶液とした)及びIL−6,Human(sigma)溶液を添加し、37℃、CO濃度5%で72時間培養を行った。
72時間後に、TRIzol(登録商標) Plus RNA Purification Kit 50preps(Thermo Fisher SCIENTIFIC)を用い、細胞から総RNAを抽出した。SuperScript IV VILO Master Mix with ezDNase Enzyme(Thermo Fisher SCIENTIFIC)を用い、cDNAを合成した。その後、FastStart Essential DNA Green Master(Roche)にて調製したサンプルを、LightCycler 96 システムを用いて、IL−10 mRNA発現量の測定を行った。内部標準はGAPDHを用いた。mRNA発現量はGAPDH mRNA発現量に対する割合として求めた。
〈GAPDHプライマーセット〉
Fw:5’−GGTGAAGGTCGGAGTCAACGGA−3’
Rv:5’−GAGGGATCTCGCTCCTGGAAGA−3’
〈IL−10 プライマーセット〉
Fw:5’−GCCTAACATGCTTCGAGATC−3’
Fw:5’−GCCTAACATGCTTCGAGATC−3’
結果を図1に示す。コントロールは0.01%ジメチルスルホキシド溶液であり、本発明のピログルタミルテトラペプチドは、IL−10 mRNAの発現を、コントロールに比べて促進した。
本発明のピログルタミルテトラペプチド化合物の急性Tリンパ芽球性細胞におけるIL−10タンパク質の発現抑制活性について試験した。
[IL−10タンパク質発現量のウェスタンブロッティング法による確認]
ウェスタンブロッティングの試薬は全てThermo Fisher SCIENTIFICのものを使用した。
急性Tリンパ芽球性細胞(TALL−1)をウシ血清10%含有RPMI培地にて8×10cells/mLに調製した。24ウェルプレートに20,000cells/cmとなるように播種し、ピログルタミルテトラペプチド溶液(溶媒は0.01%ジメチルスルホキシド溶液とした)及びIL−6,Human(sigma)溶液を添加し、37℃、CO濃度5%で72時間培養を行った。
Protease and Phosphatase inhibitorを添加したM−PER Reagentにてタンパクを抽出した。
抽出したタンパクの量をBrandford Assayにて調整し、nano dropにて測定した(比色法)。
タンパク液にBolt LDL Sample Buffer及びReducing Agentを添加して70℃、10分間加熱処理を行った。Bolt MES SDS Running Bufferと15wellゲルを用い、電気泳動を行った(200V,22分間)。
ゲルを取り出して、iBlot2ドライブロッティングシステムによって転写を行った。
iBind Western Systemを用いて、GAPDH及びIL−10タンパクの抗原抗体反応を行った。
メンブレンをMilliQ水で洗い、Super Signak WEST Duraに含まれる2種類の試薬をそれぞれ1.0mLずつ混合して、メンブレンの入ったタッパーに入れ、5分間反応させた。
メンブレンをBIO RADのchemi DocXRS+システムに挿入して、イメージングを行った。
SDSの結果を図2に示す。コントロールは0.01%ジメチルスルホキシド溶液であり、左レーンから、0.01%ジメチルスルホキシド溶液;IL−6(−)、0.01%ジメチルスルホキシド溶液;IL−6(+)、0.03μg/mLピログルタミルテトラペプチド溶液;IL−6(+)、0.3μg/mLピログルタミルテトラペプチド溶液、3μg/mLピログルタミルテトラペプチド溶液;IL−6(+)であり、タンパクレベルにおいても、本発明のピログルタミルテトラペプチド化合物はIL−10タンパク質の発現を促進することが確認された。
画像解析ソフトによりGAPDH及びIL−10タンパクの検出点を数値化し、グラフ化した結果、mRNAの発現量のグラフと相関性が高い結果となり、濃度依存的に発現が増加した(図3)。
ヒト軟骨肉腫細胞に本発明のピログルタミルテトラペプチド化合物を添加して、MMP−13 mRNA遺伝子の発現量に与える影響を試験した。
[MMP−13 mRNA発現量のリアルタイムPCRでの測定]
[使用細胞] ヒト軟骨肉腫細胞(OUMS−27)
[培地] DMEM培地+FBS1%+P.S.1%
[手順]
24well plateに8×10cells/mL(20,000cells/cm)の密度で細胞を播種し、培養を行った(37℃、5%CO、加湿)。48時間後に、ピログルタミルテトラペプチド溶液及びInterleukin−1β,Human(sigma)溶液を添加し、培養を行った(37℃、5%CO、加湿)。
24時間後に、TRIzol(登録商標) Plus RNA Purification Kit 50preps(Thermo Fisher SCIENTIFIC)を用い、細胞から総RNAを抽出した。SuperScript IV VILO Master Mix with ezDNase Enzyme(Thermo Fisher SCIENTIFIC)を用い、cDNAを合成した。その後、FastStart Essential DNA Green Master(Roche)にて調製し、LightCycler 96 システムを用いて、リアルタイム−PCR法にて、MMP−13 mRNA発現量の測定を行った。内部標準はGAPDHを用いた。mRNA発現量はGAPDH mRNA発現量に対する割合として求めた。
〈GAPDHプライマーセット〉
Fw:5’−GGTGAAGGTCGGAGTCAACGGA−3’
Rv:5’−GAGGGATCTCGCTCCTGGAAGA−3’
〈MMP−13- プライマーセット〉
Fw:5’−CCAGTCTCCGAGGAGAAACA−3’
Rv:5’−AAAAACAGCTCCGCATCAAC−3’
結果を図6に示す。本発明のピログルタミルテトラペプチドは、MMP−13 mRNAの発現を、陽性コントロールに比べて抑制した。
実施例3と同様に、ヒト軟骨肉腫細胞にピログルタミルテトラペプチドを添加し、ウェスタンブロッティング法にて、MMP−13タンパク質の発現に与える影響を確認した。
なお、ウェスタンブロッティングの試薬は全てThermo Fisher SCIENTIFICのものを使用した。
サンプル添加までは実施例3のmRNA発現量確認試験と同様に行った。
サンプル溶液を含む培地での培地交換を24時間ごとに4日間行った。
Protease and Phosphatase inhibitorを添加したM−PER Reagentにてタンパクを抽出した。
抽出したタンパクの量をBrandford Assayにて調整し、nano dropにて測定した(比色法)。
タンパク液にBolt LDL Sample Buffer及びReducing Agentを添加して70℃、10分間加熱処理を行った。Bolt MES SDS Running Bufferと15wellゲルを用い、電気泳動を行った(200V,22分間)。
ゲルを取り出して、iBlot2ドライブロッティングシステムによって転写を行った。
iBind Western Systemを用いて、GAPDH及びIL−10タンパクの抗原抗体反応を行った。
メンブレンをMilliQ水で洗い、Super Signak WEST Duraに含まれる2種類の試薬をそれぞれ1.0mLずつ混合して、メンブレンの入ったタッパーに入れ、5分間反応させた。
メンブレンをBIO RADのchemi DocXRS+システムに挿入して、イメージングを行った。
コントロールは0.01%ジメチルスルホキシド溶液であり;IL−6(−)、0.01%ジメチルスルホキシド溶液;IL−6(+)、0.01μg/mLピログルタミルテトラペプチド溶液;IL−6(+)、0.1μg/mLピログルタミルテトラペプチド溶液、1μg/mLピログルタミルテトラペプチド溶液;IL−6(+)である。
結果を図5に示す。本発明のピログルタミルテトラペプチドは、MMP−13タンパク質の発現を、陽性コントロールに比べて、抑制した(図6)。
リウマチモデルラットにピログルタミルテトラペプチドを含む食品を投与し、リウマチ発症初期の症状である浮腫を抑制する効果、及び軟骨破壊の抑制効果について試験を行った。
DA/Slcラット(雌)、6匹×4群に対し、普通飼料を自由摂取させながら、各試験試料を5ml/kg b.w./dayずつ30日間、強制経口投与した。
対照区;蒸留水 5ml/kg b.w./day
ピログルタミルテトラペプチド低用量群(10mg/kg b.w./day)
ピログルタミルテトラペプチド中用量群(20mg/kg b.w./day)
ピログルタミルテトラペプチド高用量群(40mg/kg b.w./day)

投与14日目にウシ軟骨由来II型コラーゲン3mg/mL濃度溶液を尾根部の左右に対し0.05mLずつ注射し、関節炎を惹起した。
関節炎評価日は惹起から11〜14日目とした。
浮腫の程度は関節炎スコアリング(下記表1参照)によって評価した。また、血清抗II型コラーゲンIgG抗体量を測定した。図7に参考写真を示す。
試験の結果、ピログルタミルテトラペプチド20mg/kg b.w.および40mg/kg b.w.の投与により、対照群に比べ、浮腫を有意に抑制した(表2および図8)。
また、該投与群において、血清中のIgG抗体量が対照群に比べ低値を示した(図9)。
ウシ軟骨由来II型コラーゲン惹起14日後に、全動物の左右の足根についてHE染色を行って標本とし、病理組織学的検査を行った。好中球を主体とする多形核白血球と、比較的少数のリンパ球及びマクロファージ等の単核細胞の、全ての炎症性細胞の浸潤の程度を総合的に評価した。その結果、対照群に比べ、ピログルタミルテトラペプチド高容量投与群で炎症性細胞浸潤が抑制された(図10)。従って、MMP−13産生が抑制されたことが明らかとなった。
膝関節に違和感をもつヒトにおける関節への影響を確認した。
[試験デザイン]プラセボ対照二重盲検比較試験
[被験者]膝関節に痛み・違和感がある40歳以上69歳以下の日本人男性及び女性(健常者)
[選択基準]膝関節可動域検査(ゴニオメーター)で評価が悪い者
JKOM膝関節痛アンケートが低値の方(原則45点以下)を基準とする。
JOAでスコアが高値の方(70点以上 但し100点を除く)を基準とする。
[試験食品]
試験群・・・ピログルタミルテトラペプチドを含むハードカプセル(ピログルタミルテトラペプチド15mg/3粒/日)
対照群・・・プラセボ食品(ピログルタミルテトラペプチドの代わりにデキストリンを配合した同一形状のハードカプセル)
[用法用量]:夕食後30分以内に1日1回3粒摂取する。
[観察項目]
1)主要評価項目
(1)JKOM(VAS含む)膝関節痛アンケート調査(0から100までの数値)
スコアが高い(大きい)程、膝関節の痛みやこわばりが強く、QOLが低い。
(2)JOA調査 日本整形外科学会が作成した調査票。医師が問診してスコア化した。
(3)膝関節可動域検査 ゴニオメーターによる屈曲・伸展度の評価。
(4)高感度CRP 血清中のCRPを測定し、炎症反応の程度を評価した。
2)副次評価項目
安全性(血液・血圧・体重)
[摂取期間]2019年2月中旬から5月中旬の12週間
[観察時期]摂取前、摂取6週後、摂取12週後
試験計画書内容の被験者選択基準に該当する健常成人被験者男性14例、女性28例の合計42例が参加した。
除外基準に抵触する以下の被験者を除外した。試験期間中の左大腿骨頸部骨折による同意撤回1名、定期的な鎮痛薬服用が判明した2名、試験期間中に生活習慣の変更があった1名を除外である。その他重篤な副作用の報告はなく、食品摂取期間に摂取コンプライアンス80%を違反する者もいなかったため、年齢42歳〜66歳(平均年齢52.3歳)の男女、計38名を解析対象とした。
JKOM(膝関節痛アンケート調査)において、ピログルタミルテトラペプチド摂取群では膝の痛み・こわばりが12週目に有意に低下した(図11)。

Claims (8)

  1. pyro−Glu−Pro−Tyr−Proで表されるアミノ酸配列からなるテトラペプチド化合物又はその薬学的に許容される塩。
  2. 請求項1に記載のテトラペプチド化合物またはその塩を有効成分とする、インターロイキン10産生促進剤。
  3. 請求項1に記載のテトラペプチド化合物またはその塩を有効成分とする、マトリックスメタロプロテアーゼ13産生阻害剤。
  4. 請求項1に記載のテトラペプチド化合物またはその塩を含有し、炎症性のサイトカインの産生を低下させることで関節炎を抑制するための組成物。
  5. マクロファージのシクロオキシゲナーゼ2産生を低下させることでプロスタグランジンE2の産生を抑制する、請求項4に記載の関節炎を抑制するための組成物。
  6. 抗原提示細胞の抗原提示能を弱めて、過剰な免疫反応による疾患を予防しまたは改善する、請求項4に記載の関節炎を抑制するための組成物。
  7. 関節炎の治療、予防、または緩和用である、請求項4ないし6のいずれかに記載の関節炎を抑制するための組成物。
  8. 飲食品、サプリメント、または医薬品の形態である、請求項4ないし7のいずれかに記載の関節炎を抑制するための組成物。






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