JP6794913B2 - 歯車伝動装置 - Google Patents

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Description

この発明は、遊星歯車機構を用いて動力を伝達する歯車伝動装置に関するものである。
特許文献1には、車両に搭載されるモータ駆動ユニットの一例が記載されている。この特許文献1に記載された駆動歯車装置は、いわゆるトルクベクタリング装置であって、駆動用モータの出力トルクを左右の駆動輪に分配して伝達する差動機構、および、差動機構から左右の駆動輪へ伝達するトルクの分配率を制御する制御用(差動用)モータによって構成されている。差動機構は、2個のシングルピニオン型の遊星歯車機構を備え、各遊星歯車機構におけるサンギヤが、それぞれ、回転軸の両端に連結されている。回転軸の中央部には、駆動用モータからトルクが入力される入力ギヤが設けられている。各リングギヤは、互いに反対方向へ回転するように、二個の軸部材で構成された反転機構を介して連結されている。また、一方のリングギヤに、制御用モータが連結されている。そして、各キャリアに、それぞれ、駆動軸を介して左右の駆動輪が連結されている。
一方、従来、遊星歯車機構を用いて減速または増速を行う歯車伝動装置が知られている。さらに、高減速比または高増速比を得るために、複数の遊星歯車機構を組み合わせた複合遊星歯車機構も知られている。そのような遊星歯車機構を用いた歯車伝動装置の一例が特許文献2に記載されている。この特許文献2に記載された歯車伝動装置は、高減速機構として、第1遊星歯車機構と第2遊星歯車機構との二組の遊星歯車機構を組み合わせた複合遊星歯車機構から構成されている。第1遊星歯車機構は、互いに差動回転する三つの回転要素として、第1サンギヤ、第1リングギヤ、および、第1キャリアを有している。同様に、第2遊星歯車機構は、互いに差動回転する三つの回転要素として、第2サンギヤ、第2リングギヤ、および、第2キャリアを有している。第1サンギヤと第2サンギヤとが、同一の回転軸線上で連結されている。第1リングギヤと第2リングギヤとが、共用されて一体化されている。第2キャリアは、静止フレームに回転不可能に固定されている。そして、第2サンギヤおよび第1サンギヤが入力軸となり、第1キャリアが出力軸となるように構成されている。
国際公開第2015/008661号 特開2008−275112号公報
上記の特許文献1に記載されているような駆動歯車装置をモータ駆動ユニットとして車両に搭載することにより、トルクベクタリングの機能を備え、走行性能が良好な電動車両を構成することができる。さらに、そのような駆動歯車装置に、駆動軸へ制動トルクを付与するブレーキ機構を内蔵させることにより、制動機能を備えたモータ駆動ユニットを構成することができ、ひいては、車両の制動装置をインボードブレーキにすることができる。あるいは、上記のような制動機能付きの駆動歯車装置を、車輪のホイール内に組み込むことにより、制動機能を備えたインホイールモータの電動車両を構成することもできる。いずれの場合も、上記のような駆動歯車装置を車両に搭載するためには、装置のより一層の小型・軽量化が望まれる。
一般に、モータの体格は、主にモータの最大トルクに依存して決まる。したがって、特許文献1に記載された駆動歯車装置に、特許文献2に記載されているような減速機構を適用することにより、減速機構で駆動用モータの出力トルクを増幅することができ、その分、より小型の駆動用モータを用いることができる。その結果、駆動歯車装置の小型・軽量化を図ることができる。上記のようなブレーキ機構を付加する場合も、減速機構で制動トルクを増幅することができれば、ブレーキ機構を小型化することができる。
しかしながら、特許文献2に記載された減速機構では、上記のように駆動トルクを増幅することによって駆動用モータを小型化することはできるものの、同時に制動トルクを増幅することは困難である。特許文献2に記載された減速機構は、上記のような複合遊星歯車機構によって構成されており、入力軸および出力軸がそれぞれ一本ずつ設けられている。したがって、減速機構の入力軸に駆動用モータを連結し、減速機構の出力軸を駆動歯車装置の入力ギヤに連結することにより、駆動用モータが出力する駆動トルクを、減速機構で増幅して入力ギヤに伝達することができる。それゆえ、駆動用モータを小型化することができる。しかしながら、上記の特許文献2に記載された減速機構では、入力軸を一本だけしか備えていないので、減速機構に駆動トルクおよび制動トルクの両方を入力するように構成することは容易ではない。
この発明は上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、作用の異なるトルクがそれぞれ入力される複数の入力軸を備え、入力されたトルクを大きく増幅して伝達することが可能な歯車伝動装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、入力軸と、出力軸と、互いに差動回転する三つの回転要素として、サンギヤ、リングギヤ、および、キャリアを有する遊星歯車機構とを備え、前記入力軸と前記出力軸との間で回転数を減速するとともに、前記入力軸に入力されるトルクを前記出力軸に伝達する歯車伝動装置において、前記リングギヤに、前記リングギヤを前記遊星歯車機構の回転軸線方向に延長した延長内歯ギヤが形成されており、複数の前記入力軸と、前記サンギヤと共に前記回転軸線上に配置され、前記サンギヤと一体に回転するセンターギヤと、前記サンギヤおよび前記センターギヤと一体に回転するサンギヤ軸と、前記キャリアと一体に回転するキャリア軸と、前記センターギヤと前記延長内歯ギヤとの間に配置され、前記センターギヤおよび前記延長内歯ギヤの両方に噛み合う複数のカウンタギヤと、前記カウンタギヤと一体に回転する複数のカウンタギヤ軸とを備え、前記キャリア軸を前記出力軸とし、前記複数のカウンタギヤ軸および前記サンギヤ軸のうちの少なくとも二本を、それぞれ、前記入力軸とすることを特徴とするものである。
この発明の歯車伝動装置では、キャリアを出力要素とする遊星歯車機構と共に、センターギヤおよびカウンタギヤが設けられる。センターギヤは、サンギヤ軸によって遊星歯車機構のサンギヤに連結し、サンギヤと一体に回転する。遊星歯車機構のリングギヤには、回転軸線方向に延びる延長内歯ギヤが形成されており、その延長内歯ギヤに、カウンタギヤが噛み合っている。すなわち、リングギヤは、キャリアによって自転可能に支持されているプラネタリギヤと共に、カウンタギヤと噛み合っている。また、カウンタギヤは、リングギヤおよびセンターギヤの両方に噛み合っている。したがって、カウンタギヤを介して、センターギヤとリングギヤとの間でトルクが伝達する。そして、この発明の歯車伝動装置では、カウンタギヤおよびカウンタ軸が複数設けられており、サンギヤ軸および少なくとも一本のカウンタ軸に、それぞれ、入力軸が連結される。あるいは、少なくとも二本のカウンタ軸に、それぞれ、入力軸が連結される。すなわち、サンギヤ軸および少なくとも一本のカウンタ軸が、それぞれ、この発明の歯車伝動装置における入力軸となる。あるいは、少なくとも二本のカウンタ軸が、この発明の歯車伝動装置における入力軸となる。
そのため、いずれかの入力軸にトルクが入力されると、センターギヤおよびサンギヤ軸を介して、サンギヤにトルクが伝達される。それと共に、カウンタギヤを介して、リングギヤにトルクが伝達される。その場合、カウンタギヤは、センターギヤおよびサンギヤと逆の回転方向に回転する。延長内歯ギヤの部分でカウンタギヤと噛み合うリングギヤは、内歯歯車であるので、カウンタギヤと同じ回転方向に回転する。すなわち、リングギヤは、サンギヤと逆の回転方向に回転する。サンギヤに対してリングギヤを逆回転させる分、サンギヤとキャリアとの間の減速比を大幅に増大することができる。すなわち、従来と比較して大幅に高い減速比を得ることが可能な高減速機能を持った高減速機構を構成することができる。
したがって、この発明の歯車伝動装置によれば、複数の入力軸を備え、高減速機能を有する減速機構を構成することができる。例えば、駆動用モータによって発生させた駆動トルク、および、ブレーキ機構によって発生させた制動トルクを、それぞれ、この発明の歯車伝動装置による減速機構に入力することができる。そして、高減速機能により、入力軸に入力された駆動トルクおよび制動トルクを、それぞれ、大きく増幅して出力軸に伝達することができる。そのため、例えば上記のような駆動用モータおよびブレーキ機構など、この発明の歯車伝動装置に組み付けて用いられるアクチュエータの小型化を図ることができる。
なお、この発明の歯車伝動装置において、「所定の回転軸に、入力軸または出力軸が連結される」ことは、「所定の回転軸を、入力軸または出力軸として機能させる」ことを含んでいる。例えば、「サンギヤ軸に入力軸を連結する」ことや、「サンギヤ軸と入力軸とを一体に形成し、サンギヤ軸を入力軸として機能させる」ことは、実質的に、「サンギヤ軸を入力軸とする」ことに含まれる。また、「カウンタギヤ軸に入力軸を連結する」ことや、「カウンタギヤ軸の端部をケースの外部まで延長し、そのカウンタギヤ軸の延長部分を入力軸として機能させる」ことは、実質的に、「カウンタギヤ軸を入力軸とする」ことに含まれる。あるいは、「キャリア軸に出力軸を連結する」ことや、「キャリア軸の端部をケースの外部まで延長し、そのキャリア軸の延長部分を出力軸として機能させる」ことは、実質的に、「キャリア軸を出力軸とする」ことに含まれる。
この発明の歯車伝動装置の一例を説明するための図である。 この発明の歯車伝動装置で用いられる遊星歯車機構の共線図であって、この発明の歯車伝動装置における高減速機能を説明するための図である。 この発明の歯車伝動装置の適用例(第1例)を説明するための図である。 この発明の歯車伝動装置の他の適用例(第2例)を説明するための図である。 この発明の歯車伝動装置の他の適用例(第3例)を説明するための図である。
この発明を、図を参照して具体的に説明する。図1に、この発明を適用した歯車伝動装置の一例を示してある。図1に示す歯車伝動装置1は、代表的に、入力軸2、出力軸3、遊星歯車機構4、および、カウンタギヤセット5を備えている。そして、この歯車伝動装置1は、入力軸2と出力軸3との間で回転数を減速するとともに、入力軸2に入力されるトルクを出力軸3に伝達する。すなわち、歯車伝動装置1は、減速機構として構成されている。
遊星歯車機構4は、互いに差動回転する三つの回転要素として、サンギヤ6、リングギヤ7、および、キャリア8を有している。また、キャリア8によって保持され、サンギヤ6およびリングギヤ7の両方に噛み合うプラネタリギヤ9を有している。すなわち、図1には、シングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成された遊星歯車機構4の例を示してある。そして、この歯車伝動装置1におけるリングギヤ7には、リングギヤ7を遊星歯車機構4の回転軸線CL方向に延長した延長内歯ギヤ10が形成されている。延長内歯ギヤ10には、リングギヤ7のプラネタリギヤ9との噛み合い部分と同様に、内歯歯車が形成されている。延長内歯ギヤ10は、後述するカウンタギヤ15と噛み合っている。
上記の遊星歯車機構4は、サンギヤ軸11、および、キャリア軸12により、歯車伝動装置1のケース13に回転可能に支持されている。サンギヤ軸11は、サンギヤ6の回転軸であって、サンギヤ6が取り付けられている。また、サンギヤ軸11には、後述するセンターギヤ14も取り付けられている。したがって、サンギヤ軸11は、サンギヤ6およびセンターギヤ14と一体に回転する。キャリア軸12は、キャリア8の回転軸であって、キャリア8が取り付けられている。あるいは、キャリア8とキャリア軸12とが一体に形成されている。したがって、キャリア軸12は、キャリア8と一体に回転する。サンギヤ軸11とキャリア軸12とは、同一の回転軸線CL上で相対回転可能に配置されている。
なお、図1では、遊星歯車機構4がシングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成されている例を示しているが、この発明の実施形態における遊星歯車機構4は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構によって構成することもできる。
カウンタギヤセット5は、ケース13の内部で、遊星歯車機構4と同一の回転軸線CL上に、遊星歯車機構4と並列して配置されている。カウンタギヤセット5は、センターギヤ14、および、カウンタギヤ15から構成されている。センターギヤ14は、サンギヤ軸11に取り付けられており、サンギヤ軸11と一体に回転する。すなわち、センターギヤ14は、サンギヤ6と同一の回転軸線CL上に配置されている。カウンタギヤ15は、カウンタギヤ軸16に取り付けられており、カウンタギヤ軸16と一体に回転する。カウンタギヤ軸16は、サンギヤ軸11と平行に配置されており、ケース13に回転可能に支持されている。カウンタギヤ15は、センターギヤ14と延長内歯ギヤ10との間に配置されており、センターギヤ14および延長内歯ギヤ10の両方に噛み合っている。したがって、カウンタギヤセット5は、センターギヤ14と、延長内歯ギヤ10すなわちリングギヤ7との間でトルクを伝達する。
上記のように、カウンタギヤセット5は、センターギヤ14とリングギヤ7との間でトルクを伝達するために設けられている。そのため、少なくとも一組のカウンタギヤセット5を備えていれば、センターギヤ14とリングギヤ7との間でトルクを伝達することができる。ただし、複数のカウンタギヤセット5を設けることにより、リングギヤ7における延長内歯ギヤ10の部分を支持することができる。したがって、遊星歯車機構4のプラネタリギヤ9と同様に、三組以上のカウンタギヤセット5を、リングギヤ7の円周方向で等間隔に設けることにより、リングギヤ7を安定してバランスよく支持することができる。図1では、センターギヤ14を共用する二組のカウンタギヤセット5を示してあるが、上記のように、センターギヤ14を共用する三組以上のカウンタギヤセット5を設けることができる。
また、カウンタギヤ軸16には、入力軸2を連結することができる。もしくは、カウンタギヤ軸16の端部をケース13の外部に延長させ、その延長部分を入力軸2として機能させることができる。すなわち、カウンタギヤ軸16を入力軸2とすることができる。後述するように、この発明の実施形態における歯車伝動装置1では、複数の入力軸2が設けられる。そのため、カウンタギヤセット5を複数設けることにより、複数の入力軸2を設定する際の自由度を高めることができる。
この発明の実施形態における歯車伝動装置1は、複数の入力軸2を備えている。図1に示す例では、サンギヤ軸11に入力軸2が連結されている。もしくは、サンギヤ軸11の端部がケース13の外部に延長されており、その延長部分が入力軸2として機能する。すなわち、実質的に、サンギヤ軸11が入力軸2となっている。また、カウンタギヤ軸16に入力軸2が連結されている。もしくは、カウンタギヤ軸16の端部がケース13の外部に延長されており、その延長部分が入力軸2として機能する。すなわち、実質的に、カウンタギヤ軸16が入力軸2となっている。図1に示す例では、サンギヤ軸11と共に、二本のカウンタギヤ軸16に、それぞれ、入力軸2が連結されている。
入力軸2には、トルクを発生する外部のアクチュエータ(図示せず)を組み付けることができる。例えば、駆動トルクを発生する駆動用モータ(図示せず)を組み付けることができる。あるいは、ブレーキ機構や回生モータ(発電機)など、制動トルクを発生する制動用アクチュエータ(図示せず)を組み付けることができる。したがって、上記のように、サンギヤ軸11やカウンタギヤ軸16に連結された複数の入力軸2が設けられることにより、この歯車伝動装置1に、複数のアクチュエータを組み付けることができ、作用の異なる複数のトルクを入力することができる。
一方、出力軸3は、キャリア軸12に連結されている。もしくは、キャリア軸12の端部がケース13の外部に延長されており、その延長部分が出力軸3として機能する。すなわち、実質的に、キャリア軸12が出力軸3となっている。出力軸3には、例えば、車両の駆動軸やホイールなど、トルクを伝達して回転駆動する出力部材が連結される。
この発明の実施形態における歯車伝動装置1では、上記のように、遊星歯車機構4と共に、カウンタギヤセット5が設けられることにより、センターギヤ14とリングギヤ7の間でトルクを伝達することができる。すなわち、センターギヤ14に入力されたトルクを延長内歯ギヤ10に伝達し、リングギヤ7を駆動することができる。図1に示す例では、サンギヤ軸11およびカウンタギヤ軸16に、それぞれ、入力軸2が連結されている。したがって、いずれかの入力軸2に入力されたトルクは、直接、もしくは、カウンタギヤ15およびセンターギヤ14を介して、サンギヤ軸11からサンギヤ6に伝達される。それと共に、センターギヤ14と延長内歯ギヤ10との間で、カウンタギヤ15を介して、トルクが伝達される。センターギヤ14と噛み合うカウンタギヤ15は、センターギヤ14の回転方向と逆の回転方向に回転する。カウンタギヤ15と噛み合う延長内歯ギヤ10は、内歯歯車であるので、カウンタギヤ15の回転方向と同じ回転方向に回転する。したがって、センターギヤ14から延長内歯ギヤ10に伝達されたトルク、または、カウンタギヤ15から延長内歯ギヤ10に伝達されたトルクは、いずれも、延長内歯ギヤ10すなわちリングギヤ7を、センターギヤ14およびサンギヤ6の回転方向と逆の回転方向に回転させる。その結果、遊星歯車機構4の差動作用により、サンギヤ6の回転数に対してキャリア8の回転数が大きく減速される。すなわち、この発明の実施形態における歯車伝動装置1は、入力軸2と出力軸3との間で相当に高い減速比を得ることが可能な高減速機能を有している。
上記のように入力軸2およびサンギヤ軸11にトルクが入力されてサンギヤ6が回転する場合の、遊星歯車機構4における各回転要素の回転状態を、図2の共線図に示してある。前述したように、図1に示す遊星歯車機構4は、シングルピニオン型の遊星歯車機構であり、サンギヤ(S)6に入力軸2が連結され(もしくは、サンギヤ6が入力軸2として機能し)、キャリア(C)8に出力軸3が連結されている(もしくは、キャリア8が出力軸3として機能する)。すなわち、サンギヤ6が入力要素(IN)となり、キャリア8が出力要素(OUT)となっている。
上記のようなシングルピニオン型の遊星歯車機構を用いて、従来、減速機構が構成されている。例えば、この図2の共線図に破線で示すように、サンギヤ(S)を入力要素(IN)、キャリア(C)を出力要素(OUT)とし、リングギヤ(R)の回転を止めた状態で固定することにより、入力要素の回転数に対して出力要素の回転数を減速させる減速機構が構成される。それに対して、この発明の実施形態における歯車伝動装置1では、上記のような従来の減速機構と同様に、サンギヤ6を入力要素とし、キャリア8を出力要素とした場合に、リングギヤ(R)7が、サンギヤ6およびキャリア8の回転方向と逆の回転方向に回転する。すなわち、センターギヤ14およびサンギヤ6にトルクが入力され、サンギヤ6が、所定の回転数で図2の共線図における「正」方向に回転する場合、リングギヤ7は、センターギヤ14と延長内歯ギヤ10との間で、カウンタギヤ15を介して伝達されるトルクにより、図2の共線図における「逆」方向に回転する。このように、サンギヤ6が「正」方向に回転する際に、リングギヤ7が「逆」方向に回転することにより、キャリア8の回転数が引き下げられ、サンギヤ6の回転数に対してキャリア8の回転数が大幅に減速される。図2の共線図に破線で示す従来の減速機構と比較して、入力要素と出力要素との間の減速比がより大きくなっている。
一般に、サンギヤを入力要素、キャリアを出力要素とし、リングギヤを固定したシングルピニオン型の遊星歯車機構で減速機構を構成した場合、減速比γは、サンギヤの歯数をZとし、リングギヤ(内歯)の歯数をZとすると、
γ=1+Z/Z
となる。なお、この場合の減速比γは、出力要素の回転数NOUTに対する入力要素の回転数NINの割合(すなわち、γ=NIN/NOUT)である。前述の特許文献2では、従来の遊星歯車機構が単体で実現可能な減速比γは、4から10程度と言われている。それに対して、この発明の実施形態における歯車伝動装置1では、例えば、外径が300mm程度の体格を想定すると、概ね100程度の大きな減速比γを得ることができる。
このように、この発明の実施形態における歯車伝動装置1によれば、従来の構成と比較して大幅に高い減速比を得ることが可能な高減速機能を備えた減速機構を構成することができる。そのため、例えば、前述の特許文献2に記載されているような従来の複合遊星歯車機構による減速機構や、二段の歯車列による減速機構などと比較して、同等の体格で、減速比を増大させた減速機構を構成することができる。もしくは、体格をより小型化した減速機構を構成することができる。
図3,図4,図5に、この発明の実施形態における歯車伝動装置1の適用例を示してある。上述の通り、この発明の実施形態における歯車伝動装置1は、複数の入力軸2を備えており、複数のカウンタギヤ軸16およびサンギヤ軸11のうちの少なくとも二本に、それぞれ、入力軸2が連結されている。そして、複数の入力軸2には、それぞれ、所定のトルクを発生するアクチュエータが接続される。
図3に示す歯車伝動装置1は、サンギヤ軸11、および、一本のカウンタギヤ軸16に、それぞれ、入力軸2が連結されている。サンギヤ軸11に連結する入力軸2には、駆動用アクチュエータ21が接続されている。カウンタギヤ軸16に連結する入力軸2には、制動用アクチュエータ22が接続されている。この図3に示す歯車伝動装置1は、例えば、電動車両のモータ駆動ユニットを構成する。そのため、キャリア軸12に連結する出力軸3には、車両の駆動軸やホイールなどの出力部材23が接続されている。
駆動用アクチュエータ21は、モータ駆動ユニットの駆動力源として、駆動トルクを発生する。駆動用アクチュエータ21は、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成されている。したがって、駆動用アクチュエータ21で発生する駆動トルクが入力軸2に付与される、入力軸2に付与された駆動トルクは、歯車伝動装置1の高減速機能により、大きく増幅されて出力軸3に伝達される。そのため、この歯車伝動装置1による高減速機能を持たない従来のモータ駆動ユニットと比較して、より大きな駆動力を発生することができる。もしくは、高回転・低トルク型の駆動用モータを採用し、駆動用アクチュエータ21を小型化することができる。その結果、モータ駆動ユニットの小型化を図ることができる。
制動用アクチュエータ22は、制動トルクを発生するブレーキ機構である。例えば、通電されることにより発生する磁気吸引力を利用して所定の回転部材を制動する励磁作動型の電磁ブレーキ、あるいは、モータで発電する際に発生する抵抗力を利用して所定の回転部材を制動する回生ブレーキなどによって構成されている。したがって、上記のような駆動用アクチュエータ21と共に、この制動用アクチュエータ22を歯車伝動装置1に組み付けることにより、ブレーキ機能付きのモータ駆動ユニットを容易に構成することができる。そして、制動用アクチュエータ22で発生する制動トルクが入力軸2に付与される。入力軸2に付与された制動トルクは、上記のような駆動トルクと同様に、歯車伝動装置1の高減速機能により、大きく増幅されて出力軸3に伝達される。そのため、この歯車伝動装置1による高減速機能を持たない従来のモータ駆動ユニットと比較して、より大きな制動力を発生することができる。もしくは、制動用アクチュエータ22を構成するブレーキ機構に要求される最大制動トルクを低下することができ、その分、制動用アクチュエータ22を小型化することができる。その結果、モータ駆動ユニットの小型化を図ることができる。
図4に示す歯車伝動装置1は、二本のカウンタギヤ軸16に、それぞれ、入力軸2が連結されている。一方の入力軸2には、駆動用アクチュエータ21が接続されている。他方の入力軸2には、制動用アクチュエータ22が接続されている。図3で示した歯車伝動装置1と同様に、キャリア軸12に連結する出力軸3には、車両の駆動軸やホイールなどの出力部材23が接続されている。
この図4に示す歯車伝動装置1のように、カウンタギヤ軸16に連結する入力軸2に、駆動用アクチュエータ21を接続する場合も、サンギヤ軸11に連結した入力軸2に駆動用アクチュエータ21を接続する場合と同様に、入力軸2に付与される駆動トルクを増幅して出力軸3に伝達することができる。すなわち、カウンタギヤ軸16に付与された駆動トルクは、カウンタギヤ15とセンターギヤ14との間のギヤ比に応じて、増幅または低減されて、サンギヤ軸11に伝達される。カウンタギヤ15とセンターギヤ14との間のギヤ比が1であれば、図3で示したサンギヤ軸11に駆動トルクを付与する場合と同じ条件でトルクが伝達される。そして、歯車伝動装置1の高減速機能により、駆動トルクが増幅されて出力軸3に伝達される。そのため、この図4に示す歯車伝動装置1を用いてモータ駆動ユニットを構成する場合も、上記の図3で示した歯車伝動装置1を用いてモータ駆動ユニットを構成した場合と同様に、従来のモータ駆動ユニットと比較して、より大きな駆動力を発生することができる。
したがって、上記の図3,図4に示す歯車伝動装置1によれば、駆動用アクチュエータ21が出力する駆動トルク、および、制動用アクチュエータ22が出力する制動トルクを、いずれも、大幅に増幅して出力軸3に伝達することができる。そのため、駆動用アクチュエータ21および制動用アクチュエータ22をいずれも小型化することができ、そのため、この歯車伝動装置1を用いて、コンパクトな、ブレーキ機能付きの駆動ユニットを構成することができる。
図5に示す歯車伝動装置1は、上記の図3で示した歯車伝動装置1と同様に、サンギヤ軸11に連結する入力軸2に、駆動用アクチュエータ21が接続され、カウンタギヤ軸16に連結する入力軸2に、制動用アクチュエータ22が接続されている。さらに、この図5に示す歯車伝動装置1は、上記の制動用アクチュエータ22に加えて、別の制動用アクチュエータ31が、他のカウンタギヤ軸16に連結する入力軸2に接続されている。
制動用アクチュエータ31は、制動用アクチュエータ22と同様に、制動トルクを発生するブレーキ機構である。ただし、この図5に示す歯車伝動装置1における制動用アクチュエータ31は、例えば、電動モータによって駆動される送りねじ機構を用いて摩擦制動力を発生させる電動ブレーキのように、回転停止時に制動力を保持するブレーキ機構によって構成されている。そのため、制動用アクチュエータ31は、制動力を発生した状態で通電を止めた場合であっても、その制動力を発生した状態を維持することが可能なように構成されている。
したがって、この図5に示す歯車伝動装置1によれば、上記の図3,図4で示した歯車伝動装置1と同様に、コンパクトな、ブレーキ機能付きの駆動ユニットを構成することができる。さらに、車両の停止時に制動力を維持するパーキングブレーキを備えた、ブレーキ機能付きの駆動ユニットを構成することができる。
なお、この発明の実施形態における歯車伝動装置1は、二組の遊星歯車機構あるいは、複合遊星歯車機構を用いて構成することもできる。前述の図1で示した例では、一組の遊星歯車機構4、および、カウンタギヤセット5によって歯車伝動装置1が構成されている。すなわち、センターギヤ14とリングギヤ7との間でトルクを伝達するために、カウンタギヤセット5と、リングギヤ7の延長内歯ギヤ10とが設けられている。それらカウンタギヤセット5および延長内歯ギヤ10から構成される歯車機構は、キャリアの回転を止めて固定した(キャリア固定の)シングルプラネタリ型の遊星歯車機構と同様に作用する。すなわち、センターギヤ14をシングルプラネタリ型の遊星歯車機構のサンギヤ、延長内歯ギヤ10をリングギヤとみなし、カウンタギヤ15を、回転を止めて固定したキャリアで自転可能に保持されるプラネタリギヤとみなすことができる。そのため、前述の図1で示したカウンタギヤセット5および延長内歯ギヤ10から構成される歯車機構を、キャリア固定のシングルプラネタリ型の遊星歯車機構に置き換えることができる。したがって、サンギヤ同士およびリングギヤ同士をそれぞれ連結した二組の遊星歯車機構により、この発明の実施形態における歯車伝動装置1を構成することができる。あるいは、二つのサンギヤを連結し、それら二つのサンギヤおよび二つのキャリアを、共通のリングギヤに組み込んだ複合遊星歯車機構により、この発明の実施形態における歯車伝動装置1を構成することができる。
また、この発明の実施形態における歯車伝動装置1は、主に、高減速機能を有する減速機構を構成することを想定しているが、増速機構として用いることも可能である。すなわち、図1で示した歯車伝動装置1において、キャリア軸12に、駆動トルクが入力される入力軸2を連結し、サンギヤ軸11に、出力軸3を連結することにより、入力軸2の回転数に対して出力軸3の回転数が増速される増速機構を構成することができる。
1…歯車伝動装置、 2…入力軸、 3…出力軸、 4…遊星歯車機構、 5…カウンタギヤセット、 6…サンギヤ(S)、 7…リングギヤ(R)、 8…キャリア(C)、 9…プラネタリギヤ、 10…延長内歯ギヤ、 11…サンギヤ軸、 12…キャリア軸、 13…ケース、 14…センターギヤ、 15…カウンタギヤ、 16…カウンタギヤ軸、 21…駆動用アクチュエータ(駆動用モータ等)、 22…制動用アクチュエータ(電磁ブレーキ機構,回生用モータ等)、 23…出力部材(駆動軸,ホイール等)、 31…制動用アクチュエータ(電動ブレーキ機構等)、 CL…(遊星歯車機構の)回転軸線。

Claims (1)

  1. 入力軸と、出力軸と、互いに差動回転する三つの回転要素として、サンギヤ、リングギヤ、および、キャリアを有する遊星歯車機構とを備え、前記入力軸と前記出力軸との間で回転数を減速するとともに、前記入力軸に入力されるトルクを前記出力軸に伝達する歯車伝動装置において、
    前記リングギヤに、前記リングギヤを前記遊星歯車機構の回転軸線方向に延長した延長内歯ギヤが形成されており、
    複数の前記入力軸と、
    前記サンギヤと共に前記回転軸線上に配置され、前記サンギヤと一体に回転するセンターギヤと、
    前記サンギヤおよび前記センターギヤと一体に回転するサンギヤ軸と、
    前記キャリアと一体に回転するキャリア軸と、
    前記センターギヤと前記延長内歯ギヤとの間に配置され、前記センターギヤおよび前記延長内歯ギヤの両方に噛み合う複数のカウンタギヤと、
    前記カウンタギヤと一体に回転する複数のカウンタギヤ軸とを備え、
    前記キャリア軸を前記出力軸とし、
    前記複数のカウンタギヤ軸および前記サンギヤ軸のうちの少なくとも二本を、それぞれ、前記入力軸とする
    ことを特徴とする歯車伝動装置。
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