JP2021076204A - 車両用動力ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】コンパクトで車台への搭載性に優れたオンボードタイプの車両用動力ユニットを提供する。【解決手段】駆動トルクおよび回生トルクを発生する電気モータ2と、摩擦力を利用して制動トルクを発生する摩擦ブレーキ機構3と、電気モータ2および摩擦ブレーキ機構3と車輪9との間でトルクを伝達するドライブシャフト5と、駆動トルクおよび回生トルクならびに制動トルクを統合してドライブシャフト5に伝達する動力統合機構4と、トルクを増幅して車輪9に伝達する減速機構6とを備えた車両用動力ユニット1において、電気モータ2、摩擦ブレーキ機構3、および、動力統合機構4を、いずれも、車両Veの車台7に配置し、減速機構6を、車輪9のホイール10とドライブシャフト5との間に配置して、ドライブシャフト5に伝達される駆動トルクおよび回生トルクならびに制動トルクを増幅してホイール10に伝達する。【選択図】図1

Description

この発明は、車両に搭載されて駆動力および制動力を発生させる車両用動力ユニットに関するものである。
特許文献1には、車両用の制動装置の一例が記載されている。この特許文献1に記載された制動装置は、車輪に連結してトルクを伝達するドライブシャフト、磁気吸引力および摩擦力を利用して制動トルクを発生するブレーキ機構、および、ブレーキ機構が発生した制動トルクを増大してドライブシャフトに伝達する減速機構等を備えている。ブレーキ機構、および、減速機構は、車台の車幅方向における中央部分に配置される。したがって、この特許文献1に記載された制動装置は、車台に搭載されたブレーキ機構および減速機構から、ドライブシャフトを介して、車輪に制動トルクを伝達する、いわゆるオンボードタイプの制動ユニットになっている。
また、特許文献2には、車両用のトルクベクタリング装置の一例が記載されている。この特許文献2に記載されたトルクベクタリング装置は、駆動用モータ、差動機構、差動用モータ、反転機構、差動制限機構、および、ブレーキ機構等を備えている。このトルクベクタリング装置は、駆動用モータから出力されたトルクを左右の駆動輪に伝達する。また、それら左右の駆動輪に伝達するトルクの分配率を制御する。差動機構は、駆動用モータの出力トルクを増幅して駆動輪へ伝達する減速機構としても機能している。トルクベクタリング装置は、ブレーキ機構も含めて、車台の車幅方向における中央部分に配置される。したがって、この特許文献2に記載されたトルクベクタリング装置は、トルクベクタリング装置として機能しつつ、車台に搭載された駆動用モータ、ブレーキ機構、および、差動機構等から、ドライブシャフトを介して、車輪に駆動トルクおよび制動トルクを伝達する、いわゆるオンボードタイプの駆動ユニットおよび制動ユニット(以下、両者を併せて動力ユニットと称する)としても機能する。
特開2018−118666号公報 特開2017−141868号公報
電気自動車やハイブリッド車両など、駆動力源として電気モータを搭載する場合、電気モータの回生トルクを利用した制動(回生ブレーキ)を行うことができる。回生ブレーキは、通常、従来の摩擦ブレーキ装置と併用される。但し、摩擦ブレーキ装置による制動力の着力点がタイヤ接地点であるのに対して、回生ブレーキによる制動力の着力点はホイールの中心点となり、それぞれの制動力の着力点が異なっている。そのため、摩擦ブレーキ装置と回生ブレーキとを併用した制動時には、一定の制動力であっても回生ブレーキによる制動トルクの比率が変わることで、車両姿勢が変化してしまう場合がある。そのような現象は、例えば、電気モータおよび摩擦ブレーキ装置をホイールの内周部分に配置して、電気モータが発生する駆動トルクおよび回生トルク、ならびに、摩擦ブレーキ装置が発生する制動トルクを、直接、車輪(ホイール)に伝達するインホイールタイプの制動ユニットを構成すること、あるいは、電気モータおよび摩擦ブレーキ装置を車台上に配置して、電気モータが発生する駆動トルクおよび回生トルク、ならびに、摩擦ブレーキ装置が発生する制動トルクを、ドライブシャフトを介して、車輪(ホイール)に伝達するオンボードタイプの動力ユニットを構成することにより、制動力の着力点を一致させて、制動時の車両姿勢を安定させることができる。
上記のように、特許文献1に記載された制動装置は、オンボードタイプの制動ユニットを構成している。また、特許文献2に記載されたトルクベクタリング装置は、オンボードタイプの動力ユニットを構成している。したがって、それらオンボードタイプのブレーキユニット、あるいは、オンボードタイプの動力ユニットでは、上記のような摩擦ブレーキ装置と回生ブレーキとを併用した制動力の着力点が一致して、制動時の車両姿勢の安定化を図ることができる。その一方で、特許文献1に記載された制動装置は、オンボードタイプの制動ユニットとして、ブレーキ機構、および、減速機構が、車台の中央部分に集中して配置される。また、特許文献2に記載されたトルクベクタリング装置は、オンボードタイプの動力ユニットとして、駆動用モータ、減速機構(差動機構)、差動用モータ、反転機構、差動制限機構、および、ブレーキ機構等が車台の中央部分に集中して配置される。そのため、車台上のスペースの制約を受けて、ブレーキ機構や駆動用モータ等の配置が困難になってしまう場合がある。あるいは、車台上に多くの配置スペースを設けた結果、車室内のスペースが狭くなってしまう。
この発明は上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、コンパクトで車台への搭載性に優れたオンボードタイプの車両用動力ユニットを提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、駆動トルクおよび回生トルクを発生する電気モータと、摩擦力を利用して制動トルクを発生する摩擦ブレーキ機構と、前記電気モータおよび前記摩擦ブレーキ機構と車両の車輪との間でトルクを伝達するドライブシャフトと、前記駆動トルクおよび前記回生トルクならびに前記制動トルクを統合して前記ドライブシャフトに伝達する動力統合機構と、トルクを増幅して前記車輪に伝達する減速機構と、を備えた車両用動力ユニットにおいて、前記電気モータ、前記摩擦ブレーキ機構、および、前記動力統合機構は、いずれも、前記車両の車台に配置され、前記減速機構の少なくとも一部は、前記車輪のホイールと前記ドライブシャフトとの間に配置されて、前記ドライブシャフトに伝達される前記駆動トルクおよび前記回生トルクならびに前記制動トルクを増幅して前記ホイールに伝達することを特徴とするものである。
なお、この発明では、前記減速機構は、前記ドライブシャフトが連結されて、前記駆動トルクおよび前記回生トルクならびに前記制動トルクが伝達される入力部材と、前記ホイールが取り付けられて前記ホイールと一体に回転する出力部材と、前記入力部材と前記出力部材との間でトルクを伝達する歯車伝動機構と、前記入力部材および前記出力部材ならびに前記歯車伝動機構の回転要素をいずれも回転可能に支持するとともに、前記歯車伝動機構の固定要素を回転不可能に固定する固定部材と、を備え、前記入力部材の回転速度に対して前記出力部材の回転速度を減速するように構成されてもよい。
また、この発明では、前記歯車伝動機構は、前記固定部材に回転不可能に固定される第1サンギヤと、前記第1サンギヤに噛み合っているロングピニオンと、前記ロングピニオンの内周側に配置されて前記ロングピニオンに噛み合っており、かつ、前記ロングピニオンより軸長が短いショートピニオンと、前記ショートピニオンに噛み合っており、かつ、前記入力部材に連結されて前記入力部材と一体に回転する第2サンギヤと、前記ロングピニオンおよび前記ショートピニオンを共に自転および公転が可能なように保持し、かつ、前記出力部材に連結されて前記出力部材と一体に回転するキャリアと、を有するように構成されてもよい。
また、この発明では、前記歯車伝動機構は、前記固定部材に回転不可能に固定される内歯歯車の第1リングギヤと、前記第1リングギヤと同一の回転軸線上に配置され、前記出力部材に連結されて前記出力部材と一体に回転する内歯歯車の第2リングギヤと、前記第1リングギヤに噛み合っている第1ピニオンと、前記第1ピニオンと同一の回転軸線上に配置され、前記第1ピニオンと一体に回転するとともに、前記第2リングギヤに噛み合っている第2ピニオンと、前記第1ピニオンおよび前記第2ピニオンを共に回転可能に支持するピニオン軸と、前記ピニオン軸を支持して前記第1ピニオンおよび前記第2ピニオンを共に自転および公転が可能なように保持し、かつ、前記入力部材に連結されて前記入力部材と一体に回転するキャリアと、を有し、前記第1リングギヤと前記第1ピニオンとの間のギヤ比と、前記第2リングギヤと前記第2ピニオンとの間のギヤ比とが互いに異なるように構成されてもよい。
この発明の車両用動力ユニットでは、電気モータおよび摩擦ブレーキ機構ならびに動力統合機構が車台上に配置され、電気モータが発生する駆動トルクおよび回生トルク、ならびに、摩擦ブレーキ装置が発生する制動トルクが、いずれも、動力統合機構を介して、ドライブシャフトに伝達される。ドライブシャフトに伝達されたトルクは、減速機構で増幅されて、車輪に伝達される。そのため、トルクの発生源となる電気モータおよび摩擦ブレーキ機構の体格をそれぞれ小型化することができる。また、この発明の車両用動力ユニットは、車台に搭載された電気モータ、摩擦ブレーキ機構、および、動力統合機構から、ドライブシャフトを介して、車輪に駆動トルクおよび回生トルクならびに制動トルクを伝達する、いわゆるオンボードタイプの動力ユニットを構成している。電気モータおよび摩擦ブレーキ機構からそれぞれ出力されるトルク、すなわち、互いに異なる複数の回転軸から出力されるトルクは、動力統合機構で一つの回転軸に統合されて、ドライブシャフトに伝達される。そのため、電気モータの回生トルクによる制動力の着力点と、摩擦ブレーキ機構の制動トルクによる制動力の着力点とが一致する。
したがって、この発明の車両用動力ユニットによれば、回生ブレーキによる制動力の着力点と摩擦ブレーキによる制動力の着力点とを一致させて、制動時の車両姿勢を安定させることができる。そして、電気モータおよび摩擦ブレーキ機構の小型・軽量化を図り、コンパクトで車台への搭載性に優れたオンボードタイプの動力ユニットを構成することができる。
この発明の車両用動力ユニットの一例(電気モータおよび摩擦ブレーキ機構を車幅方向の中央に配置した例)を示す図である。 この発明の車両用動力ユニットにおける減速機構の具体的な構成の一例(リングギヤを用いないタイプの複合遊星歯車機構で減速機構を構成した例)を示す断面図である。 この発明の車両用動力ユニットの他の例(電気モータおよび摩擦ブレーキ機構を車輪側に配置した例)を示す図である。 この発明の車両用動力ユニットの他の例(電気モータおよび摩擦ブレーキ機構を車幅方向の中央に直列に配置した例)を示す図である。 この発明の車両用動力ユニットの他の例(左右の動力ユニットを差動機構を用いて連結した構成)を示す図である。 この発明の車両用動力ユニットにおける減速機構の他の例(二組の複合遊星歯車機構を用いて減速機構を構成した例)を示す断面図である。 この発明の車両用動力ユニットにおける減速機構の他の例(サンギヤを用いないタイプの複合遊星歯車機構で減速機構を構成した例)を示す断面図である。
この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
この発明を適用した車両用動力ユニットの一例を図1に示してある。この発明の実施形態における動力ユニット1は、主要な構成要素として、電気モータ2、摩擦ブレーキ機構3、動力統合機構4、ドライブシャフト5、および、減速機構6を備えている。なお、図1では、便宜上、動力ユニット1の車幅方向(図1の左右方向)における左半分のみの構成を示してある。実際には、図1に示す動力ユニット1が、左右対称となって構成されている。そして、動力ユニット1は、車幅方向における左右の駆動輪(図示せず)に駆動トルクおよび制動トルクを出力する。
電気モータ2は、電気エネルギを回転エネルギ(トルク)に変換して駆動トルクを出力する。それと共に、電気モータ2は、外部からのトルクを受けて発電する際に発生する抵抗力(回生トルク)を利用して、車両Veを制動する回生ブレーキとしても機能する。すなわち、電気モータ2は、車両Veの駆動力を発生させる駆動トルク、および、車両Veの制動力を発生させる回生トルクを出力する。後述するように、電気モータ2は、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成される。図1に示す例では、電気モータ2は、駆動トルクおよび回生トルクを、電気モータ2の出力軸2aから出力する。電気モータ2は、後述する摩擦ブレーキ機構3および動力統合機構4と共に、車両Veの車台7に配置される。
摩擦ブレーキ機構3は、摩擦力を利用して制動トルクを発生する。例えば、通電されることにより発生する磁気吸引力、および、その磁気吸引力で吸着させた複数の回転部材間の摩擦力を用いて所定の回転軸を制動する励磁作動型の電磁ブレーキによって構成される、あるいは、電動モータによって駆動される送りねじ機構を用いて所定の回転軸を制動する電動ブレーキによって構成してもよい。あるいは、従来、車両に搭載される一般的な油圧ブレーキ機構を用いて所定の回転軸を制動するように構成してもよい。図1に示す例では、摩擦ブレーキ機構3は、制動トルクを、摩擦ブレーキ機構3の出力軸3aから出力する。また、図1に示すように、摩擦ブレーキ機構3に加えて、パーキングブレーキ機構8を設けてもよい。パーキングブレーキ機構8は、例えば車両Veの駐車時あるいは停車時に、車両VeのメインスイッチがOFFになる状態でも車両Veの制動力を維持できるように構成されている。例えば、パーキングブレーキ機構8は、上記のような送りねじ機構を用いた電動ブレーキによって構成される。図1に示す例では、パーキングブレーキ機構8は、摩擦ブレーキ機構3と共に、出力軸3aを兼用して制動するように構成されている。摩擦ブレーキ機構3(およびパーキングブレーキ機構8)は、電気モータ2および後述する動力統合機構4と共に、車両Veの車台7に配置される。
動力統合機構4は、複数の回転軸のトルクを統合して一つの回転軸に伝達する。具体的には、動力統合機構4は、電気モータ2の出力軸2aおよび摩擦ブレーキ機構3の出力軸3aのトルクを統合して、一つのドライブシャフト5に伝達する。すなわち、動力統合機構4は、電気モータ2が出力する駆動トルクおよび回生トルク、ならびに、摩擦ブレーキ機構3(およびパーキングブレーキ機構8)が出力する制動トルクを統合して、ドライブシャフト5に伝達する。図1に示す例では、動力統合機構4は、ケース4a、駆動側ピニオン4b、制動側ピニオン4c、大径ギヤ4d、および、出力軸4eから構成されている。
ケース4aは、電気モータ2の出力軸2aを回転可能に支持するとともに、電気モータ2の本体が取り付けられ、電気モータ2を固定している。また、摩擦ブレーキ機構3およびパーキングブレーキ機構8の出力軸3aを回転可能に支持するとともに、摩擦ブレーキ機構3およびパーキングブレーキ機構8の本体が取り付けられ、それら摩擦ブレーキ機構3およびパーキングブレーキ機構8を固定している。また、ケース4aは、後述するように大径ギヤ4dを取り付けた出力軸4eを回転可能に支持している。
駆動側ピニオン4bは、電気モータ2の出力軸2aに取り付けられ、出力軸2aと一体に回転する。制動側ピニオン4cは、摩擦ブレーキ機構3およびパーキングブレーキ機構8の出力軸3aに取り付けられ、出力軸3aと一体に回転する。出力軸2aと出力軸3aとは、所定の間隔を空けて互いに平行に配置されて、ケース4aに回転可能に支持されている。
大径ギヤ4dは、駆動側ピニオン4bおよび制動側ピニオン4cのいずれよりも、径が大きくかつ歯数が多い歯車である。大径ギヤ4dは、駆動側ピニオン4bおよび制動側ピニオン4cの両方に噛み合っている。大径ギヤ4dは、この動力統合機構4の出力軸4eに取り付けられ、出力軸4eと一体に回転する。出力軸4eは、電気モータ2の出力軸2aおよび摩擦ブレーキ機構3の出力軸3aと平行に配置されて、ケース4aに回転可能に支持されている。出力軸4eは、一方(図1の左側)の端部がケース4aから突出している。その出力軸4eの端部は、ドライブシャフト5に連結され、出力軸4eと一体に回転する。
したがって、動力統合機構4は、駆動側ピニオン4bの回転速度に対して大径ギヤ4dの回転速度を減速する。また、制動側ピニオン4cの回転速度に対して大径ギヤ4dの回転速度を減速する。すなわち、動力統合機構4は、電気モータ2の出力軸2aの回転速度、ならびに、摩擦ブレーキ機構3およびパーキングブレーキ機構8の出力軸3aの回転速度に対して、出力軸4eおよびドライブシャフト5の回転速度を減速する減速機構としても機能する。動力統合機構4は、電気モータ2および摩擦ブレーキ機構3と共に、車両Veの車台7に配置される。
ドライブシャフト5は、電気モータ2および摩擦ブレーキ機構3と、車両Veの車輪9との間でトルクを伝達する。ドライブシャフト5の一方(図1の右側)の端部は、動力統合機構4の出力軸4eと連結されている。ドライブシャフト5の他方(図1の左側)の端部は、後述する減速機構6の入力部材6aと連結されている。それらドライブシャフト5と出力軸4eとの連結部分、および、ドライブシャフト5と入力部材6aとの連結部分に、等速ジョイント(図示せず)を設けてもよい。
減速機構6は、電気モータ2が出力する駆動トルクおよび回生トルク、ならびに、摩擦ブレーキ機構3が発生する制動トルクを増幅して車輪9に伝達する。具体的には、図2に示すように、減速機構6は、入力部材6a、出力部材6b、固定部材6c、および、歯車伝動機構6dを有している。
入力部材6aは、回転軸状の部材によって形成されている。入力部材6aの一方(図1の右側)の端部に、ドライブシャフト5の他方の端部が連結されている。入力部材6aは、ドライブシャフト5と一体に回転する。入力部材6aの他方(図1,図2の左側)の端部は、後述する歯車伝動機構6dの第2サンギヤ6jが取り付けられている。入力部材6aには、電気モータ2が出力する駆動トルクおよび回生トルク、ならびに、摩擦ブレーキ機構3が発生する制動トルクが伝達される。
出力部材6bは、車輪9のホイール10が取り付けられ、ホイール10と一体に回転する。図1に示す例では、出力部材6bは、後述する歯車伝動機構6dのキャリア6kとして機能するとともに、減速機構6の外殻を形成している。その外殻を形成する部分は、中空形状になっており、その中空部分の内周の空間に、入力部材6aおよび後述する固定部材6cを収容している。図1に示すように、出力部材6bの内周部分と固定部材6cの外周部分との間には、ベアリング11,12が設けられており、出力部材6bは固定部材6cに対して相対回転可能になっている。また、固定部材6cの内周部分と入力部材6aの外周部分との間には、ベアリング13,14が設けられており、入力部材6aは固定部材6cに対して相対回転可能になっている。
固定部材6cは、入力部材6aおよび出力部材6bならびに後述する歯車伝動機構6dの回転要素(図1に示す例では、後述する第2サンギヤ6j、および、キャリア6k)をいずれも回転可能に支持する。また、固定部材6cは、後述する歯車伝動機構6dの固定要素(図1に示す例では、後述する第1サンギヤ6g)を回転不可能に固定する。固定部材6cは、中空の円筒形状の部材であり、一方(図1の右側)の端部に、例えば、サスペンション機構(図示せず)に連結するフランジ6eが形成されている。固定部材6cの他方(図1の左側)の端部は、後述する歯車伝動機構6dの第1サンギヤ6gが取り付けられている。固定部材6cの円筒部6fの外周部分に、ベアリング11,12を介して、出力部材6bの中空部分が配置されている。また、固定部材6cの円筒部6fの内周部分に、ベアリング13,14を介して、入力部材6aの回転軸部分が配置されている。したがって、固定部材6cは、入力部材6aおよび出力部材6bを、それぞれ、回転可能に支持している。
歯車伝動機構6dは、図2に示すように、構成要素として、第1サンギヤ6g、ロングピニオン6h、ショートピニオン6i、第2サンギヤ6j、および、キャリア6kを有している。歯車伝動機構6dは、上記の各構成要素によって、一種の複合遊星歯車機構を形成している。
第1サンギヤ6gは、固定部材6cの他方(図1,図2の左側)の端部に取り付けられて、固定部材6cに回転不可能に固定される。第1サンギヤ6gは、第1サンギヤ6gの外周側に配置されたロングピニオン6hに噛み合っている。第1サンギヤ6gは、固定部材6cによって回転が規制されており、歯車伝動機構6dの固定要素となっている。
ロングピニオン6hは、後述するショートピニオン6iと比較して、回転軸線方向の長さ(軸長)が長いギヤによって形成されている。ロングピニオン6hは、第1サンギヤ6gの外周側に配置され、第1サンギヤ6gに噛み合っている。
ショートピニオン6iは、ロングピニオン6hより軸長が短いギヤによって形成されている。ショートピニオン6iは、ロングピニオン6hの内周側に配置されてロングピニオン6hに噛み合っている。また、ショートピニオン6iは、後述する第2サンギヤ6jにも噛み合っている。
第2サンギヤ6jは、入力部材6aの他方(図1,図2の左側)の端部に取り付けられて、入力部材6aと一体に回転する。第2サンギヤ6jは、第2サンギヤ6jの外周側に配置されたショートピニオン6iに噛み合っている。第2サンギヤ6jは、入力部材6aと共に固定部材6cに相対回転可能に支持されており、歯車伝動機構6dの回転要素となっている。
キャリア6kは、上記のロングピニオン6hおよびショートピニオン6iを共に自転および公転が可能なように保持している。キャリア6kは、出力部材6bに連結されており、出力部材6bと一体に回転する。キャリア6kは、出力部材6bと共に固定部材6cに相対回転可能に支持されており、歯車伝動機構6dの回転要素となっている。
上記のように、歯車伝動機構6dは、いわゆるリングギヤを有していないものの、ロングピニオン6hおよびショートピニオン6iが、それぞれ、第1サンギヤ6gおよび第2サンギヤ6jの外周部分を自転かつ公転するいわゆるプラネタリギヤ(ダブルプラネタリ)となっている。すなわち、歯車伝動機構6dは、一種の複合遊星歯車機構を構成している。したがって、複合遊星歯車機構から構成される減速機構6は、入力部材6aの回転速度に対する出力部材6bの回転速度を、大きな減速比で減速することができる。例えば、従来の一般的な遊星歯車機構で得られる減速比と比較して、より大きな減速比で、入力部材6aの回転速度に対する出力部材6bの回転速度を減速できる。すなわち、減速機構6は、ドライブシャフト5に伝達される駆動トルクおよび回生トルクならびに制動トルクを、より大きな増幅率で増幅してホイール10に伝達することができる。そのため、減速機構6で高減速比を設定して駆動トルクおよび回生トルクならびに制動トルクを大きく増幅できる分、各トルクの発生源となる電気モータ2および摩擦ブレーキ機構3の体格をそれぞれ小型化することができる。
また、前述した電気モータ2、摩擦ブレーキ機構3、および、動力統合機構4が、いずれも、車台7上に配置されるのに対して、減速機構6は、車輪9のホイール10とドライブシャフト5との間に配置される。具体的には、減速機構6は、ホイール10の内周部分に配置される。そして、減速機構6は、ドライブシャフト5を介して伝達される駆動トルクおよび回生トルクならびに制動トルクを増幅してホイール10に伝達する。要するに、動力ユニット1は、車台7に搭載された電気モータ2、摩擦ブレーキ機構3、および、動力統合機構4から、ドライブシャフト5を介して、車輪9に駆動トルクおよび回生トルクならびに制動トルクを伝達する、いわゆるオンボードタイプの動力ユニットを構成している。電気モータ2および摩擦ブレーキ機構3からそれぞれ出力されるトルク、すなわち、互いに異なる二つの出力軸2aおよび出力軸3aからそれぞれ出力される駆動トルクおよび回生トルクならびに制動トルクは、動力統合機構4で一つの出力軸4eに統合されて、ドライブシャフト5に伝達される。その結果、電気モータ2の回生トルクによる制動力の着力点と、摩擦ブレーキ機構3の制動トルクによる制動力の着力点とが一致する。
したがって、この発明の実施形態における動力ユニット1によれば、電気モータ2の回生トルクによる制動力の着力点と、摩擦ブレーキ機構3の制動トルクによる制動力の着力点とを一致させて、制動時の車両姿勢を安定させることができる。それと共に、減速機構6による大きなトルク増幅作用により、電気モータ2および摩擦ブレーキ機構3の小型・軽量化を図ることができる。そのため、この発明の実施形態における動力ユニット1を搭載する車両Veの軽量化に寄与し、車両Veのエネルギ効率を向上させることができる。また、小型化により、車両Veへの搭載性や車両Veの居住性を向上させることができる
なお、図1に示す動力ユニット1は、前述したように、車幅方向で左右対称に形成される。図1に示す構成(車幅方向で左側の構成)と同じものが、車幅方向で右側にも構成されている。図1に示す例では、それら左右の構成は、クラッチ機構15を介して、連結されている。
クラッチ機構15は、左側の動力ユニット1における電気モータ2の出力軸2aと、右側の動力ユニット1における電気モータ2の出力軸(図示せず)とを連結する摩擦係合力を発生する。例えば、車両Veの直進走行時に、クラッチ機構15係合して左右の電気モータ2の出力軸2aを連結することにより、車両Veの直進走行性能を向上させることができる。また、クラッチ機構15係合することにより、左右の電気モータ2のいずれか一方だけで、車両Veの駆動力を発生させることができる。また、左右の摩擦ブレーキ機構3のいずれか一方だけで、車両Veの制動力を発生させることもできる。そのため、左右のいずれか一方の電気モータ2あるいは摩擦ブレーキ機構3に不具合が生じた場合であっても、他方の電気モータ2あるいは摩擦ブレーキ機構3によって、車両Veの駆動力あるいは制動力を発生させることができる。すなわち、動力ユニット1の冗長性を確保することができる。
図3から図7に、この発明の他の実施形態を示してある。なお、以下に図示して説明する動力ユニット1において、前述した図1、あるいは、既出の図面で示した動力ユニット1と構成や機能が同じ部材もしくは部品等については、図1、あるいは、既出の図面で用いた参照符号と同じ参照符号を付けてある。
この発明の実施形態における動力ユニット1は、図1で示した例に限らず、電気モータ2、摩擦ブレーキ機構3、および、パーキングブレーキ機構8の配置位置を自由に設定できる。図1で示した例では、動力統合機構4の出力軸4eは、車幅方向の外側(図1の左側)に突出している。そして、電気モータ2、摩擦ブレーキ機構3、および、パーキングブレーキ機構8は、いずれも、車幅方向の中央部分(図1の左右における動力統合機構4の右側)に配置されている。それに対して、図3に示す例では、動力統合機構4の出力軸4eは、車幅方向の外側(図3の左側)に突出している。そして、電気モータ2、摩擦ブレーキ機構3、および、パーキングブレーキ機構8は、いずれも、車幅方向の外側(図3の左右における動力統合機構4の左側)に配置されている。
また、図4に示す例では、電気モータ2、摩擦ブレーキ機構3、および、パーキングブレーキ機構8は、車幅方向(図4の左右方向)に直列に配置されている。電気モータ2の出力軸21は、ドライブシャフト5に連結されている。出力軸21は、ドライブシャフト5と一体に回転する。一方、摩擦ブレーキ機構3の出力軸(図示せず)、および、パーキングブレーキ機構8の出力軸(図示せず)は、いずれも、出力軸21に、直接または間接的に、連結されている。摩擦ブレーキ機構3の出力軸、および、パーキングブレーキ機構8の出力軸は、出力軸21と一体に回転する。したがって、図4に示す例では、電気モータ2の出力軸21は、電気モータ2が発生する駆動トルクおよび回生トルク、ならびに、摩擦ブレーキ機構3およびパーキングブレーキ機構8が発生する制動トルクを統合してドライブシャフト5に伝達する。すなわち、出力軸21は、この発明の実施形態における動力統合機構4としても機能する。なお、図4では、減速機構6に替えて、後述する減速機構41を用いた例を示してある。
図1,図3,図4に示すように、この発明の実施形態における動力ユニット1では、電気モータ2、摩擦ブレーキ機構3、および、パーキングブレーキ機構8の配置位置を、複数のパターンで設定できる。そのため、車台7のレイアウト設計の自由度を高めることができる。
図5は、いわゆるオンボードタイプの動力ユニット1の一例を全体的に示している。図5に示す例では、動力ユニット1は、電気モータ2、摩擦ブレーキ機構3、ドライブシャフト5、減速機構6、パーキングブレーキ機構8、入力ギヤ31、および、差動装置32を備えている。入力ギヤ31は、入力ギヤ31を支持して入力ギヤ31と一体に回転する入力ギヤ軸31aを有している。入力ギヤ31および入力ギヤ軸31aは、ケース33内に収容されており、ケース33に回転可能に支持されている。図5に示す例では、ケース33は、差動装置32のケースも
兼ねている。
入力ギヤ軸31aの両端部は、ケース33から外部に突出しており、それら入力ギヤ軸31aの両端部に、電気モータ2、ならびに、摩擦ブレーキ機構3およびパーキングブレーキ機構8がそれぞれ連結されている。図5に示す例では、入力ギヤ軸31aの一方(図5の右側)の端部に、電気モータ2の出力軸(図示せず)が連結されている。入力ギヤ軸31aの他方(図5の左側)の端部には、摩擦ブレーキ機構3およびパーキングブレーキ機構8の出力軸(図示せず)が連結されている。そして、入力ギヤ31は、後述する差動装置32のデファレンシャルリングギヤ32aに噛み合っている。
差動装置32は、例えば、従来、車両に搭載される一般的なデファレンシャルギヤ機構によって構成されており、デファレンシャルリングギヤ32a、および、出力軸32bを有している。差動装置32は、上記の入力ギヤ31と共に、ケース33内に収容されている。デファレンシャルリングギヤ32aおよび出力軸32bは、それぞれ、ケース33に回転可能に支持されている。デファレンシャルリングギヤ32aは、入力ギヤ31に噛み合っており、電気モータ2、摩擦ブレーキ機構3、および、パーキングブレーキ機構8からのトルクが伝達される。出力軸32bは、図5に示すように、車両Veの車幅方向(図5の左右方向)の左右に、ケース33から外部に突出している。各出力軸32bは、それぞれ、ドライブシャフト5に連結しており、ドライブシャフト5を介して減速機構6との間でトルクを伝達する。なお、この差動装置32として、例えば、本出願人が特願2019ー160039号で提案しているようなトルクベクタリング装置を適用することもできる。
ドライブシャフト5は、差動装置32と減速機構6との間でトルクを伝達する。ドライブシャフト5は、図5に示すように、車両Veの車幅方向の左右二箇所に設けられている。例えば、図5の左側に示すドライブシャフト5は、一方(図5の右側)の端部が差動装置32の出力軸32bに連結され、他方(図5の左側)の端部が、減速機構6の入力部材6aに連結されている。
減速機構6は、車輪9を回転可能に支持すると共に、車輪9を車台7に連結する。減速機構6は、図5に示すように、車両Veの車幅方向の左右二カ所に設けられている。減速機構6は、図5に示す例では、減速機構6の入力部材6aは、電気モータ2や摩擦ブレーキ機構3などのアクチュエータからの出力トルクが伝達される入力軸となっている。出力部材6bは、車輪9にトルクを伝達する出力用ハブとなっている。固定部材6cは、車台7に固定される固定用ハブとなっている。
減速機構6の入力部材6aは、ドライブシャフト5を介して、差動装置32の出力軸32bに連結されている。それら入力部材6a、ドライブシャフト5、および、出力軸32bは一体に回転する。出力部材6bは、車輪9のホイール10が取り付けられ、ホイール10と一体に回転する。すなわち、出力部材6bに形成されているフランジ6mがいわゆるホイールハブとなり、フランジ6mとホイール10とがボルト締結されている。固定部材6cは、例えばサスペンション機構(図示せず)を介して、車台7に取り付けられて、回転不可能に固定される。具体的には、固定部材6cのフランジ6eと、サスペンション機構に設けられたフランジ部34とがボルト締結されている。
したがって、この図5に示す例では、減速機構6は、車両Veの駆動輪(車輪10)を車台7に連結するためのハブ機構あるいはハブベアリングあって、車台7上に配置したアクチュエータあるいは動力源(すなわち、電気モータ2、摩擦ブレーキ機構3、および、パーキングブレーキ機構8)が発生するトルクを、それぞれ、ドライブシャフト5を介して駆動輪に伝達する、いわゆるオンボードタイプの動力ユニット1を構成している。
上記のように、この発明の実施形態における減速機構6をハブベアリングとして機能させて、駆動輪を車台7に連結することにより、減速機構6を用いたオンボードタイプの動力ユニット1を構成することができる。前述したように、減速機構6は、小径化を図りコンパクトに構成できるので、ホイール10の内周部分に容易に配置できる。また、減速機構6による高減速比の減速作用、すなわち、大きなトルク増幅作用により、アクチュエータあるいは動力源の小型化および軽量化を図ることができる。ひいては、車両Veの軽量化を図るとともに、車台7上のスペースを確保し、車両設計の自由度を高めることができる。
図6に示す動力ユニット1は、減速機構41を備えている。減速機構41は、上述した減速機構6に対して、入力側減速機42を加えて構成されている。入力側減速機42は、上述した減速機構6の入力部材6aをドライブシャフト5に対して減速して回転させる。入力側減速機42は、従来一般的な減速歯車機構や遊星歯車機構を用いて構成できる。図6に示す例では、入力側減速機42は、上述した減速機構6と同様の、リングギヤを用いないタイプの一種の複合遊星歯車機構から構成されている。具体的には、入力側減速機42は、入力部材42a、出力部材42b、固定部材42c、および、歯車伝動機構42dを有している。
入力部材42aは、回転軸状の部材によって形成されている。入力部材42aの一方(図6の右側)の端部は、ドライブシャフト5に連結される。入力部材42aは、ドライブシャフト5と一体に回転する。それと共に、入力部材42aの一方の端部には、後述する歯車伝動機構42dの第1サンギヤ42eが取り付けられている。入力部材42aの他方(図5の左側)の端部は、減速機構6の入力部材6aに連結されている。入力部材42aには、電気モータ2が出力する駆動トルクおよび回生トルク、ならびに、摩擦ブレーキ機構3が発生する制動トルクが伝達される。
出力部材42bは、中空の円筒形状の部材によって形成されている。出力部材42bの一方(図6の右側)の端部は、後述する歯車伝動機構42dの第2サンギヤ42hが取り付けられている。出力部材42bの他方(図6の左側)の端部は、減速機構6の固定部材6cに連結されている。なお、この図6に示す例では、減速機構6の固定部材6cは、いわゆる反力要素として機能し、その回転が止められて固定されるものではないが、便宜上、従前の説明の通り“固定部材6c”と称することにする。
固定部材42cは、後述する歯車伝動機構42dのキャリア42iとして機能するとともに、減速機構6の外殻を形成している。その外殻を形成する部分は、中空形状になって居る。減速機構6は、その中空部分の内周の空間に、入力部材42aおよび出力部材42b、ならびに、減速機構6の入力部材6a、固定部材6c、および、歯車伝動機構6dのキャリア6kの一部(円筒部6n)を収容している。図6に示すように、固定部材42cの内周部分と円筒部6nの外周部分との間には、ベアリング43,44が設けられており、減速機構6のキャリア6kは入力側減速機42の固定部材42cに対して相対回転可能になっている。また、円筒部6nの内周部分と出力部材42bの外周部分との間には、ベアリング45,46が設けられており、減速機構6の円筒部6nと入力側減速機42の出力部材42bとは互いに相対回転可能になっている。
歯車伝動機構42dは、図6に示すように、構成要素として、第1サンギヤ42e、ショートピニオン42f、ロングピニオン42g、第2サンギヤ42h、および、キャリア42iを有している。歯車伝動機構42dは、上記の各構成要素によって、一種の複合遊星歯車機構を形成している。
第1サンギヤ42eは、入力部材42aの一方(図6の右側)の端部に取り付けられて、入力部材42aと一体に回転する。第1サンギヤ42eは、第1サンギヤ42eの外周側に配置されたショートピニオン42fに噛み合っている。
ショートピニオン42fは、後述するロングピニオン42gと比較して、回転軸線方向の長さ(軸長)が短いギヤによって形成されている。ショートピニオン42fは、第1サンギヤ42eの外周側に配置され、第1サンギヤ42eに噛み合っている。
ロングピニオン42gは、ショートピニオン42fより軸長が長いギヤによって形成されている。ロングピニオン42gは、ショートピニオン42fの外周側に配置されてショートピニオン42fに噛み合っている。また、ロングピニオン42gは、後述する第2サンギヤ42hにも噛み合っている。
第2サンギヤ42hは、出力部材42bの一方(図6の右側)の端部に取り付けられて、出力部材42bと一体に回転する。第2サンギヤ42hは、第2サンギヤ42hの外周側に配置されたロングピニオン42gに噛み合っている。第2サンギヤ42hは、出力部材42b、および、減速機構6の円筒部6nと共に固定部材6cに相対回転可能に支持されている。
キャリア42iは、上記のショートピニオン42fおよびロングピニオン42gを共に自転可能に保持している。キャリア42iは、固定部材42cに連結されており、固定部材42cによって回転が規制されている。
上記のように、歯車伝動機構42dは、いわゆるリングギヤを有していないものの、ショートピニオン42fおよびロングピニオン42gが、それぞれ、第1サンギヤ42eおよび第2サンギヤ42hの外周部分で自転するいわゆるプラネタリギヤ(ダブルプラネタリ)となっている。すなわち、歯車伝動機構42dは、一種の複合遊星歯車機構を構成している。そのため、複合遊星歯車機構から構成される歯車伝動機構42dは、入力部材42aの回転速度に対する出力部材42bの回転速度を、大きな減速比で減速することができる。すなわち、ドライブシャフト5の回転速度に対する減速機構6の入力部材6aの回転速度を減速できる。
したがって、減速機構41は、ドライブシャフト5に伝達される駆動トルクおよび回生トルクならびに制動トルクを、より大きな増幅率で増幅してホイール10に伝達することができる。そのため、減速機構41で更に大きな減速比を設定して駆動トルクおよび回生トルクならびに制動トルクを大きく増幅できる分、各トルクの発生源となる電気モータ2および摩擦ブレーキ機構3の体格を、それぞれ、より一層小型化することができる。
図7に示す動力ユニット1は、減速機構51を備えている。減速機構51は、サンギヤを用いないタイプの一種の複合遊星歯車機構から構成されている。具体的には、減速機構51は、主要な構成要素として、入力部材51a、出力部材51b、固定部材51c、および、歯車伝動機構51dを備えている。
入力部材51aは、電気モータ2および摩擦ブレーキ機構3などの外部のアクチュエータから出力されるトルクが伝達される。入力部材51aは、例えば、アクチュエータの出力軸(図示せず)が連結されるハブ形状あるいは軸形状の回転部材として形成される。入力部材51aは、一方(図7の右側)の端部が減速機構51の端部に突出しており、例えば、電気モータ2が出力する駆動トルクまたは回生トルク、あるいは、摩擦ブレーキ機構3が発生する制動トルクが伝達される。入力部材51aは、後述するベアリング52,55を介して、固定部材51cに支持されている。入力部材51aは、出力部材51bおよび固定部材51cのいずれとも相対回転可能になっている。
出力部材51bは、車輪9のホイール10が取り付けられ、ホイール10と一体に回転する。出力部材51bは、ホイール10にトルクを伝達する。出力部材51bは、ホイール10が連結されるハブ形状あるいは軸形状の回転部材として形成される。図7に示す例では、出力部材51bは、フランジ51eが設けられた中空の回転部材によって形成されている。フランジ51eは、出力部材51bの一方(図7の左側)の端部の外周部分に形成されている。出力部材51bの他方(図7の右側)に形成した中空部51fは、後述するベアリング53,54を介して、固定部材51cに支持されている。また、出力部材51bは、その中空部51fの内周の空間に、固定部材51cおよび歯車伝動機構51dを収容する。すなわち、出力部材51bの中空部51fは、この減速機構51のケースまたはハウジングとして機能している。出力部材51bは、フランジ51e側の端部の中心部分に設けたベアリング52を介して、入力部材51aを回転可能に支持している。出力部材51bは、入力部材51aおよび固定部材51cのいずれとも相対回転可能になっている。
固定部材51cは、入力部材51a、および、出力部材51bを回転可能に支持する。また、固定部材51cは、後述する歯車伝動機構51d第2リングギヤ51jおよびキャリア51oを回転可能に支持する。更に、固定部材51cは、後述する歯車伝動機構51dの第1リングギヤ51iを回転不可能に固定する。固定部材51cは、例えば、サスペンション機構(図示せず)に連結するハブ形状の部材として形成される。図7に示す例では、固定部材51cは、フランジ51gが設けられた中空の回転部材によって形成されている。フランジ51gは、固定部材51cの一方(図7の右側端部)端部の外周部分に形成されている。固定部材51cの他方(図7の左側)に形成した中空部51hは、その中空部51hの内周の空間に、歯車伝動機構51dの一部を収容する。固定部材51cは、中空部51hの外周に設けられた2個のベアリング53,54を介して、出力部材51bを回転可能に支持している。また、固定部材51cは、フランジ51g側の端部の中心部分に設けたベアリング55を介して、入力部材51aを回転可能に支持している。固定部材51cは、入力部材51aおよび出力部材51cのいずれとも相対回転可能になっている。
歯車伝動機構51dは、構成要素として、第1リングギヤ51i、第2リングギヤ51j、第1ピニオン51k、第2ピニオン51m、ピニオン軸51n、および、キャリア51oを有している。歯車伝動機構51dは、上記の各構成要素によって、一種の複合遊星歯車機構を形成している。
第1リングギヤ51iは、内歯歯車として形成されている。第1リングギヤ51iは、固定部材51cに回転が不可能なように固定されている。具体的には、固定部材51cの中空部51hの内周部分に、内歯歯車の第1リングギヤ51iが取り付けられている。あるいは、固定部材51cの中空部51hの内周部分に、第1リングギヤ51iが固定部材51cと一体に形成されている。したがって、第1リングギヤ51iは、固定部材51cによって回転が規制されている。
第2リングギヤ51jは、内歯歯車として形成されている。第2リングギヤ51jは、第1リングギヤ51iと同一の回転軸線上に配置されている。第2リングギヤ51jは、出力部材51bと一体になって回転する。具体的には、出力部材51bの中空部51fの内周部分に、内歯歯車の第2リングギヤ51jが取り付けられている。あるいは、出力部材51bの中空部51fの内周部分に、第2リングギヤ51jが出力部材51bと一体に形成されている。したがって、第2リングギヤ51jは、出力部材51bと共に固定部材51cに相対回転可能に支持されている。
第1ピニオン51kおよび第2ピニオン51mは、いずれも、小径の外歯歯車であり、第1ピニオン51kは、第1リングギヤ51iに噛み合っている。第2ピニオン51mは、第2リングギヤ51jに噛み合っている。第1ピニオン51kは、ピニオン軸51nの一方(図7の右側)の端部付近に固定されており、ピニオン軸51nと一体になって回転する。第2ピニオン51mは、ピニオン軸51nの他方(図7の左側)の端部付近に固定されており、ピニオン軸51nと一体になって回転する。すなわち、第1ピニオン51k、および、第2ピニオン51m、ならびに、ピニオン軸51nは、いずれも、同一の(ピニオン軸51nの)回転軸線上に配置されており、互いに、一体となって回転する。
キャリア51oは、第1ピニオン51kおよび第2ピニオン51mを共に自転および公転が可能なように保持する。具体的には、キャリア51oは、第1ピニオン51kおよび第2ピニオン51mを固定したピニオン軸51nの両端を回転可能に支持している。それと共に、キャリア51oは、入力部材51aに一体となって回転する。具体的には、キャリア51oは、ピニオン軸51nの一方(図7の右側)の端部を支持する第1アーム51pと、ピニオン軸51nの他方(図7の左側)の端部を支持する第2アーム51qとを有している。第1アーム51pおよび第2アーム51qは、それぞれ、入力部材51aに取り付けられており、入力部材51aに一体となって回転する。そのため、入力部材51aと共にキャリア51oが回転することにより、第1ピニオン51kおよび第2ピニオン51mは、ピニオン軸51n上を自転しつつ、それぞれ、第1リングギヤ51iおよび第2リングギヤ51jの内周を公転する。したがって、キャリア51oは、ピニオン軸51nを支持して、第1ピニオン51kおよび第2ピニオン51mを共に自転および公転が可能なように保持している。また、キャリア51oは、入力部材51aに一体となって回転する。
上記のように、第1ピニオン51kおよび第2ピニオン51mは、キャリア51oよって自転および公転が可能なように保持されている。したがって、歯車伝動機構51dは、いわゆるサンギヤを有していないものの、第1ピニオン51kおよび第2ピニオン51mが、それぞれ、第1リングギヤ51iおよび第2リングギヤ51jの内周部分を自転かつ公転するいわゆるプラネタリギヤとなって、一種の複合遊星歯車機構を構成している。
この図7に示す減速機構51では、歯車伝動機構51dが、上記のようにサンギヤを備えていないタイプの複合遊星歯車機構から構成される。そのため、中心部の回転軸線上にサンギヤを配置する必要がないので、サンギヤの配置スペースを削減して、歯車伝動機構51dの小径化を図ることができる。その結果、減速機構51の全体としての構成を小型化することができる。
更に、この図7に示す減速機構51では、使用する歯車の個数を抑制できる。前述の図1,図2で示した減速機構6と比較して、使用する歯車の個数を削減することができる。また、より大きい減速比を設定できる。したがって、この図7に示す例では大きな減速比を設定することができ、なおかつ、簡素な構造でかつ小径化を図ったコンパクトな減速機構51を構成することができる。ひいては、電気モータ2および摩擦ブレーキ機構3の小型・軽量化を図り、コンパクトで車台7への搭載性に優れたオンボードタイプの動力ユニット1を構成することができる。
1…動力ユニット、 2…電気モータ、 2a…(電気モータの)出力軸、 3…摩擦ブレーキ機構、 3a…(摩擦ブレーキ機構の)出力軸、 4…動力統合機構、 4a…ケース、 4b…駆動側ピニオン、 4c…制動側ピニオン、 4d…大径ギヤ、 4e…出力軸、 5…ドライブシャフト、 6…減速機構、 6a…入力部材、 6b…出力部材、 6c…固定部材、 6d…歯車伝動機構、 6e…フランジ、 6f…円筒部、 6g…第1サンギヤ、 6h…ロングピニオン、 6i…ショートピニオン、 6j…第2サンギヤ、 6k…キャリア、 6m…フランジ、 6n…円筒部、 7…車台、 8…パーキングブレーキ機構、 9…車輪、 10…ホイール、 11,12,13,14…ベアリング、 15…クラッチ機構、 21…(電気モータの)出力軸(動力統合機構)、 31…入力ギヤ、 31a…入力ギヤ軸、 32…差動装置、 32a…デファレンシャルリングギヤ、 32b…(差動装置の)出力軸、 33…ケース、 34…(サスペンション機構の)フランジ部、 41…減速機構、 42…入力側減速機、 42a…入力部材、 42b…出力部材、 42c…固定部材、 42d…歯車伝動機構、 42e…第1サンギヤ、 42f…ショートピニオン、 42g…ロングピニオン、 42h…第2サンギヤ、 42i…キャリア、 43,44,45,46…ベアリング、 51…減速機構、 51a…入力部材、 51b…出力部材、 51c…固定部材、 51d…歯車伝動機構、 51e…フランジ、 51f…中空部、 51g…フランジ、 51h…中空部、 51i…第1リングギヤ、 51j…第2リングギヤ、 51k…第1ピニオン、 51m…第2ピニオン、 51n…ピニオン軸、 51o…キャリア、 51p…第1アーム、 51q…第2アーム、 52,53,54,55…ベアリング、 Ve…車両。

Claims (1)

  1. 駆動トルクおよび回生トルクを発生する電気モータと、摩擦力を利用して制動トルクを発生する摩擦ブレーキ機構と、前記電気モータおよび前記摩擦ブレーキ機構と車両の車輪との間でトルクを伝達するドライブシャフトと、前記駆動トルクおよび前記回生トルクならびに前記制動トルクを統合して前記ドライブシャフトに伝達する動力統合機構と、トルクを増幅して前記車輪に伝達する減速機構と、を備えた車両用動力ユニットにおいて、
    前記電気モータ、前記摩擦ブレーキ機構、および、前記動力統合機構は、いずれも、前記車両の車台に配置され、
    前記減速機構の少なくとも一部は、前記車輪のホイールと前記ドライブシャフトとの間に配置されて、前記ドライブシャフトに伝達される前記駆動トルクおよび前記回生トルクならびに前記制動トルクを増幅して前記ホイールに伝達する
    ことを特徴とする車両用動力ユニット。
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