以下、図面を参照して、実施形態に係る検出器パック、X線検出器、X線CT装置、検出器パックの製造方法を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す図である。例えば、図1に示すように、本実施形態に係るX線CT装置100は、ガントリ110、天板120、及びコンソール装置130を有する。
ガントリ110は、回転フレーム111と、回転駆動装置112と、フレーム支持機構とを有する回転支持機構を収容する。回転フレーム111には、高電圧発生器113と、X線管114と、X線検出器200と、非接触データ伝送装置115とが搭載される。なお、ガントリ110には、X軸、Y軸及びZ軸からなる座標系が設定される。X軸は、ガントリ110の水平方向に対応する。また、Y軸は、X軸と直交する軸であり、ガントリ110の鉛直方向に対応する。また、Z軸は、X軸及びY軸と直交する軸であり、非チルト時における回転フレーム111の回転軸方向に対応する。
回転フレーム111は、X線管114及びX線検出器200を支持する円環状のフレームである。回転フレーム111は、フレーム支持機構によって、ガントリ110に設定されたZ軸を中心に回転自在に支持される。
回転駆動装置112は、回転フレーム111の回転を駆動する。例えば、回転駆動装置112は、電動機によって実現される。
高電圧発生器113は、処理回路140による制御のもと、スリップリング116を介してガントリ110の外部から供給される電力により、X線管114に印加する管電圧及びX線管114に供給する管電流を発生する。なお、高電圧発生器113は、ガントリ110の外部に設置されてもよい。その場合には、高電圧発生器113は、スリップリング116を介して、X線管114に管電圧を印加し、X線管114に管電流を供給する。
X線管114は、高電圧発生器113から印加される管電圧及び高電圧発生器113から供給される管電流により、X線の焦点からX線を照射する。X線管114の前面に設けられたX線放射窓には複数のコリメータ板が取り付けられ、各コリメータ板が、X線の焦点から放射されたX線をコーンビーム形(角錐形)に成形する。なお、図1では、X線の照射範囲を破線117で示している。破線117に示すように、X線は、ガントリ110における回転フレーム111の中央周辺に形成された開口部118の内側に照射される。
X線検出器200は、被検体を透過したX線を検出する。例えば、X線検出器200は、X線管114の焦点を中心とした1つの円弧に沿ってチャンネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列が、スライス方向に複数配列された構造を有する。このように2方向に配列された複数のX線検出素子は、X線管114から照射され被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS(Data Acquisition System)基板221へと出力する。DAS基板221は、電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、各X線検出素子から出力される電気信号から検出データ(生データ)を生成する。DAS基板221が生成した生データは、非接触データ伝送装置115によりコンソール装置130へと転送される。なお、DAS基板221の詳細については後述する。
非接触データ伝送装置115は、磁気信号や光信号等を用いた非接触なデータ伝送方式により、X線検出器200から出力される生データを前処理機能162に送信する。
天板120は、被検体が載置され、図示しない天板駆動装置によってX軸、Y軸及びZ軸それぞれに沿って移動される。天板駆動装置は、処理回路140による制御のもと、ガントリ110に形成された開口部118の内側へ天板120を移動する。
コンソール装置130は、図1に示すように、記憶回路131、入力回路132、ディスプレイ133、及び処理回路140を有する。
記憶回路131は、各種のデータを記憶する。例えば、記憶回路131は、処理回路140によって生成される投影データ医用画像を記憶する。例えば、記憶回路131は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。
入力回路132は、操作者から各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路140に送信する。例えば、入力回路132は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。例えば、入力回路132は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。
ディスプレイ133は、各種の情報を出力する。例えば、ディスプレイ133は、処理回路140によって生成された医用画像や、操作者から各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ133は、液晶パネルやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ等により実現される。
処理回路140は、入力回路132から送信される入力操作の電気信号に応じて、X線CT装置100全体の動作を制御する。例えば、処理回路140は、制御機能141と、前処理機能142と、画像生成機能143とを有する。例えば、処理回路140は、プロセッサにより実現される。
制御機能141は、入力回路132を介して操作者から受け付けた収集条件に基づいて、回転駆動装置112や高電圧発生器113、天板駆動装置等を制御することによって、被検体の投影データを収集する。
前処理機能142は、非接触データ伝送装置115から送信される生データに対して前処理を行うことで投影データを生成し、生成した投影データを記憶回路131に格納する。例えば、前処理機能142は、対数変換処理やオフセット補正処理、チャンネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を行う。
画像生成機能143は、X線検出器200によって検出されたX線に基づいて被検体の医用画像を生成し、生成した医用画像を記憶回路131に格納する。
具体的には、画像生成機能143は、入力回路132から送られる再構成条件に基づいて、前処理機能142によって生成された投影データに対して再構成処理を行うことで、被検体のCT画像を再構成する。例えば、画像生成機能143は、フェルドカンプ法やコーンビーム再構成法等により3次元画像(ボリュームデータ)を再構成する。また、例えば、画像生成機能143は、ファンビーム再構成法やFBP(Filtered Back Projection)法等の逆投影処理により2次元画像(断層画像)を再構成する。
また、画像生成機能143は、入力回路132から送られる画像処理条件に基づいて、CT画像のデータに対して各種の画像処理を行うことで各種の処理画像を生成する。例えば、画像生成機能143は、MPR(Multi Planar Reconstruction)画像や、MIP(Maximum Intensity Projection)画像等の投影画像、ボリュームレンダリング画像等を生成する。
ここで、例えば、処理回路140が有する制御機能141、前処理機能142及び画像生成機能143は、それぞれコンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路131に記録される。処理回路140は、記憶回路131から各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各機能に対応するプログラムを読み出した状態の処理回路140は、図1で処理回路140内に示した制御機能141、前処理機能142及び画像生成機能143を有することとなる。
また、図1に示す例では、処理回路140が有する制御機能141、前処理機能142及び画像生成機能143が1つのプロセッサで実現される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、処理回路140が有する各機能は、単一又は複数のプロセッサによって適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し、読み出したプログラムを実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。
図2は、第1の実施形態に係るX線検出器200の構成例を示す図である。例えば、図2に示すように、X線検出器200は、コリメータユニット210と、複数の検出器モジュール220とを有する。なお、図2では、X線の照射方向を破線の矢印で示している。また、以下の説明では、X線管114を中心にした円周方向をチャンネル方向と呼び、前述した回転フレーム111の回転軸であるZ軸に沿った方向をスライス方向と呼ぶ。
コリメータユニット210は、検出器モジュール220に入射するX線から散乱線を除去する。具体的には、コリメータユニット210は、X線管114を中心にした略弧状に形成され、X線の照射方向で各検出器モジュール220の手前側に配置される。例えば、コリメータユニット210は、チャンネル方向に沿って弧状に形成された支持部材に、X線の照射方向に沿って複数のコリメータ板を取り付けることで構成される。
複数の検出器モジュール220は、コリメータユニット210の外周側にチャンネル方向に沿って並べて配置される。なお、図2では、複数の検出器モジュール220がチャンネル方向に沿って一次元に配置される場合の例を示したが、実施形態はこれに限られない。例えば、検出器モジュール220は、チャンネル方向及びスライス方向に沿って二次元に配置されてもよい。
図3は、第1の実施形態に係る検出器モジュール220の構成例を示す図である。例えば、図3に示すように、検出器モジュール220は、DAS(Data Acquisition System)基板221と、検出器パック300とを有する。なお、図3では、X線の照射方向を破線の矢印で示している。
DAS基板221は、検出器パック300によって検出されるX線の強度分布データに対して増幅処理やA/D変換処理等を行うことで生データを生成し、生成した生データを出力する。DAS基板221は、図示しない支持部材により検出器モジュール220内部に支持される。また、DAS基板221と検出器パック300との間には、X線の直接入射による影響を防ぐためにX線遮蔽板が設けられる場合がある。
検出器パック300は、プレート310と、PDA(Photodiode Array)320と、シンチレータアレイ330とを有する。プレート310は、PDA320及びシンチレータアレイ330を支持する部材である。ここで、PDA320及びシンチレータアレイ330は、接着シートにより光学的に接着される。
PDA320は、例えば、セラミック基板上にSi(Silicon)ウェハが積載(マウント)された部材である。PDA320は、シンチレータアレイ330によって発生する光(シンチレーション光)のエネルギーに応じて、シンチレーション光を電気信号に変換する。なお、PDA320により変換された電気信号は、DAS基板221により収集される。すなわち、DAS基板221は、PDA320により変換された電気信号を収集するデータ収集回路として機能する。
シンチレータアレイ330は、X線の入射により光を発する複数のシンチレータブロック(以下、単に「シンチレータ」とも表記する)により形成される。例えば、シンチレータアレイ330は、直方体状に加工された複数個のシンチレータブロックが縦横に二次元的に配置され、各シンチレータブロックの間隙に格子状の反射材が形成された部材である。例えば、シンチレータアレイ330は、コリメータユニット210を経て入射したX線のエネルギーに応じた光量の光(シンチレーション光)を発生する。
ここで、シンチレータアレイ330に入射されるX線は、格子状の反射材で区切られたシンチレータブロックごとにシンチレーション光に変換される。そして、シンチレータブロックごとに変換されたシンチレーション光は、各シンチレータブロックに対応するPDA320の有感領域(Active area)ごとに電気信号に変換される。すなわち、反射材で区切られた領域に対応するシンチレータブロック及び有感領域が、1つの検出素子として機能する。
このように、各検出器モジュール220は、DAS基板221と検出器パック300とがモジュール化されることにより形成される。これにより、例えば、複数の検出器パック300のうちのいずれかが故障したような場合に、故障した検出器パック300をモジュール単位で交換することができる。なお、ここでは、DAS基板221と検出器パック300とがモジュール化される場合の例を説明するが、実施形態はこれに限られない。例えば、コリメータユニット210を検出器パック300ごとに分割することで、検出器パック300、DAS基板221、及びコリメータユニット210がモジュール化されてもよい。このような場合にも、故障した検出器パック300をモジュール単位で交換することができる。
また、第1の実施形態では、DAS基板221がX線検出器200に備えられる場合を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、DAS基板221は、X線検出器200の外部に備えられても良い。この場合、DAS基板221は、ガントリ110若しくはコンソール装置130に設置可能である。
なお、図3では、1つの検出器モジュール220の構成について説明したが、X線検出器200に搭載されるそれぞれの検出器モジュール220は、同様の構成を備える。つまり、X線検出器200において、検出器パック300は、所定の方向(例えばチャンネル方向)に複数配列される。
ところで、PDAにおいて、1枚のセラミック基板に対して複数のSiウェハがマウントされる場合がある。この場合、以下に説明するように、シンチレータアレイとPDAとの間の光学接着剤(Optical Clear Adhesive:OCA)に気泡が残存しやすくなる。
図4は、1枚のセラミック基板に対して複数のSiウェハがマウントされる場合の一例を示す図である。図4には、PDA及びシンチレータアレイの接着面における断面図を例示する。なお、この断面図は、X線の照射方向とチャンネル方向とに沿った断面を表す。
図4に示すように、シンチレータアレイ30は、接着シート40によりPDA20上に接着されることで、マウントされる。PDA20は、セラミック基板21と、Siウェハ22A,22Bとから構成される。Siウェハ22A,22Bは、半田ボール等のボール状の電極であるBGA(Ball Grid Array)23A,23B,23C,23Dを介してセラミック基板21上にマウントされる。また、Siウェハ22Aは、有感領域24A,24Bを有する。Siウェハ22Bは、有感領域24C,24Dを有する。
ここで、共通のセラミック基板21に対して複数のSiウェハ22A,22Bがマウントされる場合には、各Siウェハ22A,22Bの厚みのばらつきやマウント精度により、マウントされた各Siウェハ22A,22Bの上面(接着シート40との接触面)の位置(高さ)にばらつきが生じる場合がある。図4の例では、Siウェハ22Aを支持するBGA23A,23Bに比べて、Siウェハ22Bを支持するBGA23C,23Dが大きいので、Siウェハ22AよりSiウェハ22Bの方が上面の位置が高くなり、ばらつき(段差)が生じている。
このような場合に、PDA20の上面に接着シート40を貼付すると、接着シート40中に気泡が残存しやすくなる。例えば、図4の領域50に示すように、Siウェハ22A,22Bの間に生じた段差の影響により、Siウェハ22Aと接着シート40との間に隙間が生じている。この隙間は、例えば、ローラーを用いてシンチレータアレイ30をPDA20に圧着させる際に押しつけられ、領域50の空気が気泡として接着シート40内部へ混入してしまう。このように気泡が混入すると、オートクレーブ等による脱泡処理を行っても分散しきれず、残存しやすくなる。このように、1つのセラミック基板21に対して複数のSiウェハ22A,22Bがマウントされる場合には、残存気泡が有感領域上へ移動してしまい、検出感度(検出器特性)に影響を及ぼす可能性がある。
そこで、以下の実施形態では、残存気泡による検出感度への影響が少ない検出器パック、X線検出器、X線CT装置、検出器パックの製造方法について、図面を参照して説明する。なお、以下では、1枚のセラミック基板に対して複数のSiウェハがマウントされる場合を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。つまり、以下の実施形態は、1枚のセラミック基板に対して1枚のSiウェハがマウントされる場合にも適用可能である。
図5は、第1の実施形態に係る検出器パック300の構成例を示す図である。図5には、PDA320及びシンチレータアレイ330の接着面における断面図を例示する。なお、図5の左図は、X線の照射方向とチャンネル方向とに沿った断面を表す。また、図5の右図は、X線の照射方向とスライス方向とに沿った断面を表す。言い換えると、図5の右図の断面及び図5の左図の断面は、互いに直交する断面である。
図5に示すように、シンチレータアレイ330は、接着シート340によりPDA320上に接着されることで、マウントされる。シンチレータアレイ330は、格子状の反射材(図5の右上がり斜線で示した領域に対応)で区切られた複数のシンチレータブロックを有する。
PDA320は、セラミック基板321と、Siウェハ322A,322Bとを備える。Siウェハ322A,322Bは、半田ボール等のボール状の電極であるBGA323A,323B,323C,323D,323Eを介してセラミック基板321上にマウントされる。以下において、複数のSiウェハ322A,322Bを区別無く総称する場合に、「Siウェハ322」と表記する。なお、セラミック基板321は、基板の一例である。また、Siウェハ322は、半導体ウェハの一例である。
また、PDA320は、複数のシンチレータそれぞれが発した光がそれぞれ入射される複数の有感領域324A,324B,324C,324D,324Eを有する。そして、PDA320は、複数の有感領域324A,324B,324C,324D,324Eそれぞれに入射された光を電気信号に変換する。具体的には、Siウェハ322Aは、有感領域324A,324Bを有する。Siウェハ322Bは、有感領域324C,324D,324Eを有する。以下において、複数の有感領域324A,324B,324C,324D,324Eを区別無く総称する場合に、「有感領域324」と表記する。
接着シート340は、例えば、シート状の光学接着剤である。接着シート340は、PDA320において複数の有感領域324が配列される面と、シンチレータアレイ330においてX線が入射する面とは反対側の面とを光学的に接着する。つまり、接着シート340は、PDA320とシンチレータアレイ330とを接着するのみならず、シンチレータアレイ330により発せられたシンチレーション光をPDA320に伝えるライトガイドとしても機能する。なお、接着シート340は、接着部の一例である。
また、接着シート340は、複数の溝341A,341B,341C,341Dが形成される。以下において、複数の溝341A,341B,341C,341Dを区別無く総称する場合に、「溝341」と表記する。
溝341は、PDA320と接する面に形成される。溝341は、PDA320と接する面からシンチレータアレイ330まで届かない程度の深さを有する。図5の例では、溝341は、PDA320とシンチレータアレイ330との間の中間程度に到達する深さである。
また、溝341は、複数の有感領域324の間に対応する位置に形成される。例えば、溝341Aは、有感領域324Aと有感領域324Bとの間に対応する位置にスライス方向に沿って形成される。また、溝341Bは、有感領域324Bと有感領域324Cとの間に対応する位置にスライス方向に沿って形成される。また、溝341Cは、有感領域324Cと有感領域324Dとの間に対応する位置にスライス方向に沿って形成される。また、溝341Dは、有感領域324Dと有感領域324Eとの間に対応する位置にチャンネル方向に沿って形成される。このように、各有感領域324が溝341で囲まれるように、複数の溝341が格子状に形成される。
図5の構成を有する検出器パック300によれば、例えば、接着シート340内部への気泡の混入を抑制することができる。具体的には、検出器パック300では、Siウェハ322Aを支持するBGA323A,323Bに比べて、Siウェハ322Bを支持するBGA323C,323Dが大きい。このため、Siウェハ322AよりSiウェハ322Bの方が上面(接着シート340との接触面)の位置が高くなり、ばらつき(段差)が生じている。しかしながら、接着シート340に溝341Bが形成された結果、接着シート340とSiウェハ322A,322Bとの間が密着し、図4の領域50に示したような隙間が生じていない。このため、検出器パック300は、2枚のSiウェハ322A,322Bの高さのばらつき(段差)に起因する接着シート340への気泡の混入を抑制することができる。したがって、検出器パック300は、有感領域324上への残存気泡の移動を抑制することができ、残存気泡による検出感度への影響を低減することができる。
また、検出器パック300によれば、例えば、接着シート340内部の残存気泡を溝341に排出させることができる。一例としては、有感領域324上の残存気泡は、マウントされたシンチレータアレイ330上からローラーなどにより所定方向に圧力をかけることで移動して、溝341に排出させることができる。したがって、検出器パック300は、残存気泡による検出感度への影響を低減することができる。
なお、図5では、1枚のセラミック基板321に対して複数のSiウェハ322A,322Bがマウントされる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上記の実施形態は、1枚のセラミック基板321に対して1枚のSiウェハ322がマウントされる場合にも適用可能であり、接着シート340内部の残存気泡を溝341に排出させることで、残存気泡による検出感度への影響を低減することができる。
また、図5にて図示した内容はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。一例として、図5では、溝341が個々の有感領域324の間をチャンネル方向及びスライス方向に沿って格子状に形成される場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、スライス方向に沿った溝341A,341B,341Cのみが形成されても良いし、チャンネル方向に沿った溝341Dのみが形成されても良い。また、例えば、図5に示した溝341A,341B,341C,341Dのうち任意の溝341のみが形成されても良い。つまり、溝341は、複数の有感領域324の間の少なくとも一部に対応する位置に形成されれば良い。ただし、複数のSiウェハ322の高さのばらつき(段差)に起因する接着シート340への気泡の混入を抑制するためには、溝341は、複数のSiウェハ322の間に対応する位置に形成されるのが好適である(例えば、図5の溝341B)。
また、例えば、溝341の深さは、任意に変更可能である。溝341の深さは、深い方が好ましいが、深ければ深いほど接着シート340が脆くなり、分断されやすくなる。このため、溝341の深さは、任意に変更可能であるが、接着シート340が分断されない範囲内で深くするのが好適である。
また、溝341の幅は、任意に変更可能である。ただし、例えば、溝341の幅が狭すぎる場合には、PDA320とシンチレータアレイ330とが圧着された場合に接着シート340が押しつぶされ、溝341が埋まってしまう可能性がある。このため、溝341の幅は、PDA320とシンチレータアレイ330とが圧着された場合に埋まってしまわない程度に十分に確保するのが好適である。また、溝341が有感領域324に重なってしまう場合には、その有感領域324の検出感度が低下してしまう可能性があるので、溝341の幅は、任意に変更可能であるが、有感領域324に重ならない範囲内で十分に確保するのが好適である。
また、溝341の形状は、任意に変更可能である。例えば、図5では、溝341の側面の形状は、一方向(チャンネル方向又はスライス方向)に伸びた直線形状であったが、多少の歪み(凹凸)があってもよい。また、図5では、溝341の底面の形状が平坦である場合を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、溝341の底面の形状は、曲面であっても良いし、多少の歪み(凹凸)があっても良い。つまり、溝341の形状は、接着シート340の脆さや有感領域324の検出感度に影響の無い範囲内で、任意に変更可能である。
上述してきたように、第1の実施形態に係る検出器パック300は、シンチレータアレイ330と、PDA320と、接着シート340とを備える。シンチレータアレイ330は、X線の入射により光を発する複数のシンチレータ(シンチレータブロック)により形成される。PDA320は、複数のシンチレータそれぞれが発した光がそれぞれ入射される複数の有感領域324を有し、複数の有感領域324それぞれに入射された光を電気信号に変換する。接着シート340は、PDA320において複数の有感領域324が配列される面と、シンチレータアレイ330においてX線が入射する面とは反対側の面とを光学的に接着する。また、接着シート340は、複数の有感領域324の間の少なくとも一部に対応する位置に溝が形成される。これによれば、第1の実施形態に係る検出器パック300は、残存気泡による検出感度への影響が少ないという効果を奏する。
次に、図6から図9を用いて、第1の実施形態に係る検出器パック300の製造方法を説明する。図6は、第1の実施形態に係る検出器パック300の製造方法の一例を示すフローチャートである。図7から図9は、第1の実施形態に係る検出器パック300の製造方法を説明するための図である。
図6には、検出器パック300を製造する一連の工程のうち、接着シート340を用いてPDA320上にシンチレータアレイ330がマウントされる工程に対応する。PDA320、シンチレータアレイ330、及び接着シート340は、任意の製造方法により製造されたものが用いられる。
なお、以下では、説明の都合上、接着シート340の一方の面を「A面」と表記し、他方の面を「B面」と表記するが、実際に用いられる接着シート340は表裏の区別がないものであって構わない。また、接着シート340は、A面に剥離紙350Aが接着され、B面に剥離紙350Bが接着された状態で製造される(図7から図9参照)。なお、剥離紙350A,350Bを区別無く総称する場合に、「剥離紙350」と表記する。
図6に示すように、ステップS11において、接着シート340のB面に切れ目が形成される。ここで、図7を用いて、ステップS11の工程を説明する。図7には、X線照射方向から見た図を正面図とした場合の接着シート340の三面図を例示する。図7の左上図は正面図に対応し、左下図は下面図に対応し、右図は右側面図に対応する。なお、図7の正面図において、破線の矩形で示された8つの領域は、接着シート340がPDA320に貼付された場合の有感領域324の位置に対応する(図5参照)。
図7に示すように、例えば、接着シート340のB面に切れ目360A,360B,360C,360Dが形成される。以下において、複数の切れ目360A,360B,360C,360Dを区別無く総称する場合に、「切れ目360」と表記する。
複数の切れ目360は、有感領域324の大きさに対応する間隔で、格子状に形成される。例えば、切れ目361A及び切れ目361Bは、1つの有感領域324の大きさに対応する間隔を空けて、一方向に形成される。具体的には、切れ目360A,360B,360Cは、一方向に形成され、切れ目360Dは、切れ目360A,360B,360Cに略直交する方向に形成される。切れ目360は、剥離紙350Bの剥離により接着剤が部分的にくり抜かれて図5の溝341になるように形成される。切れ目360の深さは、剥離紙350Bから剥離紙350Aまで到達しない深さであり、例えば、剥離紙350Bを貫通して接着シート340の厚みの中間程度にまで到達する深さである。また、切れ目360の幅は、PDA320に配列される有感領域324の間隔より少し狭い程度の幅である。なお、接着シート340に切れ目360を形成させるための技術としては、従来の如何なる技術が適用されても良い。
次に、ステップS12において、B面の剥離紙350Bの剥離により、切れ目360による溝341がB面に形成される。ここで、図8を用いて、ステップS12の工程を説明する。図8には、X線照射方向から見た図を正面図とした場合の接着シート340の三面図を例示する。図8の左上図は正面図に対応し、左下図は下面図に対応し、右図は右側面図に対応する。なお、図8の正面図において、破線の矩形で示された8つの領域は、接着シート340がPDA320に貼付された場合の有感領域324の位置に対応する(図5参照)。
図8に示すように、例えば、剥離紙350Bの剥離により、溝341A,341B,341C,341Dが形成される。それぞれの溝341は、それぞれの切れ目360と剥離紙350Bとで囲まれた領域の接着剤が部分的にくり抜かれることで形成される。具体的には、溝341Aは、切れ目360Aと剥離紙350Bとで囲まれた領域の接着剤が部分的にくり抜かれて形成される。また、溝341Bは、切れ目360Bと剥離紙350Bとで囲まれた領域の接着剤が部分的にくり抜かれて形成される。また、溝341Cは、切れ目360Cと剥離紙350Bとで囲まれた領域の接着剤が部分的にくり抜かれて形成される。また、溝341Dは、切れ目360Dと剥離紙350Bとで囲まれた領域の接着剤が部分的にくり抜かれて形成される。
続いて、ステップS13において、溝341が形成された接着シート340のB面がPDA320上に貼付される。接着シート340のB面は、複数の有感領域324の間に対応する位置に溝341が配置されるように貼付される。ここで、図9を用いて、ステップS13の工程を説明する。図9には、製造過程におけるPDA320の断面図を例示する。図9の左図の断面は、図5の左図と同様の方向から見た断面に対応し、図9の右図の断面は、図5の右図と同様の方向から見た断面に対応する。
図9に示すように、例えば、接着シート340のB面は、PDA320の上面(有感領域324が配列された面)に貼付される。ここで、接着シート340は、複数の有感領域324の間の領域(有感領域324ではない領域)に対応する位置に、接着シート340に形成された溝341が配置されるように貼付される。具体的には、溝341Aは、有感領域324Aと有感領域324Bとの間に対応する位置に配置される。溝341Bは、有感領域324Bと有感領域324Cとの間に対応する位置に配置される。溝341Cは、有感領域324Cと有感領域324Dとの間に対応する位置に配置される。溝341Dは、有感領域324Dと有感領域324Eとの間に対応する位置に配置される。なお、複数の有感領域324の間の領域に対応する位置と、それぞれの溝341の位置とを一致させる技術としては、従来の如何なる技術が適用されても良い。
続いて、ステップS14において、A面の剥離紙350Aが剥離される。具体的には、PDA320の上面(有感領域324が配列された面)に貼付された接着シート340から、剥離紙350Aが剥離される。
続いて、ステップS15において、接着シート340上にシンチレータアレイ330がマウントされる。具体的には、複数のシンチレータブロックそれぞれの位置が複数の有感領域324それぞれの位置に対応するように、シンチレータアレイ330がマウントされる。なお、複数のシンチレータブロックそれぞれの位置と、複数の有感領域324それぞれの位置とを一致させる技術としては、従来の如何なる技術が適用されても良い。
このように、接着シート340を用いてPDA320上にシンチレータアレイ330がマウントされることで、図5の検出器パック300が製造される。なお、図6に示したステップS11〜S15の各工程は、作業者により用手的に実行されてもよいし、製造機械により自動的に実行されてもよい。
なお、図6から図9にて図示した内容はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、図6に示した製造方法は、必ずしも図示した順序で実行されなくてもよい。一例としては、接着シート340をシンチレータアレイ330に貼付させてから、接着シート340が貼付された状態のシンチレータアレイ330をPDA320上にマウントさせても良い。
また、図7では、複数の切れ目360が、有感領域324の大きさに対応する間隔で格子状に形成される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、スライス方向に沿った切れ目360A,360B,360Cのみが形成されても良いし、チャンネル方向に沿った切れ目360Dのみが形成されても良い。また、例えば、図7に示した切れ目360A,360B,360C,360Dのうち任意の切れ目360のみが形成されても良い。つまり、切れ目360は、複数の有感領域324の間の少なくとも一部に対応する位置に形成されれば良い。ただし、複数のSiウェハ322の高さのばらつき(段差)に起因する接着シート340への気泡の混入を抑制するためには、複数の切れ目360は、1枚のセラミック基板321に対して複数積載されるSiウェハ322の大きさに対応する間隔で、少なくとも一方向に形成されるのが好適である。
また、図7にて図示した切れ目360の深さ、幅、及び形状は、図示の内容に限定されるものではない。例えば、切れ目360の深さ、幅、及び形状は、最終的に製造される接着シート340の溝341の深さ、幅、及び形状に応じて任意に変更可能である。
上述してきたように、第1の実施形態に係る検出器パック300の製造方法は、接着シート340のA面に貼付された剥離紙350A及びB面に貼付された剥離紙350Bの少なくとも一方と、接着シート340とに対して切れ目360を形成させることを含む。また、検出器パック300の製造方法は、剥離紙350A,350Bの剥離によりA面及びB面の少なくとも一方に切れ目360による溝341を形成させることを含む。また、検出器パック300の製造方法は、PDA320が有する複数の有感領域324の間の少なくとも一部に対応する位置に溝341が配置されるように、溝341が形成された接着シート340を用いて、PDA320上にシンチレータアレイ330をマウントさせることを含む。これによれば、第1の実施形態に係る検出器パック300の製造方法は、残存気泡による検出感度への影響を低減することができる。
例えば、検出器パック300の製造方法は、2枚のSiウェハ322A,322Bの高さのばらつき(段差)に起因する接着シート340への気泡の混入を抑制することができる。したがって、検出器パック300の製造方法は、有感領域324上への残存気泡の移動を抑制することができ、残存気泡による検出感度への影響を低減することができる。
また、例えば、検出器パック300の製造方法は、マウントされたシンチレータアレイ330上からローラーなどにより所定方向に圧力をかけることで残存気泡を移動させ、溝341に排出させることができる。したがって、検出器パック300の製造方法は、残存気泡による検出感度への影響を低減することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、接着シート340の溝341が、PDA320と接する面(B面)に形成される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、溝341は、PDA320と接する面ではスライス方向に沿って形成され、シンチレータアレイ330と接する面ではチャンネル方向に沿って形成される場合であってもよい。
図10は、第2の実施形態に係る検出器パック300の構成例を示す図である。図10には、PDA320及びシンチレータアレイ330の接着面における断面図を例示する。なお、図10の左図は、図5の左図と同様の断面を表す。また、図10の右図は、図5の右図と同様の断面を表す。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の構成については、図5と同一の符号を付し、説明を省略する。また、第2の実施形態に係るX線CT装置100及びX線検出器200は、第2の実施形態に係る検出器パック300を備える点を除き、第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を備えるので、説明を省略する。
図10に示すように、第2の実施形態に係る接着シート340は、複数の溝341A,341B,341C,341Eが形成される。ここで、溝341A,341B,341Cについては図5に示した構成と同様であるので説明を省略する。以下では、図5に示した構成と相違する溝341Eについて説明する。なお、複数の溝341A,341B,341C,341Eを区別無く総称する場合に、「溝341」と表記する。
溝341Eは、シンチレータアレイ330と接する面に形成される。溝341Eは、シンチレータアレイ330と接する面からPDA320まで届かない程度の深さを有する。図10の例では、溝341Eは、PDA320とシンチレータアレイ330との間の中間程度に到達する深さである。また、溝341Eは、有感領域324Dと有感領域324Eとの間に対応する位置にチャンネル方向に沿って形成される。
このように、第2の実施形態に係る接着シート340は、PDA320と接する面にスライス方向の溝341A,341B,341Cが形成され、シンチレータアレイ330と接する面にチャンネル方向の溝341Eが形成される。これによれば、例えば、第2の実施形態に係る検出器パック300は、残存気泡による検出感度への影響が少ない。
なお、図10にて図示した内容はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、図10では、PDA320と接する面にスライス方向の溝341A,341B,341Cが形成され、シンチレータアレイ330と接する面にチャンネル方向の溝341Eが形成される場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、実施形態は、PDA320と接する面にチャンネル方向の溝341が形成され、シンチレータアレイ330と接する面にスライス方向の溝341が形成される場合であってもよい。チャンネル方向及びスライス方向は、有感領域324の配列方向に依存した呼称に過ぎない。すなわち、複数の有感領域324は、第1方向と、第1方向に略直交する第2方向とに配列される。この場合に、接着シート340は、PDA320と接する面に第1方向の溝341が形成され、シンチレータアレイ330と接する面に第2方向の溝341が形成される。
また、例えば、図10にて図示した溝341の深さ、幅、及び形状は、図5にて説明した溝341の深さ、幅、及び形状と同様である。つまり、溝341の深さ、幅、及び形状は、第1の実施形態にて説明した溝341の深さ、幅、及び形状と同様に任意に変更可能である。
次に、図11から図15を用いて、第2の実施形態に係る検出器パック300の製造方法を説明する。図11は、第2の実施形態に係る検出器パック300の製造方法の一例を示すフローチャートである。図12から図15は、第2の実施形態に係る検出器パック300の製造方法を説明するための図である。
図11には、検出器パック300を製造する一連の工程のうち、接着シート340を用いてPDA320上にシンチレータアレイ330がマウントされる工程を例示する。PDA320、シンチレータアレイ330、及び接着シート340は、任意の製造方法により製造されたものが用いられる。
図11に示すように、ステップS21において、接着シート340のA面及びB面に切れ目が形成される。ここで、図12を用いて、ステップS21の工程を説明する。図12には、X線照射方向から見た図を正面図とした場合の接着シート340の三面図を例示する。図12の左上図は正面図に対応し、左下図は下面図に対応し、右図は右側面図に対応する。なお、図12の正面図において、破線の矩形で示された8つの領域は、接着シート340がPDA320に貼付された場合の有感領域324の位置に対応する(図10参照)。
図12に示すように、例えば、接着シート340のB面に切れ目360A,360B,360Cが形成されるとともに、接着シート340のA面に切れ目360Eが形成される。以下において、複数の切れ目360A,360B,360C,360Eを区別無く総称する場合に、「切れ目360」と表記する。
ここで、切れ目360A,360B,360Cは、図7に示した切れ目360A,360B,360Cと同様である。また、切れ目360Eは、切れ目360A,360B,360Cに略直交する方向に形成される。切れ目360Eは、剥離紙350Aの剥離により接着剤が部分的にくり抜かれて図10の溝341Eになるように形成される。切れ目360Eの深さは、剥離紙350Aから剥離紙350Bまで到達しない深さであり、例えば、剥離紙350Aを貫通して接着シート340の厚みの中間程度にまで到達する深さである。また、切れ目360Eの幅は、PDA320に配列される有感領域324の間隔より少し狭い程度の幅である。
次に、ステップS22において、B面の剥離紙350Bの剥離により、スライス方向の切れ目360A,360B,360Cによる溝341A,341B,341CがB面に形成される。ここで、図13を用いて、ステップS22の工程を説明する。図13には、X線照射方向から見た図を正面図とした場合の接着シート340の三面図を例示する。図13の左上図は正面図に対応し、左下図は下面図に対応し、右図は右側面図に対応する。なお、図13の正面図において、破線の矩形で示された8つの領域は、接着シート340がPDA320に貼付された場合の有感領域324の位置に対応する(図10参照)。
図13に示すように、例えば、剥離紙350Bの剥離により、溝341A,341B,341Cが形成される。それぞれの溝341A,341B,341Cは、それぞれの切れ目360A,360B,360Cと剥離紙350Bとで囲まれた領域の接着剤が部分的にくり抜かれることで形成される。具体的には、溝341Aは、切れ目360Aと剥離紙350Bとで囲まれた領域の接着剤が部分的にくり抜かれて形成される。また、溝341Bは、切れ目360Bと剥離紙350Bとで囲まれた領域の接着剤が部分的にくり抜かれて形成される。また、溝341Cは、切れ目360Cと剥離紙350Bとで囲まれた領域の接着剤が部分的にくり抜かれて形成される。なお、ステップ22の段階では、切れ目360Eと剥離紙350Aとで囲まれた領域の接着剤はくり抜かれていない。
続いて、ステップS23において、溝341A,341B,341Cが形成された接着シート340のB面がPDA320上に貼付される。接着シート340のB面は、複数の有感領域324の間に対応する位置に溝341A,341B,341Cが配置されるように貼付される。ここで、図14を用いて、ステップS23の工程を説明する。図14には、製造過程におけるPDA320の断面図を例示する。図14の左図の断面は、図10の左図と同様の方向から見た断面に対応し、図14の右図の断面は、図10の右図と同様の方向から見た断面に対応する。
図14に示すように、例えば、接着シート340のB面は、PDA320の上面(有感領域324が配列された面)に貼付される。ここで、接着シート340は、複数の有感領域324の間の領域(有感領域324ではない領域)に対応する位置に、接着シート340に形成された溝341が配置されるように貼付される。具体的には、溝341Aは、有感領域324Aと有感領域324Bとの間に対応する位置に配置される。溝341Bは、有感領域324Bと有感領域324Cとの間に対応する位置に配置される。溝341Cは、有感領域324Cと有感領域324Dとの間に対応する位置に配置される。
ここで、ステップS23では、まだ溝341Eは形成されていないが、溝341Eとなる切れ目360Eが、有感領域324Dと有感領域324Eとの間に対応する位置に配置される。なお、複数の有感領域324の間の領域に対応する位置と、それぞれの溝341の位置とを一致させる技術としては、従来の如何なる技術が適用されても良い。
続いて、ステップS24において、A面の剥離紙350Aの剥離により、チャンネル方向の切れ目360Eによる溝341EがA面に形成される。ここで、図15を用いて、ステップS24の工程を説明する。図15には、製造過程におけるPDA320の断面図を例示する。図15の左図の断面は、図10の左図と同様の方向から見た断面に対応し、図15の右図の断面は、図10の右図と同様の方向から見た断面に対応する。
図15に示すように、例えば、剥離紙350Aの剥離により、溝341Eが形成される。溝341Eは、切れ目360Eと剥離紙350Aとで囲まれた領域の接着剤が部分的にくり抜かれることで形成される。
続いて、ステップS25において、接着シート340上にシンチレータアレイ330がマウントされる。具体的には、複数のシンチレータブロックそれぞれの位置が複数の有感領域324それぞれの位置に対応するように、シンチレータアレイ330がマウントされる。なお、複数のシンチレータブロックそれぞれの位置と、複数の有感領域324それぞれの位置とを一致させる技術としては、従来の如何なる技術が適用されても良い。
このように、接着シート340を用いてPDA320上にシンチレータアレイ330がマウントされることで、図10の検出器パック300が製造される。なお、図11に示したステップS21〜S25の各工程は、作業者により用手的に実行されてもよいし、製造機械により自動的に実行されてもよい。
上述してきたように、第2の実施形態に係る検出器パック300の製造方法は、剥離紙350Bから剥離紙350Aまで到達しない深さであって、スライス方向の切れ目360A,360B,360Cと、剥離紙350Aから剥離紙350Bまで到達しない深さであって、チャンネル方向の切れ目360Eとを形成させることを含む。また、検出器パック300の製造方法は、剥離紙350Bの剥離によりスライス方向の溝341A,341B,341CをB面に形成させることを含む。また、検出器パック300の製造方法は、複数の有感領域324の間の少なくとも一部に対応する位置に溝341が配置されるように、接着シート340のB面をPDA320上に貼付させることを含む。また、検出器パック300の製造方法は、剥離紙350Aの剥離により、チャンネル方向の溝341EをA面に形成させることを含む。また、検出器パック300の製造方法は、接着シート340上にシンチレータアレイ330を積載させることを含む。これによれば、第2の実施形態に係る検出器パック300の製造方法は、一枚の剥離紙の剥離で一方向の溝しか形成させないので、歩留まりを向上させることができる。
なお、図11から図15にて図示した内容はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、図11から図15では、A面にチャンネル方向の溝341Eが形成され、B面にスライス方向の溝341A,341B,341Cが形成される場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、実施形態は、B面にチャンネル方向の溝341が形成され、A面にスライス方向の溝341が形成される場合であってもよい。チャンネル方向及びスライス方向は、有感領域324の配列方向に依存した呼称に過ぎない。すなわち、検出器パック300の製造方法は、第1剥離紙から第2剥離紙まで到達しない深さであって、第1方向の第1切れ目と、第2剥離紙から第1剥離紙まで到達しない深さであって、第1方向と略直交する第2方向の第2切れ目とを形成させることを含む。また、検出器パック300の製造方法は、第1剥離紙の剥離により第1面に第1方向の第1溝を形成させることを含む。また、検出器パック300の製造方法は、複数の有感領域324の間の少なくとも一部に対応する位置に第1溝が配置されるように、第1溝が形成された接着部の第1面をフォトダイオードアレイ上に貼付させることを含む。また、検出器パック300の製造方法は、第2剥離紙の剥離により第2面に第2方向の第2溝を形成させることを含む。また、検出器パック300の製造方法は、接着部上にシンチレータアレイ330を積載させることを含む。
なお、第2の実施形態にて説明した内容は、接着シート340の構造(溝341の構造)を除き、第1の実施形態にて説明した内容と同様である。つまり、第1の実施形態にて説明した構成、製造方法、及びそれらの変形例は、接着シート340の構造を除き第2の実施形態においても適用可能である。
(第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態では、接着シート340に形成される溝341が接着シート340を貫通せず、接着シート340が分割されない場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、形成される溝341が接着シート340を貫通し、接着シート340が分割される場合であっても適用可能である。
図16は、第3の実施形態に係る検出器パック300の構成例を示す図である。図16には、PDA320及びシンチレータアレイ330の接着面における断面図を例示する。なお、図16の左図は、図5の左図と同様の断面を表す。また、図16の右図は、図5の右図と同様の断面を表す。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の構成については、図5と同一の符号を付し、説明を省略する。また、第3の実施形態に係るX線CT装置100及びX線検出器200は、第3の実施形態に係る検出器パック300を備える点を除き、第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を備えるので、説明を省略する。
図16に示すように、第3の実施形態に係る検出器パック300は、PDA320とシンチレータアレイ330とを接着させるための接着層として、複数の分割接着シート342A,342B,342C,342D,342Eを備える。以下において、複数の分割接着シート342A,342B,342C,342D,342Eを区別無く総称する場合に、「分割接着シート342」と表記する。
それぞれの分割接着シート342は、それぞれの有感領域324上に所定の間隔で配置される。それぞれの分割接着シート342は、接着シート340が四角形に分割されたものに対応し、有感領域324を覆うことが可能な程度の面積を有する。すなわち、分割接着シート342は、1つの有感領域324に対して1つ配置される。分割接着シート342の材料(素材)については、接着シート340と同様であるので説明を省略する。
複数の分割接着シート342が所定の間隔で配置された結果、複数の分割接着シート342の間には、複数の空隙370A,370B,370C,370Dが形成される。ここで、複数の空隙370A,370B,370C,370Dは、PDA320の上面(有感領域324が配列されるSiウェハ322の面)と、シンチレータアレイ330の下面(X線が照射される面の反対側の面)と、複数の分割接着シート342との間に格子状に形成される空隙である。具体的には、空隙370Aは、有感領域324Aと有感領域324Bとの間に対応する位置にスライス方向に沿って形成される。また、空隙370Bは、有感領域324Bと有感領域324Cとの間に対応する位置にスライス方向に沿って形成される。また、空隙370Cは、有感領域324Cと有感領域324Dとの間に対応する位置にスライス方向に沿って形成される。また、空隙370Dは、有感領域324Dと有感領域324Eとの間に対応する位置にチャンネル方向に沿って形成される。
つまり、空隙370A,370B,370Cと、空隙370Dとは、交差して一つの空隙を形成している。しかしながら、図16に図示した断面単位で見た場合、格子状の空隙は、異なる位置にある複数の空隙として観察されるため、説明の都合上、空隙370A,370B,370C,370Dと区別して表記した。なお、複数の空隙370A,370B,370C,370Dを区別無く総称する場合に、「空隙370」と表記する。
このように、空隙370は、複数の有感領域324の間に対応する位置に形成される。これによれば、例えば、第3の実施形態に係る検出器パック300は、残存気泡による検出感度への影響が少ない。
なお、図16にて図示した内容はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、図16では、例えば、スライス方向に沿った空隙370A,370B,370Cのみが形成されても良いし、チャンネル方向に沿った空隙370Dのみが形成されても良い。また、例えば、図16に示した空隙370A,370B,370C,370Dのうち任意の空隙370のみが形成されても良い。つまり、複数の分割接着シート342の間の少なくとも一部に対応する位置に、空隙370が存在する。ただし、複数のSiウェハ322の高さのばらつき(段差)に起因する気泡の混入を抑制するためには、空隙370は、複数のSiウェハ322の間に対応する位置に形成されるのが好適である(例えば、図16の空隙370B)。
また、例えば、図16では、分割接着シート342が、1つの有感領域324に対して1つ配置される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、分割接着シート342は、複数の有感領域324のうち所定数の有感領域324に対して1つ配置されてもよい。つまり、1つの分割接着シート342が2つの有感領域324の大きさに相当する大きさである場合には、2つの有感領域324に対して1つ配置される。ただし、複数のSiウェハ322の高さのばらつき(段差)に起因する気泡の混入を抑制するためには、分割接着シート342は、1つのSiウェハ322に対して1つ配置されるのが好適である。この場合、分割接着シート342は、Siウェハ322の上面と同程度の大きさを有する。
また、例えば、図16にて図示した空隙370の幅及び形状は、図5にて説明した溝341の幅及び形状と同様である。つまり、空隙370の幅及び形状は、第1の実施形態にて説明した溝341の幅及び形状と同様に任意に変更可能である。
次に、図17から図20を用いて、第3の実施形態に係る検出器パック300の製造方法を説明する。図17は、第3の実施形態に係る検出器パック300の製造方法の一例を示すフローチャートである。図18から図20は、第3の実施形態に係る検出器パック300の製造方法を説明するための図である。
図17には、検出器パック300を製造する一連の工程のうち、接着シート340を用いてPDA320上にシンチレータアレイ330がマウントされる工程を例示する。PDA320、シンチレータアレイ330、及び接着シート340は、任意の製造方法により製造されたものが用いられる。
図17に示すように、ステップS31において、接着シート340のB面に切れ目が形成される。ここで、図18を用いて、ステップS31の工程を説明する。図18には、X線照射方向から見た図を正面図とした場合の接着シート340の三面図を例示する。図18の左上図は正面図に対応し、左下図は下面図に対応し、右図は右側面図に対応する。なお、図18の正面図において、破線の矩形で示された8つの領域は、接着シート340がPDA320に貼付された場合の有感領域324の位置に対応する(図16参照)。
図18に示すように、例えば、接着シート340のB面に切れ目361A,361B,361C,361Dが形成される。以下において、複数の切れ目361A,361B,361C,361Dを区別無く総称する場合に、「切れ目361」と表記する。
複数の切れ目361は、有感領域324の大きさに対応する間隔で、格子状に形成される。具体的には、切れ目361A,361B,361Cは、一方向に形成され、切れ目361Dは、切れ目361A,361B,361Cに略直交する方向に形成される。また、切れ目361の深さは、剥離紙350Bから剥離紙350Aまで到達する深さである。図18の例では、切れ目361の深さは、剥離紙350B及び接着シート340を貫通し、剥離紙350Aの厚みの中間程度にまで到達する深さである。また、切れ目361の幅は、PDA320に配列される有感領域324の間隔より少し狭い程度の幅である。この切れ目361は、剥離紙350Bの剥離により接着剤が部分的にくり抜かれ、後述する溝343になるように形成される(図19参照)。なお、切れ目361の深さを説明する都合上、剥離紙350Aの厚みを剥離紙350Bの厚みより厚くして図示したが、剥離紙350Aの厚みと剥離紙350Bの厚みは同程度であって構わない。また、接着シート340に切れ目361を形成させるための技術としては、従来の如何なる技術が適用されても良い。
次に、ステップS32において、B面の剥離紙350Bの剥離により、接着シート340が複数の分割接着シート342に分割される。ここで、図19を用いて、ステップS32の工程を説明する。図19には、X線照射方向から見た図を正面図とした場合の接着シート340の三面図を例示する。図19の左上図は正面図に対応し、左下図は下面図に対応し、右図は右側面図に対応する。なお、図19の正面図において、破線の矩形で示された8つの領域は、接着シート340がPDA320に貼付された場合の有感領域324の位置に対応する(図16参照)。なお、分割接着シート342は、分割接着部の一例である。
図19に示すように、例えば、剥離紙350Bの剥離により、溝343A,343B,343C,343Dが形成される。それぞれの溝343A,343B,343C,343Dは、それぞれの切れ目361A,361B,361C,361Dと剥離紙350Bとで囲まれた領域の接着剤がくり抜かれることで形成される。具体的には、溝343Aは、切れ目361Aと剥離紙350Bとで囲まれた領域の接着剤がくり抜かれて形成される。また、溝343Bは、切れ目361Bと剥離紙350Bとで囲まれた領域の接着剤がくり抜かれて形成される。また、溝343Cは、切れ目361Cと剥離紙350Bとで囲まれた領域の接着剤がくり抜かれて形成される。また、溝343Dは、切れ目361Dと剥離紙350Bとで囲まれた領域の接着剤がくり抜かれて形成される。なお、複数の複数の溝343A,343B,343C,343Dを区別無く総称する場合に、「溝343」と表記する。
ここで、それぞれの切れ目361A,361B,361C,361Dが接着シート340を貫通していることで、それぞれの溝343A,343B,343C,343Dは、剥離紙350Aに到達する深さである。したがって、ステップS32の段階で、接着シート340は複数の分割接着シート342に分割されている。複数の分割接着シート342は、剥離紙350Aによって繋がった状態である。
続いて、ステップS33において、複数の分割接着シート342のB面がPDA320上に貼付される。例えば、複数の分割接着シート342は、剥離紙350Aによって繋がった状態で、PDA320上に貼付される。ここで、図20を用いて、ステップS33の工程を説明する。図20には、製造過程におけるPDA320の断面図を例示する。図20の左図の断面は、図16の左図と同様の方向から見た断面に対応し、図20の右図の断面は、図16の右図と同様の方向から見た断面に対応する。
図20に示すように、例えば、複数の分割接着シート342のB面は、PDA320の上面に貼付される。ここで、複数の分割接着シート342は、複数の有感領域324の間の領域(有感領域324ではない領域)に対応する位置に、複数の溝343A,343B,343C,343Dが配置されるように貼付される。具体的には、溝343Aは、有感領域324Aと有感領域324Bとの間に対応する位置に配置される。溝343Bは、有感領域324Bと有感領域324Cとの間に対応する位置に配置される。溝343Cは、有感領域324Cと有感領域324Dとの間に対応する位置に配置される。溝343Dは、有感領域324Dと有感領域324Eとの間に対応する位置に配置される。なお、複数の有感領域324の間の領域に対応する位置と、それぞれの溝343の位置とを一致させる技術としては、従来の如何なる技術が適用されても良い。
続いて、ステップS34において、A面の剥離紙350Aが剥離される。具体的には、PDA320の上面に貼付された複数の分割接着シート342から、剥離紙350Aが剥離される。これにより、剥離紙350Aによって繋がっていた状態の複数の分割接着シート342は、完全に分かれた状態となる。
続いて、ステップS35において、複数の分割接着シート342上にシンチレータアレイ330がマウントされる。具体的には、複数のシンチレータブロックそれぞれの位置が複数の分割接着シート342の位置に対応するように、シンチレータアレイ330がマウントされる。なお、複数のシンチレータブロックそれぞれの位置と、複数の有感領域324それぞれの位置とを一致させる技術としては、従来の如何なる技術が適用されても良い。
このように、接着シート340を用いてPDA320上にシンチレータアレイ330がマウントされることで、図16の検出器パック300が製造される。なお、複数の溝343A,343B,343C,343Dの位置が、空隙370に対応する。なお、図17に示したステップS31〜S35の各工程は、作業者により用手的に実行されてもよいし、製造機械により自動的に実行されてもよい。
上述してきたように、第3の実施形態に係る検出器パック300の製造方法は、剥離紙350Bから剥離紙350Aまで到達する深さの切れ目361を形成させることを含む。また、検出器パック300の製造方法は、剥離紙350Bの剥離により接着シート340を複数の分割接着シート342に分割させることを含む。また、検出器パック300の製造方法は、複数の有感領域324の間の少なくとも一部に対応する位置に複数の分割接着シート342の間の空隙370(溝343)が配置されるように、複数の分割接着シート342をPDA320上に貼付させることを含む。また、検出器パック300の製造方法は、剥離紙350Aを剥離させることを含む。また、検出器パック300の製造方法は、複数の分割接着シート342上にシンチレータアレイ330を積載させることを含む。これによれば、第3の実施形態に係る検出器パック300の製造方法は、残存気泡による検出感度への影響を低減することができる。
なお、図17から図20にて図示した内容はあくまで一例であり、図示の内容に限定されるものではない。例えば、図17に示した製造方法は、必ずしも図示した順序で実行されなくてもよい。一例としては、剥離紙350Aによって繋がった状態の複数の分割接着シート342をシンチレータアレイ330の下面に貼付させてから、剥離紙350Aを剥離させ、複数の分割接着シート342が貼付された状態のシンチレータアレイ330をPDA320上にマウントさせても良い。
なお、第3の実施形態にて説明した内容は、複数の分割接着シート342を備える構造を除き、第1の実施形態にて説明した内容と同様である。つまり、第1の実施形態にて説明した構成、製造方法、及びそれらの変形例は、複数の分割接着シート342を備える構造を除き第3の実施形態においても適用可能である。
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
例えば、第1及び第2の実施形態にて説明した溝341は、シンチレータアレイ330と接する面のみに形成されても良い。この場合にも、検出器パック300によれば、例えば、接着シート340内部の残存気泡を溝341に排出させることができる。一例としては、シンチレータアレイ330上からローラーなどにより所定方向に圧力をかけることで、有感領域324上の残存気泡を移動させ、溝341に排出させることができる。したがって、検出器パック300は、残存気泡による検出感度への影響を低減することができる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、残存気泡による検出感度への影響が少ない検出器パック、X線検出器、X線CT装置、検出器パックの製造方法を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。