以下、実施形態に係る照明器具について、図面を用いて説明する。以下、特に断りのない限り、照明器具1の後述の基板21の長手方向を、照明器具1の前後方向とする。また、基板21の短手方向を、照明器具1の左右方向とする。また、基板21の厚み方向を照明器具1の上下方向とし、基板21において後述の発光素子22が取り付けられている側を下とし、反対側を上とする。
本実施形態の照明器具1は、図1に示すように、光源モジュール2と、導電部材3と、カバー4と、外部筐体5と、レンズユニット6と、電源ケース7と、を備えている。なお、図3では、レンズユニット6を省略し、図4ではレンズユニット6とカバー4とを省略している。
図1、5に示すように、カバー4は外部筐体5に取り付けられており、外部筐体5と共にハウジング8を構成している。ハウジング8は、光源モジュール2、導電部材3の一部(後述する支持部3A)、レンズユニット6及び電源ケース7を収容している。2本の給電線100により光源モジュール2に電力が供給されると、光源モジュール2の後述の複数(図1では9つ)の発光素子22が点灯する。照明器具1は、例えば道路の脇など地上に設置される支柱200(例えば、鋼管ポールや電柱)に取り付けられて、防犯灯又は街路灯として用いられる。
外部筐体5は、例えばASA(acrylate styrene acrylonitrile)樹脂などの樹脂材料により形成されている。図2に示すように、外部筐体5は、下面に開口521を有する箱状に形成されている。外部筐体5は、矩形板状の主部51と、外壁52とを有している。主部51は、長手方向が前後方向に沿っており、短手方向が左右方向に沿っており、厚み方向が上下方向に沿っている。外壁52は、主部51の厚み方向(上下方向)に沿って突出している。より詳細には、外壁52は、後述の接続部55が設けられている後側の部分を除く主部51の周縁から、下向きに突出している。また、外部筐体5は、外壁52の内側に2つの内壁53を有している。2つの内壁53は、主部51の長手方向(前後方向)に沿った両辺の近傍に形成されており、主部51から下向きに突出している。また、各内壁53は、導電部材3(図1参照)の後述する2つの引掛爪37(図1参照)が引っ掛けられる溝部531を有している。
外部筐体5は、4つの第一ボス部54(固定部)を有している。各第一ボス部54は、円筒状に形成されている。すなわち、各第一ボス部54は、ねじ孔541を有している。4つの第一ボス部54は、主部51から下向きに突出している。4つの第一ボス部54のうち2つの第一ボス部54は、2つの内壁53のうち一方の内壁53と一体に形成されており、残りの2つの第一ボス部54は、他方の内壁53と一体に形成されている。
外部筐体5の内側において、外部筐体5の長手方向の一端(前端)付近には、電源ケース7が取り付けられている。また、外部筐体5の外壁52において、電源ケース7が取り付けられる部分には、電源ケース7を取り付けるための2つ(図1では1つのみを図示)の引掛片522(図1参照)が形成されている。各引掛片522は、外部筐体5の短手方向から見てL字状に形成されており、外部筐体5の内側へ向かって突出している。
また、外部筐体5は、長手方向の他端(後端)に接続部55を有している。接続部55は角樋状に形成されており、外部筐体5の内部の空間と外部の空間とを前後方向において繋いでいる。接続部55の下面552は、左右方向の両端付近を除く部分が、接続部55の厚みを一定に保って下向きに突出している。すなわち、下面552の左右方向の両端付近にはそれぞれ、導電部材3(図5参照)の後述する第一側板32(図5参照)を差し込むための差込溝551(図2では一方のみを図示)が、前後方向に沿って形成されている。接続部55は、導電部材3と2本の給電線100とを、外部筐体5の内部から外部へ通している。
外部筐体5は、前端に2つの軸56を有している。2つの軸56には、カバー4(図1参照)の後述する2つのフック42(図1参照)が一対一で対応して引っ掛けられている。
図2、3に示すように、主部51は、内面511(下面)から下向きに突出した突台部512を有している。すなわち、主部51は、外面510(上面)の一部分が厚み方向において窪んでいる。突台部512は、主部51のうち、左右方向における中心を含む領域に設けられている。突台部512は、下面513が平状に形成されている。下面513は、接続部55の下面552と繋がっている。突台部512は、上向きに窪んだ窪み部514を有している。窪み部514の内側には、第二ボス部515が形成されている。第二ボス部515は、円筒状に形成されている。すなわち、第二ボス部515は、丸孔516を有している。第二ボス部515は、窪み部514の底面517から下向きに突出している。
図1に示すように、カバー4は、長尺の半筒状のカバー本体41を有している。カバー本体41は、一の面(上面)に図示しない開口を有している。カバー本体41は、例えばアクリル樹脂などの透光性を有する樹脂材料により形成されている。
カバー4は、カバー本体41の長尺方向(前後方向)の先端に、2つのフック42を有している。2つのフック42は、外部筐体5の2つの軸56に引っ掛けられている。これにより、カバー4は、2つの軸56を支点として、外部筐体5の開口521を塞ぐ閉位置(図5に示す位置)と、外部筐体5の開口521を開放する開位置との間で回転可能である。すなわち、カバー4の2つのフック42と、外部筐体5の2つの軸56とでヒンジを構成している。
図4に示すように、光源モジュール2は、基板21と、複数(図4では9つ)の発光素子22とを有している。
基板21は、例えば、銅板に樹脂等の電気絶縁性の材料がコーティングされた、いわゆる銅基板である。基板21として銅基板を採用することにより、基板21の放熱効率が高められている。基板21は、矩形板状に形成されている。基板21は、前後方向に長手方向を有している。基板21は、下面である第一面211と、第一面211とは反対側の面(上面)である第二面212とを有している。
基板21の後側において、第一面211は、光源実装領域23を含む。光源実装領域23は、基板21の短手方向(左右方向)の中心を含む領域である。光源実装領域23において、基板21には、複数の発光素子22が実装されている。各発光素子22は、互いに間隔を空けて、基板21の長手方向に沿って2列に並んでいる。より詳細には、各発光素子22は、千鳥状に並んでいる。各発光素子22は、例えば表面実装型のLED素子である。さらに、複数の発光素子22は、直列、並列、又は直並列に接続している。また、基板21には、光源実装領域23から後述の電源配線領域24に亘って、配線用の導体27が形成されている。ただし、図4では導体27の形状を省略している。導体27は、各発光素子22への給電路を構成している。
基板21の前側において、第一面211は、電源配線領域24を含む。光源実装領域23と電源配線領域24とは、光源実装領域23と電源配線領域24とに亘って形成されている導体27により互いに繋がっている。基板21には、第二面212のうち、基板21の厚み方向(上下方向)において電源配線領域24と重なる領域25に、2つの速結端子251と光センサ252とが取り付けられている。2つの速結端子251には、2つの給電線100(図1参照)が一対一で対応して接続される。電源配線領域24には、図示しない点灯回路が形成されている。点灯回路は、例えば、商用電源から2つの速結端子251を介して供給される交流電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータを備えている。点灯回路は、光源実装領域23の各発光素子22へ電力を供給し、各発光素子22を点灯させる。また、光センサ252が光を検知することで生じる後述の検知信号は、点灯回路に伝送される。光源モジュール2は、基板21の第二面212のうち、領域25を除く領域には、照明器具1の通常の使用状態において通電する部分(以下、通電部と称す)を有していない。光源モジュール2において通電部とは、例えば、光源実装領域23及び電源配線領域24の導体27、光源実装領域23の発光素子22、電源配線領域24の点灯回路、並びに、領域25の各速結端子251及び光センサ252等である。また、第二面212は、領域25とは異なる領域に、導電部材3と接している放熱領域26を含む。
上記の通り、光源実装領域23は、導体27により電源配線領域24に繋がっている。したがって、光源実装領域23の回路と電源配線領域24の回路とを、例えばレセプタクルを介してケーブルで繋ぐ必要がない。これにより、ケーブルの断線等による発光素子22の点灯不良の発生を抑制することができる。また、照明器具1(図1参照)の組立性を向上させることができる。
基板21は、4つの溝28(挿入孔)を有している。各溝28は、基板21を厚み方向において貫通している。各溝28は、基板21の長手方向(前後方向)に沿った両辺に、半円状に形成されている。各溝28は、基板21の短手方向(左右方向)において、光源実装領域23に対向する位置に形成されている。
また、基板21は、丸孔29を有している。丸孔29は、光源実装領域23と電源配線領域24との接続部分215に前後方向において近い位置であって、基板21の長手方向(前後方向)に沿った一辺の付近に形成されている。
基板21の第二面212の少なくとも一部には、図示しない銅箔が貼り付けられている。少なくとも放熱領域26には、銅箔が貼り付けられている。銅箔は、光源モジュール2の通電部と電気的に絶縁されている。後述するように、基板21は銅箔を介して導電部材3と熱的に結合しているので、発光素子22が発光すること等により光源モジュール2で生じる熱が導電部材3へと効率良く伝導する。
図1に示すように、レンズユニット6は、取付板61と、複数(9つ)の発光素子22にそれぞれ一対一で対応する複数(図1では9つ)のレンズ62とを備えている。取付板61は、矩形状に形成されている。各レンズ62は、対応する発光素子22が発する光の配光を制御する。各レンズ62は、取付板61と一体に形成されている。レンズユニット6は、例えばポリメタクリル酸メチル樹脂などの樹脂材料から成る樹脂成形品である。
取付板61には、4つの溝63が形成されている。各溝63は、取付板61を厚み方向において貫通している。各溝63は、取付板61の長手方向(前後方向)に沿った両辺に、半円状に形成されている。また、取付板61には、丸孔64が形成されている。
後述するように、光源モジュール2の基板21の4つの溝28と、レンズユニット6の4つの溝63とがそれぞれ重ねられ、基板21の丸孔29とレンズユニット6の丸孔64とが重ねられる。その状態で、4つの固定ねじ542により、レンズユニット6は、光源モジュール2と共に外部筐体5に固定されている。レンズユニット6は、基板21の第一面211を部分的に覆っている。各レンズ62は、対応する発光素子22に対向している。
また、レンズユニット6は、4つの隔壁65を更に有している。4つの隔壁65は、取付板61から厚み方向(上下方向)に沿って突出している。より詳細には、4つの隔壁65は下向きに突出している。4つの隔壁65は、4つの溝63に一対一で対応している。各隔壁65は、対応する溝63の円弧状の部分に沿って溝63を囲むように、アーチ状に形成されている。
導電部材3は、例えば鋼板などの金属板から成る。導電部材3は、光源モジュール2で生じる熱を放熱するための部材である。また、導電部材3は、支柱200(図5参照)に取り付けられて外部筐体5を支持するための部材でもある。導電部材3は、帯状の主板31と、2つの第一側板32と、2つ(図1では1つのみを図示)の第二側板33と、を有している。これらは一体に形成されている。主板31は、左右方向に短手方向を有している。以下、導電部材3のうち外部筐体5を支持する部位を支持部3A(基部)と称し、導電部材3のうち支柱200に取り付けられる部位を支柱取付部3Bと称す。
支柱取付部3Bは、支持部3Aに対して支持部3Aの長手方向(前後方向)に並んでおり、支柱取付部3Bは、支持部3Aに対して後側に位置している。主板31のうち支持部3Aの一部として形成されている部分は、上下方向に厚み方向を有している。支柱取付部3Bの一部は、支柱取付部3Bが支柱200に取り付けられた際に、基板21が水平面に対して一定の角度(例えば、60度以上)で傾くように湾曲している。各第一側板32は、主板31の長手方向に沿った両辺から厚み方向に沿って突出している。より詳細には、各第一側板32は、支持部3Aの一部として形成されている部分が主板31から上向きに突出しており、支柱取付部3Bの一部として形成されている部分と一続きに形成されている。各第二側板33は、支持部3Aの一部として主板31から、主板31の厚み方向に沿って突出している。より詳細には、各第二側板33は、主板31から上向きに突出している。
支持部3Aにおいて、主板31には、厚み方向(上下方向)のうち上向きに突出している突出部34が設けられている。突出部34には、第一取付孔35が形成されている。さらに、支持部3Aにおいて、主板31には、第二取付孔36が形成されている。各第二側板33には、引掛爪37が形成されている。また、支持部3Aは、外部筐体5のねじ孔541の深さ方向(上下方向)に直交する方向(左右方向)においてねじ孔541(図4参照)と対向する2箇所に、凹部38を有している。すなわち、支持部3Aは、平面視で左右方向においてねじ孔541と対向する部分が窪んでいる。
支柱取付部3Bにおいて、主板31には、だるま孔からなる第一ねじ挿通孔311と、丸孔からなる第二ねじ挿通孔312と、U字状のねじ挿通溝313とが形成されている。また、支柱取付部3Bにおいて、各第一側板32には、矩形状の挿通孔321が設けられている。
図5に示すように、導電部材3は、支柱取付部3Bにおいて、取付金具9を介して支柱200に固定される。取付金具9は、鋼板などの板材により形成されている。取付金具9は、矩形平板状の取付板90と、取付板90の長手方向に沿った両端縁から取付板90の厚み方向に突出する一対の側板91とを有する角樋状に形成されている。取付板90には、図示しない3つのねじ孔が設けられている。また、一対の側板91には、矩形の取付孔910がそれぞれ設けられている。
導電部材3は、電気的に接地される。また、導電部材3は、光源モジュール2(図1参照)の通電部(導体27など。図1参照)と電気的に絶縁されている。
図2に示すように、電源ケース7は、直方体状に形成されている。電源ケース7は、第一部材71と、第一部材71に対して下側に配置される第二部材72とを有しており、第一部材71に第二部材72を嵌め合わせることにより形成されている。電源ケース7は、光源モジュール2(図4参照)の基板21(図4参照)が挿入される図示しない挿入孔を後方に有している。電源ケース7は、基板21のうち、点灯回路が形成されている電源配線領域24(図4参照)と、速結端子251(図4参照)及び光センサ252(図4参照)が取り付けられている領域25(図4参照)とを含む部分を収容している。第一部材71からは、各々が貫通孔73を有する2つのねじ取付片74が前側に突出している。また、第一部材71において左右の面からはそれぞれ、左右方向から見てL字状の2つ(図1では1つのみを図示)の引掛片75(図1参照)が左右方向に突出している。2つの引掛片75が外部筐体5の2つの引掛片522(図1参照)に一対一で対応して引っ掛けられ、各ねじ取付片74が貫通孔73において外部筐体5にねじ止めされることにより、第一部材71は外部筐体5に取り付けられている。
電源ケース7は、自然光(太陽光)を内部に導くための採光部76を有している。採光部76は、断面U字状に形成されている。光センサ252(図4参照)は、採光部76から電源ケース7内に導かれた自然光を検知し、その光量が閾値を下回っているときに、光源モジュール2(図4参照)の点灯回路に検知信号を出力する。そして、点灯回路は、光センサ252が検知信号を出力している間は各発光素子22(図4参照)に電力を供給し、光センサ252が検知信号を出力していない間は各発光素子22に電力を供給しない。
以下、照明器具1(図5参照)を組み立てる方法について説明する。
まず、外部筐体5に電源ケース7の第一部材71が取り付けられる。
次に、図1、4に示すように、外部筐体5に導電部材3が取り付けられる。より詳細には、導電部材3の2つの第一側板32は、外部筐体5の2つの差込溝551に一対一で対応して、一部が対応する差込溝551に差し込まれる。さらに、導電部材3の第一取付孔35は外部筐体5の丸孔516(図2参照)に重ねられ、第一取付孔35と丸孔516とにねじ39が挿入される。さらに、導電部材3の2つの引掛爪37は、外部筐体5の2つの溝部531(図2参照)に一対一で対応して引っ掛けられる。さらに、導電部材3の支持部3Aにおける主板31は外部筐体5の突台部512の下面513に接する。この状態で、支持部3Aは、外部筐体5の2つの内壁53の間に収容される。上記のようにして、外部筐体5に導電部材3が取り付けられる。また、導電部材3が接続部55に通されることにより、導電部材3は、ハウジング8の内部から外部へ通されている。
次に、外部筐体5に光源モジュール2が固定される。同時に、レンズユニット6が、外部筐体5及び光源モジュール2に固定される。より詳細には、導電部材3の支持部3Aにおける主板31に、光源モジュール2の基板21の第二面212の放熱領域26が接する。つまり、導電部材3は、第二面212の放熱領域26を覆っている。これにより、基板21は、放熱領域26に貼り付けられている銅箔を介して導電部材3と熱的に結合する。導電部材3は、基板21において発光素子22等から生じる熱を熱伝導により受け取って放熱する。さらに、外部筐体5の4つの第一ボス部54のねじ孔541に、基板21の4つの溝28と、レンズユニット6の4つの溝63とが重ねられる。さらに、基板21の丸孔29とレンズユニット6の丸孔64とが重ねられる。この状態で、各第一ボス部54のねじ孔541に固定ねじ542が締められる。また、丸孔29及び丸孔64にねじが挿入される。これにより、基板21が外部筐体5の第一ボス部54に固定され、レンズユニット6が、第一ボス部54及び基板21に固定される。各第一ボス部54(ねじ孔541)は導電部材3と接しない位置に形成されているので、各第一ボス部54のねじ孔541に挿入される固定ねじ542は、導電部材3と接しない。なお、固定ねじ542としては、例えば、汎用の金属ねじが用いられる。
次に、電源ケース7の第一部材71に第二部材72が取り付けられる。これにより、電源ケース7は、基板21の電源配線領域24及び領域25を収容する。
次に、図1、5に示すように、外部筐体5にカバー4が取り付けられる。より詳細には、カバー4の2つのフック42が、外部筐体5の2つの軸56に引っ掛けられる。さらに、図3に示すように、パッキン44に形成されているねじ孔441と、カバー4の後端付近に形成されているねじ孔43と、導電部材3の第二取付孔36とが重ねられて、これらに取付ねじ45が挿入される。パッキン44は、カバー本体41と導電部材3との間から塵埃及び雨水等がカバー本体41内に侵入することを抑制する。
以上の組み立てにより、外部筐体5とカバー4とにより構成されたハウジング8は、光源モジュール2、導電部材3の支持部3A、レンズユニット6(図1参照)及び電源ケース7(図1参照)を収容している。また、外部筐体5、導電部材3、光源モジュール2及びレンズユニット6は、上からこの順で重なっている。したがって、外部筐体5は、光源モジュール2の基板21との間に、導電部材3の支持部3Aの一部を収容している。より詳細には、外部筐体5は、基板21との間に、導電部材3の支持部3Aの一部を挟んでいる。また、外部筐体5の主部51は、基板21の第二面212を覆っている。カバー4は、基板21の第一面211を覆っている。
本実施形態では、電気絶縁性を有する外部筐体5の第一ボス部54(図4参照)が基板21を固定している。接地電位である導電部材3は、支持部3Aにおいて、基板21の第一面211から突出していない。
これに対して、導電部材が例えばねじ等の導電性の部材により基板を固定している場合は、ねじは、導電部材を介して接地され、基板のうち第一面から突出する。第一面には、広い領域に配線用の導体及び発光素子などの通電部が存在するので、ねじは、通電部の近くに位置することになる。したがって、基板の通電部と、接地電位であるねじとの間の絶縁距離を確保するためには工夫が必要である。基板の第一面の通電部とねじとの間の絶縁距離を確保する方法として、例えば、第一面において配線用の導体及び発光素子を、ねじの近傍を避けて配置することが考えられる。しかしながら、配線用の導体及び発光素子を配置できる領域が制限されるため、発光素子が狭い領域に密集して、発光素子が生じる熱を効率的に放熱しにくい場合がある。
本実施形態では、ねじ孔541(図4参照)に挿入されて基板21の第一面211から突出する固定ねじ542は、接地されない。したがって、本実施形態では、導電部材が基板を固定している場合と比べて、基板21上の通電部と、接地される部材(導電部材3)との間の絶縁距離を確保することが容易である。これにより、照明器具1は、例えば雷サージに対して高い耐性を確保することが容易である。また、配線用の導体27及び発光素子22を、固定ねじ542の近傍を避けて配置する必要がない。したがって、第一面211において、導体27及び発光素子22を配置できる領域をより広く確保することができる。さらに、基板21の放熱領域26が導電部材3に熱的に結合しているので、基板21上で生じる熱を導電部材3により放熱することができる。
続いて、照明器具1の施工手順を図5を参照して説明する。まず、施工作業を行う作業者は、取付金具9の各側板91の取付孔910に通した取付バンド92を支柱200に巻くことで、取付金具9を支柱200に固定する。続いて、作業者は、取付金具9に、支柱200側とは反対側から導電部材3の支柱取付部3Bを被せる。それから、作業者は、3本のねじ93、94、95を、支柱取付部3Bの第一ねじ挿通孔311、第二ねじ挿通孔312(図1参照)、ねじ挿通溝313(図1参照)に通し、さらに、取付金具9の取付板90の3つのねじ孔にねじ込む。このように、照明器具1は、取付金具9を介して支柱200に取り付けられる。ただし、作業者は、取付金具9を用いずに、支柱取付部3Bの第一側板32に設けられている挿通孔321に取付バンド92を通し、支柱取付部3Bを直接、支柱200に固定することにより、照明器具1を支柱200に取り付けることもできる。
上記の通り、本実施形態に係る照明器具1は、基板21と、導電部材3と、ハウジング8と、を備える。基板21は、第一面211を有する。第一面211には、発光素子22と配線用の導体27とが設けられている。導電部材3は、電気的に接地される。ハウジング8は、外部筐体5と、カバー4と、を含む。外部筐体5は、電気絶縁性を有する。ハウジング8は、導電部材3の少なくとも一部(支持部3A)と基板21とを収容する。基板21は、第二面212を更に有する。第二面212は、第一面211とは反対側の面である。第二面212は、放熱領域26を有する。放熱領域26は、導体27と電気的に絶縁されている。放熱領域26は、導電部材3に熱的に結合している。外部筐体5は、少なくとも1つの固定部(第一ボス部54)を含む。固定部には、基板21が固定される。
上記の通り、導電部材3は電気的に接地される。基板21の放熱領域26は、導電部材3に熱的に結合している。仮に、基板が導電部材に固定されている場合は、基板上において照明器具の通常の使用状態において通電する発光素子及び導体と、接地される部材(導電部材など)との間の絶縁距離が短くなる場合がある。例えば、ねじ等の導電性の部材により基板が導電部材に固定されていると、ねじは、導電部材を介して接地される。さらに、ねじは、基板を貫通することにより発光素子及び導体の近くに設けられる。したがって、発光素子及び導体と、接地される部材であるねじとの間の絶縁距離が短くなる場合がある。
これに対して、本実施形態では、基板21は、電気絶縁性を有する外部筐体5の固定部(第一ボス部54)に固定されている。したがって、基板が導電部材に固定されている場合と比べて、基板21上の発光素子22及び導体27と、接地される部材(導電部材3)との間の絶縁距離を確保することが容易である。これにより、照明器具1は、例えば雷サージに対して高い耐性を確保することが容易である。さらに、基板21の放熱領域26が導電部材3に熱的に結合しているので、基板21上で生じる熱を導電部材3により放熱することができる。
また、本実施形態に係る照明器具1では、導電部材3は、基部(支持部3A)と、支柱取付部3Bと、を有する。基部は、少なくとも一部がハウジング8の内部に収容されている。支柱取付部3Bは、基部に繋がっている。支柱取付部3Bは、支柱200に取り付けられる。
上記の通り、導電部材3は、支柱200に取り付けられる支柱取付部3Bを有している。したがって、支柱200に沿って導電部材3を容易に接地することができる。
また、本実施形態に係る照明器具1では、基板21は、挿入孔(溝28)を有する。挿入孔には、固定ねじ542が挿入される。固定部(第一ボス部54)は、ねじ孔541を有する。ねじ孔541には、挿入孔に挿入された固定ねじ542が締められる。
上記の通り、基板21は挿入孔(溝28)を有する。外部筐体5の固定部(第一ボス部54)はねじ孔541を有する。固定ねじ542は、挿入孔に挿入され、ねじ孔541に締められる。したがって、基板21は、固定ねじ542により固定部に容易に固定される。
また、本実施形態に係る照明器具1では、固定部(第一ボス部54)が複数設けられている。外部筐体5は、主部51を更に有する。主部51は、基板21の第二面212を覆っている。複数の固定部の各々は、主部51から突出している。複数の固定部の各々は、ねじ孔541を有する。
上記の構成により、外部筐体5の主部51から突出した複数の固定部(第一ボス部54)のねじ孔541に、基板21がねじ止めされる。これにより、主部51と基板21との間に隙間が生じる。また、主部51は、基板21の第二面212を覆っている。したがって、導電部材3を基板21の第二面212の放熱領域26と熱的に結合させるための1つの好ましい形態として、主部51と基板21との間に導電部材3を配置することができる。
また、本実施形態に係る照明器具1では、ねじ孔541は、固定ねじ542が導電部材3に接することなく締められる位置に設けられている。
上記の構成により、固定ねじ542は、導電部材3に接することなくねじ孔541に締められ、基板21を外部筐体5の固定部(第一ボス部54)に固定する。これにより、固定ねじ542として耐久性に優れる金属ねじを用いても、固定ねじ542が導電部材3を介して接地されない。したがって、基板21上で生じる熱を導電部材3により放熱する機能を維持しながら、基板21上の発光素子22及び導体27と、接地される部材(導電部材3)との間の絶縁距離を確保することが容易である。
また、本実施形態に係る照明器具1では、導電部材3は、ねじ孔541の深さ方向に直交する方向においてねじ孔541と対向する位置に、凹部38を有する。
上記の通り、導電部材3は、ねじ孔541の深さ方向に直交する方向においてねじ孔541と対向する位置に、凹部38を有する。これにより、導電部材3の寸法を大きく変更することなく、固定ねじ542が導電部材3に接することを避けることができる。
なお、導電部材3は、支柱200に取り付けられるための支柱取付部3Bを有していなくてもよい。すなわち、照明器具1は、支柱取付部3Bによらずに支柱200に取りつけられる構成であってもよい。
また、固定部には、基板21を固定するためのねじ孔541が設けられていなくてもよい。すなわち、基板21を外部筐体5に対して固定する方法は、ねじ止めに限定されない。例えば、リベットにより基板21を外部筐体5に対して固定してもよい。
また、支柱取付部3Bは、支柱200に取り付けられる構成であれば、本実施形態とは異なる構成であってもよい。例えば、支柱取付部3Bは、取付バンド92が挿入される挿通孔321を有していなくても、少なくとも取付金具9にねじ止め等により取り付けられる構成であればよい。あるいは、支柱取付部3Bは、取付金具9に取り付けるためのねじ93、94、94が挿入される第一ねじ挿通孔311、第二ねじ挿通孔312、ねじ挿通溝313を有していなくても、少なくとも挿通孔321を有していればよい。あるいは、支柱取付部3Bは、取付バンド92と一体に形成されていてもよい。
また、本実施形態では、外部筐体5と基板21との間に、導電部材3の支持部3Aの一部を挟むことにより、導電部材3と基板21とが互いに接触しているが、導電部材3と基板21とを互いに接触させる手段はこれに限定されない。例えば、接着剤を用いて基板21を導電部材3に取り付けてもよい。
また、基板21の第二面212には、銅箔が貼り付けられていなくてもよいし、銅箔に代えて、種々の熱伝導性の材料が貼り付けられていてもよい。
また、基板21と導電部材3との密着性を高めるために、基板21と導電部材3とは、グリスを介して互いに接触していてもよい。
また、各発光素子22はLED素子に限定されず、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子又はレーザーダイオード素子等であってもよい。
また、発光素子22の数は9つに限定されず、1〜8つであってもよいし、10個以上であってもよい。
また、照明器具1は防犯灯及び街路灯に限らず、例えば、シーリングライト、ベースライト及びダウンライト等の屋内外の各種の照明器具に用いることができる。
上記の各変形例であっても、基板が導電部材に固定されている場合と比べて、照明器具1は、基板21上の発光素子22及び導体27と、接地される部材(導電部材3)との間の絶縁距離を確保することが容易である。また、基板21上で生じる熱を導電部材3により放熱する機能を維持することができる。
なお、以上説明した実施形態は本発明の一例である。このため、本発明はこれらの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。