JP6793088B2 - 感活性光線性又は感放射線性組成物、レジスト膜、マスクブランクス、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法 - Google Patents

感活性光線性又は感放射線性組成物、レジスト膜、マスクブランクス、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6793088B2
JP6793088B2 JP2017090812A JP2017090812A JP6793088B2 JP 6793088 B2 JP6793088 B2 JP 6793088B2 JP 2017090812 A JP2017090812 A JP 2017090812A JP 2017090812 A JP2017090812 A JP 2017090812A JP 6793088 B2 JP6793088 B2 JP 6793088B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
radiation
general formula
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017090812A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018189758A (ja
Inventor
土村 智孝
智孝 土村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2017090812A priority Critical patent/JP6793088B2/ja
Publication of JP2018189758A publication Critical patent/JP2018189758A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6793088B2 publication Critical patent/JP6793088B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、超LSIや高容量マイクロチップの製造などの超マイクロリソグラフィプロセスやその他のフォトファブリケーションプロセスに好適に用いられる、電子線や極紫外線等を使用して高精細化したパターンを形成し得る感活性光線性又は感放射線性組成物、レジスト膜、マスクブランクス、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法に関する。
従来、ICやLSIなどの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、更にエキシマレーザー光にというように短波長化の傾向が見られ、現在では、電子線やX線を用いたリソグラフィも開発が進んでいる。
特に電子線や極紫外線リソグラフィは、次世代若しくは次々世代のパターン形成技術として位置付けられており、また、高解像性のゆえに半導体露光に使用されるフォトマスク作製に広く使用されている。例えば、電子線リソグラフィによる上記フォトマスク作製の工程では、透明基板にクロム等を主成分とする遮蔽層を設けた遮蔽基板の上にレジスト層を形成し、更に選択的に電子線露光を行った後、アルカリ現像してレジストパターンを形成する。ついで、このレジストパターンをマスクとして遮蔽層をエッチングして遮蔽層にパターンを形成することにより、透明基板上に所定のパターンを有する遮蔽層を備えたフォトマスクを得ることができる。
レジスト層に用いられるレジスト組成物としては、ポジ型レジスト組成物が広範に知られているが、アルカリ現像によるパターン形成におけるネガ型化学増幅レジスト組成物の開発も行われている。これは、半導体素子等の製造にあたってはライン、トレンチ、ホール、など種々の形状を有するパターン形成の要請がある一方、現状のポジ型レジスト組成物では形成することが難しいパターンが存在するためである。
しかしながら、従来のネガ型レジスト組成物を用いたパターン形成においては、昨今、要求されるパターンの微細化に伴って、解像性の更なる改善が求められている。
解像性を更に改善するものとして、引用文献1には、光酸発生剤、及び、架橋剤に加えて、更に、カチオン部分に窒素原子を含むオニウム塩化合物を含有するネガ型レジスト組成物が開示されている。
特開2014−134686号公報
ところで、レジスト膜に対して露光を行う場合、通常、露光時において意図しない領域にも光が照射されるという、いわゆる「かぶり」が発生しており、特に電子線露光の場合は、レジスト膜を指示する基板からの後方散乱光による「かぶり」の影響も大きい。このような「かぶり」は、ネガ型パターン形成方法においては、残渣の発生に繋がるものであり、特に孤立スペースパターンなどの、周囲がレジスト膜に囲まれるとともに、スペース幅が小さいレジストパターンを、ネガ型パターン形成方法により形成する場合においては、残渣の発生が解像性の低下に大きく影響する傾向となる。そして、このような傾向は、架橋剤を含有するネガ型レジスト組成物(いわゆる、架橋系ネガ型レジスト組成物)を使用する場合において、より顕著になる傾向があり、更なる改善が求められていた。
本発明は、上記を鑑みてなされたものであり、その目的は、架橋系ネガ型レジスト組成物を用いるパターン形成技術において、感度と孤立スペースパターン解像力とに極めて優れるパターンを形成できる感活性光線性又は感放射線性組成物、レジスト膜、マスクブランクス、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法を提供することにある。
本発明は、例えば以下の通りである。
<1>
下記一般式(1)で表されるオニウム塩化合物(A)、架橋剤(C)、及び上記オニウム塩化合物(A)とは異なる光酸発生剤(D)を含有する感活性光線性又は感放射線性組成物であって、
上記架橋剤(C)が酸架橋性基としてフェノール性水酸基、又はアルコキシメチル基を有する、感活性光線性又は感放射線性組成物。
Figure 0006793088

上記一般式(1)中、
Mはオニウムカチオンを表し、Xは有機基を表す。
<2>
更に、フェノール性水酸基を含む化合物(B)を含有する、<1>に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
<3>
上記一般式(1)中のXが脂環構造を有する基である、<1>又は<2>に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
<4>
上記一般式(1)中のXが多環脂環構造を有する基である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
<5>
活性光線又は放射線の照射により上記オニウム塩化合物(A)から発生する酸の体積が210Å 以上の大きさである、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
<6>
上記オニウム塩化合物(A)が、下記一般式(2)で表されるオニウム塩化合物である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
Figure 0006793088

上記一般式(2)中、
Mはオニウムカチオンを表し、Yは、水素原子又は有機基を表す。
<7>
上記一般式(2)中、Yが多環脂環構造を有する基である、<6>に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
<8>
上記フェノール性水酸基を含む化合物(B)が酸分解性基を有さない、<2>〜<7>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
<9>
<1>〜<8>のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物により形成されたレジスト膜。
<10>
<9>に記載のレジスト膜を備えたマスクブランクス。
<11>
<9>に記載のレジスト膜に活性光線又は放射線を照射することと、上記活性光線又は放射線を照射した膜を現像することとを含む、パターン形成方法。
<12>
<11>に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
<13>
<9>に記載のレジスト膜を備えたマスクブランクスに活性光線又は放射線を照射することと、上記活性光線又は放射線を照射したマスクブランクスを現像することとを含む、レジストパターン形成方法。
本発明は、上記<1>〜<13>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記[1]〜[14])についても記載している。
[1]
下記一般式(1)で表されるオニウム塩化合物(A)、及び架橋剤(C)を含有する感活性光線性又は感放射線性組成物。
Figure 0006793088
上記一般式(1)中、
Mはオニウムカチオンを表し、Xは有機基を表す。
[2]
更に、フェノール性水酸基を含む化合物(B)を含有する、[1]に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
[3]
更に、上記オニウム塩化合物(A)とは異なる光酸発生剤(D)を含有する、[1]又は[2]に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
[4]
上記一般式(1)中のXが脂環構造を有する基である、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
[5]
上記一般式(1)中のXが多環脂環構造を有する基である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
[6]
活性光線又は放射線の照射により上記オニウム塩化合物(A)から発生する酸の体積が210Å以上の大きさである、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
[7]
上記オニウム塩化合物(A)が、下記一般式(2)で表されるオニウム塩化合物である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
Figure 0006793088
上記一般式(2)中、
Mはオニウムカチオンを表し、Yは、水素原子又は有機基を表す。
[8]
上記一般式(2)中、Yが多環脂環構造を有する基である、[7]に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
[9]
上記フェノール性水酸基を含む化合物(B)が酸分解性基を有さない、[2]〜[8]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
[10]
[1]〜[9]のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物により形成されたレジスト膜。
[11]
[10]に記載のレジスト膜を備えたマスクブランクス。
[12]
[10]に記載のレジスト膜に活性光線又は放射線を照射することと、上記活性光線又は放射線を照射した膜を現像することとを含む、パターン形成方法。
[13]
[12]に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
[14]
[10]に記載のレジスト膜を備えたマスクブランクスに活性光線又は放射線を照射することと、上記活性光線又は放射線を照射したマスクブランクスを現像することとを含む、レジストパターン形成方法。
本発明によれば、架橋系ネガ型レジスト組成物を用いるパターン形成技術において、感度と孤立スペースパターン解像力とに極めて優れるパターンを形成できる感活性光線性又は感放射線性組成物、レジスト膜、マスクブランクス、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書における基及び原子団の表記において、置換又は無置換を明示していない場合は、置換基を有さないものと置換基を有するものの双方が含まれるものとする。例えば、置換又は無置換を明示していない「アルキル基」は、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含することとする。
本発明において「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線、イオンビーム等の粒子線等を意味する。また、本発明において「光」とは、活性光線又は放射線を意味する。
また、本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、極紫外線(EUV光)などによる露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も含まれるものとする。
<感活性光線性又は感放射線性組成物>
本発明の感活性光線性又は感放射線性組成物(以下、「本発明の組成物」とも称する)は、下記一般式(1)で表されるオニウム塩化合物(A)、及び架橋剤(C)を含有する。
Figure 0006793088
上記一般式(1)中、
Mはオニウムカチオンを表し、Xは有機基を表す。
本発明の構成により上記効果が得られる理由は定かではないが、本発明者は下記のように推測している。
先ず、オニウム塩化合物(A)は、活性光線又は放射線の照射により、弱酸としての、XSOHで表されるスルフィン酸を発生する化合物である。
また、レジスト膜の露光部において架橋剤(C)による架橋反応を化学増幅反応として実施するべく、本発明の組成物に、後に詳述する光酸発生剤(D)を含有させる場合、典型的には、上記スルフィン酸の酸強度は、上記光酸発生剤の酸強度より低く、光酸発生剤(D)におけるプロトンと、オニウム塩化合物(A)のカチオンとの交換が起こる。換言すれば、オニウム塩化合物(A)は、典型的には、光酸発生剤(D)が発生する酸を捕捉する機能を有することから、この酸に対して塩基性を有する。
よって、レジスト膜の未露光部において、未露光部のオニウム塩化合物(A)は、露光部にて光酸発生剤(D)より発生し未露光部に拡散した酸を受け入れ、酸の拡散現象を抑制する作用を有する。一方、露光部においては、オニウム塩化合物(A)は分解することで、光酸発生剤(D)より発生する酸に対しての塩基性を失う。そのため、露光部においては、上記酸はオニウム塩化合物には捕捉されず、上記化学増幅反応に有効的に利用されるため、露光部と未露光部において良好なコントラストが得られる。
このように、本発明の組成物は、以上の機能を有する、いわゆる「光塩基消失剤」を含有することにより、高い解像性(ラフネス性能など)を発現できるものであるが、更に、オニウム塩化合物(A)の酸強度が、光酸発生剤(D)より発生する酸との上記交換を行い、未露光部への酸の拡散現象を抑制するのに適切な強度になっているものと考えられ、これにより、優れた感度が得られるとともに、未露光部における意図しない反応が抑制され、残渣の発生が抑制されるものと考えられる。また、オニウム塩化合物(A)は、従来公知の光塩基消失剤としてのスルホニウム塩化合物や、カチオン部に窒素原子を含むオニウム塩化合物に比べて、極性度が低い。その結果、上記した従来公知の光塩基消失剤を用いる場合と比較して、オニウム塩化合物(A)同士の凝集は抑制され、フェノール性水酸基を含む化合物(B)との相互作用が向上し、その結果、オニウム塩化合物(A)はレジスト膜中により均一に分布し、未露光部において、万遍なく酸を捕捉できるなどして、残渣の発生が抑制されるものと考えられる。
以上により、本発明の組成物によれば、架橋系ネガ型レジスト組成物を用いるパターン形成技術において、感度と孤立スペースパターン解像力とに極めて優れるパターンが形成できるものと考えらえる。
以下、本発明の組成物における上述した各成分について、順に説明する。
[1]一般式(1)で表されるオニウム塩化合物(A)(以下、「化合物(A)」とも称する)
本発明の組成物は、上記したように、下記一般式(1)で表されるオニウム塩化合物(A)を含有する。
Figure 0006793088
上記一般式(1)中、
Mはオニウムカチオンを表し、Xは有機基を表す。
Mで表されるオニウムカチオンとしては、特に限定されないが、例えば、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、ホスホニウムカチオンなどを挙げることができる。
本発明において、好ましいオニウム塩化合物におけるオニウムカチオンとして、下記一般式(ZI)で表されるスルホニウムカチオン、もしくは一般式(ZII)で表されるヨードニウムカチオンを挙げることができる。
Figure 0006793088
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基、スルホニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
201、R202及びR203により表される有機基としては、例えば、後述する一般式(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)及び(ZI−4)における対応する基を挙げることができる。
なお、一般式(ZI)で表される構造を複数有するカチオンであってもよい。例えば、一般式(ZI)で表されるカチオンのR201〜R203の少なくとも1つが、一般式(ZI)で表されるもうひとつのカチオンのR201〜R203の少なくとも一つと、単結合又は連結基を介して結合した構造を有するカチオンであってもよい。
更に好ましい一般式(ZI)として、以下に説明する、カチオン(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)、及び(ZI−4)を挙げることができる。
先ず、カチオン(ZI−1)について説明する。
カチオン(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウムカチオンである。
アリールスルホニウムカチオンは、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウムカチオンとしては、例えば、トリアリールスルホニウムカチオン、ジアリールアルキルスルホニウムカチオン、アリールジアルキルスルホニウムカチオン、ジアリールシクロアルキルスルホニウムカチオン、アリールジシクロアルキルスルホニウムカチオンを挙げることができる。
アリールスルホニウムカチオンのアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。アリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造としては、ピロール残基、フラン残基、チオフェン残基、インドール残基、ベンゾフラン残基、ベンゾチオフェン残基等が挙げられる。アリールスルホニウムカチオンが2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウムカチオンが必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基及び炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を置換基として有してもよい。上記置換基は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基、スルホニル基を含んでいてもよい。
次に、カチオン(ZI−2)について説明する。
カチオン(ZI−2)は、上記一般式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表すカチオンである。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐2−オキソアルキル基である。
201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
次に、カチオン(ZI−3)について説明する。
カチオン(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表されるカチオンであり、フェナシルスルフォニウムカチオンである。
Figure 0006793088
一般式(ZI−3)中、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アルキルチオ基又はアリールチオ基を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
及びRは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R5cとR6c、R6cとR7c、R5cとR、及びRとRは、各々結合して環構造を形成してもよく、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、ケトン基、スルホニル基、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。
上記環構造としては、芳香族若しくは非芳香族の炭化水素環、芳香族若しくは非芳香族の複素環、又は、これらの環が2つ以上組み合わされてなる多環縮合環を挙げることができる。環構造としては、3〜10員環を挙げることができ、4〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRとRが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
5cとR6c、及び、R5cとRが結合して形成する基としては、単結合又はアルキレン基であることが好ましく、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基等を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基の具体例は、上記R1c〜R5cとしてのアルコキシ基の具体例と同様である。
1c〜R5cとしてのアルキルカルボニルオキシ基及びアルキルチオ基におけるアルキル基の具体例は、上記R1c〜R5cとしてのアルキル基の具体例と同様である。
1c〜R5cとしてのシクロアルキルカルボニルオキシ基におけるシクロアルキル基の具体例は、上記R1c〜R5cとしてのシクロアルキル基の具体例と同様である。
1c〜R5cとしてのアリールオキシ基及びアリールチオ基におけるアリール基の具体例は、上記R1c〜R5cとしてのアリール基の具体例と同様である。
本発明におけるカチオン(ZI−2)又はカチオン(ZI−3)カチオンとしては、米国特許出願公開第2012/0076996号明細書の段落[0036]以降に記載のカチオンを挙げることができる。
次に、カチオン(ZI−4)について説明する。
カチオン(ZI−4)は、下記一般式(ZI−4)で表される。
Figure 0006793088
一般式(ZI−4)中、
13は水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
14は、複数存在する場合は各々独立して、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又はシクロアルキル基を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
15は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。2個のR15が互いに結合して環を形成してもよい。2個のR15が互いに結合して環を形成するとき、環骨格内に、酸素原子、窒素原子などのヘテロ原子を含んでもよい。一態様において、2個のR15がアルキレン基であり、互いに結合して環構造を形成することが好ましい。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
一般式(ZI−4)において、R13、R14及びR15のアルキル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
本発明におけるカチオン(ZI−4)としては、特開2010−256842号公報の段落[0121]、[0123]、[0124]、及び、特開2011−76056号公報の段落[0127]、[0129]、[0130]等に記載のカチオンを挙げることができる。
次に、一般式(ZII)について説明する。
一般式(ZII)中、R204〜R205は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R205のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。R204〜R205のアリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基の骨格としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等を挙げることができる。
204〜R205におけるアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R205のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。R204〜R205のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
一般式(1)において、Xは有機基を表し、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環式炭化水素基、アルコキシカルボニル基、及びラクトン基等が挙げられる。これらの基が2種以上組み合わされていても良く、また、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、スルホン結合、スルホンアミド結合により、2種以上組み合わされていても良い。
これらの基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基などが挙げられる。
Xにより表されるアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基の炭素数は、1〜50であることが好ましく、1〜30であることがより好ましく、1〜20であることが更に好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、及び、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
Xにより表されるシクロアルキル基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このシクロアルキル基としては、好ましくは、シクロプロピル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の炭素数3〜8の単環のシクロアルキル基等や、アダマンチル基、ノルボルナン基等の炭素数6〜20の多環のシクロアルキル基等が挙げられる。
Xにより表されるアルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルケニル基の炭素数は、2〜50であることが好ましく、2〜30であることがより好ましく、3〜20であることが更に好ましい。このようなアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、及びスチリル基等が挙げられる。
Xにより表されるアリール基としては、炭素数6〜14のものが好ましい。このような基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基等が挙げられる。
Xにより表される複素環式炭化水素基は、炭素数5〜20のものが好ましく、炭素数6〜15のものがより好ましい。複素環式炭化水素基は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。この複素環式炭化水素基は、芳香族性を有していることが好ましい。
上記の複素環式炭化水素基に含まれる複素環は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このような複素環としては、例えば、イミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、2H−ピロール環、3H−インドール環、1H−インダゾール、プリン環、イソキノリン環、4H−キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、フェナジン環、ペリミジン環、トリアジン環、ベンズイソキノリン環、チアゾール環、チアジアジン環、アゼピン環、アゾシン環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、及びベンゾチアゾール環が挙げられる。
Xにより表されるアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基は直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基の炭素数は、1〜50であることが好ましく、1〜30であることがより好ましく、1〜20であることが更に好ましい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、及び、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
Xにより表されるラクトン基としては、例えば、5〜7員環のラクトン基であり、5〜7員環ラクトン基にビシクロ構造、スピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものであってもよい。具体的には、以下に示す構造を有する基であることが好ましい。
Figure 0006793088
ラクトン基は、置換基(Rb2)を有していても有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb2)としては、上記でXの置換基として記載したものと同様の置換基が挙げられる。n2が2以上の時、複数存在する置換基(Rb2)は、同一でも異なっていてもよい。また、複数存在する置換基(Rb2)同士が結合して環を形成してもよい。
Xは、脂環構造を有する基であることが好ましく、具体的には、上述した単環又は多環のシクロアルキル基の具体例を有する基などが挙げられる。また、Xは、多環脂環構造を有する基であることがより好ましく、具体的には、上述した多環のシクロアルキル基の具体例を有する基などが挙げられる。
上記オニウム塩化合物(A)は、下記一般式(2)で表されるオニウム塩化合物であることが好ましい。
Figure 0006793088
上記一般式(2)中、
Mはオニウムカチオンを表し、Yは、水素原子又は有機基を表す。
一般式(2)中、Mで表されるオニウムカチオンとしては、上記一般式(2)中のMで表されるオニウムカチオンと同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(2)中、Yで表される有機基としては、上記一般式(2)中のXで表される有機基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(2)において、Yは多環脂環式構造を有する基であることが好ましい。Yとしての多環脂環式構造を有する基の具体例は、上記した一般式(1)のXとしての多環脂環式構造を有する基の具体例と同様である。
上記一般式(1)のアニオン構造の例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 0006793088
活性光線又は放射線の照射により上記一般式(1)で表されるオニウム塩化合物(A)から発生する酸のpKaは、−3以上、5以下であることが好ましく、-2以上、4以下であることがより好ましく、−1以上、3以下であることが更に好ましい。
一般式(1)で表されるオニウム塩化合物(A)は、露光により発生する酸のpKaが、後述の光酸発生剤(D)から発生する酸のpKaよりも高いものであることが好ましい。すなわち、露光により、光酸発生剤(D)から発生する酸よりも弱い酸を発生する化合物が好ましい。
本明細書に於いて、酸解離定数pKaとは、水溶液中での酸解離定数pKaのことを表し、例えば、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に記載のものであり、この値が低いほど酸強度が大きいことを示している。水溶液中での酸解離定数pKaは、具体的には、無限希釈水溶液を用い、25℃での酸解離定数を測定することにより実測することができ、また、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求めることもできる。本明細書中に記載したpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値を示している。
ソフトウェアパッケージ1: Advanced Chemistry Development (ACD/Labs) Software V8.14 for Solaris (1994−2007 ACD/Labs)。
本発明においては、化合物(A)は、活性光線又は放射線の照射により発生した酸の非露光部への拡散を抑制し、解像性やパターン形状を良好にする観点から、体積130Å以上の大きさの酸を発生する化合物であることが好ましく、体積210Å以上の大きさの酸を発生する化合物であることがより好ましく、体積270Å以上の大きさの酸を発生する化合物であることが更に好ましく、体積400Å以上の大きさの酸を発生する化合物であることが特に好ましい。但し、感度や塗布溶剤溶解性の観点から、上記体積は2000Å以下であることが好ましく、1500Å以下であることがより好ましい。上記体積の値は、富士通株式会社製の「WinMOPAC」を用いて求めた。すなわち、まず、各化合物に係る酸の化学構造を入力し、次に、この構造を初期構造としてMM3法を用いた分子力場計算により、各酸の最安定立体配座を決定し、その後、これら最安定立体配座についてPM3法を用いた分子軌道計算を行うことにより、各酸の「accessible volume」を計算することができる。
一般式(1)で表される化合物としては、例えば下記が挙げられる。
Figure 0006793088
Figure 0006793088
Figure 0006793088
化合物(A)は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
化合物(A)の含有量は、組成物の全固形分を基準として、通常は0.1〜30質量%の範囲内にあり、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは0.7〜15質量%の範囲内にある。
[2]フェノール性水酸基を含む化合物(B)
本発明の組成物は、一態様において、フェノール性水酸基を含む化合物(B)(以下、化合物(B)とも言う)を含有することが好ましい。
本発明におけるフェノール性水酸基とは、芳香環基の水素原子をヒドロキシ基で置換してなる基である。該芳香環基の芳香環は単環又は多環の芳香環であり、ベンゼン環やナフタレン環等が挙げられる。
フェノール性水酸基を含む化合物(B)は、フェノール性水酸基を含む限り特に限定されず、分子レジストのような比較的低分子の化合物であってもよいし、高分子化合物であってもよい。なお分子レジストとしては、例えば特開2009−173623号公報及び特開2009−173625号公報に記載の低分子量環状ポリフェノール化合物等が使用できる。
本発明の組成物が化合物(B)を含有する場合は、露光部において発生する酸の作用により、フェノール性水酸基を含む化合物(B)と後述の化合物(C)との間で架橋反応が進行し、ネガ型のパターンが形成される。
また、本発明において、化合物(B)は、酸分解性基を有さないことが好ましい。酸分解性基とは、光酸発生剤が発生する酸の作用により分解反応を起こす性質を有する基を意味する。
本発明のフェノール性水酸基を含む化合物(B)が高分子化合物である場合、該高分子化合物は、少なくとも一種のフェノール性水酸基を有する繰り返し単位を含有する。フェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては特に限定されないが、下記一般式(II)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 0006793088
式中、
は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、又はハロゲン原子を表し;
B’は、単結合又は2価の有機基を表し;
Ar’は、芳香環基を表し;
mは1以上の整数を表す。
における置換基を有していてもよいメチル基としては、トリフルオロメチル基や、ヒドロキシメチル基等を挙げることができる。
は、水素原子又はメチル基であることが好ましく、水素原子であることが現像性の理由から好ましい。
B’の2価の連結基としては、カルボニル基、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5)、スルホニル基(−S(=O)−)、−O−、−NH−又はこれらを組合せた2価の連結基が好ましい。
B’は、単結合、カルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)又は−C(=O)−NH−を表すことが好ましく、単結合又はカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)を表すことがより好ましく、単結合であることがドライエッチング耐性向上の観点で特に好ましい。
Ar’の芳香族環は、単環又は多環の芳香族環であり、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、フェナントレン環などの炭素数6〜18の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、又は、例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、チアゾール環等のヘテロ環を含む芳香環ヘテロ環を挙げることができる。中でも、ベンゼン環、ナフタレン環が解像性の観点で好ましく、ベンゼン環が感度の観点で最も好ましい。
mは1〜5の整数であることが好ましく、1が最も好ましい。mが1でAr’がベンゼン環の時、−OHの置換位置はベンゼン環のB’(B’が単結合である場合にはポリマー主鎖)との結合位置に対して、パラ位でもメタ位でもオルト位でもよいが、架橋反応性の観点から、パラ位、メタ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
Ar’の芳香族環は、上記−OHで表される基以外にも置換基を有していてもよく、置換基としては例えば、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールカルボニル基が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位は、下記一般式(2)で表される繰り返し単位であることが架橋反応性、現像性、ドライエッチング耐性の理由でより好ましい。
Figure 0006793088
一般式(2)中、
12は、水素原子又はメチル基を表す。
Arは、芳香族環を表す。
12は、水素原子又はメチル基を表し、水素原子であることが現像性の理由から好ましい。
一般式(2)におけるArは、上記一般式(II)におけるAr’と同義であり、好ましい範囲も同様である。一般式(2)で表される繰り返し単位は、ヒドロキシスチレンから誘導される繰り返し単位(すなわち、一般式(2)においてR12が水素原子であり、Arがベンゼン環である繰り返し単位)であることが感度の観点から好ましい。
高分子化合物としての化合物(B)は、上記のようなフェノール性水酸基を有する繰り返し単位のみから構成されていてもよい。高分子化合物としての化合物(B)は、上記のようなフェノール性水酸基を有する繰り返し単位以外にも後述するような繰り返し単位を有していてもよい。その場合、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位の含有率は、高分子化合物としての化合物(B)の全繰り返し単位に対して、10〜98モル%であることが好ましく、30〜97モル%であることがより好ましく、40〜95モル%であることが更に好ましい。これにより、特に、レジスト膜が薄膜である場合(例えば、レジスト膜の厚みが、10〜150nmである場合)、化合物(B)を用いて形成された本発明のレジスト膜における露光部のアルカリ現像液に対する溶解速度をより確実に低減できる(即ち、化合物(B)を用いたレジスト膜の溶解速度を、より確実に最適なものに制御できる)。その結果、感度をより確実に向上させることができる。
以下、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位の例を記載するが、これに限定されるものではない。
Figure 0006793088
化合物(B)は、非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造を有することが、高いガラス転移温度(Tg)が得られること、ドライエッチング耐性が良好となることから好ましい。
化合物(B)が、前述の特定の構造を有することで、化合物(B)のガラス転移温度(Tg)が高くなり、非常に硬いレジスト膜を形成することができ、酸の拡散性やドライエッチング耐性を制御することができる。従って、電子線や極紫外線等の活性光線又は放射線の露光部における酸の拡散性が非常に抑制されるため、微細なパターンでの解像力、パターン形状及びLERが更に優れる。また、化合物(B)が非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有することが、ドライエッチング耐性の更なる向上に寄与するものと考えられる。更に、詳細は不明だが、多環脂環炭化水素構造は水素ラジカルの供与性が高く、光酸発生剤の分解時の水素源となり、光酸発生剤の分解効率が更に向上し、酸発生効率が更に高くなっていると推定され、これがより優れた感度に寄与するものと考えられる。
本発明に係る化合物(B)が有していてもよい前述の特定の構造は、ベンゼン環等の芳香族環と、非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基とが、フェノール性水酸基に由来する酸素原子を介して連結している。前述のように、該構造は高いドライエッチング耐性に寄与するだけでなく、化合物(B)のガラス転移温度(Tg)を上げることができ、これらの組み合わせの効果によりより高い解像力が提供されるものと推定される。
本発明において、非酸分解性とは、光酸発生剤が発生する酸により、分解反応が起こらない性質を意味する。
より具体的には、非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基は、酸及びアルカリに安定な基であることが好ましい。酸及びアルカリに安定な基とは、酸分解性及びアルカリ分解性を示さない基を意味する。ここで酸分解性とは、光酸発生剤が発生する酸の作用により分解反応を起こす性質を意味する。
またアルカリ分解性とは、アルカリ現像液の作用により分解反応を起こす性質を意味し、アルカリ分解性を示す基としてはポジ型の化学増幅型レジスト組成物において好適に使用される樹脂中に含まれる、従来公知のアルカリ現像液の作用で分解しアルカリ現像液中への溶解速度が増大する基(例えばラクトン構造を有する基など)が挙げられる。
多環脂環炭化水素構造を有する基とは、多環脂環炭化水素構造を有する一価の基である限り特に限定されないが、総炭素数が5〜40であることが好ましく、7〜30であることがより好ましい。多環脂環炭化水素構造は、環内に不飽和結合を有していてもよい。
多環脂環炭化水素構造を有する基における多環脂環炭化水素構造は、単環型の脂環炭化水素基を複数有する構造、若しくは、多環型の脂環炭化水素構造を意味し、有橋式であってもよい。単環型の脂環炭化水素基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができ、単環型の脂環炭化水素基を複数有する構造はこれらの基を複数有する。単環型の脂環炭化水素基を複数有する構造は、単環型の脂環炭化水素基を2〜4個有することが好ましく、2個有することが特に好ましい。
多環型の脂環炭化水素構造としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を挙げることができ、炭素数6〜30の多環シクロ構造が好ましく、例えば、アダマンタン構造、デカリン構造、ノルボルナン構造、ノルボルネン構造、セドロール構造、イソボルナン構造、ボルナン構造、ジシクロペンタン構造、α−ピネン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造、あるいはアンドロスタン構造を挙げることができる。なお、単環若しくは多環のシクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
上記の多環脂環炭化水素構造の好ましいものとしては、アダマンタン構造、デカリン構造、ノルボルナン構造、ノルボルネン構造、セドロール構造、シクロヘキシル基を複数有する構造、シクロヘプチル基を複数有する構造、シクロオクチル基を複数有する構造、シクロデカニル基を複数有する構造、シクロドデカニル基を複数有する構造、トリシクロデカン構造があげられ、アダマンタン構造がドライエッチング耐性の観点で最も好ましい(すなわち、上記非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基が、非酸分解性のアダマンタン構造を有する基であることが最も好ましい)。
これらの多環脂環炭化水素構造(単環型の脂環炭化水素基を複数有する構造については、該単環型の脂環炭化水素基に対応する単環型の脂環炭化水素構造(具体的には以下の式
(47)〜(50)の構造))の化学式を以下に表示する。
Figure 0006793088
更に上記多環脂環炭化水素構造は置換基を有してもよく、置換基としては例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜15)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6)、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、及びこれら基を組み合わせてなる基(好ましくは総炭素数1〜30、より好ましくは総炭素数1〜15)が挙げられる。
上記多環脂環炭化水素構造としては、上記式(7)、(23)、(40)、(41)及び(51)のいずれかで表される構造、上記式(48)の構造における任意の一つの水素原子を結合手とした一価の基を2個有する構造が好ましく、上記式(23)、(40)及び(51)のいずれかで表される構造、上記式(48)の構造における任意の一つの水素原子を結合手とした一価の基を2個有する構造がより好ましく、上記式(40)で表される構造が最も好ましい。
多環脂環炭化水素構造を有する基としては、上記の多環脂環炭化水素構造の任意の一つの水素原子を結合手とした一価の基であることが好ましい。
前述の非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造は、前述の非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造を有する繰り返し単位として、高分子化合物としての化合物(B)に含有されることが好ましく、下記一般式(3)で表される繰り返し単位として化合物(B)に含有されることがより好ましい。
Figure 0006793088
一般式(3)中、R13は水素原子又はメチル基を表す。
Xは非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基を表す。
Arは芳香族環を表す。
m2は1以上の整数である。
一般式(3)におけるR13は水素原子又はメチル基を表すが、水素原子が特に好ましい。
一般式(3)のArの芳香族環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、フェナントレン環などの炭素数6〜18の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環、又は、例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾピロール環、トリアジン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、チアゾール環等のヘテロ環を含む芳香環ヘテロ環を挙げることができる。中でも、ベンゼン環、ナフタレン環が解像性の観点で好ましく、ベンゼン環が最も好ましい。
Arの芳香族環は、上記−OXで表される基以外にも置換基を有していてもよく、置換基としては例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜6)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜15)、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、アルコキシ基がより好ましい。
Xは非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基を表す。Xで表される非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基の具体例及び好ましい範囲は上述のものと同様である。Xは、後述の一般式(4)における−Y−Xで表される基であることがより好ましい。
m2は1〜5の整数であることが好ましく、1が最も好ましい。m2が1でArがベンゼン環の時、−OXの置換位置はベンゼン環のポリマー主鎖との結合位置に対して、パラ位でもメタ位でもオルト位でもよいが、パラ位又はメタ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
本発明において、上記一般式(3)で表される繰り返し単位が、下記一般式(4)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(4)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物を使用すると、高分子化合物(B)のTgが高くなり、非常に硬いレジスト膜を形成するため、酸の拡散性やドライエッチング耐性をより確実に制御できる。
Figure 0006793088
一般式(4)中、R13は水素原子又はメチル基を表す。
Yは単結合又は2価の連結基を表す。
は非酸分解性の多環脂環炭化水素基を表す。
上記一般式(4)で表される繰り返し単位で、本発明に用いられる好ましい例を以下に記述する。
一般式(4)におけるR13は水素原子又はメチル基を表すが、水素原子が特に好ましい。
一般式(4)において、Yは2価の連結基であることが好ましい。Yの2価連結基として好ましい基は、カルボニル基、チオカルボニル基、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5)、スルホニル基、−COCH−、−NH−又はこれらを組合せた2価の連結基(好ましくは総炭素数1〜20、より好ましくは総炭素数1〜10)であり、より好ましくはカルボニル基、−COCH−、スルホニル基、−CONH−、−CSNH−であり、更に好ましくはカルボニル基、−COCH−であり、特に好ましくはカルボニル基である。
は多環脂環炭化水素基を表し、非酸分解性である。多環脂環炭化水素基の総炭素数は5〜40であることが好ましく、7〜30であることがより好ましい。多環脂環炭化水素基は、環内に不飽和結合を有していてもよい。
このような多環脂環炭化水素基は、単環型の脂環炭化水素基を複数有する基、若しくは、多環型の脂環炭化水素基であり、有橋式であってもよい。単環型の脂環炭化水素基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロブチル基、シクロオクチル基等を挙げることができ、これらの基を複数有する。単環型の脂環炭化水素基を複数有する基は、単環型の脂環炭化水素基を2〜4個有することが好ましく、2個有することが特に好ましい。
多環型の脂環炭化水素基としては、炭素数5以上のビシクロ、トリシクロ、テトラシクロ構造等を有する基を挙げることができ、炭素数6〜30の多環シクロ構造を有する基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基、あるいはアンドロスタニル基を挙げることができる。なお、単環若しくは多環のシクロアルキル基中の炭素原子の一部が、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
上記Xの多環脂環炭化水素基としては、好ましくはアダマンチル基、デカリン基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、セドロール基、シクロヘキシル基を複数有する基、シクロヘプチル基を複数有する基、シクロオクチル基を複数有する基、シクロデカニル基を複数有する基、シクロドデカニル基を複数有する基、トリシクロデカニル基であり、アダマンチル基がドライエッチング耐性の観点で最も好ましい。Xの多環脂環炭化水素基における多環脂環炭化水素構造の化学式としては、前述の多環脂環炭化水素構造を有する基における多環脂環炭化水素構造の化学式と同様のものが挙げられ、好ましい範囲も同様である。Xの多環脂環炭化水素基は、前述の多環脂環炭化水素構造における任意の一つの水素原子を結合手とした一価の基が挙げられる。
更に上記脂環炭化水素基は置換基を有してもよく、置換基としては多環脂環炭化水素構造が有してもよい置換基として上述したものと同様のものが挙げられる。
一般式(4)における−O−Y−Xの置換位置はベンゼン環のポリマー主鎖との結合位置に対して、パラ位でもメタ位でもオルト位でもよいが、パラ位が好ましい。
本発明において、上記一般式(3)で表される繰り返し単位が、下記一般式(4’)で表される繰り返し単位であることが最も好ましい。
Figure 0006793088
一般式(4’)中、R13は水素原子又はメチル基を表す。
一般式(4’)におけるR13は水素原子又はメチル基を表すが、水素原子が特に好ましい。
一般式(4’)におけるアダマンチルエステル基の置換位置はベンゼン環のポリマー主鎖との結合位置に対して、パラ位でもメタ位でもオルト位でもよいが、パラ位が好ましい。
一般式(3)で示される繰り返し単位の具体例としては、以下のものが挙げられる。
Figure 0006793088
Figure 0006793088
化合物(B)が高分子化合物であり、更に前述の非酸分解性の多環脂環炭化水素構造を有する基で、フェノール性水酸基の水素原子が置換された構造を有する繰り返し単位を含有する場合、該繰り返し単位の含有率は、高分子化合物としての化合物(B)の全繰り返し単位に対して、1〜40モル%であることが好ましく、より好ましくは2〜30モル%である。
本発明で用いられる高分子化合物としての化合物(B)は、上記繰り返し単位以外の繰り返し単位として、下記のような繰り返し単位(以下、「他の繰り返し単位」ともいう)を更に有することも好ましい。
これら他の繰り返し単位を形成するための重合性モノマーの例としてはスチレン、アルキル置換スチレン、アルコキシ置換スチレン、ハロゲン置換スチレン、O−アルキル化スチレン、O−アシル化スチレン、水素化ヒドロキシスチレン、無水マレイン酸、アクリル酸誘導体(アクリル酸、アクリル酸エステル等)、メタクリル酸誘導体(メタクリル酸、メタクリル酸エステル等)、N−置換マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、置換基を有しても良いインデン等を挙げることができる。
高分子化合物としての化合物(B)は、これら他の繰り返し単位を含有してもしなくても良いが、含有する場合、これら他の繰り返し単位の高分子化合物としての化合物(B)中の含有量は、高分子化合物としての化合物(B)を構成する全繰り返し単位に対して、一般的に1〜30モル%、好ましくは1〜20モル%、より好ましくは2〜10モル%である。
高分子化合物としての化合物(B)は、公知のラジカル重合法やアニオン重合法やリビングラジカル重合法(イニファーター法等)により合成することができる。例えば、アニオン重合法では、ビニルモノマーを適当な有機溶媒に溶解し、金属化合物(ブチルリチウム等)を開始剤として、通常、冷却条件化で反応させて重合体を得ることができる。
高分子化合物としての化合物(B)としては、芳香族ケトン又は芳香族アルデヒド、及び1〜3個のフェノール性水酸基を含有する化合物の縮合反応により製造されたポリフェノール化合物(例えば、特開2008−145539)、カリックスアレーン誘導体(例えば特開2004−18421)、Noria誘導体(例えば特開2009−222920)、ポリフェノール誘導体(例えば特開2008−94782)も適用でき、高分子反応で修飾して合成しても良い。
また、高分子化合物としての化合物(B)は、ラジカル重合法やアニオン重合法で合成したポリマーに高分子反応で修飾して合成することが好ましい。
高分子化合物としての化合物(B)の重量平均分子量は、好ましくは1000〜200000であり、更に好ましくは2000〜50000であり、更により好ましくは2000〜15000である。
高分子化合物としての化合物(B)の分散度(分子量分布)(Mw/Mn)は、好ましくは2.0以下であり、感度及び解像性の向上の観点で好ましくは1.0〜1.80であり、1.0〜1.60がより好ましく、1.0〜1.20が最も好ましい。リビングアニオン重合等のリビング重合を用いることで、得られる高分子化合物の分散度(分子量分布)が均一となり、好ましい。高分子化合物としての化合物(B)の重量平均分子量及び分散度は、GPC測定によるポリスチレン換算値として定義される。
本発明の組成物に対する化合物(B)の添加量は組成物の全固形分に対して、好ましくは30〜95質量%、より好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜85質量%で用いられる。
化合物(B)の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006793088
Figure 0006793088
Figure 0006793088
Figure 0006793088

[3]架橋剤(C)
本発明の組成物は、架橋剤(C)(以下、「化合物(C)」又は「架橋剤」とも称する)を含有する。化合物(C)としては、酸架橋性基を有する化合物が好ましく、ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を分子内に2個以上含む化合物であることが好ましい。また、LER向上の観点からは、化合物(C)がメチロール基を含んでいることが好ましい。
また、上記で説明した化合物(B)と架橋剤(C)とが、同一成分であっても良い。
まず、化合物(C)が低分子化合物である場合について説明する(以下、化合物(C’)とする)。化合物(C’)として、好ましくは、ヒドロキシメチル化又はアルコキシメチル化フェノール化合物、アルコキシメチル化メラミン系化合物、アルコキシメチルグリコールウリル系化合物及びアルコキシメチル化ウレア系化合物が挙げられる。特に好ましい化合物(C’)としては、分子内にベンゼン環を3〜5個含み、更にヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、分子量が1200以下のフェノール誘導体やアルコキシメチルグリコールウリル誘導体が挙げられる。
アルコキシメチル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基が好ましい。
上記化合物(C’)の例のうち、ヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物とホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。また、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。
別の好ましい化合物(C’)の例として、更にアルコキシメチル化メラミン系化合物、アルコキシメチルグリコールウリル系化合物類及びアルコキシメチル化ウレア系化合物のようなN−ヒドロキシメチル基又はN−アルコキシメチル基を有する化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、1,3−ビスメトキシメチル−4,5−ビスメトキシエチレンウレア、ビスメトキシメチルウレア等が挙げられ、EP0,133,216A号、西独特許第3,634,671号、同第3,711,264号、EP0,212,482A号に開示されている。
化合物(C’)の具体例の中で特に好ましいものを以下に挙げる。
Figure 0006793088
式中、L〜Lは、各々独立に、水素原子、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
本発明において、化合物(C’)の含有量は、組成物の全固形分中、好ましくは3〜65質量%であり、より好ましくは5〜50質量%である。化合物(C’)の含有率を3〜65質量%の範囲とすることにより、残膜率及び解像力が低下することを防止するとともに、本発明の組成物の保存時の安定性を良好に保つことができる。
本発明において、化合物(C’)は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。良好なパターン形状の観点からは、2種以上組み合わせて用いることが好ましい。
例えば、上記のフェノール誘導体に加え、他の化合物(C’)、例えば上述のN−アルコキシメチル基を有する化合物を併用する場合、上記のフェノール誘導体と他の化合物(C’)との比率は、モル比で通常90/10〜20/80であり、好ましくは85/15〜40/60、より好ましくは80/20〜50/50である。
化合物(C)は、酸架橋性基を有する繰り返し単位を含む樹脂(以下、化合物(C”)とも称する)の態様であってもよい。このような態様の場合、繰り返し単位の分子ユニット内に架橋基が含まれるため、通常の樹脂+架橋剤の系に比べて、架橋反応性が高い。そのため、硬い膜を形成することができ、酸の拡散性やドライエッチング耐性を制御することができる。その結果、電子線や極紫外線等の活性光線又は放射線の露光部における酸の拡散性が非常に抑制されるため、微細なパターンでの解像力、パターン形状及びLERが優れる。また、下記一般式(1)で表される繰り返し単位のように、樹脂の反応点と架橋基の反応点が近接している場合、パターン形成の際の感度が向上した組成物となる。
化合物(C”)としては、例えば、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含む樹脂が挙げられる。一般式(1)で表される繰り返し単位は、置換基を有していてもよいメチロール基を少なくとも1つ含む構造である。
ここで、「メチロール基」とは、下記一般式(M)で表される基であり、本発明の一形態において、ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基であることが好ましい。
Figure 0006793088
式中、R、R及びZは、後述する一般式(1)において定義する通りである。
まず、一般式(1)について説明する。
Figure 0006793088
一般式(1)において、
は、水素原子、メチル基、又はハロゲン原子を表す。
及びRは、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Lは、2価の連結基もしくは単結合を表す。
Yは、メチロール基を除く置換基を表す。
Zは、水素原子又は置換基を表す。
mは、0〜4の整数を表す。
nは、1〜5の整数を表す。
m+nは5以下である。
mが2以上である場合、複数のYは互いに同一であっても異なっていてもよい。
nが2以上である場合、複数のR、R及びZは互いに同一であっても異なっていてもよい。
また、Y、R、R及びZの2つ以上が互いに結合して環構造を形成していてもよい。
、R、R、L及びYは、それぞれ置換基を有していてもよい。
また、mが2以上の時、複数のYが単結合又は連結基を介して互いに結合し、環構造を形成していてもよい。
また、一般式(1)で表される繰り返し単位は、好ましくは下記一般式(2)又は(3)で表される。
Figure 0006793088
一般式(2)及び(3)において、
、R、R、Y、Z、m及びnは、上記一般式(1)で定義した通りである。
Arは、芳香環を表す。
及びWは、2価の連結基又は単結合を表す。
また、一般式(1)で表される繰り返し単位は、さらに好ましくは、下記一般式(2’)又は(3’)で表される。
Figure 0006793088
上記一般式(2’)及び(3’)におけるR、Y、Z、m及びnは、上記一般式(1)における各基と同義である。上記一般式(2’)におけるArは、上記一般式(2)におけるArと同義である。
上記一般式(3’)において、Wは、2価の連結基である。
上記一般式(2’)及び(3’)において、fは0〜6の整数である。
上記一般式(2’)及び(3’)において、gは0又は1である。
また、一般式(2’)は、特に好ましくは、下記一般式(1−a)〜(1−c)のいずれかで表される。化合物(C”)は、下記一般式(1−a)〜(1−c)のいずれかで表される繰り返し単位又は上記一般式(3’)で表される繰り返し単位を含むことが特に好ましい。
Figure 0006793088
上記一般式(1−a)〜(1−c)におけるR、Y及びZは、上記一般式(1)における各基と同義である。
上記一般式(1−b)〜(1−c)において、
Y”は、水素原子又は1価の置換基を表す。ただし、Y”は、メチロール基であってもよい。
は、水素原子又は1価の置換基を表す。
fは1〜6の整数を表す。
mは0又は1であり、nは1〜3の整数を表す。
化合物(C”)における酸架橋性基を有する繰り返し単位の含有率は、化合物(C”)の全繰り返し単位に対して、3〜40モル%であることが好ましく、5〜30モル%であることがより好ましい。
化合物(C”)の含有量は、組成物の全固形分中、好ましくは5〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%である。
化合物(C”)は、酸架橋性基を有する繰り返し単位を2種以上含んでいてもよく、あるいは、2種以上の化合物(C”)を組み合わせて使用してもよい。また、化合物(C’)と化合物(C”)とを組み合わせて使用することもできる。
化合物(C”)に含まれる酸架橋性基を有する繰り返し単位の具体例としては、下記構造が挙げられる。
Figure 0006793088
Figure 0006793088
Figure 0006793088
Figure 0006793088
Figure 0006793088
Figure 0006793088
Figure 0006793088
Figure 0006793088
[4]活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(D)
本発明の組成物は、上記オニウム塩化合物(A)とは異なる、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「化合物(D)」、「酸発生剤」又は「光酸発生剤」ともいう)を含有することが好ましい。
酸発生剤の好ましい形態として、オニウム塩化合物を挙げることができる。そのようなオニウム塩化合物としては、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩などを挙げることができる。
また、酸発生剤の別の好ましい形態として、活性光線又は放射線の照射により、スルホン酸、イミド酸又はメチド酸を発生する化合物を挙げることができる。その形態における酸発生剤は、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、オキシムスルホネート、イミドスルホネートなどを挙げることができる。
本発明に用い得る酸発生剤としては、低分子化合物に限らず、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基を高分子化合物の主鎖又は側鎖に導入した化合物も用いることができる。
酸発生剤は、電子線又は極紫外線の照射により酸を発生する化合物であることが好ましい。
本発明において、好ましいオニウム塩化合物として、下記一般式(7)で表されるスルホニウム化合物、もしくは一般式(8)で表されるヨードニウム化合物を挙げることができる。
Figure 0006793088
一般式(7)及び一般式(8)において、
a1、Ra2、Ra3、Ra4及びRa5は、各々独立に、有機基を表す。
は、有機アニオンを表す。
以下、一般式(7)で表されるスルホニウム化合物及び一般式(8)で表されるヨードニウム化合物を更に詳述する。
一般式(7)中のRa1、Ra2及びRa3、並びに、一般式(8)中のRa4及びRa5は、上記の通り、各々独立に有機基を表し、好ましくは、Ra1、Ra2及びRa3の少なくとも1つ、並びに、Ra4及びRa5の少なくとも1つがそれぞれアリール基である。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
一般式(7)及び(8)におけるXの有機アニオンは、例えばスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンなどが挙げられ、好ましくは、下記一般式(9)、(10)又は(11)で表される有機アニオンであり、より好ましくは下記一般式(9)で表される有機アニオンである。
Figure 0006793088
一般式(9)、(10)及び(11)において、Rc1、Rc2、Rc3及びRc4は、各々独立に、有機基を表す。
上記Xの有機アニオンが、電子線や極紫外線などの活性光線又は放射線により発生する酸であるスルホン酸、イミド酸、メチド酸などに対応する。
上記Rc1、Rc2、Rc3及びRc4の有機基としては、例えば、アルキル基、アリール基又はこれらの複数が連結された基を挙げることができる。これら有機基のうち、より好ましくは1位がフッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子又はフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸性度が上がり、感度が向上する。ただし、末端基は置換基としてフッ素原子を含有しないことが好ましい。
活性光線又は放射線の照射により上記化合物(D)から発生する酸のpKaは、−10以上、2以下であることが好ましく、−5以上、1以下であることがより好ましく、−4以上、0以下であることが更に好ましい。
そして、本発明においては、化合物(D)は、露光した酸の非露光部への拡散を抑制し、解像性やパターン形状を良好にする観点から、体積130Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることが好ましく、体積190Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることがより好ましく、体積270Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることが更に好ましく、体積400Å以上の大きさの酸(より好ましくはスルホン酸)を発生する化合物であることが特に好ましい。但し、感度や塗布溶剤溶解性の観点から、上記体積は2000Å以下であることが好ましく、1500Å以下であることがより好ましい。
上記体積の値は、活性光線又は放射線の照射により上記一般式(1)で表されるオニウム塩化合物(A)から発生する酸の体積と同様に測定することができる。
以下に本発明において、特に好ましい酸発生剤を示す。なお、例の一部には、体積の計算値を付記している(単位Å)。なお、ここで求めた計算値は、アニオン部にプロトンが結合した酸の体積値である。
Figure 0006793088
Figure 0006793088
Figure 0006793088
Figure 0006793088
また、本発明に用いる酸発生剤(好ましくはオニウム化合物)としては、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基(光酸発生基)を高分子化合物の主鎖又は側鎖に導入した高分子型酸発生剤も用いることができる。
酸発生剤の組成物中の含有率は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.1〜25質量%であり、より好ましくは0.5〜20質量%であり、更に好ましくは1〜18質量%である。
酸発生剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物は、一態様において、電子線又は極紫外線露光用として好適に用いられる組成物である。
本発明に係る組成物が含み得るさらなる成分としては、[5]塩基性化合物、[6]界面活性剤、[7]有機カルボン酸、[8]カルボン酸オニウム塩、[9]酸増殖剤、及び[10]溶剤が挙げられる。本発明の組成物は、例えば「パターン形成方法」として後述する方法に従って、パターン形成用に使用され得る。
[5]塩基性化合物
本発明の組成物は、上記成分の他に、塩基性化合物を酸捕捉剤として含有することが好ましい。塩基性化合物を用いることにより、露光から後加熱までの経時による性能変化を小さくすることができる。このような塩基性化合物としては、有機塩基性化合物であることが好ましく、より具体的には、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシ基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体、等が挙げられる。アミンオキサイド化合物(特開2008−102383号公報に記載)、アンモニウム塩(好ましくはヒドロキシド又はカルボキシレートである。より具体的にはテトラブチルアンモニウムヒドロキシドに代表されるテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドがLERの観点で好ましい。)も適宜用いられる。
更に、酸の作用により塩基性が増大する化合物も、塩基性化合物の1種として用いることができる。
アミン類の具体例としては、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリイソデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ジデシルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、メチルジオクタデシルアミン、N,N−ジブチルアニリン、N,N−ジヘキシルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、2,4,6−トリ(t−ブチル)アニリン、トリエタノールアミン、N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、トリス(メトキシエトキシエチル)アミンや、米国特許第6040112号明細書のカラム3、60行目以降に例示の化合物、2−[2−{2―(2,2―ジメトキシ−フェノキシエトキシ)エチル}−ビス−(2−メトキシエチル)]−アミンや、米国特許出願公開第2007/0224539A1号明細書の段落[0066]に例示されている化合物(C1−1)〜(C3−3)などが挙げられる。含窒素複素環構造を有する化合物としては、2−フェニルベンゾイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、N−ヒドロキシエチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ジメチルアミノピリジン、アンチピリン、ヒドロキシアンチピリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−ウンデカ−7−エン、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
また、光塩基性発生剤(例えば、特開2010−243773号公報に記載の化合物)も適宜用いられる。
これら塩基性化合物の中でも解像性向上の観点からアンモニウム塩が好ましい。
本発明における塩基性化合物の含有率は、組成物の全固形分に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.03〜5質量%がより好ましく、0.05〜3質量%が特に好ましい。
[6]界面活性剤
本発明の組成物は、更に、塗布性を向上させるため界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのノニオン系界面活性剤、メガファックF171及びメガファックF176(DIC(株)製)やフロラードFC430(住友スリーエム製)やサーフィノールE1004(旭硝子製)、OMNOVA社製のPF656及びPF6320、等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマー、ポリシロキサンポリマーが挙げられる。
本発明の組成物が界面活性剤を含有する場合、その含有率は、組成物の全量(溶剤を除く)に対して、好ましくは0.0001〜2質量%であり、より好ましくは0.0005〜1質量%である。
[7]有機カルボン酸
本発明の組成物は、上記成分の他に、有機カルボン酸を含有することが好ましい。このような有機カルボン酸化合物として、脂肪族カルボン酸、脂環式カルボン酸、不飽和脂肪族カルボン酸、オキシカルボン酸、アルコキシカルボン酸、ケトカルボン酸、安息香酸誘導体、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸などを挙げることができるが、電子線露光を真空下で行う際には、レジスト膜表面より揮発して描画チャンバー内を汚染してしまう恐れがあるので、好ましい化合物としては、芳香族有機カルボン酸、その中でも例えば安息香酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸が好適である。
有機カルボン酸の配合率は、組成物の全固形分に対して、好ましくは0.5〜15質量%であり、より好ましくは2〜10質量%である。
本発明の組成物は、必要に応じて、更に、染料、可塑剤、酸増殖剤(国際公開第95/29968号公報、国際公開第98/24000号公報、特開平8−305262号公報、特開平9−34106号公報、特開平8−248561号公報、特表平8−503082号公報、米国特許第5,445,917号明細書、特表平8−503081号公報、米国特許第5,534,393号明細書、米国特許第5,395,736号明細書、米国特許第5,741,630号明細書、米国特許第5,334,489号明細書、米国特許第5,582,956号明細書、米国特許第5,578,424号明細書、米国特許第5,453,345号明細書、米国特許第5,445,917号明細書、欧州特許第665,960号明細書、欧州特許第757,628号明細書、欧州特許第665,961号明細書、米国特許第5,667,943号明細書、特開平10−1508号公報、特開平10−282642号公報、特開平9−512498号公報、特開2000−62337号公報、特開2005−17730号公報、特開2008−209889号公報等に記載)等を含有していてもよい。これらの化合物については、いずれも特開2008−268935号公報に記載のそれぞれの化合物を挙げることができる。
[8]カルボン酸オニウム塩
本発明の組成物は、カルボン酸オニウム塩を含有してもよい。カルボン酸オニウム塩としては、カルボン酸スルホニウム塩、カルボン酸ヨードニウム塩、カルボン酸アンモニウム塩などを挙げることができる。特に、カルボン酸オニウム塩としては、カルボン酸スルホニウム塩、カルボン酸ヨードニウム塩が好ましい。更に、本発明においては、カルボン酸オニウム塩のカルボキシレート残基が芳香族基、炭素−炭素2重結合を含有しないことが好ましい。特に好ましいアニオン部としては、炭素数1〜30の直鎖、分岐、単環または多環環状アルキルカルボン酸アニオンが好ましい。さらに好ましくはこれらのアルキル基の一部または全てがフッ素置換されたカルボン酸のアニオンが好ましい。アルキル鎖中に酸素原子を含んでいても良い。これにより220nm以下の光に対する透明性が確保され、感度、解像力が向上し、疎密依存性、露光マージンが改良される。
カルボン酸オニウム塩の配合率は、組成物の全固形分に対して、好ましくは1〜15質量%であり、より好ましくは2〜10質量%である。
[9]酸増殖剤
本発明の組成物は、更に、酸の作用により分解して酸を発生する化合物(以下、酸増殖剤とも表記する)を1種又は2種以上含んでいてもよい。酸増殖剤が発生する酸は、スルホン酸、メチド酸又はイミド酸であることが好ましい。酸増殖剤の含有量としては、組成物の全固形分を基準として、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜30質量%であることがより好ましく、1.0〜20質量%であることが更に好ましい。
酸増殖剤と酸発生剤との量比(組成物中の全固形分を基準にした酸増殖剤の固形分量/組成物中の全固形分を基準にした酸発生剤の固形分量)としては、特に制限されないが、0.01〜50が好ましく、0.1〜20がより好ましく、0.2〜1.0が特に好ましい。
以下に本発明に用いることができる酸増殖剤の例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006793088
[10]溶剤
本発明の組成物は溶剤を含有していてもよく、溶剤としては、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME、別名1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、別名1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、トルエン、キシレン、酢酸シクロヘキシル、ジアセトンアルコール、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどが好ましい。これらの溶剤は単独もしくは組み合わせて用いられる。
本発明の組成物の固形分は、上記溶剤に溶解し、固形分濃度として、1〜40質量%溶解することが好ましい。より好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは3〜20質量%である。
<レジスト膜およびマスクブランクス>
本発明は、本発明の組成物により形成されたレジスト膜にも関し、このような膜は、例えば、本発明の組成物が基板等の支持体上に塗布されることにより形成される。この膜の厚みは、0.02〜0.1μmが好ましい。基板上に塗布する方法としては、スピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により基板上に塗布されるが、スピン塗布が好ましく、その回転数は1000〜3000rpmが好ましい。塗布膜は60〜150℃で1〜20分間、好ましくは80〜120℃で1〜10分間プリベークして薄膜を形成する。
被加工基板及びその最表層を構成する材料は、例えば、半導体用ウエハの場合、シリコンウエハを用いることができ、最表層となる材料の例としては、Si、SiO、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等が挙げられる。
また、本発明は、上記のようにして得られるレジスト膜を備えたマスクブランクスにも関する。このようなレジスト膜を具備するマスクブランクスを得るために、フォトマスク作製用のフォトマスクブランクス上にパターンを形成する場合、使用される透明基板としては、石英、フッ化カルシウム等の透明基板を挙げることができる。一般には、該基板上に、遮光膜、反射防止膜、更に位相シフト膜、追加的にはエッチングストッパー膜、エッチングマスク膜といった機能性膜の必要なものを積層する。機能性膜の材料としては、ケイ素、又はクロム、モリブデン、ジルコニウム、タンタル、タングステン、チタン、ニオブ等の遷移金属を含有する膜が積層される。また、最表層に用いられる材料としては、ケイ素又はケイ素に酸素及び/又は窒素を含有する材料を主構成材料とするもの、更にそれらに遷移金属を含有する材料を主構成材料とするケイ素化合物材料や、遷移金属、特にクロム、モリブデン、ジルコニウム、タンタル、タングステン、チタン、ニオブ等より選ばれる1種以上、又は更にそれらに酸素、窒素、炭素より選ばれる元素を1以上含む材料を主構成材料とする遷移金属化合物材料が例示される。
遮光膜は単層でもよいが、複数の材料を塗り重ねた複層構造であることがより好ましい。複層構造の場合、1層当たりの膜の厚みは、特に限定されないが、5〜100nmであることが好ましく、10〜80nmであることがより好ましい。遮光膜全体の厚みとしては、特に制限されるものではないが、5〜200nmであることが好ましく、10〜150nmであることがより好ましい。
これらの材料のうち、一般にクロムに酸素や窒素を含有する材料を最表層に具備するフォトマスクブランク上で、組成物を用いてパターン形成を行った場合、基板付近でくびれ形状が形成される、いわゆるアンダーカット形状となりやすいが、本発明を用いた場合、従来のものに比べてアンダーカット問題を改善することができる。
次に、レジスト膜に活性光線又は放射線(電子線等)を照射し(以下、「露光」とも称する)、好ましくはベーク(通常80〜150℃、より好ましくは90〜130℃)を行った後、現像する。これにより良好なパターンを得ることができる。そしてこのパターンをマスクとして用いて、適宜エッチング処理及びイオン注入などを行い、半導体微細回路及びインプリント用モールド構造体等を作成する。
なお、本発明の組成物を用いて、インプリント用モールドを作製する場合のプロセスについては、例えば、特許第4109085号公報、特開2008−162101号公報、及び、「ナノインプリントの基礎と技術開発・応用展開―ナノインプリントの基板技術と最新の技術展開―編集:平井義彦(フロンティア出版)」に記載されている。
<パターン形成方法>
本発明の組成物は、以下に示すネガ型パターンの形成プロセスに好適に用いることができる。すなわち、本発明の組成物を基板上に塗布してレジスト膜を形成することと、レジスト膜に活性光線又は放射線を照射(すなわち露光)することと、露光した膜を現像液を用いて現像することによりネガ型パターンを得ることとを含むプロセスに好ましく用いることができる。このようなプロセスとしては、例えば、特開2008−292975号公報、特開2010−217884号公報などに記載されているプロセスを用いることができる。
本発明は、上記レジスト膜、または、該膜を備えたマスクブランクスを露光すること、及び、該露光されたレジスト膜、または、露光された該膜を具備するマスクブランクスを現像することを含む、パターン形成方法にも関する。本発明において、上記露光が電子線又は極紫外線を用いて行われることが好ましい。
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上への露光(パターン形成工程)は、まず、本発明のレジスト膜にパターン状に電子線又は極紫外線(EUV)照射を行うことが好ましい。露光量は、電子線の場合、0.1〜20μC/cm程度、好ましくは3〜10μC/cm程度、極紫外線の場合、0.1〜20mJ/cm程度、好ましくは3〜15mJ/cm程度となるように露光する。次いで、ホットプレート上で、60〜150℃で1〜20分間、好ましくは80〜120℃で1〜10分間、露光後加熱(ポストエクスポージャーベーク)を行い、次いで、現像、リンス、乾燥することによりパターンを形成する。
現像液は適宜選択されるが、アルカリ現像液(代表的にはアルカリ水溶液)又は有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液ともいう)を用いることが好ましい。現像液がアルカリ水溶液である場合には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)等の、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%アルカリ水溶液で、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像する。アルカリ現像液には、アルコール類及び/又は界面活性剤を、適当量添加してもよい。こうして、未露光部分の膜は溶解し、露光された部分は現像液に溶解し難く、基板上に目的のパターンが形成される。
本発明のレジストパターン形成方法が、アルカリ現像液を用いて現像する工程を有する場合、アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドドキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリアミルアンモニウムヒドロキシド、ジブチルジペンチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類等のアルカリ性水溶液を使用することができる。
更に、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。
アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。
特に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38質量%の水溶液が望ましい。
アルカリ現像の後に行うリンス処理におけるリンス液としては、純水を使用し、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
また、現像処理又はリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行うことができる。
本発明のレジストパターン形成方法が、有機溶剤を含有する現像液を用いて現像する工程を有する場合、該工程における当該現像液(以下、有機系現像液とも言う)としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
本発明において、エステル系溶剤とは分子内にエステル基を有する溶剤のことであり、ケトン系溶剤とは分子内にケトン基を有する溶剤のことであり、アルコール系溶剤とは分子内にアルコール性水酸基を有する溶剤のことであり、アミド系溶剤とは分子内にアミド基を有する溶剤のことであり、エーテル系溶剤とは分子内にエーテル結合を有する溶剤のことである。これらの中には、1分子内に上記官能基を複数種有する溶剤も存在するが、その場合は、その溶剤の有する官能基を含むいずれの溶剤種にも該当するものとする。例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中の、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤いずれにも該当するものとする。また、炭化水素系溶剤とは置換基を有さない炭化水素溶剤のことである。
特に、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を含有する現像液であることが好ましい。
現像液は、レジスト膜の膨潤を抑制できるという点から、炭素原子数が7以上(7〜14が好ましく、7〜12がより好ましく、7〜10がさらに好ましい)、かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤を用いることが好ましい。
上記エステル系溶剤のヘテロ原子は、炭素原子および水素原子以外の原子であって、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。ヘテロ原子数は、2以下が好ましい。
炭素原子数が7以上かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤の好ましい例としては、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸2−メチルブチル、酢酸1-メチルブチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸ヘキシル、プロピオン酸ヘプチル、ブタン酸ブチルなどが挙げられ、酢酸イソアミルを用いることが特に好ましい。
現像液は、上述した炭素原子数が7以上かつヘテロ原子数が2以下のエステル系溶剤に代えて、上記エステル系溶剤および上記炭化水素系溶剤の混合溶剤、又は、上記ケトン系溶剤および上記炭化水素溶剤の混合溶剤を用いてもよい。この場合においても、レジスト膜の膨潤の抑制に効果的である。
エステル系溶剤と炭化水素系溶剤とを組み合わせて用いる場合には、エステル系溶剤として酢酸イソアミルを用いることが好ましい。また、炭化水素系溶剤としては、レジスト膜の溶解性を調製するという観点から、飽和炭化水素溶剤(例えば、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、ウンデカン、ヘキサデカンなど)を用いることが好ましい。
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ペンチル、酢酸イソアミル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、酪酸ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル等を挙げることができる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、4−メチル−2−ペンタノール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコールや、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤等を挙げることができる。
エーテル系溶剤としては、例えば、上記グリコールエーテル系溶剤の他、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が使用できる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ウンデカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
上記の溶剤は、複数混合してもよいし、上記以外の溶剤や水と混合し使用してもよい。但し、本発明の効果を十二分に奏するためには、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、実質的に水分を含有しないことがより好ましい。
すなわち、有機系現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが好ましい。
特に、有機系現像液は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有する現像液であるのが好ましい。
有機系現像液の蒸気圧は、20℃に於いて、5kPa以下が好ましく、3kPa以下が更に好ましく、2kPa以下が特に好ましい。有機系現像液の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、現像液の基板上あるいは現像カップ内での蒸発が抑制され、ウェハ面内の温度均一性が向上し、結果としてウェハ面内の寸法均一性が良化する。
5kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン(メチルアミルケトン)、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソアミル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
特に好ましい範囲である2kPa以下の蒸気圧を有する具体的な例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル等のエステル系溶剤、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−デカノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール系溶剤や、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、オクタン、デカン、ウンデカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
有機系現像液は、塩基性化合物を含んでいてもよい。本発明で用いられる現像液が含みうる塩基性化合物の具体例及び好ましい例としては、前述した、感活性光線性又は感放射線性組成物が含みうる塩基性化合物におけるものと同様である。
有機系現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。
界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、イオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができ、好ましくは、非イオン性の界面活性剤である。非イオン性の界面活性剤としては特に限定されないが、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を用いることが更に好ましい。
界面活性剤の使用量は現像液の全量に対して、好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0.0001〜2質量%、特に好ましくは0.0005〜1質量%である。
現像方法としては、たとえば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)などを適用することができる。
上記各種の現像方法が、現像装置の現像ノズルから現像液をレジスト膜に向けて吐出する工程を含む場合、吐出される現像液の吐出圧(吐出される現像液の単位面積あたりの流速)は好ましくは2mL/sec/mm以下、より好ましくは1.5mL/sec/mm以下、更に好ましくは1mL/sec/mm以下である。流速の下限は特に無いが、スループットを考慮すると0.2mL/sec/mm以上が好ましい。
吐出される現像液の吐出圧を上記の範囲とすることにより、現像後のレジスト残渣に由来するパターンの欠陥を著しく低減することができる。
このメカニズムの詳細は定かではないが、恐らくは、吐出圧を上記範囲とすることで、現像液がレジスト膜に与える圧力が小さくなり、レジスト膜・レジストパターンが不用意に削られたり崩れたりすることが抑制されるためと考えられる。
なお、現像液の吐出圧(mL/sec/mm)は、現像装置中の現像ノズル出口における値である。
現像液の吐出圧を調整する方法としては、例えば、ポンプなどで吐出圧を調整する方法や、加圧タンクからの供給で圧力を調整することで変える方法などを挙げることができる。
また、有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後には、リンス液を用いて洗浄する工程を含んでいてもよいが、スループット(生産性)、リンス液使用量等の観点から、リンス液を用いて洗浄する工程を含まなくてもよい。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後のリンス工程に用いるリンス液としては、レジストパターンを溶解しなければ特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含む溶液を使用することができる。上記リンス液としては、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤の具体例としては、有機溶剤を含む現像液において説明したものと同様のものを挙げることができる。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に、より好ましくは、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、炭化水素系溶剤からなる群より選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行い、更に好ましくは、アルコール系溶剤又は炭化水素系溶剤を含有するリンス液を用いて洗浄する工程を行うことが好ましい。
リンス液に含まれる有機溶剤としては、有機溶剤の中でも炭化水素系溶剤を用いることも好ましく、脂肪族炭化水素系溶剤を用いることがより好ましい。リンス液に用いられる脂肪族炭化水素系溶剤としては、その効果がより向上するという観点から、炭素数5以上の脂肪族炭化水素系溶剤(例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ヘキサデカン等)が好ましく、炭素原子数が8以上の脂肪族炭化水素系溶剤が好ましく、炭素原子数が10以上の脂肪族炭化水素系溶剤がより好ましい。
なお、上記脂肪族炭化水素系溶剤の炭素原子数の上限値は特に限定されないが、例えば、16以下が挙げられ、14以下が好ましく、12以下がより好ましい。
上記脂肪側炭化水素系溶剤の中でも、特に好ましくは、デカン、ウンデカン、ドデカンであり、最も好ましくはウンデカンである。
このようにリンス液に含まれる有機溶剤として炭化水素系溶剤(特に脂肪族炭化水素系溶剤)を用いることで、現像後にわずかにレジスト膜に染み込んでいた現像液が洗い流されて、膨潤がより抑制され、パターン倒れが抑制されるという効果が一層発揮される。
上記各成分は、複数混合してもよいし、上記以外の有機溶剤と混合し使用してもよい。
リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下である。含水率を10質量%以下にすることで、良好な現像特性を得ることができる。
有機溶剤を含む現像液を用いて現像する工程の後に用いるリンス液の蒸気圧は、20℃に於いて0.05kPa以上、5kPa以下が好ましく、0.1kPa以上、5kPa以下が更に好ましく、0.12kPa以上、3kPa以下が最も好ましい。リンス液の蒸気圧を0.05kPa以上、5kPa以下にすることにより、ウェハ面内の温度均一性が向上し、更にはリンス液の浸透に起因した膨潤が抑制され、ウェハ面内の寸法均一性が良化する。
リンス液には、界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。
リンス工程においては、有機溶剤を含む現像液を用いる現像を行ったウェハを上記の有機溶剤を含むリンス液を用いて洗浄処理する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、たとえば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)、などを適用することができ、この中でも回転塗布方法で洗浄処理を行い、洗浄後に基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。また、リンス工程の後に加熱工程(PostBake)を含むことも好ましい。ベークによりパターン間及びパターン内部に残留した現像液及びリンス液が除去される。リンス工程の後の加熱工程は、通常40〜160℃、好ましくは70〜95℃で、通常10秒〜3分、好ましくは30秒から90秒間行う。
本発明の組成物は、レジスト組成物が好ましく、典型的には、ネガ型パターンの形成に用いられるネガ型レジスト組成物であるため、未露光部分の膜は溶解し、露光された部分は化合物の架橋により現像液に溶解し難い。これを利用して、基板上に目的のパターンを形成することができる。
また、本発明は、上記した本発明のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法にも関する。
本発明の電子デバイスは、電気電子機器(家電、OA・メディア関連機器、光学用機器及び通信機器等)に、好適に、搭載されるものである。
<合成例1;化合物(A−1)の合成>
GEヘルスケアバイオサイエンス社製のイオン交換樹脂(QAE Sephadex A−25)20gを超純水にて一昼夜膨潤させた後、カラム管に充填した。イオン交換樹脂を充填したカラム管に、下記式(X−1)で表されるベンゼンスルフィン酸ナトリウム塩28gをメタノールに溶解した溶液を流し込み、スルフィンアニオンをイオン交換樹脂に担持した。十分量のメタノールにてフラッシュバックした後、トリフェニルスルホニウムクロライド5.2gをメタノールに溶解した溶液をカラム管に流し込み、アニオン交換反応を行った。得られた溶液をエバポレーターにて溶剤留去した後、室温で一昼夜乾燥して、式(A−1)で表される化合物(以下、「化合物(A−1)」ともいう)を得た(収量7.0g)。
化合物(A−1)の合成と同様にして、表1に示す化合物(A−2)から(A−9)を合成した。表1には、比較例として使用した比較化合物(R1)〜(R4)の構造も示す。
Figure 0006793088
Figure 0006793088
Figure 0006793088
<実施例1E〜19E及び比較例1E〜4E:電子線露光;ネガ型;アルカリ現像>
(1)支持体の準備
酸化Cr蒸着した6インチウェハー(通常のフォトマスクブランクスに使用する遮蔽膜処理を施した物)を準備した。
(2)レジスト塗布液の準備
(化学増幅系ネガ型レジスト組成物N1の塗布液組成)
化合物(A−1)(構造式は上記) 0.04g
光酸発生剤(z61)(構造式は下記) 0.47g
化合物(P2)(構造式は下記) 4.68g
架橋剤CL−1(構造式は下記) 0.59g
架橋剤CL−4(構造式は下記) 0.30g
2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸(有機カルボン酸) 0.11g
界面活性剤PF6320(OMNOVA(株)製) 0.005g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤S2) 75.0g
プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤S1) 18.8g
Figure 0006793088
上記組成物溶液を0.04μmの孔径を有するポリテトラフルオロエチレンフィルターで精密ろ過して、レジスト塗布溶液を得た。
レジスト液処方として下記表2に記載の成分を用いたことを除き、化学増幅系ネガ型レジスト組成物N1と同様にして化学増幅系ネガ型レジスト組成物N2〜N19、化学増幅系ネガ型レジスト比較組成物N1〜N4を調製した。
Figure 0006793088
Figure 0006793088
Figure 0006793088
上記実施例/比較例で用いた前掲以外の成分の略称を以下に記載する。
〔フェノール性水酸基を含む化合物(化合物(B))〕
Figure 0006793088

〔光酸発生剤(化合物(D))〕
Figure 0006793088
〔架橋剤(化合物(C))〕
Figure 0006793088
Figure 0006793088
〔有機カルボン酸〕
D1:2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸
D2:2−ナフトエ酸
D3:安息香酸
〔界面活性剤〕
W−1:PF6320(OMNOVA(株)製)
W−2:メガファックF176(DIC(株)製;フッ素系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製;シリコン系)
〔溶剤〕
S1:プロピレングリコールモノメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)
S2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(1−メトキシ−2−アセトキシプロパン)
S3:2−ヘプタノン
S4:プロピレンカーボネート
(3)レジスト膜の作成
上記6インチウェハー上に東京エレクトロン製スピンコーターMark8を用いてレジスト塗布溶液を塗布し、110℃、90秒間ホットプレート上で乾燥して、膜厚50nmのレジスト膜を得た。すなわち、レジスト塗布マスクブランクスを得た。
(4)ネガ型レジストパターンの作製
このレジスト膜に電子線描画装置((株)エリオニクス社製;ELS−7500、加速電圧50KeV)を用いて、パターン照射を行った。照射後に、110℃、90秒間ホットプレート上で加熱し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、水でリンスして乾燥した。
(5)レジストパタ−ンの評価
得られたパターンを下記の方法で、感度、孤立スペースパターン解像力について評価した。
〔感度〕
得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察した。線幅50nmの1:1ラインアンドスペースのレジストパターンを解像するときの露光量を感度とした。この値が小さいほど、感度が高い。
〔孤立スペースパターン解像力〕
上記感度における孤立スペースパターン(ライン:スペース=100:1)の限界解像力(ラインとスペースが分離解像する最小のスペース幅)を求めた。そして、この値を「孤立スペースパターン解像力(nm)」とした。この値が小さいほど性能が良好であることを示す。
評価結果を表3に示す。
Figure 0006793088
表3に示す結果から、本発明に係る組成物は、電子線露光において、感度、及び孤立スペースパターン解像力に優れることが分かる。
<実施例1F〜6F及び比較例1F〜4F:EUV露光;ネガ型;アルカリ現像>
下記表4に示すネガ型レジスト組成物を0.04μmの孔径を有するポリテトラフルオロエチレンフィルターで精密ろ過して、レジスト塗布溶液を得た。
(レジスト膜の作成)
上記6インチウェハー上に東京エレクトロン製スピンコーターMark8を用いてレジスト塗布溶液を塗布し、110℃、90秒間ホットプレート上で乾燥して、膜厚50nmのレジスト膜を得た。すなわち、レジスト塗布マスクブランクスを得た。
(レジスト評価)
得られたレジスト膜に関し、下記の方法で、感度、孤立スペースパターン解像力について評価した。
得られたレジスト膜に、EUV光(波長13nm)を用いて、線幅50nmの1:1ラインアンドスペースパターンの反射型マスクを介して、露光を行った後、110℃で90秒間ベークした。その後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて現像した。
〔感度〕
得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−4300)を用いて観察した。線幅50nmの1:1ラインアンドスペースのレジストパターンを解像するときの露光量を感度とした。この値が小さいほど、感度が高い。
孤立スペースパターン解像力(EUV)
線幅50nmの1:1ラインアンドスペースパターンを解像する時の照射エネルギーを感度(Eop)とした。
上記の感度を示す照射量における孤立スペースパターン(ライン:スペース=5:1)の限界解像力(ラインとスペースが分離解像する最小のスペース幅)を求めた。そして、この値を「孤立スペースパターン解像力(nm)」とした。
評価結果を表4に示す。
Figure 0006793088
表4に示す結果から、本発明に係る組成物は、EUV露光において、感度、孤立スペースパターン解像力に優れることが分かる。
<実施例1C〜6C、並びに、比較例1C〜4C:EB露光;ネガ型;有機溶剤現像>
(1)レジスト組成物の調製及びレジスト膜の作製
後掲の表5に示した組成物を0.1μm孔径のメンブレンフィルターで精密ろ過して、レジスト組成物を得た。
このレジスト組成物を、予めヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した6インチSiウェハ上に東京エレクトロン製スピンコーターMark8を用いて塗布し、100℃、60秒間ホットプレート上で乾燥して、膜厚50nmのレジスト膜を得た。
(2)EB露光及び現像
上記(1)で得られたレジスト膜が塗布されたウェハを、電子線描画装置((株)日立製作所製HL750、加速電圧50KeV)を用いて、パターン照射を行った。この際、1:1のラインアンドスペースが形成されるように描画を行った。電子線描画後、ホットプレート上で、110℃で60秒間加熱した後、表5に記載の有機系現像液をパドルして30秒間現像し、同表に記載のリンス液を用いてリンスをした後、4000rpmの回転数で30秒間ウェハを回転させた後、90℃で60秒間加熱を行うことにより、線幅50nmの1:1ラインアンドスペースパターンのレジストパターンを得た。
得られたレジスト膜に関し、実施例1E〜19E及び比較例1E〜4Eと同様の方法で、感度、孤立スペースパターン解像力の評価を行った。その結果を以下に示す。
Figure 0006793088
上記実施例/比較例で用いた前掲以外の成分の略称を以下に記載する。
〔現像液・リンス液〕
S8:酢酸ブチル
S9:酢酸ペンチル
S10:アニソール
S11:1−ヘキサノール
S12:デカン
表5に示す結果から、本発明に係る組成物は、EB露光において、感度及び孤立スペースパターン解像力に優れることが分かる。

Claims (13)

  1. 下記一般式(1)で表されるオニウム塩化合物(A)、架橋剤(C)、及び前記オニウム塩化合物(A)とは異なる光酸発生剤(D)を含有する感活性光線性又は感放射線性組成物であって、
    前記架橋剤(C)が酸架橋性基としてフェノール性水酸基、又はアルコキシメチル基を有する、感活性光線性又は感放射線性組成物
    Figure 0006793088

    前記一般式(1)中、
    Mはオニウムカチオンを表し、Xは有機基を表す。
  2. 更に、フェノール性水酸基を含む化合物(B)を含有する、請求項1に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
  3. 前記一般式(1)中のXが脂環構造を有する基である、請求項1又は2に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
  4. 前記一般式(1)中のXが多環脂環構造を有する基である、請求項1〜のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
  5. 活性光線又は放射線の照射により前記オニウム塩化合物(A)から発生する酸の体積が210Å以上の大きさである、請求項1〜のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
  6. 前記オニウム塩化合物(A)が、下記一般式(2)で表されるオニウム塩化合物である、請求項1〜のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
    Figure 0006793088

    前記一般式(2)中、
    Mはオニウムカチオンを表し、Yは、水素原子又は有機基を表す。
  7. 前記一般式(2)中、Yが多環脂環構造を有する基である、請求項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
  8. 前記フェノール性水酸基を含む化合物(B)が酸分解性基を有さない、請求項2〜のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の感活性光線性又は感放射線性組成物により形成されたレジスト膜。
  10. 請求項に記載のレジスト膜を備えたマスクブランクス。
  11. 請求項に記載のレジスト膜に活性光線又は放射線を照射することと、前記活性光線又は放射線を照射した膜を現像することとを含む、パターン形成方法。
  12. 請求項11に記載のパターン形成方法を含む、電子デバイスの製造方法。
  13. 請求項に記載のレジスト膜を備えたマスクブランクスに活性光線又は放射線を照射することと、前記活性光線又は放射線を照射したマスクブランクスを現像することとを含む、レジストパターン形成方法。
JP2017090812A 2017-04-28 2017-04-28 感活性光線性又は感放射線性組成物、レジスト膜、マスクブランクス、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法 Active JP6793088B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017090812A JP6793088B2 (ja) 2017-04-28 2017-04-28 感活性光線性又は感放射線性組成物、レジスト膜、マスクブランクス、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017090812A JP6793088B2 (ja) 2017-04-28 2017-04-28 感活性光線性又は感放射線性組成物、レジスト膜、マスクブランクス、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018189758A JP2018189758A (ja) 2018-11-29
JP6793088B2 true JP6793088B2 (ja) 2020-12-02

Family

ID=64480018

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017090812A Active JP6793088B2 (ja) 2017-04-28 2017-04-28 感活性光線性又は感放射線性組成物、レジスト膜、マスクブランクス、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6793088B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20230063073A1 (en) * 2021-08-27 2023-03-02 Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd. Method of manufacturing a semiconductor device
WO2023054004A1 (ja) 2021-09-29 2023-04-06 富士フイルム株式会社 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、レジストパターンの製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0934110A (ja) * 1995-07-17 1997-02-07 Konica Corp 光重合性組成物、ラジカル発生方法、平版印刷版作成用感光材料及びそれを用いた平版印刷版の作成方法
JP2002341519A (ja) * 2001-05-17 2002-11-27 Fuji Photo Film Co Ltd 感熱性組成物及びそれを用いた平版印刷版原版
US7026367B2 (en) * 2003-09-26 2006-04-11 3M Innovative Properties Company Photoiniators having triarylsulfonium and arylsulfinate ions

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018189758A (ja) 2018-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5514759B2 (ja) レジストパターン形成方法、レジストパターン、有機溶剤現像用の架橋性ネガ型化学増幅型レジスト組成物、レジスト膜、及びレジスト塗布マスクブランクス
JP5957499B2 (ja) 高分子化合物
JP5656413B2 (ja) ネガ型レジストパターン形成方法、それに用いられる現像液及びネガ型化学増幅型レジスト組成物、並びにレジストパターン
WO2014109337A1 (ja) ネガ型レジスト組成物、それを用いたレジスト膜及びパターン形成方法、並びにレジスト膜を備えたマスクブランクス
WO2013176063A1 (en) Chemical amplification resist composition, resist film using the same, resist-coated mask blank, method of forming photomask and pattern, and method of manufacturing electronic device and electronic device
JP5358369B2 (ja) レジストパターン形成方法及びそれに用いられる現像液
TWI644959B (zh) 樹脂組成物、使用該組成物的抗蝕膜、抗蝕劑塗佈空白罩幕、抗蝕圖案形成方法以及光罩
JP5802700B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、それを用いたレジスト膜、パターン形成方法、及び半導体デバイスの製造方法
JP6286227B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、感活性光線性又は感放射線性膜を備えたマスクブランクス、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法
JP5597616B2 (ja) ネガ型化学増幅レジスト組成物、並びに、それを用いたレジスト膜、レジスト塗布マスクブランクス、レジストパターン形成方法、及び、フォトマスク
JP6402245B2 (ja) ネガ型感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、ネガ型感活性光線性又は感放射線性膜、パターン形成方法、及び、電子デバイスの製造方法
JP5453358B2 (ja) 化学増幅型レジスト組成物、並びに、それを用いたレジスト膜、レジスト塗布マスクブランクス、レジストパターン形成方法、及び、フォトマスク
JP5358630B2 (ja) レジストパターン形成方法、ナノインプリント用モールドの製造方法、及びフォトマスクの製造方法
JP6793088B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性組成物、レジスト膜、マスクブランクス、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法
TWI693476B (zh) 組成物、膜、空白遮罩、抗蝕劑圖案形成方法以及電子元件的製造方法
JP6225044B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、レジスト膜、レジスト塗布マスクブランクス、レジストパターン形成方法、及び、フォトマスク
JP6461187B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、感活性光線性又は感放射線性膜を備えたマスクブランクス、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法
JP6482611B2 (ja) 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、感活性光線性又は感放射線性膜、感活性光線性又は感放射線性膜を備えたマスクブランクス、パターン形成方法、及び電子デバイスの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190806

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200630

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200728

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200923

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201020

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201109

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6793088

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250