JP6792402B2 - 高圧水素製造システム - Google Patents

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本発明は、高圧水素を製造して燃料電池自動車等の供給先に供給する高圧水素製造システムに関する。
近年、燃料電池を搭載した自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle、以下、「燃料電池自動車」と称する。)が開発されている。燃料電池自動車に水素を供給する水素ステーションは、水素製造装置(例えば、特許文献1)と、水素製造装置によって製造された水素を昇圧する圧縮機と、昇圧された水素を貯留する蓄圧器とを含んで構成され、蓄圧器に貯留された水素が燃料電池自動車に供給されることとなる。
特開2011−132103号公報
上記水素ステーションでは、時間帯、月日、天候等によって、水素の消費量(燃料電池自動車に供給される水素量、つまり、燃料電池自動車が訪れる数)が変動する。したがって、例えば、水素の供給を所望する燃料電池自動車の数の平均値に基づいて、圧縮機や蓄圧器の数を決定して水素ステーションを建設すると、平均値を上回る数の燃料電池自動車が水素の供給を所望する場合には、上回った分の燃料電池自動車には水素を供給できなくなってしまう。一方、例えば、水素の供給を所望する燃料電池自動車の数の最大値に基づいて、圧縮機の数や蓄圧器の数を決定して水素ステーションを建設すると、圧縮機や蓄圧器が膨大となってしまい、建設費が増大してしまうという問題がある。
本発明は、水素ステーションの建設費を増大させずに、燃料電池自動車に供給する水素量を増加させることが可能な高圧水素製造システムを提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る高圧水素製造システムは、水素を出力する水素製造装置と、前記水素製造装置に接続され、第1の開閉バルブが設けられた第1配管と、前記第1配管に吸入側が接続された圧縮機と、前記圧縮機の吐出側に接続され、第2の開閉バルブが設けられた第2配管と、前記第2配管に接続された可変圧蓄圧器と、前記可変圧蓄圧器と前記圧縮機の吸入側とを接続し、第3の開閉バルブが設けられた第3配管と、前記可変圧蓄圧器と前記圧縮機の吸入側とを接続し、該可変圧蓄圧器から送出された水素を減圧する第1の減圧弁と、第4の開閉バルブとが設けられた第4配管と、前記第3配管における前記第3の開閉バルブと前記圧縮機との間に設けられた第2の減圧弁と、前記圧縮機の吐出側に接続され、第5の開閉バルブが設けられた第5配管と、前記第5配管に接続された高圧蓄圧器と、を備える。
また、前記圧縮機は、吸入圧力が可変であるとしてもよい。
水素ステーションの建設費を増大させずに、燃料電池自動車に供給する水素量を増加させることが可能となる。
水素ステーションを説明するための図である。 高圧水素製造システムを説明するための図である。 通常時における制御部による制御について説明する図である。 ピーク時における制御部による制御について説明する図である。 変形例にかかる高圧水素製造システムを説明するための図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(水素ステーション100)
図1は、水素ステーション100を説明するための図である。図1に示すように、水素ステーション100は、高圧水素製造システム110と、プレクーラー120と、ディスペンサー130とを含んで構成される。なお、図1中、水素の流れを実線の矢印で示す。なお、以下では、圧力をゲージ圧(絶対圧−大気圧)として示す。
図1に示すように、高圧水素製造システム110は、水素を製造し、製造した水素を、例えば、82MPaに昇圧して貯留する。高圧水素製造システム110に貯留された水素は、プレクーラー120によって冷却され(例えば、−40℃)、ディスペンサー130の充填制御弁を介して、燃料電池自動車140に設けられた水素タンクに供給(差圧充填)される。ここで、高圧水素製造システム110から燃料電池自動車140の水素タンクへ水素が供給される際に断熱圧縮によって水素が加熱されるため、水素の温度が水素タンクの耐熱温度に達しないように、プレクーラー120が設けられている。以下、高圧水素製造システム110の具体的な構成について説明する。
(高圧水素製造システム110)
図2は、高圧水素製造システム110を説明するための図である。図2に示すように、高圧水素製造システム110は、水素製造装置210を備えている。水素製造装置210は、例えば、都市ガス、液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)等の化石燃料から純度の高い水素を製造する。また、水素製造装置210を、水電解装置で構成することもできる。
水素製造装置210は、第1配管212を介して圧縮機220の吸入側(入口)に接続されている。第1配管212には、第1配管212を開閉するバルブV1(第1の開閉バルブ)が設けられている。また、第1配管212における水素製造装置210とバルブV1との間(バルブV1の上流側)には、サクションタンク230が設けられている。サクションタンク230は、クッションタンクとして機能し、水素製造装置210から出力された水素の圧力変動、および、後述する減圧弁RV1(第1の減圧弁)によって減圧された水素の圧力変動を吸収する。
圧縮機220は、水素製造装置210から出力された水素(例えば、0.6MPa)を圧縮して、例えば、82MPaに昇圧する。本実施形態において、圧縮機220は、吸入圧力が可変であっても圧縮できるように設計・製作された圧縮機(例えば、一部のダイヤフラムコンプレッサー)で構成され、水素を昇圧する。つまり、圧縮機220は、吸入圧力(吸い込み圧力)を可変とすることができる圧縮機である。具体的に説明すると、圧縮機220は、吸入圧力に幅があっても水素を昇圧することができる圧縮機であり、吸入圧力の範囲が、例えば、0.6MPa(最小吸入圧力)から40MPa(最大吸入圧力)であっても、水素を昇圧することができる。つまり、圧縮機220は、耐圧、耐流量設計することで、吐出圧力(例えば、82MPa)と実質的に等しい吸入圧力まで水素を吸入することができる。
圧縮機220の吐出側(出口)は、第2配管222を介して可変圧蓄圧器240に接続されている。第2配管222には、第2配管222を開閉するバルブV2(第2の開閉バルブ)が設けられている。
可変圧蓄圧器240は、水素製造装置210から出力され、圧縮機220によって昇圧された水素(例えば、82MPa)を貯留する。なお、本実施形態において、可変圧蓄圧器240の常用圧力(最大許容圧力)は、例えば、40MPaである。
可変圧蓄圧器240は、第3配管242を介して圧縮機220の吸入側に接続されている。第3配管242には、第3配管242を開閉するバルブV3(第3の開閉バルブ)が設けられている。なお、本実施形態において、第3配管242は、一端が可変圧蓄圧器240に接続され、他端が第1配管212におけるバルブV1と圧縮機220の吸入側との間に接続される。
また、可変圧蓄圧器240は、第4配管244を介してサクションタンク230に接続されている。第4配管244には、第4配管244を開閉するバルブV4(第4の開閉バルブ)が設けられている。また、第4配管244におけるバルブV4とサクションタンク230との間には、可変圧蓄圧器240から送出された水素を減圧する減圧弁RV1が設けられている。減圧弁RV1の設定圧力は、サクションタンク230の目標値よりも高い圧力とし、例えば0.6MPaとする。なお、本実施形態において、第4配管244は、第3配管242における可変圧蓄圧器240とバルブV3との間から分岐されており、他端がサクションタンク230に接続される。
また、圧縮機220の吐出側は、第5配管224を介して高圧蓄圧器250に接続されている。第5配管224には、第5配管224を開閉するバルブV5(第5の開閉バルブ)が設けられている。なお、本実施形態において、第5配管224は、第2配管222(第2配管222における圧縮機220の吐出側とバルブV2との間)から分岐されており、他端が高圧蓄圧器250に接続される。
高圧蓄圧器250は、圧縮機220によって昇圧された水素(例えば、82MPa)を貯留する。つまり、高圧蓄圧器250の常用圧力(最大許容圧力)は、例えば、82MPaである。高圧蓄圧器250は、第6配管252を介してプレクーラー120に接続されている。第6配管252には、第6配管252を開閉するバルブV6(開閉弁)が設けられている。バルブV6は、燃料電池自動車140への水素の供給開始に伴って開弁される。
したがって、高圧蓄圧器250に貯留された水素は、第6配管252を介してプレクーラー120に供給される。そして、水素は、プレクーラー120によって冷却され、ディスペンサー130によって、燃料電池自動車140に設けられた水素タンクに供給(充填)される(図1参照)。
制御部260は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して高圧水素製造システム110全体を管理および制御する。詳しくは後述するが、本実施形態において制御部260は、水素製造装置210の駆動制御(出力制御)、圧縮機220の制御、バルブV1〜V6の開閉制御を実行する。
(高圧水素製造システム110の運転処理)
続いて、上記高圧水素製造システム110の運転処理について説明する。図3は、通常時における制御部260による制御について説明する図である。図4は、ピーク時における制御部260による制御について説明する図である。
水素ステーション100が燃料電池自動車140に供給する水素の流量が、水素製造装置210による水素の製造能力以下である場合(通常時)、図3に示すように、制御部260は、バルブV1、V4、V5を開弁し、バルブV2、V3を閉弁する。また、制御部260は、圧縮機220を駆動する。そうすると、水素製造装置210から送出された水素(0.6MPa)、および、可変圧蓄圧器240から送出され、減圧弁RV1によって減圧された水素(0.6MPa)のいずれか一方または両方の水素が圧縮機220によって昇圧されることとなる。
一方、水素ステーション100が燃料電池自動車140に供給する水素の流量が、水素製造装置210による水素の製造能力を上回る場合(ピーク時)、図4に示すように、制御部260は、バルブV3、V5を開弁し、バルブV1、V2、V4を閉弁する。また、制御部260は、圧縮機220を駆動する。そうすると、可変圧蓄圧器240から送出された水素が直接圧縮機220によって昇圧されることとなる。
上記したように、本実施形態にかかる圧縮機220は、吸入圧力の上限値と下限値とが広範囲に亘っており、可変圧蓄圧器240の圧力が40MPaである場合から0.6MPaになるまで水素を吸入することが可能となる。このため、可変圧蓄圧器240に貯留された水素の大部分を圧縮して高圧蓄圧器250に供給することが可能となる。
また、圧縮機220は、吸入圧力が相対的に低いと、処理流量(供給能力)は小さくなるものの、吸入圧力が相対的に高いと、処理流量が大きくなる。このため、可変圧蓄圧器240に貯留された水素量が相対的に多い(圧力が相対的に高い)場合には、大きい処理流量で高圧蓄圧器250に水素を供給することができる。例えば、可変圧蓄圧器240の圧力(吸入圧力)が0.6MPaである場合には、処理流量は300Nm/h程度であるが、1.7MPaである場合には処理流量が900m/h程度にもなる。
したがって、水素ステーション100に立ち寄る燃料電池自動車140の数が増加した場合であっても短時間で高圧蓄圧器250の貯留量を増加させることができ、高圧蓄圧器250自体の容量(本数)を増加させずとも、ピーク時に、燃料電池自動車140への水素供給量(水素を供給できる燃料電池自動車140の数)を増加させることが可能となる。
なお、高圧水素製造システム110において、可変圧蓄圧器240(最大許容圧力40MPa)は、水素製造装置210が停止運転する際に余剰する水素と、起動運転する際に不足する水素とを貯留するバッファとしての機能を備えていれば足りるため、8本程度となる。また、高圧蓄圧器250(最大許容圧力82MPa)は、必要な充填能力(例えば、水素5kgタンクを3分で満充填可能な能力)に基づいて、設計され、例えば、3本程度となる。可変圧蓄圧器240、および、高圧蓄圧器250の容量の設計については、特開2015−183766号公報等、既存の技術を参照できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
また、図3、図4において、バルブV6は、燃料電池自動車140への水素の供給開始に伴って適宜開弁される。
また、図3に示す通常時において、水素製造装置210が水素を製造している際には、水素製造装置210および可変圧蓄圧器240の双方から高圧蓄圧器250へ水素が供給される。そして、高圧蓄圧器250の圧力が所定の上限圧力に到達すると、制御部260は、バルブV2を開弁し、バルブV4、V5を閉弁する。そうすると、水素製造装置210によって製造された水素は、圧縮機220で昇圧されて可変圧蓄圧器240に貯留されることとなる。そして、可変圧蓄圧器240の圧力が所定の上限圧力となると、制御部260は、バルブV2を閉弁するとともに、圧縮機220を停止する。一方、図4に示すピーク時から、高圧蓄圧器250、可変圧蓄圧器240を復圧する際には、制御部260は、一旦通常時の状態とし、その後、上記した通常時と同様の制御を行う。
以上説明したように、本実施形態の高圧水素製造システム110によれば、圧縮機220が、水素製造装置210から出力される相対的に低圧の水素、および、可変圧蓄圧器240から送出される相対的に高圧の水素を昇圧することができる。したがって、水素ステーション100の建設費を増大させずに(高圧蓄圧器250の容量を増加させることなく)、燃料電池自動車140に供給する水素量を増加させることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態において、水素製造装置210とバルブV1との間にサクションタンク230が配される構成を例に挙げて説明した。このため、サクションタンク230を0.6MPa程度の低圧の耐圧で設計すれば足り、サクションタンク230自体のコストを低減できる。しかし、第1配管212におけるバルブV1と圧縮機220(第3配管242の分岐箇所)との間にサクションタンク230を備えるとしてもよい。この場合、サクションタンク230には、可変圧蓄圧器240から送出された高圧の水素が供給されることとなる。したがって、サクションタンク230を高圧の耐圧で設計しなければならないが、可変圧蓄圧器240から圧縮機220に送出される水素の圧力変動を低減することが可能となる。つまり、サクションタンク230が水素製造装置210から出力される水素のクッションタンクとして機能するとともに、可変圧蓄圧器240から送出される水素のクッションタンクとしても機能することとなる。また、第1配管212における水素製造装置210とバルブV1との間、および、バルブV1と圧縮機220との間に2つのサクションタンク230を備えるとしてもよい。
また、図5に示すように、第3配管242におけるバルブV3と圧縮機220との間(バルブV3の下流側)に減圧弁RV2(第2の減圧弁)を備えるとしてもよい。この場合、減圧弁RV2の設定圧力は、減圧弁RV1の設定圧力より大きく、圧縮機220の最大吸入圧力とする。減圧弁RV2を備える構成により、最大吸入圧力が可変圧蓄圧器240の最大許容圧力未満の圧縮機220(例えば、吸入圧力の範囲が0.6MPaから20MPaに設計された圧縮機)を採用することができる。一般的に、相対的に低い最大吸入圧力で設計された圧縮機は、相対的に高い最大吸入圧力で設計された圧縮機よりも低コストである。したがって、減圧弁RV2を備える構成により、低コストの圧縮機220を採用することができ、高圧水素製造システム110全体の設備費を低減することが可能となる。また、減圧弁RV2を、バルブV3と可変圧蓄圧器240との間に備えるとしてもよい。
また、上記実施形態において、減圧弁RV1、RV2は、下流圧を機械的に一定に保つバネ式の減圧弁であってもよいし、下流圧を一定に保つ電子式の制御弁であってもよい。
また、上記実施形態において、水素ステーション100の供給先が燃料電池自動車140である場合を例に挙げて説明した。しかし、水素ステーション100の供給先は、燃料電池自動車140に限定されず、水素を利用して駆動力を発生させる車両(二輪車等)、船舶等であってもよい。
本発明は、水素を製造して燃料電池自動車等の供給先に供給する高圧水素製造システムに利用することができる。
RV1 第1の減圧弁
RV2 第2の減圧弁
V1 第1の開閉バルブ
V2 第2の開閉バルブ
V3 第3の開閉バルブ
V4 第4の開閉バルブ
V5 第5の開閉バルブ
110 高圧水素製造システム
210 水素製造装置
212 第1配管
220 圧縮機
222 第2配管
224 第5配管
240 可変圧蓄圧器
242 第3配管
244 第4配管
250 高圧蓄圧器
260 制御部

Claims (2)

  1. 水素を出力する水素製造装置と、
    前記水素製造装置に接続され、第1の開閉バルブが設けられた第1配管と、
    前記第1配管に吸入側が接続された圧縮機と、
    前記圧縮機の吐出側に接続され、第2の開閉バルブが設けられた第2配管と、
    前記第2配管に接続された可変圧蓄圧器と、
    前記可変圧蓄圧器と前記圧縮機の吸入側とを接続し、第3の開閉バルブが設けられた第3配管と、
    前記可変圧蓄圧器と前記圧縮機の吸入側とを接続し、該可変圧蓄圧器から送出された水素を減圧する第1の減圧弁と、第4の開閉バルブとが設けられた第4配管と、
    前記第3配管における前記第3の開閉バルブと前記圧縮機との間に設けられた第2の減圧弁と、
    前記圧縮機の吐出側に接続され、第5の開閉バルブが設けられた第5配管と、
    前記第5配管に接続された高圧蓄圧器と、
    を備えた高圧水素製造システム。
  2. 前記圧縮機は、吸入圧力が可変である請求項1に記載の高圧水素製造システム。
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