JP6077482B2 - 高圧水素製造システム、および、高圧水素製造システムの運転方法 - Google Patents

高圧水素製造システム、および、高圧水素製造システムの運転方法 Download PDF

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Description

本発明は、高圧水素を製造して燃料電池自動車等の供給先に供給する高圧水素製造システム、および、高圧水素製造システムの運転方法に関する。
近年、燃料電池を搭載した自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle、以下、「燃料電池自動車」と称する。)が開発されている。燃料電池自動車では、水素と酸素(空気)とを化学反応させて電力を生成する燃料電池を動力源としているため、燃料電池自動車には水素を供給する必要がある。つまり、ガソリンエンジンを動力源とするガソリン自動車に対するガソリンが、燃料電池自動車に対する水素に相当する。したがって、燃料電池自動車は、ガソリン自動車用のガソリンスタンドに相当する、燃料電池自動車用の水素ステーションで水素の受け入れが行われ、水素ステーションから供給された水素は、燃料電池自動車に設けられた水素タンクに貯留されることとなる。
上記水素ステーションに設置される高圧水素製造システムとして、例えば、特許文献1には、水素製造装置と、水素製造装置によって製造された水素を昇圧する圧縮機と、圧縮機によって圧縮された水素を貯留する第1の蓄圧器および第2の蓄圧器とを含む構成が開示されている。特許文献1の技術では、第1の蓄圧器の圧力が第1閾値を上回ると、水素製造装置による水素の製造を停止する停止処理を開始し、第1の蓄圧器の圧力が第1閾値より大きい第2閾値以上になると、圧縮機によって昇圧された水素を第2の蓄圧器に貯留させている。
特許第5378624号公報
上記水素ステーションにおいて蓄圧器は、水素の消費量(燃料電池自動車に供給される水素量)の変動(負荷変動)を吸収するために設けられているが、蓄圧器に要するコストを削減するために、蓄圧器の個数を低減する技術の開発が希求されている。
本発明は、蓄圧器の個数を低減することが可能な高圧水素製造システム、および、高圧水素製造システムの運転方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の高圧水素製造システムは、水素を製造して出力する水素製造装置と、前記水素製造装置から出力された水素を昇圧する第1の圧縮機と、前記第1の圧縮機によって昇圧された水素を貯留する第1の蓄圧器および第2の蓄圧器と、前記第1の蓄圧器の圧力が第1閾値以上になると、前記水素製造装置から出力された水素であって前記第1の圧縮機によって昇圧された水素を前記第2の蓄圧器に貯留させ、該第1の蓄圧器の圧力が該第1閾値未満になると、該水素製造装置から出力された水素および該第2の蓄圧器に貯留された水素のいずれか一方または双方を、該第1の圧縮機によって昇圧させて、該第1の蓄圧器に貯留させ、該第2の蓄圧器の圧力が前記第1閾値未満の第2閾値を上回ると、該水素製造装置を制御して、該水素製造装置による水素の出力を最少出力まで減少させ該最少出力に至った後に水素の出力を停止する停止処理を開始させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
また、前記制御部は、前記第2の蓄圧器の圧力が前記第2閾値未満になると、前記水素製造装置を制御して、最大出力に向けて水素の出力を増加させる開始処理を遂行するとしてもよい。
また、前記第2閾値は、前記第2の蓄圧器の最大容量と、前記停止処理中に出力される水素量と、前記開始処理中に出力される水素量と、該開始処理中に前記第1の蓄圧器および前記第2の蓄圧器のいずれか一方または双方から送出される水素量の最大値とに基づいて設定されるとしてもよい。
また、少なくとも前記第1の蓄圧器に貯留された水素を昇圧する第2の圧縮機をさらに備えるとしてもよい。
また、前記第2の圧縮機によって昇圧された水素を貯留する第3の蓄圧器と、をさらに備えるとしてもよい。
上記課題を解決するために、本発明の高圧水素製造システムの運転方法は、水素を製造して出力する水素製造装置と、該水素製造装置から出力された水素を昇圧する第1の圧縮機と、該第1の圧縮機によって昇圧された水素を貯留する第1の蓄圧器および第2の蓄圧器とを備えた高圧水素製造システムの運転方法であって、前記第1の蓄圧器の圧力が第1閾値以上になったか否かを判定し、前記第1の蓄圧器の圧力が前記第1閾値以上になったと判定すると、前記水素製造装置から出力された水素であって前記第1の圧縮機によって昇圧された水素を前記第2の蓄圧器に貯留させ、該第1の蓄圧器の圧力が該第1閾値未満になったと判定すると、該水素製造装置から出力された水素および該第2の蓄圧器に貯留された水素のいずれか一方または双方を、該第1の圧縮機によって昇圧させて、該第1の蓄圧器に貯留させ、前記第2の蓄圧器の圧力が前記第1閾値未満の第2閾値を上回ったか否かを判定し、前記第2の蓄圧器の圧力が前記第2閾値を上回ったと判定すると、前記水素製造装置を制御して、該水素製造装置による水素の出力を最少出力まで減少させ該最少出力に至った後に水素の出力を停止する停止処理を開始することを特徴とする。
また、前記第2の蓄圧器の圧力が前記第2閾値未満になったと判定すると、前記水素製造装置を制御して、最大出力に向けて水素の出力を増加させる開始処理を遂行するとしてもよい。
本発明によれば、蓄圧器の個数を低減することが可能となる。
水素ステーションを説明するための図である。 第1の実施形態にかかる高圧水素製造システムを説明するための図である。 水素製造装置の具体的な構成を説明するための図である。 停止状態においても水素を製造している水素製造装置における、通常運転時、停止処理期間、および、開始処理期間の水素の出力量を説明するための図である。 停止状態において水素の製造を停止する水素製造装置における、通常運転時、停止処理期間、および、開始処理期間の水素の出力量を説明するための図である。 水素製造装置の制御基準となる可変圧蓄圧器の圧力の設定について説明するための図である。 水素製造装置の制御の流れを説明するためのフローチャートである。 低圧圧縮機の制御の流れを説明するためのフローチャートである。 バルブの制御の流れを説明するためのフローチャートである。 高圧圧縮機の制御の流れを説明するためのフローチャートである。 第2の実施形態にかかる高圧水素製造システムを説明するための図である。 第3の実施形態にかかる高圧水素製造システムを説明するための図である。 第3の実施形態の変形例にかかる高圧水素製造システムを説明するための図である。 第4の実施形態にかかる高圧水素製造システムを説明するための図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(水素ステーション100)
図1は、水素ステーション100を説明するための図である。図1に示すように、水素ステーション100は、高圧水素製造システム110と、プレクーラー120と、ディスペンサー130とを含んで構成される。なお、図1中、水素の流れを実線の矢印で示す。
図1に示すように、高圧水素製造システム110は、水素を製造し、製造した水素を、例えば、82MPaに昇圧して貯留する。高圧水素製造システム110に貯留された水素は、プレクーラー120によって冷却され(例えば、−40℃)、ディスペンサー130の充填制御弁を介して、燃料電池自動車に設けられた水素タンクに供給(差圧充填)される。ここで、高圧水素製造システム110から燃料電池自動車の水素タンクへ水素が供給される際に断熱圧縮によって水素が加熱されるため、水素の温度が水素タンクの耐熱温度に達しないように、プレクーラー120が設けられている。以下、高圧水素製造システム110の具体的な構成について説明する。
(第1の実施形態:高圧水素製造システム110)
図2は、第1の実施形態にかかる高圧水素製造システム110を説明するための図である。図2に示すように、高圧水素製造システム110は、水素製造装置210と、サクションタンク220と、低圧圧縮機230(第1の圧縮機)と、低圧蓄圧器240(第1の蓄圧器)と、高圧圧縮機250(第2の圧縮機)と、高圧蓄圧器260(第3の蓄圧器)と、可変圧蓄圧器270(第2の蓄圧器)と、圧力測定部280と、制御部290と、バルブV1、V2、V3と、減圧弁RVとを含んで構成される。なお、図2中、水素の流れを実線で示し、信号の流れを破線の矢印で示す。
水素製造装置210は、例えば、都市ガス、液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)等の化石燃料から純度の高い水素を製造して出力する。図3は、水素製造装置210の具体的な構成を説明するための図である。図3(a)に示すように、水素製造装置210は、反応器212と、反応器212を所定の温度(例えば、800℃)に維持する加熱炉214と、反応器212において生成された混合ガスから水素を精製する精製器216とを含んで構成される。
反応器212は、例えば、都市ガス、液化石油ガス等の化石燃料および水蒸気(以下、化石燃料および水蒸気を「原料ガス」と称する。)を触媒反応させて水素を含む混合ガスを生成する水蒸気改質容器と、当該混合ガス中の一酸化炭素と水蒸気を反応させて水素を生成するシフト反応容器とを含んで構成される。精製器216は、反応器212によって生成された、水素を含む混合ガスから水素を精製する水素分離膜や、圧力スイング吸着装置(PSA:Pressure Swing Adsorption)を含んで構成される。水素製造装置210によって製造される水素(精製器216から出力される水素)の圧力は、例えば、0.7MPaである。
また、水素製造装置210は、停止状態においても水素を製造するタイプ(以下、「水素製造装置210A」と称する。)と、停止状態において水素の製造を停止するタイプ(以下、「水素製造装置210B」と称する。)とに大別される。ここで、「停止状態」は、外部に水素を出力しない状態を指す。また、「停止処理」は、水素の出力を最少出力まで徐々に減少させ(ロードダウン)、最少出力に至った後に出力を停止する処理を指す。さらに、「開始処理」は、停止状態(水素の出力停止中)、水素の出力中にかかわらず、最大出力(100%出力)に向けて水素の出力を増加させる処理を指す。すなわち、水素の出力停止中に遂行される開始処理は、停止状態から最少出力状態への移行および最少出力状態から最大出力に向けた出力増加(ロードアップ)であり、水素の出力中に遂行される開始処理は、最大出力に向けた出力増加(ロードアップ)である。以下、図3(b)、(c)を用いて、停止状態における水素製造装置210A、210Bの動作について説明する。
図3(b)に示すように、水素製造装置210Aは、停止状態においても原料ガスが反応器212に供給され、水素を含む混合ガスが製造される。そして、水素製造装置210Aは、停止状態において、精製器216によって精製された水素を、加熱炉214に導入して反応器212を加熱するための燃料として利用する。このため、水素製造装置210Aでは、停止状態において水素の出力量はゼロとなるものの、水素の製造は継続しているため、開始処理の指令を受けると、直ちに定格の純度の水素を出力することができる。
一方、水素製造装置210Bは、停止状態では、原料ガスの反応器212への供給を停止し、水素の製造および出力を停止する装置である。水素製造装置210Bの場合、停止状態(原料供給を停止した状態)で開始処理の指令を受けても直ちに水素を出力することはできない。水素製造装置210Bについてより詳細に説明する。水素製造装置210Bが停止処理の指令を受けると、水素の出力を徐々に低下させ、最少出力(例えば最大出力の30%)に至った後に、原料ガスの反応器212への供給を停止し、水素の製造および出力を停止する。この際、装置内に残った水素等を装置内に循環しておく例が多い。この状態を図3(c)に示す。図3(c)の状態から開始処理の指令を受けた場合、水素の循環を停止し、原料ガスを導入し、水素製造装置210B内の反応器212および精製器216の運転状態(温度、圧力など)を安定させる動作を行った後、水素の最少出力状態に移行する。このように水素製造装置210Bは、図3(c)の状態から水素を出力するまで所定の時間(例えば90分)が必要となる。
また、水素製造装置210(210A、210B)は、通常運転時(最大出力(100%出力)での運転時)のみならず、停止処理、および、開始処理を遂行している期間においても水素を製造している。停止処理が遂行される期間(以下、「停止処理期間」と称する。)、および、開始処理が遂行される期間(以下、「開始処理期間」と称する。)における、水素製造装置210A、210Bの水素の出力量については、後に詳述する。
図2に戻って説明すると、サクションタンク220は、水素製造装置210と低圧圧縮機230との間に設けられ、クッションタンクとして機能する。
低圧圧縮機230は、水素製造装置210によって製造された水素(0.7MPa)を圧縮して、例えば、33MPa〜40MPaに昇圧する。
低圧蓄圧器240は、低圧圧縮機230によって昇圧された水素(33MPa〜40MPa)を貯留する。
高圧圧縮機250は、低圧蓄圧器240に貯留された水素(33MPa〜40MPa)を圧縮して、例えば、82MPaに昇圧する。
高圧蓄圧器260は、高圧圧縮機250によって昇圧された水素(82MPa)を貯留する。そして、高圧蓄圧器260に貯留された水素は、プレクーラー120によって冷却され、ディスペンサー130によって、燃料電池自動車に設けられた水素タンクに供給(充填)される(図1参照)。
可変圧蓄圧器270は、低圧圧縮機230によって昇圧された水素を貯留する。また、低圧蓄圧器240の圧力が低下した場合に、可変圧蓄圧器270からサクションタンク220を経由して低圧圧縮機230へ水素が払い出され、払い出された水素は、低圧圧縮機230によって圧縮され、低圧蓄圧器240に送出される。なお、本実施形態において、可変圧蓄圧器270の上限圧力(最大許容圧力)は、低圧蓄圧器240の上限圧力と実質的に等しく、例えば、40MPaである。
圧力測定部280は、サクションタンク220の圧力Psuc、低圧蓄圧器240の圧力Plpa、可変圧蓄圧器270の圧力Pvpa、および、高圧蓄圧器260の圧力Phpaを測定する。
制御部290は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して高圧水素製造システム110全体を管理および制御する。
本実施形態において制御部290は、低圧圧縮機230および高圧圧縮機250を制御する。具体的に説明すると、制御部290は、低圧圧縮機230の入口の圧力(ここでは、サクションタンク220の圧力Psuc)が目標値TGs(例えば0.55MPa)となるように低圧圧縮機230の起動停止や圧縮容量を制御する。また、制御部290は、高圧蓄圧器260の圧力Phpaが目標値TGh(制御遅れ等が発生しても最大許容圧力を超えないよう、例えば、81.5MPa)となるように高圧圧縮機250の起動停止や圧縮容量を制御する。
また、制御部290は、水素製造装置210の駆動制御、および、バルブV1、V2、V3の開閉制御を実行する。なお、バルブV1は、低圧圧縮機230と低圧蓄圧器240とを接続する配管に設けられ、バルブV2は、低圧圧縮機230と低圧蓄圧器240とを接続する配管における低圧圧縮機230とバルブV1との間から可変圧蓄圧器270に分岐された配管に設けられ、バルブV3は、可変圧蓄圧器270とサクションタンク220とを接続する配管に設けられる。なお、バルブV1、V2、V3は開閉弁で構成される。
また、バルブV3とサクションタンク220とを接続する配管には、減圧弁RVが設けられる。なお、減圧弁RVは、可変圧蓄圧器270とバルブV3とを接続する配管に設けてもよい。減圧弁RVの設定圧力は、サクションタンク220の目標値TGsよりも高い圧力とし、例えば0.6MPaとする。かかる水素製造装置210の駆動制御およびバルブV1、V2、V3の開閉制御に関しては後述する高圧水素製造システム110の運転処理において詳述する。
(低圧圧縮機230、高圧圧縮機250の圧力設計)
続いて、低圧圧縮機230、高圧圧縮機250の圧力設計について説明する。燃料電池自動車の水素タンクの圧力は70MPaが世界基準となっているため、当該水素タンクに水素を差圧充填するためには、供給元の水素の圧力を、70MPaを上回る値(例えば、82MPa)とする必要がある。しかし、水素製造装置210で製造された水素の圧力は、0.7MPaと低いため、水素製造装置210で製造された水素をそのまま燃料電池自動車に供給することはできない。そこで、本実施形態の高圧水素製造システム110は、水素製造装置210で製造された水素を82MPaまで昇圧する。
具体的に説明すると、まず、高圧水素製造システム110における最後段の高圧蓄圧器260の圧力を82MPaに設計する、すなわち、高圧圧縮機250の出口圧力を82MPaに設計する。したがって、水素を82MPaに昇圧可能な高圧圧縮機250を採用すればよいが、高圧圧縮機250の性能によっては、入口の圧力を33MPa〜40MPaまで昇圧する必要がある。そこで、本実施形態にかかる高圧水素製造システム110では、低圧圧縮機230および低圧蓄圧器240を設けておき、低圧圧縮機230が水素製造装置210で製造された水素(0.7MPa)を33MPa〜40MPaに昇圧して、低圧蓄圧器240に貯留し、高圧圧縮機250が低圧蓄圧器240に貯留された33MPa〜40MPaの水素を82MPaに昇圧することとしている。
(低圧蓄圧器240および可変圧蓄圧器270の個数の設計)
続いて、低圧蓄圧器240および可変圧蓄圧器270の個数の設計について説明する。ここでは、まず、上記水素製造装置210A、210Bにおける、通常運転時(出力100%運転時)の水素出力量、停止処理期間の水素出力量、および、開始処理期間の水素出力量について説明し、次に、比較例における低圧蓄圧器240および可変圧蓄圧器270の個数の設計について、続いて、本実施形態にかかる高圧水素製造システム110における低圧蓄圧器240および可変圧蓄圧器270の個数の設計について説明する。
(1.水素製造装置210A、210Bにおける、通常運転時、停止処理期間、および、開始処理期間の水素出力量)
上述したように、水素製造装置210A、210Bは、通常運転時のみならず、停止処理期間においても、開始処理期間においても水素を製造している。
図4は、停止状態においても水素を製造している水素製造装置210Aにおける、通常運転時(出力100%運転時)、停止処理期間、および、開始処理期間の水素の出力量を説明するための図であり、図5は、停止状態において水素の製造を停止する水素製造装置210Bにおける、通常運転時(出力100%運転時)、停止処理期間、および、開始処理期間の水素の出力量を説明するための図である。なお、図4(a)、図5(a)は、出力100%運転時の水素の出力量を説明するための図であり、図4(b)、図5(b)は、停止処理期間の水素の出力量を説明するための図であり、図4(c)、図5(c)は、開始処理期間の水素の出力量を説明するための図である。
水素製造装置210A、210Bが出力100%で運転する場合、例えば、300m/hで水素を製造して出力するとする。そうすると、図4(a)、図5(a)に示すように、出力100%で運転している際に、水素製造装置210A、210Bは、常時300m/hで水素を製造して出力することになる。
ここで、燃料電池自動車への水素の平均供給量(水素製造装置210A、210Bによって供給可能な水素量の平均)について説明すると、燃料電池自動車への水素の平均供給量(m/h)は、水素製造装置210A、210Bによる水素の出力能力(m/h)に依存する。すなわち、本実施形態にかかる水素ステーション100では、300m/hで燃料電池自動車に水素を供給することが可能となる。
しかし、燃料電池自動車は必ずしも平均的に水素ステーション100に訪れる訳ではないため、水素製造装置210A、210Bによる水素の出力量を調整する必要がある。
具体的に説明すると、水素ステーション100に訪れる燃料電池自動車の数が少ない期間、すなわち、燃料電池自動車への水素の供給量が水素製造装置210A、210Bの水素の出力量よりも少ない期間において、水素製造装置210A、210Bが出力100%で運転していると、低圧蓄圧器240、可変圧蓄圧器270、高圧蓄圧器260において水素を貯留しきれなくなる。
そこで、制御部290は、低圧蓄圧器240、可変圧蓄圧器270、高圧蓄圧器260において水素を貯留しきれなくなりそうになると、水素製造装置210を制御して停止処理を開始させる。
水素製造装置210Aは、停止処理を開始する場合、図4(b)に示すように、水素の出力を300m/hから徐々に下げていき、最終的に、例えば、90m/hとして停止状態に移行することとなる。ここでは、停止処理に1時間を要するものとする。
なお、上述したように、水素製造装置210Aは、停止状態(アイドリング状態)であっても、定格の純度の水素を負荷30%(90m/h)で常時製造しており、停止状態においては、水素製造装置210A自体が製造した水素を燃焼させて消費している。つまり、水素製造装置210Aの停止状態においては、水素の出力はない(ゼロである)が、実際には、90m/hで水素を製造していることとなる。したがって、停止処理を開始してから1時間経過(停止状態に移行)すると、水素の出力は、90m/hから0m/hになる。
このように、水素製造装置210Aでは、停止処理期間においても水素が出力されることとなる。図4(b)に示す例において、水素製造装置210Aによって停止処理期間に製造され出力される水素量、すなわち、停止処理中に余剰する水素量A(図4(b)中、ハッチングで示す。)は、(300m/h+90m/h)/2×1h=195mとなる。以下、理解を容易にするために、停止処理中に余剰する水素量Aを、単に、「余剰分A」と称することとする。
一方、水素製造装置210Aが停止状態になってから水素ステーション100に燃料電池自動車が多数訪れ、燃料電池自動車に供給するための水素が足りなくなりそうになると、制御部290は、水素製造装置210Aを制御して開始処理を遂行させる。
上述したように、水素製造装置210Aは、停止状態(アイドリング状態)であっても、定格の純度の水素を負荷30%(90m/h)で常時製造している。したがって、水素製造装置210Aの停止状態から開始処理の遂行を開始すると、水素製造装置210A自体での水素の燃焼を停止し、直ちに、90m/hで水素の出力を開始することとなる。
水素製造装置210Aは、開始処理の遂行を開始する場合、図4(c)に示すように、水素の出力を90m/hから徐々に上げていき、最終的に300m/hとして出力100%の運転に移行することとなる。ここでは、開始処理に1時間を要するものとする。
このように、開始処理期間において水素が出力されることになるが、出力100%の運転と比較して、単位時間当たりの出力量が少ない。このため、当該水素ステーション100における最大供給能力(300m/h)での水素供給が必要となる場合に、水素製造装置210が開始処理中に製造した水素をすべて供給するとしても、水素が不足してしまう。
図4(c)に示す例において、水素製造装置210Aによって開始処理期間に製造され出力される水素量と、開始処理期間において燃料電池自動車に供給されると予想される最大の水素量(開始処理期間中に低圧蓄圧器240および可変圧蓄圧器270から送出される水素量の最大値)との差分、すなわち、開始処理中に不足する水素量B(図4(c)中、クロスハッチングで示す。)は、{300m/h−(300m/h+90m/h)/2}×1h=105mとなる。以下、理解を容易にするために、開始処理中に不足する水素量Bを、単に、「不足分B」と称することとする。
一方、水素製造装置210Bは、停止処理を開始する場合、図5(b)に示すように、水素の出力を300m/hから徐々に下げていき、最終的に、例えば、90m/hとなってから停止状態(ホットスタンバイ状態)に移行することとなる。ここでは、停止処理に1時間を要するものとする。
なお、上述したように、水素製造装置210Bは、停止状態(ホットスタンバイ状態)に移行してから所定時間は、反応器212に循環させるための水素を所定量製造するものの、停止状態に移行すると、水素の出力を停止する。したがって、停止処理を開始すると水素の出力は、90m/hから0m/hになり、1時間経過すると停止状態に移行する。なお、水素製造装置210Bは、停止状態に移行してから所定時間が終了すると、すなわち、循環用の水素の製造が完了すると、水素の製造を停止し、所定量の水素を反応器212に循環させて、反応器212の温度を維持する。
水素製造装置210Aと同様に、水素製造装置210Bでも、停止処理期間においても水素が出力されることとなる。図5(b)に示す例において、水素製造装置210Bによって停止処理期間中に出力される水素量、すなわち、余剰分A(図5(b)中、ハッチングで示す)は、(300m/h+90m/h)/2×1h=195mとなる。
一方、水素製造装置210Bが停止状態になってから水素ステーション100に燃料電池自動車が多数訪れ、燃料電池自動車に供給するための水素が足りなくなりそうになると、制御部290は、水素製造装置210Bを制御して開始処理を遂行させる。
上述したように、水素製造装置210Bは、停止状態(ホットスタンバイ状態)において、水素の製造を停止しているため、図5(c)に示すように、停止状態から開始処理の遂行を開始しても、所定時間(ここでは、1.5時間)が経過するまでは、定格の純度の水素を出力できない。したがって、開始処理の遂行を開始して所定時間が経過するまでは、水素の出力がゼロであるが、所定時間が経過すると、出力90m/hで水素の出力を開始することが可能となる。その後、水素製造装置210Bは、水素の出力を90m/hから徐々に上げていき、最終的に300m/hとして出力100%の運転に移行することとなる。なお、ここでは、開始処理に2.5時間を要するものとする。
このように、水素製造装置210Aと同様に、水素製造装置210Bでも、開始処理期間において水素が出力されることになるが、出力100%の運転と比較して、単位時間当たりの出力量が少なく、水素ステーション100における最大供給能力(300m/h)での水素供給が必要となる場合に、水素が不足してしまう。
図5(c)に示す例において、水素製造装置210Bによって開始処理期間に出力される水素量と、開始処理期間において燃料電池自動車に供給されると予想される最大の水素量との差分、すなわち、不足分B(図5(c)中、クロスハッチングで示す。)は、300m/h×2.5h−{(300m/h+90m/h)/2×1h}=555mとなる。
以上を纏めると、余剰分Aは、水素製造装置210A、210Bとも195mとなる。また、不足分Bは、水素製造装置210Aでは105mとなり、水素製造装置210Bでは555mとなる。
(2.比較例における低圧蓄圧器240および可変圧蓄圧器270の個数の設計)
比較例では、低圧蓄圧器240に貯留された水素の量(圧力)が所定量(所定圧力、例えば、39MPa)を上回ると、水素製造装置210を制御して停止処理を遂行させ、所定量未満になると、開始処理を遂行させる。そして、低圧蓄圧器240の個数を、不足分Bを貯留するために必要な個数として設計し、余剰分Aをまず低圧蓄圧器240に貯留し、貯留しきれない分を可変圧蓄圧器270に貯留するものとして可変圧蓄圧器270の個数を設計する。
比較例における低圧蓄圧器240の個数の設計について説明すると、低圧蓄圧器240の個数Xは下記式(1)を用いて算出することができる。
X=B/{(Pth1−Pmin)×10×D/z}…式(1)
ここで、Bは不足分(m)、Pminは低圧蓄圧器240の下限圧力(MPa)、すなわち、高圧圧縮機250の入口の圧力の下限値、Pth1は開始処理の遂行を開始するトリガとなる低圧蓄圧器240の圧力(MPa)、Dは1個あたりの低圧蓄圧器240の容量(幾何容積、m)、zは水素の圧縮係数を示す。
高圧圧縮機250の入口の圧力の下限値Pminを33MPa、開始処理の遂行を開始するトリガとなる低圧蓄圧器240の圧力Pth1を39MPa、容量Dを0.3m/個、水素の圧縮係数zを1.2とし、式(1)を用いて、不足分Bを貯留するために必要な低圧蓄圧器240の個数Xを算出すると、水素製造装置210Aを採用した高圧水素製造システム110の場合(B=105m)、7個となる。
そして、低圧蓄圧器240の個数に基づいて、余剰分Aを貯留するために必要な可変圧蓄圧器270の個数を算出する。具体的に説明すると、まず、式(1)を用いて算出した個数の低圧蓄圧器240で貯留できる水素量Lh(m)を、下記式(2)に基づいて算出する。
Lh={(Pmax−Pth2)×10×D/z}×X…式(2)
ここで、Pmaxは低圧蓄圧器240の上限圧力(MPa)、Pth2は停止処理を開始するトリガとなる低圧蓄圧器240の圧力(MPa)、Dは1個あたりの低圧蓄圧器240の容量(幾何容積、m)、Xは低圧蓄圧器240の個数、zは水素の圧縮係数を示す。
低圧蓄圧器240の上限圧力Pmaxを40MPa、停止処理を開始するトリガとなる低圧蓄圧器240の圧力Pth2を39MPa、容量Dを0.3m/個、水素の圧縮係数zを1.2とし、式(2)を用いて、水素製造装置210Aを採用した高圧水素製造システム110の7個の低圧蓄圧器240で貯留できる水素量Lh(m)を算出すると、17.5mとなる。
そして、余剰分A(195m)と水素量Lh(17.5m)の差分(177.5m)を可変圧蓄圧器270に貯留する場合、かかる差分を貯留するための可変圧蓄圧器270の個数Mは下記式(3)を用いて算出することができる。
M=E/{(Qmax−Qmin)×10×F/z}…式(3)
ここで、Eは、余剰分A(m)と水素量Lh(m)の差分(m)、Qmaxは可変圧蓄圧器270の上限圧力(MPa)、Qminは可変圧蓄圧器270の下限圧力(MPa)、Fは1個あたりの可変圧蓄圧器270の容量(幾何容積、m)、zは水素の圧縮係数を示す。
余剰分A(m)と水素量Lh(m)の差分Eを177.5m(195m−17.5m)、可変圧蓄圧器270の上限圧力Qmaxを40MPa、可変圧蓄圧器270の下限圧力Qminを0.7MPa、容量Fを0.3m/個、水素の圧縮係数を1.2とし、式(3)を用いて、差分Eを貯留するために必要な可変圧蓄圧器270の個数Mを算出すると、水素製造装置210Aを採用した高圧水素製造システム110では、約1.8個(2個)となる。
同様に、水素製造装置210Bを採用した高圧水素製造システム110について、式(1)を用いて、不足分B(555m)を貯留するために必要な低圧蓄圧器240の個数Xを算出すると、37個となる。
また、式(2)を用いて、水素製造装置210Bを採用した高圧水素製造システム110の37個の低圧蓄圧器240で貯留できる水素量Lh(m)を算出すると、92.5mとなる。
さらに、式(3)を用いて、余剰分A(195m)と水素量Lh(92.5m)の差分E(195m−92.5m=102.5m)を貯留するために必要な可変圧蓄圧器270の個数Mを算出すると、水素製造装置210Bを採用した高圧水素製造システム110では、約1.1個(2個)となる。
以上、纏めると、比較例では、水素製造装置210Aを採用した高圧水素製造システム110において、低圧蓄圧器240が7個、可変圧蓄圧器270が2個の合計9個と設計され、水素製造装置210Bを採用した高圧水素製造システム110において、低圧蓄圧器240が37個、可変圧蓄圧器270が2個の合計39個と設計されることとなる。
(3.本実施形態にかかる高圧水素製造システム110における低圧蓄圧器240および可変圧蓄圧器270の個数の設計)
比較例で設計した低圧蓄圧器240および可変圧蓄圧器270の個数をさらに低減すべく、本実施形態では、不足分Bおよび余剰分Aの双方を可変圧蓄圧器270で貯留し、可変圧蓄圧器270に貯留された水素の量(圧力)に基づいて、水素製造装置210を制御して停止処理や開始処理を遂行させることとする。
図6は、水素製造装置210の制御基準となる可変圧蓄圧器270の圧力の設定について説明するための図である。本実施形態では、不足分Bおよび余剰分Aの双方を可変圧蓄圧器270で貯留するため、図6に示すように、可変圧蓄圧器270の容量(上限圧力Qmax−下限圧力Qmin)は、不足分Bと余剰分Aとの合計となる。
燃料電池自動車への水素の供給に伴い、可変圧蓄圧器270から低圧圧縮機230(サクションタンク220)へ水素が供給されると、可変圧蓄圧器270に貯留された水素が減少する。そして、上限圧力Qmaxから余剰分Aだけ減少すると、すなわち、不足分Bしか残っていない状態になると、水素製造装置210において開始処理の遂行を開始する必要がある。そこで、制御部290は、可変圧蓄圧器270の圧力が、不足分Bに相当する圧力未満になったときに、水素製造装置210を制御して開始処理の遂行を開始させることとする。
一方、燃料電池自動車への水素の供給がなく、水素製造装置210から可変圧蓄圧器270へ水素が供給されると、可変圧蓄圧器270に貯留される水素量が増加する。そして、不足分Bを超えると、水素製造装置210において停止処理を開始する必要がある。そこで、制御部290は、可変圧蓄圧器270の圧力が、不足分Bに相当する圧力を上回ったときに、水素製造装置210を制御して停止処理を開始させることとする。
このように、制御部290による水素製造装置210の制御基準となる、可変圧蓄圧器270の圧力(第2閾値、以下、「トリガ圧力PthA」と称する。)は、不足分Bに相当する圧力となる。したがって、トリガ圧力PthAは、可変圧蓄圧器270の容量に対する不足分Bに応じて設定されることとなる。つまり、トリガ圧力PthAは、可変圧蓄圧器270の最大容量と、余剰分Aと、不足分Bとに基づいて設定される。
具体的に説明すると、トリガ圧力PthAは、可変圧蓄圧器270の容量(Qmax−Qmin)を、不足分Bと余剰分Aとの比で按分した値に設定される(下記式(4))。
PthA=(Qmax−Qmin)×{A/(A+B)}+Qmin…式(4)
例えば、可変圧蓄圧器270の上限圧力Qmaxを40MPa、可変圧蓄圧器270の下限圧力Qminを0.7MPaとすると、水素製造装置210Aの場合、トリガ圧力PthAは、(40MPa−0.7MPa)×{105m/(105m+195m)}+0.7MPa=14.455MPa(約15MPa)となる。また、水素製造装置210Bの場合、トリガ圧力PthAは、(40MPa−0.7MPa)×{555m/(555m+195m)}+0.7MPa=29.782MPa(約30MPa)となる。
続いて、可変圧蓄圧器270の個数の設計について説明する。不足分Bを貯留しておくために必要な可変圧蓄圧器270の個数Rは、下記式(5)を用いて算出することができる。
R=B/{(PthA−Qmin)×10×F/z}…式(5)
ここで、Bは、不足分(m)、PthAは、トリガ圧力(MPa)、Qminは可変圧蓄圧器270の下限圧力(MPa)、Fは1個あたりの可変圧蓄圧器270の容量(幾何容積、m)、zは水素の圧縮係数を示す。
可変圧蓄圧器270の下限圧力Qminを0.7MPa、容量Fを0.3m/個、水素の圧縮係数を1.2とし、式(5)を用いて、水素製造装置210Aを採用した高圧水素製造システム110において、不足分Bを貯留しておくために必要な可変圧蓄圧器270の個数Rを算出すると、105m/{(15MPa−0.7MPa)×10×0.3/1.2}≒2.9個(3個)となる。
余剰分Aを貯留するために必要な可変圧蓄圧器270の個数Sは、下記式(6)を用いて算出することができる。
S=A/{(Qmax−PthA)×10×F/z}…式(6)
ここで、Aは余剰分(m)、Qmaxは可変圧蓄圧器270の上限圧力(MPa)、PthAはトリガ圧力(MPa)、Fは1個あたりの可変圧蓄圧器270の容量(幾何容積m)、zは水素の圧縮係数を示す。
可変圧蓄圧器270の上限圧力Qmaxを40MPa、容量Fを0.3m/個、水素の圧縮係数を1.2とし、式(6)を用いて、水素製造装置210Aを採用した高圧水素製造システム110において、余剰分Aを貯留するために必要な可変圧蓄圧器270の個数Sを算出すると、195m/{(40MPa−15MPa)×10×0.3/1.2}≒3.12個(4個)となる。
したがって、水素製造装置210Aを採用した高圧水素製造システム110において、不足分Bおよび余剰分Aを貯留するために必要な可変圧蓄圧器270の個数は、個数Rと個数Sの多い方、つまり、4個必要となる。
同様に、水素製造装置210Bを採用した高圧水素製造システム110について、式(5)を用いて、不足分B(555m)を貯留しておくために必要な可変圧蓄圧器270の個数RをPthA=30MPaとして算出すると、7.6個(8個)となる。
また、水素製造装置210Bを採用した高圧水素製造システム110について、式(6)を用いて、余剰分A(195m)を貯留するために必要な可変圧蓄圧器270の個数SをPthA=30MPaとして算出すると、7.8個(8個)となる。
したがって、水素製造装置210Bを採用した高圧水素製造システム110において、不足分Bおよび余剰分Aを貯留するために必要な可変圧蓄圧器270の個数は、個数Rと個数Sの多い方、つまり、8個必要となる。
続いて、低圧蓄圧器240の個数の設計について説明すると、上述したように、可変圧蓄圧器270において、不足分Bおよび余剰分Aの双方を貯留するように可変圧蓄圧器270の個数を設計する。このため、水素製造装置210Aを採用した場合であっても、水素製造装置210Bを採用した場合であっても、低圧蓄圧器240は、燃料電池自動車1台分を満充填するための水素量を貯留すればよい。
したがって、低圧蓄圧器240の個数Yは、下記式(7)を用いて算出することができる。
Y=C/{(Pmax−Pmin)×10×D/z}…式(7)
ここで、Cは燃料電池自動車1台分を満充填するための水素量を、Pminは低圧蓄圧器240の下限圧力(MPa)を、Pmaxは低圧蓄圧器240の上限圧力(MPa)を、Dは1個あたりの低圧蓄圧器240の容量(幾何容積m)を、zは水素の圧縮係数を示す。
燃料電池自動車1台分を満充填するための水素量Cを、例えば、56m、Pmaxを40MPa、Pminを33MPa、容量Dを0.3m/個、水素の圧縮係数zを1.2として、高圧水素製造システム110における低圧蓄圧器240の個数Yを算出すると、56m/{(40MPa−33MPa)×10×0.3/1.2}≒3.2個(4個)となる。
以上纏めると、下記比較表に示すように、水素製造装置210Aを採用した高圧水素製造システム110の場合、比較例と比較して、本実施形態では、蓄圧器を1個削減することができる。また、水素製造装置210Bを採用した高圧水素製造システム110の場合、比較例と比較して、本実施形態では、蓄圧器を27個削減することが可能となる。
Figure 0006077482
以上説明したように、本実施形態にかかる高圧水素製造システム110によれば、蓄圧器の個数を低減することができ、高圧水素製造システム110において蓄圧器に要するコストを削減することが可能となる。
(高圧水素製造システム110の運転方法)
続いて、上記高圧水素製造システム110の運転方法について説明する。図7は、水素製造装置210の制御の流れを説明するためのフローチャートであり、図8は、低圧圧縮機230の制御の流れを説明するためのフローチャートであり、図9は、バルブV1、V2、V3の制御の流れを説明するためのフローチャートであり、図10は、高圧圧縮機250の制御の流れを説明するためのフローチャートである。
(水素製造装置210の駆動制御)
図7に示すように、制御部290は、圧力測定部280によって測定された可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaがトリガ圧力PthA(第2閾値)と等しいか否かを判定する(S110)。可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaがトリガ圧力PthAと等しいと判定すると(S110におけるYES)、制御部290は、水素製造装置210の現在の出力をキープ(維持)する(S112)。
一方、可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaがトリガ圧力PthAと等しくない場合(S110におけるNO)、制御部290は、可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaがトリガ圧力PthAを上回る圧力であるか否かを判定する(S114)。可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaがトリガ圧力PthAを上回る圧力であると判定すると(S114におけるYES)、水素製造装置210による停止処理を開始する(S116)。なお、既に停止処理が開始されている場合には、停止処理の遂行を維持する。一方、可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaがトリガ圧力PthAを上回る圧力でない、すなわち、トリガ圧力PthA未満であると判定すると(S114におけるNO)、水素製造装置210による開始処理の遂行を開始する(S118)。なお、既に開始処理の遂行が開始されている場合には、開始処理の遂行を維持する。
(低圧圧縮機230の駆動制御)
図8に示すように、まず、制御部290は、サクションタンク220の圧力Psucが目標値TGsと等しいか否かを判定する(S130)。サクションタンク220の圧力Psucが目標値TGsと等しいと判定すると(S130におけるYES)、制御部290は、低圧圧縮機230をロード(吸込・吐出量)キープする(S132)。
一方、サクションタンク220の圧力Psucが目標値TGsと等しくない場合(S130におけるNO)、制御部290は、サクションタンク220の圧力Psucが目標値TGsを上回る圧力であるか否かを判定する(S134)。サクションタンク220の圧力Psucが目標値TGsを上回る圧力であると判定すると(S134におけるYES)、低圧圧縮機230をロードアップする(S136)。一方、サクションタンク220の圧力Psucが目標値TGsを上回る圧力でない、すなわち、目標値TGs未満であると判定すると(S134におけるNO)、低圧圧縮機230をロードダウンする(S138)。
(バルブV1、V2、V3の開閉制御)
図9に示すように、まず、制御部290は、低圧蓄圧器240の圧力Plpaが第1閾値(例えば、39.5MPa)以上になったか否かを判定する(S150)。低圧蓄圧器240の圧力Plpaが第1閾値以上になったと判定すると(S150におけるYES)、制御部290はバルブV2を開弁し、バルブV1、V3を閉弁する(S152)。こうして、低圧蓄圧器240が水素で満たされると、水素製造装置210によって製造された水素は、可変圧蓄圧器270へ送出されることとなる。
一方、低圧蓄圧器240の圧力Plpaが第1閾値未満になったと判定すると(S150におけるNO)、バルブV2を閉弁し、バルブV1、V3を開弁する(S154)。こうして、低圧蓄圧器240の水素量が少なくなると、水素製造装置210によって製造された水素および可変圧蓄圧器270に貯留された水素のいずれか一方または双方が低圧蓄圧器240に送出されることとなる。
(高圧圧縮機250の駆動制御)
図10に示すように、制御部290は、高圧蓄圧器260の圧力Phpaが目標値TGh(例えば、81.5MPa)と等しいか否かを判定する(S170)。高圧蓄圧器260の圧力Phpaが目標値TGhと等しいと判定すると(S170におけるYES)、制御部290は、高圧圧縮機250をロード(吸込・吐出量)キープする(S172)。
一方、高圧蓄圧器260の圧力Phpaが目標値TGhと等しくない場合(S170におけるNO)、制御部290は、高圧蓄圧器260の圧力Phpaが目標値TGhを上回る圧力であるか否かを判定する(S174)。高圧蓄圧器260の圧力Phpaが目標値TGhを上回る圧力であると判定すると(S174におけるYES)、高圧圧縮機250をロードダウンする(S176)。
一方、高圧蓄圧器260の圧力Phpaが目標値TGhを上回る圧力でない、すなわち、目標値TGh未満であると判定すると(S174におけるNO)、高圧圧縮機250をロードアップする(S178)。
以上説明したように、本実施形態にかかる高圧水素製造システム110、および、高圧水素製造システム110の運転方法によれば、蓄圧器の個数を低減することが可能となる。
(第2の実施形態:高圧水素製造システム310)
図11は、第2の実施形態にかかる高圧水素製造システム310を説明するための図である。図11に示すように、高圧水素製造システム310は、水素製造装置210と、サクションタンク220と、低圧圧縮機230(第1の圧縮機)と、低圧蓄圧器240(第1の蓄圧器)と、高圧圧縮機250(第2の圧縮機)と、高圧蓄圧器260(第3の蓄圧器)と、可変圧蓄圧器270(第2の蓄圧器)と、圧力測定部280と、制御部390と、バルブV1、V2、V3、V4、V5と、減圧弁RVとを含んで構成される。なお、上述した第1の実施形態にかかる高圧水素製造システム110と実質的に等しい構成については、同一の符号を付して説明を省略し、ここでは、構成の異なるバルブV4、V5、制御部390について説明する。また、図11中、水素の流れを実線で示し、信号の流れを破線の矢印で示す。
図11に示すように、第2の実施形態にかかる高圧水素製造システム310では、高圧水素製造システム110と異なり、低圧蓄圧器240と高圧圧縮機250とを接続する配管と、可変圧蓄圧器270とバルブV3とを接続する配管とを接続する配管312が設けられている。
バルブV4、V5は、開閉弁で構成され、バルブV4は、配管312に設けられ、バルブV5は、低圧蓄圧器240と高圧圧縮機250とを接続する配管における配管312の接続点より上流側に設けられる。
制御部390は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して高圧水素製造システム310全体を管理および制御する。
本実施形態において制御部390は、水素製造装置210、低圧圧縮機230、および、高圧圧縮機250の駆動制御、および、バルブV1、V2、V3、V4、V5の開閉制御を実行する。なお、制御部390による、水素製造装置210、低圧圧縮機230、および、高圧圧縮機250の駆動制御、および、バルブV1、V2、V3の開閉制御については、上記第1の実施形態にかかる制御と実質的に等しいため、説明を省略し、ここでは、バルブV4、V5の開閉制御について説明する。
制御部390は、可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaが、高圧圧縮機250の入口の圧力の下限値Pmin(例えば、33MPa)以上である場合、バルブV4を開弁するとともに、バルブV5を閉弁する。また、可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaが、高圧圧縮機250の入口の圧力の下限値Pmin未満である場合、バルブV4を閉弁するとともに、バルブV5を開弁する。
可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaが、高圧圧縮機250の入口の圧力の下限値Pmin以上である場合、可変圧蓄圧器270に貯留されている水素を低圧圧縮機230で昇圧せずとも、高圧圧縮機250で直接昇圧することができる。したがって、可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaが、高圧圧縮機250の入口の圧力の下限値Pmin以上である場合、制御部390がバルブV4、V5を開閉制御して、低圧圧縮機230を通さず、可変圧蓄圧器270から直接高圧圧縮機250に水素を送出する構成により、低圧圧縮機230による不要な昇圧を抑制することができ、低圧圧縮機230の消費エネルギーを削減することが可能となる。
(第3の実施形態:高圧水素製造システム410)
上記第1の実施形態において、高圧水素製造システム110が低圧圧縮機230と高圧圧縮機250を備える構成について説明した。しかし、高圧圧縮機の性能によっては、圧縮機を1つとすることもできる。
図12は、第3の実施形態にかかる高圧水素製造システム410を説明するための図である。図12に示すように、高圧水素製造システム410は、水素製造装置210と、サクションタンク220と、高圧圧縮機450(第1の圧縮機)と、高圧蓄圧器260(第1の蓄圧器)と、可変圧蓄圧器270(第2の蓄圧器)と、圧力測定部480と、制御部490と、バルブV6、V7、V8と、2つの減圧弁RVとを含んで構成される。なお、上述した第1の実施形態にかかる高圧水素製造システム110と実質的に等しい構成については、同一の符号を付して説明を省略し、ここでは、構成の異なる、高圧圧縮機450、圧力測定部480、バルブV6、V7、V8、制御部490について説明する。また、図12中、水素の流れを実線で示し、信号の流れを破線の矢印で示す。
高圧圧縮機450は、入口圧力が、水素製造装置210の出力圧力(0.7MPa)であっても82MPaまで昇圧できる高圧圧縮機である。
圧力測定部480は、サクションタンク220の圧力Psuc、可変圧蓄圧器270の圧力Pvpa、および、高圧蓄圧器260の圧力Phpaを測定する。
バルブV6は、高圧圧縮機450と高圧蓄圧器260とを接続する配管に設けられ、バルブV7は、高圧圧縮機450と高圧蓄圧器260とを接続する配管における高圧圧縮機450とバルブV6との間から可変圧蓄圧器270に分岐された配管に設けられ、バルブV8は、可変圧蓄圧器270とサクションタンク220とを接続する配管に設けられる。なお、バルブV6、V7、V8は開閉弁で構成される。
また、バルブV8とサクションタンク220とを接続する配管、および、バルブV7の上流側には、減圧弁RVが設けられる。
制御部490は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して高圧水素製造システム410全体を管理および制御する。
本実施形態において制御部490は、水素製造装置210、および、高圧圧縮機450の駆動制御、および、バルブV6、V7、V8の開閉制御を実行する。なお、制御部490による、水素製造装置210の駆動制御については、上記第1の実施形態にかかる制御と実質的に等しいため、説明を省略し、ここでは、高圧圧縮機450の駆動制御、バルブV6、V7、V8の開閉制御について説明する。
本実施形態において制御部490は、サクションタンク220の圧力Psucが目標値TGsと等しい場合、高圧圧縮機450をロード(吸込・吐出量)キープする。一方、サクションタンク220の圧力Psucが目標値TGsを上回る圧力である場合、高圧圧縮機450をロードアップする。また、サクションタンク220の圧力Psucが目標値TGs未満である場合、高圧圧縮機450をロードダウンする。
また、制御部490は、高圧蓄圧器260の圧力Phpaが目標値TGh(例えば、81.5MPa)以上になった場合、バルブV7を開弁し、バルブV6、V8を閉弁する。こうして、高圧蓄圧器260が水素で満たされると、水素製造装置210によって製造された水素は、可変圧蓄圧器270へ送出されることとなる。
一方、高圧蓄圧器260の圧力Phpaが目標値TGh未満になった場合、バルブV7を閉弁し、バルブV6、V8を開弁する。こうして、高圧蓄圧器260の水素量が少なくなると、可変圧蓄圧器270に貯留された水素が高圧蓄圧器260に送出されることとなる。
また、ここでは、上限圧力が40MPaの可変圧蓄圧器270を例に挙げて説明したが、上限圧力が82MPaの蓄圧器を可変圧蓄圧器270として利用することもできる。この場合、バルブV7の上流側に設けられた減圧弁RVを省略することができる。
さらに、ここでは、82MPaでのみ水素を送出可能な高圧圧縮機450を例に挙げて説明したが、40MPaでも、82MPaでも水素を送出できる圧縮機を高圧圧縮機450として利用することもできる。
図13は、第3の実施形態の変形例にかかる高圧水素製造システム420を説明するための図である。図13に示すように、高圧水素製造システム420は、高圧水素製造システム410と異なり、高圧圧縮機450と高圧蓄圧器260とを接続する配管から可変圧蓄圧器270へ分岐する配管がなく、これに代えて、高圧圧縮機450と可変圧蓄圧器270とを接続する配管422が設けられる。そして、バルブV7は、配管422に設けられることとなる。
(第4の実施形態:高圧水素製造システム510)
図14は、第4の実施形態にかかる高圧水素製造システム510を説明するための図である。図14に示すように、高圧水素製造システム510は、水素製造装置210と、サクションタンク220と、高圧圧縮機450(第1の圧縮機)と、高圧蓄圧器260(第1の蓄圧器)と、可変圧蓄圧器270(第2の蓄圧器)と、圧力測定部580と、制御部590と、バルブV6、V7、V8、V9、V10と、減圧弁RVとを含んで構成される。なお、上述した第1、第3の実施形態にかかる高圧水素製造システム110、410と実質的に等しい構成については、同一の符号を付して説明を省略し、ここでは、構成の異なる、バルブV9、V10、圧力測定部580、制御部590について説明する。なお、本実施形態の可変圧蓄圧器270は、上限圧力が82MPaの蓄圧器である。また、図14中、水素の流れを実線で示し、信号の流れを破線の矢印で示す。
図14に示すように、第4の実施形態にかかる高圧水素製造システム510では、高圧水素製造システム410と異なり、高圧蓄圧器260とプレクーラー120とを接続する配管と、可変圧蓄圧器270とバルブV9とを接続する配管とを接続する配管512が設けられている。
バルブV9、V10は、開閉弁で構成され、バルブV9は、配管512に設けられ、バルブV10は、高圧蓄圧器260とプレクーラー120とを接続する配管における配管512の接続点より上流側に設けられる。
圧力測定部580は、サクションタンク220の圧力Psuc、可変圧蓄圧器270の圧力Pvpa、高圧蓄圧器260の圧力Phpa、および、ディスペンサー130を燃料電池自動車に接続した際のディスペンサー130の水素配管の圧力(燃料電池自動車の水素タンクの圧力に等しい)Ppadを測定する。
制御部590は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して高圧水素製造システム510全体を管理および制御する。
本実施形態において制御部590は、水素製造装置210、高圧圧縮機450の駆動制御、および、バルブV6、V7、V8、V9、V10の開閉制御を実行する。なお、制御部590による、水素製造装置210、高圧圧縮機450の駆動制御、および、バルブV6、V7、V8の開閉制御については、上記第3の実施形態にかかる制御と実質的に等しいため、説明を省略し、ここでは、バルブV9、V10の開閉制御について説明する。
制御部590は、可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaが、ディスペンサー130を燃料電池自動車に接続した際のディスペンサー130の水素配管の圧力Ppadに所定値α加算した値以上である場合、バルブV9を開弁するとともに、バルブV10を閉弁する。また、可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaが、ディスペンサー130を燃料電池自動車に接続した際のディスペンサー130の水素配管の圧力Ppadに所定値α加算した値未満である場合、バルブV9を閉弁するとともに、バルブV10を開弁する。
可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaが、ディスペンサー130を燃料電池自動車に接続した際のディスペンサー130の水素配管の圧力Ppadに所定値α加算した値以上である場合、可変圧蓄圧器270に貯留されている水素を高圧蓄圧器260で昇圧せずとも、燃料電池自動車に直接充填(供給)することができる。したがって、可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaが、ディスペンサー130を燃料電池自動車に接続した際のディスペンサー130の水素配管の圧力Ppadに所定値α加算した値以上である場合、制御部590がバルブV9、V10を開閉制御して、高圧蓄圧器260を通さず、可変圧蓄圧器270から直接燃料電池自動車に水素を送出する構成により、高圧蓄圧器260による不要な昇圧を抑制することができ、高圧蓄圧器260の消費エネルギーを削減することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記第1の実施形態において、制御部290が、水素製造装置210の開始処理を遂行させる基準となる可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaと、停止処理を開始させる基準となる可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaとが、ともにトリガ圧力PthA(第2閾値)である構成について説明した。しかし、開始処理を遂行させる基準となる可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaと、停止処理を開始させる基準となる可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaとを相違させてもよい。例えば、第2閾値より大きい第3閾値(可変圧蓄圧器270の上限圧力Qmax付近の圧力、例えば、39.5MPa、81.5MPa)を設定し、制御部は、可変圧蓄圧器270(第2の蓄圧器)の圧力Pvpaが、第2閾値以上であると、停止処理と同様の出力減少(ロードダウン)を開始させ、最少出力になった時点で第3閾値未満第2閾値以上であると、水素製造装置210を最少出力(例えば、30%。もしくは、第3閾値から第2閾値までの圧力に応じて、負荷30%から負荷100%に可変にしてもよい。)でロードキープさせ、第3閾値以上であると停止処理を開始させ、第2閾値未満であると開始処理を遂行させるとしてもよい。
また、上記実施形態において、水素分離膜やPSAを含んで構成される水素製造装置210を例に挙げて説明した。しかし、水素製造装置210の水素製造技術に限定はなく、既存の様々な技術を利用することができる。
また、上記実施形態において、減圧弁RVは、下流圧を機械的に一定に保つバネ式の減圧弁であってもよいし、下流圧を一定に保つ電子式の制御弁であってもよい。
また、上記実施形態において、可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaが第2閾値(トリガ圧力PthA)になった場合、制御部290は、水素製造装置210の現在のロードをキープするロードキープ処理を遂行しているが、可変圧蓄圧器270の圧力Pvpaが第2閾値(トリガ圧力PthA)になった場合、制御部290は、停止処理を遂行してもよいし、開始処理を遂行してもよい。
本発明は、水素を製造して燃料電池自動車等の供給先に供給する高圧水素製造システム、および、高圧水素製造システムの運転方法に利用することができる。
110、310、410、420、510 高圧水素製造システム
210 水素製造装置
230 低圧圧縮機(第1の圧縮機)
240 低圧蓄圧器(第1の蓄圧器)
250 高圧圧縮機(第2の圧縮機)
260 高圧蓄圧器(第1の蓄圧器、第3の蓄圧器)
270 可変圧蓄圧器(第2の蓄圧器)
290、390、490、590 制御部
450 高圧圧縮機(第1の圧縮機)

Claims (7)

  1. 水素を製造して出力する水素製造装置と、
    前記水素製造装置から出力された水素を昇圧する第1の圧縮機と、
    前記第1の圧縮機によって昇圧された水素を貯留する第1の蓄圧器および第2の蓄圧器と、
    前記第1の蓄圧器の圧力が第1閾値以上になると、前記水素製造装置から出力された水素であって前記第1の圧縮機によって昇圧された水素を前記第2の蓄圧器に貯留させ、該第1の蓄圧器の圧力が該第1閾値未満になると、該水素製造装置から出力された水素および該第2の蓄圧器に貯留された水素のいずれか一方または双方を、該第1の圧縮機によって昇圧させて、該第1の蓄圧器に貯留させ、該第2の蓄圧器の圧力が前記第1閾値未満の第2閾値を上回ると、該水素製造装置を制御して、該水素製造装置による水素の出力を最少出力まで減少させ該最少出力に至った後に水素の出力を停止する停止処理を開始させる制御部と、
    を備えたことを特徴とする高圧水素製造システム。
  2. 前記制御部は、前記第2の蓄圧器の圧力が前記第2閾値未満になると、前記水素製造装置を制御して、最大出力に向けて水素の出力を増加させる開始処理を遂行することを特徴とする請求項1に記載の高圧水素製造システム。
  3. 前記第2閾値は、前記第2の蓄圧器の最大容量と、前記停止処理中に出力される水素量と、前記開始処理中に出力される水素量と、該開始処理中に前記第1の蓄圧器および前記第2の蓄圧器のいずれか一方または双方から送出される水素量の最大値とに基づいて設定されることを特徴とする請求項2に記載の高圧水素製造システム。
  4. 少なくとも前記第1の蓄圧器に貯留された水素を昇圧する第2の圧縮機をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の高圧水素製造システム。
  5. 前記第2の圧縮機によって昇圧された水素を貯留する第3の蓄圧器をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載の高圧水素製造システム。
  6. 水素を製造して出力する水素製造装置と、該水素製造装置から出力された水素を昇圧する第1の圧縮機と、該第1の圧縮機によって昇圧された水素を貯留する第1の蓄圧器および第2の蓄圧器とを備えた高圧水素製造システムの運転方法であって、
    前記第1の蓄圧器の圧力が第1閾値以上になったか否かを判定し、
    前記第1の蓄圧器の圧力が前記第1閾値以上になったと判定すると、前記水素製造装置から出力された水素であって前記第1の圧縮機によって昇圧された水素を前記第2の蓄圧器に貯留させ、該第1の蓄圧器の圧力が該第1閾値未満になったと判定すると、該水素製造装置から出力された水素および該第2の蓄圧器に貯留された水素のいずれか一方または双方を、該第1の圧縮機によって昇圧させて、該第1の蓄圧器に貯留させ、
    前記第2の蓄圧器の圧力が前記第1閾値未満の第2閾値を上回ったか否かを判定し、
    前記第2の蓄圧器の圧力が前記第2閾値を上回ったと判定すると、前記水素製造装置を制御して、該水素製造装置による水素の出力を最少出力まで減少させ該最少出力に至った後に水素の出力を停止する停止処理を開始することを特徴とする高圧水素製造システムの運転方法。
  7. 前記第2の蓄圧器の圧力が前記第2閾値未満になったと判定すると、前記水素製造装置を制御して、最大出力に向けて水素の出力を増加させる開始処理を遂行することを特徴とする請求項6に記載の高圧水素製造システムの運転方法。
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