JP6792260B2 - 固化体の製造方法 - Google Patents
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Description
(Msは前記水ガラスに含まれるSiO2のモル数であり、MRは前記水ガラスに含まれるR2Oのモル数である。Rはナトリウム、カリウム、及びリチウムから成る群から選択される1以上である。)
本開示の一態様である固化体形成用組成物を用いれば、耐水性や耐酸性において優れた固化体を形成できる。
1.固化体形成用組成物
本開示の固化体形成用組成物は、少なくとも、水ガラスと、普通ポルトランドセメントと、を含有する。本開示の固化体形成用組成物は、例えば、水、骨材、及びセメント遅延剤等をさらに含有していてもよい。
水ガラスは、一般的に下記の(式2)で表される化合物である。ここで、Rはアルカリ金属であり、nはモル比nである。水ガラスにおけるnは、一般的に0.5〜7.5の実数である。xは任意の値である。
(式2)におけるアルカリ金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。
(式1) n=Ms/MR
(Msは前記水ガラスに含まれるSiO2のモル数であり、MRは前記水ガラスに含まれるR2Oのモル数である。Rはナトリウム、カリウム、及びリチウムから成る群から選択される1以上である。)
モル比nが2.6以下であることにより、水ガラスと普通ポルトランドセメントとがすぐに反応して部分ゲル等が発生することを抑制できる。その結果、均一な固化体を得ることができる。また、モル比nが1.6以上であることにより、固化までの時間が過度に長くなることを抑制できる。モル比nは、2.0〜2.6の範囲内であることが好ましい。この範囲内である場合、環境への負荷を抑制できる。
普通ポルトランドセメントを使用することにより、他のセメントを使用する場合に比べて、固化体形成用組成物が固化するまでの時間が過度に短くなったり、過度に長くなったりすることを抑制できる。普通ポルトランドセメントの配合量が多いほど、硬化開始時間が短くなる。普通ポルトランドセメントの配合量は、水ガラス(液体成分も含む)100質量部に対して、7〜40質量部以下が好ましい。7質量部以上である場合、硬化開始時間が過度に長くなることを抑制できる。40質量部以下である場合、硬化開始時間が過度に短くなってワーカービリティが低下することを抑制できる。
骨材としては、耐アルカリ性の特性を有する骨材が好ましい。骨材として、例えば、けい砂、セラミックス等が挙げられる。固化体形成用組成物における骨材の含有量は特に限定されず、目的や用途等に応じて調整することができる。
水は、例えば、固化体形成用組成物の粘度を調整する機能を有する。また、固化体形成用組成物が後述するセメント遅延剤を含有する場合、水はセメント遅延剤を溶解する機能を有する。固化体形成用組成物における水の含有量は特に限定されない。例えば、水ガラスの固形分の含有量が固化体形成用組成物の骨材を除く成分の合計量に対し25質量%以上となるように、水の含有量を調整することができる。
セメント遅延剤は、普通ポルトランドセメントの凝結反応を抑制する機能を有する。そのため、セメント遅延剤を固化体形成用組成物に配合することにより、固化体形成用組成物の硬化開始時間を調整することができる。
本開示の固化体形成用組成物には、本開示の効果が奏される範囲内で、その他の成分をさらに適宜含有してもよい。その他の成分として、例えば、ベントナイト等が挙げられる。ベントナイトは、固化体形成用組成物の粘度を高める機能を有する。
本開示の固化体形成用組成物を固化させることにより固化体が得られる。この固化体は、圧縮強度が高い。また、固化体は、耐酸性及び耐温水性において優れる。固化体は、飛灰、汚泥等を固化させる用途、コーティング材のバインダーの用途、土木資材の用途等に使用できる。土木資材としては、例えば、地盤への注入材等が挙げられる。また、本開示の固化体形成用組成物は、硬化開始時間を適切な範囲に設定可能である。
本開示の固化体形成用組成物を固化させて固化体を製造することができる。例えば、固化体形成用組成物と、他の成分とが混在する状態で、固化体形成用組成物を固化させることができる。他の成分として、例えば、飛灰、汚泥、コーティング材におけるバインダー以外の成分、土、砂等が挙げられる。また、例えば、固化体形成用組成物を単独で固化させることができる。固化体形成用組成物の固化は、気中で行ってもよいし、水中で行ってもよい。固化体形成用組成物を水中で固化させた場合も、固化体は、耐酸性及び耐温水性において優れる。
(1)固化体形成用組成物S1〜S30の製造
表1に示す原料を、同表に示す配合量において混合することにより、S1〜S30の固化体形成用組成物を製造した。
けい酸ナトリウム:富士化学株式会社製
けい酸カリウム:富士化学株式会社製
けい酸リチウム:日産化学工業株式会社製
水酸化ナトリウム:試薬一級 和光純薬工業株式会社製
水酸化カリウム:試薬一級 和光純薬工業株式会社製
水酸化リチウム一水和物:試薬一級 和光純薬工業株式会社製
P15において、ナトリウムとカリウムとのモル比(Na:K)は1:1である。P16において、ナトリウムとリチウムとのモル比(Na:Li)は12:1である。P17において、カリウムとリチウムとのモル比(K:Li)は2:1である。
作成した試験体について、圧縮強度試験、耐塩酸性試験、及び耐温水性試験を行った。それぞれの試験方法と評価基準は以下のとおりである。
材齢28日の試験体を用いて、一軸圧縮試験機にて一軸圧縮強度を測定した。
(ii)耐塩酸性試験
前記(2)で作成した試験体を切断し、直径50mm、高さ25mmの試験体を作成した。以下ではこの試験体を使用した。試験体の重量測定を行った後、20℃の下、5%濃度の塩酸300mlに試験体を7日間浸漬した。その後、再び試験体の重量測定を行い、浸漬前の重量と浸漬後の重量とを用い、以下の(式3)より耐塩酸比を算出した。また、浸漬前と浸漬後とにそれぞれ、試験体の外観観察を行った。
そして、耐塩酸比の値と外観観察の結果とを以下の基準にて当てはめ、試験体の耐塩酸性を評価した。
△:耐塩酸比(%)が80〜89%で、外観がわずかに変化した。
×:耐塩酸比(%)が79%以下で、外観が大きく変化した。
前記(2)で作成した試験体を切断し、直径50mm、高さ25mmの試験体を作成した。以下ではこの試験体を使用した。試験体の重量測定を行った後、イオン交換水300mlに試験体を浸漬した。次に、イオン交換水に浸漬した状態の試験体を80℃の乾燥機に投入し、7日間保持した。次に、イオン交換水に浸漬した状態の試験体を室温まで放冷し、再び試験体の重量測定を行った。浸漬前の重量と浸漬後の重量とを用い、以下の(式4)より耐温水比を算出した。また、浸漬前と浸漬後とに、それぞれ試験体の外観観察を行った。
そして、耐温水比の値と外観観察の結果とを以下の基準にて当てはめ、試験体の耐温水性を評価した。
△:耐温水比(%)が80〜89% で、外観がわずかに変化した。
×:耐温水比(%)が79%以下で、外観が大きく変化した。
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
Claims (3)
- 固化体形成用組成物を固化させて固化体を製造する固化体の製造方法であって、
前記固化体形成用組成物は、水ガラスと、普通ポルトランドセメントと、を含有し、
前記水ガラスは、けい酸ナトリウム、けい酸カリウム、及びけい酸リチウムから成る群から選択された1以上であり、
前記水ガラスにおいて、下記(式1)で表されるモル比nが1.6〜2.6の範囲内にあり、
前記水ガラスの固形分の含有量が、前記固化体形成用組成物の骨材を除く成分の合計量に対し、25質量%以上であり、
前記固化体形成用組成物を水中で固化させる固化体の製造方法。
(式1) n=Ms/MR
(Msは前記水ガラスに含まれるSiO2のモル数であり、MRは前記水ガラスに含まれるR2Oのモル数である。Rはナトリウム、カリウム、及びリチウムから成る群から選択される1以上である。) - 請求項1に記載の固化体の製造方法であって、
前記モル比nが2.0〜2.6の範囲内にある固化体の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の固化体の製造方法であって、
前記固化体形成用組成物はセメント遅延剤をさらに含有する固化体の製造方法。
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