以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜3には、本発明の第一の実施形態としてのスタビライザブッシュ10が、車両への装着状態で示されている。スタビライザブッシュ10は、筒状の本体ゴム弾性体12を備えており、本体ゴム弾性体12の内孔14にスタビライザバー16が挿通されると共に、本体ゴム弾性体12の外周面に装着されるブラケット18が、車両ボデー20に固定されるようになっている。以下の説明では、原則として、上下方向とは図1中の上下方向を、左右方向とは図2中の左右方向を、前後方向とは図1中の左右方向を、それぞれ言う。
より詳細には、本体ゴム弾性体12は、図2,3に示すように上下に二分割されており、図4〜6にも示すように、半筒体としての第一の半筒体22と第二の半筒体24を備えている。
第一の半筒体22は、全体として略半円筒形状を有しており、外周面の周方向両端部には、前後方向に対して略直交して広がる前平面26と後平面28が設けられていると共に、外周面の周方向中央部分には、上下方向に対して略直交して広がる上平面30が設けられている。更に、前平面26と後平面28の左右中央部分には、上下全長に亘って連続して延びる第一の溝状凹面32がそれぞれ形成されている。
さらに、第一の半筒体22には、軸方向外側へ突出する第一の突出部34が軸方向の両側に一体形成されている。この第一の突出部34は、第一の半筒体22の内周部分において軸方向外側へ突出して形成されており、軸方向外端部の内周面と外周面が軸方向に対して傾斜するテーパ面とされて、第一の突出部34の軸方向外端部が軸方向外側へ向けて径方向で幅狭となっている。更に、第一の突出部34には、周方向の複数箇所に切欠き36が形成されている。この切欠き36は、第一の突出部34の周方向両端部と周方向中央部に形成されており、切欠き36の形成部分において第一の突出部34の突出高さが小さくされている。
また、第一の半筒体22には、中間部材としての第一の半筒金具38が固着されている。第一の半筒金具38は、金属などで形成された硬質の部材であって、図6に示すように、本実施形態では略半円筒形状とされていると共に、周方向中央部分には径方向に貫通する貫通孔40が軸方向の複数箇所に形成されている(図2参照)。更に、第一の半筒金具38の軸方向両端部には、支持平板部42がそれぞれ設けられている。支持平板部42は、図1,2に示すように、第一の半筒金具38の周方向中間部分に設けられて、第一の半筒金具38の接線方向に広がる平板状とされており、本実施形態では、第一の半筒金具38の周方向中央において、上下方向に対して略直交するように広がって設けられている。なお、第一の半筒金具38は、支持平板部42を除く略全体が半円筒形状とされており、軸方向両端部に設けられた支持平板部42,42の軸方向間の領域も湾曲板形状とされている。
そして、第一の半筒金具38は、図6に示すように、第一の半筒体22の径方向中央よりも内周側で第一の半筒体22に略埋設状態で加硫接着されており、支持平板部42を含む軸方向の両端部が第一の突出部34に固着されている。更に、支持平板部42は、図4に示すように、第一の突出部34の周方向中央部分に設けられた切欠き36に位置決めされており、軸方向内側の端部が第一の突出部34に固着されていると共に、軸方向外側部分が切欠き36において第一の突出部34から露出している。更にまた、第一の半筒金具38の軸方向両端部は、周方向の両端部においても切欠き36において第一の突出部34から露出しており、周方向両端面が軸方向端部において第一の突出部34で覆われることなく下向きに露出している。
第二の半筒体24は、図4〜6に示すように、全体として略半円筒形状を有していると共に、軸方向両端部分が軸方向中央部分よりも厚肉とされており、周方向の全体に亘って延びる第二の溝状凹面44が、軸方向中央部分で外周面に開口して形成されている。
さらに、第二の半筒体24には、軸方向外側へ突出する第二の突出部46が軸方向の両側に一体形成されている。この第二の突出部46は、第二の半筒体24の内周部分において軸方向外側へ突出して形成されており、軸方向外端部の内周面と外周面が軸方向に対して傾斜するテーパ面とされて、第二の突出部46の軸方向外端部が軸方向外側へ向けて径方向で幅狭となっている。更に、第二の突出部46には、周方向の複数箇所に切欠き48が形成されている。この切欠き48は、第二の突出部46の周方向両端部と周方向中央部に形成されており、切欠き48の形成部分において第二の突出部46の突出高さが小さくされている。
また、第二の半筒体24には、中間部材としての第二の半筒金具50が固着されている。第二の半筒金具50は、第一の半筒金具38を上下反転させた構造とされていることから、図中の各部に第一の半筒金具38と同一の符号を付すことで各部の説明は省略する。
そして、第二の半筒金具50は、第二の半筒体24の径方向中央よりも内周側で第二の半筒体24に略埋設状態で加硫接着されており、支持平板部42を含む軸方向の両端部が第二の突出部46に固着されている。更に、支持平板部42は、第二の突出部46の周方向中央部分に設けられた切欠き48に位置決めされており、軸方向内側の端部が第二の突出部46に固着されていると共に、軸方向外側部分が切欠き48において第二の突出部46から露出している。更にまた、第二の半筒金具50の軸方向両端部は、周方向の両端部においても切欠き48において第一の突出部34から露出しており、周方向両端面が第二の突出部46で覆われることなく下向きに露出している。
また、第一の半筒体22と第二の半筒体24は、周方向端部52,52が連結部54によって一体的に連結されている。連結部54は、図5,6に示すように、薄肉帯状のゴム弾性体で形成されており、第一の半筒体22および第二の半筒体24の軸方向寸法よりも小さな幅寸法で、それら第一の半筒体22と第二の半筒体24の軸方向中央部分に一体形成されている。更に、連結部54は、扁平な断面形状を備えていることによって、厚さ方向に容易に曲げ変形可能とされていると共に、面方向では厚さ方向に比して曲げ変形が生じ難くなっている。
更にまた、連結部54の一方の端部が連結点55において第一の半筒体22の周方向端部52に一体でつながっていると共に、他方の端部が連結点55において第二の半筒体24の周方向端部52に一体でつながっている。要するに、本実施形態の本体ゴム弾性体12では、連結部54を備えることによって、第一の半筒体22と第二の半筒体24が一体形成されている。なお、連結部54の連結点55,55は、第一,第二の半筒体22,24の周方向端面よりも周方向内側(周方向中央側)に設定されており、第一,第二の半筒体22,24の周方向中央よりも周方向端部52,52側に偏倚した周方向中間部分において、連結部54が第一,第二の半筒体22,24の外周面から延び出している。従って、第一,第二の半筒体22,24の周方向端部52,52は、連結部54の連結点55,55よりも更に周方向中央から離れた周方向外側まで延び出している。なお、第一,第二の半筒体22,24の周方向外側とは、第一,第二の半筒体22,24の周方向中央から周方向でより大きく離れる側を言う。
より具体的には、第一の半筒体22と第二の半筒体24における近接側の周方向端部52,52には、図5,6に示すように、それぞれ分割凹部56が形成されている。この分割凹部56は、第一の半筒体22および第二の半筒体24の軸方向寸法よりも幅寸法を小さくされた切欠き状の凹部であって、第一の半筒体22と第二の半筒体24の軸方向中央部分において、外周面および周方向端面に開口して、略一定の矩形断面形状で周方向に所定長さで溝状に延びている。そして、連結部54の一方の端部が、第一の半筒体22における分割凹部56の周方向内側の壁内面(図6中の上壁内面)につながっていると共に、連結部54の他方の端部が、第二の半筒体24における分割凹部56の周方向内側の壁内面(図6中の上壁内面)につながっており、連結部54が第一の半筒体22および第二の半筒体24と一体形成されている。なお、連結部54と第一の半筒体22および第二の半筒体24との連結点55,55は、連結部54と分割凹部56,56の壁内面の接続位置に設定されている。
また、図5に示すように、連結部54の幅寸法wは、分割凹部56,56の幅寸法Wよりも小さくされている。更に、連結部54は、分割凹部56,56の幅方向中央部分に設けられている。これらにより、連結部54の幅方向両端が、分割凹部56,56幅方向の壁内面に対して、幅方向内側に離れている。なお、本実施形態では、第一の半筒体22の分割凹部56が第一の溝状凹面32の溝底面に開口して形成されていると共に、第二の半筒体24の分割凹部56が第二の溝状凹面44の溝底面に開口して形成されている。
また、第一の半筒体22と第二の半筒体24が並列的に並んで配された図6に示す状態において、連結部54の長さ方向の端部である接続端部58,58は、第一の半筒体22と第二の半筒体24の外周面における接続部位での接線方向に対して、外周側へ傾斜して延び出していると共に、上下方向(図6中の上下方向)と直交して広がる平面に対して傾斜している。更に、接続端部58,58をつなぐ中間部としての中央保持部60が、図6中の上下方向と略直交して広がる平面に対して接続端部58,58よりも小さな傾斜角度の大きさで広がっており、接続端部58,58と中央保持部60が相対的に傾斜して広がっている。
本実施形態では、連結部54の接続端部58,58と中央保持部60がそれぞれ略平板形状とされており、中央保持部60が図6中の上下方向と略直交して広がっていると共に、接続端部58,58が中央保持部60に対してそれぞれ略同じ傾斜角度の大きさで傾斜して、中央保持部60から離れるに従って上傾している。これにより、本実施形態の連結部54は、図6に示すように、全体として、第一の半筒体22と第二の半筒体24の周方向端面が位置する下方に向けて凸となる断面形状を有している。なお、第一の半筒体22と第二の半筒体24が並列的に並んで配された図6に示す状態において、第一の半筒体22と第二の半筒体24の周方向端面は、図6中の上下方向と略直交して広がっている。
そして、連結部54を厚さ方向に曲げ変形させることで、第一の半筒体22と第二の半筒体24を相互に向い合わせに配置されるように変位させることが可能とされている(図7参照)。このような連結部54の曲げ変形を伴う第一の半筒体22と第二の半筒体24の相対移動によって、スタビライザバー16に外挿装着可能な筒状とされた本体ゴム弾性体12が、第一の半筒体22と第二の半筒体24によって構成される。なお、第一の半筒体22と第二の半筒体24の周方向端部52,52を突き合わせて、それら第一の半筒体22と第二の半筒体24の周方向端面を相互に重ね合わせた図7の状態では、連結部54の長さ寸法が、連結部54の両端である連結点55,55間の直線距離L’よりも大きくされている。これにより、連結部54を長さ方向に大きく引き伸ばすことなく、第一の半筒体22と第二の半筒体24をスタビライザバー16の外周面に装着することが可能とされている。
さらに、第一の半筒体22と第二の半筒体24の周方向端面を突き合わせた図7の状態では、第一の半筒体22の分割凹部56と第二の半筒体24の分割凹部56が、周方向に接続されており、それら分割凹部56,56によって本体ゴム弾性体12の外周面に開口する凹所62が形成されている。なお、図7の状態において、本実施形態の連結部54は、接続端部58,58が長さ方向の中間部分で折れ曲がっており、連結部54の長さ方向の両端部が本体ゴム弾性体12から外周側へ延び出していると共に、連結部54の長さ方向の中央部分が凹所62に向けて凸となる形状を呈している。
また、本体ゴム弾性体12の外周面には、ブラケット18が装着される。ブラケット18は、金属などで形成された高剛性の部材であって、図1〜3に示すように、第一金具64と第二金具66を備えている。
第一金具64は、前後中央部分が浅底溝状の第一溝状部68とされており、第一溝状部68の前後一対の側壁部の上端には、前後外側へ広がる第一取付片70がそれぞれ一体形成されていると共に、各第一取付片70には上下に貫通する第一ボルト孔72が形成されている。
第二金具66は、前後中央部分が第一金具64の前後中央部分よりも深い溝状の第二溝状部74とされており、第二溝状部74が、前後方向に対して略直交して広がる平板形状を呈する前後一対の溝側壁部76,76と、それら一対の溝側壁部76,76の下端を相互につなぐ略半筒形状の溝底壁部78とを、一体で備えている。更に、第二金具66の一対の溝側壁部76,76の上端には、前後外側へ広がる板状の第二取付片80がそれぞれ一体形成されていると共に、各第二取付片80には上下に貫通する第二ボルト孔82が形成されている。なお、溝側壁部76の左右両端部は、前後内側へ傾斜して広がっている。
そして、第一金具64と第二金具66が上下方向で相互に組み合わされることにより、ブラケット18が構成される。即ち、第一金具64の第一取付片70と第二金具66の第二取付片80が上下に当接状態で重ね合わされると共に、第一金具64の第一溝状部68が第二金具66の第二溝状部74に差し入れられた状態で、ブラケット18が第一金具64と第二金具66によって構成される。なお、第一金具64と第二金具66は、第一溝状部68が第二溝状部74に嵌め入れられて仮に連結されるようになっていても良いが、後述するスタビライザブッシュ10の車両への装着に際して、第一取付片70と第二取付片80が第一ボルト孔72と第二ボルト孔82に挿通される後述するボルト84によって連結されることにより、相互に固定されてブラケット18を構成するようになっている。
このように、ブラケット18は、本体ゴム弾性体12の外周面に装着されており、本体ゴム弾性体12を備えるスタビライザブッシュ10が、第一金具64の第一溝状部68と第二金具66の第二溝状部74の上下間に配設されている。そして、第一金具64の第一溝状部68の底壁部が、本体ゴム弾性体12を構成する第一の半筒体22の上平面30に重ね合わされると共に、第二溝状部74の溝側壁部76,76の各一方が、第一の半筒体22の前平面26と後平面28に重ね合わされる一方、第二金具66の第二溝状部74の溝底壁部78が、第二の半筒体24の外周面に重ね合わされる。本実施形態では、ブラケット18が本体ゴム弾性体12に装着されることで、ブラケット18が本体ゴム弾性体12の外周面に押し当てられて、本体ゴム弾性体12がブラケット18とスタビライザバー16の間で径方向に圧縮される。
また、第一の半筒体22の第一の突出部34と第二の半筒体24の第二の突出部46は、図1に示すように、何れもブラケット18の第一金具64と第二金具66から径方向で内周側へ離れて配置されていることから、それら第一の突出部34と第二の突出部46はスタビライザブッシュ10のばね特性への影響が小さくされている。
なお、ブラケット18は、スタビライザブッシュ10の本体ゴム弾性体12の外周面に装着されると共に、ブラケット18の第一取付片70および第二取付片80が、第一ボルト孔72と第二ボルト孔82に挿通されるボルト84によって車両ボデー20に固定される。これにより、スタビライザブッシュ10は、スタビライザバー16に外挿状態で取り付けられると共に、ブラケット18を介して車両ボデー20に取り付けられて、スタビライザバー16と車両ボデー20を防振連結するようになっている。そして、このようなスタビライザブッシュ10の車両装着状態において、スタビライザバー16と車両ボデー20の間に振動が入力されると、それらスタビライザバー16と車両ボデー20の間に介装されたスタビライザブッシュ10の本体ゴム弾性体12が弾性変形することにより、振動減衰や振動絶縁による防振効果が発揮される。
なお、上述した連結部54の変形を伴うスタビライザブッシュ10の形成は、スタビライザブッシュ10のスタビライザバー16への装着時に行うことも可能であり、特に、スタビライザブッシュ10をスタビライザバー16に外挿状態で装着した後に、スタビライザブッシュ10を後述するブラケット18によって車両ボデー20に装着することにより、第一の半筒体22の周方向端面と第二の半筒体24の周方向端面が相互に重ね合わされた状態に保持することもできる。この場合には、本体ゴム弾性体12は、第一の半筒体22と第二の半筒体24がスタビライザバー16を径方向両側から挟み込むように配置されることにより、スタビライザバー16の所定の位置に外挿された状態で構成される。また、本体ゴム弾性体12は、後述するブラケット18の装着によってスタビライザバー16に対して非接着で外嵌装着されるようにしても良いが、本実施形態では、第一の半筒体22および第二の半筒体24の内周面に接着剤が塗布されるなどして、本体ゴム弾性体12の内周面がスタビライザバー16に接着される。
また、図3に示すように、第一の半筒体22と第二の半筒体24の周方向端部52,52が突き合わされたスタビライザブッシュ10の車両への装着状態では、本体ゴム弾性体12の外周面に開口する凹所62の開口部が、ブラケット18によって覆蓋されている。そして、凹所62の上下壁内面から延び出した連結部54が、凹所62に収容されて、凹所62の底面とブラケット18の径方向間に配されている。
さらに、凹所62の深さ寸法が連結部54の厚さ寸法よりも大きくされており、ブラケット18の装着状態において、連結部54が凹所62に隙間をもって収容されている。なお、本実施形態では連結部54が全体に亘って略一定の厚さで形成されているが、例えば接続端部58,58が中央保持部60よりも薄肉とされているなど、連結部54の厚さ寸法が長さ方向で変化していても良く、そのような場合には、凹所62の深さ寸法が連結部54の最大厚さ寸法よりも大きくされることが望ましい。
また、スタビライザブッシュ10の車両への装着状態において、連結部54の長さ寸法は、第一の半筒体22と第二の半筒体24の連結部54による連結点55,55間の直線距離Lよりも大きくされており、少なくともスタビライザブッシュ10が車両に装着された状態では、連結部54が弛みを有している。ここでいう連結部54の長さ寸法とは、連結部54の厚さ方向中央における長さ寸法であるが、より好適には、連結部54の最小長さ寸法が、連結点55,55間の直線距離Lよりも大きくされる。なお、図3に示すスタビライザブッシュ10の車両への装着状態では、スタビライザブッシュ10単体で第一の半筒体22と第二の半筒体24の周方向端面を重ね合わせた図7の状態に比して、本体ゴム弾性体12がブラケット18によって径方向に圧縮されていることから、凹所62の上下長さと略同じとなる連結点55,55間の直線距離が小さくなっている(L<L’)。
本実施形態では、図3に示すように、連結部54の接続端部58,58がブラケット18の第二金具66の溝側壁部76に当接していると共に、連結部54の中央保持部60が凹所62の底面において本体ゴム弾性体12に当接しており、それらブラケット18と凹所62の底面との間で弾性的に位置決めされる。特に、連結部54の接続端部58,58が、図6に示すブラケット18が装着される前の状態において、本体ゴム弾性体12の接線方向に対して外周側へ傾斜して延び出していることから、図3に示すブラケット18の装着状態では、接続端部58,58がブラケット18によって内周側へ倒れるように押し込まれている。これにより、スタビライザブッシュ10の車両への装着状態において、連結部54における接続端部58,58のブラケット18への当接状態と、連結部54における中央保持部60の本体ゴム弾性体12への当接状態が、接続端部58,58の弾性によって安定して実現されている。なお、連結部54における各接続端部58の長さ方向両端部が、本体ゴム弾性体12とブラケット18の各一方に押し当てられており、接続端部58が本体ゴム弾性体12とブラケット18の間で圧縮されている。
さらに、連結部54は、接続端部58,58が少なくとも長さ方向の外側部分において本体ゴム弾性体12から外周側へ離れていると共に、中央保持部60がブラケット18の溝側壁部76から内周側へ離れている。本実施形態では、連結部54におけるブラケット18への当接部分において、内周側の本体ゴム弾性体12との間に空間が形成されていると共に、連結部54における本体ゴム弾性体12への当接部分において、外周側のブラケット18との間に空間が形成されている。要するに、本実施形態の連結部54は、本体ゴム弾性体12への当接箇所とブラケット18への当接箇所が長さ方向の異なる位置に設定されており、ブラケット18と本体ゴム弾性体12に対して長さ方向で交互に当接している。
このような本実施形態に従う構造とされたスタビライザブッシュ10は、第一の半筒体22と第二の半筒体24を相互に連結する連結部54の長さ寸法が、スタビライザブッシュ10の車両への装着状態において、第一の半筒体22と第二の半筒体24の連結部54による連結点55,55間の直線距離Lよりも大きくされている。それゆえ、連結部54の変形を伴って第一の半筒体22と第二の半筒体24を向かい合わせに配置する際などに、連結部54に引張応力が作用し難く、連結部54の優れた耐久性が実現されることから、目的とする防振性能を長期に亘って安定して得ることができる。
また、本体ゴム弾性体12の外周面に開口する凹所62が形成されていることにより、連結部54を凹所62に収容することで、本体ゴム弾性体12の外周面における連結部54の突出寸法が小さくなる。その結果、例えば、ブラケット18を本体ゴム弾性体12の外周面に装着する際に、連結部54がブラケット18に干渉し難くなって、ブラケット18を本体ゴム弾性体12に対して容易に装着することができる。しかも、連結部54が本体ゴム弾性体12とブラケット18の径方向間で強く圧縮されるのを回避することで、連結部54の耐久性の向上が図られると共に、連結部54が防振性能に及ぼす影響を低減することも可能となる。
本実施形態の連結部54は、薄肉で且つある程度の幅を有する帯状とされていることから、本体ゴム弾性体12の外周面上に突出し難くなっていると共に、十分な耐久性が確保されている。しかも、薄肉であることから、厚さ方向の曲げ変形に対する断面二次モーメントが小さく、第一の半筒体22と第二の半筒体24の相対変位を妨げ難くなっている。一方、面方向の曲げ変形は、厚さ方向の曲げ変形に比して断面二次モーメントが大きくなることから、第一の半筒体22と第二の半筒体24は、連結部54の厚さ方向の曲げ変形を伴う相対変位を許容されつつ、両半筒体22,24の相対的な軸方向変位を生ずるような連結部54の面方向の曲げ変形を伴う相対変位が制限されている。
また、連結部54が、本体ゴム弾性体12の外周面における凹所62の底面と、ブラケット18に予め当接した状態で配されており、連結部54の凹所62内での変形や変位が抑えられることで、連結部54と本体ゴム弾性体12やブラケット18の打ち当たりによる打音などが防止され得る。
特に本実施形態では、連結部54が本体ゴム弾性体12とブラケット18の両方に当接していると共に、連結部54の本体ゴム弾性体12への当接部分と、連結部54のブラケット18への当接部分が、連結部54の長さ方向で相互に異なる位置に設定されている。具体的には、連結部54の接続端部58,58がブラケット18に当接すると共に、連結部54の中央保持部60が本体ゴム弾性体12に当接している。これによれば、連結部54が本体ゴム弾性体12とブラケット18の間で厚さ方向に挟圧されることなく支持されることから、連結部54の変形や変位を制限しつつ、連結部54の耐久性の向上も図られ得る。
さらに、連結部54の接続端部58,58が本体ゴム弾性体12から外周へ離れていると共に、連結部54の中央保持部60がブラケット18から内周へ離れており、連結部54が凹所62に収容された状態で凹所62内に空間が存在している。これにより、連結部54や凹所62における形状やサイズの誤差などが許容されて、連結部54を凹所62に対して収容状態で配することができる。
本実施形態では、第一の半筒体22と第二の半筒体24が並列的に配された図6に示す状態において、連結部54が第一,第二の半筒体22,24の周方向端面側(図6中の下側)に向けて凸となる形状を呈しており、第一の半筒体22と第二の半筒体24を向かい合う位置まで変位させた図7に示す状態では、連結部54の中央部分が凹所62に向けて凸となる形状とされている。このように、連結部54が凸形の断面形状を有していることにより、連結部54の両端部と中央部を本体ゴム弾性体12とブラケット18の各一方に当接させつつ、連結部54を収容した凹所62において空間を設けることが、簡単に実現可能とされている。更に、連結部54の凸面側が凹所62に差し入れられることで、連結部54の中央部分を構成する中央保持部60が、本体ゴム弾性体12に当接状態で保持され易くなって、連結部54の凹所62内での変位が効果的に制限されることから、打音の発生などがより有利に防止される。
しかも、連結部54の中央保持部60が略平板形状とされていることにより、スタビライザブッシュ10の車両への装着状態において、連結部54の中央保持部60を凹所62の底面に広い面積で当接させることができて、中央保持部60の厚さ方向の変位量を効果的に低減することで打音などを有利に防ぐことが可能となり得る。
更にまた、中央保持部60よりも傾斜角度の大きい接続端部58,58が略平板形状とされていることにより、本体ゴム弾性体12およびブラケット18への当接によって接続端部58,58の各長さ方向両端に作用する反力が、接続端部58,58の長さ方向の圧縮ばねによって比較的に大きく発揮される。それゆえ、連結部54を本体ゴム弾性体12およびブラケット18に当接させることによる連結部54の変位の抑制効果が、より有利に発揮され得て、打音などの発生を回避することができる。
また、連結部54の幅寸法が第一の半筒体22および第二の半筒体24の軸方向寸法よりも小さくされていることにより、連結部54の形成によってスタビライザブッシュ10のばね特性に及ぼされる影響が限定的となって、優れた防振性能を実現することができる。しかも、連結部54が第一の半筒体22および第二の半筒体24の軸方向中央部分に配されていることにより、例えばこじり方向の振動入力に対する防振性能への影響などがより低減されて、防振性能の向上が図られ得る。同様に、凹所62の幅寸法が第一,第二の半筒体22,24の軸方向寸法よりも小さくされていることや、凹所62が第一,第二の半筒体22,24の軸方向中央部分に形成されていることによっても、凹所62の形成による防振性能への影響が抑えられ得る。
しかも、比較的に幅狭な連結部54が、第一の半筒体22および第二の半筒体24の軸方向中央部分に配されていることにより、連結部54の変形を伴いながら第一の半筒体22と第二の半筒体24を相対変位させる際に、連結部54の弾性が第一の半筒体22と第二の半筒体24の変位の邪魔になるのを防ぐこともできる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態で示した連結部54の具体的な形状は、あくまでも例示であって、適宜に変更され得る。具体的には、前記実施形態では略一定の断面形状で延びる帯状の連結部54を示したが、例えば、紐状などの別形状や長さ方向で断面が変化する形状などであっても良い。また、平らな接続端部58,58と中央保持部60をつないだ形状の連結部54を例示したが、例えば、全体が連続的に湾曲する湾曲帯状とすることも可能であり、連結部54の傾斜角度は、長さ方向で段階的に変化していても良いし、連続的に変化していても良い。
さらに、連結部54は、第一の半筒体22と第二の半筒体24が並列的に配された状態で、それら半筒体22,24の周方向端面側に向けて凸となる形状であることが望ましいが、例えば半筒体22,24の周方向端面側に向けて凹となる形状などの他の形状を採用することもできる。
また、連結部54は、引張などの外力が作用していない初期形状での長さが、スタビライザブッシュ10の車両への装着状態における連結点55,55間の直線距離Lよりも大きくされていれば良い。したがって、例えば、スタビライザブッシュ10がスタビライザバー16に外挿され、且つブラケット18によって上下に圧縮されていない状態では、初期形状の連結部54の長さが連結点55,55間の直線距離よりも小さくされて、連結部54が一時的に伸ばされるようになっていても良い。尤も、より好適には、連結部54の長さは、スタビライザブッシュ10を車両に装着する過程において、常に連結点55,55間の直線距離よりも大きくされる。
また、連結部54が凹所62に収容されたスタビライザブッシュ10の車両への装着状態において、連結部54が凹所62内を略隙間なく充填するようになっていても良く、特に連結部54が凹所62に圧縮状態で収容されるようにしても良い。これによれば、連結部54が本体ゴム弾性体12の一部としてより効果的に機能して、連結部54や凹所62を形成することによる防振特性への影響がより小さくなり得る。なお、凹所62の具体的形状は限定されるものではなく、凹所62の底面を湾曲形状としたり、深さ寸法の一定でない凹所62などを採用することも可能である。
また、前記実施形態では、第一の半筒体22に第一の半筒金具38が固着されていると共に、第二の半筒体24に第二の半筒金具50が固着されているが、第一,第二の半筒金具38,50は本発明において必須ではない。更に、第一,第二の半筒金具38,50にそれぞれ設けられた支持平板部42も必須ではない。