以下、本開示の電子通貨利用情報システム1、電子通貨税申告支援システム2及び電子通貨利用情報支援システム3の構成及び機能について、図面を参照して説明する。説明において同様の要素には同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。本開示において、「電子通貨」は、暗号通貨を含み、貨幣と同様に物やサービスと交換可能な対価となるデジタル情報を意味する。「暗号通貨」は、仮想通貨とも呼ばれ、中央銀行等の通貨の管理主体が存在せず、インターネット等の通信ネットワークに接続された所定の取引所を介して、物やサービス、及び法定通貨と交換できるデジタル情報を意味する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る電子通貨利用情報システム1の構成について説明するための図である。図1に示されるように、電子通貨利用情報システム1は、それぞれ通信ネットワーク19に接続された個人情報サーバ11、取引所取引サーバ12及び利用者端末13を有している。また、更に相手端末14を有していてもよい。相手端末14は、他の利用者端末、若しくはPOS(Point of Sales)端末等の決済端末又は投資に係るレンディング業者等の取引用端末であってもよい。利用者端末13及び相手端末14は、例えば、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末及びウェアラブル端末のいずれかとすることができる。個人情報サーバ11及び取引所取引サーバ12は、例えば、クラウドサーバやエッジコンピューティングのサーバとすることができる。
取引所取引サーバ12は、通信ネットワーク19を介して、電子通貨の取引を記録する処理を行うと共に、取引の履歴をサーバ取引履歴情報として記録する。取引所取引サーバ12は、電子通貨の取引の管理サーバであり、特に暗号通貨の場合には取引所(ノード)及びウォレットを含むものとすることができる。そのため、取引では、一般に複数の取引所取引サーバ12を経由するが、本実施形態では、説明が複雑になりすぎるのを避けるため、利用者端末13及び相手端末14は、それぞれ利用者端末側の取引所取引サーバ12及び相手端末側の取引所取引サーバ12と接続するものとして説明する。利用者端末13は、電子通貨の利用者アカウントを用いて、相手アカウントに対する電子通貨の取引要求を利用者端末側の取引所取引サーバ12に送信すると共に、利用者アカウントにおける取引の履歴を端末取引履歴情報として記録する。個人情報サーバ11は、例えば住所、氏名、生年月日、マイナンバー、電話番号等の個人情報が登録され、個人情報が登録された利用者に係るサーバ取引履歴情報を受信する。ここで、個人情報サーバ11は、いわゆる情報銀行において管理される個人情報が保存されたサーバ装置の意味を含む。相手端末14は、取引所取引サーバ12を介して電子通貨の取引を行う利用者端末13の取引相手となる相手アカウントを管理する端末である。ここで、個人情報サーバ11及び利用者端末13のいずれかは、端末取引履歴情報に含まれ、サーバ取引履歴情報に含まれない取引履歴のうち、個人情報サーバ11に登録されていないアカウントを抽出し、未登録者アカウント情報として記録する。
図2は、個人情報サーバ11のハードウェア構成の一例について示す図である。この図に示されるように、個人情報サーバ11は、主に半導体回路素子を用いた電子回路で構成された、いわゆる情報処理装置とすることができる。例えば、CPU(Central Processing Unit)111、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶部112、フラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性記憶部113、及び通信ネットワーク19に接続するためのネットワークインタフェース114を有することができる。なお、取引所取引サーバ12のハードウェア構成も、個人情報サーバ11の構成と同様とすることができる。
図3は、利用者端末13のハードウェア構成の一例について示す図である。図2の個人情報サーバ11と同様に、いわゆる情報処理装置とすることができる。例えば、個人情報サーバ11と同様に、CPU131、揮発性記憶部132、不揮発性記憶部133、及びネットワークインタフェース134を備え、更に表示装置、キーボード、タッチパネル等の入出力機器136、及び入出力機器136を接続するための回路素子である入出力機器インタフェース135を有していてもよい。なお、相手端末14のハードウェア構成も、利用者端末13の構成と同様とすることができる。以下、電子通貨利用情報システム1の具体的な処理について説明するが、電子通貨利用情報システム1により行われる処理は、上述のハードウェアを動作させるソフトウェアによって実現されるものとすることができる。この場合において、各端末や各サーバに実装されるソフトウェアは、API(Application Programming Interface)として実装されることとしてもよい。
図4乃至6は、電子通貨利用情報システム1の処理の例について示すシーケンス図である。図4に示されるように、利用者端末13は、利用者の個人情報を個人情報サーバ11に送信し(ステップS101)、個人情報サーバ11において保存する。ここで、利用者は、個人情報サーバ11に登録された自身の個人情報が、第三者に提供される範囲や条件について予め定めることができる。また、利用者は、個人情報サーバ11が、取引所取引サーバ12から利用者の電子通貨の取引についての情報を取得することについて認めることができる。電子通貨の取引についての情報を取得することについて認める場合には、利用者端末13は、電子通貨の取引に利用するアカウント情報、及び取引所取引サーバ12にアクセスするためのアクセス情報を個人情報サーバ11に送信し、個人情報サーバ11は、アカウント情報及びアクセス情報を登録し、登録されたアカウントのサーバ取引履歴情報を受信するものとしてもよい。本シーケンス図においては、相手端末14を使用する取引相手も個人情報を個人情報サーバ11に登録しているものとしている(ステップS102)。
利用者端末13が、電子通貨の利用者アカウントを用いて、相手アカウントとの取引を希望する場合には、相手アカウントに対する取引要求を利用者端末側の取引所取引サーバ12に送信する(ステップS103)。取引要求を受信した利用者端末側の取引所取引サーバ12は相手端末側の取引所取引サーバ12に取引要求を送信し、利用者端末側の取引所取引サーバ12、及び取引要求を受信した相手端末側の取引所取引サーバ12は、電子通貨取引処理S104を開始する。電子通貨取引処理S104において、相手端末側の取引所取引サーバ12は、更に取引要求を相手端末14に送信し(ステップS105)、取引相手が相手端末14の操作において取引要求を了承する旨の操作を行った場合には、応答を受信する(ステップS106)。利用者端末側の取引所取引サーバ12は、相手端末側の取引所取引サーバ12を経由して応答を受信する。相手端末側の取引所取引サーバ12及び利用者端末側の取引所取引サーバ12は、アカウント間での電子通貨の移動の処理を行い、それぞれ相手端末14及び利用者端末13に結果を通知する(ステップS107)。
電子通貨取引処理S104を行った各取引所取引サーバ12は、取引の履歴をサーバ取引履歴情報として記録する(ステップS108)。利用者端末13及び相手端末14においても、取引の履歴を、それぞれの端末取引履歴情報として記録する(ステップS109及びS110)。記録内容には、例えば、取引日時、電子通貨の種類及び単位数、法定通貨を利用した場合には法定通貨の種類とその額等を含んでいてもよい。更に、利用者端末13及び相手端末14がそれぞれ利用したアカウント番号、利用端末情報、アクセス回線情報等を含んでいてもよい。ここで、利用端末情報は、例えば、OS(Operating System)の種類、利用したブラウザ等のアプリケーション名、MAC(Media Access Control address)アドレスやIMEI(International Mobile Equipment Identity)等を含むことができる。アクセス回線情報には、インターネット回線事業者名、インターネット接続事業者名、IP(Internet Protocol)アドレス等を含むことができる。
個人情報サーバ11は、例えば取引毎や所定期間経過毎等において、各取引所取引サーバ12に対してサーバ取引履歴情報を要求し(ステップS111)、取得を許可している登録利用者(本シーケンス図において利用者及び取引相手)の取引履歴を受信する(ステップS112)。
図5は、図4のシーケンス図において、個人情報サーバ11が、相手アカウントのサーバ取引履歴情報を取得しない場合について示す図である。図5に示されるように、相手端末14を使用する取引相手が個人情報サーバ11に自身の個人情報を登録せず、サーバ取引履歴情報の取得を許容していない(ステップS102なし(点線表示))。この場合には、個人情報サーバ11は、相手アカウントのサーバ取引履歴情報を取得できず、利用者アカウントのサーバ取引履歴情報のみを取得する(図5のステップS112)。その他の処理については、図4のシーケンス図と同様であるため、重複する説明を省略する。
サーバ取引履歴情報を取得した個人情報サーバ11は、図6のフローチャートに進み、利用者端末13から端末取引履歴情報を受信する(ステップS113)。ここで、利用者端末13は、個人情報サーバ11の要求に応じて、又は自発的に、個人情報サーバ11に端末取引履歴情報を送信することができる。端末取引履歴情報を受信した個人情報サーバ11は、取引履歴比較処理S200を行う。
図7は、取引履歴比較処理S200について示すフローチャートである。このフローチャートに示されるように、まず、端末取引履歴情報の内容とサーバ取引履歴情報の内容とを比較し、差異があるかどうかを判断する(ステップS201)。差異がない場合には(ステップS201:No)、処理を終了する。差異がある場合には(ステップS201:Yes)、差異がある旨を利用者端末13の画面に表示してもよい(ステップS202)。次に、差異がある取引が実質的に同一かどうかを判断し(ステップS203)、実質的に同一の場合には(ステップS203:Yes)、同一となるように差異を修正して保存し(ステップS204)、処理を終了する。「実質的に同一」とは、例えば、一方の情報に漏れ等があり、差異として検出されたが、実際には同一の処理である場合等が挙げられる。「実質的に同一」かどうかの判断は、例えば、個人情報サーバ11内で、他の情報が一致するかどうかにより判断することとしてもよいし、利用者端末13に表示し、利用者に同一の取引かどうか判断させること等としてもよい。
実質的に同一でない場合には(ステップS203:No)、差異がある取引が、端末取引履歴情報に含まれ、サーバ取引履歴情報に含まれない取引履歴かどうかを判断する(ステップS205)。ステップS205の判断が否定的である場合には、サーバ取引履歴情報の当該履歴のレコードに確認済を示す内容を記録して(ステップS206)、処理を終了する。ステップS205の判断が肯定的である場合には(ステップS205:Yes)、端末取引履歴情報の当該履歴のレコードをサーバ取引履歴情報に追加し(ステップS207)、取引制限設定処理S210に移行する。この際、サーバ取引履歴情報に含まれ、端末取引履歴情報に含まれない取引履歴がある場合には、サーバ取引履歴情報の当該履歴のレコードを、利用者端末13に送信して端末取引履歴情報に追加することとしてもよい。取引制限設定処理S210では、追加された取引履歴のアカウントが、個人情報サーバ11に登録されたアカウントかどうかを判定する(ステップS211)。登録されたアカウントである場合には(ステップS211:Yes)、処理を終了する。登録されたアカウントでない場合には(ステップS211:No)、当該アカウントの情報を未登録アカウント情報として記録する(ステップS212)。ここで、既に未登録アカウント情報に記録されているアカウントである場合には、その未登録アカウント情報に取引日時や取引額等の取引履歴情報を加えることとしてもよい。次に、記録された未登録アカウント情報に係るアカウントが取引制限の条件を満たすかどうかについて判定する(ステップS213)。取引制限の条件を満たさない場合には(ステップS213:No)、相手端末14に対して個人情報サーバ11に登録を促すメッセージを送信する処理を行い(ステップS800)、処理を終了する。取引制限の条件を満たす場合には(ステップS213:Yes)、取引制限要求を取引所取引サーバ12に送信する(ステップS215)。ここで、取引制限の条件は、累計取引額、1回の取引額、及び取引回数のうち、少なくとも1つに係る条件を満たす場合に行われることとすることができる。例えば、累計取引額が所定額以上となった場合、1回の取引額が所定額以上であった場合、取引回数が所定回数を上回った場合等に取引制限要求を送信することとすることができる。また、取引制限要求は、利用者端末13に送信することとしてもよいし、取引所取引サーバ12と利用者端末13との両方に送信することとしてもよい。
図8は、相手端末14に対して個人情報サーバ11に登録を促すメッセージを送信する処理(未登録者メッセージ送信処理)S800の例について説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示されるように、相手端末14に対して個人情報サーバ11に登録を促すメッセージを送信する処理S800では、まず、個人情報サーバ11は、相手端末14の取引履歴からアクセス回線情報を取得し(ステップS801)、取得したアクセス回線情報から通信回線事業者を特定する(ステップS802)。次に、個人情報サーバ11は、特定した通信回線事業者から未登録者の連絡先を取得し(ステップS803)、取得した連絡先に個人情報サーバ11に登録することを促すメッセージを送信する(ステップS804)。メッセージを受信した相手端末14は、受信した、個人情報サーバ11に登録を促すメッセージを表示する。
図8のフローチャートでは、個人情報サーバ11がメッセージを送信することとしたが、個人情報サーバ11が、通信回線事業者の情報処理サーバに対してメッセージを送るよう要求し、要求を受信した事業者の情報処理サーバが、未登録者の連絡先に、個人情報サーバ11に登録することを促すメッセージを送ることとしてもよい。また、個人情報サーバ11は、通信回線事業者から取得した未登録者の連絡先を国税庁等の機関に提供し、当該機関の情報処理サーバが、未登録者の連絡先に、個人情報サーバ11に登録することを促すメッセージを送ることとしてもよい。また、個人情報サーバ11から登録を促すメッセージを送るよう要求された取引所取引サーバ12が、未登録者が所有する相手端末14が取引を行う際に、相手端末14に対して個人情報サーバ11に登録することを促すメッセージを送ることとしてもよい。
図6に戻り、取引制限要求を受信した取引所取引サーバ12は、取引所取引サーバ12内でのサーバ取引制限処理S126を行い、更に取引制限要求を利用者端末13に送信する(ステップS127)。取引制限要求を受信した利用者端末13は、端末取引制限処理S128を行う。利用者端末13は、更に取引制限確認処理S300を行うこととしてもよい。利用者端末13において、取引制限確認処理S300は、相手アカウントに対する取引要求を送信する操作が行われた際に、行うこととしてもよい。
図9は、取引制限確認処理S300における、取引制限の判定の例について示す表である。この表において、◎は取引制限のない取引、〇は取引制限から除外する取引、△は取引制限の対象となる取引、●は関与できない(制限できない)取引であることを示している。この表に示されるように、例えば、利用者端末13の利用者が、納税義務者で、個人情報サーバ11に未登録の場合には、利用者端末13及び相手端末14が共に海外にある時を除き、取引制限の対象となる。このように、利用者端末13における取引制限は、利用者アカウントの利用者が、国内での納税義務者かどうか、及び取引要求が、国内取引所を利用しているかどうか、に基づいて判定することができる。また、利用者端末13が国内にあるかどうか、及び相手端末14が国内にあるかどうか、に基づいて判定することとしてもよい。国内に存在するかどうかの判定は、GPS(Global Positioning System)等の衛星測位システムを利用してもよいし、携帯通信端末である場合には、位置登録の情報や接続先キャリアの情報により判定することとしてもよい。この図9の取引制限の判定の表は例であり、この表以外に定めることができる。
図6に戻り、取引制限された利用者端末13は、取引制限の対象となっている取引相手アカウントに対しする取引の操作を行った場合に、取引が行えない旨、取引を控えるように促す旨等の注意画面の表示を行うことができる。また、取引制限の対象となっている取引相手アカウントに対する取引要求の送信(ステップS103)が行えないこととしてもよい。
図10は、取引所取引サーバ12における取引制限について説明するためのシーケンス図である。このフローチャートに示されるように、サーバ取引制限処理S126が行われた取引所取引サーバ12では、取引制限の対象となる相手アカウントに対する取引要求(ステップS103)を受信した場合において、相手端末14に対して取引要求の送信を制限することができる(ステップS133)。この際に、図9の表で示されるような判定基準に基づいて取引制限を行うかどうかを判定することができる。取引が制限された場合には、取引要求を送信した利用者端末13に対して、上述のような注意画面を表示させることとしてもよい。サーバ取引制限処理S126が行われた取引所取引サーバ12は、未登録者アカウント情報に含まれるアカウントとの取引要求、及び/又は未登録者アカウント情報に含まれるアカウントからの取引要求に係る取引を制限することとすることができる。また、利用者端末13における取引制限確認処理S300と同様に、取引所取引サーバ12は、位置情報を取得し、利用者端末13(及び/又は相手端末14)が存在する位置により、取引制限を行うかどうかを判定することとしてもよい。
図11は、取引履歴比較処理S200の他の例について示すシーケンス図である。このシーケンス図に示されるように、取引履歴比較処理S200は、個人情報サーバ11においてのみ実行されるのではなく、利用者端末13と個人情報サーバ11とに分散して実行されることとしてもよい。このシーケンス図の例では、取引履歴比較処理S200のステップS200乃至S203からなる取引履歴比較処理S200Aを利用者端末13で実行し、差分情報を個人情報サーバ11に送信すし(ステップS132)、個人情報サーバ11が、受信した差分情報に基づいて、残りの取引履歴比較処理S200であるステップS204乃至S215からなる取引履歴比較処理S200Bを実行するように構成している。このように取引履歴比較処理S200は、電子通貨利用情報システム1内のいずれかの情報処理装置で行うことができる。
以上説明したように、上述の電子通貨利用情報システム1においては、個人情報サーバ11に登録されていない取引相手との取引が制限されるため、個人情報サーバ11に登録された取引相手と優先的に取引を行わせるようにすることができる。このため、取引相手が不明確となりやすい暗号通貨等の電子通貨の取引を、個人情報サーバ11の登録者との取引とすることができるため、より安全な取引とすることができる。また、個人情報サーバ11に登録されていない電子通貨の取引者は、個人情報サーバ11に登録されている利用者との取引を行えなくなることから、個人情報サーバ11に登録されていない電子通貨の取引者に対して、個人情報サーバ11への登録を促すことができる。
[第2実施形態]
図12は、第2実施形態に係る電子通貨税申告支援システム2の構成について説明するための図である。図12に示されるように、電子通貨税申告支援システム2は、それぞれ通信ネットワーク19に接続された個人情報サーバ11、利用者端末13及び国税局確定申告サーバ15を有している。また、更に取引所取引サーバ12及び例えば利用者端末13の利用者の関与税理士等が使用する情報処理端末20を有していてもよい。
利用者端末13は、デジタル情報により価値が示される電子通貨の利用者アカウントにおける取引の履歴である端末取引履歴情報を記録する。個人情報サーバ11は、通信ネットワーク19を介して、利用者端末13から端末取引履歴情報を受信し、利用者アカウントにおける取引の損益を計算して電子通貨損益データとし、利用者の要求に応じて電子通貨損益データを送信する。国税局確定申告サーバ15は、税の申告書の作成画面を表示させて、税の申告書の作成を支援する機能を提供するものであり、更に、個人情報サーバ11から電子通貨損益データを受信し、申告書の作成画面に電子通貨損益データを含めて表示させることができる。取引所取引サーバ12は、通信ネットワーク19を介して、電子通貨の取引を記録する処理を行う。情報処理端末20は、個人情報サーバ11に対して、例えば利用者アカウントの利用者の代理人の識別情報、利用者の識別情報、予め定められたキーワードを送信し、端末取引履歴情報に基づく情報を受信する。
個人情報サーバ11、取引所取引サーバ12及び国税局確定申告サーバ15のハードウェア構成は、図2及び図2に対応する説明に示されたものと同様であるため、重複する説明を省略する。利用者端末13のハードウェア構成は、図3及び図3に対応する説明に示されたものと同様であるため、重複する説明を省略する。以下、電子通貨税申告支援システム2の具体的な処理について説明するが、電子通貨税申告支援システム2により行われる処理は、上述のハードウェアを動作させるソフトウェアによって実現されるものとすることができる。この場合において、各端末やサーバに実装されるソフトウェアは、API(Application Programming Interface)として実装されることとしてもよい。
図13は、電子通貨税申告支援システム2の処理の例について示すシーケンス図である。このシーケンス図に示されるように、第1実施形態の図4と同様に、個人情報サーバ11は、利用者端末13から、利用者の個人情報を受信し(ステップS101)、個人情報サーバ11において保存する。取引所取引サーバ12は、利用者端末13から電子通貨の取引要求を受信し(ステップS103)、電子通貨取引処理S104を開始し、アカウント間での電子通貨の移動の処理を行い、利用者端末13に結果を通知する(ステップS107)。結果を受信した利用者端末13は、取引の履歴を端末取引履歴情報として記録する(ステップS109)。
端末取引履歴情報として記録した利用者端末13は、自発的に、又は個人情報サーバ11の要求に応じて、端末取引履歴情報を個人情報サーバ11に送信する(ステップS121)。個人情報サーバ11は、受信した取引履歴情報を保存する(ステップS122)。個人情報サーバ11は、例えば、毎週、毎月、四半期ごとの決算、又は要求されたタイミング等において、電子通貨損益計算処理(ステップS400)を行う。
図14は、電子通貨損益計算処理S400の例について示すフローチャートである。このフローチャートに示されるように、電子通貨損益計算処理S400は、ステップS401において、取引履歴に基づいて総平均法で損益を計算し、計算結果を保存する。また、ステップS402において、取引履歴に基づいて移動平均法で損益を計算し、計算結果を保存する。図14では、総平均法及び移動平均法の計算は、いずれの処理を先に行ってもよい。
図13に戻り、個人情報サーバ11は、利用者の任意の送信タイミングにおいて、損益計算において総平均法及び移動平均法のいずれの計算法を用いるかの選択を受信し、選択された損益計算法を保存する(ステップS142)。損益計算法の選択を受信するタイミングは、後述する国税局確定申告サーバ15が、電子通貨損益データを取得するタイミング以前であればいつでもよく、前年度以前に既に選択されている損益計算法がある場合には、損益計算法の選択は改めて行わないものとすることができる。
次に、利用者が、税の申告書を作成する際に、利用者端末13から国税局確定申告サーバ15に、申告書作成処理開始要求を送信する(ステップS145)。申告書作成処理開始要求を受信した国税局確定申告サーバ15は、申告書作成処理S500を開始し、申告書作成画面データを利用者端末13に対して送信する(ステップS146)。利用者端末13は、申告書作成画面を表示し(ステップS147)、国税局確定申告サーバ15との通信を行いながら、申告書の作成を行う。
図15は、申告書作成処理S500の例について示すフローチャートである。なお、本フローチャートにおいては、電子通貨損益に関係する事項についてのみ示しており、他の申告書入力項目については、既知の機能を使用するものとし、処理の詳細は省略する。このフローチャートに示されるように、申告書作成処理S500では、国税局確定申告サーバ15は、申告書に入力された情報から氏名や住所等の申告者識別情報を取得する(ステップS501)。国税局確定申告サーバ15は、受信した申告者識別情報を用いて、個人情報サーバ11に申告者(利用者)の情報が登録されているかどうかを確認する(ステップS502)。申告者の登録がない場合には(ステップS502:No)、電子通貨の取引があるかどうかを判定する(ステップS503)。電子通貨の取引がない場合には(ステップS503:No)、電子通貨の損益についての申告を行わずに処理を終了する(ステップS504)。電子通貨の取引がある場合には、電子通貨のマニュアル入力による申告書作成処理に移行し(ステップS505)、マニュアル入力による申告書作成処理後に処理を終了する。
ステップ502において、個人情報サーバ11に申告者の登録がある場合には(ステップS502:Yes)、電子通貨損益データ自動取得設定があるかどうかを判定する(ステップS506)。子通貨損益データ自動取得設定の有無は、国税局確定申告サーバ15に保存されていてもよいし、個人情報サーバ11に保存されていてもよい。電子通貨損益データ自動取得設定がある場合には(ステップS506:Yes)、電子通貨損益データを個人情報サーバ11から取得して、申告書のフォーマットに反映し(ステップS509)、処理を終了する。電子通貨損益データ自動取得設定がない場合には(ステップS506:No)、電子通貨損益データを取得するかどうかを利用者端末13に問い合わせる(ステップS507)。電子通貨損益データを取得する旨の応答(例えば、図13:ステップS148の要求)を受信した場合には(ステップS508:Yes)、電子通貨損益データを個人情報サーバ11から取得して、申告書のフォーマットに反映し(ステップS509)、処理を終了する。
申告書作成処理S500のステップ509について、図13に戻り詳しく説明する。ステップ509では、国税局確定申告サーバ15が、個人情報サーバ11に電子通貨損益データ取得要求を送信し(ステップS509A)、電子通貨損益データ取得要求を受信した個人情報サーバ11が、選択された損益計算法の電子通貨損益データを送信する(ステップS509B)。電子通貨損益データを受信した国税局確定申告サーバ15は、電子通貨損益データ付き申告書データを送信して(ステップS509C)、利用者端末13において表示させる。
図15のステップS508において、電子通貨損益データを取得しない旨の応答を受信した場合には(ステップS508:No)、利用者端末13に電子通貨損益データの取得を促す表示を行い(ステップS510)、ステップS508の処理を繰り返す。ここで、ステップS508において、電子通貨損益データを取得しない旨の応答を受信した場合に、ステップS505の電子通貨損益のマニュアル入力による申告書作成処理に移行する等の処理としてもよい。
図16は、利用者の代理人等から端末取引履歴情報に基づく情報を取得する場合について示すシーケンス図である。このシーケンス図に示されるように、個人情報サーバ11に保存された利用者アカウントの情報を、例えば利用者の税申告を代理する税理士等に利用させるためのキーワードを、利用者端末13から個人情報サーバ11に送信し、個人情報サーバ11に保存させる(ステップS191)。利用者の税申告を代理する税理士等が使用する情報処理端末20が、個人情報サーバ11に対して、利用者アカウントの利用者の代理人の識別情報、利用者アカウントの識別情報、及び上述のキーワード、を送信する(ステップS191)。個人情報サーバ11は、情報処理端末20から、端末取引履歴情報に基づく情報を情報処理端末20に送信する(ステップS192)。ここで、端末取引履歴情報に基づく情報は、取引履歴情報、電子通貨損益データ、その他端末取引履歴情報から算出された情報とすることができる。また、個人情報サーバ11は、情報処理端末20により指定されたフォーマット形式(例えば、確定申告書、決算書等)に変換して、情報処理端末20に送信することとしてもよい。これにより、利用者の関与税理士等は、決算書や確定申告書等の書類の作成にあたり、個人情報サーバ11から利用者の電子通貨の利用に関する情報を取得することができる。
上述のように、本実施形態に係る電子通貨税申告支援システム2は、通信ネットワーク19を介して、利用者端末13から、デジタル情報により価値が示される電子通貨の利用者アカウントにおける取引の履歴である端末取引履歴情報を受信し、利用者アカウントの取引履歴における取引の損益を計算して電子通貨損益データとする個人情報サーバ11と、税の申告書の作成画面を表示させる国税局確定申告サーバ15と、を備える。ここで、国税局確定申告サーバ15は、個人情報サーバ11から電子通貨損益データを受信し、申告書の作成画面に電子通貨損益データを含めて表示させる。
また、電子通貨税申告支援システム2においては、国税局確定申告サーバ15は、電子通貨損益データを取得していない場合に、利用者端末13に、電子通貨損益データの取得を促す表示を表示させることとしてもよい。
また、電子通貨税申告支援システム2においては、個人情報サーバ11は、損益計算において総平均法及び移動平均法のいずれの計算法を用いるかの選択を受信し、選択された計算法で計算された電子通貨損益データを国税局確定申告サーバ15に送信してもよい。
また、本開示の電子通貨税申告支援システム2においては、個人情報サーバ11は、情報処理端末20から、少なくとも利用者アカウントの利用者の代理人の識別情報、利用者の識別情報、予め定められたキーワードを受信した際に、端末取引履歴情報に基づく情報を情報処理端末20に送信してもよい。
以上説明したように、上述の電子通貨税申告支援システム2においては、電子通貨の取引に関する税申告を、より容易に正確に行うことができる。また、税申告において、電子通貨の取引に関する税申告を対象外としてしまいそうになった場合においても、電子通貨の取引に関する税申告を含めるように促すため、漏れのない税申告を行わせることができる。なお、上述の一連の処理において、利用者端末13は同一のもの用いる必要はなく、個人情報サーバ11又は国税局確定申告サーバ15に対してアクセス可能なものであれば、異なる端末を適宜用いることができる。また、第2実施形態に係る個人情報サーバ11、利用者端末13及び取引所取引サーバ12は、それぞれ第1実施形態に示したものと同様の動作を更に行うこととすることができる。
[第3実施形態]
図17は、第3実施形態に係る電子通貨利用情報支援システム3の構成について説明するための図である。図17に示されるように、電子通貨利用情報支援システム3は、それぞれ通信ネットワーク19に接続された個人情報サーバ11及びPOS(Point of Sales)端末等の決済端末16を有している。また、通信ネットワーク19に接続された取引所取引サーバ12、ニュースサーバ17及び取引レートサーバ18、並びに決済端末16と決済を行う利用者端末13を有していてもよい。以下の説明においては、一種類の電子通貨が扱われる場合について示すが、決済端末16は、複数種類の電子通貨をそれぞれ識別して決済するものとすることができる。決済の行える電子通貨は、暗号通貨に限定されず、デジタル人民元等の権限ある発行体が発行するデジタル通貨(主要国電子通貨)、銀行や民間企業などが発行するデジタル通貨等を含む。
決済端末16は、利用者端末13から、デジタル情報により価値が示される電子通貨の利用者アカウントに係る取引要求を受信すると共に、利用者アカウントと決済端末アカウントとの間の取引履歴を端末取引履歴情報として記録する。個人情報サーバ11は、決済端末16から端末取引履歴情報を受信し、決済端末アカウントにおける電子通貨の残高について、法定通貨への推奨される換金時期である推奨換金時期を決済端末16に対して通知する。取引所取引サーバ12は、通信ネットワーク19を介して、電子通貨の取引を記録する処理を行う。取引レートサーバ18は、電子通貨の取引レートの情報を個人情報サーバ11に提供する。ニュースサーバ17は、電子通貨の取引レートに関する情報を含むニュースを個人情報サーバ11に提供する。
個人情報サーバ11、取引所取引サーバ12、取引レートサーバ18及びニュースサーバ17のハードウェア構成は、図2及び図2に対応する説明に示されたものと同様であるため、重複する説明を省略する。利用者端末13及び決済端末16のハードウェア構成は、図3及び図3に対応する説明に示されたものと同様であるため、重複する説明を省略する。以下、電子通貨利用情報支援システム3の具体的な処理について説明するが、電子通貨利用情報支援システム3により行われる処理は、上述のハードウェアを動作させるソフトウェアによって実現されるものとすることができる。この場合において、各端末やサーバに実装されるソフトウェアは、API(Application Programming Interface)として実装されることとしてもよい。
図18及び21は、電子通貨利用情報支援システム3の処理の例について示すシーケンス図である。このシーケンス図に示されるように、利用者端末13が、例えば商品又はサービスの料金を支払うため、決済端末16に取引要求を送信すると(ステップS301)、決済端末16は、取引所取引サーバ12に対して取引要求を送信する(ステップS103)。取引要求を受信した取引所取引サーバ12は、利用者端末13の口座と決済端末16の口座との間での電子通貨取引処理S104を行い、その結果を決済端末16に通知する(ステップS107)。決済端末16は、更に取引の結果を利用者端末13に通知し(ステップS302)、取引結果を端末取引履歴情報として記録する(ステップS109)。ここで、利用者端末13と決済端末16との間の通信は、無線及び有線のいずれを介したものであってもよい。端末取引履歴情報を記録した決済端末16は、自発的に、又は個人情報サーバ11の要求に応じて、端末取引履歴情報を個人情報サーバ11に送信する(ステップS121)。個人情報サーバ11は、受信した取引履歴情報を保存する(ステップS122)。ここで、決済に係る利用者端末13と決済端末16との間の通信は、例えば「NFC(Near Field Communication)を利用したコンタクトレス方式」、「利用者の端末が取引相手端末上表示の利用者コード(バーコードやQR(Quick Response)コードなど)を読み取る方式」、「端末が取引相手の生体情報(顔など)を読み取る方式」などで行うこととしてもよい。
上述の決済では、取引所取引サーバ12を介した決済としたが、端末間で電子通貨の取引の際、例えば、暗号通貨取引時の取引所(暗号通貨取引所やウォレット業者など)に相当する機関を介せずに、利用者の端末間で直接決済を行うこととしてもよい。この場合には、図19に示されるように、取引要求を受信した決済端末16と取引要求を送信した利用者端末13との間で電子通貨取引処理S303が行われ、端末取引履歴情報は、それぞれの端末に記録される。その後、図18のシーケンス図と同様に、端末取引履歴情報は個人情報サーバ11に送信される(ステップS121)。取引は、「NFCを利用したコンタクトレス方式」や「端末がもう片方の端末上表示の利用者コード(バーコードやQRコード(登録商標)など)を読み取る方式」などで行われることとしてもよい。
図18に戻り、個人情報サーバ11は、取引レートサーバ18に電子通貨の取引レート情報を要求し(ステップS161)、取引レートサーバ18から、現在及び/又は過去の取引レート情報を受信し(ステップS162)、受信した取引レート情報を蓄積する(ステップS163)。また、個人情報サーバ11は、ニュースサーバ17にニュース情報を要求し(ステップS164)、ニュースサーバ17から、現在又は過去のニュース情報を受信し(ステップS165)、受信したニュース情報を蓄積する(ステップS166)。ニュース情報には、例えば、政治経済や外交、株価情報等が含まれていてもよい。個人情報サーバ11は、蓄積された取引レート及び/又はニュース等の市況情報に基づいて、将来の取引レートを予測し(ステップS171)、現在の取引レートと共に決済端末16に配信する(ステップS172)。決済端末16においては、受信した取引レートを表示することとしてもよい。なお、取引レートの予測には、蓄積された取引レート情報及び蓄積されたニュース情報等の市況情報を機械学習させたプログラムであるAI(Artificial Intelligence)プログラムの実行により、算出されたものとすることができる。
また、決済端末16は、決済端末16に係るアカウントの電子通貨の残高について、法定通貨への換金に係る換金条件設定要求を個人情報サーバ11に送信する(ステップS173)。個人情報サーバ11は、受信した換金条件、各アカウントの取引履歴、及び予測された取引レートに基づいて、推奨換金時期を予測する推奨換金時期予測処理S174を行う。「換金条件」には、例えば換金をしたい期間や換金レートを含むことができる。換金したい期間は、例えば、決算や振込期日の都合等に基づいて定めることができ、換金レートは、例えば、取引レートの違いによる損失を防ぐ目的等により定めることができる。推奨換金時期予測処理S174は、「予測レートで換金した場合の法定通貨額」と「取引時の法定通貨換算額の合計」とを比較し、有利な換金時期を推奨換金時期として抽出することができる。抽出された推奨換金時期は、決済端末16に通知される(ステップS175)。また、EメールやSMS(Short Message Service)等を利用して利用者の携帯端末等に送信されることとしてもよい。また、損失が予測される場合において、損失が大きくなりすぎないと予測される時期等を通知することとしてもよい。推奨換金時期を受信した決済端末16は、利用者の操作に応じて、換金時期設定処理S600を実行する。
図20は、換金時期設定処理S600の例について示すフローチャートである。このフローチャートに示されるように、換金時期設定処理S600では、まず、受信した推奨換金時期及びその時の予測レートを表示する(ステップS601)。次に、利用者により、表示された推奨喚起時期で換金する旨の選択がなされたかどうかを検知する(ステップS602)。推奨換金時期で換金する旨の選択がなされた場合には(ステップS602:Yes)、推奨換金時期を換金のタイミングを指定して(ステップS603)、個人情報サーバ11に換金時期設定要求を送信し(ステップS607)、処理を終了する。
推奨喚起時期で換金する旨の選択がなされなかった場合には(ステップS602:No)、利用者により、他の換金時期が入力されたかどうかを検知する(ステップS604)。他の換金時期の入力を検知した場合には(ステップS604:Yes)、入力された換金時期のタイミングを指定して(ステップS606)、個人情報サーバ11に換金時期設定要求を送信し(ステップS607)、処理を終了する。他の換金時期の入力を検知しなかった場合には(ステップS604:No)、現時点では時期を設定せずに(ステップS605)、電子通貨のアカウント残高を維持する指示として個人情報サーバ11に換金時期設定要求を送信し(ステップS607)、処理を終了する。図18に戻り、換金時期設定要求を受信した個人情報サーバ11は、指定された換金時期を設定する(ステップS177)。
図21に移り、個人情報サーバ11は、設定された換金時期が到来したことを検知した場合には(ステップS180)、個人情報サーバ11は、取引所取引サーバ12に対して換金要求を送信する(ステップS181)。換金要求を受信した取引所取引サーバ12は、換金処理S182を行い、結果を決済端末16に通知する(ステップS183)。結果通知を受信した決済端末16は、端末取引履歴情報として記録すると共に(ステップS184)、端末取引履歴情報を個人情報サーバ11に送信する(ステップS185)。端末取引履歴情報を受信した個人情報サーバ11は、受信した端末取引履歴情報を保存する(ステップS186)。図21においては、個人情報サーバ11が換金時期条件が到来したされたことを検知した場合に、直接、取引所取引サーバ12に対して換金要求を送信することとしたが、決済端末16からの換金指示の応答を受信してから、取引所取引サーバ12に対して換金要求を送信することとしてもよいし、決済端末16に通知することのみとしてもよい。
個人情報サーバ11は、第2実施形態と同様に、例えば、毎週、毎月、四半期ごとの決算、又は要求されたタイミング等において、電子通貨損益計算処理S400を行うことができる。電子通貨損益計算処理S400は、図14及び図14に対応する説明と同様であるため、重複する説明を省略する。計算された電子通貨損益データは、決済端末16に送信され(ステップS187)、決済端末16において表示されることとしてもよい(ステップS188)。表示される電子通貨損益データの損益計算法については、例えば、図13のステップS141乃至S142で示される態様で定められるものを用いてもよいし、総平均法及び移動平均法の両方を表示することとしてもよい。
また、個人情報サーバ11又は、通信ネットワーク19に接続された他の情報処理サーバは、通貨管理システム及び通貨運用システムを有していてもよい。通貨管理システムは、決済端末アカウントの暗号通貨や法定通貨、主要国電子通貨などの通貨の資産管理を行う。通貨運用システムは、通貨管理システムで管理されている通貨の運用を行う。また、AIにより、利用者が予め設定した複数の運用条件に合わせて評価し、別のAIが評価結果を元に運用を行うこととしてもよい。
以上説明したように、第3実施形態に係る電子通貨利用情報支援システム3は、デジタル情報により価値が示される電子通貨の利用者アカウントに係る取引要求を受信すると共に、利用者アカウントと決済端末アカウントとの間の取引履歴を端末取引履歴情報として記録する決済端末16と、決済端末16から端末取引履歴情報を受信し、決済端末アカウントにおける電子通貨の残高について、法定通貨への推奨される換金時期である推奨換金時期を決済端末16に対して通知する個人情報サーバ11と、を備える。
また、電子通貨利用情報支援システム3においては、推奨換金時期は、決済端末16から受信する換金条件、並びに電子通貨取得時の法定通貨換算額及び市況情報に基づいて算出されることとしてもよい。
また、電子通貨利用情報支援システム3においては、換金条件は、換金時期及び換金レートのうち、少なくとも一つを含むこととしてもよい。
また、電子通貨利用情報支援システム3においては、市況情報は、ネットワークに接続された他のサーバ17又は18から取得される電子通貨の取引レートを含むこととしてもよい。
また、電子通貨利用情報支援システム3においては、個人情報サーバ11は、換金時期の到来を検知した場合に換金の指示を取引所取引サーバ12に送信してもよい。
また、電子通貨利用情報支援システム3においては、個人情報サーバ11は、端末取引履歴情報に基づいて損益を計算して電子通貨損益データとし、電子通貨損益データを決済端末16に通知してもよい。
以上説明したように、上述の電子通貨利用情報支援システム3においては、より適切な時期に、物品の販売などで取得した電子通貨の残高を法定通貨に換金することができる。また、より容易かつ正確に電子通貨の損益を確認することができる。なお、上述の一連の処理において、第3実施形態に係る個人情報サーバ11、決済端末16及び取引所取引サーバ12は、それぞれ第1実施形態及び第2実施形態で示された個人情報サーバ11、利用者端末13及び取引所取引サーバ12ものと同様の動作を更に行うこととすることができる。なお、第3実施形態に係る上述の決済端末16の機能は、利用者端末13が有することとしてもよい。
なお、上述の説明においては、第1実施形態の電子通貨利用情報システム1、第2実施形態の電子通貨税申告支援システム2、及び第3実施形態の電子通貨利用情報支援システム3をそれぞれ別々に説明したが、図22に示されるように、全て又はいずれかの実施形態を選択的に組み合わせて用いられるものであってもよい。例えば第1実施形態及び第2実施形態が組み合わされた場合には、個人情報サーバ11に登録されていない電子通貨の取引者に対して、個人情報サーバ11への登録を促すことができ、更に登録された取引者がより容易に税の申告を行うことができるため、より多くの申告漏れ等を回避させることができる。
なお、上述の実施形態の記載は一例であり、本発明の思想の範疇において、当業者が想到し得る変更及び修正が含まれる場合についても本発明の範囲に属する。例えば実施形態の構成要素に対して代替可能な構成への変更、構成要素の削除を行ったものについても、本発明の思想の範疇である限り、本発明の範囲に属するものである。