これらの図については、以下で更に詳しく説明する。
以下の説明では、本発明の幾つかの実施形態を説明するために特定の詳細について記述する。但し、幾つかの実施形態は、これらの具体的な詳細の幾つか又は全てを伴わなくても実施可能であることは、当業者にとって明らかである。本明細書に開示する特定の実施形態は、例示を目的とし、限定を意図しない。当業者は、本明細書に具体的に記載されていなくとも、本開示の範囲及び思想の範囲内にある他の要素を理解できる。
本発明の側面及び実施形態を例示する以下の説明及び添付の図面は、限定的に解釈されず、保護される発明は、特許請求の範囲によって定義される。以下の説明及び特許請求の範囲の思想及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができる。幾つかの例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の構造及び技術は、詳細に記述せず又は説明を省略している。
一実施形態を参照して詳細に記述する要素及びこれらの関連する側面は、特段の指示又は記述がなくても、実現可能である限り、他の実施形態に含ませることができる。例えば、一実施形態を参照して詳細に説明するある要素が他の実施形態では説明されていなくても、その要素は、他の実施形態に含まれると主張できる。
本発明の幾つかの実施形態は、用途に応じて、送信コイル又は受信コイルとして構成できる効率的なコイルを提供する。このようなコイルは、送受信(TRx)コイルとも呼ばれる。また、幾つかの実施形態は、送信コイル又は受信コイルとしての専用の機能を有するコイルにも適用できる。以下に説明するように、送信コイルと受信コイルの要件は、相反するように異なっている。例えば、送信コイルは、通常、受信コイルより直径が小さい。更に、本発明の実施形態は、コイルターンのトレースの抵抗特性と共にフェライトコアの磁束飽和を考慮する。
幾つかの実施形態では、TRxコイルは、複数の端子に接続された1つ以上のワイヤのコイルを含むことができる。1つ以上のワイヤのコイルは、複数の端子とともに配置され、送受信システムに送信機能又は受信機能のいずれかを提供する。本発明の幾つかの実施形態によれば、複数のコイル間の未使用部分を利用して、コイル抵抗を低減できる。幾つかの実施形態では、コイル形状に応じてコイル幅を再分布させる。幾つかの実施形態では、コイルインダクタンスに応じてコイル幅を決定する。
コイルは、コイルを形成するように配置されたトレースを含む。幾つかの実施形態では、コイルの内側からコイルの外側へとトレースの幅を変化させる。幾つかの実施形態では、トレースの幅を変化させてコイルの抵抗を最適化する。幾つかの実施形態では、巻線は、円形である。幾つかの実施形態では、コイルは、内側の巻線と外側の巻線とを含み、内側と外側の巻線を形成するトレースの幅を変化させて抵抗を最適化する。
本発明の幾つかの実施形態では、送受信(TRx)コイルは、送信機能又は受信機能で動作するように構成された1つ以上のワイヤのコイルを含み、各コイルのトレース幅を最適化する。幾つかの実施形態では、トレース幅は、2つ以上の幅を含む。
本発明の幾つかの実施形態は、送信コイルを提供する。送信コイルは、内側の巻線上でより薄く、外側の巻線上でより厚い銅コイルを含む。コイルが取り付けられる対応するフェライトコアは、内側の巻線の下でより厚く、外側の巻線の下でより薄くしてもよい。この構成により、コイルの抵抗特性を更に改善し、効率を向上させることができる。
幾つかの実施形態では、コイルを構成する複数のターンのそれぞれは、ターン毎に1つ以上のフィンガを含むことができる。各ターンにおいて複数のフィンガを調整することにより、無線コイルのコイル抵抗が最適化される。幾つかの実施形態では、複数のフィンガは、各ターンの幅を調整することによって調整される。幾つかの実施形態では、内側ターンよりも外側ターンで幅を広くする。幾つかの実施形態では、各ターンのフィンガの数を変更することによって複数のフィンガを調整する。幾つかの実施形態では、フィンガの数は、内側ターンよりも外側ターンの方が多くなるようにする。
本発明の幾つかの実施形態によれば、送受信コイルは、送信機能及び受信機能で動作するように構成された1つ以上のワイヤのコイルを含むことができ、各コイルのトレース幅が最適化される。幾つかの実施形態では、トレース幅は、2つ以上の幅を含む。幾つかの実施形態では、上側及び下側の内側コイルを直列に配置し、上側及び下側の外側コイルを並列に配置する。動作を最適化する他の手法は、Tx動作周波数点の最適化、Txモード及びRxモードでのキャパシタの共有、On−The−Go電圧の最適化、デッドタイムの最適化等を含む。幾つかの実施形態では、例えば、電力損失を監視すること、動作パラメータを監視すること、又は制御エラーパケットを監視することによって異物を検出してもよい。
本発明の幾つかの実施形態は、効率的な送受信(TRx)コイルを提供する。幾つかの実施形態によれば、TRxコイルの実施形態は、複数の端子に接続された1つ以上のワイヤのコイルを含み、1つ以上のワイヤのコイルは、使用される端子又はタブに応じて、送信機能と受信機能の両方を向上させるように、複数の端子とともに配置される。本発明の幾つかの実施形態によれば、複数のコイル間の未使用部分を利用して、コイル抵抗を低減できる。幾つかの実施形態では、コイル形状に応じてコイル幅を再分布させる。幾つかの実施形態では、コイルインダクタンスに応じてコイル幅を決定する。
本発明の幾つかの実施形態によれば、コイルは、コイルを形成するように配置された巻線を形成するトレース(ターンとも呼ぶ)を含み、トレースの幅は、コイルの内側からコイルの外側へと変化する。幾つかの実施形態では、コイルの部分の機能に応じてコイルの抵抗が最適化されるようにトレースの幅を変更する。幾つかの実施形態では、巻線は、円形であるが、他の巻線形状を使用してもよい。幾つかの実施形態では、コイルは、内側の巻線と外側の巻線とを含み、内側と外側の巻線を形成するトレースの幅を変化させて抵抗を最適化する。幾つかの実施形態では、トレース幅は、外側のトレースの幅が内側トレースの幅よりも広くなるように、2つ以上の幅を含む。
更に、幾つかの実施形態では、コイルのトレースの厚さを変更してもよい。TRxコイルは、内側の巻線上でより薄く、外側の巻線上でより厚い銅トレースを有する巻線(ターン)を含むことができる。更に、これらの銅トレースは、コイル巻線が取り付けられているフェライトコア上に形成でき、フェライトコアは、内側の巻線の下でより厚く、外側の巻線の下でより薄くしてもよい。
本発明の幾つかの実施形態によれば、巻線は、1つ以上のフィンガを有するように形成される。複数のフィンガをターン毎に調整することにより、ワイヤレスコイルのコイル抵抗を最適化できる。幾つかの実施形態では、複数のフィンガは、各ターンの幅を調整することによって調整される。幾つかの実施形態では、内側ターンよりも外側ターンで幅を広くする。幾つかの実施形態では、各ターンのフィンガの数を変更することによって複数のフィンガを調整する。幾つかの実施形態では、フィンガの数は、内側ターンよりも外側ターンの方が多くなるようにする。
本発明の幾つかの実施形態によれば、TRxコイルは、直列に配置された上下の内側コイル(コイルトレースの上層と下層)と、別のセクションにおける、並列に配置された上下の外側コイル(コイルトレースの上層と下層)とを含むことができる。幾つかの実施形態では、Tx動作周波数点を最適化する。幾つかの実施形態では、駆動回路は、Txモード及びRxモードのための共有キャパシタを含み、On−The−Go電圧を最適化し、及び/又はデッドタイムを最適化する。幾つかの実施形態では、例えば、電力損失を監視すること、動作パラメータを監視すること、又は制御エラーパケットを監視することによって異物を検出してもよい。
図1Aは、無線電力送信機102を有するデバイス100と、無線電力受信機110を含む第2のデバイス120とを含む簡略化された無線給電システムを示している。図1Aに示すように、無線電力送信機102は、電源104に接続され、ここから電力を受け取る。無線電力送信機102は、送信コイル106を駆動して、ある周波数で時変電磁場を生成する。無線電力受信機110の受信コイル108は、無線電力送信機102の送信コイル106によって生成された電磁場と結合して、送信された無線電力を受信する。図1Aに示すように、受信コイル108は、無線電力受信機110に接続され、無線電力受信機110は、受信コイル108から電力を受信し、負荷112に電力を供給する。無線電力送信機102は、無線電力送信機102によって送信される無線電力を受信するように構成された無線電力受信機110の存在下で時変電磁場を生成するように構成できる。無線電力送信機102及び無線電力受信機110の要素のサイズ及び形状は、電力要件及び無線給電システム100の物理的位置に適応するように変更できる。
無線電力受信機110は、時変電磁場から電力を回収し、通常、無線電力受信機110及び受信コイル108を含むデバイスの負荷112にDC電力入力を供給する。電力は、このデバイスが無線電力送信機102に近接しているときに伝送される。幾つかの場合、負荷112は、充電器を含み、デバイスは、電池を含む。
幾つかの場合、電力送信デバイス100及び電力受信デバイス120は、プリント回路基板(printed circuit board:PCB)上に形成された構成要素を含む。送信コイル106は、無線電力送信機102の回路と共に、電力送信機100のPCB上に形成できる。同様に、受信コイル108及び無線電力受信機110の回路は、電力受信機120のPCB上に形成される。送信機102及び受信機120は、それぞれ単一のチップ上に形成してもよく、これらは、各デバイス内の同じ又は他のプリント回路基板上に搭載される。
図1Aに示すように、送信機又は受信機を含むデバイスを提供できる。送信デバイス100は、無線電力送信機102と送信コイル106とを含む。受信デバイス120は、無線電力受信機110と受信コイル108を含む。しかしながら、幾つかの実施形態では、デバイスが、状況に応じて、無線電力の送信及び受信の両方の能力を有することが有益である。
図1Bは、無線電力を送信する機能と無線電力を受信する機能の両方を含むデバイス150を示している。図1Bに示すように、デバイス150は、無線電力送信機152及び無線電力受信機160を含む。デバイス150の幾つかの実施形態は、(図1Aに示すデバイス100及びデバイス120を単一のデバイスに組み合わせることによって達成されるように)個別の送信コイル及び受信コイルを使用してもよいが、図1Bに示す例では、送信コイルと受信コイルの両方として機能する単一の送受信(TRx)コイル162を使用する。TRxコイル162は、デバイスが送信機として動作しているか、受信機として動作しているかに応じて、スイッチングネットワーク158を介して無線電力送信機152及び無線電力受信機160に接続できる。
更に図1Bに示すように、無線電力送信機152は、電源154に接続され、無線電力受信機は、負荷164に接続される。幾つかの実施形態では、電源154は、電池であってもよく、負荷164は、電源154内の電池を充電する充電器を含むことができる。
無線電力送信機152、無線電力受信機160、及びスイッチングネットワークは、モードコントローラ156によって制御できる。モードコントローラ156は、デバイス150が送信機として動作しているか、受信機として動作しているかを判定し、これに応じて、無線電力送信機152、無線電力受信機160、及びスイッチング/チューニングネットワーク158を調整する。幾つかの実施形態では、無線電力送信機152及び無線電力受信機160は、構成要素を共有してもよい。
TRxコイル162は、通常、個別のTxコイルとRxコイルのそれぞれとして動作し、それぞれの機能に対して最適化される2つの異なるシステムに接続するため、TRxコイル162の効率的な設計は、困難である。無線電力受信機160及び無線電力送信機152の2つのシステムは、異なる磁気形状を有し、この結果、TRxコイル162に対して異なる要求が生じる。無線充電Rxコイルは、通常、受信機の磁気結合を良好にするため及び空間の自由度を高くするために大きく形成される。無線充電Txコイルは、通常、磁気結合を良好にするために、Rxコイルよりも小さく形成される。これらの機能を単一のコイルであるTRxコイル162に組み合わせることにより、結果として得られるコイルの一方又は両方の機能に関して性能が不十分になる可能性がある。現在、単一コイルを共有する送信機と受信機の両方として機能するデバイスをサポートできるシステムソリューション又はコイルは、市場に存在しない。後述するように、本発明の幾つかの実施形態は、送信機能と受信機能の両方を効率的に実現する複合TRxコイルを提供する。
無線電力送信機回路152、無線電力受信機回路160、モードコントローラ156、スイッチング/チューニングネットワーク158、及びTRxコイル162を含むデバイス150は、無線電力を送信及び受信するように動作する。したがって、TRxコイル162は、無線電力を送信するためのTxコイルとしても無線電力を受信するためのRxコイルとしても機能する。上述したように、TRxコイル162は、通常は、個別のTxコイルとRxコイルが動作し、異なる磁気形状を有する2つの異なるシステムに接続されるため、TRxコイル162の設計は、困難である。上述したように、無線充電Rxコイルは、通常、受信機の磁気結合を良好にするため及び空間の自由度のために大きく形成され、一方、無線充電Txコイルは、通常、磁気結合を良好にするために、Rxコイルよりも小さく形成される。
上述したように、TRxコイル162として使用できるTRxコイルは幾つかの設計上の課題を有している。TRxコイルがTxコイルとして機能する際は、磁束が中心領域に集中し、TRxコイルに近接する受信機(通常は、時計又は他の携帯電話)のRxコイルに良好に結合できるように、小さな半径が望ましい。一方、TRxコイルがRxコイルとして機能する際は、TRxコイルに最も近い送信コイルからより多くの磁束を拾うことができるように、大きな半径が望ましい。TRxコイルの半径を小さく設計すると、これに関係して磁束が減少する(換言すれば相互インダクタンスが低下する)ため、Rx性能が低下する(効率及び空間自由度性能が低下する)。TRxコイルの半径を大きく設計すると、中央部で発生でき、別のRxコイルによって拾うことができる磁束が減少する(換言すれば相互インダクタンスが低下する)ため、Tx性能が低下する(効率が低下する)。
更に、TRxコイルの内側半径を小さく、外側半径を大きく設計すると、通常、巻き数が多くなりすぎ、このために以下のような幾つかの問題が生じる。1)コイル抵抗が高くなるため、効率が低下する。2)相互インダクタンス及び自己インダクタンスが不適切になるため、チューニングが困難になる。3)コイル面積が大きくなるため、近距離無線通信(Near Field Communication:NFC)又はパワーマターズアライアンス(Power Matters Alliance:PMA)等の他のコイルとの互換性が失われる。
本発明の実施形態に基づくTRxコイル162の実施形態は、上述した課題の様々な側面に対処するTRxコイルを提供する。更に、スイッチング/チューニングネットワーク158は、送信モードと受信モードの両方でTRxコイル162と共に使用されるチューニングキャパシタを含む。上述のように、これら2つの機能では、チューニング要件が大きく異なる。2組のコイル(TxコイルとRxコイル)と各コイルについて個別のチューニングキャパシタの組を使用すると、システムが非常に複雑になり、TRxコイル162の実施形態の実装よりも多くの回路構成要素が必要になる。幾つかの実施形態では、デバイス150のシステム(回路及びコイル)を最適化し、コイル及びチューニングキャパシタを共有して、TRxコイル162を形成できる。例えば、幾つかの実施形態では、スイッチング/チューニングネットワーク158は、Txモードで使用されるゼロ電圧スイッチング(Zero Voltage Switching:ZVS)キャパシタを含むことによって電磁干渉(Electro-Motive Interference:EMI)性能を改善する。このようなキャパシタにより、システムのコストが増加する。幾つかの実施形態では、ZVSキャパシタは、Rxモード通信キャパシタ等の他の機能に使用できる。
Txモードでは、無線電力送信機152は、動作周波数を調整して無線給電を最適化できる。磁束が増加すると、効率又は空間自由度が向上することがある。このような場合、無線電力送信機及びスイッチング/チューニングネットワーク158の効率を最適化できる。幾つかの実施形態では、デバイス150を最適化できる。異物検出(foreign object detection:FOD)、デッドタイム、適切な動作点等の更なる機能も最適化できる。
上述のように、従来のデバイスは、送信機能と受信機能の両方を含む場合、別々のTxコイル及びRxコイルを含む。多くの場合、これらのデバイスは、単一のTxコイルを有する送信デバイスとしてのみ動作するか、単一のRxコイルを有する受信デバイスとしてのみ動作する。無線充電機能をサポートするコイルは、Txコイル又はRxコイルであり、Txコイルは、通常、磁束を中心に集中させるためにRxコイルよりも小さく、Rxコイルは、通常、より多くの磁束を拾うために大きい。
図2A及び図2Bは、Txコイル又はRxコイルのいずれにも使用できる並列コイル構造200を示しているが、この構造は、Rxコイルとしてより一般的に使用されている。図2Aに示すように、上層コイル巻線208と下層コイル巻線210とは、並列接続されている。上層コイル巻線208及び下層コイル巻線210は、例えば、プリント回路基板(printed circuit board:PCB)又はフレキシブルプリント回路基板(flexible printed circuit board:FPCB)である基板214の上層及び下層に形成されたコイルトレースを指す。図2Aに示すように、コイル構造200は、上記の図1A及び図1Bに示す他の電子機器にコイル構造200を接続するための2つの202及び204を含む。タップA202及びタップB204とコイルとの間の接続は、太線及び黒点で示されている。
更に図2Aに示すように、上層コイルトレース208は、ビア206を介して下層コイルトレース210に接続されている。図2Bは、図2Aの線A−A’を通る断面図を示している。図2Bに示すように、上層コイルトレース208及び下層コイルトレース210は、それぞれ基板214の上層及び下層に配置されている。基板214を貫通するビア206は、上層コイルトレース208の巻線の各ターンを対応する下層コイルトレース210に接続している。図示のように、上層コイルトレース208及び下層コイルトレース210は、開口部212の周りに巻回されてコイル構造200を形成する。更に、上層コイルトレース208及び下層コイルトレース206は、全体を通して同じ幅を有する。
図2A及び図2Bに示す例では、上層及び下層に同じコイルパターンが形成されている。上述のように、ビア206は、上層コイルと下層コイルを接続するために使用される。これにより、上層コイルと下層コイルとが並列に接続される。この構成の利点は、上層と下層のコイルが並列に接続されるため、コイル抵抗が低いことである。しかしながら、利用可能な巻数が減少すると、磁気結合が弱くなる。
図3A及び図3Bは、上層と下層のコイルトレースが直列接続されたコイル構造300を示している。コイルは、上層コイル308においてタップ302からスパイラルに入り、ビア306を介して下層コイル310に接続され、下層コイル312からスパイラルを出て、タップ304に接続されている。上層コイル308及び下層コイル310は、開口部312の周りに巻回されている。図3Aは、コイル構造300の平面図を示し、図3Bは、図3Aの線B−B’を通る断面図を示している。
図3A及び図3Bは、アクティブである多数のターンを有するコイル構造を示している。これにより、磁気結合がより強くなる。しかしながら、直列接続によってコイル状ワイヤの長さが遥かに長くなるため、コイル抵抗が高くなる。
本発明によるコイル構造の幾つかの実施形態は、送信コイルと受信コイルの両方、すなわちTRxコイルとしてより効率的に動作できる構造を含む。現在、送信(Tx)コイルと受信(Rx)コイルの両方として効率的に機能できるコイルのためのソリューションは知られていない。送信モードで動作するコイルと受信モードで動作するコイルとの相反する幾何学的制約により、設計上の課題が生じる。TRxコイルがTxコイルとして機能する際は、磁束が中心領域に集中し、受信機(通常は、時計又は他の携帯電話)のRxコイルに良好に結合できるように、小さな半径が望ましい。一方、TRxコイルがRxコイルとして機能する際は、コイルがより多くの磁束を拾うことができるように、大きな半径が望ましい。TRxコイルの半径を小さく設計すると、これに関係して磁束が減少する(換言すれば相互インダクタンスが低下する)ため、Rx性能が低下する(効率及び空間自由度性能が低下する)。TRxコイルの半径を大きく設計すると、中央部で発生でき、別のRxコイルによって拾うことができる磁束が減少する(換言すれば相互インダクタンスが低下する)ため、Tx性能が低下する(効率が低下する)。
更に、TRxコイルの内側半径を小さく、外側半径を大きく設計すると、通常、巻き数が多くなりすぎる。巻き数が多くなりすぎることにより、以下のような幾つかの問題が生じる。1)コイル抵抗が高くなるため、効率が低下する。2)相互インダクタンス及び自己インダクタンスが不適切になるため、チューニングが困難になる。3)TRxコイルによって使用されるコイル面積が大きくなるため、近距離無線通信(Near Field Communication:NFC)又はパワーマターズアライアンス(Power Matters Alliance:PMA)等の他のコイルとの互換性が失われる。
本発明の幾つかの実施形態は、TRxコイルが送信に有効な部分と受信に有効な部分とを含む多端子コイル(multiple-terminal coil)を含むことができる。送信コイルと受信コイルは、多端子コイル内で分離できる。第1の設計では、TXコイル部とRXコイル部とが分離されている多端子TRxコイルを提供する。これにより、Txコイル部とRxコイル部の両方の設計の自由度が高まる。この結果、Txモード又はRxモードのいずれでも良好な性能を有するTRxコイル設計を提供できる。
図4Aは、分離された内側コイルと外側コイルとを有するコイル構造400を示している。図4Aに示すように、コイル構造400は、内側コイル構成406と外側コイル構成402とを含む。内側コイル構成406と外側コイル構成402との間の空間には、第3の近接場コイル(near-field coil:NFC)404を配置できる。内側コイル406、外側コイル402、及びNFCコイル404は、基板(PCB)構造の両側に配置できる。タップA408は、外側コイル402の一端に電気的に接続されている。タップB410は、スパイラル状の外側コイル402の反対側と内側コイル406の第1の側との両方に接続されている。タップC412は、内側コイル406の他方の側に接続されている。したがって、タップB410及びタップC412を介して効率的な送信コイルが形成され、タップA408及びタップB410を介して効率的な受信コイルが形成される。NFCコイル404は、タップ1(414)とタップ2(416)との間に接続できる。幾つかの実施形態では、内側コイル406は、直列接続でき、外側コイル402は、並列接続できる。これにより、受信に使用される外側コイル402のコイル抵抗をより低いレベルに維持しながら、内側コイル406の送信の効率を向上させることができる。
図4Bは、幾つかの実施形態に基づく他のマルチタップコイル構成450を示している。コイル構成450も、外側コイル452及び内側コイル456を含む。ここでも、内側コイル456と外側コイル452との間の空間にNFCコイル454を設けることができる。上述のように、内側コイル456、外側コイル452、及びNFCコイル454は、PCB等の基板の両側(上層及び下層)に配置できる。図4Bに示すように、コイル構成450は、外側コイル452の第1の側に電気的に接続されているタップA458と、外側コイル452の反対側に電気的に接続されているタップB464とを含む。タップC466は、内側コイル456の第1の側に接続され、タップDは、内側コイル456の反対側に接続されている。NFCコイル454は、タップ1(460)とタップ2(462)の間に接続できる。送信コイルは、タップC466とタップD468との間に接続された内側コイル456によって形成され、受信コイルは、タップA458とタップB464との間に接続された外側コイル452によって形成される。この場合も、内側コイル456は、直列に接続でき(すなわち、ビアを介して上側トレースを下側トレースに直列接続でき)、外側コイル452は、並列に接続できる(すなわち、ビアを介して上側トレースの各ターンを下側トレースの対応するターンに接続できる)。
したがって、図4A及び図4Bは、それぞれ多端子TRxコイル構成400及び450の実施形態を示している。図4Aは、タップA408、タップB410、及びタップC412の3つのタップを有するTRxコイル400の実施形態を示している。また、コイル400は、NFCコイル404に接続され、近距離無線通信(NFC)システムを形成するタップ1(414)及びタップ2(416)を含む。3つの端子により、外側コイル402の両端に接続されたタップA408及びタップB410を受信コイルとして使用でき、内側コイル406の両端に接続されたタップB410及びタップC412を送信コイルとして使用できる。
図4Bは、タップA458、タップB464、タップC466、及びタップD468の4つのタップを有するTRxコイル450を示している。この場合も、タップ1(460)とタップ2(462)との間に接続されたNFCコイル454は、NFC通信コイルを形成する。この図に示すように、タップA458とタップB464との間に接続される外側コイル452は、Rxコイルとして使用できる。タップC466とタップD468との間に接続された内側コイル456は、Txコイルを形成する。同様に、他のタップ構成を適切に接続してTx及びRxコイルを形成できる。例えば、タップA458及びタップC466を外側コイル452に接続してRxコイルを形成でき、タップB464及びタップD468を内側コイル456に接続してTxコイルを形成できる。図4A及び図4Bに示すような実施形態の利点は、送信コイルと受信コイルが分離され、したがって、送信コイルと受信コイルの両方の設計の自由度が高まる点である。このため、送信コイルと受信コイルの両方は、それぞれの機能のために最適化でき、良好な性能を実現できる。
図5A及び図5Bは、TRxコイルとして使用できる他のコイル構成を示している。図5Aは、TRxコイルとして単一のコイルを使用するTRxコイル構成500を示している。図5Aの例に示すように、TRxコイル500は、単一のコイル506に接続された2つのタップ、タップ502及び504を含む。幾つかの実施形態において、コイル506は、プリント回路基板の上層及び下層に形成された上層コイル及び下層コイルを含む。図5Aに示すように、上層コイルと下層コイルは、ビア508によって並列に接続されている。単一コイル506は、Txコイル及びRxコイルの両方として機能し、したがって、システム要件は、大幅に軽減される。多くの例では、上層コイルと下層コイルのコイルパターンが同じである。図5Aに示すように、単一コイル506の両端にタップA502及びタップB504が接続されている二端子TRxコイルは、Rx及びTxコイルの両方に使用される。この利点は、1つのコイルがTxコイルとRxコイルの両方として機能することである。この場合、使用されるドライバは1つのみであり、コイル構成500をTxモードとRxモードとの間で切り替えるためのスイッチが不要であるため、回路要件は、大幅に軽減される。以下で更に説明するように、TxモードとRxモードとの間で競合する要求に対処するために、内側ターンと外側ターンとの間で、コイル構成500の個々のターンを形成するトレースの形状を調整する。具体的には、内側のトレースよりも外側のトレースの幅を広く形成する。
図2Aに示すコイル構成200の利点は、上層コイルと下層コイルとが並列に接続されているため、コイル抵抗が低いことである。しかしながら、利用可能な巻数が少なくなると、磁気結合が弱くなる。このような構成において、コイルは、巻線のターン毎に同じトレース幅を有することが多い。磁束を中心に集中させてTx性能を向上させるためには、内側半径を小さくする必要があり、これにより、効率が低下し、及び外側の巻線の空間自由度が低下するため、Rx性能が悪化する可能性がある。以下に説明するように、構成500は、異なるターンにおいてトレース幅を変化させることにより、コイル構造500の性能をチューニングしている。更に、以下に説明するように、コイル構造500は、コイルレイアウトにおいて通常使用されていない部分に更なる導電材料(例えば銅)を設けることにより、コイル抵抗を更に低減している。
コイル構成500として示すようなTRxコイルは、巻線毎に最適化されたトレース幅を有することができる。各ターンのトレース幅は、磁束を改善するように最適化でき、これにより、相互インダクタンスが改善され、Tx性能が向上する。内側の巻線のトレース幅をより狭くし、外側の巻線のトレース幅をより広くすることができる。幾つかの実施形態では、コイル巻線について、段階的に2つ以上の個別のトレース幅を使用してもよい。
このような構成は、以下に説明するように、幾つかの利点を有する。このような設計によって、内径を大きくし及び/又は巻き数を削減でき、この結果、Rx性能を向上させることができる。また、このような設計により、他の因子(外側の巻線幅と内側の巻線幅の比)が導入されるので、適切な自己インダクタンス及び相互インダクタンスを達成できる。これらのパラメータを調整することによって、適切なシステムレベルのチューニングを実現でき、これにより、システムレベル(又は回路レベル)の要件を大幅に簡略化できる。更に、このような設計によって、コイル面積をより小さくでき、この結果、TRxコイルにNFC及び/又はPMAコイル等の他のコイルを設けることができる。例として図8A、図8B、図8C、図11、及び図12を参照して、多幅ターン(multi-width turns)を有する配置について更に説明する。
図5Bは、単一の連続コイルであるTRxコイル550を用いた他の実施形態を示している。TRxコイル550は、タップA552、タップB554、及びタップC556の3つのタップに接続されたコイル558を含む。タップA552は、コイル558の最も外側ターンに接続され、タップC556は、コイル558の最も内側ターンに接続されている。タップB554は、コイル558の中間ターンに接続されている。したがって、タップB554とタップC556との間に送信コイルを形成でき、タップA552とタップB554との間に受信コイルを形成できる。上述のように、タップへの接続は、実線と点で示されている。
図6A及び図6Bは、幾つかの実施形態に基づく2タップコイル構成600の別の実施形態を示している。図6A及び図6Bに示すように、コイル構成600は、外側コイル610、内側コイル612、及び外側コイル610と内側コイル612との間の空間に配置されたNFCコイル614を含む。更に図6Aに示すように、タップAは、外側コイル610の一方の側に接続されている。外側コイル610の他方の側は、内側コイル612の一方の側に接続され、タップB608は、内側コイル612の他方の側に接続されている。図6Bは、線C−C’に沿ったコイル構成600の断面図である。この接続は、外側コイル610内の外側ターンと内側コイル612の内側ターンとの再構成された接続である。更に、図6Bに示すように、外側コイル610内の上層及び下層コイルは、ビア618を介して並列接続されている。更に、内側ターン612のための上層コイル及び下層コイルは、ビア620を介して直列接続されている。この上層及び下層コイルへの並列接続及び直列接続によって、コイル抵抗を最適化し、Tx及びRx性能を向上させることができる。更に、Txコイルにおいて集中して発生する磁束が磁気結合を改善する。大きな外側ターンコイル610は、Rxコイルとしての動作でより多くの磁束を拾い、これにより、Rx性能が向上する。
内側コイル612の内側ターンのための上層コイルと下層コイルの直列接続は、Txコイルに使用できる。Txコイルとしての動作用の内側ターンは、集中磁束を発生させる。ターンの直径は小さく、内側コイル612の上側コイルと内側コイル612の下側コイルとが直列接続されているため、より多くのターンがより強い磁場を生成できる。直列接続によるRxコイルへのより強い磁気結合(これにより、ターンの数を増やすことができる。)は、Tx性能にとって重要である。
外側コイル610の外側ターンの上層及び下層のターンを並列接続することにより、外側コイル610の抵抗をより低くすることができる。外側ターンをより大きくし、抵抗を小さくすることで、対応するTxコイルからの磁束の受け取りが改善される。内側ターンと外側ターンの両方でコイル抵抗を最適化することにより、TxとRxの性能が向上する。TXコイルとして機能する際に発生する集中磁束により、磁気結合が強くなる。これにより、より多くの磁束を拾う大きな外側ターンがRXコイルとして機能でき、RX性能が向上する。
したがって、幾つかの実施形態は、多端子TRxコイルを含む。コイル構造のTx部分とRx部分は、分離されているため、TxコイルとRxコイルの両方の機能に関する設計の自由度がより高い。これにより、TxコイルとRxコイルの両方で良好な性能が得られる。幾つかの実施形態は、2端子TRxコイルを含むことができる。1つのコイルがTxコイルとRxコイルの両方として機能するため、システム要件が大幅に軽減される。幾つかの実施形態では、外側ターンと内側ターンとの間の接続を再構成する。外側ターン用の上層コイルと下層コイルを並列に接続することにより、最適化されたRxコイルが実現される。内側ターン用の上層コイルと下層コイルを直列に接続することにより、最適化されたTxコイルが実現される。外側ターンと内側ターンの間でトレースの幅を変化させることによってコイル抵抗が最適化され、TxとRxの性能が向上する。多数の内側の巻線によって形成されたTxコイルが発生する集中磁束により、磁気結合が強くなる。トレース幅が広い外側の大きなターンは、Rxコイルとしてより多くの磁束を拾い、これにより、Rx性能が向上する。
上記のように、多くのシステムにおいて、マルチタップコイルを使用してTRxコイルを形成できる。これは、例えば、図4AのTRxコイル400、図4BのTRxコイル450、又は図6AのTRxコイル600に示されている。これらは、他の様々なコイルにも適用できる。これらの構成では、スイッチングネットワーク158(図1B)は、モードコントローラ156からのモードに応じてタップを切り替えることによってコイル構成のうちの1つを選択するため、複雑になる。
幾つかの場合、例えば、図5Bに示すTRxコイル550のように、1つのコイルが送信システムと受信システムの両方を駆動するハイブリッドコイルを設計する。ここで、効率的なシステムを達成するためには、TXシステムとRXシステムの両方におけるコイルの最適化が重要である。TXコイルとRXコイルの両方の性能の動作に影響を与える1つの特定のパラメータは、コイル抵抗である。コイル抵抗が増加すると、電力の送信中及び受信中の両方のコイルの加熱による電力損失が増加する。この動作パラメータは、ACコイル抵抗(AC coil resistance:ACR)及びDCコイル抵抗(DC coil resistance:DCR)の両方で特徴付けることができる。
特に、Tx及びRxコイルは、無線給電システムにおいて電力を伝送する。コイルは、これらが配置されているデバイスの熱性能にも重要な役割を果たしている。送信機及び受信機の両方において、コイル電流は、1〜2アンペア以上になる可能性があり、このコイル電流は、送信コイル及び受信コイルの抵抗に応じて送信コイル及び受信コイルに熱を発生させる。多くの場合バッテリに接続されてバッテリに近接しているRxコイルは、例えば、バッテリを充電するために電力が伝送される際、Txコイルに極めて接近して配置される。したがって、コイルからの熱は、電池に容易に伝達され、充電性能及び電池性能に影響を及ぼし、例えば、充電電流及び電力レベル、並びに電池の寿命を制限する。したがって、コイルからの熱を制御することが重要である。更に、加熱中の電力損失により、送信デバイスと受信デバイスとの間の無線給電の効率が低下する。
図7A及び図7Bは、ターン710−1〜710−Nを有する外側コイル702を有するコイル構造700を示しており、N個のターンのうち、ターン710−1は、最も外側のコイルであり、ターン710−Nは、最も内側のコイルである。また、コイル構造700は、内側コイル712、及び場合によっては、NFCコイル714を含む。図7Bは、ターン710−1〜710−Nの断面704を示している。図7Bに示すように、コイルターン710−1〜710−Nは、全て各巻線ターンで同じトレース幅を有し、外側の巻線では、直径が大きいため、抵抗が高くなる。更に図7Aに示すように、コイルは、内側及び外側の巻線ターン710−1〜710−Nによって構成されている。これにより、外側ターン710−1に無駄な領域706が生じ、内側ターン710−Nに無駄な空間708が生じている。この結果、内側の巻線と外側の巻線との間に、無駄な銅領域が存在し、これを利用すればコイル702内のコイル抵抗を減少させることができる。
図7A及び図7Bに示すように、典型的なコイル設計は、各巻線が同じトレース幅を有する。コイル設計700は、TRxコイルとして使用できるが、トレース幅は、性能を改善するように最適化されていない。例えば、外側ターンであるターン710−1は、より長く、したがってそのターンでより高い抵抗を生じる。別の典型的なコイル設計では、図7Aに示すように、内側コイル及び外側コイルについても、スパイラル形状の巻線を使用する。この設計は、より多くの導体を設けるために使用できる領域を無駄にし、他の設計より抵抗が高くなる。更に、磁束を中心に集中させて送信コイルの性能を向上させるために内径を小さくする必要があり、このため、受信機の性能が劣化し、効率及び空間の自由度が低下する。
本発明の幾つかの実施形態では、コイルの各巻線ターンにおけるトレース幅を変化させてコイル性能を最適化する。各ターンのトレース幅は、抵抗と磁束を改善するように最適化でき、これにより、相互インダクタンスを改善してより優れた送信性能を達成できる。内側の巻線のトレース幅をより狭くし、外側の巻線のトレース幅をより広くできる。幾つかの実施形態では、内側の巻線から外側の巻線にかけて、コイル巻線のための2つ又は複数の異なるトレース幅を使用できる。幾つかの実施形態では、トレース幅は、内側コイルと外側コイルとの間で連続的に変化させてもよく、幾つかの実施形態では、トレース幅は、内側コイルと外側コイルとの間で階段関数的に変化させてもよい。図8A、図8B、及び図8Cに示すコイル構造800は、このようなコイル設計を例示している。このような構成は幾つかの利点を有することができる。このような設計によって、Txモードに関与するコイル構造800の部分の内径をより大きくし、及び/又は巻き数をより少なくでき、この結果、より良好なRx性能が達成される。
これは、図7A及び図7Bに示す構造700並びに図2A及び図2Bに示す従来の構造200等のコイル構造とは、対照的である。上述のように、図2A及び図2Bは、上層コイル208と下層コイル210の並列接続を示しているが、これらのコイルは、単一幅のトレースである。上述のように、上層コイル208及び下層コイル210は、基板、例えば、プリント回路基板の上層及び下層に形成されたコイルを指す。上層と下層には、同じコイルパターンが形成されている。ビア206は、上層コイル208と下層コイル210とを接続するために使用される。この構成の利点は、上層コイル208と下層コイル210とが並列に接続されているため、コイル抵抗が低いことである。しかしながら、利用可能な巻数が少なくなると、磁気結合が弱くなる。
図2Aに示すコイル構造200は、(内側コイルと外側コイル構造の両方を示す)図7A及び図7Bのコイル構造700によって更に示すように、各巻線で同じトレース幅を有する。磁束を中心に集中させてTx性能を向上させるためには、内径を小さくする必要があり、これにより効率が低下し、空間自由度が低下するため、Rx性能が劣化する。
本発明の幾つかの実施形態では、コイルは、抵抗を最小化するために最適化されたトレース幅を有するターントレースを有し、これにより、発生する熱を減少させ、給電の効率を高め、送信及び受信性能を改善する。このような設計により、他の因子(外側ターントレース幅と内側ターントレース幅の比)が導入されるので、適切な自己インダクタンス及び相互インダクタンスを達成でき、このため、システムレベル(又は回路レベル)の要件を大幅に簡略化でき、適切なシステムレベルのチューニングを実現できる。更に、このような設計によって、コイル面積をより小さくでき、この結果、NFC及び/又はPMA等の他のコイルとの互換性を実現できる。
本発明の実施形態は、各巻線におけるトレース幅を最適化する。幾つかの実施形態では、ターンは、抵抗(DCR/ACR)を減少させるように最適化される。幾つかの実施形態では、10%のDCR低減を達成できる。幾つかの実施形態では、外側の巻線は、より広い幅を有する。これにより、コイル抵抗が低減される。更に、幾つかの実施形態では、内側及び外側ターンに円形形状の巻線トレースを使用する。余剰の銅領域を利用して、コイル抵抗を更に低減できる。円形の縁部は、DCRを低減する。幾つかの実施形態では、円形の縁部によってDCRの1〜2%の減少を達成できる。
相互インダクタンスを改善するようにコイル設計を構成することによって性能を改善できる。この一例を図8A、図8B、及び図8Cに示す。コイル構成(コイル構造)800は、タップ812とタップ814の間に接続された並列接続コイル又は直列接続コイルを表している。コイル構成(コイル構造)800では、巻線ターン毎にトレース幅を最適化できる。具体的には、内側の巻線のトレース幅を狭く、外側の巻線のトレース幅を広くしている。これにより、上述したような幾つかの利益が得られる。
図8Aは、本発明の幾つかの実施形態に基づくコイル構造800を示している。図8Bは、外側コイル802の断面806を示している。図8Bに示すように、外側コイル802は、トレース802−1〜802−Nを含み、トレース802−1は、外側コイル802の最も外側のトレースを示し、トレース802−Nは、外側コイル802の最も内側のトレースを示している。図8Bに示すように、コイル802内のトレース802−1〜802−Nは、抵抗(DCR)低減のために幅が最適化されている。図8Bの例に示すように、トレース幅は、内側トレースよりも外側トレースでより広い(すなわち、トレース802−1は、トレース802−Nの幅よりも広い幅を有する)。図8Bは、断面806の内側トレース802−Nから外側トレース802−1までのトレース幅を示している。トレース幅は、巻線トレース802−1〜802−N毎に最適化できる。
内側の巻線(例えば、トレース802−Nに近いトレース)のトレース幅を狭くすることにより、内側の巻線においてより多くのターンが許容され、これにより、Txコイルとして機能する際に磁束を中央に集中させることができる。更に、相互インダクタンスが向上する。磁束を集中させると、従来の設計と比較して必要な巻数が少なくなるため、Nを小さくでき、これにより、コイル抵抗が減少して効率が向上する。また、磁束の集中によって、より大きい内側半径(すなわち内側トレース802−Nによって決定される半径)が許容され、これにより、Rx性能が改善され(効率が高まり及び空間自由度が向上し)、他のコイル(NFC及びPMA)との互換性が提供される。他の因子(外側ターントレース幅と内側ターントレース幅の比)が導入されるため、適切な自己インダクタンス及び相互インダクタンスを達成できる。これにより、コイルシステム800をシステムレベルで適切にチューニングでき、システムレベル(又は回路レベル)要件を大幅に簡略化できる。
図8Bは、トレース幅が各トレース802−1〜802−Nで変化する例を示しているが、トレース幅は、コイルトレース802の巻線全体に亘って滑らかに変化させてもよく、又はトレース幅を段階的に変化させてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、コイル巻線トレース802−1〜802−Nの間に分布するトレース幅の数は、少数(例えば、2つ以上)であってもよい。上述のように、コイル巻線トレース802−1〜802−N毎に異なるトレース幅を使用してもよいが、これによりコイル設計が複雑になる可能性がある。幾つかの実施形態では、簡略化された設計を使用できる。コイル巻線について2つ以上のトレース幅を使用できる。内側の巻線では、1つ以上の狭い幅を使用でき、これにより、RxコイルとTxコイルの間の相互インダクタンスが設定される。外側の巻線では、1つ以上のより広い幅を使用でき、これにより、TxコイルとRxコイルの間の相互インダクタンスが設定される。幾つかの実施形態では、例えば、トレース802−1〜802−Lは、第1の幅を有し、トレース802−(L+1)〜802−Nは、第2のより狭い幅を有する。
この結果、図8A及び図8Bに示すように、巻線毎にトレース幅を最適化できる。内側の巻線のトレース幅は狭くされ、外側の巻線のトレース幅は広くされる。内側の巻線のトレース幅を狭くすると、内側でより多くのターンが可能になり、Txコイルとして動作する際に磁束が中心に集中する。また、相互インダクタンスが向上する。この方法は、2つ以上のトレース幅を用いて簡略化してもよい。すなわち、内側の巻線用に1つ以上の狭いトレース幅を使用し、及び外側の巻線用に1つ以上の広いトレース幅を使用してもよい。
図8Cは、外側コイル802の拡大図804を示している。更に、セクション804によって例示され、図8Cに示すように、円形の外側及び内側の縁部により、より効率的な使用及びより多くの銅領域が許容される。図8Cに示すように、コイル抵抗(ACR)を最適化するために様々なコイル幅を使用できる。図8Cは、コイル802、特にコイルトレース802−1〜802−Nの断面804を示している。コイル802は、図8Aに示すものだけでなく、上述のコイルのうちのいずれであってもよい。図8Cは、これらがマルチコイル構造又はシングルコイル構造に含まれるかどうかにかかわらず、任意のコイルの断面804を表している。
図8Cに示し、図8Bに関して上述したように、コイルトレース802−1〜802−Nの幅は、外側コイル(802−1)が内側コイル(802−N)よりも広い幅を有するように変化する。図8Cに示すように、最も内側のコイルトレース802−Nの幅は、最も外側のコイルトレース802−1の幅よりも狭い。中間コイルトレース(802−2〜802−(N−1))の幅は、外側トレース802−1に向かって増加する。全てのトレースが同じ幅を有する場合に比べて、この構造により、より長い外側ループ802−1の抵抗が低下する。更に、コイル802によって占められる空間は、著しく増加しない。上述したように、図8Cに示すように幅が変化するコイルトレースを使用して、図4A、図4B、図5A、図5B、図6A、及び図6Bで上述した任意のコイル構造を形成できる。
コイル802の抵抗を更に低減するために、図7Aにおいて無駄な領域706及び708として示されるコイルトレース802−1〜802−Nのスパイラルの外側の未使用領域は、これらの領域においてコイル幅を更に増加させるために使用できる。図8Cは、上述のように、コイルトレース802−1〜802−Nを有するコイル802を示し、各コイルトレース801−1〜802−Nの幅は、内側ループでは狭く、外側ループでは広い(例えば、コイルループ802−1は、コイルループ802−Nより広い)。しかしながら、図8Cに示すように、例えば、コイル802自体が円形領域を形成するために、領域808において、コイルループ802−2に移行する部分のコイルループ802−1の幅は、コイルループ802−1の外側の領域を埋めるように更に広げられている。同様に、領域810に示すように、最も内側のコイル(802−(N−1))は、円形領域を埋めるためにコイルループ802−Nの内径まで広げられている。
図8Cは、本発明の幾つかの実施形態に基づくコイル設計を示している。導体幅が広げられたこれらの領域により、最も内側及び最も外側の巻線の抵抗を更に低減できる。また、これにより、残りのターン(コイルターン802−1〜802−N)を更に低い抵抗特性を有するように更に最適化できる。領域808及び810は、円形領域を埋める(例えば、領域808は、外径に整合するターン802−1によって円を埋める)ように示しているが、任意の形状を形成できる。例えば、領域808は、正方形又は他の形状を含む任意の形状のシェルを埋めることができる。
したがって、本発明の幾つかの実施形態は、各巻線において最適化されたトレース幅を有するTRxコイルを含む。各ターンのトレース幅は、磁束を改善するように最適化されているため、相互インダクタンスとコイル抵抗を改善してTx性能を向上させることができる。内側の巻線では、より狭いトレース幅を使用し、外側の巻線では、より広いトレース幅を使用できる。幾つかの実施形態では、トレース幅は、内側の巻線トレースと外側の巻線トレースとの間で段階的に変化させてもよい。幾つかの実施形態では、コイル巻線において2つ以上のトレース幅を使用できる。これにより様々な利益が生じる。このような設計によって、内径を大きくでき及び/又は巻き数を少なくでき、この結果、Rx性能が向上する。このような設計により、他の因子(外側ターントレース幅と内側ターントレース幅の比)が導入されるため、適切な自己インダクタンス及び相互インダクタンスが達成され、これにより、適切なシステムレベルのチューニングを行うことができ、システムレベル(又は回路レベル)の要件が大幅に簡略化される。また、このような設計によって、コイル面積をより小さくでき、この結果、NFC及び/又はPMA等の他のコイルとの互換性が確保される。
このように、コイルの幾つかの実施形態では、巻線毎のトレース幅が最適化される。幾つかの実施形態では、各ターンにおけるトレース幅は、抵抗及び無線電力の受信に関して最適化される。更に、幾つかの実施形態では、円形の内側及び外側の巻線は、コイル被覆率を高めながら抵抗を低減する。幾つかの実施形態では、送信コイル又は受信コイルのいずれかについて、目標の幾何学的形状に基づいて巻き線幅を再分布させてもよい。しかしながら、幾つかの場合、これらの構成によりコイルの抵抗が犠牲になる。典型的には、14ターンの間隔は、例えば、R=21.05mmからR=8mmまでである。なお、各セグメント内の巻線幅を最適化するためにコイルをセグメント化してもよい。
幾つかのシステムでは、表皮効果を減少させてコイルの抵抗を低減するために、コイル構造においてフィンガ(finger)設計を使用する。無線充電用途のコイル構造では、フィンガ設計を使用するコイルの利用が増えている。フィンガ設計は、表皮効果を減少させ、コイル抵抗を低減する。図9Aは、フィンガを含むコイル構造900を示している。図9Aに示すように、コイル900は、スパイラルトレース902を含み、タップ904は、外側トレース908−1に接続され、タップ906は、内側トレース908−Nに接続されている。更に図9Aに示すように、コイルトレース902は、例えば、プリント回路基板である基板914上に形成されている。
図9Bは、図9Aに示した部分912の平面図である。図9Bに示すように、コイル構造900は、タップ904及びタップ906を有する2タップコイルである。タップ904及びタップ906のそれぞれは、複数のフィンガによってトレースに接続されている。図9Bに示すように、タップ(タブ)904は、フィンガ916−1〜916−mに接続され、タップ906は、フィンガ918−1〜918−mに接続されている。この例では、mは、4であり、これは、各コイルが4つのフィンガを有することを意味するが、mは、任意の値を取ることができる。上述のように、フィンガ916−1〜916−mは、トレース908−1に接続され、これにより、トレース908−1は、m個のフィンガ916−1〜916−mを含む。更に、フィンガ918−1〜918−mは、トレース908−Nに接続されており、したがって、トレース908−mは、m個のトレース918−1〜918−mを含む。
図9Cは、図9Aに示す部分910の平面図である。図9Cに示すように、トレース901−1〜908−Nは、それぞれm個のフィンガを含む。トレース908−1は、フィンガ916−1〜916−mによって示されている。トレース908−Nは、フィンガ918−1〜918−mによって示されている。この図からわかるように、コイルトレース902の外側トレース908−1から内側トレース908−Nに向かって、フィンガ916−1〜916−mからフィンガ918−1〜918−mが対応している。図9Cに示す例では、図9Bと同様に、mは4である。
上述したように、コイル設計900の構造により、表皮効果が減少するため、コイル抵抗が改善される。しかしながら、コイル構造900では、各巻線908−1〜908−Nは、同数のフィンガmを含み、各フィンガ916−1〜916−m(918−1〜918−mとなる)は、同じ幅を有する。したがって、コイル構造900は、最適な設計ではない。
本発明の実施形態は、コイル抵抗を更に最適化するために、各ターン内のフィンガの数及びコイルのターン内のフィンガ幅のうちの1つ又は複数を変更する。この結果、本発明の幾つかの実施形態は、各フィンガ及び各ターンにおいてコイル抵抗を最適化できる。
図10A、図10B、図10C及び図10Dは、本発明の幾つかの実施形態に基づき、フィンガによって最適化されたコイル設計1000を示している。図10Aに示すように、コイル1000は、外側ターン1010−1から内側ターン1010−Nまでの範囲のコイルターン1002を含む。図示のように、タブ(タップ)1020は、外側ターン1010−1に接続されている。図8A、図8B、及び図8Cに示すものと同様に、ターン1010−1〜1010−Nの全体の幅は、外側ターンの幅が内側ターンの幅よりも広くなるように、ターン毎に変更できる。ターン1010−1〜1010−Nのそれぞれは、個々のフィンガから構成されている。個々のフィンガの幅は、ターン毎に変更でき、幾つかの実施形態では、ターン毎にフィンガの数を変更してもよい。更に、コイル1000を埋めるために、未使用空間を追加のフィンガで埋めてもよい。これらの構造は、図10B、図10C、及び図10Dに更に示されている。このように、ターン毎にフィンガの数及びフィンガの幅を変更して、コイル設計1000のコイル抵抗を最適化できる。
図10Bは、コイルトレース1002の部分1006の平面図である。図10Bに示すように、外側トレース1010−1は、フィンガ1012−1〜1012−mを有し、内側トレースは、フィンガ1014−1〜1014−m’を有する。図10Bに示すように、外側トレースのフィンガ幅は、内側トレースのフィンガ幅より広い。すなわち、フィンガ1012−1〜1012−mは、フィンガ1014−1〜1014−m’より広い幅を有する。
更に、図10Aに示す部分1008の平面図である図10Cに示すように、mは、m’よりも大きな数にしてもよく、これにより、外側ターン1010−1は、内側ターン1014−1よりも多数の独立したフィンガを有する。図10Cは、フィンガ1014−1〜1014−m’からフィンガ1012−1〜1012−mへの遷移を示している。これらの遷移は、コイルターン1002全体に亘って生じてもよく、ターン毎に生じてもよい。更に、各フィンガは、ターン1002全体を通して複数回個別に分割してもよい。
図10Dは、図10Aに示す部分1004の平面図である。図10Dに示すように、タブ1020は、フィンガ1012−1〜1012−mに接続されることにより、トレース1010−1の始端に接続されている。更に、ターン1010−1は、ターン1010−2に遷移する部分で、図8Cに関して上述したものと同様に、異なる厚さを有し、図示のようにターン1002が空の空間を埋めるように配置されたより多くのフィンガ1012−1〜1012−q(m<q)を含む。
したがって、コイル構造1000は、図8Aから図8Cに関して上述したように、各ターンにおいてフィンガの数及び個々のフィンガの幅を変更することによって、コイル抵抗を最適化できる。フィンガの幅及びフィンガの数は、コイル抵抗を最適化するために各ターンの各フィンガに適用できる。図10A〜図10Dは、コイル抵抗を最適化するための、コイルの外側ターン(トレース1010−1)からコイルの内側ターン(トレース1010−N)までの幅の変化を示している。図示のように、外側ターンは長いため、これらのターンには、より広い導体(例えば、銅)幅を適用し、内側ターンは短いため、これらのターンには、より狭い導体幅を適用することによって、ターン幅をターン毎に最適化し、最小の抵抗を実現する。上述のように幅及びフィンガの数を変更することによって、外側ターンの抵抗を低減できる。そして、コイル1000の全体的な抵抗を最小化できる。
上述したように、より多くの数のフィンガを使用することにより、ターンで使用される導体を増加させながら、各ターンの複数のフィンガの表皮効果を減少させることができる。外側ターンは内側ターンよりも長く、外側ターンのフィンガ数を増やすと、外側ターンの抵抗が減少するため、外側ターンでは、より多くのフィンガを使用できる。内側ターンは短いため、内側ターンで使用するフィンガの数は減らすことができる。この結果、本発明の実施形態では、コイルの全体的な抵抗が最小化される。したがって、このフィンガ設計は、表皮効果を減少させ、コイル全体に使用されるフィンガの幅及び数を変更することによって、全体的な抵抗を最適化できる。
上述のように、抵抗の最適化は、マルチフィンガコイル内の各フィンガに対して実行できる。幾つかの実施形態では、外側ターン(例えば、トレース1010−1)のフィンガでは、より広い導体幅を使用し、内側ターン(例えば、トレース1010−N)のフィンガでは、より狭い銅幅を使用する。幾つかの実施形態では、更に、各ターンのフィンガ数を変更することによってコイル抵抗を最適化できる。外側ターンには、内側ターンよりも多くのフィンガを設ける。これにより、コイルの全体的な抵抗を低減できる。
図11は、2つの部分、コイル部分1110及びコイル部分1112を含むコイル1100を示している。コイル部分1110及びコイル部分1112は、個々のターン1120−1〜1120−Nの幅及び厚さに関して別々に最適化されている。ターン1120−1〜1120−Nは、タブ1102と1104との間に接続されている。図11に示すように、セグメント1110の外径(outer diameter:OD)1106及びセグメント1112のOD1108は、セグメント1110及び1112を画定する。更に図11に示すように、半径範囲1114は、セグメント1118の磁束半径に関連し、半径範囲1116は、セグメント1112の磁束半径に関連する。
図11に示すように、ターン1120−1〜1120−Nのそれぞれは、各セグメント1110及び1112を最適化するために様々な幅を有する。更に、コイル1120−1は、OD1106まで導体を埋めた部分1118を含み、コイル1120−Nは、コイル巻線1120−Nによって画定される全内径まで導体を埋めた部分1122を含む。
幾つかの実施形態では、セグメント1112は、8mmの内径から14mmの外径(outer radius:OR1108)までのターン1120を含むことができる。セグメント1110は、内径14mm及び外径21mm(OD1106)のターン1120を含むことができる。セグメント1112内のターン1120は、セグメント1110内のものとは異なる厚さの金属層で形成できる。例えば、セグメント1112は、15μmの厚さに形成でき、一方、セグメント1110は、11μmの厚さに形成できる。更に、各セグメントのターン1120は、各セグメントの機能を最適化するために様々な幅を有する。
幾つかの実施形態では、例えば、セグメント1112は、半径R=13mm(OD1108は、26mm)からR=8mmまでの範囲の5.75ターンを含むことができ、セグメント1118は、R=13mm(OD1108)からR=21.05mm(42.1mmのOD1106)までの範囲の8.25ターンを含むことができる。これら2組のコイルは、幅と厚さの両方を変更することによって、これらの断面におけるACRが最小になるように最適化できる。以下の表Iはこのような一例を示している。
表1は、図11に示すコイル1100の設計に関して最適化されたコイルの一例を示している。この例は、14ターンを有する(例えば、N=14)。全体のOD1106は、42.1mm(R=21.05mm)であり、全体のID、すなわち、最も内側のコイル巻線1120−Nの直径は、16mm(R=8mm)である。分離(例えば、個々のターン間の距離1120)は、0.1mmである。コイルは、厚さ55μmの銅によって形成されている。動作温度は、25℃と仮定する。銅の抵抗率は、0.000017Ω−mmであり、温度係数は、3.9E−03/Ω−Cである。以下に表Iを示す。
幾つかの実施形態では、図11及び表Iの特定の例に示すように、ターン1120−1〜1120−Nのそれぞれの半径は、これらの幅とともに最適化できる。実際の半径(上記の例では、13mm)は、幾何学的な半径(この場合は、14mm)とは異なるように選択される。この方法は、セグメント1110とセグメント1112から形成された2コイルシステムの有効結合を特徴付けることと、最適化された磁束半径(この場合は、13mm)を判定することとを含む。これは、想定される磁束半径において、コイル全体(この場合は、14)の1ターンあたりの電圧値と、当該2つのコイル間(上記の例では、5.75)の相互インダクタンスとのバランスをとるために行われる。図11は、特定の設計例を示している。
利用可能な追加の銅領域を用いてシェルを作成することにより、外側と内側の巻線の抵抗を下げることができる。シェルの外周は、円形、正方形、又は他の形状であってもよく、この形状は、ターゲット無線給電の有効性によってのみ制限される。コイル幅の変動を含む一定/最低ACRのための最適化にこれを組み合わせて効率的なコイルを製造できる。
巻線幅は、異なるコイル形状に対して更に最適化できる。巻線の幅は、2つのセグメントに収まるコイルターンの間で変更できる。各セグメントは、異なるコイル磁束/接続特性に対して最適化できる。各セグメントは、上述のようにACR等の更なる基準によって更に最適化できる。
幾つかの実施形態では、2つ以上の磁気形状に対してコイルの最適な分割を選択する方法を提供する。幾つかの実施形態では、この方法は、システムの磁気抵抗を特徴付けることによって磁束有効半径を特定することを含むことができる。幾つかの実施形態では、この方法は、コイルターンの幾何学的半径の代わりにこの磁束半径に対してコイルを設計することを含むことができる。
図12は、本発明の幾つかの実施形態に基づくコイル構成1200を示している。図12に示すように、コイル構成1200は、外側ターン1202及び内側ターン1204を含む。タブ1208は、外側ターン1202の最も外側ターンに接続され、タブ1210は、内側ターン1204の最も内側ターンに接続されている。更に図12に示すように、外側ターン1202では、上層コイル及び下層コイルがビア1212によって並列接続されている。内側ターンは、接続部1214に直列接続された上層コイル及び下層コイルを有する。更に、図12に示すように、内側コイル1204と外側コイル1202との間に他の通信コイル1206(NXP又は他のコイル)を設けることができる。
図12の実施形態例に示すように、内側ターン1204と外側ターン1202との間の接続は、TxモードとRxモードの両方における相互インダクタンスを改善するように再構成できる。図示のように、外側ターン1202では上層コイルと下層コイルとを並列接続できる。外側ターン1202は、磁束を拾うRxコイル動作用である。外側ターンの直径は、大きくすることができる。並列接続とより広いトレース幅により、コイル抵抗を低減でき、これは、Rx性能にとって重要である。
更に、図12に示すように、内側ターン1204は、上層コイルと下層コイルの直列接続を含む。内側ターン1204は、Txコイル動作用であり、これは、集中磁束を発生させる。内側ターンの直径は、小さい。直列接続(より多くの巻数が可能である)により、Rxコイルへのより強い磁気結合を達成でき、これは、Tx性能にとって重要である。
送信コイルの効率を向上させるためには、ソリューション全体の厚さと巻線抵抗、例えば、AC抵抗(ACR)と、コアの飽和度とのバランスをとる必要があるため、送信コイルの設計は、困難である。コイルアセンブリは、特定の用途に必要とされる特定の容積内に収まる程度の大きさに制限される。但し、ACRが高くなり、フェライトコアが飽和すると、効率が悪化する。
図13Aは、フェライトコア1304上に取り付けられたコイル1302を有するコイルアセンブリ1300を示している。上述のように、コイル1302内のトレースの幅は、コイル1302の中心からの半径に応じて変化させてもよい。図13Aに示す実施形態では、フェライトコア1304及びコイル巻線1302は、工業的設計の制約によって決まる設定厚さを有する。フェライトコア1304の厚さは、コイルアセンブリ1300の動作条件に基づく飽和計算によって決定できる。上述したように、コイル巻線1302の抵抗は、半径の関数としてコイル幅を最適化することによって調整できる。上述のように、経路がより短いコイル1302の内側コイルのコイル幅は、経路がより長い外側コイルの幅よりも狭くでき、これにより、コイルの外側ターンのACRを低減しながら、内側コイルによって生成される磁場を増強する追加のターンを提供できる。
図13B及び図13Cは、送信コイルとして動作するコイル1302を示している。これらの図では、フェライト層1304における低磁束領域1306が高磁束領域1308と共に示されている。この結果、低磁束領域1306は、無駄なフェライト材料を有する可能性があり、一方、高磁束領域1308は、追加的な厚さを必要とする可能性がある。図13A及び図13Bに示すように、磁場は、コイル1302の内縁の高磁束領域1308においてより強いため、コイルの内縁では、より厚いフェライトを使用でき、磁束密度1306がより低い外縁では、より薄いフェライトを使用できる。逆に、外側の巻線の長さに起因してコイル1302の外縁の抵抗が最も高くなる。これら2つの設計上の制約は、両端で生じるため、コイルはこれらの制約を有利に適応化できる。
本発明の幾つかの実施形態では、フェライトコアの厚さは、予想される磁束強度に応じて変更できる。この結果、フェライトコアが薄い領域では、コイルのトレースの厚さを厚くでき、これによってコイルの抵抗を低減できる。図14A及び図14Bは、本発明の幾つかの実施形態に基づくフェライトコア1404上のコイル1402を示している。図14A及び図14Bに示すように、コイル1402は、コイル1402の内側ターンでより薄く、コイル1402の外側ターンでより厚く形成されたターンを含む。逆に、フェライトコア1404は、これに対応してコイル1402の内側ターンの下では、より厚く、コイル1402の外側ターンの下では、より薄く形成されている。幾つかの実施形態では、コイル1402は、全体を通して厚さが変化し、コイルの内側ターンの下のより厚いフェライトコアは、より薄いコイル厚によって補償され、外側ターンのより厚いコイル厚は、外側ターンの下のより薄いフェライトコアによって補償される。
この結果、図14A及び図14Bに示すように、トレース1406の厚さを厚くすることでコイル1402の外縁のフェライト厚が薄くなるというトレードオフがあり、飽和リスクを増大させることなくコイルACRを低減できる。逆に、コイル1402の内縁では、巻線の厚さを薄くすることでフェライトを厚くでき、これにより、コイル設計全体を薄くでき又はコイル内の電流(電力)を増加でき、コイル縁部でのフェライト飽和を軽減できる。
この結果、幾つかの実施形態に基づくコイルは、飽和が問題にならないコイルの縁部又は位置でフェライトの厚さを薄くする。これにより得られる厚さの余裕は、巻線を厚くするために使用できる。巻線を厚くすると、巻線のACR/DCRが減少し、コイル/システムの性能が向上し、TRxシステムの実装が容易になる(インピーダンスマッチングが向上する)。
図15は、上述のようなTRxコイル1526の実施形態と共に本発明に基づいて使用できるシステム1500を示している。図15に示すように、TRxコイル1526は、タブ構成1520に接続されている。タブ構成1520は、キャパシタ回路1514に接続されている。キャパシタ回路1514は、送受信回路1508に接続されている。マイクロコントローラ1530は、タブ構成1520、キャパシタ回路1514、及び送受信回路1508のそれぞれに接続されている。図15に示すように、タブ構成1520は、Txタブ構成1522及びRxタブ構成1524を含む。Txタブ構成1522では、Txコイル構成に対応するTRxコイル1526へのタブが接続されている。Rxタブ構成1524では、Rxコイル構成に対応するTRxコイル1526へのタブが接続されている。幾つかの実施形態では、上述のように、TRxコイル1526は、2つのタブを含み、他の幾つかの実施形態では、2つより多いタブが使用される。
図15に更に示すように、キャパシタ回路1514は、Txキャパシタ構成1516及びRxキャパシタ構成1518を含む。Txモードでは、Txキャパシタ構成1516がTRxコイル1526に適切なキャパシタンスを提供する。Rxモードでは、Rxキャパシタ構成1518がTRxコイル1526に適切なキャパシタンスを提供する。
更に図15に示すように、送受信回路1508は、Txドライバ構成1510とRx整流器構成1512とを含む。Txモードでは、Txドライバ構成1510が電源1502から電力を受け取り、スイッチングネットワークを切り替えてTRxコイル1526のTx構成にAC電力を供給する。Rxモードでは、Rxドライバ構成1512がTRxコイル1526のRx構成から電力を受け取り、整流を行い、負荷1506に電力を供給する。
マイクロコントローラ1530は、送受信回路1508、キャパシタ回路1514、及びタブ構成1520に接続されている。マイクロコントローラ1530は、プロセッサ、メモリ、及び補助回路を含む。メモリは、システム1500の機能を実行するためのプロセッサ用のプログラミング命令、パラメータ、及びデータを格納するのに十分な揮発性及び不揮発性メモリの両方を含む。マイクロコントローラ1530は、システム1500の様々なセクションで動作するためのパラメータを設定でき、またシステム1500をTxモードとRxモードとの間で切り替えることができる。Txモードでは、マイクロコントローラ1530は、送受信回路をTxドライバ構成1510に設定し、キャパシタ回路1514をTxキャパシタ構成1516に設定し、タブ回路1520をTxタブ1522に設定する。Rxモードでは、マイクロコントローラ1530は、送受信回路をRx整流器構成1512に設定し、キャパシタ回路1514をRxキャパシタ構成1518に設定し、タブ回路1520をRxタブ構成1524に設定する。
更に、TRxコイル1526が通信コイル、例えば、NXPコイルを含む場合、マイクロコントローラ1530は、通信ブロック1528に接続できる。そして、通信ブロック1528は、TRxコイル1526内の駆動通信コイルに接続される。更に、マイクロコントローラ1530は、TRxコイル1526の特性、並びに送受信回路1508、キャパシタ回路1514、及びタブ回路1520において行うことができる利用可能な調整を考慮して、システム1500を最適に動作させるようにシステム1500を調整できる。
幾つかの実施形態では、マイクロコントローラ1530は、Tx動作周波数点が最適化されるようにTxドライバ構成を調整できる。Txドライバ構成1510は、通常、TRxコイル1526のTx構成を介して電流を供給するためにドライバ回路によって特定のスイッチング周波数で駆動されるスイッチングトランジスタを含む。Txモードでは、最も頻繁に使用されるRx充電条件で最高の効率が達成されるように動作周波数点をチューニングできる。無線充電は、通常、システム1500がTxモードであるときにTRxコイル1526に近づけられた受信機の定電流モード(constant current mode:CCモード)で行われる。高効率動作は、良好な熱的性能を提供し、これによって無線充電中の過熱状態を回避できる。
多くの状況下で、Txモード中の最高効率条件は、通常、許容される最高動作周波数で達成される。より高い動作周波数では、Txコイル電流は、特定の誘起電圧に対してより低くなる。したがって、より高い動作周波数では、電力損失が少なくなる。最高許容動作周波数が達成されると、システムは、デューティサイクルモードで動作できる。デューティサイクルモードは、TRxコイル1526のTxコイル構成に高電圧が印加されるサイクルの期間を指す。サイクルの残りの期間中、TRxコイル1526のTxコイル構成は、接地電圧等の低電圧に接続される。デューティサイクルモードでは、周波数を低くしてもよい。幾つかの実施形態では、マイクロコントローラ1530は、デューティサイクルを最大にするようにTxドライバ構成1510をチューニングできる。幾つかの場合、Txスイッチング周波数は、システム1500の構成要素及びシステム1500に近接させた受信機の構成要素を含む共振回路に応じて設定できる。
TRxコイル1526は、例えば、上記の実施形態のうちのいずれかであってもよい。上述したように、Txコイルチューニングは、コイル直径、巻線ターン幅、及び巻回厚さを変更することを含む多くの手法で実行できる。Txコイルは、上述のようにTRxコイル1526内のRxコイル間で高い相互インダクタンスを有するようにチューニングされているため、無線給電の効率を高めることができる。動作周波数点は、Txドライバ構成1510、Txキャパシタ構成1516、及び場合によっては、Txタブ構成1522を調整することによってチューニングできる。動作周波数は、Txモードでシステム1500の動作周波数をチューニングするための以下の因子によってチューニングできる。1)Txコイルの自己インダクタンス、2)TxコイルとRxコイルの相互インダクタンス、3)チューニングキャパシタンス、及び4)入力電圧(例えば、電源1502からの電圧)。入力電圧は、通常、システム1500のシステム設計によって決定される。Txコイルの自己インダクタンスと相互インダクタンスは、通常、コイルの設計によって決定されるリンクされたパラメータである。上述したようにトレースの幅と厚さを変更することにより、これら2つのパラメータに対する設計の自由度が高まる。
システム1500の動作を向上させる他の手法は、キャパシタを共有すること、システム動作点を最適化するためにOn−The−Go(OTG)電圧法を調整すること、及び/又はエネルギ送信のためのデッドタイムを最適化することを含む。システム1500を最適化するこれらの追加の手法については、後に更に説明する。
キャパシタ回路1514内のTRxコイル及びチューニングキャパシタを共有することによっても、システムの効率を高めることができる。システム1500がRxモードである場合、Rxキャパシタ構成1518は、コイル及びチューニングキャパシタを含み、TRXコイル1526のRxコイル構成が、近接する送信機の対応するTxコイルからより多くの磁束を受け取るために大きい半径を有することを反映する。Rxキャパシタ構成1518は、動作周波数範囲におけるLC(コイルインダクタ及びチューニングキャパシタ)インピーダンスが1)誘導性、及び2)低インピーダンスとなるように、Rxモードにおいてシステム1500をチューニングすることを補助する。これにより、より大きい電力を負荷1506に接続できる。
Txモードの間のTxキャパシタ構成1516のコイル及びチューニングキャパシタは、TRxコイル1526のTxコイル構成が中央領域で高い磁束(換言すれば、高い相互インダクタンス)を生成することを反映する。相互インダクタンスを改善するためのコイル設計方法は、上述のようにTRxコイル1526の設計において実施できる。上述のように、Txシステムは、動作周波数範囲におけるLCインピーダンスが誘導性となり、最良の動作周波数点が達成されるようにチューニングされる。
TRxコイル1526のTRxコイル構成及びキャパシタ回路1514のチューニングキャパシタは、システム1500のTxモードとRxモードとの間で共有できる。Txモードでは、動作周波数点は、以下の因子によってチューニングできる。1)Txコイルの自己インダクタンス、2)TxコイルとRXコイルの相互インダクタンス、3)チューニングキャパシタンス、及び4)入力電圧。入力電圧は、通常システム設計によって決定され、電源1502からの入力である。Txコイルの自己インダクタンスと相互インダクタンスは、通常、関連するパラメータである。トレースの幅と厚さを調整してコイルを最適化することにより、これら2つのパラメータに対する設計の自由度が高まる。上記の要件により、TRxコイル1526及びキャパシタ回路1514内のチューニングキャパシタを共有できる。この結果、システム及び回路/チップの要件を大幅に簡略化できる。
幾つかの実施形態では、Txモードゼロ電圧スイッチング(zero-voltage switching:ZVS)キャパシタ及びRxモード通信キャパシタを共有できる。TxモードのZVSキャパシタに関しては、ハードスイッチングによってEMIの問題が生じることが多い。スイッチング過渡を遅くし、EMI性能を改善するために、TxモードのスイッチングノードにZVSキャパシタを追加している。Rxモード通信キャパシタ(Communication Capacitor)に関しては、通信キャパシタは、通常、WPC又はPMA無線充電規格と共にRxモードで使用される。通信キャパシタもスイッチングノードに接続されている。したがって、キャパシタ回路内のキャパシタは、Txキャパシタ構成1516においてはZVSキャパシタとして使用でき、Rxキャパシタ構成1518においては通信キャパシタとして使用できる。
TxモードのZVSキャパシタをRxモードの通信キャパシタと共有すると、システムが大幅に簡略化される。Txモード用のTxキャパシタ構成1516では、ZVSキャパシタは、スイッチを介して接地されている。Rxモード用のRxキャパシタ構成1518では、通信キャパシタは、通信変調方法に応じて、接地される場合もあれば、接地されない場合もある。
更に、OTG電圧を使用してシステム動作点を最適化できる。OTG電圧は、包括的に言えば、Rx整流器構成1512がアクティブであるときの送受信回路1508の電圧出力、換言すれば、負荷1506への入力電圧である。上述のように、TRxコイル1526のTxコイル構成は、チューニングできる。更に、Txモードでは、動作周波数点は、以下の因子によってチューニングできる。1)Txコイルの自己インダクタンス、2)TxコイルとRxコイルの相互インダクタンス、3)チューニングキャパシタンス、及び4)入力電圧。TRxコイル(自己インダクタンスと相互インダクタンスの係数)及びチューニングキャパシタンスに加えて、入力電圧は、システム動作点のチューニングに別の因子を提供する。これにより、TRxコイルの設計要件とチューニング法を大幅に簡略化できる。
OTG電圧は、インタラクションをチューニングするためにも使用できる。Rxモードでは、Rx整流器構成1512からの無線電力受信機回路出力は、負荷1506の電力管理IC(power management IC:PMIC)DC入力に接続できる。PMIC DC入力は、PMIC OTGモードにおける出力端子である。したがって、Txモードでは、Txドライバ構成1510の無線電力送信機回路の入力は、負荷1506からのPMIC OTGモード出力並びに電源1502に自然に接続される。その後、必要な電力が大きいRxモードにおいてOTG電圧を上昇させ、必要な電力が小さいRxモードにおいてOTG電圧を低下させることによって、システム動作点チューニングを行うことができる。したがって、動作周波数が低いときにOTG電圧を上げることによってチューニングを行うことができる。
システム1500の送信モード中のデッドタイムも最適化できる。デッドタイムが短いとハードスイッチングが発生し、これによってEMI性能が低下し電力損失が発生し、効率が低下する。一方、デッドタイムが長いと、Txモードでは、(Rxモード中は、同期整流器として動作できる)インバータは、スイッチングが終了したときのデッドタイム中にダイオードモードで機能できる。ダイオードモードでは、電力損失が生じるため、効率が低下する。
幾つかの実施形態では、デッドタイムをTxドライバ構成1510によって実施されるスイッチング時間に等しくなるように設定することによってデッドタイムを最適化できる。したがって、スイッチングは(ハードスイッチングではなく)ZVSである。更に、スイッチがダイオードモードに入る時間がなくなる。最適化は、最も頻繁に使用されるRx充電条件(通常、Rxは、定電流モードで動作する)に対して行うことができる。また、最適化は、Txドライバ構成1510において選択されたZVSキャパシタンスに基づいて行うこともできる。
更に、異物検出(Foreign Object Detection:FOD)法において、マイクロコントローラ1530の効率を高めることができる。異物は、電力損失、動作パラメータの監視、及び制御エラーパケット(Control Error Packet:CEP)監視を使用して検出できる。電力損失法では、マイクロコントローラ1530は、電源1502からの入力電圧及び入力電流情報から入力電力を算出し、WPC通信を介して受信電力パケット(received power packet:RPP)情報から受信電力情報を受信し、Tx入力電力とRx受信電力を比較して、近くに異物があるか否かを判定する。特定の閾値を超える電力損失に基づいて異物の存在を判定できる。
動作パラメータ法では、TRxコイル1526の様々な電力レベル及び様々なX−Y−Z位置での通常動作における動作パラメータを記録する。異常動作パラメータは、近くに異物があることを示唆する。これらの動作パラメータは、1)信号強度、2)動作周波数、3)RPP、4)入力電力、又は他のパラメータであってもよい。
CEP法では、入力電圧の低下(例えば、10%の低下)又は周波数の低下(例えば、10%の低下)が発生した場合の通常動作時の制御エラーパケット(CEP)を記録する。同じ入力電圧降下又は周波数降下を引き起こす異物が近くにあると、CEPが大きくなる。
要約すると、本発明の実施形態は、各巻線において最適化されたトレース幅を有するTRxコイルを含む。各ターンのトレース幅は、磁束を改善するように最適化されているため、相互インダクタンスを改善してTx性能を向上させることができる。内側の巻線では、より狭いトレース幅を使用し、外側の巻線では、より広いトレース幅を使用できる。幾つかの実施形態では、コイル巻線に2つ以上のトレース幅を使用できる。これにより様々な利益が生じる。このような設計によって、内径を大きくでき及び/又は巻き数を少なくでき、この結果、Rx性能が向上する。また、このような設計により、他の因子(外側ターントレース幅と内側ターントレース幅の比)が導入されるため、適切な自己インダクタンス及び相互インダクタンスが達成され、これにより、適切なシステムレベルのチューニングを行うことができ、システムレベル(又は回路レベル)の要件が大幅に簡略化される。また、このような設計によって、コイル面積をより小さくでき、この結果、NFC及び/又はPMA等の他のコイルのコイル設計との互換性が確保される。
各巻線のトレース幅又は厚さを最適化することに加えて、幾つかの実施形態では、最適化のために外側ターンと内側ターンの接続を再構成できる。更に、実施形態は、Tx動作周波数点の最適化、TRxコイルとチューニングキャパシタの共有、TxモードZVSキャパシタとRxモード通信キャパシタの共有、システム動作点を最適化するOTG電圧法、及びデッドタイムの最適化を含むことができる。更に、FOD法を実施できる。これらのFOD法には、電力損失の監視、動作パラメータの監視、及びCEPの監視が含まれる。
上記の詳細な説明は、本発明の特定の実施形態を例示するために提供されており、限定することを意図していない。本発明の範囲内で多数の変形及び修正が可能である。本発明は、特許請求の範囲によって定義される。