JP6787668B2 - 改変型リパーゼ及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は改変型リパーゼに関する。詳しくは、改変型リパーゼ、及び改変型リパーゼを利用した乳製品の製造方法等が提供される。本出願は、2013年12月10日に出願された日本国特許出願第2013−255419号に基づく優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容は参照により援用される。
リパーゼは乳製品の風味生成や風味増強に利用されている。伝統的に仔ヤギ、仔牛又は仔羊に由来するリパーゼ製剤が使用されてきた。これら反芻動物由来リパーゼは、乳脂肪から短鎖脂肪酸(C4、C6)を遊離するという特異性を有し、乳製品の風味生成に適している。
しかし、食品加工へ利用する酵素製剤へのコーシャ、ハラール品質の要求のため、動物由来リパーゼの代替品に対する強い産業的要求がある。この要求に応えるべく、微生物由来酵素の利用(例えば特許文献1)や組換え酵素の利用(例えば特許文献2)等が提案されている。また、特定の用途への適用のために、リパーゼを遺伝子工学的に改変する試みもある(例えば特許文献3〜5)。
特開昭61−135541号公報 米国特許出願公開第2004/0001819号明細書 特表2011−512809号公報 特表2003−524386号公報 特表2004−517639号公報
J. Schmitt et al., Protein Engineering, vol.15, no.7, pp.595-601, 2002
微生物由来リパーゼは短鎖脂肪酸よりも長鎖脂肪酸に選択性を有することから、乳脂肪に作用させた場合の遊離脂肪酸プロフィールも長鎖が多いものとなる。長鎖の脂肪酸は石鹸臭の要因となることから、乳製品、特にチーズの風味として好ましくない。
以上の背景の下、本発明は、短鎖ないし中鎖脂肪酸選択性を有する、微生物由来のリパーゼ及びその用途を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく検討を進める中で、本発明者らは、カンジダ シリンドラッセ(Candida cylindracea)由来のリパーゼ(カンジダ ルゴーサ(Candida rugosa)由来のリパーゼと以前に呼称されていたものを使用した。)に着目し、その改変を試みた。試行錯誤の末、基質ポケットを構成するアミノ酸の中から、目的を達成し得る、極めて有効な変異位置を見出すことに成功した。当該変異位置に対して特定のアミノ酸置換を施した変異体は、乳脂肪を加水分解し、動物由来リパーゼと同様に短鎖ないし中鎖脂肪酸(C4〜C8)を選択的に遊離した。変異体は短鎖脂肪酸(C4〜C6)によく作用し、C4の脂肪酸に最もよく作用した。このように、変異の結果、基質特異性を動物由来リパーゼに近づけることに成功した。尚、カンジダ シリンドラッセ(Candida cylindracea)由来のリパーゼについては、その基質特異性に有効とされる変異(アミノ酸置換)が報告されているが(非特許文献1)、新たに見出された変異の方が基質特異性(短鎖脂肪酸に対する選択性)の改変に効果的であった。
ここで、アミノ酸配列の同一性の高い酵素(典型的にはアイソザイム)については、立体構造(特に活性部位や基質ポケットなどの活性に関与する部位)の類似性が高く、同様の変異が同様の効果を生む蓋然性が高いという技術常識に鑑みれば、実施例で使用したLIP1とアミノ酸の同一性の高い他の酵素についても同様の変異手法を適用可能といえる。
以下の発明は、主として以上の成果及び考察に基づく。
[1]カンジダ シリンドラッセ由来のリパーゼのアミノ酸配列において、以下の(1)又は(2)の置換が行われたアミノ酸配列からなる改変型リパーゼ:
(1)配列番号1に示すアミノ酸配列の428位アミノ酸に相当するアミノ酸に対する、アスパラギンへの置換;
(2)配列番号1に示すアミノ酸配列の429位アミノ酸に相当するアミノ酸に対する、フェニルアラニン、メチオニン又はイソロイシンへの置換。
[2]前記カンジダ シリンドラッセ由来のリパーゼのアミノ酸配列が、配列番号2のアミノ酸配列と70%以上同一のアミノ酸配列であり、前記(1)の置換が行われる、[1]に記載の改変型リパーゼ。
[3]前記カンジダ シリンドラッセ由来のリパーゼのアミノ酸配列が、配列番号2のアミノ酸配列と90%以上同一のアミノ酸配列であり、前記(2)の置換が行われる、[1]に記載の改変型リパーゼ。
[4]前記カンジダ シリンドラッセ由来のリパーゼのアミノ酸配列が、配列番号2〜7のいずれかのアミノ酸配列である、[2]又は[3]に記載の改変型リパーゼ。
[5]配列番号8〜11のいずれかのアミノ配列からなる、[1]に記載の改変型リパーゼ。
[6][1]〜[5]のいずれか一項に記載の改変型リパーゼをコードする遺伝子。
[7]配列番号12〜19のいずれかの塩基配列を含む、[6]に記載の遺伝子。
[8][6]又は[7]に記載の遺伝子を含む組換えDNA。
[9][8]に記載の組換えDNAを保有する微生物。
[10]宿主が、エシェリヒア コリ、カンジダ シリンドラッセ、アスペルギルス オリゼ、バチルス サチルス又はピキア パストリスである、[9]に記載の微生物。
[11][1]〜[5]のいずれか一項に記載の改変型リパーゼを含む酵素剤。
[12][1]〜[5]のいずれか一項に記載の酵素又は[11]に記載の酵素剤を食品又は食品原料に作用させることを特徴とする、食品又は食品原料の風味改善方法。
[13][1]〜[5]のいずれか一項に記載の酵素又は[11]に記載の酵素剤を食品原料又は中間生成物に作用させることを特徴とする、食品の製造方法。
[14]食品が乳製品である[12]又は[13]に記載の方法。
[15][1]〜[5]のいずれか一項に記載の酵素又は[11]に記載の酵素剤を含む、食品又は食品原料に作用させるための、風味改善剤。
[16][1]〜[5]のいずれか一項に記載の酵素又は[11]に記載の酵素剤を作用させて得られた、食品又は食品原料。
酵素処理後の遊離脂肪酸組成。チーズ(基質)にカンジダ シリンドラッセ由来の野生型リパーゼLIP1を作用させ、遊離脂肪酸組成を分析した。 酵素処理後の遊離脂肪酸組成。チーズ(基質)に各種改変型リパーゼ(変異体)を作用させ、遊離脂肪酸組成を比較した。左上:仔牛舌下腺由来リパーゼを使用。下:改変型リパーゼ(変異体1:L428N、変異体2:G429F、変異体3:G429M、変異体4:G429I)を使用。右上:既報の改変型リパーゼ(L428F)を使用。 カンジダ シリンドラッセ由来の野生型リパーゼLIP1(配列番号2)、LIP1'(配列番号3)、LIP2(配列番号4)、LIP3(配列番号5)、LIP4(配列番号6)、LIP5(配列番号7)の配列の比較。 図3の続き。 図4の続き。
説明の便宜上、本発明に関して使用する用語の一部について以下で定義する。
(用語)
用語「改変型リパーゼ」とは、特定のリパーゼ(説明の便宜上、「基準リパーゼ」と呼ぶ)を改変ないし変異して得られる酵素である。基準リパーゼは、カンジダ シリンドラッセ(Candida cylindracea)由来のリパーゼ又はカンジダ ルゴーサ(Candida rugosa)由来のリパーゼである。用語「カンジダ シリンドラッセ(Candida cylindracea)由来のリパーゼ」と用語「カンジダ ルゴーサ(Candida rugosa)由来のリパーゼ」とは交換可能に使用される。
用語「カンジダ シリンドラッセ由来のリパーゼ」とは、その起源がカンジダ シリンドラッセであるリパーゼのことであり、カンジダ シリンドラッセが産生するリパーゼ、カンジダ シリンドラッセを変異処理したもの(変異株)が産生するリパーゼ、或いはこれらの酵素の遺伝情報を利用して他の微生物等で発現させたリパーゼなどを含む。同様に、用語「カンジダ ルゴーサ由来のリパーゼ」とは、その起源がカンジダ ルゴーサであるリパーゼのことであり、カンジダ ルゴーサが産生するリパーゼ、カンジダ ルゴーサを変異処理したもの(変異株)が産生するリパーゼ、或いはこれらの酵素の遺伝情報を利用して他の微生物等で発現させたリパーゼなどを含む。
本発明では、改変ないし変異として「アミノ酸の置換」が行われる。従って、改変型リパーゼと基準リパーゼを比較すると、一部のアミノ酸残基に相違が認められる。尚、本明細書では、改変型リパーゼのことを改変型酵素又は変異体とも呼ぶ。
本明細書では慣例に従い、以下の通り、各アミノ酸を1文字で表記する。
メチオニン:M、セリン:S、アラニン:A、トレオニン:T、バリン:V、チロシン:Y、ロイシン:L、アスパラギン:N、イソロイシン:I、グルタミン:Q、プロリン:P、アスパラギン酸:D、フェニルアラニン:F、グルタミン酸:E、トリプトファン:W、リジン:K、システイン:C、アルギニン:R、グリシン:G、ヒスチジン:H
本明細書では、慣例に従い、翻訳開始点に対応するメチオニンを1番目としてN末端からC末端に向かって付けた番号によって各アミノ酸の位置を特定する。従って、シグナルペプチドが切断された成熟体では、シグナルペプチドの分だけアミノ酸番号が繰り上がることになる。
本明細書では、変異点のアミノ酸残基(置換の対象となるアミノ酸残基)を、アミノ酸の種類を表す上記1文字とアミノ酸の位置を表す数字との組合せで表現する。例えば、428位のグリシンが変異点であれば「G428」と表現される。
1.改変型リパーゼ
本発明の第1の局面は改変型リパーゼ(改変型酵素)に関する。本発明の改変型酵素は、カンジダ シリンドラッセ由来のリパーゼのアミノ酸配列において、以下の(1)又は(2)の置換が行われたアミノ酸配列を有する。
(1)配列番号1に示すアミノ酸配列の428位アミノ酸に相当するアミノ酸に対する、アスパラギンへの置換
(2)配列番号1に示すアミノ酸配列の429位アミノ酸に相当するアミノ酸に対する、フェニルアラニン、メチオニン又はイソロイシンへの置換
配列番号1の配列は、カンジダ シリンドラッセ由来のリパーゼLIP1のアミノ酸配列(シグナルペプチドを含む)である。(1)の置換では、当該アミノ酸配列の428位アミノ酸に相当するアミノ酸が置換対象となり、当該アミノ酸をアスパラギンへと置換させることによってリパーゼの基質特異性を変化させる。(2)の置換では、配列番号1の配列の429位アミノ酸に相当するアミノ酸が置換対象となり、当該アミノ酸をフェニルアラニン、メチオニン又はイソロイシンへと置換させることによってリパーゼの基質特異性を変化させる。アミノ酸置換後のリパーゼ、即ち改変型酵素は短鎖ないし中鎖脂肪酸(C4〜C8)に対する選択性が高く、それを乳脂肪に作用させると、典型的には、仔牛舌下腺由来リパーゼ類似の遊離脂肪酸組成を示す。好ましくは、改変型酵素は短鎖脂肪酸(C4〜C6)によく作用し、C4の脂肪酸に最もよく作用する。
ここで、本明細書においてアミノ酸残基について使用する場合の用語「相当する」とは、比較されるタンパク質(酵素)間においてその機能の発揮に同等の貢献をしていることを意味する。例えば、基準リパーゼのアミノ酸配列(配列番号1のアミノ酸配列)に対して比較対象のアミノ酸配列を、一次構造(アミノ酸配列)の部分的な相同性を考慮しつつ、最適な比較ができるように並べたときに(このときに必要に応じてギャップを導入し、アライメントを最適化してもよい)、基準のアミノ酸配列中の特定のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸を「相当するアミノ酸」として特定することができる。一次構造同士の比較に代えて、又はこれに加えて立体構造(三次元構造)同士の比較によって「相当するアミノ酸」を特定することもできる。立体構造情報を利用することによって信頼性の高い比較結果が得られる。この場合は、複数の酵素の立体構造の原子座標を比較しながらアライメントを行っていく手法を採用できる。変異対象酵素の立体構造情報は例えばProtein Data Bank(http://www.pdbj.org/index_j.html)より取得することができる。
X線結晶構造解析によるタンパク質立体構造の決定方法の一例を以下に示す。
(1)タンパク質を結晶化する。結晶化は、立体構造決定のためには欠かせないが、それ以外にも、タンパク質の高純度の精製法、高密度で安定な保存法として産業上の有用性もある。この場合、リガンドとして基質もしくはそのアナログ化合物を結合したタンパク質を結晶化すると良い。
(2)作製した結晶にX線を照射して回折データを収集する。なお、タンパク質結晶はX線照射によりダメージを受け回折能が劣化するケースが多々ある。その場合、結晶を急激に−173℃程度に冷却し、その状態で回折データを収集する低温測定技術が最近普及してきた。なお、最終的に、構造決定に利用する高分解能データを収集するために、輝度の高いシンクロトロン放射光が利用される。
(3)結晶構造解析を行うには、回折データに加えて、位相情報が必要になる。目的のタンパク質に対して、類縁のタンパク質の結晶構造が未知の場合、分子置換法で構造決定することは不可能であり、重原子同型置換法により位相問題が解決されなくてはならない。重原子同型置換法は、水銀や白金等原子番号が大きな金属原子を結晶に導入し、金属原子の大きなX線散乱能のX線回折データへの寄与を利用して位相情報を得る方法である。決定された位相は、結晶中の溶媒領域の電子密度を平滑化することにより改善することが可能である。溶媒領域の水分子は揺らぎが大きいために電子密度がほとんど観測されないので、この領域の電子密度を0に近似することにより、真の電子密度に近づくことができ、ひいては位相が改善されるのである。また、非対称単位に複数の分子が含まれている場合、これらの分子の電子密度を平均化することにより位相が更に大幅に改善される。このようにして改善された位相を用いて計算した電子密度図にタンパク質のモデルをフィットさせる。このプロセスは、コンピューターグラフィックス上で、MSI社(アメリカ)のQUANTA等のプログラムを用いて行われる。この後、MSI社のX-PLOR等のプログラムを用いて、構造精密化を行い、構造解析は完了する。目的のタンパク質に対して、類縁のタンパク質の結晶構造が既知の場合は、既知タンパク質の原子座標を用いて分子置換法により決定できる。分子置換と構造精密化はプログラム CNS_SOLVE ver.11などを用いて行うことができる。
カンジダ シリンドラッセ由来のリパーゼとして、5種類の酵素(LIP1、LIP2、LIP3、LIP4、LIP5)が知られている。また、本出願人はリパーゼ生産菌の変異株からLIP1に高い相同性を示す酵素(LIP1'と呼ぶ)を見出している。これら6種類の酵素について、シグナルペプチドを除いたアミノ酸配列(即ち、成熟体のアミノ酸配列)を配列番号2(LIP1)、配列番号3(LIP1')、配列番号4(LIP2)、配列番号5(LIP3)、配列番号6(LIP4)、配列番号7(LIP5)に示す。典型的には、これらの酵素のいずれが基準リパーゼ(それに置換を施すことによって改変型酵素が得られるもの)となる。即ち、基準リパーゼのアミノ酸配列の具体例は配列番号2〜7のアミノ酸配列である。カンジダ シリンドラッセ由来のリパーゼLIP1のアミノ酸配列(配列番号2)との同一性は、配列番号3のアミノ酸配列では99%、配列番号4のアミノ酸配列では79%、配列番号5のアミノ酸配列では 88%、配列番号6のアミノ酸配列では81%、配列番号7のアミノ酸配列では82%である(図3〜5)。
(1)の置換(配列番号1のアミノ酸配列の428位アミノ酸に相当するアミノ酸に対する置換)については、配列番号2のアミノ酸配列と70%以上同一のアミノ酸配列からなる酵素を基準リパーゼにしてもよい。例えば、LIP1、LIP1'、LIP2、LIP3、LIP4及びLIP5は当該基準リパーゼに該当する。好ましくは、配列番号2のアミノ酸配列と80%以上同一であるアミノ酸配列を有する酵素(但し、リパーゼ活性を示すものに限る)、より好ましくは配列番号2のアミノ酸配列と90%以上同一であるアミノ酸配列を有する酵素(但し、リパーゼ活性を示すものに限る)、より一層好ましくは配列番号2のアミノ酸配列と95%以上同一であるアミノ酸配列を有する酵素(但し、リパーゼ活性を示すものに限る)、最も好ましくは配列番号2のアミノ酸配列と99%以上同一であるアミノ酸配列を有する酵素(但し、リパーゼ活性を示すものに限る)を基準リパーゼとして用いる。
配列番号2のアミノ酸配列を有するLIP1では、配列番号1のアミノ酸配列の428位アミノ酸に相当するアミノ酸は413番目のロイシン(L)である。従って、配列番号2のアミノ酸配列を有するLIP1を基準リパーゼとしたときには当該アミノ酸が置換対象になる。一方、配列番号3のアミノ酸配列を有するLIP1'を基準リパーゼとしたとき、置換対象のアミノ酸は配列番号3の413番目のアミノ酸であるロイシン(L)となる。配列番号4のアミノ酸配列を有するLIP2を基準リパーゼとしたとき、置換対象のアミノ酸は配列番号4のアミノ酸配列の413番目のアミノ酸であるロイシン(L)となる。配列番号5のアミノ酸配列を有するLIP3を基準リパーゼとしたとき、置換対象のアミノ酸は配列番号5の413番目のアミノ酸であるロイシン(L)となる。配列番号6のアミノ酸配列を有するLIP4を基準リパーゼとしたとき、置換対象のアミノ酸は配列番号6のアミノ酸配列の413番目のアミノ酸であるロイシン(L)となる。配列番号7のアミノ酸配列を有するLIP5を基準リパーゼとしたとき、置換対象のアミノ酸は配列番号7のアミノ酸配列の413番目のアミノ酸であるロイシン(L)となる。
一方、(2)の置換(配列番号1のアミノ酸配列の429位アミノ酸に相当するアミノ酸に対する置換)については、配列番号2のアミノ酸配列と90%以上同一のアミノ酸配列からなる酵素を基準リパーゼにしてもよい。例えば、LIP1及びLIP1'は当該基準リパーゼに該当する。好ましくは、配列番号2のアミノ酸配列と95%以上同一であるアミノ酸配列を有する酵素(但し、リパーゼ活性を示すものに限る)、より好ましくは配列番号2のアミノ酸配列と98%以上同一であるアミノ酸配列を有する酵素(但し、リパーゼ活性を示すものに限る)、最も好ましくは配列番号2のアミノ酸配列と99%以上同一であるアミノ酸配列を有する酵素(但し、リパーゼ活性を示すものに限る)を基準リパーゼとして用いる。
配列番号2のアミノ酸配列を有するLIP1では、配列番号1のアミノ酸配列の429位アミノ酸に相当するアミノ酸は414番目のグリシン(G)である。従って、配列番号2のアミノ酸配列を有するLIP1を基準リパーゼとしたときには、当該アミノ酸が置換対象になる。一方、配列番号3のアミノ酸配列を有するLIP1'を基準リパーゼとしたとき、置換対象のアミノ酸は配列番号3の414番目のアミノ酸であるグリシン(G)となる。
ここで、改変型酵素のアミノ酸配列の具体例を配列番号8〜11に示す。配列番号8のアミノ酸配列を有する改変型酵素(変異体1)は、配列番号2のアミノ酸配列を有するLIP1に対し、413番目のアミノ酸のアスパラギンへの置換(即ち(1)の置換)を施して得られたもの、配列番号9のアミノ酸配列を有する改変型酵素(変異体2)は、配列番号2のアミノ酸配列を有するLIP1に対し、414番目のアミノ酸のフェニルアラニンへの置換(即ち(2)の置換の一つ)を施して得られたもの、配列番号10のアミノ酸配列を有する改変型酵素(変異体3)は、配列番号2のアミノ酸配列を有するLIP1に対し、414番目のアミノ酸のメチオニンへの置換(即ち(2)の置換の一つ)を施して得られたもの、配列番号11のアミノ酸配列を有する改変型酵素(変異体4)は、配列番号2のアミノ酸配列を有するLIP1に対し、414番目のアミノ酸のイソロイシンへの置換(即ち(2)の置換の一つ)を施して得られたものである。
ところで、一般に、あるタンパク質のアミノ酸配列の一部を変異させた場合において変異後のタンパク質が変異前のタンパク質と同等の機能を有することがある。即ちアミノ酸配列の変異がタンパク質の機能に対して実質的な影響を与えず、タンパク質の機能が変異前後において維持されることがある。この技術常識を考慮すれば、上記改変型酵素(変異体1〜4のいずれか)と比較した場合に、アミノ酸配列の僅かな相違が認められるものの(但し、アミノ酸配列の相違は上記アミノ酸置換が施された位置以外の位置で生ずることとする)、特性に実質的な差が認められないものは、上記改変型酵素と実質同一の酵素とみなすことができる。ここでの「アミノ酸配列の僅かな相違」とは、典型的には、アミノ酸配列を構成する1〜数個(上限は例えば3個、5個、7個、10個)のアミノ酸の欠失、置換、若しくは1〜数個(上限は例えば3個、5個、7個、10個)のアミノ酸の付加、挿入、又はこれらの組合せによりアミノ酸配列に変異(変化)が生じていることをいう。「実質同一の酵素」のアミノ酸配列と、基準となる上記改変型酵素のアミノ酸配列との同一性(%)は、例えば90%以上であり、好ましくは95%以上であり、より好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。尚、アミノ酸配列の相違は複数の位置で生じていてもよい。「アミノ酸配列の僅かな相違」は、好ましくは保存的アミノ酸置換により生じている。
2.改変型リパーゼをコードする核酸等
本発明の第2の局面は本発明の改変型酵素に関連する核酸を提供する。即ち、改変型酵素をコードする遺伝子、改変型酵素をコードする核酸を同定するためのプローブとして用いることができる核酸、改変型酵素をコードする核酸を増幅又は突然変異等させるためのプライマーとして用いることができる核酸が提供される。
改変型酵素をコードする遺伝子は典型的には改変型酵素の調製に利用される。改変型酵素をコードする遺伝子を用いた遺伝子工学的調製法によれば、より均質な状態の改変型酵素を得ることが可能である。また、当該方法は大量の改変型酵素を調製する場合にも好適な方法といえる。尚、改変型酵素をコードする遺伝子の用途は改変型酵素の調製に限られない。例えば、改変型酵素の作用機構の解明などを目的とした実験用のツールとして、或いは酵素の更なる改変体をデザイン又は作製するためのツールとして、当該核酸を利用することもできる。
本明細書において「改変型酵素をコードする遺伝子」とは、それを発現させた場合に当該改変型酵素が得られる核酸のことをいい、当該改変型酵素のアミノ酸配列に対応する塩基配列を有する核酸は勿論のこと、そのような核酸にアミノ酸配列をコードしない配列が付加されてなる核酸をも含む。また、コドンの縮重も考慮される。
改変型酵素をコードする遺伝子の配列(塩基配列)の例を配列番号12〜15に示す。これらの配列は、下記の通り、後述の実施例に示した変異体をコードする。
配列番号12:変異体1(L428N)
配列番号13:変異体2(G429F)
配列番号14:変異体3(G429M)
配列番号15:変異体4(G429I)
ところで、カンジダ シリンドラッセではCTGコドンがセリンをコードする。他の酵母等を宿主として発現させる場合には、使用する宿主に合わせ、CTGコドンを、セリンをコードする他のコドン(TCT、TCC、TCA、AGT又はAGC)に変更する必要がある。本発明は、異種発現用の遺伝子の配列として、配列番号12〜15のいずれかの配列に対してこのようなコドンの置換を施した配列も提供する。コドンの置換を施した配列の例を以下に示す。
配列番号16(配列番号12の配列においてコドンの置換をしたもの)
配列番号17(配列番号13の配列においてコドンの置換をしたもの)
配列番号18(配列番号14の配列においてコドンの置換をしたもの)
配列番号19(配列番号15の配列においてコドンの置換をしたもの)
本発明の遺伝子を宿主内で発現させる場合には、通常、上記の配列(配列番号5'末端側にシグナルペプチドをコードする配列(シグナル配列)を付加した遺伝子コンストラクトで宿主に導入することになる。野生型のLIP1のシグナル配列を配列番号21に示す。当該配列がコードするアミノ酸配列(即ちシグナルペプチド)を配列番号22に示す。シグナル配列は宿主に応じて選択すればよい。目的とする変異体を発現可能なシグナル配列である限り、本発明に使用できる。利用可能なシグナル配列の例は、α-因子のシグナルペプチドをコードする配列(Protein Engineering, 1996, vol9, p.1055-1061)、α-因子受容体のシグナルペプチドをコードする配列、SUC2タンパク質のシグナルペプチドをコードする配列、PHO5タンパク質のシグナルペプチドをコードする配列、BGL2タンパク質のシグナルペプチドをコードする配列、AGA2タンパク質のシグナルペプチドをコードする配列、TorA(トリメチルアミンN−オキシドレダクターゼ)のシグナルペプチドをコードする配列、バチルス ズブチリス由来のPhoD(ホスホエステラーゼ)のシグナルペプチドをコードする配列、バチルス ズブチリス由来のLipA(リパーゼ)のシグナルペプチドをコードする配列、アスペルギルス オリゼ由来タカアミラーゼのシグナルペプチドをコードする配列(特開2009−60804号公報)、バチルス アミロリケファシエンス由来のα−アミラーゼのシグナルペプチドをコードする配列(Eur. J. Biochem. 155, 577-581 (1986))、バチルス ズブチリス由来の中性プロテアーゼのシグナルペプチドをコードする配列(APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY, Apr. 1995, p. 1610-1613 Vol. 61, No. 4)、Bacillus属細菌由来セルラーゼのシグナルペプチドをコードする配列(特開2007−130012号公報)を例示することができる。
本発明の核酸は、本明細書又は添付の配列表が開示する配列情報を参考にし、標準的な遺伝子工学的手法、分子生物学的手法、生化学的手法などを用いることによって、単離された状態に調製することができる。
本発明の他の態様では、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列と比較した場合にそれがコードするタンパク質の機能は同等であるものの一部において塩基配列が相違する核酸(以下、「相同核酸」ともいう。また、相同核酸を規定する塩基配列を「相同塩基配列」ともいう)が提供される。相同核酸の例として、本発明の改変型酵素をコードする核酸の塩基配列を基準として1若しくは複数の塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含む塩基配列からなり、改変型酵素に特徴的な酵素活性(即ちリパーゼ活性)を有するタンパク質をコードするDNAを挙げることができる。塩基の置換や欠失などは複数の部位に生じていてもよい。ここでの「複数」とは、当該核酸がコードするタンパク質の立体構造におけるアミノ酸残基の位置や種類によっても異なるが例えば2〜40塩基、好ましくは2〜20塩基、より好ましくは2〜10塩基である。
以上のような相同核酸は例えば、制限酵素処理、エキソヌクレアーゼやDNAリガーゼ等による処理、位置指定突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)やランダム突然変異導入法(Molecular Cloning, Third Edition, Chapter 13 ,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)による変異の導入などによって得られる。また、紫外線照射など他の方法によっても相同核酸を得ることができる。
本発明の他の態様は、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列に対して相補的な塩基配列を有する核酸に関する。本発明の更に他の態様は、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列、或いはそれに相補的な塩基配列に対して少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.9%同一な塩基配列を有する核酸を提供する。
本発明の更に別の態様は、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列又はその相同塩基配列に相補的な塩基配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有する核酸に関する。ここでの「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。このようなストリンジェントな条件は当業者に公知であって例えばMolecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)やCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987)を参照して設定することができる。ストリンジェントな条件として例えば、ハイブリダイゼーション液(50%ホルムアミド、10×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、5×Denhardt溶液、1% SDS、10% デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いて約42℃〜約50℃でインキュベーションし、その後0.1×SSC、0.1% SDSを用いて約65℃〜約70℃で洗浄する条件を挙げることができる。更に好ましいストリンジェントな条件として例えば、ハイブリダイゼーション液として50%ホルムアミド、5×SSC(0.15M NaCl, 15mM sodium citrate, pH 7.0)、1×Denhardt溶液、1%SDS、10%デキストラン硫酸、10μg/mlの変性サケ精子DNA、50mMリン酸バッファー(pH7.5))を用いる条件を挙げることができる。
本発明の更に他の態様は、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列、或いはそれに相補的な塩基配列の一部を有する核酸(核酸断片)を提供する。このような核酸断片は、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列を有する核酸などを検出、同定、及び/又は増幅することなどに用いることができる。核酸断片は例えば、本発明の改変型酵素をコードする遺伝子の塩基配列において連続するヌクレオチド部分(例えば約10〜約100塩基長、好ましくは約20〜約100塩基長、更に好ましくは約30〜約100塩基長)にハイブリダイズする部分を少なくとも含むように設計される。プローブとして利用される場合には核酸断片を標識化することができる。標識化には例えば、蛍光物質、酵素、放射性同位元素を用いることができる。
本発明のさらに他の局面は、本発明の遺伝子(改変型酵素をコードする遺伝子)を含む組換えDNAに関する。本発明の組換えDNAは例えばベクターの形態で提供される。本明細書において用語「ベクター」は、それに挿入された核酸を細胞等のターゲット内へと輸送することができる核酸性分子をいう。
使用目的(クローニング、タンパク質の発現)に応じて、また宿主細胞の種類を考慮して適当なベクターが選択される。大腸菌を宿主とするベクターとしてはM13ファージ又はその改変体、λファージ又はその改変体、pBR322又はその改変体(pB325、pAT153、pUC8など)等、酵母を宿主とするベクターとしてはpYepSec1、pMFa、pYES2等、昆虫細胞を宿主とするベクターとしてはpAc、pVL等、哺乳類細胞を宿主とするベクターとしてはpCDM8、pMT2PC等を例示することができる。
本発明のベクターは好ましくは発現ベクターである。「発現ベクター」とは、それに挿入された核酸を目的の細胞(宿主細胞)内に導入することができ、且つ当該細胞内において発現させることが可能なベクターをいう。発現ベクターは通常、挿入された核酸の発現に必要なプロモーター配列や、発現を促進させるエンハンサー配列等を含む。選択マーカーを含む発現ベクターを使用することもできる。かかる発現ベクターを用いた場合には、選択マーカーを利用して発現ベクターの導入の有無(及びその程度)を確認することができる。
本発明の核酸のベクターへの挿入、選択マーカー遺伝子の挿入(必要な場合)、プロモーターの挿入(必要な場合)等は標準的な組換えDNA技術(例えば、Molecular Cloning, Third Edition, 1.84, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New Yorkを参照することができる、制限酵素及びDNAリガーゼを用いた周知の方法)を用いて行うことができる。
宿主細胞としては、取り扱いの容易さの点から、麹菌(例えばアスペルギルス オリゼ)、バチルス属細菌(例えばバチルス ズブチリス)、大腸菌(エシェリヒア コリ)、出芽酵母(サッカロマイセス セレビシエ)などの微生物を用いることができるが、組換えDNAが複製可能で且つ改変型酵素の遺伝子が発現可能な宿主細胞であれば利用可能である。好ましくは大腸菌(エシェリヒア コリ)、出芽酵母(サッカロマイセス セレビシエ)を用いることができる。カンジダ属酵母(例えばカンジダ シリンドラッセ)を宿主にすることもできる。また、ピキア属酵母(例えばピキア パストリス)を宿主にすることもできる。大腸菌の例としてT7系プロモーターを利用する場合は大腸菌BL21(DE3)pLysS、そうでない場合は大腸菌JM109を挙げることができる。また、出芽酵母の例として出芽酵母SHY2、出芽酵母AH22あるいは出芽酵母INVSc1(インビトロジェン社)を挙げることができる。
本発明の他の局面は、本発明の組換えDNAを保有する微生物(即ち形質転換体)に関する。本発明の微生物は、上記本発明のベクターを用いたトランスフェクション乃至はトランスフォーメーションによって得ることができる。例えば、塩化カルシウム法(ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー(J.Mol. Biol.)、第53巻、第159頁 (1970))、ハナハン(Hanahan)法(ジャーナル オブ モレキュラー バイオロジー、第166巻、第557頁 (1983))、SEM法(ジーン(Gene)、第96巻、第23頁(1990))、チャング(Chung)らの方法(プロシーディングズ オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンシーズ オブ ザ USA、第86巻、第2172頁(1989))、リン酸カルシウム共沈降法、エレクトロポーレーション(Potter,H. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81, 7161-7165(1984))、リポフェクション(Felgner, P.L. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84,7413-7417(1984))等によって実施することができる。尚、本発明の微生物は、本発明の改変型酵素を生産することに利用することができる。
3.改変型リパーゼを含む酵素剤
本発明の改変型酵素は例えば酵素剤の形態で提供される。酵素剤は、有効成分(本発明の改変型酵素)の他、賦形剤、緩衝剤、懸濁剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水などを含有していてもよい。賦形剤としてはデンプン、デキストリン、マルトース、トレハロース、乳糖、D-グルコース、ソルビトール、D-マンニトール、白糖、グリセロール等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としてはエタノール、塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等と用いることができる。
4.改変型リパーゼの用途
本発明の更なる局面は改変型酵素及び酵素剤の用途に関する。本発明の改変型酵素は、動物由来リパーゼに近似した基質特異性、即ち、短鎖ないし中鎖脂肪酸選択性を有する。本発明では、この特性を活かし、食品や食品原料などの風味改善に改変型酵素又は酵素剤を利用する。「風味改善」とは、特定の風味成分を増強又は付与することによって、本来の風味(即ち、本発明を適用しない場合の風味)よりも好ましい風味をもたせることをいう。典型的には、風味改善の結果、その食品又は食品原料に特徴的な風味が増強される。好ましくない風味成分がマスクされることによって風味が改善する場合もある。
本発明を適用可能な食品又は食品原料として、乳製品、マーガリン類(マーガリン、ファットスプレッド)、ショートニング、アイスクリーム類(アイスクリーム、ジェラート、フローズンヨーグルト、サンデー、スムージー、ソフトクリームなど)、氷菓、ムース、ババロア、スナック菓子、ドレッシング、スープ、各種植物油(大豆油、なたね油、コーン油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ひまわり油、綿実油など)を例示することができる。
例えば、食品又は食品原料に本発明の改変型酵素又は酵素剤を作用させることによって風味の改善を図ることができる。一方、食品の製造工程中において原料又は中間生成物に本発明の改変型酵素又は酵素剤を添加、混合等することににすれば、風味が改善した食品を製造することができる。或いは、本発明の改変型酵素又は酵素剤を利用して得られた組成物を添加、混合等することによって、食品又は食品原料の風味を改善させることにしてもよい。
本発明の改変型酵素又は酵素剤は、特に、乳製品の製造に好適である。本発明の改変型酵素又は酵素剤を適用することにより、乳製品の風味(特にチーズ風味)を増強ないし改善させることができる。
本発明の改変型酵素又は酵素剤を適用可能な乳製品の例として、チーズ(チェスター、チェダー、エダム、ゴーダ、エメンタール、パルメザン、ペコリーノ等)、加工チーズ(プロセスチーズ)、EMC(Enzyme modified cheese)、チーズフード(一種以上のナチュラルチーズ又はプロセスチーズを加工して製造されるものであって、製品中のチーズ分の重量が51%以上のものをいう)、バター、ヨーグルト、クリーム、スプレッド、調製粉乳、調味料(例えば、スナック菓子、ドレッシング、スープなどに使用されるもの)、を挙げることができる。乳製品の主原料となる乳は、例えば、牛、ヒツジ、ヤギ等の乳である。
本発明の改変型酵素又は酵素剤は、例えば、乳製品の製造過程において原料又は中間生成物に添加される。これによって、原料又は中間生成物中の乳脂肪に対する酵素作用が発揮され、脂肪酸の遊離が生ずる。本発明の改変型酵素又は酵素剤は、乳製品の製造過程において、様々な段階で添加され得る。使用する酵素量(酵素濃度)、温度条件、反応時間などは、予備実験を通して決定すればよい。
A.新規リパーゼの創出
新規リパーゼの創出を目指し、以下の検討を行った。
1.目標・検討方針
以下の点に着目して検討を進めることにした。
(1)チーズに作用させた場合に仔牛舌下腺由来リパーゼ類似の遊離脂肪酸組成をもたらす微生物リパーゼの取得を目指す。具体的には、脂肪酸特異性を長鎖から短鎖に変更することを試みる。
(2)酵素タンパク質の基質ポケットを狭くすることにより基質特異性を変更する。
(3)基質ポケット内のアミノ酸を、よりかさ高いものに変更することによりポケットを狭くする。
2.方法
(1)変異点の選択
カンジダ シリンドラッセ由来リパーゼLIP1の配列(シグナルペプチドを含むアミノ酸配列を配列番号1に、当該アミノ酸配列をコードする遺伝子の配列を配列番号20に、シグナルペプチドを含まない成熟体のアミノ酸配列を配列番号2に示す)及び公共のデータベースに登録された立体構造から、基質と相互作用しているアミノ酸を選択した。具体的には、261位プロリン(P261)、319位ロイシン(L319)、428位ロイシン(L428)を選択した。尚、これらのアミノ酸残基は、Schmittらの文献(非特許文献1:J. Schmitt et al., Protein Engineering, vol.15, no.7, pp.595-601, 2002)におけるP246、L304及びL413にそれぞれ対応する。
一方、ポケット内の疎水性を高めることでエステル合成能を向上させることに着目しつつコンピュータ解析によって変異点を検索し、中性アミノ酸である380位セリン(S380)と429位グリシン(G429)を選択した。
(2)変異アミノ酸配列をコードするDNA配列の取得
ピキア パストリス(Pichia pastoris)宿主発現系(Invitrogen, Pichia Expression Kit)を使用した。プラスミドはpPIC3.5Kを使用し、テンプレートであるカンジダ シリンドラッセ由来LIP1遺伝子には出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)に最適化されたコドン配列を使用した。Inverse PCR法による変異導入を行い(TOYOBO, KOD-Plus-Mutagenesis Kit)、選択した変異点にアミノ酸置換が生じた各種変異体をコードする遺伝子を調製した。変異体LIP1遺伝子を含むプラスミドをE. coli DH5αに形質転換した。続いて、変異体LIP1遺伝子を含むプラスミドを形質転換したE. coliより抽出した。
(3)変異体アミノ酸配列を発現する形質転換体の取得
変異体LIP1遺伝子を含むプラスミドをピキア パストリスGS115に形質転換した(Invitrogen, Pichia Expression Kit)。得られたピキア パストリス形質転換体を培養し、培養上清から酵素(変異体リパーゼ)を回収した。
(4)変異体リパーゼを用いた乳脂肪分解
基質にはナチュラルチーズ(ヤングチェダーチーズ)をリン酸バッファー(pH 6.8)に重量比で1:1になるように懸濁・分散させたものを使用した。反応条件は50℃、16時間とした。各変異体リパーゼの添加量はチーズ1gに対しタンパク量0.1mgとした。反応終了後、チーズ中の遊離脂肪酸をジエチルエーテルにより抽出し、ガスクロマトグラフィーに供した。
10種を超える変異体リパーゼについて評価した結果、野生型リパーゼ(図1)と異なり、仔牛舌下腺由来リパーゼと類似した脂肪酸組成を示す変異体リパーゼ(変異体1:L428N、変異体2:G429F、変異体3:G429M、変異体4:G429I)が見出された(図2)。即ち、短鎖ないし中鎖脂肪酸(C4〜C8)を選択的に遊離する変異体リパーゼの取得に成功した。乳脂肪に作用させた場合、変異体リパーゼは短鎖脂肪酸(C4〜C6)によく作用し、C4の脂肪酸に最もよく作用する。ここで、変異体3は、仔牛舌下腺由来リパーゼよりも短鎖脂肪酸特異性が高い点は注目に値する。比較のために、上掲の文献で報告された変異体L428F(文献中ではL413Fと呼称される)についての結果(図2の右上)を示した。変異体L428Fでは長鎖脂肪酸の遊離が比較的多い。尚、各変異体のアミノ酸配列とそれをコードする遺伝子の配列(野生型に対応するようにカンジダ酵母に特有のコドンを使用している)を以下に示す。
<変異体1>
アミノ酸配列:配列番号8
遺伝子配列:配列番号12
<変異体2>
アミノ酸配列:配列番号9
遺伝子配列:配列番号13
<変異体3>
アミノ酸配列:配列番号10
遺伝子配列:配列番号14
<変異体4>
アミノ酸配列:配列番号11
遺伝子配列:配列番号15
B.変異体リパーゼの各種宿主での発現
(1)大腸菌(エシェリヒア コリ)での発現
プラスミドpET20bに変異体リパーゼ(G429M)遺伝子を導入した。エシェリヒア コリOrigami B(DE3)を宿主に発現させた。得られた形質転換体を15℃の条件下で40時間培養し、菌体を得た。菌体をビーズショッカーで破砕し、得られた抽出液の活性を測定した。短鎖脂肪酸に対する活性を測定するためにリパーゼキットS(DSバイオファーマメディカル)を用いた。長鎖脂肪酸への活性を測定するために脂肪消化力LMAP法を用いた。結果、細胞抽出液の活性は、リパーゼキットSの場合に1.85 u/mL、LMAP法の場合に0 u/mLであった。
プラスミドpCold-TFに変異体リパーゼ(G429M)遺伝子を導入した。エシェリヒア コリOrigami B(DE3)を宿主に発現させた。得られた形質転換体をLB培地、15℃の条件下で40時間培養し、菌体を得た。菌体をビーズショッカーで破砕し、得られた抽出液の活性を測定した。結果、細胞抽出液の活性は、リパーゼキットSの場合に3.95 u/mL、LMAP法の場合に0 u/mLであった。
以上の通り、短鎖脂肪酸特異的な変異体リパーゼ(G429M)を発現することが出来た。
(2)酵母(カンジダ シリンドラッセ)での発現
変異により栄養要求性を付与したカンジダ シリンドラッセを宿主に、変異体リパーゼ(G429M)を発現させた。得られた形質転換体を25℃の条件下で48時間培養し、培養上清の活性を測定した。短鎖脂肪酸への活性を測定するためにFCCIII法を用いた。長鎖脂肪酸への活性を測定するために脂肪消化力LMAP法を用いた。結果、変異体リパーゼ(G429M)を発現させたカンジダ シリンドラッセの培養上清の活性は、FCCIII法の場合に470 u/mL、LMAP法の場合に155 u/mLであった(短鎖:長鎖 = 3:1)。比較のために、変異体リパーゼ遺伝子を導入していない宿主の培養上清の活性を測定したところ、FCCIII法の場合に267 u/mL、LMAP法の場合に599 u/mLであった(短鎖:長鎖 = 2:5)。
以上の通り、短鎖脂肪酸特異的な変異体リパーゼ(G429M)を発現することが出来た。
(3)糸状菌(アスペルギルス オリゼ)での発現
変異により栄養要求性を付与したアスペルギルス オリゼを宿主に、アミラーゼプロモーターを用いて変異体リパーゼ(G429M)を発現させた。得られた形質転換体を30℃の条件下で76時間培養し、培養上清の活性を測定した。短鎖脂肪酸への活性を測定するためにFCCIII法を用いた。長鎖脂肪酸への活性を測定するために脂肪消化力LMAP法を用いた。結果、変異型リパーゼ(G429M)を発現させたアスペルギルス オリゼの培養上清の活性は、FCCIII法の場合に39 u/mL、LMAP法の場合に0 u/mLであった。
以上の通り、短鎖脂肪酸特異的な変異体リパーゼ(G429M)を発現することが出来た。
(4)枯草菌(バチルス サチルス)での発現
プルラナーゼプロモーターを付与した変異体リパーゼ(G429M)遺伝子をプラスミドpHY300PLKに導入した。バチルス サチルスを宿主に発現させた。得られた形質転換体の培養液の活性を測定した。短鎖脂肪酸に対する活性を測定するためにリパーゼキットS(DSバイオファーマメディカル)を用いた。長鎖脂肪酸への活性を測定するために脂肪消化力LMAP法を用いた。結果、培養液の活性は、リパーゼキットSの場合に0.3 u/mL(空ベクターで形質転換したコントロールは0.1u/mL)、LMAP法の場合に0 u/mLであった。
以上の通り、短鎖脂肪酸特異的な変異体リパーゼ(G429M)を発現することが出来た。
本発明の改変型リパーゼは短鎖ないし中鎖脂肪酸選択性を示す。特に、チーズ又はチーズ加工品等、チーズの風味を呈する乳製品の製造において本発明の改変型リパーゼの利用価値は高い。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (13)

  1. カンジダ シリンドラッセ由来のリパーゼのアミノ酸配列であって、配列番号2のアミノ酸配列と95%以上同一のアミノ酸配列において、以下の(1)又は(2)の置換が行われたアミノ酸配列からなる、短鎖ないし中鎖脂肪酸(C 4 〜C 8 )に対する選択性を有する改変型リパーゼ:
    (1)配列番号1に示すアミノ酸配列の428位アミノ酸に相当するアミノ酸に対する、アスパラギンへの置換;
    (2)配列番号1に示すアミノ酸配列の429位アミノ酸に相当するアミノ酸に対する、フェニルアラニン又はメチオニンへの置換。
  2. 前記カンジダ シリンドラッセ由来のリパーゼのアミノ酸配列が、配列番号2又は3のアミノ酸配列である、請求項1に記載の改変型リパーゼ。
  3. 配列番号8〜10のいずれかのアミノ配列からなる、請求項1に記載の改変型リパーゼ。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の改変型リパーゼをコードする核酸
  5. 配列番号12〜14、16〜18のいずれかの塩基配列を含む、請求項4に記載の核酸
  6. 請求項4又は5に記載の核酸を含む組換えDNA。
  7. 請求項6に記載の組換えDNAを保有する微生物。
  8. 宿主が、エシェリヒア コリ、カンジダ シリンドラッセ、アスペルギルス オリゼ、バチルス サチルス又はピキア パストリスである、請求項7に記載の微生物。
  9. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の改変型リパーゼを含む酵素剤。
  10. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の改変型リパーゼ又は請求項9に記載の酵素剤を食品又は食品原料に作用させることを特徴とする、食品又は食品原料の風味改善方法。
  11. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の改変型リパーゼ又は請求項9に記載の酵素剤を食品原料又は中間生成物に作用させることを特徴とする、食品の製造方法。
  12. 食品が乳製品である請求項10又は11に記載の方法。
  13. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の改変型リパーゼ又は請求項9に記載の酵素剤を含む、食品又は食品原料に作用させるための風味改善剤。
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