以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
<第1の実施の形態>
図1を参照して、電源装置50を搭載する画像形成装置100について説明する。図1は、画像形成装置100の内部構造の一例を示す図である。
図1には、カラープリンタとしての画像形成装置100が示されている。以下では、カラープリンタとしての画像形成装置100について説明するが、画像形成装置100は、カラープリンタに限定されない。たとえば、画像形成装置100は、モノクロプリンタであってもよいし、ファックスであってもよいし、モノクロプリンタ、カラープリンタおよびファックスの複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)であってもよい。
画像形成装置100は、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、中間転写ベルト30と、一次転写ローラー31と、二次転写ローラー33と、カセット37と、従動ローラー38と、駆動ローラー39と、タイミングローラー40と、定着装置43と、電源装置50とを含む。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト30に沿って順に並べられている。画像形成ユニット1Yは、トナーボトル15Yからトナーの供給を受けてイエロー(Y)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Mは、トナーボトル15Mからトナーの供給を受けてマゼンタ(M)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Cは、トナーボトル15Cからトナーの供給を受けてシアン(C)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Kは、トナーボトル15Kからトナーの供給を受けてブラック(BK)のトナー像を形成する。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ、中間転写ベルト30に沿って中間転写ベルト30の回転方向の順に配置されている。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ、感光体10と、帯電装置11と、露光装置12と、現像装置13と、クリーニング装置17とを備える。
帯電装置11は、感光体10の表面を一様に帯電する。露光装置12は、後述する制御装置51からの制御信号に応じて感光体10にレーザー光を照射し、入力された画像パターンに従って感光体10の表面を露光する。これにより、入力画像に応じた静電潜像が感光体10上に形成される。
現像装置13は、現像ローラー14を回転させながら、現像ローラー14に現像バイアスを印加し、現像ローラー14の表面にトナーを付着させる。これにより、トナーが現像ローラー14から感光体10に転写され、静電潜像に応じたトナー像が感光体10の表面に現像される。
感光体10と中間転写ベルト30とは、一次転写ローラー31を設けている部分で互いに接触している。一次転写ローラー31は、回転可能に構成されている。トナー像と反対極性の転写電圧が一次転写ローラー31に印加されることによって、トナー像が感光体10から中間転写ベルト30に転写される。イエロー(Y)のトナー像、マゼンタ(M)のトナー像、シアン(C)のトナー像、およびブラック(BK)のトナー像が順に重ねられて感光体10から中間転写ベルト30に転写される。これにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト30上に形成される。
中間転写ベルト30は、従動ローラー38および駆動ローラー39に張架されている。駆動ローラー39は、たとえばモーター(図示しない)によって回転駆動される。中間転写ベルト30および従動ローラー38は、駆動ローラー39に連動して回転する。これにより、中間転写ベルト30上のトナー像が二次転写ローラー33に搬送される。
クリーニング装置17は、感光体10に圧接されている。クリーニング装置17は、トナー像の転写後に感光体10の表面に残留するトナーを回収する。
カセット37には、用紙Sがセットされる。用紙Sは、カセット37から1枚ずつタイミングローラー40によって搬送経路41に沿って二次転写ローラー33に送られる。二次転写ローラー33は、トナー像と反対極性の転写電圧を搬送中の用紙Sに印加する。これにより、トナー像は、中間転写ベルト30から二次転写ローラー33に引き付けられ、中間転写ベルト30上のトナー像が転写される。二次転写ローラー33への用紙Sの搬送タイミングは、中間転写ベルト30上のトナー像の位置に合わせてタイミングローラー40によって調整される。タイミングローラー40により、中間転写ベルト30上のトナー像は、用紙Sの適切な位置に転写される。
定着装置43は、自身を通過する用紙Sを加圧および加熱する。これにより、用紙S上に形成されているトナー像が用紙Sに定着する。その後、用紙Sは、トレー48に排紙される。
電源装置50は、たとえば、画像形成装置100内の各装置に異なる大きさの電圧を供給する。電源装置50の詳細については後述する。
[電源装置50]
上述したように、電源装置50は、画像形成装置100内の各装置に異なる大きさの電圧を印加する。一例として、電源装置50は、帯電装置11、現像ローラー14、一次転写ローラー31、および二次転写ローラー33の少なくとも1つに電圧を供給する。以下では、帯電装置11に電圧を供給する電源装置50、現像ローラー14に電圧を供給する電源装置50、一次転写ローラー31に電圧を供給する電源装置50、および二次転写ローラー33に電圧を供給する電源装置50について順に説明する。
(帯電装置11用の電源装置50)
図2を参照して、帯電装置11に電圧を供給する電源装置50について説明する。図2は、電源装置50の回路構成の一例を示す図である。
本例における電源装置50は、1つの変圧器(トランス)から直流電圧および交流電圧を出力することができる。電源装置50が1つの変圧器で構成されることで、電源装置50の構造が簡素になり、電源装置50の小型化および低コスト化が実現される。
図2に示されるように、電源装置50は、制御装置51と、変圧器54と、検知部56と、増幅器Dと、バンドパスフィルタF1,F2,F10と、変換回路T1,T2と、コンデンサーC1と、加算器A1とで構成されている。制御装置51は、周波数制御部AC,DC1と、加算器A0とで構成されている。
周波数制御部ACは、所定周波数の交流電圧f1を生成する。交流電圧f1は、電気信号(制御信号)である。交流電圧f1の周波数は、たとえば、1kHzである。周波数制御部ACは、ON信号を受けた場合に交流電圧f1を生成し、OFF信号を受けた場合に交流電圧f1の生成を停止する。交流電圧f1は、加算器A0に出力される。
周波数制御部DCは、交流電圧f1とは異なる周波数の交流電圧f2を生成する。交流電圧f2は、電気信号(制御信号)である。交流電圧f2の周波数は、たとえば、30kHzである。周波数制御部DCは、ON信号を受けた場合に交流電圧f2を生成し、OFF信号を受けた場合に交流電圧f2の生成を停止する。交流電圧f2は、加算器A0に出力される。
加算器A0は、異なる周波数の交流電圧f1,f2を重畳し、重畳電圧fを生成する。重畳電圧fは、増幅器Dに増幅された上で変圧器54に出力される。
変圧器54は、一次巻線W1と、二次巻線W2とで構成されている。一次巻線W1および二次巻線W2は、たとえばコイルである。
一次巻線W1は、増幅器Dを介して制御装置51に電気的に接続されている。重畳電圧fは、一次巻線W1に印加される。
二次巻線W2は、電磁気的に一次巻線W1に結合されている。そのため、重畳電圧fが一次巻線W1に印加されると、二次巻線W2は、一次巻線W1の相互誘導により重畳電圧f’(第2交流電圧)を発生する。重畳電圧f’は、重畳電圧fと同じ交流成分を含む。
重畳電圧f’の大きさは、一次巻線W1の巻き数に対する二次巻線W2の巻き数に比例する。たとえば、一次巻線W1に対する二次巻線W2の巻き数比が1000であるとする。交流電圧f1の振幅は1Vであり、交流電圧f1の周波数は1kHzであるとする。交流電圧f2の振幅は2Vであり、交流電圧f2の周波数は30kHzであるとする。この交流電圧f1,f2の重畳電圧fが一次巻線W1に印加されると、二次巻線W2は、振幅が1000V(=1V×1000)で周波数が1kHzの交流電圧と、振幅が2000V(=2V×1000)で周波数が30kHzの交流電圧とを重畳した重畳電圧f’を発生する。このように、重畳電圧f’の振幅は、重畳電圧fの振幅と異なるが、重畳電圧f’の交流成分は、重畳電圧fの周波数成分と同じになる。
バンドパスフィルタF1は、所定周波数帯域の交流電圧を通過させ、その他の周波数帯域の交流電圧をカットする。より具体的には、バンドパスフィルタF1は、重畳電圧f’の交流成分の内、交流電圧f1と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF1は、1kHzの交流電圧を通過させる。バンドパスフィルタF1を通過した重畳電圧f’は、出力電圧f1’として、変換回路T1およびコンデンサーC1のそれぞれに出力される。
バンドパスフィルタF2は、所定周波数帯域の交流電圧を通過させ、その他の周波数帯域の交流電圧をカットする。より具体的には、バンドパスフィルタF2は、重畳電圧f’の交流成分の内、交流電圧f2と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF2は、30kHzの交流電圧を通過させる。バンドパスフィルタF2を通過した重畳電圧f’は、出力電圧f2’として、変換回路T2および加算器A1のそれぞれに出力される。
このように、電源装置50は、1つの二次巻線W2から出力される重畳電圧f’を異なる大きさの出力電圧f1’,f2’に分離することができる。異なる大きさの電圧を出力するために、複数の二次巻線W2が設けられる必要がないため、電源装置50の小型化および低コスト化が実現される。
コンデンサーC1は、たとえば、カップリングコンデンサーである。コンデンサーC1は、重畳電圧f’の直流成分を除去し、交流電圧fACを出力する。交流電圧fACは、加算器A1に出力される。
変換回路T1は、出力電圧f1’を直流電圧fDC1に変換する。好ましくは、変換回路T1は、整流回路と平滑回路とで構成されている。変換回路T1は、出力電圧f1’を整流回路で整流した上で、整流後の出力電圧f1’を平滑回路で平滑することで、直流電圧fDC1を出力する。これにより、変換回路T1は、交流電圧の出力電圧f1’から直流電圧fDC1を生成することができる。直流電圧fDC1は、周波数制御部ACにフィードバックされる。
変換回路T2(変換部)は、出力電圧f2’を一定の直流電圧fDC2に変換する。これにより、電源装置50は、交流電圧fACだけでなく、直流電圧fDC2も出力することができる。好ましくは、変換回路T2は、整流回路と平滑回路とで構成されている。変換回路T2は、出力電圧f2’を整流回路で整流した上で、整流後の出力電圧f2’を平滑回路で平滑することで、直流電圧fDC2を出力する。これにより、変換回路T2は、交流電圧の出力電圧f2’から直流電圧fDC2を生成することができる。直流電圧fDC2は、加算器A1に出力されるとともに、周波数制御部DCにフィードバックされる。
加算器A1は、交流電圧fACと直流電圧fDC2とを重畳する。加算器A1からの出力電圧は、たとえば、帯電装置11(図1参照)に印加される。交流電圧fACの周波数が調整されることで、帯電装置11に印加される電圧の周波数が調整される。直流電圧fDC2の振幅が調整されることで、帯電装置11に印加される電圧の振幅が調整される。電源装置50は、交流電圧fACの周波数および直流電圧fDC2の振幅をそれぞれ個別に調整することで、任意の振幅および任意の周波数の電圧を帯電装置11に印加することができる。
周波数制御部ACは、変換回路T1からフィードバックされた直流電圧fDC1が目標電圧値になるように交流電圧f1を調整する。当該目標電圧値は、任意に設定される。直流電圧fDC1が目標電圧値に調整されることで、出力される交流電圧fACが安定する。一例として、周波数制御部ACは、交流電圧f1の周波数を変えることにより、直流電圧fDC1を目標電圧値に調整する。あるいは、周波数制御部ACは、交流電圧f1の振幅を変えることにより、直流電圧fDC1を目標電圧値に調整する。あるいは、周波数制御部ACは、交流電圧f1のデューティー比を変えることにより、直流電圧fDC1を目標電圧値に調整する。当該デューティー比は、交流電圧f1をONにする時間と交流電圧f1をOFFにする時間とを調整することにより変えられる。
周波数制御部DCは、変換回路T2からフィードバックされた直流電圧fDC2が目標電圧値になるように交流電圧f2を調整する。当該目標電圧値は、任意に設定される。直流電圧fDC2が目標電圧値に調整されることで、出力される直流電圧fDC2が安定する。一例として、周波数制御部DCは、交流電圧f2の周波数を変えることにより、直流電圧fDC2を目標電圧値に調整する。あるいは、周波数制御部DCは、交流電圧f2の振幅を変えることにより、直流電圧fDC2を目標電圧値に調整する。あるいは、周波数制御部DCは、交流電圧f2のデューティー比を変えることにより、直流電圧fDC2を目標電圧値に調整する。当該デューティー比は、交流電圧f2をONにする時間とOFFにする時間とを調整することにより変えられる。
検知部56(電流検知部)は、二次巻線W2に流れる電流を検知し、当該電流の大きさに応じた検知信号をバンドパスフィルタF10に出力する。当該検知信号は、重畳電圧f’に連動するため、当該検知信号には交流電圧f1,f2の交流成分が含まれる。
ある局面において、バンドパスフィルタF10(第3フィルタ)は、検知部56による検知信号の交流成分の内、交流電圧f1と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF10は、たとえば、1kHzの検知信号を通過させる。
他の局面において、バンドパスフィルタF10は、検知部56による検知信号の交流成分の内、交流電圧f2と同じ周波数の交流成分を通過させる。バンドパスフィルタF10は、たとえば、30kHzの検知信号を通過させる。
バンドパスフィルタF10を通過した上記検知信号は、制御装置51に出力される。制御装置51は、当該検知信号から電流値を算出し、当該電流値が所定電流値になるように交流電圧f1または交流電圧f2を調整する。一例として、検知信号が大きいほど電流値は大きくなり、検知信号が小さいほど電流値は小さくなる。交流電圧f1または交流電圧f2が調整されることで、二次巻線W2に流れる電流が安定する。
なお、図2の例では、電源装置50が1つの変圧器54で構成されている例が示されているが、電源装置50は複数の変圧器54で構成されてもよい。この場合、変圧器54の各々が一次巻線W1と二次巻線W2とを含むため、電源装置50は、複数の一次巻線W1と複数の二次巻線W2とで構成される。このように、一次巻線W1の数は1つに限定されず、二次巻線W2の数は1つに限定されない。
(現像ローラー14用の電源装置50)
図3を参照して、現像ローラー14(図1参照)に電圧を供給する電源装置50について説明する。図3は、電源装置50の回路構成の第1変形例を示す図である。
本例における電源装置50は、1つの変圧器54から、1つの直流電圧と4つの異なる交流電圧とを出力することができる。電源装置50は、各交流電圧に直流電圧を重畳し、各重畳電圧を対応する現像ローラー14に印加する。電源装置50は、1つの変圧器54で複数の異なる交流電圧を出力することができるので、電源装置50の構成が簡素化され、電源装置50の小型化および低コスト化が実現される。
図3に示されるように、電源装置50は、制御装置51と、変圧器54と、増幅器Dと、バンドパスフィルタF1〜F5と、変換回路T1〜T5と、コンデンサーC1〜C4と、加算器A1〜A4とで構成されている。制御装置51は、周波数制御部AC,DC2〜DC5と、加算器A0とで構成されている。
周波数制御部ACは、所定周波数の交流電圧f1を生成する。交流電圧f1は、たとえば矩形波である。交流電圧f1の周波数は、たとえば、5kHzである。周波数制御部ACは、ON信号を受けた場合に交流電圧f1を生成し、OFF信号を受けた場合に交流電圧f1の生成を停止する。交流電圧f1は、加算器A0に出力される。
周波数制御部DC2は、所定周波数の交流電圧f2を生成する。交流電圧f2の周波数は、たとえば、100kHzである。周波数制御部DC2は、ON信号を受けた場合に交流電圧f2を生成し、OFF信号を受けた場合に交流電圧f2の生成を停止する。交流電圧f2は、加算器A0に出力される。
周波数制御部DC3は、所定周波数の交流電圧f3を生成する。交流電圧f3の周波数は、たとえば、200kHzである。周波数制御部DC3は、ON信号を受けた場合に交流電圧f3を生成し、OFF信号を受けた場合に交流電圧f3の生成を停止する。交流電圧f3は、加算器A0に出力される。
周波数制御部DC4は、所定周波数の交流電圧f4を生成する。交流電圧f4の周波数は、たとえば、300kHzである。周波数制御部DC4は、ON信号を受けた場合に交流電圧f4を生成し、OFF信号を受けた場合に交流電圧f4の生成を停止する。交流電圧f4は、加算器A0に出力される。
周波数制御部DC5は、所定周波数の交流電圧f5を生成する。交流電圧f5の周波数は、たとえば、400kHzである。周波数制御部DC5は、ON信号を受けた場合に交流電圧f5を生成し、OFF信号を受けた場合に交流電圧f5の生成を停止する。交流電圧f5は、加算器A0に出力される。
好ましくは、矩形波である交流電圧f1が交流電圧f2〜f5に影響を及ぼさないように、周波数制御部ACは、交流電圧f1の立ち上がり時間を遅らす。また、交流電圧f1〜f5は互いに影響を及ばさないように、交流電圧f1〜f5の各周波数帯域の間隔が空けられる。
加算器A0は、交流電圧f1〜f5を重畳し、重畳電圧fを生成する。重畳電圧fは、増幅器Dに増幅された上で変圧器54に出力される。
変圧器54は、一次巻線W1と、二次巻線W2とで構成されている。変圧器54は、重畳電圧fを重畳電圧f’に増幅する。重畳電圧f’は、バンドパスフィルタF1〜F5のそれぞれに出力される。
交流電圧f1は矩形波であり、交流電圧f1の波形を歪ませないように、バンドパスフィルタF1は、重畳電圧f’の交流成分の内、交流電圧f1が含有する高調波成分の交流成分も通過させる必要がある。一例として、バンドパスフィルタF1は、5kHzの矩形波の場合、50kHzの交流電圧まで通過させるローパスフィルタで構成している。バンドパスフィルタF1を通過した重畳電圧f’は、出力電圧f1’として、変換回路T1およびコンデンサーC1〜C4に出力される。
バンドパスフィルタF2は、重畳電圧f’の交流成分の内、交流電圧f2と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF2は、100kHzの交流電圧を通過させる。バンドパスフィルタF2を通過した重畳電圧f’は、出力電圧f2’として変換回路T2に出力される。
バンドパスフィルタF3は、重畳電圧f’の交流成分の内、交流電圧f3と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF3は、200kHzの交流電圧を通過させる。バンドパスフィルタF3を通過した重畳電圧f’は、出力電圧f3’として変換回路T3に出力される。
バンドパスフィルタF4は、重畳電圧f’の交流成分の内、交流電圧f4と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF4は、300kHzの交流電圧を通過させる。バンドパスフィルタF4を通過した重畳電圧f’は、出力電圧f4’として変換回路T4に出力される。
バンドパスフィルタF5は、重畳電圧f’の交流成分の内、交流電圧f5と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF5は、400kHzの交流電圧を通過させる。バンドパスフィルタF5を通過した重畳電圧f’は、出力電圧f5’として変換回路T5に出力される。
コンデンサーC1〜C4は、たとえば、カップリングコンデンサーである。コンデンサーC1は、出力電圧f1’の直流成分を除去し、交流電圧fAC1を加算器A1に出力する。コンデンサーC2は、出力電圧f1’の直流成分を除去し、交流電圧fAC2を加算器A2に出力する。コンデンサーC3は、出力電圧f1’の直流成分を除去し、交流電圧fAC3を加算器A3に出力する。コンデンサーC4は、出力電圧f1’の直流成分を除去し、交流電圧fAC4を加算器A4に出力する。
変換回路T1は、出力電圧f1’を整流および平滑し、直流電圧fDC1を出力する。直流電圧fDC1は、周波数制御部ACにフィードバックされる。周波数制御部ACは、直流電圧fDC1が目標電圧値になるように交流電圧f1を調整する。これにより、出力電圧f1’が安定する。
変換回路T2は、出力電圧f2’を整流および平滑し、加算器A1に直流電圧fDC2を出力する。また、直流電圧fDC2は、周波数制御部DC2にフィードバックされる。周波数制御部DC2は、直流電圧fDC2が目標電圧値になるように交流電圧f2を調整する。これにより、出力される直流電圧fDC2が安定する。
変換回路T3は、出力電圧f3’を整流および平滑し、加算器A2に直流電圧fDC3を出力する。また、直流電圧fDC3は、周波数制御部DC3にフィードバックされる。周波数制御部DC3は、直流電圧fDC3が目標電圧値になるように交流電圧f3を調整する。これにより、出力される直流電圧fDC3が安定する。
変換回路T4は、出力電圧f4’を整流および平滑し、加算器A3に直流電圧fDC4を出力する。また、直流電圧fDC4は、周波数制御部DC4にフィードバックされる。周波数制御部DC4は、直流電圧fDC4が目標電圧値になるように交流電圧f4を調整する。これにより、出力される直流電圧fDC4が安定する。
変換回路T5は、出力電圧f5’を整流および平滑し、加算器A4に直流電圧fDC5を出力する。また、直流電圧fDC5は、周波数制御部DC5にフィードバックされる。周波数制御部DC5は、直流電圧fDC5が目標電圧値になるように交流電圧f5を調整する。これにより、出力される直流電圧fDC5が安定する。
加算器A1は、交流電圧fAC1と直流電圧fDC2とを重畳する。それらを重畳した出力電圧は、たとえば、イエローのトナー像を現像する現像ローラー14(図1参照)に印加される。加算器A2は、交流電圧fAC2と直流電圧fDC3とを重畳する。それらを重畳した出力電圧は、たとえば、マゼンタのトナー像を現像する現像ローラー14に印加される。加算器A3は、交流電圧fAC3と直流電圧fDC4とを重畳する。それらを重畳した出力電圧は、たとえば、シアンのトナー像を現像する現像ローラー14に印加される。加算器A4は、交流電圧fAC4と直流電圧fDC5とを重畳する。それらを重畳した出力電圧は、たとえば、ブラックのトナー像を現像する現像ローラー14に印加される。
(一次転写ローラー31用の電源装置50)
図4を参照して、一次転写ローラー31(図1参照)に電圧を供給する電源装置50について説明する。図4は、電源装置50の回路構成の第2変形例を示す図である。
本例における電源装置50は、1つの変圧器54から4つの異なる交流電圧を出力することができる。各交流電圧は、対応する一次転写ローラー31に出力される。電源装置50が1つの変圧器54で構成されることにより、電源装置50の構成が簡素化され、電源装置50の小型化および低コスト化が実現される。
図4に示されるように、電源装置50は、制御装置51と、変圧器54と、検知部56よ、増幅器Dと、バンドパスフィルタF2〜F5と、変換回路T2〜T5と、バンドパスフィルタF2〜F5,F12〜F15と、変換回路T2〜T5とで構成されている。制御装置51は、周波数制御部DC2〜DC5と、加算器A0とで構成されている。
周波数制御部DC2は、所定周波数の交流電圧f2を生成する。交流電圧f2の周波数は、たとえば、100kHzである。交流電圧f2は、加算器A0に出力される。
周波数制御部DC3は、所定周波数の交流電圧f3を生成する。交流電圧f3の周波数は、たとえば、200kHzである。交流電圧f3は、加算器A0に出力される。
周波数制御部DC4は、所定周波数の交流電圧f4を生成する。交流電圧f4の周波数は、たとえば、300kHzである。交流電圧f4は、加算器A0に出力される。
周波数制御部DC5は、所定周波数の交流電圧f5を生成する。交流電圧f5の周波数は、たとえば、400kHzである。交流電圧f5は、加算器A0に出力される。
加算器A0は、交流電圧f2〜f5を重畳し、重畳電圧fを生成する。重畳電圧fは、増幅器Dに増幅された上で変圧器54に出力される。
変圧器54は、一次巻線W1と、二次巻線W2とで構成されている。変圧器54は、重畳電圧fを重畳電圧f’に増幅する。重畳電圧f’は、バンドパスフィルタF2〜F5のそれぞれに出力される。
バンドパスフィルタF2は、重畳電圧f’の交流成分の内、交流電圧f2と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF2は、100kHzの交流電圧を通過させる。バンドパスフィルタF2を通過した重畳電圧f’は、出力電圧f2’として変換回路T2に出力される。
バンドパスフィルタF3は、重畳電圧f’の交流成分の内、交流電圧f3と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF3は、200kHzの交流電圧を通過させる。バンドパスフィルタF3を通過した重畳電圧f’は、出力電圧f3’として変換回路T3に出力される。
バンドパスフィルタF4は、重畳電圧f’の交流成分の内、交流電圧f4と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF4は、300kHzの交流電圧を通過させる。バンドパスフィルタF4を通過した重畳電圧f’は、出力電圧f4’として変換回路T4に出力される。
バンドパスフィルタF5は、重畳電圧f’の交流成分の内、交流電圧f5と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF5は、400kHzの交流電圧を通過させる。バンドパスフィルタF5を通過した重畳電圧f’は、出力電圧f5’として変換回路T5に出力される。
変換回路T2は、出力電圧f2’を整流および平滑し、直流電圧fDC2を出力する。直流電圧fDC2は、イエロー用の一次転写ローラー31に出力される。また、直流電圧fDC2は、周波数制御部DC2にフィードバックされる。周波数制御部DC2は、直流電圧fDC2が目標電圧値になるように交流電圧f2を調整する。これにより、直流電圧fDC2が安定する。
変換回路T3は、出力電圧f3’を整流および平滑し、直流電圧fDC3を出力する。直流電圧fDC3は、マゼンタ用の一次転写ローラー31に出力される。また、直流電圧fDC3は、周波数制御部DC3にフィードバックされる。周波数制御部DC3は、直流電圧fDC3が目標電圧値になるように交流電圧f3を調整する。これにより、直流電圧fDC3が安定する。
変換回路T4は、出力電圧f4’を整流および平滑し、直流電圧fDC4を出力する。直流電圧fDC4は、シアン用の一次転写ローラー31に出力される。また、直流電圧fDC4は、周波数制御部DC4にフィードバックされる。周波数制御部DC4は、直流電圧fDC4が目標電圧値になるように交流電圧f4を調整する。これにより、直流電圧fDC4が安定する。
変換回路T5は、出力電圧f5’を整流および平滑し、直流電圧fDC5を出力する。直流電圧fDC5は、ブラック用の一次転写ローラー31に出力される。直流電圧fDC5は、周波数制御部DC5にフィードバックされる。周波数制御部DC5は、直流電圧fDC5が目標電圧値になるように交流電圧f5を調整する。これにより、直流電圧fDC5が安定する。
検知部56は、二次巻線W2に流れる電流を順次検知し、当該電流の大きさを表わす検知信号を出力する。当該検知信号は、バンドパスフィルタF12〜F15のそれぞれに出力される。当該検知信号は重畳電圧f’の電圧の大きさに連動するため、当該検知信号には交流電圧f1〜f5と同一の周波数成分が含まれる。
バンドパスフィルタF12は、検知部56から出力される検知信号の交流成分の内、交流電圧f1と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF12は、100kHzの検知信号を通過させる。バンドパスフィルタF12を通過した検知信号は、周波数制御部DC2に出力される。周波数制御部DC2は、バンドパスフィルタF12を通過した検知信号から電流値を算出し、当該電流値が所定の目標電流値になるように交流電圧f2を調整する。一例として、当該電流値は、一定時間内に検知された検知信号の大きさの平均として算出される。これにより、変圧器54の二次側の回路に流れる電流が安定する。
このように、周波数制御部DC2は、検知部56による検知結果に基づいて変圧器54の二次側の回路に流れる電流を安定させることもできるし、フィードバックされた直流電圧fDC2に基づいて交流電圧f2を調整することにより直流電圧fDC2を安定させることもできる。
好ましくは、周波数制御部DC2は、電源装置50の制御モードの設定を受け付けるように構成されている。当該制御モードは、電流変動を抑制するための電流制御モードと、電圧変動を抑制するための電圧制御モードとを含む。電圧制御モードに設定される場合には、制御信号CVが周波数制御部DC2に出力される。電流制御モードに設定される場合には、制御信号CCが周波数制御部DC2に出力される。周波数制御部DC2は、電圧制御モードにおいては、直流電圧fDC1の大きさが目標電圧値(所定電圧値)になるように交流電圧f2を調整する。周波数制御部DC2は、電流制御モードにおいて、バンドパスフィルタF12(第3フィルタ)を通過した検知信号に基づいて算出された電流値が目標電流値(所定電流値)になるように交流電圧f2を調整する。
好ましくは、周波数制御部DC2は、目標電圧値(所定電圧値)および目標電流値(所定電流値)の少なくとも一方の設定を受け付けるように構成されている。これにより、電源装置50は、電流制御モードにおいて任意の電流値で出力電流を安定させることができ、電圧制御モードにおいて任意の電圧値で出力電圧を安定させることができる。
バンドパスフィルタF13は、検知部56から出力される検知信号の交流成分の内、交流電圧f3と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF13は、300kHzの検知信号を通過させる。バンドパスフィルタF13を通過した検知信号は、周波数制御部DC3に出力される。周波数制御部DC3は、周波数制御部DC1と同様に、バンドパスフィルタF13を通過した検知信号から電流値を算出し、当該電流値が所定の目標電流値になるように交流電圧f3を調整する。
バンドパスフィルタF14は、検知部56から出力される検知信号の交流成分の内、交流電圧f4と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF14は、400kHzの検知信号を通過させる。バンドパスフィルタF14を通過した検知信号は、周波数制御部DC4に出力される。周波数制御部DC4は、周波数制御部DC1と同様に、バンドパスフィルタF14を通過した検知信号から電流値を算出し、当該電流値が所定の目標電流値になるように交流電圧f4を調整する。
バンドパスフィルタF15は、検知部56から出力される検知信号の交流成分の内、交流電圧f5と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF15は、500kHzの検知信号を通過させる。バンドパスフィルタF15を通過した検知信号は、周波数制御部DC5に出力される。周波数制御部DC5は、周波数制御部DC1と同様に、バンドパスフィルタF15を通過した検知信号から電流値を算出し、当該電流値が所定の目標電流値になるように交流電圧f5を調整する。周波数制御部DC5は、周波数制御部DC1と同様に、制御モードの設定を受け付ける。
なお、検知部56による出力電流の検知方法は、図4の例に限定されない。図5を参照して、出力電流の他の検知方法について説明する。図5は、電流検知回路60の一例を示す図である。電流検知回路60は、変換回路T2〜T5(図4参照)のそれぞれに接続されている。以下では、変換回路T2に接続されている電流検知回路60を例に挙げて説明を行なう。
図5に示されるように、電流検知回路60は、コンデンサーC51,C52と、ダイオードD51,D52と、検知部56とを含む。電流検知回路60Aには、負荷R51が接続されている。負荷R51は、たとえば、イエロー用の一次転写ローラー31(図1参照)である。
コンデンサーC51は、変換回路T2(図4参照)とノードN51とに電気的に接続されている。コンデンサーC52は、ノードN52とノードN54とに電気的に接続されている。
ダイオードD51は、ノードN51とノードN52とに電気的に接続されている。ダイオードD52は、ノードN51とノードN54とに電気的に接続されている。
負荷R51は、ノードN52とノードN53とに電気的に接続されている。ノードN53は、グランドに接続されている。検知部56は、ノードN53とノードN54とに電気的に接続されている。
検知部56は、負荷R51に流れる電流の大きさを検知する。検知部56の検知結果は、周波数制御部DC2(図4参照)にフィードバックされる。周波数制御部DC2は、電流制御モードにおいて、検知部56から出力される検知信号に基づいて算出された電流値が目標電流値になるように交流電圧f2(図4参照)を調整する。これにより、イエロー用の一次転写ローラー31に流れる電流が安定する。
(二次転写ローラー33用の電源装置50)
図6を参照して、二次転写ローラー33(図1参照)に電圧を供給する電源装置50について説明する。図6は、電源装置50の回路構成の第3変形例を示す図である。
本例における電源装置50は、1つの変圧器54から、プラス極性の直流電圧と、マイナス極性の直流電圧とのいずれかを出力することができる。電源装置50は、トナー像を用紙に転写するときには、プラス極性の直流電圧を二次転写ローラー33に印加する。電源装置50は、二次転写ローラー33のクリーニング時には、マイナス極性の直流電圧を二次転写ローラー33に印加する。電源装置50は、1つの変圧器54で極性が異なる複数の直流電圧を出力することができるので、電源装置50の構成が簡素化され、電源装置50の小型化および低コスト化が実現される。
図6に示されるように、電源装置50は、制御装置51と、変圧器54と、検知部56と、増幅器Dと、バンドパスフィルタF1,F2,F10と、変換回路T1,T2とで構成されている。制御装置51は、周波数制御部DC2,DC3と、加算器A0とで構成されている。
周波数制御部DC2は、所定周波数の交流電圧f2を生成する。交流電圧f2の周波数は、たとえば、100kHzである。周波数制御部DC2は、ON信号を受けた場合に交流電圧f2を生成し、OFF信号を受けた場合に交流電圧f2の生成を停止する。
周波数制御部DC3は、所定周波数の交流電圧f3を生成する。交流電圧f3の周波数は、たとえば、200kHzである。周波数制御部DC3は、ON信号を受けた場合に交流電圧f3を生成し、OFF信号を受けた場合に交流電圧f3の生成を停止する。
一例として、プラス極性の出力電圧の生成時に、ON信号が周波数制御部DC2に入力され、OFF信号が周波数制御部DC3に入力される。マイナス極性の出力電圧の生成時に、OFF信号が周波数制御部DC2に入力され、ON信号が周波数制御部DC3に入力される。
加算器A0は、交流電圧f2,f3を重畳し、重畳電圧fを生成する。重畳電圧fは、増幅器Dに増幅された上で変圧器54に出力される。
変圧器54は、一次巻線W1と、二次巻線W2とで構成されている。変圧器54は、重畳電圧fを重畳電圧f’に増幅する。重畳電圧f’は、バンドパスフィルタF2,F3のそれぞれに出力される。
バンドパスフィルタF2は、重畳電圧f’の交流成分の内、交流電圧f2と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF2は、100kHzの交流電圧を通過させる。バンドパスフィルタF2を通過した重畳電圧f’は、出力電圧f2’として変換回路T2に出力される。
バンドパスフィルタF3は、重畳電圧f’の交流成分の内、交流電圧f3と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF3は、200kHzの交流電圧を通過させる。バンドパスフィルタF3を通過した重畳電圧f’は、出力電圧f3’として変換回路T3に出力される。
変換回路T2は、出力電圧f2’を整流および平滑し、二次転写ローラー33にプラス極性の直流電圧fDC2を出力する。また、直流電圧fDC2は、周波数制御部DC2にフィードバックされる。周波数制御部DC2は、直流電圧fDC2が目標電圧値になるように交流電圧f2を調整する。これにより、直流電圧fDC2が安定する。
変換回路T3は、出力電圧f3’を整流および平滑し、二次転写ローラー33にマイナス極性の直流電圧fDC3を出力する。また、直流電圧fDC3は、周波数制御部DC3にフィードバックされる。周波数制御部DC3は、直流電圧fDC3が目標電圧値になるように交流電圧f3を調整する。これにより、直流電圧fDC3が安定する。
検知部56は、二次巻線W2に流れる電流を検知し、当該電流の大きさに応じた検知信号をバンドパスフィルタF10に出力する。当該検知信号は、重畳電圧f’に連動するため、交流電圧f2と同一の周波数成分と、交流電圧f3と同一の周波数成分とを含む。
ある局面において、バンドパスフィルタF10は、検知部56による検知信号の交流成分の内、交流電圧f2と同じ周波数の交流成分を通過させる。一例として、バンドパスフィルタF10は、たとえば、100kHzの検知信号を通過させる。
他の局面において、バンドパスフィルタF10は、検知部56による検知信号の交流成分の内、交流電圧f3と同じ周波数の交流成分を通過させる。バンドパスフィルタF10は、たとえば、200kHzの検知信号を通過させる。
なお、検知部56による出力電流の検知方法は、図6の例に限定されない。図7を参照して、検知部56による出力電流の他の検知方法について説明する。図7は、出力電流の電流検知回路60Aの一例を示す図である。電流検知回路60Aは、バンドパスフィルタF2,F3(図6参照)に接続されている。
電流検知回路60Aは、変換回路T2,T3と、検知部56とで構成されている。電流検知回路60Aには、負荷R71が接続されている。負荷R71は、たとえば、二次転写ローラー33(図1参照)である。
変換回路T2は、コンデンサーC71,C72と、ダイオードD71,D72と、抵抗R72とで構成されている。コンデンサーC71は、バンドパスフィルタF2(図6参照)とノードN71とに接続されている。コンデンサーC72は、ノードN72とノードN73とに接続されている。ダイオードD71は、ノードN71とノードN72とに接続されている。ダイオードD72は、ノードN71とノードN75とに接続されている。抵抗R72は、高圧抵抗であり、ノードN73とノードN74とに接続されている。
変換回路T3は、ダイオードD73と、コンデンサーC73と、抵抗R73とで構成されている。ダイオードD73は、バンドパスフィルタF3(図6参照)とノードN76とに接続されている。抵抗R73は、高圧抵抗であり、ノードN76とノードN77とに接続されている。コンデンサーC73は、ノードN76とノードN77とに接続されている。
検知部56は、負荷R71に流れる電流の大きさを検知する。ある局面において、検知部56の検知結果は、周波数制御部DC2(図6参照)にフィードバックされる。周波数制御部DC2は、電流制御モードにおいて、検知部56から出力される検知信号に基づいて算出された電流値が目標電流値になるように交流電圧f2(図6参照)を調整する。他の局面において、検知部56の検知結果は、周波数制御部DC3(図6参照)にフィードバックされる。周波数制御部DC3は、電流制御モードにおいて、検知部56から出力される検知信号に基づいて算出された電流値が目標電流値になるように交流電圧f3(図6参照)を調整する。
[入力信号]
図8を参照して、制御装置51から出力される入力信号について説明する。図8は、入力信号の一例を示す図である。
時刻t1において、制御装置51の周波数制御部AC(図2参照)は、ON信号の入力を受け付けたとする。これにより、周波数制御部ACは、1kHzの交流電圧を出力し、1kHzの交流電圧が入力信号として一次巻線W1に印加される。
時刻t2において、制御装置51の周波数制御部DC(図2参照)は、ON信号の入力を受け付けたとする。これにより、周波数制御部DCは、30kHzの交流電圧を出力する。その結果、1kHzの交流電圧と30kHzの交流電圧とが重畳され、入力信号として重畳電圧が一次巻線W1に出力される。
時刻t3において、制御装置51の周波数制御部DCは、目標電圧値の変更を受け付けたとする。一例として、新たな目標電圧値は、現在の設定値よりも小さいとする。これにより、周波数制御部DCは、出力する交流電圧の振幅を下げる。その結果、重畳電圧の交流成分の内、30kHzの交流成分の振幅が下げられる。
時刻t4において、制御装置51の周波数制御部DCは、OFF信号の入力を受け付けたとする。これにより、周波数制御部DCは、30kHzの交流電圧の出力を停止する。
時刻t5において、制御装置51の周波数制御部ACは、目標電圧値の変更を受け付けたとする。一例として、新たな目標電圧値は、現在の設定値よりも小さいとする。これにより、周波数制御部ACは、出力する交流電圧の振幅を下げる。
時刻t6において、制御装置51の周波数制御部ACは、OFF信号の入力を受け付けたとする。これにより、周波数制御部ACは、1kHzの交流電圧の出力を停止する。
[バンドパスフィルタ]
図9を参照して、上述のバンドパスフィルタF1〜F5,F10〜F15について説明する。以下では、バンドパスフィルタF1〜F5,F10〜F15の少なくとも1つをバンドパスフィルタFともいう。図9は、バンドパスフィルタFの回路構成の一例を示す図である。
図9Aには、ローパスフィルタとしてのバンドパスフィルタFが示されている。図9Aに示されるように、ローパスフィルタとしてのバンドパスフィルタFは、コイルL91と、コンデンサーC91とで構成されている。コイルL91は、ノードN91とノードN92とに接続されている。コンデンサーC91は、ノードN92とグランドとに接続されている。その結果、伝達特性91に示されるように、低周波成分のゲインが高周波成分のゲインよりも高くなる。
図9Bには、ハイパスフィルタとしてのバンドパスフィルタFが示されている。図9Bに示されるように、ハイパスフィルタとしてのバンドパスフィルタFは、コンデンサーC92と、コイルL92とで構成されている。コンデンサーC92は、ノードN93とノードN94とに接続されている。コイルL92は、ノードN92とグランドとに接続されている。その結果、伝達特性92に示されるように、高周波成分のゲインが低周波成分のゲインよりも高くなる。
図9Cには、所定周波数の交流電圧を通過させるバンドパスフィルタFが示されている。当該バンドパスフィルタFは、図9Aに示されるローパスフィルタと図9Bに示されるハイパスフィルタとの組み合わせである。当該バンドパスフィルタFは、コンデンサーC91,C92と、コイルL91,L92とで構成されている。コイルL91は、ノードN95とノードN96とに接続されている。コンデンサーC91は、ノードN96とグランドとに接続されている。コンデンサーC92は、ノードN96とノードN97とに接続されている。コイルL92は、ノードN97とグランドとに接続されている。その結果、伝達特性93に示されるように、周波数FBを含む帯域の交流電圧のゲインが、他の帯域(たとえば、周波数FA,FC)の交流電圧におけるゲインよりも高くなる。
[画像形成装置100のハードウェア構成]
図10を参照して、画像形成装置100のハードウェア構成の一例について説明する。図10は、画像形成装置100の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
図10に示されるように、画像形成装置100は、電源装置50と、制御装置51と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ネットワークインターフェイス104と、操作パネル107と、記憶装置120とを含む。
制御装置51は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのDSP、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
好ましくは、制御装置51は、電源装置50と画像形成装置100との両方を制御する。すなわち、制御装置51は、電源装置50と画像形成装置100とで共用される。なお、制御装置51は、電源装置50と別個に構成されてもよいし、電源装置50と一体的に構成されてもよい。制御装置51が電源装置50と別個に構成されると、電源装置50の構成がシンプルになる。また、図4の検知部56より出力される信号を各周波数に分離するバンドパスフィルタF12〜F15と、重畳電圧f’を各周波数成分に分離するバンドパスフィルタF2〜F5とが、電圧モニタ用として別個に、上記集積回路内にソフトウェアもしくはハードウェアとして構成されることにより、電源装置50および制御装置51を接続する配線と、電源装置50とがさらにシンプルに構成され得る。
制御装置51は、電源装置50や画像形成装置100の制御プログラム122を実行することで画像形成装置100の動作を制御する。制御装置51は、制御プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120からROM102に制御プログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
ネットワークインターフェイス104には、アンテナ(図示しない)などが接続される。画像形成装置100は、アンテナを介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、スマートフォンなどの携帯通信端末、サーバーなどを含む。画像形成装置100は、アンテナを介して制御プログラム122をサーバーからダウンロードできるように構成されてもよい。
操作パネル107は、ディスプレイとタッチパネルとで構成されている。ディスプレイおよびタッチパネルは互いに重ねられており、操作パネル107は、たとえば、画像形成装置100に対する印刷操作やスキャン操作などを受け付ける。
記憶装置120は、たとえば、ハードディスクや外付けの記憶装置などの記憶媒体である。記憶装置120は、画像形成装置100の制御プログラム122などを格納する。制御プログラム122の格納場所は記憶装置120に限定されず、制御プログラム122は、電源装置50の記憶領域、制御装置51の記憶領域(たとえば、キャッシュなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
制御プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で画像形成装置100が構成されてもよい。
[小括]
以上のようにして、本実施の形態に従う電源装置50は、第1周波数の交流電圧と第2周波数の交流電圧とを重畳した重畳電圧を一次巻線W1に印加する。その結果、二次巻線W2は、一次巻線W1による相互誘導により重畳電圧を発生する。当該重畳電圧は、バンドパスフィルタF1,F2に出力される。バンドパスフィルタF1は、二次巻線W2で発生した重畳電圧の交流成分の内、第1周波数の交流成分を通過させる。バンドパスフィルタF2は、二次巻線W2から発生した重畳電圧の交流成分の内、第2周波数の交流成分を通過させる。これにより、電源装置50は、異なる周波数の電圧を出力することができる。このように、電源装置50は、1つの一次巻線W1で複数の異なる周波数の電圧を出力でき、電源装置50の小型化および低コスト化が実現される。
好ましくは、電源装置50は、バンドパスフィルタF1,F2のいずれか一方を通過した交流電圧を直流電圧に変換するための変化回路を備える。その結果、電源装置50は、直流電圧と交流電圧とを同時に出力することもできるし、用途に合わせて直流電圧または交流電圧を出力することもできる。
<第2の実施の形態>
[概要]
第1の実施の形態に従う電源装置50は、二次巻線W2で発生した交流電圧を複数のバンドパスフィルタを用いて所定帯域ごとの交流電圧に分離していた。これに対して、第2の実施の形態に従う電源装置50Aは、バンドパスフィルタを用いずに所定帯域ごとの交流電圧を出力する。
図11および図12を参照して、第2の実施の形態に従う変圧器54Aについて説明する。図11は、第2の実施の形態に従う変圧器54Aを示す図である。図12は、変圧器54Aの伝達特性を示す図である。
図11に示されるように、変圧器54Aは、1つの一次巻線Wと、2つの二次巻線W2A,W2Bとで構成される。一次巻線Wには、重畳電圧が印加される。このとき、二次巻線W2Aには浮遊容量CA(ストレイキャパシタンス)が生じ、二次巻線W2Aには浮遊容量CBが生じる。
二次巻線W2Aの共振周波数f1は以下の式(1)で表わされる。式(1)における「L1」は、二次巻線W2Aの漏洩インダクタンスを表わす。式(1)における「C1」は、浮遊容量CAの静電容量を表わす。
f1=1/2π√(L1・C1)・・・(1)
二次巻線W2Bの共振周波数f2は以下の式(2)で表わされる。式(2)における「L2」は、二次巻線W2Bの漏洩インダクタンスを表わす。式(2)における「C2」は、浮遊容量CBの静電容量を表わす。
f2=1/2π√(L2・C2)・・・(2)
図12には、二次巻線W2Aの伝達特性96と、二次巻線W2Bの伝達特性97とが示されている。伝達特性は、一次巻線Wに印加される交流電圧の周波数と、二次巻線に発生する電圧の大きさとの関係を示す。当該電圧の大きさは、たとえば、一次巻線に印加する電圧に対して二次巻線に発生する電圧の比(すなわち、ゲイン)で表わされる。
伝達特性96に示されるように、二次巻線W2Aにおいては、共振周波数f1における電圧のゲインが他の周波数よりも高くなる。すなわち、共振周波数f1,f2を含む重畳電圧が一次巻線Wに印加されると、共振周波数f1の交流電圧が二次巻線W2Aに発生する。
伝達特性97に示されるように、二次巻線W2Bにおいては、共振周波数f2における電圧のゲインが他の周波数よりも高くなる。すなわち、共振周波数f1,f2を含む重畳電圧が一次巻線Wに印加されると、共振周波数f2の交流電圧が二次巻線W2Bに発生する。
以上のようにして、第2の実施の形態に従う電源装置50Aは、二次巻線の異なる伝達特性を利用して、重畳電圧を複数の異なる周波数の電圧に分離する。
なお、図11には、変圧器54Aが2つの二次巻線で構成されている例について説明を行なったが、変圧器54Aは、3つ以上の二次巻線で構成されてもよい。
[変圧器54Aの内部構造]
以下、第2の実施の形態に従う変圧器54Aの内部構造について説明する。
上記式(1)に示されるように、二次巻線W2Aの伝達特性は、インダクタンスL1または静電容量「C1」に応じて調整され得る。このとき、静電容量「C1」は、一次巻線Wに対する二次巻線W2Aの巻き数の比に依存する。当該巻き数比の調整よりもインダクタンス「L1」の調整の方が容易であるため、好ましくは、二次巻線W2Aの伝達特性は、インダクタンス「L1」で調整される。同様に、二次巻線W2Bの伝達特性は、インダクタンス「L2」で調整される。
インダクタンス「L1」は、漏洩インダクタンスであり、一次巻線W1と二次巻線W2Aとで共有されない磁束が増えると、インダクタンス「L1」は大きくなる。当該磁束は、たとえば、一次巻線W1と二次巻線W2Aとの間の距離に応じて変わる。この点に着目して、二次巻線W2Aが所望の伝達特性になるように、一次巻線W1と二次巻線W2Aとの間における距離が調整される。すなわち、二次巻線W2Aから所定の周波数の出力電圧が発生するように、一次巻線W1と二次巻線W2Aとの間に所定距離(第1距離)が空けられる。好ましくは、当該距離は、一次巻線W1の外周と二次巻線W2Aの外周との間の距離である。
同様に、二次巻線W2Bが所望の伝達特性になるように、一次巻線W1と二次巻線W2Bとの間における距離が調整される。すなわち、二次巻線W2Bから所定の周波数の出力電圧が発生するように、一次巻線W1と二次巻線W2Bとの間には所定距離(第2距離)が空けられる。
図13および図14を参照して、第2の実施の形態に従う電源装置50Aに備えられる変圧器54Aの構造の具体例について説明する。図13は、変圧器54Aの外観を示す図である。図14は、変圧器54Aを分解した図である。
図13および図14に示されるように、変圧器54Aは、コア61A,61Bと、ボビンB1,B2とで構成されている。
コア61A,61Bは、たとえば、E字形状であり、中脚と、中脚を間に挟んだ2つの外脚とで構成されている。コア61Aの中脚には、筒状のボビンB1が取り付けられる。コア61Bの中脚には、筒状のボビンB2が取り付けられる。
ボビンB2の径は、ボビンB1の径よりも大きく、ボビンB1は、ボビンB2に内包される。ボビンB1,B2は、一体的に構成されてもよいし、別個に構成されてもよい。ボビンB1,B2は、たとえば、樹脂で構成されている。
ボビンB1(一次用ボビン)には、一次巻線Wが巻かれている。一次巻線Wの一端は、電極E1Aに繋げられている。一次巻線Wの他端は、電極E1Bに繋げられている。電極E1A,E1B間に重畳電圧が印加される。
ボビンB2(二次用ボビン)は、二次巻線の巻付部を2つ以上有する。図13および図14の例では、ボビンB2は、4つの巻付部B2A〜B2Dを有している。巻付部B2A〜B2Dの各々は、たとえば、セパレータで分けられている。
巻付部B2Aには、二次巻線W2Aが巻き付けられている。二次巻線W2Aの一端は、電極E2A1に繋げられている。二次巻線W2Aの他端は、電極E2A2に繋げられている。電極E2A1,E2A2間に、二次巻線W2Aの伝達特性に応じた交流電圧が発生する。
巻付部B2Bには、二次巻線W2Bが巻き付けられている。二次巻線W2Bの一端は、電極E2B1に繋げられている。二次巻線W2Bの他端は、電極E2B2に繋げられている。電極E2B1,E2B2間に、二次巻線W2Bの伝達特性に応じた交流電圧が発生する。
巻付部B2Cには、二次巻線W2Cが巻き付けられている。二次巻線W2Cの一端は、電極E2C1に繋げられている。二次巻線W2Cの他端は、電極E2C2に繋げられている。電極E2C1,E2C2間に、二次巻線W2Cの伝達特性に応じた交流電圧が発生する。
巻付部B2Dには、二次巻線W2Dが巻き付けられている。二次巻線W2Dの一端は、電極E2D1に繋げられている。二次巻線W2Dの他端は、電極E2D2に繋げられている。電極E2D1,E2D2間に、二次巻線W2Dの伝達特性に応じた交流電圧が発生する。
ボビンB1と巻付部B2Aとの間には、距離D1(第1距離)が空けられている。ボビンB1と巻付部B2Bとの間には、距離D2(第2距離)が空けられている。ボビンB1と巻付部B2Cとの間には、距離D3が空けられている。ボビンB1と巻付部B2Dとの間には、距離D4が空けられている。距離D1〜D4は、互いに異なる。その結果、二次巻線W2A〜W2D間の伝達特性に差異が生じ、異なる周波数の交流電圧が二次巻線W2A〜W2Dのそれぞれから出力される。
一次巻線W1および二次巻線W2A〜W2Dが並べられて配置されると、一次巻線W1から遠い二次巻線のインダクタンスが大きくなりすぎ、所望の伝達特性が得られないことがある。一次巻線W1が二次巻線W2A〜W2Dに内包されることで、距離D1〜D4が正確に調整され得るので、二次巻線W2A〜W2Dの出力電圧の周波数や大きさが意図する通りに調整される。
[電源装置50Aの回路構成]
図15を参照して、第2の実施の形態に従う電源装置50Aの回路構成について説明する。図15は、電源装置50Aの回路構成の一例を示す図である。
図4に示される電源装置50にはバンドパスフィルタF2〜F5が設けられていたが、図15に示される電源装置50AにはバンドパスフィルタF2〜F5が設けられていない。また、電源装置50Aは、複数の二次巻線W2A〜W2Dを備える点で図4に示される電源装置50と異なる。その他の点は図4に示される電源装置50と同じであるので、以下ではそれらの説明については繰り返さない。
二次巻線W2A〜W2Dは、それぞれ異なる伝達特性を有し、異なる周波数で共振する。二次巻線W2Aは、交流電圧f2と同一の周波数で共振するように構成されている。その結果、交流電圧f2〜f5の重畳電圧fが一次巻線W1に印加されると、二次巻線W2Aは、交流電圧f2と同一の交流成分を含む出力電圧f2’を出力する。同様に、重畳電圧fが一次巻線W1に印加されると、二次巻線W2Bは、交流電圧f3と同一の交流成分を含む出力電圧f3’を出力する。重畳電圧fが一次巻線W1に印加されると、二次巻線W2Cは、交流電圧f4と同一の交流成分を含む出力電圧f4’を出力する。重畳電圧fが一次巻線W1に印加されると、二次巻線W2Dは、交流電圧f5と同一の交流成分を含む出力電圧f5’を出力する。このように、二次巻線W2A〜W2Dは、同時に異なる周波数の交流電圧を発生する。
なお、二次巻線W2A〜W2Dのそれぞれと、変換回路T2〜T5のそれぞれとの間にはバンドパスフィルタが設けられてもよい。これにより、より精度良く、所望の周波数帯域の交流成分が得られる。
また、検知部56A〜56Dのそれぞれにバンドパスフィルタが接続されてもよい。この場合、検知部56A〜56Dのそれぞれから出力される検知信号は、バンドパスフィルタを通過した上で、周波数制御部DC2〜DC5のそれぞれにフィードバックされる。
[小括]
以上のようにして、本実施の形態に従う電源装置50Aは、異なる伝達特性を有する複数の二次巻線を用いて、異なる周波数の交流電圧を出力する。異なる周波数の交流電圧を出力するために、バンドパスフィルタが必要ないため、電源装置50Aの回路構成が簡素化される。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。