JP6786227B2 - リン酸カルシウム合成装置及び合成方法 - Google Patents

リン酸カルシウム合成装置及び合成方法 Download PDF

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Description

本発明は、リン酸カルシウム合成装置及び合成方法に関する。
ハイロキシアパタイト(HA)及びその前駆体を含むリン酸カルシウムが、人工骨成分として優れていることが分かっており、例えば特許文献1には第二リン酸カルシウム、第八リン酸カルシウム及び非晶質リン酸カルシウムの内から選ばれる1種以上からなるヒドロキシアパタイト前駆体を成分とし、生体内に埋入されてヒドロキシアパタイトに変換され骨化するとともに、生体内の骨形成促進因子である糖質を含む非コラーゲン性質タンパク質との親和性を有することを特徴とする人工骨材が記録されている(非特許文献1)。
非特許文献1の人工骨材は、原料とするリン酸カルシウムの形態によってその活性が異なることも報告されている。例えば第八リン酸カルシウム(OCP)を生体材料として用いた場合、結晶の形態又はサイズによって細胞応答性が異なるなど、リン酸カルシウムの結晶はその形態やサイズによって活性が左右される(非特許文献2)。しかしながら従来のリン酸カルシウムの合成方法では特定の形態の結晶を均一な状態で得ることは非常に困難であった。
特許第3115642号
TISSUE ENGNEERING : Part A 2009年、第15巻、p. 1965-1973 Journal of Biomedical Materials Research Part A 2008年、Volume 90A, Issue 4, pages 972-980
活性の高いリン酸カルシウムの結晶を選択的に合成できれば、リン酸カルシウムの、生体材料としての有用性も向上すると考えられる。
本発明の目的は、複数種類のリン酸カルシウムを選択的に合成可能で、且つ/又はそのリン酸カルシウムの結晶形態の制御を行うことができるリン酸カルシウム合成装置及び合成方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、複数の液体の導入口と導出口を有する反応器を用いることで合成開始前あるいは合成途中であっても溶液の追加、変更、あるいは反応条件の変更を行う事ができ、複数の種類のリン酸カルシウムを合成することができ、且つ/又はそのリン酸カルシウムの結晶形態の制御を行うことができる合成装置及び合成方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]リン酸カルシウム合成装置であって、
リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液をそれぞれを収容する第1の容器及び第2の容器と、
前記第1の容器及び第2の容器と第1供給管及び第2供給管を介して連通し、前記第1の容器及び第2の容器からそれぞれ供給されるリン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液を導入する反応器と、
リン酸含有溶液の前記反応器への供給速度、第1の容器におけるリン酸含有溶液の温度、又はその両方と、カルシウム含有溶液の前記反応器への供給速度、第2の容器におけるカルシウム含有溶液の温度、又はその両方とのうちの少なくとも一方を制御するための制御手段とを備え、
前記制御手段で前記温度及び供給速度の少なくとも一方を制御することにより、異なる結晶形態及び異なる組成のうちの少なくとも一方を有する少なくとも二種類のリン酸カルシウムを合成可能であることを特徴とする合成装置。
[2]前記反応器から導出された混合溶液を収容する熟成容器と、熟成容器における混合溶液の温度、攪拌速度、又はその両方を制御する制御手段とをさらに備え、前記制御手段によってリン酸カルシウムの前記結晶形態及び前記組成が制御されることを特徴とする項1に記載の合成装置。
[3]水又はアルカリ溶液を収容する第3の容器と、
前記水又はアルカリ溶液の前記反応器への供給速度、第3の容器における前記水又はアルカリ溶液の温度、又はその両方を制御するための制御手段とをさらに備える項1又は2に記載の合成装置。
[4]リン酸カルシウム合成装置であって、
リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液それぞれを収容する第1の容器及び第2の容器と、
前記第1の容器及び第2の容器から第1供給管及び第2供給管を介してそれぞれ供給されるリン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液を導入する熟成容器と、
リン酸含有溶液の前記熟成容器への供給速度、第1の容器におけるリン酸含有溶液の温度、又はその両方と、カルシウム含有溶液の前記熟成容器への供給速度、第2の容器におけるカルシウム含有溶液の温度、又はその両方とのうちの少なくとも一方を制御するための制御手段とを備え、
前記制御手段で前記温度及び供給速度の少なくとも一方を制御することにより、異なる結晶形態及び異なる組成のうちの少なくとも一方を有する少なくとも二種類のリン酸カルシウムを合成可能であることを特徴とする合成装置。
[5]リン酸カルシウム合成装置であって、
リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方を収容する第1の容器と、
前記容器から第1供給管を介して供給されるリン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方を導入する反応器と、
リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の他方を収容し、前記反応器から導出された溶液と前記リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の他方との混合溶液を収容する熟成容器と、
前記リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方の前記反応器への供給速度、前記第1の容器における前記リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方の温度、又はその両方と、熟成容器における混合溶液の温度、攪拌速度、又はその両方とのうちの少なくとも一方を制御するための制御手段とを備え、
前記制御手段で前記温度、前記供給速度、及び前記攪拌温度の少なくとも一つを制御することにより、異なる結晶形態及び異なる組成のうちの少なくとも一方を有する少なくとも二種類のリン酸カルシウムを合成可能であることを特徴とする合成装置。
[6]リン酸カルシウムの合成方法であって、
a)反応器内で、リン酸含有溶液と、カルシウム含有溶液とを第一の反応条件で混合することにより、第一の結晶形態又は組成のリン酸カルシウムを合成する工程と、
b)前記反応器内で、リン酸含有溶液と、カルシウム含有溶液とを第一の反応条件とは異なる第二の反応条件で攪拌、混合することにより、第一のリン酸カルシウムとは異なる第二の結晶形態又は組成の第二のリン酸カルシウムを合成する工程と、
を含み、前記工程a)で用いたリン酸含有溶液と前記工程b)で用いたリン酸含有溶液、及び前記工程a)で用いたカルシウム含有溶液と前記工程b)で用いたカルシウム含有溶液のうちの少なくとも一方が同じである方法。
本発明によれば、リン酸カルシウムの原料溶液及び反応条件を細かく追加及び/又は変更できるため、所望の結晶形態及び/又は組成のリン酸カルシウムを製造することができ、同一の装置での複数種類のリン酸カルシウム化合物の作り分けが可能となる。
また、熟成容器内の条件を制御することでリン酸カルシウムの結晶形態を制御することが可能である。
本発明のリン酸カルシウム合成装置の一例を示す略図。 OCPのX線回折パターンを示すグラフ。 ACPのX線回折パターンを示すグラフ。 HAのX線回折パターンを示すグラフ。 OCP-GelのX線回折パターンを示すグラフ。 HA-1の結晶のSEM像。 HA-2の結晶のSEM像。 HA-1のX線回折パターンを示すグラフ。 HA-2のX線回折パターンを示すグラフ。 (A)OCP-Aの結晶のSEM像、(B)OCP-Bの結晶のSEM像、(C)OCP-Gelの結晶のSEM像、(D)従来品のOCPのSEM像。 DNA量の測定結果のグラフ。
本明細書において、リン酸カルシウム及び他の生体材料の略語を以下の通りとする。
OCP・・・第8リン酸カルシウム(Ca8H2(PO4)6・5H2O)
ACP・・・非晶質リン酸カルシウム(Ca3(PO4)2・nH2O)
DCP・・・リン酸水素カルシウム(CaHPO4)
DCPD・・・リン酸水素カルシウム二水和物(CaHPO42H2O)
HA・・・ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2
Ca欠損型HA・・・Ca欠損型HAハイドロキシアパタイト(Ca10 -xH(PO4 )6(OH)2-x 、0≦x≦2)
化学量論的HA(Ca10(PO4)6(OH)2組成(Ca/Pのモル比=1.67)よりもCaが欠損した状態で存在するハイドロキシアパタイト。
Gel・・・ゼラチン
本発明をリン酸カルシウム合成装置に具体化した一実施形態について図1に従って説明する。
図1を参照するとリン酸カルシウム合成装置100は、水又はアルカリ溶液10を収容する第一の容器12と、リン酸含有溶液20を収容する第二の容器22と、カルシウム含有溶液30を収容する第三の容器32とを備える。
リン酸含有溶液20は通常、リン酸又はリン酸塩の水溶液であり、リン酸含有溶液20がリン酸の水溶液の場合、溶液10はアルカリ溶液とするのが好ましく、リン酸含有溶液20がリン酸塩の水溶液の場合、溶液10は水が好ましい。溶液10をアルカリ溶液とする場合、好ましいアルカリ溶液はアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液である。
リン酸含有溶液20は溶液中でPO4 3-を生じる化合物の溶液であれば特に限定されないが、例えばリン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム2水和物等の溶液が好ましい。
同様に、カルシウム含有溶液30はCa2+を生じる化合物であれば特に限定されないが、例えば硝酸カルシウム、硝酸カルシウム四水和物、酢酸カルシウム等のカルシウム塩の溶液であることが好ましい。
容器12(水又はアルカリ溶液10)、容器22(リン酸含有溶液20)、及び容器32(カルシウム含有溶液30)のうち少なくとも一つ、又は容器12,22,32とは別の新たな容器に骨再生材料に適した追加の成分をさらに加えてもよい。骨再生材料に適した成分としては、例えばアルギン酸、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、キトサン、生体吸収性高分子(ポリ乳酸、ポリ乳酸-ポリエチレングリコール共重合体等)、生体非吸収性材料(HAセラミックスなど)が挙げられる。図1の例においてはこれらを加えるのは容器22(リン酸含有溶液20)が特に好ましい。
それぞれの容器12,22,32の下には温度制御手段及び撹拌手段としてホットスターラー14,24,34が配置されており、容器12,22,32内の溶液10,20,30の各々の温度を、リン酸カルシウムの合成に適した所望の温度に制御する。
溶液は供給管16,26,36を通じて多流型反応器40へ供給され、反応器40は供給管16,26,36から通じる導入口と導出管46へ通じる導出口とを有する。図1の例では、供給管としての第一の供給管16、第二の供給管26、第三の供給管36が、第一の容器12、第二の容器22、及び第三の容器32と、反応器40とを連通しており、容器12,22,32に収容された溶液10,20,30が第一の供給管16、第二の供給管26、第三の供給管36を通じて一定速度でそれぞれ反応器40へ導入される。このとき反応器40に供給する各溶液の液温は所定の温度に調温しておくことが望ましい。反応器40に導入された溶液は反応器40内で混合及び反応し、反応器40内の混合溶液及び生成物は導出管46を通じて導出され熟成容器52へ収容される。
リン酸カルシウム合成装置100は第一の供給管16、第二の供給管26、第三の供給管36がそれぞれ供給する溶液10,20,30の供給速度を制御するための、例えば送液ポンプのような流量制御機構18,28,38を備えており、流量制御機構18,28,38はそれぞれ独立した制御が可能である。これにより反応器40へ供給されるそれぞれの溶液10,20,30の流量が制御されるため、反応器40にて混合される混合溶液中のリン酸及びカルシウムなどの比率(つまり生成物の組成)や混合溶液の濃度、あるいは生成物の結晶形態を任意の値で精密に制御できる。
こうして熟成容器52へ収容された反応物を含む混合溶液50は、熟成容器52に設けられた制御手段としての撹拌装置56にて任意の速度で撹拌、熟成される。熟成容器52の下には温度制御手段としてのホットプレート54が配置されている。これらの熟成のための部材52,54,56によって熟成の条件を制御することにより、リン酸カルシウムの結晶形態を制御することができる。例えば、混合溶液50を第1の温度で熟成することにより、第1の結晶形態のリンカルシウムが生成し、混合溶液50を第1の温度とは異なる第2の温度で熟成することにより、第1の結晶形態とは異なる第2の結晶形態のリン酸カルシウムが生成する。熟成後、生成したリン酸カルシウムをろ過等により分離し、洗浄、及び解砕する。
本発明のリン酸カルシウム合成装置によれば、第一の容器12内の溶液の温度、第二の容器22内の溶液の温度、及び第三の容器32内の溶液の温度;供給管16,26,36内を容器12,22,32からそれぞれ反応器40に向かって供給される水又はアルカリ溶液10、リン酸含有溶液20、カルシウム含有溶液30のうちの少なくとも一方の供給速度;熟成容器52における混合溶液50の攪拌速度;並びに熟成容器52内の混合溶液50の温度;のうちの少なくとも一つのパラメータを、上述したそれぞれの対応する制御手段であるホットスターラー14,24,34;流量制御機構18,28,38;攪拌装置56;ホットプレート54で変更することにより、リン酸含有溶液20及びカルシウム含有溶液30の組み合わせを用いて、異なる結晶形態及び/又は組成の少なくとも二種類のリン酸カルシウムを製造したりすることができる。
製造されるリン酸カルシウムの種類は特に限定されないが、一種類のリン酸カルシウムが製造される場合、リン酸カルシウムは例えば第8リン酸カルシウム(OCP)、非晶質リン酸カルシウム(ACP)、リン酸水素カルシウム(DCP)、リン酸水素カルシウム二水和物(DCPD)、ハイドロキシアパタイト(HA)、及びCa欠損型HAから選択される。
異なる組成の少なくとも二種類のリン酸カルシウムを合成する場合、第一のリン酸カルシウムはOCP、ACP、DCP、DCPD、HA、及びCa欠損型HAから選択されるリン酸カルシウムであり、第二のリン酸カルシウムはOCP、ACP、DCP、DCPD、HA、及びCa欠損型HAから選択されるリン酸カルシウムであって、第一のリン酸カルシウムとは異なるものが選択される。第三のリン酸カルシウムはOCP、ACP、DCP、DCPD、HA、及びCa欠損型HAから選択されるリン酸カルシウムであって、第1及び第二のリン酸カルシウムとは異なるものが選択される。
本発明のリン酸カルシウム合成装置を用いて、異なる組成の少なくとも二種類のリン酸カルシウムを製造する場合、リン酸含有溶液20及びカルシウム含有溶液30を、リン酸カルシウムの種類ごとに変えてもよいが、リン酸含有溶液20及びカルシウム含有溶液30を同じ溶液のまま維持しつつ、これらの反応条件を変更して、二種類のリン酸カルシウムを製造してもよい。つまり、まず、反応器40へ導入されるリン酸含有溶液20と、カルシウム含有溶液30とを第一の反応条件で導入、混合することにより、混合溶液50において第一のリン酸カルシウムを得る。第一のリン酸カルシウムを合成した後、混合溶液50を排出する。次に、反応器40へ導入される同じリン酸含有溶液20及びカルシウム含有溶液30を第一の反応条件とは異なる第二の反応条件で導入、混合することにより、第一のリン酸カルシウムとは異なる組成の第二のリン酸カルシウムを合成することができる。
生成されたリン酸カルシウムは例えばXRD等の測定装置を用いた測定によって確認、識別される。
本発明の合成装置又は合成方法により得られたリン酸カルシウムは、骨再生材料の主成分として、骨の欠損部又は歯の腔等の補充材として使用できる。HA前駆体であるリン酸カルシウムを主体とする人工骨材は、生体内に埋入されてハイドロキシアパタイトに変換され骨化するとともに、生体内の骨形成促進因子である、糖鎖を含む非コラーゲン性蛋白質との親和性を有し、骨欠損部又は歯の腔等に埋入された場合に、骨組織形成の核となり、HAに比べ、早期に新生骨を形成することができるという顕著な効果を奏する。また、リン酸カルシウムは骨欠損部又は歯の腔等に埋入後、短期間で生体骨又は歯と組成が同一なHAに変換するので、生体内での骨形成に近い新生骨形成プロセスとなり、安全性の面でも優れている。
ここまで、本発明を上記の実施形態を例にとって説明してきたが、本発明はこれに限られず、以下のような種々の変形が可能である。
○上記実施形態では、水又はアルカリ溶液10、リン酸含有溶液20、カルシウム含有溶液30が、容器12,22,32にそれぞれ収容されていたが、本発明はこのような溶液と容器の組み合わせに限らず、溶液10,20,30は容器12,22,32のいずれかに収容されていればよい。例えば、容器12が水又はアルカリ溶液10を収容し、容器22がカルシウム含有溶液30を収容し、容器32がリン酸含有溶液20を収容してもよい。また、一つの容器12又は容器22が、水又はアルカリ溶液10とリン酸含有溶液20とを収容してもよい。
○カルシウム含有溶液30が容器12又は容器22に収容される場合、第三の容器32と第三の供給管36は省略してもよい。逆に、溶液、容器、及び供給管を増やしてもよい。
○流量制御機構18,28,38を手動式にしてもよい。
○制御手段14,24,34及び18,28,38を統括制御するプロセッサを加えてもよい。○攪拌装置56を省略し、生成したリン酸カルシウムの沈殿物を熟成容器52内で一定時間放置して熟成させた後に、濾過してもよい。
○図1の多流型反応器40を省略し、第一の供給管16、第二の供給管26、及び第三の供給管36が、熟成容器52に直接通じる構成となっていてもよい。
○同一のリン酸含有溶液20及び同一のカルシウム含有溶液30を用いて異なる組成のリン酸カルシウムを合成する代わりに、リン酸含有溶液20及びカルシウム含有溶液30のうちの少なくとも一方を同一としてもよい。リン酸含有溶液20及びカルシウム含有溶液30のうちの少なくとも一方を交換せずに第一のリン酸カルシウムと第二のリン酸カルシウムを合成できれば効率が向上する。
○熟成容器52にあらかじめ溶液を収容しておき、熟成容器52内にてさらに反応を起こさせてもよい。この場合、溶液の種類は限定されないが、溶液10,20,30のいずれかであることが好ましい。熟成容器52内に溶液10,20,又は30、若しくはこれらの組み合わせを収容しておいた場合、容器12,22,又は32内には溶液10,20,又は30が収容されていてもよいし、熟成容器52内に溶液10,20,又は30、若しくはこれらの組み合わせを収容した分、容器12,22,又は32内の溶液10,20,又は30は省略してもよい。
○上記実施形態で説明したホットスターラー14,24,34;流量制御機構18,28,38;攪拌装置56;ホットプレート54からなる制御手段をすべて備える必要はなく、水又はアルカリ溶液10、リン酸含有溶液20、及びカルシウム含有溶液30の温度を制御するホットスターラー14,24,34か、混合溶液50の温度を制御するホットプレート54のうちの少なくとも一方、又は供給されるリン酸含有溶液20の供給速度及び/又は供給されるカルシウム含有溶液30の供給速度を制御する流量制御機構が最低限設けられていればよい。また、上記実施形態で説明した制御手段以外の追加の制御手段が設けられていてもよい。
本明細書中に引用されているすべての特許出願及び文献の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
1. OCPの合成
図1に示された合成装置を用いてOCPの合成を行った。
本例においては容器12に純水5000ml、容器22に40mMのリン酸二水素ナトリウム水溶液2500ml、容器32に40mMの酢酸カルシウム水溶液2500mlをそれぞれ収容し、各溶液の温度は60〜80℃、流量は純水:リン酸溶液:カルシウム溶液=2:1:1となるように制御し、反応器40へ導入した。反応器40内で混合され反応した生成物を含む混合溶液50を熟成容器52へ収容し、撹拌しながら温度45℃で熟成させた。
熟成工程後、吸引濾過によるリン酸カルシウムの分離と、洗浄、解砕を行った後、乾燥機にて24時間乾燥させ、OCPを得た。
2. ACPの合成
図1に示された合成装置を用いてACPの合成を行った。
本例においては容器12に0.1Mのアンモニア水250ml、容器22に1.5Mの硝酸カルシウム水溶液250ml、容器32に1.0Mのリン酸二水素アンモニウム水溶液250mlをそれぞれ収容し、各溶液の温度は10〜40℃、流量は純水:カルシウム溶液:リン酸溶液=1:1:1となるように制御し、多流型反応器40へ導入した。反応器40内で混合され反応した生成物を含む混合溶液50を、導出管46を通じて、予め6.3Mのアンモニア水250mlを収容してある熟成容器52へ導出し、撹拌しながら10〜40℃で熟成させた。
熟成工程後、吸引濾過によるリン酸カルシウムの分離と、洗浄、解砕を行った後、フリーズドライ法にて乾燥させ、ACPを得た。
3. HAの合成
図1に示された合成装置を用いてHAの合成を行った。
本例においては容器12に0.9Mのアンモニア水125ml、容器22に1.0Mのリン酸二水素アンモニウム水溶液及び0.2Mのアンモニア水250ml、容器32に1.7Mの硝酸カルシウム水溶液250mlをそれぞれ収容し、各溶液の温度は10〜40℃、流量は純水:リン酸溶液:カルシウム溶液=1:2:2となるように制御し、多流型反応器40へ導入した。反応器40内で混合され反応した生成物を含む混合溶液50を熟成容器52へ収容し、撹拌しながら温度45℃で熟成させたあと、さらに80℃で熟成を行った。
熟成工程後、吸引濾過によるリン酸カルシウムの分離と、洗浄、解砕を行った後、乾燥機にて24時間乾燥させ、HAを得た。
4. OCP-Gelの合成
図1に示された合成装置を用いてOCP-Gelの合成を行った。
本例においては容器12に純水5000ml、容器22に40mMのリン酸二水素ナトリウム水溶液2500ml及びゼラチン水溶液、容器32に40mMの酢酸カルシウム水溶液2500mlをそれぞれ収容し、各溶液の温度は60〜80℃、流量は純水:リン酸溶液:カルシウム溶液=2:1:1となるように制御し、多流型反応器40へ導入した。反応器40内で混合され反応した生成物を含む混合溶液50を熟成容器52へ収容し、撹拌しながら温度45℃で熟成させた。
熟成工程後、吸引濾過によるリン酸カルシウムの分離と、洗浄、解砕を行った後、乾燥機にて24時間乾燥させ、OCPを得た。
上記の4種類のリン酸カルシウムにおいて、例えばOCPの合成と、OCP−Gelの合成とでは、純水、リン酸二水素ナトリウム水溶液、酢酸カルシウム水溶液の使用が共通している。よって、OCPを合成した後で、容器22にゼラチンを加えるだけで、容器12内の純水、容器22内のリン酸二水素ナトリウム水溶液、容器32内の酢酸カルシウム水溶液はそのまま用いて、OCPの合成と、OCP−Gelの合成とを連続して行うことができる。
また、例えばACPの合成とHAの合成とでは、アンモニア水、硝酸カルシウム水溶液の使用が共通している。よってかかる溶液は連続して用いて、ACPの合成とHAの合成を行うことができる。
実施例2
実施例1で合成したリン酸カルシウムのX線回折スペクトルを下記に示す条件で測定した。結果は図2〜5に示す。
測定条件
測定装置:Rigaku MiniFlex
管電圧:40kV
管電流:15mA
対陰極:Cu
実施例3
HAの結晶形態の制御
図1に示された合成装置を用いてHAを合成し、さらにその結晶形態の制御を行った。
本例においては容器12に0.9Mのアンモニア水1000ml、容器22に1.0Mのリン酸二水素アンモニウム水溶液500ml、容器32に1.7Mの硝酸カルシウム水溶液500mlをそれぞれ収容し、各溶液の温度は60〜80℃、流量は純水:リン酸溶液:カルシウム溶液=2:1:1となるように制御し、多流型反応器40へ導入した。反応器40内で混合され反応した生成物を含む混合溶液50を熟成容器52へ収容した。
このとき、結晶形態を制御するため熟成工程の条件の異なるHA-1とHA-2を合成した。HA-1は撹拌しながら温度30〜50℃で熟成させており、HA-2は60〜80℃で熟成させている。
熟成工程後、吸引濾過によるリン酸カルシウムの分離と、洗浄、解砕を行った後、乾燥機にて24時間乾燥させ、結晶形態の異なる上記2種のHAを得た。これらの結晶の写真を図6,7に、それぞれのXRDスペクトルを図8,9に示している。図8,9のHA-1およびHA-2は主相がHAで,微量のOCP様結晶を含んでいる。
実施例4
OCPの結晶形態の制御
図1に示された合成装置を用いて、結晶形態の異なる2種のOCPを合成した。 本例においては容器12に純水1000ml、容器22に40mMのリン酸二水素ナトリウム水溶液500ml、容器32に40mMの酢酸カルシウム水溶液500mlをそれぞれ収容し、各溶液の温度は60〜80℃、流量は純水:リン酸溶液:カルシウム溶液=2:1:1となるように制御し、多流型反応器40へ導入した。反応器40内で混合され反応した生成物を含む混合溶液50を熟成容器52へ収容した。熟成温度は40〜70℃とした。
このとき、結晶形態を制御するためリン酸二水素ナトリウム水溶液の濃度を変え、2種の結晶形態のOCPを得た。それぞれをOCP-AとOCP-Bとする。
OCP-Aを合成する際にはリン酸溶液の濃度をBのおよそ3倍にしている。
熟成工程後、吸引濾過によるリン酸カルシウムの分離と、洗浄、解砕を行った後、乾燥機にて24時間乾燥させ、結晶形態の異なる上記2種のOCPを得た。これらの結晶の写真に示す(図10の(A)および(B))。OCP-AではOCP-Bよりも微細な形状のOCP結晶が観察された。
実施例5
各種リン酸カルシウムに対する細胞応答性試験
表面に実施例4のOCP-A(A)、実施例4のOCP-B(B)、実施例1のOCP-Gel (C)、および従来品のOCP(D)の各々でそれぞれコーティングを施したマルチプレートを用いて細胞培養試験を行い、細胞応答性について比較した。4種のリン酸カルシウム結晶のSEM像を図10に示す。 細胞培養試験には、3mgの(A)−(D)の各 OCP/ wellのコーティングを施したマルチプレートを用いて、D1細胞をDMEM培地で一週間培養し、培養後、Thermo Fisher Scientific社の Invitrogen(商標) Quant-iT PicoGreen dsDNA Assay Kit を使用してアッセイを行い、DNA量から各OCPの細胞増殖能を比較した。測定値は((A)−(D)の各々の試料に対し3回の平均値とした。
DNA量の測定結果を図11に示す。まず(A)−(C)の本発明のリン酸カルシウム合成装置により製造した結晶は結晶が均質であるのに対し、(D)の従来品の結晶は結晶が不均一であった。
また、(A)、(B)、(C)の結果の比較から、結晶によって細胞増殖能に違いがあることが分かった。具体的には、細胞応答性の高い結晶(B),(C)はそうでないもの(A)に比べ2倍近い細胞増殖能を示している。従来品(D)の細胞応答性も、細胞応答性の高い結晶(B),(C)に比べて半分程度であった。
以上の結果から、本発明のリン酸カルシウム合成装置及び/又は方法によれば、均一で、細胞応答性の高いリン酸カルシウム結晶を得る事ができ、例えば性能の高い生体材料を安定して作る事ができるなど、有効性が高い。
10…水又はアルカリ溶液、12…第一の容器、14,24,34,54…制御手段としてのホットスターラー又はホットプレート、16,26,36…供給管、46…導出管、18,28,38…制御手段としての流量制御機構、20…カルシウム含有溶液、22…第二の容器、30…カルシウム含有溶液、32…第三の容器、40…多流型反応器、50…混合溶液、52…熟成容器、56…制御手段としての攪拌装置、100…リン酸カルシウム合成装置。

Claims (11)

  1. 第8リン酸カルシウム(OCP)の合成装置であって、
    リン酸含有溶液を収容する第1の容器と、
    カルシウム含有溶液を収容する第2の容器と、
    前記第1の容器及び第2の容器と第1供給管及び第2供給管を介して連通し、前記第1の容器及び第2の容器からそれぞれ供給されるリン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液を導入する反応器と、
    リン酸含有溶液の前記反応器への供給速度を制御するための制御手段と、
    第1の容器におけるリン酸含有溶液の温度を制御するための制御手段と、
    カルシウム含有溶液の前記反応器への供給速度を制御するための制御手段と、
    第2の容器におけるカルシウム含有溶液の温度を制御するための制御手段とを備え、
    前記制御手段で前記リン酸含有溶液の供給速度、前記リン酸含有溶液の前記温度、前記カルシウム含有溶液の供給速度、及び前記カルシウム含有溶液の前記温度のうちの少なくとも一つを制御することにより、異なる結晶形態を有する少なくとも二種類の第8リン酸カルシウム(OCP)を合成可能であることを特徴とする合成装置。
  2. リン酸カルシウム合成装置であって、
    リン酸含有溶液を収容する第1の容器と、
    カルシウム含有溶液を収容する第2の容器と、
    前記第1の容器及び第2の容器と第1供給管及び第2供給管を介して連通し、前記第1の容器及び第2の容器からそれぞれ供給されるリン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液を導入する反応器と、
    リン酸含有溶液の前記反応器への供給速度を制御するための制御手段と、
    第1の容器におけるリン酸含有溶液の温度を制御するための制御手段と、
    カルシウム含有溶液の前記反応器への供給速度を制御するための制御手段と、
    第2の容器におけるカルシウム含有溶液の温度を制御するための制御手段とを備え、
    前記制御手段で前記リン酸含有溶液の前記温度、前記リン酸含有溶液の供給速度、前記カルシウム含有溶液の前記温度、前記カルシウム含有溶液の供給速度の少なくとも一つを制御することにより、異なる組成を有する少なくとも二種類のリン酸カルシウムを連続的に合成可能であり、
    前記異なる組成を有する少なくとも二種類のリン酸カルシウムのうちの一つが第一のリン酸カルシウムであり、別の一つが第二のリン酸カルシウムであり、
    前記第一のリン酸カルシウムは第8リン酸カルシウム(OCP)又はACP非晶質リン酸カルシウム(ACP)であり、第二のリン酸カルシウムは第8リン酸カルシウム(OCP)、非晶質リン酸カルシウム(ACP)、リン酸水素カルシウム(DCP)、リン酸水素カルシウム二水和物(DCPD)、ハイドロキシアパタイト(HA)、及びCa欠損型HAから選択されるリン酸カルシウムであって第一のリン酸カルシウムとは異なるものであり、
    異なる組成の少なくとも二種類のリン酸カルシウムの製造に、同じリン酸含有溶液、同じカルシウム含有溶液、又はその両方が用いられることを特徴とする合成装置。
  3. リン酸カルシウム合成装置であって、
    リン酸含有溶液を収容する第1の容器と、
    カルシウム含有溶液を収容する第2の容器と、
    前記第1の容器及び第2の容器と第1供給管及び第2供給管を介して連通し、前記第1の容器及び第2の容器からそれぞれ供給されるリン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液を導入する反応器と、
    リン酸含有溶液の前記反応器への供給速度を制御するための制御手段と、
    第1の容器におけるリン酸含有溶液の温度を制御するための制御手段と、
    カルシウム含有溶液の前記反応器への供給速度を制御するための制御手段と、
    第2の容器におけるカルシウム含有溶液の温度を制御するための制御手段とを備え、
    前記制御手段で前記リン酸含有溶液の前記温度、前記リン酸含有溶液の供給速度、前記カルシウム含有溶液の前記温度、前記カルシウム含有溶液の供給速度の少なくとも一つを制御することにより、異なる組成を有する少なくとも二種類のリン酸カルシウムを連続的に合成可能であり、
    前記異なる組成を有する少なくとも二種類のリン酸カルシウムのうちの一つが第一のリン酸カルシウムであり、別の一つが第二のリン酸カルシウムであり、
    前記第一のリン酸カルシウムが第8リン酸カルシウム単体(OCP)であり、第二のリン酸カルシウムが第8リン酸カルシウムゼラチン複合体(OCP-Gel)であり、第8リン酸カルシウム単体(OCP)と第8リン酸カルシウムゼラチン複合体(OCP-Gel)の製造に、同じリン酸含有溶液及び同じカルシウム含有溶液が用いられることを特徴とする合成装置。
  4. 前記反応器から導出された混合溶液を収容する熟成容器と、熟成容器における混合溶液の温度、攪拌速度、又はその両方を制御する制御手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の合成装置。
  5. 水又はアルカリ溶液を収容する第3の容器と、
    前記水又はアルカリ溶液の前記反応器への供給速度、第3の容器における前記水又はアルカリ溶液の温度、又はその両方を制御するための制御手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の合成装置。
  6. 第8リン酸カルシウム(OCP)の合成装置であって、異なる結晶形態を有する少なくとも二種類の第8リン酸カルシウム(OCP)を合成可能であることを特徴とする請求項5に記載の合成装置。
  7. 第8リン酸カルシウム(OCP)の合成装置であって、
    リン酸含有溶液を収容する第1の容器と、
    カルシウム含有溶液を収容する第2の容器と、
    前記第1の容器及び第2の容器から第1供給管及び第2供給管を介してそれぞれ供給されるリン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液を導入する熟成容器と、
    リン酸含有溶液の前記熟成容器への供給速度を制御するための制御手段と、
    第1の容器におけるリン酸含有溶液の温度を制御するための制御手段と、
    カルシウム含有溶液の前記熟成容器への供給速度を制御するための制御手段と、
    第2の容器におけるカルシウム含有溶液の温度を制御するための制御手段とを備え、
    前記制御手段で前記リン酸含有溶液の供給速度、前記リン酸含有溶液の前記温度、前記カルシウム含有溶液の供給速度、及び前記カルシウム含有溶液の前記温度のうちの少なくとも一つを制御することにより、異なる結晶形態を有する少なくとも二種類の第8リン酸カルシウム(OCP)を合成可能であることを特徴とする合成装置。
  8. リン酸カルシウム合成装置であって、
    リン酸含有溶液を収容する第1の容器と、
    カルシウム含有溶液を収容する第2の容器と、
    前記第1の容器及び第2の容器から第1供給管及び第2供給管を介してそれぞれ供給されるリン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液を導入する熟成容器と、
    リン酸含有溶液の前記熟成容器への供給速度を制御するための制御手段と、
    第1の容器におけるリン酸含有溶液の温度を制御するための制御手段と、
    カルシウム含有溶液の前記熟成容器への供給速度を制御するための制御手段と、
    第2の容器におけるカルシウム含有溶液の温度を制御するための制御手段と
    を備え、
    前記制御手段で前記リン酸含有溶液の供給速度、前記リン酸含有溶液の前記温度、前記カルシウム含有溶液の供給速度、及び前記カルシウム含有溶液の前記温度、のうちの少なくとも一つを制御することにより、異なる組成を有する少なくとも二種類のリン酸カルシウムを連続的に合成可能であり、
    前記異なる組成を有する少なくとも二種類のリン酸カルシウムのうちの一つが第一のリン酸カルシウムであり、別の一つが第二のリン酸カルシウムであり、
    前記第一のリン酸カルシウムは第8リン酸カルシウム(OCP)又はACP非晶質リン酸カルシウム(ACP)であり、第二のリン酸カルシウムは第8リン酸カルシウム(OCP)、非晶質リン酸カルシウム(ACP)、リン酸水素カルシウム(DCP)、リン酸水素カルシウム二水和物(DCPD)、ハイドロキシアパタイト(HA)、及びCa欠損型HAから選択されるリン酸カルシウムであって第一のリン酸カルシウムとは異なるものであり、
    異なる組成の少なくとも二種類のリン酸カルシウムの製造に、同じリン酸含有溶液及び同じカルシウム含有溶液のうちの少なくとも一方が用いられることを特徴とする合成装置。
  9. 第8リン酸カルシウム(OCP)の合成装置であって、
    リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方を収容する第1の容器と、
    前記第1の容器から第1供給管を介して供給されるリン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方を導入する反応器と、
    リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の他方を収容し、前記反応器から導出された溶液と前記リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の他方との混合溶液を収容する熟成容器と、
    前記リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方の前記反応器への供給速度を制御するための制御手段と、
    前記第1の容器における前記リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方の温度を制御するための制御手段と、
    熟成容器における混合溶液の温度、攪拌速度、又はその両方とのうちの少なくとも一方を制御するための制御手段とを備え、
    前記制御手段で前記リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方の反応器への供給速度、前記リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方の温度、前記混合溶液の温度、及び前記攪拌速度のうちの少なくとも一つを制御することにより、異なる結晶形態を有する少なくとも二種類の第8リン酸カルシウム(OCP)を合成可能であることを特徴とする合成装置。
  10. リン酸カルシウム合成装置であって、
    リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方を収容する第1の容器と、
    前記第1の容器から第1供給管を介して供給されるリン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方を導入する反応器と、
    リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の他方を収容し、前記反応器から導出された溶液と前記リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の他方との混合溶液を収容する熟成容器と、
    前記リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方の前記反応器への供給速度を制御するための制御手段と、
    前記第1の容器における前記リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方の温度を制御するための制御手段と、
    熟成容器における混合溶液の温度、攪拌速度、又はその両方とのうちの少なくとも一方を制御するための制御手段とを備え、
    前記制御手段で前記リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方の反応器への供給速度、前記リン酸含有溶液及びカルシウム含有溶液の一方の温度、前記混合溶液の温度、及び前記攪拌速度のうちの少なくとも一つを制御することにより、異なる組成を有する少なくとも二種類のリン酸カルシウムを連続的に合成可能であり、
    前記異なる組成を有する少なくとも二種類のリン酸カルシウムのうちの一つが第一のリン酸カルシウムであり、別の一つが第二のリン酸カルシウムであり、
    前記第一のリン酸カルシウムは第8リン酸カルシウム(OCP)又はACP非晶質リン酸カルシウム(ACP)であり、第二のリン酸カルシウムは第8リン酸カルシウム(OCP)、非晶質リン酸カルシウム(ACP)、リン酸水素カルシウム(DCP)、リン酸水素カルシウム二水和物(DCPD)、ハイドロキシアパタイト(HA)、及びCa欠損型HAから選択されるリン酸カルシウムであって第一のリン酸カルシウムとは異なるものであり、
    異なる組成の少なくとも二種類のリン酸カルシウムの製造に、同じリン酸含有溶液及び同じカルシウム含有溶液のうちの少なくとも一方が用いられることを特徴とする合成装置。
  11. リン酸カルシウムの合成方法であって、
    a)反応器内で、リン酸含有溶液と、カルシウム含有溶液とを第一の反応条件で混合することにより、第一の組成のリン酸カルシウムを合成する工程と、
    b)前記反応器内で、リン酸含有溶液と、カルシウム含有溶液とを第一の反応条件とは異なる第二の反応条件で攪拌、混合することにより、第一のリン酸カルシウムとは異なる組成の第二のリン酸カルシウムを合成する工程と、を含み、
    前記工程a)と前記工程b)を連続的に行い、
    前記第一のリン酸カルシウムは第8リン酸カルシウム(OCP)又はACP非晶質リン酸カルシウム(ACP)であり、
    第二のリン酸カルシウムは第8リン酸カルシウム(OCP)、非晶質リン酸カルシウム(ACP)、リン酸水素カルシウム(DCP)、リン酸水素カルシウム二水和物(DCPD)、ハイドロキシアパタイト(HA)、及びCa欠損型HAから選択されるリン酸カルシウムであって第一のリン酸カルシウムとは異なるものであり、
    前記工程a)で用いたリン酸含有溶液と前記工程b)で用いたリン酸含有溶液、及び前記工程a)で用いたカルシウム含有溶液と前記工程b)で用いたカルシウム含有溶液のうちの少なくとも一方が同じである方法。
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