JP6785618B2 - 圧電素子に用いる構造体およびそれを用いたデバイス - Google Patents

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Description

本発明は、圧電素子に用いる構造体およびそれを用いたデバイスに関する。
従来、圧電性物質を用いた素子に関する技術は多数開示されている。例えば特許文献1には導電繊維に圧電性高分子を被覆した素子について、擦りに対する電気的応答が優れていることが開示されている。また非特許文献1には圧電性高分子をコイル状に巻いた素子について、コイルの軸方向の伸縮およびコイルの軸周りのねじり変形による電気的応答例が開示されている。また特許文献2には圧電性高分子からなる繊維状物が開示されており、該繊維状物は繊維軸と平行あるいは直角の力(運動)が働いた場合に圧電効果が大きく生じると記載されている。
特許文献3の圧電シートは、圧電シートに対するねじり変形(応力)によって電気信号を出力できる。しかしながら、そもそもシート状であるために柔軟性に乏しく、繊維や布のように自由に屈曲できるような使い方は不可能である。
国際公開第2014/058077号 特開2000−144545号公報 特開2014−240842号公報
Japanese Journal of Applied Physics 51巻09LD16ページ
しかしながら上記先行技術文献には、ねじり運動に対して効率よく圧電信号を発生する一方で、ねじり運動以外の運動に対しては圧電信号を発生させないような具体的な構成については開示されていない。また、圧電信号の利用効率を高めるべく、構造体の中心軸と外側とで互いに逆極性の電荷(すなわち逆符号の電荷)を発生させるような具体的な構成についても開示されていない。したがって、センサーや吸着体などに利用できる圧電素子としての性能は不十分であった。
本発明の目的は、ねじり変形(応力)に対して選択的に応答し、効率的に利用可能な電気分極を生じさせることが可能な円筒形または円柱形の圧電性構造体を提供することになる。
本発明者らは、高い圧電定数d14を有する圧電性高分子を配向させたものを、特定の向きに並べて円筒形または円柱形の構造体とすることで、ねじり変形に対して円筒形または円柱形の中心軸側と外側とに効率的に逆極性の電荷を発生させられることを発見し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)配向した圧電性高分子を円筒形または円柱形に配置した構造体であり、圧電性高分子が配置された円筒形または円柱形の中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度が0°以上40°以下または50°以上90°以下であり、圧電性高分子は配向軸を3軸とした時の圧電定数d14の絶対値が0.1pC/N以上1000pC/N以下の値を有する結晶性高分子を主成分として含む、構造体。
(2)前記圧電性高分子はポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸を主成分として含む、(1)に記載の構造体。
(3)前記圧電性高分子が配置された円筒形または円柱形の中心軸を軸としてねじり変形が与えられた時、該円筒形または円柱形の中心軸側と外側とに逆極性の電荷が発生する、(1)または(2)に記載の構造体。
(4)前記圧電性高分子は繊維状、フィラメント状またはテープ状のものが、組紐状、撚り紐状、カバリング糸状または引き揃え糸状にされて構成されている、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の構造体。
(5)前記圧電性高分子は円筒形または円柱形の中心軸に垂直な断面において1つの閉領域のみを構成している、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の構造体。
(6)(1)〜(5)のいずれか1項に記載の構造体と、前記構造体に隣接して配置された導電体と、を備える素子。
(7)前記圧電性高分子が円筒形に配置されており、該円筒形の中心軸の位置に前記導電体を配置した、(6)に記載の素子。
(8)前記導電体が導電性繊維からなり、前記圧電性高分子は圧電性繊維として前記導電性繊維の周りに組紐状に組まれて配置される、(7)に記載の素子。
(9)前記圧電性高分子が配置された円筒形の外側に前記導電体を配置した、(6)〜(8)のいずれか1項に記載の素子。
(10)前記導電体は導電性繊維からなり、前記圧電性高分子が配置された円筒形の周りに前記導電性繊維が組紐状に組まれて配置される、(9)に記載の素子。
(11)(6)〜(10)いずれか1項に記載の素子と、
圧電性高分子が配置された円筒形の中心軸の方向にねじり変形が与えられた時に発生する電荷に応じて、前記導電体にて発生する電気信号が出力される出力端子と、
前記出力端子を介して出力される電気信号を検出する電気回路と、
を備えるセンサー。
本発明により、ねじり変形(応力)に対して選択的に応答し、効率的に利用可能な電気分極を生じさせることが可能な円筒形または円柱形の圧電性構造体を提供できる。
実施形態に係る円筒形の圧電性構造体を示す模式図である。 実施形態に係る円柱形の圧電性構造体を示す模式図である。 実施形態に係る円筒形の圧電性構造体を示す側面図である。 実施形態に係る圧電性構造体を示す側面図である。 実施形態に係る組紐状圧電素子の構成例を示す模式図である。 実施形態に係る布帛状圧電素子の構成例を示す模式図である。 実施形態に係る圧電素子を備えるデバイスを示すブロック図である。 実施形態に係る布帛状圧電素子を備えるデバイスの構成例を示す模式図である。 実施形態に係る布帛状圧電素子を備えるデバイスの他の構成例を示す模式図である。 実施形態に係る組紐状圧電素子の断面を示す顕微鏡写真である。 実施形態に係る組紐状圧電素子の断面を示す顕微鏡写真である。 実施形態に係る組紐状圧電素子の断面を示す顕微鏡写真である。
(円筒形または円柱形の圧電性構造体)
本発明の構造体(圧電性構造体)は配向した圧電性高分子を含み、配向した圧電性高分子は円筒形または円柱形に配置されている。図1Aは実施形態に係る円筒形の圧電性構造体1−1を示す模式図であり、図1Bは実施形態に係る円柱形の圧電性構造体1−2を示す模式図である。圧電性高分子が配置された円筒形または円柱形の底面の外縁および内縁の形状は真円が最も好ましいが、楕円形でもよいし、扁平な円形でもよい。
(圧電性高分子)
本発明の圧電性構造体に含まれる圧電性高分子は、一軸配向した高分子の成型体であり、配向軸を3軸とした時の圧電定数d14の絶対値が0.1pC/N以上1000pC/N以下の値を有する結晶性高分子を主成分として含む。本発明において「主成分として含む」とは、構成成分の50質量%以上を占めること指す。また、本発明において結晶性高分子とは、1質量%以上の結晶部と、結晶部以外の非晶部とからなる高分子であり、結晶性高分子の質量とは結晶部と非晶部とを合計した質量である。
本実施形態の圧電性高分子に含まれる結晶性高分子として好適に使用できる、配向軸を3軸とした時の圧電定数d14の絶対値が0.1pC/N以上1000pC/N以下の値を有する結晶性高分子としては、例えば「Piezoelectricity of biopolymers」(深田栄一、Biorheology, Vol.3,No.6, pp.593)に示されるように、セルロース、コラーゲン、ケラチン、フィブリン、ポリ−L−アラニン、ポリ−γ−メチル−L−グルタメート、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタメート、ポリ−L−乳酸を挙げることができる。また、これらの高分子の光学異性体であるポリ−D−アラニン、ポリ−γ−メチル−D−グルタメート、ポリ−γ−ベンジル−D−グルタメート、ポリ−D−乳酸もd14の符号が逆となるが、d14の絶対値としては同等の値を取ると推定される。d14の値は成型条件や純度および測定雰囲気によって異なる値を示すが、本発明の目的を達成するには、実際に使用される圧電性高分子中の結晶性高分子の結晶化度および結晶配向度を測定し、それと同等の結晶化度および結晶配向度を有する1軸延伸フィルムを当該結晶性高分子を用いて作成し、そのフィルムのd14の絶対値が、実際に使用される温度において0.1pC/N以上1000pC/N以下の値を示せばよく、本実施形態の圧電性高分子に含まれる結晶性高分子としては、上に挙げた特定の結晶性高分子に限定されない。フィルムサンプルのd14の測定は公知の様々な方法を取ることができるが、例えばフィルムサンプルの両面に金属を蒸着して電極としたサンプルを、延伸方向から45度傾いた方向に4辺を有する長方形に切り出し、その長尺方向に引張荷重をかけた時に両面の電極に発生する電荷を測定することで、d14の値を測定することができる。
本実施形態ではポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸が特に好適に用いられる。ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸は、例えば溶融製膜後に一軸延伸によって容易に配向結晶化してd14の絶対値として10pC/Nを超える圧電性を示す。一方、代表的な圧電性高分子であるポリフッ化ビニリデン成形品の分極処理物は高いd33の圧電定数を有するが、d14の絶対値としては非常に低く、本発明の結晶性高分子としては用いることができない。
また、圧電性高分子は他の圧電性を示さないポリマーとのアロイとして用いてもよいが、ポリ乳酸を主たる圧電性高分子として用いるならば、アロイの全質量を基準として少なくとも60質量%以上でポリ乳酸を含有していることが好ましく、さらに好ましくは70質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。
アロイとする場合のポリ乳酸以外のポリマーとしては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート共重合体、ポリメタクリレート等が好適な例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(圧電性高分子の配向角度)
本発明の圧電性高分子を円筒形または円柱形に配置した構造体において、圧電性高分子が配置された円筒形または円柱形の中心軸(以下、単に「中心軸」と記載する)の方向に対する圧電性高分子の配向角度θは0°以上40°以下または50°以上90°以下である。この条件を満たす時、圧電性構造体に対し中心軸を軸としたねじり変形(ねじり応力)を与えることで、圧電性高分子に含まれる結晶性高分子の圧電定数d14に対応する圧電効果を効率よく利用し、圧電性構造体の中心軸側と外側とに効率的に逆極性の電荷を発生させることができる。かかる観点から、中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θは0°以上35°以下または55°以上90°以下であることが好ましく、0°以上30°以下または60°以上90°以下であることがより好ましく、0°以上25°以下または65°以上90°以下であることがさらに好ましい。中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θが0°を超えて90°未満である場合には、圧電性高分子の配向方向はらせんを描くことになる。
また、このように圧電性高分子を配置することで、圧電性構造体の表面を擦るようなせん断変形や、中心軸を曲げるような曲げ変形や、中心軸方向の伸縮変形に対しては圧電性構造体の中心軸側と外側とには大きな電荷を発生させないようにする、即ち中心軸を軸としたねじりに対して選択的に大きな電荷を発生させる圧電性構造体とすることができる。
中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θとは、圧電性高分子が配置された円筒形または円柱形を側面から見た平行投影図において、該中心軸の方向と、中心軸に重なって手前にある部分の圧電性高分子の配向方向とがなす角度である。例えば図2は実施形態に係る円筒形の圧電性構造体1を側面から見た図である。図2の例において、圧電性構造体は長尺方向に配向した圧電性高分子のテープをらせん状に巻いた構造体である。中心軸CLに重なって手前にある部分のテープの配向方向を示す直線はOLであり、CLとOLのなす角θ(0度以上90度以下とする)が、中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度である。
図2ではテープのように薄い圧電性高分子を用いているため、圧電性高分子の配向方向は側面から観察したテープ表面の配向方向に概ね一致するが、厚い圧電性高分子を用いて円筒形の圧電性構造体を作った場合や、円柱形の圧電性構造体の場合は、側面から観察できる表面の配向方向に比べ、内部の配向方向は中心軸に近づくほど中心軸の方向に近くなるため、表面の配向方向と内部の配向方向との間に差異が生じる。また、側面から観察したテープ表面の配向方向は見かけではS字あるいは逆S字を取っている場合があり、正確な観察には高い倍率の拡大観察が必要となる。
かかる観点から、中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θは、長尺方向に配向した繊維、フィラメントあるいはテープをらせん状に巻いた構造体(例えば撚糸、カバリング糸、組紐などが挙げられる)の場合、可能な限り下記の方法で測定する。圧電性構造体の側面写真を撮影し、圧電性高分子2のらせんピッチHPを測定する。らせんピッチHPは図3の通り、1本の圧電性高分子2が表面から裏面を回って再び表面に来るまでに要した、中心軸方向の直線距離である。また、必要に応じて接着剤で構造を固定後に、圧電性構造体の中心軸に垂直な断面を切り出して写真を撮影し、圧電性構造体が占める部分の外側半径Roおよび内側半径Riを測定する。断面の外縁および内縁が楕円形や扁平な円形の場合は、長径と短径の平均値をRoおよびRiとする。圧電性構造体が円柱の場合はRi=0とする。下記式から中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θを計算する。
θ = arctan(2πRm/HP)(0°≦θ≦90°)
ただしRm=2(Ro−Ri)/3(Ro−Ri)、即ち断面積で加重平均した圧電性構造体の半径である。
圧電性構造体の側面写真において圧電性高分子が均一な表面を有している場合や、中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θが0°に近い場合など、圧電性高分子のらせんピッチが判別できない場合は、接着剤等で固定した圧電性構造体を中心軸を通る平面で割断し、割断面に垂直な方向に、中心軸を通るよう十分に狭い範囲でX線を透過するよう広角X線回折分析を行い、配向方向を決定して中心軸との角度をとり、θとする。
組紐や多重カバリング糸のように、圧電性高分子の配向方向に沿って描かれるらせんについて、らせん方向(S撚り方向またはZ撚り方向)やらせんピッチを異にする2つ以上のらせんが同時に存在する圧電性構造体の場合は、それぞれのらせん方向およびらせんピッチの圧電性高分子についてそれぞれ上記測定を行い、いずれか一つのらせん方向およびらせんピッチの圧電性高分子が前述の条件を満たすことが必要である。
圧電性高分子の配向方向がらせんをなす場合、らせん方向(S撚り方向またはZ撚り方向)がどちらであるかは、ねじり変形に対して発生する電荷の極性(符号)に影響しない。ただし、中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θが0°以上40°以下である場合と、50°以上90°以下である場合とでは、ねじり変形に対して発生する電荷の極性が逆転する。また、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸のように、d14の符号が互いに異なる結晶性高分子を含む圧電性高分子も、ねじり変形に対して発生する電荷の極性が逆転する。従って、ねじり変形に対して圧電性構造体の中心軸側と外側とに効率的に逆極性の電荷を発生させるためには、d14の符号が同一の結晶性高分子を主成分として含む圧電性高分子のみを用い、圧電性構造体中の中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θは0°以上40°以下または50°以上90°以下のどちらかのみに揃えることが好ましい。
ところで、圧電性構造体の中心軸方向の伸縮変形に対して中心軸側と外側とに発生する電荷の極性(符号)は、ある圧電性高分子の配向方向をS撚りのらせんに沿って配置した場合と、同じ圧電性高分子の配向方向をZ撚りのらせんに沿って配置した場合とでは、互いに逆の極性になるため、ある圧電性高分子の配向方向をS撚りのらせんに沿って配置すると同時にZ撚りのらせんに沿って配置した場合(例えばある圧電性高分子からなる繊維をS撚り方向の糸およびZ撚り方向の糸の両方に用いて組紐を組んだ場合)は、伸縮変形に対する発生電荷がS撚り方向とZ撚り方向とで互いに打消し合うため、ねじり変形に対応して発生する電荷のみを検出することができる。したがって、本発明の実施態様として、圧電性高分子は、圧電定数d14の値が正の結晶性高分子を主成分として含むP体と、負の結晶性高分子を主成分として含むN体とを含み、当該圧電性構造体の中心軸が1cmの長さを持つ部分について、配向軸がZ撚り方向にらせんを巻いて配置されたP体の質量をZP、配向軸がS撚り方向にらせんを巻いて配置されたP体の質量をSP、配向軸がZ撚り方向にらせんを巻いて配置されたN体の質量をZN、配向軸がS撚り方向にらせんを巻いて配置されたN体の質量をSN、とし、(ZP+SN)と(SP+ZN)とのうち小さい方をT1、大きい方をT2としたとき、T1/T2の値が0.8超であることが好ましく、さらに0.9超であることが好ましい。特に、圧電性高分子は、ポリ−D−乳酸を主成分として含むP体と、ポリ−L−乳酸を主成分として含むN体とを含み、当該圧電性構造体の中心軸が1cmの長さを持つ部分について、配向軸がZ撚り方向にらせんを巻いて配置されたP体の質量をZP、配向軸がS撚り方向にらせんを巻いて配置されたP体の質量をSP、配向軸がZ撚り方向にらせんを巻いて配置されたN体の質量をZN、配向軸がS撚り方向にらせんを巻いて配置されたN体の質量をSNとし、(ZP+SN)と(SP+ZN)とのうち小さい方をT1、大きい方をT2としたとき、T1/T2の値が0.8超であることがより好ましく、さらに0.9超であることが好ましい。ここで上記のT1/T2の値を満足しない場合でも、中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θが0°以上10°以下、または80°以上90°以下の場合は、10°超80°未満の場合に比べ伸縮変形に対して発生する電荷量が小さくなる結果、ねじり変形に対して選択的に電気信号を発生させることができ、好ましい。
また、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸のように、d14の符号が互いに異なる結晶性高分子を含む圧電性高分子を、S撚りまたはZ撚りの一方のらせんに沿って混合して配置すると、伸縮変形に対する発生電荷が互いに打消し合い、ねじり変形のみに選択的に応答するため、好ましい。
(圧電性構造体の構成)
前述の通り、本発明の圧電性構造体においては、中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θが0°を超えて90°未満である場合には、圧電性高分子の配向方向はらせんを描くことになる。このような配置となる圧電性構造体としては特に、例えば圧電性高分子を長尺方向に配向させた繊維、フィラメントあるいはテープを用いた、撚糸、カバリング糸、組紐などが好ましい様態として挙げることができる。テープを用いる場合は、テープの長尺方向以外の方向に配向させたテープを用い、らせん状に巻いたものや、長尺方向と中心軸方向を平行にして円筒を成型したものも用いることができる。生産性と配向度の向上の観点からは、延伸によって長尺方向に配向させた繊維、フィラメントあるいはテープを用いた撚糸、カバリング糸および組紐がより好ましく、構造の安定性の観点から、組紐がとりわけ好ましい。
中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θが0°である場合には、圧電性高分子の配向方向は中心軸に平行となる。このような配置となる圧電性構造体としては、例えば圧電性高分子を長尺方向に配向させた繊維、フィラメントあるいはテープそのものや、それらを引き揃えたものや、中空糸およびコンジュゲート糸や、芯糸を圧電性高分子で被覆したものが好ましい様態として挙げることができる。
中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θが90°である場合には、圧電性高分子の配向方向は中心軸に垂直な面上で円形をなす。このような配置となる圧電性構造体としては、例えば長尺方向に垂直に配向させた圧電性高分子のテープを用い、長尺方向と中心軸方向を平行にして円筒を成型したものが好ましい様態として挙げることができる。
本発明の圧電性構造体は、中心軸の方向にねじり変形を与えた時、中心軸側と外側とに逆極性の電荷が発生する。その利用形態は特に限定されず、物質の吸脱着や引力/斥力による操作、電磁波発生、生体への電気刺激などにも利用できるが、その電荷を信号やエネルギーとして効率よく取り出すため、中心軸側および/または外側に導電体を配置しておく形態がより好ましい。外側に導電体を配置する場合は、圧電性構造体の円柱形側面あるいは円筒形側面を全て覆うように導電体を配置することが電荷の利用効率およびシールドとして利用できる点でより好ましいが、部分的にのみ導電体を配置してもよい。
生産性、折り曲げ耐久性、構造の安定性の観点から、後述する組紐状の圧電性構造体が最も好ましい。
(組紐状圧電素子)
図4は実施形態に係る組紐状の圧電性構造体(以下、組紐状圧電素子と称する)の構成例を示す模式図である。
組紐状圧電素子11は、導電性繊維Bで形成された芯部13と、芯部13を被覆するように組紐状の圧電性繊維Aで形成された鞘部12と、を備えており、鞘部12は本発明における円筒形の圧電性構造体である。圧電性繊維Aは主成分としてポリ乳酸を含むことができる。
組紐状圧電素子11では、少なくとも一本の導電性繊維Bの外周面を多数の圧電性繊維Aが緻密に取り巻いている。組紐状圧電素子11に変形が生じると、多数の圧電性繊維Aそれぞれに変形による応力が生じ、それにより多数の圧電性繊維Aそれぞれに電場が生じ(圧電効果)、その結果、導電性繊維Bを取り巻く多数の圧電性繊維Aの電場を重畳した電圧変化が導電性繊維Bに生じるものと推測される。すなわち圧電性繊維Aの組紐状の鞘部12を用いない場合と比較して導電性繊維Bからの電気信号が増大する。それにより、組紐状圧電素子11では、比較的小さな変形で生じる応力によっても、大きな電気信号を取り出すことが可能となる。なお、導電性繊維Bは複数本であってもよい。
ここで、芯部である導電性繊維Bを経由して検出される信号強度は鞘部である圧電性繊維Aとの接触状態が変化しないことはもちろん、より強く拘束されていることが好ましい。例えば、圧電性繊維を製紐機で組む時のテンションを高くすることにより、より強く拘束された組紐を得ることができる。一方で、ポリ乳酸(PLA)繊維は強度が弱く、しかも摩擦が高いため、製紐機の糸道において繊維が単糸切れをおこし、綺麗な組紐を得ることができない場合がある。すなわち製紐工程において、繊維の巻かれたボビンを保持するキャリアが盤上を移動する経路により繊維がボビンのアキュームにより張ったり弛んだりを瞬間的に繰り返しながら組まれていくため、一般にPLA繊維は高いテンションをかけて製紐することが困難である。しかし、かかる困難は、PLA繊維に撚糸加工を施すことで改善されることがわかった。具体的には、PLA繊維に10〜5000T/mの撚数で撚糸加工を施すことが好ましい。10T/mより小さいと撚糸の効果が得られず、5000T/mより大きいと、繊維が捩じれやすくなり加工時のトラブルが起きやすくなる。また、組紐にした時の組紐の軸方向の変形に対するPLAの配向軸方向の角度が適切でなくなり、信号強度が小さくなるおそれがある。撚数は30T/m以上がより好ましく、さらに好ましくは50T/m以上である。また、撚数の上限としては3000T/m以下がより好ましく、さらに好ましくは1500T/m以下である。撚糸加工の方法は特に限定されるものではなく、公知のあらゆる撚糸加工方法が適用可能である。また、撚糸加工された繊維は、熱処理されることが好ましく、熱処理することにより撚糸状態が固定化され繊維のハンドリングがしやすくなる。熱処理の方法も特に限定されるものではなく、一般的に対象繊維のTg〜Tmの温度が好ましく選択され、湿度下で処理される場合もある。
ここで、圧電性繊維Aは主成分としてポリ乳酸を含むことが好ましい。ポリ乳酸中の乳酸ユニットは90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、98モル%以上がさらに好ましい。
なお、組紐状圧電素子11では、本発明の目的を達成する限り、鞘部12では圧電性繊維A以外の他の繊維と組み合わせて混繊等を行ってもよいし、芯部13では導電性繊維B以外の他の繊維と組み合わせて混繊等を行ってもよい。
導電性繊維Bの芯部13と組紐状の圧電性繊維Aの鞘部12とで構成される組紐状圧電素子の長さは特に限定はない。例えば、その組紐状圧電素子は製造において連続的に製造され、その後に必要な長さに切断して利用してもよい。組紐状圧電素子の長さは1mm〜10m、好ましくは、5mm〜2m、より好ましくは1cm〜1mである。長さが短過ぎると繊維形状である利便性が失われ、また、長さが長過ぎると導電性繊維Bの抵抗値を考慮する必要が出てくるであろう。
以下、各構成について詳細に説明する。
(導電性繊維)
導電性繊維Bとしては、導電性を示すものであればよく、公知のあらゆるものが用いられる。導電性繊維Bとしては、例えば、金属繊維、導電性高分子からなる繊維、炭素繊維、繊維状あるいは粒状の導電性フィラーを分散させた高分子からなる繊維、あるいは繊維状物の表面に導電性を有する層を設けた繊維が挙げられる。繊維状物の表面に導電性を有する層を設ける方法としては、金属コート、導電性高分子コート、導電性繊維の巻付けなどが挙げられる。なかでも金属コートが導電性、耐久性、柔軟性などの観点から好ましい。金属をコートする具体的な方法としては、蒸着、スパッタ、電解メッキ、無電解メッキなどが挙げられるが生産性などの観点からメッキが好ましい。このような金属をメッキされた繊維は金属メッキ繊維ということができる。
金属をコートされるベースの繊維として、導電性の有無によらず公知の繊維を用いることができ、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、ポリエーテル繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維の他、綿、麻、絹等の天然繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維を用いることができる。ベースの繊維はこれらに限定されるものではなく、公知の繊維を任意に用いることができ、これらの繊維を組み合わせて用いてもよい。
ベースの繊維にコートされる金属は導電性を示し、本発明の効果を奏する限り、いずれを用いてもよい。例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、パラジウム、酸化インジウム錫、硫化銅など、およびこれらの混合物や合金などを用いることができる。
導電性繊維Bに屈曲耐性のある金属コートした有機繊維を使用すると、導電性繊維が折れることが非常に少なく、圧電素子を用いたセンサーとしての耐久性や安全性に優れる。
導電性繊維Bはフィラメントを複数本束ねたマルチフィラメントであっても、また、フィラメント一本からなるモノフィラメントであってもよい。マルチフィラメントの方が電気特性の長尺安定性の観点で好ましい。モノフィラメント(紡績糸を含む)の場合、その単糸径は1μm〜5000μmであり、好ましくは2μm〜100μmである。さらに好ましくは3μm〜50μmである。マルチフィラメントの場合、フィラメント数としては、1本〜100000本が好ましく、より好ましくは5本〜500本、さらに好ましくは10本〜100本である。ただし、導電性繊維Bの繊度・本数とは、組紐を作製する際に用いる芯部3の繊度・本数であり、複数本の単糸(モノフィラメント)で形成されるマルチフィラメントも一本の導電性繊維Bと数えるものとする。ここで芯部3とは、導電性繊維以外の繊維を用いた場合であっても、それを含めた全体の量とする。
繊維の直径が小さいと強度が低下しハンドリングが困難となり、また、直径が大きい場合にはフレキシブル性が犠牲になる。導電性繊維Bの断面形状としては円または楕円であることが、圧電素子の設計および製造の観点で好ましいが、これに限定されない。
また、圧電性高分子からの電気出力を効率よく取り出すため、電気抵抗は低いことが好ましく、体積抵抗率としては10−1Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは10−2Ω・cm以下、さらに好ましくは10−3Ω・cm以下である。ただし、電気信号の検出で十分な強度が得られるのであれば導電性繊維Bの抵抗率はこの限りではない。
導電性繊維Bは、本発明の用途から、繰り返しの曲げやねじりといった動きに対して耐性がなければならない。その指標としては、結節強さが、より大きいものが好まれる。結節強さはJIS L1013 8.6の方法で測定することができる。本発明に適当な結節強さの程度としては、0.5cN/dtex以上であることが好ましく、1.0cN/dtex以上であることがより好ましく、1.5cN/dtex以上であることがさらに好ましく、2.0cN/dtex以上であることが最も好ましい。また、別の指標としては、曲げ剛性が、より小さいものが好まれる。曲げ剛性は、カトーテック(株)製KES―FB2純曲げ試験機などの測定装置で測定されるのが一般的である。本発明に適当な曲げ剛性の程度としては、東邦テナックス(株)製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)HTS40−3Kよりも小さいほうが好ましい。具体的には、導電性繊維の曲げ剛性が0.05×10−4N・m/m以下であることが好ましく、0.02×10−4N・m/m以下であることがより好ましく、0.01×10−4N・m/m以下であることがさらに好ましい。
ポリ乳酸の光学純度は99%以上であることが好ましく、99.3%以上であることがより好ましく、99.5%以上であることがさらに好ましい。光学純度が99%未満であると著しく圧電率が低下する場合があり、圧電性繊維Aの形状変化よって十分な電気信号を得ることが難しくなる場合がある。特に、圧電性繊維Aは、主成分としてポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸を含み、これらの光学純度が99%以上であることが好ましい。
ポリ乳酸を主成分とする圧電性繊維Aは、製造時に延伸されて、その繊維軸方向に一軸配向している。さらに、圧電性繊維Aは、その繊維軸方向に一軸配向しているだけでなく、ポリ乳酸の結晶を含むものであることが好ましく、一軸配向したポリ乳酸の結晶を含むものであることがより好ましい。なぜなら、ポリ乳酸はその結晶性が高いことおよび一軸配向していることでより大きな圧電性を示し、d14の絶対値が高くなるためである。
結晶性および一軸配向性はホモPLA結晶化度Xhomo(%)および結晶配向度Ao(%)で求められる。本発明の圧電性繊維Aとしては、ホモPLA結晶化度Xhomo(%)および結晶配向度Ao(%)が下記式(1)を満たすことが好ましい。
homo×Ao×Ao÷10≧0.26 (1)
上記式(1)を満たさない場合、結晶性および/または一軸配向性が十分でなく、動作に対する電気信号の出力値が低下したり、特定方向の動作に対する信号の感度が低下したりするおそれがある。上記式(1)の左辺の値は、0.28以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましい。ここで、各々の値は下記に従って求める。
ホモポリ乳酸結晶化度Xhomo
ホモポリ乳酸結晶化度Xhomoについては、広角X線回折分析(WAXD)による結晶構造解析から求める。広角X線回折分析(WAXD)では、リガク製ultrax18型X線回折装置を用いて透過法により、以下条件でサンプルのX線回折図形をイメージングプレートに記録する。
X線源: Cu−Kα線(コンフォーカル ミラー)
出力: 45kV×60mA
スリット: 1st:1mmΦ,2nd:0.8mmΦ
カメラ長: 120mm
積算時間: 10分
サンプル: 35mgのポリ乳酸繊維を引き揃え3cmの繊維束とする。
得られるX線回折図形において方位角にわたって全散乱強度Itotalを求め、ここで2θ=16.5°,18.5°,24.3°付近に現れるホモポリ乳酸結晶に由来する各回折ピークの積分強度の総和ΣIHMiを求める。これらの値から下式(2)に従い、ホモポリ乳酸結晶化度Xhomoを求める。
ホモポリ乳酸結晶化度Xhomo(%)=ΣIHMi/Itotal×100 (2)
なお、ΣIHMiは、全散乱強度においてバックグランドや非晶による散漫散乱を差し引くことによって算出する。
(2)結晶配向度Ao:
結晶配向度Aoについては、上記の広角X線回折分析(WAXD)により得られるX線回折図形において、動径方向の2θ=16.5°付近に現れるホモポリ乳酸結晶に由来する回折ピークについて、方位角(°)に対する強度分布をとり、得られた分布プロファイルの半値幅の総計ΣWi(°)から次式(3)より算出する。
結晶配向度Ao(%)=(360−ΣW)÷360×100 (3)
なお、ポリ乳酸は加水分解が比較的速いポリエステルであるから、耐湿熱性が問題となる場合においては、公知の、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物などの加水分解防止剤を添加してもよい。また、必要に応じてリン酸系化合物などの酸化防止剤、可塑剤、光劣化防止剤などを添加して物性改良してもよい。
圧電性繊維Aはフィラメントを複数本束ねたマルチフィラメントであっても、また、フィラメント一本からなるモノフィラメントであってもよい。モノフィラメント(紡績糸を含む)の場合、その単糸径は1μm〜5mmであり、好ましくは5μm〜2mm、さらに好ましくは10μm〜1mmである。マルチフィラメントの場合、その単糸径は0.1μm〜5mmであり、好ましくは2μm〜100μm、さらに好ましくは3μm〜50μmである。マルチフィラメントのフィラメント数としては、1本〜100000本が好ましく、より好ましくは50本〜50000本、さらに好ましくは100本〜20000本である。ただし、圧電性繊維Aの繊度や本数については、組紐を作製する際のキャリア1つあたりの繊度、本数であり、複数本の単糸(モノフィラメント)で形成されるマルチフィラメントも一本の圧電性繊維Aと数えるものとする。ここで、キャリア1つの中に、圧電性繊維以外の繊維を用いた場合であっても、それを含めた全体の量とする。
このような圧電性高分子を圧電性繊維Aとするためには、高分子から繊維化するための公知の手法を、本発明の効果を奏する限りいずれも採用することができる。例えば、圧電性高分子を押し出し成型して繊維化する手法、圧電性高分子を溶融紡糸して繊維化する手法、圧電性高分子を乾式あるいは湿式紡糸により繊維化する手法、圧電性高分子を静電紡糸により繊維化する手法、フィルムを形成した後に細くカットする手法、などを採用することができる。これらの紡糸条件は、採用する圧電性高分子に応じて公知の手法を適用すればよく、通常は工業的に生産の容易な溶融紡糸法を採用すればよい。さらに、繊維を形成後には形成された繊維を延伸する。それにより一軸延伸配向しかつ結晶を含む大きな圧電性を示す圧電性繊維Aが形成される。
また、圧電性繊維Aは、上記のように作製されたものを組紐とする前に、染色、撚糸、合糸、熱処理などの処理をすることができる。
さらに、圧電性繊維Aは、組紐を形成する際に繊維同士が擦れて断糸したり、毛羽が出たりする場合があるため、その強度と耐摩耗性は高い方が好ましく、強度は1.5cN/dtex以上であることが好ましく、2.0cN/dtex以上であることがより好ましく、2.5cN/dtex以上であることがさらに好ましく、3.0cN/dtex以上であることが最も好ましい。耐摩耗性は、JIS L1095 9.10.2 B法などで評価することができ、摩擦回数は100回以上が好ましく、1000回以上であることがより好ましく、5000回以上であることがさらに好ましく、10000回以上であることが最も好ましい。耐摩耗性を向上させるための方法は特に限定されるものではなく、公知のあらゆる方法を用いることができ、例えば、結晶化度を向上させたり、微粒子を添加したり、表面加工したりすることができる。また、組紐に加工する際に、繊維に潤滑剤を塗布して摩擦を低減させることもできる。
また、圧電性繊維の収縮率は、前述した導電性繊維の収縮率との差が小さいことが好ましい。収縮率差が大きいと、組紐作製後や布帛作製後の後処理工程や実使用時に熱がかかった時や経時変化により組紐が曲がったり、布帛の平坦性が悪くなったり、圧電信号が弱くなってしまう場合がある。収縮率を後述の沸水収縮率で定量化した場合、圧電性繊維の沸水収縮率S(p)および導電性繊維の沸水収縮率S(c)が下記式(4)を満たすことが好適である。
|S(p)−S(c)|≦10 (4)
上記式(4)の左辺は5以下であることがより好ましく、3以下であればさらに好ましい。
また、圧電性繊維の収縮率は、導電性繊維以外の繊維、例えば絶縁性繊維の収縮率との差も小さいことが好ましい。収縮率差が大きいと、組紐作製後や布帛作製後の後処理工程や実使用時に熱がかかった時や経時変化により組紐が曲がったり、布帛の平坦性が悪くなったり、圧電信号が弱くなってしまう場合がある。収縮率を沸水収縮率で定量化した場合、圧電性繊維の沸水収縮率S(p)および絶縁性繊維の沸水収縮率S(i)が下記式(5)を満たすことが好適である。
|S(p)−S(i)|≦10 (5)
上記式(5)の左辺は5以下であることがより好ましく、3以下であればさらに好ましい。
また、圧電性繊維の収縮率は小さい方が好ましい。例えば収縮率を沸水収縮率で定量化した場合、圧電性繊維の収縮率は15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、最も好ましくは3%以下である。収縮率を下げる手段としては、公知のあらゆる方法を適用することができ、例えば、熱処理により非晶部の配向緩和や結晶化度を上げることにより収縮率を低減することができ、熱処理を実施するタイミングは特に限定されず、延伸後、撚糸後、組紐化後、布帛化後などが挙げられる。なお、上述の沸水収縮率は以下の方法で測定するものとする。枠周1.125mの検尺機で捲数20回のカセを作り、0.022cN/dtexの荷重を掛けて、スケール板に吊るして初期のカセ長L0を測定した。その後、このカセを100℃の沸騰水浴中で30分間処理後、放冷し再び上記荷重を掛けてスケール板に吊るし収縮後のカセ長長Lを測定した。測定されたL0およびLを用いて下記式(6)により沸水収縮率を計算する。
沸水収縮率=(L0−L)/L0×100(%) (6)
(被覆)
導電性繊維B、すなわち芯部13は、圧電性繊維A、すなわち組紐状の鞘部12で表面が被覆されている。導電性繊維Bを被覆する鞘部12の厚みは1μm〜10mmであることが好ましく、5μm〜5mmであることがより好ましく、10μm〜3mmであることがさらに好ましい、20μm〜1mmであることが最も好ましい。薄すぎると強度の点で問題となる場合があり、また、厚すぎると組紐状圧電素子11が硬くなり変形し難くなる場合がある。なお、ここで言う鞘部12とは芯部13に隣接する層のことを指す。
組紐状圧電素子11において、鞘部12の圧電性繊維Aの総繊度は、芯部13の導電性繊維Bの総繊度の1/2倍以上、20倍以下であることが好ましく、1倍以上、15倍以下であることがより好ましく、2倍以上、10倍以下であることがさらに好ましい。圧電性繊維Aの総繊度が導電性繊維Bの総繊度に対して小さ過ぎると、導電性繊維Bを囲む圧電性繊維Aが少な過ぎて導電性繊維Bが十分な電気信号を出力できず、さらに導電性繊維Bが近接する他の導電性繊維に接触するおそれがある。圧電性繊維Aの総繊度が導電性繊維Bの総繊度に対して大き過ぎると、導電性繊維Bを囲む圧電性繊維Aが多過ぎて組紐状圧電素子11が硬くなり変形し難くなる。すなわち、いずれの場合にも組紐状圧電素子11がセンサーとして十分に機能しなくなる。
ここでいう総繊度とは、鞘部12を構成する圧電性繊維A全ての繊度の和であり、例えば、一般的な8打組紐の場合には、8本の繊維の繊度の総和となる。
また、組紐状圧電素子11において、鞘部12の圧電性繊維Aの一本あたりの繊度は、導電性繊維Bの総繊度の1/20倍以上、2倍以下であることが好ましく、1/15倍以上、1.5倍以下であることがより好ましく、1/10倍以上、1倍以下であることがさらに好ましい。圧電性繊維A一本あたりの繊度が導電性繊維Bの総繊度に対して小さ過ぎると、圧電性繊維Aが少な過ぎて導電性繊維Bが十分な電気信号を出力できず、さらに圧電性繊維Aが切断するおそれがある。圧電性繊維A一本あたりの繊度が導電性繊維Bの総繊度に対して大き過ぎると、圧電性繊維Aが太過ぎて組紐状圧電素子11が硬くなり変形し難くなる。すなわち、いずれの場合にも組紐状圧電素子11がセンサーとして十分に機能しなくなる。
なお、導電性繊維Bに金属繊維を用いた場合や、金属繊維を導電性繊維Aあるいは圧電性繊維Bに混繊した場合は、繊度の比率は上記の限りではない。本発明において、上記比率は、接触面積や被覆率、すなわち、面積および体積の観点で重要であるからである。例えば、それぞれの繊維の比重が2を超えるような場合には、繊維の平均断面積の比率が上記繊度の比率であることが好ましい。
圧電性繊維Aと導電性繊維Bとはできるだけ密着していることが好ましいが、密着性を改良するために、導電性繊維Bと圧電性繊維Aとの間にアンカー層や接着層などを設けてもよい。
被覆の方法は導電性繊維Bを芯糸として、その周りに圧電性繊維Aを組紐状に巻きつける方法が取られる。一方、圧電性繊維Aの組紐の形状は、印加された荷重で生じる応力に対して電気信号を出力することが出来れば特に限定されるものではないが、芯部13を有する8打組紐や16打組紐が好ましい。
導電性繊維Bと圧電性繊維Aの形状としては特に限定されるものではないが、できるだけ同心円状に近いことが、好ましい。なお、導電性繊維Bとしてマルチフィラメントを用いる場合、圧電性繊維Aは、導電性繊維Bのマルチフィラメントの表面(繊維周面)の少なくとも一部が接触しているように被覆していればよく、マルチフィラメントを構成するすべてのフィラメント表面(繊維周面)に圧電性繊維Aが被覆していてもよいし、被覆していなくともよい。導電性繊維Bのマルチフィラメントを構成する内部の各フィラメントへの圧電性繊維Aの被覆状態は、圧電性素子としての性能、取扱い性等を考慮して、適宜設定すればよい。
本発明の組紐状圧電素子11は、その表面に電極を存在させる必要が無いため、組紐状圧電素子11自体をさらに被覆する必要がなく、また、誤動作しにくいという利点がある。
(製造方法)
本発明の組紐状圧電素子11は少なくとも1本の導電性繊維Bの表面を組紐状の圧電性繊維Aで被覆しているが、その製造方法としては例えば以下の方法が挙げられる。すなわち、導電性繊維Bと圧電性繊維Aを別々の工程で作製し、導電性繊維Bに圧電性繊維Aを組紐状に巻きつけて被覆する方法である。この場合には、できるだけ同心円状に近くなるように被覆することが好ましい。
この場合、圧電性繊維Aを形成する圧電性高分子としてポリ乳酸を用いる場合の好ましい紡糸、延伸条件として、溶融紡糸温度は150℃〜250℃が好ましく、延伸温度は40℃〜150℃が好ましく、延伸倍率は1.1倍から5.0倍が好ましく、結晶化温度は80℃〜170℃が好ましい。
導電性繊維Bに巻きつける圧電性繊維Aとしては、複数のフィラメントを束ねたマルチフィラメントを用いてもよく、また、モノフィラメント(紡績糸を含む)を用いても良い。また、圧電性繊維Aを巻きつけられる導電性繊維Bとしては、複数のフィラメントを束ねたマルチフィラメントを用いてもよく、また、モノフィラメント(紡績糸を含む)を用いても良い。また、導電性繊維Bは撚糸加工していてもよい。
被覆の好ましい形態としては、導電性繊維Bを芯糸とし、その周囲に圧電性繊維Aを組紐状に製紐して、丸打組物(Tubular Braid)を作製することで被覆することができる。より具体的には芯部13を有する8打組紐や16打組紐が挙げられる。この際、圧電性繊維Aには撚糸加工された繊維が用いることが好ましいが、すべての圧電性繊維が撚糸加工されていてもよいし、一部が撚糸加工されていてもよい。また、圧電性繊維Aの撚糸方向は、用いる圧電性繊維A全てが同じ方向である必要はない。例えば、製紐時に時計回り方向に回る繊維に、S撚糸加工したものを、反時計方向に回る繊維にZ撚糸加工したものを用いることができる。また、例えば8打組紐の場合、8本すべてが圧電性繊維である必要はなく、目的とする信号強度が得られる範囲であれば別の繊維を用いることができる。もちろん、芯部の導電繊維、シールド層となる導電繊維に撚糸加工されたものを用いてもよい。ただし、例えば、圧電性繊維Aを編組チューブのような形態とし、導電性繊維Bを芯として当該編組チューブに挿入することで被覆してもよい。
以上のような製造方法により、導電性繊維Bの表面を組紐状の圧電性繊維Aで被覆した組紐状圧電素子11を得ることができる。
本発明の組紐状圧電素子11は、表面に電気信号を検出するための電極の形成を必要としないため、比較的簡単に製造することができる。
(保護層)
本発明の組紐状圧電素子11の最表面には保護層を設けてもよい。この保護層は絶縁性であることが好ましく、フレキシブル性などの観点から高分子からなるものがより好ましい。保護層に絶縁性を持たせる場合には、もちろん、この場合には保護層ごと変形させたり、保護層上を擦ったりすることになるが、これらの外力が圧電性繊維Aまで到達し、その分極を誘起できるものであれば特に限定はない。保護層としては、高分子などのコーティングによって形成されるものに限定されず、フィルム、布帛、繊維などを巻付けてもよく、あるいは、それらが組み合わされたものであってもよい。
保護層の厚みとしては出来るだけ薄い方が、せん断応力を圧電性繊維Aに伝えやすいが、薄すぎると保護層自体が破壊される等の問題が発生しやすくなるため、好ましくは10nm〜200μm、より好ましくは50nm〜50μm、さらに好ましくは70nm〜30μm、最も好ましくは100nm〜10μmである。この保護層により圧電素子の形状を形成することもできる。
また、ノイズ低減を目的として電磁波シールド層を組紐構造に取り入れることも可能である。電磁波シールド層は特に限定されるものではないが、導電性の物質をコーティングしてもよいし、導電性を有するフィルム、布帛、繊維などを巻付けてもよい。電磁波シールド層の体積抵抗率としては10−1Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは10−2Ω・cm以下、さらに好ましくは10−3Ω・cm以下である。ただし、電磁波シールド層の効果が得られるのであれば抵抗率はこの限りではない。この電磁波シールド層は、鞘の圧電性繊維Aの表面に設けてもよく、前述の保護層の外側に設けてもよい。もちろん、電磁波シールド層と保護層が複数層積層されていてもよく、その順番も目的に応じて適宜決められる。
さらには、圧電性繊維からなる層を複数層設けたり、信号を取り出すための導電性繊維からなる層を複数層設けたりすることもできる。もちろん、これらの保護層、電磁波シールド層、圧電性繊維からなる層、導電性繊維からなる層は、その目的に応じて、その順番および層数は適宜決められる。なお、巻付ける方法としては、鞘部12のさらに外層に組紐構造を形成したり、カバーリングしたりする方法が挙げられる。
上記のように圧電性構造体の中心軸側および外側に導電体を配置した場合は、中心軸側の導電体と外側の導電体とを2極の電極として圧電性高分子(誘電体)を挟んだコンデンサ状の圧電素子とみなすことができる。変形により圧電性構造体に発生する分極に誘起される電気信号を効果的に取り出すため、これらの電極間の絶縁抵抗の値としては、3Vの直流電圧で測定したとき、1MΩ以上であることが好ましく、10MΩ以上であることがより好ましく、100MΩ以上であることがさらに好ましい。また、これらの電極間に1MHzの交流電圧を与えた時の応答を解析して得られる、等価直列抵抗の値Rsおよび等価直列容量Csの値についても、変形により圧電性構造体に発生する分極に誘起される電気信号を効果的に取り出し、応答性を良くするため、特定の値の範囲内であることが好ましい。即ち、Rsの値は1μΩ以上100kΩ以下が好ましく、1mΩ以上10kΩ以下がより好ましく、1mΩ以上1kΩ以下であることがさらに好ましく、Csの値を圧電性構造体の中心軸方向の長さ(cm)で割った値として、0.1pF以上1000pF以下が好ましく、0.2pF以上100pF以下がより好ましく、0.4pF以上10pF以下がさらに好ましい。
上記の通り、圧電性構造体と電極からなる素子が好ましい状態で動作可能な場合、これらの電極間に1MHzの交流電圧を与えた時の応答を解析して得られる、等価直列抵抗の値Rsおよび等価直列容量Csの値は特定の範囲内の値を取るので、これらの値を圧電性構造体の検査に用いることも好ましい。また、交流電圧による解析で得られるRsおよびCsの値のみならず、その他の電気的刺激に対する過渡応答を解析することで圧電性構造体の検査を行うこともできる。
(作用)
本発明の組紐状圧電素子11は、特に、鞘部12から形成される円筒形の圧電性構造体の中心軸、即ち導電性繊維Bを軸としたねじり変形(応力)を与えた場合に大きな電気信号を効率的に出力することができる。一方、伸縮変形や曲げ、擦り変形に対しては大きな電気信号を出力しない。
ここで、組紐状圧電素子11に与えるねじり変形としては、素子中の繊維が塑性変形を開始する変形量に満たない範囲で与えられることが好ましい。その変形量は使用する繊維の物性による。ただし、繰り返しの仕様を想定しない用途ではこの限りではない。
(布帛状圧電素子)
図5は実施形態に係る組紐状圧電素子を用いた布帛状圧電素子の構成例を示す模式図である。
布帛状圧電素子15は、少なくとも1本の組紐状圧電素子11を含む布帛16を備えている。布帛16は、布帛を構成する繊維(組紐を含む)の少なくとも1本が組紐状圧電素子11であり、組紐状圧電素子11が圧電素子としての機能を発揮可能である限り何らの限定は無く、どのような織編物であってもよい。布状にするにあたっては、本発明の目的を達成する限り、他の繊維(組紐を含む)と組み合わせて、交織、交編等を行ってもよい。もちろん、組紐状圧電素子11を、布帛を構成する繊維(例えば、経糸や緯糸)の一部として用いてもよいし、組紐状圧電素子11を布帛に刺繍してもよいし、接着してもよい。図5に示す例では、布帛状圧電素子15は、経糸として、少なくとも1本の組紐状圧電素子11および絶縁性繊維17を配し、緯糸として導電性繊維18および絶縁性繊維17を交互に配した平織物である。導電性繊維18は導電性繊維Bと同一種であっても異種の導電性繊維であってもよく、また絶縁性繊維17については後述される。なお、絶縁性繊維17及び/又は導電性繊維18の全部又は一部が組紐形態であってもよい。
この場合、布帛状圧電素子15が曲げられるなどして変形したとき、その変形に伴い組紐状圧電素子11も変形するので、組紐状圧電素子11から出力される電気信号により、布帛状圧電素子15の変形を検出できる。そして、布帛状圧電素子15は、布帛(織編物)として用いることができるので、例えば衣類形状のウェアラブルセンサーに適用することができる。
また、図5に示す布帛状圧電素子15では、組紐状圧電素子11に導電性繊維18が交差して接触している。したがって、導電性繊維18は、組紐状圧電素子11の少なくとも一部と交差して接触し、それを覆っており、外部から組紐状圧電素子11へ向かおうとする電磁波の少なくとも一部を遮っている、と見ることができる。このような導電性繊維18は、接地(アース)されることにより、組紐状圧電素子11への電磁波の影響を軽減する機能を有している。すなわち導電性繊維18は組紐状圧電素子11の電磁波シールドとして機能することができる。それにより、例えば布帛状圧電素子15の上下に電磁波シールド用の導電性の布帛を重ねなくても、布帛状圧電素子15のS/N比を著しく向上させることができる。この場合、電磁波シールドの観点から組紐状圧電素子11と交差する緯糸(図5の場合)における導電性繊維18の割合が高いほど好ましい。具体的には、布帛16を形成する繊維であり且つ組紐状圧電素子11と交差する繊維のうちの30%以上が導電性繊維であることが好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上が更に好ましい。このように布帛状圧電素子15において、布帛を構成する繊維の少なくとも一部として導電性繊維を入れることで、電磁波シールド付の布帛状圧電素子15とすることができる。
織物の織組織としては、平織、綾織、朱子織等の三原組織、変化組織、たて二重織、よこ二重織等の片二重組織、たてビロードなどが例示される。編物の種類は、丸編物(緯編物)であってもよいし経編物であってもよい。丸編物(緯編物)の組織としては、平編、ゴム編、両面編、パール編、タック編、浮き編、片畔編、レース編、添え毛編等が好ましく例示される。経編組織としては、シングルデンビー編、シングルアトラス編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、裏毛編、ジャガード編等が例示される。層数も単層でもよいし、2層以上の多層でもよい。更には、カットパイルおよび/またはループパイルからなる立毛部と地組織部とで構成される立毛織物、立毛編み物であってもよい。
(複数の圧電素子)
また、布帛状圧電素子15では、組紐状圧電素子11を複数並べて用いることも可能である。並べ方としては、例えば経糸または緯糸としてすべてに組紐状圧電素子11を用いてもよいし、数本ごとや一部分に組紐状圧電素子11を用いてもよい。また、ある部分では経糸として組紐状圧電素子11を用い、他の部分では緯糸として組紐状圧電素子11を用いてもよい。
このように組紐状圧電素子11を複数本並べて布帛状圧電素子15を形成するときには、組紐状圧電素子11は表面に電極を有さないため、その並べ方、編み方が広範に選択することができるという利点がある。
また、組紐状圧電素子11を複数並べて用いる場合、導電性繊維B間の距離が短いため電気信号の取り出しにおいて効率的である。
(絶縁性繊維)
布帛状圧電素子15では、組紐状圧電素子11(及び導電性繊維18)以外の部分には、絶縁性繊維を使用することができる。この際、絶縁性繊維は布帛状圧電素子15の柔軟性を向上する目的で伸縮性のある素材、形状を有する繊維を用いることができる。
このように組紐状圧電素子11(及び導電性繊維18)以外にこのように絶縁性繊維を配置することで、布帛状圧電素子15の操作性(例示:ウェアラブルセンサーとしての動き易さ)を向上させることが可能である。
このような絶縁性繊維としては、体積抵抗率が10Ω・cm以上であれば用いることができ、より好ましくは10Ω・cm以上、さらに好ましくは1010Ω・cm以上がよい。
絶縁性繊維として例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、ポリエーテル繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維他、綿、麻、絹等の天然繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維を用いることができる。これらに限定されるものではなく、公知の絶縁性繊維を任意に用いることができる。さらに、これらの絶縁性繊維を組み合わせて用いてもよく、絶縁性を有しない繊維と組み合わせ、全体として絶縁性を有する繊維としてもよい。
また、公知のあらゆる断面形状の繊維も用いることができる。
(圧電素子の適用技術)
本発明の組紐状圧電素子11や布帛状圧電素子15のような圧電素子はいずれの様態であっても、組紐状圧電素子の中心軸を軸としたねじり変形(応力)を電気信号として出力することができるので、その圧電素子に印加された応力の大きさおよび/又は印加された位置を検出するセンサー(デバイス)として利用することができる。布帛状圧電素子中の組紐状圧電素子の配置方法によっては、布帛状圧電素子が曲げ、伸縮、押圧などの変形や応力を受けた時に組紐状圧電素子がねじり変形するようにできるので、布帛状圧電素子の曲げ、伸縮、押圧などの変形や応力により電気信号を出力することもできる。また、この電気信号を他のデバイスを動かすための電力源あるいは蓄電するなど、発電素子として用いることもできる。具体的には、人、動物、ロボット、機械など自発的に動くものの可動部に用いることによる発電、靴底、敷物、外部から圧力を受ける構造物の表面での発電、流体中での形状変化による発電、などが挙げられる。また、流体中での形状変化により電気信号を発するために、流体中の帯電性物質を吸着させたり付着を抑制させたりすることも可能である。
図6は、本発明の圧電素子111を備えるデバイス110を示すブロック図である。デバイス110は、圧電素子111(例示:組紐状圧電素子11、布帛状圧電素子15)と、任意選択で、印加された圧力に応じて圧電素子111の出力端子から出力される電気信号を増幅する増幅手段112、当該任意選択の増幅手段112で増幅された電気信号を出力する出力手段113、及び出力手段113から出力された電気信号を外部機器(図示せず)へ送信する送信手段114を有する電気回路を備える。このデバイス110を用いれば、圧電素子111の表面への接触、圧力、形状変化により出力された電気信号に基づき、外部機器(図示せず)における演算処理にて、圧電素子に印加された組紐状圧電素子の中心軸を軸としたねじり変形(応力)の大きさおよび/又は印加された位置を検出することができる。
任意選択の増幅手段112、出力手段113、及び送信手段114は、例えばソフトウェアプログラム形式で構築されてもよく、あるいは各種電子回路とソフトウェアプログラムとの組み合わせで構築されてもよい。例えば、演算処理装置(図示せず)に当該ソフトウェアプログラムがインストールされ、演算処理装置が当該ソフトウェアプログラムに従って動作することで、各部の機能を実現する。またあるいは、任意選択の増幅手段112、出力手段113、及び送信手段114を、これら各部の機能を実現するソフトウェアプログラムを書き込んだ半導体集積回路として実現してもよい。なお、送信手段114による送信方式を無線によるもの有線によるものにするかは、構成するセンサーに応じて適宜決定すればよい。あるいは、デバイス110内に、出力手段113から出力された電気信号に基づき圧電素子111に印加された応力の大きさおよび/又は印加された位置を演算する演算手段(図示せず)を設けてもよい。また、増幅手段だけではなく、ノイズを除去する手段や他の信号と組み合わせて処理する手段などの公知の信号処理手段を組み合わせて用いてもよい。これらの手段の接続の順序は目的に応じて適宜変えることができる。もちろん、圧電素子111から出力される電気信号をそのまま外部機器へ送信した後で信号処理してもよい。
図7および図8は、実施の形態に係る組紐布帛状圧電素子を備えるデバイスの構成例を示す模式図である。図7および図8の増幅手段112は、図6を参照して説明したものに相当するが、図6の出力手段113および送信手段114については図7および図8では図示を省略している。布帛状圧電素子15を備えるデバイスを構成する場合、増幅手段112の入力端子に組紐状圧電素子11の芯部13(導電性繊維Bで形成される)の出力端子からの引出し線を接続し、接地(アース)端子には、増幅手段112の入力端子に接続した組紐状圧電素子11とは別の組紐状圧電素子または導電性繊維18を接続する。例えば、図7に示すように、布帛状圧電素子15において、組紐状圧電素子11の芯部13からの引出し線を増幅手段112の入力端子に接続し、組紐状圧電素子11に交差して接触した導電性繊維18を接地(アース)する。また例えば、図8に示すように、布帛状圧電素子15において組紐状圧電素子11を複数並べている場合、1本の組紐状圧電素子11の芯部13からの引出し線を増幅手段112の入力端子に接続し、当該組紐状圧電素子11に並んだ別の組紐状圧電素子11の芯部13からの引出し線を、接地(アース)する。
組紐状圧電素子11の中心軸を軸としたねじり変形が生じると、圧電性繊維Aは変形して分極が発生する。圧電性繊維Aの分極により発生した正負各電荷の配列につられて、組紐状圧電素子11の芯部13を形成する導電性繊維Bの出力端子からの引出し線上において、電荷の移動が発生する。導電性繊維Bからの引出し線上における電荷の移動は微小な電気信号(すなわち電流または電位差)として現れる。つまり、組紐状圧電素子11の中心軸(圧電性高分子が配置された円筒形の中心軸)を軸としたねじり変形が与えられた時に発生する電荷に応じて、出力端子から電気信号が出力される。増幅手段112やこの電気信号を増幅し、出力手段113は、増幅手段112で増幅された電気信号を出力し、送信手段114は、出力手段113から出力された電気信号を外部機器(図示せず)へ送信する。
本発明のデバイス110は柔軟性があり、紐状および布帛状いずれの形態でも使用できるため、非常に広範な用途が考えられる。本発明のデバイス110の具体的な例としては、帽子や手袋、靴下などを含む着衣、サポーター、ハンカチ状などの形状をした、タッチパネル、人や動物の表面感圧センサー、例えば、手袋やバンド、サポーターなどの形状をした関節部の曲げ、捩じり、伸縮を感知するセンサーが挙げられる。例えば人に用いる場合には、接触や動きを検出し、医療用途などの関節などの動きの情報収集、アミューズメント用途、失われた組織やロボットを動かすためのインターフェースとして用いることができる。他には、動物や人型を模したぬいぐるみやロボットの表面感圧センサー、関節部の曲げ、捩じり、伸縮を感知するセンサーとして用いることができる。他には、シーツや枕などの寝具、靴底、手袋、椅子、敷物、袋、旗などの表面感圧センサーや形状変化センサーとして用いることができる。
さらに、本発明のデバイス110は組紐状あるいは布帛状であり、柔軟性があるので、あらゆる構造物の全体あるいは一部の表面に貼付あるいは被覆することにより表面感圧センサー、形状変化センサーとして用いることができる。
さらに、本発明のデバイス110は、組紐状圧電素子11の表面を擦るだけで十分な電気信号を発生することができるので、タッチセンサーのようなタッチ式入力装置やポインティングデバイスなどに用いることができる。また、組紐状圧電素子11で被計測物の表面を擦ることによって被計測物の高さ方向の位置情報や形状情報を得ることができるので、表面形状計測などに用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に記載するが本発明はこれによって何らの限定を受けるものではない。
圧電素子用の布帛は以下の方法で製造した。
(ポリ乳酸の製造)
実施例において用いたポリ乳酸は以下の方法で製造した。
L−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100質量部に対し、オクチル酸スズを0.005質量部加え、窒素雰囲気下、撹拌翼のついた反応機にて180℃で2時間反応させ、オクチル酸スズに対し1.2倍当量のリン酸を添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを減圧除去し、チップ化し、ポリ−L−乳酸(PLLA1)を得た。得られたPLLA1の質量平均分子量は15.2万、ガラス転移点(Tg)は55℃、融点は175℃であった。
(圧電性繊維)
240℃にて溶融させたPLLA1を24ホールのキャップから20g/minで吐出し、887m/minにて引き取った。この未延伸マルチフィラメント糸を80℃、2.3倍に延伸し、100℃で熱固定処理することにより84dTex/24フィラメントのマルチフィラメント一軸延伸糸PF1を得た。また、240℃にて溶融させたPLLA1を12ホールのキャップから8g/minで吐出し、1050m/minにて引き取った。この未延伸マルチフィラメント糸を80℃、2.3倍に延伸し、150℃で熱固定処理することにより33dtex/12フィラメントのマルチフィラメント一軸延伸糸PF2を得た。これらの圧電性繊維PF1およびPF2を圧電性高分子として用いた。PF1およびPF2のポリ−L−乳酸結晶化度、ポリ−L−乳酸結晶配向度および光学純度は後述の方法で測定し、表1の通りであった。
(導電性繊維)
ミツフジ(株)製の銀メッキナイロン、品名『AGposs』100d34f(CF1)を導電性繊維Bとして使用した。CF1の抵抗率は250Ω/mであった。
また、ミツフジ(株)製の銀メッキナイロン、品名『AGposs』30d10f(CF2)を導電性繊維Bおよび導電性繊維5として使用した。CF2の導電性は950Ω/mであった。
(絶縁性繊維)
ポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸後に延伸することで製造した84dTex/24フィラメントの延伸糸IF1、および33dTex/12フィラメントの延伸糸IF2をそれぞれ絶縁性繊維とした。
(1)ポリ−L−乳酸結晶化度Xhomo
ポリ−L−乳酸結晶化度Xhomoについては、広角X線回折分析(WAXD)による結晶構造解析から求めた。広角X線回折分析(WAXD)では、リガク製ultrax18型X線回折装置を用いて透過法により、以下条件でサンプルのX線回折図形をイメージングプレートに記録した。
X線源: Cu−Kα線(コンフォーカル ミラー)
出力: 45kV×60mA
スリット: 1st:1mmΦ,2nd:0.8mmΦ
カメラ長: 120mm
積算時間: 10分
サンプル: 35mgのポリ乳酸繊維を引き揃え3cmの繊維束とする
得られたX線回折図形において方位角にわたって全散乱強度Itotalを求め、ここで2θ=16.5°,18.5°,24.3°付近に現れるポリ−L−乳酸結晶に由来する各回折ピークの積分強度の総和ΣIHMiを求めた。これらの値から下式(1)に従い、ポリ−L−乳酸結晶化度Xhomoを求めた。
[数1]
ポリ−L−乳酸結晶化度Xhomo(%)=ΣIHMi/Itotal×100 (1)
なお、ΣIHMiは、全散乱強度においてバックグランドや非晶による散漫散乱を差し引くことによって算出した。
(2)ポリ−L−乳酸結晶配向度A:
ポリ−L−乳酸結晶配向度Aについては、上記の広角X線回折分析(WAXD)により得られたX線回折図形において、動径方向の2θ=16.5°付近に現れるポリ−L−乳酸結晶に由来する回折ピークについて、方位角(°)に対する強度分布をとり、得られた分布プロファイルの半値幅の総計ΣW(°)から次式(2)より算出した。
[数2]
ポリ−L−乳酸結晶配向度A(%)=(360−ΣW)÷360×100 (2)
(3)ポリ乳酸の光学純度:
布帛を構成する1本(マルチフィラメントの場合は1束)のポリ乳酸繊維0.1gを採取し、5モル/リットル濃度の水酸化ナトリウム水溶液1.0mLとメタノール1.0mLを加え、65℃に設定した水浴振とう器にセットして、ポリ乳酸が均一溶液になるまで30分程度加水分解を行い、さらに加水分解が完了した溶液に0.25モル/リットルの硫酸を加えpH7まで中和し、その分解溶液を0.1mL採取して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)移動相溶液3mLにより希釈し、メンブレンフィルター(0.45μm)によりろ過した。この調整溶液のHPLC測定を行い、L−乳酸モノマーとD−乳酸モノマーの比率を定量した。1本のポリ乳酸繊維が0.1gに満たない場合は、採取可能な量に合わせ他の溶液の使用量を調整し、HPLC測定に供するサンプル溶液のポリ乳酸濃度が上記と同等から100分の1の範囲になるようにした。
<HPLC測定条件>
カラム:住化分析センター社製「スミキラル(登録商標)」OA−5000(4.6mmφ×150mm)、
移動相:1.0ミリモル/リットルの硫酸銅水溶液
移動相流量:1.0ミリリットル/分
検出器:UV検出器(波長254nm)
注入量:100マイクロリットル
L乳酸モノマーに由来するピーク面積をSLLAとし、D−乳酸モノマーに由来するピーク面積をSDLAとすると、SLLAおよびSDLAはL−乳酸モノマーのモル濃度MLLAおよびD−乳酸モノマーのモル濃度MDLAにそれぞれ比例するため、SLLAとSDLAのうち大きい方の値をSMLAとし、光学純度は下記式(3)で計算した。
[数3]
光学純度(%)=SMLA÷(SLLA+SDLA)×100 (3)
(4)中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θ
中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θは、下記式から計算した。
θ = arctan(2πRm/HP) (0°≦θ≦90°)
ただしRm=2(Ro−Ri)/3(Ro−Ri)、即ち断面積で加重平均した圧電性構造体の半径である。らせんピッチHP、圧電性構造体が占める部分の外側半径Roおよび内側半径Riは以下の通り測定した。
(4−1)圧電性構造体が組紐状圧電素子の場合は、(組紐状圧電素子の圧電性高分子以外による被覆がなされている場合は必要に応じて被覆を除去して側面から圧電性高分子が観察できる状態としてから)側面写真を撮影し、任意の5カ所で図3のように圧電性高分子のらせんピッチHP(μm)を測定し、平均値を取った。また、組紐状圧電素子に低粘性の瞬間接着剤「アロンアルファEXTRA2000」(東亞合成)を染み込ませて固化させた後、組紐の長軸に垂直な断面を切り出して断面写真を撮影し、1枚の断面写真について後述の通り圧電性構造体が占める部分の外側半径Ro(μm)および内側半径Ri(μm)を測定し、同様の測定を別の任意の断面5カ所について測定し、平均値を取った。圧電性高分子と絶縁性高分子とが同時に組まれている場合、例えば圧電性繊維と絶縁性繊維を合糸したものを用いている場合や、8打ち組紐の4本の繊維が圧電性高分子であり、残る4本の繊維が絶縁性高分子である場合は、様々な場所で断面を取った時、圧電性高分子が存在する領域と絶縁性高分子が存在する領域とが互いに入れ替わるため、圧電性高分子が存在する領域と絶縁性高分子が存在する領域とを合せて圧電性構造体が占める部分とみなす。ただし、絶縁性高分子が圧電性高分子と同時に組まれていない部分については、圧電性構造体の一部とはみなさない。
外側半径Roと内側半径Riについては、以下の通り測定した。図9Aの断面写真の通り、圧電性構造体が占める領域(以後PSAと記載する)と、PSAの中央部にありPSAではない領域(以後CAと記載する)を定義する。また図9Bに示したように、PSAの外側にあり、PSAに重ならない最小の真円の直径と、PSAの外側を通らない(CAは通ってもよい)最大の真円の直径との平均値をRoとする。さらに図9Cに示したように、CAの外側にあり、CAに重ならない最小の真円の直径と、CAの外側を通らない最大の真円の直径との平均値をRiとする。
(4−2)圧電性構造体がカバリング糸状圧電素子の場合は、圧電性高分子をカバリングする時の巻き速度がT回/m(カバリング糸の長さあたりの圧電性高分子の回転数)のとき、らせんピッチHP(μm)=1000000/Tとした。また、カバリング糸状圧電素子に低粘性の瞬間接着剤「アロンアルファEXTRA2000」(東亞合成)を染み込ませて固化させた後、組紐の長軸に垂直な断面を切り出して断面写真を撮影し、1枚の断面写真について組紐状圧電素子の場合と同様に圧電性構造体が占める部分の外側半径Ro(μm)および内側半径Ri(μm)を測定し、同様の測定を別の任意の断面5カ所について測定し、平均値を取った。圧電性高分子と絶縁性高分子とが同時にカバリングされている場合、例えば圧電性繊維と絶縁性繊維を合糸したものをカバリングしてある場合や、圧電性繊維と絶縁性繊維とが重ならないように同時にカバリングしてある場合は、様々な場所で断面を取った時、圧電性高分子が存在する領域と絶縁性高分子が存在する領域とが互いに入れ替わるため、圧電性高分子が存在する領域と絶縁性高分子が存在する領域とを合せて圧電性構造体が占める部分とみなす。ただし、絶縁性高分子が圧電性高分子と同時にカバリングされてない、即ちどの断面を取っても絶縁性高分子が常に圧電性高分子の内側または外側にある部分については、圧電性構造体の一部とはみなさない。
(5)電気信号測定
エレクトロメータ(Keysight社 B2987A)を、同軸ケーブル(芯:Hi極、シールド:Lo極)を介して圧電素子の導電体に接続した状態で、圧電素子に対し下記5−1〜5のいずれかの動作試験をしながら50m秒の間隔で電流値を計測した。
(5−1)引張試験
株式会社オリエンテック製万能試験機「テンシロンRTC−1225A」を用い、圧電素子の長尺方向に12cmの間隔を空けて圧電素子をチャックで掴み、素子が弛んだ状態を0.0Nとし、0.5Nの張力まで引っ張った状態で変位を0mmとし、100mm/minの動作速度で1.2mmまで引っ張った後、0mmまで−100mm/minの動作速度で戻す動作を10回繰り返した。
(5−2)ねじり試験
圧電素子を掴む2か所のチャックのうち、片方のチャックはねじり動作を行わず圧電素子の長軸方向に自由に動くようなレール上に設置されて圧電素子に0.5Nの張力が常にかかる状態とし、他方のチャックは圧電素子の長軸方向には動かずねじり動作を行うよう設計されたねじり試験装置を用い、圧電素子の長尺方向に72mmの間隔を空けて圧電素子をこれらのチャックで掴み、素子の中央からチャックを見て時計回りにねじるように(即ち圧電素子がZ撚りにねじれるように)100°/sの速度で0°から45°まで回転した後、−100/sの速度で45°から0°まで回転する往復ねじり動作を10回繰り返した。
(5−3)曲げ試験
上部と下部との2つのチャックを備え、下部のチャックは固定され、上部のチャックは下部のチャックの72mm上方に位置し、2つのチャックを結ぶ線分を直径とする仮想の円周上を上部のチャックが移動する試験装置を用い、圧電素子をチャックに把持して固定し、該円周上にて上部のチャックを12時の位置、下部のチャックを6時の位置としたとき、圧電素子を9時方向に凸に僅かに撓ませた状態とした後、上部のチャックを12時の位置から該円周上の1時、2時の位置を経由して3時の位置に一定速度で0.9秒かけて移動させた後、12時の位置まで0.9秒かけて移動させる往復曲げ動作を10回繰り返した。
(5−4)せん断試験
50番手の綿糸で織られた平織布を表面に貼り付けた2枚の剛直な金属板によって、圧電素子の中央部64mmの長さの部分を上下から水平に挟み(下部の金属板は台に固定されている)、上から3.2Nの垂直荷重をかけ、金属板表面の綿布と圧電素子との間が滑らないようにした状態のまま、上の金属板を0Nから1Nの荷重まで1秒かけて圧電素子の長尺方向に引っ張った後、引張荷重を0Nまで1秒かけて戻すせん断動作を10回繰り返した。
(5−5)押圧試験
株式会社オリエンテック製万能試験機「テンシロンRTC−1225A」を用い、水平で剛直な金属台上に静置した圧電素子の中央部64mmの長さの部分を、上部のクロスヘッドに設置された剛直な金属板により水平に圧電素子を挟み、圧電素子から上部の金属板への反力が0.01Nから20Nとなるまで0.6秒かけて上部のクロスヘッドを下げて押圧し、反力が0.01Nとなるまで0.6秒かけて除圧する動作を10回繰り返した。
(実施例1)
実施例1の試料として、図3に示すように、導電性繊維CF1を芯糸とし、8打ち丸組紐製紐機の8本のキャリアのうち、Z撚り方向に組まれる4本のキャリアおよびS撚り方向に組まれる4本のキャリア全てに上記の圧電性繊維PF1をセットして組むことで、芯糸の周りにZ撚り方向およびS撚り方向ともに圧電性繊維PF1がらせん状に巻かれた組紐状圧電素子1を作成した。組紐状圧電素子のRi、Ro、HPを測定し、計算された中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θの値、およびT1/T2の値を表2に示す。
組紐状圧電素子1を15cmの長さに切断し、芯の導電性繊維をHi極とし、周辺をシールドする金網をLo極としてエレクトロメータ(Keysight社 B2987A)に接続し、電流値をモニタした。引張試験、ねじり試験、曲げ試験、せん断試験および押圧試験時の電流値を表2に示す。
(実施例2)
組紐状圧電素子1を芯糸とし、製紐機の8本のキャリアのうち、Z撚り方向に組まれる4本のキャリアおよびS撚り方向に組まれる4本のキャリア全てに上記の導電性繊維CF2をセットして組むことで、組紐状圧電素子1の周りを導電性繊維で覆ったものを作製し、組紐状圧電素子2とした。組紐状圧電素子のRi、Ro、HPを測定し、計算された中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θの値、およびT1/T2の値を表2に示す。
組紐状圧電素子2を15cmの長さに切断し、芯の導電性繊維をHi極とし、鞘の導電性繊維をLo極としてエレクトロメータ(Keysight社 B2987A)に接続し、電流値をモニタした。引張試験時、ねじり試験、曲げ試験、せん断試験および押圧試験の電流値を表2に示す。
(実施例3)
PF1の代わりにPF2を使用し、巻付け速度を調整した以外は組紐状圧電素子1と同様にして組紐状圧電素子を作成し、この組紐状圧電素子1を芯糸とし、組紐状圧電素子2と同様に導電性繊維で覆ったものを作製し、組紐状圧電素子3とした。組紐状圧電素子3のRi、Ro、HPを測定し、計算された中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θの値、およびT1/T2の値を表2に示す。
組紐状圧電素子3を15cmの長さに切断し、芯の導電性繊維をHi極とし、鞘の導電性繊維をLo極としてエレクトロメータ(Keysight社 B2987A)に接続し、電流値をモニタした。引張試験時、ねじり試験、曲げ試験、せん断試験および押圧試験の電流値を表2に示す。
(実施例4)
CF1の代わりにCF2を使用し、巻付け速度を調整した以外は組紐状圧電素子1と同様にして組紐状圧電素子を作成し、この組紐状圧電素子1を芯糸とし、組紐状圧電素子2と同様に導電性繊維で覆ったものを作製し、組紐状圧電素子4とした。組紐状圧電素子4のRi、Ro、HPを測定し、計算された中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θの値、およびT1/T2の値を表2に示す。
組紐状圧電素子4を15cmの長さに切断し、芯の導電性繊維をHi極とし、鞘の導電性繊維をLo極としてエレクトロメータ(Keysight社 B2987A)に接続し、電流値をモニタした。引張試験時、ねじり試験、曲げ試験、せん断試験および押圧試験の電流値を表2に示す。
(実施例5)
導電性繊維CF1を芯糸とし、16打ち丸組紐製紐機の16本のキャリアのうち、Z撚り方向に組まれる8本のキャリアおよびS撚り方向に組まれる8本のキャリア全てに上記の圧電性繊維PF1をセットして組むことで、芯糸の周りにZ撚り方向およびS撚り方向ともに圧電性繊維PF1がらせん状に巻かれた組紐状圧電素子5を作成した。組紐状圧電素子5のRi、Roを測定し、HPは製造時の回転数(100回/m)から求め、計算された中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θの値、およびT1/T2の値を表2に示す。
組紐状圧電素子5を15cmの長さに切断し、芯の導電性繊維をHi極とし、周辺をシールドする鞘の導電性繊維をLo極としてエレクトロメータ(Keysight社 B2987A)に接続し、電流値をモニタした。引張試験、ねじり試験、曲げ試験、せん断試験および押圧試験時の電流値を表2に示す。
(実施例6)
CF1を芯糸とし、PF1を芯糸の周りにS撚り方向に3000回/mのカバリング回数で巻きつけ、その外側にさらにPF1をZ撚り方向に3000回/mのカバリング回数で巻きつけ、その外側にさらにCF2をS撚り方向に3000回/mのカバリング回数で巻きつけ、その外側にさらにCF2をZ撚り方向に3000回/mのカバリング回数で巻きつけ、芯糸の周りにZ撚り方向およびS撚り方向に圧電性繊維PF1がらせん状に巻かれ、さらに外側を導電性繊維で覆ったカバリング糸状圧電素子1を作成した。カバリング糸状圧電素子1のRi、Roを測定し、HPは製造時の回転数(3000回/m)から求め、計算された中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θの値、およびT1/T2の値を表2に示す。RiおよびRoは、断面においてS撚り方向およびZ撚り方向の圧電性繊維が存在する領域を合わせて圧電性構造体の占める領域として測定した。
カバリング糸状圧電素子1を15cmの長さに切断し、芯の導電性繊維をHi極とし、周辺をシールドする鞘の導電性繊維をLo極としてエレクトロメータ(Keysight社 B2987A)に接続し、電流値をモニタした。引張試験、ねじり試験、曲げ試験、せん断試験および押圧試験時の電流値を表2に示す。
(実施例7)
CF1を芯糸とし、PF1を芯糸の周りにS撚り方向に6000回/mのカバリング回数で巻きつけ、その外側にさらにPF1をZ撚り方向に6000回/mのカバリング回数で巻きつけ、その外側にさらにCF2をS撚り方向に3000回/mのカバリング回数で巻きつけ、その外側にさらにCF2をZ撚り方向に3000回/mのカバリング回数で巻きつけ、芯糸の周りにZ撚り方向およびS撚り方向に圧電性繊維PF1がらせん状に巻かれ、さらに外側を導電性繊維で覆ったカバリング糸状圧電素子2を作成した。カバリング糸状圧電素子2のRi、Roを測定し、HPは製造時の回転数(6000回/m)から求め、計算された中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θの値、およびT1/T2の値を表2に示す。RiおよびRoは、断面においてS撚り方向およびZ撚り方向の圧電性繊維が存在する領域を合わせて圧電性構造体の占める領域として測定した。
カバリング糸状圧電素子2を15cmの長さに切断し、芯の導電性繊維をHi極とし、周辺をシールドする鞘の導電性繊維をLo極としてエレクトロメータ(Keysight社 B2987A)に接続し、電流値をモニタした。引張試験、ねじり試験、曲げ試験、せん断試験および押圧試験時の電流値を表2に示す。
(比較例1)
PF1の代わりにIF1を使用した以外は組紐状圧電素子1と同様にして組紐状圧電素子を作成し、この組紐状素子を芯糸とし、組紐状圧電素子2と同様に導電性繊維で覆ったものを作製し、組紐状素子1とした。圧電性高分子を含まないため、θおよびT1/T2の値は測定できない。
組紐状素子1を15cmの長さに切断し、芯の導電性繊維をHi極とし、鞘の導電性繊維をLo極としてエレクトロメータ(Keysight社 B2987A)に接続し、電流値をモニタした。引張試験時、ねじり試験、曲げ試験、せん断試験および押圧試験の電流値を表2に示す。
(比較例2)
PF1の代わりにIF1を使用した以外はカバリング糸状圧電素子1と同様にしてカバリング糸状素子を作成し、カバリング糸状素子3とした。圧電性高分子を含まないため、θおよびT1/T2の値は測定できない。
カバリング糸状素子3を15cmの長さに切断し、芯の導電性繊維をHi極とし、鞘の導電性繊維をLo極としてエレクトロメータ(Keysight社 B2987A)に接続し、電流値をモニタした。引張試験時、ねじり試験、曲げ試験、せん断試験および押圧試験の電流値を表2に示す。
(比較例3、4)
PF1またはPF2の巻付け速度を変更した以外は組紐状圧電素子2および3と同様にして、2本の組紐状圧電素子を作成し、組紐状圧電素子6および7とした。組紐状圧電素子3および4のRi、Ro、HPを測定し、計算された中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θの値、およびT1/T2の値を表2に示す。
組紐状圧電素子6および7をそれぞれ15cmの長さに切断し、芯の導電性繊維をHi極とし、鞘の導電性繊維をLo極としてエレクトロメータ(Keysight社 B2987A)に接続し、電流値をモニタした。引張試験時、ねじり試験、曲げ試験、せん断試験および押圧試験の電流値を表2に示す。
(実施例8)
S撚り方向に巻いたPF1の代わりにIF1を使用した以外は組紐状圧電素子2と同様にして組紐状圧電素子8を作成した。組紐状圧電素子8のRi、Ro、HPを測定し、計算された中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θの値、およびT1/T2の値を表2に示す。RiおよびRoは、断面において圧電性繊維と絶縁性繊維が存在する領域を合わせて圧電性構造体の占める領域として測定した。組紐状圧電素子については以下の比較例も同様である。
組紐状圧電素子8を15cmの長さに切断し、芯の導電性繊維をHi極とし、鞘の導電性繊維をLo極としてエレクトロメータ(Keysight社 B2987A)に接続し、電流値をモニタした。引張試験時、ねじり試験、曲げ試験、せん断試験および押圧試験の電流値を表2に示す。
(実施例9)
Z撚り方向に巻いたPF1の代わりにIF1を使用した以外は組紐状圧電素子3と同様にして組紐状圧電素子9を作成した。組紐状圧電素子9のRi、Ro、HPを測定し、計算された中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θの値、およびT1/T2の値を表2に示す。
組紐状圧電素子9を15cmの長さに切断し、芯の導電性繊維をHi極とし、鞘の導電性繊維をLo極としてエレクトロメータ(Keysight社 B2987A)に接続し、電流値をモニタした。引張試験時、ねじり試験、曲げ試験、せん断試験および押圧試験の電流値を表2に示す。
(実施例10)
Z撚り方向に巻いたPF1の代わりにIF1を使用した以外はカバリング糸状圧電素子1と同様にしてカバリング糸状圧電素子4を作成した。カバリング糸状圧電素子4のRi、Roを測定し、HPは製造時の回転数(3000回/m)から求め、計算された中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θの値、およびT1/T2の値を表2に示す。RiおよびRoは、断面において圧電性繊維が存在する領域を圧電性構造体の占める領域として測定した。
カバリング糸状圧電素子4を15cmの長さに切断し、芯の導電性繊維をHi極とし、周辺をシールドする鞘の導電性繊維をLo極としてエレクトロメータ(Keysight社 B2987A)に接続し、電流値をモニタした。引張試験、ねじり試験、曲げ試験、せん断試験および押圧試験時の電流値を表2に示す。
表2の結果から、中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θが0°以上40°以下または50°以上90°以下である場合は、ねじり動作に対し大きな信号を発生していることが分かる。さらに、実施例1〜7の通り、T1/T2の値が0.8を超えて1.0以下であるとき、ねじり動作に対し大きな信号を発生し、ねじり以外の動作には大きな信号を発生せず、ねじり動作に選択的に応答する素子であることが分かる。また、実施例1〜5、8および9と実施例6〜7および10とを比べる、即ちθが0°以上40°以下の場合と、θが50°以上90°以下の場合とを比較すると、引張試験時の信号の極性が逆となっており、θがねじり試験時の信号の極性に対応していることが分かる。
さらに、表には示していないが、実施例1〜10の素子はS撚り方向にねじりを与えた時の信号と、Z撚り方向にねじりを与えた時の信号とを比べると、極性が互いに逆で絶対値が概ね同じ信号を発生したため、これらの素子はねじり荷重や変位の定量に適していることが分かる。一方、比較例3および4の素子はS撚り方向にねじりを与えた時の信号と、Z撚り方向にねじりを与えた時の信号とを比べると、極性が互いに逆である場合も同じである場合もあったため、これらの素子はねじり荷重や変位の定量に適していないことが分かる。
また、表には示していないが、実施例2のねじり試験時のノイズレベルは、実施例1のねじり試験時のノイズレベルより低く、圧電性構造体の外側に導電体を配置してシールドとした素子ではノイズを低減できることが分かる。
1 圧電性構造体
1−1 円筒形の圧電性構造体
1−2 円柱形の圧電性構造体
2 圧電性高分子
CL 中心軸
OL 配向方向
HP らせんピッチ
A 圧電性繊維
B 導電性繊維
11 組紐状圧電素子
12 鞘部
13 芯部
15 布帛状圧電素子
16 布帛
17 絶縁性繊維
18 導電性繊維
110 デバイス
111 圧電素子
112 増幅手段
113 出力手段
114 送信手段
CL 繊維軸
α 巻きつけ角度

Claims (11)

  1. 配向した圧電性高分子を円筒形または円柱形に配置した構造体であり、圧電性高分子が配置された円筒形または円柱形の中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度が50°以上90°以下であり、圧電性高分子は配向軸を3軸とした時の圧電定数d14の絶対値が0.1pC/N以上1000pC/N以下の値を有する結晶性高分子を主成分として含む、構造体。
  2. 前記圧電性高分子はポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸を主成分として含む、請求項1に記載の構造体。
  3. 前記圧電性高分子が配置された円筒形または円柱形の中心軸を軸としてねじり変形が与えられた時、該円筒形または円柱形の中心軸側と外側とに逆極性の電荷が発生する、請求項1または2に記載の構造体。
  4. 前記圧電性高分子は繊維状、フィラメント状またはテープ状のものが、組紐状、撚り紐状、カバリング糸状または引き揃え糸状にされて構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造体。
  5. 前記圧電性高分子は円筒形または円柱形の中心軸に垂直な断面において1つの閉領域のみを構成している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の構造体と、前記構造体に隣接して配置された導電体と、を備える素子。
  7. 前記圧電性高分子が円筒形に配置されており、該円筒形の中心軸の位置に前記導電体を配置した、請求項6に記載の素子。
  8. 前記導電体が導電性繊維からなり、前記圧電性高分子は圧電性繊維として前記導電性繊維の周りに組紐状に組まれて配置される、請求項7に記載の素子。
  9. 前記圧電性高分子が配置された円筒形の外側に前記導電体を配置した、請求項6〜8のいずれか1項に記載の素子。
  10. 前記導電体は導電性繊維からなり、前記圧電性高分子が配置された円筒形の周りに前記導電性繊維が組紐状に組まれて配置される、請求項9に記載の素子。
  11. 請求項6〜10のいずれか1項に記載の素子と、
    圧電性高分子が配置された円筒形の中心軸の方向にねじり変形が与えられた時に発生する電荷に応じて、前記導電体にて発生する電気信号が出力される出力端子と、
    前記出力端子を介して出力される電気信号を検出する電気回路と、
    を備えるセンサー。
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