JP6785239B2 - 抗アセトアミノフェン抗体及びアセトアミノフェンタンパク質付加物 - Google Patents

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Description

政府の権利
本発明は、NIHによって授与されたR42 DK079387−03に基づく政府の支援によってなされた。政府は本発明において一定の権利を有する。
関連出願の相互参照
本出願は、2015年12月3日に出願された米国仮特許出願第62/086,923号の利益を主張するものであり、その開示内容全体を本明細書の一部として参照により援用する。
発明の分野
本開示は、アセトアミノフェン誘発毒性の検出及び診断に有用な、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に結合する単離された抗体を提供する。
アセトアミノフェン(APAP)は、薬物毒性に関連する最も一般的な医薬品である。重度の症例では、APAPの過剰服用は急性肝不全(ALF)及び死に至ることがある。米国では年間100,000件以上、APAPの過剰服用に関する電話が米国の毒物管理センターになされている。FDAは、毎年約450人の死亡がAPAPの過剰服用に関連すると推定している。APAPの過剰服用から24時間以内に治療を求め、APAPの服用の時間及び量に関する正確な情報を提供できる患者の場合、APAPの過剰服用は診断及び治療が比較的簡単である。しかしながら、ルマック(Rumack)ノモグラムのようなAPAPの過剰服用を診断する現在の方法は、APAP摂取の時間及び用量に関する情報が入手できないときにAPAP過剰服用の24時間後に患者を診断するため、或いはアルコールを使用し、治療的用量を超えるAPAPを慢性的に摂取し、または徐放性APAP製剤を使用する患者を診断するためにはそれほど有用ではない。血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及び血清アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)のような他の実験室的検査は、肝臓損傷の発生を示すものではあるが、どちらの生物学的指標もAPAPの過剰服用に特異的なものではない。
従って、過剰服用の24時間以上後であっても、潜在的なAPAP中毒を含むAPAP毒性を正確に診断する方法に対する必要性が、当該分野において存在している。
ある態様において、本開示はアセトアミノフェン−タンパク質付加物に対して特異的に結合するが、遊離のアセトアミノフェンには特異的に結合せず、且つ免疫原(担体タンパク質2−イミノチオラン−APAP)を認識する単離された抗体を提供する。
別の態様において、本開示は、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に対して特異的に結合するが、遊離のアセトアミノフェンには特異的に結合せず、且つ0〜2個のアミノ酸置換を有する配列番号6または0〜2個のアミノ酸置換を有する配列番号12のアミノ酸配列を含んだ重鎖CDR3を具備する単離された抗体を提供する。
更に別の態様において、本開示は、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に対して特異的に結合するが、遊離のアセトアミノフェンには特異的に結合せず、且つ0〜2個のアミノ酸置換を有する配列番号3または0〜2個のアミノ酸置換を有する配列番号9のアミノ酸配列を含んだ軽鎖CDR3を具備する単離された抗体を提供する。
更に別の態様において、本開示は、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に対して特異的に結合するが、遊離のアセトアミノフェンには特異的に結合せず、且つLeu−Gly−hのアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3及び/または配列番号24のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を具備し、ここでのhは、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンからなる群より選択される疎水性アミノ酸である単離された抗体を提供する。
更に別の態様において、本開示は、対象から得られた生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を測定する方法を提供する。当該方法は、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に特異的に結合するが、遊離のアセトアミノフェンには特異的に結合しない少なくとも1種の単離された抗体を含む免疫アッセイにより、対象から得られた生物学的試料中のアセトアミノフェンタンパク質付加物の量を測定することを含み、ここでの前記抗体は、0〜2個のアミノ酸置換を有する配列番号1〜12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または前記抗体は遊離のアセトアミノフェンに対してよりも約2000倍更に効果的に、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して特異的に結合する。
異なる態様において、本開示は、対象においてアセトアミノフェン誘発毒性を検出するための方法を提供する。この方法は、(i)対象から得られた生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に対して特異的に結合するが、遊離のアセトアミノフェンには特異的に結合しない少なくとも1つの単離された抗体を用いた免疫アッセイにより測定し、ここで前記抗体は0〜2個のアミノ酸置換を有する配列番号1〜12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または前記抗体は遊離のアセトアミノフェンに対するよりも約2000倍効果的にアセトアミノフェンタンパク質付加物に対して特異的に結合することと、(ii)試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を基準値と比較し、ここで試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量が基準値と比較してより大きいことにより、前記対象におけるアセトアミノフェン誘発毒性が示されることを含んでいる。
他の態様において、本開示は、対象における肝毒性がアセトアミノフェン誘発毒性によるものであるかどうかを決定する方法を提供する。本方法は、(i)アセトアミノフェン−タンパク質付加物に特異的に結合するが、遊離のアセトアミノフェンには特異的に結合しない少なくとも1種の単離された抗体を使用する免疫アッセイによって、対象から得られた生物学的試料中のアセトアミノフェンタンパク質付加物の存在及び/または量を測定し、ここでの前記抗体は0〜2個のアミノ酸置換を有する配列番号1〜12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または前記抗体は遊離のアセトアミノフェンに対してよりも約2000倍更に効果的にアセトアミノフェンタンパク質付加物に対して特異的に結合することと、(ii)アセトアミノフェン−タンパク質付加物が存在するかどうかを決定し、アセトアミノフェン−タンパク質付加物が存在しなければ、前記対象における肝毒性はアセトアミノフェン誘発毒性によるものではなく、またアセトアミノフェン−タンパク質付加物が存在するならば、試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を基準値と比較し、ここで試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量が基準値と比較してより大きいことにより、前記対象における肝毒性がアセトアミノフェン誘発毒性によるものであることを示すことを含んでいる。
一定の態様において、本開示は、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に対する特異性を備えたモノクローナル抗体を産生する方法を提供する。当該方法は、対象を、担体タンパク質−2−イミノチオラン−APAPを含む免疫原で免疫化することを含んでいる。
本願のファイルは、カラーで描かれた少なくとも1つの図面を含んでいる。カラー図面を含む特許出願公報のコピーは、請求及び必要な料金を支払えば特許庁により提供されるであろう。
抗体14−12の抗原ATD−1への結合を示すELISAアッセイを描いている。 APAP−タンパク質付加物対遊離の未結合APAPに対する抗体14−12の特異性を示す競合ELISAを描いている。 RMAbクローン14−12及び22−8の競合的ELISAを描いている。このグラフは、阻害剤としての親薬物(APAP)対付加物(APAP−タンパク質)の相対的効力を示している。 ラテラルフローアッセイにおいて、試験バンドに固定化されたアセトアミノフェンタンパク質付加物に対するRMAb14−12及び22−8の結合を描いている。 RMAb 14−12及び22−8を用いた競合ラテラルフローアッセイを描いている。このグラフは、親薬物(APAP)対付加物(APAP−タンパク質)の阻害剤としての相対的効力を示す。 競合RMAbに基づくラテラルフローアッセイにおける、APAPタンパク質付加物及びAPAPの阻害を示している。APAP−タンパク質付加物は、APAP毒性患者の血清から生理学的に形成されたAPAPタンパク質付加物である。
本開示は、アセトアミノフェン媒介毒性の発病の際に生理学的に形成されるアセトアミノフェン−タンパク質付加物と特異的に反応する抗体を提供する。本発明の抗体は遊離のアセトアミノフェンとは特異的に反応しない。
本開示はまた、本発明の抗体の使用方法を提供する。本発明の抗体は、生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物を検出するために、または対象のアセトアミノフェン媒介毒性を診断するために使用され得る。
加えて、本開示は、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して特異性を有する抗体を調製するための新規な免疫原を提供する。詳細に言えば、該免疫原は担体タンパク質−2−イミノチオラン結合アセトアミノフェンである。この新規な免疫原は、免疫原性担体タンパク質(CP)を2−イミノチオラン(2−IT)で修飾して、末端スルフヒドリル基を有する多数の5−炭素リンカー分子で高度に置換されたCPを得ることによって調製された。次いで、この2−IT修飾されたCPは、合成的に調製されたN−アセチル−p−ベンゾキノンイミンとの反応により、末端スルフヒドリル基において共有結合的に修飾された。
I.抗体
アセトアミノフェン(APAP)誘発毒性は、肝臓において、反応性代謝産物であるN−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)が必須タンパク質に共有結合することによって媒介される。治療的用量において、該代謝産物はグルタチオンとの結合により効果的に解毒され、3−(グルタチオン−S−イル)アセトアミノフェン結合体を形成する。過剰服用後には、該反応は肝臓のグルタチオンを枯渇させ、代謝産物が肝臓タンパク質に共有結合する。このシナリオで形成される主な付加物は、アセトアミノフェン−システイン付加物、即ち、3−(システイン−S−イル)アセトアミノフェンである。本開示の抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体には、アセトアミノフェンのタンパク質付加物に結合する抗体が含まれる。
上記のように、アセトアミノフェンは、アミノ酸との結合によってタンパク質付加物を形成することができる。本開示の抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体には、1以上のアセトアミノフェン−タンパク質付加物に結合する抗体が含まれる。即ち、本開示のアセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体は、任意の付加タンパク質のポリペプチド鎖の中におけるアセトアミノフェン修飾システインに結合する。幾つかの実施形態において、抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体は、3−(システイン−S−イル)アセトアミノフェン−タンパク質付加物に結合する。他の実施形態において、抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体は、3−(グルタチオン−S−イル)アセトアミノフェン−タンパク質付加物に結合する。異なる実施形態において、抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体は、メルカプツール酸アセトアミノフェンと結合する。他の実施形態において、抗アセトアミノフェンタンパク質付加物抗体は、NAPQIにより修飾されたタンパク質上のアセトアミノフェンタンパク質付加物に結合する。露出されたシステインスルフヒドリルを有する任意のタンパク質が、NAPQIとの反応及び結果として得られる3−(システイン−S−イル)アセトアミノフェン−タンパク質付加物形成の候補である。NAPQIによって修飾されるタンパク質の非限定的な例には、ベタイン−ホモシステインS−メチルトランスフェラーゼ1(BHMT)、細胞質アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(cAspAT)、1,4−アルファ−グルカン分岐酵素、ホルムイミドイルトランスフェラーゼ−シクロデアミナーゼ(FTCD)、ジストロフィン、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、ATPシンターゼアルファ鎖ミトコンドリア、カルレグリン(calregulin)、カルバモイルリン酸シンテターゼI、炭酸デヒドラターゼIII(CA−III)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(AHD−M1)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)、グルタミン酸−アンモニアリガーゼ、細胞グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオントランスフェラーゼ(GST)、グルタチオンS−トランスフェラーゼP1、GAPDH、AdoMetシンテターゼ1、マクロファージ23kDaストレスタンパク質、eIF−4A−I、56kDaアセトアミノフェン結合タンパク質、L−イジトール2−デヒドロゲナーゼ、アミンN−メチルトランスフェラーゼ、抗酸化タンパク質1、トロポミオシン3、尿酸オキシダーゼ、10−ホルミルテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ、ヘモグロビン、56kDaセレン結合タンパク質、ラミンA、細胞性甲状腺ホルモン結合タンパク質、58kDaミクロソームタンパク質、Life Techマウス胚8 5dpc 10664019 Mus musculus cDNAクローン、無機ピロホスファターゼ、NML Mus musculus cDNAクローン、2−4ジエノイル−CoAレダクターゼミトコンドリア、3−HAI、3−ヒドロキシアントラニル酸3−4−ジオキシゲナーゼ、94kDaグルコース調節タンパク質、Nrf2の細胞質ゾル阻害剤、血清アルブミン、及び遅延型早期応答タンパク質6が含まれる。
全ての例において、本開示の抗体は、1以上のアセトアミノフェン−タンパク質付加物に特異的に結合するが、遊離アセトアミノフェンには特異的に結合しない。従って、本開示の抗体は、遊離のアセトアミノフェンに対するよりも効果的に、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に対して結合する。例えば、アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体は、遊離のアセトアミノフェンに対するよりも約100倍、約250倍、約500倍、約1000倍、約1500倍、約2000倍、約2500倍、約3000倍、約3500倍、約4000倍、約4500倍、約5000倍、約5500倍、約6000倍、約6500倍、約7000倍、約7500倍、約8000倍、約8500倍、約9000倍、約9500倍または約10,000倍更に効果的に、アセトアミノフェンタンパク質に対して結合する。更に、アセトアミノフェンタンパク質付加物抗体は、遊離のアセトアミノフェンに対するよりも約1000〜約2000倍、約2000〜約3000倍、約3000〜約4000倍、約4000〜約5000倍、約5000〜約6000倍、約6000〜約7000倍、約7000〜約8000倍、または約8000〜約9000倍更に効果的に、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して結合する。一実施形態において、アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体は、アセトアミノフェンタンパク質に対して、遊離型に対するよりも約2000倍更に効果的に結合する。別の実施形態では、アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体は、遊離のアセトアミノフェンに対するよりも約8000倍更に効果的に、アセトアミノフェンタンパク質に対して結合する。本明細書における「特異的に結合する」との語句は、抗体が、0.1pM〜10nM、好ましくは0.1pM〜1nMの範囲の親和性定数または相互作用の親和性(KD)で、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に結合することを意味する。抗体がアセトアミノフェンタンパク質付加物に結合するかどうかを決定する方法は、当該分野において既知である。一定の実施形態において、前記特異的抗体は、任意の付加物タンパク質のポリペプチド鎖中におけるアセトアミノフェン修飾システインを認識し得る。幾つかの実施形態において、前記特異的抗体は、3−(システイン−S−イル)アセトアミノフェン−タンパク質付加物を認識し得る。他の実施形態において、前記特異的抗体は、3−(グルタチオン−S−イル)アセトアミノフェン−タンパク質付加物を認識し得る。更に他の実施形態において、前記抗体は、メルカプツール酸アセトアミノフェンを認識し得る。
本明細書における有用な抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体にはまた、生物学的試料中においてアセトアミノフェンタンパク質付加物に特異的に結合する全ての抗体が含まれる。例示的実施形態において、本明細書における有用な抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体には、生物学的試料中に存在する3−(システイン−S−イル)アセトアミノフェンに特異的に結合する全ての抗体が含まれる。
一態様において、本明細書における有用な抗体には、生体から得られた生物学的試料中においてアセトアミノフェン−タンパク質付加物を検出し、また対象におけるアセトアミノフェン毒性の発現を予測するアッセイにおいて使用するための、単離され、特徴付けられ、精製され、機能的で、且つ回収(取得)された抗体が含まれる。別の態様において、本明細書において有用な抗体には、生体から得られた生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物を検出し、また前記対象において、アセトアミノフェン毒性の発現を診断するアッセイにおいて使用するための、単離され、特徴付けられ、精製され、機能的であり、且つ回収(取得)された抗体が含まれる。別の態様において、本明細書において有用な抗体には、生体から得られた生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物を検出し、また前記対象を、該対象の生涯においてアセトアミノフェン毒性を発症する増大したリスクを有するものとして分類するアッセイにおいて使用するための、単離され、特徴付けられ、精製され、機能的であり、且つ回収(取得)された抗体が含まれる。別の態様において、本明細書で有用な抗体は、単離され、特徴付けられ、精製され、機能的であり、且つ使用のために回収され(得られ)た表Aに列挙された抗体、ならびにそれらの変異体(例えばヒト化形態、キメラ形態及び免疫学的断片)が含まれる。
Figure 0006785239
「抗体」という用語には、「モノクローナル抗体」という用語が含まれる。「モノクローナル抗体」とは、単一のコピーまたはクローン(例えば、任意の真核生物、原核生物またはファージクローンを含む)に由来する抗体を言う。「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術によって産生される抗体に限定されない。モノクローナル抗体は、例えば、当技術分野で周知のハイブリドーマ技術、ならびに組換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術、またはこのような技術と当技術分野で容易に知られる他の技術の組み合わせを用いて製造することができる。更に、当該技術で既知の方法に従って、モノクローナル抗体を検出可能な標識で標識し、固相に固定化し、及び/または異種化合物(例えば、酵素または毒素)と結合することができる。
更に、「抗体」とは、機能的なモノクローナル抗体、またはそのFab、Fab’またはF(ab’)2断片のような免疫学的に有効な断片を意味する。本明細書の幾つかの文脈において、断片は強調のために特定的に言及される。しかし、断片が特定されているか否かにかかわらず、「抗体」という用語には、そのような断片及び一本鎖形態が含まれることが理解されるであろう。タンパク質が意図する標的に対して特異的に結合する能力を保持する限り、それは「抗体」という用語の範囲内に含まれる。「抗体」の定義には、例えば、この特異性を有する抗体の一本鎖形態、一般にFv領域と呼ばれるものも含まれる。それらをヒト化形態に変換するために、適切な特異性を備えた典型的にはウサギまたは他の非ヒト抗体の操作が必要とされるので、任意に、発見に有用な抗体は組換えにより産生される。抗体は、グリコシル化されてもよく、されなくてもよい。知られているように、抗体はジスルフィド結合を介して適切に架橋される。
本明細書で有用な抗体の基本的な抗体単位は、四量体を含んでいる。各四量体は、2つの同一対のポリペプチド鎖から構成され、各対は1つの「軽」鎖(約25kDa)及び1つの「重」鎖(約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識を担当する約100〜110以上のアミノ酸の可変領域を含んでいる。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を主に担当する定常領域を規定する。
本明細書で有用な抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体は、その調製のためのプロセスから単離され、特徴付けられ、精製され、機能的で、回収された(入手された)ものを含み、従って有用な形態において、診断上十分な量で本明細書における使用のために入手可能である。
軽鎖は、カッパまたはラムダとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンとして分類され、また抗体のアイソタイプをIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEとしてそれぞれ定義する。軽鎖及び重鎖内において、可変領域及び定常領域は約12以上のアミノ酸の「J」領域によって連結され、重鎖は約10個以上のアミノ酸の「D」領域をも含んでいる。
各軽鎖/重鎖対の可変領域は抗体結合部位を形成する。従って、無傷の抗体は2つの結合部位を有する。これらの鎖は、相補性決定領域(以下では「CDR」と称する)とも呼ばれる3つの超可変領域により連結された比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の、同じ一般的構造を示す。2つの鎖由来のCDRは、フレームワーク領域によって整列されて、特異的エピトープへの結合を可能にする。N末端からC末端まで、軽鎖及び重鎖の両者は、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4をそれぞれ含んでいる。各ドメインへのアミノ酸の帰属は、既知の慣例に従っている(Kabat“Sequences of Proteins of Immunological Interest”National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1987 and 1991;Chothia,et al,J.Mol.Bio.(1987)196:901−917;Chothia,et al.,Nature(1989)342:878−883参照)。
一態様において、モノクローナル抗アセトアミノフェンタンパク質付加物抗体は、哺乳動物の免疫化、該哺乳動物の抗体産生細胞からのハイブリドーマ形成もしくはそうでなければそれらの不死化、及びハイブリドーマまたは不死化細胞を培養して、それらを適切な特異性について評価する標準的な技術により、適切な特異性で生成される。本件において、そのような抗体は、ヒト、ウサギ、ラットまたはマウスを、例えばセクションIIIに記載のような免疫原で免疫化することによって生成できるであろう。組換え操作のための材料は、それを産生するハイブリドーマまたは他の細胞から、所望の抗体をコードするヌクレオチド配列を回収することによって得ることができる。次いで、これらのヌクレオチド配列は、本明細書での使用のために操作し、単離し、特性決定し、精製し、回収することができる。
一実施形態において、本発明の抗体はヒト化されてよい。本明細書で使用される「ヒト化抗体」には、非ヒト相補性決定領域(「CDR」)を有する抗体の配列を改変することによって、ヒト抗体生殖細胞系列に由来するアミノ酸配列から一部または全部が構成された、抗アセトアミノフェン抗体が含まれる。そのような最も単純な改変は、マウスまたはウサギの定常領域をヒト抗体の定常領域で単に置換することからなり、従って医薬用途において許容可能なほど、十分に低い免疫原性を有するヒト/ネズミまたはウサギキメラを生じる。しかしながら、好ましくは抗体の可変領域、更にはCDRもまた、当該技術分野で現在周知の技術によりヒト化される。可変領域のフレームワーク領域を対応するヒトフレームワーク領域によって置換し、非ヒトCDRを実質的に無傷のまま残すか、或いは、更にCDRをヒトゲノムに由来する配列で置き換えることもある。CDR領域はまた、完全なヒト生殖細胞系フレームワーク領域または実質的にヒトであるフレームワーク領域の状況において、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対する結合活性及び親和性が維持または増強されるように、ランダムに突然変異させることもできる。実質的にヒトのフレームワークは、既知のヒトフレームワーク配列と少なくとも90%、95%、または99%の配列同一性を有する。完全に有用なヒト抗体はまた、その免疫系がヒト免疫系に対応するように改変された遺伝子改変マウスにおいて産生され得る。上述したように、一本鎖形態を表す断片を含む、抗体の免疫学的に特異的な断片を用いることは、この発見の方法での使用のために十分である。
本発明の抗体は、一本鎖可変断片(scFv)として知られる融合タンパク質として使用することもできる。これらのscFvは、リンカーによって連結された重鎖及び軽鎖の可変領域で構成される。全部ではないが殆どの場合に、該リンカーはペプチドであり得る。リンカーペプチドは、好ましくは約10〜25アミノ酸の長さである。好ましくは、該リンカーペプチドは、グリシン、ならびにセリンまたはスレオニンに富んでいる。ScFvは、ファージディスプレイを容易にするために使用でき、またはフローサイトメトリー、免疫組織化学のために、または標的化ドメインとして使用できる。scFvを作製及び使用する方法は、当該技術において既知である。
好ましい実施形態において、本発明のscFvは、ヒト定常ドメインに結合される。幾つかの実施形態において、重鎖定常ドメインはIgGドメイン、例えばIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4に由来する。他の実施形態において、重鎖定常ドメインは、IgA、IgM、またはIgEに由来し得る。
好ましい抗体は、14−12、14−7または22−8と称するハイブリドーマに由来するウサギ抗体である。本明細書で使用する「に由来する」という用語は、「由来する」抗体が、14−12、14−7または22−8により産生される抗体由来の少なくとも1つのCDR領域を含むことを意味する。別の言い方をすれば、「由来する抗体」は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11及び12からなる群から選択されるアミノ酸配列で構成される少なくとも1つのCDR領域を含む。
一実施形態において、本発明の抗体は、ハイブリドーマ14−12または14−7に由来し得るものであり、配列番号17の軽鎖可変領域に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する核酸配列によってコードされ得るか、または配列番号18の重鎖可変領域に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する核酸配列によってコードされ得る。別の実施形態では、本発明の抗体は、ハイブリドーマ14−12または14−7に由来し得るものであり、配列番号13の軽鎖可変領域に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を備えたアミノ酸配列によってコードされ得るか、または配列番号14の重鎖可変領域に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を備えた核酸配列によってコードされ得る。
異なる実施形態において、本発明の抗体は、ハイブリドーマ22−8に由来し得るものであり、配列番号19の軽鎖可変領域に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を備えた核酸配列によってコードされ得るか、または配列番号20の重鎖可変領域に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を備えた核酸配列によってコードされ得る。別の実施形態において、本発明の抗体は、ハイブリドーマ22−8に由来し得るものであり、配列番号15の軽鎖可変領域に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を備えたアミノ酸配列によってコードされ得るか、または配列番号16の重鎖可変領域に対して90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を備えたアミノ酸配列によってコードされ得る。
アセトアミノフェン−タンパク質付加物に結合する本発明の抗体の例示的実施形態において、当該抗体は、配列番号13の軽鎖アミノ酸配列及び配列番号14の重鎖アミノ酸配列を含む[即ち、本明細書で14−12または14−7と称するモノクローナル抗体]。アセトアミノフェン−タンパク質付加物に結合する本発明の抗体の別の例示的実施形態において、当該抗体は、配列番号15の軽鎖アミノ酸配列及び配列番号16の重鎖アミノ酸配列を含む[即ち、本明細書で22−8と称するモノクローナル抗体]。アセトアミノフェン−タンパク質付加物に結合する本発明の抗体の別の例示的実施形態において、当該抗体は、配列番号17の軽鎖核酸配列及び配列番号18の重鎖アミノ酸配列を含む[即ち、本明細書中でmAb 14−12または14−7と称するモノクローナル抗体]。アセトアミノフェン−タンパク質付加物に結合する本発明の抗体の別の例示的実施形態において、当該抗体は、配列番号19の軽鎖核酸配列及び配列番号20の重鎖核酸配列を含む[即ち、本明細書中で22−8と称するモノクローナル抗体]。
一実施形態において、本発明の抗体は、表Bの抗体1、49及び97のように、軽鎖CDR1を具備することができる。別の実施形態において、本発明の抗体は、表Bの抗体4、52及び100のように、軽鎖CDR2を具備することができる。更に別の実施形態において、本発明の抗体は、表Bの抗体6、54、及び102のように、軽鎖CDR3を具備することができる。代替の実施形態において、本発明の抗体は、表Bの抗体2、3、5、50、51、53、98、99及び101のように、2つまたは3つの重鎖CDRを具備することができる。
同様に、一実施形態において、本発明の抗体は、表Bの抗体7、55及び103のように、重鎖CDR1を具備することができる。別の実施形態において、本発明の抗体は、表Bの抗体10、58及び106のように、重鎖CDR2を具備することができる、更に別の実施形態において、本発明の抗体は、別の実施形態において、本発明の抗体は、表Bの抗体12、60及び108のように、重鎖CDR3を具備することができる。代替の実施形態において、本発明の抗体は、表Bの抗体8、9、11、56、57、59、104、105及び107のように、2つまたは3つの重鎖CDRを具備することができる。
代替的に、本発明の抗体は、表Bの抗体13〜48、61〜96及び109〜144のように、1以上の軽鎖CDR及び1以上の重鎖CDRを具備することができる。
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一実施形態において、本発明の抗体は、0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号1)のCDR1、0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号2)のCDR2、0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号3)のCDR3を含んだ軽鎖可変領域を具備し得るものであるか、または0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号4)のCDR1、0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号5)のCDR2、及び0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号6)のCDR3を含んだ重鎖可変領域を具備し得るものである。好ましい実施形態において、本発明の抗体は、0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号1)のCDR1、0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号2)のCDR2、アミノ酸配列(配列番号3)のCDR3を含む軽鎖可変領域、0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号4)のCDR1、0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号5)のCDR2、及び0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号6)のCDR3を含んだ重鎖可変領域を具備し得る。例示的実施形態において、本発明の抗体は、アミノ酸配列(配列番号1)のCDR1、アミノ酸配列(配列番号2)のCDR2、アミノ酸配列(配列番号3)のCDR3を含む軽鎖可変領域、アミノ酸配列(配列番号4)のCDR1、アミノ酸配列(配列番号5)のCDR2、及びアミノ酸配列(配列番号6)のCDR3を含んだ重鎖可変領域を具備し得る。本発明はまた、当業者が容易に決定できる配列番号1、2、3、4、5及び6の対応する核酸配列を包含するものであり、これらは本発明の抗体を発現させるために、ベクターまたは染色体のような他の大きなDNA分子の中に組み込むことができる。
別の実施形態において、本発明の抗体は、0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号7)のCDR1、0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号8)のアミノ酸配列のCDR2、及び0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号9)のCDR3を含んだ軽鎖可変領域を具備し得るか、または0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号10)のCDR1、0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号11)のCDR2、及び0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号12)のCDR3を含んだ重鎖可変領域を具備し得る。好ましい実施形態において、本発明の抗体は、0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号7)のCDR1、0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号8)のCDR2、0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号9)のCDR3を含む軽鎖可変領域、及び0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号10)のCDR1、0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号11)のCDR2、及び0〜2個のアミノ酸置換を有するアミノ酸配列(配列番号12)のCDR3を含んだ重鎖可変領域を具備し得る。例示的実施形態において、本発明の抗体は、アミノ酸配列(配列番号7)のCDR1、アミノ酸配列(配列番号8)のCDR2、アミノ酸配列(配列番号9)のCDR3を含む軽鎖可変領域、アミノ酸配列(配列番号10)のCDR1、アミノ酸配列(配列番号11)のCDR2、及びアミノ酸配列(配列番号12)のCDR3を含んだ重鎖可変領域を具備し得る。本発明はまた、配列番号7、8、9、10、11、及び12の対応する核酸配列を包含し、これは当業者によって容易に決定でき、また本発明の抗体を発現させるためにベクターまたは染色体のような他の大きなDNA分子の中に組み込むことができる。
一実施形態において、本発明の抗体は、アミノ酸配列(配列番号21)(QXSQphXR、ここでのXは任意のアミノ酸、pは極性アミノ酸、hは疎水性アミノ酸である)のCDR1、アミノ酸配列(配列番号22)(XhXpLXS、ここでのXは任意のアミノ酸、pは極性アミノ酸、hは疎水性アミノ酸である)のCDR2、及び/またはアミノ酸配列Leu−Gly−h(ここでのhは疎水性残基である)のCDR3を含んだ軽鎖可変領域を具備することができ、またはアミノ酸配列Tyr−X−Ile(ここでのXは任意のアミノ酸である)のCDR1、アミノ酸配列(配列番号23)(AXYAXWXKG、ここでのXは任意のアミノ酸である)のCDR2、及び/または配列番号24のアミノ酸配列(hXXGGhhXX、ここでのXは任意のアミノ酸、hは疎水性アミノ酸である)のCDR3を含んだ重鎖可変領域を具備することができる。別の実施形態では、本発明の抗体は、配列番号21のアミノ酸配列(QXSQphXR、ここでのXは任意のアミノ酸、pは極性アミノ酸、hは疎水性アミノである)のCDR1、アミノ酸配列(配列番号22)(XhXpLXS、ここでのXは任意のアミノ酸、pは極性アミノ酸、hは疎水性アミノ酸である)のCDR2、及びアミノ酸配列Leu−Gly−h(ここでのhは疎水性残基である)のCDR3を含んだ軽鎖可変領域を具備することができ、またアミノ酸配列Tyr−X−Ile(ここでのXは任意のアミノ酸である)のCDR1、アミノ酸配列(配列番号23)(AXYAXWXKG、ここでのXは任意のアミノ酸である)のCDR2、及びアミノ酸配列(配列番号24)(hXXGGhhXX、ここでXは任意のアミノ酸、hは疎水性アミノ酸である)のCDR3を含んだ重鎖可変領域を具備することができる。更に別の実施形態において、本発明の抗体は、アミノ酸配列Leu−Gly−h(ここでのhは疎水性残基である)のCDR3を含む軽鎖可変領域を含むことができ、及び/またはアミノ酸配列(配列番号24)(hXXGGhhXX、ここでのXは任意のアミノ酸、hは疎水性アミノ酸である)のCDR3を含んだ重鎖可変領域を具備することができる。前述の実施形態の各々において、配列番号21は更に、C末端上に1、2、3または4個のアミノ酸を含み得る;Leu−Gly−hは更に、C末端に1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸を含み得る;Tyr−X−Ileは更に、C末端に1個のアミノ酸及び/またはN末端に1個のアミノ酸を含み得る;配列番号23は更に、N末端に1、2、3、4、5、6または7個のアミノ酸を含み得る;配列番号24は更に、C末端に1個のアミノ酸を含み得る。
本明細書で使用するとき、極性アミノ酸は、セリン、スレオニン、アスパラギン、及びグルタミンからなる群から選択され、また疎水性アミノ酸は、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンからなる群から選択される。
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II.抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体を使用する方法
一態様において、本開示は、対象から得た生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物を検出するための抗体を提供する。別の態様において、本開示は、対象から得た生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を測定するための抗体を提供する。対象から得た生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量は、対象を、高い量または低い量のアセトアミノフェン−タンパク質付加物を有するものとして分類するために使用でき、更に、対象においてアセトアミノフェンに関連した露出及び/または毒性を同定するために使用し得る。特定の実施形態において、アセトアミノフェン−タンパク質付加物は、3−(システイン−S−イル)アセトアミノフェン−タンパク質付加物である。
(a)生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を検出及び測定する方法
一態様において、本開示は、対象から得た生物学的試料中においてアセトアミノフェン−タンパク質付加物を同定する手段を提供する。別の態様において、本開示は、対象から得た試料中においてアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を測定するための手段を提供する。この方法は、一般に、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に特異的に結合する抗体を用いて、対象から得た生物学的試料中において1以上のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を検出及び/または測定することを含む。加えて、当該方法は、(i)対象から生物学的試料を得ることと、(ii)アセトアミノフェン−タンパク質付加物に特異的に結合する抗体を用いて、前記試料中において1以上のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を検出及び/または測定することを含み得る。適切な抗体は、上記セクションIに記載されている。
本明細書で使用する「対象」という用語は、アセトアミノフェンを投与され得る生きた生物を指称する。適切な対象には、ヒト、家畜動物、コンパニオン動物、実験動物、及び動物学上の動物が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、前記対象は、齧歯類、例えばマウス、ラット、モルモット等であり得る。別の実施形態において、前記対象は家畜であり得る。適切な家畜の非限定的な例には、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ラマ及びアルパカが含まれ得る。更に別の実施形態において、前記対象はコンパニオン動物であってよい。コンパニオン動物の非限定的な例には、イヌ、ネコ、ウサギ、及びトリなどのペットが含まれ得る。更に別の実施形態において、対象は動物学上の動物であってよい。本明細書で使用する場合、「動物学上の動物」は、動物園で見出し得る動物を言う。そのような動物には、非ヒト霊長類、大きなネコ、オオカミ、及びクマが含まれ得る。特定の実施形態において、前記動物は実験動物である。実験動物の非限定的な例には、齧歯類、イヌ、ネコ、及び非ヒト霊長類が含まれ得る。一定の実施形態において、前記動物は齧歯類である。齧歯類の非限定的な例には、マウス、ラット、モルモット等が含まれ得る。好ましい実施形態において、前記対象はヒトである。対象は、新生児、青年、成人、中年、または高齢者を含む任意の年齢であり得る。
対象は、アセトアミノフェン誘発毒性に関連した症状を有していてもよく、有していなくてもよい。詳細に言えば、アセトアミノフェン誘発毒性は肝毒性であり得る。当業者は、病理学的アセトアミノフェン誘発毒性が、診断前またはアセトアミノフェン誘発毒性関連症状の発症前に開始する可能性があることを理解するであろう。幾つかの実施形態において、対象は、アセトアミノフェン誘発毒性に関連した症状を有している。他の実施形態において、対象は、アセトアミノフェン誘発毒性に関連した症状を有していない。更に他の実施形態において、対象は、検出可能なアセトアミノフェン誘発毒性を有するが、アセトアミノフェン誘発毒性に関連した他の症状を有していない。更に他の実施形態において、対象はアセトアミノフェンを受けている。異なる実施形態において、対象は、治療的用量を超える量のアセトアミノフェンを受けている。代替的な実施形態において、対象は、治療的用量を超える量のアセトアミノフェンを受けている疑いが持たれている。例えば、対象は、治療的用量を超える量のアセトアミノフェンを受けた結果として発症した可能性のある病因不明の肝不全を有し得る。対象におけるアセトアミノフェン誘発毒性の早期診断は、病理学的アセトアミノフェン誘発毒性に関連した症状の発症及び/または進行を低下させる可能性がある。
アセトアミノフェン誘発肝毒性に伴う症状の例としては、食欲不振、吐き気、嘔吐、右上腹部腹痛、上昇したAST、ALT、ビリルビン及びPT(INR)、腎不全、膵炎、多臓器不全が含まれるが、これらに限定されない。軽度のアセトアミノフェン中毒は症状を引き起こさない可能性があり、存在するときは、症状は摂取後≧48時間まで通常は軽度である。幾つかの実施形態において、アセトアミノフェン毒性の症状の重篤度は、表Dに示すように4つのステージを用いて定量化される。
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本明細書中で使用するとき、「生物学的試料」という用語は、対象から得た試料を言う。アセトアミノフェン−タンパク質付加物を含む如何なる生物学的試料も適切である。多くの種類の生物学的試料が当該分野で知られている。適切な生物学的試料には、毛髪、組織試料または体液が含まれ得るが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、生物学的試料は、組織生検のような組織試料である。組織生検は、肝臓組織の生検であり得る。生検組織を固定し、パラフィンまたはプラスチックに包埋し、切片へと切断してもよく、または生検組織を凍結して凍結切断してもよい。或いは、生検組織は個々の細胞または外植片に加工することができ、またはホモジネート、細胞抽出物、膜画分、またはタンパク質抽出物に加工することができる。他の実施形態において、前記試料は体液であってよい。適切な体液の非限定的な例には、血液、血漿、血清、尿、唾液、精液、汗、涙、粘液、喀痰、組織ライセートまたは他の排泄物(例えば糞便)が含まれる。特定の実施形態において、前記体液は尿である。別の特定の実施形態において、前記体液は血漿である。更に別の特定の実施形態において、前記体液は血清である。更に別の特定の実施形態において、前記体液は唾液である。前記体液を「そのまま」使用してもよく、前記体液から細胞成分を単離してもよく、または標準的な技術を用いて前記体液からタンパク質画分を単離してもよい。異なる実施形態において、前記生物学的試料は毛髪である。
当業者が理解するように、生物学的試料を採取する方法は、生物学的試料の性質及び実施すべき分析の種類に応じて変化でき、また変化するであろう。当該技術分野で一般に知られた種々の方法の何れかを利用して、生物学的試料を採取することができる。一般に言えば、この方法は好ましくは、本発明に従ってアセトアミノフェン−タンパク質付加物が正確に検出され、且つ量が測定されように、試料の完全性を維持する。
幾つかの実施形態では、試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物を検出するために、単一の試料が対象から入手される。或いは、アセトアミノフェン−タンパク質付加物は、対象から経時的に得られる試料中で検出されてもよい。このように、複数の試料が経時的に対象から収集されてもよい。例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16個またはそれ以上の試料を、時間の経過とともに対象から採取することができる。幾つかの実施形態では、2、3、4、5または6個の試料が、経時的に対象から収集される。他の実施形態では、6、7、8、9または10個の試料が、経時的に対象から収集される。更に他の実施形態では、10、11、12、13、または14個の試料が、経時的に対象から収集される。他の実施形態では、14、15、16個またはそれ以上の試料が、経時的に対象から収集される。
2以上の試料が経時的に対象から採取されるとき、試料は、0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、またはそれ以上の時間毎に収集することができる。幾つかの実施形態において、試料は、0.5時間、1時間、2時間、3時間または4時間毎に収集される。他の実施形態では、試料は、4、5、6または7時間毎に収集される。更に他の実施形態において、試料は7、8、9または10時間毎に収集される。他の実施形態では、試料は、10時間、11時間、12時間またはそれ以上の時間毎に収集される。加えて、試料は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日またはそれ以上の日数毎に採取することができる。幾つかの実施形態では、試料は約6日毎に収集される。幾つかの実施形態において、試料は、1日、2日、3日、4日または5日毎に収集される。他の実施形態において、試料は、5日、6日、7日、8日または9日毎に収集される。更に他の実施形態では、試料は、9日、10日、11日、12日またはそれ以上の日数毎に収集される。
試料が得られたら、抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体を用いて、1以上のアセトアミノフェン−タンパク質付加物を検出し、その量を測定するために、該試料をインビトロで処理する。当業者に既知の抗体を用いてタンパク質の量を検出及び測定するための全ての適切な方法は、本発明の範囲内にあることが企図される。抗体を用いてタンパク質の量を検出及び測定するための方法(即ち、「抗体に基づく方法」)は、当技術分野において周知である。非限定的な例には、ELISA、ラテラルフローアッセイ、サンドイッチ免疫アッセイ、ラジオ免疫アッセイ、免疫ブロットまたはウェスタンブロット、フローサイトメトリー、免疫組織化学、及びアレイが含まれる。ラテラルフローアッセイは、試料中の標的分析物の存在(または不存在)を検出することを意図したデバイスであり得る。
一般に、アセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を検出及び測定する抗体に基づく方法は、抗体とアセトアミノフェン−タンパク質付加物との間での複合体の形成を可能にする条件下において、アセトアミノフェン−タンパク質付加物を含む試料の一部または全部を、抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体と接触させることを含んでいる。典型的には、試料全体は必要とされず、当業者が、試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を経時的に反復して検出及び測定することを可能にする。この方法は、溶液中で行われ得るか、または前記抗体またはアセトアミノフェン−タンパク質付加物は固体表面上に固定化され得る。適切な表面の非限定的な例には、マイクロタイタープレート、試験管、ビーズ、樹脂、及び他のポリマーが含まれる。基体への付着は、当業者が理解するように、多種多様な方法で生じ得る。例えば、基体及び抗体は、これら2つのその後の結合のために化学的官能基で誘導体化されてよい。例えば、限定されるものではないが、基体はアミノ基、カルボキシル基、オキソ基またはチオール基を含む化学的官能基で誘導体化することができる。これらの官能基を使用することにより、抗体は、該官能基を使用して直接的に、またはリンカーを用いて間接的に結合され得る。抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体はまた、非共有結合的に基体に結合されてもよい。例えば、ビオチン化抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体を調製することができ、これはストレプトアビジンで共有結合的にコーティングされた表面に対して結合して、付着をもたらすことができる。或いは、抗体は、光重合及びフォトリソグラフィのような技術を用いて、前記表面上で合成され得る。
複合体の形成を可能にするために十分な時間、有効な条件下で試料を抗体と接触させることは、一般に、抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体組成物を試料に加え、該混合物を、抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体が任意の存在する抗原に結合するために十分に長い時間に亘ってインキュベートすることを含む。この時間の後に複合体を洗浄し、次いで複合体を検出し、その量を当該技術分野で周知の任意の方法によって測定することができる。抗体−ポリペプチド複合体の量を検出及び測定する方法は、一般に、標識またはマーカーの検出に基づく。本明細書で使用される「標識」という用語は、抗体または他の基質物質に結合した任意の物質であって、その物質が検出方法によって検出可能であるものを言う。適切な標識の非限定的な例には、発光分子、化学発光分子、蛍光色素、蛍光消光剤、着色分子、放射性同位体、シンチラント、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、プロテインA、プロテインG、抗体もしくはその断片、ポリヒスチジン、Ni2+、Flagタグ、mycタグ、重金属、及び酵素(アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ及びルシフェラーゼを含む)が含まれる。標識またはマーカーの検出に基づいて抗体−ポリペプチド複合体の量を検出及び測定する方法は、当技術分野で周知である。
幾つかの実施形態では、抗体に基づく方法は免疫アッセイである。免疫アッセイは、種々の異なる形式で実行できる。一般に、免疫アッセイは2つのカテゴリーに分けることができる。即ち、競合免疫アッセイ及び非競合免疫アッセイである。競合免疫アッセイでは、試料中の非標識分析物が標識分析物と競合して抗体に結合する。結合していない検体を洗い流し、結合した検体を測定する。非競合的免疫アッセイでは、分析物ではなく抗体が標識される。非競合免疫アッセイは、1つの抗体(例えば、捕捉抗体が標識される)または2以上の抗体(例えば、標識されない少なくとも1種の捕捉抗体、及び標識された少なくとも1種の「キャッピング」または検出抗体)を用いることができる。適切な標識は上記に記載されている。
他の実施形態において、抗体に基づく方法は、イムノブロットまたはウェスタンブロットである。更に他の実施形態において、抗体に基づく方法はフローサイトメトリーである。異なる実施形態において、抗体に基づく方法は、免疫組織化学(IHC)である。IHCは、無傷の組織試料中において抗原を検出及び定量するために抗体を使用する。組織試料は、IHCによる研究のために調製された新鮮凍結及び/またはホルマリン固定したパラフィン包埋(またはプラスチック包埋)組織ブロックであってよい。IHCによる研究のための組織ブロックを調製する方法、ならびにIHCを実施する方法は、当技術において周知である。
代替的な実施形態において、抗体に基づく方法はアレイである。アレイは少なくとも1つのアドレスを含み、ここで、アレイの少なくとも1つのアドレスには抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体が配置される。アレイは、約1〜約数十万のアドレスを含むことができる。アレイの構築に適した幾つかの基体が当該分野で知られており、当業者は、当該技術の進歩に伴って他の基体が利用可能になることを理解するであろう。適切な基体もまた上記に記載されている。幾つかの実施形態において、アレイは、該アレイの空間的に画定された1以上のアドレスに配置された、少なくとも1種の抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体を含んでいる。例えば、アレイは少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つの抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体を含んでおり、各抗体は同一もしくは異なるアセトアミノフェン−タンパク質付加物を認識し、また各抗体は1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上の空間的に確定されたアドレスに配置されてよい。
前述の実施形態の各々について、アセトアミノフェン−タンパク質付加物は、検出前に最初に単離または富化されてよい。例えば、アセトアミノフェン−タンパク質付加物は、液体クロマトグラフィー、沈殿、電気泳動またはアフィニティー精製によって富化または精製することができる。幾つかの実施形態において、アセトアミノフェン−タンパク質付加物は、液体クロマトグラフィーを使用して富化または精製することができる。他の実施形態において、アセトアミノフェン−タンパク質付加物は、電気泳動を用いて富化または精製できる。
一実施形態において、アセトアミノフェン−タンパク質付加物は、検出前にアフィニティー精製により富化または精製することができる。別の実施形態において、アセトアミノフェン−タンパク質付加物は、本発明の抗体を用いたアフィニティー精製によって富化または精製することができる。タンパク質について試料を富化させる方法、または親和性精製を用いてタンパク質を精製する方法は、当技術分野において既知である。手短に言えば、アフィニティー精製は、試料を、その後の工程を容易にするビーズ、培養プレートまたは膜等の固相支持体と共にインキュベートすることを含んでいる。固相支持体を本発明の抗体でコーティングして、アセトアミノフェン−タンパク質付加物を固相支持体に付着させることができる。或いは、試料を本発明の抗体と共にインキュベートしてよく、アセトアミノフェン−タンパク質付加物−抗体複合体は、本発明の抗体に対して特異性を有する第2の抗体でコーティングされた固相支持体と共にインキュベートし、タンパク質−抗体複合体を前記固相支持体に付着させることによって単離し得る。次いで、アセトアミノフェン−タンパク質付加物は、固相支持体に結合していない試料中の他の物質を洗浄することにより精製または富化されることができ、または固相支持体が超常磁性ビーズである場合、該ビーズ(抗原を発現している)に結合したアセトアミノフェン−タンパク質付加物は、強磁場への引力によって試料から分離され得る。富化または精製の際に、アセトアミノフェン−タンパク質付加物は、上記の何れかの方法を用いて富化または精製された試料中で検出され得る。
別の実施形態において、タンパク質特異的抗体は、付加物タンパク質(複数可)を捕捉及び単離するために用いることができ、次いで、本開示のアセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体を用いてタンパク質の付加を検出することができる。適切なタンパク質特異的抗体は、NAPQIで修飾されることが知られたタンパク質に対して、特異的に結合する抗体であってよい。NAPQIにより修飾されるタンパク質の非限定的な例としては、ベタイン−ホモシステインS−メチルトランスフェラーゼ1(BHMT)、細胞質アスパルテートアミノトランスフェラーゼ(cAspAT)、1,4−アルファ−グルカン分岐酵素、ホルムイミドイルトランスフェラーゼ−シクロデアミナーゼ(FTCD)、ジストロフィン、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、ATPシンターゼアルファ鎖ミトコンドリア、カルレグリン、カルバモイルホスフェートシンターゼI、炭酸デヒドロゲナーゼIII(CA−III)、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(AHD−M1)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)、グルタミン酸アンモニアリガーゼ、細胞性グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオントランスフェラーゼ(GST)、グルタチオンS−トランスフェラーゼP1、GAPDH、AdoMetシンテターゼ1、マクロファージ23kDaストレスタンパク質、elF−4A−1、56kDaアセトアミノフェン結合タンパク質、L−イジトール2−デヒドロゲナーゼ、アミンN−メチルトランスフェラーゼ、抗酸化タンパク質1、トロポミオシン3、尿酸オキシダーゼ、10−ホルミルテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼ、ヘモグロビン、56kDaセレン結合タンパク質、ラミンA、細胞性甲状腺ホルモン結合タンパク質、58kDaミクロソームタンパク質、Life Techマウス胚8 5dpc 10664019 Mus musculus cDNAクローン、無機ピロホスファターゼ、NML Mus musculus cDNAクローン、2−4−ジエノイル−CoAレダクターゼミトコンドリア、3−HAI、3−ヒドロキシアントラニル酸3−4−ジオキシゲナーゼ、94kDaグルコース調節タンパク質、Nrf2の細胞質ゾル阻害剤、血清アルブミン、及び遅延相違器応答タンパク質6が含まれる。1以上の付加物タンパク質を単離し、次いで、本開示のアセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体を使用して上記のような付加物タンパク質の量を検出することができる。
(b)対象においてアセトアミノフェン誘発毒性を検出する方法
ある態様において、本開示は、対象から得られた生物学的試料中で測定されたアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量に基づいて対象を分類する手段を提供する。この方法は、一般に、(i)アセトアミノフェン−タンパク質付加物に特異的に結合する抗体を用いて、対象から得られた生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を測定することと、(ii)前記試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を基準値に対して比較することと、(iii)前記対象を、前記試料中で測定されたアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量に基づいて、高い量または低い量のアセトアミノフェン−タンパク質付加物を有するものとして分類することを含む。任意に、当該方法は、(i)対象から生物学的試料を入手し、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に特異的に結合する抗体を用いて、前記試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を測定することと、(ii)前記試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を基準値に対して比較することと、(iii)前記対象を、前記試料中で測定されたアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量に基づいて、高い量または低い量のアセトアミノフェン−タンパク質付加物を有するものとして分類することを含む。前述の方法では、1以上のアセトアミノフェンタンパク質付加物を測定することができる。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10のアセトアミノフェンタンパク質付加物を測定することができる。前記対象から生物学的試料を入手し、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に特異的に結合する抗体を用いて、前記試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を測定する方法が上記で詳述されている。好ましい実施形態において、前記生物学的試料は、血液、血漿、血清、尿及び唾液からなる群から選択される生物学的液体である。特定の実施形態では、前記アセトアミノフェン−タンパク質付加物は、3−(システイン−S−イル)アセトアミノフェン−タンパク質付加物である。
当技術分野において知られた任意の適切な基準値を使用することができる。例えば、適切な基準値は、正常な肝機能を有する同じ種の対象または対象群から入手した、生物学的液体試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量であり得る。別の例では、適切な基準値は、検出可能なアセトアミノフェン誘発毒性を有さない同じ種の対象または対象群から得られた生物学的液体試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量であり得る。別の例において、適切な基準値は、AST、ALT、ビリルビン、INRまたは肝機能の他の非特異的バイオマーカーによって測定されるアセトアミノフェン誘発毒性を有する同じ種の対象または対象群から得られた、生物学的液体試料中におけるアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量であり得る。例えば、適切な基準値は、ALTレベル>1000IUにより測定されたアセトアミノフェン誘発毒性を有する同じ種の対象または対象群から得られた、生物学的試料中におけるアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量であり得る。別の例において、適切な基準値は、当該分野で既知の方法により決定されたアッセイのバックグラウンド信号であり得る。別の例では、適切な基準値は、同じ対象から得た基準試料中におけるアセトアミノフェン−タンパク質付加物量の測定値であり得る。この基準試料は、試験試料と同じ種類の生物学的液体を含み、肝機能が正常であるときは、前記対象から得られてもよく得られなくてもよい。当業者は、対象が健常な場合に、対象から基準試料を得ることが常に可能であるとか、または常に望ましいとは限らないことを理解するであろう。例えば、急性の設定では、基準試料は、症状を呈したときに対象から得られた最初の試料であってよい。別の例では、治療の有効性をモニターする場合、基準試料は、治療が開始される前の対象から得られた試料であり得る。このような例において、対象は疑わしいアセトアミノフェン誘発毒性を有する可能性があるが、アセトアミノフェン誘発毒性の他の症状を有していない可能性があり、或いは、前記対象は疑わしいアセトアミノフェン誘発毒性及びアセトアミノフェン誘発毒性の1以上の他の症状を有する可能性がある。特定の実施形態において、適切な基準値は、他の方法によって予め決定された閾値であってよい。例えば、適切な基準値は、電気化学的検出を備えた高速液体クロマトグラフィー(HPLC−EC)により測定された、1nmol/mLのアセトアミノフェン−タンパク質付加物に対応する値であり得る。
本開示によれば、対象は、前記試料中で測定されたアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量に基づいて分類され得る。対象から得られた生物学的液体の試料中で測定されたアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量に基づいて対象を分類することは、アセトアミノフェン誘発性の曝露及び/または毒性を伴う対象を同定するために使用され得る。「アセトアミノフェン誘発毒性」という用語を、以下で詳細に説明する。一般的に言えば、対象は、基準値と比較して高いかまたは低いアセトアミノフェン−タンパク質付加物量を有するものとして分類され、ここでのアセトアミノフェン−タンパク質付加物の高い量とは前記基準値を超える量であり、また低い量とは前記基準値以下の量である。好ましい実施形態において、対象を、高い量のアセトアミノフェン−タンパク質付加物を有するものとして分類することは、前記基準値と比較した試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量が少なくとも5%大きい可能性がある。例えば、試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量は、前記基準値よりも、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%大きい。他の実施形態では、前記基準値と比較して、対象から得た生物学的液体の試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量は、少なくとも2倍に増加し得る。例えば、前記基準値と比較して、試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量は少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、または少なくとも50倍増加し得る。
別の態様において、本開示は、対象においてアセトアミノフェン誘発性の曝露及び/または毒性を検出するための手段を提供する。本明細書で使用される「アセトアミノフェン誘発毒性」という用語は、アセトアミノフェンによる肝臓の損傷または破壊を言う。アセトアミノフェンは、過剰服用量で摂取したとき、及び時には治療的範囲内で導入されたときでさえも、肝臓を傷つける可能性がある。肝臓の損傷は、薬物自体によるものではなく、肝臓においてシトクロムP−450酵素により生成される有毒な代謝産物(N−アセチル−p−ベンゾキノンイミンNAPQIまたはNABQI)に起因する。過剰服用量では、大量のNAPQIが生成され、これが解毒プロセスを圧倒して肝細胞の損傷を引き起こす。肝障害の危険性は、摂取される服用量、アルコールまたは他の薬物の同時摂取、摂取と解毒の間の間隔等を含む幾つかの因子によって影響を受ける。肝臓に対して有害な服用量は、人によってかなり変化し、慢性的なアルコール依存症ではより少量である。
当技術分野で知られている肝毒性の原因は数多くあり、外傷、腫瘍性疾患、細菌性またはウイルス性感染症、毒素、毒物、環境または他の物質への曝露が含まれるが、これらに限定されない。肝機能のバイオマーカーは当該技術において周知である。肝臓障害のバイオマーカーの非限定的な例には、上昇したAST、ALT、ビリルビン及びPT(INR)が含まれる。しかしながら、体液中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の増加は、アセトアミノフェンが肝臓損傷を引き起こしたか、またはそれに寄与したことを証明し得るものである。
アセトアミノフェン誘発毒性の検出に加えて、アセトアミノフェンでの治療及びアセトアミノフェン毒性の様々な特徴を調査分析するために本開示の方法を使用できることもまた、当業者に理解されるはずである。本開示の方法は、治療での服薬遵守を判定するために、対象によるアセトアミノフェンの摂取レベルを決定するために使用し得る。或いは、本開示の方法は、アセトアミノフェン毒性の重篤度を決定するために使用し得る。例えば、本開示の方法は、アセトアミノフェンの正常な準毒性レベルを決定し、それによってアセトアミノフェン毒性を排除するように使用し得る。本開示の方法はまた、解消される良好な予後を伴ったアセトアミノフェン毒性を診断するために使用し得る。或いは、本開示の方法は、死亡または肝臓移植の必要性をもたらすような、悪い予後を伴ったアセトアミノフェン毒性を診断するために使用し得る。本開示の方法はまた、慢性的なアセトアミノフェン曝露を決定するために使用し得る。本明細書で使用される「慢性的なアセトアミノフェン曝露」という用語は、長時間に亘って反復する治療的用量を超えるアセトアミノフェンへの曝露、例えば、治療的用量を超える量のアセトアミノフェンの摂取、または徐放性アセトアミノフェン製剤の使用によって引き起こされるような、アセトアミノフェン毒性を記述するために使用し得る。加えて、本開示の方法は、急性アセトアミノフェン曝露を決定するために使用し得る。本明細書で使用する「急性アセトアミノフェン曝露」という用語は、1回の大量のアセトアミノフェン摂取により引き起こされるアセトアミノフェン毒性を記載するために使用し得る。
本開示の方法は、アセトアミノフェン毒性を診断する他の方法、または他の臨床診断方法と組み合わせて使用することができる。加えて、本開示の方法は更に、対象の治療を含み得る。アセトアミノフェン毒性の標準的な治療の非限定的な例は、活性炭の投与、N−アセチルシステイン(経口またはIV)の投与、肝臓移植、及びそれらの組み合わせである。
各態様について、当該方法は一般に、(i)アセトアミノフェン−タンパク質付加物に特異的に結合する抗体を用いて、対象から得た生物学的試料中におけるアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を測定することと、(ii)該試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を基準値と比較することを含んでいる。任意に、当該方法は、(i)対象から生物学的試料を得ること、(ii)アセトアミノフェン−タンパク質付加物に特異的に結合する抗体を用いて、前記試料中におけるアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を測定することと、(iii)前記試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を基準値と比較することを含んでもよい。基準値と比較して前記試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量が多いことは、アセトアミノフェン誘発毒性を示すものである。前記アセトアミノフェン−タンパク質付加物の量は、定性的、半定量的または定量的な測定値であり得る。適切な抗アセトアミノフェン−タンパク質付加物抗体は、生物学的試料中においてアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を測定する方法と同様に、上記に記載されている。好ましい実施形態において、前記生物学的試料は、血液、血漿、血清、尿及び唾液からなる群から選択される生物学的液体である。
III.アセトアミノフェン−タンパク質付加物免疫原
本開示の別の態様は、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に対する特異性を有する抗体を産生するための、アセトアミノフェン−タンパク質付加物免疫原を提供する。この新規な免疫原は、免疫原性担体タンパク質(CP)を2−イミノチオラン(2−IT)で修飾して、末端スルフヒドリル基を備えた多数の5−炭素リンカー分子を有する高度に置換されたCPを提供することにより調製された。次いで、この2−IT修飾CPは、生合成的に調製されたN−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)との反応により、末端スルフヒドリル基において共有結合的に修飾された。特定の実施形態において、前記免疫原は、担体タンパク質−2−イミノチオラン結合−アセトアミノフェン免疫原である。従って、前記免疫原は、CP−2−IT−APAPと称することができる。
本明細書中で使用するとき、「担体タンパク質」は、それ自身で免疫応答を誘導して抗体を産生するために十分に大きくまたは複雑ではないペプチド、または他のハプテンとの結合に使用される任意のタンパク質である。担体タンパク質は、それが大きく且つ複雑であるため、結合したハプテンに対して免疫原性を与え、該ハプテン及び担体上のエピトープに対して産生される抗体を生じる。多くのタンパク質が担体として使用でき、免疫原性、可溶性、及びハプテンとの結合が達成され得る有用な官能基の利用可能性に基づいて選択される。適切な担体タンパク質の非限定的な例には、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ブルーキャリアタンパク質(ロコガイ[Concholepas concholepas]ヘモシアニン(CCH))及び卵白アルブミン(OVA)が含まれる。
2−イミノチオランはまた、2−ITまたはトラウト試薬と称することができる。2−イミノチオランは、第一級アミンと反応して、遊離スルフヒドリル基で終端した小さなスペーサーアーム(8.1オングストローム)を付加する小さなチオール化化合物である。2−イミノチオランは、チオール化(スルフヒドリル付加)のための環状チオイミデート化合物である。2−ITは、第一級アミン(−NH)と反応してスルフヒドリル(−SH)基を導入する一方、元のアミノ基と同様の電荷特性を維持する。他のリンカーもまた、該リンカーがアセトアミノフェン環構造の炭素3位に結合した硫黄を含むならば、2−ITの代わりに本発明の免疫原において使用することができる。硫黄の存在は、本発明の抗体を形成するために不可欠である。前記リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素であり得る。特定の実施形態では、前記リンカーは3、4、5または6個の炭素であってもよい。例示的な実施形態において、前記リンカーは5炭素である。
リンカーに結合された担体タンパク質は、当該分野では一般的な方法により、NAPQIと反応される。特定の実施形態において、CP−2−ITは、当該分野では一般的な方法により、NAPQIと反応される。CPに結合したリンカーのスルフヒドリル基を、NAPQIと反応させて本発明の免疫原を得ることは必須である。特定の実施形態において、2−ITのスルフヒドリル基は、NAPQIとの反応のための標的とし得る。
本発明者等は、CP−2−IT−APAPでの免疫化が、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に対して特異性を有するモノクローナル抗体を産生し得ることを発見した。即ち、CP−2−IT−APAPによる免疫化は、3−(システイン−S−イル)アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して特異性を有するモノクローナル抗体を生成し得る。本発明の免疫原を使用してモノクローナル抗体を作製する方法は、セクションIに記載されている。本発明の免疫原を使用すると、モノクローナル抗体は、遊離のアセトアミノフェンに対するよりも約2000〜3000倍更に効果的に、アセトアミノフェンタンパク質付加物に結合することができる。別の実施形態において、モノクローナル抗体は、遊離のアセトアミノフェンに対するよりも約8000倍更に効果的に、アセトアミノフェンタンパク質付加物に結合することができる。例えば、モノクローナル抗体は、遊離のアセトアミノフェン対するよりも約100倍、約250倍、約500倍、約1000倍、約1500倍、約2000倍、約2500倍、約3000倍、約3500倍、約4000倍、約4500倍、約5000倍、約5500倍、約6000倍、約6500倍、約7000倍、約7500倍、約8000倍、約8500倍、約9000倍、約9500倍、約10,000倍、約11,000倍、約12,000倍、約13,000倍、約14,000倍、約15,000倍、約16,000倍、約17,000倍、約18,000倍、約19,000倍、約20,000倍、約30,000倍、約40,000倍または約50,000倍更に効果的に、アセトアミノフェンタンパク質付加物に結合することができる。
定義
本明細書で使用する場合、「抗体」は、アセトアミノフェン−タンパク質付加物を特異的に認識する免疫グロブリン由来の分子を言う。本発明の抗体は、全長抗体(IgM、IgG、IgA、IgE)であってもよく、または抗体断片(Fab、F(ab’)2、scFv)であってもよい。抗体は、キメラであってもよく、ヒト化されていてもよい。
本明細書中で使用する場合、「CDR」は「相補性決定領域」を意味する。CDRは超可変領域とも呼ばれる場合がある。
本明細書で使用する場合、「軽鎖」は抗体の小さい方のポリペプチドサブユニットである。典型的な抗体は、2つの軽鎖及び2つの重鎖を含んでいる。
本明細書中で使用する場合、「重鎖」は抗体の大きい方のポリペプチドサブユニットである。抗体の重鎖は、少なくとも1つの可変ドメイン及び少なくとも1つの定常ドメインを有する一連の免疫グロブリンドメインを含んでいる。
本明細書で使用する「ヒト化」とは、ヒト細胞培養物において発現できる構築物を作製する組換えDNAを用いて、モノクローナル抗体を産生するプロセスを言う。これらの構築物を産生するための任意の既知技術が、本発明の目的のために機能するであろう。
本明細書で使用する「一本鎖可変断片」または「scFv」または「scFvs」は、リンカーを介して連結された、免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の可変領域の融合タンパク質を言う。幾つかの実施形態において、リンカーは約10〜25アミノ酸のペプチドである。
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために含めるものである。以下の実施例に開示される技術は、本発明の実施において良好に機能することを本発明者等が見出した技術を表し、従って、その実施のための好ましい態様を構成すると考え得ることを、当業者は理解すべきである。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示された特定の実施形態において多くの変更がなされ得ること、及び同様のまたは類似の結果が得られることを理解すべきである。
実施例1.アセトアミノフェン−タンパク質付加物に対して特異的なモノクローナル抗体の産生
アセトアミノフェン(APAP)(パラセタモールとも呼ばれる)の肝毒性は、3−(システイン−S−イル)アセトアミノフェンとしてタンパク質に共有結合する反応性代謝物のN−アセチル−p−ベンゾキノンイミンによって媒介される。これらアセトアミノフェン−タンパク質付加物は、アセトアミノフェンへの曝露の特異的バイオマーカーであり、これら付加物のレベル上昇は、アセトアミノフェン毒性の特異的バイオマーカーである。本開示は、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に対する特異性を有するモノクローナル抗体の調製のための、新規で固有の免疫原を記載するものである。得られた抗体は、アセトアミノフェン媒介毒性の発病の際に生理学的に形成されるアセトアミノフェン−タンパク質付加物と特異的に反応する。
本発明者等は、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して特異性を有する抗体を調製する目的で、新規な免疫原を着想し、合成した。この新規な免疫原は、2−イミノチオラン(2−IT)で免疫原性担体タンパク質(CP)を修飾し、末端スルフヒドリル基を備えた多数の5−炭素リンカー分子を有する高度に置換されたCPを提供することによって調製された。次いで、この2−IT修飾CPを、合成的に調製したN−アセチル−p−ベンゾキノンイミンとの反応により、末端スルフヒドリル基で共有結合的に修飾した。略記のために、該担体タンパク質−2イミノチオラン結合アセトアミノフェン免疫原を、CP−2−IT−APAPと称する。ウサギをCP−2−IT−APAPで免疫化すると、生理学的に形成された3−(システイン−S−イル)アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して特異性を有するポリクローナルウサギ抗体が産生され、これはアセトアミノフェンタンパク質付加物を固相抗原として用いたELISA及びラテラルフロー免疫アッセイにより確認された。続いて、CP−2−IT−APAP免疫原を用い、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に対して特異性を有するウサギモノクローナル抗体(mAb)を調製した。アセトアミノフェン−タンパク質付加物に対する精製された抗体の結合を確認するために、ELISAを実施した。ELISA実験では、抗原を4℃で一晩コーティングした。試料を1:250(上清及び通過画分)または4μg/mL(精製抗体)で開始する連続希釈で添加し、室温で1.5時間インキュベートする。ヤギ抗ウサギアルカリホスファターゼ結合二次抗体を、室温で1時間加える。基質溶液を加え、室温で15分間現像する。405nmで吸光度を測定する。図1のデータは、各試料についての反復(rep)1及び2の平均を表す。
実施例2.APAP−タンパク質付加物対遊離の非結合APAPとして、タンパク質に結合したAPAPの相対的阻害効力を決定するための競合ELISA
1:250の希釈率でのウサギモノクローナル抗体クローン14−12由来の組織培養上清を、RmAbの最終希釈が1:500となるように、阻害剤(BSA−APAPまたはAPAPの何れか)の連続4倍希釈液と混合した。APAPの最終濃度は、ELISAウェル当たり80、20、5、1.25及び0.31nmolであった。APAP−BSAの最終濃度(加水分解されたタンパク質からのAPAP−CysとしてのHPLC−ECによって定量化)は、ELISAウェル当たり10、2.5、0.625、0.156及び0.04pmolであった。
アセトアミノフェンタンパク質付加物を検出するために将来的に使用するための有望なRmAbクローンの選択は、免疫グロブリン産生の効率、APAP−タンパク質付加物(3−(システイン−S−イル)アセトアミノフェン)の検出に対する親和性、及び遊離薬物APAPの検出に対する相対的な不感受性に基づいている。
合成的に調製したアセトアミノフェン−タンパク質付加物(BSA−APAP)及び遊離の薬物(APAP)を競合ELISAで評価して、それらが固相に固定化されたアセトアミノフェンタンパク質付加物へのクローン14−12ウサギモノクローナル抗体の結合を阻害する相対的能力をモルベースで決定した。データは阻害パーセントとしてプロットされ、タンパク質付加物としてのAPAP−Cysの1分子と同じ阻害効力を生じるためには、約8,000の遊離APAP分子が必要とすることを示している(図2)。言い換えれば、クローン14−12抗体は、このELISAの状況で測定した場合に、遊離APAPに対してよりも、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して約8000倍高い親和性を有する。
ウサギモノクローナル抗体(RMAb)14−12及びウサギモノクローナル抗体(RMAb)22−8を用いて、競合ELISAを繰り返した。簡潔に言えば、ELISAプレートを200ng(タンパク質)/ウェルのBSA−APAPでコーティングした。RMAbクローン上清(1:250希釈)を等体積の阻害剤の連続4倍希釈液と合体させて、1:500の最終抗体希釈液、及び示されたAPAP−BSA及びAPAPの最終濃度を得た。BSA−APAPは、ウシ血清アルブミン(BSA)をN−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)と反応させて、BSA(BSA−APAP)上に3−(システイン−S−イル)アセトアミノフェンタンパク質付加物を形成することにより調製された(BSA−APAP)。インキュベーション及び洗浄の後、HRPに結合したヤギ抗ウサギIgGの後に基質TMBを用いて結合したRMAbを検出し、ELISAプレートリーダーを用いて発色を決定した。希釈緩衝液は、0.15M NaClを含有するリン酸緩衝生理食塩水pH7.4中の0.025%(w/v)非脂肪乳タンパク質であった。
上記に示されるように、クローン14−12抗体は、このELISAの状況で測定したときに、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して、遊離のAPAPに対してよりも約8000倍高い親和性を有する。更に、クローン22−8抗体は、このELISAの状況(図3)で測定したときに、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して、遊離APAPに対してよりも約1250倍高い親和性を有する(図3)。
実施例3.ラテラルフローアッセイの試験バンドにおいて固定化された、アセトアミノフェンタンパク質付加物へのRMAbの結合
ラテラルフローアッセイの試験バンドにおいて固定化されたアセトアミノフェンタンパク質付加物へのRMAbの結合は、希釈緩衝液(0.02%NaN及び0.125%(W/V)非脂肪乾燥ミルクを含有するリン酸緩衝化生理食塩水)中において、RMAbの連続希釈液を調製することにより決定された。結合したRMAbは、ヤギ抗ウサギIgGに吸着させた40nmの金ナノ粒子を用いて検出された。RMAb(μg/mL IgG)の対数プロット対試験バンドの読み取り値(任意の反射率単位)は、0.01μgのRMAbが、約20,000の試験バンド反射率を与えることを示す(図4)。0.1μg/mlの溶液100μlを用いたことに基づいて、0.01μgの値を算出した。その後のラテラルフロー形式の競合阻害アッセイでは、この量のRMAbが使用された。試験バンド抗原は、APAP−タンパク質付加物を産生するように、NAPQIで修飾された卵白アルブミンであった。
実施例4.RMAbクローン14−12及び22−8を用いた競合ラテラルフロー免疫アッセイ:親薬物(APAP)対付加物(APAP−タンパク質)の阻害剤としての相対的効力
次に、RMAbを用いたラテラルフロー形式の競合阻害アッセイを行った。RMAbを0.2μg/mlに希釈し、このAb濃度を等体積の阻害剤、即ちBSA−APAPまたはAPAPの何れかと組み合わせて、各100μlラテラルフローアッセイに適用される最終濃度が0.01μg RMAbに、また指定された阻害剤の最終濃度になるようにした。データは、RMAbを用いたラテラルフローアッセイが、1.19〜0.0186μMの7連続2倍希釈範囲のAPAP−タンパク質付加物を検出し、また2500〜78μM(最終濃度)の6連続2倍希釈範囲のAPAPを検出したことを示している(図5)。まとめると、このデータは、アッセイがAPAPタンパク質付加物(APAP−Cys)の検出について鋭敏であり、APAPの検出に対しては遥かに低感度(>8000倍)であることを示す。言い換えれば、APAP−Cysの1分子は、試験バンドに固定化されたAPAP−タンパク質付加物へのRMAb結合の阻害について、1molのAPAPよりも約8000倍強力である。
次に、同じ競合アッセイを実施したが、APAP−タンパク質付加物は、APAP毒性患者の血清から生理学的に形成されたAPAP−タンパク質付加物であった。阻害剤のAPAPタンパク質付加物濃度は、HPLC−ECによって決定した。ヒトAPAP−タンパク質付加物及びAPAPを、対照ヒト血清で希釈した。該データは、このアッセイがAPAP−タンパク質付加物(APAP−Cys)の検出について鋭敏であり、APAPの検出については遥かに感度が低いことを再度示した(図6)。
実施例5.アセトアミノフェン毒性についての免疫アッセイの開発
NAPQI付加タンパク質の同定は、アセトアミノフェン毒性に対する特異的免疫アッセイの開発を可能にし得る。一実施形態では、タンパク質特異的抗体を競合免疫アッセイにおいて使用することができ、ここではアセトアミノフェン−タンパク質付加物に対して特異的な抗体の限定量を、アセトアミノフェン−タンパク質付加物を含むと推定される試料と混合してよく、該付加物は、もし試料中に存在すれば、合成により調製された固定化されたアセトアミノフェン−タンパク質付加物への抗体の結合を阻害するであろう。この方法は、試料中の如何なる(システイン含有)タンパク質が付加されたかには関係なく、全付加物(全てのアセトアミノフェン−タンパク質付加物を含む)を測定する。典型的な例には、図2のELISA、ならびに図5及び図6のラテラルフローアッセイが含まれる。
別の実施形態では、タンパク質特異的抗体を用いて、付加したタンパク質(複数可)を捕捉及び単離することができ、次いで、アセトアミノフェン−システイン付加物(全付加物)に対して特異的な第2抗体を用いて該タンパク質の付加を検出することができる。
ヒトアセトアミノフェンの過剰服用及び曝露試料を分析して、異なる程度の重症度または毒性状況の中で、特定のタンパク質付加物の出現頻度を理解することができる。これを達成するために、システインを含み、従って付加物形成の候補であり、従ってヒト試料由来の特異的付加タンパク質を富化する特異的タンパク質を、抗体/親和性単離するための更なる方法論が開発され得る。例えば、(常磁性ビーズまたは他の固相マトリックス上の)特異的タンパク質に対する固相抗体を用いて、特異的タンパク質を捕捉するアッセイを実施でき、またタンパク質に結合したAPAPに対する特異性を備えた実施例1で産生したモノクローナル抗体を用いる付加物タンパク質の検出で補完することができる。本質的に、当該アッセイは、付加タンパク質を2回調べることを含み得る:即ち、1)特異的抗タンパク質抗体による捕捉、及び2)実施例1で産生されたハプテンタンパク質結合に特異的な抗体を用いた検出である。商業的に入手可能な抗タンパク質抗体、または本明細書に記載した用途について特に設計された新たに開発された抗体を使用できる。
好ましくは、当該アッセイは、前記付加されたタンパク質を、前記ハプテンタンパク質結合についての特異性を備えた実施例1で産生されたモノクローナル抗体を用いて捕捉し、また前記タンパク質に特異的な抗体で検出することによって調べることを含み得る。

Claims (27)

  1. 単離された抗体であって、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に対して特異的に結合するが、遊離のアセトアミノフェンには特異的に結合せず、また免疫原である担体タンパク質−2−イミノチオラン−APAPを認識し、(a)配列番号の軽鎖CDR1アミノ酸配列;(b)配列番号の軽鎖CDR2アミノ酸配列;(c)配列番号3の軽鎖CDR3アミノ酸配列;(d)配列番号4の重鎖CDR1アミノ酸配列;(e)配列番号の重鎖CDR2アミノ酸配列;および(f)配列番号の重鎖CDR3アミノ酸配列を含む、前記単離された抗体。
  2. 請求項1に記載の単離された抗体であって、配列番号14アミノ酸配列を備えた、前記抗体。
  3. 請求項1に記載の単離された抗体であって、配列番号13アミノ酸配列を備えた、前記抗体。
  4. 請求項1に記載の単離された抗体であって、配列番号17及び配列番号18からなる群から選択される核酸配列を含んだ核酸配列によりコードされる、前記抗体。
  5. 単離された抗体であって、アセトアミノフェン−タンパク質付加物に対して特異的に結合するが、遊離のアセトアミノフェンには特異的に結合せず、(a)配列番号の軽鎖CDR1アミノ酸配列;(b)配列番号の軽鎖CDR2アミノ酸配列;(c)配列番号9の軽鎖CDR3アミノ酸配列;(d)配列番号10の重鎖CDR1アミノ酸配列;(e)配列番号11の重鎖CDR2アミノ酸配列;および(f)配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を具備した、前記単離された抗体。
  6. 請求項5に記載の単離された抗体であって、配列番号15または配列番号16のアミノ酸配列を備えた、前記抗体。
  7. 請求項1または5に記載の単離された抗体であって、単鎖抗体、抗体断片、キメラ抗体、またはヒト化抗体からなる群から選択される、前記単離された抗体。
  8. 請求項1または5に記載の単離された抗体であって、遊離のアセトアミノフェンよりも2000倍以上更に効果的に、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して特異的に結合する、前記単離された抗体。
  9. 請求項1に記載の単離された抗体であって、遊離のアセトアミノフェンよりも8000倍更に効果的に、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して特異的に結合する、前記単離された抗体。
  10. 請求項1または5に記載の少なくとも1つの単離された抗体を含む免疫アッセイ。
  11. 生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を測定する方法であって、少なくとも1種の請求項1または5に記載の単離された抗体を含む免疫アッセイにより、対象から得られた生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を測定することを含む、前記方法。
  12. 生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を測定する方法であって、少なくとも1種の請求項1または5に記載の単離された抗体を含む免疫アッセイにより、対象から得られた生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を測定することを含む、前記方法。
  13. 請求項11または12に記載の方法であって、前記生物学的試料は、血液、血漿、血清、尿、唾液及び毛髪からなる群から選択される生物学的液体である、前記方法。
  14. 請求項11に記載の方法であって、前記抗体は遊離のアセトアミノフェンに対してよりも2000倍以上更に効果的に、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して特異的に結合する、前記方法。
  15. 請求項11または12に記載の方法であって、前記抗体は遊離のアセトアミノフェンに対してよりも8000倍更に効果的に、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して特異的に結合する、前記方法。
  16. 対象においてアセトアミノフェン誘発毒性を検出するための方法であって、(i)対象から得られた生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を、少なくとも1つの請求項1または5に記載の単離された抗体を用いた免疫アッセイにより測定することと、(ii)前記試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を基準値と比較し、ここで前記試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量が前記基準値と比較してより大きいことにより、前記対象におけるアセトアミノフェン誘発毒性が示されることを含む、前記方法。
  17. 対象においてアセトアミノフェン誘発毒性を検出するための方法であって、(i)対象から得られた生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を、少なくとも1つの請求項1または5に記載の単離された抗体を用いた免疫アッセイにより測定することと、(ii)前記試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を基準値と比較し、ここで前記試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量が前記基準値と比較してより大きいことにより、前記対象におけるアセトアミノフェン誘発毒性が示されることを含む、前記方法。
  18. 請求項16または17に記載の方法であって、前記アセトアミノフェン誘発毒性がアセトアミノフェン過剰服用に直接的にまたは間接的に関連している、前記方法。
  19. 請求項16または17に記載の方法であって、前記アセトアミノフェン誘発毒性が肝毒性である、前記方法。
  20. 請求項16または17に記載の方法であって、前記生物学的試料は、血液、血漿、血清、尿、唾液及び毛髪からなる群から選択される生物学的液体である、前記方法。
  21. 請求項16または17に記載の方法であって、前記生物学的試料は病因が未知の肝毒性を伴った対象由来である、前記方法。
  22. 請求項16に記載の方法であって、前記抗体は遊離のアセトアミノフェンに対してよりも2000倍以上更に効果的に、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して特異的に結合する、前記方法。
  23. 請求項16または17に記載の方法であって、前記抗体は遊離のアセトアミノフェンに対してよりも8000倍更に効果的に、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して特異的に結合する、前記方法。
  24. 対象における肝毒性がアセトアミノフェン誘発毒性によるものであるかどうかを決定する方法であって、(i)少なくとも1種の請求項1または5に記載の単離された抗体を使用する免疫アッセイによって、対象から得られた生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の存在及び/または量を測定することと、(ii)アセトアミノフェン−タンパク質付加物が存在するかどうかを決定し、アセトアミノフェン−タンパク質付加物が存在しなければ、前記対象における肝毒性はアセトアミノフェン誘発毒性によるものではなく、またアセトアミノフェン−タンパク質付加物が存在するならば、前記試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を基準値と比較し、ここでの前記基準値と比較した前記試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量の方が多いことにより、前記対象における肝毒性がアセトアミノフェン誘発毒性によるものであることが示されることを含む、前記方法。
  25. 対象における肝毒性がアセトアミノフェン誘発毒性によるものであるかどうかを決定する方法であって、(i)少なくとも1種の請求項1または5に記載の単離された抗体を使用する免疫アッセイによって、対象から得られた生物学的試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の存在及び/または量を測定することと、(ii)アセトアミノフェン−タンパク質付加物が存在するかどうかを決定し、アセトアミノフェン−タンパク質付加物が存在しなければ、前記対象における肝毒性はアセトアミノフェン誘発毒性によるものではなく、またアセトアミノフェン−タンパク質付加物が存在するならば、前記試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量を基準値と比較し、ここでの前記基準値と比較した前記試料中のアセトアミノフェン−タンパク質付加物の量の方が多いことにより、前記対象における肝毒性がアセトアミノフェン誘発毒性によるものであることが示されることを含む、前記方法。
  26. 請求項24に記載の方法であって、前記抗体は遊離のアセトアミノフェンに対してよりも2000倍以上更に効果的に、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して特異的に結合する、前記方法。
  27. 請求項24または25に記載の方法であって、前記抗体は遊離のアセトアミノフェンに対してよりも8000倍更に効果的に、アセトアミノフェンタンパク質付加物に対して特異的に結合する、前記方法。
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