以下、図面を参照して本発明の実施例に係るショベル(掘削機)について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
図1は、本発明の実施例に係るショベル100の側面図である。ショベル100の下部走行体1には、上部旋回体3が旋回機構2を介して旋回軸2X回りに旋回自在に搭載されている。上部旋回体3には運転室としてのキャビン10が搭載されている。キャビン10内にはコントローラ30、表示装置40等の各種機器が搭載されている。
上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてバケット6が取り付けられている。アーム5の先端には、ブレーカ、グラップル等、バケット6以外のエンドアタッチメントが取り付けられていてもよい。
ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成している。ブーム4、アーム5、バケット6はそれぞれ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9で油圧駆動される。上部旋回体3には、掘削アタッチメント以外のアタッチメントが取り付けられていてもよい。
バケットシリンダ9のロッド側端部とバケット6とはバケットリンク70によって連結されている。具体的には、バケットリンク70の上端側は、バケットシリンダトップピン64を介してバケットシリンダ9のロッド側端部及びアームリンク52に回動可能に連結されている。バケットリンク70の下端側は、バケットピン62を介してバケット6の後面にあるブラケットに回動可能に連結されている。また、バケットリンク70には、クレーン作業用のフック80が収納可能に且つ回動可能に取り付けられている。
フック80は、掘削作業時には、主にバケットリンク70で構成されるフック収納部50に収納される。バケット6の動作を妨げることがないようにするためである。一方、クレーン作業時にはフック収納部50からその先端が突出するように構成されている。
図2は、ショベル100の駆動系の構成例を示す図である。図2では、機械的動力伝達ライン、作動油ライン、パイロットライン、電気駆動・制御ラインが、それぞれ二重線、実線、破線、点線で示されている。
ショベル100の駆動系は、主に、エンジン11、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、及びコントローラ30を含んで構成されている。
エンジン11は、ショベル100の駆動源であり、例えば所定の回転数を維持するように動作し、出力軸がメインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれの入力軸に接続されている。
メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブ17に供給できる。本実施例では、斜板式可変容量型油圧ポンプである。メインポンプ14の吐出量は、例えば、コントローラ30からの制御信号に応じて不図示のレギュレータが斜板傾転角を調節することによって制御される。
パイロットポンプ15は、パイロットラインを介して各種油圧制御機器に作動油を供給できる。本実施例では、固定容量型油圧ポンプである。
コントロールバルブ17は、ショベル100における油圧システムを制御する油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左走行用油圧モータ1L、右走行用油圧モータ1R、及び、旋回用油圧モータ2Aのうちの一又は複数のものに対してメインポンプ14から受け入れた作動油を選択的に供給する。
以下の説明では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左走行用油圧モータ1L、右走行用油圧モータ1R、及び、旋回用油圧モータ2Aは、集合的に「油圧アクチュエータ」として参照される場合がある。
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作に用いる装置である。本実施例では、操作装置26は、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15から受け入れた作動油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに供給する。
各パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26のレバー又はペダルの操作方向及び操作量に応じた圧力とされる。各パイロット圧は、例えば圧力センサによって検出され、検出された値がコントローラ30に出力される。
コントローラ30は、ショベル100の動作を制御する制御装置であり、収納判定部31、制御部32、モード切替部33等の機能要素を有する。コントローラ30は、例えば、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータで構成されている。コントローラ30の各機能要素は、例えば、ROMに記憶されたプログラムをCPUがRAM上で実行することにより実現される。
ブームシリンダ圧センサ7aは、ブームシリンダ7のボトム側油室における作動油の圧力を検出し、検出した値をコントローラ30に出力する。
第1ケーブル35は、コントローラ30とコネクタ36を電気的に接続できるように構成されている。本実施例では、第1ケーブル35は、電路E1及び電路E2を含むケーブルハーネスである。
コネクタ36は、第1ケーブル35の端部に接続される電気部品である。本実施例では、プラグ等の接栓を受け入れ可能なレセプタクル等の接栓座である。コネクタ36は、第1ケーブル35に脱着可能に接続されていてもよい。
第2ケーブル37は、コネクタ36と検出装置51を電気的に接続できるように構成されている。本実施例では、第2ケーブル37は、電路E3及び電路E4を含むケーブルハーネスである。電路E3及び電路E4のそれぞれの一端には、コネクタ36に接続できるよう、プラグ等の接栓が取り付けられている。電路E3及び電路E4のそれぞれの他端は検出装置51に接続されている。
短絡ケーブル38は、コネクタ36に接続できるように構成されている。本実施例では、ループ状の電路E5を含むケーブルハーネスである。電路E5の両端には、コネクタ36に接続できるよう、プラグ等の接栓が取り付けられている。短絡ケーブル38は、コネクタ36に接続された場合、第1ケーブル35内の電路E1と電路E2とを短絡できる。
このように、コネクタ36は、検出装置51から延びる第2ケーブル37、及び、短絡ケーブル38に択一的に接続されるように構成されている。作業者は、例えば、ショベルで掘削作業を行う場合に、第2ケーブル37の代わりに短絡ケーブル38をコネクタ36に接続する。
検出装置51は、アタッチメントに収納可能なフック80の収納状態を検出する。本実施例では、検出装置51は、フック収納部50内にフック80が存在する場合に導通状態となり、フック収納部50内にフック80が存在しない場合に遮断状態となるスイッチであり、フック80が収納されるフック収納部50に設けられている。
表示装置40は、コントローラ30からの指令に応じて各種画像情報を表示する。本実施例では、表示装置40は、コントローラ30に接続される車載液晶ディスプレイである。表示装置40は、CAN等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されている。表示装置40は専用線を介してコントローラ30に接続されていてもよい。
モード切替スイッチ41は、ショベル100の作業モードを切り替えるためのスイッチである。作業モードは、ショベル100による作業の種別を意味し、例えば、クレーンモード、通常モード等を含む。本実施例では、モード切替スイッチ41は、表示装置40の画面上に配置されるタッチパネル上のソフトウェアスイッチである。但し、モード切替スイッチ41は、表示装置40の周辺に設置されたハードウェアスイッチであってもよく、キャビン10内の別の位置に設置されたスイッチであってもよい。
ここで、コントローラ30が有する機能要素である収納判定部31、制御部32、及び、モード切替部33について説明する。
収納判定部31は、フック80がフック収納部50に収納されているか否かを判定する。本実施例では、収納判定部31は、第1ケーブル35における電路E1と電路E2とが導通状態にあることを検知できた場合に、フック80がフック収納部50に収納されていると判定する。電路E1と電路E2とが導通状態にあるか否かは任意の手段によって検知される。
電路E1及び電路E2は、コネクタ36に第2ケーブル37が接続され且つ検出装置51が導通状態である場合に導通状態となる。或いは、コネクタ36に短絡ケーブル38が接続されている場合に導通状態となる。
制御部32は、ショベルの作業モードを自動的に切り替える。本実施例では、制御部32は、フック収納部50にフック80が収納されていないと収納判定部31が判定した場合に、ショベル100の作業モードをクレーンモードに切り替える。この場合、制御部32は、例えば、通常モードのときよりもエンジン回転数を低くする制御信号をエンジン11に対して出力する。エンジン11の回転数を下げて掘削アタッチメントの動きを鈍化させることで、吊荷が揺れて他の物にぶつかったり落下したりしてしまうのを防止するためである。制御部32は、バケット開き動作等の掘削アタッチメントの所定の動作を制限する。フック80が掘削アタッチメントから突出している状態で掘削作業が行われてしまい、バケット6、フック80等が破損してしまうのを防止するためである。また、バケット6とフック80とが接触してしまうことで、正確な吊荷重の検出、正確な作業半径の検出等ができなくなってしまい、更には、それらに起因して誤った警報を出力してしまうのを防止するためである。
上述のようにコネクタ36に短絡ケーブル38が接続されている場合、制御部32は、ショベル100の作業モードをクレーンモードに切り替えることはない。収納判定部31は、フック80がフック収納部50に実際に収納されているか否か、或いは、検出装置51から延びる第2ケーブル37が断線しているか否かにかかわらず、フック80がフック収納部50に収納されていると判定するためである。このように、短絡ケーブル38は、フック80の収納状態と制御部32による作業モードの自動切り替えとを非連動にすることができる。そして、ショベル100は、短絡ケーブル38が取り付けられることにより、多様な作業現場のニーズに対応できるようになる。
クレーンモードでは、制御部32は、ブームシリンダ圧センサ7aの出力に基づいて吊荷の重量を算出し、定格重量近くになった場合に操作者に警報を発する。警報を発して定格重量以上の吊荷が吊り上げられてしまうのを防止し、ショベル100の安定を確保するためである。
モード切替部33は、操作者による作業モードの切り替えを可能にする。本実施例では、モード切替部33は、モード切替スイッチ41の出力に基づいてショベル100の作業モードを切り替える。モード切替部33は、例えば、モード切替スイッチ41が押下される度に、通常モードとクレーンモードとを交互に切り替える。3つ以上の作業モードを順番に切り替えるようにしてもよい。作業者は、例えば、フック80がフック収納部50に収納されている場合であっても、モード切替スイッチ41を押下することで、ショベル100の作業モードをクレーンモードに切り替えることができる。この場合、作業者は、ショベル100の動きを故意に鈍化させることができる。
フック80がフック収納部50に収納されていない場合には、作業者は、モード切替スイッチ41を押下したとしても、ショベル100の作業モードを通常モードに切り替えることができない。
ここで、図3を参照し、電路の接続状態について説明する。図3は、電路の接続状態を示す図である。
図3(A)に示すように、コネクタ36に第2ケーブル37が接続され且つ検出装置51が導通状態である場合、電路E1は、電路E3、検出装置51及び電路E4を介して電路E2に接続されている。そのため、電路E1と電路E2とは導通状態にあり、収納判定部31は、フック80がフック収納部50に収納されていると判定する。つまり、コントローラ30は、クレーンモードではなく通常モードであると判定する。
図3(B)に示すように、コネクタ36に第2ケーブル37が接続され且つ検出装置51が遮断状態である場合、電路E1は電路E3に接続され、電路E4は電路E2に接続されている。しかしながら、検出装置51が遮断状態であるため、電路E3と電路E4とは導通状態とはならない。そのため、電路E1と電路E2とは遮断状態にあり、収納判定部31は、フック80がフック収納部50に収納されていないと判定する。つまり、コントローラ30は、クレーンモードであると判定する。
図3(C)に示すように、コネクタ36に短絡ケーブル38が接続されている場合、電路E1は、電路E5を介して電路E2に接続されている。そのため、電路E1と電路E2とは導通状態にあり、収納判定部31は、フック80がフック収納部50に収納されていると判定する。この場合、収納判定部31は、クレーンモードではなく通常モードであると判定する。つまり、フック80の収納状態の検出とは無関係に、キャビン10内のモード切替スイッチ41の出力のみに基づき、クレーンモードと通常モードとを切り替えることができる。
図4は、図1の矢印II方向から見たフック収納部50の平面図である。図5は、フック収納部50の側面図である。図4及び図5は、フック収納部50にフック80が収納されている状態を示している。
フック収納部50は、バケットリンク70を含んで構成され、収納空間SPにフック80を収納する。フック80は、掘削作業時にフック収納部50の収納空間SPに収納され、クレーン作業時に収納空間SPから取り出されて使用される。
フック80は、先端に鉤型形状の鉤部81を有し、鉤部81が取り付けられた自在継手83が連結軸84によってフック支持部85に連結されている。フック支持部85は、バケットピン62に回動可能に連結されている。フック支持部85は、フック80がフック収納部50から取り出されたときに、バケットピン62から吊り下げられて鉤部81及び自在継手83を支持する。
バケットリンク70は、バケットピン62が挿通される下端側連結部71、72、バケットシリンダトップピン64が挿通される上端側連結部73、74、下端側連結部71と上端側連結部73とを結合する左側結合部75、及び、下端側連結部72と上端側連結部74とを結合する右側結合部76を有する。
左側結合部75は、図4の破線で示すように、下端側連結部71と上端側連結部73との間に設けられている左側板77を有する。右側結合部76は、下端側連結部72と上端側連結部74との間に設けられている右側板78を有する。左側板77と右側板78との間には、上端側横架板101が設けられている。
収納空間SPは、バケットピン62、左側結合部75、右側結合部76、及び、上端側横架板101に囲まれた空間である。フック80は、掘削作業時に収納空間SPに収納されている。収納空間SPには、上端側横架板101に接合されたフック受け部材102が設けられている。フック受け部材102は、左側板77及び右側板78に平行に設けられた板状部材であり、収納空間SPに収納されたフック80の鉤部81を収納ピン90と協働して保持する。
収納ピン90は、軸91、フック保持部92及び把持部93を有する。フック保持部92は、付勢部材としてのコイルバネ94によってフック受け部材102に向かって付勢されている。軸91は、右側板78に設けられている貫通孔に挿入され、軸方向(図4における左右方向)に摺動可能に設けられている。フック保持部92は、軸91のフック受け部材102側(−X側)の端部に設けられている。フック保持部92は、破線で示すように、フック受け部材102に設けられたピン受け孔102Hに摺動可能に組み込まれるよう、端部側(−X側)ほど外径が小さいテーパ形状を有する。把持部93は、軸91のフック保持部92とは反対側(+X側)の端部に設けられ、収納ピン90の操作に用いられる。
収納空間SPにフック80が収納されている状態(図4及び図5に示されている状態)から、クレーン作業を行うためにフック80を取り出す場合、作業者は、把持部93を掴み、フック保持部92がフック受け部材102から離れる方向に収納ピン90を引く。収納ピン90が引かれると、フック保持部92は、+X方向に移動する。そのため、フック保持部92とフック受け部材102との間で保持されていたフック80の鉤部81は、その保持状態から解放される。
鉤部81が保持状態から解放されると、作業者は、バケットピン62を中心にフック支持部85を回動させてフック80を収納空間SPから取り出すことができる。そして、フック80を収納空間SPから取り出し、鉤部81をバケットピン62から下方に吊り下げた状態にすることで、作業者は、クレーン作業が可能な状態を実現できる。
クレーン作業終了後にフック80を収納空間SPに収納する場合、作業者は、収納ピン90を引いてフック保持部92とフック受け部材102とを離間させる。この状態で、作業者は、バケットピン62の回りでフック支持部85を回動させて鉤部81をフック保持部92とフック受け部材102との間に挿入する。この後に収納ピン90を離すと、収納ピン90がコイルバネ94に付勢されてフック受け部材102に向かって変位し、フック保持部92とフック受け部材102との間に鉤部81が挟まれて保持される。具体的には、フック保持部92は、その先端が鉤部81の内側を通り抜け、且つ、その傾斜面が鉤部81の一方の側面と接触し、鉤部81の他方の側面をフック受け部材102に押し付ける。フック80は、鉤部81がフック保持部92に引っ掛かるように保持されることで、フック収納部50から脱落することなく収納される。
フック収納部50には、フック80の収納状態を検出する検出装置51が設けられている。本実施例では、検出装置51として近接スイッチが設けられている。検出装置51は、図4に示すように、台座53を介して左側板77に取り付けられている。検出装置51は、フック保持部92が収納位置に存在する場合に導通状態となる。フック保持部92の収納位置は、フック80が収納位置に存在するときのフック保持部92の位置である。フック保持部92の−X側の端部の位置は、フック80が収納位置に存在するか否かによって異なるためである。但し、検出装置51は、フック保持部92の位置にかかわらず、フック80が収納位置に存在する場合に導通状態となってもよい。また、検出装置51は、接触式であってもよく、非接触式であってもよい。また、検出装置51は、リミットスイッチ、近接センサ等の他の装置であってもよい。また、検出装置51は、フック受け部材102の−X側面で、収納ピン90のフック保持部92の先端部分が挿通されるピン受け孔102Hの近傍に取り付けられていてもよい。
フック80がフック収納部50に収納されている状態では、収納ピン90のフック保持部92がフック80の鉤部81の内周面に嵌り、フック保持部92とフック受け部材102との間で鉤部81が保持されている。
フック保持部92は、先端側(−X側)の外径がフック80の鉤部81の内径未満であって、後端側(+X側)の外径が鉤部81の内径以上になるように形成されている。従って、フック80がフック収納部50に収納され、収納ピン90がコイルバネ94に付勢されてフック保持部92が鉤部81に挿入されると、フック保持部92の中間部分が鉤部81の内周面に嵌った状態となる。更に、収納ピン90がコイルバネ94により付勢されることで、フック保持部92は鉤部81をフック受け部材102の+X側面に押し付けて固定保持する状態となる。
このように、フック80の収納時には、収納ピン90のフック保持部92がフック80の鉤部81に嵌り、フック保持部92とフック受け部材102との間で鉤部81が保持される。
フック80がフック収納部50から取り出されて使用されている状態では、収納ピン90は、フック80の収納時よりもフック受け部材102側に変位する。
フック受け部材102には、収納ピン90のフック保持部92に対向する位置に、フック保持部92の先端側の外径以上且つ後端側の外形未満の直径を有するピン受け孔102Hが形成されている。フック80がフック収納部50に無い場合には、収納ピン90がコイルバネ94により付勢され、フック保持部92の中間部分がピン受け孔102Hに嵌る位置まで収納ピン90がフック受け部材102側(−X側)に変位する。さらに、フック保持部92の先端部分は、フック受け部材102のピン受け孔102Hを貫通した状態となる。
このように、フック80がフック収納部50に収納されていない場合には、コイルバネ94に付勢された収納ピン90が、フック80が収納されている場合よりもフック受け部材102側(−X側)に変位する。
検出装置51は、フック80がフック収納部50から取り外されて収納ピン90が変位し、フック保持部92が検出領域に入った場合、すなわち、所定距離までフック保持部92が接近した場合、遮断状態(非導通状態)になる。検出装置51は、収納ピン90の軸方向において、フック保持部92と対向する位置に配設されている。
具体的には、検出装置51は、フック80がフック収納部50から取り出され、収納ピン90が変位してフック保持部92が所定距離まで接近すると遮断状態になる。
フック80がフック収納部50に収納されてフック保持部92がフック80の鉤部81に嵌り、フック保持部92が処理距離まで接近していない場合、検出装置51は導通状態になる。
検出装置51に関してフック保持部92が所定距離まで接近して検出装置51が導通状態から遮断状態に切り替わると、コントローラ30は、フック80がフック収納部50に収納されていないと判定する。本実施例では、検出装置51は、台座53、左側板77及び上端側横架板101に沿って配索されている第2ケーブル37を介してコントローラ30に接続されている。コントローラ30の収納判定部31は、収納ピン90のフック保持部92が検出装置51に接近した場合に、フック収納部50にフック80が収納されていないと判定する。収納判定部31によりフック80がフック収納部50に収納されていないと判定されると、制御部32は、ショベル100の作業モードをクレーンモードに切り替える。
次に、図6を参照し、掘削アタッチメントに対する第1ケーブル35の配索例について説明する。図6は、第1ケーブル35の配索例を示す図である。具体的には、図6(A)は、アーム5の周辺の側面図である。図6(B)は、図6(A)の破線で示す範囲R1の拡大図である。
図6(A)に示すように、コントローラ30から延びる第1ケーブル35の大部分は、バケットシリンダ9のロッド側油室及びボトム側油室に接続される管路である作動油ライン9aに沿って延びている。そして、アーム5の背面に達したところで作動油ライン9aから別れ、アーム5の背面に沿ってバケットリンク70の近傍まで延びている。
バケットリンク70の近傍では、図6(B)に示すように、アーム5の背面にコネクタ36が固定されている。コネクタ36は、検出装置51から延びる第2ケーブル37、及び、短絡ケーブル38に択一的に接続されるように配置されている。図6(B)の例では、第2ケーブル37は、コネクタ36から取り外され、収納空間SPに収納されている。第2ケーブル37は、コネクタ36及び検出装置51から取り外され、上部旋回体3の右前部に設けられた工具箱に収納されてもよい。また、第2ケーブル37及び検出装置51の双方が取り外されて工具箱に収納されてもよい。そして、コネクタ36には、短絡ケーブル38が接続されている。この場合、コントローラ30の収納判定部31は、フック80がフック収納部50に実際に収納されているか否か、或いは、検出装置51から延びる第2ケーブル37が断線しているか否かにかかわらず、フック80がフック収納部50に収納されていると判定する。つまり、フック80の収納状態の検出とは無関係に、キャビン10内のモード切替スイッチ41の出力のみに基づき、クレーンモードと通常モードとを切り替えることができる。
上述のように、本発明の実施例に係るショベル100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回可能に搭載される上部旋回体3と、上部旋回体3に取り付けられる掘削アタッチメントと、上部旋回体3に搭載されるコントローラ30と、コントローラ30から延びる第1ケーブル35と、第1ケーブル35の端部に接続されたコネクタ36とを備えている。そして、コネクタ36は、掘削アタッチメントに収納可能なフック80の収納状態を検出する検出装置51から延びる第2ケーブル37、及び、第1ケーブル35内の電路E1と電路E2とを短絡する短絡ケーブル38に択一的に接続されるように構成されている。すなわち、コネクタ36は、第1ケーブル35における電路E1と電路E2を常に導通状態にすることができ、フック80がフック収納部50に収納されているという判定結果が常に得られるようにしている。そのため、ショベル100は、フック80の収納状態と制御部32による作業モードの自動切り替えとを非連動にすることができる。これにより、多様な作業現場のニーズに対応できる。
ショベル100は、クレーンモードを含む2つ以上の作業モードを切り替え可能なモード切替部33を有していてもよい。この構成により、作業モードの手動切り替えが可能になる。そのため、操作者は、例えば、フック80の収納状態とは無関係にクレーンモードを選択できる。
コネクタ36は、望ましくは、バケットリンク70の近傍に配置されている。この構成により、コネクタ36は、検出装置51から延びる第2ケーブル37を短くすることができる。
以上、本発明の好ましい実施例が説明された。しかしながら、本発明は、上述した実施例に限定されることはない。上述した実施例は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形、置換等が適用され得る。また、上述の実施例を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
例えば、上述の実施例では、第1ケーブル35は、一対の電路E1及び電路E2を有し、検出装置51は、導通状態と遮断状態が切り替わるスイッチである。しかしながら、本発明はこの構成に限定されない。第1ケーブル35は、複数対の電路を有する構成であってもよく、一本の電路のみを有する構成であってもよい。一本の電路のみを有する構成の場合、検出装置51は、フック収納部50内にフック80が存在する場合にオン信号を出力するセンサであってもよい。この場合、第1ケーブル35内の電路を短絡する短絡ケーブル38は、常にオン信号を出力する装置として構成されてもよい。