JP6781974B2 - アドレノメデュリン凍結乾燥製剤の製造方法 - Google Patents

アドレノメデュリン凍結乾燥製剤の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6781974B2
JP6781974B2 JP2016069864A JP2016069864A JP6781974B2 JP 6781974 B2 JP6781974 B2 JP 6781974B2 JP 2016069864 A JP2016069864 A JP 2016069864A JP 2016069864 A JP2016069864 A JP 2016069864A JP 6781974 B2 JP6781974 B2 JP 6781974B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peptide
adrenomedullin
amino acid
acid sequence
lyophilized preparation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016069864A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017178866A (ja
Inventor
和雄 北村
和雄 北村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Miyazaki
Original Assignee
University of Miyazaki
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by University of Miyazaki filed Critical University of Miyazaki
Priority to JP2016069864A priority Critical patent/JP6781974B2/ja
Publication of JP2017178866A publication Critical patent/JP2017178866A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6781974B2 publication Critical patent/JP6781974B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

本発明は、アドレノメデュリン又はその修飾体を有効成分として含有する凍結乾燥製剤の製造方法に関する。
アドレノメデュリン(adrenomedullin、以下、「AM」とも記載する)は、1993年に褐色細胞組織より単離及び同定された生理活性ペプチドである(非特許文献1)。発見当初、AMは、強力な血管拡張性の降圧作用を発揮することが判明した。例えば、特許文献1は、ヒトAMのアミノ酸配列を含む血圧降下作用を有するペプチドを記載する。
その後の研究により、AMは、心血管保護作用、抗炎症作用、血管新生作用及び組織修復促進作用等の、多彩な薬理作用を発揮する多機能性生理活性物質であることが明らかになった。また、AMの薬理作用を、疾患治療に応用することを目指して、種々の疾患患者に対するAMの投与研究が行われてきた。例えば、炎症性腸疾患、末梢血管疾患又は急性心筋梗塞の治療薬としてのAMの有用性が期待されている(非特許文献2)。
特許文献2は、アドレノメデュリン若しくはその誘導体であって、非細菌性の炎症を抑制する活性を有するもの、又はそれらの塩であって非細菌性の炎症を抑制する活性を有するものを有効成分として含有する非細菌性の炎症性腸疾患の予防又は治療剤を記載する。
特許文献3は、ステロイド製剤、免疫抑制剤又は生物学的製剤の使用が困難又は効果不十分な炎症性腸疾患の予防又は治療を必要とする患者における前記炎症性腸疾患の予防又は治療方法であって、有効量のアドレノメデュリン、その修飾体であって炎症を抑制する活性を有するもの、又は前記アドレノメデュリン若しくは前記修飾体の塩であって炎症を抑制する活性を有するものを前記患者に投与することを含む前記予防又は治療方法を記載する。
特許文献3には、合成ヒトAMを3.75%マンニトール溶液に溶解し、バイアルに封入したものを−30℃にて凍結保存することが開示されている。しかしながら、バイアル封入された溶解液を凍結保存するのみでは、品質安定性に欠け、製剤として長期間保存することができない。とりわけペプチド製剤に関しては、ペプチドの経時的分解、凝集、沈殿等、製剤の変性が生じやすい傾向があるので、品質安定な製剤を得るのはひときわ困難である。
特許第2774769号公報 特許第4830093号公報 国際公開第2012/096411号
Kitamura K, Kangawa K, Kawamoto M, Ichiki Y, Nakamura S, Matsuo H, Eto T. Adrenomedullin: a novel hypotensive peptide isolated from human pheochromocytoma. Biochem Biophys Res Commun, 1993年4月30日, 第192(2)巻, pp. 553-601 Kato, J., Kitamura, K.. Bench-to-bedside pharmacology of adrenomedullin. European Journal of Pharmacology, 2015年, 第764巻, p. 140-148.
このような場合、通常は凍結乾燥製剤の検討が行われる。凍結乾燥製剤の製造において、有効成分及び医薬品添加物からなる乾燥対象物の量や濃度を高くすると、安定性やその他の製剤特性(例えば外観(色、形状等)、含有水分量等)を含め、医薬品管理上重要な品質が損なわれる危険性がある。このため、溶媒、配合量、凍結乾燥条件等を厳密に設計することが求められる。そして、AM凍結乾燥製剤の製造方法はこれまで知られていない。
それ故、本発明は、AM凍結乾燥製剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、AM凍結乾燥製剤に最適な溶媒、配合量、凍結乾燥条件を見出した。本発明者らは、前記知見に基づき本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)以下の工程を含む、凍結乾燥製剤の製造方法;
(i)アドレノメデュリン又はその修飾体を、実質的に緩衝成分を含まない水溶液に溶解しペプチド溶液を調製する工程;及び
(ii)(i)で調製されたペプチド溶液を凍結乾燥する工程。
(2)実質的に緩衝成分を含まない水溶液が、D−マンニトール水溶液である、(1)の製造方法。
本発明により、長期安定性に優れたAM凍結乾燥製剤を提供することが可能となる。
本発明において、製剤化の対象となるアドレノメデュリン(AM)は、ヒト褐色細胞組織より単離及び同定されたヒト由来のペプチド(配列番号1、非特許文献1)だけでなく、例えばブタ(配列番号4)、イヌ(配列番号6)、ウシ(配列番号8)、ラット(配列番号10)又はマウス(配列番号12)等の他の非ヒト哺乳動物(例えば温血動物)由来のペプチド(オーソログ)であってもよい。生体内において、これらのペプチドは、そのアミノ酸配列中の2個のシステイン残基がジスルフィド結合を形成しており、且つC末端がアミド化されている。本明細書において、前記ペプチドであってジスルフィド結合及びC末端アミド基を有するものを、「天然型アドレノメデュリン」又は単に「アドレノメデュリン」と記載する場合がある。本発明は、前記のいずれのペプチドに対しても適用することができる。
本明細書において、「C末端のアミド化」は、生体内におけるペプチドの翻訳後修飾の一態様を意味し、具体的には、ペプチドのC末端アミノ酸残基の主鎖カルボキシル基がアミド基の形態へ変換される反応を意味する。また、本明細書において、「システイン残基のジスルフィド結合の形成」又は「システイン残基のジスルフィド化」は、生体内におけるペプチドの翻訳後修飾の一態様を意味し、具体的には、ペプチドのアミノ酸配列中の2個のシステイン残基がジスルフィド結合(-S-S-)を形成する反応を意味する。生体内で産生される多くの生理活性ペプチドは、はじめ分子量のより大きな前駆体タンパク質として生合成され、これが細胞内移行の過程で、C末端アミド化及び/又はシステイン残基のジスルフィド化のような翻訳後修飾反応を受けて、成熟した生理活性ペプチドとなる。C末端のアミド化は、通常は、前駆体タンパク質に対し、C末端アミド化酵素が作用することによって進行する。C末端アミド基を有する生理活性ペプチドの場合、その前駆体タンパク質においては、アミド化されるC末端カルボキシル基にGly残基が結合しており、該Gly残基がC末端アミド化酵素によってC末端アミド基に変換される。また、前駆体タンパク質のC末端側プロペプチドには、例えばLys-Arg又はArg-Arg等の塩基性アミノ酸残基の組合せの繰返し配列が存在する(水野、生化学第61巻、第12号、1435〜1461頁(1989))。システイン残基のジスルフィド化は、酸化的条件下で進行し得る。生体内においては、システイン残基のジスルフィド化は、通常は、前駆体タンパク質に対し、タンパク質ジスルフィド異性化酵素が作用することによって進行する。
前記アドレノメデュリン又はその修飾体は、下記:
(i)アドレノメデュリンのアミノ酸配列からなるペプチド、
(ii)アドレノメデュリンのアミノ酸配列からなり、且つ該アミノ酸配列中の2個のシステイン残基がジスルフィド結合を形成しているペプチド、
(iii)(ii)のペプチドにおいて、前記ジスルフィド結合が、エチレン基によって置換されているペプチド、
(iv)(i)〜(iii)のいずれかのペプチドにおいて、1〜15個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されているペプチド、
(v)(i)〜(iv)のいずれかのペプチドにおいて、C末端がアミド化されているペプチド、並びに
(vi)(i)〜(iv)のいずれかのペプチドにおいて、C末端にグリシン残基が付加されているペプチド
からなる群より選択されるペプチドであることが好ましい。
前記(i)〜(vi)のペプチドにおいて、(v)に包含される、アドレノメデュリンのアミノ酸配列からなり、C末端がアミド化されており、且つ該アミノ酸配列中の2個のシステイン残基がジスルフィド結合を形成しているペプチドは、成熟した天然型アドレノメデュリンに相当する。(i)のアドレノメデュリンのアミノ酸配列からなるペプチドは、C末端アミド化及びシステイン残基のジスルフィド化の翻訳後修飾を受ける前の(すなわち未成熟な)形態の天然型アドレノメデュリンに相当する。前記(i)〜(vi)のペプチドにおいて、前記で説明したペプチドを除く他のペプチドは、アドレノメデュリンの修飾体に相当する。
前記(ii)のペプチドは、前記(i)のペプチドの2個のシステイン残基のチオール基を空気酸化するか、又は適切な酸化剤を用いて酸化してジスルフィド結合に変換することにより、形成させることができる。前記(ii)のペプチドの立体構造は、天然型アドレノメデュリンの立体構造と実質的に同等となる。これにより、アドレノメデュリンの修飾体の活性を、天然型アドレノメデュリンと実質的に同等のものとすることができる。
前記(iii)のペプチドは、前記(ii)のペプチドのジスルフィド結合をエチレン基に変換することにより、形成させることができる。ジスルフィド結合からエチレン基への置換は、当該技術分野で周知の方法により、行うことができる(O. Kellerら、 Helv. Chim. Acta、 1974年、 第57巻、 p. 1253)。前記(iii)のペプチドを用いることにより、該ペプチドの立体構造を安定化させることができる。
前記(iv)のペプチドにおいて、欠失、置換若しくは付加されているアミノ酸残基は、1〜12個の範囲であることが好ましく、1〜10個の範囲であることがより好ましく、1〜8個の範囲であることがさらに好ましく、1〜5個の範囲であることが特に好ましく、1〜3個の範囲であることがもっとも好ましい。
前記(vi)のペプチドは、C末端アミド化酵素の作用によってC末端のグリシン残基がC末端アミド基に変換されて、前記(v)のペプチドに変換されることができる。それ故、前記(vi)のペプチドを対象に投与することにより、該対象の生体内において、一定時間経過後に、C末端アミド化されたペプチドを形成させることができる。
前記アドレノメデュリン又はその修飾体は、下記:
(a)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号1のアミノ酸配列からなり、且つ16位のシステイン残基と21位のシステイン残基とがジスルフィド結合を形成しているペプチド;
(b)配列番号4のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号4のアミノ酸配列からなり、且つ16位のシステイン残基と21位のシステイン残基とがジスルフィド結合を形成しているペプチド;
(c)配列番号6のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号6のアミノ酸配列からなり、且つ16位のシステイン残基と21位のシステイン残基とがジスルフィド結合を形成しているペプチド;
(d)配列番号8のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号8のアミノ酸配列からなり、且つ16位のシステイン残基と21位のシステイン残基とがジスルフィド結合を形成しているペプチド;
(e)配列番号10のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号10のアミノ酸配列からなり、且つ14位のシステイン残基と19位のシステイン残基とがジスルフィド結合を形成しているペプチド;
(f)配列番号12のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号12のアミノ酸配列からなり、且つ14位のシステイン残基と19位のシステイン残基とがジスルフィド結合を形成しているペプチド;
(g)前記(a)〜(f)のいずれかのペプチドにおいて、前記ジスルフィド結合が、エチレン基によって置換されているペプチド;
(h)前記(a)〜(g)のいずれかのペプチドにおいて、1〜15個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されているペプチド;
(i)前記(a)〜(h)のいずれかのペプチドにおいて、C末端がアミド化されているペプチド;並びに
(j)前記(a)〜(h)のいずれかのペプチドにおいて、C末端にグリシン残基が付加されているペプチド;
からなる群より選択されるペプチドであることがより好ましい。
前記(h)のペプチドにおいて、欠失、置換若しくは付加されているアミノ酸残基は、1〜12個の範囲であることが好ましく、1〜10個の範囲であることがより好ましく、1〜8個の範囲であることがさらに好ましく、1〜5個の範囲であることが特に好ましく、1〜3個の範囲であることがもっとも好ましい。
本発明の製造方法は、上記AM又はその修飾体を実質的に緩衝成分を含まない水溶液に溶解しペプチド溶液を調製する工程を含む。
AMのペプチド溶液を調製する際に緩衝成分を含むと、却ってAMが持つ極性(帯電性)により塩析が生じることが見出されたためである。ここで緩衝成分とは、製剤のpHを所定のpH範囲において維持する又は制御する効果を有する成分であり、典型的にはリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝剤を意味する。「実質的に」とは、AMを溶解させたペプチド溶液のpHを最終調整する程度の塩酸、リン酸等の無機酸及びその塩、酢酸、クエン酸、乳酸等の有機酸及びその塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の水酸化物等は含んでもよいことを意味する。溶解液のpHの最終調整は、必要に応じて行われる。すなわち、本工程は「緩衝成分を含まない水溶液に溶解する工程」とそれに続き「必要に応じて行われるその溶解液のpHを最終調製する工程」を包含する。
最終的に得られるペプチド溶液のpHは3.0〜9.0の範囲であることが好ましく、4.0〜7.0の範囲であることがより好ましい。また、pHの調整には、特に限定されないが、水酸化ナトリウム又は塩酸が好ましく用いられる。
ペプチド溶液には、必要に応じて、医薬品添加物事典(薬事日報社)に記載の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、懸濁化剤(塩化ベンザルコニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、モノステアリン酸グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、分散剤(クエン酸ナトリウム、軽質酸化アルミニウム、ポリソルベート、マクロゴール、デキストリン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、乳化剤(リセリン、プロピレングリコール、セタノール、レシチン、ラノリン、ラウリル硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(セタノール、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ラウロマクロゴール等)、等張化剤(ブドウ糖、D−ソルビトール、D−マンニトール、グリセリン、塩化ナトリウム等)、無痛化剤(クレアチニン、ベンジルアルコール等)、安定化剤(タウリン、アミノ酸、パラオキシ安息香酸エステル類、ベンジルアルコール、結晶セルロース、マクロゴール等)が挙げられる。これらの添加剤は単独で又は適宜組み合わせて用いることができる。
本発明において最も好ましい態様は、AMを等張化剤であるD−マンニトールのみを添加した注射用水で溶解し、必要に応じて水酸化ナトリウム又は塩酸でpHを最終調整し、ペプチド溶液を調製するものである。
添加するD−マンニトールの量は、AM1mgあたりD-マンニトール1mg〜2500mg、好ましくはD-マンニトール50〜200mg、さらに好ましくはD-マンニトール100mgである。凍結乾燥製剤を再溶解後に注射剤として用いる場合に、斯様な配合量とすることで最適な浸透圧比を得ることができる。
以上で得られたペプチド溶液は、次工程の凍結乾燥対象量を必要最小量に抑え、安定性や他の製剤特性に優れた製剤の原料となる。
得られたペプチド溶液は、除菌フィルターを用いて除菌濾過する。除菌フィルターは、通常、公称 0. 22μm(あるいはそれ以下)の孔径をもった無菌フィルターか、少なくともそれと同等の微生物捕集能力をもつフィルターが用いられる。その後、ペプチド溶液はバイアル又はアンプルに注入し、次の凍結乾燥工程を行う。
本発明では、上記ペプチド溶液を凍結乾燥する工程をさらに含む。
「凍結乾燥」とは、上記のペプチド溶液を容器に所定量注入し、凍結乾燥法により乾燥させ固形物を得る工程をいう。具体的には、常圧下で冷却凍結する凍結過程、溶質に拘束されない自由水を減圧下で昇華乾燥する一次乾燥(昇華)過程、溶質固有の吸着水や結晶水を除去する二次乾燥(脱湿)過程の3つの過程による方法が挙げられる。それぞれの過程に適した温度は、凍結過程が−60℃〜−40℃、一次乾燥過程が−50℃〜0℃、二次乾燥過程の温度が4℃〜40℃である。一次乾燥過程の真空圧力は0.1〜50Paで制御されることが好ましく、1〜20Paで制御されることが好ましい。二次乾燥過程の真空圧力は、より高真空で制御されることが好ましい。一例として0.01〜10Paの高真空状態で行われることが好ましい。
上記の各過程を終えた後、乾燥庫内を復圧する。復圧の方法としては、無菌の空気または不活性ガス(例えば、無菌窒素ガス、無菌ヘリウムガスなど)を庫内に送入して約60〜90kPaまで一次復圧し、次いで必要に応じて、更に復圧(二次復圧)する方法が好ましい。バイアルの打栓は、一次復圧後に行うのが好ましい。
本発明において最も好ましい態様は、凍結過程を−50℃、一次乾燥過程−50℃・10〜15Pa、二次乾燥過程30℃・高真空(数Pa程度以下)にて行う。
本発明の製造方法により得られたAM凍結乾燥製剤は、注射液で再溶解して用いる。再溶解は通常の手法にて行うことができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
1.凍結乾燥製剤の製造
(1)ペプチド原薬
合成ヒトアドレノメデュリン(配列番号1のアミノ酸配列からなり、16位のCysと21位のCysとがジスルフィド結合し、C末端がアミド化されているペプチド)は、株式会社ペプチド研究所で医薬品製造と同等の基準(Good Manufacturing Practice:GMP)にて合成されたものを原薬として購入した。純度は99%以上であった。
(2)ペプチド溶液の調製
(a) 10Lナルゲンに注射用水約6000gを投入後、D−マンニトール(三菱商事フードテック)79.5gを加え、注射用水での洗い込みの後、室温で撹拌溶解した。
(b) 溶解確認後、ヒトアドレノメデュリン826.8mg(原薬の純度及びペプチド含量で補正)を加え、注射用水での洗い込みの後、室温で撹拌溶解した。
(c)溶解を確認した後、注射用水での7300gに仮メスアップし、室温でさらに撹拌した。
(d) 上記の溶解液のpHが4.0〜7.0の範囲にない場合には、必要に応じて 1mol/L水酸化ナトリウム溶液または1mol/L塩酸溶液でpH調整する。
以上により、ペプチド溶液を得る。
(3)無菌濾過
(e)無菌ろ過用フィルター(0.22μm)により濾過した。
(4)凍結乾燥
(f)濾過したペプチド溶液をバイアル(不二硝子)に充填し、凍結乾燥機(共和真空技術)により凍結乾燥を行う。
(f−1)凍結過程:室温から−50℃に徐冷し、-50℃で4時間保持した。
(f−2)一次乾燥過程:13.3Pa減圧制御下で実施した。−10℃に昇温し、40時間以上保持した。
(f−3)二次乾燥過程:装置の最大真空(1.3Pa以下)の減圧制御下で実施した。30℃に昇温し、6時間以上保持した。
(g)凍結乾燥後、窒素にて復圧し、−0.016MPaにて微陰圧打栓を行った。
以上の手順により、アドレノメデュリン0.5mg及びD−マンニトール50mg/1バイアル(5mL)の凍結乾燥製剤を得ることができた。
得られた凍結乾燥製剤は、日本薬局方一般試験法水分測定法(カールフィッシャー法)電量滴定法に準じて試験を行い、水分5.0%以下であることを確認した。
2.品質確認
上記により得られた凍結乾燥製剤を加速条件下(温度:25±2℃、湿度:60±5%)に置き、2箇月間にわたる品質の経時的変化を評価した。
(1)上記(a)から(g)の工程を経て作製した凍結乾燥製剤1バイアルに生理食塩液16mLを加えて試験試料を作製した。標準試料として、上記(a)から(d)の工程を経て作製したペプチド溶液を用いる。日本薬局方一般試験法液体クロマトグラフィー及び質量分析法に従い、高速液体クロマトグラフ/質量分析計(LCMS-8030、島津製作所)により保持時間およびマススペクトルの確認を行った。
凍結乾燥製剤及び標準試料の溶出時間は、表1に示すように、両試料に差は認められなかった。
Figure 0006781974
凍結乾燥製剤及び標準試料の検出マススペクトルは、表2に示すように、両試料に差は認められなかった。
Figure 0006781974
(2)上記(a)から(g)の工程を経て作製した凍結乾燥製剤1バイアルに生理食塩液5mLを加えて試験試料を作製した。日本薬局方一般試験法 液体クロマトグラフィーに従い、高速液体クロマトグラフ/質量分析計(LCMS-8030、島津製作所)により純度(メチオニン酸化体)の確認を行った。メチオニン酸化体の量は、試験試料より得たメチオニン酸化体のピーク面積と標準溶液から得たアドレノメデュリンのピーク面積から算出した。
メチオニン酸化体の量は、表3に示すように、低値を示し高い品質を保持していることを確認した。
Figure 0006781974
(3)上記(a)から(g)の工程を経て作製した凍結乾燥製剤1バイアルに生理食塩液5mLを加えて試験試料を作製した。日本薬局方一般試験法 液体クロマトグラフィーに従い、高速液体クロマトグラフ/質量分析計(LCMS-8030、島津製作所)により純度(類縁物質)の確認を行った。類縁物質の量は、試験試料の各々のピーク面積を自動積分法により測定し,面積百分率法により算出した。
最大類縁物質量及び合計類縁物質量は、表4に示すように、低値を示し高い品質を保持していることを確認した。
Figure 0006781974
(4)このほか、浸透圧比、pH、水分、製剤均一性、不溶性異物、不溶性微粒子、エンドトキシン、無菌性、定量性の各項目について、日本薬局方一般試験法で定める試験方法に即して品質確認を行った。この結果、いずれの試験においても、加速条件下2箇月後においても高い品質を保持しているが確認された。

Claims (1)

  1. 以下の工程を含む、再溶解後に注射剤として用いるための凍結乾燥製剤の製造方法;
    (i)アドレノメデュリン又はその修飾体を、実質的に緩衝成分を含まず且つアドレノメデュリン1mgあたり50〜200mgのD−マンニトールを含む水溶液に溶解しペプチド溶液を調製する工程;及び
    (ii)(i)で調製されたペプチド溶液を、常圧下−60℃〜−40℃で冷却凍結する凍結過程、
    凍結過程の生成物を、1〜20Pa減圧制御下、−50℃〜0℃で処理して溶質に束縛されない自由水を昇華乾燥する一次乾燥過程、及び
    一次乾燥過程の生成物を、0.01〜10Pa減圧制御下、4℃〜40℃で処理して溶質固有の吸着水や結晶水を除去する二次乾燥過程
    を含む、(i)で調製されたペプチド溶液を凍結乾燥する工程。
JP2016069864A 2016-03-31 2016-03-31 アドレノメデュリン凍結乾燥製剤の製造方法 Active JP6781974B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016069864A JP6781974B2 (ja) 2016-03-31 2016-03-31 アドレノメデュリン凍結乾燥製剤の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016069864A JP6781974B2 (ja) 2016-03-31 2016-03-31 アドレノメデュリン凍結乾燥製剤の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017178866A JP2017178866A (ja) 2017-10-05
JP6781974B2 true JP6781974B2 (ja) 2020-11-11

Family

ID=60004931

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016069864A Active JP6781974B2 (ja) 2016-03-31 2016-03-31 アドレノメデュリン凍結乾燥製剤の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6781974B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3820528B1 (de) * 2018-07-11 2023-08-30 Aquanova AG Solubilisat mit curcumin und zumindest einem cannabinoid als weiterem wirkstoff
FI3820527T3 (en) 2018-07-11 2023-09-28 Aquanova Ag XANTHOHUMOL CELL BILISATE

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6360940A (ja) * 1986-09-01 1988-03-17 Toyo Jozo Co Ltd 白内障の予防または治療剤
WO2006085697A1 (ja) * 2005-02-14 2006-08-17 Japan Health Sciences Foundation 脳血管疾患に対するアドレノメデュリンと間葉系幹細胞の併用療法
JP4993606B2 (ja) * 2005-06-16 2012-08-08 隆行 新藤 Ramp2を標的とする血管構造の安定化剤及び血管新生剤
US20100197586A1 (en) * 2007-09-11 2010-08-05 Dorian Bevec Use of secretin and optionally urodilatin as therapeutic agents
CN103458916B (zh) * 2011-04-07 2016-08-10 小利兰·斯坦福大学托管委员会 长效肽类似物
JP6218084B2 (ja) * 2012-10-04 2017-10-25 国立研究開発法人国立循環器病研究センター 悪性腫瘍転移抑制用医薬
US11414474B2 (en) * 2014-03-20 2022-08-16 University Of Miyazaki Long-acting adrenomedullin derivatives

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017178866A (ja) 2017-10-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2471879C (en) Pharmaceutical composition containing ghrelin
RU2381036C2 (ru) Фармацевтический препарат, включающий антитело против рецептора egf
JP7229999B2 (ja) ダプトマイシン製剤
WO2009016131A1 (fr) COMPLEXES ENTRE UN POLYMÈRE AMPHIPHILE ET UNE PROTÉINE OSTÉOGÉNIQUE APPARTENANT À LA FAMILLE DES BMPs
JP6281992B2 (ja) 神経疾患の治療に適したhgf製剤
EP3127914A1 (en) Long-acting adrenomedullin derivatives
WO2016047797A1 (ja) 注射用医薬組成物
JP6781974B2 (ja) アドレノメデュリン凍結乾燥製剤の製造方法
JP2010523501A (ja) Ghrh分子の医薬製剤
EA024937B1 (ru) Лиофилизированные препараты fgf-18
KR100700963B1 (ko) 켐토테신의 다당체 유도체를 함유하는 동결건조된 액상제제
JP6063064B2 (ja) 安定したノカチアシン凍結乾燥製剤
US20130245246A1 (en) Polysaccharides comprising carboxyl functional groups substituted by a hydrophobic alcohol derivative
AU2015344361B2 (en) Tau protein production accelerator, and therapeutic or preventive agent and therapeutic or preventive food composition for diseases caused by tau protein deficiency
KR20220034053A (ko) 재조합 단백질의 안정적인 제형
AU2022200329B2 (en) Amyloid beta fibril decomposing agent, and therapeutic or preventive agent and therapeutic or preventive food composition for diseases caused by amyloid beta fibril formation
JP6568846B2 (ja) Hgf凍結乾燥製剤
KR20230121823A (ko) Glp-1/glp-2 이중 효능제의 약학적 조성물
JP2023516957A (ja) ダプトマイシン製剤
EA026064B1 (ru) Твердая фармацевтическая композиция, полученная с помощью предварительной стадии замораживания и стадии лиофилизации
WO2022034545A1 (en) Etelcalcetide formulations for parenteral use
WO2022109679A1 (en) Peptides and uses thereof in modulation of amyloid-beta protein degrading proteases
JP2004168697A (ja) 網膜疾患治療剤
JP2016079187A (ja) 懸濁液剤
JPS61137828A (ja) γ−インタ−フエロン製剤組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190321

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200225

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20200316

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200316

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200423

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200923

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201006

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6781974

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250