JP2004168697A - 網膜疾患治療剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】網膜疾患治療剤の提供。
【解決手段】一般式(I):
His−Ser−Asp−Gly−Ile−Phe−Thr−Asp−Ser−Tyr−Ser−Arg−Tyr−Arg−Arg−Gln−X1−Ala−Val−Arg−Arg−Tyr−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−X2−R (I)
(式中、 X1は Leu, MetまたはNle;X2はGly, Gly−Arg, Gly−Lys, Gly−Lys−Arg,Gly−Arg−Argまたは化学結合;Rは −NH2または −OHを示すが、X2が化学結合の場合はX1はMetまたはNle; X2が化学結合以外の場合はX1はLeuを示す。)で表わされるペプチドまたは製薬学的に許容されるその塩を含有する網膜疾患の治療剤。
【選択図】なし
【解決手段】一般式(I):
His−Ser−Asp−Gly−Ile−Phe−Thr−Asp−Ser−Tyr−Ser−Arg−Tyr−Arg−Arg−Gln−X1−Ala−Val−Arg−Arg−Tyr−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−X2−R (I)
(式中、 X1は Leu, MetまたはNle;X2はGly, Gly−Arg, Gly−Lys, Gly−Lys−Arg,Gly−Arg−Argまたは化学結合;Rは −NH2または −OHを示すが、X2が化学結合の場合はX1はMetまたはNle; X2が化学結合以外の場合はX1はLeuを示す。)で表わされるペプチドまたは製薬学的に許容されるその塩を含有する網膜疾患の治療剤。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、網膜疾患の治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
網膜は角膜、水晶体および硝子体を透過して入射した光刺激を受容し、その情報を一次的に処理して脳に伝える器官である。この網膜が障害されると、重篤な場合、最終的には失明にいたる。このような網膜疾患の発症に、興奮性アミノ酸の上昇やATPの減少等、種々の生体内物質の変動などが原因するといわれているが詳細は不明である。また、網膜疾患は網膜組織の変性、網膜血管の閉塞あるいは外傷など網膜局所での要因だけでなく、高血圧や糖尿病等のような全身性疾患や加齢によっても惹起される。
【0003】
網膜疾患としては、例えば、網脈絡膜疾患(例えば、網膜血管閉塞症、網膜静脈周囲炎、Eales病、虚血性眼症候群および網膜細動脈瘤等の網膜血管異常;高血圧または腎疾患による網膜症;糖尿病網膜症;網膜色素上皮症;網膜変性症;網脈絡膜萎縮;網脈絡膜症;黄斑変性症;黄斑浮腫;網膜色素上皮剥離;網膜剥離;変性網膜分離症;網膜芽細胞腫、網膜色素上皮腫瘍、視神経乳頭毛細血管腫等の腫瘍;虚血性視神経症等の視神経症;うっ血乳頭/乳頭浮腫等の乳頭腫脹等);緑内障(例えば、開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、閉塞隅角緑内障等);視野変化の伴う高眼圧症、および光凝固による眼球後眼部合併症(例えば、黄斑部浮腫、網膜剥離、視神経炎、視野異常、光覚異常、色覚異常等)などが挙げられる。ここで、光凝固による眼球後眼部合併症とはレーザー照射による光凝固の際に発生するレーザー照射周辺部の循環の変化や凝固熱による炎症反応などによって誘発される疾患をいう。
【0004】
現在、網膜疾患の薬物療法としては、ビタミンE製剤であるニコチン酸トコフェロール、ペントキシフィリン等の微小循環改善剤、種々のステロイド剤、抗プロスタグランジン剤、消炎酵素製剤等の経口投与が行われている。しかしながら、当該治療では効果が十分でなかったり、血圧降下や胃腸障害等の副作用が問題となっている。また、緑内障の治療法としては、ピロカルピンを代表とするコリン作動薬、エピネフリン、ジピベフリン等の交感神経作動薬、チモロール、ピンドロール、カルテオロール等の交感神経β遮断薬等を局所投与(例えば点眼)するのが有用であるが、これらの作用機構に応じた種々の副作用が問題となっている。
【0005】
PACAP(Pituitary Adenylate Cyclase Activating Polypeptide、下垂体アデニレートサイクラーゼ活性化ペプチド)は、1989年、ヒツジの視床下部から下垂体培養細胞のアデニレートサイクラーゼを活性化させるバイオアッセイ系を指標に単離、構造決定された38個のアミノ酸残基よりなるペプチドである(非特許文献1参照)。PACAPは38アミノ酸残基からなるPACAP38の他、そのN末側27アミノ酸残基からなるPACAP27の2つのタイプの存在が知られている(例えば、非特許文献2参照) 。 PACAPは気管支平滑筋弛緩作用(例えば、非特許文献3参照)や末梢血管拡張作用(例えば、非特許文献4参照)などがあるが、中枢作用として神経細胞保護作用も注目されている(例えば、非特許文献5参照)。例えば、網膜では高眼圧負荷による網膜虚血再灌流障害モデルにおいてPACAP38の効果が報告されている(非特許文献6)。しかし、PACAPには一過性の気管支収縮作用があり、これは、気管支喘息やそれに類似するアレルギー患者にとっては致命的となる副作用となり医薬品として開発することは困難である(例えば、特許文献1参照)。一方、PACAPの誘導体については、気管支拡張剤、血流改善剤、育毛剤、消化管運動抑制剤および神経突起誘発剤などの用途が開示されているが、網膜疾患適用への言及はない(例えば、特許文献1〜5参照)。他に、PACAP類似体の用途として、脳血管虚血、運動ニューロン疾患、痴呆、心筋梗塞、網膜疾患等の数多くの疾患が列挙されている出願があるが、いずれも実施例の裏付けのない適用例である(特許文献6参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−226284号公報(第8頁、第1図)
【特許文献2】
特開平8−333276号公報
【特許文献3】
特開平9−100237号公報
【特許文献4】
特開平11−100399号公報
【特許文献5】
特開2001−151799号公報
【特許文献6】
特表2002−521390号公報
【非特許文献1】
ミヤタ( Miyata) A.他7名、「バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications)」、1989年、第164巻、p.567−574
【非特許文献2】
ミヤタ(Miyata) A. 他7名「バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ(Biochemical and biophysical research Communications)」1990年、第170巻、p.643−648
【非特許文献3】
ウォーレン(Warren) J.B.他6名 「ジャーナル カージオヴァスキュラー ファーマコロジー(Journal Cardiovascular Pharmacology)」 1992年、第20巻、p.83−87
【非特許文献4】
ヒラマツ(Hiramatsu) T.他3名 「アルツナイミッテル フォルシュンク ドラッグ リサーチ(Arzneimittel−Forschung/Drug Research)」1995年、第45巻、p.689−692
【非特許文献5】
アリムラ(Arimura) A.他6名 「アニュアルズ オブ ニューヨーク アカデミー オブ サイエンスシズ(Annals of New York Academy of Science)」 1994年、第739巻、p.228−242
【非特許文献6】
関 保 他3名「日本眼科学会雑誌」臨時増刊号、2002年、第106巻、p129、第106回日本眼科学会総会講演抄録 (演題149)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、網膜疾患治療剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、PACAPの神経細胞保護作用に着目して鋭意研究を重ねた結果、特許文献2および特許文献3に示されるPACAP誘導体が優れた網膜疾患治療効果を奏することを見出し、さらに研究を進めて本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)一般式 (I):
His−Ser−Asp−Gly−Ile−Phe−Thr−Asp−Ser−Tyr−Ser−Arg−Tyr−Arg−Arg−Gln−X1−Ala−Val−Arg−Arg−Tyr−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−X2−R (I)
(式中、 X1は Leu, MetまたはNle;X2はGly, Gly−Arg, Gly−Lys, Gly−Lys−Arg,Gly−Arg−Argまたは化学結合;Rは −NH2または −OHを示すが、X2が化学結合の場合はX1はMetまたはNle; X2が化学結合以外の場合はX1はLeuを示す。)で表わされるペプチドまたは製薬学的に許容されるその塩を含有する網膜疾患の治療剤;
(2)一般式(I)において、X1がLeu;X2がGly−Arg−Arg;Rが−NH2である前記(1)記載の治療剤;
(3)眼局所投与剤である前記(1)または(2)に記載の治療剤。
(4)硝子体内投与剤である前記(3)記載の治療剤;
(5)眼内灌流液である前記(3)記載の治療剤;および
(6)点眼液である前記(3)記載の治療剤
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の網膜疾患治療剤に用いられるPACAP誘導体は一般式(I)で示されるペプチドであり、 X1は Leu, MetまたはNleであり、X2はGly, Gly−Arg, Gly−Lys, Gly−Lys−Arg, Gly−Arg−Argまたは化学結合である。ここで、X2が化学結合の場合は、X1はMetまたはNleであり、X2が化学結合以外の場合は、X1はLeuである。Rは −NH2または −OHのいずれでもよいが、 −NH2がより好ましい。この中で、X1がLeu、X2がGly−Arg−Arg、Rが−NH2であるペプチドが最も好ましい。
本発明の一般式(I)に含まれるペプチドの代表例を表1に示した。ここに示したペプチド1〜8は、後記配列表の配列番号1〜8に対応するペプチドである。とりわけ、ペプチド8が有利に使用される。
【0011】
【表1】
*:Rは後記配列表におけるアミノ酸配列の3’ カルボキシル末端を示す。
【0012】
一般式(I)で示されるPACAP誘導体は、例えば、特許文献2および3に示されるように、公知のペプチド合成の常法にしたがって合成できる。
【0013】
一般式(I)で示されるペプチドの製薬学的に許容される塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基との塩;トリメチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン等の有機塩基との塩;塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、乳酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩;およびタンニン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等の重合酸との塩などが挙げられる。
【0014】
一般式(I)で示されるペプチドは、以下の特性を有する。PACAP27およびこれと極めて構造の類似した VIP(血管作動性腸管ペプチド)は、それらの分子の塩基性を高めることによって生物化学的な安定性を向上させることが明らかとなっており、それに伴って生理・薬理活性の効果延長を期待することができる (Kashimoto K et al.,Peptide Chemistry, 361−364,1996)。すなわち、PACAPを構成するアミノ酸のうち、15位、20位、21位のアミノ酸をアルギニンで置換したり、C末端側にアルギニンやリジンを付加することによってPACAPの塩基性を高めた誘導体は気管支拡張作用がより長時間持続することが示されている(特許文献2、実施例16参照)。また、PACAPを構成するアミノ酸残基の中で17位のメチオニン残基は酸化されやすいが、この箇所がロイシンまたはノルロイシンで置換されたペプチドは酸化に対して抵抗性を示す。以上の特性を有する一般式Iで示されるペプチドは、より安定で効果の持続する網膜疾患治療剤として使用できる。
【0015】
本発明の網膜疾患治療剤は、一般式(I)で示されるペプチドまたはその製薬的に許容される塩(以下、「ペプチド(I)」と略記することがある。)を、例えば製薬上許容される担体または賦形剤と合して、活性化合物を混合、溶解することを含む自体公知の製剤技術に従って製造することができる。そのような剤型のうち、経口的に投与される剤型としては、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、エアゾール剤およびその他の液剤が挙げられる。粉末、顆粒、錠剤等は、固形製剤に適する任意の製薬担体、例えば賦形剤(例えばデンプン、ブドウ糖、果糖、白糖、乳糖等)、滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等)、崩壊剤(例えばデンプン、結晶セルロース等)、結合剤(例えばデンプン、アラビアゴム等)等を用いて製剤化することができる。そのような固形製剤は、コーティング剤(例えばゼラチン、白糖等)または腸溶性コーティング剤(例えばフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、セラック等)でコーティングされていてもよく、これにより活性化合物を特に腸で放出することができる。シロップやその他の液剤の製剤化において、安定剤(例えばエデト酸ナトリウム等)、懸濁化剤(例えばアラビアゴム、カルメロース等)、矯味剤(例えば単シロップ、ブドウ糖等)、芳香剤等の様々な添加剤を適宜に選択して添加することができる。
【0016】
非経口的に投与する剤型としては、注射剤、坐剤等が挙げられる。注射剤は、溶剤(例えば注射用水等)、安定剤(例えばエデト酸ナトリウム等)、等張化剤(例えば塩化ナトリウム、並びにグリセリンおよびマンニトールなどの糖アルコール等)、pH調整剤(例えば塩酸、クエン酸、水酸化ナトリウム等)、懸濁化剤(例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等)およびその他の適当な添加剤を用いて製剤化できる。坐剤の製剤化においては、坐剤基剤(例えばカカオ脂、マクロゴール等)等を適宜に選択して使用することができる。
【0017】
局所的に投与する剤型としては、例えば、軟膏、クリーム剤、ローション剤、点鼻剤および眼局所用剤等が挙げられ、眼局所用剤がより好ましい。眼局所用剤としては、例えば点眼剤、眼軟膏、硝子体内投与剤、眼内灌流液あるいは徐放製剤等が挙げられ、硝子体内投与剤、眼内灌流液および点眼剤がより好ましい。点眼剤の製剤化においては、溶剤(例えば生理食塩水、滅菌精製水等)、安定剤(例えばエデト酸ナトリウム、クエン酸等)、乳化剤(例えばポリビニルピロリドン等)、懸濁化剤(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等)、界面活性剤(例えばポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、保存剤(例えば塩化ベンザルコニウム、パラベン類、クロロブタノール等)、緩衝剤(例えばホウ酸、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)、酢酸ナトリウム、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤等)、等張化剤(例えば塩化ナトリウム、グリセリン、マンニトール等)、pH調整剤(例えば塩酸、水酸化ナトリウム等)などを適宜選択して使用することができる。硝子体内投与剤あるいは眼内還流液として製剤化する場合、前記緩衝剤、等張化剤およびpH調整剤などを適宜選択して製剤化でき、また眼内還流・洗浄用製剤、例えばオペガードMA(商品名、千寿製薬)などに用時溶解して使用することもできる。眼軟膏の製剤化においては、軟膏基剤(例えばワセリン、ラノリン等)などを適宜に選択して使用できる。徐放製剤としては、コラーゲンなどのゲル成形剤や、ポリ乳酸等の生体分解性高分子を使った眼内埋込み製剤や強膜プラグ、あるいは生体非分解性の眼内埋込み製剤などを使用できる。
【0018】
また、ペプチド類がガラスあるいは樹脂容器に吸着するのを防止する目的で吸着防止成分を利用することができる。ここで利用される吸着防止成分は、保存容器の壁面に疎水結合して吸着を防止する化合物であり、より詳しくは分子内に疎水基を有し、かつ界面活性作用を有する化合物や、陰イオン荷電蛋白質である。前者の例としては、ポリオキシエチレンアルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、後者の陰イオン荷電蛋白質の例としてはゼラチン、アルブミン、ポリゲニン等が挙げられる。ゼラチンとしては日局精製ゼラチン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。吸着防止成分としてのゼラチン類は、1 種または2種以上を併用して用いてもよい。また、アルブミンとしては、ヒトに対する抗原性のないものが挙げられ、その濃度は、通常、0.01〜50w/v%程度、好ましくは0.1〜2.0w/v%程度配合するのがよい。吸着防止成分とペプチド 類とを溶解する溶媒としては、注射剤用や点眼剤用などの溶媒として生理学的に許容されるものであれば、いかなるものをも使用することができるが、好ましいものとしては例えば日局注射用水,生理食塩水などが挙げられる。その他に、容器内壁にシリコンコート等の加工を施すことによっても吸着防止の効果を上げることができる。
【0019】
本発明においては、ペプチド(I)を含有する網膜疾患治療剤を温血動物(ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、サル、ヒトなどの哺乳動物やハト、ニワトリ、七面鳥などの鳥類)に投与することにより網膜疾患を治療することができる。その投与量は、投与対象となる疾患、症状やその他の条件、投与方法およびその他の要因に依存する。ペプチド(I)を成人患者に投与する場合、一回あたりの投与量は、経口投与では通常0.1〜500mg、好ましくは1〜20mg、注射剤では通常0.00001〜100mg、好ましくは0.0001〜1mg投与することにより、所望の効果が得られる。局所投与する場合には、通常0.001〜3.0w/v%、好ましくは0.01〜0.5w/v%の濃度である点眼液を、1回20〜50μL、1日1〜8回程度点眼するのがよい。
【0020】
本発明の網膜疾患治療剤は、本発明の目的を損なわない限り、他の網膜疾患治療成分や他の薬効成分と併用することもできる。
【0021】
本発明の網膜疾患治療剤は次に挙げる疾患の治療剤として有用である。すなわち、網膜疾患として、網脈絡膜疾患(例えば、網膜血管閉塞症、網膜静脈周囲炎、Eales病、虚血性眼症候群および網膜細動脈瘤等の網膜血管異常;高血圧または腎疾患による網膜症;糖尿病網膜症;網膜色素上皮症;網膜変性症;網脈絡膜萎縮;網脈絡膜症;黄斑変性症;黄斑浮腫;網膜色素上皮剥離;網膜剥離;変性網膜分離症;網膜芽細胞腫、網膜色素上皮腫瘍、視神経乳頭毛細血管腫等の腫瘍;虚血性視神経症等の視神経症;うっ血乳頭/乳頭浮腫等の乳頭腫脹等);緑内障(例えば、開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、閉塞隅角緑内障等);視野変化の伴う高眼圧症、および光凝固による眼球後眼部合併症(例えば、黄斑部浮腫、網膜剥離、視神経炎、視野異常、光覚異常、色覚異常等)などが挙げられる。ここで、光凝固による眼球後眼部合併症とはレーザー照射による光凝固の際に発生するレーザー照射周辺部の循環の変化や凝固熱による炎症反応などによって誘発される疾患をいう。
【0022】
【実施例】
本発明を以下の実施例および試験例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
以下の合成例で用いた略称の意味は以下の通りである。
MBHA:pメチルベンズヒドリルアミン
Boc:t−ブトキシカルボニル基
Bom:ベンジルオキシメチル基
Bzl:ベンジル基
Cl2−Bzl:ジクロロベンジル基
Cl−Z:クロロベンジルオキシカルボニル基
OcHex:O−シクロヘキシル基
PAM:4−オキシメチルフェニルアセタミドメチル
Tos:p−トルエンスルホニル基
Xan:キサンチル基
【0023】
(合成例 1) ペプチド 1 の製造
配列番号 1 に示すアミノ酸配列を有するペプチド 1 をペプチド固相合成の常法に従い製造した.
MBHA 樹脂 HCl 塩 (polystyrene−1% divinylbenzene 共重合体、100〜200 mesh) をマニュアル合成用反応槽(ガラス製、φ6.0 x 29.5 cm)に加え、樹脂容量の2〜3倍量のメタノールで攪拌洗浄し、次いで、ジクロロメタン(樹脂容量の2〜3 倍量)で攪拌洗浄して樹脂を膨潤させた。10% トリエチルアミン/ジクロロメタンにて中和反応を行い、C 末端アミノ酸に相当する Boc−Leu−OH を樹脂の約2 倍当量用い、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび N−ハイドロキシベンゾトリアゾールを加えて縮合反応を行った。約 2 時間の反応(攪拌下)後、メタノールおよびジクロロメタンにて洗浄し、カイザー試験にてα−アミノ基の消失を確認後、50% トリフルオロ酢酸/ジクロロメタンにて 30 分間処理して脱保護を行った。次いで、10% トリエチルアミン/ジクロロメタンにて中和し、メタノールおよびジクロロメタンにて再洗浄後、再びカイザー試験を実施して脱保護反応の確認を行った。確認後は C 末より 2 番目の Boc−Val−OH のカップリングを行うため、同様の工程を繰り返した。その後、Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Met−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr (Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 1 に相当する保護ペプチド; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Met−Ala−Val−Arg (Tos)− Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−MBHA を得た。ここで得られた保護ペプチド−MBHA 樹脂にエタンジチオールおよびアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後、残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 1 を得た。
【0024】
(合成例 2) ペプチド 2 の製造
配列番号 2 に示すアミノ酸配列を有するペプチド 2 を前記ペプチド1 の製造方法と同様に合成した。すなわち、MBHA 樹脂に対して Boc−Leu−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Nle−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr (Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 2 に相当する保護ペプチド樹脂; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Nle−Ala−Val−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−MBHA を得た。ここで得られた保護ペプチド−MBHA 樹脂にアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後,残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 2 を得た。
【0025】
(合成例 3) ペプチド 3 の製造
配列番号 3 に示すアミノ酸配列を有するペプチド 3 を前記ペプチド1 の製造方法と同様に合成した。すなわち、MBHA 樹脂に対して Boc−Gly−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr (Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 3 に相当する保護ペプチド樹脂; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Leu−Ala−Val−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−Gly−MBHA を得た。ここで得られた保護ペプチド−MBHA 樹脂にアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後、残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 3 を得た。
【0026】
(合成例 4) ペプチド 4 の製造
配列番号 4 に示すアミノ酸配列を有するペプチド 4 を前記ペプチド1 の製造方法と同様に合成した。すなわち、MBHA 樹脂に対して Boc−Lys (Cl−Z)−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH,Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr (Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 4 に相当する保護ペプチド樹脂; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Leu−Ala−Val−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−Gly−Lys (Cl−Z)−MBHA を得た。ここで得られた保護ペプチド−MBHA 樹脂にアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後、残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 4 を得た。
【0027】
(合成例 5) ペプチド 5 の製造
配列番号 5 に示すアミノ酸配列を有するペプチド 5 を前記ペプチド1 の製造方法と同様に合成した。すなわち、MBHA 樹脂に対して Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr (Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 5 に相当する保護ペプチド樹脂; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Leu−Ala−Val−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−Gly−Arg (Tos)−MBHA を得た。ここで得られた保護ペプチド−MBHA樹脂にアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後、残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 5 を得た。
【0028】
(合成例 6) ペプチド 6 の製造
配列番号 6 に示すアミノ酸配列を有するペプチド 6 を前記ペプチド1 の製造方法と同様に合成した。すなわち、MBHA 樹脂に対して Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Lys (Cl−Z)−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH,Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH,Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr(Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 6 に相当する保護ペプチド樹脂; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Leu−Ala−Val−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−Gly−Lys (Cl−Z)−Arg (Tos)−MBHA を得た。ここで得られた保護ペプチド−MBHA 樹脂にアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後、残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 6 を得た。
【0029】
(合成例 7) ペプチド 7 の製造
配列番号 7 に示すアミノ酸配列を有するペプチド 7 を前記ペプチド1 の製造方法と同様に合成した。すなわち、Boc−Arg (Tos)−PAM 樹脂に対して Boc−Lys (Cl−Z)−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr (Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 7に相当する保護ペプチド樹脂; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Leu−Ala−Val−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−Gly−Lys (Cl−Z)−Arg (Tos)−PAM を得た。ここで得られた保護ペプチド−PAM 樹脂にアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後、残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 7 を得た。
【0030】
(合成例 8) ペプチド 8 の製造
配列番号8に示すアミノ酸配列を有するペプチド8をペプチド固相合成の常法に従い製造した。
MBHA 樹脂 HCl 塩 (polystyrene−1% divinylbenzene 共重合体、100〜200 mesh) をマニュアル合成用反応槽(ガラス製、φ6.0 x 29.5 cm)に加え、樹脂容量の2〜3倍量のメタノールで攪拌洗浄し、次いで、ジクロロメタン(樹脂容量の2〜3倍量)で攪拌洗浄して樹脂を膨潤させた。10% トリエチルアミン/ジクロロメタンにて中和反応を行い、C 末端アミノ酸に相当する Boc−Arg(Tos)−OH を樹脂の約 2 倍当量用い、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび N−ハイドロキシベンゾトリアゾールを加えて縮合反応を行った。約 2 時間の反応(攪拌下)後,メタノールおよびジクロロメタンにて洗浄し、カイザー試験にてα−アミノ基の消失を確認後、50% トリフルオロ酢酸/ジクロロメタンにて 30 分間処理して脱保護を行った。次いで、10% トリエチルアミン/ジクロロメタンにて中和し、メタノールおよびジクロロメタンにて再洗浄後、再びカイザー試験を実施して脱保護反応の確認を行った。確認後は C 末より 2 番目の Boc−Arg(Tos)−OH のカップリングを行うため、同様の工程を繰り返した。その後、Boc−Gly−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr (Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 8 に相当する保護ペプチド樹脂; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Leu−Ala−Val−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−Gly−Arg (Tos)−Arg (Tos)−MBHA を得た。ここで得られた保護ペプチド−MBHA 樹脂にアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後、残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 8 を得た。
【0031】
(製剤例1) 錠剤
ペプチド8 50 mg
乳糖 80 mg
デンプン 17 mg
ステアリン酸マグネシウム 3 mg
結晶セルロース 10 mg
以上の成分を1錠分の材料として、常法により錠剤を成形する。錠剤は必要に応じて通常用いられる腸溶性コーティング剤(例えばフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、糖衣およびフィルム(例えばエチルセルロース)を適用してもよい。
【0032】
(製剤例2)カプセル剤
ペプチド6 75 mg
マンニトール 75 mg
デンプン 17 mg
ステアリン酸カルシウム 3 mg
以上の成分を1カプセル剤の材料として均一に混合し、常法により顆粒状とし、硬カプセルに充填する。充填する前に必要に応じて顆粒は通常用いられる腸溶性コーティング剤(例えばフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、糖衣またはフィルム(例えばエチルセルロース)を適用してもよい 。
【0033】
(製剤例3)注射剤
ペプチド8 750 mg
塩化ナトリウム 900 mg
1N水酸化ナトリウム 適量
注射用蒸留水 全量 100 mL
以上の成分を常法により無菌的に混和して注射剤を調製する。
【0034】
滅菌精製水80mLを約80℃まで加温し、ヒドロキシメチルセルロースを加えて攪拌し、液温を室温まで戻す。この液にペプチド8、塩化ナトリウム、ホウ酸、エデト酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムを加えて溶解する。ホウ砂を適量加えてpHを7.0に調整する。滅菌精製水を加えて100mLまでメスアップする。
【0035】
(試験例1) ラット網膜虚血再灌流障害に対する効果
試験方法: 雄性SDラット(体重約150g)を用い、5w/v%塩酸ケタミン/2w/v%塩酸キシラジン(3:1,0.5mL,i.m.)による全身麻酔下で網膜中心動脈を動脈瘤クリップで結紮し、55分間の血流遮断を行い、その後再灌流させた。正常群には、網膜中心動脈の露出のみ行い、血流遮断による虚血処置を行なわなかった。再灌流の直後に、硝子体内で10pM濃度となるよう生理食塩液に溶解したペプチド8を角膜縁より2mmの位置より30Gの注射針を用いて硝子体内に5μL投与した。虚血処置を行なった対照として、硝子体内に何も投与しない対照群と、基剤として用いた生理食塩液を同様に投与する基剤投与群を設けた。再灌流後7日目に病理組織標本を作製した。組織標本作製のために、摘出した眼球を4%ホルムアルデヒドにより固定し、常法に従いパラフィン包埋した。その後、視神経乳頭を含む網膜表面に対して垂直な水平断によって薄切片(3μm厚さ)を作成し、ヘマトキシリン−エオジンにより染色した。光学顕微鏡下で、視神経乳頭部から一定距離(1〜2mm)における網膜断面0.25mm幅あたりの、網膜の神経節細胞数を計測した。
【0036】
試験結果: ラット網膜の虚血再灌流障害に対するペプチド8の効果を示したグラフを図1に示した。縦軸は網膜断面0.25mm幅あたりの神経節細胞数を示す。虚血処置を施した対照群および基剤投与群では正常群に比較して網膜神経節細胞数が減少した。これに対してペプチド8を投与した群では、網膜神経節細胞数の減少が有意に抑制された(n=6、平均値±標準偏差、**:p<0.01、Student’s t検定法)。以上の結果は、ペプチド8が網膜疾患に有効であることを示している。
【0037】
【発明の効果】
本発明の一般式(I)に示されるペプチドは網膜疾患の治療に有用である。
【0038】
【配列表フリーテキスト】
SEQ ID: 1 Synthetic Peptide, 3’ terminus being amidated
SEQ ID: 2 Synthetic Peptide, 3’ terminus being amidated
SEQ ID: 3 Synthetic Peptide, 3’ terminus being amidated
SEQ ID: 4 Synthetic Peptide, 3’ terminus being amidated
SEQ ID: 5 Synthetic Peptide, 3’ terminus being amidated
SEQ ID: 6 Synthetic Peptide, 3’ terminus being amidated
SEQ ID: 7 Synthetic Peptide
SEQ ID: 8 Synthetic Peptide, 3’ terminus being amidated
【0039】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】ラット網膜の虚血再灌流による網膜神経節細胞障害に対するペプチド8の効果を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、網膜疾患の治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
網膜は角膜、水晶体および硝子体を透過して入射した光刺激を受容し、その情報を一次的に処理して脳に伝える器官である。この網膜が障害されると、重篤な場合、最終的には失明にいたる。このような網膜疾患の発症に、興奮性アミノ酸の上昇やATPの減少等、種々の生体内物質の変動などが原因するといわれているが詳細は不明である。また、網膜疾患は網膜組織の変性、網膜血管の閉塞あるいは外傷など網膜局所での要因だけでなく、高血圧や糖尿病等のような全身性疾患や加齢によっても惹起される。
【0003】
網膜疾患としては、例えば、網脈絡膜疾患(例えば、網膜血管閉塞症、網膜静脈周囲炎、Eales病、虚血性眼症候群および網膜細動脈瘤等の網膜血管異常;高血圧または腎疾患による網膜症;糖尿病網膜症;網膜色素上皮症;網膜変性症;網脈絡膜萎縮;網脈絡膜症;黄斑変性症;黄斑浮腫;網膜色素上皮剥離;網膜剥離;変性網膜分離症;網膜芽細胞腫、網膜色素上皮腫瘍、視神経乳頭毛細血管腫等の腫瘍;虚血性視神経症等の視神経症;うっ血乳頭/乳頭浮腫等の乳頭腫脹等);緑内障(例えば、開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、閉塞隅角緑内障等);視野変化の伴う高眼圧症、および光凝固による眼球後眼部合併症(例えば、黄斑部浮腫、網膜剥離、視神経炎、視野異常、光覚異常、色覚異常等)などが挙げられる。ここで、光凝固による眼球後眼部合併症とはレーザー照射による光凝固の際に発生するレーザー照射周辺部の循環の変化や凝固熱による炎症反応などによって誘発される疾患をいう。
【0004】
現在、網膜疾患の薬物療法としては、ビタミンE製剤であるニコチン酸トコフェロール、ペントキシフィリン等の微小循環改善剤、種々のステロイド剤、抗プロスタグランジン剤、消炎酵素製剤等の経口投与が行われている。しかしながら、当該治療では効果が十分でなかったり、血圧降下や胃腸障害等の副作用が問題となっている。また、緑内障の治療法としては、ピロカルピンを代表とするコリン作動薬、エピネフリン、ジピベフリン等の交感神経作動薬、チモロール、ピンドロール、カルテオロール等の交感神経β遮断薬等を局所投与(例えば点眼)するのが有用であるが、これらの作用機構に応じた種々の副作用が問題となっている。
【0005】
PACAP(Pituitary Adenylate Cyclase Activating Polypeptide、下垂体アデニレートサイクラーゼ活性化ペプチド)は、1989年、ヒツジの視床下部から下垂体培養細胞のアデニレートサイクラーゼを活性化させるバイオアッセイ系を指標に単離、構造決定された38個のアミノ酸残基よりなるペプチドである(非特許文献1参照)。PACAPは38アミノ酸残基からなるPACAP38の他、そのN末側27アミノ酸残基からなるPACAP27の2つのタイプの存在が知られている(例えば、非特許文献2参照) 。 PACAPは気管支平滑筋弛緩作用(例えば、非特許文献3参照)や末梢血管拡張作用(例えば、非特許文献4参照)などがあるが、中枢作用として神経細胞保護作用も注目されている(例えば、非特許文献5参照)。例えば、網膜では高眼圧負荷による網膜虚血再灌流障害モデルにおいてPACAP38の効果が報告されている(非特許文献6)。しかし、PACAPには一過性の気管支収縮作用があり、これは、気管支喘息やそれに類似するアレルギー患者にとっては致命的となる副作用となり医薬品として開発することは困難である(例えば、特許文献1参照)。一方、PACAPの誘導体については、気管支拡張剤、血流改善剤、育毛剤、消化管運動抑制剤および神経突起誘発剤などの用途が開示されているが、網膜疾患適用への言及はない(例えば、特許文献1〜5参照)。他に、PACAP類似体の用途として、脳血管虚血、運動ニューロン疾患、痴呆、心筋梗塞、網膜疾患等の数多くの疾患が列挙されている出願があるが、いずれも実施例の裏付けのない適用例である(特許文献6参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−226284号公報(第8頁、第1図)
【特許文献2】
特開平8−333276号公報
【特許文献3】
特開平9−100237号公報
【特許文献4】
特開平11−100399号公報
【特許文献5】
特開2001−151799号公報
【特許文献6】
特表2002−521390号公報
【非特許文献1】
ミヤタ( Miyata) A.他7名、「バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications)」、1989年、第164巻、p.567−574
【非特許文献2】
ミヤタ(Miyata) A. 他7名「バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ(Biochemical and biophysical research Communications)」1990年、第170巻、p.643−648
【非特許文献3】
ウォーレン(Warren) J.B.他6名 「ジャーナル カージオヴァスキュラー ファーマコロジー(Journal Cardiovascular Pharmacology)」 1992年、第20巻、p.83−87
【非特許文献4】
ヒラマツ(Hiramatsu) T.他3名 「アルツナイミッテル フォルシュンク ドラッグ リサーチ(Arzneimittel−Forschung/Drug Research)」1995年、第45巻、p.689−692
【非特許文献5】
アリムラ(Arimura) A.他6名 「アニュアルズ オブ ニューヨーク アカデミー オブ サイエンスシズ(Annals of New York Academy of Science)」 1994年、第739巻、p.228−242
【非特許文献6】
関 保 他3名「日本眼科学会雑誌」臨時増刊号、2002年、第106巻、p129、第106回日本眼科学会総会講演抄録 (演題149)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、網膜疾患治療剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、PACAPの神経細胞保護作用に着目して鋭意研究を重ねた結果、特許文献2および特許文献3に示されるPACAP誘導体が優れた網膜疾患治療効果を奏することを見出し、さらに研究を進めて本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)一般式 (I):
His−Ser−Asp−Gly−Ile−Phe−Thr−Asp−Ser−Tyr−Ser−Arg−Tyr−Arg−Arg−Gln−X1−Ala−Val−Arg−Arg−Tyr−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−X2−R (I)
(式中、 X1は Leu, MetまたはNle;X2はGly, Gly−Arg, Gly−Lys, Gly−Lys−Arg,Gly−Arg−Argまたは化学結合;Rは −NH2または −OHを示すが、X2が化学結合の場合はX1はMetまたはNle; X2が化学結合以外の場合はX1はLeuを示す。)で表わされるペプチドまたは製薬学的に許容されるその塩を含有する網膜疾患の治療剤;
(2)一般式(I)において、X1がLeu;X2がGly−Arg−Arg;Rが−NH2である前記(1)記載の治療剤;
(3)眼局所投与剤である前記(1)または(2)に記載の治療剤。
(4)硝子体内投与剤である前記(3)記載の治療剤;
(5)眼内灌流液である前記(3)記載の治療剤;および
(6)点眼液である前記(3)記載の治療剤
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の網膜疾患治療剤に用いられるPACAP誘導体は一般式(I)で示されるペプチドであり、 X1は Leu, MetまたはNleであり、X2はGly, Gly−Arg, Gly−Lys, Gly−Lys−Arg, Gly−Arg−Argまたは化学結合である。ここで、X2が化学結合の場合は、X1はMetまたはNleであり、X2が化学結合以外の場合は、X1はLeuである。Rは −NH2または −OHのいずれでもよいが、 −NH2がより好ましい。この中で、X1がLeu、X2がGly−Arg−Arg、Rが−NH2であるペプチドが最も好ましい。
本発明の一般式(I)に含まれるペプチドの代表例を表1に示した。ここに示したペプチド1〜8は、後記配列表の配列番号1〜8に対応するペプチドである。とりわけ、ペプチド8が有利に使用される。
【0011】
【表1】
*:Rは後記配列表におけるアミノ酸配列の3’ カルボキシル末端を示す。
【0012】
一般式(I)で示されるPACAP誘導体は、例えば、特許文献2および3に示されるように、公知のペプチド合成の常法にしたがって合成できる。
【0013】
一般式(I)で示されるペプチドの製薬学的に許容される塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩等の無機塩基との塩;トリメチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン等の有機塩基との塩;塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、乳酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩;およびタンニン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等の重合酸との塩などが挙げられる。
【0014】
一般式(I)で示されるペプチドは、以下の特性を有する。PACAP27およびこれと極めて構造の類似した VIP(血管作動性腸管ペプチド)は、それらの分子の塩基性を高めることによって生物化学的な安定性を向上させることが明らかとなっており、それに伴って生理・薬理活性の効果延長を期待することができる (Kashimoto K et al.,Peptide Chemistry, 361−364,1996)。すなわち、PACAPを構成するアミノ酸のうち、15位、20位、21位のアミノ酸をアルギニンで置換したり、C末端側にアルギニンやリジンを付加することによってPACAPの塩基性を高めた誘導体は気管支拡張作用がより長時間持続することが示されている(特許文献2、実施例16参照)。また、PACAPを構成するアミノ酸残基の中で17位のメチオニン残基は酸化されやすいが、この箇所がロイシンまたはノルロイシンで置換されたペプチドは酸化に対して抵抗性を示す。以上の特性を有する一般式Iで示されるペプチドは、より安定で効果の持続する網膜疾患治療剤として使用できる。
【0015】
本発明の網膜疾患治療剤は、一般式(I)で示されるペプチドまたはその製薬的に許容される塩(以下、「ペプチド(I)」と略記することがある。)を、例えば製薬上許容される担体または賦形剤と合して、活性化合物を混合、溶解することを含む自体公知の製剤技術に従って製造することができる。そのような剤型のうち、経口的に投与される剤型としては、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、エアゾール剤およびその他の液剤が挙げられる。粉末、顆粒、錠剤等は、固形製剤に適する任意の製薬担体、例えば賦形剤(例えばデンプン、ブドウ糖、果糖、白糖、乳糖等)、滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等)、崩壊剤(例えばデンプン、結晶セルロース等)、結合剤(例えばデンプン、アラビアゴム等)等を用いて製剤化することができる。そのような固形製剤は、コーティング剤(例えばゼラチン、白糖等)または腸溶性コーティング剤(例えばフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマー、セラック等)でコーティングされていてもよく、これにより活性化合物を特に腸で放出することができる。シロップやその他の液剤の製剤化において、安定剤(例えばエデト酸ナトリウム等)、懸濁化剤(例えばアラビアゴム、カルメロース等)、矯味剤(例えば単シロップ、ブドウ糖等)、芳香剤等の様々な添加剤を適宜に選択して添加することができる。
【0016】
非経口的に投与する剤型としては、注射剤、坐剤等が挙げられる。注射剤は、溶剤(例えば注射用水等)、安定剤(例えばエデト酸ナトリウム等)、等張化剤(例えば塩化ナトリウム、並びにグリセリンおよびマンニトールなどの糖アルコール等)、pH調整剤(例えば塩酸、クエン酸、水酸化ナトリウム等)、懸濁化剤(例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等)およびその他の適当な添加剤を用いて製剤化できる。坐剤の製剤化においては、坐剤基剤(例えばカカオ脂、マクロゴール等)等を適宜に選択して使用することができる。
【0017】
局所的に投与する剤型としては、例えば、軟膏、クリーム剤、ローション剤、点鼻剤および眼局所用剤等が挙げられ、眼局所用剤がより好ましい。眼局所用剤としては、例えば点眼剤、眼軟膏、硝子体内投与剤、眼内灌流液あるいは徐放製剤等が挙げられ、硝子体内投与剤、眼内灌流液および点眼剤がより好ましい。点眼剤の製剤化においては、溶剤(例えば生理食塩水、滅菌精製水等)、安定剤(例えばエデト酸ナトリウム、クエン酸等)、乳化剤(例えばポリビニルピロリドン等)、懸濁化剤(例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等)、界面活性剤(例えばポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、保存剤(例えば塩化ベンザルコニウム、パラベン類、クロロブタノール等)、緩衝剤(例えばホウ酸、ホウ砂(ホウ酸ナトリウム)、酢酸ナトリウム、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤等)、等張化剤(例えば塩化ナトリウム、グリセリン、マンニトール等)、pH調整剤(例えば塩酸、水酸化ナトリウム等)などを適宜選択して使用することができる。硝子体内投与剤あるいは眼内還流液として製剤化する場合、前記緩衝剤、等張化剤およびpH調整剤などを適宜選択して製剤化でき、また眼内還流・洗浄用製剤、例えばオペガードMA(商品名、千寿製薬)などに用時溶解して使用することもできる。眼軟膏の製剤化においては、軟膏基剤(例えばワセリン、ラノリン等)などを適宜に選択して使用できる。徐放製剤としては、コラーゲンなどのゲル成形剤や、ポリ乳酸等の生体分解性高分子を使った眼内埋込み製剤や強膜プラグ、あるいは生体非分解性の眼内埋込み製剤などを使用できる。
【0018】
また、ペプチド類がガラスあるいは樹脂容器に吸着するのを防止する目的で吸着防止成分を利用することができる。ここで利用される吸着防止成分は、保存容器の壁面に疎水結合して吸着を防止する化合物であり、より詳しくは分子内に疎水基を有し、かつ界面活性作用を有する化合物や、陰イオン荷電蛋白質である。前者の例としては、ポリオキシエチレンアルコールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、後者の陰イオン荷電蛋白質の例としてはゼラチン、アルブミン、ポリゲニン等が挙げられる。ゼラチンとしては日局精製ゼラチン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。吸着防止成分としてのゼラチン類は、1 種または2種以上を併用して用いてもよい。また、アルブミンとしては、ヒトに対する抗原性のないものが挙げられ、その濃度は、通常、0.01〜50w/v%程度、好ましくは0.1〜2.0w/v%程度配合するのがよい。吸着防止成分とペプチド 類とを溶解する溶媒としては、注射剤用や点眼剤用などの溶媒として生理学的に許容されるものであれば、いかなるものをも使用することができるが、好ましいものとしては例えば日局注射用水,生理食塩水などが挙げられる。その他に、容器内壁にシリコンコート等の加工を施すことによっても吸着防止の効果を上げることができる。
【0019】
本発明においては、ペプチド(I)を含有する網膜疾患治療剤を温血動物(ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、サル、ヒトなどの哺乳動物やハト、ニワトリ、七面鳥などの鳥類)に投与することにより網膜疾患を治療することができる。その投与量は、投与対象となる疾患、症状やその他の条件、投与方法およびその他の要因に依存する。ペプチド(I)を成人患者に投与する場合、一回あたりの投与量は、経口投与では通常0.1〜500mg、好ましくは1〜20mg、注射剤では通常0.00001〜100mg、好ましくは0.0001〜1mg投与することにより、所望の効果が得られる。局所投与する場合には、通常0.001〜3.0w/v%、好ましくは0.01〜0.5w/v%の濃度である点眼液を、1回20〜50μL、1日1〜8回程度点眼するのがよい。
【0020】
本発明の網膜疾患治療剤は、本発明の目的を損なわない限り、他の網膜疾患治療成分や他の薬効成分と併用することもできる。
【0021】
本発明の網膜疾患治療剤は次に挙げる疾患の治療剤として有用である。すなわち、網膜疾患として、網脈絡膜疾患(例えば、網膜血管閉塞症、網膜静脈周囲炎、Eales病、虚血性眼症候群および網膜細動脈瘤等の網膜血管異常;高血圧または腎疾患による網膜症;糖尿病網膜症;網膜色素上皮症;網膜変性症;網脈絡膜萎縮;網脈絡膜症;黄斑変性症;黄斑浮腫;網膜色素上皮剥離;網膜剥離;変性網膜分離症;網膜芽細胞腫、網膜色素上皮腫瘍、視神経乳頭毛細血管腫等の腫瘍;虚血性視神経症等の視神経症;うっ血乳頭/乳頭浮腫等の乳頭腫脹等);緑内障(例えば、開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、閉塞隅角緑内障等);視野変化の伴う高眼圧症、および光凝固による眼球後眼部合併症(例えば、黄斑部浮腫、網膜剥離、視神経炎、視野異常、光覚異常、色覚異常等)などが挙げられる。ここで、光凝固による眼球後眼部合併症とはレーザー照射による光凝固の際に発生するレーザー照射周辺部の循環の変化や凝固熱による炎症反応などによって誘発される疾患をいう。
【0022】
【実施例】
本発明を以下の実施例および試験例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
以下の合成例で用いた略称の意味は以下の通りである。
MBHA:pメチルベンズヒドリルアミン
Boc:t−ブトキシカルボニル基
Bom:ベンジルオキシメチル基
Bzl:ベンジル基
Cl2−Bzl:ジクロロベンジル基
Cl−Z:クロロベンジルオキシカルボニル基
OcHex:O−シクロヘキシル基
PAM:4−オキシメチルフェニルアセタミドメチル
Tos:p−トルエンスルホニル基
Xan:キサンチル基
【0023】
(合成例 1) ペプチド 1 の製造
配列番号 1 に示すアミノ酸配列を有するペプチド 1 をペプチド固相合成の常法に従い製造した.
MBHA 樹脂 HCl 塩 (polystyrene−1% divinylbenzene 共重合体、100〜200 mesh) をマニュアル合成用反応槽(ガラス製、φ6.0 x 29.5 cm)に加え、樹脂容量の2〜3倍量のメタノールで攪拌洗浄し、次いで、ジクロロメタン(樹脂容量の2〜3 倍量)で攪拌洗浄して樹脂を膨潤させた。10% トリエチルアミン/ジクロロメタンにて中和反応を行い、C 末端アミノ酸に相当する Boc−Leu−OH を樹脂の約2 倍当量用い、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび N−ハイドロキシベンゾトリアゾールを加えて縮合反応を行った。約 2 時間の反応(攪拌下)後、メタノールおよびジクロロメタンにて洗浄し、カイザー試験にてα−アミノ基の消失を確認後、50% トリフルオロ酢酸/ジクロロメタンにて 30 分間処理して脱保護を行った。次いで、10% トリエチルアミン/ジクロロメタンにて中和し、メタノールおよびジクロロメタンにて再洗浄後、再びカイザー試験を実施して脱保護反応の確認を行った。確認後は C 末より 2 番目の Boc−Val−OH のカップリングを行うため、同様の工程を繰り返した。その後、Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Met−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr (Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 1 に相当する保護ペプチド; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Met−Ala−Val−Arg (Tos)− Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−MBHA を得た。ここで得られた保護ペプチド−MBHA 樹脂にエタンジチオールおよびアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後、残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 1 を得た。
【0024】
(合成例 2) ペプチド 2 の製造
配列番号 2 に示すアミノ酸配列を有するペプチド 2 を前記ペプチド1 の製造方法と同様に合成した。すなわち、MBHA 樹脂に対して Boc−Leu−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Nle−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr (Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 2 に相当する保護ペプチド樹脂; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Nle−Ala−Val−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−MBHA を得た。ここで得られた保護ペプチド−MBHA 樹脂にアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後,残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 2 を得た。
【0025】
(合成例 3) ペプチド 3 の製造
配列番号 3 に示すアミノ酸配列を有するペプチド 3 を前記ペプチド1 の製造方法と同様に合成した。すなわち、MBHA 樹脂に対して Boc−Gly−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr (Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 3 に相当する保護ペプチド樹脂; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Leu−Ala−Val−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−Gly−MBHA を得た。ここで得られた保護ペプチド−MBHA 樹脂にアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後、残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 3 を得た。
【0026】
(合成例 4) ペプチド 4 の製造
配列番号 4 に示すアミノ酸配列を有するペプチド 4 を前記ペプチド1 の製造方法と同様に合成した。すなわち、MBHA 樹脂に対して Boc−Lys (Cl−Z)−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH,Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr (Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 4 に相当する保護ペプチド樹脂; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Leu−Ala−Val−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−Gly−Lys (Cl−Z)−MBHA を得た。ここで得られた保護ペプチド−MBHA 樹脂にアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後、残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 4 を得た。
【0027】
(合成例 5) ペプチド 5 の製造
配列番号 5 に示すアミノ酸配列を有するペプチド 5 を前記ペプチド1 の製造方法と同様に合成した。すなわち、MBHA 樹脂に対して Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr (Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 5 に相当する保護ペプチド樹脂; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Leu−Ala−Val−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−Gly−Arg (Tos)−MBHA を得た。ここで得られた保護ペプチド−MBHA樹脂にアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後、残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 5 を得た。
【0028】
(合成例 6) ペプチド 6 の製造
配列番号 6 に示すアミノ酸配列を有するペプチド 6 を前記ペプチド1 の製造方法と同様に合成した。すなわち、MBHA 樹脂に対して Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Lys (Cl−Z)−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH,Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH,Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr(Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 6 に相当する保護ペプチド樹脂; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Leu−Ala−Val−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−Gly−Lys (Cl−Z)−Arg (Tos)−MBHA を得た。ここで得られた保護ペプチド−MBHA 樹脂にアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後、残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 6 を得た。
【0029】
(合成例 7) ペプチド 7 の製造
配列番号 7 に示すアミノ酸配列を有するペプチド 7 を前記ペプチド1 の製造方法と同様に合成した。すなわち、Boc−Arg (Tos)−PAM 樹脂に対して Boc−Lys (Cl−Z)−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr (Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 7に相当する保護ペプチド樹脂; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Leu−Ala−Val−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−Gly−Lys (Cl−Z)−Arg (Tos)−PAM を得た。ここで得られた保護ペプチド−PAM 樹脂にアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後、残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 7 を得た。
【0030】
(合成例 8) ペプチド 8 の製造
配列番号8に示すアミノ酸配列を有するペプチド8をペプチド固相合成の常法に従い製造した。
MBHA 樹脂 HCl 塩 (polystyrene−1% divinylbenzene 共重合体、100〜200 mesh) をマニュアル合成用反応槽(ガラス製、φ6.0 x 29.5 cm)に加え、樹脂容量の2〜3倍量のメタノールで攪拌洗浄し、次いで、ジクロロメタン(樹脂容量の2〜3倍量)で攪拌洗浄して樹脂を膨潤させた。10% トリエチルアミン/ジクロロメタンにて中和反応を行い、C 末端アミノ酸に相当する Boc−Arg(Tos)−OH を樹脂の約 2 倍当量用い、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび N−ハイドロキシベンゾトリアゾールを加えて縮合反応を行った。約 2 時間の反応(攪拌下)後,メタノールおよびジクロロメタンにて洗浄し、カイザー試験にてα−アミノ基の消失を確認後、50% トリフルオロ酢酸/ジクロロメタンにて 30 分間処理して脱保護を行った。次いで、10% トリエチルアミン/ジクロロメタンにて中和し、メタノールおよびジクロロメタンにて再洗浄後、再びカイザー試験を実施して脱保護反応の確認を行った。確認後は C 末より 2 番目の Boc−Arg(Tos)−OH のカップリングを行うため、同様の工程を繰り返した。その後、Boc−Gly−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Val−OH, Boc−Ala−OH, Boc−Leu−OH, Boc−Gln (Xan)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Arg (Tos)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Tyr (Cl2−Bzl)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Thr (Bzl)−OH, Boc−Phe−OH, Boc−Ile−OH, Boc−Gly−OH, Boc−Asp (OcHex)−OH, Boc−Ser (Bzl)−OH, Boc−His (Bom)−OH の順に順次カップリング/脱保護を行い、ペプチド 8 に相当する保護ペプチド樹脂; His (Bom)−Ser (Bzl)−Asp (OcHex)−Gly−Ile−Phe−Thr (Bzl)−Asp (OcHex)−Ser (Bzl)−Tyr (Cl2−Bzl)−Ser (Bzl)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Gln−Leu−Ala−Val−Arg (Tos)−Arg (Tos)−Tyr (Cl2−Bzl)−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−Gly−Arg (Tos)−Arg (Tos)−MBHA を得た。ここで得られた保護ペプチド−MBHA 樹脂にアニソール存在下無水フッ化水素を加えて反応させた。反応後、無水フッ化水素を減圧下留去後、残渣をエーテルで洗浄し、これに 10%酢酸を加えてペプチドを抽出した。抽出液を逆相カラムクロマトグラフィーにより精製し、凍結乾燥を行いペプチド 8 を得た。
【0031】
(製剤例1) 錠剤
ペプチド8 50 mg
乳糖 80 mg
デンプン 17 mg
ステアリン酸マグネシウム 3 mg
結晶セルロース 10 mg
以上の成分を1錠分の材料として、常法により錠剤を成形する。錠剤は必要に応じて通常用いられる腸溶性コーティング剤(例えばフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、糖衣およびフィルム(例えばエチルセルロース)を適用してもよい。
【0032】
(製剤例2)カプセル剤
ペプチド6 75 mg
マンニトール 75 mg
デンプン 17 mg
ステアリン酸カルシウム 3 mg
以上の成分を1カプセル剤の材料として均一に混合し、常法により顆粒状とし、硬カプセルに充填する。充填する前に必要に応じて顆粒は通常用いられる腸溶性コーティング剤(例えばフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、糖衣またはフィルム(例えばエチルセルロース)を適用してもよい 。
【0033】
(製剤例3)注射剤
ペプチド8 750 mg
塩化ナトリウム 900 mg
1N水酸化ナトリウム 適量
注射用蒸留水 全量 100 mL
以上の成分を常法により無菌的に混和して注射剤を調製する。
【0034】
滅菌精製水80mLを約80℃まで加温し、ヒドロキシメチルセルロースを加えて攪拌し、液温を室温まで戻す。この液にペプチド8、塩化ナトリウム、ホウ酸、エデト酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムを加えて溶解する。ホウ砂を適量加えてpHを7.0に調整する。滅菌精製水を加えて100mLまでメスアップする。
【0035】
(試験例1) ラット網膜虚血再灌流障害に対する効果
試験方法: 雄性SDラット(体重約150g)を用い、5w/v%塩酸ケタミン/2w/v%塩酸キシラジン(3:1,0.5mL,i.m.)による全身麻酔下で網膜中心動脈を動脈瘤クリップで結紮し、55分間の血流遮断を行い、その後再灌流させた。正常群には、網膜中心動脈の露出のみ行い、血流遮断による虚血処置を行なわなかった。再灌流の直後に、硝子体内で10pM濃度となるよう生理食塩液に溶解したペプチド8を角膜縁より2mmの位置より30Gの注射針を用いて硝子体内に5μL投与した。虚血処置を行なった対照として、硝子体内に何も投与しない対照群と、基剤として用いた生理食塩液を同様に投与する基剤投与群を設けた。再灌流後7日目に病理組織標本を作製した。組織標本作製のために、摘出した眼球を4%ホルムアルデヒドにより固定し、常法に従いパラフィン包埋した。その後、視神経乳頭を含む網膜表面に対して垂直な水平断によって薄切片(3μm厚さ)を作成し、ヘマトキシリン−エオジンにより染色した。光学顕微鏡下で、視神経乳頭部から一定距離(1〜2mm)における網膜断面0.25mm幅あたりの、網膜の神経節細胞数を計測した。
【0036】
試験結果: ラット網膜の虚血再灌流障害に対するペプチド8の効果を示したグラフを図1に示した。縦軸は網膜断面0.25mm幅あたりの神経節細胞数を示す。虚血処置を施した対照群および基剤投与群では正常群に比較して網膜神経節細胞数が減少した。これに対してペプチド8を投与した群では、網膜神経節細胞数の減少が有意に抑制された(n=6、平均値±標準偏差、**:p<0.01、Student’s t検定法)。以上の結果は、ペプチド8が網膜疾患に有効であることを示している。
【0037】
【発明の効果】
本発明の一般式(I)に示されるペプチドは網膜疾患の治療に有用である。
【0038】
【配列表フリーテキスト】
SEQ ID: 1 Synthetic Peptide, 3’ terminus being amidated
SEQ ID: 2 Synthetic Peptide, 3’ terminus being amidated
SEQ ID: 3 Synthetic Peptide, 3’ terminus being amidated
SEQ ID: 4 Synthetic Peptide, 3’ terminus being amidated
SEQ ID: 5 Synthetic Peptide, 3’ terminus being amidated
SEQ ID: 6 Synthetic Peptide, 3’ terminus being amidated
SEQ ID: 7 Synthetic Peptide
SEQ ID: 8 Synthetic Peptide, 3’ terminus being amidated
【0039】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】ラット網膜の虚血再灌流による網膜神経節細胞障害に対するペプチド8の効果を示す。
Claims (6)
- 一般式 (I):
His−Ser−Asp−Gly−Ile−Phe−Thr−Asp−Ser−Tyr−Ser−Arg−Tyr−Arg−Arg−Gln−X1−Ala−Val−Arg−Arg−Tyr−Leu−Ala−Ala−Val−Leu−X2−R (I)
(式中、 X1は Leu, MetまたはNle;X2はGly, Gly−Arg, Gly−Lys, Gly−Lys−Arg,Gly−Arg−Argまたは化学結合;Rは −NH2または −OHを示すが、X2が化学結合の場合はX1はMetまたはNle; X2が化学結合以外の場合はX1はLeuを示す。)で表わされるペプチドまたは製薬学的に許容されるその塩を含有する網膜疾患の治療剤。 - 一般式(I)において、X1がLeu;X2がGly−Arg−Arg;Rが−NH2である請求項1記載の治療剤。
- 眼局所投与剤である請求項1または2に記載の治療剤。
- 硝子体内投与剤である請求項3記載の治療剤。
- 眼内灌流液である請求項3記載の治療剤。
- 点眼液である請求項3記載の治療剤。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005102375A1 (ja) * | 2004-04-23 | 2005-11-03 | Senju Pharmaceutical Co., Ltd. | Pacapおよびその誘導体を含有する角膜神経突起形成促進剤 |
JP2015524431A (ja) * | 2012-07-27 | 2015-08-24 | クロンズ ホールディングズ カンパニー リミテッドCuronz Holdings Company Limited | 視神経損傷、眼虚血または眼の再灌流傷害を治療する方法 |
WO2020230867A1 (ja) * | 2019-05-14 | 2020-11-19 | 千寿製薬株式会社 | Pacapの安定化ペプチド |
-
2002
- 2002-11-19 JP JP2002335445A patent/JP2004168697A/ja not_active Withdrawn
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