JP6781314B2 - タービン用ダイヤフラムの点検方法 - Google Patents
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Description
タービンの点検作業に伴う主な分解作業は、主として上部ケーシングの取り外し、上半ダイヤフラムの取り外し、タービンロータの取り外し、下半ダイヤフラムの取り外しの順に行われ、分解した部品ごとにスケール除去を目的としたホーニング、上下分割面の探傷検査などが行われている。
従来このようなタービンの点検時には、ケーシングを分解して内部のダイヤフラムを取り出して点検する受台が利用されている。
またダイヤフラムの吊上げ作業は、建屋に設けた天井クレーンを用いている。このため上半ダイヤフラムを受台に吊り込む作業中は、天井クレーンを占有することになり、天井クレーンを使う他の作業に待ち時間が生じるおそれがあった。
吊上げた前記上半又は下半ダイヤフラムを軸線に沿って前記スライドスペースへ移動させて保守作業するための隙間を設けて点検する工程と、
を有することを特徴とするタービン用ダイヤフラムの点検方法を提供することにある。
上記第1の手段によれば、吊下手段を用いて下部ケーシング上で複数のダイヤフラムを取り出して吊架台に容易に吊下げることができ、タービン建屋に設けた天井クレーンの使用を最小限にしたダイヤフラムの吊下作業を行うことができる。このため、天井クレーンを頻繁に使用することによって他の作業に待ち時間が生じることなく、作業の短期化を図ることができる。
上記第2の手段によれば、レールの長手方向に沿ってダイヤフラムを下部ケーシングの外側で作業スペースとして使用可能なスライドスペースへ移動させることができ、移動した後にダイヤフラムの間に点検スペースを容易に設けることができ点検作業の効率化が図れる。
上記第3の手段によれば、ダイヤフラムのすべてを配置順に従って吊下げることにより、タービン組立状態と同じ順序を維持することができ、ダイヤフラムの位置・向きなどを間違えるミスが生じることがなくなる。
上記第4の手段によれば、吊架台に吊下げた複数の上半及び下半ダイヤフラムの間を仕切ることができ、吊架台の移動又は吊下手段の移動の際にダイヤフラム同士が接触することにより損傷することを防止できる。
上記第5の手段によれば、上下二分割したダイヤフラムのうち、上半ダイヤフラムは頂点に取り付ける吊金具を介してセンターレールの吊下手段で吊下げることができ、点検作業の効率化を図ることができる。
上記第6の手段によれば、上下二分割したダイヤフラムのうち、下半ダイヤフラムは両端に取り付ける吊金具を介して2本のサイドレールの吊下手段で吊下げることができ、点検作業の効率化を図ることができる。
前記吊架台を天井クレーンで点検作業場所まで移動する工程と有することを特徴とするタービン用ダイヤフラムの点検方法を提供することにある。
上記第7の手段によれば、吊下手段を用いて下部ケーシング上で複数のダイヤフラムを取り出して吊架台に容易に吊下げることができ、タービン建屋に設けた天井クレーンの使用を最小限にしたダイヤフラムの吊下作業を行うことができる。このため、天井クレーンを頻繁に使用することによって他の作業に待ち時間が生じることなく、作業の短期化を図ることができる。
またケーシングに収納された高圧ダイヤフラム(複数のダイヤフラムで構成)あるいは中圧ダイヤフラム(複数のダイヤフラムで構成)をそれぞれ1単位として、吊架台に吊下げることができ、ダイヤフラムの位置・向きを間違えるミスが生じることがない。
さらに下部ケーシングの外側(スライドスペース)でダイヤフラムを点検検査することもできる。
本発明のタービン用ダイヤフラムの吊架台は、タービン用ダイヤフラムを上下に分割した上半ダイヤフラム又は下半ダイヤフラムの保守作業等に適用可能な架台である。
図1はタービン用上半ダイヤフラムの吊架台の正面図である。図2はタービン用上半ダイヤフラムの吊架台の平面図である。図3はタービン用上半ダイヤフラムの吊架台の側面図であり(1)は左側面図、(2)は右側面図である。
図示のようにタービン用ダイヤフラムの吊架台10は、フレーム20と、レール30と、吊下手段40と、固定治具50を含んだ構成としている。
フレーム20は、柱22と、横梁24と、上部渡し梁25を含んだ構成としている。
柱22は、下部ケーシング1の上面に一端を配置して他端が垂直方向に伸びる4本のH形鋼である。4本の柱22は、下部ケーシングの内部に取り付けたダイヤフラムの1単位(高圧ダイヤフラム、中圧ダイヤフラムなど)を平面視して四隅に配置して、4本の柱22で囲まれた範囲にタービン組立状態の1単位のダイヤフラムが収まるようにしている。
またフレーム20には、4つのブレース28(補強板)を正面および背面の柱22と上部渡し梁25に跨るように取り付け、さらに4つのブレース28を上面の横梁24と上部渡し梁25に跨るように取り付けて剛性を高めている。またフレーム20は上面の四隅に、建屋の天井クレーンのクレーンフックと係合可能な吊り具29を設けている。
下部渡し梁26は、長手方向が上部渡し梁25の長手方向に沿って2本の柱22に跨るように配置される溝形鋼である。下部渡し梁26は、上部渡し梁25の全長よりも長く設定し、一端側が2本の柱22間から突出している。下部渡し梁26は、柱22の下端からの高さが吊下げる上半又は下半ダイヤフラムと、フレーム20の正面視又は側面視で重なる位置に取り付けている。
前述の柱22、横梁24、上部渡し梁25、下部渡し梁26は、締結ボルト、溶接などの固定手段を用いて互いに接合している。
レール30は、上部渡し梁25の長手方向に沿って2本の横梁24に跨るI形鋼であり、いずれか一方のフランジを横梁24の下面に締結ボルト、溶接などの固定手段を用いて接合させている。レール30は、下部渡し梁26と同様に、上部渡し梁25の全長よりも長く設定し、一端側が2本の柱22間から突出している。このレール30の一端側であって柱22間から突出した箇所は、後述する吊下手段40が進退移動可能なスライドスペース34となり、吊下げた複数の上半又は下半ダイヤフラムの間に保守作業に必要な所定幅の隙間を設けることができる。
図4は吊下手段の説明図である。図示のように吊下手段40は、プレーントロリ42及びチェーンブロック44を含んだ構成としている。
プレーントロリ42はレール30のフランジを挟むように車体を取り付けて、この車体にフランジ上面に乗せる複数の車輪43aと、チェーンブロック44の上部フック45と係合する取付け穴43bを設けて、レール30の長手方向に沿って走行する移動体である。
なお吊下手段40は、ダイヤフラムを吊下げることができものであれば、チェーンブロックの他にもホイスト、ウィンチなどを適用することもできる。
このような吊下手段40は、1本のレール30当たり、取り下げるダイヤフラムの1単位(高圧ダイヤフラム、中圧ダイヤフラムなど)と同数取り付けている。そしてチェーンブロック44で吊り下げたダイヤフラムをレール30の長手方向に沿ってプレーントロリ42により移動させることができる。
固定治具50は、長手方向が下部ケーシング1の幅方向に沿って一対の下部渡し梁26上面に着脱可能に取り付けた部材である。固定治具50の全長は、下部ケーシング1の幅方向に配置した2本の柱22間よりも長く設定している。このような固定治具50は、複数の吊下手段40で吊り下げたダイヤフラム同士の間に挿入して、下部渡し梁26の上面に配置することにより、ダイヤフラム同士を仕切ることができ、吊架台10又はダイヤフラムを移動させる際にダイヤフラム同士が接触して破損することを防止できる。
図6に示す吊架台の構成は、図1−3に示す構成と概ね同一であるが、下部渡し梁26Aの取り付け箇所が異なっている。下半ダイヤフラムに適用する下部渡し梁26Aは、図1−3に示す下部渡し梁26の取付け箇所よりも下方に取り付けている。これは、下部ケーシング1内の下半ダイヤフラム7の上端の分割端面が、ケーシング内に納まっており、上半ダイヤフラムと同じ高さまで吊上げなくても、吊下げたダイヤフラムを移動させる際に、吊下げる前の他のダイヤフラムと接触することがないためである。
図7はタービン用下半ダイヤフラムの吊架台を用いた点検作業の説明図である。
図7(1)に示すように、タービンケーシングの上部ケーシングを撤去し、タービン建屋の天井クレーン5を用いてタービン用ダイヤフラムの吊架台10を下部ケーシング1の上面に設置する。吊架台10の柱22が1単位のダイヤフラムの四隅に配置されるように下部ケーシング1の上面に取り付け、柱22で囲まれた範囲にタービン組立状態の1単位のダイヤフラムが収まるようにしている。そして上半ダイヤフラム6の頂点を通る垂直線上にセンターレール30aの中心が重なるように配置する。
以下、吊下手段40の吊上げ作業と、固定治具の仕り作業を繰り返し行い、1単位のダイヤフラムをすべて吊架台10に吊下げる。そして吊架台10の吊り具29にワイヤを通して天井クレーンを用いて点検作業場所まで移動させる。
上半ダイヤフラムを取り外した後は、新たな吊架台10でサイドレール30bを用いて、下半ダイヤフラムの点検作業を図7(1)〜(4)に示す工程と同様な手順で行うことができる。
またダイヤフラム1単位毎、吊架台に吊下げて、吊下げた状態で点検作業を行えるため、ダイヤフラムのタービン組立状態を維持でき、ダイヤフラムの位置・向きを間違えるミスが生じることがない。
Claims (6)
- タービンケーシングの上部ケーシングを撤去した後の下部ケーシング上面で内部の高圧ダイヤフラム又は中圧ダイヤフラムの四隅に立設可能な複数の柱と、前記複数の柱の上方を接続する横梁及び上部渡し梁を有し、前記下部ケーシング内の複数の上半又は下半ダイヤフラムを跨ぐように載置可能なフレームと、前記フレームの上部で前記上半又は下半ダイヤフラムの軸線に沿って伸び、前記上部渡し梁よりも長く設定し、一端側であって前記柱間から前記下部ケーシングの外側へ突出した箇所に前記吊下手段が長手方向に沿って移動可能なスライドスペースを有するレールと、前記レールに取り付けて前記フレームの下方から前記高圧ダイヤフラム又は中圧ダイヤフラムの前記上半又は下半ダイヤフラムを個々に吊下げ可能な吊下手段を備えたタービン用ダイヤフラムの吊架台を前記下部ケーシングの上面に配置して、前記タービンケーシング内の前記上半又は下半ダイヤフラムを同数の前記吊下手段で吊り上げる工程と、
吊上げた前記上半又は下半ダイヤフラムを軸線に沿って前記スライドスペースへ移動させて保守作業するための隙間を設けて点検する工程と、
を有することを特徴とするタービン用ダイヤフラムの点検方法。 - 請求項1に記載されたタービン用ダイヤフラムの点検方法であって、
前記吊り上げる工程は、前記1単位の上半又は下半ダイヤフラムの位置及び向きを維持した状態で吊り上げることを特徴とするタービン用ダイヤフラムの点検方法。 - 請求項1又は2に記載されたタービン用ダイヤフラムの点検方法であって、
前記吊り上げる工程は、吊り上げたダイヤフラム同士を仕切る固定治具を前記ダイヤフラム同士の間に挿入することを特徴とするタービン用ダイヤフラムの点検方法。 - 請求項1ないし3のいずれか1に記載されたタービン用ダイヤフラムの点検方法であって、
前記吊り上げる工程は、前記吊下手段で上半ダイヤフラムの頂点の吊金具と係止することを特徴とするタービン用ダイヤフラムの点検方法。 - 請求項1ないし4のいずれか1に記載されたタービン用ダイヤフラムの点検方法であって、
前記吊り上げる工程は、前記吊下手段で下半ダイヤフラムの両端の吊金具と係止することを特徴とするタービン用ダイヤフラムの点検方法。 - 請求項1ないし5のいずれか1に記載されたタービン用ダイヤフラムの点検方法であって、
前記吊架台を天井クレーンで点検作業場所まで移動する工程と有することを特徴とするタービン用ダイヤフラムの点検方法。
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