JP2017125411A - タービンケーシング回転装置 - Google Patents
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Abstract
Description
タービンの主な分解作業は、上部タービンケーシング(以下単にケーシングと略すことあり)の取り外し、ダイヤフラム上半の取り外し、タービンロータの取り外し、ダイヤフラム下半の取り外しの順に行われ、分解した部品ごとにスケール除去を目的としたホーニング、上下分割面の探傷検査などが行われている。
特許文献1に開示のタービン設備は、分解したケーシングを上下に積み重ねて、仮置きしたケーシングの占有スペースを少なくして、点検のための作業スペースを確保している。
またクレーンによる天地作業は大掛かりで危険を伴うため、操作に熟練した作業者が必須であり、かつ複数の作業者が必要であった。
またタービンの点検作業は発電設備を停止させなければならない。このため、設備の稼働効率を向上させるには点検などに要する停止時間を極力短期間で行うことが望まれている。
上記第1の手段によれば、床面に仮置きされた上部タービンケーシングを上下反転に必要な高さだけ上昇させて機械操作によって回転作業を行うことができる。これにより天井クレーンを占有することがなく、また、難易度の高いクレーン操作がなくなるため、安全かつ少人数で作業することができる。
上記第2の手段によれば、タービンケーシング両端で径が異なる場合など、フランジ穴の位置が両端面で異なったとしても、両端面に設置されるアタッチメントに設ける軸孔の位置を垂直線上のいずれかの高さで一致させればよいので、両端面のアタッチメントを容易に作成できる。また軸孔に把持回転手段の回転シャフトを挿入する構成とすることで、把持回転手段からの着脱が容易となる。またアタッチメントをタービンケーシングのフランジ端面の形状に合わせて複数形成することにより、直径が異なるなど別形状のタービンケーシングにも対応することができる。
上記第3の手段によれば、一対のアタッチメントで把持したタービンケーシングを把持回転手段にダメージを与えることなく回転させることができる。
上記課題を解決するための第4の手段として、本発明は前記第2又は第3の手段において、前記軸孔の中心点を結ぶ線と前記タービンケーシングの重心との距離が200mm以内であることを特徴とするタービンケーシング回転装置を提供することにある。
上記第4の手段によれば、一対のアタッチメントで把持したタービンケーシングを比較的入手容易な出力範囲の回転手段で回転させることができる。
上記第6の手段によれば、一対のアタッチメント間に仮置きしたタービンケーシングのフランジ端面のフランジ穴と、アタッチメントの締結孔に位置ズレが生じている場合に、両者の中心を同一軸心上に配置させる芯出し作業を容易に行い作業の短期化を実現できる。
上記第7の手段によれば、一対の前記アタッチメント間に仮置きしたタービンケーシングとアタッチメントの間にクリアランスが生じている場合、クリアランスを解消することができ、タービンケーシングをアッタッチメントに把持する作業を容易に行い、作業の短期化を実現できる。
上記第8の手段によれば、回転軸が重心を通るか否かによらず、タービンケーシングに与える変形(ひずみ)を少なくすることができる。
本発明の適用対象となるタービンケーシングは、フランジ端面が半円状となるように2分割している。そしてタービンケーシングの軸心を水平方向に配置(横置き)したとき、上下2分割した上部タービンケーシングの内周側を点検、検査あるいは修復作業のために、上部タービンケーシングを180度回転させる場合について以下説明する。
図示のように本発明のタービンケーシング回転装置10は、アタッチメント20と、把持回転手段40と、昇降手段60と、制御手段80を主な基本構成としている。
図4はアタッチメントの説明図であり、(1)は上部タービンケーシングの第1フランジ2aに取付けたアタッチメントを示し、(2)は上部タービンケーシングの第2フランジ2bに取付けたアタッチメントを示している。図示のタービンケーシングは、(1)側の径が、(2)側の径よりも小さく、それに伴ってフランジ穴数も(1)側で少ない例である。また、フランジ両端の軸孔の中心の床からの高さHが、タービンケーシングの重心の床からの高さhより高い場合を示している。図示のようにアタッチメント20は、接続フレーム22と、接続プレート24から構成されている。
本実施形態の一対のアタッチメント20は、軸孔23をそれぞれ床からの高さHが等しく、かつ、軸孔23の中心点を結ぶ線がタービンケーシング1を平面視したときの中心線(図2)と重なるように取り付けている。
また軸孔23の中心点を結ぶ線とタービンケーシング1の重心との距離が重心許容範囲、一例として200mm以内であるとよい。
このような構成のアタッチメント20は、タービンケーシング1のフランジ端面2のフランジ穴3を利用して確実に取り付けることができる。また、タービンケーシング1のフランジ端面の形状に合わせて複数形成することにより、直径が異なるなど別形状のタービンケーシング1にも対応することができる。また、タービンケーシング1の回転中心となる重心と異なる箇所を把持することができる。
把持回転手段40は、回転駆動部42と回転部から構成されている。本実施形態の回転駆動部42は油圧モータを用いている。回転駆動部42は、油圧モータを支持するガイドサポート54を備えたガイド支柱52と、油圧モータの回転シャフト43を軸支する軸受44を支持するサポート65を備えた昇降手段60により架台50上に取り付けている。
なお回転駆動部42は、油圧モータの他にも電動モータなどを適用することができる。
昇降手段60は、把持回転手段40を架台50上で上下方向に移動可能な手段である。本実施形態の昇降手段60は油圧シリンダを用いている。昇降手段60は第1及び第2支柱62,64からなる。第1支柱62は内部にシリンダ66を配置している。シリンダ66の下端は架台50上に配置し、ロッド側(上端)を上向きに配置している。第2支柱64は内部にシリンダ66から伸縮可能なロッド68を配置している。ロッド68の端部は第2支柱64の上端に固定している。また第2支柱64には、軸受44を固定したサポート65を取り付けている。このサポート65は、ガイド支柱52のガイドサポート54とフレーム58を介して連結している。ガイドサポート54はガイド支柱52の長手方向に沿って上下移動可能に構成されている。このような構成のサポート65及びガイドサポート54は、第2支柱64の上下方向の移動に伴って上下方向に移動可能に構成されている。
図5は伸縮手段の説明図であり、(A)は正面図であり、(B)は平面図である。
前述のように本実施形態のガイド支柱52と第1支柱62は、フレーム58を介して接続している。そしてガイド支柱52と第1支柱62は、下部架台50a側の端部にフランジ部70を設けている。フランジ部70には繋ぎ梁50bの長手方向に沿った複数の長孔72(図5中の長孔は一つのフランジに4つ)が形成されている。下部架台50aの上面には、長孔72と対向する箇所に凸部74が形成されている。凸部74はガイド支柱52と第1支柱62の長手方向に沿って下部架台50aの上面から延出している。下部架台50aの上面の凸部74に、ガイド支柱52と第1支柱62のフランジの長孔72を嵌め合わせている。このような構成のガイド支柱52と第1支柱62は、長孔72の長さの範囲内で下部架台50aの上面をスライドすることができる。本実施形態では、長孔72の長さを一例として、50mmに設定している。
このような伸縮手段30によれば、把持回転手段40の間に載置されたタービンケーシング1のフランジ端面2の間のクリアランスが生じている場合には、ジャッキを伸長させることによりクリアランスを解消して、アタッチメント20とタービンケーシング1のフランジ端面2を接触させることができる。
制御手段80は制御部82と駆動部84から構成されている。
制御部82は、把持回転手段40と昇降手段60に接続して一対のアタッチメント20間で把持したタービンケーシング1を所定角度で回転させる制御が可能な手段である。制御部82は、具体的に一対のアタッチメント20間でタービンケーシング1を把持固定した後、昇降手段60へタービンケーシング1を上昇させる制御信号を送信する。次に所定高さまで上昇したタービンケーシング1を所定角度回転(本実施形態では反転)させる制御信号を把持回転手段40へ送信する。そして、反転したタービンケーシング1を仮受台90上へ下降させる制御信号を昇降手段60へ送信する。
仮受台90はタービンケーシング1を架台50上に載置する際に、タービンケーシング1の長手方向に沿った分割断面の四隅と接触する受台である。仮受台90は芯出し手段92を取り付けている。芯出し手段92はタービンケーシング1の長手方向と直交する方向から軸心に向けて伸長する。本実施形態の芯出し手段92はジャッキを用いている。
なお、仮受台90を移動可能な仮受台車とすれば、回転装置から回転したタービンケーシング1を他の場所へ容易に移動させることができ、回転装置を別の場所へ移動させることなく、他のタービンケーシングをクレーンで搬入して回転作業を行うことにより作業の効率化と短期化を実現できる。
上記構成による本発明のタービンケーシング回転装置の作用について、以下説明する。
図6はタービンケーシング回転装置によるタービンケーシングの回転作業の説明図である。
同図(1)に示すように、発電設備内の天井クレーンなどの吊上げ手段5によりタービンからタービンケーシング1を吊り上げて、タービンケーシング回転装置10まで移動させる。そして架台50の側方に配置した仮受台90上にタービンケーシング1を仮置きする。仮受台90は上面にタービンケーシング1の長手方向に沿った分割端面が接触している。吊上げ手段5のクレーンロープを取り外す。
ついで芯出し手段92を用いて、仮受台90上に仮置きしたタービンケーシング1のフランジ端面2のフランジ穴3と、アタッチメント20の締結孔26に位置ズレが生じている場合に、両者の中心を同一軸心上に配置させる芯出し作業を行う。
同図(2)に示すように、アタッチメント20の締結孔26とフランジ端面2のフランジ穴3に締結手段となる締結ボルトを挿入して締結する。これにより把持回転手段40でタービンケーシング1を把持できる。このような把持回転手段40は、重心と異なる箇所をケーシング1の回転中心としてフランジ端面2を把持することができる。また、場合によっては、タービンケーシング1の重心と回転中心を一致させて把持することも可能である。
制御手段80から昇降手段60へ架台50上から所定高さまで上昇させる制御信号を送信する。同図(3)に示すように、昇降手段60を構成するロッド68がシリンダ66側から伸長して、第2支柱64の上昇に伴い把持回転手段40も上昇する。本実施形態では回転するタービンケーシング1が架台50と接触することがない高さまで上昇させている。
制御手段80から把持回転手段40へケーシング1を所定角度回転(反転)させる制御信号を送信する。同図(4)に示すように、把持回転手段40の回転駆動部42を駆動させてタービンケーシング1を反転させる。回転中心となるアタッチメント20の軸孔23を、タービンケーシング1の重心と一致させた場合は、回転中に把持回転手段40にかかるタービンケーシング1の重量が偏ることなく安定した状態で回転させることができる。よって回転に必要なトルクも最小で済むため、把持回転手段を低コストで製作できる。
制御手段80から昇降手段60へタービンケーシング1を仮受台90まで下降させる制御信号を送信する。同図(5)に示すように、昇降手段60を構成するロッド68がシリンダ66側へ縮小して、第2支柱64の下降に伴い把持回転手段40も下降する。これにより仮受台90上に反転したタービンケーシング1を仮置きできる。
同図(6)に示すように、アタッチメント20とタービンケーシング1のフランジ端面2を締結していた締結手段を取り外す。
ついで伸縮手段30を用いて、アタッチメント20間に仮置きされたタービンケーシング1のフランジ端面2との間にクリアランスを形成する。ジャッキを縮小させることによりクリアランスが発生してアタッチメント20とフランジ端面2が離れる。
図7は変形例のタービンケーシング回転装置の正面図である。図8は変形例のタービンケーシング回転装置の平面図である。図9は変形例のタービンケーシング回転装置の側面図である。
図示のようにアタッチメント200は、接続フレーム220と、接続プレート240から構成されている。
このような構成のタービンケーシング回転装置10Aは、発電設備内の天井クレーンなどの吊上げ手段によりタービンからタービンケーシング1を吊り上げて、タービンケーシング回転装置10Aまで移動させる。そして架台50の側方に配置した仮受台90上にタービンケーシング1を仮置きする。仮受台90は上面にタービンケーシング1Aの長手方向に沿った分割端面が接触している。吊上げ手段のクレーンロープを取り外す。
Claims (8)
- タービンケーシングのフランジ端面に接して、前記フランジ端面のフランジ穴と対向する箇所に締結孔を備え、締結手段で前記締結孔と前記フランジ穴を締結可能な一対のアタッチメントと、
前記一対のアタッチメント間で把持した前記タービンケーシングを回転可能な把持回転手段と、
前記把持回転手段を水平方向に昇降可能な昇降手段と、
前記把持回転手段と前記昇降手段と接続して前記一対のアタッチメント間で把持した前記タービンケーシングを回転させる制御が可能な制御手段と、
を備えたことを特徴とするタービンケーシング回転装置。 - 前記アタッチメントは、前記タービンケーシングの側面視で前記タービンケーシングの重心と対向する点を通る垂直線上に前記把持回転手段の回転シャフトを挿入可能な軸孔を備えた接続フレームと、
前記接続フレームの端部で前記タービンケーシングのフランジ端面に沿って複数の前記フランジ穴と対向する複数の前記締結孔を備えた接続プレートと、
を備え、前記一対のアタッチメントの前記軸孔はそれぞれ床からの高さが等しいことを特徴とする請求項1に記載のタービンケーシング回転装置。 - 前記軸孔の中心点を結ぶ線と前記タービンケーシングの重心との距離が前記把持回転手段のトルク以下で前記タービンケーシングを回転可能な距離以下であることを特徴とする請求項2に記載のタービンケーシング回転装置。
- 前記軸孔の中心点を結ぶ線と前記タービンケーシングの重心との距離が200mm以内であることを特徴とする請求項2又は3に記載のタービンケーシング回転装置。
- 前記把持回転手段は、
いずれか一方の前記アタッチメントに前記タービンケーシングを回転可能な回転駆動部と、
いずれか他方の前記アタッチメントに前記回転駆動部に従動する回転自在な回転部からなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のタービンケーシング回転装置。 - 一対の前記アタッチメント間に載置された前記タービンケーシングのフランジの外周面又は端面に接触して、前記タービンケーシングの重心と前記アタッチメントの軸孔の中心を同一軸線上に位置調整可能な芯出手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のタービンケーシング回転装置。
- 一対の前記アタッチメント間に両者の間の長さを変化させる伸縮手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のタービンケーシング回転装置。
- 前記昇降手段は、前記タービンケーシングを上昇させる高さを前記タービンケーシングの両端で同じ高さにすることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のタービンケーシング回転装置。
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