JP6780514B2 - 硬質皮膜、硬質皮膜被覆工具、及びそれらの製造方法 - Google Patents

硬質皮膜、硬質皮膜被覆工具、及びそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐チッピング性に優れた硬質皮膜、硬質皮膜被覆工具、及びそれらの製造方法に関する。
従来から耐熱合金鋼やステンレス鋼等の切削加工に、TiAlN、TiC、TiN、Ti(CN)、Al2O3等の硬質皮膜を単層又は複層に被覆した切削工具が用いられている。このような硬質皮膜被覆工具の使用条件は益々過酷になっており、例えば、ステンレス鋼の切削の場合、切削中に加工効果が生じ被削材表面が硬質化するため工具のチッピングが発生し、短寿命になるという問題がある。このような問題を解消するために、耐チッピング性に優れた硬質皮膜を有する切削工具が望まれている。
特開2015-052133号(特許文献1)は、図12に示すCVD装置100を使用して多層構造の窒化チタンアルミニウム層を被覆した工具を開示している。CVD装置100は、複数の基体102を載置する複数の棚103と、棚103をカバーする反応容器104と、反応容器104を囲む調温装置105と、2つの導入口106、107を有する導入管108と、排気管109とを具備する。特許文献1の窒化チタンアルミニウム層はWC基超硬合金基体の表面にTiNからなる第1単位層とTi0.1〜0.4Al0.9〜0.6Nからなる第2単位層とが交互に積層された構造を有する。しかし、特許文献1の窒化チタンアルミニウム層のTiN層及びTi0.1〜0.4Al0.9〜0.6N層がともにfcc結晶構造であるため、耐チッピング性が悪いことが分った。
特開2016-005863号(特許文献2)は、WC基超硬合金製の工具基体の表面に、化学蒸着装置を用い、TiN下部層を形成した後、組成式:(Ti1-xAlx)(CyN1-y)で表した複合窒化物層又は複合炭窒化物層を形成した表面被覆切削工具を開示している。しかし、特許文献2の表面被覆切削工具もTiN下部層がfcc構造の窒化チタン膜からなるため、耐チッピング性が悪いことが分った。
特開2015-052133号公報 特開2016-005863号公報
従って、本発明の第一の目的は、優れた耐チッピング性を有する長寿命の硬質皮膜を提供することである。
本発明の第二の目的は、かかる硬質皮膜を被覆した工具を提供することである。
本発明の第三の目的は、かかる硬質皮膜及び硬質皮膜被覆工具を製造する方法を提供することである。
本発明の硬質皮膜は、柱状結晶組織を有し、(Tix, Aly)NZ(ただし、x,y,zは原子比でx=0.05〜0.23,y=0.49〜0.24,x+y+z=1を満たす数字である。)で表される組成を有し、fccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層と、前記窒化チタンアルミニウム層の直下に形成され、TiaNb(ただし、a,bは原子比でa=0.56〜0.73,a+b=1を満たす数字である。)で表される組成を有し、hcp構造を有する窒化チタン層とを有することを特徴とする。
本発明の硬質皮膜被覆工具は、基体上に硬質皮膜を形成してなり、前記硬質皮膜は、柱状結晶組織を有し、(Tix, Aly)NZ(ただし、x,y,zは原子比でx=0.05〜0.23,y=0.49〜0.24,x+y+z=1を満たす数字である。)で表される組成を有し、fccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層と、前記窒化チタンアルミニウム層の直下に形成され、TiaNb(ただし、a,bは原子比でa=0.56〜0.73,a+b=1を満たす数字である。)で表される組成を有し、hcp構造を有する窒化チタン層とを有することを特徴とする。
化学蒸着法により、柱状結晶組織を有し、fccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層と、前記窒化チタンアルミニウム層の直下に形成され、hcp構造を有する窒化チタン層とを有する硬質皮膜を製造する本発明の方法は、
原料ガスとして、TiCl4ガス、N2ガス及びH2ガスからなる混合ガスA1と、N2ガス及びH2ガスからなる混合ガスB1とを使用し、回転軸から異なる距離に配置された第一及び第二のノズルを回転させ、前記第一及び第二のノズルから前記混合ガスA1及びB1を別々に吹き出すことにより前記hcp構造を有する窒化チタン層を形成することを特徴とする。
基体上に、柱状結晶組織を有し、fccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層と、前記窒化チタンアルミニウム層の直下に形成され、hcp構造を有する窒化チタン層とを有する硬質皮膜を有する硬質皮膜被覆工具を化学蒸着法により製造する本発明の方法は、
原料ガスとして、TiCl4ガス、N2ガス及びH2ガスからなる混合ガスA1と、N2ガス及びH2ガスからなる混合ガスB1とを使用し、回転軸から異なる距離に配置された第一及び第二のノズルを回転させ、前記第一及び第二のノズルの周囲に前記基体を配置し、前記第一及び第二のノズルから前記混合ガスA1及びB1を別々に吹き出すことにより前記hcp構造を有する窒化チタン層を形成することを特徴とする。
柱状結晶組織を有し、(Tix, Aly)NZ(ただし、x,y,zは原子比でx=0.05〜0.23,y=0.49〜0.24,x+y+z=1を満たす数字である。)で表される組成を有し、fccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層と、前記窒化チタンアルミニウム層の直下に形成され、TiaNb(ただし、a,bは原子比でa=0.56〜0.73,a+b=1を満たす数字である。)で表される組成を有し、hcp構造を有する窒化チタン層とを有する本発明の硬質皮膜を基体上に有する硬質皮膜被覆工具は、切削工具を用いた切削加工において、硬質皮膜と基体との硬さの差異が顕著に緩和され、もって顕著に優れた耐チッピング性を発揮することができる。
実施例1の硬質皮膜被覆工具の断面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真(倍率10,000倍)である。 実施例1の硬質皮膜の下層部分の断面を示す透過型電子顕微鏡(TEM)写真(倍率200,000倍)である。 図2のa部を拡大して示すTEM写真(倍率2,000,000倍)である。 hcp構造の窒化チタン層の部分(図3の(1)部)のナノビーム回折(NAD)の結果を示す図である。 hcp構造の窒化チタン層の部分(図3の(2)部)のナノビーム回折(NAD)の結果を示す図である。 hcp構造の窒化チタン層の部分(図3の(3)部)のナノビーム回折(NAD)の結果を示す図である。 fcc構造の窒化チタン層の部分(図3の(4)部)のナノビーム回折(NAD)の結果を示す図である。 実施例1の硬質皮膜被覆工具の硬質皮膜のX線回折パターンを示すグラフである。 ミーリング用インサートを示す概略平面図である。 ミーリング用インサートを示す概略側面図である。 ミーリング用インサートを装着する刃先交換式回転工具を示す概略図である。 本発明の硬質皮膜を形成する化学蒸着装置(CVD炉)の一例を示す模式図である。 第一及び第二のパイプの集合体の一例を示す横断面図である。 第一及び第二のパイプの集合体の別の例を示す横断面図である。 第一及び第二のパイプの集合体のさらに別の例を示す横断面図である。 特許文献1に記載の装置と同じ方向に原料ガス噴出ノズルを有する一体的なパイプ集合体を示す横断面図である。 特許文献1に記載のCVD装置を示す概略図である。
[1] 硬質皮膜被覆工具
本発明の硬質皮膜被覆工具は、基体上に硬質皮膜を形成してなり、前記硬質皮膜は、柱状結晶組織を有し、(Tix, Aly)NZ(ただし、x,y,zは原子比でx=0.05〜0.23,y=0.49〜0.24,x+y+z=1を満たす数字である。)で表される組成を有し、fccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層と、前記窒化チタンアルミニウム層の直下に形成され、TiaNb(ただし、a,bは原子比でa=0.56〜0.73,a+b=1を満たす数字である。)で表される組成を有し、hcp構造を有する窒化チタン層とを有する。
図1は本発明の一実施態様による硬質皮膜の層構成を示し、図2は硬質皮膜の下層部分の断面を示し、図3は図2のa部を拡大して示す。この実施態様では、基体21の上に、fcc構造の窒化チタン層22、hcp構造を有する窒化チタン層23及び窒化チタンアルミニウム層24が順次形成されている。本発明の硬質皮膜はfccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層と、窒化チタンアルミニウム層の直下に形成されたhcp構造を有する窒化チタン層を必須構成とし、hcp構造を有する窒化チタン層の直下に下層、窒化チタンアルミニウム層の上に後述の上層が形成されていても良い。
(A) 基体
基体は化学蒸着法を適用できる高耐熱性の材質である必要があり、例えばWC基超硬合金、サーメット、高速度鋼、工具鋼又は立方晶窒化ホウ素を主成分とする窒化ホウ素焼結体(cBN)、サイアロンのようなセラミックス等が挙げられる。強度、硬度、耐摩耗性、靱性及び熱安定性の観点から、WC基超硬合金、サーメット及びセラミックスが好ましい。例えばWC基超硬合金の場合、焼結したままの未加工面にも本発明の硬質皮膜を形成できるが、寸法精度を高めるために加工面(研磨加工面又は刃先処理加工面等)に硬質皮膜を形成するのが好ましい。
(B) 窒化チタンアルミニウム層
(1) 組成
窒化チタンアルミニウム層は、(Tix, Aly)NZ(ただし、x,y,zは原子比でx=0.05〜0.23,y=0.49〜0.24,x+y+z=1を満たす数字である。)で表される組成を有する。上記組成範囲外では所望のミクロ組織が得られない。窒化チタンアルミニウム層の必須成分組成は、x=0.05〜0.23,y=0.49〜0.24,z=0.46〜0.53であるのが好ましく、x=0.04〜0.22,y=0.48〜0.23,z=0.48〜0.55であるのがより好ましく、x=0.08〜0.18,y=0.42〜0.29,z=0.50〜0.53であるのがさらに好ましい。Nの30原子%以下をC又はBで置換しても良い。窒化チタンアルミニウム層は、不可避的不純物としてClを含有しても良いが、Cl含有量は1.5原子%以下が好ましく、0.8原子%以下がより好ましい。窒化チタンアルミニウム層の組成はEPMAにより測定することができる。
(2) 窒化チタンアルミニウム層の結晶構造
窒化チタンアルミニウム層はfccを主構造とし、柱状結晶組織を有する。柱状結晶の「平均横断面径」は、基体表面に垂直な面における柱状結晶の断面の平均径を意味する。高硬度で優れた耐摩耗性を有するために、柱状結晶の平均横断面径は0.1〜1.2μmであるのが好ましく、0.2〜1.0μmであるのがより好ましい。平均横断面径が0.1μm未満では窒化チタンアルミニウム結晶粒の結晶粒界比率が高く、高温での耐酸化性が大幅に低下する。一方、平均横断面径が1.2μmより大きいと結晶粒内にクラックが発生して、皮膜の破壊を招く。具体的に、平均横断面径は、図1のSEM写真の窒化チタンアルミニウム層の膜厚方向中間部において、任意の10個の柱状結晶粒の横断面径を測定し、得られた測定値を算術平均することにより求めた。
なお、「fccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層」とは、X線回折において窒化チタンアルミニウムのfcc構造の回折面の回折ピークが最強になることを言う。勿論、X線回折において窒化チタンアルミニウムのfcc構造の回折面の回折ピークのみが観察されるfccの単一構造であっても良い。
(3) 窒化チタンアルミニウム層の膜厚
基体からの剥離を抑制するとともに優れた耐摩耗性及び耐酸化性を発揮するために、本発明の窒化チタンアルミニウム層の膜厚は1〜15μmにするのが好ましく、2〜12μmにするのがより好ましい。膜厚が1μm未満では皮膜の効果が十分に得られず、膜厚が15μmを超えると皮膜が厚くなり過ぎて皮膜内部にクラックが発生するおそれがある。窒化チタンアルミニウム層の膜厚は成膜時間により適宜制御することができる。なお、硬質皮膜及びそれを構成する各層は完全に平坦ではないので、単に「膜厚」と呼ぶ場合でも「平均厚さ」を意味する。
(C) hcp構造を有する窒化チタン層
(1) 組成
hcp構造を有する窒化チタン層は、一般式:TiaNb(ただし、a,bは原子比でa=0.56〜0.73,a+b=1を満たす数字である。)で表される組成を有する。Tiの割合aが0.56未満では、窒化チタン層はfcc構造のみになり、硬度が高く靭性が下がるため、耐チッピング性に劣る。aが0.73超では、窒化チタン層は硬度が低下し強度が下がるため、耐チッピング性に劣る。高性能化の観点から、a=0.57〜0.69であるのが好ましく、a=0.59〜0.66であるのがより好ましい。hcp構造を有する窒化チタン層は、不可避的不純物として基体成分のCo,W,Cr,Cや原料ガス成分のCl及びOを含有しても良い。hcp構造を有する窒化チタン層の組成は後述するEDSの測定結果に基づき求めることができる。
(2) 結晶構造
窒化チタン層の結晶構造は後述するナノビーム回折(NAD)の測定結果に基づき求めることができる。「hcp構造を有する窒化チタン層」とは、ナノビーム回折(NAD)によりhcp構造の存在が確認された窒化チタン層であることを意味する。すなわち、hcp構造を有する窒化チタン層には、他の構造(fcc構造等)が存在していても良い。高性能化の観点から、hcp構造を有する窒化チタン層は、hcpを主構造とするのが好ましい。「hcpが主構造の窒化チタン層」とは、ナノビーム回折(NAD)により窒化チタン層の任意の複数箇所を測定し、それらの測定箇所のうちの過半数においてhcp構造が確認された窒化チタン層を言う。
本発明の硬質皮膜が、fccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層と、その直下にhcp構造を有する窒化チタン層とを有することにより高性能になるメカニズムは十分明らかではないが、以下のように考えられる。即ち、従来の化学蒸着法により形成されるfcc構造の窒化チタン層は基体との硬さの差が大きく、かつ基体との熱膨張係数の差が大きい。またfcc構造の窒化チタン層とfccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層との間の残留応力の差が大きく、両者の密着性が十分でない。そのため、このような硬質皮膜を有する工具で切削加工を行うと、硬質皮膜の剥離や破壊が生じ、耐チッピング性が大きく低下する。
これに対し、本発明の硬質皮膜は、fccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層の直下にhcp構造を有する窒化チタン層を有する。hcp構造を有する窒化チタン層は、皮膜硬度が高くなくヤング率が低いため、工具で切削加工を行うと衝撃を吸収し硬質皮膜の剥離や破壊が抑制される。またhcp構造を有する窒化チタン層とfccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層との間の残留応力の差が、fcc構造の窒化チタン層とfccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層との間の残留応力の差より小さく、両者の密着性が高い。このような特徴的な硬質皮膜は従来存在しない。かかる本発明の硬質皮膜は、従来の硬質皮膜より耐チッピング性に優れている。hcp構造を有する窒化チタン層のミクロ構造は、ナノビーム回折の測定結果(図4(a)〜(c) を参照)に基づき判定することができる。
(3) hcp構造を有する窒化チタン層の膜厚
hcp構造を有する窒化チタン層は5〜200 nmの厚さを有するのが好ましい。hcp構造を有する窒化チタン層の厚さが5 nm未満であると、靭性の高い窒化チタン層が少なく耐チッピング性に劣る。hcp構造を有する窒化チタン層の厚さが200 nmを超えると皮膜硬度が低下し耐摩耗性が低下するため硬質皮膜の耐チッピング性に劣る。高性能化の観点から、hcp構造を有する窒化チタン層の膜厚は10nm〜180 nmであるのが好ましく、20nm〜80 nmであるのがより好ましい。hcp構造を有する窒化チタン層の膜厚は、ナノビーム回折の測定結果に基づき判定することができる。hcp構造を有する窒化チタン層の膜厚の測定は、国際公開公報WO2015/186413の図9(a)、9(b)に記載の改質層の平均厚さの測定方法と同様に行った。後述のfcc構造の窒化チタン層の膜厚の測定も同様である。
(D) 下層
下層の一例として、hcp構造を有する窒化チタン層の直下にfcc構造の窒化チタン層を設けても良い。かかる層構成においてfcc構造の窒化チタン層は基体との密着性の向上に寄与し、hcp構造を有する窒化チタン層との密着性も高いから、硬質皮膜の耐チッピング性の向上に寄与する。そのため、fcc構造の窒化チタン層を基体上に形成した後にhcp構造を有する窒化チタン層を形成することにより、基体と硬質皮膜の密着性を高めることができる。
なお、「fcc構造の窒化チタン層」とは、ナノビーム回折(NAD)によりfcc構造の存在のみが確認されるfccの単一構造からなる窒化チタン層を意味する。fcc構造の窒化チタン層は、一般式:TicNd(ただし、c,dは原子比でc=0.45〜0.55,c+d=1を満たす数字である。)で表される組成を有するのが好ましい。この組成範囲を外れると窒化チタン層のfcc構造が不安定になる。fcc構造の窒化チタン層は、不可避的不純物として基体成分のCo,W,Cr,Cや原料ガス成分のCl及びOを含有しても良い。
下層は50〜500 nmの厚さを有するのが好ましい。この膜厚範囲を外れると硬質皮膜の耐チッピングの向上効果が大きく低下する。下層はfcc構造の窒化チタン層にかぎらず、基体との密着性や耐チッピングの向上を満たすものであれば、種々の皮膜を採用できる。例えば、fcc構造の炭窒化チタン層やhcp構造の窒化アルミニウム層でも良い。
(E) 上層
特に限定されないが、本発明の硬質皮膜の上層として、Ti、Al、Cr、B及びZrからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素と、C、N及びOからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素とを必須とする単層又は多層の硬質皮膜を化学蒸着法により設けても良い。上層としては、例えばTiC、CrC、SiC、VC、ZrC、TiN、AlN、CrN、Si3N4、VN、ZrN、Ti(CN)、(TiSi)N、(TiB)N、TiZrN、TiAl(CN)、TiSi(CN)、TiCr(CN)、TiZr(CN)、Ti(CNO)、TiAl(CNO)、Ti(CO)、(TiCr)N、(TiAlCr)N、(AlCr)N、(AlCrSi)N、Al2O3及びTiB2等の単層又は積層の皮膜が挙げられる。
[2] 化学蒸着装置
本発明の硬質皮膜は、熱化学蒸着装置又はプラズマ支援化学蒸着装置(CVD炉)を用いた化学蒸着法により形成することができる。図9に示すように、CVD炉1は、チャンバー2と、チャンバー2の壁内に設けられたヒータ3と、チャンバー2内で回転する複数の棚(治具)4,4と、棚4,4を覆い、複数の排出孔5aを有する反応容器5と、棚4,4の中央開口部4aを垂直に貫通する第一及び第二のパイプ11,12と、各パイプ11,12に設けられた複数のノズル11a,11a,12aとを具備する。多数のインサート基体20が載置された棚4,4は、チャンバー2内で回転する。第一及び第二のパイプ11,12は、両端部が保持部材(図示省略)により一体的に固定されてパイプ集合体を構成し、一体的に回転し得るようにチャンバー2の底部を貫通し、回転自在に外部の配管(図示せず)に接続されている。チャンバー2の底部には、キャリアガス及び未反応ガスを排出するためのパイプ13を有する。
[3] 製造方法
本発明の硬質皮膜を、熱化学蒸着法を用いる場合を例にとって、以下詳細に説明するが、勿論本発明はそれに限定されず、他の化学蒸着法にも適用できる。
(A) 下層の形成
下層の一例としてfcc構造の窒化チタン層を形成するには、基体をセットしたCVD炉内にH2ガス、N2ガス及び/又はArガスを流し、成膜温度まで昇温した後、TiCl4ガス、N2ガス、及びH2ガスからなる原料ガスをCVD炉内に流し、fcc構造の窒化チタン層を形成する。
(1) fcc構造の窒化チタン層の原料ガス
fcc構造の窒化チタン層を形成する原料ガス組成は、合計を100体積%として、0.8〜3体積のTiCl4ガス、10〜30体積%のN2ガス及び残部H2ガスからなるのが好ましい。TiCl4ガス、N2ガス及びH2ガスの含有量が上記組成範囲外であると、得られるfcc構造の窒化チタン層の結晶粒径が粗大化し密着力が低下する。
(2) fcc構造の窒化チタン層の成膜温度
fcc構造の窒化チタン層を形成する成膜温度は、750〜810℃であることが好ましい。成膜温度が上記範囲外であると、得られる窒化チタン層中の塩素含有量が増加することや、結晶粒径が粗大化するため密着力が低下する。成膜温度は、CVD炉における反応容器の近接位置に熱電対を設け、成膜中の炉体温度を測定することにより求める。
(B) hcp構造を有する窒化チタン層の形成
(1) hcp構造を有する窒化チタン層の原料ガス
hcp構造を有する窒化チタン層を形成する原料ガスとして、TiCl4ガス、N2ガス及びH2ガスからなる混合ガスA1と、N2ガス及びH2ガスからなる混合ガスB1とを使用する。TiCl4ガス、N2ガス及びH2ガスの合計を100体積%として、混合ガスA1の組成は0.02〜0.20体積%のTiCl4ガス、20〜50体積%のN2ガス及び残部H2ガスからなるのが好ましく、混合ガスB1の組成は15〜35体積%のN2ガス及び残部H2ガスからなるのが好ましく、混合ガスA1のH2ガスと前記混合ガスB1のH2ガスとの体積比H2(A1)/H2(B1)を0.9〜5とするのが好ましい。H2(A1)/H2(B1)が0.9未満及び5超のいずれでも、原料ガスの反応速度が変わり、CVD炉内に載置された基体上に形成されるhcp構造を有する窒化チタン層の膜厚分布が悪くなる。混合ガスA1、B1において、キャリアガスであるH2ガスの一部をArガスで代替しても良い。
(a) 混合ガスA1
TiCl4ガスが0.02体積%未満であると成膜速度が低下することから成膜時間が長くなり、基体成分の硬質皮膜中への拡散が増加し硬質皮膜の密着性が低下する。一方、TiCl4ガスが0.20体積%を超えると、窒化チタン層の成膜速度が増加し、窒化チタン層がfcc構造になり密着性が低下する。
N2ガスが20体積%未満では、窒化チタン層の成膜速度が増加し、fcc構造になり硬質皮膜の密着性が低下する。一方、N2ガスが50体積%を超えると、窒化チタン層の成膜速度が低下することから成膜時間が長くなり、基体成分の硬質皮膜中への拡散が増加し硬質皮膜の密着性が低下する。
混合ガスA1のH2ガスは9.9〜39.9体積%であるのが好ましい。H2ガスが9.9体積%未満では、窒化チタン層の成膜速度が低下することから成膜時間が長くなり、基体成分の硬質皮膜中への拡散が増加し硬質皮膜の密着性が低下する。一方、H2ガスが39.9体積%を超えると、窒化チタン層の成膜速度が増加し、fcc構造になり硬質皮膜の密着性が低下する。
(b) 混合ガスB1
N2ガスが15体積%未満では、窒化チタン層の成膜速度が増加し、fcc構造になり硬質皮膜の密着性が低下する。一方、N2ガスが35体積%を超えると、窒化チタン層の成膜速度が低下することから成膜時間が長くなり、基体成分の硬質皮膜中への拡散が増加し硬質皮膜の密着性が低下する。
混合ガスB1のH2ガスは5〜25体積%であるのが好ましい。H2ガスが5体積%未満では、窒化チタン層の成膜速度が低下することから成膜時間が長くなり、基体成分の硬質皮膜中への拡散が増加し硬質皮膜の密着性が低下する。一方、H2ガスが25体積%を超えると、窒化チタン層の成膜速度が増加し、fcc構造になり硬質皮膜の密着性が低下する。
(2) hcp構造を有する窒化チタン層の成膜温度
hcp構造を有する窒化チタン層を形成する成膜温度は、750〜810℃であることが好ましい。成膜温度が上記範囲外であると、得られる窒化チタン層中の塩素含有量が増加することや、結晶構造がfcc構造になるため密着力が低下し耐チッピング性に劣る。成膜温度は、後述の図9に示すCVD炉1における反応容器5の近接位置に熱電対(図示省略)を設け、成膜中の炉体温度を測定することにより求める。後述する窒化チタンアルミニウム層の成膜温度の測定も同様である。
成膜温度が750℃未満であると窒化チタン層中の塩素量が増加し、皮膜硬度が低下するため硬質皮膜の密着性が低下する。一方、成膜温度が810℃を超えると、窒化チタン層の成膜速度が増加し、fcc構造になり硬質皮膜の密着性が低下する。
(3) hcp構造を有する窒化チタン層の成膜圧力
hcp構造を有する窒化チタン層を形成する成膜圧力は、3〜5kPaであることが好ましい。成膜圧力3kPa未満であると窒化チタン層の成膜速度が低下することから成膜時間が長くなり、基体成分の硬質皮膜中への拡散が増加し硬質皮膜の密着性が低下する。5kPaを超えると、窒化チタン層の成膜速度が増加し、fcc構造になり硬質皮膜の密着性が低下する。
(4) 原料ガスの導入方法
窒化チタン層は、混合ガスA1及びB1の混合により反応速度を制御し、hcp構造を有する窒化チタン層を形成するために、混合ガスA1及びB1をCVD炉1内に非接触の状態で送入しなければならない。このために、図9及び図10(a)〜図10(c) に示すように、例えば2種類のパイプ11,12を固定したパイプ集合体30を具備するCVD炉1を用いる。
各ノズルから噴出する混合ガスA1,B1の流れを阻害せずに混合ガスA1及びB1を別々にCVD炉1内に導入する必要がある。そのためには、図10(a)〜図10(c) に例示するように、混合ガスA1,B1を噴出する第一及び第二のノズルの一方を中心側に配置し、他方を外周側に配置し、第一及び第二のノズルから別々に混合ガスA1及びB1を吹き出す必要がある。
本発明の特徴的なミクロ組織を得るために、混合ガスA1,B1を導入するノズル11a,12aは2〜4 rpmの速度で回転するのが好ましい。第一及び第二のノズル11a,12aの回転方向は限定的でない。
図10(a)〜図10(c) は混合ガスA1、B1を噴き出すノズル構造の好ましい例を示す。パイプ集合体30の回転軸Oに関して、第一のノズル11aは外周側に位置し、第二のノズル12aは中心側に位置する。上記の特徴的なミクロ組織を形成するために、混合ガスB1を噴出するノズルの噴出口と被覆物までの距離を、混合ガスA1を噴出するノズルの噴出口と被覆物までの距離より短くするのが好ましい。750℃から810℃の成膜温度では混合ガスA1中のTiCl4ガスは、混合ガスA1や混合ガスB1中のN2ガスと反応性が低いが、CVD炉内に導入されると反応し窒化チタン層が形成される。CVD炉内に噴出したTiCl4ガスとN2ガスは熱とH2ガスにより分解されて反応しfcc構造の窒化チタン層が形成されやすいが、TiCl4ガスとN2ガス及びH2ガスを含む混合ガスA1がCVD炉内に導入された後、TiCl4ガスを含まない混合ガスB1を供給することにより窒化チタン層の反応ガスが排出されるため、反応が連続的に起こらない。このため、反応速度が低下しhcp構造を有する窒化チタン層が形成される。このように反応速度を低下せしめて、hcp構造を有する窒化チタン層を形成するには、750℃から810℃の温度を選択し、混合ガスA1及びB1においてH2ガスよりN2ガスを多く供給し、かつ混合ガスA1のTiCl4ガス濃度を少なくすることにより実現する。また、図12に示すように混合ガスA1及びB1を噴出するノズル口が回転軸から等距離にあると(H1=H2)、混合ガスA1及びB1が被覆物に到達するまでに両者の反応が促進され、窒化チタン層はfcc構造となる。また上記とは逆に、混合ガスA1用ノズルの噴出口と被覆物との距離を、混合ガスB1用ノズルの噴出口と被覆物との距離より短くしても良い。TiCl4を含む混合ガスA1の噴出口と被覆物との距離を混合ガスB1用ノズルの噴出口と被覆物との距離より短くすることにより、hcp構造を有する窒化チタン層を安定的に形成することができる。
本発明の特徴的なミクロ組織を得るために、第一のノズル11aの噴出口と回転軸Oとの距離H1と第二のノズル12aの噴出口と回転軸Oとの距離H2との比(H1/H2)は1.5〜3の範囲内であるのが好ましい。
(a) 第一のパイプ集合体
図10(a) は混合ガスA1及びB1をCVD炉1内に非接触の状態で導入する第一のパイプ集合体30の一例を示す。このパイプ集合体30は2本の第一のパイプ11,11及び1本の第二のパイプ12からなり、第一及び第二のパイプ11,11,12の両端部は保持部材(図示省略)により一体的に固定されている。
第一のパイプ11は半径R1を有し、第二のパイプ12は半径R2を有する。第一のパイプ11の中心軸O1は、回転軸Oを中心とした第一の直径D1の円周C1上に位置する。従って、2本の第一のパイプ11,11は回転軸Oから等距離である。第一のパイプ11,11の中心軸O1,O1の回転軸Oに対する中心角θは90〜180°であるのが好ましい。また、第二のパイプ12の中心軸O2は回転軸Oと一致しており、第二のパイプ12の外周は、回転軸Oを中心とした第二の直径D2(=2R2)の円周C2と一致している。
第一のパイプ11,11のノズル(第一のノズル)11a,11aは外方に正反対の方向(180°の方向)に向いている。図示の例では各第一のパイプ11は縦方向1列のノズル(第一のノズル)11aを有するが、これに限定されず、第一のノズル11aは複数列でも良い。また、第二のパイプ12は直径方向(180°の方向)に配置された縦方向2列のノズル(第二のノズル)12a,12aを有する。勿論、第二のノズル12aは2列に限定されず、1列でも良い。第一の直径D1が第二の直径D2より大きいので[D1≧2(R1+R2)]、パイプ集合体30が回転軸Oを中心にして回転すると、第一のノズル11a,11aは外周側に位置し、第二のノズル12a,12aは内周側に位置する。
第二のパイプ12が1列の第二のノズル12aを有し、かつ第一のパイプ11,11の中心軸O1,O1の中心角θが180°未満の場合、第二のノズル12aは第一のノズル11a,11aから遠い方向(中心角θの反対側)に向いているのが好ましい。この場合、第一のノズル11aの噴出方向と第二のノズル12aの噴出方向とは直交しているのが好ましい。
第一のパイプ11,11の中心軸O1,O1が第二のパイプ12の中心軸O2と同一直線上にあり、かつ第二のパイプ12が2列の第二のノズル12a,12aを有する場合、第一のノズル11a,11aは正反対の方向(180°の方向)を向き、かつ第二のノズル12aは第一のノズル11a,11aと直交する方向で正反対の方向を向いている(90°の中心角である)のが好ましい。
(b) 第二のパイプ集合体
図10(b) は混合ガスA1及びB1をCVD炉1内に非接触の状態で導入する第二のパイプ集合体40の一例を示す。このパイプ集合体40は1本の第一のパイプ11及び1本の第二のパイプ12からなり、第一及び第二のパイプ11,12の両端部は保持部材(図示省略)により一体的に固定されている。第一のパイプ11は1列のノズル(第一のノズル)11aを有し、第二のパイプ12も縦方向1列のノズル(第二のノズル)12aを有する。
第二のパイプ12の中心軸O2はパイプ集合体40の回転軸Oと一致しており、第一のパイプ11は第二のパイプ12に近接する位置に配置されている。第一のパイプ11は半径R1を有し、第二のパイプ12は半径R2を有する。第一のパイプ11の中心軸O1は、回転軸Oを中心とした第一の直径D1の円周C1上に位置し、第二のパイプ12の中心軸O2は回転軸Oと一致しており、その外周は回転軸Oを中心とした第二の直径D2(=2R2)の円周C2と一致している。第一の直径D1が第二の直径D2より大きいので[D1≧2(R1+R2)]、パイプ集合体40が回転軸Oを中心として回転すると、第一のノズル11aは外周側に位置し、第二のノズル12aは内周側に位置する。
図示の例では第一のパイプ11のノズル(第一のノズル)11aと第二のパイプ12の第二のノズル12aとは正反対の方向(180°の方向)を向いているが、勿論限定的でなく、第一のノズル11aと第二のノズル12aとの中心角は90〜180°の範囲内であれば良い。
(c) 第三のパイプ集合体
図10(c) は混合ガスA1及びB1をCVD炉1内に非接触の状態で導入する第三のパイプ集合体50の一例を示す。このパイプ集合体50は4本の第一のパイプ11,11,11,11及び1本の第二のパイプ12からなり、第一及び第二のパイプ11,11,11,11,12の両端部は保持部材(図示省略)により一体的に固定されている。各第一のパイプ11は縦方向1列のノズル(第一のノズル)11aを有し、第二のパイプ12は直交する直径方向(180°)に配置された縦方向二対の列のノズル(第二のノズル)12a,12a,12a,12aを有する。全ての第一のパイプ11,11,11,11のノズル(第一のノズル)11a,11a,11a,11aは外方を向いている。
第一のパイプ11は半径R1を有し、第二のパイプ12は半径R2を有する。第一のパイプ11の中心軸O1は、回転軸Oを中心とした第一の直径D1の円周C1上に位置する。従って、4本の第一のパイプ11,11,11,11は回転軸Oから等距離である。また、第二のパイプ12の中心軸O2は回転軸Oと一致しており、その外周は回転軸Oを中心とした第二の直径D2(=2R2)の円周C2と一致している。第一の直径D1が第二の直径D2より大きいので[D1≧2(R1+R2)]、パイプ集合体50が回転軸Oを中心として回転すると、第一のノズル11a,11a,11a,11aは外周側に位置し、第二のノズル12a,12a,12a,12aは内周側に位置する。図示の例では隣接する第一のパイプ11,11の中心軸O1,O1の回転軸Oに関する中心角θは90°であるが、これに限定されず、60〜120°であれば良い。
(C) 窒化チタンアルミニウム層の形成
(1) 窒化チタンアルミニウム層の原料ガス
窒化チタンアルミニウム層を形成する原料ガスとして、TiCl4ガス、AlCl3ガス、N2ガス及びH2ガスからなる混合ガスA2と、NH3ガス、N2ガス及びH2ガスからなる混合ガスB2とを使用する。TiCl4ガス、AlCl3ガス、NH3ガス、N2ガス及びH2ガスの合計を100体積%として、混合ガスA2の組成は0.02〜0.31体積%のTiCl4ガス、0.15〜0.8体積%のAlCl3ガス、3〜40体積%のN2ガス、及び残部H2ガスからなるのが好ましく、混合ガスB2の組成は0.4〜1.9体積%のNH3ガス、2〜26体積%のN2ガス、及び残部H2ガスからなるとともに前記混合ガスA2のH2ガスと前記混合ガスB2のH2ガスとの体積比H2(A2)/H2(B2)を1〜5とするのが好ましい。混合ガスA2、B2において、キャリアガスであるH2ガスの一部をArガスで代替しても良い。混合ガスA2の組成は0.02〜0.31体積%のTiCl4ガス、0.15〜0.8体積%のAlCl3ガス、4.9〜21.8体積%のN2ガス、及び残部H2ガスからなり、混合ガスB2の組成は0.7〜1.9体積%のNH3ガス、3〜16.5体積%のN2ガス、及び残部H2ガスからなるのがより好ましい。混合ガスA2の組成は0.1〜0.2体積%のTiCl4ガス、0.3〜0.5体積%のAlCl3ガス、4.9〜21.8体積%のN2ガス、及び残部H2ガスからなり、混合ガスB2の組成は0.8〜1.3体積%のNH3ガス、3〜16.5体積%のN2ガス、及び残部H2ガスからなるのがさらに好ましい。体積比H2(A2)/H2(B2)を1.5〜4.8とするのがより好ましい。
体積比H2(A2)/H2(B2)が1未満及び5超のいずれでも、原料ガスの反応速度が変わり、CVD炉内に載置された基体上に形成される窒化チタンアルミニウム層の膜厚分布が悪くなる。
(2) 成膜温度
窒化チタンアルミニウム層の成膜温度は750〜830℃が好ましい。成膜温度が750℃未満では、窒化チタンアルミニウム層の塩素含有量が多くなり、皮膜硬さが低下する。一方、成膜温度が830℃を超えると反応が促進されすぎて粒状結晶組織となり、耐酸化性に劣る。
(3) 成膜圧力
窒化チタンアルミニウム層の成膜圧力は3〜6 kPaが好ましい。成膜圧力が3 kPa未満であると上記の特徴的なミクロ組織が得られない。一方、成膜圧力が6 kPaを超えると窒化チタンアルミニウム層は粒状結晶組織となり、耐酸化性に劣る。
(4) 原料ガスの導入方法
hcp構造を有する窒化チタン層と同様に、CVD炉1において、回転軸から異なる距離に配置された第一及び第二のパイプ11,12を回転させ、第一及び第二のパイプ11,12のノズル11a,12aから混合ガスA2及びB2を別々に吹き出すことにより窒化チタンアルミニウム層を形成するのが好ましい。
(D) 上層の形成
特に限定されないが、公知の化学蒸着法により窒化チタンアルミニウム層の上に単層又は多層の硬質皮膜からなる上層を形成することができる。成膜温度は700〜830℃で良い。上層を形成するのに用いる原料ガスの例は下記の通りである。
1. TiC皮膜 TiCl4ガス、CH4ガス及びH2ガス。
2. CrC皮膜 CrCl3ガス、CH4ガス及びH2ガス。
3. SiC皮膜 SiCl4ガス、CH4ガス及びH2ガス。
4. VC皮膜 VClガス、CH4ガス及びH2ガス。
5. ZrC皮膜 ZrCl4ガス、CH4ガス及びH2ガス。
6. TiN皮膜 TiCl4ガス、N2ガス及びH2ガス。
7. AlN皮膜 AlCl3ガス、NH4ガス及びH2ガス。
8. CrN皮膜 CrCl3ガス、NH4ガス及びH2ガス。
9. Si3N4皮膜 SiCl4ガス、NH4ガス及びH2ガス。
10. VN皮膜 VCl3ガス、NH4ガス及びH2ガス。
11. ZrN皮膜 ZrCl4ガス、N2ガス及びH2ガス。
12. Ti(CN)皮膜 TiCl4ガス、CH4ガス、N2ガス及びH2ガス、又はTiCl4ガス、CH3CNガス、N2ガス及びH2ガス。
13. (TiSi)N皮膜 TiCl4ガス、SiCl4ガス、N2ガス及びNH3ガス。
14. (TiB)N皮膜 TiCl4ガス、N2ガス及びBCl3ガス。
15. TiZr(CN)皮膜 TiCl4ガス、ZrCl4ガス、N2ガス、CH4ガス及びH2ガス、又はTiCl4ガス、ZrCl4ガス、N2ガス、CH3CNガス及びH2ガス。
16. TiAl(CN)皮膜 TiCl4ガス、AlCl3ガス、N2ガス、CH4ガス、NH3ガス及びH2ガス、又はTiCl4ガス、AlCl3ガス、N2ガス、CH3CNガス及びH2ガス。
17. TiSi(CN)皮膜 TiCl4ガス、SiCl4ガス、N2ガス、CH4ガス、NH3ガス及びH2ガス、又はTiCl4ガス、SiCl4ガス、N2ガス、CH3CNガス及びH2ガス。
18. TiCr(CN)皮膜 TiCl4ガス、CrCl3ガス、N2ガス、CH4ガス、NH3ガス及びH2ガス、又はTiCl4ガス、CrCl3ガス、N2ガス、CH3CNガス及びH2ガス。
19. TiV(CN)皮膜 TiCl4ガス、VCl3ガス、N2ガス、CH4ガス、NH3ガス及びH2ガス、又はTiCl4ガス、VCl3ガス、N2ガス、CH3CNガス及びH2ガス。
20. TiZr(CN)皮膜 TiCl4ガス、ZrCl3ガス、N2ガス、CH4ガス、NH3ガス及びH2ガス、又はTiCl4ガス、ZrCl4ガス、N2ガス、CH3CNガス及びH2ガス。
21. Ti(CNO)皮膜 TiCl4ガス、N2ガス、CH4ガス、COガス及びH2ガス、又はTiCl4ガス、N2ガス、CH3CNガス、COガス及びH2ガス。
22. TiAl(CNO)皮膜 TiCl4ガス、AlCl3ガス、N2ガス、CH4ガス、COガス及びH2ガス、又はTiCl4ガス、AlCl3ガス、N2ガス、CH3CNガス、COガス及びH2ガス。
23. Ti(CO)皮膜 TiCl4ガス、N2ガス、CH4ガス、COガス、CO2ガス及びH2ガス。
24. (TiAlCr)N皮膜 TiCl4ガス、AlCl3ガス、CrCl3ガス、NH3ガス、N2ガス、及びH2ガス。
25. (AlCrSi)N皮膜 SiCl4ガス、AlCl3ガス、CrCl3ガス、NH3ガス、N2ガス、及びH2ガス。
26. (AlCr)N皮膜 AlCl3ガス、CrCl3ガス、NH3ガス、N2ガス、及びH2ガス。
27. Al2O3皮膜 AlCl3ガス、CO2ガス、H2Sガス、HClガス、及びH2ガス。
28. TiB2皮膜 TiCl4ガス、BCl3ガス、H2ガス。
(E) 硬質皮膜被覆後の刃先処理
基体上に形成した硬質皮膜は、ブラシ、バフ又はブラスト等による処理により平滑化され、耐チッピング性に優れた表面状態になる。特にアルミナ、ジルコニア、シリカ等のセラミックスの粉末を投射材として用い、湿式又は乾式のブラスト法により硬質皮膜の刃先を処理すると、硬質皮膜の表面が平滑化されるとともに硬質皮膜の引張残留応力が低下し、耐チッピング性が向上する。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、勿論本発明はそれらに限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において、流量(L/分)は1気圧及び25℃における毎分のLであり、また厚さは平均値である。
実施例1
(1) 硬質皮膜の形成
図7(a) 及び(b) に概略的に示すWC基超硬合金(11.5質量%のCo、2.0質量%のTaC、0.7質量%のCrC、残部WC及び不可避的不純物からなる)製のミーリング用インサート基体60(RPMT1204M0EN-C8)と、WC基超硬合金(7質量%のCo、0.6質量%のCrC、2.2質量%のZrC、3.3質量%のTaC、0.2質量%のNbC、残部WC及び不可避的不純物からなる)製の物性評価用インサート基体(SNMN120408)とを図9に示すCVD炉1内にセットし、H2ガスを流しながらCVD炉1内の温度を800℃に上昇させた。その後、800℃及び12 kPaで、66.2体積%のH2ガス、33.1体積%のN2ガス、0.7体積%のTiCl4ガスからなる原料ガスを60L/分の流量でCVD炉1に流した。こうして、化学蒸着法により、各基体上にfcc構造の窒化チタン層(下層)を形成した。
その後、H2ガスを流しながらCVD炉1内の温度を780℃に下げるとともに圧力を4 kPaに下げた後、2 rpmの速度で回転する図10(a) に示すパイプ集合体30を用いて、CVD炉1に、第二のパイプ12の第二のノズル12aから0.10体積%のTiCl4ガス、35体積%のN2ガス、及び24.9体積%のH2ガスからなる混合ガスA1を導入し、第一のパイプ11,11の第一のノズル11a,11aから10体積%のH2ガス、30体積%のN2ガスからなる混合ガスB1を導入した。混合ガスA1及びB1の合計流量は100L/分であった。こうして、fcc構造の窒化チタン層上に、化学蒸着法により、組成がTi0.62N0.38(原子比)で表される組成を有し、hcp構造を有する窒化チタン層を形成した。
次に、2 rpmの速度で回転する図10(a) に示すパイプ集合体30を用いて、CVD炉1に、第二のパイプ12の第二のノズル12aから0.15体積%のTiCl4ガス、0.45体積%のAlCl3ガス、7.50体積%のN2ガス、及び52.51体積%のH2ガスからなる混合ガスA2を導入し、第一のパイプ11,11の第一のノズル11a,11aから30.76体積%のH2ガス、7.50体積%のN2ガス、及び1.13体積%のNH3ガスからなる混合ガスB2を導入した。混合ガスA2及びB2の合計流量は90 L/分であった。こうして、hcp構造を有する窒化チタン層上に、化学蒸着法により、組成がTi0.13Al0.37N0.50(原子比)で表される厚さ8.2μmの窒化チタンアルミニウム層を形成し、本発明の硬質皮膜被覆工具(ミーリング用インサート)を製作した。
(2) 硬質皮膜のミクロ組織
硬質皮膜被覆工具の硬質皮膜を含む破断面のミクロ組織の観察は、SEM(株式会社日立製作所製S-4200)、及び電界放射型透過電子顕微鏡(FE-TEM、日本電子株式会社製JEM-2010F型)を用いて行った。
図1は物性評価用インサート(SNMN120408)のすくい面の硬質皮膜破断面のSEM写真(倍率:10,000倍)である。窒化チタンアルミニウム層24は柱状結晶組織を有することが分かる。図2は、硬質皮膜の下層部分を拡大したTEM写真(倍率:200,000倍)であり、図3は図2のa部を拡大したTEM写真(倍率:2,000,000倍)である。
図4(a)〜(c) はそれぞれ図3の窒化チタン層23の(1)部〜(3)部のナノビーム回折(NAD)の結果を示し、図5は図3の窒化チタン層22の(4)部のナノビーム回析(NAD)の結果を示す。ナノビーム回折条件は、JEM-2010F型により、加速電圧200 kV及びカメラ長50 cmとした。図4(a)〜(c) から、図3の(1)部〜(3)部はいずれもhcp構造の窒化チタンからなることが分かった。すなわち、本実施例の窒化チタン層23はhcpを主構造とする窒化チタン層であることが分かる。図5から、図3の(4)部はfcc構造の窒化チタンからなることが分かった。すなわち、本実施例の窒化チタン層22はfcc構造の窒化チタンからなることが分かる。
(3) 膜厚の測定
得られた硬質皮膜被覆工具のfcc構造の窒化チタン層、hcp構造を有する窒化チタン層及び窒化チタンアルミニウム層の膜厚を以下の手順で測定した。まず、皮膜面に対して2°の角度で斜めに研磨することによりラップ面(硬質皮膜の厚み方向の断面)を露出させ、ラップ面の任意5箇所を1,000倍の光学顕微鏡で観察することにより、窒化チタン層全体及び窒化チタンアルミニウム層の膜厚を測定し、算術平均した。さらに、図2及び3のTEM写真及び図4及び5のナノビーム回折結果からfcc構造の窒化チタン層(下層)及びの膜厚hcp構造を有する窒化チタン層の膜厚を求めた。fcc構造の窒化チタン層(下層)22の膜厚は120 nmであり、hcp構造を有する窒化チタン層23の膜厚は32 nmであり、及び窒化チタンアルミニウム層24の膜厚は7.2μmであった。
(4) hcp構造を有する窒化チタン層の組成の測定
FE-TEM(JEM-2010F)に搭載のエネルギー分散型X線分光器(EDS、NORAN社製UTW型Si(Li)半導体検出器、ビーム径:約1 nm)を用いて、物性評価用インサート(SNMN120408)の硬質皮膜の断面のhcp構造を有する窒化チタン層において、ナノビーム回析(NAD)によりhcp構造であることが確認された部分の任意の5箇所で組成を分析し、得られた測定値を算術平均した。得られた分析値を表2-3に示す。
(5) 窒化チタンアルミニウム層の組成の測定
電子プローブマイクロ分析装置(EPMA、日本電子株式会社製JXA-8500F)を用いて、加速電圧10 kV、照射電流0.05 A、及びビーム径0.5μmの条件で、窒化チタンアルミニウム層の組成を、物性評価用インサート(SNMN120408)の断面における窒化チタンアルミニウム層の膜厚方向中心の任意の5箇所で測定した。得られた測定値を算術平均することにより、窒化チタンアルミニウム層の組成を求めた。結果を表3に示す。
(6) 窒化チタンアルミニウム層の結晶構造の測定
窒化チタンアルミニウム層の結晶構造を測定するため、X線回折装置(PANalytical社製のEMPYREAN)により、管電圧45 kV及び管電流40 mAでCuKα1線(波長λ:0.15405 nm)を物性評価用インサート(SNMN120408)のすくい面の硬質皮膜の表面に照射した。2θが20〜80°の範囲で得られたX線回折パターンを図6に示す。このX線回折パターンでは、WC基超硬合金基体のWCの回折ピークとともに、fcc構造の窒化チタンアルミニウムの回折ピークが観察された。図6のX線回折パターンから、窒化チタンアルミニウム層の結晶構造はfccの単一構造であることが分かる。
(7) 性能評価
得られたミーリング用インサート60を、図8に示す刃先交換式回転工具(RVB4050RM-5)70の工具本体71の先端部72に止めねじ73で装着し、下記のミーリング条件で硬質皮膜の工具寿命を評価した。硬質皮膜の逃げ面摩耗幅は、倍率100倍の光学顕微鏡で観察することにより測定した。工具寿命は、逃げ面の最大摩耗幅が0.350 mmを超えたときの総切削長さとした。結果を表4に示す。
被削材: 硬さ30HRCのSUS630
加工方法: ミーリング加工
インサート形状:RPMT1204M0EN-C8
切削速度: 250 m/分
回転数: 1,592rpm
一刃当たりの送り: 0.40 mm/tooth
送り速度637 mm/分
軸方向の切り込み量: 2.0 mm
径方向の切り込み量: 32 mm
切削方法: 乾式切削
実施例2〜13
表1の下層の成膜条件、表2-1、2-2のhcp構造を有する窒化チタン層の成膜条件を採用し、表3に示す組成の窒化チタンアルミニウム層を成膜し、各層の成膜時間を調整した以外、実施例1と同様にして、実施例2〜13の各硬質皮膜被覆工具(ミーリング用インサート)を製作し、物性及び工具寿命を評価した。得られた実施例2〜13の各下層の成膜温度、成膜圧力、膜種類、結晶構造及び膜厚を表1に示す。実施例2〜13の各hcp構造を有する窒化チタン層の成膜温度、成膜圧力、使用した混合ガス噴出ノズルを表2-1に示し、原料ガスの組成を表2-2に示し、各hcp構造を有する窒化チタン層の組成、結晶構造及び膜厚を表2-3に示す。実施例2〜13の各窒化チタンアルミニウム層の組成、結晶構造、膜厚、結晶組織、上層の膜種類及び工具寿命を表3に示す。表1〜3より、実施例2〜13の各硬質皮膜は、fccの単一構造か又はfccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層の下層にhcp構造を有する窒化チタン層を有し、良好な工具寿命を有することが分かる。
実施例14、15
下層を表1に示すようにfcc構造のTiCN層(実施例14)、及びfcc構造のAlN層(実施例15)にそれぞれ変更し、表2-1、2-2に記載のhcp構造を有する窒化チタン層の成膜条件、及び表3に示す組成の窒化チタンアルミニウム層を成膜し、各層の成膜時間を調整した以外、実施例1と同様にして、実施例14,15の各硬質皮膜被覆工具(ミーリング用インサート)を製作し、物性及び工具寿命を評価した。実施例14、15の各下層の成膜温度、成膜圧力、膜種類、結晶構造及び膜厚を表1に示す。実施例14、15のそれぞれのhcp構造を有する窒化チタン層の成膜温度、成膜圧力及び使用した混合ガス噴出ノズルを表2-1に示し、使用した原料ガスの組成を表2-2に示し、得られたhcp構造を有する窒化チタン層の組成、結晶構造及び膜厚を表2-3に示す。実施例14、15の各窒化チタンアルミニウム層の組成、結晶構造、膜厚、結晶組織、上層の膜種類及び工具寿命を表3に示す。表1〜3より、実施例14、15の各硬質皮膜は、実施例1と同様に、fccの単一構造か又はfccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層の下層にhcp構造を有する窒化チタン層を有し、良好な工具寿命を有することが分かる。
実施例16
表1の下層の成膜条件を採用し、下層の成膜時間を調整した以外、実施例1と同様に、基体上に厚さ224 nmのfcc構造の窒化チタン層を形成した。その後、図10(a)に示すパイプ集合体30の第一のパイプ11,11の第一のノズル11a,11aから混合ガスA1を導入し、第二のパイプ12の第二のノズル12aから混合ガスB1を導入した(混合ガスA1及びB1の合計流量は100 L/分)以外、実施例1と同様に、組成がTi0.56N0.44(原子比)で表される厚さ200 nmのhcp構造を有する窒化チタン層を形成した。次に、組成がTi0.05Al0.49N0.46(原子比)で表される厚さ14.5μmの窒化チタンアルミニウム層を形成し、本発明の硬質皮膜被覆工具(ミーリング用インサート)を製作した。
実施例1と同様に物性及び工具寿命を評価した。実施例16の下層の成膜温度、成膜圧力、膜種類、結晶構造及び膜厚を表1に示す。実施例16のhcp構造を有する窒化チタン層の成膜温度、成膜圧力、使用した混合ガス噴出ノズルを表2-1に示し、原料ガスの組成を表2-2に示し、及び得られたhcp構造を有する窒化チタン層の組成、結晶構造及び膜厚を表2-3に示す。実施例16の窒化チタンアルミニウム層の組成、結晶構造、膜厚、結晶組織、上層の膜種類及び工具寿命を表3に示す。表1〜3より、実施例16の硬質皮膜は、fccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層の下層にhcp構造を有する窒化チタン層を有し、良好な工具寿命を有することが分かる。
実施例17
表1の下層の成膜条件を採用し、表3に示す組成の窒化チタンアルミニウム層を成膜し、各層の成膜時間を調整した以外、実施例1と同様に下層、hcp構造を有する窒化チタン層及び窒化チタンアルミニウム層を形成した。その後、H2ガスを流しながらCVD炉1内の温度を850℃に上げ、4 kPaの圧力で、2 rpmの速度で回転する図10(a) に示すパイプ集合体30を用いて、CVD炉1内に、第二のパイプ12の第二のノズル12aから0.30体積%のCrCl3ガス、0.30体積%のAlCl3ガス、35体積%のN2ガス、及び33.4体積%のH2ガスからなる混合ガスA3を導入し、第一のパイプ11,11の第一のノズル11a,11aから10.0体積%のH2ガス、20.0体積%のN2ガス、及び1.0体積%のNH3ガスからなる混合ガスB3を導入し(混合ガスA3及びB3の合計流量は100 L/分であった。)、窒化チタンアルミニウム層の上に膜厚2μmの(AlCr)Nの上層を成膜し、実施例17の各硬質皮膜被覆工具(ミーリング用インサート)を製作し、物性及び工具寿命を評価した。実施例17の下層の成膜温度、成膜圧力、膜種類、結晶構造、及び膜厚を表1に示す。実施例17のhcp構造を有する窒化チタン層の成膜温度、成膜圧力、及び使用した混合ガス噴出ノズルを表2-1に示し、使用した原料ガスの組成を表2-2に示し、得られたhcp構造を有する窒化チタン層の組成、結晶構造及び膜厚を表2-3に示す。実施例17の窒化チタンアルミニウム層の組成、結晶構造、膜厚、結晶組織、上層の膜種類及び工具寿命を表3に示す。表1〜3より、実施例17の硬質皮膜は、実施例1と同様に、fcc構造の窒化チタンアルミニウム層の下層にhcp構造を有する窒化チタン層を有し、良好な工具寿命を有することが分かる。
実施例18
表1の下層の成膜条件を採用し、表3に示す組成の窒化チタンアルミニウム層を成膜し、各層の成膜時間を調整した以外、実施例1と同様に、下層、hcp構造を有する窒化チタン層及び窒化チタンアルミニウム層を形成した。その後、H2ガスを流しながらCVD炉1内の温度を850℃に上げ、4 kPaの圧力で、2 rpmの速度で回転する図10(a) に示すパイプ集合体30を用いて、CVD炉1内に、第二のパイプ12の第二のノズル12aから0.30体積%のCrCl3ガス、0.30体積%のAlCl3ガス、0.30体積%のSiCl4ガス、35体積%のN2ガス、及び33.1体積%のH2ガスからなる混合ガスA3を導入し、第一のパイプ11,11の第一のノズル11a,11aから10.0体積%のH2ガス、20.0体積%のN2ガス、及び1.0体積%のNH3ガスからなる混合ガスB3を導入し(混合ガスA3及びB3の合計流量は100 L/分であった。)、窒化チタンアルミニウム層の上に膜厚2μmの(AlCrSi)Nの上層を成膜し、実施例18の各硬質皮膜被覆工具(ミーリング用インサート)を製作し、物性及び工具寿命を評価した。実施例18の下層の成膜温度、成膜圧力、膜種類、結晶構造、及び膜厚を表1に示す。実施例18のhcp構造を有する窒化チタン層の成膜温度、成膜圧力、使用した混合ガス噴出ノズルを表2-1に示し、原料ガスの組成を表2-2に示し、得られたhcp構造を有する窒化チタン層の組成、結晶構造及び膜厚を表2-3に示す。実施例18の窒化チタンアルミニウム層の組成、結晶構造、膜厚、結晶組織、上層の膜種類及び工具寿命を表3に示す。表1〜3より、実施例18の硬質皮膜は、実施例1と同様に、fcc構造の窒化チタンアルミニウム層の下層にhcp構造を有する窒化チタン層を有し、良好な工具寿命を有することが分かる。
実施例19
表1の下層の成膜条件を採用し、表3に示す組成の窒化チタンアルミニウム層を成膜し、各層の成膜時間を調整した以外、実施例1と同様に、下層、hcp構造を有する窒化チタン層及び窒化チタンアルミニウム層を形成した。その後、H2ガスを流しながらCVD炉1内の温度を800℃に上げ、84kPaの圧力で、2 rpmの速度で回転する図10(a) に示すパイプ集合体30を用いて、CVD炉1に、第二のパイプ12の第二のノズル12aから0.30体積%のTiCl4ガス、0.30体積%のCrCl3ガス、0.30体積%のAlCl3ガス、35体積%のN2ガス、及び33.1体積%のH2ガスからなる混合ガスA 3 を導入し、第一のパイプ11,11の第一のノズル11a,11aから10.0体積%のH2ガス、20.0体積%のN2ガス、及び1.0体積%のNH3ガスからなる混合ガスB 3 を導入し(混合ガスA 3 及びB 3 の合計流量は100 L/分であった。)窒化チタンアルミニウム層の上層に膜厚2μmの(TiAlCr)Nを成膜し、実施例19の各硬質皮膜被覆工具(ミーリング用インサート)を製作し、物性及び工具寿命を評価した。実施例19の下層の成膜温度、成膜圧力、膜種類、結晶構造、及び膜厚を表1に示す。実施例19のhcp構造を有する窒化チタン層の成膜温度、成膜圧力、使用した混合ガス噴出ノズルを表2-1に示し、原料ガスの組成を表2-2に示し、hcp構造を有する窒化チタン層の組成、結晶構造及び膜厚を表2-3に示す。実施例19の窒化チタンアルミニウム層の組成、結晶構造、膜厚、結晶組織、上層の膜種類及び工具寿命を表3に示す。表1〜3より、実施例19の硬質皮膜は、実施例1と同様に、fcc構造の窒化チタンアルミニウム層の下層にhcp構造を有する窒化チタン層を有し、良好な工具寿命を有することが分かる。
比較例1
図9のCVD炉1においてパイプ集合体30に替えて図11のパイプ集合体80(第一及び第二のノズル11a,12aの中心角θ:180°、H1=H2)を使用し、実施例1と同様のインサートをCVD炉1内にセットし、H2ガスを流しながらCVD炉1内の温度を915℃に上昇させた。その後、圧力6.7kPaで、58.3体積%のH2ガス、39.7体積%のN2ガス及び2.0体積%のTiCl4ガスからなる原料ガスを60L/分の流量でCVD炉1に流し、窒化チタン層を成膜した。その後、第一のノズル11aから40体積%のH2ガス、25体積%のN2ガス、0.35体積%のTiCl4ガス及び1.00体積%のAlCl3ガスからなる混合ガスA2を、第二のノズル12aから11.65体積%のH2ガス、20体積%のN2ガス及び2.00体積%のNH3ガスからなる混合ガスB2を、58.00 L/分の流量でCVD炉1に流し、成膜温度850℃及び圧力6 kPaで、化学蒸着法により厚さ9.4μmの窒化チタンアルミニウム層を形成した。得られた硬質皮膜被覆工具(ミーリング用インサート)の物性及び工具寿命を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1〜3に示す。
比較例2
図9のCVD炉1においてパイプ集合体30に替えて図11のパイプ集合体80(第一及び第二のノズル11a,12aの中心角θ:180°、H1=H2)を使用し、実施例1と同様のインサートをCVD炉1内にセットし、H2ガスを流しながらCVD炉1内の温度を850℃に上昇させた。その後、圧力50kPaで、65.8体積%のH2ガス、30.0体積%のN2ガス及び4.2体積%のTiCl4ガスからなる原料ガスを60L/分の流量でCVD炉1に流し、窒化チタン層を成膜した。その後、第一のノズル11aから65.93体積%のH2ガス、18.84体積%のArガス、0.16体積%のTiCl4ガス及び0.94体積%のAlCl3ガスからなる混合ガスA2を、第二のノズル12aから9.42体積%のN2ガス及び4.71体積%のNH3ガスからなる混合ガスB2を、63.71 L/分の流量でCVD炉1に流し、成膜温度800℃及び圧力1 kPaで化学蒸着法により厚さ8.6μmの窒化チタンアルミニウム層を形成した。得られた硬質皮膜被覆工具(ミーリング用インサート)の物性及び工具寿命を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1〜3に示す。
比較例3
図9のCVD炉1においてパイプ集合体30に替えて図11のパイプ集合体80(第一及び第二のノズル11a,12aの中心角θ:180°、H1=H2)を使用し、実施例1と同様のインサートをCVD炉1内にセットし、H2ガスを流しながらCVD炉1内の温度を780℃に上昇させた。その後、圧力30kPaで、65.8体積%のH2ガス、30.0体積%のN2ガス及び4.2体積%のTiCl4ガスからなる原料ガスを60L/分の流量でCVD炉1に流し、窒化チタン層を成膜した。その後、厚さ7.8μmの窒化チタンアルミニウム層を形成した。得られた硬質皮膜被覆工具(ミーリング用インサート)の物性及び工具寿命を実施例1と同様に評価した。結果を表1〜3に示す。
表1に示すように比較例1〜3の各窒化チタン層はいずれもfcc構造の窒化チタン層のみからなり、かつ表3に示すように比較例1〜3の各窒化チタンアルミニウム層は粒状結晶組織を有していた。
注:(1) ナノビーム回折(NAD)により測定した。
注:(1) なし。
注:(1) なし。
注:(2) 混合ガスA1のH2ガスと混合ガスB1のH2ガスとの体積比。
注:(1) なし。
(2) 窒化チタン層のhcp構造の部分をEDSにより分析した。
(3) ナノビーム回折(NAD)により測定した。
注:(1) なし。
(2) 切削距離で表す。
(3) X線回折により測定した。「fcc+hcp」とはfccを主構造とし、hcp構造を含むことを意味する。
表1より、実施例1〜14及び16〜19及び比較例1〜3の下層の結晶構造はfcc構造の単一構造であり、実施例15の下層の結晶構造はhcp構造の単一構造であった。表2-3より、実施例1〜19の各硬質皮膜にはいずれもhcp構造を有する窒化チタン層が存在していた。
表3より、実施例1〜19の各硬質皮膜被覆工具(ミーリング用インサート)の工具寿命はいずれも切削距離で5 m以上であり、比較例1〜3の工具寿命の2倍以上で高性能であった。高性能になった理由は、実施例1〜19の各硬質皮膜被覆工具(ミーリング用インサート)の基体上に形成した硬質皮膜において、fccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層の下層にhcp構造を有する窒化チタン層を有するために、優れた耐チッピング性を発揮したためであると考えられる。
これに対して、窒化チタンアルミニウム層の下層がfcc構造の窒化チタン層のみであり、hcp構造を有する窒化チタン層を有しない比較例1〜3の各硬質皮膜被覆工具は耐チッピング性に劣り、低寿命であった。
1:CVD炉
2:チャンバー
3:ヒータ
4:棚
4a:棚の中央開口部
5:反応容器
11:第一のパイプ
11a:第一のパイプのノズル
12:第二のパイプ
12a:第二のパイプのノズル
13:排出パイプ
20:インサート基体
21:基体
22:fcc構造の窒化チタン層
23:hcp構造を有する窒化チタン層
24:窒化チタンアルミニウム層
30、40、50、80:第一及び第二のパイプの集合体
60:ミーリング用インサート
70:刃先交換式回転工具
71:工具本体
72:先端部
73:止めねじ

Claims (15)

  1. 柱状結晶組織を有し、(Tix, Aly)NZ(ただし、x,y,zは原子比でx=0.05〜0.23,y=0.49〜0.24,x + y + z=1を満たす数字である。)で表される組成を有し、fccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層と、前記窒化チタンアルミニウム層の直下に形成され、TiaNb(ただし、a,bは原子比でa=0.56〜0.73,a + b=1を満たす数字である。)で表される組成を有し、hcp構造を有する窒化チタン層とを有することを特徴とする硬質皮膜。
  2. 請求項1に記載の硬質皮膜において、前記hcp構造を有する窒化チタン層は5〜200 nmの厚さを有することを特徴とする硬質皮膜。
  3. 請求項1又は2に記載の硬質皮膜において、前記hcp構造を有する窒化チタン層の直下にfcc構造の窒化チタン層をさらに有することを特徴とする硬質皮膜。
  4. 基体上に硬質皮膜を形成してなる硬質皮膜被覆工具であって、前記硬質皮膜は、柱状結晶組織を有し、(Tix, Aly)NZ(ただし、x,y,zは原子比でx=0.05〜0.23,y=0.49〜0.24,x + y + z=1を満たす数字である。)で表される組成を有し、fccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層と、前記窒化チタンアルミニウム層の直下に形成され、TiaNb(ただし、a,bは原子比でa=0.56〜0.73,a + b=1を満たす数字である。)で表される組成を有し、hcp構造を有する窒化チタン層とを有することを特徴とする硬質皮膜被覆工具。
  5. 請求項4に記載の硬質皮膜被覆工具において、前記hcp構造を有する窒化チタン層は5〜200 nmの厚さを有することを特徴とする硬質皮膜被覆工具。
  6. 請求項4又は5に記載の硬質皮膜被覆工具において、前記硬質皮膜は、hcp構造を有する窒化チタン層の直下にfcc構造の窒化チタン層をさらに有することを特徴とする硬質皮膜被覆工具。
  7. 化学蒸着法により、柱状結晶組織を有し、fccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層と、前記窒化チタンアルミニウム層の直下に形成され、hcp構造を有する窒化チタン層とを有する硬質皮膜を製造する方法において、
    原料ガスとして、TiCl4ガス、N2ガス及びH2ガスからなる混合ガスA1と、N2ガス及びH2ガスからなる混合ガスB1とを使用し、回転軸から異なる距離に配置された第一及び第二のノズルを回転させ、前記第一及び第二のノズルから前記混合ガスA1及びB1を別々に吹き出すことにより前記hcp構造を有する窒化チタン層を形成することを特徴とする方法。
  8. 請求項7に記載の方法において、前記hcp構造を有する窒化チタン層の形成工程において、前記混合ガスA1及びB1の合計を100体積%として、前記混合ガスA1の組成を0.02〜0.20体積%のTiCl4ガス、20〜50体積%のN2ガス及び残部H2ガスとし、前記混合ガスB1の組成を15〜35体積%のN2ガス及び残部H2ガスとするとともに、前記混合ガスA1のH2ガスと前記混合ガスB1のH2ガスとの体積比H2(A1)/H2(B1)を0.9〜5としたことを特徴とする方法。
  9. 請求項7又は8に記載の方法において、前記hcp構造を有する窒化チタン層の形成工程において、成膜圧力が3〜5 kPaであり、成膜温度が750〜810℃であることを特徴とする方法。
  10. 基体上に、柱状結晶組織を有し、fccを主構造とする窒化チタンアルミニウム層と、前記窒化チタンアルミニウム層の直下に形成され、hcp構造を有する窒化チタン層とを有する硬質皮膜を有する硬質皮膜被覆工具を化学蒸着法により製造する方法において、
    原料ガスとして、TiCl4ガス、N2ガス及びH2ガスからなる混合ガスA1と、N2ガス及びH2ガスからなる混合ガスB1とを使用し、回転軸から異なる距離に配置された第一及び第二のノズルを回転させ、前記第一及び第二のノズルの周囲に前記基体を配置し、前記第一及び第二のノズルから前記混合ガスA1及びB1を別々に吹き出すことにより前記hcp構造を有する窒化チタン層を形成することを特徴とする方法。
  11. 請求項10に記載の方法において、前記hcp構造を有する窒化チタン層の形成工程において、前記混合ガスA1及びB1の合計を100体積%として、前記混合ガスA1の組成を0.02〜0.20体積%のTiCl4ガス、20〜50体積%のN2ガス及び残部H2ガスとし、前記混合ガスB1の組成を15〜35体積%のN2ガス及び残部H2ガスとするとともに、前記混合ガスA1のH2ガスと前記混合ガスB1のH2ガスとの体積比H2(A1)/H2(B1)を0.9〜5としたことを特徴とする方法。
  12. 請求項10又は11に記載の方法において、前記第一のノズルの噴出口と前記回転軸との距離H1を前記第二のノズルの噴出口と前記回転軸との距離H2より長くし、前記第一のノズルから前記混合ガスA 1 を噴出し、前記第二のノズルから前記混合ガスB 1 を噴出することを特徴とする方法。
  13. 請求項10又は11に記載の方法において、前記第一のノズルの噴出口と前記回転軸との距離H1を前記第二のノズルの噴出口と前記回転軸との距離H2より長くし、前記第一のノズルから前記混合ガスB 1 を噴出し、前記第二のノズルから前記混合ガスA 1 を噴出することを特徴とする方法。
  14. 請求項12又は13に記載の方法において、前記第一のノズルの噴出口と前記回転軸との距離H1と前記第二のノズルの噴出口と前記回転軸との距離H2との比(H1/H2)が1.5〜3の範囲内であることを特徴とする方法。
  15. 請求項10〜14のいずれかに記載の方法において、前記hcp構造を有する窒化チタン層の形成工程において、成膜圧力が3〜5 kPaであり、成膜温度が750〜810℃であることを特徴とする方法。
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