JP6780267B2 - レーザ照射装置 - Google Patents
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Description
このような微細な凹凸を修正して、平坦性に優れたものとする方法として、ガスの解離物を利用した方法がある。これは、シラン系ガスやフッ素系ガス等の所望のガスが導入されたチャンバー内で、当該ガスの分子の吸収端波長よりも長波長からなるレーザ光を、凹部や凸部に照射して近接場光を発生させ、ガスを解離させて解離物を生成させ、これを凹部に体積させることにより凹部を平坦化する、あるいは、解離物と凸部とを化学反応させてエッチングして凸部を平坦化する方法である(特許文献1、2)。このような平坦化方法では、均一な強度のレーザ光を対象物に照射する必要がある。
レーザ光は、進行方向に垂直な面における強度分布を有しており、そのままでは均一な強度のレーザ光を得ることが困難である。このため、強度が比較的均一な光軸近傍を選択的に用いる場合があるが、利用効率の点から問題があった。また、レーザ光は、コヒーレント性を有しているため、スペックルノイズと呼ばれる干渉ノイズが生じ、この点からも、そのままでは均一な強度のレーザ光を得ることが困難である。
一方、回折光学素子に代えてコリメートレンズ等の光学レンズを用いた照射面への拡散照射では、レーザ光源から照射されるレーザ光の断面における光強度分布がそのまま照射光の光強度分布に現れることとなり、この場合も、均一な強度分布のレーザ光が得られないという問題があった。また、レーザ光源と光学レンズとの光軸を合わせることが重要であり、この光軸合わせの困難性が課題となっている。
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、レーザ光源から照射されたレーザ光の強度分布を均一にして対象物に照射することを可能とするレーザ照射装置を提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、前記レーザ光源移動手段は、前記基準光軸に対して垂直な第1方向に前記レーザ光源を移動させ得る第1駆動手段と、前記基準光軸に対して垂直な第2方向に前記レーザ光源を移動させ得る第2駆動手段とを有し、前記第1方向と前記第2方向とは互いに直交する方向であり、前記第1駆動手段は、前記第1方向を軸方向とするコイルバネを介して前記レーザ光源を保持し、前記第2駆動手段は、前記第2方向を軸方向とするコイルバネを介して前記レーザ光源を保持するような構成とした。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
本発明のレーザ照射装置は、レーザ光源と、このレーザ光源から出射されたレーザ光を受光する回折光学素子とを備え、この回折光学素子に入射するレーザ光の入射方位が変化するものである。
回折光学素子13は、光の回折現象を利用して光の進行方向を変える光学素子であり、例えば、矩形などの所望の照射パターンとなるように計算機ホログラムの手法で設計、製作された位相ホログラムを用いることができる。回折光学素子13は、回折効率が高い範囲で使用することが好適であり、例えば、拡散角20°以下、好ましくは10°以下で使用することが好適である。
また、コリメートレンズ14は、入射した拡散光を平行光として出射するための光学系である。
尚、本発明のレーザ照射装置の基本構成の一例である上記のレーザ照射装置101では、レーザ光源12と回折光学素子13との間にコリメートレンズ14が存在するが、コリメートレンズ14を具備しない構成も、本発明のレーザ照射装置の基本構成の一例となる。
本発明のレーザ照射装置の実施形態として、レーザ光源もしくはコリメートレンズの位置を、基準光軸に対し垂直な方向に平行移動することで、回折光学素子にズレ角θでレーザ光が入射するようにしたレーザ照射装置を説明する。尚、以下の本発明のレーザ照射装置を説明では、上述のレーザ照射装置101を構成する部材と同じ部材には、同じ部材番号を付して説明する。
上記のように、本発明では、回折光学素子13にズレ角θでレーザ光を入射させることに着目している。まず、これについて説明する。
回折光学素子13は、平行な入射光に対し所望の照射パターンとなるように設計されている。図16に示すようなレーザ照射装置101では、回折光学素子13が位相ホログラムの場合、回折光学素子13の中心軸と平行なレーザ光が入射した場合、レーザ光の位相が回折光学素子で局所的に増減し、所望の照射パターン15となる出射光が得られる。しかし、回折光学素子13に入射するレーザ光がズレ角θを有する場合、入射光の位相がズレ角θ分だけ変化しているため、出射光の方位にもズレ角θが加わり、照射パターンの位置が移動する。
上記のようなズレ角θを発生する具体的な方法は、コリメートレンズを移動する方法と、レーザ光源を移動する方法の2つの方法があり、以下で順に説明する。
ここで、レーザ光源12の出射口の位置には、コリメートレンズ14と組みになってレーザ光のビーム径を回折光学素子13に必要な径に広げるためのレンズ(図示しない)が組み込まれているものとする。
入射光の方位がズレ角θだけ変化すると、回折光学素子13の出射光も同様のズレ角θだけ出射方位が変化し、照射対象200上での照射パターン15の位置は、ズレ角θに相当する距離だけ移動する。図2は、照射パターン15がズレ角θに相当する距離だけ移動した照射パターン15′を示す図である。例えば、回折光学素子13と照射対象200の距離がDであるとすれば、照射対象200での照射パターン15に対する照射パターン15′のY軸に沿った矢印a方向への移動距離SはD×tanθとなる。
図3では、基準位置に位置するレーザ光源12を鎖線で示し、基準光軸Lに垂直な方向(Y軸に沿った矢印a方向)に移動した状態のレーザ光源12′を実線で示している。このレーザ光源12の移動量をΔYとすると、レーザ光源12から出射されコリメートレンズ14′に入射するレーザ光のなかで、コリメートレンズ14の中心を通る光線は直進するので、コリメートレンズ14から放射されるレーザ光18′は−arctan(ΔY/F)に相当するズレ角θだけ方位が変化して回折光学素子13に入射する。ここで、負の記号“−”は、移動量ΔYが正(図3の矢印a方向)の場合、ズレ角θは時計回り方向に方位が変化することを示している。
尚、レーザ照射装置21では、レーザ光源12と回折光学素子13との間にコリメートレンズ14が介在しないような態様としてもよい。
図5は、上記のレーザ照射装置11が備えるコリメートレンズ移動手段の一例を模式図である。図5に示されるコリメートレンズ移動手段31は、コリメートレンズ14を、基準光軸Lに垂直なXY面内で移動可能なものであり、固定用の枠33に駆動手段34を備えている。図示例では、駆動手段34は、4個の駆動手段34a、34b、34c、34dからなり、駆動手段34aと34cはY軸方向に沿って対向して配置されており、駆動手段34bと34dはX軸方向に沿って対向して配置されている。各駆動手段34a、34b、34c、34dの枠33に固定された側と反対側の駆動部分は、コイルバネ35を介して、コリメートレンズ14を保持するための保持部36の縁部を支えている。コリメートレンズ14は、保持部36を介して駆動手段34a、34b、34c、34dによって4か所で支えられ、これにより固定枠33にレーザ光の中心軸線12L(基準光軸L)に垂直なXY面内で移動可能に支持されている。尚、駆動手段34の個数、配設位置は、図示例に限定されるものではない。
尚、上述のコリメートレンズ移動手段31は例示であり、これに限定されるものではない。
図7(C)、図7(D)は、照射パターン15を照射対象200上で移動させる移動パターン17の例である。図7(C)はラスタ状であり、図7(D)は同心円状の移動パターンを示しているが、移動パターンはこれらに限られない。
また、移動パターン17は、図7(C)に示した矩形領域をラスタ状に走査するパターン以外に、図7(D)に示すような同心円状の走査パターンとすることもできる。同心円状に走査するには、同心円の半径をR、角度をωとすると、同心円上の点の座標(ΔX,ΔY)はΔX=Rcos(ω)、ΔY=Rsin(ω)となり、半径RをR1としてωを0から2πまで変化させ、次に半径RをR2として、再びωを0から2πまで変化させる走査を繰り返して実施することができる。また、機構的に同心円状の走査パターンを実現することもできる。例えば、回転する枠体中に、同心円状の走査パターンの半径方向に移動する直進機構を組み込み、この直進機構上にコリメートレンズもしくはレーザ光源を固定する機構で、同心円状の走査パターンを実現できる。
図8は、本発明のレーザ照射装置の他の実施形態を示す構成図である。図8において、本発明のレーザ照射装置41は、レーザ光源12と、このレーザ光源12から出射されたレーザ光を受光し所望の照射パターンとする回折光学素子13と、レーザ光源12と回折光学素子13との間に位置するコリメートレンズ14を、基準光軸L(一点鎖線で示している)上に備えている。したがって、このレーザ照射装置41では、レーザ光源12から出射されるレーザ光の中心軸線12L、回折光学素子13の中心軸13Lは、基準光軸L上に位置している。図8では、光軸14Lが上記の基準方向であり基準光軸Lと一致している状態のコリメートレンズ14を鎖線で示し、光軸14Lが基準光軸Lに対して傾き角をなしている状態のコリメートレンズ14を実線で示している。
コリメートレンズ14を、基準光軸Lを中心に回転させるためのコリメートレンズ回転手段には、特に制限はない。例えば、図10(A)に示されるように、図示しない駆動手段により回転可能な保持枠体51に、一対の支持軸52でコリメートレンズ14を支持したものとすることができる。一対の支持軸52の軸方向をX方向とし、これに直交する方向をY方向とし、保持枠体51はXY平面において矢印p方向に回転可能とする。そして、図10(B)に示すように、XY平面に垂直なZ方向に対して、コリメートレンズ14の光軸14Lを傾き角αを設けるように傾斜させ、この角度を固定する。尚、図10(B)は、図10(A)のY方向に沿ったI−I線での断面図である。
また、本実施形態では、保持枠体51を矢印p方向に回転すると同時に、コリメートレンズ14の光軸14Lが基準光軸Lに対する傾き角αを、周期的に変動させてもよい。この場合、傾き角αの変動は、基準光軸Lに対するズレ角θが±0.05°〜5°の範囲となるように設定する。これにより、コリメートレンズ14を透過して回折光学素子13に入射するレーザ光は、その入射方位とともに入射角度も変化するものとなり、回折光学素子13から出射されるレーザ光の強度分布がより均一なものとなる。ズレ角θの変動の周期は、例えば、コリメートレンズが1〜20回の範囲で回転する時間を一周期とすることができる。
尚、上記のコリメートレンズ14の回転手段は例示であり、これに限定されるものではない。
これにより、レーザ光源12から出射され、コリメートレンズ14を透過して回折光学素子13に入射するレーザ光の入射方位は、レーザ光源12の端部12bの回転に伴って変化し、回折光学素子13から出射されるレーザ光の出射方位も変化することになる。したがって、回折光学素子13の出射光による照射面の光点の集合における各光点は、回折光学素子13から出射されるレーザ光の出射方位の変化に伴って移動し、照射強度分布を一定時間積算すると、隣接する点同士が接近し、あるいは、一部重なり、これにより光点の集合分布が解消されて、均一な分布となる。このようにして、レーザ照射装置61から照射対象200に照射されたレーザ光は、強度分布が均一なものとなる。このようなレーザ光源12から出射されるレーザ光の中心軸線12Lの旋回は、照射光の強度分布を均一とすることが達成できるように設定でき、例えば、0.1〜120r.p.m.の範囲で適宜設定することができる。
尚、上記のレーザ光源駆動手段は例示であり、これに限定されるものではない。
上述のレーザ照射装置の実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
レーザ光源、回折光学素子、レーザ光源と回折光学素子との間に位置するコリメートレンズを備えたレーザ照射装置において回折光学素子から出射される光の強度分布をシミュレーションにより求めた。
まず、図16に示されるレーザ照射装置において、回折光学素子13からの出射光の照射パターン15を、図13に示す矩形の領域とし、この照射パターンの全体を801×801画素とし、均一な強度で照射される矩形領域を201×201画素とした。
次に、回折光学素子の位相パターンを、LightTrans社のVirtualLabを用い、反覆フーリエ変換法により求めた。ここでは、回折光学素子を照射するレーザ光源の波長を1064nmとした。また、回折光学素子13は石英ガラスの透明基板で構成されたものとし、位相パターン上の各画素(サンプリング点ともいう)の位相と透明基板の屈折率(1.45)に応じた所定深さの段部を形成されており、これにより位相を変化させることが可能となっている。本実施例では、位相パターンの1画素の幅はレーザ光源の波長のおおよそ1/4である280nmとしている。位相の量子化レベルを4レベルとした場合、レーザ波長λおよび透明基板の屈折率Nから、1レベル(1段)の深さはλ/4(N−1)で求まり、590nmである。これらの凹凸パターンの例を図14に示す。
以上のように設計した位相パターンを用い、描画装置を用いて石英ガラス基板上のレジストをパターン形成し、エッチングして段部を形成する処理を繰り返して、設計した位相を発生する回折光学素子を作製した。
このようにして製造した回折光学素子13を用いて、図16に示されるレーザ照射装置を構成し、コリメータレンズ14を介してレーザ光源12からレーザ光を照射し、回折光学素子13の出射光により照射パターン15を照射対象200に照射可能とした。
このような光点16の間隔は回折角δで表され、単位セルの一辺の長さをd、照射するレーザ光源の波長をλ、nを整数とすれば、n次の回折角δとは、n×δ=n×(λ/d)の関係となる。λを1064nm、dを224μmとすると、一次の回折角δは0.272°となる。そして、回折光学素子13と照射対象200の距離Dを420mmとすると、光点と光点の間隔はD×tanδで表され、2mmとなる。
図15(C)、(D)に示される例は、4つの照射強度分布の平均により照射強度分布を均一化したが、図7(C)のような移動パターン17は連続して移動するので、照射対象上を照射パターンの光点が移動しながら照射強度が連続的に積算され平均化され、より均一な照射強度分布が得られる。
12…レーザ光源
13…回折光学素子
14…コリメートレンズ
31…コリメートレンズ移動手段
51…コリメートレンズ回転手段
71…レーザ光源照射方向駆動手段
12L…レーザ光の中心軸線
13L…回折光学素子の中心軸
14L…コリメートレンズの光軸
L…基準光軸
Claims (4)
- レーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光を受光する回折光学素子と、
前記レーザ光源及び前記回折光学素子の間に位置するコリメートレンズと、
前記コリメートレンズを移動させるコリメートレンズ移動手段と
を備え、
前記レーザ光源及び前記回折光学素子は、基準光軸上に備えられ、
前記コリメートレンズ移動手段は、前記回折光学素子に入射するレーザ光の入射方位を前記基準光軸に対して±0.05°〜5°の範囲内で変化させるように前記コリメートレンズを前記基準光軸に対して垂直な方向においてラスタ走査状に移動させる手段であり、
前記コリメートレンズ移動手段が前記コリメートレンズを移動させることで、前記回折光学素子から照射される照射光の強度分布を一定時間積算したときに均一化させるように、前記回折光学素子に入射するレーザ光の入射方位が変化することを特徴とするレーザ照射装置。 - 前記コリメートレンズ移動手段は、前記基準光軸に対して垂直な第1方向に前記コリメートレンズを移動させ得る第1駆動手段と、前記基準光軸に対して垂直な第2方向に前記コリメートレンズを移動させ得る第2駆動手段とを有し、
前記第1方向と前記第2方向とは互いに直交する方向であり、
前記第1駆動手段は、前記第1方向を軸方向とするコイルバネを介して前記コリメートレンズを保持し、
前記第2駆動手段は、前記第2方向を軸方向とするコイルバネを介して前記コリメートレンズを保持することを特徴とする請求項1に記載のレーザ照射装置。 - レーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光を受光する回折光学素子と、
前記レーザ光源及び前記回折光学素子の間に位置するコリメートレンズと、
前記レーザ光源を移動させるレーザ光源移動手段と
を備え、
前記レーザ光源及び前記回折光学素子は、基準光軸上に備えられ、
前記レーザ光源移動手段は、前記回折光学素子に入射するレーザ光の入射方位を前記基準光軸に対して±0.05°〜5°の範囲内で変化させるように前記レーザ光源を前記基準光軸に対して垂直な方向においてラスタ走査状に移動させる手段であり、
前記レーザ光源移動手段が前記レーザ光源を移動させることで、前記回折光学素子から照射される照射光の強度分布を一定時間積算したときに均一化させるように、前記回折光学素子に入射するレーザ光の入射方位が変化することを特徴とするレーザ照射装置。 - 前記レーザ光源移動手段は、前記基準光軸に対して垂直な第1方向に前記レーザ光源を移動させ得る第1駆動手段と、前記基準光軸に対して垂直な第2方向に前記レーザ光源を移動させ得る第2駆動手段とを有し、
前記第1方向と前記第2方向とは互いに直交する方向であり、
前記第1駆動手段は、前記第1方向を軸方向とするコイルバネを介して前記レーザ光源を保持し、
前記第2駆動手段は、前記第2方向を軸方向とするコイルバネを介して前記レーザ光源を保持することを特徴とする請求項3に記載のレーザ照射装置。
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