JP6780267B2 - レーザ照射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ照射装置に係り、特に強度が均一なレーザ光を対象物に照射するためのレーザ照射装置に関する。
優れた平坦性が求められている加工物、例えば、微細なパターンを形成するような基板や絶縁層等では、数nmの寸法の凹凸の存在が許容されない場合がある。
このような微細な凹凸を修正して、平坦性に優れたものとする方法として、ガスの解離物を利用した方法がある。これは、シラン系ガスやフッ素系ガス等の所望のガスが導入されたチャンバー内で、当該ガスの分子の吸収端波長よりも長波長からなるレーザ光を、凹部や凸部に照射して近接場光を発生させ、ガスを解離させて解離物を生成させ、これを凹部に体積させることにより凹部を平坦化する、あるいは、解離物と凸部とを化学反応させてエッチングして凸部を平坦化する方法である(特許文献1、2)。このような平坦化方法では、均一な強度のレーザ光を対象物に照射する必要がある。
レーザ光は、進行方向に垂直な面における強度分布を有しており、そのままでは均一な強度のレーザ光を得ることが困難である。このため、強度が比較的均一な光軸近傍を選択的に用いる場合があるが、利用効率の点から問題があった。また、レーザ光は、コヒーレント性を有しているため、スペックルノイズと呼ばれる干渉ノイズが生じ、この点からも、そのままでは均一な強度のレーザ光を得ることが困難である。
従来、レーザ光源から照射されたレーザ光を拡散して均一な強度分布状態で使用するために、回折光学素子(DOE(Diffractive Optical Element))としてホログラフィック拡散板を使用することが提案されている(特許文献3)。また、レーザ光を平行光束に変換するコリメートレンズ、平行光束を一方向にのみ拡散するロッドレンズを使用した光源が提案されている(特許文献4)。
特開2009−94345号公報 特開2009−167030号公報 特開2007−334137号公報 特開2009−97987号公報
しかし、回折光学素子であるホログラフィック拡散板を使用した場合、拡散光は光点の集合であるため、回折光学素子を透過して対象物の照射面に到達したレーザ光においても、その投影パターンには光点の集合分布が現れる。このような光点は、光が広がる角度で表すと、例えば、0.1°の間隔で配置されているが、この程度の間隔では、光点と光点の間のレーザ光が照射されない部位が大きく、レーザ光の強度分布が均一ではないという問題があった。
一方、回折光学素子に代えてコリメートレンズ等の光学レンズを用いた照射面への拡散照射では、レーザ光源から照射されるレーザ光の断面における光強度分布がそのまま照射光の光強度分布に現れることとなり、この場合も、均一な強度分布のレーザ光が得られないという問題があった。また、レーザ光源と光学レンズとの光軸を合わせることが重要であり、この光軸合わせの困難性が課題となっている。
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、レーザ光源から照射されたレーザ光の強度分布を均一にして対象物に照射することを可能とするレーザ照射装置を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を受光する回折光学素子と、前記レーザ光源及び前記回折光学素子の間に位置するコリメートレンズと、前記コリメートレンズを移動させるコリメートレンズ移動手段とを備え、前記レーザ光源及び前記回折光学素子は、基準光軸上に備えられ、前記コリメートレンズ移動手段は、前記回折光学素子に入射するレーザ光の入射方位を前記基準光軸に対して±0.05°〜5°の範囲内で変化させるように前記コリメートレンズを前記基準光軸に対して垂直な方向においてラスタ走査状に移動させる手段であり、前記コリメートレンズ移動手段が前記コリメートレンズを移動させることで、前記回折光学素子から照射される照射光の強度分布を一定時間積算したときに均一化させるように、前記回折光学素子に入射するレーザ光の入射方位が変化するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記コリメートレンズ移動手段は、前記基準光軸に対して垂直な第1方向に前記コリメートレンズを移動させ得る第1駆動手段と、前記基準光軸に対して垂直な第2方向に前記コリメートレンズを移動させ得る第2駆動手段とを有し、前記第1方向と前記第2方向とは互いに直交する方向であり、前記第1駆動手段は、前記第1方向を軸方向とするコイルバネを介して前記コリメートレンズを保持し、前記第2駆動手段は、前記第2方向を軸方向とするコイルバネを介して前記コリメートレンズを保持するような構成とした。
本発明は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を受光する回折光学素子と、前記レーザ光源及び前記回折光学素子の間に位置するコリメートレンズと、前記レーザ光源を移動させるレーザ光源移動手段とを備え、前記レーザ光源及び前記回折光学素子は、基準光軸上に備えられ、前記レーザ光源移動手段は、前記回折光学素子に入射するレーザ光の入射方位を前記基準光軸に対して±0.05°〜5°の範囲内で変化させるように前記レーザ光源を前記基準光軸に対して垂直な方向においてラスタ走査状に移動させる手段であり、前記レーザ光源移動手段が前記レーザ光源を移動させることで、前記回折光学素子から照射される照射光の強度分布を一定時間積算したときに均一化させるように、前記回折光学素子に入射するレーザ光の入射方位が変化するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記レーザ光源移動手段は、前記基準光軸に対して垂直な第1方向に前記レーザ光源を移動させ得る第1駆動手段と、前記基準光軸に対して垂直な第2方向に前記レーザ光源を移動させ得る第2駆動手段とを有し、前記第1方向と前記第2方向とは互いに直交する方向であり、前記第1駆動手段は、前記第1方向を軸方向とするコイルバネを介して前記レーザ光源を保持し、前記第2駆動手段は、前記第2方向を軸方向とするコイルバネを介して前記レーザ光源を保持するような構成とした。
本発明は、レーザ光源から照射されたレーザ光の強度分布を均一にして対象物に照射することが可能である。
図1は、本発明のレーザ照射装置の一実施形態を示す構成図である。 図2は、照射パターンがズレ角θに相当する距離だけ移動した状態を説明するための図である。 図3は、本発明のレーザ照射装置の他の実施形態を示す構成図である。 図4は、照射パターンがズレ角θに相当する距離だけ移動した状態を説明するための図である。 図5は、コリメートレンズ移動手段の一例を示す模式図である。 図6は、コリメートレンズ移動手段の他の例を示す模式図である。 図7は、照射対象上で照射強度分布が均一化される様子を説明するための図である。 図8は、本発明のレーザ照射装置の他の実施形態を示す構成図である。 図9は、レーザ照射装置を構成するコリメートレンズと回折光学素子とを説明するための図である。 図10は、コリメートレンズの回転手段の一例を示す模式図である。 図11は、本発明のレーザ照射装置の他の実施形態を示す構成図である。 図12は、レーザ光源の照射方向駆動手段の一例を示す模式図である。 図13は、実施例における回折光学素子からの出射光の照射パターンの形状を示す図である。 図14は、実施例における回折光学素子を構成する透明基板上の凹凸パターンの例を示す図である。 図15は、照射対象上の照射パターンにおける照射分布を示す図である。 図16は、レーザ照射装置の一構成例を示す図である。 図17は、レーザ照射装置で照射対象を照射して得られた照射パターンの平面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
本発明のレーザ照射装置は、レーザ光源と、このレーザ光源から出射されたレーザ光を受光する回折光学素子とを備え、この回折光学素子に入射するレーザ光の入射方位が変化するものである。
本発明のレーザ照射装置を説明する前に、まず、本発明のレーザ照射装置の基本となる構成の一例について説明する。図16は、レーザ照射装置の一構成例を示す図である。図16において、レーザ照射装置101は、レーザ光源12と、レーザ光源12が発したレーザ光を、必要なビーム径まで拡大した後平行光とするコリメートレンズ14と、コリメートレンズ14を透過したレーザ光18を、照射対象200上で所望の照射パターン15となるように変換する回折光学素子13で構成されている。レーザ照射装置101では、レーザ光源12、コリメートレンズ14、回折光学素子13は、要求される光学性能を満たすように基準光軸L(図1に一点鎖線で示している)上に配置されている。ここで、基準光軸とは、設計上の基準位置にある2つの光学素子の中心を結ぶ線、例えばレーザ光源の中心とレンズの中心を結ぶ線である。図16に示す基本構成では、レーザ光源12から出射されるレーザ光の中心軸線12L(レーザ光源12から出射されるレーザ光の広がりの中心となる軸線を意味する)、コリメートレンズ14の光軸14L、回折光学素子13の中心軸13L(回折光学素子13の受光面の中心における垂線を意味する)は、基準光軸Lに一致するように設定されている。以降の説明で、レーザ光の中心軸線12Lとは、レーザ光源12から出射されるレーザ光の中心軸線12Lを意味し、コリメートレンズ14の出射光、回折光学素子13の出射光の中心軸線を意味するものではない。
レーザ照射装置101を構成する光源12は、半導体レーザ等のコヒーレント性を有する光を出射する光源、例えば、半導体レーザ、固体レーザ、気体レーザ等であり、レーザ光の波長は赤外、可視、紫外のいずれ各波長域であってもよく、レーザ照射装置の使用目的に応じて適宜決定することができる。
回折光学素子13は、光の回折現象を利用して光の進行方向を変える光学素子であり、例えば、矩形などの所望の照射パターンとなるように計算機ホログラムの手法で設計、製作された位相ホログラムを用いることができる。回折光学素子13は、回折効率が高い範囲で使用することが好適であり、例えば、拡散角20°以下、好ましくは10°以下で使用することが好適である。
また、コリメートレンズ14は、入射した拡散光を平行光として出射するための光学系である。
このようなレーザ照射装置101で照射対象200を照射して得られた照射パターン15の平面図を図17(A)に示す。図17(A)に示すように、照射対象200は、所望の照射パターン15で照射されているが、詳細に見ると照射パターン15は微小な光点16の集合で構成されている。図17(B)は、図17(A)の拡大部位にA−A線上における光強度を示す図であり、図17(B)に示されるように、照射パターン15におけるレーザ光の強度は均一ではない。これらの光点16は、回折光学素子13を実現する際の繰り返しパターンに起因しており、回折光学素子を用いたレーザ照射装置ではよく見られる現象である。このように、従来のレーザ照射装置101では、回折光学素子13の出射光による照射面は、詳細にみると光点の集合であるが、後述するように、本発明のレーザ照射装置では、回折光学素子13の出射光の点集合分布は解消される。
尚、本発明のレーザ照射装置の基本構成の一例である上記のレーザ照射装置101では、レーザ光源12と回折光学素子13との間にコリメートレンズ14が存在するが、コリメートレンズ14を具備しない構成も、本発明のレーザ照射装置の基本構成の一例となる。
次に、本発明のレーザ照射装置を説明する。
本発明のレーザ照射装置の実施形態として、レーザ光源もしくはコリメートレンズの位置を、基準光軸に対し垂直な方向に平行移動することで、回折光学素子にズレ角θでレーザ光が入射するようにしたレーザ照射装置を説明する。尚、以下の本発明のレーザ照射装置を説明では、上述のレーザ照射装置101を構成する部材と同じ部材には、同じ部材番号を付して説明する。
上記のように、本発明では、回折光学素子13にズレ角θでレーザ光を入射させることに着目している。まず、これについて説明する。
回折光学素子13は、平行な入射光に対し所望の照射パターンとなるように設計されている。図16に示すようなレーザ照射装置101では、回折光学素子13が位相ホログラムの場合、回折光学素子13の中心軸と平行なレーザ光が入射した場合、レーザ光の位相が回折光学素子で局所的に増減し、所望の照射パターン15となる出射光が得られる。しかし、回折光学素子13に入射するレーザ光がズレ角θを有する場合、入射光の位相がズレ角θ分だけ変化しているため、出射光の方位にもズレ角θが加わり、照射パターンの位置が移動する。
回折光学素子13の出射光が照射されて得られる照射対象200の照射パターン15は、図17(A)に示すように光点の集合で構成されるが、回折光学素子13に入射するレーザ光がズレ角θを有する場合、回折光学素子13から出射するレーザ光の出射方位の変化(即ちズレ角θ)に伴って、各光点16は移動する。従って、ズレ角θを変化させながら照射対象200上の照射光の強度分布を一定時間積算すると、隣接する光点16同士が接近し、あるいは、一部重なることになる。これにより光点の集合分布が解消されて、均一な光強度分布となる。
上記のようなズレ角θを発生する具体的な方法は、コリメートレンズを移動する方法と、レーザ光源を移動する方法の2つの方法があり、以下で順に説明する。
まず、コリメートレンズを移動する方法を採用したレーザ照射装置について説明する。図1は、本発明のレーザ照射装置の一実施形態を示す構成図である。図1において、本発明のレーザ照射装置11は、レーザ光源12と、このレーザ光源12から出射されたレーザ光を受光し所望の照射パターンとする回折光学素子13と、レーザ光源12と回折光学素子13との間に位置するコリメートレンズ14を、基準光軸L(一点鎖線で示している)に備えるとともに、図示しないコリメートレンズ移動手段を備えている。したがって、レーザ照射装置11では、レーザ光源12から出射されるレーザ光の中心軸線12L、基準位置に位置するコリメートレンズ14の光軸14L、回折光学素子13の中心軸13Lが、基準光軸Lに一致するように設定されている。そして、コリメートレンズ移動手段により、コリメートレンズ14は、基準位置から基準光軸Lに垂直な方向へ移動し、これにより照射パターンを移動することを可能としたものである。図1は、コリメートレンズ14を基準光軸Lに対し垂直な方向に移動したときの光路の変化を、移動前の光路を鎖線で示し、移動後の光路を実線で示して幾何光学的に説明している。この図1では、基準光軸Lに対し垂直な方向をX軸、Y軸とし、基準光軸Lの方向をZ軸としている。尚、コリメートレンズ移動手段については後述する。
ここで、レーザ光源12の出射口の位置には、コリメートレンズ14と組みになってレーザ光のビーム径を回折光学素子13に必要な径に広げるためのレンズ(図示しない)が組み込まれているものとする。
レーザ光源12の出射口とコリメートレンズ14の距離Fは、通常コリメートレンズの焦点距離として、コリメートレンズの出射光が平行光となるように配置する。図1では、基準光軸L上(基準位置)に光軸14Lが位置するコリメートレンズ14を鎖線で示し、基準光軸Lに垂直な方向(Y軸に沿った矢印a方向)に移動した状態のコリメートレンズ14′を実線で示している。この移動量をΔYとすると、レーザ光源12から出射されコリメートレンズ14′に入射するレーザ光のなかで、コリメートレンズ14′の中心を通る光線は直進するので、コリメートレンズ14´から放射されるレーザ光18′はarctan(ΔY/F)に相当するズレ角θだけ方位が変化して回折光学素子13に入射する。
入射光の方位がズレ角θだけ変化すると、回折光学素子13の出射光も同様のズレ角θだけ出射方位が変化し、照射対象200上での照射パターン15の位置は、ズレ角θに相当する距離だけ移動する。図2は、照射パターン15がズレ角θに相当する距離だけ移動した照射パターン15′を示す図である。例えば、回折光学素子13と照射対象200の距離がDであるとすれば、照射対象200での照射パターン15に対する照射パターン15′のY軸に沿った矢印a方向への移動距離SはD×tanθとなる。
次に、レーザ光源を移動する方法を採用したレーザ照射装置について説明する。図3は、本発明のレーザ照射装置の他の実施形態を示す構成図である。図3において、本発明のレーザ照射装置21は、レーザ光源12と、図示しないレーザ光源移動手段と、レーザ光源12から出射されたレーザ光を受光し所望の照射パターンとする回折光学素子13と、レーザ光源12と回折光学素子13との間に位置するコリメートレンズ14と、を基準光軸L(一点鎖線で示している)上に備えている。したがって、レーザ照射装置21では、基準位置に位置するレーザ光源12から出射されるレーザ光の中心軸線12L、コリメートレンズ14の光軸14L、回折光学素子13の中心軸13Lは、基準光軸Lに一致するように設定されている。そして、レーザ光源移動手段により、レーザ光源12は基準位置から基準光軸Lに垂直な方向へ移動して、照射パターンを移動することを可能としたものである。図3は、レーザ光源12を基準光軸Lに対し垂直な方向に移動したときの光路の変化を、移動前の光路を鎖線で示し、移動後の光路を実線で示して幾何光学的に説明している。この図3では、基準光軸Lに対し垂直な方向をX軸、Y軸とし、レーザ光の中心軸線12L(基準光軸L)の方向をZ軸としている。尚、レーザ光源移動手段については後述する。
ここで、レーザ光源12の出射口には、コリメートレンズ14と組みになってレーザ光のビーム径を回折光学素子13に必要な径に広げるためのレンズ(図示しない)が組み込まれているものとする。また、レーザ光源12の出射口とコリメートレンズ14の距離Fは、通常コリメートレンズの焦点距離として、コリメートレンズの出射光が平行光となるように配置する。
図3では、基準位置に位置するレーザ光源12を鎖線で示し、基準光軸Lに垂直な方向(Y軸に沿った矢印a方向)に移動した状態のレーザ光源12′を実線で示している。このレーザ光源12の移動量をΔYとすると、レーザ光源12から出射されコリメートレンズ14′に入射するレーザ光のなかで、コリメートレンズ14の中心を通る光線は直進するので、コリメートレンズ14から放射されるレーザ光18′は−arctan(ΔY/F)に相当するズレ角θだけ方位が変化して回折光学素子13に入射する。ここで、負の記号“−”は、移動量ΔYが正(図3の矢印a方向)の場合、ズレ角θは時計回り方向に方位が変化することを示している。
上記のコリメートレンズの移動の場合と同様に、入射光の方位がズレ角θだけ変化すると、回折光学素子13の出射光は同様のズレ角θだけ出射方位が変化し、照射対象200上での照射パターン15の位置は、ズレ角θに相当する距離だけ移動する。図4は、照射パターン15がズレ角θに相当する距離だけ移動した照射パターン15′を示す図である。例えば、回折光学素子13と照射面200の距離がDであるとすれば、照射対象200での照射パターン15に対する照射パターン15′のY軸に沿った矢印b方向への移動距離SはD×tanθとなる。
尚、レーザ照射装置21では、レーザ光源12と回折光学素子13との間にコリメートレンズ14が介在しないような態様としてもよい。
次に、コリメートレンズ14を基準光軸Lに対し垂直方向に移動するコリメートレンズ移動手段、レーザ光源12を基準光軸Lに対し垂直方向に移動するレーザ光源移動手段について説明する。
図5は、上記のレーザ照射装置11が備えるコリメートレンズ移動手段の一例を模式図である。図5に示されるコリメートレンズ移動手段31は、コリメートレンズ14を、基準光軸Lに垂直なXY面内で移動可能なものであり、固定用の枠33に駆動手段34を備えている。図示例では、駆動手段34は、4個の駆動手段34a、34b、34c、34dからなり、駆動手段34aと34cはY軸方向に沿って対向して配置されており、駆動手段34bと34dはX軸方向に沿って対向して配置されている。各駆動手段34a、34b、34c、34dの枠33に固定された側と反対側の駆動部分は、コイルバネ35を介して、コリメートレンズ14を保持するための保持部36の縁部を支えている。コリメートレンズ14は、保持部36を介して駆動手段34a、34b、34c、34dによって4か所で支えられ、これにより固定枠33にレーザ光の中心軸線12L(基準光軸L)に垂直なXY面内で移動可能に支持されている。尚、駆動手段34の個数、配設位置は、図示例に限定されるものではない。
このようなコリメートレンズ移動手段31において、駆動手段34dをΔXだけ伸ばし、駆動手段34bをΔXだけ縮めれば、保持部36に保持されているコリメートレンズ14はX軸方向にΔXだけ移動する。同様に、駆動手段34cをΔYだけ伸ばし、駆動手段34aをΔYだけ縮めれば、コリメートレンズ14はY軸方向にΔYだけ移動する。ここで、コイルバネ35は、その軸方向には定められたバネ定数を持つが、コイルバネ35の軸と直交する方向については、比較的弱い力で動く。このため、コリメートレンズ14のX軸方向の移動とY軸方向の移動は、中心軸近傍の範囲では、相互に影響せずほぼ独立して動かすことができる。すなわち、コリメートレンズ14の中心軸の位置を基準光軸Lに垂直なXY面内で任意に動かすことができる。コリメートレンズ14の動きのパターンは特に限定されるものではないが、例えば、後述の図7(C)に示すように、所定の小さな矩形内をラスタ走査状に動かすことができる。このようなコリメートレンズ14の動きに従って、回折光学素子13に入射するレーザ光のズレ角θは変化し、照射パターン15を照射対象200上で移動させることができ、光点16を所定の動きのパターン(この場合ラスタ走査状)で移動して、一定時間積算した照射強度分布を均一化することができる。
コリメートレンズ移動手段31を構成する駆動手段34としては、例えば、カムをモーターで回転する機械的な駆動手段や、ソレノイドのような電磁力による駆動手段や、ピエゾ素子のような圧電効果による駆動手段等を適用することができる。駆動手段34がカム機構やソレノイドのように、ストロークが100μm〜1mm程度をカバーできる場合、コリメートレンズ移動手段31は、上記の図5に示す構成とすることができる。また、駆動手段34が、ピエゾ素子のようにストロークが100μmに達しない場合には、図6に示すように、コリメートレンズ移動手段31を、梃の原理でストロークを拡大する機構を具備したものとすることができる。図6に示される例では、4個の駆動手段34a、34b、34c、34dとコイルバネ35との間に梃37を介在させている。これにより、駆動手段34a、34b、34c、34dのストロークを拡大してコイルバネ35に伝達することができる。
尚、上述のコリメートレンズ移動手段31は例示であり、これに限定されるものではない。
図5、図6では、コリメートレンズ移動手段31について説明したが、基準光軸Lに対し垂直方向に移動するレーザ光源移動手段も、コリメートレンズ移動手段31と同様とすることができる。したがって、レーザ光源12を移動する場合も、コリメートレンズ14に代えてレーザ光源12を組み込むことで、同じ移動手段31を利用して基準光軸Lに対し垂直なX軸方向およびY軸方向に移動できる。
図7は、照射対象200上で照射強度分布が均一化される様子を説明するための図である。図7(A)は照射対象200上の照射パターン15の部分拡大図であり、照射パターン15は光点16の集合で構成されている様子を示す模式図である。以下の説明で、重ね合わせにより照射光の強度分布が均一化される様子を判りやすくするため、図7(B)に示すように、照射パターン15を構成する光点16の集合のうちの1つの光点16に着目する。
図7(C)、図7(D)は、照射パターン15を照射対象200上で移動させる移動パターン17の例である。図7(C)はラスタ状であり、図7(D)は同心円状の移動パターンを示しているが、移動パターンはこれらに限られない。
図7(E)は、図7(B)の照射パターン15を、図7(C)に示される移動パターン17で移動した場合において、光点16が移動することにより、所定の時間で重ね合わせて積算すると照射光の強度が均一化される様子を模式的に示したものである。図7(C)、図7(E)に示されるように、Y軸方向における移動パターン17の走査線の間隔を光点の径より密にすれば、矩形の移動パターン17の内部は、光照射強度が均一化される。また、矩形の移動パターン17の矩形の各辺の長さが、照射パターン15の光点集合(図7(A))の光点16間の間隔より大きければ、各光点によって形成される移動パターン17の矩形は、隣接する光点によって形成される移動パターン17の矩形と重なるため、隙間なく光点が重ね合わされ、光強度分布が均一化される。したがって、光強度分布が均一化されるには、光点16の移動範囲、すなわち回折光学素子に入射するレーザ光の入射方位のズレ角θが、照射パターン15における隣接する光点16のピッチに対応するレーザ光の入射角度の差δより大きい必要がある。
一方、図7(C)に示される矩形の移動パターン17の移動範囲が大きく、矩形の各辺の長さが大きすぎる場合、以下のような問題がある。すなわち、照射パターン15を移動パターン17に従って移動しながら照射光の強度を積算すると、照射領域の中心部においては、上述の通り、光点16に起因する照射強度分布のムラを均一化することができる。しかし、照射領域の周辺部においては、照射光の強度の積算が、光点16が存在する領域と光点16が存在しない領域との積算となる。このため、照射領域の周辺部は、光強度分布が漸減する領域となり、照射強度分布は均一とはならない。このような光強度分布が漸減する領域の幅は、矩形の移動パターン17の各辺の長さで決まる。このため、光強度分布が漸減する領域が許容される範囲となるように、矩形の移動パターン17の移動範囲を決定することが好ましい。
上記のレーザ照射装置11、21において、ズレ角θは±0.05°〜5°の範囲が好ましい。ズレ角θが±0.05°未満であると、照射パターン15′を所定の時間積算した照射光の強度分布を十分に均一なものとすることが難しい。また、ズレ角θが±5°を超えると、照射パターン周辺部における照射光の強度の積算が外側に向かって漸減する領域が広くなる一方、照射パターン中心部の照射強度の均一な部分は狭くなって好ましくない。
また、移動パターン17は、図7(C)に示した矩形領域をラスタ状に走査するパターン以外に、図7(D)に示すような同心円状の走査パターンとすることもできる。同心円状に走査するには、同心円の半径をR、角度をωとすると、同心円上の点の座標(ΔX,ΔY)はΔX=Rcos(ω)、ΔY=Rsin(ω)となり、半径RをR1としてωを0から2πまで変化させ、次に半径RをR2として、再びωを0から2πまで変化させる走査を繰り返して実施することができる。また、機構的に同心円状の走査パターンを実現することもできる。例えば、回転する枠体中に、同心円状の走査パターンの半径方向に移動する直進機構を組み込み、この直進機構上にコリメートレンズもしくはレーザ光源を固定する機構で、同心円状の走査パターンを実現できる。
以上のようなレーザ光源12、コリメートレンズ14、回折光学素子13を具備するレーザ照射装置であって、レーザ光源12、もしくはコリメートレンズ14を、基準光軸Lに対し垂直な平面内で走査して移動する手段を具備するレーザ照射装置は、光点に起因する光の分布を均一化できるだけでなく、光路の移動にともない光の位相が変化するため、スペックルノイズの軽減にも効果がある。さらに、レーザ照射装置の構成要素としてすでに存在する光学要素に、基準光軸に対し垂直な平面内で移動して走査する機構を付加しているので、新たな光学要素、例えば、拡散板等は付加されておらず、シンプルな構成で均一なレーザ照射分布が得られるという効果を奏する。
次に、本発明のレーザ照射装置の他の実施形態として、レーザ光源あるいはコリメートレンズを基準光軸に対して傾斜した状態で回転することで、回折光学素子にズレ角θでレーザ光が入射するようにしたレーザ照射装置を説明する。尚、以下の本発明のレーザ照射装置を説明においても、上述の従来のレーザ照射装置101を構成する部材と同じ部材には、同じ部材番号を付して説明する。
図8は、本発明のレーザ照射装置の他の実施形態を示す構成図である。図8において、本発明のレーザ照射装置41は、レーザ光源12と、このレーザ光源12から出射されたレーザ光を受光し所望の照射パターンとする回折光学素子13と、レーザ光源12と回折光学素子13との間に位置するコリメートレンズ14を、基準光軸L(一点鎖線で示している)上に備えている。したがって、このレーザ照射装置41では、レーザ光源12から出射されるレーザ光の中心軸線12L、回折光学素子13の中心軸13Lは、基準光軸L上に位置している。図8では、光軸14Lが上記の基準方向であり基準光軸Lと一致している状態のコリメートレンズ14を鎖線で示し、光軸14Lが基準光軸Lに対して傾き角をなしている状態のコリメートレンズ14を実線で示している。
図9は、コリメートレンズ14と回折光学素子13とを説明するための図である。コリメートレンズ14は、その中心が基準光軸L上に位置するが、光軸14Lは基準光軸Lに対して傾き角αを有している。そして、レーザ照射装置41は、この傾き角αを維持した状態で、基準光軸Lを中心に回転するためのコリメートレンズ回転手段(図示せず)を有している。また、回折光学素子13は、上記のように、その中心軸13Lが基準光軸Lと一致している。これにより、レーザ光源12から出射したレーザ光は、基準光軸Lに対して傾き角αを有するコリメートレンズ14により光軸を曲げられ、コリメートレンズ14からの出射光は、基準光軸Lに対してズレ角θを生じ、このズレ角θを有した状態の入射光18′として回折光学素子13に入射する。回折光学素子13はズレ角θを有して入射するレーザ光に対応してズレ角θを有する照射パターン15′を発生する。上記のズレ角θは±0.05°〜5°の範囲が好ましい。ズレ角θが±0.05°未満であると、照射パターン15′を所定の時間積算した照射光の強度分布を十分に均一なものとすることが難しい。また、ズレ角θが±5°を超えると、照射パターン周辺部における照射光の強度の積算が外側に向かって漸減する領域が広くなる一方、照射パターン中心部の照射強度の均一な部分は狭くなって好ましくない。尚、上述のように、レーザ光の中心軸線12Lとは、レーザ光源12から出射されるレーザ光の広がりの中心となる軸線を意味する。また、回折光学素子13の中心軸13Lとは、回折光学素子13の受光面の中心における垂線を意味する。
本実施形態では、コリメートレンズ14からの出射光が、基準光軸Lに対して±0.05°〜5°の範囲内のズレ角θを生じるように、コリメートレンズ14の光軸14Lが基準光軸Lに対して傾き角αを有している。そして、このコリメートレンズ14は、基準光軸Lを中心に回転可能とされている。このため、基準光軸Lを中心に回転するコリメートレンズ14の光軸14Lは、基準光軸Lに対して常に傾き角αを維持した状態となる。これにより、コリメートレンズ14を透過して回折光学素子13に入射するレーザ光の入射方位は、コリメートレンズ14の回転に伴って、基準光軸Lに対してズレ角θを有した状態で変化し、回折光学素子13から出射されるレーザ光の出射方位も変化することになる。したがって、回折光学素子13の出射光による照射対象200の光点の集合における各点は、回折光学素子13から出射されるレーザ光の出射方位の変化に伴って移動し、照射光の強度分布を一定時間積算すると、隣接する光点同士が接近し、あるいは、一部重なり、これにより光点の集合が解消されて、均一な分布となる。このようにして、レーザ照射装置41から照射対象200に照射されたレーザ光は、強度分布が均一なものである。
レーザ光源12とコリメートレンズ14との距離Fは、通常コリメートレンズ14の焦点距離とし、コリメートレンズ14の出射光が平行光となるように適宜設定することができる。また、コリメートレンズ14と回折光学素子13との距離は、レーザ光がコリメートレンズ14を透過して回折光学素子13にズレ角θの旋回状態で到達する領域の内部に、レーザ光が到達しない領域が存在しないような距離に設定することができる。
コリメートレンズ14を、基準光軸Lを中心に回転させるためのコリメートレンズ回転手段には、特に制限はない。例えば、図10(A)に示されるように、図示しない駆動手段により回転可能な保持枠体51に、一対の支持軸52でコリメートレンズ14を支持したものとすることができる。一対の支持軸52の軸方向をX方向とし、これに直交する方向をY方向とし、保持枠体51はXY平面において矢印p方向に回転可能とする。そして、図10(B)に示すように、XY平面に垂直なZ方向に対して、コリメートレンズ14の光軸14Lを傾き角αを設けるように傾斜させ、この角度を固定する。尚、図10(B)は、図10(A)のY方向に沿ったI−I線での断面図である。
この状態でレーザ光源12から出射されるレーザ光の中心軸線12Lにコリメートレンズ14の中心を一致させ、保持枠体51のZ軸方向を中心軸線12Lと同じ方向とし、保持枠体51を矢印p方向に回転するように構成する。このような保持枠体51の回転は、照射光の強度分布を均一とすることが達成できるように設定でき、例えば、0.1〜120r.p.m.の範囲で適宜設定することができる。
また、本実施形態では、保持枠体51を矢印p方向に回転すると同時に、コリメートレンズ14の光軸14Lが基準光軸Lに対する傾き角αを、周期的に変動させてもよい。この場合、傾き角αの変動は、基準光軸Lに対するズレ角θが±0.05°〜5°の範囲となるように設定する。これにより、コリメートレンズ14を透過して回折光学素子13に入射するレーザ光は、その入射方位とともに入射角度も変化するものとなり、回折光学素子13から出射されるレーザ光の強度分布がより均一なものとなる。ズレ角θの変動の周期は、例えば、コリメートレンズが1〜20回の範囲で回転する時間を一周期とすることができる。
尚、上記のコリメートレンズ14の回転手段は例示であり、これに限定されるものではない。
図11は、本発明のレーザ照射装置の他の実施形態を示す構成図である。図11において、本発明のレーザ照射装置61は、レーザ光源12と、このレーザ光源12から出射されたレーザ光を受光する回折光学素子13と、レーザ光源12と回折光学素子13との間に位置するコリメートレンズ14を、基準光軸L(一点鎖線で示している)上に備えている。したがって、このレーザ照射装置61では、基準方向を向いているレーザ光源12から出射されるレーザ光の中心軸線12L、コリメートレンズ14の光軸14L、回折光学素子13の中心軸13Lは、基準光軸Lに一致するように設定されている。本実施形態では、レーザ光源12から出射されるレーザ光の中心軸線12Lを、上記の基準方向である基準光軸Lに対して傾き角βを維持した状態で基準光軸Lを中心に回転するためのレーザ光源照射方向駆動手段を有している。図11では、レーザ光の中心軸線12Lが上記の基準方向であり基準光軸Lと一致している状態のレーザ光源12を鎖線で示し、レーザ光の中心軸線12Lが基準光軸Lに対して傾き角βをなしている状態のレーザ光源12を実線で示している。
基準光軸Lに対するレーザ光の中心軸線12Lの傾き角βは、コリメートレンズ14からの出射光が、基準光軸Lに対してズレ角θを生じ、このズレ角θを有した状態の入射光18′として回折光学素子13に入射するように設定される。このズレ角θは、±0.05°〜5°の範囲が好ましい。上記の角度θが±0.05°未満であると、レーザ光源12から照射されたレーザ光の強度分布を十分に均一なものとすることが難しく、±5°を超えると、レーザ光の照射強度分布が均一な領域の面積が狭まり、好ましくない。尚、上述のように、レーザ光の中心軸線12Lとは、レーザ光源12から出射されるレーザ光の広がりの中心となる軸線を意味する。
図12は、レーザ光源照射方向駆動手段の一例を示す図である。このレーザ光源照射方向駆動手段の例では、レーザ光源12の出射側の端部12aの近傍を、内側枠体71Aと外側枠体71Bを有する支持枠体71により保持する。すなわち、X方向を軸方向とした一対の支持軸72aでレーザ光源12を内側枠体71Aに支持し、この内側枠体71Aを、X方向と直交するY方向を軸方向とした一対の支持軸72bで外側枠体71Bに支持する。この支持枠体71では、外側枠体71Bに対して、内側枠体71Aは支持軸72b(Y方向)を中心として揺動可能である。また、内側枠体71Aに対して、レーザ光源12の出射側の端部12aは支持軸72a(X方向)を中心として揺動可能である。そして、図12(B)に示されるように、支持枠体71の外側枠体71Bを固定し、図示しない駆動手段によりレーザ光源12の出射側と反対側の端部12bを回転することにより、レーザ光源12から出射されるレーザ光の中心軸線12Lは、X方向、Y方向に垂直なZ方向に対して所望の角度βで旋回する。
これにより、レーザ光源12から出射され、コリメートレンズ14を透過して回折光学素子13に入射するレーザ光の入射方位は、レーザ光源12の端部12bの回転に伴って変化し、回折光学素子13から出射されるレーザ光の出射方位も変化することになる。したがって、回折光学素子13の出射光による照射面の光点の集合における各光点は、回折光学素子13から出射されるレーザ光の出射方位の変化に伴って移動し、照射強度分布を一定時間積算すると、隣接する点同士が接近し、あるいは、一部重なり、これにより光点の集合分布が解消されて、均一な分布となる。このようにして、レーザ照射装置61から照射対象200に照射されたレーザ光は、強度分布が均一なものとなる。このようなレーザ光源12から出射されるレーザ光の中心軸線12Lの旋回は、照射光の強度分布を均一とすることが達成できるように設定でき、例えば、0.1〜120r.p.m.の範囲で適宜設定することができる。
レーザ照射装置61におけるレーザ光源12とコリメートレンズ14との距離Fは、通常コリメートレンズ14の焦点距離とし、コリメートレンズ14の出射光が平行光となるように適宜設定することができる。また、コリメートレンズ14と回折光学素子13との距離は、レーザ光がコリメートレンズ14を透過して回折光学素子13にズレ角θの旋回状態で到達する領域の内部に、レーザ光が到達しない領域が存在しないような距離に設定することができる。尚、レーザ光源12と回折光学素子13との間にコリメートレンズ14が介在しないような態様としてもよい。この場合、基準光軸Lに対するレーザ光の中心軸線12Lの傾き角βは、回折光学素子13への入射光の中心となる軸線と基準光軸Lとのズレ角θとなるので、傾き角βを±0.05°〜5°の範囲とすることが好ましい。
また、本実施形態では、レーザ光源12の端部12bの回転半径を周期的に変動させることにより、XY平面に垂直なZ方向に対するレーザ光の中心軸線12Lの角度βを、ズレ角θが±0.05°〜5°の範囲内となるように、周期的に変動させてもよい。これにより、レーザ光源12から出射され回折光学素子13に入射するレーザ光は、その入射方位とともに入射角度も変化するものとなり、回折光学素子13から出射されるレーザ光の強度分布がより均一なものとなる。レーザ光の中心軸線12Lの角度βの変動の周期は、例えば、中心軸線12Lが1〜20回の範囲で旋回する時間を一周期とすることができる。
尚、上記のレーザ光源駆動手段は例示であり、これに限定されるものではない。
上述のレーザ照射装置の実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に、より具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
レーザ光源、回折光学素子、レーザ光源と回折光学素子との間に位置するコリメートレンズを備えたレーザ照射装置において回折光学素子から出射される光の強度分布をシミュレーションにより求めた。
まず、図16に示されるレーザ照射装置において、回折光学素子13からの出射光の照射パターン15を、図13に示す矩形の領域とし、この照射パターンの全体を801×801画素とし、均一な強度で照射される矩形領域を201×201画素とした。
次に、回折光学素子の位相パターンを、LightTrans社のVirtualLabを用い、反覆フーリエ変換法により求めた。ここでは、回折光学素子を照射するレーザ光源の波長を1064nmとした。また、回折光学素子13は石英ガラスの透明基板で構成されたものとし、位相パターン上の各画素(サンプリング点ともいう)の位相と透明基板の屈折率(1.45)に応じた所定深さの段部を形成されており、これにより位相を変化させることが可能となっている。本実施例では、位相パターンの1画素の幅はレーザ光源の波長のおおよそ1/4である280nmとしている。位相の量子化レベルを4レベルとした場合、レーザ波長λおよび透明基板の屈折率Nから、1レベル(1段)の深さはλ/4(N−1)で求まり、590nmである。これらの凹凸パターンの例を図14に示す。
回折光学素子を構成する透明基板上に形成される位相パターンの1画素の大きさは280nm×280nmであり、位相パターンの単位セルは801×801の画素数で形成されるので、位相パターンの単位セルのサイズは224μm×224μmとなる。回折光学素子を必要な大きさとするには、透明基板上に存在する位相パターンの単位セルが1つでは不十分であるので、位相パターンの単位セルを必要な数だけ繰り返して周期的に配置した。実施例では、回折光学素子の大きさを5mm角としたので、位相パターンの単位セル(224μm×224μm)を22×22の配列で配置して5mm角とした。
以上のように設計した位相パターンを用い、描画装置を用いて石英ガラス基板上のレジストをパターン形成し、エッチングして段部を形成する処理を繰り返して、設計した位相を発生する回折光学素子を作製した。
このようにして製造した回折光学素子13を用いて、図16に示されるレーザ照射装置を構成し、コリメータレンズ14を介してレーザ光源12からレーザ光を照射し、回折光学素子13の出射光により照射パターン15を照射対象200に照射可能とした。
図15(A)は、図16に示される照射対象200上の照射パターン15における照射分布を撮影し、上記の図13で鎖線で囲まれる部位に対応した部位を表示した図であり、図15(B)は、さらに、この部位の一部を拡大して表示している。本実施例では、回折光学素子が上記のように224μm角の位相パターンの単位セルを22×22の配列で配置しているが、この繰り返し構造による回折像が、回折光学素子による照射パターン中に格子状に配置された光点16が明確に観察された。全体的にランダムなノイズが見られるのはスペックルノイズと言われるレーザ光の干渉によるノイズである。
このような光点16の間隔は回折角δで表され、単位セルの一辺の長さをd、照射するレーザ光源の波長をλ、nを整数とすれば、n次の回折角δとは、n×δ=n×(λ/d)の関係となる。λを1064nm、dを224μmとすると、一次の回折角δは0.272°となる。そして、回折光学素子13と照射対象200の距離Dを420mmとすると、光点と光点の間隔はD×tanδで表され、2mmとなる。
ここで、図7に示した照射強度分布を均一化するという効果を確認するために、照射パターン15を光点16の間隔の半分のステップ幅で移動して、照射強度分布のシミュレーションを行った。図15(C)、(D)は、このシミュレーション結果の画像を表示する図であり、上記の図15(A)、(B)に対応するものである。すなわち、図15(A)、(B)の照射強度分布の画像を元画像とし、元画像と、元画像をX軸方向にδ/2(約1mm)だけ位置をずらした照射強度分布の画像と、元画像をY軸方向にδ/2だけ位置をずらした照射強度分布の画像と、元画像をX軸方向とY軸方向にそれぞれδ/2だけ位置をずらした照射分布の画像の4つの画像を加算して平均した画像である。図15(A)、(B)と比較すると、照射パターンをステップ移動して照射強度を平均化した図15(C)、(D)の照射強度分布のほうが均一化されていることが確認された。
図15(C)、(D)に示される例は、4つの照射強度分布の平均により照射強度分布を均一化したが、図7(C)のような移動パターン17は連続して移動するので、照射対象上を照射パターンの光点が移動しながら照射強度が連続的に積算され平均化され、より均一な照射強度分布が得られる。
レーザ光源からの光を均一に照射して利用する種々の用途において有用である。
11,21,41,61…レーザ照射装置
12…レーザ光源
13…回折光学素子
14…コリメートレンズ
31…コリメートレンズ移動手段
51…コリメートレンズ回転手段
71…レーザ光源照射方向駆動手段
12L…レーザ光の中心軸線
13L…回折光学素子の中心軸
14L…コリメートレンズの光軸
L…基準光軸

Claims (4)

  1. レーザ光源と、
    前記レーザ光源から出射されたレーザ光を受光する回折光学素子と、
    前記レーザ光源及び前記回折光学素子の間に位置するコリメートレンズと、
    前記コリメートレンズを移動させるコリメートレンズ移動手段と
    を備え、
    前記レーザ光源及び前記回折光学素子は、基準光軸上に備えられ、
    前記コリメートレンズ移動手段は、前記回折光学素子に入射するレーザ光の入射方位を前記基準光軸に対して±0.05°〜5°の範囲内で変化させるように前記コリメートレンズを前記基準光軸に対して垂直な方向においてラスタ走査状に移動させる手段であり、
    前記コリメートレンズ移動手段が前記コリメートレンズを移動させることで、前記回折光学素子から照射される照射光の強度分布を一定時間積算したときに均一化させるように、前記回折光学素子に入射するレーザ光の入射方位が変化することを特徴とするレーザ照射装置。
  2. 前記コリメートレンズ移動手段は、前記基準光軸に対して垂直な第1方向に前記コリメートレンズを移動させ得る第1駆動手段と、前記基準光軸に対して垂直な第2方向に前記コリメートレンズを移動させ得る第2駆動手段とを有し、
    前記第1方向と前記第2方向とは互いに直交する方向であり、
    前記第1駆動手段は、前記第1方向を軸方向とするコイルバネを介して前記コリメートレンズを保持し、
    前記第2駆動手段は、前記第2方向を軸方向とするコイルバネを介して前記コリメートレンズを保持することを特徴とする請求項1に記載のレーザ照射装置。
  3. レーザ光源と、
    前記レーザ光源から出射されたレーザ光を受光する回折光学素子と、
    前記レーザ光源及び前記回折光学素子の間に位置するコリメートレンズと、
    前記レーザ光源を移動させるレーザ光源移動手段と
    を備え、
    前記レーザ光源及び前記回折光学素子は、基準光軸上に備えられ、
    前記レーザ光源移動手段は、前記回折光学素子に入射するレーザ光の入射方位を前記基準光軸に対して±0.05°〜5°の範囲内で変化させるように前記レーザ光源を前記基準光軸に対して垂直な方向においてラスタ走査状に移動させる手段であり、
    前記レーザ光源移動手段が前記レーザ光源を移動させることで、前記回折光学素子から照射される照射光の強度分布を一定時間積算したときに均一化させるように、前記回折光学素子に入射するレーザ光の入射方位が変化することを特徴とするレーザ照射装置。
  4. 前記レーザ光源移動手段は、前記基準光軸に対して垂直な第1方向に前記レーザ光源を移動させ得る第1駆動手段と、前記基準光軸に対して垂直な第2方向に前記レーザ光源を移動させ得る第2駆動手段とを有し、
    前記第1方向と前記第2方向とは互いに直交する方向であり、
    前記第1駆動手段は、前記第1方向を軸方向とするコイルバネを介して前記レーザ光源を保持し、
    前記第2駆動手段は、前記第2方向を軸方向とするコイルバネを介して前記レーザ光源を保持することを特徴とする請求項3に記載のレーザ照射装置。
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