以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。以下の実施形態では、半導体装置の特徴的な構成および動作を中心に説明するが、半導体装置には以下の説明で省略した構成および動作が存在しうる。これらの省略した構成および動作も本実施形態の範囲に含まれるものである。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(第1の実施形態)
図1は、半導体装置の一例である第1の実施形態による高周波半導体装置1の回路図である。図1の高周波半導体装置1は、例えば、携帯電話端末等に適用できるものである。
図1の高周波半導体装置1は、共通のSOI基板上にCMOSプロセスで作製されたものである。図1に示すように、高周波半導体装置1は、SOI基板と、第1増幅器の一例である第1高周波LNA(Low Noise Amplifier)2と、スプリッタ3と、第1出力端子RFout1と、第2出力端子RFout2と、出力制御部の一例である第1〜第5スイッチSW1〜SW5とを備える。
第1高周波LNA2は、第1入力信号の一例である第1高周波入力信号Sin1を増幅し、第1増幅器の出力信号の一例である第1高周波出力信号Sout1を出力する。
図1に示すように、第1高周波LNA2は、SOI基板上に配置され、一端が第1入力端子RFin1に接続され、他端がスプリッタ3内の分岐ノードNを介して第1出力端子RFout1および第2出力端子RFout2に接続されている。
図2は、第1の実施形態による高周波半導体装置1において、第1高周波LNA2を示す回路図である。図2に示すように、第1高周波LNA2は、カスコード型の高周波LNAである。
図2に示すように、第1高周波LNA2は、第5インダクタの一例であるスパイラルインダクタLsと、第1トランジスタの一例であるnMOSFET1と、第2トランジスタの一例であるnMOSFET2と、第6インダクタの一例であるインダクタLdとを有する。なお、nMOSFETは、導電型がn型のMOSFETである(以下、同様)。これらスパイラルインダクタLs、nMOSFET1、nMOSFET2およびインダクタLdは、第1基準電位の一例である接地電位と第2基準電位の一例である電源電位VDD_LNAとの間に直列接続されている。この他にも、第1高周波LNA2は、複数の抵抗RB1、RB2、Rdと、複数のキャパシタCx、Cin、Coutとを有する。
nMOSFET1のゲートは、キャパシタCxと、入力端子LNAinと、外部インダクタLextとを介して第1入力端子RFin1に接続されている。すなわち、外部インダクタLextおよびキャパシタCxは、第1入力端子RFin1とnMOSFET1のゲートとの間において直列接続されている。なお、図1では、外部インダクタLextの図示を省略している。また、nMOSFET1のゲートには、抵抗RB1を介して図示しないバイアス電圧生成回路が接続されている。
nMOSFET2は、nMOSFET1にカスコード接続されている。nMOSFET2のドレインは、キャパシタCoutを介して第1高周波LNA2の出力端子LNAoutに接続されている。nMOSFET2のゲートは、抵抗RB2を介して図示しないバイアス電圧生成回路に接続されている。また、nMOSFET2のゲートは、対地容量であるキャパシタCB2を介して接地されている。
スパイラルインダクタLsは、一端がnMOSFET1のソースに接続され、他端が接地電位に接続されている。すなわち、nMOSFET1は、スパイラルインダクタLsによるインダクティブソースディジェネレーションを有するソース接地FETである。スパイラルインダクタLsとnMOSFET1のソースとの間には、キャパシタCinの一端が接続されている。キャパシタCinの他端は、nMOSFET1のゲートに接続されている。
インダクタLdは、一端がnMOSFET2のドレインに接続され、他端が電源電位VDD_LNAに接続されている。電源電位VDD_LNAは、図示しないバイアス電圧生成回路で生成される。インダクタLdには、抵抗Rdが並列接続されている。
図2に示される構成の第1高周波LNA2において、nMOSFET1は、バイアス電圧VB1が入力されることでオンする。また、nMOSFET2は、バイアス電圧VB2が印加されることでオンする。オン状態において、nMOSFET1およびnMOSFET2には、電源電位VDD_LNAによるドレイン電流が流れる。nMOSFET1およびnMOSFET2にドレイン電流が流れた状態でnMOSFET1のゲートに第1入力端子RFinから第1高周波入力信号Sin1が入力されると、第1高周波LNA2の出力端子LNAoutから、nMOSFET2のドレイン電圧に応じた信号として、第1高周波入力信号Sin1を増幅した第1高周波出力信号Sout1が出力される。
第1高周波入力信号Sin1は、例えば、1.8〜2.0GHzの周波数帯または2.0〜2.2GHzの周波数帯に属する信号である。また、第1高周波入力信号Sin1には、同じ周波数帯(例えば、1.8〜2.0GHzまたは2.0〜2.2GHz)において異なる周波数を有する複数の高周波信号が含まれることがある。このような同じ周波数帯において異なる周波数を有する複数の高周波信号は、第1高周波LNA2およびスプリッタ3を経由した後に図示しない復調器で個別に復調できる。
第1高周波LNA2による第1高周波入力信号Sin1の増幅の際に、外部インダクタLext、キャパシタCinおよびスパイラルインダクタLsは、入力整合素子として機能し、増幅用のFET1、FET2の利得整合とノイズ整合を考慮した所望のインピーダンス整合を行う。キャパシタCxは、第1高周波入力信号Sin1の直流成分をカットする。インダクタLdとキャパシタCoutは、出力側のインピーダンス整合を行う出力整合回路として機能する。抵抗Rdは、広帯域に対応し得るように、信号の周波数特性を急峻な特性から平坦な特性へと安定化させる。抵抗RB1、RB2は、第1高周波入力信号Sin1がバイアス電圧生成回路側に回り込むことを防止する。
スプリッタ3は、第1高周波LNA2の出力信号である第1高周波出力信号Sout1を第1信号経路P1と第2信号経路P2とに分岐し、第1および第2信号経路P1、P2のインピーダンス変換と、第1および第2信号経路P1、P2同士のアイソレーションとを行う。
スプリッタ3は、SOI基板上に配置された複数の集中定数素子を有する。具体的には、図1に示すように、スプリッタ3は、第1インダクタの一例である第1スパイラルインダクタL1aと、第2インダクタの一例である第2スパイラルインダクタL2aと、第3インダクタの一例である第3スパイラルインダクタL1bと、第4インダクタの一例である第4スパイラルインダクタL2bと、第1キャパシタC1と、第2キャパシタC2aと、第3キャパシタC2bと、抵抗Rとを有する。
集中定数素子L1a、L2a、L1b、L2b、C1、C2a、C2b、Rは、第1高周波LNA2の出力ノードNaと分岐ノードNとの間の入力ノードNinと、分岐ノードNと第1出力端子RFout1との間の第1出力ノードNout1との間、または、分岐ノードNと、分岐ノードNと第2出力端子RFout2との間の第2出力ノードNout2との間に接続されている。
具体的には、第1キャパシタC1は、スプリッタ3の入力ノードNinと基準電位の一例である接地電位との間に接続されている。第1スパイラルインダクタL1aと第2スパイラルインダクタL2aとは、第1信号経路P1上すなわち分岐ノードNと第1出力ノードNout1との間において直列接続されている。第3スパイラルインダクタL1bと第4スパイラルインダクタL2bとは、第2信号経路P2上すなわち分岐ノードNと第2出力ノードNout2との間において直列接続されている。第2キャパシタC2aは、 一端が第1スパイラルインダクタL1aと第2スパイラルインダクタL2aとの間に接続され、他端が基準電位の一例である接地電位に接続されている。第3キャパシタC2bは、一端が第3スパイラルインダクタL1bと第4スパイラルインダクタL2bとの間に接続され、他端が基準電位の一例である接地電位に接続されている。抵抗Rは、第1出力ノードNout1と第2出力ノードNout2との間に接続されている。
第1〜第4スパイラルインダクタL1a、L2a、L1b、L2bは、スパイラル状の導電パターンである。第1スパイラルインダクタL1aと第3スパイラルインダクタL1bとは、同一のインダクタンスを有する。第2スパイラルインダクタL2aと第4スパイラルインダクタL2bとは、同一のインダクタンスを有する。第2キャパシタC2aと第3キャパシタC2bとは、同一のキャパシタンスを有する。抵抗Rは、スプリッタ3の特性インピーダンスの2倍の抵抗値を有する。例えば、特性インピーダンスが50Ωである場合、抵抗Rの抵抗値は100Ωである。
上記の構成を有するスプリッタ3は、入力ノードNinに入力された第1高周波出力信号Sout1を、分岐ノードNにおいて、第1信号経路P1と、第2信号経路P2とに分岐する。第1高周波出力信号Sout1をスプリッタ3で第1信号経路P1に分岐した信号(以下、第1高周波第1分岐信号Sout1_d1とも呼ぶ)と、第1高周波出力信号Sout1をスプリッタ3で第2信号経路P2に分岐した信号(以下、第1高周波第2分岐信号Sout1_d2とも呼ぶ)とは、第1高周波出力信号Sout1を二分配した信号である。したがって、第1高周波第1分岐信号Sout1_d1および第1高周波第2分岐信号Sout1_d2は、第1高周波出力信号Sout1に対して電力が少なくとも半分(すなわち、3dB)減衰されている。
第1高周波第1分岐信号Sout1_d1は、第1出力ノードNout1を経由して第1出力端子RFout1から第1の復調器(図示せず)に出力される。第1高周波第2分岐信号Sout1_d2は、第2出力ノードNout2を経由して第2出力端子RFout2から第2の復調器(図示せず)に出力される。第1高周波第1分岐信号Sout1_d1および第1高周波第2分岐信号Sout1_d2は、第1高周波入力信号Sin1と同一の周波数帯(例えば、1.8〜2.0GHzまたは2.0〜2.2GHz)に属する信号であり、それぞれが、周波数帯内において異なる周波数を有する複数の高周波信号を含んでいる。第1の復調器は、第1高周波第1分岐信号Sout1_d1に含まれる複数の高周波信号のうち、予め設定された第1の周波数の高周波信号を復調する。第2の復調器は、第2出力ノードNout2に含まれる複数の高周波信号のうち、予め設定された第1の周波数と異なる第2の周波数の高周波信号を復調する。このようにして、スプリッタ3を経由して出力された第1高周波第1分岐信号Sout1_d1および第1高周波第2分岐信号Sout1_d2から、同一の周波数帯内において異なる周波数を有する2つの高周波信号を受信できる。
また、スプリッタ3において、第1信号経路P1と第2信号経路P2とは、インピーダンスを2:1に変換するインピーダンス変換器として機能する。これにより、入力ノードNinからスプリッタ3内部を見たときのインピーダンスと、第1出力ノードNout1からスプリッタ3内部を見たときのインピーダンスと、第2出力ノードNout2からスプリッタ3内部を見たときのインピーダンスとは、いずれも特性インピーダンス(例えば、50Ω)となる。すなわち、スプリッタ3において所望のインピーダンス整合を実現できる。また、スプリッタ3は、比較的狭い領域内において配線長を長くとることができるスパイラルインダクタL1a、L2a、L1b、L2bを有するため、コンパクトな構成でありながら、インピーダンス整合を適切に行うことができる。
また、第1出力ノードNout1から分岐ノードNを経由して第2出力ノードNout2に向かう経路と、第2出力ノードNout2から分岐ノードNを経由して第1出力ノードNout1の向かう経路とは、それぞれ、位相を180°回転させる移相器として機能する。これにより、第1信号経路P1と第2信号経路P2との間のアイソレーションとして、第1出力ノードNout1と第2出力ノードNout2との間のアイソレーションを確実に行うことができる。
第1〜第5スイッチSW1〜SW5は、その切替制御により、第1高周波出力信号Sout1を第1出力端子RFout1から出力するか、第2出力端子RFout2から出力するか、またはスプリッタ3で分岐して第1および第2出力端子RFout1、RFout2の双方から出力するかを切り替える。なお、スプリッタ3で第1高周波出力信号Sout1を分岐した場合、第1高周波出力信号Sout1は、第1高周波第1分岐信号Sout1_d1および第1高周波第2分岐信号Sout1_d2の状態で第1および第2出力端子RFout1、RFout2から出力される。
第1スイッチSW1は、nMOSFETM1と、抵抗r1とを有する。nMOSFETM1は、第1高周波LNA2の出力ノードNaとスプリッタ3の入力ノードNinとの間に接続されている。抵抗r1は、nMOSFETM1のゲートに接続されている。抵抗r1は、100kΩ等の高い抵抗値を有する。第1スイッチSW1は、抵抗r1を介してnMOSFETM1のゲートに入力される第1制御信号Cont1によってオンオフ制御される。なお、nMOSFETM1〜M5の制御信号を生成する生成回路については、図示を省略している。制御信号の生成回路は、例えば、SOI基板上に配置されている。制御信号の生成回路は、高周波半導体装置1の外部にあってもよい。
第2スイッチSW2は、nMOSFETM2と、抵抗r2とを有する。nMOSFETM2は、第1出力ノードNout1すなわち第1信号経路P1と第1出力端子RFout1との間に接続されている。抵抗r2は、100kΩ等の高い抵抗値を有し、nMOSFETM2のゲートに接続されている。第2スイッチSW2は、抵抗r2を介してnMOSFETM2のゲートに入力される第1制御信号Cont1によってオンオフ制御される。
第3スイッチSW3は、nMOSFETM3と、抵抗r3とを有する。nMOSFETM3は、第2出力ノードNout2すなわち第2信号経路P2と第2出力端子RFout2との間に接続されている。抵抗r3は、100kΩ等の高い抵抗値を有し、nMOSFETM3のゲートに接続されている。第3スイッチSW3は、抵抗r3を介してnMOSFETM3のゲートに入力される第1制御信号Cont1によってオンオフ制御される。
第4スイッチSW4は、nMOSFETM4と、抵抗r4とを有する。nMOSFETM4は、第1高周波LNA2の出力ノードNaと第1出力端子RFout1との間に接続されている。より具体的には、nMOSFETM4は、出力ノードNaと、nMOSFETM2と第1出力端子RFout1との間のノードNbとの間に接続されている。抵抗r4は、100kΩ等の高い抵抗値を有し、nMOSFETM4のゲートに接続されている。第4スイッチSW4は、抵抗r4を介してnMOSFETM4のゲートに入力される第2制御信号Cont2によってオンオフ制御される。
第5スイッチSW5は、nMOSFETM5と、抵抗r5とを有する。nMOSFETM5は、第1高周波LNA2の出力ノードNaと、第2出力端子RFout2との間に接続されている。より具体的には、nMOSFETM5は、出力ノードNaとnMOSトランジスタM4との間のノードNdと、nMOSFETM3と第2出力端子RFout2との間のノードNcとの間に接続されている。抵抗r5は、100kΩ等の高い抵抗値を有し、nMOSFETM5のゲートに接続されている。スイッチSW5は、抵抗r5を介してnMOSFETM5のゲートに入力される第3制御信号Cont3によってオンオフ制御される。
なお、図1の例では、nMOSFETM1〜M5が1つずつ配置されているが、各nMOSFETM1〜M5のそれぞれを2段以上直列接続してもよい。
上記の構成を有する第1〜第5スイッチSW1〜SW5において、スイッチSW1〜SW3は、スイッチSW4、SW5がオフしたときにオンすることで、第1高周波出力信号Sout1をスプリッタ3で分岐した第1高周波第1分岐信号Sout1_d1および第1高周波第2分岐信号Sout1_d2を、第1および第2出力端子RFout1、RFout2から出力させる。スイッチSW4は、スイッチSW1〜SW3、SW5がオフしたときにオンすることで、第1高周波出力信号Sout1を第1出力端子RFout1から出力させる。スイッチSW5は、スイッチSW1〜SW4がオフしたときにオンすることで、第1高周波出力信号Sout1を第2出力端子RFout2から出力させる。
(動作モード)
図3は、第1の実施形態による高周波半導体装置1の真理値表を示す図である。上記の構成を有する第1の実施形態の高周波半導体装置1は、図3の真理値表に示すように、単出力モードとスプリットモードとの2つの動作モードで動作できる。
単出力モードは、第1高周波LNA2から出力された第1高周波出力信号Sout1を、第1出力端子RFout1または第2出力端子RFout2から出力する動作モードである。
単出力モードにおいて第1出力端子RFout1をアクティブにする場合、図3に示すように、第1制御信号Cont1をローレベル(L)、第2制御信号Cont2をハイレベル(H)、第3制御信号Cont3をローレベル(L)に設定する。これにより、スイッチSW1〜SW3、SW5がオフするとともにスイッチSW4がオンする。このようなオンオフ制御により、第1高周波出力信号Sout1は、スイッチSW4を経由する図1の信号経路aを通って第1出力端子RFout1から出力される。第1出力端子RFout1から出力された第1高周波出力信号Sout1は、不図示の第1の復調器で復調される。
単出力モードにおいて第2出力端子RFout2をアクティブにする場合、図3に示すように、第1制御信号Cont1をローレベル、第2制御信号Cont2をローレベル、第3制御信号Cont3をハイレベルに設定する。これにより、スイッチSW1〜SW4がオフするとともにスイッチSW5がオンする。このようなオンオフ制御により、第1高周波出力信号Sout1は、nMOSFETM5を経由する図1の信号経路bを通って第2出力端子RFout2から出力される。第2出力端子RFout2から出力された第1高周波出力信号Sout1は、不図示の第2の復調器で復調される。
スプリットモードは、第1高周波LNA2から出力された第1高周波出力信号Sout1を、スプリッタ3で分岐させて第1出力端子RFout1および第2出力端子RFout2から出力させる動作モードである。スプリットモードでは、図3に示すように、第1制御信号Cont1をハイレベル、第2制御信号Cont2をローレベル、第3制御信号Cont3をローレベルに設定する。これにより、スイッチSW1〜SW3がオンするとともに、スイッチSW4、SW5がオフする。このようなオンオフ制御により、第1高周波LNA2から出力された第1高周波出力信号Sout1は、スプリッタ3を経由する図1の信号経路c、P1、P2を通って第1出力端子RFout1および第2出力端子RFout2から出力される。すなわち、スプリッタ3で二分配された第1高周波出力信号Sout1のうち、第1高周波第1分岐信号Sout1_d1は、第1信号経路P1を通って第1出力端子RFout1から出力される。また、第1高周波第2分岐信号Sout1_d2は、第2信号経路P2を通って第2出力端子RFout2から出力される。第1出力端子RFout1から出力された第1高周波第1分岐信号Sout1_d1は、不図示の第1の復調器で復調され、第2出力端子RFout2から出力された第1高周波第2分岐信号Sout1_d2は、不図示の第2の復調器で復調される。
第1の実施形態によれば、第1出力端子RFout1から出力された第1高周波出力信号Sout1に対して、単出力モードとスプリットモードとの2種類の動作モードを実現できるので、第1高周波LNA2を用いて高度な通信を実現することができる。
(第2の実施形態)
次に、2つの高周波低雑音増幅器を用いる第2の実施形態について説明する。図4は、第2の実施形態による高周波半導体装置1を示す回路図である。
図4に示すように、第2の実施形態の高周波半導体装置1は、第1実施形態において説明した第1高周波LNA2および第1〜第5スイッチSW1〜SW5に加えて、更に、第2増幅器の一例である第2高周波LNA4と、第6〜第10スイッチSW6〜SW10とを有する。
第2高周波LNA4は、第2入力信号の一例である第2高周波入力信号Sin2を増幅し、第2増幅器の出力信号の一例である第2高周波出力信号Sout2を出力する。
図4に示すように、第2高周波LNA4は、SOI基板上に配置され、一端が第2入力端子RFin2に接続され、他端がスプリッタ3の入力ノードNinに接続されている。第2高周波LNA4の基本的な回路構成は、第1高周波LNA2と同様である。第2高周波LNA4は、第2入力端子RFin2から入力された第2高周波入力信号Sin2を増幅させた第2高周波出力信号Sout2を出力する。
第1〜第10スイッチSW1〜SW10は、その切替制御により、第1高周波出力信号Sout1を第1出力端子RFout1から出力するか、第2出力端子RFout2から出力するか、またはスプリッタ3で分岐して第1および第2出力端子RFout1、RFout2の双方から出力するかの切り替えを行う。また、第1〜第10スイッチSW1〜SW10は、その切替制御により、第2高周波出力信号Sout2を第1出力端子RFout1から出力するか、第2出力端子RFout2から出力するか、またはスプリッタ3で分岐して第1および第2出力端子RFout1、RFout2の双方から出力するかの切り替えを行う。
第1〜第5スイッチSW1〜SW5は、第1の実施形態と同様であるので詳細な説明は省略する。
第9スイッチSW9は、nMOSFETM9と、抵抗r9とを有する。nMOSFETM9は、第1高周波LNA2と、第1高周波LNA2の出力ノードNaとの間に接続されている。抵抗r9は、100kΩ等の高い抵抗値を有し、nMOSFETM9のゲートに接続されている。第9スイッチSW9は、抵抗r9を介してnMOSFETM9のゲートに入力される制御信号によってオンオフ制御される。
第10スイッチSW10は、nMOSFETM10と、抵抗10とを有する。nMOSFETM10は、第2高周波LNA4と、第2高周波LNA4の出力ノードNeとの間に接続されている。抵抗r10は、100kΩ等の高い抵抗値を有し、nMOSFETM10のゲートに接続されている。第10スイッチSW10は、抵抗r10を介してnMOSFETM10のゲートに入力される制御信号によってオンオフ制御される。
第6スイッチSW6は、nMOSFETM6と、抵抗r6とを有する。nMOSFETM6は、第2高周波LNA4の出力ノードNeとスプリッタ3の入力ノードNinとの間に接続されている。抵抗r6は、100kΩ等の高い抵抗値を有し、nMOSFETM6のゲートに接続されている。第6スイッチSW6は、抵抗r6を介してnMOSFETM6のゲートに入力される制御信号によってオンオフ制御される。
第7スイッチSW7は、nMOSFETM7と、抵抗r7とを有する。nMOSFETM7は、第2高周波LNA4の出力ノードNeと第1出力端子RFout1との間に接続されている。より具体的には、nMOSFETM7は、出力ノードNeとノードNbとの間に接続されている。抵抗r7は、100kΩ等の高い抵抗値を有し、nMOSFETM7のゲートに接続されている。第7スイッチSW7は、抵抗r7を介してnMOSFETM7のゲートに入力される制御信号によってオンオフ制御される。
第8スイッチSW8は、nMOSFETM8と、抵抗r8とを有する。nMOSFETM8は、第2高周波LNA4の出力ノードNeと、第2出力端子RFout2との間に接続されている。より具体的には、nMOSFETM8は、出力ノードNeとnMOSトランジスタM7との間のノードNfと、ノードNcとの間に接続されている。抵抗r8は、100kΩ等の高い抵抗値を有し、nMOSFETM8のゲートに接続されている。第8スイッチSW8は、抵抗r8を介してnMOSFETM8のゲートに入力される制御信号によってオンオフ制御される。
上記の構成を有する第1〜第10スイッチSW1〜SW10において、スイッチSW1〜SW3、SW9は、スイッチSWSW4〜SW8、SW10がオフしたときにオンすることで、第1高周波出力信号Sout1を、スプリッタ3で分岐させて第1および第2出力端子RFout1、RFout2から出力させる。スイッチSW4、SW9は、少なくともスイッチSW1〜SW3、SW5〜SW7がオフしたときにオンすることで、第1高周波出力信号Sout1を第1出力端子RFout1から出力させる。スイッチSW5、SW9は、少なくともスイッチSW1〜SW4、SW6、SW8がオフしたときにオンすることで、第1高周波出力信号Sout1を第2出力端子RFout2から出力させる。
また、スイッチSW2、SW3、SW6、SW10は、スイッチSW1、SW4、SW5、SW7〜SW9がオフしたときにオンすることで、第2高周波出力信号Sout2を、スプリッタ3で分岐させて第1および第2出力端子RFout1、RFout2から出力させる。スイッチSW7、SW10は、少なくともスイッチSW1〜SW4、SW6、SW8がオフしたときにオンすることで、第2高周波出力信号Sout2を第1出力端子RFout1から出力させる。スイッチSW8、SW10は、少なくともスイッチSW1〜SW3、SW5〜SW7がオフしたときにオンすることで、第2高周波出力信号Sout2を第2出力端子RFout2から出力させる。
(動作モード)
図5は、第2の実施形態による高周波半導体装置1の真理値表を示す図である。上記の構成を有する第2の実施形態の高周波半導体装置1は、図5の真理値表に示すように、単出力モードと、スプリットモードと、LNA1、2同時動作モードとの3つの動作モードで動作できる。
第2の実施形態における単出力モードは、第1高周波LNA2および第2高周波LNA4の一方から出力された高周波出力信号Sout1、Sout2を、第1出力端子RFout1または第2出力端子RFout2から出力する動作モードである。
単出力モードにおいて、第1入力端子RFin1および第1出力端子RFout1をアクティブにする場合、nMOSFETM9、M4のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M3、M5〜M8、M10のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図5に示すように、スイッチSW1〜SW3、SW5〜SW8、SW10がオフするとともにスイッチSW9、SW4がオンする。このようなオンオフ制御により、第1高周波出力信号Sout1は、スイッチSW9、SW4を経由する図4の信号経路aを通って第1出力端子RFout1から出力される。
単出力モードにおいて、第1入力端子RFin1および第2出力端子RFout2をアクティブにする場合、nMOSFETM9、M5のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M4、M6〜M8、M10のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図5に示すように、スイッチSW1〜SW4、SW6〜SW8、SW10がオフするとともにスイッチSW9、SW5がオンする。このようなオンオフ制御により、第1高周波出力信号Sout1は、スイッチSW9、SW5を経由する図4の信号経路bを通って第2出力端子RFout2から出力される。
単出力モードにおいて、第2入力端子RFin2および第1出力端子RFout1をアクティブにする場合、nMOSFETM10、M7のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M6、M8、M9のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図5に示すように、スイッチSW1〜SW6、SW8、SW9がオフするとともにスイッチSW10、SW7がオンする。このようなオンオフ制御により、第2高周波出力信号Sout2は、スイッチSW10、SW7を経由する図4の信号経路cを通って第1出力端子RFout1から出力される。
単出力モードにおいて、第2入力端子RFin2および第2出力端子RFout2をアクティブにする場合、nMOSFETM10、M8のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M7、M9のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図5に示すように、スイッチSW1〜SW7、SW9がオフするとともにスイッチSW10、SW8がオンする。このようなオンオフ制御により、第2高周波出力信号Sout2は、スイッチSW10、SW8を経由する図4の信号経路dを通って第2出力端子RFout2から出力される。
第2の実施形態におけるスプリットモードは、第1高周波LNA2および第2高周波LNA4のいずれか一方から出力された高周波出力信号Sout1、Sout2を、スプリッタ3で分岐させて第1出力端子RFout1および第2出力端子RFout2から出力させる動作モードである。
スプリットモードにおいて、第1入力端子RFin1をアクティブにする場合、nMOSFETM9、M1〜M3のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM4〜M8、M10のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図5に示すように、スイッチSW4〜SW8、SW10がオフするとともに、スイッチSW9、SW1〜SW3がオンする。このようなオンオフ制御により、第1高周波出力信号Sout1は、スプリッタ3を経由する図4の信号経路eを通って第1出力端子RFout1および第2出力端子RFout2から出力される。すなわち、第1高周波出力信号Sout1は、スプリッタ3において、第1高周波第1分岐信号Sout1_d1と第1高周波第2分岐信号Sout1_d2とに二分配される。そして、第1高周波第1分岐信号Sout1_d1は、第1出力端子RFout1から出力され、第1高周波第2分岐信号Sout1_d2は、第2出力端子RFout2から出力される。
スプリットモードにおいて、第2入力端子RFin2をアクティブにする場合、nMOSFETM10、M2、M3、M6のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1、M4、M5、M7、M8、M9のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図5に示すように、スイッチSW1、SW4、SW5、SW7、SW8、SW9がオフするとともに、スイッチSW10、SW2、SW3、SW6がオンする。このようなオンオフ制御により、第2高周波出力信号Sout2は、スプリッタ3を経由する図4の信号経路fを通って第1出力端子RFout1および第2出力端子RFout2から出力される。すなわち、第2高周波出力信号Sout2は、スプリッタ3において、第2高周波出力信号Sout2を第1信号経路P1に分岐した第2高周波第1分岐信号Sout2_d1と、第2高周波出力信号Sout2を第2信号経路P2に分岐した第2高周波第2分岐信号Sout2_d2とに二分配される。そして、第2高周波第1分岐信号Sout2_d1は、第1出力端子RFout1から出力され、第2高周波第2分岐信号Sout2_d2は、第2出力端子RFout2から出力される。
LNA1、2同時動作モードは、第1高周波LNA2と第2高周波LNA4との双方が同時に動作する動作モードである。LNA1、2同時動作モードにおいては、例えば、第1入力端子RFin1と第2入力端子RFin2の双方に、互いに異なる周波数帯に属する高周波信号Sin1、Sin2を入力する。例えば、第1入力端子RFin1には、1.8〜2.0GHzに属する第1高周波信号Sin1を入力し、第2入力端子RFin2には、2.0〜2.2GHzに属する第2高周波信号Sin2を入力してもよい。
LNA1、2同時動作モードにおいて、第1入力端子RFin1と第1出力端子RFout1とを対応させ、第2入力端子RFin2と第2出力端子RFout2とを対応させる場合、nMOSFETM9、M10、M4、M8のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M3、M5〜M7のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図5に示すように、スイッチSW1〜SW3、SW5〜SW7がオフするとともに、スイッチSW9、SW10、SW4、SW8がオンする。このようなオンオフ制御により、第1高周波出力信号Sout1は、図4の信号経路aを通って第1出力端子RFout1から出力され、第2高周波出力信号Sout2は、図4の信号経路dを通って第2出力端子RFout2から出力される。すなわち、第1入力端子RFin1と第1出力端子RFout1とをアクティブにする単出力モードと、第2入力端子RFin2と第2出力端子RFout2とをアクティブにする単出力モードとが同時に実行される。
LNA1、2同時動作モードにおいて、第1入力端子RFin1と第2出力端子RFout2とを対応させ、第2入力端子RFin2と第1出力端子RFout1とを対応させる場合、nMOSFETM9、M10、M5、M7のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M4、M6、M8のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図5に示すように、スイッチSW1〜SW4、SW6、SW8がオフするとともに、スイッチSW9、SW10、SW5、SW7がオンする。このようなオンオフ制御により、第1高周波出力信号Sout1は、図4の信号経路bを通って第2出力端子RFout2から出力され、第2高周波出力信号Sout2は、図4の信号経路cを通って第1出力端子RFout1から出力される。すなわち、第1入力端子RFin1と第2出力端子RFout2とをアクティブにする単出力モードと、第2入力端子RFin2と第1出力端子RFout1とをアクティブにする単出力モードとが同時に実行される。
第2の実施形態によれば、2つの高周波LNA2、4の間で1つのスプリッタ3を共用できるので、第1の実施形態よりも多くの動作モードをコンパクトな構成で実現することができる。
(第3の実施形態)
次に、3つの高周波低雑音増幅器を用いる第3の実施形態について説明する。図6は、第3の実施形態による高周波半導体装置1を示す回路図である。図6に示すように、第3の実施形態の高周波半導体装置1は、第2実施形態において説明した第1高周波LNA2、第2高周波LNA4および第1〜第10スイッチSW1〜SW10に加えて、更に、第3増幅器の一例である第3高周波LNA5と、第11スイッチSW11と、第12スイッチSW12とを有する。
第3高周波LNA5は、第3入力信号の一例である第3高周波入力信号Sin3を増幅し、第3増幅器の出力信号の一例である第3高周波出力信号Sout3を出力する。
図6に示すように、第3高周波LNA5は、SOI基板上に配置され、一端が第3入力端子RFin3に接続され、他端の出力ノードNgが第1出力端子RFout1および第2出力端子RFout2に接続されている。第3高周波LNA5の基本的な回路構成は、第1高周波LNA2と同様である。第3高周波LNA5は、第3入力端子RFin3から入力された第3高周波入力信号Sin3を増幅させた第3高周波出力信号Sout3を出力する。
第1〜第12スイッチSW1〜SW12は、その切替制御により、第1高周波出力信号Sout1を第1出力端子RFout1から出力するか、第2出力端子RFout2から出力するか、またはスプリッタ3で分岐して第1および第2出力端子RFout1、RFout2の双方から出力するかの切り替えを行う。また、第1〜第12スイッチSW1〜SW12は、その切替制御により、第2高周波出力信号Sout2を第1出力端子RFout1から出力するか、第2出力端子RFout2から出力するか、またはスプリッタ3で分岐して第1および第2出力端子RFout1、RFout2の双方から出力するかの切り替えを行う。また、第1〜第12スイッチSW1〜SW12は、その切替制御により、第3高周波出力信号Sout2を第1出力端子RFout1から出力するか、または第2出力端子RFout2から出力するかの切り替えを行う。
第11スイッチSW11は、nMOSFETM11と、抵抗r11とを有する。nMOSFETM11は、第3高周波LNA5の出力ノードNgと第1出力端子RFout1との間に接続されている。より具体的には、nMOSFETM11は、出力ノードNgとノードNbとの間に接続されている。抵抗r11は、抵抗r11は、100kΩ等の高い抵抗値を有し、nMOSFETM11のゲートに接続されている。第11スイッチSW11は、抵抗r11を介してnMOSFETM11のゲートに入力される制御信号によってオンオフ制御される。
第12スイッチSW12は、nMOSFETM12と、抵抗r12とを有する。nMOSFETM12は、第3高周波LNA5の出力ノードNgと第2出力端子RFout2との間に接続されている。より具体的には、nMOSFETM12は、出力ノードNgとノードNcとの間に接続されている。抵抗r12は、100kΩ等の高い抵抗値を有し、nMOSFETM12のゲートに接続されている。nMOSFETM12は、抵抗r12を介してnMOSFETM12のゲートに入力される制御信号によってオンオフ制御される。
上記の構成を有する第11および第12スイッチSW11、SW12において、第11スイッチSW11は、少なくともスイッチSW1〜SW4、SW6、SW7、SW12がオフしたときにオンすることで、第3高周波出力信号Sout3を第1出力端子RFout1から出力させる。第12スイッチSW12は、少なくともスイッチSW1〜SW3、SW5、SW6、SW8、SW11がオフしたときにオンすることで、第3高周波出力信号Sout3を第2出力端子RFout2から出力させる。
(動作モード)
図7は、第3の実施形態による高周波半導体装置1の真理値表を示す図である。上記の構成を有する第3の実施形態の高周波半導体装置1は、図7の真理値表に示すように、単出力モードと、スプリットモードと、LNA1、2同時動作モードと、LNA1、3同時動作モードと、LNA2、3同時動作モードとの5つの動作モードで動作できる。
第3の実施形態における単出力モードは、第1高周波LNA2、第2高周波LNA4および第3高周波LNA5のいずれか1つから出力された高周波信号Sout1、Sout2、Sout3を、第1出力端子RFout1または第2出力端子RFout2から出力させる動作モードである。
単出力モードにおいて、第1入力端子RFin1および第1出力端子RFout1をアクティブにする場合、nMOSFETM9、M4のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M3、M5〜M8、M10〜M12のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図7に示すように、SW1〜SW3、SW5〜SW8、SW10〜SW12がオフするとともにnMOSFETM9、M4がオンする。このようなオンオフ制御により、第1高周波出力信号Sout1は、スイッチSW9、SW4を経由する図6の信号経路aを通って第1出力端子RFout1から出力される。
単出力モードにおいて、第1入力端子RFin1および第2出力端子RFout2をアクティブにする場合、nMOSFETM9、M5のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M4、M6〜M8、M10〜M12のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図7に示すように、スイッチSW1〜SW4、SW6〜SW8、SW10〜SW12がオフするとともにスイッチSW9、SW5がオンする。このようなオンオフ制御により、第1高周波出力信号Sout1は、スイッチSW9、SW5を経由する図6の信号経路bを通って第2出力端子RFout2から出力される。
単出力モードにおいて、第2入力端子RFin2および第1出力端子RFout1をアクティブにする場合、nMOSFETM10、M7のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M6、M8、M9、M11、M12のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図7に示すように、スイッチSW1〜SW6、SW8、SW9、SW11、SW12がオフするとともにスイッチSW10、SW7がオンする。このようなオンオフ制御により、第2高周波出力信号Sout2は、スイッチSW10、SW7を経由する図6の信号経路cを通って第1出力端子RFout1から出力される。
単出力モードにおいて、第2入力端子RFin2および第2出力端子RFout2をアクティブにする場合、nMOSFETM10、M8のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M7、M9、M11、M12のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図7に示すように、スイッチSW1〜SW7、SW9、SW11、SW12がオフするとともにスイッチSW10、SW8がオンする。このようなオンオフ制御により、第2高周波出力信号Sout2は、スイッチSW10、SW8を経由する図6信号経路dを通って第2出力端子RFout2から出力される。
単出力モードにおいて、第3入力端子RFin3および第1出力端子RFout1をアクティブにする場合、nMOSFETM11のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M10、M12のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図7に示すように、スイッチSW1〜SW10、SW12がオフするとともにスイッチSW11がオンする。このようなオンオフ制御により、第3高周波出力信号Sout3は、スイッチSW11を経由する図6の信号経路gを通って第1出力端子RFout1から出力される。
単出力モードにおいて、第3入力端子RFin3および第2出力端子RFout2をアクティブにする場合、nMOSFETM12のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M11のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図7に示すように、スイッチSWSW1〜SW11がオフするとともにスイッチSW12がオンする。このようなオンオフ制御により、第3高周波出力信号Sout3は、スイッチSW12を経由する図6の信号経路hを通って第2出力端子RFout2から出力される。
第3の実施形態におけるスプリットモードは、第2の実施形態と同様に、第1高周波LNA2および第2高周波LNA4のいずれか一方から出力された高周波出力信号Sout1、Sout2を、スプリッタ3で分岐させて第1出力端子RFout1および第2出力端子RFout2から出力させる動作モードである。
スプリットモードにおいて、第1入力端子RFin1をアクティブにする場合、nMOSFETM9、M1〜M3のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM4〜M8、M10〜M12のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図7に示すように、スイッチSW4〜SW8、SW10〜SW12がオフするとともに、スイッチSW9、SW1〜SW3がオンする。このようなオンオフ制御により、第1高周波出力信号Sout1は、スプリッタ3を経由する図6の信号経路eを通って第1出力端子RFout1および第2出力端子RFout2から出力される。
スプリットモードにおいて第2入力端子RFin2をアクティブな入力とする場合、nMOSFETM10、M2、M3、M6のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1、M4、M5、M7〜M9、M11、M12のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図7に示すように、nMOSFETM1、M4、M5、M7〜M9、M11、M12がオフするとともに、nMOSFETM10、M2、M3、M6がオンする。このようなオンオフ制御により、第2高周波出力信号Sout2は、スプリッタ3を経由する図6の信号経路fを通って第1出力端子RFout1および第2出力端子RFout2から出力される。
LNA1、2同時動作モードにおいて、第1入力端子RFin1と第1出力端子RFout1とを対応させ、第2入力端子RFin2と第2出力端子RFout2とを対応させる場合、nMOSFETM9、M10、M4、M8のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M3、M5〜M7、M11、M12のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図7に示すように、スイッチSW1〜SW3、SW5〜SW7、SW11、SW12がオフするとともに、スイッチSW9、SW10、SW4、SW8がオンする。このようなオンオフ制御により、第1高周波出力信号Sout1は、図6の信号経路aを通って第1出力端子RFout1から出力され、第2高周波出力信号Sout2は、図6の信号経路dを通って第2出力端子RFout2から出力される。
LNA1、2同時動作モードにおいて、第1入力端子RFin1と第2出力端子RFout2とを対応させ、第2入力端子RFin2と第1出力端子RFout1とを対応させる場合、nMOSFETM9、M10、M5、M7のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M4、M6、M8、M11、M12のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図7に示すように、スイッチSW1〜SW4、SW6、SW8、SW11、SW12がオフするとともに、スイッチSW9、SW10、SW5、SW7がオンする。このようなオンオフ制御により、第1高周波出力信号Sout1は、図6の信号経路bを通って第2出力端子RFout2から出力され、第2高周波出力信号Sout2は、図6の信号経路cを通って第1出力端子RFout1から出力される。
LNA1、3同時動作モードは、第1高周波LNA2と第3高周波LNA5との双方が同時に動作する動作モードである。LNA1、2同時動作モードの場合と同様に、LNA1、3同時動作モードにおいては、第1入力端子RFin1と第3入力端子RFin3の双方に、互いに異なる周波数帯に属する高周波信号Sin1、Sin3を入力してもよい。
LNA1、3同時動作モードにおいて、第1入力端子RFin1と第1出力端子RFout1とを対応させ、第3入力端子RFin3と第2出力端子RFout2とを対応させる場合、nMOSFETM9、M4、M12のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M3、M5〜M8、M10、M11のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図7に示すように、スイッチSW1〜SW3、SW5〜SW8、SW10、SW11がオフするとともに、nMOSFETSW9、SW4、SW12がオンする。このようなオンオフ制御により、第1高周波出力信号Sout1は、図6の信号経路aを通って第1出力端子RFout1から出力され、第3高周波出力信号Sout3は、図6の信号経路hを通って第2出力端子RFout2から出力される。
LNA1、3同時動作モードにおいて、第1入力端子RFin1と第2出力端子RFout2とを対応させ、第3入力端子RFin3と第1出力端子RFout1とを対応させる場合、nMOSFETM9、M5、M11のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M4、M6〜M8、M10、M12のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図7に示すように、スイッチSW1〜SW4、SW6〜SW8、SW10、SW12がオフするとともに、スイッチSW9、SW5、SW11がオンする。このようなオンオフ制御により、第1高周波出力信号Sout1は、図6の信号経路bを通って第2出力端子RFout2から出力され、第3高周波出力信号Sout3は、図6の信号経路gを通って第1出力端子RFout1から出力される。
LNA2、3同時動作モードは、第2高周波LNA4と第3高周波LNA5との双方が同時に動作する動作モードである。LNA1、2同時動作モードの場合と同様に、LNA2、3同時動作モードにおいては、第2入力端子RFin2と第3入力端子RFin3の双方に、互いに異なる周波数帯に属する高周波信号Sin2、Sin3を入力してもよい。
LNA2、3同時動作モードにおいて、第2入力端子RFin2と第1出力端子RFout1とを対応させ、第3入力端子RFin3と第2出力端子RFout2とを対応させる場合、nMOSFETM10、M7、M12のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M6、M8、M9、M11のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図7に示すように、スイッチSW1〜SW6、SW8、SW9、SW11がオフするとともに、スイッチSW10、SW7、SW12がオンする。このようなオンオフ制御により、第2高周波出力信号Sout2は、スイッチSW10、SW7を経由する図6の信号経路cを通って第1出力端子RFout1から出力され、第3高周波出力信号Sout3は、スイッチSW12を経由する図6の信号経路hを通って第2出力端子RFout2から出力される。
LNA2、3同時動作モードにおいて、第2入力端子RFin2と第2出力端子RFout2とを対応させ、第3入力端子RFin3と第1出力端子RFout1とを対応させる場合、nMOSFETM10、M8、M11のゲートにハイレベルの制御信号を印加し、nMOSFETM1〜M7、M9、M12のゲートにローレベルの制御信号を印加する。これにより、図7に示すように、スイッチSWSW1〜SW7、SW9、SW12がオフするとともに、スイッチSW10、SW8、SW11がオンする。このようなオンオフ制御により、第2高周波出力信号Sout2は、図6の信号経路dを通って第2出力端子RFout2から出力され、第3高周波出力信号Sout3は、図6の信号経路gを通って第1出力端子RFout1から出力される。
第3の実施形態によれば、2つの高周波LNA2、4の間で1つのスプリッタ3を共用でき、さらに、LNA5により第3高周波信号を増幅し第1あるいは第2の出力端子から出力させることができるので、第2の実施形態よりも多くの動作モードをコンパクトな構成で実現することができる。
(第4の実施形態)
次に、第1乃至第3の実施形態におけるスプリッタ3の具体例を示す第4の実施形態について説明する。図8は、第1乃至第3の実施形態による高周波半導体装置1におけるスプリッタ3のレイアウト図である。
図8に示すように、第4の実施形態のスプリッタ3では、入力ノードNinを中心として図8のX方向に対称形状を有するように、第1スパイラルインダクタL1aと第2スパイラルインダクタL2aとの組と、第3スパイラルインダクタL1bと第4スパイラルインダクタL2bとの組が設けられている。第1〜第4スパイラルインダクタL1a、L2a、L1b、L2bは、X方向に沿って直線状に配置されている。
第1スパイラルインダクタL1aは、平面視した場合にX方向に平行な辺とY方向に平行な辺とを有する略正方形状の外形を有し、内周側から外周側に向かって図8の時計回りに巻かれている。第1スパイラルインダクタL1aは、入力ノードNinから流入した高周波LNAの高周波出力信号(すなわち電流)を時計回りに流す。
第2スパイラルインダクタL2aは、平面視した場合にX方向に平行な辺とY方向に平行な辺とを有する略正方形状の外形を有し、外周側から内周側に向かって図8の反時計回りに巻かれている。第2スパイラルインダクタL2aは、第1スパイラルインダクタL1aから流入した高周波出力信号を反時計回りに流す。
このように、第1スパイラルインダクタL1aと第2スパイラルインダクタL2aとの巻方向が互いに逆方向であることで、第1スパイラルインダクタL1aと第2スパイラルインダクタL2aとの結合係数は正となっている。
第3スパイラルインダクタL1bは、入力ノードNinに対して第1スパイラルインダクタL1aと反対側の位置に配置されている。第3スパイラルインダクタL1bは、平面視した場合にX方向に平行な辺とY方向に平行な辺とを有する略正方形状の外形を有し、内周側から外周側に向かって図8の反時計回りに巻かれている。第3スパイラルインダクタL1bは、入力ノードNinから流入した高周波LNAの高周波出力信号を反時計回りに流す。
第4スパイラルインダクタL2bは、平面視した場合にX方向に平行な辺とY方向に平行な辺とを有する略正方形状の外形を有し、外周側から内周側に向かって図8の時計回りに巻かれている。第4スパイラルインダクタL2bは、第3スパイラルインダクタL1bから流入した高周波出力信号を時計回りに流す。
このように、第3スパイラルインダクタL1bと第4スパイラルインダクタL2bとの巻方向が互いに逆方向であることで、第3スパイラルインダクタL1bと第4スパイラルインダクタL2bとの結合係数は正となっている。
また、第1および第2スパイラルインダクタL1a、L2aと第3および第4スパイラルインダクタL1b、L2bとは、入力ノードNinを中心としてX方向において対称形状であるため、第1および第2スパイラルインダクタL1a、L2aの結合係数は、第3および第4スパイラルインダクタL1b、L2bの結合係数と同一である。なお、第1スパイラルインダクタL1aと第3スパイラルインダクタL1bとの距離は十分大きいため、第1スパイラルインダクタL1aと第3スパイラルインダクタL1bとの結合係数は無視できるほど小さい。
また、第4の実施形態のスプリッタ3において、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2aおよび第3キャパシタC2bは、MIM(Metal-Insulator-Metal)容量やMOM(Metal-Oxide-Metal)容量で形成することができる。
次に、上記の構成を有する第4の実施形態のスプリッタ3のSパラメータ特性について説明する。図9(a)は、第4の実施形態による高周波半導体装置1において、入力ノードNinをポート1、第1出力ノードNout1をポート2、第2出力ノードNout2をポート3とした場合のスプリッタ3のSパラメータS21を示すグラフである。図9(b)は、第4の実施形態による高周波半導体装置1において、スプリッタ3のSパラメータS11を示すグラフである。図9(c)は、第4の実施形態による高周波半導体装置1において、スプリッタ3のSパラメータS22を示すグラフである。図9(d)は、第4の実施形態による高周波半導体装置1において、スプリッタ3のSパラメータS23を示すグラフである。
ただし、図9(a)〜図9(d)のSパラメータに対応するスプリッタ3において、第1スパイラルインダクタL1aと第3スパイラルインダクタL1bとは、以下に示すパラメータを有する。
巻き数N:5.25
外形の一辺の長さD:190μm
配線幅W:6μm
配線間隔S:4μm
また、図9(a)〜図9(d)のSパラメータに対応するスプリッタ3において、第2スパイラルインダクタL2aと第4スパイラルインダクタL2bとは、以下に示すパラメータを有する。
巻き数N:5.25
外形の一辺の長さD:175μm
配線幅W:6μm
配線間隔S:4μm
また、図9(a)〜図9(d)のSパラメータに対応するスプリッタ3において、第1キャパシタC1の容量は0.254pFであり、第2キャパシタC2aおよび第3キャパシタC2bの容量は1.131pFである。また、抵抗Rの抵抗値は100Ωである。
図9(a)〜図9(d)において、横軸は周波数(GHz)であり、縦軸はSパラメータの大きさ(dB)である。高周波半導体装置1では、1.8GHz〜2.2GHzを使用帯域としている。
S21は、入力ノードNinから第1出力ノードNout1に向かう信号の伝送特性に関するSパラメータであり、S21が大きいほど、入力ノードNinから第1出力ノードNout1に向かう信号の損失が少ないことを意味する。図9(a)に示すように、使用帯域(1.8〜2.2GHz)内におけるS21の最悪値は、−3.7dBである。スプリッタ3は、入力ノードNinからの高周波出力信号を二分配すなわち等分配する構成であるため、原理的に少なくとも3dBの減衰量を有する。S21が−3.7dBということは、寄生抵抗による実質的な損失は0.7dBである。一般に、損失が1dB以下であれば良好な特性と言えるので、図9(a)のS21は、入力ノードNinから第1出力ノードNout1に向かう信号の損失が十分に抑制された良好な特性を示している。
S11は、入力ノードNinにおける信号の反射特性に関するSパラメータであり、S11が小さいほど、入力ノードNinでの反射による損失が少ないことを意味する。図9(b)に示すように、使用帯域(1.8〜2.2GHz)内におけるS11の値は−20dB以下であるので、図9(b)のS11は、入力ノードNinでの反射による損失が十分に抑制された良好な特性を示している。
S22は、第1出力ノードNout1における信号の反射特性に関するSパラメータであり、S22が小さいほど、第1出力ノードNout1での反射による損失が少ないことを意味する。図9(c)に示すように、使用帯域(1.8〜2.2GHz)内におけるS22の値は−20dB以下であるので、図9(c)のS22は、第1出力ノードNout1での反射による損失が十分に抑制された良好な特性を示している。
S23は、第2出力ノードNout2から第1出力ノードNout1に向かう信号の伝送特性に関するSパラメータであり、S23が大きいほど、第2出力ノードNout2から第1出力ノードNout1に向かう信号の損失が少ないことを意味する。言い換えれば、S23が大きいほど、第1出力ノードNout1と第2出力ノードNout2とのアイソレーションが悪いことを意味する。図9(d)に示すように、使用帯域(1.8〜2.2GHz)内におけるS23の値は−20dB以下であるので、図9(d)のS23は、第1出力ノードNout1と第2出力ノードNout2とのアイソレーションが十分に確保された良好な特性を示している。
また、第4の実施形態のスプリッタ3は、第1および第2スパイラルインダクタL1a、L2aが単独で存在する場合のインダクタンスの総和が10.638nHであるのに対して、図8のようにレイアウトされることで、入力ノードNinから第1出力ノードNout1までのインダクタンスが12.124nHすなわち14%増となった。これは、第1スパイラルインダクタL1aと第2スパイラルインダクタL2aとの結合係数が正であることで、両者の相互インダクタンスが自己インダクタンスの和に加算されたことによるものである。したがって、スプリッタ3を構成するのに必要なインダクタンスを小さいレイアウト面積で実現できる。このことは、第3スパイラルインダクタL1bおよび第4スパイラルインダクタL2bにおいても同様である。
次に、スパイラルインダクタL1a、L2a、L1b、L2bの好ましい線幅Wの例について説明する。図10は、第4の実施形態による高周波半導体装置1において、スプリッタ3の通過損失およびスプリッタ3の長さについてのスパイラルインダクタの線幅に対する依存性を示すグラフである。より具体的には、図10における実線のグラフが、通過損失についての依存性を示すグラフであり、図10における破線のグラフが、スプリッタ3の長さについての依存性を示すグラフである。図10の横軸は、スパイラルインダクタL1a、L2a、L1b、L2bの線幅である。図10の縦軸は、スプリッタ3の通過損失およびスプリッタ3のX方向の長さである。
図10に示すように、スパイラルインダクタL1a、L2a、L1b、L2bの線幅Wを小さくすると、スプリッタ3の長さは小さくなるが、通過損失は増大する。図10に示すように、線幅Wが6μmよりも小さくなると、通過損失の傾きが大きくなり、通過損失が急激に増大することが分かる。
このような特性に鑑み、スパイラルインダクタL1a、L2a、L1b、L2bの線幅Wは、ほぼ6μmにすることが好ましい。線幅Wを6μmにすることで、レイアウト面積の抑制と通過損失の抑制とを両立することができる。
第4の実施形態によれば、結合係数が正となるようにスパイラルインダクタL1a、L2a、L1b、L2bをレイアウトしたことで、サイズを抑えながらスプリッタ3に必要なインダクタンスを確保することができる。
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態として、第1乃至第3の実施形態における第1高周波LNA2のスパイラルインダクタLsおよびインダクタLdの好ましい線幅の例について説明する。
スパイラルインダクタLsの線幅は、例えば、16μmなどの大きい値にすることが望ましい。なぜならば、僅か0.数ΩのスパイラルインダクタLsの寄生抵抗がノイズ指数NFの有意な劣化をもたらすためである。なお、スパイラルインダクタLsの値は、2GHz帯用のLNAであれば1nH程度であるため、スパイラルインダクタLsの巻き数は比較的少ない。このため、線幅が16μmと大きくなっても外形サイズを150μm程度と比較的小さく抑えることができる。
一方、インダクタLdの線幅は、例えば、4μmなどの小さい値にすることが望ましい。インダクタLdの値は、2GHz帯用のLNAであれば10nH程度であるため、線幅を小さくしなければ外形サイズが大きくなるためである。線幅を小さくすることでインダクタLdの寄生抵抗が大きくなりQ値が低下するが、線幅が4μm程度であれば、Q値の低下は問題とならない。なぜならば、図2に示すように、インダクタLdには、安定化のために抵抗Rdが並列接続されているからである。具体的には、インダクタLdにおけるQ値の低下を見込んで抵抗Rdを大きくすれば、抵抗RdとインダクタLdの寄生抵抗との合成抵抗を小さくすることができるので、インダクタLdと抵抗Rdとの並列回路として十分に大きいQ値を確保できる。
以上の観点から、スパイラルインダクタLsの配線幅とインダクタLdの配線幅は、次式を満足することが望ましい。
WLd<W1<WLs (1)
但し、数式(1)において、WLdは、インダクタLdの配線幅である。W1は、スプリッタ3の全てのスパイラルインダクタL1a、L2a、L1b、L2bのそれぞれの配線幅である。WLsは、スパイラルインダクタLsの配線幅である。
第5の実施形態によれば、スパイラルインダクタLsの配線幅をスパイラルインダクタL1a、L2a、L1b、L2bの配線幅より大きくし、インダクタLdの配線幅をスパイラルインダクタL1a、L2a、L1b、L2bの配線幅より小さくすることで、サイズとノイズと損失とをバランス良く抑制することができる。
(変形例)
次に、第1乃至第3の実施形態におけるスイッチの変形例について説明する。図11(a)は、スイッチの第1の変形例を示す図である。図11(b)は、スイッチの第2の変形例を示す図である。
上述の各実施形態において、スイッチSWは、nMOSFETで構成されていた。しかし、スイッチSWは、このような構成に限定されない。
例えば、図11(a)に示すように、スイッチSWは、nMOSFETMのボディにアノードが接続され、nMOSFETMのゲートにカソードが接続されたダイオードDを有する構成であってもよい。図11(a)のスイッチSWは、ゲートに、nMOSFETMをオフ状態にするローレベルの制御信号Contとして負電位を印加する場合に有効な構成である。
なお、nMOSFETMをオフするために負電位の制御信号Contを印加するメリットは、nMOSFETMをオンするためのVthを0V近傍に設定できることで、オン状態のときのVgs−Vthが大きくなってオン抵抗が低減することである。
図11(a)のスイッチSWによれば、ボディ・ゲート間にボディ側がアノードなる向きでダイオードDが接続されていることで、負電位の制御信号Contの印加時にボディのホールがダイオードDを通してゲートに抜けるため、ドレイン・ソース間耐圧を向上することができる。これにより、LNAの出力振幅が大きいときでもオフ状態を維持することができる。
また、図11(b)に示すように、スイッチSWは、図11(a)のスイッチSWを基本構成としたT型スイッチであってもよい。図11(b)のスイッチSWは、高周波信号の経路を構成するカスコード接続されたnMOSFETM1とnMOSFETM2との間に、ソース接地されたnMOSFETM3のドレインが接続されている。各nMOSFETM1〜M3には、図11(a)と同様に、ボディ・ゲート間にボディ側がアノードなる向きでダイオードDが接続されている。nMOSFETM3のゲートには、nMOSFETM1、M2のゲートに印加される制御信号Contを論理反転した制御信号Cont/が印加される。
図11(b)のT型スイッチによれば、nMOSFETM1およびnMOSFETM2のオフ状態においてnMOSFETM03をオンすることで、nMOSFETM01のソースとnMOSFETM02のドレインを接地することができる。これにより、図11(a)のスイッチSWと比較してオフ状態を更に有効に維持することができる。
(第6の実施形態)
次に、第1高周波LNA2および第2高周波LNA4を備えた高周波半導体装置1において、第2キャパシタC2aおよび第3キャパシタC2bが可変キャパシタである第6の実施形態について説明する。図12は、第5の実施形態による高周波半導体装置1を示す回路図である。
図4および図5に示した第2の実施形態では、第1高周波LNA2および第2高周波LNA4を備えた高周波半導体装置1において、第2キャパシタC2aおよび第3キャパシタC2bが一定のキャパシタンスを有する固定キャパシタである例について説明した。
これに対して、第6の実施形態における第2キャパシタC2aは、キャパシタンスを変更可能な第1可変キャパシタの一例である。具体的には、第2キャパシタC2aは、一端が第1スパイラルインダクタL1aと第2スパイラルインダクタL2aとの間に接続され、他端が第3基準電位の一例である接地電位に接続され、可変キャパシタンスを有する。また、第3キャパシタC2bは、キャパシタンスを変更可能な第2可変キャパシタの一例である。具体的には、第3キャパシタC2bは、一端が第3スパイラルインダクタL1bと第4スパイラルインダクタL2bとの間に接続され、他端が第4基準電位の一例である接地電位に接続され、可変キャパシタンスを有する。
図13は、第6の実施形態による高周波半導体装置1において、可変キャパシタC2a、C2bを示す回路図である。より具体的には、図13に示すように、第2キャパシタC2aは、第1信号経路P1と接地電位(第3の基準電位)との間において並列接続される2つのキャパシタC2a_1、C2a_2と、2つのキャパシタC2a_1、C2a_2のうち第2スパイラルインダクタL2a側に位置するキャパシタC2a_2に直列接続されたスイッチSW13とを有する。第1スパイラルインダクタL1a側に位置するキャパシタC2a_1は、スイッチSW13が接続された第2スパイラルインダクタL2a側に位置するキャパシタC2a_2よりキャパシタンスが大きい。
スイッチSW13は、nMOSFETM13と、nMOSFETM13のゲートに接続された抵抗r13とを有する。スイッチSW13は、抵抗r13を介してnMOSFETM13のゲートに入力される第4制御信号Cont4によってオンオフ制御される。スイッチSW13がオンすることで、第2キャパシタC2aは、2つのキャパシタC2a_1、C2a_2による並列の合成キャパシタンスを有する。一方、スイッチSW13がオフすることで、第2キャパシタC2aは、1つのキャパシタC2a_1によるキャパシタンスを有する。したがって、スイッチSW13のオンオフ制御に応じて第2キャパシタC2aのキャパシタンスを切り替えることができる。なお、第2キャパシタC2aを構成するキャパシタは、2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
また、図13に示すように、第3キャパシタC2bは、第2信号経路P2と接地電位(第4の基準電位)との間において並列接続される2つのキャパシタC2b_1、C2b_2と、2つのキャパシタC2b_1、C2b_2のうち第4スパイラルインダクタL2b側に位置するキャパシタC2b_2に直列接続されたスイッチSW14とを有する。第3スパイラルインダクタL1b側に位置するキャパシタC2b_1は、スイッチSW14が接続された第4スパイラルインダクタL2b側に位置するキャパシタC2b_2よりキャパシタンスが大きい。
キャパシタC2b_1は、第2キャパシタC2aのキャパシタC2a_1と同一のキャパシタンスを有する。キャパシタC2b_2は、第2キャパシタC2aのキャパシタC2a_2と同一のキャパシタンスを有する。
スイッチSW14は、nMOSFETM14と、nMOSFETM14のゲートに接続された抵抗r14とを有する。スイッチSW14は、抵抗r14を介してnMOSFETM14のゲートに入力される第5制御信号Cont5によってオンオフ制御される。スイッチSW14がオンすることで、第3キャパシタC2bは、2つのキャパシタC2b_1、C2b_2による並列の合成キャパシタンスを有する。一方、スイッチSW14がオフすることで、第3キャパシタC2bは、1つのキャパシタC2b_1によるキャパシタンスを有する。したがって、スイッチSW14のオンオフ制御に応じて第3キャパシタC2bのキャパシタンスを切り替えることができる。なお、第3キャパシタC2bを構成するキャパシタは、2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
第2の実施形態と同様に、第1〜第10スイッチSW1〜SW10(出力制御部)は、その切替制御により、第1高周波出力信号Sout1を第1出力端子RFout1から出力するか、第2出力端子RFout2から出力するか、またはスプリッタ3で分岐して第1および第2出力端子RFout1、RFout2の双方から出力するかの切り替えを行う。また、第1〜第10スイッチSW1〜SW10は、その切替制御により、第2高周波出力信号Sout2を第1出力端子RFout1から出力するか、第2出力端子RFout2から出力するか、またはスプリッタ3で分岐して第1および第2出力端子RFout1、RFout2の双方から出力するかの切り替えを行う。
また、図12に示すように、第6の実施形態において、第1高周波LNA2に入力される第1高周波入力信号Sin1は、低周波数帯Band‐Lの信号であり、第2高周波LNA4に入力される第2高周波入力信号Sin2は、高周波数帯Band‐Hの信号である。これにともない、第1高周波LNA2から出力される第1高周波出力信号Sout1は、低周波数帯Band‐Lの信号であり、第2高周波LNA4から出力される第2高周波出力信号Sout2は、高周波数帯Band‐Hの信号である。
低周波数帯Band‐Lは、例えば、1805MHz〜2025MHzである。高周波数帯Band‐Hは、例えば、2110MHz〜2200MHzである。
一定の帯域幅をもった異なる周波数帯Band‐L、Band‐Hのそれぞれに対するスプリッタ3の信号特性を向上させるため、スイッチSW13、SW14(出力制御部)は、低周波数帯Band‐Lの第1高周波出力信号Sout1をスプリッタ3で分岐して出力するときと、高周波数帯Band‐Hの第2高周波出力信号Sout2をスプリッタ3で分岐して出力するときとで、可変キャパシタC2a、C2bのキャパシタンスを異なる値に切り替える。以下、可変キャパシタC2a、C2bによるキャパシタンスの切り替えについて、図14を用いて具体的に説明する。
図14は、第6の実施形態による高周波半導体装置1において、入力信号と可変キャパシタの制御信号との対応関係を示す図である。図14に示すように、低周波数帯Band‐Lの第1高周波出力信号Sout1をスプリッタ3で分岐して出力するとき、図示しない制御信号の生成回路は、スイッチSW13にハイレベルの第4制御信号Cont4:Highを入力し、スイッチSW14にハイレベルの第5制御信号Cont5:Highを入力する。すなわち、低周波数帯Band‐Lでのスプリットモードのとき、スイッチSW13、SW14がオンすることで第2キャパシタC2aおよび第3キャパシタC2bのキャパシタンスは増加する。
一方、図14に示すように、高周波数帯Band‐Hの第2高周波出力信号Sout2をスプリッタ3で分岐して出力するとき、制御信号の生成回路は、スイッチSW13にローレベルの第4制御信号Cont4:Lowを入力し、スイッチSW14にローレベルの第5制御信号Cont5:Lowを入力する。すなわち、高周波数帯Band‐Hによるスプリットモードのとき、スイッチSW13、SW14がオフすることで第2キャパシタC2aおよび第3キャパシタC2bのキャパシタンスは減少する。
このように、第6の実施形態においては、低周波数帯Band‐Lを用いるときは第2キャパシタC2aおよび第3キャパシタC2bのキャパシタンスを増加させ、高周波数帯Band‐Hを用いるときは第2キャパシタC2aおよび第3キャパシタC2bのキャパシタンスを減少させる。このように第2キャパシタC2aおよび第3キャパシタC2bのキャパシタンスを変化させることで、後述するシミュレーション結果に示すように、異なる周波数帯Band‐L、Band‐Hのそれぞれに対するスプリッタ3の信号特性を向上させることができる。具体的には、低周波数帯Band‐Lおよび高周波数帯Band‐Hのそれぞれの全域にわたってSパラメータS21、S22、S23を向上させることができる。
上記構成に加えて、更に、第6の実施形態における高周波LNA2、4は、スプリットモード時の出力信号Sout1、Sout2の振幅(すなわち、パワー)と、ノンスプリットモード時(単出力モード時およびLNA1、2同時動作モード時)の出力信号Sout1、Sout2の振幅との差を抑制するため、第2の実施形態とは異なる構成を有する。以下、第2の実施形態と異なる高周波LNA2、4の構成について、図15および図16を用いて具体的に説明する。
図15は、第6の実施形態による高周波半導体装置1において、第1高周波LNA2を示す回路図である。図16は、第6の実施形態による高周波半導体装置1において、動作モードと、第1高周波LNA2のバイアス電圧VB1、VB2と、後述する利得調整回路6の制御信号との対応関係を示す図である。なお、第2高周波LNA4は、高周波数帯Band‐Hを扱うため第1高周波LNA2と異なる好適な回路定数を有するが、その基本構成は第1高周波LNA2と同様である。したがって、以下の説明では、第2高周波LNA4の詳細な説明を割愛する場合や、第1高周波LNA2の構成をもって第2高周波LNA4の構成を説明する場合がある。
図15に示すバイアス電圧生成回路5は、図16に示すように、単出力モードのときにnMOSFET1のゲートに入力するバイアス電圧VB1の値VB1_singleよりも、スプリットモードのときにnMOSFET1のゲートに入力するバイアス電圧VB1の値VB1_splitを大きくする。また、図示はしないが、バイアス電圧生成回路5は、LNA1、2同時動作モードのときにnMOSFET1のゲートに入力するバイアス電圧VB1の値よりも、スプリットモードのときにnMOSFET1のゲートに入力するバイアス電圧VB1の値VB1_splitを大きくしてもよい。
ここで、スプリッタ3を経由しない単出力モードのときは、高周波LNA2、4の出力端LNAoutから出力端子RFout1、RFout2に至るまで出力信号Sout1、Sout2の振幅が維持されるのに対して、スプリットモードのときは、スプリッタ3で出力信号Sout1、Sout2が分割されて振幅が減少(例えば、半減)する。
もし、スプリットモードのときに高周波LNA2、4から出力される出力信号Sout1、Sout2を単出力モードのときと同じにした場合、スプリッタ3を経た後の出力信号Sout1、Sout2の振幅が、単出力モードのときよりも大きく減少することになる。振幅が大きく減少することで、スプリットモード(すなわち、キャリア・アグリゲーション)のときに、基地局から遠い場所での受信感度が悪くなる虞がある。
これに対して、第6の実施形態によれば、単出力モードのときのバイアス電圧VB1の値VB1_singleよりもスプリットモードのときのバイアス電圧VB1の値VB1_splitを大きくする。バイアス電圧VB1が入力されるnMOSFET1は、バイアス電圧VB1が大きくなるほどトランスコンダクタンスgmが大きくなってバイアス電流Iddが大きくなる動作領域で動作する。このため、バイアス電圧VB1が小さい単出力モードのときのバイアス電流Iddよりも、バイアス電圧VB1が大きいスプリットモードのときのバイアス電流Iddは大きくなる。スプリットモードのときのバイアス電流Iddが大きくなることで、単出力モードのときの出力信号Sout1、Sout2よりもスプリットモードのときの出力信号Sout1、Sout2を大きくすることができる。すなわち、単出力モードのときよりもスプリットモードのときの高周波LNA2、4の駆動能力を上げることができる。これにより、スプリットモードのときのスプリッタ3を経た後の出力信号Sout1、Sout2の振幅と、単出力モードのときの出力信号Sout1、Sout2の振幅との差を抑制することができるので、スプリットモードのときの受信感度の悪化を抑制できる。
上記構成に加えて、更に、第6の実施形態において、バイアス電圧生成回路5は、図16に示すように、単出力モードのときにnMOSFET2のゲートに入力するバイアス電圧VB2の値VB2_singleよりも、スプリットモードのときにnMOSFET2のゲートに入力するバイアス電圧VB2の値VB2_splitを大きくする。
VB2_singleよりもVB2_splitを大きくすることで、単出力モードのときとスプリットモードのときとで、nMOSFET1のドレイン・ソース間電圧を一定にすることができる。これにより、バイアス点が理想の状態からずれるのを抑制することができ、所望の振幅の出力信号Sout1、Sout2を得ることができる。
上記構成に加えて、更に、第6の実施形態において、高周波LNA2、4は、図15に示される利得調整回路6を備える。利得調整回路6は、ノンスプリットモードのときの高周波LNA2、4の利得を、スプリットモードのときの高周波LNA2、4の利得よりも小さい値に調整する。
図15の例において、利得調整回路6は、nMOSFET2のドレインと出力端子LNAoutとの間のノードNLNAと接地電位との間において直列接続されたキャパシタCa1、抵抗R1およびスイッチSW15を有する。スイッチSW15は、nMOSFET3と、nMOSFET3のゲートに接続された抵抗r15とを有する。スイッチSW15は、抵抗r15を介してnMOSFET3のゲートに入力される第6制御信号Cont6によってオンオフ制御される。スイッチSW15がオンすることで、利得調整回路6がノードNLNAに接続されて、高周波LNA2、4の利得が減少する。一方、スイッチSW15がオフすることで、利得調整回路6がノードNLNAから切断されて、高周波LNA2、4の利得が増加する。
図16に示すように、制御信号の生成回路は、単出力モードのときに、nMOSFET3のゲートにハイレベルの第6制御信号Cont6を入力してスイッチSW15をオンすることで、高周波LNA2、4の利得を減少させる。一方、制御信号の生成回路は、スプリットモードのときに、nMOSFET3のゲートにローレベルの第6制御信号Cont6を入力してスイッチSW15をオフすることで、高周波LNA2、4の利得を増加させる。
ここで、既述したように、スプリットモードのときは、バイアス電圧VB1の値を大きくして高周波LNA2、4の駆動能力を増加させることで、単出力モードのときよりも出力信号Sout1、Sout2の振幅を大きくする。
しかるに、スプリットモードのとき、必ずしも理想的な高周波LNA2、4の駆動能力が見込めるとは限らず、理想的な駆動能力より低い駆動能力となることがある。
利得調整回路6によれば、スプリットモードのときに理想的な駆動能力が得られないことがあることを見越して、単出力モードのときに利得を下げることで、単出力モードのときの出力信号Sout1、Sout2の振幅を減少させることができる。これにより、スプリットモードのときの出力信号Sout1、Sout2の振幅と、単出力モードのときの出力信号Sout1、Sout2の振幅との差をより確実に抑制することができる。
なお、利得調整回路6は、出力端子LNAoutをポート2としたときの高周波LNA2、4の出力反射損(S22)を改善するために用いられてもよい。
次に、以上の構成を有する第6の実施形態の高周波半導体装置1のシミュレーション例について説明する。
シミュレーションにおいては、第1高周波LNA2からの低周波数帯Band‐Lの第1高周波出力信号Sout1と、第2高周波LNA4からの高周波数帯Band‐Hの第2高周波出力信号Sout2とのそれぞれについて、単出力モードおよびスプリットモードの2種類のモードで信号特性を測定した。
具体的には、単出力モードでは、第1入力端子RFin1をポート1、第1出力端子RFout1をポート2として、S21、S11およびS22を測定した。スプリットモードでは、S21、S11およびS22に加え、更に、第2出力端子RFout2をポート3としてS23も測定した。
また、シミュレーションにおいて、高周波LNA2、4の電源電位VDD_LNAは1.8Vとした。
また、低周波数帯Band‐Lの第1高周波出力信号Sout1を用いたスプリットモードでのシミュレーションにおいては、スイッチSW13、SW14をオンすることで第2キャパシタC2aおよび第3キャパシタC2bのキャパシタンスを大きい値に設定した。一方、高周波数帯Band‐Hの第2高周波出力信号Sout2を用いたスプリットモードでのシミュレーションにおいては、スイッチSW13、SW14をオフすることで第2キャパシタC2aおよび第3キャパシタC2bのキャパシタンスを小さい値に設定した。
また、単出力モードでのシミュレーションにおいてnMOSFET1のゲートに入力するバイアス電圧VB1の値VB1_singleよりも、スプリットモードのシミュレーションにおいてnMOSFET1のゲートに入力するバイアス電圧VB1の値VB1_splitを大きくした。また、単出力モードのシミュレーションにおいてnMOSFET2のゲートに入力するバイアス電圧VB21の値VB2_singleよりも、スプリットモードのシミュレーションにおいてnMOSFET2のゲートに入力するバイアス電圧VB2の値VB2_splitを大きくした。
また、単出力モードのシミュレーションにおいては、利得調整回路6のスイッチSW15をオンすることで、高周波LNA2、4の利得を小さい値に設定した。一方、スプリットモードのシミュレーションにおいては、スイッチSW15をオフすることで、高周波LNA2、4の利得を大きい値に設定した。
その他のシミュレーションの条件は、図9(a)〜図9(d)と同様である。シミュレーションの結果を図17〜図21に示す。
図17は、第6の実施形態による高周波半導体装置1のシミュレーション例において、低周波数帯Band‐Lによる単出力モードでの小信号特性を示すグラフである。図18は、第6の実施形態による高周波半導体装置1のシミュレーション例において、低周波数帯Band‐Lによるスプリットモードでの小信号特性を示すグラフである。図19は、第6の実施形態による高周波半導体装置1のシミュレーション例において、高周波数帯Band‐Hによる単出力モードでの小信号特性を示すグラフである。図20は、第6の実施形態による高周波半導体装置1のシミュレーション例において、高周波数帯Band‐Hによるスプリットモードでの小信号特性を示すグラフである。図21は、第6の実施形態による高周波半導体装置1のシミュレーション例において、図17〜図20のグラフ中の代表的な数値の一覧表を示す図である。
図17および図21に示すように、低周波数帯Band‐Lによる単出力モードでの小信号特性は、低周波数帯Band‐Lの中心周波数である1915MHz付近において、S22およびS11が−11dBより小さい最小値となり、S21が18dBより大きい最大値となった。また、低周波数帯Band‐Lの最小周波数1805MHzおよび最大周波数2025MHzにおいても、S22が−10dBより小さくなり、S11が−8dBより小さくなり、S21が17dBより大きくなった。このような図17および図21のシミュレーション結果は、低周波数帯Band‐Lの全域において、利得(S21)が大きく、かつ、入力反射損(S11)および出力反射損(S22)が十分に抑制された良好な結果であるといえる。また、図21に示すように、IP1dB(1dB圧縮ポイント)は−16.0dBとなり、大信号特性についても良好な結果が得られた。
図18および図21に示すように、低周波数帯Band‐Lによるスプリットモードでの小信号特性は、低周波数帯Band‐Lの中心周波数である1915MHz付近において、S23が−29dBより小さい最小値となり、S11が−18dBより小さい最小値となり、S22が−15dBより小さくなり、S21が17dBより大きくなった。また、低周波数帯Band‐Lの最小周波数1805MHzおよび最大周波数2025MHzにおいても、S23が−20dBより小さくなり、S11が−13dB以下となり、S22が−14dBより小さくなり、S21が16dBより大きくなった。このような図18および図21のシミュレーション結果は、低周波数帯Band‐Lの全域において、利得(S21)が大きく、かつ、入力反射損(S11)および出力反射損(S22)が十分に抑制され、かつ、アイソレーション(S23)が十分に確保された良好な結果であるといえる。また、図21に示すように、IP1dBは−15.5dBとなり、大信号特性についても良好な結果が得られた。
図19および図21に示すように、高周波数帯Band‐Hによる単出力モードでの小信号特性は、高周波数帯Band‐Hの中心周波数である2155MHz付近において、S22が−15dBより小さい最小値となり、S11が−8dBより小さい最小値となり、S21が18dBより大きい最大値となった。また、高周波数帯Band‐Hの最小周波数2110MHzおよび最大周波数2200MHzにおいても、S22が−13dBより小さくなり、S11が−8dBより小さくなり、S21が18dBより大きくなった。このような図19および図21のシミュレーション結果は、高周波数帯Band‐Hの全域において、利得(S21)が大きく、かつ、入力反射損(S11)および出力反射損(S22)が十分に抑制された良好な結果であるといえる。また、図21に示すように、IP1dBは−15.4dBとなり、大信号特性についても良好な結果が得られた。
図20および図21に示すように、高周波数帯Band‐Hによるスプリットモードでの小信号特性は、高周波数帯Band‐Hの中心周波数である2155MHz付近において、S23が−30dBより小さい最小値となり、S11が−14dBより小さい最小値となり、S22が−13dBより小さくなり、S21が17dBより大きくなった。また、高周波数帯Band‐Hの最小周波数2110MHzおよび最大周波数2200MHzにおいても、S23が−25dBより小さくなり、S11が−13dB以下となり、S22が−13dBより小さくなり、S21が17dBより大きくなった。このような図20および図21のシミュレーション結果は、高周波数帯Band‐Hの全域において、利得(S21)が大きく、かつ、入力反射損(S11)および出力反射損(S22)が十分に抑制され、かつ、アイソレーション(S23)が十分に確保された良好な結果であるといえる。また、図21に示すように、IP1dBは−14.2dBとなり、大信号特性についても良好な結果が得られた。
第6の実施形態によれば、低周波数帯Band‐Lの第1高周波出力信号Sout1を出力する場合と、高周波数帯Band‐Hの第2高周波出力信号Sout2を出力する場合とでスプリッタ3の可変キャパシタC2a、C2bのキャパシタンスを切り替えることで、低周波数帯Band‐Lおよび高周波数帯Band‐Hのそれぞれの全域における信号特性を向上させることができ、広帯域の使用におけるロバスト性を高めることができる。
また、第6の実施形態によれば、単出力モードのときのバイアス電圧VB1よりもスプリットモードのときのバイアス電圧VB1を大きくすることで、単出力モードのときの出力信号Sout1、Sout2よりもスプリットモードのときの出力信号Sout1、Sout2を大きくすることができる。これにより、スプリットモードのときのスプリッタ3を経た後の出力信号Sout1、Sout2の振幅と、単出力モードのときの出力信号Sout1、Sout2の振幅との差を抑制して、スプリットモードのときの受信感度の悪化を抑制できる。
(第7の実施形態)
次に、広帯域にわたる信号特性を向上させる第7の実施形態について説明する。図22は、第7の実施形態によるスプリッタ3を示す回路図である。
図22に示すように、第7の実施形態におけるスプリッタ3は、図1に示した第1出力ノードNout1と第2出力ノードNout2との間に接続された抵抗R(第1抵抗)に加えて、第2抵抗の一例である抵抗R_2と、キャパシタC_2a、C2bとを有している。抵抗R_2およびキャパシタC_2a、C2bは、第1出力ノードNout1とl第2出力ノードNout2との間において直列接続されている。より具体的には、キャパシタC2_aは、第1出力ノードNout1と抵抗R_2との間に接続されている。キャパシタC2_bは、抵抗R_2と第2出力ノードNout2との間に接続されている。キャパシタC_2a、C2bのキャパシタンスは同一である。キャパシタC_2a、抵抗R_2、キャパシタC2bの順に直列接続されているのは、レイアウトにおける対称性を維持するためである。
このような抵抗R_2およびキャパシタC2_a、C2_bを備えることで、以下のシミュレーション結果に示すように、広帯域にわたる信号特性を向上させることができる。広帯域にわたる信号特性を向上させるため、抵抗R_2の抵抗値は、抵抗Rの抵抗値より小さいことが好ましい。また、抵抗Rの抵抗値は100Ωより大きいことが好ましい。
なお、図22において、第1スパイラルインダクタL1aと第2スパイラルインダクタL2aの間に一端が接続されたキャパシタC_1aは、図1の第2キャパシタC2aと符号が異なるだけで構成は同じである。また、第3スパイラルインダクタL1bと第4スパイラルインダクタL2bとの間に一端が接続されたキャパシタC_1bは、図1の第3キャパシタC2bと符号が異なるだけで構成は同じである。
次に、以上の構成を有する第7の実施形態のスプリッタ3のシミュレーション例について説明する。
図23は、第7の実施形態によるスプリッタ3のシミュレーション例において、回路定数を示す図である。シミュレーションにおいては、図23の「実施例」に示される回路定数が設定された図22の構成のスプリッタ3について、S21、S11、S22およびS23を測定した。また、シミュレーションにおいては、図23の「比較例」に示される回路定数が設定された図1の構成と類似のスプリッタ3について、S21、S11、S22およびS23を測定した。測定にあたり、ポート1は、図9(a)〜図9(d)の場合と同様に、スプリッタ3の入力ノードにとった。ポート2は、第1信号経路P1側のスプリッタ3の出力端にとった。ポート3は、第2信号経路P2側のスプリッタ3の出力端にとった。
また、シミュレーションには、2300MHz〜2690MHzにわたる所謂ハイバンドと称される周波数帯の信号を用いた。また、シミュレーションにおいては、インダクタL1a、L1b、L2a、L2bの寄生抵抗は、インダクタL1a、L1b、L2a、L2bの単位をΩに変更した値とした。例えば、比較例の第1スパイラルインダクタL1a、第3スパイラルインダクタL1bのインダクタンスは4.65nHであるが、その寄生抵抗は4.65Ωとした。シミュレーションの結果を図24〜図26に示す。
図24は、第7の実施形態によるスプリッタ3のシミュレーション例において、周波数特性を示すグラフである。図25は、第7の実施形態の比較例によるスプリッタ3のシミュレーション例において、周波数特性を示すグラフである。図26は、第7の実施形態によるスプリッタのシミュレーション例において、図24および図25のグラフ中の帯域内最悪値の一覧表を示す図である。
図24および図26の「実施例」に示すように、第7の実施形態のスプリッタ3においては、周波数帯(2300MHz〜2690MHz)の帯域内において、S21の最悪値(最小値)が−3.5dBより大きくなり、S11の最悪値(最大値)が−22dBより小さくなり、S22の最悪値(最大値)が−24dBより小さくなり、S23の最悪値(最大値)が−26dBより小さくなった。
一方、図25および図26の「比較例」に示すように、比較例のスプリッタ3においては、周波数帯(2300MHz〜2690MHz)の帯域内において、S21の最悪値(最小値)が−3.5dBより小さくなり、S11の最悪値(最大値)が−22dBより大きくなり、S22の最悪値(最大値)が−24dBより小さくなり、S23の最悪値(最大値)が−26dBより大きくなった。
図26に示すように、実施例は比較例に対してS21が0.1dB良好である。これは、インダクタの値が小さく、それにともなって寄生抵抗が小さいためである。また、実施例は、比較例に対してS23が大きく改善しており、比較例に対して3.8dB改善された。また、S22は比較例よりも2.5dB劣化したが、一般的な要求値である−20dBに対して十分な余裕がある。
以上のシミュレーション結果により、第7の実施形態のスプリッタ3の方が、比較例のスプリッタ3よりも広帯域(2300MHz〜2690MHz)を用いる場合の利得およびアイソレーションの確保に優れ、また、反射損を実用上問題がない程度まで抑制できることが確認された。
第7の実施形態によれば、原理的に狭帯域特性を有するスプリッタ3を備えた高周波半導体装置1において、広帯域の信号特性を向上させることができる。
次に、第7の実施形態によるスプリッタ3の変形例について説明する。図27は、第7の実施形態の第1の変形例によるスプリッタ3を示す回路図である。図28は、第7の実施形態の第2の変形例によるスプリッタ3を示す回路図である。
図24の例においては、広帯域の信号特性を向上させるため、第1出力ノードNout1と第2出力ノードNout2との間にキャパシタC_2a、抵抗R_2およびキャパシタC2_bを順に直列接続していた。これに対して、図27に示すように、第1出力ノードNout1と第2出力ノードNout2との間に抵抗R_2、キャパシタC_2、抵抗_R3を順に直列接続してもよい。この場合、レイアウトの対称性を確保するため、抵抗R_2、R3は同一の抵抗値を有することが望ましい。図27の例においても、広帯域の信号特性の向上を期待できる。また、第7の実施形態のスプリッタ3は、第1〜第6の実施形態の高周波半導体装置1に適用することもできる。例えば、第6の実施形態に適用するため、図28に示すように、キャパシタC_1a、C_1bを可変キャパシタにしてもよい。
(第8の実施形態)
次に、第8の実施形態として、図8と異なるスプリッタ3のレイアウトの例について説明する。図29は、第8の実施形態による高周波半導体装置1におけるスプリッタ3のレイアウト図である。
図8の例では、全てのスパイラルインダクタL1a、L2a、L1b、L2bがX方向に沿って直線状に配置されていた。これに対して、図29に示すように、第2スパイラルインダクタL2aを第1スパイラルインダクタL1aに対してY方向に配置し、第4スパイラルインダクタL2bを第3スパイラルインダクタL1bに対してY方向かつ第2スパイラルインダクタL2aに対してX方向に配置してもよい。
第8の実施形態においても、結合係数が正となるようにスパイラルインダクタL1a、L2a、L1b、L2bがレイアウトされているので、サイズを抑えながらスプリッタ3に必要なインダクタを確保することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。